JP2009041537A - ターボチャージャ - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンパ効果を長期にわたって維持することができるとともに、ロータ軸を支持するベアリングの耐久性を向上することができるターボチャージャを提供する。
【解決手段】センタハウジング11の左端面に排気通路12aを有するタービンハウジング12を接合固定する。センタハウジング11の右端面に吸気通路13aを有するコンプレッサハウジング13を接合固定する。前記センタハウジング11の収容孔11aに複数の弾性材15を介して軸受ハウジング16を弾性的に支持する。軸受ハウジング16の内部に1対のラジアル・スラストベアリング17を介してロータ軸18を回転可能に支持する。ロータ軸18の左端部にタービン19を前記排気通路12a内に位置するように嵌合固定し、ロータ軸18の右端部にインペラ22を前記吸気通路13a内に位置するように嵌合固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のエンジンの出力を排気量を変えたりしないで増大させるため、エンジンに送り込む空気を排気のエネルギにより圧縮するようにしたターボチャージャに関する。
従来、この種のターボチャージャとして、特許文献1に開示されたものが提案されている。このターボチャージャは、センタハウジングの一端面に排気通路を有するタービンハウジングを接合固定し、他端面に吸気通路を有するコンプレッサハウジングを接合固定している。又、センタハウジングの内周面に軸受ハウジングを支持し、該軸受ハウジングの軸孔にラジアルベアリング及びスラストベアリングを介してロータ軸を回転可能に支持している。さらに、前記ロータ軸の一端部に前記排気通路内に収容されるタービンを嵌合固定し、ロータ軸の他端部に前記吸気通路に収容されるインペラを嵌合固定している。そして、前記タービンを排気のエネルギにより回転することにより、ロータ軸及びインペラを回転し、前記給気通路を通じてエンジンに送り込まれる空気を圧縮する。
前記ロータ軸、タービン及びインペラは、例えば1分間に数万〜十数万回で高速回転されることもあって、ロータ軸等の振動が発生した場合、騒音が激しくなるばかりでなく、タービンやインペラがハウジングに接触してタービンやインペラが損傷する恐れがある。前記振動を減衰するため、前記軸受ハウジングの外周面とセンタハウジングの収容孔の内周面との間に隙間を設け、この隙間にエンジンのオイルパンから潤滑用オイルを油ポンプにより圧送供給して、前記隙間に所定圧力のダンパ機能を有するオイルフィルムを形成し、高速回転時におけるロータ軸等の振動を減衰するようになっていた。又、前記隙間に供給された潤滑用オイルは軸受ハウジング内の前記ラジアルベアリング及びスラストベアリングを潤滑するために軸受ハウジングの軸孔内に導かれ、前記両ベアリングを潤滑した後に、センタハウジングの外部に導かれ、前記オイルパンに還流されるようになっている。
特開2002−242937号公報
ところが、上記従来のターボチャージャは、前記軸受ハウジングの外周面とセンタハウジングの収容孔の内周面との隙間にオイルフィルムを形成するために、エンジンの潤滑用オイルを用いていたので、エンジンの潤滑用オイルにその長期使用によってカーボンやスラッジ等の異物が混入すると、この異物が前記オイルフィルムを形成する隙間に残留して、ダンパ効果が低下するという問題があった。
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、ダンパ効果を長期にわたって維持することができるとともに、ベアリングの耐久性を向上することができるターボチャージャを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、センタハウジングの一端面に排気通路を有するタービンハウジングを接合固定し、他端面に吸気通路を有するコンプレッサハウジングを接合固定し、センタハウジングの収容孔の内周面にダンパ機構を介して軸受ハウジングを支持し、該軸受ハウジングの軸孔にラジアルベアリング及びスラストベアリングを介してロータ軸を回転可能に支持し、該ロータ軸の一端部に前記排気通路内に収容されるタービンを嵌合固定し、ロータ軸の他端部に前記吸気通路に収容されるインペラを嵌合固定したターボチャージャにおいて、前記センタハウジングの収容孔の内周面と、前記軸受ハウジングの外周面とにより形成された隙間に、耐熱性を有する材料よりなる弾性材を介在することにより前記ダンパ機構を構成したことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記弾性材は全体として円環状をなすコイルバネであって、センタハウジングと同心状に配設されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記センタハウジングの収容孔及び軸受ハウジングの外周面の少なくとも一方には円環状の前記コイルバネの一部を収容して位置決めするための環状の収容溝が円周方向に形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記軸受ハウジングの前記タービン側の端面とタービンの背面との間には微小クラランスが設けられ、軸受ハウジングのインペラ側の端面はコンプレッサハウジングの背面に接触されていることを要旨とする。
(作用)
この発明は、前記センタハウジングの収容孔の内周面と、前記軸受ハウジングの外周面とにより形成された隙間に、耐熱性を有する材料よりなる弾性材を介在してダンパ機構を構成したので、エンジンの潤滑用オイルを用いなくても済む。この結果、センタハウジングの内周面と軸受ハウジングの外周面との間の隙間に劣化したオイルに含まれる異物が堆積することはなく、ダンパ効果を長期にわたって維持することができる。
本発明によれば、ダンパ効果を長期にわたって維持することができるとともに、ロータ軸を支持するベアリングの耐久性を向上することができる。
以下、本発明を具体化したターボチャージャの一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、横円筒状をなす収容孔11aを形成したセンタハウジング11の左端面には排気通路12aを有するタービンハウジング12が接合固定されている。前記センタハウジング11の右端面には吸気通路13aを有するコンプレッサハウジング13が接合固定されている。前記センタハウジング11の収容孔11aには全体として環状をなすコイルバネよりなる複数(この実施形態では3つ)の弾性材15を介して軸受ハウジング16の外周面16aが弾性的に支持されている。軸受ハウジング16の内部に形成された軸孔16bの内周面にはラジアル・スラストベアリング17を介してロータ軸18が回転可能に支持されている。
前記ロータ軸18の左端部には前記タービンハウジング12の排気通路12a内に収容されたタービン19が嵌合固定されている。前記ロータ軸18の軸方向の中間部に一体形成されたフランジ部18aと、前記タービン19の背面との間には、スペーサ20が介在されている。前記タービン19及びスペーサ20はロータ軸18の左端部に螺合したボルト21によってロータ軸18上の所定位置に締付固定されている。
前記ロータ軸18の右端部にはインペラ22が嵌合固定され、ロータ軸18の外周面に一体に形成された段差部18bと、前記インペラ22の背面との間にはスペーサ23及びリング24が介在されている。
前記両ラジアル・スラストベアリング17はロータ軸18の外周面に嵌合されたインナーレース25と、前記軸受ハウジング16の軸孔16bに嵌入されたアウターレース26と、前記両レース25,26の間に介在された複数のボール27とによって構成されている。前記二つのラジアル・スラストベアリング17,17の間に位置するように前記軸受ハウジング16の軸孔16bには左右一対のリング28,29がロータ軸18の軸線方向の移動可能に収容され、両リング28,29の間にはコイルばね30が介在されている。このコイルばね30によって前記両リング28,29が互いに離隔する方向に押されて、前記両ラジアル・スラストベアリング17のアウターレース26がボール27に向かってそれぞれ押し付けられる。このため、左側のラジアル・スラストベアリング17のインナーレース25が前記フランジ部18aに押し付けられ、右側のラジアル・スラストベアリング17のインナーレース25が前記リング24に押し付けられる。前記軸受ハウジング16の軸孔16bの内周面には、前記リング28の軸方向右方への位置を規制する段差部16c及び前記リング29の軸方向左方への位置を規制する段差部16dが一体に形成されている。そして、前記両段差部16c,16dにより前記リング28,29が軸方向に関して互いに接近する方向への移動が阻止されて、前記ロータ軸18、タービン19及びインペラ22が軸受ハウジング16の軸孔16b内で軸方向に移動しないようになっている。
