JP2009050798A - 電解水生成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室および隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、前記中間室に供給する食塩水の流量制御を、ポンプの運転および運転停止を交互に繰り返す間欠制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
【選択図】図1
Description
図14は、2室型の電解槽100を表した模式図である。当該2室型の電解槽の場合は、隔膜101によって電解槽内を2室に仕切り、各室に陽極102と陰極103を配置することで、それぞれ陽極室104と陰極室105を形成したものである。この陽極室104と陰極室105には、それぞれ塩水タンク106から食塩水が供給されるが、供給された食塩水の一部は電解されるものの、排出される酸性水若しくはアルカリ性水には未電解の食塩成分がそのまま含まれていた。
出願人の実験では、上記2室型の電解槽を用いた電解水生成装置によって、食品衛生法上の強酸性次亜塩素酸水(強酸性電解水)としての規格であるpHが2.7以下、有効塩素濃度20〜60mg/kgを満たす酸性溶液を毎分1500mL生成するには、おおよそ3g/分(1時間あたり180g)の食塩を消費することが解った。
また、塩水タンクは内部の濃度を均一化するための攪拌ポンプを有し、濃塩水タンクに食塩を供給する食塩タンクも設けられている。また、塩水タンクにはpHセンサが設けられており、検出された値に応じた酸性水供給バルブ又はアルカリ性水供給バルブの制御によって酸性水又はアルカリ性水を塩水タンクに供給し、塩水タンク内のpHを一定範囲に保つようにしている。
本願発明は上記課題に鑑み発明されたものであって、溶液の循環や供給のために使用するポンプとして、通常運転時に必要とする流量よりも定格流量の大きいポンプを用いることにより稼働率の低下を防ぎ、しかも同定格流量の大きいポンプを定格流量の小さいポンプと同様に使用することができる装置および方法を提供することを課題とする。
食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記中間室に供給する食塩水の流量制御を、ポンプの運転および運転停止を交互に繰り返す間欠制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記中間室に供給する食塩水の流量制御は、ポンプの運転時間および停止時間の制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記塩水タンクに取り入れる補給水の流量制御を、ポンプの運転および運転停止を交互に繰り返す間欠制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記塩水タンクに取り入れる補給水の流量制御は、ポンプの運転時間および停止時間の制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
ことができるという効果を有している。
また、前記隔膜7、9として使用可能な素材には種々のものがあるが、陽極室5側に設ける隔膜と陰極室6側に設ける隔膜の組み合わせによって、中間室4の塩水が酸性になったり中性になったりアルカリ性になったりする。本願実施の形態では、前記陽極室5側に設ける隔膜7と陰極室6側に設ける隔膜9の選択は、中間室4内が酸性となるような組み合わせとなるように行われている。これは、中間室4の塩水がアルカリ性を示すと、マグネシウムやカルシウム等がスケールとして析出し、電解槽の機能を妨げる場合があるからである。
図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は図2(b)のC−C断面図、図2(d)は平面図、図2(e)は図2(a)のA−A断面図、図2(f)は図2(a)のB−B断面図を表している。また、図2(f)は塩水タンク3内に食塩と水を入れた状態を表しており、大まかに固体食塩層(S)、液体層(L)、気層(G)という3つの層が形成された状態を表している。
塩水タンク3の底部には塩水吐出口11が設けられており、配管用接続継手を介して中間室4に繋がる配管(供給路12)と接続されている。塩水吐出口11には固体食塩の透過を妨げるフィルター13が設けられており、タンク内の液体成分のみを供給路12に対して透過するようになっている。供給路12を構成する配管の途中には制御手段20の制御によって動作するポンプP1が配置されており、当該ポンプP1の駆動によって食塩水が中間室4に送られるようになっている。
