JP2009043910A - 酸化物超電導素線の集合化導体、及びこの集合化導体の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導素線の集合化導体、及びこの集合化導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の酸化物超電導線材を用いつつ、電流偏流を低減することができる酸化物超電導素線の集合化導体、及びこのような酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化物超電導素線11,21と、酸化物超電導素線11の両端にそれぞれ接続される電極12,13と、酸化物超電導素線21の両端にそれぞれ接続される電極22,23とを備えた。また、酸化物超電導素線11,21の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での臨界電流をIc(A)とした場合、酸化物超電導素線11,21それぞれと電極12,13,22,23それぞれとの接続抵抗R(Ω)を、0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Icの範囲内になるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導素線を複数集合化した集合化導体、及びこの集合化導体の製造方法に関する。
近年、超電導線材を用いた電力応用機器として、種々の機器装置の開発が進められている。例えば、超電導磁気エネルギー貯蔵装置(Superconducting Magnetic Energy Storage、以下SMESと略称する)は、他のエネルギー貯蔵装置と比べてエネルギーの貯蔵効率が高い、エネルギーの出し入れ速度が速い等の特徴を有しており、精力的に開発が進められている。また、変圧器に代表される交流コイル、電動機や発電機に代表される超電導回転機、常電導時高抵抗線材を使用した限流器等の開発も進められている。
このような電力応用機器に、NbTiやNbSnなどの金属系超電導線材を用いた場合は、冷却材として液体ヘリウムを用いて4.2K又はそれに近い温度まで線材を冷却しなければ超電導状態にならないため、冷却コストが増大し、実用化の弊害となっている。一方、Bi系やY系の酸化物超電導線材は、超電導転移温度が高く、超電導状態にするための冷却材として77.3Kの液体窒素を用いることができるため、冷却コストを大幅に低減可能である。例えば、Y系酸化物超電導テープ線材の場合、典型的なものは、テープ幅が10mmで、液体窒素により77.3Kまで冷却し、外部磁界0Tとした場合の臨界電流が約100〜300Aという超電導特性を有するものが入手可能であり、例えばパンケーキコイル等として利用できる。
また、一般に、NbTiやNbSn等の金属系超電導線材の場合は、臨界電流を超える電流が流れると即座に常電導転移を起こし、超電導状態が保てなくなってしまう。そのため、例えばこのような金属系超電導線材を用いてSMESを構成した場合、臨界電流を超える電流が流れると即座に常電導転移を起こしてコイルに蓄積されていたエネルギーが放出されてしまう。一方、Y系酸化物超電導テープ線材の場合は、臨界電流を超える電流を流しても磁束流領域と称される電流範囲であれば、常電導転移を生じることなく超電導状態を維持することができる。そこで、このようなY系酸化物超電導テープ線材の利点を活かした応用が期待されている。
また、SMESや変圧器等の各種電力応用機器に適用する場合には、さらなる電流の増大が求められている。そこで、超電導線材を複数本並列接続して集合化し、全体として流すことのできる許容電流を増大させることが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−256841号公報
ところで、複数の超電導素線を並列接続するためには、その接続部分で銅などの常電導材料の電極が用いられ、所定長の超電導素線を得るために複数の超電導素線を直列接続する場合にも、その接続部分で常電導材料の電極が用いられる。また、このような超電導素線を外部の回路と接続するためにも、必ず常電導材料の電極と接続する必要が生じる。そうすると、各超電導素線そのものは超電導状態であって抵抗がゼロであっても、各超電導素線と各電極との接続抵抗にわずかでもばらつきがあると、各超電導素線に流れる電流に偏りが生じ、一部の超電導素線に大きな電流が流れる電流偏流が生じる。
そうすると、偏流により最も大きな電流が流れる超電導素線の臨界電流によって、集合化導体全体に流すことのできる電流が制限されるため、集合化導体の臨界電流は、集合化された超電導素線の臨界電流の合計を下回ってしまうという不都合があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、複数の酸化物超電導線材を用いつつ、電流偏流を低減することができる酸化物超電導素線の集合化導体を提供することを目的とする。そして、このような酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数の酸化物超電導素線と、複数の酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続される複数の電極との間の接続抵抗を、所定の抵抗値範囲にすることにより、複数の酸化物超電導素線間の電流偏流を低減することができることを見出した。
