JP2009046482A - アリールアミン化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高輝度で、耐熱性が高く、長寿命で、正孔輸送性が優れ高発光効率な有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子及びそれを実現する新規アリールアミン化合物を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つのスピロ結合を含有する特定構造の新規なアリールアミン化合物、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機EL素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物を含有する有機EL素子、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物と発光材料とを含有する有機EL素子、並びに該有機化合物層が、前記アリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性金属錯体及びホスト材料からなる発光層とを積層したものである有機EL素子である。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも1つのスピロ結合を含有する特定構造の新規なアリールアミン化合物、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機EL素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物を含有する有機EL素子、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物と発光材料とを含有する有機EL素子、並びに該有機化合物層が、前記アリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性金属錯体及びホスト材料からなる発光層とを積層したものである有機EL素子である。
【選択図】 なし
Description
本発明は新規アリールアミン化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に、高輝度で、耐熱性が高く、長寿命で、正孔輸送性が優れ高発光効率な有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを実現する新規アリールアミン化合物に関するものである。
有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、壁掛テレビの平面発光体やディスプレイのバックライト等の光源として使用され、盛んに開発が行われている。有機材料の電界発光現象は、1963年にポープ(Pope)らによってアントラセン単結晶で観測され(非特許文献1)、1965年にヘルフリッヒ(Helfinch)とシュナイダー(Schneider)は注入効率の良い溶液電極系を用いることにより比較的強い注入型ELの観測に成功している(非特許文献2)。それ以来報告されている様に、共役の有機ホスト物質と縮合ベンゼン環を持つ共役の有機活性化剤とで有機発光性物質を形成した研究が行われ、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ピセン、カルバゾール、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレンオキサイド、ジハロビフェニル、トランスースチルベン及び1,4−ジフェニルブタジエン等が有機ホスト物質の例として示され、アントラセン、テトラセン及びペンタセン等が活性化剤の例として挙げられた。しかしこれらの有機発光性物質はいずれも1μmを越える厚さを持つ単一層として存在し、発光には高電界が必要であった。このため、真空蒸着法による薄膜素子の研究が進められた(例えば、非特許文献3)。しかし、薄膜化は駆動電圧の低減には有効であったが、実用レベルの高輝度の素子を得るには至らなかった。そこでタン(Tang)らは、陽極と陰極との間に2つの極めて薄い膜(正孔輸送層と発光層)を真空蒸着で積層したEL素子を考案し、低い駆動電圧で高輝度を実現した(非特許文献4もしくは特許文献1)。その後、正孔輸送層と発光層に用いる有機化合物の開発が十数年間進められた結果、実用化レベルの寿命と発光効率が達成された。その結果、有機EL素子は、カーステレオ、携帯電話の表示部などから実用化が開始されている。
しかしながら、実用面において、発光輝度、長時間使用に対する経時劣化の耐久性などが十分ではなく、さらなる向上が求められている。特に、フルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合には、R、G、Bの各色に対して、300cd/m2 以上の高輝度で数千時間以上の半減寿命を到達することが求められている。これを実現するのが特に困難なのは、りん光型発光であり、発光層のエネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、正孔輸送層と発光層の間にある正孔注入の際のエネルギー障壁が大きいため、界面に印加される電界強度は大きく、従来の正孔輸送層では安定に正孔注入ができず改良が求められていた。また、有機EL素子を車に搭載することを前提とした場合、高温保存性能が必要であるが、100℃以上の高温保存性能に問題があることが指摘されている。この際も従来の正孔輸送層においてはガラス転移温度が低いことが指摘されており、これを100℃以上に改良することのみで対応しようとしたが、不十分であり高温における良好な保存性能は未だ実現していなかった。
このような問題を解決するため、種々の発明がなされており、例えば、特許文献2に下記一般式(A)で示される化合物を正孔輸送材料として用いた発光素子が開示されている。
このような問題を解決するため、種々の発明がなされており、例えば、特許文献2に下記一般式(A)で示される化合物を正孔輸送材料として用いた発光素子が開示されている。
しかし、この化合物は、ガラス転移温度が100℃以下でありこれを用いた素子は短寿命であり、耐熱性がなく実用化することはできなかった。また、これを改良するためR12〜R15をアリール基に代えた化合物が知られているが、難溶性のため高純度化が難しく、長寿命素子用の材料として用いるには問題となっていた。
また、特許文献3に下記一般式(B)で示されるものを正孔輸送材料として用いた発光素子が開示されている。
これらの化合物はフルオレン基が導入されているものの、未だガラス転移温度が低く改良が求められていた。さらに末端のフルオレン基は平面性が高いため、積層構成の際に他の層の化合物と相互作用(エキサイプレックス、電荷移動錯体等)が有り、素子の発光効率が低下するという問題があった。
本発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、高輝度で、耐熱性が高く、長寿命で、正孔輸送性が優れ高発光効率な有機EL素子及びそれを実現する新規アリールアミン化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも1つのスピロ結合を含有する特定構造のアリールアミン化合物を用いることにより、ガラス転移温度が高いため耐熱性が高く、長寿命で、しかも特定のスピロ結合を含有することにより、分子の平面性が低くなるため、立体障害が大きくなり会合しにくいため、正孔輸送性が優れ高発光効率な有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を提供するものである。
[式中、Xは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40の複素環基であり、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40の複素環基である。ただし、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4のうちの少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基である。また、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接するもの同士で結合して飽和又は不飽和の環を形成してもよい。pは0〜2の整数である。]
