JP2009047705A - 生物学的試料の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被験者から採取した生物学的試料に含まれる部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号1、2、3及び4に示すアミノ酸配列を含んでなり、かつ、免疫担当細胞においてインターフェロン−γの産生を誘導する蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法を提供する。
【解決手段】 特定のアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を被験者から採取した生物学的試料と接触せしめ、そのモノクローナル抗体と生物学的試料との抗原抗体反応に基づき、免疫担当細胞においてインターフェロン−γの産生を誘導する蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法により解決する。
【選択図】なし

Description

この発明はモノクローナル抗体を用いて、特定の蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法に関する。
免疫系は、本来外界からの有害な異物の侵入に対する生体の防御機構として存在するものである。しかし免疫系は、時には自己の成分を異物すなわち、自己抗原として認識し、それに反応し得る自己抗体を産生したり、それに反応し得る自己反応性T細胞を生成する場合がある。これを自己免疫と呼んでいる。一方、人類が罹患する数多くの疾患の中で、ある種の疾患の発症はこの自己免疫の成立と密接に関与していると指摘されているものがあり、これらを総称して自己免疫疾患と呼んでいる。自己免疫疾患の中には老化に伴い発症率が増すものもあり、高齢化の進む現代に於いては、自己免疫疾患を早期に発見して確実に治療することの重要性が社会的にも増してきている。
しかしながら自己免疫疾患は、原因や発症機序が解明され診断方法や治療方法が確立された他の多くの疾患と比較すると、その原因や発症機序については今なお不明な点が多く、自己抗体の検出に基づく診断結果が必ずしも発症と一致しない場合もある。例えば、自己免疫疾患の一病態である慢性関節リウマチの患者の70乃至80%において自己のIgGのFc部分に対する自己抗体が検出される一方、健常者においても同じく自己抗体が検出される例も多くある。また、例えば、自己免疫疾患の別の一病態である全身性エリテマトーデスの患者の80乃至100%において自己の細胞核に対する自己抗体が検出される一方、健常者においても同じく自己抗体が検出される例も多くある。
これらのことから、自己免疫疾患の診断においては、自己抗体とは別の指標に基づいた診断結果を組み合わせて総合的に判断しなければ的確な診断ができないというのが現状であり、結果として、その診断は甚だ煩雑なものとなっている。
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、モノクローナル抗体を用いて、特定の蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法を提供することにある。
この発明は、前記課題を、部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号1、2、3及び4に示すアミノ酸配列それぞれの一部又は全部を含む蛋白質であって、かつ、免疫担当細胞においてインターフェロン−γ(以下、「IFN−γ」と略記する。)の産生を誘導する蛋白質に、特異的なモノクローナル抗体を用いて、特定の蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法により解決するものである。
本発明者らは、免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する蛋白質(以下、単に「当該蛋白質」ということもある。)をコリネバクテリウム死菌体とリポ多糖で予処理したマウスの肝臓より単離し、その蛋白質をコードするDNAのクローニングに成功した。このマウス由来のDNAとの相同性に基づいてヒト肝細胞を検索したところ、ヒト由来のDNAのクローニングに成功し、その発現産物たる蛋白質には同じく免疫担当細胞においてIFN−γの産生の誘導能が確認された。このヒト由来のDNAは、配列表における配列番号6に示す塩基配列を有し、そこに併記したアミノ酸配列をコードしてなるものであった。これら知見は同じ出願人による特願平7−262062号明細書(特開平8−193098号公報)に開示されている。次にヒト細胞を検索したところ、ある種の細胞株が、免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する蛋白質を産生していることを見出し、その蛋白質を単離して性質・性状を調べた。その結果この蛋白質は、先にクローニングされたヒト由来のDNAの発現産物たる蛋白質のアミノ酸配列を有してなるものであることが結論された。なお、この蛋白質の部分アミノ酸配列は、例えば、配列表における配列番号1乃至4に記載されている。この知見は、同じ出願人による特願平8−67434号明細書(特開平9−289896号公報)に開示されている。また本発明者らは、ヒト由来のDNAを大腸菌に導入した形質転換体を用いて当該蛋白質を製造・精製し、この精製蛋白質でマウスを免疫し、そこから採取した脾細胞とマウス骨髄由来細胞株とを融合させて、ハイブリドーマを得た。このハイブリドーマより得たモノクローナル抗体は、当該蛋白質に特異的に反応することが確認された。この知見は、同じ出願人による特願平7−58240号明細書(特開平8−231598号公報)に開示されている。