帰還口14は、前記中間室4と塩水タンク3の間に設けた配管(帰還路17)と接続された開口であり、中間室4の溶液を塩水タンク3内に戻す部位となっている。
補給口15は、前記陰極室6と塩水タンク3の間に設けた配管(補給路18)と接続された開口であり、生成されたアルカリ性水の一部を塩水タンク3に流入させる部位となっている。補給路18を構成する配管の途中にはポンプP2が配置されており、制御手段20の制御に基づく当該ポンプP2の動作によって補給水(アルカリ性水の一部)を塩水タンク3に送るようになっている。
排出口16は塩水タンク3の内面に設けた開口であって、溶液の廃棄を行う排水管(図示せず)と接続された開口であり、液面が排出口16に達した場合に当該超えた分の溶液を廃棄するものである。すなわち、塩水タンク3は当該排出口16を設けることによって
、水位を一定以下に保つオーバーフロータンクとして機能するようになっている。
排出口16は塩水タンク3内の水位の上限を決定するオーバーフロー機能を有しており、本実施の形態では、前記帰還口14と補給口15よりもやや(20〜30mm)下方位置に設けられている。また、帰還口14と補給口15は同じ高さの近接した位置に設けられており、かつ直方体形状に形成された塩水タンク3の一つの内側面上に設けられている。
本実施の形態に係る電解水生成装置1は、pHが2.7以下、有効塩素濃度20〜60mg/kgを満たす酸性水および同時に生成されるアルカリ性水をそれぞれ毎分1500mLの割合で生成する装置である。このため、図1に示した電解水生成装置1の原水導入部19には毎分3000mLの原水が導入される。原水として使用される水には、軟水器を通した上水道によって供給される水道水が用いられる。
また、毎分一定量の酸性水およびアルカリ性水を生成するには、一定量の食塩を電気分解する必要があり、当該一定量の食塩を電気分解するために陽極室5と陰極室6間に一定量の電流を流すようになっている。電解水生成装置1は、制御手段20によって陽極室5と陰極室6間の電圧を自動的に制御することにより、変動する食塩水の電気抵抗に応じて極板間に流れる電流値を一定に保つようになっている。
制御手段20は、中間室4内の食塩水の濃度が高い場合には電気抵抗が低くなるので陽極室5と陰極室6間の電圧を低くし、食塩水の濃度が低い場合には電気抵抗が高くなるので陽極室5と陰極室6間の電圧を高くすることで電流値を一定に保つ制御を行っている。
当該通電によって、電解槽内では種々の反応が起きているが、NaCl(食塩)の主な反応は
中間室では、NaCl→Na++Cl-
陽極付近では、2Cl-→Cl2+2e- である。
ファラデーの電気分解の法則から、前記電流値に基づき消費される食塩の量を次式により算出することができる。
n=m/M=It/zF
上式において、n[mol]=物質量、I[A]=電流(10.5)、m[g]=質量、t[s]=時間、M[g/mol]=分子量(NaClは58.5)、z=イオン価数、F=9.65×104[C/mol]であり、上式より導かれる1分あたりに消費される食塩の質量は0.38gとなる。
プP1から吐出された飽和食塩水の比重を測定すると1.19(g/cm3)であった。以上の結果から、1分間に使用される飽和食塩水の体積(理論値)が大凡1.44/1.19=1.21mLであることが解った。すなわち、前記仕様の酸性水を生成する際に、飽和食塩水に含まれる塩分を全て電解すると仮定すると、1分間あたりに必要な飽和食塩水の量は約1.21mLである。
しかし、飽和食塩水の濃度が低下すると溶液の電気抵抗値が上昇するので、一定量の電解水を生成しようとすると電圧を高くしなければならず、装置に対する負荷が増加するとともに電解の効率も著しく低下する。
したがって、本実施の形態では、装置の寿命、電解効率等の総合的な観点から、前記理論値の約4倍に相当する、毎分に換算して約5mLの飽和食塩水を提供し、効率よく電解水を生成するようになっている。
また、図3(2)は、食塩水の飽和度と電極間に流れる電流値の関係を表している。電圧がV3以下の正常運転時であれば、電極間に流れる電流値はほぼ一定である。
後述する実施例2に示す電解水生成装置1は、中間室4内の食塩水濃度をある一定の範囲に維持することで、正常運転時における電極間の電圧を一定の振幅内(V1(V2)〜V3)となるように制御し、電圧値がV3を著しく超えた場合を条件の一つとして電解槽の寿命、故障、食塩水の濃度低下等の状況が生じたものと判断して装置を停止するようになっている。このように、電極間の電圧がV3以下の状態であれば、正常運転が行われているものとして運転を継続するようになっている。