また、本発明は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機EL素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物を含有する有機EL素子、該有機化合物層の少なくとも1層が、前記アリールアミン化合物と発光材料とを含有する有機EL素子、並びに該有機化合物層が、前記アリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性金属錯体及びホスト材料からなる発光層とを積層したものである有機EL素子を提供するものである。
本発明の新規アリールアミン化合物を用いた有機EL素子は、高輝度で、耐熱性が高く、長寿命で、正孔輸送性が優れ高発光効率である。このため、本発明の有機EL素子は、壁掛テレビの平面発光体やディスプレイのバックライト等の光源として有用である。
本発明のアリールアミン化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
一般式(1)中、Xは、置換もしくは無置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40の複素環基である。
Xの芳香族炭化水素基の例としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、フルオレン、ピレン、スピロビフルオレン又はスチルベンの1価、2価又は3価の残基等が挙げられ、ベンゼンやナフタレン、フルオレン、ピレン等の縮合芳香族環残基が好ましい。
Xの複素環基の例としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチフフェン、フルオレノン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はベンゾイミダゾールの1価、2価又は3価の残基等が挙げられ、カルバゾール、ベンゾイミダゾール等の残基が好ましい。
これらの基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基、プロピルフェニル基等のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基等の置換アミノ基、フェニル基、トルイル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基等のアリール基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、キノリル基、カルバゾリル基等の複素環基などが挙げられる。
Xの複素環基の例としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチフフェン、フルオレノン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はベンゾイミダゾールの1価、2価又は3価の残基等が挙げられ、カルバゾール、ベンゾイミダゾール等の残基が好ましい。
これらの基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基、プロピルフェニル基等のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基等の置換アミノ基、フェニル基、トルイル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基等のアリール基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、キノリル基、カルバゾリル基等の複素環基などが挙げられる。
一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40の複素環基である。
ただし、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4のうちの少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基であり、2〜4つが下記一般式(2)で表される基であると好ましい。
また、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接するもの同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
Ar1〜Ar4のアリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基、スピロビフルオレニル基、スチルベニル基等が挙げられ、フェニル基やナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基等の縮合多環芳香族基が好ましい。
ただし、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4のうちの少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基であり、2〜4つが下記一般式(2)で表される基であると好ましい。
また、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、隣接するもの同士で飽和又は不飽和の環を形成してもよい。
Ar1〜Ar4のアリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基、スピロビフルオレニル基、スチルベニル基等が挙げられ、フェニル基やナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基等の縮合多環芳香族基が好ましい。
Ar1〜Ar4の複素環基の例としては、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチフフェニル基、フルオレノニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾール基、ベンゾイミダゾール基等が挙げられ、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾール基等が好ましい。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
また、本発明のアリールアミン化合物は、一般式(1)において、Ar1〜Ar4のうち少なくとも2つが、炭素数10以上の芳香族炭化水素であることが好ましく、Ar1 〜Ar4 のうち少なくとも2つが、置換もしくは無置換のビフェニル基、又はAr1 〜Ar4のうち少なくとも1つがジアリールアミノ基で置換されているものがさらに好ましい。
pは0〜2の整数である。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
また、本発明のアリールアミン化合物は、一般式(1)において、Ar1〜Ar4のうち少なくとも2つが、炭素数10以上の芳香族炭化水素であることが好ましく、Ar1 〜Ar4 のうち少なくとも2つが、置換もしくは無置換のビフェニル基、又はAr1 〜Ar4のうち少なくとも1つがジアリールアミノ基で置換されているものがさらに好ましい。
pは0〜2の整数である。
R1及びR2の置換もしくは無置換のアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基等が挙げられる。
R1及びR2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
R1及びR2のアリール基及び複素環基の例としては、前記Ar1〜Ar4で説明したものと同様のものが挙げられる。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
R1とR2は互いに結合して環を形成してもよい。
R1及びR2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
R1及びR2のアリール基及び複素環基の例としては、前記Ar1〜Ar4で説明したものと同様のものが挙げられる。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
