JP3873707B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料およびそれを使用した有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平面光源や表示に使用される有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子用材料およびそれを用いた有機EL素子に関する。さらに詳しくは、長寿命を有し、黄色〜赤色の高輝度発光を得ることのできる有機EL素子用材料およびそれを用いた有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用したEL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般にEL素子は、発光層および該層をはさんだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入され、この電子が発光層において正孔と再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
従来の有機EL素子は、無機EL素子に比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。また、特性劣化も著しく実用化には至っていなかった。近年、10V以下の低電圧で発光する高い蛍光量子効率を持った有機化合物を含有した薄膜を積層した有機EL素子が報告され、関心を集めている(Appl.Phys.Lett.,第51巻,913頁,1987年発行参照)。この方法は、金属キレート錯体を発光層、アミン系化合物を正孔注入層に使用して、高輝度の緑色発光を得ており、6〜10Vの直流電圧で輝度は数1000(cd/m2)、最大発光効率は1.5(lm/W)を達成して、実用領域に近い性能を持っている。
【0004】
有機EL素子の中でも、特に黄色から赤色の発光を得るための有機EL素子用発光材料については、C.H.Chenら著,Macromol.Symp.,第125号,34〜36頁および49〜58頁,1997年発行に記載されているDCM、DCJ、DCJT、DCJTBといった4H−ピラン誘導体が黄色から赤色の発光を得るための有機EL素子用発光材料として報告されているが、発光輝度が低いというという問題があった。
【0005】
一方、ペリレン構造を有する有機EL素子用発光材料については、例えば、特開平11−144869号公報、特開2001−11031号公報、特開2001−176664号公報に記載されているモノおよびジアミノペリレン化合物等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に述べた黄色〜赤色の高輝度発光を得るための有機EL素子用発光材料は、いずれも充分な発光輝度を有しておらず、寿命が短いという欠点があった。一方、ペリレンは平面性の高い分子構造であるため、有機EL素子用発光材料として用いる場合、濃度消光等の好ましくない現象が発生し易い。そのため、従来の技術に述べたように、ペリレンに結合するアミノ基の数を増やしたり、立体的に嵩高い置換基を導入する等の改良が試みられているが、それに伴う分子量の増大によって、溶剤に対する溶解性の低下や、素子作成時の蒸着性が悪くなるといった作業性の悪化という懸念がある。そのため、より一層の高い発光輝度と長い寿命を持った有機EL素子用材料が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上の諸問題を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、下記一般式[1]で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
【0008】
一般式[1]
【化3】
[式中、Ar1は、未置換の3−ペリレニル基、R1およびR2は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、および、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基であって、R1およびR2の少なくとも一つは、下記一般式[2]で表される1価の有機残基である。R1とR2は、互いに結合して環を形成していても良い。]
【0009】
一般式[2]
【化4】
[式中、Ar2は、置換もしくは未置換の炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基、R3およびR4は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、および、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基、X1は、直接結合、O、S、
、
のいずれかである(ここに、R5〜R8は、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基のいずれかである)。Ar2とR3、Ar2とX1、Ar2とR3、Ar2とR4、X1とR3、X1とR4、R3とR4は、互いに結合して環を形成していても良い。]
【0012】
また、本発明は、R1およびR2が、いずれも一般式[2]で表される1価の有機残基であることを特徴とする上記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
【0013】
また、本発明は、X1が、直接結合であることを特徴とする上記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
【0014】
また、本発明は、陽極と陰極とからなる一対の電極間に一層または多層の有機層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が上記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0015】
また、本発明は、陽極と陰極とからなる一対の電極間に少なくとも一層の発光層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が上記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0016】
また、本発明は、さらに、発光層と陰極との間に少なくとも一層の電子注入層を形成してなる上記有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、詳細にわたって本発明を説明する。まずはじめに、本発明の有機EL素子用材料である一般式[1]で表される化合物について説明する。
【0018】
まず、一般式[1]中のAr1は、未置換の3−ペリレニル基を表し、R 1 およびR 2 は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基であって、R 1 およびR 2 の少なくとも一つは、一般式[2]で表される1価の有機残基である。