すなわち、本発明に係る酸化物超電導素線の集合化導体は、並列接続するための複数の酸化物超電導素線と、前記複数の酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続される電極とを備え、前記各酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での各酸化物超電導素線の臨界電流をIc(A)とした場合、前記各酸化物超電導素線と当該各酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続された電極との接続抵抗R(Ω)は、当該各酸化物超電導素線の使用温度において、それぞれ以下の式(1)で示す条件を満たし、前記各酸化物超電導素線が、前記両端にそれぞれ接続された電極を介して並列に接続され、集合化されている。
0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(1)
この構成によれば、複数の酸化物超電導線材を用いつつ、電流偏流を低減することができる。
また、前記接続抵抗R(Ω)は、以下の式(2)で示す条件を満たすことが好ましい。
0.1×0.01×10−6×L/Ic≦R≦2×0.01×10−6×L/Ic ・・・(2)
この構成によれば、電流偏流をさらに低減することができる。
また、前記酸化物超電導素線と前記電極とは、ビスマス(Bi)含有合金を用いたはんだによって、はんだ付けされていることが好ましい。また、前記はんだは、ビスマス(Bi)と錫(Sn)との合金であることが好ましい。また、前記はんだは、ビスマス(Bi)とインジウム(In)との合金としてもよい。
この構成によれば、接続抵抗Rのばらつきを低減することができる。
また、前記複数の酸化物超電導素線を、並列に接続する接続部をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、接続部によって、複数の酸化物超電導素線が並列に接続されて集合化導体が構成され、単一の酸化物超電導素線に流せる電流よりも集合化導体に流せる電流を増大させることができる。
また、本発明に係る酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法は、複数の酸化物超電導素線の両端部と複数の電極とを、ビスマス(Bi)を含有するはんだを用いて100℃〜200℃の範囲内における所定の温度ではんだ付けすることにより、前記複数の酸化物超電導素線の両端部と複数の電極とを接続し、前記複数の電極を介して前記複数の酸化物超電導素線を並列に接続することにより、前記複数の酸化物超電導素線を集合化するものである。
この構成によれば、複数の酸化物超電導線材を用いつつ、電流偏流を低減することができる酸化物超電導素線の集合化導体を製造することができる。
また、前記はんだは、ビスマス(Bi)と錫(Sn)との合金であり、前記温度は、140℃〜200℃の範囲内の温度であることが好ましい。また、前記はんだは、ビスマス(Bi)とインジウム(In)との合金であり、前記温度は、100℃〜200℃の範囲内の温度であってもよい。この構成によれば、接続抵抗Rのばらつきを低減することができる。
また、前記各酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での各酸化物超電導素線の臨界電流をIc(A)とした場合、前記各酸化物超電導素線と当該各酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続された電極との接続抵抗R(Ω)を、当該各酸化物超電導素線の使用温度において、それぞれ以下の式(1)で示す条件を満たすように設定することが好ましい。
0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(1)
この構成によれば、接続抵抗Rのばらつきを低減することができる。
また、前記接続抵抗R(Ω)は、前記酸化物超電導素線と前記電極との接続面積を調節することにより、設定されることが好ましい。この構成によれば、接続抵抗R(Ω)を、上述の条件を満たす抵抗値の範囲に設定することが容易である。
このような構成の酸化物超電導素線の集合化導体及びこの集合化導体の製造方法によれば、複数の酸化物超電導素線と、前記複数の酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続される複数の電極とを備え、前記各酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での臨界電流をIc(A)とした場合、前記酸化物超電導素線それぞれと前記電極それぞれとの接続抵抗R(Ω)は、0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Icとなる条件を満たすことにより、複数の酸化物超電導線材を用いつつ、電流偏流を低減することができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る酸化物超電導素線の集合化導体の構成の一例、及びこの集合化導体の特性を測定するための測定回路を概念的に示した説明図である。また、図2は、図1に示す集合化導体の電極付近における拡大図、及びこの集合化導体の特性を測定するための測定回路を概念的に示した説明図である。