電解水生成装置1は、前述した通り電解水の生成にともなって塩水タンク3内の食塩を消費する。また、塩水タンク3と中間室4を循環する溶液も、水自体の電気分解、隔膜透過、蒸発等によって容量が減少する。
塩水タンク3には、中間室4を通過した電解処理後の溶液とアルカリ性水である補給水が供給される。中間室4を通過した溶液には、電解によって生じた塩素成分や、酸性室やアルカリ性室に移動せず中間室4に残存した食塩成分等が含まれている。
塩水タンク3に戻ったこれらの成分のうち、食塩成分は、塩水タンク水面付近の塩水濃度より、循環水の塩水濃度の方が濃いため、塩水タンク3に循環水が戻った際に拡散する前に沈む。また、循環水は補給水で希釈され、希釈された循環水の一部が排出されるので、循環させずに排出させてしまう場合より食塩の消費量は少なくなる。この排出される溶液には、塩水タンク3内の塩素成分が含まれているので、これらの成分を排出することで塩水タンク3内の塩素臭を軽減するようになっている。
している。
図4(1)および図4(2)に示すように、循環水の供給量が1.1mL/分であるか47mL/分であるかにかかわらず、補給水の流量が0.7mL/分未満である場合には、塩水タンク3内のオーバーフロー位置を保つことがでず水位が低下する。すなわち、塩水タンク3内の水位を一定に保つには、補給水の流量が0.7mL/分以上必要ということである。また、循環水の供給量が1.1mL/分の場合と47mL/分の場合とを比較すると、前者のほうが食塩消費量が少ないという傾向が認められた。
循環量が1.0mL/分の場合には、運転途中に極板間の電圧が予め設定されていた10Vを超えたため、連続運転を自動的に中止している。これは、中間室4に供給される食塩水の量が少なく、電解に必要な食塩濃度が低下して電気抵抗が増加したためである。
また、循環量が1.1mL/分および1.2mL/分の場合には、運転途中の極板間の電圧が所定範囲内に維持されており、電解に必要な食塩濃度が維持されていることが解る。
図6は、上記仕様のポンプを用いた制御の内容を表すグラフ等である。図6(1)は、補給水であるアルカリ性水が、定格能力が5mL/分のポンプを用いて塩水タンク3内に連続的に供給されている状態を表している。図6(2)は、飽和食塩水が、定格能力が5mL/分のポンプを用いて中間室4に連続的に供給されている状態を表している。図6(3)は、電極間の電圧が時間の経過にかかわらず安定(V4)していることを表している。図6(4)は、電極間に時間の経過にかかわらず安定して一定値の電流が流れていることを表している。各グラフの横軸は分(min)である。
なお、飽和食塩水の流量(約5mL/分)および電流値(10.5A)と酸性水の生成量(毎分1500mL)等は比例的な関係にあり、酸性水の生成量を変更する場合には飽和食塩水の流量等も比例的に変化する。
電解に最低限必要な飽和食塩水の量は、毎分当り約1.1mLである。したがって、この食塩水の供給には、前述した定格能力5mL/分程度のポンプを用いれば十分である。
しかし、本実施の形態に係る電解水生成装置1の中間室4は容積が約65mLであるから、空の状態の中間室4を飽和食塩水で満たすには約13分(65÷5)の時間を要する。これは、電解槽を交換したときや、メンテナンス時に中間室4を空にした場合、再び電解装置と
して正常運転を開始するまでに最低13分を要するということであるから、装置としての稼働率が低下する原因となる。したがって、必要な量の飽和食塩水を供給することができること、および必要に応じて高い流量で飽和食塩水を供給することができることの双方を実現できる装置、方法を採用することが望ましい。
また、前記の考えから、定格電圧による駆動によって50mL/分の流量を発揮するポンプを低電圧で駆動させて、5mL/分の流量を途切れることなく連続的に得ることも理論的には考えられる。しかし、大きなポンプを低電圧で駆動すると流量が安定せず、目的どおりの流量を安定して得ることはできない。
図7(1)は補給水であるアルカリ性水に関するものであり、定格能力が50mL/分のポンプを図7(2)に示した飽和食塩水の供給と同期して、補給水を塩水タンク3内に1分間供給し、9分間休止するというサイクルを繰り返している状態を表している。図7(2)は、定格能力が50mL/分のポンプを1分間動作させた後に9分間休止するというサイクルを繰り返しながら、間欠的に飽和食塩水を中間室4に供給している状態を表している。図7(3)は、電極間の電圧が時間の経過にともなって電圧がV2〜V3の範囲で変化する状態を表している。すなわち、中間室4に対する飽和食塩水の供給にともなって電圧が低下し、飽和食塩水の供給停止にともなって次第に電圧が上昇する様子を表している。図7(4)は、電極間に時間の経過にかかわらず安定して一定値の電流が流れていることを表している。各グラフの横軸は分(min)である。