【0019】
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基があげられる。
【0020】
したがって、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基があげられる。
【0021】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基があげられる。
【0022】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基があげられる。
【0023】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−ボルニル基、2−イソボルニル基、1−アダマンチル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基があげられる。
【0024】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜30の1価の単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基があげられる。ここで、炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基があげられる。
【0025】
また、1価の縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−トレフェニレニル基、2−インデニル基、1−アセナフチレニル基、2−ナフタセニル基、2−ペンタセニル基等の炭素数10〜30の1価の縮合環炭化水素基があげられる。
【0026】
また、1価の環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、テルフェニリル基、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル基等の炭素数12〜30の1価の環集合炭化水素基があげられる。
【0027】
また、1価の脂肪族複素環基としては、3−イソクロマニル基、7−クロマニル基、3−クマリニル等の炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基があげられる。
【0028】
また、1価の芳香族複素環基としては、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基等の炭素数3〜30の1価の芳香族複素環基があげられる。
【0029】
これら、R 1 およびR 2 は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等があげられる。
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、R 1 およびR 2 で説明した1価の脂肪族炭化水素基と同義である。
また、1価の芳香族炭化水素基としては、R 1 およびR 2 で説明した1価の芳香族炭化水素基と同義である。
また、1価の脂肪族複素環基としては、R 1 およびR 2 で説明した1価の脂肪族複素環基と同義である。
また、1価の芳香族複素環基としては、R 1 およびR 2 で説明した1価の芳香族複素環基と同義である。
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子があげられる。
【0030】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−ボルニルオキシ基、2−イソボルニルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシル基があげられる。
【0031】
また、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜30のアリールオキシ基があげられる。
【0032】
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜18のアルキルチオ基があげられる。
【0033】
また、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜30のアリールチオ基があげられる。
【0034】
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜16の置換アミノ基があげられる。
【0035】
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜18のアシル基があげられる。
【0036】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基があげられる。
【0037】
また、アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のアリールオキシカルボニル基があげられる。
【0038】
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜18のアルキルスルホニル基があげられる。
【0039】
また、アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜18のアリールスルホニル基があげられる。
【0040】
上に述べた置換基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。以上述べた一般式[1]中のAr1 は、未置換の3−ペリレニル基である。この理由として、ペリレンの3位にアミノ基が結合するような構造である場合、ペリレン環とアミノ基とのなす角が比較的同一平面に保たれるため蛍光性が強くなり、有機エレクトロルミネッセンス素子として用いた場合の発光輝度が向上するためと考えられるためである。
【0044】
ここで、一般式[2]について説明する。まず、一般式[2]中のAr2は、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基または置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基を表す。ここでいう置換基とは、R 1 およびR 2 で説明した置換基と同義である。
【0045】
ここでいう2価の芳香族炭化水素基とは、2価の単環もしくは縮合環、環集合芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ビフェニレン基、p−テルフェニル−4,4’’−ジイル基、m−テルフェニル−3,3’’−ジイル基、m−テルフェニル−4,4’−ジイル基、[1,2’−ビナフタレン]−4,5’−ジイル等の炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基があげられる。
【0046】
また2価の芳香族複素環基とは、2価の単環もしくは縮合環、環集合芳香族複素環基を意味し、例えば、2,5−フリレン基、2,5−チエニレン基等の炭素数4〜30の2価の芳香族複素環基があげられる。