図1に示す集合化導体1は、酸化物超電導素線を集合化して得られる導体の一例であり、例えば、磁気エネルギー貯蔵、変圧器、核融合コイル等の超電導コイルに代表される液体窒素冷却型の超電導マグネット、及び冷凍機冷却型の超電導マグネット等の構成素材として用いられる酸化物超電導線材である。なお、本発明に係る酸化物超電導素線を集合化した適用例としては、パンケーキ状コイル等が挙げられる。
図1に示す集合化導体1は、酸化物超電導素線11,21と、酸化物超電導素線11の両端にそれぞれ接続された電極12,13と、酸化物超電導素線21の両端にそれぞれ接続された電極22,23とを備えている。
酸化物超電導素線11,21は、例えば、厚さ100μm、幅10mm、長さ10mのハステロイ基板の上に、Gd−Zr酸化物を中間層として1μm堆積し、その上に厚さ0.5μmのCeO層をキャップ層として形成し、その上に厚さ1μmのYBaCu7−x超電導膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)装置により成膜し、最後に保護層としてAg層を成膜して得られたY系超電導テープ線材から切り出されて、作成されている。図1、図2は、酸化物超電導素線11,21を厚み方向から見て図示している。
電極12,13,22,23は、例えば銅等の常電導材料によって構成されている。そして、酸化物超電導素線11と電極12とは、はんだ14によってはんだ付けされ、酸化物超電導素線11と電極13とは、はんだ15によってはんだ付けされている。また、酸化物超電導素線21と電極22とは、はんだ24によってはんだ付けされ、酸化物超電導素線21と電極23とは、はんだ25によってはんだ付けされている。
電極12,13,22,23は、例えば酸化物超電導素線11,21を、常電導の回路部に接続するための接続端子であってもよく、例えば複数の酸化物超電導素線を直列に接続して延長するための接続端子であってもよい。
なお、図1に示す集合化導体1では、後述する比較例1、及び実施例1〜3において、電流偏流の低減効果を確認するために、酸化物超電導素線11の両端すなわち電極12,13間に生じる電圧V1と、酸化物超電導素線21の両端すなわち電極22,23間に生じる電圧V2とを個別に測定する必要があることから、電極12と電極22、及び電極13と電極23を、それぞれ分離絶縁しているが、電極12と電極22、及び電極13と電極23をそれぞれ配線等の導体からなる接続部により接続することで、酸化物超電導素線11,21を並列接続する構成としてもむろんよい。また、電極12と電極22、電極13と電極23をそれぞれ単一の電極として構成し、例えば一の電極の一部を電極12、残りの一部を電極22とし、他の一の電極の一部を電極13、残りの一部を電極23として用いることで、単一の電極を接続部として用いてもよい。
はんだ14,15,24,25としては、例えばSn−Ag−Cu、Bi−Sn、Bi−In等、種々のはんだを用いることができる。なお、本明細書において、「はんだ」とは、JIS Z 3001の定義に従い「450℃未満の低い融点をもつろう接用溶加材」を指し、「はんだ付」とは「はんだを用いて母材をできるだけ溶融しないで行う溶接方法」を指すこととする。
酸化物超電導素線11,21と、電極12,13,22,23との接続部は、例えば幅10mm×長さ14mmの範囲にされている。なお、酸化物超電導素線11,21と、電極12,13,22,23との接続部の面積は、酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での臨界電流をIc(A)とした場合に、酸化物超電導素線と電極との接続抵抗R(Ω)が、以下の式(1)で示す条件を満たすような面積になっていればよく、幅10mm×長さ14mmに限らない。
0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(1)
このように、酸化物超電導素線と電極との接続抵抗R(Ω)を、酸化物超電導素線と電極との接続部の面積を調節することにより、式(1)で示す条件を満たすように設定する。
ここで、酸化物超電導素線の長さLとは、両端に接続された電極間に挟まれた酸化物超電導素線の長さを示し、例えば酸化物超電導素線11における長さLとは、図1において、符号X1で示す位置から符号X2で示す位置までの酸化物超電導素線11の長さを意味し、例えば酸化物超電導素線12における長さLとは、図1において、符号Y1で示す位置から符号Y2で示す位置までの酸化物超電導素線12の長さを意味している。
はんだ14,15,24,25として融点が130℃のBi−Snを用いた場合、はんだ付温度は140℃〜200℃の範囲が望ましく、例えば150℃とされる。また、はんだ14,15,24,25として融点が80℃のBi−Inを用いた場合、はんだ付温度は100℃〜200℃の範囲が望ましく、例えば120℃とされる。このように、はんだ付温度を200℃以下にすることにより、酸化物超電導素線11,21の劣化を低減することができる。はんだ付けの際には、はんだを溶融した後、酸化物超電導素線11及び電極12,13、酸化物超電導素線21及び電極22,23が、それぞれはがれないように両者を固定した状態で冷却することで、安定した接続抵抗が得られる。
このようにして得られた酸化物超電導素線の集合化導体1について、後述する比較例1、及び実施例1〜3に示す実験結果から、以下の知見が得られた。
