JP2009045004A - クロマチン制御因子による幹細胞未分化制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、以下の(a)、(b)又は(c)に記載の蛋白質をコードするAOF2遺伝子を導入することから成る、幹細胞における未分化状態の制御方法:
(a)哺乳動物由来のAOF2蛋白質、
(b)(a)記載のいずれかのAOF2蛋白質のアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質、又は
(c)(a)記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質、並びに、該方法に使用する発現用組換えベクター及びAOF2をコードする遺伝子で形質転換された幹細胞等。
【選択図】図5
Description
尚、多くの脊椎動物のAOF2蛋白質のアミノ酸配列は公知であり、その機能として、ヒストンH3の脱メチル化酵素であることが知られている(非特許文献5)。
Boiani, M. and Scholer, H.R. Nat Rev Mol Cell Biol. (2005) 6, 872-884 Chambers I. et al., Cell (2003) 113, 643-655. Mitsui K. et al., Cell (2003) 113, 631-642. Ying Q.L. et al., Cell (2003) 115, 281-292. Shi, Y. et al., Cell (2004) 119, 941−953.
[1]AOF2をコードする遺伝子を導入することから成る、幹細胞における未分化状態の制御方法。
[2]幹細胞の未分化状態を制御する方法に使用する、AOF2をコードする遺伝子を含む発現用組換えベクター。
[3]AOF2をコードする遺伝子で形質転換された幹細胞。
(a)哺乳動物由来のAOF2蛋白質、
(b)(a)記載のいずれかのAOF2蛋白質のアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態をする活性を有する蛋白質、又は
(c)(a)記載のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態をする活性を有する蛋白質。
(a)哺乳動物由来のAOF2をコードする塩基配列から成る核酸、
(b)上記(a)に記載の塩基配列から成る核酸と相補的な塩基配列から成る核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質をコードする核酸。
マウスES細胞(American Type Culture Collection: cat No. CRL-11632)をLIF非存在下で培養すると、未分化マーカーのひとつとして知られるアルカリフォスファターゼ活性をほぼ1週間で喪失することが知られている。未分化ではアルカリフォスファターゼ陽性でコロニーを形成するが、LIF非存在下ではアルカリフォスファターゼ陰性で平たく広がった形態の中内胚葉に分化してしまう(図1)。この結果からDay0とDay7の蛋白質サンプルを比較することで、プロテオーム解析により未分化特異的な蛋白質を判別することが可能と考え、常法に従い、LIF+の状態で培養したマウスES細胞及びLIF-の状態で7日間培養した細胞から核蛋白質を抽出し、それぞれ緑及び赤の蛍光色素でラベルした後、混合し、2次元電気泳動により分離した(図2)。その結果、数十個の量的変動のある蛋白質を同定し、MALDI-TOF/TOF型質量分析器により解析したところ、マウスES細胞で未分化特異的に発現するタンパク質のひとつがAOF2であることを見出した。
マウスES細胞において、野生型AOF2を遺伝子導入し安定発現させた細胞株を樹立し、LIFを培地から除去し2週間培養することで通常のマウスES細胞が中内胚葉に完全に分化してしまう状況にあっても多くの細胞において、形態的にLIF存在下で培養した未分化状態のES細胞に近く、細胞がぎっしり密集したパンケーキ状の形態を示すことが分かった。また、このとき未分化マーカーの一つであるアルカリホスファターゼの活性染色を行ったところ、未分化状態を維持していることが確認された(図4)。更に、各クローンをLIF非存在下で2週間培養した後、RNAを精製し、RT-PCRによりOct3/4mRNAの発現を調べた。その結果、このようなLIF非存在下における長期間の培養でも未分化マーカー転写因子Oct3/4の発現が維持されていることがRT-PCRにより確認された(図5)。又、未分化マーカーであるOct3/4に対する抗体(sc-9081, SANTA CRUZ)及びSSEA1に対する抗体(協和発酵)を用いた、常法による免疫蛍光染色によってもこれら未分化マーカーの発現が認められ、未分化状態の維持が確認された(図6)。従って、AOF2の遺伝子導入によりES細胞の未分化状態が維持・促進されることが分かった。実験の詳細は以下の通りである。