【0047】
以上述べたAr2における2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基の内、好ましいものとしては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等の炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基があげられる。
【0048】
さらに、一般式[2]中のR3およびR4は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基を表す。ここでいう置換基とは、R 1 およびR 2 の置換基で説明した置換基と同義である。また、ここでいう置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基とは、それぞれ、R 1 およびR 2 で説明した置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基と同義である。
【0049】
さらに、一般式[2]中のX1は、直接結合、O、S、
、
のいずれかである(ここに、R5〜R8は、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基のいずれかである)。ここで、R5〜R8における置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基とは、R 1 およびR 2 で説明した置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基と同義である。
【0050】
一般式[1]中のR1およびR2としては、少なくとも一つが一般式[2]で表される1価の有機残基であれば良いが、いずれも一般式[2]で表される1価の有機残基であることが好ましい。この理由として、R1およびR2が、いずれも一般式[2]で表される1価の有機残基の場合、ペリレン環とアミノ基とのなす角が比較的同一平面に保たれつつも分子が立体的となるため、濃度消光等の好ましくない現象が抑えられるため、有機エレクトロルミネッセンス素子として用いた場合の発光輝度が向上するためと考えられるためである。さらに、一般式[2]中のX1が直接結合である場合、分子中の共役系が大きくなるため、発光輝度が向上すると考えられ特に好ましい。
【0051】
以上、本発明の一般式[1]で表される化合物について説明したが、本発明の一般式[1]で表される化合物の分子量としては、2000以下が好ましく、1500以下がさらに好ましく、1000以下が特に好ましい。この理由として、分子量が大きいと、溶剤に対する溶解性が乏しくなるため、精製が困難になるだけでなく、素子作成時の作業性が悪くなる、また蒸着によって素子を作成しようとした場合の蒸着性が悪くなるといった懸念が考えられるためである。
【0052】
本発明の有機EL素子用材料を単独で発光層に使用して作成した素子は、通常、黄色〜オレンジ色の高輝度発光を示すが、後述するように適当なドーピング材料と共に使用することで、高輝度を維持しつつ発光色を赤まで長波長化させることが可能となる。
【0053】
以下に本発明の有機EL素子用材料として、特に好ましい化合物群の一般式を一般式[3]〜一般式[5]として示す。
【0054】
一般式[3]
【化5】
[式中、R9〜R19は、水素原子、Ar3およびAr4は、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基、R20〜R23は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基である。Ar3とR20、Ar3とR21、R20とR21、Ar4とR22、Ar4とR23、R22とR23、Ar3とAr4は、互いに結合して環を形成していても良い。]。
【0055】
上記一般式[3]中、Ar3およびAr4は、未置換の2価の芳香族炭化水素基または未置換の2価の芳香族複素環基が、R20〜R23は、未置換の1価の芳香族炭化水素基または未置換の1価の芳香族複素環基が、好ましいものとしてあげられる。
【0056】
一般式[4]
【化6】
[式中、R24〜R34は、水素原子、Ar5およびAr6は、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基、R35〜R50は、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基である。]。
【0057】
上記一般式[4]中、Ar5およびAr6は、未置換の2価の芳香族炭化水素基または未置換の2価の芳香族複素環基が、R35〜R50は、水素原子、未置換の1価の脂肪族炭化水素基、または未置換の1価の芳香族炭化水素基が、好ましいものとしてあげられる。
【0058】
一般式[5]
【化7】
[式中、R51〜R61は、水素原子、Ar7およびAr8は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、R62〜R75は、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基である。]。
【0059】
上記一般式[5]中、Ar7およびAr8は、未置換の1価の芳香族炭化水素基が、R62〜R75は、水素原子、未置換の1価の脂肪族炭化水素基、または未置換の1価の芳香族炭化水素基が好ましいものとしてあげられる。
【0060】
なお、一般式[3]〜[5]の官能基の定義は、一般式[1]および[2]の官能基の定義と同じである。
【0061】
以下、表1に本発明の有機EL素子用材料として用いることができる化合物の代表例を示すが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない(ただし、表1中、t−Buは第3ブチル基を、Phはフェニル基を、Tolはp−トリル基を表す)。
【0062】
【表1】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0084】
ところで、有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子であるが、ここで、一層型有機EL素子は、陽極と陰極との間に発光材料からなる発光層を有する。一方、多層型有機EL素子は、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)等の多層構成で積層した有機EL素子である。本発明の有機EL素子用材料は、前記いずれの層にも使用できるが、これら一層型ないし多層型有機EL素子の発光材料として好適に使用することができる。特に、本有機EL素子用発光材料を用いて一層型有機EL素子を作成する場合、陽極から注入した正孔または陰極から注入した電子を発光材料まで効率よく輸送させるための正孔注入材料または電子注入材料を含有させることができる。
【0085】