第1の知見は、以下のものである。すなわち、集合化導体1を冷却して酸化物超電導素線11,21を超電導状態にした状態で、電極12から酸化物超電導素線11を介して電極13に至る電流経路L1と、電極22から酸化物超電導素線21を介して電極23に至る電流経路L2とを並列に接続して集合化し、この並列回路に電流を流すと、酸化物超電導素線11,21の抵抗値はゼロであるから、電流経路L1を流れる電流I1と電流経路L2を流れる電流I2とは、酸化物超電導素線11,21と電極12,13,22,23との間の各接続抵抗Rのバランスによって電流値に差異が生じ、すなわち電流偏流が生じることとなる。
電流偏流をなくすためには、理想的には、各接続抵抗Rをすべてゼロにするか、各接続抵抗Rを完全に同一にすればよいが、実際の装置において、各接続抵抗Rをすべてゼロにしたり、各接続抵抗Rを完全に同一にすることは困難である。むしろ、各接続抵抗Rをゼロに近づけようとして抵抗値を減少させると、各接続抵抗R間のばらつきにより、逆に電流偏流が増大することが実験的に確認された。
そして、各接続抵抗Rを、磁束流抵抗によって酸化物超電導素線11,21に生じる電圧との関係で得られる抵抗値、具体的には、以下の式(3)の条件を満たす抵抗値にすることにより、電流経路L1,L2間の電流偏流を抑制することができることを見いだした。これは、従来の金属系超電導線材の偏流防止の対策としては知られていなかった知見である。
R≧0.01×0.01×10−6×L/Ic ・・・(3)
但し、各酸化物超電導素線の長さ:L(mm)
外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での臨界電流:Ic(A)
第2の知見は、以下のものである。
複数の酸化物超電導素線を作成した場合、各酸化物超電導素線の臨界電流Icにはばらつきが生じるため、全く臨界電流が等しい酸化物超電導素線を作成することは、困難である。また、酸化物超電導素線の抵抗値は、流れる電流が、臨界電流Icに近づくと僅かながら増大し、臨界電流Icを超えると急激に増大する性質がある。
ここで、臨界電流がIc1の酸化物超電導素線11と、臨界電流がIc2の酸化物超電導素線21とを並列接続した場合、仮に、電極との接続抵抗Rがゼロオームであって、この並列回路には、酸化物超電導素線11,21自体に生じる抵抗のみしか存在しない理想的な条件を仮定する。そして、臨界電流Ic1が臨界電流Ic2より小さいものとする。そうすると、酸化物超電導素線11,21を流れる電流は、まず先に酸化物超電導素線11において、臨界電流Ic1に近くなる。そうすると、酸化物超電導素線11でわずかに抵抗が生じて酸化物超電導素線11を流れる電流が減少し、酸化物超電導素線21を流れる電流が増大するように、電流が分配される。
このように、上述のような理想的な条件下では、酸化物超電導素線11,21を流れる電流は、臨界電流Ic1の付近で自動的にバランスするので、例え臨界電流Ic1と臨界電流Ic2とに差異があっても、酸化物超電導素線11に流れる電流を臨界電流Ic1近くまで増大させ、酸化物超電導素線21に流れる電流を臨界電流Ic2近くまで増大させることができる結果、酸化物超電導素線11,21の並列回路に(Ic1+Ic2)の電流を流すことができる。
しかし、実際には、このような理想的な条件を実現することは困難であり、酸化物超電導素線と電極との接続抵抗Rが存在する。そして、電流経路L1,L2の抵抗値は、酸化物超電導素線11,21の抵抗値と接続抵抗Rとをそれぞれ加算したものとなる。そうすると電流経路L1,L2全体の抵抗値に対する酸化物超電導素線11,21自体の抵抗値の比率が相対的に小さくなる結果、一方の酸化物超電導素線11において、流れる電流が臨界電流Ic1に近くなって酸化物超電導素線11に抵抗が生じた場合であっても、上述のように酸化物超電導素線11で臨界電流Ic1を超えないような電流分配が生じ難くなる。そして、接続抵抗Rが増大するほど、相対的に酸化物超電導素線11自体の抵抗が酸化物超電導素線11,21間の電流配分に及ぼす影響が減少する結果、酸化物超電導素線11,21の並列回路に流すことのできる電流は、上述のような理想的な条件下において流れる電流(Ic1+Ic2)よりも減少する。このような事情は、酸化物超電導素線を三本以上並列接続した場合であっても同様である。
本願発明者らは、複数の酸化物超電導素線を並列接続した場合に、各酸化物超電導素線の接続抵抗Rを、以下の式(4)の条件を満たす抵抗値にすることにより、並列接続された複数の酸化物超電導素線に流すことのできる合計の電流値を増大させることができることを見いだした。
R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(4)
以上、第1及び第2の知見から、接続抵抗Rの値を、式(3)及び式(4)の条件を同時に満たす式(1)で示す範囲に設定することにより、電流経路L1,L2間の電流偏流を低減しつつ、酸化物超電導素線11,21それぞれについて臨界電流近傍まで電流を増大させることができ、すなわち集合化導体1に流すことのできる許容電流を増大させることができる。
ここで、式(1)から明らかなように、接続抵抗Rの適切な抵抗値の範囲は、酸化物超電導素線の長さL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での臨界電流Ic(A)に応じて変化するものであり、絶対値として適切な抵抗値の範囲が存在するわけではない。
なお、集合化導体1は、酸化物超電導素線を二本用いた例を示したが、酸化物超電導素線は複数であればよく、三本以上を集合化してもよい。また、各酸化物超電導素線の長さLが同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、各酸化物超電導素線の長さLが同じで、各酸化物超電導素線の材質や構造、超電導層の厚み等を変更してもよい。