この発明は、免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する蛋白質が、ある種の疾患、とりわけ、自己免疫疾患の患者から採取した生物学的試料に高値で含まれているという知見に基づくものである。すなわち、自己免疫疾患、例えば、慢性関節リウマチの患者から採取した生物学的試料には、当該蛋白質が健常者や他の疾患患者の場合より高値で含まれており、しかもその試料中に含まれる当該蛋白質の量と自己免疫疾患への罹患の有無との間には相関関係があることが判明した。この発明は、斯かる生物学的試料に含まれる当該蛋白質が、その蛋白質に特異的なモノクローナル抗体に顕著な免疫反応を示し、その免疫反応に基づき自己免疫疾患に対する罹患の有無を診断できるという知見に基づくものである。
この発明で用いるモノクローナル抗体は、免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する蛋白質に特異的に反応するものであればよく、その取得方法やクラスは問わない。当該蛋白質は、部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号1、2、3及び4に示すアミノ酸配列を含んでなり、全体としては、通常、配列表における配列番号5に示すアミノ酸配列(ただし、符号「Xaa」を付して示したアミノ酸は、イソロイシン又はトレオニンを表すものとする。)を有している。
この発明で用いるモノクローナル抗体は、当該蛋白質又はその抗原性フラグメントを抗原として用いることにより得ることができる。具体的には、例えば、斯かる抗原で免疫感作しておいた哺乳動物より採取した抗体産生細胞と無限増殖可能な哺乳類由来の細胞とのハイブリドーマを作製し、これよりこの発明のモノクローナル抗体を産生し得るハイブリドーマのクローンを選択し、これを生体内外で培養することにより得ることができる。
抗原となり得る当該蛋白質乃至ポリペプチドは、例えば、同じ出願人により特願平7−262062号明細書(特開平8−193098号公報)に開示されたように、例えば、配列表における配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれに相同的なアミノ酸配列をコードするDNAを導入した形質転換体を培養することにより得ることができ、それらは、通常、完全精製又は部分精製した状態で使用される。抗原性フラグメントを得るには、これら完全精製品又は部分精製品を化学的又は酵素的に分解するか、配列表における配列番号5に示すアミノ酸配列に基づきペプチド合成すればよい。
免疫感作は慣用の方法によればよく、例えば、上記のごとき抗原を単独又は適宜アジュバントとともに哺乳動物の静脈、皮内、皮下又は腹腔内に注射接種し、一定期間飼育する。哺乳動物に特に限定はなく、所期の抗体産生細胞が得られるかぎり、種類、大きさ、雌雄は問わない。通常はラット、マウス、ハムスターなどのげっ歯類が用いられ、後述する無限増殖可能な哺乳類由来の細胞との適合性も勘案しながら、最適のものが選択される。用いる哺乳動物の種類や大きさにも依るが、抗原の接種量は、通常、総接種量を約5乃至500μg/匹とし、これを約1乃至2週間の間隔を置いて2乃至5回に分けて接種する。そして、最終接種から3乃至5日後に脾臓を摘出し、分散して抗体産生細胞としての脾細胞を得る。
つぎに、斯くして得られた抗体産生細胞と無限増殖可能な哺乳類由来の細胞とを融合させて、目的のハイブリドーマを含む細胞融合産物を得る。無限増殖可能な哺乳類由来の細胞には、通常、P3−NS1−Ag4−1細胞(ATCC TIB18)、P3−X63−Ag8細胞(ATCC TIB9)及びSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)などのマウス骨髄腫由来の細胞株又はその変異株が用いられる。細胞融合は、例えば、ポリエチレングリコールやセンダイウイルスを始めとする融合促進剤や電気パルスによる慣用の方法が用いられ、一例を挙げると、融合促進剤を含む融合培地に抗体産生細胞と無限増殖可能な哺乳類由来の細胞を約1:1乃至1:10の割合で浮遊させ、この状態のまま、約30乃至40℃で約1乃至5分間インキュベートする。融合培地には、例えば、MEM培地、RPMI1640培地及びイスコフ改変ダルベコ培地を始めとする通常一般のものを用い得るが、ウシ血清などの血清類は除いておくのが望ましい。
目的のハイブリドーマを選択するには、まず、上記のようにして得た細胞融合産物をHAT培地などの選択用培地に移し、約30乃至40℃で約3日乃至3週間培養してハイブリドーマ以外の細胞を死滅させる。つぎに、ハイブリドーマを常法により培養し、培養物中に分泌された抗体につき、当該蛋白質との反応性を試験する。試験には、エンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ及びバイオアッセイなどの抗体を検出するための慣用の方法が用いられ、例えば、富山朔二・安東民衛編『単クローン抗体実験マニュアル』、1991年、講談社サイエンティフィク発行、第105乃至152頁にはそのための方法が種々詳述されている。当該蛋白質に特異的な抗体を産生するハイブリドーマは、限界希釈法などにより、直ちにクローニングされ、単一クローン化され、この発明に用いるハイブリドーマを得る。この発明において、斯かるハイブリドーマは、1種類以上、通常は2種類以上選択され、単一クローン化された後、以下の方法によりそれぞれからモノクローナル抗体が調製されて使用される。