R1とR2は互いに結合して環を形成してもよい。
R3は環状構造を形成する原子団を示し、例えば、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基等のアルキレン基、及びこれらのアルキレン基の炭素原子の少なくとも1つが窒素原子又は酸素原子等に置き換わりヘテロ環を形成する基等が挙げられ、置換基を有していてもよく、さらに、置換基同士で結合して飽和又は不飽和の環を形成してもよい。置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
一般式(2)で表される基の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
一般式(2)で表される基の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
一般式(2)中、Ar5は、単結合、置換もしくは無置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の炭素数5〜40の複素環基からなる2価の基である。
Ar5の芳香族炭化水素基の例としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、フルオレン、ピレン、スピロビフルオレン又はスチルベンの2価の残基である。
Ar5の複素環基の例としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチフフェン、フルオレノン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はベンゾイミダゾールの2価の残基である。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
Ar5の芳香族炭化水素基の例としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、フルオレン、ピレン、スピロビフルオレン又はスチルベンの2価の残基である。
Ar5の複素環基の例としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチフフェン、フルオレノン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はベンゾイミダゾールの2価の残基である。
これらの基の置換基としては、前記Xで説明したものと同様のものが挙げられる。
一般式(2)中、Lは、単結合、−O−、−S−、−NR4−又は−CR5R6−(R4 、R5及びR6 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基である。)である。
R4 、R5及びR6 のアルキル基、アリール基及びこれらの置換基の具体例としては、前記R1及びR2で説明したものと同様のものが挙げられる。
s、q及びrは、それぞれ0〜2の整数である。
R4 、R5及びR6 のアルキル基、アリール基及びこれらの置換基の具体例としては、前記R1及びR2で説明したものと同様のものが挙げられる。
s、q及びrは、それぞれ0〜2の整数である。
本発明の一般式(1)で表わされるアリールアミン化合物は、例えば、対応するヨード体とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応は触媒存在下で行なうことが好ましく、触媒としては金属触媒、例えば銅触媒が挙げられる。
本発明のアリールアミン化合物の製造方法の例としては、以下のような経路が挙げられる。すなわち、下記一般式(3)
I−X−I (3)
(式中、Xは前記と同じ。)で表わされるヨード体と、下記一般式(4)、もしくは一般式(4)及び(5)
(式中、Ar1〜Ar4は前記と同じ。)で表わされるアミン化合物とを反応させ、一般式(1)で表わされるアリールアミン化合物を得るものである。
本発明のアリールアミン化合物の製造方法の例としては、以下のような経路が挙げられる。すなわち、下記一般式(3)
I−X−I (3)
(式中、Xは前記と同じ。)で表わされるヨード体と、下記一般式(4)、もしくは一般式(4)及び(5)
本発明のアリールアミン化合物は、有機EL素子用材料として有用であり、特に、正孔輸送材料として用いると好ましい。
以下、本発明の有機EL素子の素子構成について説明する。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機EL素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、本発明の前記アリールアミン化合物を含有する。
以下、本発明の有機EL素子の素子構成について説明する。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機EL素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、本発明の前記アリールアミン化合物を含有する。
本発明のアリールアミン化合物を、有機化合物層の少なくとも一層に含有させると、有機EL素子の輝度、耐熱性、寿命、発光効率が向上するのは、アリールアミン化合物が、正孔輸送性に優れ、安定に正孔注入ができる上、ガラス転移点が高く、スピロ結合を有するため分子の平面性が低くなるため、立体障害が大きくなり、発光材料と相互作用しにくく、相互作用により生じる無輻射遷位が避けられるからである。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間に単層もしくは多層の有機化合物層を形成した素子である。単層型の場合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるために、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有しても良い。発光材料は、極めて高い蛍光量子効率、高い正孔輸送能力及び電子輸送能力を併せ持ち、均一な薄膜を形成することが好ましい。多層型の有機EL素子としては、(陽極/正孔注入層(正孔輸送層)/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層(正孔輸送層)/発光層/電子注入層/陰極)等が挙げられる。
本発明においては、前記発光層が、本発明のアリールアミン化合物を含有すると好ましく、また、前記有機化合物層が正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が本発明のアリールアミン化合物を含有すると好ましい。
本発明においては、前記発光層が、本発明のアリールアミン化合物を含有すると好ましく、また、前記有機化合物層が正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が本発明のアリールアミン化合物を含有すると好ましい。
本発明のアリールアミン化合物の好ましい使用法としては、発光層、電子注入層、正孔輸送層又は正孔注入層のいずれかの層に、濃度0.5〜100重量%で添加する。さらに好ましくは、濃度50〜100重量%である。有機EL素子は、多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができる。必要があれば、発光材料、他のドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を組み合わせて使用することができる。また、他のドーピング材料により、発光輝度や発光効率の向上、赤色や白色の発光を得ることもできる。また、正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されていても良い。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機化合物層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
本発明の有機EL素子は、前記有機化合物層の少なくとも1層が、本発明のアリールアミン化合物と発光材料とを含有すると好ましい。