第3の知見は、以下のものである。すなわち、はんだ14,15,24,25として、融点が130℃のBi−Snや融点が80℃のBi−In等、融点の低いビスマス(Bi)含有合金を用いて、200℃以下の温度、例えばBi−Snであれば140℃〜200℃の範囲、例えばBi−Inであれば100℃〜200℃の範囲の温度ではんだを加熱して溶融させた後に冷却してはんだ付けすることにより、単位面積あたりの接続抵抗を再現性よく制御できることを見いだした。これにより、酸化物超電導素線と電極との接続面積を実用的な範囲、例えば幅10mm×長さ100mm程度以下の範囲に抑えつつ、式(1)の条件を満たす接続抵抗Rに設定することが容易となった。
次に、図1に示す酸化物超電導素線の集合化導体1について、サンプルを用いて実験的に電流偏流を測定した実施例と、集合化導体1と同様の構造で、酸化物超電導素線と電極との接続抵抗Rが式(1)の条件を満たさないサンプルを用いて実験的に電流偏流を測定した比較例とについて、説明する。
比較例1
比較例1では、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗R、及び酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rが、式(1)の条件を満たさない場合における酸化物超電導素線11,酸化物超電導素線21間の電流偏流の評価結果を示す。
外形60mmの円盤状のFRP(Fiber Reinforced Plastics)製の巻枠(図略)に、電極12,13,22,23を固定した。そして、電極22の幅10mm×長さ14mmの範囲にSn−Pbはんだを載せ、280℃に加熱した後に酸化物超電導素線21の一方端部のAg側を溶融したはんだに接触させるようにして固定した。次に、電極12の幅10mm×長さ14mmの範囲にSn−Pbはんだを載せ、280℃に加熱した後に酸化物超電導素線11の一方端部のAg側を溶融したはんだに接触させるようにして固定した。
そして、酸化物超電導素線11,21を図略の巻枠に沿って配置し、電極23の幅10mm×長さ14mmの範囲にSn−Pbはんだを載せ、280℃に加熱した後に酸化物超電導素線21の他端部のAg側を溶融したはんだに接触させるようにして固定した。次に、電極13の幅10mm×長さ14mmの範囲にSn−Pbはんだを載せ、280℃に加熱した後に酸化物超電導素線11の他端部のAg側を溶融したはんだに接触させるようにして固定した。
このとき、図1では、説明の関係上、酸化物超電導素線11,21の長さが異なっているように図示されているが、実際には電極12と電極13との間の酸化物超電導素線11の長さLと、電極22と電極23との間の酸化物超電導素線21の長さLとが、いずれも120mmになるように固定した。そして、集合化導体1を室温まで自然冷却してはんだを固着させた。
このようにして得られたサンプルにおいて、酸化物超電導素線11,21の自己インダクタンスは、共に約1.0×10−7Hになっている。
また、酸化物超電導素線11,21について、温度77.3K、外部磁場0Tの条件で臨界電流Ic1,Ic2を測定したところ、酸化物超電導素線11の臨界電流Ic1は、143A、酸化物超電導素線21の臨界電流Ic2は、147Aとなった。この場合、臨界電流の定義は、「発生電圧を、電極12,22と電極13,23との間の酸化物超電導素線11,21の長さL(例えば120mm)で除したときの電界が、0.1μV/cm(=0.01μV/mm)となるとき(すなわち発生電圧が1.2μVとなるとき)の電流値」である。
次に、このようにして得られた集合化導体のサンプルを、液体窒素に浸漬して冷却し、酸化物超電導素線11,21を超電導状態にした上で、以下のようにして接続抵抗Rと酸化物超電導素線11,21間の電流偏流を評価した。
まず、接続抵抗Rの測定方法について説明する。図2に示すように、酸化物超電導素線11上の、はんだ14の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P1と、電極12の、はんだ14との界面から5mm以内の位置に設けられた測定点P2との間に、直流電流源101を用いて所定の測定用電流Imを流し、電圧計を用いて測定点P1と測定点P2との間に生じた電圧V1を測定する。そうすると、酸化物超電導素線11と電極12との接続抵抗Rは、V1/Imとして得られる。
また、酸化物超電導素線21上の、はんだ24の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P3と、電極22の、はんだ24との界面から5mm以内の位置に設けられた測定点P4との間に、直流電流源102を用いて所定の測定用電流Imを流し、電圧計を用いて測定点P3と測定点P4との間に生じた電圧V2を測定する。そうすると、酸化物超電導素線21と電極22との接続抵抗Rは、V2/Imとして得られる。
このように、はんだ14,24の端部から測定点P1,P3間での距離、及び電極12,22とはんだ14,24との界面から測定点P2,P4までの距離を5mm以内としたのは、これ以上の距離となると酸化物超電導素線と銅電極との間の接続抵抗よりも銅電極そのものの抵抗が大きくなって、接続抵抗Rを精度よく求めることが困難となるからである。