ここで、正孔注入材料とは、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を示し、発光層で生成した励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成性に優れた化合物を意味する。そのような正孔注入材料の例としては、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性ポリマー等があげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
上記正孔注入材料の中でも特に効果的な正孔注入材料としては、芳香族三級アミン誘導体またはフタロシアニン誘導体があげられる。芳香族三級アミン誘導体としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン、またはこれらの芳香族三級アミン骨格を有するオリゴマーまたはポリマーがあげられる。また、フタロシアニン(Pc)誘導体としては、H2Pc、CuPc、CoPc 、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体があげられる。以上述べた正孔注入材料は、更に電子受容材料を添加して増感させることもできる。
【0087】
一方、電子注入材料とは、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を示し、発光層で生成した励起子の正孔注入層または正孔注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成性に優れた化合物を意味する。そのような電子注入材料の例としては、キノリン金属錯体、オキサジアゾール、ベンゾチアゾール金属錯体、ベンゾオキサゾール金属錯体、ベンゾイミダゾール金属錯体、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体があげられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(例えば、高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行)も電子注入材料の例としてあげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
上記電子注入材料の中でも特に効果的な電子注入材料としては、金属錯体化合物または含窒素五員環誘導体があげられる。ここで、金属錯体化合物の中でも、下記一般式[6]で示される化合物は好適に使用することができる。
一般式[6]
【化8】
[式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換のヒドロキシキノリン誘導体または置換もしくは未置換のヒドロキシベンゾキノリン誘導体を表し、Lは、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、−OR(Rは水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の芳香族複素環基を表す。)、−O−Ga−Q3(Q4)(Q3およびQ4は、Q1 およびQ2と同じ意味を表す。)で表される配位子を表す。]
【0089】
ここで一般式[6]について説明する。一般式[6]で示される化合物のQ1〜Q4は、置換もしくは未置換のヒドロキシキノリン誘導体または置換もしくは未置換のヒドロキシベンゾキノリン誘導体である。ここでいう置換基とは、一般式[1]中のR1およびR2における置換基と同義である。
【0090】
また、Lは、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基を表す。ここでいう置換基とは、一般式[1]中のR1およびR2における置換基と同義である。また、置換もしくは未置換のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデカニル基等をあげることができる。
【0091】
したがって、一般式[6]で示される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム錯体、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム錯体、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム錯体等があげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、これら一般式[6]で示される化合物は、特開平10−88121号公報記載の方法により合成することが可能である。
【0092】
その他、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等があげられる。
【0093】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールまたはトリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェ ニルトリアゾリル)]ベンゼン等があげられる。以上述べた電子注入材料は、更に電子供与性材料を添加して増感させることもできる。
【0094】
また、本発明の有機EL素子用材料は、発光層中にドーピングして使用することも可能である。この場合、本有機EL素子用材料は、以下に説明するホスト材料に対して0.001〜50重量%の範囲で含有されることが好ましく、更には0.01〜10重量%の範囲で含有されることがより好ましい。
【0095】
本発明の有機EL素子用材料をドーピング材料として用いた時に共に使用できるホスト材料としては、キノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、ベンゾオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、ベンゾイミダゾール金属錯体、ベンゾトリアゾール金属錯体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体等の電子輸送性材料。または、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ベンジジン型トリフェニルアミン誘導体、スチリルアミン型トリフェニルアミン誘導体、ジアミノアントラセン型トリフェニルアミン誘導体、ジアミノフェナントレン型トリフェニルアミン誘導体等の正孔輸送性材料、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の導電性高分子の高分子材料等があげられる。
【0096】
また、本有機EL素子における発光層中には、本発明の有機EL素子用材料の他に、他の発光材料やドーピング材料を二種類以上組み合わせて使用することもできる。この場合は本発明の有機EL素子用材料はホスト材料として機能する場合もある。本発明の有機EL素子用材料と共に使用できる他の発光材料やドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン等およびそれらの誘導体があげられる。
