JP2009051192A - 木材加工用チップソー - Google Patents
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Abstract
【課題】1刃当たりの切り込み深さを小さくし得て、縦挽きや横挽きに拘わらず、振動が少なく直線性に優れると共に軽く綺麗な挽き肌が容易に得られる木材加工用チップソーを提供する。
【解決手段】中心位置に取付穴を有して円板状に形成された台金2を備え、該台金の外周縁部に所定間隔で形成されたチップ固着部にチップがそれぞれ固着された木材加工用チップソーにおいて、チップは刃先が台金の板厚方向に平行な直線形状の第1チップ6と、刃先が板厚方向において中央部分が凹んだ凹み形状の第2チップ7とで形成され、これらがチップ固着部に所定の配列で固着される。
【選択図】図3
【解決手段】中心位置に取付穴を有して円板状に形成された台金2を備え、該台金の外周縁部に所定間隔で形成されたチップ固着部にチップがそれぞれ固着された木材加工用チップソーにおいて、チップは刃先が台金の板厚方向に平行な直線形状の第1チップ6と、刃先が板厚方向において中央部分が凹んだ凹み形状の第2チップ7とで形成され、これらがチップ固着部に所定の配列で固着される。
【選択図】図3
Description
本発明は、特に木材を縦挽きや横挽きする際に使用して好適な木材加工用チップソーに関する。
一般的に、木材を縦挽きしたり横挽きする際に使用される回転刃として、円板状の台金の外周縁部にチップ固着部を形成し、このチップ固着部に超硬金属からなるチップを固着したチップソーが使用され、従来、このチップソーとしては、例えば図9(a)〜(c)に示すものが使用されている。
すなわち、図9(a)に示すチップソーは、刃先が台金の板厚方向と平行な直線形状で所定のあさり寸法を有する1種類のチップ101をチップ固着部に固着したものであり、図9(b)に示すチップソーは、すくい面と逃げ面の交差部分である刃先が台金の板厚方向に対して角度を有する傾斜面で形成された1種類のチップ102を、その傾斜面が台金の両側面に対して交互となるようにしてチップ固着部に固着したものである。また、図9(c)に示すチップソーは、すくい面と逃げ面がV字状に形成された1種類のチップ103をチップ固着部に固着したものである。そして、これらのチップソーで木材を切断した場合、図10に示すように、一刃当たりの送り深さhによって切断溝104a〜104c(挽き肌)が得られるようになっている。なお、木材切断用のチップソーに関する公報としては、例えば特許文献1がある。
特開2000−71203号公報
しかしながら、図9(a)に示すチップソーにおいては、刃先に直線形状のため直線性に優れるものの、木材の繊維を切断する際の切断性能の面で劣ることになる。また、図9(b)(c)に示すチップソーにおいては、切り幅の両端を切断できることから、切断能力の面では優れるものの、刃先に設けた傾斜面により刃先がベクトル方向に逃げ易く直線性が失われ易い。つまり、図9(a)〜(c)に示すチップソーの場合、木材の特に年輪部分における横挽きや縦挽きにおいて、振動が少なくかつ優れた直線性を得ることが困難であると共に綺麗な挽き肌を得ることが難しいのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、1刃当たりの切り込み深さを小さくし得て、縦挽きや横挽きに係わらず、振動が少なく直線性に優れると共に軽く綺麗な挽き肌が容易に得られる木材加工用チップソーを提供することにある。
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、中心位置に取付穴を有して円板状に形成された台金を備え、該台金の外周縁部に所定間隔で形成されたチップ固着部にチップがそれぞれ固着された木材加工用チップソーにおいて、前記チップは、刃先が台金の板厚方向に平行な直線形状の第1チップと、前記刃先が板厚方向において中央部分が凹んだ凹み形状の第2チップとで形成され、これらが前記チップ固着部に所定の配列で固着されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記第2チップが、そのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略V字形状に形成されることにより、刃先が凹み形状に形成されていることを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記第2チップが、そのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略U字形状に形成されることにより、刃先が凹み形状に形成されていることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記2チップのすくい面と逃げ面が断面略V字形状もしくは断面略U字形状に形成されて、その両端部の形状が略同一に設定されていることを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記第1チップと第2チップか、その刃先の最大幅となる位置において略同一のあさり寸法を有することを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、台金の外周縁部に固着されるチップが、台金の板厚方向に平行な直線形状の刃先を有する第1チップと、板厚方向において中央部が凹んだ凹み形状の刃先を有する第2チップとで形成されて、これらが例えば交互に配列されているため、木材の横挽き時には第1チップにより左右均等に負荷が掛かり横振れを防止しつつ直進性に優れた切断を行うことができ、また、縦挽き時には刃先が凹み形状で切削抵抗の少なく稜線の短い第2チップにより、切削屑の厚さが最も厚くなるように振動が少なくかつ直線性に優れた切断を行うことができる。