同様にして、酸化物超電導素線11と電極13との接続抵抗R、及び酸化物超電導素線21と電極23との接続抵抗Rを求めた。そうすると、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗Rは、3.18×10−6Ω、3.89×10−6Ωとなった。また、酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rは、3.64×10−6Ω、3.48×10−6Ωとなった。
ここで、酸化物超電導素線11の長さLは120mm、臨界電流Ic1は143Aであるから、5×0.01×10−6×L/Ic=4.20×10−8Ωとなる。そうすると、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗Rは、5×0.01×10−6×L/Icの値を大きく超えて、式(1)の条件を満たさない。
また、酸化物超電導素線21の長さLは120mm、臨界電流Ic2は147Aであるから、5×0.01×10−6×L/Ic=4.17×10−8Ωとなる。そうすると、酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rもまた5×0.01×10−6×L/Icの値を大きく超えて、式(1)の条件を満たさない。
次に、電流偏流の評価結果について説明する。まず、図1に示すように、直流電流源103を用いて、電流経路L1と電流経路L2との並列回路に電流を流し、酸化物超電導素線11,21に流れる合計の電流Itを測定した。直流電流源103の出力電流は、60A/minの速度で徐々に増加させるようにした。そして、このとき酸化物超電導素線11に生じる電圧V11を、酸化物超電導素線11上の、はんだ14の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P1と、はんだ15の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P5との間で測定した。同様に、このとき酸化物超電導素線21に生じる電圧V21を、酸化物超電導素線21上の、はんだ24の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P3と、はんだ25の端部から5mm以内の位置に設けられた測定点P6との間で測定した。
酸化物超電導素線11,21の自己インダクタンスは共に約1.0×10−7Hであり、自己インダクタンスにより生じる電圧が、酸化物超電導素線11,21と電極12,13,22,23との接続抵抗Rにより生じる電圧や、磁束流抵抗により生じる電圧より十分小さくなるようにした。
そして、便宜上、酸化物超電導素線11に生じる電圧V11が1.2μVとなるときの電流Itを、電流Itc1、酸化物超電導素線21に生じる電圧V21が1.2μVとなるときの電流Itを、電流Itc2として測定した。そうすると、電流Itc1として238Aが得られ、電流Itc2として226Aが得られた。
この場合、酸化物超電導素線11,21に電流偏流が無く、酸化物超電導素線11,21の臨界電流Ic1,Ic2がそれぞれ同時に流れた場合には、Itc1/(Ic1+Ic2)=Itc2/(Ic1+Ic2)=1.0となる。このことから、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)の値が1.0より小さくなるほど、電流偏流が大きいことが判る。そこで、以下の説明において、Itc1/(Ic1+Ic2)とItc2/(Ic1+Ic2)とを、偏流の評価値として用いる。
なお、本明細書において、偏流とは、特定の線材に大きな電流が流れ、ある線材には臨界電流に比べてわずかしか電流が流れない場合を意味するものとする。
電流Itc1=238A、電流Itc2=226Aであるから、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)を計算すると、Itc1/(Ic1+Ic2)=0.82、Itc2/(Ic1+Ic2)=0.78となり、顕著な偏流が生じていることが確認された。
以上のように、比較例1では、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗R、及び酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rが、式(1)の条件を満たさない場合、電流偏流の評価値として、0.82と0.78とが得られた。
実施例1では、はんだ14,15,24,25として融点280℃のSn96.5Ag3Cu0.5を用いた。また、酸化物超電導素線の長さLや、酸化物超電導素線と電極との接続面積、はんだの加熱温度を変化させて、接続抵抗Rを異ならせた複数のサンプルを作成し、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)の値を算出して電流偏流の評価を行った。なお、本明細書において、はんだの種類(組成)の表記はJIS Z 3282に従うものとする。
まず、比較例1と同様に、酸化物超電導素線11,21としてY系超電導テープ素線を2本作成し、温度77.3K、外部磁場0Tの条件で臨界電流Ic1,Ic2を測定したところ、酸化物超電導素線11の臨界電流Ic1は151A、酸化物超電導素線21の臨界電流Ic2は146Aとなった。このようにして得られた酸化物超電導素線11,21を用いて、比較例1とは、はんだ14,15,24,25としてSn96.5Ag3Cu0.5を用いる以外は同様の構成で、集合化導体1のサンプルを作成した。