この発明で用いるモノクローナル抗体は、斯かるハイブリドーマを生体内外で培養することにより得ることができる。培養には、哺乳類由来の細胞を培養するための慣用の方法が用いられ、例えば、生体外の培養培地で培養するときには、その培養物から、一方、ヒト以外の温血動物に移植して生体内で培養するときには、その腹水及び/又は血液からモノクローナル抗体を採取する。同じ出願人による特願平7−58240号明細書(特開平8−231598号公報)で開示されたハイブリドーマ『H−1』及び『H−2』はモノクローナル抗体の産生能が高く、しかも、生体内外における培養が容易であるという特徴がある。培養物又は腹水若しくは血液からモノクローナル抗体を採取するには、抗体一般を精製するための斯界における慣用の方法が用いられる。個々の方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、遠心分離、分別沈澱、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ゲル電気泳動及び等電点電気泳動が挙げられ、これらは必要に応じて組合せて適用される。精製したモノクローナル抗体は、その後、濃縮・乾燥し、用途に応じて液状又は固状とする。
この発明の自己免疫疾患診断剤は、上記のごときモノクローナル抗体を用いるものであり、通常、標識イムノアッセイに組み込んで用いられる。個々の標識イムノアッセイとしては、標識物質として酵素を用いるエンザイム・イムノアッセイ、標識物質として放射性物質を用いるラジオ・イムノアッセイ及び標識物質として蛍光物質を用いる蛍光イムノアッセイを挙げることができる。これら標識イムノアッセイは現在では種々の変法が開発されて慣用となっており、いずれの方法も適宜にこの発明に適用することができる。例えば、エンザイム・イムノアッセイに関しては、ピー・ティッセン著、石川栄治訳『エンザイムイムノアッセイ』、1989年、東京化学同人発行、196乃至348頁等にはそのための方法が種々詳述されている。
これらのうちで、一般にサンドイッチ法と総称される、固相化抗体と遊離抗体を用いた方法は、検出感度、再現性、操作の簡便性の点で優れている。サンドイッチ法を適用してこの発明の自己免疫疾患診断剤を得るには、まず、2種類の互いに異なるハイブリドーマに由来するが、いずれも当該蛋白質に特異的なモノクローナル抗体が上記のようにして準備される。当該第一のモノクローナル抗体は、適宜の不溶性支持体に常法により結合せしめられ固相化抗体とされる。一方、当該第二のモノクローナル抗体は遊離抗体として用いられ、酵素、放射性物質又は蛍光物質のいずれかで常法によって標識され標識抗体とされる。このとき、当該第二のモノクローナル抗体は、標識物質によりそれ自体が標識されていてもよいし、標識物質により特異的に認識されるべく標識されていてもよい。斯かる固相化抗体と被検試料を混合の後、洗浄液により洗浄し、さらにここに標識抗体を添加し混合の後同じく洗浄し、その標識に基づき検出すれば被検試料中の当該蛋白質を検出することができる。さらに、適宜既知濃度に希釈した標準抗原たる当該蛋白質溶液を同じく処理して検量線を作成しておけば、被検試料中の当該蛋白質含量を測定することができる。同じ出願人による特願平7−58240号明細書(特開平8−231598号公報)で開示されたモノクローナル抗体『H−1mAb』及び『H−2mAb』は、そのいずれか一方を固相化抗体とし、残る一方を標識抗体としてこのサンドイッチ法を適用する場合、当該蛋白質を感度よく、定量的に、しかも再現性よく検出できるという特徴がある。なお、ここで被検試料と固相化抗体又は標識抗体との混合の順序はいずれでもよく、いずれの場合にも良好な結果を与える。またこの発明の診断剤は、当該モノクローナル抗体の他、当該モノクローナル抗体を用いて当該蛋白質の検出を実施するに必要な試薬類、例えば、洗浄液、標識の検出のための試薬、標準抗原溶液及び/又は希釈液のそれぞれを、適宜の容器に適量封入して自己免疫疾患診断用キットとしてもよい。
この発明の診断剤は以上のように構成されているので、当該蛋白質に特異的に反応し、顕著な免疫反応を呈し、その免疫反応に基づき、被験者から採取した生物学的試料中のごく微量の当該蛋白質をも精度よく検出し、その含量を測定することができる。しかも、この発明の診断剤は、一度に多くの試料を分析できる上に、分析に要する時間と労力が少なくて済み、しかも分析が高精度であるという特徴がある。従って、この発明の診断剤は、自己免疫疾患に対する罹患の有無を正確かつ迅速に行うのに極めて有用である。
以下、この発明による診断方法について説明すると、適用した標識イムノアッセイの種類にもよるが、上述したサンドイッチ法の場合には、通常、まず上述の固相化抗体と生物学的試料を接触させるべくインキュベートする。界面活性剤を含む緩衝液等の洗浄液により洗浄した後、上述の標識抗体を加えさらにインキュベートする。同じく洗浄液により洗浄の後、標識抗体をその標識に基づいて検出する。一方これとは別途に、予め、標準抗原として適宜の濃度に希釈した当該蛋白質溶液にこの発明の診断剤を適用して検量線を作成しておく。この検量線に、先の標識抗体の検出結果を内挿又は外挿すれば、生物学的試料中の当該蛋白質含量が求められる。斯くして求められた測定結果に基づき、自己免疫疾患に対する罹患の有無を診断する。疾患の種類や、用いる生物学的試料の種類にもよるが、例えば、慢性関節リウマチや成人スチル病などの自己免疫疾患においては、生物学的試料として関節液や血清を用いた場合、通常、当該蛋白質含量が100乃至200pg/mlを越えた患者が当該疾患に罹患していると診断される。