その結果、1刃当たりの切り込み深さを小さくしつつ、縦挽きや横挽きに係わらず、振動が少なく直線性に優れると共に軽く綺麗な挽き肌を容易に得ることが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第2のチップのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略V字形状に形成されて、刃先が凹み形状に形成されているため、該チップの板厚方向の両端部を鋭利な刃として有効利用できて、切断性能を一層向上させること等ができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第2のチップのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略U字形状に形成されて、刃先が凹み形状に形成されているため、該チップの板厚方向の両端部を鋭利な刃として有効利用できて、切断性能を一層向上させること等ができる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、第2チップのすくい面と逃げ面が断面略V字形状もしくは断面略U字形状に形成されて、その両端部の傾斜角度等の形状が略同一に設定されているため、直線性を良好に維持しつつ一層良好な切断性能を簡単に得ることができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4に記載の発明の効果に加え、第1チップと第2チップが、その刃先の最大幅となる位置において略同一のあさり寸法を有するため、切断溝に一層綺麗な挽き肌が得られて、木材加工後の処理コストの低減化を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明に係わるチップソーの一実施形態を示し、図1がその平面図、図2がその要部の拡大図、図3がその側面図、図4がチップの側面図、図5がチップの配列状態を示す模式図、図6が切断溝の説明図、図7がチップの変形例を示す側面図、図8がその切断溝の説明図である。
図1〜図8は、本発明に係わるチップソーの一実施形態を示し、図1がその平面図、図2がその要部の拡大図、図3がその側面図、図4がチップの側面図、図5がチップの配列状態を示す模式図、図6が切断溝の説明図、図7がチップの変形例を示す側面図、図8がその切断溝の説明図である。
図1において、チップソー1は、所定板厚の円板状で鋼板製の台金2を有し、この台金2の中心位置には、図示しない木材加工機の回転軸への取り付け用の取付穴3が形成されている。また、台金2の外周縁部2aは、一定間隔で中心位置方向に窪んだ歯室4が多数形成されると共に、この歯室4の端部には段差形状もしくは凹部形状のチップ固着部5がそれぞれ形成されている。
そして、このチップ固着部5には、共に超硬金属からなる第1チップ6と第2チップ7がそれぞれ高周波誘導加熱によるロウ付け等により固着されている。両チップ6、7のうち、第1チップ6は、図2〜図4に示すように、すくい面6aと逃げ面6bが台金2の板厚方向イと平行な平面で形成されることにより、すくい面6aと逃げ面6bの交差部分である刃先6cが板厚方向イに平行な(台金2の両側面に直交した)直線形状に形成されている。
また、第2チップ7は、そのすくい面7aが台金2の板厚方向イに対する横断面形状が略V字形状に形成されて、中央部分が両端部により所定寸法凹んだ形状に形成されると共に、その逃げ面7bも縦断面形状が略V字形状に形成されて中央部分が両端部より所定寸法凹んだ形状に形成されている。これにより、第2チップ7の刃先7cは、その中央部分が両端部より凹んだ凹み形状に形成されている。また、第1チップ6と第2チップ7のすくい角aと逃げ角cは略同一に設定され、両チップ6、7の刃先6c、7c部分の最大幅W位置におけるあさり寸法Sも略同一に設定されている。さらに、第2チップ7のすくい面7aと逃げ面7bの角度b、dも左右において略同一に設定されている。
このように構成された第1チップ6と第2チップ7は、図5に模式的に示すように、台金2の回転方向ロに対してチップ固着部5に交互に固着されている。そして、このチップソー1により木材を切断した場合、図6に示すように、1刃当たりの送り深さがhの切断溝8が得られ、切断溝8の両面に綺麗な挽き肌が得られることになる。
なお、前記台金2の外径を185mmで歯数(チップ固着部5の数)を24個(第1チップ6と第2チップ7が共に12個)、刃先6c、7cの厚さ=1.85mm、台金2の板厚1.2mmとし、前記すくい角a=20°、第2チップ7の角度b=10(第1チップ6の角度b=0°)、逃げ角c=13°、第2チップ7の角度d=10°(第1チップ1の角度d=0°)としたチップソー1により木材を実際に横挽き及び縦挽きしたところ、綺麗な挽き肌が得られると共に、直線性や切断性能の面等でも従来より良好な結果を得ることができた。
ところで、上記実施形態においては、第2チップ7のすくい面7aと逃げ面7bを断面略V字形状に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図7に示すように、第2チップ7のすくい面7aと逃げ面7bを断面略U字形状(凹んだアール形状)に形成して、中央部を両端部より凹んだ形状としても良い。この形状の第2チップ7を使用したチップソー1の場合、図8に示すような切断溝8を得ることができる。
このように、上記実施形態のチップソー1よれば、台金2の外周縁部2aのチップ固着部5に、刃先6cが台金2の板厚方向イに平行な直線形状の第1チップ6と、刃先7cが板厚方向イにおいて中央部が凹んだ凹み形状の第2チップ7とが交互に固着されているため、木材の横挽き時には第1チップ6により左右均等に負荷が掛かり横振れを防止しつつ直進性に優れた切断を行うことができる。
