JP2009036774A - 応力測定方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波を用いて被測定物の所定箇所における対向面相互間の音の伝搬時間を測定し、荷重負荷時における被測定物の内部応力をリアルタイムで定量的に測定すること。
【解決手段】被測定物1の素材について、所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時の伝搬時間tと荷重を変化させて印加し当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとを測定し、これらに基づいて該素材固有の応力依存係数αを、予め特定された算定式α=f(Δt,σ)により算定する。又、未知の荷重が負荷された状態の被測定物1について所定箇所の対向面相互間の音の伝搬時間tを測定する。この音の伝搬時間tと前記応力依存係数α等の情報に基づいて予め特定された内部応力σに関する式σ=f(Δt,α)を主演算部13で演算し、実際に装備された状態の被測定物1の現実の内部応力σをリアルタイムで定量的に且つ迅速に特定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、応力測定方法およびその装置に係り、特に、加工工程における素材および製品(例えば半導体単結晶など)の内部応力を、又発電所,高圧プラント,航空機,車両や各種装置或いはその他の建造物等に組み込んだ部材内の未知の内部応力を、定量的に且つ迅速に測定することを可能とした応力測定方法およびその装置に関する。
金属部材を骨格として使用する各種車両や各種建造物については、一般にその耐用年数は、ほぼ半永久的となっている。これに対し、これら各建造物や車両を構成する各種部材については、部分的な損傷が進行することもあって、多くの場合、予め一定年数の経過とともに補修若しくは部品交換の必要性を定めている。
ここで、各種車両にあっては、その重量を支える車軸をはじめとして、連結用のボルトや動力伝達シャフト等には、静的な荷重或いは動的な荷重が継続して若しくは繰り返して印加される。このため、これらの部材には、多くの場合、上述した各種荷重によって生じる内部応力に充分耐え得る強度を備えた部材が選択され使用されている。そして、かかる場合においても、装置全体の定期点検や損傷し易い箇所の部材の交換の必要性が定められている場合が多い。
一方、上述した各種部材等を対象として、それらに印加される荷重によって実際に生じる内部応力の大きさやその変動を把握することは、当該部材の疲労度等を推測するに際し、又素材の改善や形状構造の研究に際しては重要な情報となる。
このため、従来より、特に超音波を用いてこれら各部材の内部応力を厳密に測定しようとする試みが、例えば下記特許文献1に示すように、比較的多くなされている。
特開平5−203513
しかしながら、上記特許文献1における特開平5−203513公報に記載の発明(超音波によるボルト軸力の測定方法)は、音速測定に際しては当該部材の音速を超音波の縦波と横波の両方で測定し特定することが必須の要件となっており、このため多くの手間がかかるばかりでなく、超音波センサとして縦波用超音波センサと横波用超音波センサの両方を常時準備しなければならないという煩わしさを常に伴っていた。
更に、この特許文献1にかかる発明は、縦波と横波の音速比Rと応力σとの関係に関して技術的な関連性が未開示であり、産業上の利用性に欠けるという不都合があった。
本発明の目的は、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、縦波又は横波の何れか一方の超音波を用いて被測定物の音速若しくは音の伝搬時間を測定すると共に、これらの情報に基づいて荷重負荷時における当該被測定物の内部に生ずる内部応力をリアルタイムで定量的に測定し得る応力測定方法およびその装置を提供することにある。
本発明にかかる応力測定方法およびその装置は、被測定物の内部応力の測定に際し、当該被測定物内を伝搬する音の伝搬時間を測定してその伝搬時間の変化情報を利用するようにした構成となっている。
そして、この場合、課題解決のための手法として、本発明では、被測定物の素材が備えている固有の常数(応力依存係数α)をまず算定し、これに基づいて被測定物内の内部応力をリアルタイムで具体的に測定するようにした点に特徴を有する。
まず、本発明にかかる応力測定方法(請求項1乃至4)は、それぞれ被測定物内に現実に発生している内部応力を、音の伝搬時間にかかるデータの変化を測定しこれに基づいて算定する場合の、手順にかかる発明であって、各請求項ともそれぞれ以下に示す四つの工程を基本的な構成として備えている。
第1の工程では、被測定物について、所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時もしくは無負荷に近い状態における音の伝搬時間tと、荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとに分けて、それぞれ超音波を用いて測定する。
第2の工程では、上記第1の工程で得られる音の伝搬時間t,tにかかる複数情報に基づいて該伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、これらの情報及び前述した被測定物の素材が備えている固有の弾性定数等に基づいて当該被測定物特有の応力依存係数αを、予め特定された次式α=f(Δt,σ)により算定する。
第3の工程では、上記第1乃至第2の各工程に相前後して、装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の前記被測定物について前記所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを測定する。
即ち、装備されたままの状態の被測定物について、その現実の音の伝搬時間tを測定する。この場合の測定のタイミングは、前述した第1乃至第2の各工程の前でも或いはその後であってもよい。
そして、第4の工程では、上記第1乃至第3の各工程で得られる諸情報に基づいて、被測定物についてその音の伝搬時間tの変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、前述した応力依存係数αを組み込んで予め特定された応力σに関する算定式σ=f(Δt,α)を演算し、実際に装備された状態の被測定物についてその現実の内部応力σを算定するようにした。
このため、請求項1乃至4に記載の本発明によると、第1工程で被測定物における無負荷時の音の伝搬時間t等及び第2工程で算定した応力依存係数α等を被測定物の素材にかかる諸情報として導入すると共にこれらと第3工程で測定した被測定物の現実の音の伝搬時間tを取り込んで、予め特定された算定式σ=f(Δt,α)を演算し内部応力σを算定するようにした(第4工程)。このため、当該被測定物内に生じている内部応力σをリアルタイムで容易に且つ迅速に算定することができる。
更に、測定した音の伝搬時間を直接利用するようにしたので、測定した音の伝搬時間から音速を算出する等の手間(演算)が不要となり内部応力σの算定時間の短縮化を図ることができる。
この場合、上記第1の工程でなされる無負荷時の音の伝搬時間tおよび荷重σを印加した状態での音の伝搬時間t については本発明では被測定物から荷重を取り除いた状態もしくはこれに近い状態で被測定物そのもので測定するように構成されている
このため、被測定物そのものを利用して応力依存係数αを算出する上記手法にあっては、被測定物の測定箇所を特定できないものもあり対象範囲が限定されるものの、被測定物と同一の素材からなる他の部材を全く準備する必要がないので、かかる点においては作業性の向上を図ることが出来る。
又、前述した請求項1記載の応力測定方法にあっては、第1の工程では、所定部材の音の伝搬時間の測定に際しては、所定部材に対する荷重σの印加方向と同方向に超音波を伝搬させるようにする。
この場合、前記第4の工程で設定した未知の内部応力σの算定式は、σ=f(Δt,α)として、σ={E/(1−α)}・(Δt/t)が採用されている。
ここで、Δtは、Δt=t−tであり、記号tは未知の荷重が付された状態の被測定物の測定箇所における音伝搬時間を示す。
このようにすると、被測定物内に生じている未知の内部応力σの大きさを、音の伝搬時間情報を使用して具体的に算定することができる。
更に、前述した請求項1に記載の応力測定方法において、第2の工程では、応力依存係数αを算定する算定式として、予め特定されたα={1−(Δt/t)(E/σ)}、(ここで、nは音伝搬時間の測定回数、Eは被測定物の素材のヤング率、以下同じ)を採用し、これに基づいて前述した被測定物の素材の応力依存係数αが算定される。
ここで、応力依存係数αを算定する算定式としては、α={1−(Δt/t)(E/σ)}に代えて、
Figure 2009036774
を採用してもよい。