このサンプルについて、比較例1と同様にして接続抵抗Rを測定すると、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗Rは、3.61×10−8Ω、3.29×10−8Ωとなった。また、酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rは、3.37×10−8Ω、3.58×10−8Ωとなった。
ここで、酸化物超電導素線11の長さLは120mm、臨界電流Ic1は151Aであり、0.01×0.01×10−6×L/Ic=0.08×10−9Ω、5×0.01×10−6×L/Ic=3.97×10−8Ωとなるから、酸化物超電導素線11と電極12,13との間の接続抵抗Rは、いずれも式(1)の条件を満たしている。
また、酸化物超電導素線21の長さLは120mm、臨界電流Ic2は146Aであるから、0.01×0.01×10−6×L/Ic=0.08×10−9Ω、5×0.01×10−6×L/Ic=4.11×10−8Ωとなるから、酸化物超電導素線21と電極22,23との間の接続抵抗Rは、いずれも式(1)の条件を満たしている。
そして、比較例1と同様に、臨界電流Itc1,Itc2を測定したところ、臨界電流Itc1は283A、臨界電流Itc2は273Aであった。そうすると、Itc1/(Ic1+Ic2)=0.95、Itc2/(Ic1+Ic2)=0.92となり、集合化導体1全体を流れる電流Itc1,Itc2として、臨界電流Ic1,Ic2の合計の92%以上を確保することができた。
すなわち、式(1)の条件を満たさない比較例1の場合に対し、式(1)の条件を満たす実施例1では、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)の値が増大して、電流偏流を低減できることが確認できた。
図3は、酸化物超電導素線の長さLや、酸化物超電導素線と電極との接続面積、はんだの加熱温度を変化させて、接続抵抗Rを異ならせた複数のサンプルを作成し、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)の値を算出した結果を示すグラフである。
図3に示すように、0.01≦R×Ic/(0.01×10−6×L)≦5を満足する範囲、すなわち0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Icを満足する範囲で、Itc1/(Ic1+Ic2)とItc2/(Ic1+Ic2)とが共に0.90以上の値となることが確認でき、すなわち式(1)の条件を満たす範囲で効果的に電流偏流を抑制できることが確認できた。
また、より望ましい接続抵抗Rの範囲は、0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦2×0.01×10−6×L/Icであり、この範囲では、Itc1/(Ic1+Ic2)とItc2/(Ic1+Ic2)とが共に0.95以上の値となることが確認でき、すなわち式(2)の条件を満たす範囲で、より効果的に電流偏流を抑制できることが確認できた。
なお、上記実験結果は、酸化物超電導素線11,21としてY系超電導テープ線材を用いた場合のものであるが、Ag及びAg基合金シースを用いたBi系酸化物超電導線材を用いても、表面がY系超電導テープ線材と同様にAg又はAg基合金であるので、同様な結果が得られる。
実施例2では、実施例1と同様、はんだ14,15,24,25として融点280℃のSn96.5Ag3Cu0.5を用い、280℃加熱の条件で酸化物超電導素線11,21と、電極12,13,22,23とをはんだ付けしたサンプルを、5個作成した。そして、5個のサンプルにおける酸化物超電導素線と電極との全接続箇所、20箇所について、比較例1と同様にして、温度77.3K、外部磁場0Tの条件で接続抵抗Rを測定した。
その結果、20箇所の接続抵抗Rすべてについて、5.38×10−9Ω≦R≦4.03×10−8Ωの範囲でばらついたものの、式(1)で示す抵抗値範囲である7.92×10−11Ω≦R≦4.16×10−8Ωの条件を満たした。
はんだ14,15,24,25として融点130℃のBi58Sn42を用い、150℃に加熱した後に冷却することで、酸化物超電導素線11,21と、電極12,13,22,23とをはんだ付けした以外の条件を、実施例2を同一にして集合化導体1のサンプルを5個作成した。そして、5個のサンプルにおける酸化物超電導素線と電極との全接続箇所、20箇所について、実施例2と同様にして、温度77.3K、外部磁場0Tの条件で接続抵抗Rを測定した。
その結果、20箇所の接続抵抗Rすべてについて、式(1)で示す0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Icの条件を満足し、且つ3.18×10−8Ω≦R≦3.56×10−8Ωの範囲内に収まり、実施例2よりも接続抵抗Rのばらつき範囲を小さくすることができた。
なお、はんだ付けの加熱温度は、150℃に限られず、140℃〜200℃の温度範囲で同様の結果が得られる。
また、はんだ14,15,24,25として融点80℃のIn65Bi35を用い、120℃に加熱した後に冷却することで、酸化物超電導素線11,21と、電極12,13,22,23とをはんだ付けした以外の条件を、実施例2を同一にして集合化導体1のサンプルを5個作成した。そして、5個のサンプルにおける酸化物超電導素線と電極との全接続箇所、20箇所について、実施例2と同様にして、温度77.3K、外部磁場0Tの条件で接続抵抗Rを測定した。
