JP2009039757A - 線材圧延方法及びタンデム圧延装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の圧延スタンド12を有するタンデム圧延装置で線材を圧延する線材圧延方法において、前記各圧延スタンド12毎に、当該圧延スタンド12の圧延ロール13を駆動する駆動モータ14の負荷の実績値P1を求め、前記負荷の実績値P1と駆動モータ14の出力特性に基づいて、駆動モータ14が定格負荷であるときの線速の推定値V1を求め、当該線速の推定値V1に基づいて圧延ロール13の回転数を制御する。
【選択図】図3
Description
タンデム圧延では、様々な鋼材を圧延するため、その鋼材の種類に応じて圧延する圧延条件(圧延ロールの径、カリバーの大きさ及び圧延荷重など)を変更することがあり、その度にタンデム圧延した際の圧延ロールを回転駆動させる電動機にかかる負荷は色々と変化することになる。
即ち、タンデム圧延においては、鋼種変更等による圧延条件の変化や圧延ロールの経年変化によって、各圧延機の電動機にかかる負荷は色々と変化することが実情である。
さて、タンデム圧延においては、可及的に圧延速度(以降、線速ということがある)を最大にして圧延することが好ましいため、線速が最大となるように各圧延機の圧延ロールの回転数を適宜設定することが行われている。
そこで、従来では、過去のタンデム圧延での実績データや圧延機を取り扱うオペレータの経験に基づき、ネックとなる圧延機を予測して、ネックの圧延機での電動機の負荷が定格を超えないように、線速を最大にするという線速の調整を行っていた。
しかしながら、上述した線速の調整では、ネックとなる圧延機を予測するには、過去の記録やオペレータの経験に基づいていており、確実であるものではなかったため、ミスロールなどの操業トラブルを誘発し易く、不用意に電動機に多大な負荷をかけて当該電動機の寿命を低下させてしまう虞があった。
特許文献1におけるタンデム圧延機の速度制御方法では、圧延スタンドに定格電流を超えるトルクが発生した時に当該電動機の電流を制限し、当該電流制限圧延スタンドで電流制限に基づいて発生する速度変化率を計測し、他の全圧延スタンドの速度を電流制限スタンドの速度変化率分、もしくは一義的な定数分だけ下げることが開示されている。
特許文献2における圧延ミルモータの回転数制御装置では、電動機が過負荷となった場合に回転速度を規制する電動機回転数調整手段が設けられていることが開示されている。
特許文献3の技術においては、電動機に過負荷がかからないようにしてものであるが、この技術は圧延ロールのギャップを変更することにより薄板の圧延を行うもので、本願発明のように線材の圧延を行うものではなく、圧延条件や電動機が過負荷となる状況が線材の圧延のものとは全く行っている。そのため、薄板を圧延する技術を線材の圧延を行うものには適用することは不可能である。
まず、発明者は、圧延中に駆動モータにかかっている負荷を把握するために、圧延スタンドの圧延ロールを駆動する駆動モータの負荷の実績値を求めることにした。その上で、圧延スタンドの駆動モータの負荷を定格負荷にした場合の線速の推定値を求め、圧延ロールの回転数を制御する際に、線速の推定値を用いることにした。
このように、圧延中に駆動モータを定格負荷にした場合の線速を推定して、その上で圧延ロールの回転数を制御するようにしているため、駆動モータに対して定格負荷を大幅に超えるような過負荷を加えることを防止しつつ、駆動モータの能力を最大に生かして線速を出来るだけ速くすることが可能となった。
前記圧延ロールの回転数を制御するにあたっては、駆動モータの負荷の実績値が当該駆動モータの定格負荷に最も近い圧延スタンドを選定し、当該圧延スタンドでの線速の実績値と推定値とから上昇させることのできる上昇線速量を求め、上昇線速量に基づいて圧延ロールの回転数を制御することが好ましい。