【0097】
本有機EL素子における発光層中には、本発明の有機EL素子用材料の他に、必要に応じて、他の発光材料やドーピング材料のみならず、先に述べた正孔注入材料や電子注入材料を二種類以上組み合わせて使用することもできる。また、正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良い。
【0098】
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料は、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、そのようなものとしては、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等およびそれらの合金、ITO基板、NESA基板と称される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性ポリマーがあげられる。
【0099】
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される導電性材料は、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、そのようなものとしては、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、フッ化リチウム、ルテニウム、マンガン等およびそれらの合金があげられる。ここで、合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例としてあげられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、調製時の加熱温度、雰囲気、真空度により制御可能なため、適切な比率からなる合金が調製可能である。これら陽極および陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていても良い。
【0100】
本発明の有機EL素子を効率良く発光させるためには、素子を構成する材料は素子の発光波長領域において充分透明であることが望ましく、同時に基板も透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用して蒸着やスパッタリング等の方法で作成することができる。特に、発光面の電極は、光透過率が10%以上であることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板、ポリエチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン等の透明性ポリマーが推奨される。
【0101】
また、本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなる。逆に膜厚が薄すぎると、ピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得ら難くなる。したがって、通常の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
【0102】
湿式成膜法の場合、各層は、それを構成する材料をトルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解または分散して薄膜を形成する。ここで用いられる溶媒は単一あるいは混合したもののいずれでも構わない。また、いずれの湿式成膜法においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切なポリマーや添加剤を使用しても良い。このようなポリマーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性ポリマー、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマーを挙げることができる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等をあげることができる。本発明の材料を湿式で成膜する際には、各化合物の分子間の親和性が良いため、単独では凝集性が高く膜が不均一になりやすい化合物でも、凝集性の低い誘導体との混合材料にすることにより良好な膜を得ることができる。
【0103】
また、本発明により得られた有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、さらに素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、ポリマー等により素子全体を被覆しても良い。
【0104】
以上述べたように、本有機EL素子用材料を用いて作成した有機EL素子は、発光効率、最大発光輝度等の特性を向上させることが可能である。また、本有機EL素子は、低い駆動電圧で実用的に使用可能の発光輝度が得られるため、従来まで大きな問題であった劣化も低減させることが可能である。故に、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
【0105】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。はじめに、実施例に先立って本発明の有機EL素子用材料の合成例を述べる。
【0106】
合成例1
化合物(2)の合成方法
キシレン200ml中に、4−ブロモフェニルビス(4−メチルフェニル)アミン6.9g、3−アミノペリレン2.4g、ナトリウム-t-ブトキシド2.0g、酢酸パラジウム0.10gおよびトリ-t-ブチルホスフィン0.36gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら2時間加熱還流した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(2)5.2gを得た。マススペクトル、NMRスペクトル、元素分析による分析により構造を確認した。第1図にテトラヒドロフラン−d8溶液中で測定した化合物(2)の1H−NMRスペクトル(テトラメチルシランの吸収ピークを基準とする)を示す。
【0107】
合成例2
化合物(3)の合成方法
トルエン100ml中に、4−ブロモフェニルビス(2,4−ジメチルフェニル)アミン10.3g、3−アミノペリレン3.4g、ナトリウム-t-ブトキシド3.2g、酢酸パラジウム0.12gおよびトリ-t-ブチルホスフィン0.41gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら4時間加熱還流した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(3)9.3gを得た。マススペクトル、NMRスペクトル、元素分析による分析により構造を確認した。第2図にトルエン溶液中で測定した化合物(3)の発光スペクトルを示す。
【0108】