本発明のアリールアミン化合物と共に有機化合物層に使用できる発光材料としては、縮合多環芳香族が挙げられ、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、ルブレン及びそれらの誘導体がある。さらに、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のアリールアミン化合物と共に有機化合物層に使用できる発光材料としては、縮合多環芳香族が挙げられ、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、ルブレン及びそれらの誘導体がある。さらに、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の有機EL素子は、前記有機化合物層が、本発明のアリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性金属錯体及びホスト材料からなる発光層とを積層したものであっても好ましい。
燐光発光性金属錯体としては、
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
燐光発光性金属錯体としては、
ホスト材料としては、縮合多環芳香族が挙げられ、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、ルブレン及びそれらの誘導体がある。さらに、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記発光層には、必要に応じて、本発明のアリールアミン化合物に加えてさらなる公知の発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を使用することもできる。
前記発光材料としては、前記したものが挙げられる。
前記ドーピング材料としては、ペリレン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、スチルベン誘導体、トリスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体など公知の蛍光色素を用いることができる。これらのうちで好ましい蛍光色素としてはジスチリルアリーレン誘導体を挙げることができる。さらに好ましくは、アリールアミノ置換ジスチリルアリーレン誘導体などのスチリルアミン化合物を挙げることができる。また、ドーパントとして、アリールアミン化合物も好ましく用いることができる。
前記発光材料としては、前記したものが挙げられる。
前記ドーピング材料としては、ペリレン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、スチルベン誘導体、トリスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体など公知の蛍光色素を用いることができる。これらのうちで好ましい蛍光色素としてはジスチリルアリーレン誘導体を挙げることができる。さらに好ましくは、アリールアミノ置換ジスチリルアリーレン誘導体などのスチリルアミン化合物を挙げることができる。また、ドーパントとして、アリールアミン化合物も好ましく用いることができる。
前記正孔注入材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例は、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N,N',N'−(4−メチルフェニル)−1,1'−フェニル−4,4'−ジアミン、N,N,N',N'−(4−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジナフチル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N'−(メチルフェニル)−N,N'−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、もしくはこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、H2 Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2 SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体でがあるが、これらに限定されるものではない。
前記電子注入材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより電荷注入性を向上させることもできる。
これらの正孔注入材料の中で、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−( 4"−ビフェニル) 1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) ]ベンゼン、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) −4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−( 4"−ビフェニル) −1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルチアジアゾリル) ]ベンゼン、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−( 4"−ビフェニル) −1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルトリアゾリル) ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、発光層と電極との間に無機化合物層を電荷注入性向上のために設けてもよい。このような無機化合物層としては、アルカリ金属化合物(フッ化物、酸化物など)、アルカリ土類金属化合物などがあり、具体的にはLiF、Li2 O、RaO、SrO、BaF2 、SrF2 などが挙げられる。
本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。
本発明の有機EL素子の陰極に使用される導電性材料としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、例えば、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられる。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていても良い。
本発明の有機EL素子の陰極に使用される導電性材料としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、例えば、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられる。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていても良い。
本発明の有機EL素子において、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板や透明性樹脂フィルムが挙げられる。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
本発明の有機EL素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nmから10μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がさらに好ましい。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解又は分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであっても良い。また、いずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用しても良い。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂を挙げられる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等を挙げられる。
本発明の有機EL素子は、例えば壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
本発明の有機EL素子は、例えば壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