生物学的試料としては、罹患時に当該蛋白質を正常時よりも多く含むものであればよく、通常、関節液、血清、尿、唾液、リンパ液、組織、汗及び糞便が用いられる。これらは必要に応じて、その可溶性画分を分離して用いてもよい。自己免疫疾患の種類にもよるが、例えば、慢性関節リウマチや成人スチル病の場合には関節液又は血清を用いるのが望ましい。
この発明の対象となる疾患は、自己免疫の関連する、いわゆる、自己免疫疾患全般を包含する。斯かる疾患の具体例としては、例えば、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、成人スチル病、膠原病、多発性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性進行性硬化症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、円盤状エリテマトーデス、強皮症、混合結合組織病、慢性甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、グッド・パスチャー症候群、潰瘍性大腸炎、ループス腎炎、自己免疫性胃炎、自己免疫性肝炎、血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、アレルギー性疾患等が挙げられる。成人スチル病や慢性関節リウマチに対しては格別の診断確度を発揮する。
以下、実施例に基づきこの発明を説明するが、斯界の技術水準においては、斯かる実施例は多種多様に改変可能である。斯かる技術水準に鑑み、この発明がこれら実施例のみに限定されるべきでないことは云うまでもない。
〈自己免疫疾患診断剤〉
〈実施例1−1:抗原としての当該蛋白質の調製〉
0.5ml容反応管に25mM塩化マグネシウムを8μl、10×PCR緩衝液を10μl、25mM dNTPミックスを1μl、2.5単位/μlアンプリタックDNAポリメラーゼを1μl、特願平7−262062号明細書(特開平8−193098号公報)に記載された方法にしたがって、ファージDNAクローンから調製した配列表における配列番号6に示す塩基配列を含む組換えDNAを1ng、5′−ATAGAATTCAAATGTACTTTGGCAAGCTTGAATC−3′で表される塩基配列のセンスプライマー及び5′−ATAAAGCTTCTAGTCTTCGTTTTGAAC−3′で表わされる塩基配列のアンチセンスプライマーの適量を加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法により、この混合物を94℃で1分間、43℃で1分間、72℃で1分間、この順序でインキュベートするサイクルを3回繰返した後、さらに、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で1分間、この順序でインキュベートするサイクルを40回繰返してPCR反応させた。ここで用いたセンスプライマー及びアンチセンスプライマーは、それぞれ配列表の配列番号6に併記したアミノ酸配列におけるN末端及びC末端付近のアミノ酸配列に基づき化学合成したものである。センスプライマーの塩基配列は、配列表の配列番号6に併記したアミノ酸配列におけるN末端部分をコードする塩基配列の5′末端側上流に介在配列なく蛋白質合成の開始コドンが付加され、さらにその上流にEco RI切断部位が付加された配列を有している。アンチセンスプライマーの塩基配列は、同じく配列番号6に併記したアミノ酸配列におけるC末端部分をコードする塩基配列の3′末端側下流に介在配列なく終止コドンが付加され、さらにその下流にHind III切断部位が付加された配列に完全に相補的な配列を有している。
ストラタジーン製『pCR−Script SK (+) クローニング・キット』を用い、添付の説明書に従って操作し、このPCR産物とプラスミドベクター『pCR−Script SK (+)』を連結して組換えDNAとし、これをコンピテントセル法によりストラタジーン製大腸菌株『XL−1 BlueMRF´Kan』に導入して形質転換した。形質転換体を50μg/mlアンピシリンを含むL−ブロス培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間振盪培養した後、培養物を遠心分離して形質転換体を採取し、通常のアルカリ−SDS法を適用して組換えDNAを単離した。ジデオキシ法により分析したところ、この組換えDNAは、配列表の配列番号6に示す塩基配列のDNAを含んでなり、その5′末端のすぐ上流に介在配列なく蛋白質合成の開始コドンが付加され、さらにその上流にEco RI切断部位が付加されていた。また、その3′末端のすぐ下流には介在配列なく終止コドンが付加され、さらにその下流にHindIII切断部位が付加されていた。この組換えDNAのコードするアミノ酸配列は、配列表における配列番号6に併記したアミノ酸配列のN末端に蛋白質合成の開始コドンによりコードされたメチオニンが付加された配列を有するものであった。