マウスAOF2発現ベクターは以下の方法で調製した。マウスES細胞(3x106細胞)にISOGEN(ニッポンジーン)500 μlを加えて強く撹拌し、ISOGEN溶液中に細胞を溶かした。そこに100 μlのクロロホルムを加えて撹拌し、10分間15Krpm(4℃)で遠心を行った。上清を新しい1.5 mlチューブに移し、等量のイソプロパノールを加えて撹拌し、室温で20分静置した。その後、10分間15Krpm(4℃)で遠心を行った。沈殿したRNAのペレットを確認し、上清をデカンテーションで捨て、1mlの70%エタノールを加えて10分間15Krpm(4℃)で遠心を行った。上清を捨ててペレットを風乾し、20 μlのDNase/RNase Freeの水に沈殿を溶かした。この濃度を測定した後、次にcDNA合成のステップに進んだ。Total RNA 1μgを鋳型とし、oligo dT primer、逆転写酵素(superscript II reverse transcriptase, Invitrogen)、RNase inhibitor (TaKaRa)、5×1st strand buffer、0.1M dNTP Mixを混ぜ、42℃で逆転写反応を行った。反応後、65℃で10分処理し、逆転写酵素を失活させた後、氷上において急冷した。合成されたcDNAを1/5希釈したものを鋳型とし、データベースに登録されているマウスAOF2遺伝子配列情報に基づき作製した特異的プライマー(F: 5’-GGAATTcatggctacgggggcg-3’(配列番号1)、 R: 5’-CGGCTCGAGtcacatacttggggactgctg-3’(配列番号2))を用いてPCRを行った。PCRの条件は、KOD plas(TOYOBO)をポリメラーゼとして使用し、94℃2分加熱変性後、94℃15秒、60℃30秒、68℃2分のサイクルを35回繰り返し、68℃で10分伸長反応した後4℃で保管した。これを1%のアガロースゲルで分電気泳動(100ボルト、20分)で分離し、エチジウムブロマイドで20分処理しUVを照射しマウスAOF2DNAのバンドを検出した。 このDNAバンドをナイフで切り出し精製した後、EcoRIとEcoRVで酵素消化した。同様に発現ベクター(pCAG-IP-Flag, Yoshida-Koide et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. (2004) 313, 475-481にFlagタグ配列(sense: 5’-AATTGACCGCCATGGACTACAAGGACGATGATGACAAGGGCG-3’, 配列番号3, antisense: 5’-AATTCGCCCTTGTCATCATCGTCCTTGTAGTCCATGGCGGTC-3’, 配列番号4)をEcoRIサイトに挿入して作成)についてもEcoRIとEcoRVで酵素消化し、精製したマウスAOF2断片をライゲーションし、発現ベクターpCAG-IP-Flag-AOF2を構築した。この結果、制御遺伝子を恒常的に発現させるCMVプロモーターというウイルス由来の外来プロモーターによって導入されたAOF2遺伝子は発現制御される。このようにして作成した発現ベクターをリポフェクション試薬、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いてマウスES細胞に遺伝子導入した。
アルカリホスファターゼ活性染色については、細胞をPBSで洗浄後、3%ホルマリン/PBSで5分処理した後、アルカリホスファターゼ発色試薬(BM purple AP substrate(Roche))を加え、室温で30分インキュベートした。 その後、細胞をPBSで2回洗浄した後、光学顕微鏡で観察した。
Oct3/4のRT-PCRについては、マウスES細胞から上記の方法を使用してmRNAを抽出しcDNAを合成した。プライマーはF: 5’-tgcggagggatggcatac-3’(配列番号5), R: 5’-ctccaacttcacggcattg-3’ (配列番号6)を用いてPCRをおこなった。PCRの条件は、KOD plas(TOYOBO)をポリメラーゼとして使用し、94℃2分加熱変性後、94℃15秒、60℃30秒、68℃2分のサイクルを25回繰り返し、68℃で10分伸長反応した後4℃で保管した。これを1%のアガロースゲルで分電気泳動(100ボルト、20分)で分離し、エチジウムブロマイドで20分処理しUVを照射しマウスAOF2DNAのバンドを検出した。
Claims (9)
- AOF2をコードする遺伝子を導入することから成る、幹細胞における未分化状態の制御方法。
- 幹細胞がES細胞である、請求項1記載の方法。
- AOF2遺伝子をES細胞に導入し、ES細胞の未分化状態を維持する、請求項2記載の方法。
- AOF2遺伝子が脊椎動物由来である、請求項3記載の方法。
- AOF2遺伝子が哺乳動物由来である、請求項4記載の方法。
- AOF2遺伝子が以下の(a)、(b)又は(c)に記載の蛋白質をコードする、請求項1記載の方法:
(a)哺乳動物由来のAOF2蛋白質、
(b)(a)記載のいずれかのAOF2蛋白質のアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質、又は
(c)(a)記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列から成り、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質。 - AOF2遺伝子が以下の(a)又は(b)に記載の核酸を含む、請求項3記載の方法:
(a)哺乳動物由来のAOF2をコードする塩基配列から成る核酸、
(b)上記(a)に記載の塩基配列から成る核酸と相補的な塩基配列から成る核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ES細胞の未分化状態を維持する活性を有する蛋白質をコードする核酸。 - 請求項1記載の方法に使用する、AOF2遺伝子を含む発現用組換えベクター。
- AOF2遺伝子で形質転換された幹細胞。
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