前記軸受ハウジング16の左端面16eは、前記スペーサ20の背面20aに非接触状態で微小クリアランスをもって対向され、軸受ハウジング16の右端面16fは、前記コンプレッサハウジング13の背面13bに接触されて右方への移動が規制されている。
前記センタハウジング11と軸受ハウジング16との間に介在された前記弾性材15は、図2に示すようにステンレススチールにより形成されたコイルバネを全体として円環状になるように巻き付けることにより形成されている。前記センタハウジング11の収容孔11aの内周面には弾性材15の外周側の一部を収容するための収容溝11bが収容孔11aの円周方向に環状に形成されている。
図3に示すように、前記センタハウジング11の収容孔11aの内周面と前記軸受ハウジング16の外周面16aとの隙間gは、例えば0.9〜1.4mmに設定され、弾性材15の線径dは、例えば0.2〜0.5mmに設定されている。前記弾性材15の直径Dは、例えば1.0〜1.5mmに設定され、前記収容溝11bの深さeは例えば0.2〜0.3mmに設定されている。
次に、前記のように構成されたターボチャージャの動作について説明する。
図1において、エンジンの排気ガスがタービンハウジング12の排気通路12aに供給されると、タービン19が回転され、これによってロータ軸18及びインペラ22が回転される。インペラ22の回転により吸気通路13aを通じてエンジンに送り込まれる空気が圧縮され、空気が気化器側に強制的に圧送され、エンジンの吸気効率を向上することができる。前記タービン19、ロータ軸18及びインペラ22がラジアル方向に振動された場合、この軸受ハウジング16の振動は、図3に示す前記弾性材15が軸受ハウジング16の径方向に弾性変形されることによって減衰され、振動の振幅が例えば20〜30μmに抑制される。この結果、ロータ軸18の高速回転が安定して行われる。
図1において、タービン19は高圧の排気ガスによって回転され、回転に用いられた排気ガスがタービンハウジング12の中央部から左方に排出されるので、タービン19は軸方向右方への押圧力を受ける。一方、インペラ22の回転により吸気通路13a内の空気が圧縮される際にインペラ22は、軸方向左方への押圧力を受けるが、この押圧力は前記タービン19の押圧力よりも弱いので、軸受ハウジング16及びロータ軸18は、全体として軸方向右方への押圧力を受ける。この押圧力は軸受ハウジング16の右端面16fがコンプレッサハウジング13の背面13bに支持されることにより受承される。
なお、前記軸受ハウジング16内のラジアル・スラストベアリング17の潤滑は、軸受ハウジング16の軸孔16bに充填されたグリース(図示略)によって行われる。
上記実施形態のターボチャージャによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記センタハウジング11の収容孔11aと、軸受ハウジング16の外周面16aとの間に隙間gを設け、この隙間gに軸方向に所定の間隔をおいて複数のコイルバネよりなる全体として環状をなす弾性材15を収容した。又、前記軸受ハウジング16を前記排気通路12aとタービンハウジング12との間においてロータ軸18の径方向に移動可能に収容するとともに、軸受ハウジング16の左端面16eをスペーサ20の背面20aと対向させ、右端面16fをコンプレッサハウジング13の背面13bに接触させた。このため、前記タービン19が排気ガスのエネルギによって回転され、ロータ軸18、タービン19及びインペラ22が高速で回転されるときのラジアル方向の振動を前記弾性材15によって減衰することができ、騒音を低減し、タービン19やインペラ22がタービンハウジング12やコンプレッサハウジング13に接触して損傷するのを防止することができる。
(2)上記実施形態では、前記隙間g内に前記弾性材15が収容され、隙間g内にエンジンの潤滑用オイルが供給されることはないので、隙間g内にオイル中の異物が送り込まれることもなく、弾性材15によるダンパ効果を長期にわたって維持することができる。
(3)上記実施形態では、前記軸受ハウジング16の軸孔16bとロータ軸18との間に介在されたラジアル・スラストベアリング17に外部からエンジンの潤滑用オイルが供給されることは無いので、劣化したオイルに含まれる異物がラジアル・スラストベアリング17に噛み込まれてベアリング17が損傷するのを防止することができる。
(4)上記実施形態では、前記センタハウジング11の収容孔11aに前記弾性材15の外周側の一部を収容するための収容溝11bを形成したので、弾性材15を所定位置に保持することができ、安定したダンパ効果を発揮することができる。