このようにすると、被測定物の素材固有の応力依存係数αが具体的に算定され、これに基づいて被測定物内に生じている未知の内部応力σの大きさが、音の伝搬時間情報を測定することでリアルタイムで具体的に且つ迅速に算定される。
これに対し、前述した請求項3に記載の応力測定方法にあっては、第1の工程では、被測定物の音の伝搬時間の測定に際しては、被測定物に対する荷重σの印加方向に直交する方向に超音波を伝搬させるようにする。
この場合、第4の工程で設定した内部応力σの算定式σ=f(Δt,α)として、
σ=−{E/(ν+α)}・(Δt/t)、(ここで、νは被測定物の素材のポアソン比、以下同じ)が採用されている。ここで、Δtは、Δt=t−tであり、記号tは未知の荷重が付された状態の被測定物の測定箇所における音伝搬時間を示す。
このようにしても、前述した請求項1の場合と同様に、被測定物内に生じている未知の内部応力σの大きさを、音の伝搬時間情報を使用して定量的にしかもリアルタイムで迅速に演算し算定することができる。
更に、荷重σの印加方向に対して直交する方向に超音波を伝搬させるようにしたので、例えば音の伝搬時間の測定に際しては超音波センサ等の装着領域を広範囲から選択することができ、かかる点において作業性能率の向上を期待することができる。
又、前述した請求項3に記載の応力測定方法において、第2の工程では、応力依存係数αを算定する算定式として、
α={−ν−(Δt/t)(E/σ)}、を採用し、これに基づいて前述した被測定物の素材の応力依存係数αを算定するようにした。
このため、一定条件のもとに応力依存係数αが具体的に数値として特定されることから、前述した請求項1記載の応力測定方法の場合と同様に、これに基づいて被測定物内に生じている未知の内部応力σを、リアルタイムで且つ円滑に算定することが可能となる。
ここで、応力依存係数αを算定する算定式としては、α={−ν−(Δt/t)(E/σ)}に代えて、
Figure 2009036774
を採用してもよい。
ここで、上述した各請求項にかかる応力測定方法においては、所定部材の音の伝搬時間の測定に際し縦波超音波を使用した場合を前提として説明したが、横波超音波を使用して測定するようにしてもよい。
次に、本発明にかかる応力測定装置(請求項5乃至10)では、被測定物の内部応力σの測定に際し、当該被測定物における音の伝搬時間を測定しその変化情報を利用するように構成した。
この場合、この請求項5乃至10に記載の各応力測定装置は、それぞれ音伝搬時間測定手段と、応力依存係数αを算定する応力依存係数算定手段と、音伝搬時間にかかるデータおよび応力依存係数α等に基づいて被測定物の内部応力σを演算し算定する主演算部とを、共通の基本構成として備えている。
この内、音伝搬時間測定手段は、装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物について所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを、超音波を用いて測定し得る機能(第1の音伝搬時間測定機能)を備えている。又、この音伝搬時間測定手段は、被測定物の素材について所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時もしくはこれに近い状態における伝搬時間tと所定の荷重が変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさとその変化に対応した音の伝搬時間tに分けて、それぞれ超音波を用いて測定し得る機能(第2の音伝搬時間測定機能)を備えたものとなっている。
ここで、この音の伝搬時間測定手段は、縦波超音波を使用したものであっても或いは横波超音波を使用したものであってもよい。
又、上記各部材の音の伝搬時間測定に際しては、必要に応じて、荷重σが、予め別に準備された荷重印加手段によって被測定物に対して印加されるようにしてもよい。
又、応力依存係数算定手段は、前述した音伝搬時間測定手段で測定される複数の各音伝搬時間情報t,t,tおよび当該音伝搬時間情報tに対応した印加荷重情報σを入力すると共にこの内の複数の音伝搬時間情報t,t(又はt,t)を抽出する時間情報抽出機能と、この抽出された複数の音伝搬時間情報t,tに基づいて当該音の伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定する時間変化分演算機能と、この演算され算出された時間変化分Δt及び前述した印加荷重情報σ等に基づいて被測定物を形成する素材特有の応力依存係数αを予め特定された所定の算定式α=f(Δt,σ)を演算し算定する常数算定機能とを備えている。
この応力依存係数算定手段は、更に、測定された情報内の未知の荷重が印加された状態の被測定物について測定された音の伝搬時間tおよび当該部材にかかる素材の負荷荷重ゼロの場合の音の伝搬時間tに基づいて当該音の伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定する機能(他の時間変化分演算機能)を備えている。
更に、主演算部は、前述した音伝搬時間変化情報Δtおよび前述した応力依存係数算定手段で算定される応力依存係数α等に基づいて、実際に装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物の内部応力σを、予め特定された算定式
σ=f(Δt,α)により演算しその結果を出力する応力算定機能を備えたものとなっている。
このため、本発明にかかる上記応力測定装置では、被測定物を形成する素材が備えている固有の応力依存係数αを算定することにより、この応力依存係数αおよび前述した現実の被測定物の音伝搬時間の変化分Δt等に基づいて当該被測定物内に生じている内部応力σをリアルタイムで迅速に演算することが可能となり、被測定物から測定された音の伝搬時間のデータを直接使用し得るように構成したので(伝搬時間のデータから音速を算定する演算が不要となり)被測定物の内部応力σの算定を、より迅速に成し得ることが可能となっている。
ここで、上述した音伝搬時間測定手段にあっては、前述した所定距離間の音の伝搬時間をt,tを、被測定物そのものについて測定することとした
又、上述した応力測定装置において、音伝搬時間測定手段にあっては、被測定物に対する音伝搬時間測定用の超音波の伝搬方向を、当該被測定物に印加される荷重σの印加方向と同方向に設定する構成とし、更に、前述した主演算部が、次式
σ=f(Δt,α)={E/(1−α)}・(Δt/t)、に基づいて前述した被測定物の内部応力σ具体的に演算する構成とした(請求項5乃至7)。
このようにすると、荷重印加方向と同方向に超音波を伝搬させた場合に得られる音の伝搬時間情報に基づいて、被測定物の未知の内部応力σを、測定条件に合わせて具体的に且つ迅速に演算し算出することが可能となる。
又、前述した応力依存係数算定手段を、具体的には、前述した音伝搬時間測定手段で得られる印加荷重σを含む複数の情報を入力すると共に当該入力された複数の情報から音伝搬時間情報t,tを抽出する情報抽出機能と、この抽出された音伝搬時間情報t,tに基づいて当該印加荷重σに対応した音伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定する伝搬時間変化分算定機能とを有し、この音伝搬時間にかかる情報および前記印加荷重σにかかる情報等に基づいて応力依存係数αを算定する算定式α=f(Δt,σ)として、次式
α={1−(Δt/t)(E/σ)}
を採用すると共に、これに基づいて前記被測定物にかかる素材固有の応力依存係数αを演算し算定する応力依存係数算定機能とを備えて構成した(請求項6)。
このため、荷重の印加方向と同方向に超音波を伝搬させた場合に得られる音の伝搬時間情報に基づいて、当該被測定物の応力依存係数αを有効に且つ具体的に算定することができる。
ここで、前述した応力依存係数算定手段では、応力依存係数αを算定する算定式α=f(Δt,σ)として、α={1−(Δt/t)(E/σ)}に代えて、次式
Figure 2009036774
とし、これに基づいて被測定物にかかる素材固有の応力依存係数αを演算し算定するようにしてもよい(請求項7)。
このようにすると、荷重の印加方向と同方向に超音波を伝搬させた場合に得られる音の伝搬時間情報に基づいて当該被測定物の応力依存係数αを高精度に且つ有効に算定することができ、ひいては、被測定物の内部応力σの算定精度を向上させることができる点で都合がよい。
更に、前述した音伝搬時間測定手段にあっては、被測定物に対する音伝搬時間測定用の超音波の伝搬方向を、当該被測定物に印加される荷重σの印加方向に対して直交する方向に設定する構成とすると共に、
前述した主演算部が、次式
σ=f(Δt,α)=−{E/(ν+α)}・(Δt/t
に基づいて当該被測定物の未知の内部応力σを具体的に演算するように構成してもよい(請求項8乃至10)。
このようにしても、前述した応力測定装置と同等に機能するほか、荷重σの印加方向に対して直交する方向に超音波を伝搬させるようにしたので、例えば音の伝搬時間の測定に際しては超音波センサ等の装着領域を広範囲から選択することができ、かかる点において作業性能率の向上を期待することができる。