そこで、常法にしたがって残りの組換えDNAを制限酵素Eco RI及びHind IIIで切断後、宝酒造製DNAライゲーションキット『DNAライゲーション・キット・バージョン2』を使用して、得られたEco RI−Hind III DNA断片0.1μgと予め同じ制限酵素で切断しておいたファルマシア製プラスミドベクター『pKK223−3』10ngを16℃で30分間反応させて連結して複製可能な組換えDNA『pKGFHH2』を得た。コンピテントセル法により、この組換えDNA『pKGFHH2』で大腸菌Y1090株(ATCC37197)を形質転換し、得られた形質転換体『KGFHH2』を50μg/mlアンピシリンを含むL−ブロス培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間振盪培養した。培養物を遠心分離して形質転換体を採取し、その一部に通常のSDS−アルカリ法を適用して組換えDNA『pKGFHH2』を抽出した。ジデオキシ法により分析したところ、組換えDNA『pKGFHH2』においては、配列表における配列番号6に示す塩基配列を含む『KGFHH2cDNA』がTacプロモータの下流に連結されていた。
アンピシリン50μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.2)を無菌的に調製し、先に作製した形質転換体『KGFHH2』を接種し、振盪下、37℃で18時間種培養した。20l容ジャーファーメンタに新鮮な同一培地を18lとり、同様に滅菌し、37℃に冷却後、上記で得た種培養物を1%(v/v)接種し、同じ温度で8時間通気撹拌培養した。培養物を遠心分離して菌体を採取し、150mM塩化ナトリウム、16mM燐酸水素二ナトリウム及び4mM燐酸二水素ナトリウムを含む混液(pH7.3)に浮遊させ、超音波破砕後、遠心分離により菌体破砕物を除去し、上清を採取した。
この上清に氷冷下で硫酸アンモニウムを40%(w/v)まで加え、均一に溶解し、暫時静置し、遠心分離後、上清を採取した。この上清を1.5M硫酸アンモニウムを含む150mM燐酸緩衝液(pH6.6)に溶解し、この溶液を、予め1.5M硫酸アンモニウムを含む10mM燐酸緩衝液(pH6.6)により平衡化しておいたファルマシア製疎水クロマトグラフィー用ゲル『フェニル・セファロース』のカラムに負荷し、カラムを新鮮な同一緩衝液で洗浄後、1.5Mから0Mに下降する硫酸アンモニウムの濃度勾配下、10mM燐酸緩衝液(pH6.6)を通液した。
つぎに、硫酸アンモニウム濃度1.0M付近で溶出した画分を合一し、膜濃縮後、10mM燐酸緩衝液(pH6.5)に対して4℃で18時間透析し、予め10mM燐酸緩衝液(pH6.5)により平衡化しておいた東ソー製イオン交換クロマトグラフィー用ゲル『DEAE
5PW』のカラムに負荷し、カラムを新鮮な同一緩衝液で洗浄後、0Mから0.2Mに上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下、10mM燐酸緩衝液(pH6.5)を通液し、塩化ナトリウム濃度0.05M付近で溶出した画分を採取した。
その後、この画分を膜濃縮し、予め燐酸食塩緩衝液(以下、「PBS」と云う。)により平衡化しておいたファルマシア製ゲル濾過クロマトグラフィー用ゲル『スーパー・デックス75』のカラムに負荷し、新鮮なPBSを通液して溶出した分子量18,500ダルトン付近の画分を採取したところ、精製蛋白質を約5.2mg含む水溶液が得られた。全精製工程を通じての収率は約10%であった。
同じ出願人による特願平7−262062号明細書(特開平8−193098号公報)に記載した方法に準じて分析したところ、精製蛋白質は次のような理化学的性質を有していた。すなわち、非還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動すると、分子量18,500±3,000ダルトンに相当する位置にIFN−γ誘導能ある主たるバンドを示す一方、クロマトフォーカシングすると、4.9±1.0に等電点を示した。また、そのN末端は、配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列におけるN末端にメチオニンが結合したアミノ酸配列を有していた。
同じ出願人による特願平8−67434号明細書(特開平9−289896号公報)に記載した方法に準じてペプチド・マッピングをおこない、精製蛋白質由来の『ペプチド断片1』乃至『ペプチド断片3』のアミノ酸配列を分析した。ペプチド断片2のアミノ酸配列は、配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端にメチオニンが結合した配列を有していた。ペプチド断片1のアミノ酸配列は同じく配列番号2に示す配列を、ペプチド断片3のアミノ酸配列は同じく配列番号3及び4に示すアミノ酸配列を有していた。
〈実施例1−2:ハイブリドーマの調製〉
10週齢BALB/cマウスの腹腔内に実施例1−1の方法により得た精製蛋白質を完全フロイントアジュバントとともに20μg/匹の割合で注射接種した。その後、2週間おきに同一量を2回接種し、最後の接種から1週間後に同一量をさらに静脈注射し、3日後に脾臓を摘出し、分散して脾細胞を得た。
この脾細胞とマウス骨髄腫由来のSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)を37℃に予温しておいた血清無含有のRPMI1640培地(pH7.2)にそれぞれ細胞密度3×10個/ml及び1×10個/mlになるように浮遊させ、遠心分離後、沈澱部を採取した。この沈澱に平均分子量1,500ダルトンの50%(w/v)ポリエチレングリコールを含む血清無含有のRPMI1640培地(pH7.2)1mlを1分間かけて滴々加え、37℃で1分間インキュベートした後、全量が50mlになるまで血清無含有のRPMI1640培地(pH7.2)を滴々加え、遠心分離後、沈澱部を採取した。この沈澱をHAT培地に浮遊させ、96ウェルマイクロプレートに200μl/ウェルずつ分注し、37℃で1週間インキュベートした。