本実施の形態に係る電解水生成装置1は、上記陽極板8と陰極板10間に流れる電流値を検出して、制御手段20によって電圧値を図7(3)に示すように変動させ、図7(4)に示すように電流値を一定に保つようになっている。
図8は、定格吐出量が50mL/分であるポンプP1の動作時間と吐出量との関係を表したグラフである。前述した通り、ポンプP1を1分間動作させた場合には吐出量が50mLとなり、10分間の平均に換算すると5mL/分となる。当該グラフから解るように、ポンプP
1による吐出量は、その運転時間によって決定することができる。
例えば、前述した実験結果にれば、連続運転可能な最低流量は1.1mL/分であるが、当該1.1mL/分相当の循環水量を得るには、10分毎にポンプP1を0.22分(13.2秒)駆動すればよい。すなわち、50mL/分の吐出量のポンプを13.2秒動作させると吐出量は11mLであり、これを毎分当りの流量に換算すると1.1mL/分になるわけである。ただし、本実施例では、機器を安定して動作させるために、最低流量よりも余裕のある5mL/分相当の循環水を供給している。
本実例では、このようにポンプの駆動時間を制御することによって、必要な流量のコントロールを行っている。なお、当該ポンプの駆動時間の制御は、補給水用のポンプP2においても同様に行っている。
また、前述した電解水生成装置1に用いる塩水タンクは、食塩の最大投入量を7.5kgに設計している。したがって、食塩の消費量の観点から食塩無供給の場合の連続稼働可能時間を計算すると250時間の連続運転が可能である。このように、食塩の消費量を軽減することは、食塩自体の節約とともに電解水生成装置1の連続稼働時間を延ばす効果があり、食塩の投入頻度を少なくしている。
循環水と補給水を、塩水タンク内溶液の現実の減少量と同等の流量1.1mL/分の割合で供給すると、1時間あたりの食塩消費量を測定した場合13g(毎分約0.2mg相当)の食塩を消費することが解った。これは、前記実施例1および実施例2の場合と比較して約1/2であり、前述した2室型の電解層の場合と比較して約1/12の食塩消費量であった。したがって、食塩を最も効率よく使用して電解水を生成するには、実際の溶液の減少量とほぼ同等の補給水を供給するのが理想であるということができる。
塩水タンク3に戻される電解後の溶液には、隔膜を通過した次亜塩素酸等の有効塩素成分が僅かに残留する。これが塩水タンク3内に入ると塩素臭によって臭くなり、食塩の投入時に塩水タンク3の蓋を開けると作業者の臭覚を刺激することで非常に不快な印象を与えてしまう。
しかし、最低補充量よりも多く補給水を供給することで、塩水タンク3内の液層(L)の表層部分に存在する塩素成分を含んだ溶液を押し流し、塩素による刺激臭を減少させることができる。このように、最低補充量よりも多く補給水を供給することで、塩水タンク3内の塩素臭を低減することができるという効果を有している。当該塩素臭は、塩水タンク3中の溶液の塩素濃度が濃いと強く感じられるものである。
食塩水の循環量を毎分換算で1.1mL、8.2mL、47mLの3通りのパターンに設定して、約8時間運転後の塩水タンク内の塩素濃度を測定すると、結果は約0.4mg/kg、0.8mg/kg、0.7mg/kgという結果であった。すなわち、食塩水の循環量が少ないと、塩素濃度を低くできるという結果が得られた。
補給水の量が47mL/分の場合、消費される食塩の量は8.2mL/分の場合の0.03kg/hよりやや多く、この47mL/分と8.2mL/分の範囲では食塩消費量に大きな差はない。また、補給水の流量が1.1mL/分から8.2mL/分にかけて、食塩消費量が大きく変動している(図11参照)ので、補給水の流量8.2mL/分が食塩消費量が変化する条件となっている。
また、当該補給水の量(1.1mL/分〜8.2mL/分)を消費される食塩水の量(1.1mL/分)との比で表すと、大凡1〜7.5倍である。すなわち、補給水の量が、消費される食塩水に対して1〜7.5倍の量である場合に、補給水の量を多量に供給する場合と比較して消費される食塩の量を低減することができている。
なお、本実施の形態においては、塩素臭軽減の観点から補給水の最低量は、実際の消費量よりもやや多く設定し、余剰分は塩素臭の要因物質とともに排出している。また、食塩の消費量の観点から導かれる補給水の上限は8.2mL/分(消費される食塩水の約7.5倍)であるが、実際の運用においてはこれよりもやや少なく消費される食塩水の約7倍以下の量であることが好ましい。
本実施の形態では、上記のような観点から食塩水の循環量を毎分5mL相当となるように設定している。
また、図示しての説明は省略するが、補給水の供給パターンも5分間隔で30秒間行うようにしても構わない。