ここで、前述した請求項8に記載の応力測定装置において、応力依存係数算定手段を、前述した音伝搬時間測定手段で得られる印加荷重σを含む複数の情報を入力すると共に当該入力された複数の情報から音伝搬時間情報t,tを抽出する情報抽出機能と、この抽出された音伝搬時間情報t,tに基づいて当該印加荷重σに対応した音伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定する伝搬時間変化分算定機能とを有し、
この音伝搬時間にかかる情報および前記印加荷重σにかかる情報等に基づいて応力依存係数αを算定する算定式として、α={−ν−(Δt/t)(E/σ)}、を採用すると共に、これに基づいて被測定物の素材固有の応力依存係数αを演算し算定する応力依存係数算定機能を備えた構成としてもよい。
このようにしても、荷重印加方向に直交する方向に超音波を伝搬させた場合に得られる音の伝搬時間情報に基づいて当該被測定物の応力依存係数αを、具体的に且つ有効に算定することができる。
ここで、前述した請求項8又は9に記載の応力依存係数算定手段では、応力依存係数αを算定する算定式α=f(Δt,σ)として、α={−ν−(Δt/t)(E/σ)}に代えて、次式
Figure 2009036774
を採用し、これに基づいて前記被測定物の素材固有の応力依存係数αを演算し算定するようにしてもよい(請求項10)。
このようにしても、荷重印加方向に直交する方向に超音波を伝搬させた場合に得られる音の伝搬時間情報に基づいて当該被測定物の応力依存係数αを有効に算定することができ、特に測定した音伝搬時間にかかる情報の全体を対象として平均化したので、被測定物を構成する素材固有の応力依存係数αを音の伝搬時間情報に基づいて迅速に且つ高精度に算定することができ、ひいては、被測定物の内部応力σの算定精度を向上させることができる。
本発明では、上述したように構成され機能するので、これによると、超音波を用いて被測定物の音の伝搬時間を測定すると共に、これらの情報に基づいて当該被測定物の新たに特定された素材固有の応力依存係数αが算定されることから、この算定された応力依存係数αを含むこれらの諸情報に基づいて荷重負荷時における当該被測定物の内部に生ずる内部応力をリアルタイムで定量的に且つ迅速に特定することができ、更に、被測定物の素材が備えている固有の応力依存係数αの算定に際しては、テストピース等の他の部材を不要としたので、その分、容易に且つ迅速に、被測定物の内部に生じている内部応力を特定し得るという従来にない優れた応力測定方法およびその装置を提供することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を添付図面に従って説明する。
この実施形態は、図1乃至図2に示すように、被測定物1について、その音の伝搬時間を印加荷重の変化に対応して測定する音伝搬時間測定手段11と、ここで得られた音の伝搬時間および当該伝搬時間にかかる種々の情報に基づいて応力依存係数αの値を算定する応力依存係数算定手段(応力依存係数算定回路部)12と、この算定された応力依存係数αの値および前述した音の伝搬時間にかかる種々の情報に基づいて予め特定された所定の関数を演算し被測定物1の内部応力σを算定する主演算部13とを備えている。
前述した音伝搬時間測定手段11には、本実施形態では荷重負荷設定手段としての荷重印加装置21が併設されている。又、図1において、符号14は情報記憶部を示し、符号15は必要に応じて所定の情報又は動作指令等を入力する入力部を示す。更に、符号16は、主演算部13で得られた被測定物1の内部応力等の情報を表示し又は外部にプリント出力するための出力部を示す。
以下、これを更に詳細に説明する。
〔音伝搬時間測定手段について〕
図1乃至図2において、音伝搬時間測定手段11は、本実施形態では、製品や素材或いは装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物1について所定箇所の対向面相互間Lを伝搬する音の伝搬時間tを超音波を用いて測定する第1の音伝搬時間測定機能を備えている。又、この音伝搬時間測定手段11は、被測定物1の素材について前記所定箇所の対向面相互間Lを伝搬する音の伝搬時間を無負荷時若しくはこれに近い状態の伝搬時間tと所定の荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとについてそれぞれ超音波を用いて測定する第2の音伝搬時間測定機能を備えている(図3参照)。
この内、音伝搬時間測定手段11の第1の音伝搬時間測定機能は、製品や素材或いは装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物1について、例えば図2に示すように、所定箇所の対向面相互間(一方の面と他方の面の相互間であって、音響的に対向する面のこと、以下同じ)Lを伝搬する音の伝搬時間tを超音波を用いて測定するという形態をもって実現される。
この図2に示す被測定物1については、本実施形態では2枚の鋼板2A,2Bを連結するボルトの場合を想定したもので、当該ボルトである被測定物1が締結された状態では当該被測定物1には未知の荷重は引張荷重となって存在し、その締め付けの度合いによってボルト内に所定の内部応力が生じることとなる。符号3a,3bはそれぞれ異なったボルト(被測定物1,1)に螺合され前述した2枚の鋼板2A,2Bを固定するためのナットを示す。
この場合、測定に際しては、例えば当該ボルト(被測定物1)のナット3bを緩めて、その締結力をゼロに近い状態に設定し、かかる状態での音の伝搬時間tを測定する。かかる測定が不可能な場合(ナット3bを緩めることができない場合)は、後述する第2の音伝搬時間測定機能によって別途測定される音の伝搬時間にかかる情報に基づいて、当該荷重ゼロの場合の音の伝搬時間tが換算され使用される。
そして、この音伝搬時間測定手段11の第1の音伝搬時間測定機能が作動して得られる音の伝搬時間にかかる情報t,tに基づいて、後述するように、未知の荷重が印加された状態(実装状態)における被測定物1について、その内部応力σが演算され算定されるようになっている。
又、音伝搬時間測定手段11の第2の音伝搬時間測定機能は、本発明とは別に、テストピースを用いて測定する場合もあり、参考までに図3に例示する。
即ち、この場合は、例えば図3に示すように、前述した被測定部材1(ボルト)と同一の素材からなる他の部材(テストピース)1Aについて、所定箇所の対向面相互間の距離LTPを伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時の伝搬時間tと当該他の部材1Aに対して所定の荷重を変化しつつ印加された状態の当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとについて、それぞれ超音波を用いて測定するという形態をもって実現される。
この図3において、他の部材(テストピース)1Aは、長さがLTP、両端部の直径がD、中央部が一辺の幅WTPの正四角形状に形成されたものが使用されている。この場合、長さLTPの内、両端部の断面円形部分がそれぞれ全体の1/5程度を占め、中央部の正四角形状部分が全体の2/5程度を占めている。
ここで、テストピース1Aの中央部の断面形状を、本実施形態(図3)では正四角形状としたが矩形であってもよい。
この場合、音の伝搬時間の測定に際して特定される対向面相互間の距離の設定箇所としては、この図3では荷重の印加方向と同方向に沿って距離LTPを設定し、荷重の印加方向に直交する方向に沿って距離WTPを設定し、そのいずれの箇所でも測定し得るようになっている。
そして、後述する応力依存係数算定回路部12では、この音伝搬時間測定手段11の第2の音伝搬時間測定機能が作動して得られる音の伝搬時間にかかる情報t,tに基づいて、被測定物1を形成する素材の応力依存係数αを演算され算定されるようになっている。
この音伝搬時間測定手段11は、具体的には図1乃至図3に示すように、所定周波数の超音波を前述した被測定部材1内に伝搬させてその端面からの反射波を受信する超音波送受波器11a(又は11b)と、この超音波送受波器11a(又は11b)で受信される反射超音波の受信のタイミングを音伝搬時間にかかる情報として外部出力する超音波用電気信号送受信回路11Aと、この超音波用電気信号送受信回路11Aから出力される音伝搬時間にかかる情報を入力して当該超音波の送信時から受信時までの時間を算定する音伝搬時間算定回路部11Bとを備えている。符号11Dは、二つの超音波送受波器11a又は11bと超音波用電気信号送受信回路11Aとを連結する切り替えスイッチを示す。
ここで、超音波送受波器11aは印加荷重σの印加方向に沿った方向に超音波を送受信するための超音波送受波器を示し、超音波送受波器11bは印加荷重σの印加方向に直交する方向に超音波を送受信するための超音波送受波器を示す。
