JP2009041678A - 水ポンプ用軸受シール装置 - Google Patents

Abstract

【課題】芯金の軸方向寸法を短くすることができると共に、外側軌道部材の装着溝に対する固定力を十分に確保することができ、さらに、低コストで優れた密封性を確保することができる水ポンプ用軸受シール装置を提供する。
【解決手段】水ポンプ用軸受シール装置１０は、固定輪である外輪１１の軸方向端部に設けられる装着溝１１ａに外周部が装着される芯金１５と、芯金１５に一体に取り付けられ、回転軸１２の外周面に摺接可能なリップ部１６ａ，１６ｂを内周部に有するゴムシール１７と、リップ部１６ａに外嵌されて、リップ部１６ａを回転軸１２の径方向内側に弾性的に締めつける弾性部材１８と、を備え、芯金１５の外周部には軸方向に屈曲する屈曲部１９が設けられると共に、屈曲部１９には複数の切欠き部２０が円周方向に所定の間隔で形成され、屈曲部１９が装着溝１１ａに加締められることにより固定される。
【選択図】図１

Description

本発明は、例えば、自動車等のエンジンに使用される外輪回転の水ポンプ装置の軸受に使用される水ポンプ用軸受シール装置に関する。

従来のこの種の水ポンプ用軸受シール装置としては、例えば、図３〜図５に示すように、外輪１と回転軸２との間に複数の転動体３が保持器４（図３、図５のみ）を介して円周方向に略等間隔で配設された水ポンプ用軸受に用いられるシール装置がある。

図３に示す水ポンプ用軸受シール装置は、円環板状に形成されて、外周部が外輪１の軸方向の端部内周面に圧入により内嵌される芯金５と、芯金５に一体に取り付けられ、回転軸２の外周面に摺接可能なリップ部６ａ，６ｂを内周部に有するゴムシール７と、リップ部６ａに外嵌されて、このリップ部６ａを回転軸２の径方向内側に締めつけるガータスプリング８と、を備える（例えば、特許文献１参照）。

図４に示す水ポンプ用軸受シール装置は、回転軸２に外嵌固定されたスリンガ９と、円環板状に形成されて、外周部が外輪１の軸方向端部に設けられた装着溝１ａに圧入により装着される芯金５と、芯金５に一体に取り付けられ、スリンガ９に摺接可能なリップ部６ａ、及びスリンガ９との間にラビリンスシールを形成するリップ部６ｃを内周部に有するゴムシール７と、リップ部６ａに外嵌されて、このリップ部６ａを回転軸２の径方向内側に締めつけるガータスプリング８と、を備える（例えば、特許文献２参照）。

図５に示す水ポンプ用軸受シール装置は、回転軸２に外嵌固定されたスリンガ９と、円環板状に形成されて、外輪１の軸方向端部に設けられた装着溝１ａに圧入により装着される芯金５と、芯金５に一体に取り付けられ、スリンガ９に摺接可能なリップ部６ａ，６ｄ、及び回転軸の外周面に摺接可能なリップ部６ｅを内周部に有するゴムシール７と、を備える（例えば、特許文献３参照）。

特開平８−３３８５３５号公報 特開２００５−４８７８０号公報 実開平３−７７０９３号公報

しかしながら、上記特許文献１に記載の水ポンプ用軸受シール装置では、芯金５の外径面の軸方向寸法を長くしないと、外輪１の内周面に対するシール装置の固定力が低下して、シール装置が外輪１から抜け落ちる可能性があるため、外輪１の軸方向寸法が長くなってしまい、エンジンルームの省スペース化の要求に応じることができなかった。

また、上記特許文献２に記載の水ポンプ用軸受シール装置では、芯金５の外周部が外輪１の軸方向端部に設けられた装着溝１ａに圧入により装着されるので、芯金５の軸方向寸法は短くできるものの、ＬＬＣの飛散や熱により、芯金５の外周部を覆うゴムシール７が劣化してシール装置の連れ回りが発生し、シール装置の固定力及び密封性が低下してしまう可能性があった。

さらに、上記特許文献３に記載の水ポンプ用軸受シール装置では、芯金５の外周部が外輪１の軸方向端部に設けられた装着溝１ａに圧入により装着されるので芯金５の軸方向寸法は短くでき、また、３つのリップ部６ａ，６ｄ、及びリップ部６ｅを有しているので密封性に優れているが、リップ部の形状が複雑なため、製造コストが増加してしまうという問題があった。

本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、芯金の軸方向寸法を短くすることができると共に、外側軌道部材の装着溝に対する固定力を十分に確保することができ、さらに、低コストで優れた密封性を確保することができる水ポンプ用軸受シール装置を提供することにある。

本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１） 円環板状に形成されて、固定側である外側軌道部材の軸方向端部に設けられる装着溝に外周部が装着される芯金と、芯金に一体に取り付けられ、回転側である内側軌道部材の外周面に摺接可能なリップ部を内周部に有するゴムシールと、リップ部に外嵌されて、リップ部を内側軌道部材の径方向内側に弾性的に締めつける弾性部材と、を備える水ポンプ用軸受シール装置であって、芯金の外周部に軸方向に屈曲する屈曲部を設けると共に、屈曲部に複数の切欠き部を円周方向に所定の間隔で形成し、屈曲部が装着溝に加締めにより固定されることを特徴とする水ポンプ用軸受シール装置。
（２） ゴムシールの材質が、フッ素ゴムであることを特徴とする（１）に記載の水ポンプ用軸受シール装置。

本発明の水ポンプ用軸受シール装置によれば、芯金の外周部に軸方向に屈曲する屈曲部を設けると共に、屈曲部に複数の切欠き部を円周方向に所定の間隔で形成して、屈曲部を外側軌道部材の装着溝に加締めにより固定しているため、芯金の軸方向寸法を短くすることができると共に、外側軌道部材の装着溝に対する固定力を十分に確保することができる。