各ウェルにおける培養上清中に分泌された抗体につき、実施例1−1の方法により得た精製蛋白質との反応性をエンザイムイムノアッセイにより調べ、同精製蛋白質に反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを選別した。引続き、このハイブリドーマに常法にしたがって限界希釈を繰返し適用し、2つのハイブリドーマのクローン『H−1』及び『H−2』を得た。
〈実施例1−3:モノクローナル抗体の調製〉
実施例1−2の方法により得たハイブリドーマH−1及びH−2を、それぞれ細胞密度約1×10個/mlになるように5%(v/v)ウシ血清を補足したRPMI1640培地(pH7.2)に浮遊させ、培養規模を拡大しながら、5%COインキュベータ中、37℃で培養した。所期の細胞密度に達した時点でハイブリドーマH−1及びH−2それぞれを、予めプリスタンを0.5ml/匹腹腔内注射しておいた8週齢のBALB/cマウスの腹腔内に1×10個/匹注射接種し、通常の方法で1週間飼育した。
それぞれのマウスから腹水を採取し、PBSで3倍希釈した後、硫酸アンモニウムを50%飽和になるように加え、4℃で24時間静置し、遠心分離後、沈澱部を採取した。この沈澱を20mM燐酸二水素カリウム水溶液(pH6.7)に対して4℃で一晩透析した後、予め新鮮な同一水溶液で平衡化しておいたヒドロキシアパタイトカラムに負荷し、濃度が20mMから300mMに直線的に上昇する燐酸二水素カリウム水溶液(pH6.7)を通液したところ、モノクローナル抗体を含む水溶液が得られた。収量はいずれも、マウス1匹当たり、約5mgであった。常法にしたがって分析したところ、ハイブリドーマH−1から得たモノクローナル抗体『H−1mAb』はIgG1のクラスに属していた。また、ハイブリドーマH−2から得たモノクローナル抗体『H−2mAb』はIgMのクラスに属していた。
この実施例1−3で調製したモノクローナル抗体H−1mAb又はH−2mAbを用いて常法に従いウエスタン・ブロッティングを行った。発色は、西洋ワサビパーオキシダーゼで標識したウサギ由来の抗マウスIg抗体によった。被検試料には、実施例1−1の方法により調製した精製蛋白質及び組換え型ヒトインターロイキン12を用いた。分子量マーカには、ウシ血清アルブミン(67,000ダルトン)、オボアルブミン(45,000ダルトン)、カルボニックアンヒドラーゼ(30,000ダルトン)、トリプシンインヒビター(20,100ダルトン)及びα−ラクトアルブミン(14,400ダルトン)を用いた。その結果、いずれのモノクローナル抗体も精製蛋白質と特異的に免疫反応を呈し、ヒトインターロイキン12には全く反応しなかった。このことは、この実施例1−3で調製したモノクローナル抗体が、いずれも当該蛋白質に特異的に免疫反応を呈することを裏付けている。
〈実施例1−4:自己免疫疾患診断剤〉
この発明の自己免疫疾患診断剤の1例として、この実施例1−4では、実施例1−3の方法により調製した2つのモノクローナル抗体H−1mAb及びH−2mAbを用いてサンドイッチ法の一変法であるアビジン・ビオチン法により蛋白質を検出する自己免疫疾患診断剤を作製した。すなわち、常法にしたがって、実施例1−3の方法により調製したモノクローナル抗体H−1mAbをPBSに20μg/mlになるように溶解し、96ウェルマイクロプレートに100μl/ウェルずつ分注した。マイクロプレートを室温下で3時間インキュベートした後、抗体溶液を除き、1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSを200μl/ウェルずつ加え、4℃で一晩静置した。その後、マイクロプレートから当該PBSを除き、0.05%(v/v)ツイーン20を含むPBSで洗浄して固相化抗体とした。別途、実施例1−3の方法により調製した別のモノクローナル抗体H−2mAbを常法によりビオチン標識した標識抗体とした。以上の様にして、固相化抗体と標識抗体を組み合わせてなる自己免疫疾患診断剤を得た。
上記固相化抗体に、0.5%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSにより適宜の濃度に希釈した、実施例1−1の方法で調製した精製蛋白質溶液を100μl/ウェルずつ加え、振盪下、室温下で2時間反応させた。0.05%(v/v)ツイーン20を含むPBSで洗浄し、上記標識抗体を100μl/ウェルずつ加え、振盪しながら室温下で2時間反応させ、0.05%(v/v)ツイーン20を含むPBSで洗浄した後、西洋ワサビパーオキシダーゼとストレプトアビジンとの複合体を100μl/ウェルずつ加え、振盪しながら室温下でさらに2時間反応させた。0.05%(v/v)ツイーン20を含むPBSで洗浄後、標識抗体に結合している西洋ワサビパーオキシダーゼの活性をo−フェニレンジアミンを基質に波長492nmにおける吸光度として測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、この実施例1−4の自己免疫疾患診断剤は、少なくとも約100乃至5,000pg/mlの当該蛋白質を精度良く定量的に検出し得る。この結果から検量線を作成し、当該蛋白質含量未知の生物学的試料にこの診断剤を同様にして適用し、結果として得られた吸光度をこの検量線に内挿又は外挿すれば、斯かる生物学的試料中の当該蛋白質含量を測定することができる。したがって、この診断剤は、自己免疫疾患の診断に極めて有用である。なお、この診断剤を用いた当該蛋白質の検出にあたっての一連の操作に用いる試薬類の1種又は2種以上、すなわち、この実施例1−4で得た固相化抗体及び標識抗体の他、洗浄液、標準抗原としての当該精製蛋白質溶液、希釈液、西洋ワサビパーオキシダーゼ、ストレプトアビジン及び/又はo−フェニレンジアミンのそれぞれを適宜の容器に適量封入し、パッケージしてキット化することも容易である。