合成例1(中間体(A)の合成)
アルゴン雰囲気下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに2−ブロモフルオレン 100g(東京化成社製)、ジメチルスルフォキシド(DMSO) 200ミリリットル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.9g(和光純薬社製)及び50重量%の水酸化ナトリウム水溶液130gを入れた。
この反応容器を水浴中に入れ、攪拌しながら1,5−ジブロモペンタン 88.1g(和光純薬社製)を加えた。
5時間反応後2000ミリリットルの水を加え、トルエン1000ミリリットルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去し、目的物である111gのオイルを得た(収率91%)。
合成例1(中間体(A)の合成)
アルゴン雰囲気下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに2−ブロモフルオレン 100g(東京化成社製)、ジメチルスルフォキシド(DMSO) 200ミリリットル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.9g(和光純薬社製)及び50重量%の水酸化ナトリウム水溶液130gを入れた。
この反応容器を水浴中に入れ、攪拌しながら1,5−ジブロモペンタン 88.1g(和光純薬社製)を加えた。
5時間反応後2000ミリリットルの水を加え、トルエン1000ミリリットルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去し、目的物である111gのオイルを得た(収率91%)。
合成例2(中間体(B)の合成)
合成例1において、1,5−ジブロモペンタンの代わりに1,6−ジブロモヘキサン 93.5g(和光純薬社製)を用いた以外は同様にして反応を行い、目的物である97gのオイルを得た(収率76%)。
合成例1において、1,5−ジブロモペンタンの代わりに1,6−ジブロモヘキサン 93.5g(和光純薬社製)を用いた以外は同様にして反応を行い、目的物である97gのオイルを得た(収率76%)。
実施例1(化合物(HT−01)の合成)
アルゴン気流下、中間体(B)1.2g、N,N’−ジ(ナフチル−2−イル)−1,4−フェニレンジアミン 0.60g(関東化学社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.74gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS(フィールドディソープションマススペクトル)分析により、C62H52N2=824に対し、m/z=825の主ピークが得られたので、化合物(HT−01)と同定した(収率54%)。また、ガラス転移温度は118℃であった。
アルゴン気流下、中間体(B)1.2g、N,N’−ジ(ナフチル−2−イル)−1,4−フェニレンジアミン 0.60g(関東化学社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.74gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS(フィールドディソープションマススペクトル)分析により、C62H52N2=824に対し、m/z=825の主ピークが得られたので、化合物(HT−01)と同定した(収率54%)。また、ガラス転移温度は118℃であった。
実施例2(化合物(HT−02)の合成)
アルゴン気流下、中間体(A)1.2g、N,N’−ジ(ナフチル−2−イル)−1,4−フェニレンジアミン 0.60g(関東化学社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.87g の淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C60H48N2=796に対し、m/z=797の主ピークが得られたので、化合物(HT−02)と同定した(収率66%)。また、ガラス転移温度は117℃であった。
アルゴン気流下、中間体(A)1.2g、N,N’−ジ(ナフチル−2−イル)−1,4−フェニレンジアミン 0.60g(関東化学社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.87g の淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C60H48N2=796に対し、m/z=797の主ピークが得られたので、化合物(HT−02)と同定した(収率66%)。また、ガラス転移温度は117℃であった。
実施例3(化合物(HT−03)の合成)
アルゴン気流下、中間体(B)1.3g、N,N−ジフェニル4,4’−ベンジジン 0.56g(和光純薬社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.96gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C60H52N2=800に対し、m/z=801の主ピークが得られたので、化合物(HT−03)と同定した(収率72%)。また、ガラス転移温度は124℃であった。
アルゴン気流下、中間体(B)1.3g、N,N−ジフェニル4,4’−ベンジジン 0.56g(和光純薬社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.96gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C60H52N2=800に対し、m/z=801の主ピークが得られたので、化合物(HT−03)と同定した(収率72%)。また、ガラス転移温度は124℃であった。
実施例4(化合物(HT−04)の合成)
アルゴン気流下、中間体(A)1.2g、N,N−ジフェニル4,4’−ベンジジン 0.56g(和光純薬社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.94gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C58H48N2=772に対し、m/z=772の主ピークが得られたので、化合物(HT−04)と同定した(収率73%)。また、ガラス転移温度は124℃であった。
アルゴン気流下、中間体(A)1.2g、N,N−ジフェニル4,4’−ベンジジン 0.56g(和光純薬社製)、t−ブトキシナトリウム1.2g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.3g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.94gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C58H48N2=772に対し、m/z=772の主ピークが得られたので、化合物(HT−04)と同定した(収率73%)。また、ガラス転移温度は124℃であった。
実施例5(HT−05の合成)
アルゴン気流下、中間体(B)2.6g、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニレン0.43g(ランカスター社製)、t−ブトキシナトリウム2.0g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.6g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.71gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C90H80N2=1188に対し、m/z=1189の主ピークが得られたので、化合物(HT−05)と同定した(収率36%)。また、ガラス転移温度は131℃であった。