合成例3
化合物(39)の合成方法
キシレン500ml中に、9−(4−クロロフェニル)カルバゾール35.0g、3−アミノペリレン16.0g、ナトリウム-t-ブトキシド13.8g、酢酸パラジウム0.67gおよびトリ-t-ブチルホスフィン2.43gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら8時間加熱還流した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(39)30.1gを得た。マススペクトル、NMRスペクトル、元素分析による分析により構造を確認した。第3図にCDCl3溶液中で測定した化合物(39)の1H−NMRスペクトル(テトラメチルシランの吸収ピークを基準とする)を示す。
【0109】
合成例4
化合物(49)の合成方法
キシレン500ml中に、ジフェニル−4−ヨードビフェニル−4−イルアミン19.7g、3−アミノペリレン5.3g、ナトリウム-t-ブトキシド5.4g、酢酸パラジウム0.22gおよびトリ-t-ブチルホスフィン0.81gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら3時間加熱還流した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(49)12.9gを得た。マススペクトル、NMRスペクトル、元素分析による分析により構造を確認した。第4図にテトラヒドロフラン−d8溶液中で測定した化合物(49)の1H−NMRスペクトル(テトラメチルシランの吸収ピークを基準とする)を示す。
【0110】
合成例5
化合物(64)の合成方法
キシレン500ml中に、4−ブロモトルエン8.7g、3−アミノペリレン13.6g、ナトリウム-t-ブトキシド5.43g、酢酸パラジウム0.29gおよびトリ-t-ブチルホスフィン1.0gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃で8時間加熱した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−ペリレニル−4−メチルフェニルアミン11.3gを得た。続いてキシレン200ml中に、4−ブロモフェニルビス(4−メチルフェニル)アミン2.3g、3−ペリレニル−4−メチルフェニルアミン2.1g、ナトリウム-t-ブトキシド0.66g、酢酸パラジウム0.03gおよびトリ-t-ブチルホスフィン0.12gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら2時間加熱還流した。放冷後濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(64)3.1gを得た。マススペクトル、NMRスペクトル、元素分析による分析により構造を確認した。第5図にテトラヒドロフラン−d8溶液中で測定した化合物(64)の1H−NMRスペクトル(テトラメチルシランの吸収ピークを基準とする)を示す。
【0111】
以下に本発明の化合物を用いた実施例を示す。本例では、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。また、電極面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。尚、実施にあたって下記に示す公知の材料を用いた。
(比較化合物A)
【0112】
【化9】
【0113】
(比較化合物B)
【0114】
【化10】
【0115】
(比較化合物C)
【0116】
【化11】
【0117】
(比較化合物D)
【0118】
【化12】
【0119】
(DCJTB)
【0120】
【化13】
【0121】
実施例1
洗浄したITO電極付きガラス板上に、発光材料として表1の化合物(1)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、ポリカーボネート樹脂(帝人化成:パンライトK−1300)を1:2:10の重量比でテトラヒドロフランに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚100nmの発光層を得た。その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚150nmの電極を形成して有機EL素子を得た。この素子の発光特性は、直流電圧10Vでの発光輝度550(cd/m2)、最大発光輝度740(cd/m2)、発光効率0.49(lm/W)の発光が得られた。
【0122】
実施例2
洗浄したITO電極付きガラス板上に、N,N’―(3―メチルフェニル)―N,N’―ジフェニル―1,1’―ビフェニル-4,4’―ジアミン(TPD)とポリビニルカルバゾール(PVK)を1:1の重量比で1,2−ジクロロエタンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚50nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(3)を蒸着し膜厚60nmの電子注入型発光層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。この素子の発光特性は、直流電圧10Vでの発光輝度1300(cd/m2)、最大発光輝度1800(cd/m2)、発光効率0.71(lm/W)の発光が得られた。
【0123】
実施例3
洗浄したITO電極付きガラス板上に、TPDとポリビニルカルバゾール(PVK)を1:1の重量比で1,2−ジクロロエタンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚50nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(5)とトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)との1:50の重量比からなる混合物を蒸着し、膜厚60nmの電子注入型発光層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。この素子の発光特性は、直流電圧10Vでの発光輝度1900(cd/m2)、最大発光輝度3300(cd/m2)、発光効率1.2(lm/W)の発光が得られた。
【0124】
実施例4
洗浄したITO電極付きガラス板上に、表1の化合物(11)を塩化メチレンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚50nmの正孔注入型発光層を得た。次いで、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム錯体を真空蒸着して膜厚40nmの電子注入層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。電子注入層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧6Vでの発光輝度3100(cd/m2) 、最大発光輝度11300(cd/m2)、発光効率2.4(lm/ W)の発光が得られた。