〈自己免疫疾患診断剤〉
実施例1−3の方法により調製したモノクローナル抗体H−1mAbを適量取り、PBSに10μg/mlになるように溶解し、96ウエルマイクロプレートに100μl/ウエルずつ分注し、室温下で3時間インキュベートした。ウエルから溶液を除去し、1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSを200μl/ウエルずつ加え、4℃で一晩静置し、当該PBSを除去して固相化抗体を得た。別途、実施例1−3の方法により調製した別のモノクローナル抗体H−2mAbを、佐内豊が『実験医学』、第6巻、925乃至931頁(1988年)に報告している過沃素酸酸化法により西洋ワサビパーオキシダーゼで標識し、予めPBSで平衡化させておいたファルマシア製『セファクリルS−300HR』を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより精製して標識抗体を得た。以上の様にして固相化抗体と標識抗体を組み合わせてなる自己免疫疾患診断剤を得た。
この自己免疫疾患診断剤の固相抗体に適宜の濃度に希釈した、実施例1−1の方法で調製した精製蛋白質を結合させ、洗浄の後、標識抗体をさらに結合させ洗浄して遊離の標識抗体を除去した。結合している標識抗体の西洋ワサビパーオキシダーゼの活性をo−フェニレンジアミンを基質に波長492nmにおける吸光度として測定したところ、実施例1−4の場合と同様に、この自己免疫疾患診断剤は少なくとも約100乃至5,000pg/mlの蛋白質を精度良く定量的に検出し得ることが確認された。したがって、この診断剤は、自己免疫疾患の診断に極めて有用である。なお、この診断剤を用いた当該蛋白質の検出にあたっての一連の操作に用いる試薬類の1種又は2種以上、すなわち、この実施例2で得た固相化抗体及び標識抗体の他、洗浄液、標準抗原としての当該精製蛋白質溶液、希釈液及び/又はo−フェニレンジアミンのそれぞれを適宜の容器に適量封入し、パッケージしてキット化することも容易である。
〈自己免疫疾患診断剤〉
実施例1−3の方法で調製したモノクローナル抗体H−1mAbを適量とり、PBSに10μg/mlになるように溶解した。溶液に住友ベークライト製ラジオイムノアッセイ用ポリスチレンビーズを約5個/mlの割合で加え、室温下で2時間静置してポリスチレンビーズにモノクローナル抗体を結合させた後、ポリスチレンビーズを1%(v/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSで繰り返し洗浄してラジオイムノアッセイ用の固相化抗体を得た。別途、実施例1−3の方法で調製した別のモノクローナル抗体H−2mAbをボルトン−ハンター法により放射性同位元素125Iで標識して標識抗体を得た。以上のようにして、固相化抗体及び標識抗体を組み合わせてなる自己免疫疾患診断剤を得た。
この自己免疫疾患診断剤の固相化抗体に適宜の濃度に希釈した、実施例1−1の方法で調製した精製蛋白質を結合させ、洗浄の後、標識抗体をさらに結合させ洗浄して遊離の標識抗体を除去した。結合している標識抗体の放射活性を測定したところ、この自己免疫疾患診断剤は少なくとも約50乃至1,000pg/mlの蛋白質を精度良く定量的に検出し得ることが確認された。したがって、この診断剤は、自己免疫疾患の診断に極めて有用である。なお、この診断剤を用いた当該蛋白質の検出にあたっての一連の操作に用いる試薬類の1種又は2種以上、すなわち、この実施例で得た固相化抗体及び標識抗体の他、洗浄液、標準抗原としての当該精製蛋白質溶液及び希釈液のそれぞれを適宜の容器に適量封入し、パッケージしてキット化することも容易である。
以下、この発明による自己免疫疾患診断剤を用いた診断方法の実施例について述べる。
〈自己免疫疾患の診断〉
関節の痛み及び/又は腫張による歩行困難を主訴して病院内科に来院した患者のうち、問診、触診、X線所見並びに関節液及び血清中のリウマチ因子及びC反応性蛋白質についての検査結果に基づいて、慢性関節リウマチ(RA)及び関節症(OA)と診断された患者計88名を対象として、この発明による自己免疫疾患診断剤を用いた診断を試行した。診断剤は実施例1−4で得た自己免疫疾患診断剤を用いた。生物学的試料として、先の検査時に採取し、保存しておいた関節液又は血清を用いた。関節液を検査した患者数は、慢性関節リウマチが32名及び関節症が28名であった。血清を検査した患者数は、慢性関節リウマチが16名及び関節症が12名であった。採取した関節液および血清を実施例1−4で示した方法に準じて処理し、それぞれの生物学的試料中の当該蛋白質含量を測定した。結果を図1に示す。
図1に示す結果から明らかなように、一部の例外はあるものの、代表的な自己免疫疾患である慢性関節リウマチ(RA)の患者から採取した生物学的試料は、類似する症状を示すが自己免疫疾患ではない関節症(OA)の場合と比較して全般的に当該蛋白質の含量が高い。そこで、関節症における当該蛋白質のレベルの最高値である150pg/mlを自己免疫疾患に対する罹患の有無を判断する基準にとり、本発明の診断剤のみによって診断したと仮定したときの確度を計算した。すなわち、先に自己免疫疾患である慢性関節リウマチと診断され、この発明の診断剤によってその生物学的試料が検査された患者のうちで、上記基準以上の当該蛋白質レベルを示した患者数の占める百分率を求め確度とした。その結果、生物学的試料として関節液を用いた場合の確度は約70%、血清を用いた場合の確度は約30%であった。