アルゴン気流下、中間体(B)2.6g、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニレン0.43g(ランカスター社製)、t−ブトキシナトリウム2.0g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.6g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.71gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C90H80N2=1188に対し、m/z=1189の主ピークが得られたので、化合物(HT−05)と同定した(収率36%)。また、ガラス転移温度は131℃であった。
実施例6(HT−06の合成)
アルゴン気流下、中間体(A)2.4g、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニレン 0.43g(ランカスター社製)、t−ブトキシナトリウム2.0g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.6g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.77gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C86H72N2=1132に対し、m/z=1133の主ピークが得られたので、化合物(HT−06)と同定した(収率41%)。また、ガラス転移温度は132℃であった。
アルゴン気流下、中間体(A)2.4g、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニレン 0.43g(ランカスター社製)、t−ブトキシナトリウム2.0g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.6g(東京化成社製)及びキシレン 300ミリリットルを入れ、130℃にて24時間反応した。
冷却後、水 500ミリリットルを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、0.77gの淡黄色粉末が得られた。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C86H72N2=1132に対し、m/z=1133の主ピークが得られたので、化合物(HT−06)と同定した(収率41%)。また、ガラス転移温度は132℃であった。
合成例3(N,N−ジ−(4−ビフェニリル)ベンズアミドの合成)
100ミリリットルの三つ口フラスコに4−ブロモビフェニル 10.0g(東京化成社品)、ベンズアミド 2.31g(東京化成社製)、ヨウ化第一銅 0.36g(関東化学社製)、無水炭酸カリウム5.8g(関東化学社製)を入れた。さらに、攪拌子を入れ、フラスコの両側にラバーキャップをセットし、中央の口に還流用蛇管、その上に三方コックとアルゴンガスを封入した風船をセットし、系内を真空ポンプを用いて3回、風船内のアルゴンガスで置換した。
次に、ジエチルベンゼン50ミリリットルをシリンジでラバーセプタムを通して加え、フラスコをオイルバスにセットし、溶液を攪拌しながら徐々に200℃まで昇温した。6時間後、オイルバスからフラスコを外し反応を終了させ、アルゴン雰囲気下、12時間放置した。
反応溶液を分液ロートに移し、ジクロロメタン 100ミリリットルを加えて沈殿物を溶解させ、飽和食塩水60ミリリットルで洗浄後、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥した。炭酸カリウムを濾別して得られた有機層の溶媒を留去し、得られた残渣にトルエン 200ミリリットル、エタノール40ミリリットルを加え、乾燥管を付けて80℃に加熱し、残渣を完全に溶解した。その後、12時間放置し、室温まで除冷することにより再結晶化させた。
析出した結晶を濾別し、60℃で真空乾燥することにより7.22gのN,N−ジ−(4−ビフェニリル)ベンズアミドを得た。
100ミリリットルの三つ口フラスコに4−ブロモビフェニル 10.0g(東京化成社品)、ベンズアミド 2.31g(東京化成社製)、ヨウ化第一銅 0.36g(関東化学社製)、無水炭酸カリウム5.8g(関東化学社製)を入れた。さらに、攪拌子を入れ、フラスコの両側にラバーキャップをセットし、中央の口に還流用蛇管、その上に三方コックとアルゴンガスを封入した風船をセットし、系内を真空ポンプを用いて3回、風船内のアルゴンガスで置換した。
次に、ジエチルベンゼン50ミリリットルをシリンジでラバーセプタムを通して加え、フラスコをオイルバスにセットし、溶液を攪拌しながら徐々に200℃まで昇温した。6時間後、オイルバスからフラスコを外し反応を終了させ、アルゴン雰囲気下、12時間放置した。
反応溶液を分液ロートに移し、ジクロロメタン 100ミリリットルを加えて沈殿物を溶解させ、飽和食塩水60ミリリットルで洗浄後、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥した。炭酸カリウムを濾別して得られた有機層の溶媒を留去し、得られた残渣にトルエン 200ミリリットル、エタノール40ミリリットルを加え、乾燥管を付けて80℃に加熱し、残渣を完全に溶解した。その後、12時間放置し、室温まで除冷することにより再結晶化させた。
析出した結晶を濾別し、60℃で真空乾燥することにより7.22gのN,N−ジ−(4−ビフェニリル)ベンズアミドを得た。
合成例4(中間体(C)の合成)
アルゴン雰囲気下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに2−ブロモフルオレン100g(東京化成社製)、DMSO 200ミリリットル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.9g(和光純薬社製)及び50重量%の水酸化ナトリウム水溶液130gを入れた。
この反応容器を水浴中に入れ、攪拌しながら1,2−ジベンジルブロマイド108g(和光純薬社製)を加えた。
5時間反応後2000ミリリットルの水を加え、トルエン1000ミリリットルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去し、目的物である105gのオイルを得た(収率74%)。
アルゴン雰囲気下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに2−ブロモフルオレン100g(東京化成社製)、DMSO 200ミリリットル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.9g(和光純薬社製)及び50重量%の水酸化ナトリウム水溶液130gを入れた。
この反応容器を水浴中に入れ、攪拌しながら1,2−ジベンジルブロマイド108g(和光純薬社製)を加えた。
5時間反応後2000ミリリットルの水を加え、トルエン1000ミリリットルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒留去し、目的物である105gのオイルを得た(収率74%)。
実施例7(化合物(HT−07)の合成)
50ミリリットルの二口フラスコに、N,N−ジ−(4−ビフェニリル)ベンズアミド 1.00g、中間体(C) 1.00g、ヨウ化第一銅0.021g、水酸化カリウム0.51gをそれぞれ入れ、ひとつの側口にラバーキャップを装着し、中央に還流用蛇管、その上に三方コックとアルゴンガスを封入した風船をセットし、系内を真空ポンプを用いて3回風船内のアルゴンガスで置換した。
次に、キシレン20ミリリットルをシリンジでラバーセプタムを通して加え、フラスコをオイルバスにセットし、溶液を攪拌しながら140℃まで徐々に昇温した。6時間、140℃で攪拌後、オイルバスからフラスコを外し、12時間室温で放置した。
析出した沈殿物をジクロロメタン50ミリリットルで完全に溶解して分液ロートに移した後、飽和食塩水50ミリリットルで洗浄後、分別した有機層を無水炭酸カリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、得られた残渣にトルエン150ミリリットル、エタノール50ミリリットルを加え、乾燥管に装着して80℃まで加熱し、沈殿物を溶解させた後、室温まで除冷した。次に沈殿物を濾別し、少量のトルエン、エタノールで洗浄後、真空乾燥機を用いて60℃で3時間乾燥して0.72gの黄色粉末を得た。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C45H33N=587に対し、m/z=587の主ピークが得られたので、化合物(HT−07)と同定した(収率52%)。また、ガラス転移温度は116℃であった。