又、前述した音伝搬時間算定回路部11Bは、更に、後述する荷重負荷設定手段12から出力され前述した他の部材1Aに対して印加される荷重情報σを入力すると共に当該荷重の大きさ(ゼロ荷重σを含む)に対応した音伝搬時間t0,1,2,3,〜tとして集計し整理する伝搬時間整理機能を備えている。
一方、高圧プラントや橋梁等に実装されている状態(所定の荷重が印加された状態)の被測定部材1にあっては、その無負荷時の伝搬時間tの測定が事実上不可能な場合がある。
この場合、当該被測定部材1の長さLがテストピース1Aの長さLTPと同一であれば、前述したテストピース1Aについて測定した無負荷時の伝搬時間tをそのまま流用される。
これに対して、L≠LTPの場合は、前述したテストピース1Aについて距離LTPで測定した無負荷時の伝搬時間tが、比例計算で当該被測定部材1自体の無負荷時の伝搬時間t(対向面相互間LTPに対応した無負荷時の伝搬時間t)に換算して使用されるようになっている。これらの演算処理は、音伝搬時間測定手段11の音伝搬時間算定回路部11Bが備えている伝搬時間換算機能によって実行されるようになっている。そして、かかる一連の動作は後述する入力部15からの指令に基づいて実行される。
そして、この種の情報(即ち、被測定部材11にかかる対向面相互間の距離Lおよび被測定部材と同一の素材からなる他の部材1Aにかかる対向面相互間の距離LTPの情報)等は、予め後述する情報記憶部14に入力され記憶されるようになっている。
尚、音伝搬時間測定手段11では、被測定物1を形成する素材の応力依存係数αを演算するために必要な印加荷重σの変化と対応する音の伝搬時間に関する情報tとを被測定部材と同一の素材からなる他の部材1Aについて測定した場合を例示したが、図2に例示した被測定物1そのものを(一時的に装備箇所から離脱させて)図3に示す荷重印加装置21に直接装着して当該被測定物1で直接測定してもよい。
又、新たに所定の建造物等に装備する被測定物1については、装備前に当該被測定物1を前述した図3に示す荷重印加装置21に直接装着して当該被測定物1で直接測定し、これによって、予め当該素材の応力依存係数αを後述する式(5)又は(10)に基づいて算定して置いてもよい。
〔荷重負荷設定手段について〕
本実施形態では、前述した音伝搬時間測定手段11には、荷重負荷設定手段としての荷重印加装置21が併設されている(図3参照)。この荷重印加装置21は、前述した被測定物と同一の素材からなる他の部材1Aに対して(或いは被測定物そのもの対して)所定の引っ張り荷重を印加するためのもので、当該他の部材1Aにかかる音の伝搬時間の測定に際して印加荷重を変化させることが可能な構造となっている。
即ち、この荷重負荷設定手段(荷重印加装置21)は、前述した被測定物と同一の素材からなる他の部材(テストピース)1Aに対して外部から所定の荷重負荷σを連続的に又は段階的に変化させながら印加して、前述した音伝搬時間測定手段11による音伝搬時間測定時に、当該他の部材(テストピース)1Aに所定の内部応力を生じさせる機能を備えている。
ここで、この外部からの荷重負荷σに対応して、試料(他の部材1A)内には所定の内部応力が生じる。この場合、試料(他の部材1A)の内部に生じる応力σの大きさは、一般に、印加される荷重負荷σの大きさにほぼ等しいとして扱われる。
ここで、上述した荷重印加装置21の構成について説明する。
図3において、この荷重印加装置21は、基台21Aと、この基台21A上に所定間隔を隔てて装備された二本のガイド支持体21E,21Fと、この各ガイド支持体21E,21Fが備えているガイド支柱21e,21fに沿って上下動可能に装備された移動体21G,21Hと、この各移動体21G,21Hをその図3における上端部で一体的に連結する横架支持体21Kと、この横架支持体21Kの中央部に下方に向けて垂下装備された一方の試料保持機構22と、この一方の試料保持機構22の下方で当該試料保持機構22の対向して配設された他方の試料保持機構23とを備えている。この他方の試料保持機構23はその下端部が前述した基台21Aに固定装備された状態となっている。
この内、一方と他方の各試料保持機構22,23は、各中心軸線が同一中心軸線上に沿って配設され、前述した移動体21G,21Hが上下動した場合でも、その軸線にぶれが生じない状態で一体的に上下動し得るように装備されている。又、この一方と他方の各試料保持機構22,23は、それぞれが前述した他の部材1Aの端部を同時に又は個別に着脱自在に固着し得るような構造となっている。
ここで、符号11Pは超音波送受波器11a用の中継端子を示し、符号11Pは超音波送受波器11b用の中継端子を示す。
又、上記基台21Aには、前述した横架支持体21Kに対してその上下動を付勢する上下動付勢装置(図示せず)が装備されている。
この上下動付勢装置は、本実施形態では油圧を利用した油圧式駆動機構を備え、これによって連続して又は段階的に所定の引っ張り荷重σを各試料保持機構22,23を介して前述した他の部材1A等に印加し得るようになっている。
更に、前述した基台21Aには、上下動付勢装置(図示せず)の動作を外部操作によって制御する操作制御部24が装備され、又、この上下動付勢装置によって設定される前述した他の部材1Aに対する引っ張り荷重の大きさを表示する荷重表示部25が併設されている。符号26は荷重情報σを出力するための出力端子を示す。
このため、操作制御部24を介して上下動付勢装置の動作を制御することにより、前述した横架支持体21Kに対して図3の矢印A方向に向けて所定の荷重を任意に設定制御することか可能となる。これにより、各試料保持機構22,23によって保持された他の部材1Aに対しては、所定の大きさの引っ張り荷重(負荷荷重)を連続的に又は段階的に変化させて設定すると共に、当該設定された負荷荷重σを荷重情報として外部出力し得るようになっている。
そして、この場合、この引っ張り荷重(負荷荷重)の設定は、前述した音伝搬時間測定手段11による音伝搬時間測定を想定しながら行われる。
即ち、音伝搬時間測定手段11による他の部材(テストピース)1A等に対する音伝搬時間測定は、例えば、負荷荷重がゼロσの場合の音伝搬時間t、負荷荷重σ(ここで、n=1,2,3,…,k、以下同じ)を段階的に変化させることによって音伝搬時間の変化を測定値tとして測定することにより実行される。
ここで、上記荷重印加装置21はテストピース1Aに対して引張り荷重を印加する場合について例示したが、圧縮荷重を印加するように構成されたものを使用してもよい。
又、上記荷重印加装置21にあっては、負荷荷重の発生源として油圧機器を利用した場合を例示したが、同等に機能するものであれば他の荷重発生手段を使用したものであってもよい。
〔応力依存係数算定手段について〕
図1において、符号12は応力依存係数算定手段としての応力依存係数算定回路部を示す。この応力依存係数算定回路部12は、前述した音伝搬時間測定手段11で測定される複数の各音伝搬時間情報t,t,tおよび当該音伝搬時間情報t(n=1,2,3,〜,k、以下同じ)に対応した印加荷重情報σを入力すると共にこの内の複数の音伝搬時間情報t,tを抽出する時間情報抽出機能と、この抽出された複数の音伝搬時間情報t,tに基づいて当該音の伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定する時間変化分演算機能と、これら音の伝搬時間にかかる諸情報および前述した印加荷重情報等に基づいて被測定物1にかかる素材固有の応力依存係数αを、予め特定された次式α=f(Δt,σ)で演算し算定する応力依存係数算定機能とを備えている。
又、この応力依存係数算定回路部12は、前述した伝搬時間の変化分Δtの変化の割合を示す伝搬時間変化比(Δt/t)を演算する時間変化比演算機能を備えている。記号tは印加荷重情報σ=0の場合の前述した部材1Aの音伝搬時間を示す。
そして、この応力依存係数算定回路部12で算定された応力依存係数αおよび使用された各種情報、更には前述した音伝搬時間算定回路部11Bで整理され又は演算された伝搬時間にかかる各種情報は、予め別に装備された情報記憶部14に送り込まれ記憶されるようになっている。
ここで、素材固有の応力依存係数αを算定する演算式α=f(Δt,σ)に関して、発明者が導き且つ特定した内容を、以下詳細に説明する。
《荷重の印加方向に直交する方向(横方向)に超音波を伝搬させる場合》
この場合の超音波(縦波)の伝搬時間tにかかる関数は、WTPを図3に示す音の伝搬距離(荷重付加=0の場合)とすると、次式で表される。
=WTP(1−σν/E)/V(1+αT2σ/E)………(1)
この式(1)は、図3では、超音波送受波器11bを作動させて音の伝搬時間を測定した場合に相当する。この式(1)で、分子の部分は横方向の長さを表す。このため、この式(1)の分子の部分は引っ張り応力(負荷)の増加と共に減少する。記号Vは、荷重ゼロのときに当該素材内を伝搬する音の速度を示す。又、σ/Eは縦方向のひずみを示す(一般式σ=E・εより)。更に、νは当該素材のポアソン比を示し、Eはヤング率を示す。縦方向のひずみεにポアソン比νを掛けたものが横方向のひずみとなる。又、αT2は被測定物を形成する素材の応力依存係数を示す。