(5)上記実施形態では、軸受ハウジング16のタービン19側の端面16eと、スペーサ20の背面20aとの間に微小クリアランスを設け、軸受ハウジング16のインペラ22側の端面16fを、コンプレッサハウジング13の背面13bに接触するようにしたので、前記軸受ハウジング16がフローティング状態で支持され、軸受ハウジング16の振動を適正に許容することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図4に示すように前記軸受ハウジング16の外周面16aにも前記弾性材15の内周側の一部を収容するための収容溝16gを軸受ハウジング16の円周方向に全長にわたって形成してもよい。又、軸受ハウジング16の収容溝16gのみを設けてもよい。
・図5に示すように、前記弾性材15に代えて、耐熱性を有する複数の金属製の皿バネ35を全体として軸受ハウジング16の外周面16aに沿って周方向に間欠環状をなすように介在してもよい。各皿バネ35はセンタハウジング11に形成された収容溝11bに係合されている。又、図示しないが、耐熱性を有し、全体として環状をなす金属製の板バネを使用したりしてもよい。
・図示しないが、前記軸受ハウジング16の軸孔16bに対しラジアルベアリングとスラストベアリンとを別々に収容する構成にしてもよい。
上記実施形態から把握される請求項以外の技術的思想について以下に説明する。
(1)請求項2又は3において、前記センタハウジングの収容孔の内周面と前記軸受ハウジングの外周面との隙間は、0.9〜1.4mmに設定され、前記コイルバネの直径は、1.0〜1.5mmに設定されていることを特徴とするターボチャージャ。
この発明を具体化したターボチャージャの1実施形態を示す中央部縦断面図。 図1の1−1線断面図。 この発明の弾性材の一部を拡大して示す断面図。 この発明の別の実施形態を示す弾性材付近の部分断面図。 この発明の別の実施形態を示す弾性材付近の部分断面図。
符号の説明
g…隙間、11…センタハウジング、11a…収容孔、11b,16g…収容溝、12…タービンハウジング、12a…排気通路、13…コンプレッサハウジング、13a…吸気通路、13b,20a…背面、15…弾性材、16…軸受ハウジング、16a…外周面、16b…軸孔、16e,16f…端面、18…ロータ軸、19…タービン、22…インペラ。

Claims (4)

  1. センタハウジングの一端面に排気通路を有するタービンハウジングを接合固定し、他端面に吸気通路を有するコンプレッサハウジングを接合固定し、センタハウジングの収容孔の内周面にダンパ機構を介して軸受ハウジングを支持し、該軸受ハウジングの軸孔にラジアルベアリング及びスラストベアリングを介してロータ軸を回転可能に支持し、該ロータ軸の一端部に前記排気通路内に収容されるタービンを嵌合固定し、ロータ軸の他端部に前記吸気通路に収容されるインペラを嵌合固定したターボチャージャにおいて、
    前記センタハウジングの収容孔の内周面と、前記軸受ハウジングの外周面とにより形成された隙間に、耐熱性を有する材料よりなる弾性材を介在することにより前記ダンパ機構を構成したことを特徴とするターボチャージャ。
  2. 請求項1において、前記弾性材は全体として円環状をなすコイルバネであって、センタハウジングと同心状に配設されていることを特徴とするターボチャージャ。
  3. 請求項2において、前記センタハウジングの収容孔及び軸受ハウジングの外周面の少なくとも一方には円環状の前記コイルバネの一部を収容して位置決めするための環状の収容溝が円周方向に形成されていることを特徴とするターボチャージャ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、前記軸受ハウジングの前記タービン側の端面とタービンの背面との間には微小クラランスが設けられ、軸受ハウジングのインペラ側の端面はコンプレッサハウジングの背面に接触されていることを特徴とするターボチャージャ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120227398A1 (en) * 2009-11-12 2012-09-13 Continental Automotive Gmbh Exhaust gas turbocharger, motor vehicle and method for assembling an exhaust gas turbocharger

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