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、複数の圧延スタンドを有するタンデム圧延装置で線材を圧延するタンデム圧延装置において、前記各圧延スタンド毎に、当該圧延スタンドの圧延ロールを駆動する駆動モータの負荷の実績値を求める負荷実績値算出手段と、前記負荷実績値算出手段で求められた負荷の実績値と圧延ロール径と圧延ロールの回転数及び駆動モータの出力特性に基づいて、駆動モータが定格負荷であるときの線速の推定値を求める線速推定値算出手段と、前記線速推定値算出手段で求められた線速の推定値に基づいて各圧延ロールの回転数を制御する圧延スタンド制御手段とを備えている点にある。
圧延スタンド制御手段は、前記上昇線速量算出部で求めた上昇線速量が圧延スタンドの中で最も小さいものに基づいて各圧延ロールの回転数を上昇させることが好ましい。
圧延スタンド制御手段は、駆動モータの負荷の実績値が当該駆動モータの定格負荷に最も近い圧延スタンドでの上昇線速量に基づいて各圧延ロールの回転数を上昇させることが好ましい。
図1は本発明のタンデム圧延装置の全体図を示している。
図1に示すように、このタンデム圧延装置1は加熱炉2から移送された圧延材3を線材に圧延するもので、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上げ圧延機6、巻き取り機8、これらを制御する制御装置9を備えている。
加熱炉2の下流側には粗圧延機4が配置されており、粗圧延機4から下流側に向けて順に中間圧延機5、仕上げ圧延機6、巻き取り機8が配置されている。粗圧延機4と中間圧延機5との間には、圧延材3を切断する第1切断装置10が設けられており、中間圧延機5と仕上圧延機6との間には圧延材3を切断する第2切断装置11が設けられている。
制御装置9は、例えば、圧延ロール13の圧延荷重を制御したり、駆動モータ14の回転数を調整することで圧延ロール13の回転数(線速)を制御するもので、例えば、プロセスコンピュータで構成されている。
この制御装置9には、図示省略のドライブ装置を介して各駆動モータ14の電流値が入力されると共に、圧延ロール13の回転数(言い換えれば、駆動モータ14の回転数)が入力されるようになっている。
負荷実績値算出手段15は、圧延スタンド12の圧延ロール13を駆動する駆動モータ14の負荷の実績値P1を求めるもので、具体的には、圧延中においての駆動モータ14の電流値を用いて、前記実績値P1を圧延スタンド12毎に求めるようになっている。
線速推定値算出手段16は、負荷実績値算出手段15で求めた負荷の実績値P1とこのときの線速(圧延ロール径と圧延ロール13の回転数から求める線速)と駆動モータ14の出力特性に基づいて、駆動モータ14が定格負荷であるときの線速の推定値V1を求めるものである。
なお、出力特性マップにおいて、駆動モータ14の回転数は線材の線速と関連性があり、駆動モータ14の回転数を計算により線速に置き換えることが可能であるため、説明の便宜上、以降、駆動モータ14の回転数を線速に置き換えて説明することがある。
線速推定値算出手段16は、圧延中において、駆動モータ14の負荷の実績値P1と、線材の線速(実際には、圧延ロール径と圧延ロール13の回転数及び駆動モータ14の回転数から求める)の実績値V2とから出力特性マップでの現在位置Aを求め、当該現在位置Aと出力特性マップ(データ)とを用いて駆動モータ14を定格負荷まで上昇させた際の線速の推定値V1を求める。
さて、圧延中に第1切断装置10又は第2切断装置11によって線材を所定の長さ(重量ベースで言えば、2tonの圧延材3を粗圧延機4に導入した際の重量の半分、例えば、1ton)に切断する場合があり、圧延材3を圧延中に切断すると、その直後に圧延スタンド12(圧延ロール13)にかかる負荷が一時的に変化する。そのため、線速推定値算出手段16は、線速の推定値V1の算出にあたって、切断時の駆動モータ14の負荷の実績値P1、即ち、電流値は採用しないようにしている。