50ミリリットルの二口フラスコに、N,N−ジ−(4−ビフェニリル)ベンズアミド 1.00g、中間体(C) 1.00g、ヨウ化第一銅0.021g、水酸化カリウム0.51gをそれぞれ入れ、ひとつの側口にラバーキャップを装着し、中央に還流用蛇管、その上に三方コックとアルゴンガスを封入した風船をセットし、系内を真空ポンプを用いて3回風船内のアルゴンガスで置換した。
次に、キシレン20ミリリットルをシリンジでラバーセプタムを通して加え、フラスコをオイルバスにセットし、溶液を攪拌しながら140℃まで徐々に昇温した。6時間、140℃で攪拌後、オイルバスからフラスコを外し、12時間室温で放置した。
析出した沈殿物をジクロロメタン50ミリリットルで完全に溶解して分液ロートに移した後、飽和食塩水50ミリリットルで洗浄後、分別した有機層を無水炭酸カリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、得られた残渣にトルエン150ミリリットル、エタノール50ミリリットルを加え、乾燥管に装着して80℃まで加熱し、沈殿物を溶解させた後、室温まで除冷した。次に沈殿物を濾別し、少量のトルエン、エタノールで洗浄後、真空乾燥機を用いて60℃で3時間乾燥して0.72gの黄色粉末を得た。
得られた粉末は、FD−MS分析により、C45H33N=587に対し、m/z=587の主ピークが得られたので、化合物(HT−07)と同定した(収率52%)。また、ガラス転移温度は116℃であった。
実施例8(有機EL素子の作製及び評価)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚60nmの下記化合物H232を成膜した。このH232膜は、正孔注入層として機能する。次に、H232膜上に膜厚20nmの上記化合物(HT−01)層を成膜した。この膜は正孔輸送層として機能する。
さらに、膜厚40nmの下記化合物EM1をホスト材料として蒸着し成膜した。同時に発光性ドーパントとして、下記のスチリル基を有するアミン化合物D1を、EM1とD1の重量比が40:2になるように蒸着した。この膜は、発光層として機能する。
この膜上に膜厚20nmの下記化合物Alq膜を成膜した。これは、電子注入層として機能する。さらに電子注入層(又は陰極)としてLiF膜(膜厚1nm)を形成した。このLiF膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を作製した
この素子について通電試験を行ったところ、直流電圧6Vで発光輝度153nit
、最大発光輝度50,000nit、発光効率4.8cd/Aの青色発光が得られた。また、耐熱保存試験として、105℃の環境で500時間保存した。試験前と同様に直流電圧6Vを印加したところ、初期の輝度に対し98%の輝度(輝度保持率98%)を示した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚60nmの下記化合物H232を成膜した。このH232膜は、正孔注入層として機能する。次に、H232膜上に膜厚20nmの上記化合物(HT−01)層を成膜した。この膜は正孔輸送層として機能する。
さらに、膜厚40nmの下記化合物EM1をホスト材料として蒸着し成膜した。同時に発光性ドーパントとして、下記のスチリル基を有するアミン化合物D1を、EM1とD1の重量比が40:2になるように蒸着した。この膜は、発光層として機能する。
この膜上に膜厚20nmの下記化合物Alq膜を成膜した。これは、電子注入層として機能する。さらに電子注入層(又は陰極)としてLiF膜(膜厚1nm)を形成した。このLiF膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を作製した
この素子について通電試験を行ったところ、直流電圧6Vで発光輝度153nit
、最大発光輝度50,000nit、発光効率4.8cd/Aの青色発光が得られた。また、耐熱保存試験として、105℃の環境で500時間保存した。試験前と同様に直流電圧6Vを印加したところ、初期の輝度に対し98%の輝度(輝度保持率98%)を示した。
実施例9〜13(有機EL素子の作製及び評価)
実施例8において、化合物(HT−01)の代わりに表1に示す化合物を使用したことを以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
実施例8において、化合物(HT−01)の代わりに表1に示す化合物を使用したことを以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
比較例1(有機EL素子の作製及び評価)
実施例8において、化合物HT−01の代わりに、下記化合物TPAF(ガラス転移温度100℃未満)を使用した以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
実施例8において、化合物HT−01の代わりに、下記化合物TPAF(ガラス転移温度100℃未満)を使用した以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
比較例2(有機EL素子の作製及び評価)
実施例8において、化合物HT−01の代わりに、N,N'−ジ(4−ビフェニル)−N,N'−ジ[2−(9,9−ジメチルフルオレニル)]−4,4'−ジアミノビフェニル(下記DFDBBZ)(ガラス転移温度100℃未満)を使用した以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
実施例8において、化合物HT−01の代わりに、N,N'−ジ(4−ビフェニル)−N,N'−ジ[2−(9,9−ジメチルフルオレニル)]−4,4'−ジアミノビフェニル(下記DFDBBZ)(ガラス転移温度100℃未満)を使用した以外は同様にして有機EL素子を作製し、実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表1に示す。
表1に示したように、比較例1のTPAFはガラス転位温度が低いため、耐熱性に乏しく、105℃500時間保存後の輝度は、保存前の輝度の10%にまで低下している。
また、比較例2のDFDBBZはガラス転位温度が高く、耐熱性は十分であるが、フルオレン骨格を有する末端部位の平面性が高いために発光材料とエキサイプレックスを生じ、そのため発光色が長波長化し、低効率化していると考えられる。
一方、本発明のアリールアミン化合物を利用した実施例8〜13の有機EL素子は、発光輝度、発光効率が高く、耐熱性に優れている。これは、特異な構造を有するフルオレン骨格のために本発明のアリールアミン化合物のガラス転移温度が100℃以上と高く、末端に導入された環状構造により、発光層との間にエキサイプレックスを生じにくいためであると考えられる。
また、比較例2のDFDBBZはガラス転位温度が高く、耐熱性は十分であるが、フルオレン骨格を有する末端部位の平面性が高いために発光材料とエキサイプレックスを生じ、そのため発光色が長波長化し、低効率化していると考えられる。
一方、本発明のアリールアミン化合物を利用した実施例8〜13の有機EL素子は、発光輝度、発光効率が高く、耐熱性に優れている。これは、特異な構造を有するフルオレン骨格のために本発明のアリールアミン化合物のガラス転移温度が100℃以上と高く、末端に導入された環状構造により、発光層との間にエキサイプレックスを生じにくいためであると考えられる。
実施例14(有機EL素子の作製及び評価)
実施例8において、発光層に用いた化合物EM1及びD1の代わりに、膜厚40nmのAlq及びルブレンを重量比30:1で蒸着し成膜したことを除いて同様にして有機EL素子を作製した。
この素子について通電試験を行ったところ、直流電圧6Vで発光輝度1,300nit、最大発光輝度98,000nit、発光効率9.5cd/Aと極めて発光効率が高い黄色発光が得られた。また、耐熱保存試験として、105℃の環境で500時間保存した。試験前と同様に直流電圧6Vを印加したところ、初期の輝度に対し99%の輝度(輝度保持率99%)を示した。
また、初期輝度を1,000nitとして定電流駆動して寿命試験を行ったところ半減寿命は6,900時間と極めて長かった。以上のことから、本発明のアリールアミン化合物は、正孔輸送性の化合物として極めて優れている。
実施例8において、発光層に用いた化合物EM1及びD1の代わりに、膜厚40nmのAlq及びルブレンを重量比30:1で蒸着し成膜したことを除いて同様にして有機EL素子を作製した。