この式(1)で分母は縦波の音速を意味する。この式(1)を展開して微小項を無視し、一部置き換えをし、αT2σ/E≪1、 E>σ、WTP/V=tより、次式(2)を得る。
≒t{1−(σ/E)(ν+αT2)}…………………… (2)
これより、
(t/t)−1=Δt/t
=−(σ/E)(ν+αT2)…………………… (3)
この式(3)より、応力依存係数αT2を算定する演算式α=f(Δt,σ)として、次式を得ることができる。
α=αT2=−ν−(Δt/t)(E/σ)………………… (4)
ここで、nは音伝搬時間の測定回数を示す。音伝搬時間の測定は、実際には図3において、荷重σをσ,σ,σ,……σの如く徐々に変化させ、その都度、超音波を伝搬させて音伝搬時間の変化t,t,t,……tを測定する。
そして、仮に、精度の高い測定値が得られれば、荷重ゼロ(σ=0)の場合の音伝搬時間tを基準として、音伝搬時間tの何れか一つの音伝搬時間データに基づいて式(4)を演算することにより、どの測定値からでも同一の応力依存係数αT2が算定される。
これに対して、測定値と誤差は切り離せないものであることから、多くは下式(5)の手法(若しくはこれと同等の手法)をもって、測定値全体を対象としてその平均値を求め、これにより測定誤差を必要最小限に抑えるようにして、応力依存係数αが算定される。
Figure 2009036774
この応力音速定数αT2の具体的な数値計算等については後述する。
《荷重の印加方向と同方向(縦方向)に超音波を伝搬させる場合》
この場合の超音波(縦波)の伝搬時間tにかかる関数は、音の伝搬距離をLTPとすると、次式(負荷荷重=0の場合)で表される。
=LTP(1+σ/E)/{V(1+αT1σ/E)}……(6)
この式(6)は、図3では、超音波送受波器11aを作動させて音の伝搬時間を測定した場合に相当する。この式(6)の分子の部分は縦方向の長さを表す。このため、応力(負荷)の増加と共に増加する。
又、この式(6)で、分母は縦波の音速を意味する。続いて、式(6)を展開して微小項を無視し、一部置き換えをする。即ち、αT1σ/E≪1、 E>σ、LTP/V=tより、次式(7)を得る。
≒t{(1+σ/E)(1−αT1)}…………………… (7)
これより、
(t/t)−1=Δt/t
=(σ/E)(1−αT1)…………………… (8)
この式(8)より、応力依存係数αを算定する演算式α=f(Δt,σ)として、次式を得ることができる。
α=αT1=1−(Δt/t)(E/σ)…………………… (9)
ここで、この式(9)についても前述した式(4)の場合と同様の理由から、多くは下式(10)の手法(若しくはこれと同等の手法)をもって、測定値全体を対象としてその平均値を求め、これにより、測定誤差が最小限に抑えられた状態で応力依存係数αが算定される。
Figure 2009036774
………………(10)
この応力依存係数αT1の具体的な数値計算等については後述する。
尚、上述したように、測定方法が異なると同一素材についても応力依存係数αの算定式は異なった形態となる。
〔主演算部(特に内部応力σの算定式)について〕
図1に開示した主演算部13では、実際に装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物1の内部応力σを、予め特定された算定式σ=f(Δt,α)によって演算し算定する内部応力算定機能を備えている。
ここで、Δtは、Δt=t−tを示す。記号tは未知の荷重が印加された状態で測定された被測定物1の所定距離間の音の伝搬時間を示す。
この主演算部13の内部応力算定機能は、前述した応力依存係数算定回路部(応力依存係数算定手段)12で算定される応力依存係数αT2(又はαT1)および前述した音伝搬時間測定手段で測定される複数の音伝搬時間情報等に基づいて実行され、未知の荷重が印加された状態の被測定物1の内部応力σが算定されるようになっている。
この内部応力σを算定する演算式σ=f(Δt,α)については、本実施形態では、測定対象たる被測定物1に関してその素材の応力依存係数αT2(又はαT1)が予め明確に特定されていることを前提として成立したものとなっている。
この場合、図2に例示したように、未知の内部応力σに関する情報を収集するために、被測定物1の現実の音の伝搬時間tが超音波を用いて測定される。
ここで、音の伝搬方向の設定を、内部応力σが生じている方向と同方向にするか直交する方向とするかによって、内部応力σを算定する演算式σ=f(Δt,α)が異なったものとなる。かかる演算式の相違は、音の伝搬時間を特定する音の通路長さが、引っ張り方向に沿って伸びる場合、或いはそれと直交して縮む場合との違いによって生じる。
即ち、前述した応力依存係数αの算定式の場合と同様に、未知の荷重の印加方向に直交する方向に超音波を伝搬させて所定距離間の音の伝搬時間tを測定する場合と、荷重の印加方向と同方向に超音波を伝搬させて所定距離間の音の伝搬時間tを測定する場合とでは、異なった演算式が採用される。以下、これを具体的に説明する。
《未知の荷重の印加方向に直交する方向(横方向)に超音波を伝搬させる場合》
この場合の超音波(縦波)の伝搬時間tにかかる関数は、前述した応力依存係数αT2を算出する場合(式(1))と同様に、次式で表される。
t=W(1−σν/E)/V(1+αT2σ/E)………………… (11)
この式(11)は、図3で考えると、超音波送受波器11bを作動させて未知の荷重が印加された部材(図示せず)について音の伝搬時間tを測定する場合に相当する。
この式(11)で、分子の部分は横方向の長さを表す。記号W(図示せず)は被測定物1における負荷応力がゼロの場合の横方向の音伝搬距離を示す(図6における記号Wに相当する)。又、αT2は当該被測定物1の応力依存係数を、σは被測定物1内に発生している未知の内部応力を示す。その他の構成記号は前述した式(1)の場合と同様である。
又、この式(11)で分母は縦波の音速を意味する。この式(11)を展開して微小項を無視し、一部置き換えをし、αT2σ/E≪1、E>σ、W/V=tより、次式(12)を得る。
t≒t{1−(σ/E)(ν+αT2)}…………………………… (12)
これより、
(t/t)−1=Δt/t
=−(σ/E)(ν+αT2)………………………… (13)
この式(13)より、未知の内部応力σを算定する演算式σ=f(Δt,α)として、次式を得る。
σ=−{E/(ν+αT2)}・(Δt/t)……………………… (14)
これにより、未知の外部荷重が負荷された状態の被測定物1であっても、その時の現実の音伝搬時間tを測定することにより(当該素材の固有定数である応力依存係数αT2が判っていることを前提)、未知の内部応力σを、当該被測定物1が装備されたままの状態で、リアルタイムで定量的に且つ迅速に算出することが可能となる。
《未知の荷重の印加方向に同方向(縦方向)に超音波を伝搬させる場合》
この場合の超音波(縦波)の伝搬時間tにかかる関数は、前述した応力依存係数αを算出する場合(式(6))と同様に、次式で表される。ここで、L(図示せず)は被測定物1の縦方向の音の伝搬距離を示す。又、αT1は当該被測定物1の応力依存係数を、σは被測定物1内に発生している未知の内部応力を示す。その他の構成記号は前述した式(1)の場合と同様である。
t=L(1+σ/E)/{V(1+αT1σ/E)}……………… (15)
この式(15)は、図3では、超音波送受波器11aを作動させて音の伝搬時間を測定した場合に相当する。この式(15)の分子の部分は縦方向の長さを表す。このため、応力(負荷)の増加と共に増加する。
又、この式(15)で、分母は縦波の音速を意味する。続いて、式(15)を展開し微小項を無視し、一部置き換えをする。即ち、αT1σ/E≪1、E>σ、L/V=tより、次式(16)を得る。
≒t{(1+σ/E)(1−αT1)}……………………… (16)
これより、
(t/t)−1=Δt/t
=(σ/E)(1−αT1)………………………… (17)
この式(17)より、未知の内部応力σT1を算定する演算式σ=f(Δt,α)として、次式を得る。
σ={E/(1−αT1)}・(Δt/t)……………………… (18)
これにより、この式(18)を用いて、前述した式(14)の場合と同様に、未知の外部荷重が負荷された状態の被測定物1であっても、その時の現実の音伝搬時間tを測定することにより、当該素材の固有定数である応力依存係数αT1が判っていることを前提として、未知の内部応力σをリアルタイムで定量的に算出することが可能となる。
〔全体的な動作、機能〕
次に、上記実施形態における全体的な機能,動作等を説明する。
本実施形態では、未知の荷重が負荷された状態の被測定物1について、まず、当該被測定物1の素材固有の応力依存係数αを算定し、これに基づいて当該被測定物1の内部応力σを、所定の式σ=f(Δt,α)を演算して特定するようにした。この場合、応力依存係数αの算定に際しては、被測定物1そのものを使用しても、或いは当該被測定物1と同一の素材からなる他の部材1Aを使用してもよい。本実施形態では後者に依る。