圧延スタンド制御手段17は、線速推定値算出手段16で求められた線速の推定値V1に基づいて各圧延ロール13の回転数(線速)を制御するものである。この圧延スタンド制御手段17は、線速の実績値V2と線速の推定値V1とに基づいて上昇することのできる上昇線速量を各圧延スタンド12毎に算出する上昇線速量算出部19を備えている。
そして、圧延スタンド制御手段17は、上昇線速量算出部19で算出した複数の圧延スタンド12の中で上昇線速量ΔVが最も小さいものを選択して、フィードバック制御により、選択した上昇線速量だけ各圧延ロール13の回転数を上昇させる。
制御装置9には、上昇線速量ΔVを表示してオペレータにガイダンスする表示装置20が具備されている。この表示装置20は、例えば、プロセスコンピュータに具備されたモニタで構成されている。
図4に示すように、この表示装置20は、粗圧延機4における最初の圧延スタンド12から仕上げ圧延機6の最後の圧延スタンド12までの各圧延スタンド(例えば、1番スタンド〜20番スタンド)において、各駆動モータ14の定格負荷に対する現状の負荷を百分率の棒グラフで表示する。
また、表示装置20は、駆動モータ14の定格負荷に対して最も現状の負荷が大きな圧延スタンド12の番号(最大負荷スタンド、13st)と、定格負荷に対する現状負荷の百分率(例えば、97%)を表示する。さらに、表示装置20は、上昇線速量ΔV算出部19で算出した上昇線速量ΔVうち制御の際に選択される上昇線速量ΔVを表示する。この実施の形態では、表示装置20は、選択された上昇線速量ΔVを線速の実績値からどれだけ上昇できるかという「UP率」という形で表示している。
以下、線材圧延方法及びタンデム圧延装置の動作を説明する。
図5、6に示すように、圧延スタンド12に線材が導入され、当該線材が圧延ロール13に噛み込んでから数秒後(例えば、5秒後)に、制御部9(線速推定手段16)によって、圧延ロール13の径13(圧延ロール径)、圧延ロール13の回転数(駆動モータ14の回転数)から、実質的な線速(線速の実績値V2)を算出する(S1)。なお、圧延ロール13の径については、圧延前に予め各圧延スタンド12毎に設定していてもよいし、圧延中に圧延スタンド12毎に圧延ロール13の径を推定してもよい。
負荷実績値算出手段15によって、駆動モータ14の電流値の実績値を用いて駆動モータ14の出力、即ち、負荷を算出する(S3)。
線速推定値算出手段16によって、負荷の実績値P1、線速の実績値V2及び駆動モータ14の出力特性を用いて、駆動モータ14を定格負荷としたときの線速の推定値V1(推定回転数)を求める(S4)。
上昇線速量算出部19によって、線速の推定値V1と線速の実績値V2とから上昇線速量ΔVを求める(S5)。
圧延スタンド制御手段17によって、上昇線速量算出部19で算出した全圧延スタンド12の中で上昇線速量ΔVの偏差(差)が最も小さいものを選択する(S7)。
各圧延スタンド12に対して、線速が選択された上昇線速量ΔVだけ上昇するように、フィードバック制御により圧延ロール13の回転数を上昇させる(S8)。
図6に示すように、圧延スタンド12の圧延ロール13に圧延材が噛み込んだ直後は、駆動モータ14の電流値が安定しないため、所定時間(噛込安定時間T1)を経て駆動モータ14の電流値を読み込む(測定)ようにしている。
駆動モータ14の電流値の測定開始後、圧延材3が圧延ロール13から抜ける数秒前まで測定を継続し、この測定区間(例えば、60秒)T2での電流値を用いて、駆動モータ14の実績値を求めると共に、上昇線速量ΔVを求めた。なお、電流値を読み込むサンプリング時間は200msecとした。
また、2本目の圧延材を圧延する際には、圧延中に第1切断装置10にて圧延材3を切断(カット)しているため、不採用区間T4での10秒間における駆動モータ14の電流値は、上昇線速量ΔVの算出には採用しないようにしている。不採用区間T4について、圧延材3を切断した後、数秒電流値を採用しないようにしてもよいが、圧延材3を切断した前後数秒、電流値を採用しないようにしてもよい。