【0125】
実施例5
洗浄したITO電極付きガラス板上に、表1の化合物(20)を真空蒸着して膜厚50nmの正孔注入型発光層を得た。次いで、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(p−シアノフェノラート)ガリウム錯体を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧6Vでの発光輝度3600(cd/m2)、最大発光輝度12400(cd /m2)、発光効率2.5(lm/W)の発光が得られた。
【0126】
実施例6
洗浄したITO電極付きガラス板上に、TPDを真空蒸着して膜厚20nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(46)を蒸着し膜厚40nmの発光層を作成し、次いでAlq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を得た。その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚200nmの電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は直流電圧6Vで発光輝度6400(cd/m2)の発光が得られた。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は1000時間であった。
【0127】
比較例1
化合物(46)の代わりに前記比較化合物Aを成膜して用いる以外は、実施例6と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は直流電圧6Vでの発光輝度は1600(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は260時間であった。
【0128】
実施例7
洗浄したITO電極付きガラス板上に、TPDを真空蒸着して膜厚40nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(47)とAlq3を1:50(重量比)の組成比で共蒸着して膜厚30nmの発光層を得た。さらにAlq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を得た。その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚200nmの電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧6Vでの発光輝度が7200(cd/m2)、20Vでの発光輝度が57000(cd/m2)の発光が得られた。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は1200時間であった。
【0129】
比較例2
化合物(47)の代わりに前記比較化合物Cを成膜して用いる以外は、実施例15と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は直流電圧20Vでの発光輝度は21000(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は240時間であった。
【0130】
実施例8〜34および比較例3〜6
洗浄したITO電極付きガラス板上に、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を真空蒸着して膜厚30nmの正孔注入層を形成した。次いで、表1の化合物を真空蒸着し、膜厚30nmの発光層を得た。さらに、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム錯体を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子の発光特性を表2に示す。本実施例の有機EL素子は全て、最大発光輝度35000(cd/m2)以上の高い輝度特性を示した。同様に比較例として、前記比較化合物A〜Dを成膜して用いる以外は、実施例8と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子の発光特性を表2に併せて示す。いずれの場合も、最大発光輝度、最大発光効率共に、本実施例で作成した素子よりも劣っていることは明らかである。
【0131】
【表2】
【0132】
実施例37
洗浄したITO電極付きガラス板上に、α−NPDを真空蒸着して膜厚20nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(61)とAlq3を1:50の重量比で共蒸着して膜厚40nmの発光層を作成し、次いでAlq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を得た。その上にまず、フッ化リチウム(LiF)を0.5nm、さらにアルミニウム(Al)を200nm真空蒸着によって電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は直流電圧7Vでの発光輝度6800(cd/m2)、最大発光輝度43200(cd/m2)、発光効率4.1(lm/W)の発光が得られた。
【0133】
実施例38
発光層として、表1の化合物(4)と化合物(49)を1:10の重量比率で蒸着した膜厚30nmの薄膜を設ける以外は、実施例8と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度6400(cd/m2)、最大発光輝度39900(cd/m2)、発光効率4.3(lm/ W)の発光が得られた。
【0134】
実施例39
発光層として、表1の化合物(19)とビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム錯体を1:50の重量比率で蒸着した膜厚30nmの薄膜を設ける以外は、実施例8と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度6500(cd/m2)、最大発光輝度37800(cd /m2)、発光効率4.0(lm/W)の発光が得られた。
【0135】
実施例40
発光層として、表1の化合物(33)とα−NPDを1:10の重量比率で蒸着した膜厚30nmの薄膜を設ける以外は、実施例8と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度7200(cd/m2)最大発光輝度41300(cd/m2)、発光効率4.2(lm/ W)の発光が得られた。
【0137】
実施例42
発光層として、表1の化合物(50)とDCJTBを100:5の重量比率で蒸着した膜厚30nmの薄膜を設ける以外は、実施例8と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度5200(cd/m2)最大発光輝度38200(cd/m2)、発光効率3.4(lm/ W)の発光が得られた。