その結果、20箇所の接続抵抗Rすべてについて、式(1)で示す0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Icの条件を満足し、且つ3.25×10−8Ω≦R≦3.72×10−8Ωの範囲内に収まり、実施例2よりも接続抵抗Rのばらつき範囲を小さくすることができた。
なお、はんだ付けの加熱温度は、120℃に限られず、100℃〜200℃の温度範囲で同様の結果が得られる。
本発明の一実施形態に係る酸化物超電導素線の集合化導体の構成の一例、及びこの集合化導体の特性を測定するための測定回路を概念的に示した説明図である。 図1に示す集合化導体の電極付近における拡大図、及びこの集合化導体の特性を測定するための測定回路を概念的に示した説明図である。 接続抵抗Rを異ならせた複数のサンプルについて、Itc1/(Ic1+Ic2)、Itc2/(Ic1+Ic2)の値を算出した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 集合化導体
11,21 酸化物超電導素線
12,13,22,23 電極
14,15,24,25 はんだ

Claims (11)

  1. 並列接続するための複数の酸化物超電導素線と、
    前記複数の酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続される電極とを備え、
    前記各酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での各酸化物超電導素線の臨界電流をIc(A)とした場合、前記各酸化物超電導素線と当該各酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続された電極との接続抵抗R(Ω)は、当該各酸化物超電導素線の使用温度において、それぞれ以下の式(1)で示す条件を満たし、前記各酸化物超電導素線が、前記両端にそれぞれ接続された電極を介して並列に接続され、集合化されていること
    を特徴とする酸化物超電導素線の集合化導体。
    0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(1)
  2. 前記接続抵抗R(Ω)は、以下の式(2)で示す条件を満たすこと
    を特徴とする請求項1記載の酸化物超電導素線の集合化導体。
    0.1×0.01×10−6×L/Ic≦R≦2×0.01×10−6×L/Ic ・・・(2)
  3. 前記酸化物超電導素線と前記電極とは、ビスマス(Bi)含有合金を用いたはんだによって、はんだ付けされていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導素線の集合化導体。
  4. 前記はんだは、ビスマス(Bi)と錫(Sn)との合金であること
    を特徴とする請求項3記載の酸化物超電導素線の集合化導体。
  5. 前記はんだは、ビスマス(Bi)とインジウム(In)との合金であること
    を特徴とする請求項3記載の酸化物超電導素線の集合化導体。
  6. 前記複数の酸化物超電導素線を、並列に接続する接続部をさらに備えること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化物超電導素線の集合化導体。
  7. 複数の酸化物超電導素線の両端部と複数の電極とを、ビスマス(Bi)を含有するはんだを用いて100℃〜200℃の範囲内における所定の温度ではんだ付けすることにより、前記複数の酸化物超電導素線の両端部と複数の電極とを接続し、前記複数の電極を介して前記複数の酸化物超電導素線を並列に接続することにより、前記複数の酸化物超電導素線を集合化すること
    を特徴とする酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法。
  8. 前記はんだは、ビスマス(Bi)と錫(Sn)との合金であり、
    前記温度は、140℃〜200℃の範囲内の温度であること
    を特徴とする請求項7記載の酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法。
  9. 前記はんだは、ビスマス(Bi)とインジウム(In)との合金であり、
    前記温度は、100℃〜200℃の範囲内の温度であること
    を特徴とする請求項7記載の酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法。
  10. 前記各酸化物超電導素線の長さをL(mm)、外部磁界0Tにおける0.01μV/mm基準での各酸化物超電導素線の臨界電流をIc(A)とした場合、前記各酸化物超電導素線と当該各酸化物超電導素線の両端にそれぞれ接続された電極との接続抵抗R(Ω)を、当該各酸化物超電導素線の使用温度において、それぞれ以下の式(1)で示す条件を満たすように設定すること
    を特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法。
    0.01×0.01×10−6×L/Ic≦R≦5×0.01×10−6×L/Ic ・・・(1)
  11. 前記接続抵抗R(Ω)は、前記酸化物超電導素線と前記電極との接続面積を調節することにより、設定されること
    を特徴とする請求項10記載の酸化物超電導素線の集合化導体の製造方法。
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