この素子について通電試験を行ったところ、直流電圧6Vで発光輝度1,300nit、最大発光輝度98,000nit、発光効率9.5cd/Aと極めて発光効率が高い黄色発光が得られた。また、耐熱保存試験として、105℃の環境で500時間保存した。試験前と同様に直流電圧6Vを印加したところ、初期の輝度に対し99%の輝度(輝度保持率99%)を示した。
また、初期輝度を1,000nitとして定電流駆動して寿命試験を行ったところ半減寿命は6,900時間と極めて長かった。以上のことから、本発明のアリールアミン化合物は、正孔輸送性の化合物として極めて優れている。
比較例3(有機EL素子の作製及び評価)
実施例14において、化合物HT−01の代わりに化合物DFDBBZを使用した以外は同様にして有機EL素子を作製した。この素子は、初期輝度を1,000nitとして定電流駆動して半減寿命を測定したところ1,850時間と短かった。
実施例14において、化合物HT−01の代わりに化合物DFDBBZを使用した以外は同様にして有機EL素子を作製した。この素子は、初期輝度を1,000nitとして定電流駆動して半減寿命を測定したところ1,850時間と短かった。
実施例15(有機EL素子の作製及び評価)
実施例11において、発光層に用いた化合物EM1及びD1の代わりに、膜厚40nmのAlqのみを蒸着し成膜したことを除いて同様にして有機EL素子を作製した。発光性ドーパントは用いなかった。
得られた素子について実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表2に示す。
比較例4(有機EL素子の作製及び評価)
実施例15において、化合物HT−04の代わりに化合物DFDBBZを使用した以外は同様にして有機EL素子を作製した。発光性ドーパントは用いなかった。
得られた素子について実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表2に示す。
実施例11において、発光層に用いた化合物EM1及びD1の代わりに、膜厚40nmのAlqのみを蒸着し成膜したことを除いて同様にして有機EL素子を作製した。発光性ドーパントは用いなかった。
得られた素子について実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表2に示す。
比較例4(有機EL素子の作製及び評価)
実施例15において、化合物HT−04の代わりに化合物DFDBBZを使用した以外は同様にして有機EL素子を作製した。発光性ドーパントは用いなかった。
得られた素子について実施例8と同様にして通電試験及び耐熱保存試験を行い、それらの結果を表2に示す。
実施例17
実施例8において、発光層に用いた化合物EM1の代わりに下記化合物CBPを、化合物D1の代わりに上記化合物Ir(ppy)3 を用い、電子注入層で化合物Alqを20nm成膜する代わりに、下記化合物BAlqを10nm、次いでAlqを20nm成膜した以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子について、直流電圧6Vで発光効率を測定したところ、34cd/Aであった。
実施例8において、発光層に用いた化合物EM1の代わりに下記化合物CBPを、化合物D1の代わりに上記化合物Ir(ppy)3 を用い、電子注入層で化合物Alqを20nm成膜する代わりに、下記化合物BAlqを10nm、次いでAlqを20nm成膜した以外は同様にして有機EL素子を作製した。
得られた素子について、直流電圧6Vで発光効率を測定したところ、34cd/Aであった。
Claims (11)
- 下記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物。
- 前記一般式(1)及び一般式(2)で定義した基の置換基において、ハロゲン原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子;アルコキシ基がメチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基;アラルキル基がベンジル基、フェネチル基又はプロピルフェニル基;置換アミノ基がジメチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基又はモルホリノ基;アリール基がフェニル基、トルイル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基又はピレニル基;複素環基がピリジル基、チエニル基、フリル基、キノリル基又はカルバゾリル基から選ばれる請求項1に記載のアリールアミン化合物。
- 前記一般式(2)のR1及びR2において、アミノ基がフェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基又はモルホリノ基;アルキル基がメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基又はt-ブチル基;アリール基がフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基、スピロビフルオレニル基又はスチルベニル基;複素環基がカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチフフェニル基、フルオレノニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾール基又はベンゾイミダゾール基から選ばれる請求項1又は2記載のアリールアミン化合物。
- 前記一般式(2)のAr5において、芳香族炭化水素基がベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、フルオレン、ピレン、スピロビフルオレン又はスチルベンの2価の残基であり、複素環基がカルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチフフェン、フルオレノン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はベンゾイミダゾールの2価の残基である請求項1〜3のいずれかに記載のアリールアミン化合物。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子用の正孔輸送材料である請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物。
- 陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物を含有する請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記有機化合物層が正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物を含有する請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機化合物層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物と発光材料とを含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と陽極間に有機化合物層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性金属錯体及びホスト材料からなる発光層とを積層したものである有機エレクトロルミネッセンス素子。
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US9859501B2 (en) | 2013-08-14 | 2018-01-02 | Samsung Display Co., Ltd. | Organic compound and organic light emitting diode device including the same |
CN113402399A (zh) * | 2021-03-03 | 2021-09-17 | 江苏三月科技股份有限公司 | 一种芳胺类有机化合物及包含该化合物的有机电致发光器件 |
-
2008
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