また、本発明の水ポンプ用軸受シール装置によれば、ゴムシールのリップ部に外嵌される弾性部材によって、このリップ部が内側軌道部材の径方向内側に弾性的に締めつけられて緊迫力が継続して付与されるため、リップ部の数を増やしたり、リップ部の形状を複雑にしたりすることなく、低コストで優れた密封性を確保することができる。

さらに、本発明の水ポンプ用軸受シール装置によれば、ゴムシールの材質にフッ素ゴムを用いるため、緊迫力が付与されたリップ部の接触部分での摩耗が促進されにくく、ゴムの熱老化による密封性の低下を防止することができる。

以下、本発明に係る水ポンプ用軸受シール装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明に係る水ポンプ用軸受シール装置の一実施形態を説明するための要部断面図、図２は図１に示す水ポンプ用軸受シール装置を外輪の装着溝に加締め固定する前の状態を示す要部拡大断面図である。

本実施形態の水ポンプ用軸受シール装置１０は、図１に示すように、固定輪としての外輪１１と回転軸１２との間に複数の転動体１３が保持器１４を介して円周方向に略等間隔で配設される水ポンプ用軸受に用いられるもので、円環板状に形成されて、外輪１１の軸方向端部に設けられる装着溝１１ａに外周部が装着される芯金１５と、芯金１５に一体に取り付けられ、回転軸１２の外周面に摺接可能なリップ部１６ａ，１６ｂを内周部に有するゴムシール１７と、を備える。

ゴムシール１７は、材質にフッ素ゴム等が用いられており、芯金１５の軸方向外側面及び外周部の略全域を覆うと共に、リップ１６ａが回転軸１２の外周面に向けて軸方向外側に傾斜して延設され、リップ部１６ｂが回転軸１２の外周面に向けて軸方向内側に傾斜して延設される。そして、リップ部１６ａには、ガータスプリング（弾性部材）１８が外嵌されており、このガータスプリング１８により、リップ部１６ａが回転軸１２の径方向内側に弾性的に締めつけられる。

また、芯金１５を外輪１１の装着溝１１ａに装着する前においては、図２に示すように、芯金１５の外周部には、軸方向外側に屈曲する屈曲部１９が設けられており、この屈曲部１９には、複数の切欠き部２０が円周方向に略等間隔で形成される。そして、図１に示すように、芯金１６の屈曲部１９を塑性変形させて、この屈曲部１９を外輪１１の装着溝１１ａに加締めにより固定する。

以上説明したように、本実施形態の水ポンプ用軸受シール装置１０によれば、芯金１５の外周部に軸方向外側に屈曲する屈曲部１９を設けると共に、屈曲部１９に複数の切欠き部２０を円周方向に略等間隔で形成して、屈曲部１９を外輪１１の装着溝１１ａに加締めにより固定しているため、芯金１５の軸方向寸法を短くすることができると共に、外輪１１の装着溝１１ａに対する固定力を十分に確保することができる。

また、本実施形態の水ポンプ用軸受シール装置１０によれば、ゴムシール１７のリップ部１６ａに外嵌されるガータスプリング１８によって、このリップ部１６ａが回転軸１２の径方向内側に弾性的に締めつけられて緊迫力が継続して付与されるため、リップ部の数を増やしたり、リップ部の形状を複雑にしたりすることなく、低コストで優れた密封性を確保することができる。

さらに、本実施形態の水ポンプ用軸受シール装置１０によれば、ゴムシール１７の材質にフッ素ゴムを用いるため、緊迫力が付与されたリップ部１６ａの接触部分での摩耗が促進されにくく、ゴムの熱老化による密封性の低下を防止することができる。

なお、本発明の芯金、リップ部、ゴムシール、弾性部材、屈曲部、切欠き部、外側軌道部材、装着溝、内側軌道部材等の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。

本発明に係る水ポンプ用軸受シール装置の一実施形態を説明するための要部断面図である。 図１に示す水ポンプ用軸受シール装置を外輪の装着溝に加締め固定する前の状態を示す要部拡大断面図である。 従来の水ポンプ用軸受シール装置を説明するための要部断面図である。 従来の他の水ポンプ用軸受シール装置を説明するための要部断面図である。 従来の他の水ポンプ用軸受シール装置を説明するための要部断面図である。

符号の説明

１０ 水ポンプ用軸受シール装置
１１ 外輪（外側軌道部材、固定輪）
１１ａ 装着溝
１２ 回転軸（内側軌道部材）
１３ 転動体
１４ 保持器
１５ 芯金
１６ａ，１６ｂ リップ部
１７ ゴムシール
１８ ガータスプリング（弾性部材）
１９ 屈曲部
２０ 切欠き部

Claims (2)

1. 円環板状に形成されて、固定側である外側軌道部材の軸方向端部に設けられる装着溝に外周部が装着される芯金と、
   前記芯金に一体に取り付けられ、回転側である内側軌道部材の外周面に摺接可能なリップ部を内周部に有するゴムシールと、
   前記リップ部に外嵌されて、前記リップ部を前記内側軌道部材の径方向内側に弾性的に締めつける弾性部材と、を備える水ポンプ用軸受シール装置であって、
   前記芯金の外周部に軸方向に屈曲する屈曲部を設けると共に、前記屈曲部に複数の切欠き部を円周方向に所定の間隔で形成し、前記屈曲部が前記装着溝に加締めにより固定されることを特徴とする水ポンプ用軸受シール装置。
2. 前記ゴムシールの材質が、フッ素ゴムであることを特徴とする請求項１に記載の水ポンプ用軸受シール装置。

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