この応力依存係数αの算定は、前述したように当該素材の各種条件下で測定された音の伝搬時間にかかる情報を必要とする。このため、本実施形態では、上述した構成を以下の手順で作動させて、収集された各種データに基づいて応力依存係数αを演算し、これに基づいて内部応力σを算定するようになっている。
ここで、応力依存係数αおよび内部応力σの算定式は、音の伝搬時間の測定条件によって異なることは前述した通りである。このため、最初に図1乃至図4に従って装置の全体的な動作を説明し、その後に、測定条件の相違により生じる細部の動作について説明するものとする。
まず、装置全体を稼働させ、応力依存係数αを測定する。具体的には、応力依存係数αを特定するための手順が、例えば被測定物1と同一の素材からなる他の部材(テストピース)1Aについて、以下の如く実行される。
この場合、図3に示すように、被測定物1と同一の素材からなる他の部材1Aに関し、その素材について、まず、所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間が測定される。この音の伝搬時間の測定は、超音波送受波器11b(又は11a)、これを駆動する超音波用電気信号送受信回路11A、および音伝搬時間算定回路部11Bの連係動作によって実行される。スイッチ11Dは、端子bを介して超音波送受波器11bを選択し、又は端子aを介して超音波送受波器11aを選択する。この場合、スイッチ11Dの動作は、入力部15形の指令によって作動するようになっている。
そして、この超音波用電気信号送受信回路11Aで得られる超音波の送受信のタイミングにかかる情報は、音の伝搬時間にかかる情報として、そのまま音伝搬時間算定回路部11Bへ送り込まれ、ここで、音の伝搬時間t,tが算定される(図4、ステップS1)。
即ち、上記音伝搬時間算定測定手段11では、他の部材1Aに対して外部からの印加荷重σを印加しながら、当該印加荷重がゼロの場合(無負荷時σ)もしくはこれに近い状態における音の伝搬時間tと、荷重をn回変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとについて、それぞれ超音波を用いて測定する(第1の工程)。この印加荷重σはk回変化させ、これに対応して音の伝搬時間tをk回測定する(n=1,2,3,……,k)。
この音の伝搬時間t,tの測定に際しては、本実施形態では、所定箇所の対向面相互間として、図3における他の部材1Aの中央部(断面が四角形状)の距離WTP部分が予め設定され、この箇所での多重反射等の測定手法を用いて、音の伝搬時間の測定が実行される。
この第1の工程で音の伝搬時間t,tにかかる複数情報が得られると、次に、これらに基づいて当該伝搬時間の変化分Δt(=t−t)、および音伝搬時間変化比Δt/t等が測定値毎にk回演算される(図4、ステップS2)。続いて、これらの情報および前述した被測定物1を形成する素材固有の弾性定数等に基づいて、当該被測定物固有の応力依存係数αが、予め特定された算定式α=f(Δt,σ)により算定される(第2の工程)。かかる算定動作は、応力依存係数算定回路部12で実行される(図4、ステップS3)。
ここで、算定式α=f(Δt,σ)は、音の伝搬時間測定時に、図3で超音波送受波器11bを使用して超音波を印加荷重σの方向に直交する方向に伝搬させた場合には、前述したように、
α=αT2=−ν−(Δt/t)(E/σ)……………… (4)
又は、
Figure 2009036774
……………(5)
が使用される。
一方、音の伝搬時間測定時に、図3で超音波送受波器11aを使用して超音波を印加荷重σの方向に沿った方向に伝搬させた場合には、前述したように、
α=αT1=1−(Δt/t)(E/σ)……………………… (9)
又は、
Figure 2009036774
……………(10)
が使用される。
このため、被測定物の素材固有の応力依存係数αの測定に際しては、印加荷重σの方向に沿った方向又はこれに直交する方向にいずれの方向に超音波を伝搬させても、その音伝搬時間を有効に測定することができ、これに基づいて当該応力依存係数αを定量的に且つ迅速に算出することができ、かかる点においてその汎用化をはかることができる。
又、被測定物の素材固有の応力依存係数αを、被測定物1と同一の素材からなる他の部材1Aで測定する場合には、装備箇所からの取り外し等が困難な被測定物に対しても、他の部材1Aによって応力依存係数αを迅速に算定することができ、これにより当該被測定物1の内部応力σの測定をなし得ることから、より一層の汎用化が可能となる。
これに対し、被測定物1のそのものを利用して応力依存係数αを算出する手法では、被測定物1の測定箇所を特定できないものもあって対象範囲が限定されるものの、被測定物と同一の素材からなる他の部材を全く準備する必要がないので、応力依存係数αの特定に際しての作業を迅速になし得るという利点がある。
ここで、上述した各種情報(σ,t,t,Δt,Δt/t)或いは算定式α=f(Δt,σ)等は、予め情報記憶部14で記憶され、若しくは必要に応じて新たに記憶されるようになっている。
上述した第1乃至第2の各工程に相前後して、装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物1について所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tが測定される(第3の工程)。
この場合の音の伝搬時間tは、未知の荷重が印加された状態の伝搬時間情報であり、かかる情報によって当該被測定物1の内部応力σが演算されることから、再現性のある伝搬時間tが得られるまで、実際には数回繰り返し測定される。この音の伝搬時間tの測定は、前述した音伝搬時間算定測定手段11で実行される(図2参照)。
同時に、未知の荷重がゼロ又はゼロに近い状態における音の伝搬時間tも測定される。この場合、この音の伝搬時間t(σ≒0の場合)が測定不可能な場合は、前述したように、図3で測定した時間データtを(比例計算で)距離換算して当該被測定物1における音の伝搬時間t(σ≒0の場合)として使用される。かかる演算は、前述した入力部15からの指令に基づいて音伝搬時間算定回路部11Bで実行される(図4、ステップS4)。
この第3の工程で実行される被測定物1についての音の伝搬時間t,tの測定は、図3に示すように、前述した第1の工程で測定される音の伝搬時間t,tの測定とは異なった時間帯で測定される。この場合、測定のタイミングとしては、前述した第1乃至第2の各工程の前でも後でもよい。
そして、この第3の工程で得られる音の伝搬時間tおよびこれに対応する荷重ゼロ(若しくはゼロに近い荷重)の場合の音の伝搬時間にかかる情報tについては、前述した第2の工程の場合と同様にその変化分Δt(=t−t)、および音伝搬時間変化比Δt/t等が音伝搬時間算定回路部11Bで算定され(図4、ステップS5)、その算定結果の情報Δt,Δt/tは、この第3の工程で得られる音の伝搬時間t,tと共に、情報記憶部13で記憶されると共に主演算部13へ直接送り込まれるようになっている。
そして、上記第1乃至第3の各工程で得られる諸情報に基づいて、予め特定された内部応力σに関する次式 σ=f(Δt,α)、(ここで、Δtは Δt=t−t)を演算し、これによって実際に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物1について、その現実の内部応力σが特定される(第4の工程)。
この内部応力σの演算は、前述したように主演算部13で実行される。この主演算部13では、前述したように応力依存係数算定回路部12で算定された応力依存係数αおよび被測定物1について測定された音の伝搬時間t,t等が入力され、これらに基づいて前述した所定の演算式が演算され、未知の荷重が印加された被測定物1の内部応力が算定される(図4、ステップS6)。
ここで、被測定物1の内部応力にかかる算定式σ=f(Δt,α)は、例えば音の伝搬時間測定時に、図3で超音波送受波器11bを使用して超音波を荷重の印加方向に直交する方向に伝搬させた場合と同等に設定した場合には、前述したように、
σ=−{E/(ν+αT2)}・(Δt/t)……………………… (14)
が使用される。
一方、音の伝搬時間測定時に、図3で超音波送受波器11aを使用して超音波を荷重の印加方向に沿った方向に伝搬させた場合と同等に設定した場合には、前述したように、
σ={E/(1−αT1)}・(Δt/t)………………………… (18)
が使用される。
本実施形態では、図2に示すように超音波を荷重の印加方向に沿った方向に伝搬させて未知の荷重が印加された被測定物1の音の伝搬時間を測定するようにしたので、内部応力にかかわる算定式σ=f(Δt,α)としては式(18)が使用される。
このように、本実施形態は上述したように構成され機能するので、これによると、被測定物1を形成する素材固有の応力依存係数αを算定することにより、この応力依存係数αおよび前述した現実の被測定物の音伝搬時間の変化分Δt等に基づいて当該被測定物内に生じている内部応力σをリアルタイムで迅速に演算することが可能となり、更に、被測定物から測定された音の伝搬時間のデータを直接利用し得るように構成したので(伝搬時間のデータから音速を算定する演算が不要となり)被測定物の内部応力σを、より迅速に算定することができ、応力依存係数αを具体的に算定し得るので、未知の荷重が印加された状態の被測定物の内部応力σを迅速に且つ定量的に算定し得るという優れた応力測定方法及びその装置を得ることができる。