この確度は、生物学的試料を用いた、従来公知の自己免疫疾患の診断方法と比べて高いものであり、生物学的試料として関節液を用いる本発明の方法により、ほぼ誤りのない診断が可能なことを示している。さらに上記の結果は、本発明の方法が自己免疫疾患を的確かつ迅速に診断するのに有効であるのみならず、従来公知の、例えば、リウマチ因子に関する検査結果等と組合わせることにより、慢性関節リウマチを極めて確度よく診断できることを示している。一方、生物学的試料として血清を用いる場合の確度は、関節液の場合ほどではないものの、それ自体かなり高いと言えるものであり、また、血清の採取は比較的容易に行えることから、従来公知の検査方法の1種又は2種以上と組み合わせることにより、ほぼ誤りのない診断を極めて迅速に達成することができることを示している。なお、実施例2乃至3で得た自己免疫疾患診断剤も、いずれもこの実施例4における診断の場合と同様、確度よく用い得るものである。
〈自己免疫疾患の診断〉
全身的な関節の痛み及び/又は腫張を主訴して病院内科に来院した成人の患者のうち、問診、触診、検温、X線所見並びに血清中のフェリチン含量についての検査結果に基づいて、成人スチル病と診断された患者計6名を対象として、この発明による自己免疫疾患診断剤を用いた診断を試行した。診断剤は実施例2で得た自己免疫疾患診断剤を用いた。先の検査時に採取し、保存しておいた血清を生物学的試料とし、実施例2に記載の方法に準じて処理し、それぞれの当該蛋白質含量を測定した。当該蛋白質含量が検出限界を超える値を示した試料については、適宜希釈した後に同様に処理して測定した。一方、この実施例5においては、別途、アール・アンド・ディー・システムズ製のヒトIL−1βイムノアッセイ・キット及び、ヒトTNF−αイムノアッセイ・キットを用いて、添付のプロトコールにしたがって操作し、試料中のIL−1β及びTNF−α含量を測定した。また、対照として、健常な成人30名のボランティアから採取した血清を、患者の場合と同様に処理し、当該蛋白質、IL−1β及びTNF−αの含量を測定した。結果を表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、自己免疫疾患の一病態である成人スチル病患者の血清は、健常者に比べて著しく高い当該蛋白質の含量を示す。これに対し、IL−1βやTNF−αの血清中の含量は、成人スチル病患者と健常者との間に有意差は認められなかった。このことは、生物学的試料における当該蛋白質の含量の上昇と、自己免疫疾患への罹患との間に相関性があることを示すものであり、したがって、この発明による診断剤及び診断方法によれば自己免疫疾患を確度よく診断できることを示している。例えば、健常者の血清中の当該蛋白質の最高値を超える値である1,000pg/mlを基準に取り、実施例4の場合に準じて、本発明の診断剤のみによって診断したと仮定して確度を求めると、この実施例5における診断の確度は100%となる。
この確度は、従来公知の生物学的試料を用いた診断方法の場合と比較して著しく高く、本発明の方法により全く誤りのない自己免疫疾患の診断が可能なことを示すものである。さらに、この発明の診断方法による結果と、従来公知の、例えば、血清フェリチンに関する検査結果等とを組合わせることにより、極めて確度よく成人スチル病を診断することができる。なお、実施例1−4又は3で得た自己免疫疾患診断剤も、いずれもこの実施例5における診断の場合と同様、確度よく用い得るものである。
叙上のように、この発明の方法によれば、被験者から採取した生物学的試料に含まれる部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号1、2、3及び4に示すアミノ酸配列を含んでなり、かつ、免疫担当細胞においてインターフェロン−γの産生を誘導する蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出することができる。
この発明は、斯くも顕著な効果を発揮するものであり、斯界に貢献すること誠に多大な意義のある発明であるといえる。
この発明の自己免疫疾患診断剤による診断結果の一例を示す図である。

Claims (1)

  1. 部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号1、2、3及び4に示すアミノ酸配列を含んでなり、かつ、免疫担当細胞においてインターフェロン−γの産生を誘導する蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を被験者から採取した関節液及び血清から選ばれる生物学的試料とそのまま接触させるか、その生物学的試料を希釈した後に接触せしめる工程と、そのモノクローナル抗体と生物学的試料との抗原抗体反応に基づき約100乃至5,000pg/mlの当該蛋白質を定量的に検出する工程と、その検出した当該蛋白質のレベルと、前記被験者から採取した生物学的試料に対応する、健常者から採取した生物学的試料における当該蛋白質のレベルを比較する工程とを含むことを特徴とする、当該蛋白質レベルが健常者から採取した生物学的試料と比べ高値である生物学的試料を検出する方法。
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