本発明は上記の実施の形態に限定されない。
上記の実施の形態では、駆動モータ14が定格負荷であるときの線速の推定値V1を、各圧延スタンド12毎に求めていたが、これに代え、圧延中に最も定格負荷に近い駆動モータ14を選択して、当該駆動モータ14を定格負荷にしたときの上昇線速量ΔVのみを求めるようにしてもよい。
なお、上記の実施形態では、圧延スタンド13毎に圧延ロール13を駆動する駆動モータ14が接続されたものを示したが、これに代え、複数の圧延スタンド13に対して1つの駆動モータ14が接続されるものであってもよい。例えば、ブロックミルやサイジングミルのような仕上げ圧延機6では、複数の圧延スタンド13(圧延ロール12)を1つの駆動モータ14で駆動している場合があるが、このような場合でも、適用してもよい。
12 圧延スタンド
13 圧延ロール
14 駆動モータ
P1 負荷の実績値
V1 線速の推定値
Claims (8)
- 複数の圧延スタンドを有するタンデム圧延装置で線材を圧延する線材圧延方法において、
前記各圧延スタンド毎に、当該圧延スタンドの圧延ロールを駆動する駆動モータの負荷の実績値を求め、前記負荷の実績値と圧延ロール径と圧延ロールの回転数及び駆動モータの出力特性に基づいて、駆動モータが定格負荷であるときの線速の推定値を求め、当該線速の推定値に基づいて圧延ロールの回転数を制御することを特徴とする線材圧延方法。 - 前記圧延ロールの回転数を制御するにあたっては、前記線速の実績値と推定値とに基づいて上昇させることのできる上昇線速量を圧延スタンド毎に求め、圧延スタンドの中で上昇線速量が最も小さいものを選択し、選択された上昇線速量に基づいて圧延ロールの回転数を制御することを特徴とする請求項1に記載の線材圧延方法。
- 前記圧延ロールの回転数を制御するにあたっては、駆動モータの負荷の実績値が当該駆動モータの定格負荷に最も近い圧延スタンドを選定し、当該圧延スタンドでの線速の実績値と推定値とから上昇させることのできる上昇線速量を求め、上昇線速量に基づいて圧延ロールの回転数を制御することを特徴とする請求項1に記載の線材圧延方法。
- 前記上昇線速量の算出にあたっては、圧延中の線材を切断した際の駆動モータの負荷の実績値を採用しないことを特徴とする請求項2又は3に記載の線材圧延方法。
- 複数の圧延スタンドを有するタンデム圧延装置で線材を圧延するタンデム圧延装置において、
前記各圧延スタンド毎に、当該圧延スタンドの圧延ロールを駆動する駆動モータの負荷の実績値を求める負荷実績値算出手段と、
前記負荷実績値算出手段で求められた負荷の実績値と圧延ロール径と圧延ロールの回転数及び駆動モータの出力特性に基づいて、駆動モータが定格負荷であるときの線速の推定値を求める線速推定値算出手段と、
前記線速推定値算出手段で求められた線速の推定値に基づいて各圧延ロールの回転数を制御する圧延スタンド制御手段とを備えていることを特徴とするタンデム圧延装置。 - 前記圧延スタンド制御手段は、前記線速の実績値と推定値とから上昇させることのできる上昇線速量を求める上昇線速量算出部を備えていることを特徴とする請求項5に記載のタンデム圧延装置。
- 圧延スタンド制御手段は、前記上昇線速量算出部で求めた上昇線速量が圧延スタンドの中で最も小さいものに基づいて各圧延ロールの回転数を上昇させることを特徴とする請求項6に記載のタンデム圧延装置。
- 圧延スタンド制御手段は、駆動モータの負荷の実績値が当該駆動モータの定格負荷に最も近い圧延スタンドでの上昇線速量に基づいて各圧延ロールの回転数を上昇させることを特徴とする請求項6に記載のタンデム圧延装置。
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