また、木材の縦挽き時には断面略V字形状や断面略U字形状で切削抵抗の少なく稜線の短い第2チップ7により、切削屑の厚さが最も厚くなるように振動が少なくかつ直線性に優れた切断を行うことができる。その結果、1刃当たりの切り込み深さhを小さくしつつ、縦挽きや横挽きに係わらず、振動が少なく直線性に優れると共に軽く綺麗な挽き肌を容易に得ることが可能となる。
また、第2チップ7の刃先7cが断面略V字形状や断面略U字形状に形成されると共に両端部の角度b、dが略同一に設定されて、刃先7cが凹み形状に形成されているため、第2チップ7の板厚方向イの両端部を鋭利な刃とすることができて、木材の繊維を良好に切断できる等、切断性能を一層向上させることができると共に、直線性をより向上させることができる。また、第1チップ6と第2チップ7が、その刃先6c、7cの最大幅Wとなる位置において略同一のあさり寸法Sを有するため、切断溝8に一層綺麗な挽き肌が得られて、木材加工後の処理コストの低減化等を図ることができる。
なお、上記実施形態においては、第2チップ7の刃先7cの凹み形状を、断面略V字形状や断面略U字形状により形成したが、本発明はこの例に限定されず、例えば断面逆台形状の凹部により凹み形状とする等、中央部分が両端部に対して所定寸法凹んだ適宜の形状を採用することができる。また、上記実施形態において、第1チップ6と第2チップ7を台金2の回転方向ロに沿って交互に配列したが、例えば2個の第1チップ6に対して1個の第2チップを固着したり、あるいはその逆としたり、各チップ6、7を複数個ずつ交互とする等、適宜な配列を採用することができる。
さらに、上記実施形態における、第1チップ6や第2チップ7自体の形状やそのすくい面6a、7a等の各種角度等も一例であって、例えば第1チップ6と第2チップ7のすくい面6a、7aの形状を異ならせる等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
本発明は、木材を縦挽きしたり横挽きする等の木材加工時に使用される全てチップソーに適用できる。
1・・・チップソー、2・・・台金、2a・・・外周縁部、4・・・歯室、5・・・チップ固着部、6・・・第1チップ、6a・・・すくい面、6b・・・逃げ面、6c・・・・刃先、7・・・第2チップ、7a・・・すくい面、7b・・・逃げ面、7c・・・刃先、8・・・切断溝。
Claims (5)
- 中心位置に取付穴を有して円板状に形成された台金を備え、該台金の外周縁部に所定間隔で形成されたチップ固着部にチップがそれぞれ固着された木材加工用チップソーにおいて、
前記チップは、刃先が台金の板厚方向に平行な直線形状の第1チップと、前記刃先が板厚方向において中央部分が凹んだ凹み形状の第2チップとで形成され、これらが前記チップ固着部に所定の配列で固着されていることを特徴とする木材加工用チップソー。 - 前記第2チップは、そのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略V字形状に形成されることにより、刃先が凹み形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木材加工用チップソー。
- 前記第2チップは、そのすくい面の少なくとも逃げ面側と逃げ面の少なくともすくい面側が断面略U字形状に形成されることにより、刃先が凹み形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木材加工用チップソー。
- 前記2チップは、そのすくい面と逃げ面が断面略V字形状もしくは断面略U字形状に形成されて、その両端部の形状が略同一に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の木材加工用チップソー。
- 前記第1チップと第2チップは、その刃先の最大幅となる位置において略同一のあさり寸法を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の木材加工用チップソー。
Priority Applications (1)
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JP2007248054A JP2009051192A (ja) | 2007-08-27 | 2007-08-27 | 木材加工用チップソー |
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JP2009051192A true JP2009051192A (ja) | 2009-03-12 |
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Cited By (1)
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CN107269698A (zh) * | 2016-04-01 | 2017-10-20 | 株式会社三丰 | 空气轴承 |
-
2007
- 2007-08-27 JP JP2007248054A patent/JP2009051192A/ja active Pending
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CN107269698B (zh) * | 2016-04-01 | 2020-04-21 | 株式会社三丰 | 空气轴承 |
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