上述した実施形態において、未知の荷重が印加された状態の被測定物の内部応力σの測定に際しては、事前に、被測定物の素材固有の応力依存係数αを的確に且つ迅速に特定することが重要となっている。
ここでは、応力依存係数αを特定する場合の具体例を示す。
最初に、図3に開示した手法を用いて音の伝搬時間を測定し、これに基づいて当該部材の応力依存係数αを、式(4),(5)および式(9),(10)に基づいて算定してみた。以下、これを説明する。
〔応力依存係数αの算定式の内容〕
(1).印加荷重σの印加方向に直交する方向(横方向)に超音波を伝搬させて測定した場合
この場合の応力依存係数αは、前述したように、
α=αT2=−ν−(Δt/t)(E/σ)………………… (4)
この式(4)をY=aX±bの形態に直してXーY座標と同等の座標上に表示し、応力依存係数αの性質(定数か否か)をまず確認する。
式(4)より、E(Δt/t)=−(ν+α)σ…………………(4a)
具体的には、まず、XーY直交座標を想定して上式(4a)の左辺E(Δt/t)をY座標上に、左辺のσをX座標上にとると、図5(A)に示す線図となる。
この図5(A)から明らかのように、「−(ν+α)」は方向係数である。又、νはポアッソン比、αは2次および3次の弾性定数からなる定数(応力依存係数)である。従って、この方向係数−(ν+α)は材料固有の値をとる。このため、今後の課題としては多くの実用材料についてα値の実測が望まれる。
(2).印加荷重σの印加方向に沿った方向(縦方向)に超音波を伝搬させて測定した場合
の場合の応力依存係数αは、前述したように、
α=αT1=1−(Δt/t)(E/σ)…………………………(9)
この式(9)をY=aX±bの形態に直してXーY座標と同等の座標上に表示して、応力依存係数αの性質(定数か否か)をまず確認する。
式(9)より、E(Δt/t)=(1−α)σ……………………(9a)
具体的には、上述した式(4a)の場合と同様に、まずXーY直交座標を想定して上式(9a)の左辺E(Δt/t)をY座標上に、左辺のσをX座標上にとると、図5(B)に示す線図となる。
この図5(B)から明らかのように、「(1−α)」は方向係数である。又、αは2次および3次の弾性定数からなる定数(応力依存係数)である。従って、この方向係数(1−α)は材料固有の値をとる。このため、今後の課題としては多くの実用材料につき、この場合のα値の実測が望まれる。
〔応力依存係数αの算定式における「Δt/t」と「σ」の関連性〕
(1).測定条件
被測定物と同一の素材からなる部材1Aの形状および寸法を図6(A)に示す。長さLは180〔mm〕、中央部の四角形状の断面は一辺が30〔mm〕×15〔mm〕角に精密加工されている。又、この部材の素材としてS20Cの鋼材を使用した。この鋼材(S20C)固有のヤング率E等の弾性定数を図6(B)の図表に示す。
(2).図表化
「Δt/t」と「σ」との対応関係を図表化する。図7にこれを示す。
この図7で、表示「横方向」の欄は、印加荷重σの印加方向に直交する方向に縦波超音波を伝搬させて得られる時間データに基づいて算定した「Δt/t」の値を示す。又、表示「縦方向」の欄は、印加荷重σの印加方向に沿って縦波超音波を伝搬させて得られる時間データに基づいて算定した「Δt/t」の値を示す。この場合、印加荷重(負荷応力)σについては、これを5.44〔MPa〕ずつ変化させて縦波超音波の伝搬時間tを測定し、Δt=t−t,Δt/tを算定した。
(3).グラフ化
「Δt/t」と「σ」との関係をグラフ化する。図8にこれを示す。
この内、図8(A)は、印加荷重σの印加方向に直交する方向に縦波超音波を伝搬させて音の伝搬時間を測定した場合で、測定データとしては図7の「横方向」の欄に記載のデータがこれに対応する。この図8(A)では、一つ一つのドットがσとΔt/tとの対のデータである。これらのドットを繋いだのがジグザグの線である。そして、このジグザグの線からなるσとΔt/tとのデータ群を最小二乗法で処理した結果の直線Fがジグザグの線からなるデータ群を図示の如く左上から右下に貫いている。そして、この図8(A)の実測値に基づいた線図Fが図5(A)の線図に対応したものとなっている。
又、図8(B)は、印加荷重σの印加方向に沿って縦波超音波を伝搬させて音の伝搬時間を測定した場合で、測定データとしては図7の「縦方向」の欄に記載のデータがこれに対応する。これらのドットを繋いだのが比較的滑らかなジグザグの線である。そして、このジグザグの線からなるσとΔt/tとのデータ群を最小二乗法で処理した結果の直線Fがジグザグの線からなるデータ群を図示の如く左下から右上に貫いている。そして、この図8(B)の実測値に基づいた線図Fが図5(B)の線図に対応したものとなっている。この図8(B)の実測値では方向係数が正である。
この図8(A)(B)で得られる傾斜直線の直線F,Fが、当該測定値の平均値として得られる実験式(一次関数)を示す。
(4).S20Cの鋼材にかかる応力依存係数αの算定例
4−1) .応力依存係数αT2(図8(A)参照)の場合
図8(A)で明らかのように、測定値の全体的な傾向(最小二乗法で補正された直線)より実験式(一次関数)として次式(4b)を得る。
y=−2.7779x−285.9 …………………………………(4b)
この式(4b)と前述した式(4a)とを対応させる。
方向係数=dy/dx
=−2.7779
=(Δt/t)/σ……………………………(4c)
ここで、図6(B)の図表より、S20Cの鋼材のヤング率とポアッソン比はそれぞれ下記値をとる。
E=206783MPa、 ν=0.2885 ……………………(4d)
この式(4c)(4d)と式(4)より、次式αT2を得る。
α=αT2=−ν−E(Δt/t)/σ
=−0.2885−206783×(−2.7779)×10−6
=0.286 …………………………………………………(4e)
即ち、印加荷重σの印加方向に直交する方向に超音波を伝搬させて音の伝搬時間を測定した場合、S20Cの鋼材の応力依存係数αは「0.286」となる。
ここで、前述した式(5)についても測定値に基づいて同様の演算を試みた。その結果、応力依存係数αの値として上式(4e)の場合とほぼ同等の値を得ることができた。
このため、内部応力σの算定に際し、この算定された応力依存係数αとS20Cの鋼材の弾性係数とを、前述した内部応力σの式(14)に代入すると、内部応力σの算定式は、
σ=σT2
=−{E/(ν+αT2)}・(Δt/t
=−{206783/(0.2885+0.286)}・(Δt/t)×10−6
=−359935.59(Δt/t)×10−6 ………………(4f)
となる。
この式(4f)で明らかのように、被測定物の応力依存係数αが事前に特定されていると内部応力σの演算式が極めて単純化される。このため、当該未知の荷重が印加された被測定物についてその時の音伝搬時間tと、当該被測定物について負荷荷重ゼロの時の音伝搬時間tとを測定することにより、当該被測定物についてその内部応力を瞬時にしかも定量的に算出することが可能となる。
4−2) .応力依存係数αT1(図8(B)参照)の場合
図8(B)で明らかのように、測定値の全体的な傾向(最小二乗法で補正された直線)より実験式(一次関数)として次式(9b)を得る。
y=11.525x−241.45 ………………………………(9b)
この式(9b)と前述した式(9a)とを対応させる。
方向係数=dy/dx
=11.525
=(Δt/t)/σ…………………………(9c)
ここで、図6(B)の図表より、S20Cの鋼材のヤング率として、
E=206783MPa ……………………………………………(9d)
式(9c)(9d)および式(9)より次式αT1を得る。
α=αT1=1−E(Δt/t)/σ
=1−206783×11.525×10−6
=−1.3832……………………………………………(9e)
即ち、印加荷重σの印加方向に沿った方向に超音波を伝搬させて音の伝搬時間を測定した場合、S20Cの鋼材の応力依存係数αは「−1.3832」となる。
ここで、前述した式(10)についても測定値に基づいて同様の演算を試みた。その結果、応力依存係数αの値として上式(9e)の場合とほぼ同等の値を得ることができた。
このため、この算定された応力依存係数αとS20Cの鋼材の弾性係数とを、前述した内部応力σの式(18)に代入すると、
σ=σT1={E/(1−αT1)}・(Δt/t
={206783/(1+1.3832)}・(Δt/t)×10−6
=86766.951(Δt/t)×10−6………(9f)
となる。
この式(9f)で明らかのように、被測定物の応力依存係数αが事前に特定されていると内部応力σの演算式が極めて単純化される。これがため、未知の荷重が印加された被測定物についてその時の音伝搬時間tと、当該被測定物について負荷荷重ゼロの時の音伝搬時間tとを測定することにより、被測定物についてその内部応力を瞬時にしかも定量的に算出することが可能となる。