【0138】
実施例43
洗浄したITO電極付きガラス板上に、α−NPDを真空蒸着して、膜厚40nmの正孔注入層を得た。次いで、表1の化合物(12)を真空蒸着して膜厚10nmの第一発光層を形成した後、表1の化合物(49)を真空蒸着して膜厚30nmの第二発光層を作成し、さらにビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム錯体を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1(重量比)で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度6600(cd/m2)、最大発光輝度38300(c d/m2)、発光効率3.8(lm/W)の発光が得られた。
【0139】
実施例44
洗浄したITO電極付きガラス板上に、4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを真空蒸着して、膜厚60nmの第一正孔注入層を得た。次いで、α−NPDを真空蒸着して、膜厚20nmの第二正孔注入層を得た。さらに、表1の化合物(45)を真空蒸着して、膜厚10nmの発光層を作成し、さらにAlq3を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成した。その上に、LiFを0.2nm、次いでAlを150nm真空蒸着することで電極を形成して、有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度8400(cd/m2)、最大発光輝度43600(c d/m2)、発光効率4.4(lm/W)の発光が得られた。
【0140】
実施例45
発光層として、表1の化合物(49)とAlq3を1:100の重量比率で蒸着した膜厚30nmの薄膜を設ける以外は、実施例44と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度34800(cd/m2)、発光効率4.2(cd/A)の発光が得られた。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は1500時間であった。
【0141】
比較例7
化合物(49)の代わりに前記比較化合物Bを用いる以外は、実施例45と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は直流電圧7Vでの発光輝度は13000(cd/m2)であり、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は250時間であった。
【0142】
実施例46
4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンの代わりに銅フタロシアニンの膜厚20nmの正孔注入層を設ける以外は、実施例45と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度33100(cd/m2)、発光効率4.0(cd/A)の発光が得られた。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は1700時間であった。
【0143】
比較例8
化合物(49)の代わりに前記比較化合物Dを用いる以外は、実施例46と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、直流電圧7Vでの発光輝度15300(cd/m2)であり、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は270時間であった。
【0144】
以上述べた実施例から明らかなように、本発明の有機EL素子は発光効率、発光輝度の向上と長寿命化を達成するものであり、併せて使用される発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料、電子注入材料、増感剤、樹脂、電極材料等および素子作製方法を限定するものではない。
【0145】
【発明の効果】
本発明の有機EL素子用材料に用いて作成した有機EL素子は、従来に比べて高輝度かつ長寿命であるため、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として好適に使用することができ、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得た化合物(2)のテトラヒドロフラン−d8溶液中での1H−NMRスペクトルを示す。
【図2】合成例2で得た化合物(3)のトルエン溶液中での発光スペクトルを示す。
【図3】合成例3で得た化合物(39)のCDCl3溶液中での1H−NMRスペクトルを示す。
【図4】合成例4で得た化合物(49)のテトラヒドロフラン−d8溶液中での1H−NMRスペクトルを示す。
【図5】合成例5で得た化合物(64)のテトラヒドロフラン−d8溶液中でのの1H−NMRスペクトルを示す(尚、図1、4、5中、1H−NMRスペクトルはいずれもテトラメチルシランの吸収ピークを基準とする)。
Claims (6)
- 下記一般式[1]で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
一般式[1]
一般式[2]
、
のいずれかである(ここに、R5〜R8は、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基のいずれかである)。Ar2とR3、Ar2とX1、Ar2とR3、Ar2とR4、X1とR3、X1とR4、R3とR4は、互いに結合して環を形成していても良い。] - R1およびR2が、いずれも一般式[2]で表される1価の有機残基であることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
- X1が、直接結合であることを特徴とする請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
- 陽極と陰極とからなる一対の電極間に一層または多層の有機層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が請求項1ないし3いずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陽極と陰極とからなる一対の電極間に少なくとも一層の発光層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が請求項1ないし3いずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子。
- さらに、発光層と陰極との間に少なくとも一層の電子注入層を形成してなる請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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