さらに、本実施の形態では、循環水と補給水用のポンプとして同一仕様のポンプを使用しているが、これは単に組み付け時の間違い等を危惧したものであるから、仕様の異なるポンプを用いてそれぞれ必要流量を得る用にしても良いものである。
すなわち、電解水生成装置30は、主な構成として電解槽2、塩水タンク3、各種配管および電気的な制御手段20によって構成されている。
電解槽2は、所謂3室型の電解槽として構成されており、食塩水を供給する中間室4と次亜塩素酸等の有効塩素を含んだ酸性溶液を生成する陽極室5とアルカリ性溶液を生成す
る陰極室6を有している。中間室4と陽極室5は、陰イオン交換膜として機能する隔膜7によって仕切られている。また、陽極室5内には電極として機能する陽極板8が設けられている。隔膜7と陽極板8は近接した状態で配置されている。同様に、中間室4と陰極室6は、陽イオン交換膜として機能する隔膜9によって仕切られている。また、陰極室6内には電極として機能する陰極板10が設けられている。隔膜9と陰極板10は、近接した状態で配置されている。
また、前記隔膜7、9として使用可能な素材には種々のものがあるが、陽極室5側に設ける隔膜と陰極室6側に設ける隔膜の組み合わせによって、中間室4の塩水が酸性になったり中性になったりアルカリ性になったりする。本願実施の形態では、前記陽極室5側に設ける隔膜7と陰極室6側に設ける隔膜9は、中間室4内が中性から微酸性となるような組み合わせに選択されている。これは、中間室4の塩水がアルカリ性を示すと、マグネシウムやカルシウム等がスケールとして析出し、電解槽の機能を妨げる場合があるからである。
帰還口14は、前記中間室4と塩水タンク3の間に設けた配管(帰還路17)と接続された開口であり、中間室4の溶液を塩水タンク3内に戻す部位となっている。
補給口15は、前記原水導入部19と塩水タンク3の間に設けた配管(補給路31)と接続された開口であり、原水の一部を塩水タンク3に流入させる部位となっている。補給路31を構成する配管の途中にはポンプP2が配置されており、制御手段20の制御に基づく当該ポンプP2の動作によって補給水(原水)を塩水タンク3に送るようになっている。
排出口16は塩水タンク3の内面に設けた開口であって、溶液の廃棄を行う排水管(図示せず)と接続された開口であり、液面が排出口16に達した場合に当該超えた分の溶液を廃棄するものである。すなわち、塩水タンク3は当該排出口16を設けることによって、水位を一定以下に保つオーバーフロータンクとして機能するようになっている。
2 電解槽
3 塩水タンク
4 中間室
5 陽極室
6 陰極室
7 隔膜
8 陽極板
9 隔膜
10 陰極板
11 塩水吐出口
12 供給路
13 フィルター
14 帰還口
15 補給口
16 排出口
17 帰還路
18 補給路
19 原水導入部
20 制御手段
Claims (4)
- 食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記中間室に供給する食塩水の流量制御を、ポンプの運転および運転停止を交互に繰り返す間欠制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。 - 食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記中間室に供給する食塩水の流量制御は、ポンプの運転時間および停止時間の制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。 - 食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記塩水タンクに取り入れる補給水の流量制御を、ポンプの運転および運転停止を交互に繰り返す間欠制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。 - 食塩水を循環供給する中間室、隔膜および陽極を介して前記中間室に隣接した陽極室と隔膜および陰極を介して前記中間室に隣接した陰極室を備えた電解槽と、
食塩と前記中間室に循環供給する食塩水とを接触させることにより当該食塩水の濃度を高める塩水タンクと、
前記塩水タンクから前記中間室に食塩水を供給する供給路と、
電解処理後の食塩水を前記中間室から前記塩水タンクに帰還させる帰還路と、
前記陰極室から排出されるアルカリ性水の一部を塩水タンクに取り入れる補給路とを有し、
前記塩水タンクに取り入れる補給水の流量制御は、ポンプの運転時間および停止時間の制御によって行うことを特徴とする電解水生成装置。
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