尚、上記実施形態および実施例は、音伝搬時間の測定に際して縦波超音波を使用した場合について例示したが、横波超音波を使用してもよい。横波超音波を使用した場合でも、同等の手順により、これと同等の応力依存係数αおよび内部応力σにかかる算定式を得ることができる。
又、上記実施形態は、負荷荷重σとして引張荷重の場合について例示したが、圧縮荷重であってもよい。この圧縮荷重の場合、内部応力σはベクトル量であるためその符号が変わる。
更に、上記発明およびその実施形態等は、音の伝搬時間を測定して応力依存係数αを算定し未知内部応力σを算出する手法について説明したが、音速情報によっても、これと同等の応力依存係数αおよび内部応力σにかかる各算定式を得ることができる。
この場合、応力依存係数αの算定式は、
α=E(ΔV/V)/σ……………………(イ)
となり、
内部応力σの算定式は、
σ=E(ΔV/V)/α ……………………………(ロ)
となる。これにより、固有常数αが判明すると、内部応力σが極く容易に算定することができる。
ここで、ΔV=V−V、ΔV=V−Vを示す。又、記号V,Vは被測定物の音速で、Vは未知の荷重が負荷された状態下で測定された音速を、Vは応力依存係数αを算定するために印加される荷重負荷σに対応して変化する音速を、それぞれ示す。記号Eは被測定物のヤング率を示す。
又、この式(イ)(ロ)については、被測定物に印加する(又は印加されている)荷重σの向きに対して同方向又は直交する方向のいずれの方向に超音波を伝搬させても、適用あるものとする。
本発明は、上述したように、未知の荷重が負荷されている箇所の部材の内部応力を迅速に且つ定量的に測定するためのものであり、過度の荷重が印加された場合に事前にこれを検知して当該部材の破壊を有効に回避することを可能としたものである。このため、本発明は、音速又は音の伝搬時間が測定可能な部材であれば、橋梁の連結部材や各種ボルトをはじめ、電車や自動車の車軸、その他の回転体の支軸等、更には飛行体の部品連結部等、あらゆる箇所について、その内部応力を有効に測定することができ、需要範囲は広い。
本発明の最良の一実施形態を示すブロック図である。 図1における音伝搬時間測定手段による被測定物そのものに対する音の伝搬時間の測定状態を示す説明図である。 図1における音伝搬時間測定手段による被測定物と同一の素材について音の伝搬時間を測定する場合(引張荷重を変化させつつ印加して)を示す説明図である。 図1に示す実施形態の装置全体の動作を示すフローチャートである。 応力依存係数αの性質(印加荷重と音伝搬時間変化比との関連性)を示す図で、図5(A)は音伝搬時間の測定時に超音波を横方向に伝搬させた場合を示し、図5(B)は音伝搬時間の測定時に超音波を縦方向に伝搬させた場合を示す。 図3における音の伝搬時間の測定に使用される被測定物と同一の素材からなる部材(テストピース)の情報を示す図で、図6(A)は当該部材(テストピース)の形状および概略寸法を示す参考図、図6(A)は当該部材(テストピース)の弾性係数を示す図表である。 図6に開示した部材(S20Cの鋼材で形成した)を図2に開示した手法で測定し算出された音伝搬時間変化比(Δt/t)とこれに対応する印加荷重(引張荷重σ)との関係を示す図表である。 図7の測定情報をグラフ化しその傾斜角情報(測定値の平均値)から応力依存係数αを算出することを意図したもので、図8(A)は音伝搬時間の測定時に超音波を横方向に伝搬させた場合を示す図表、図8(B)は音伝搬時間の測定時に超音波を縦方向に伝搬させた場合を示す図表である。
符号の説明
1 被測定物
1A 被測定物と同一の素材からなる他の部材(テストピース
11 音伝搬時間測定手段
11a,11b 超音波送受波器
11A 超音波用信号送受信回路部
11B 音伝搬時間算定回路部
12 応力依存係数算定回路部(応力依存係数算定手段)
13 主演算部
14 情報記憶部
15 入力部
16 出力部
21 荷重印加装置

Claims (10)

  1. 被測定物について、その所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時もしくは無負荷に近い状態における音の伝搬時間tと、荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tに分けて、それぞれ超音波を用いて且つ当該超音波を前記印加荷重σの印加方向と同方向に伝搬させて測定する第1の工程と、
    この第1の工程で得られる音の伝搬時間t,tにかかる複数情報に基づいて当該伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、これらの情報および前記被測定物を形成する素材が備えているヤング率Eを含む固有の弾性定数等を含んで予め特定された応力依存係数αに関する下式
    α=f(Δt,σ)={1−E(Δt/t)/σ
    により当該被測定物の素材固有の応力依存係数αを算定する第2の工程と、
    この第1乃至第2の各工程に相前後して、装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の前記被測定物について前記所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを測定する第3の工程と、
    この第1乃至第3の各工程で得られる諸情報に基づいて、前記第3工程における被測定物の実際の内部応力σを、前記応力依存係数αを含んで予め特定された内部応力σに関する次式
    σ=f(Δt,α)=E(Δt/t)/(1−α)、
    (ここで、Δt=t−t
    を演算し、実際に装備された状態下にある前記被測定物の現実の内部応力σを特定する第4の工程と、から成ることを特徴とした応力測定方法。
  2. 前記請求項1に記載の応力測定方法において、
    前記第2の工程における前記応力依存係数αの算定式、α=f(Δt,σ)を、前記α={1−E(Δt/t)/σ}に代えて、下式
    Figure 2009036774
    としたことを特徴とする応力測定方法。
  3. 被測定物について、その所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時もしくは無負荷に近い状態における音の伝搬時間tと荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tに分けて、それぞれ超音波を用いて且つ当該超音波を前記印加荷重σの印加方向に直交する方向に伝搬させて測定する第1の工程と、
    この第1の工程で得られる音の伝搬時間t,tにかかる複数情報に基づいて当該伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、これらの情報および前記被測定物を形成する素材が備えているヤング率Eとポアソン比νとを含む固有の弾性定数等を含んで予め特定された応力依存係数αに関する下式
    α=f(Δt,σ)={−ν−E(Δt/t)/σ
    を用いて当該被測定物の素材固有の応力依存係数αを算定する第2の工程と、
    この第1乃至第2の各工程に相前後して、装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の前記被測定物について前記所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを測定する第3の工程と、
    この第1乃至第3の各工程で得られる諸情報に基づいて、前記第3の工程における被測定物の実際の内部応力σを、前記応力依存係数αを含んで予め特定された内部応力σに関する次式
    σ=f(Δt,α)=−E(Δt/t)/(ν+α)、
    (ここで、Δt=t−t
    を演算し、実際に装備された状態下にある前記被測定物の現実の内部応力σを特定する第4の工程と、から成ることを特徴とした応力測定方法。
  4. 前記請求項3に記載の応力測定方法において、
    前記第2の工程における前記応力依存係数αの算定式α=f(Δt,σ)を、前記α={−ν−E(Δt/t)/σ}に代えて、下式
    Figure 2009036774
    としたことを特徴とする応力測定方法。
  5. 装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物について所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを超音波を用いて測定すると共に、この被測定物について前記所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時若しくはこれに近い状態の伝搬時間tと所定の荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとに分けて、それぞれ超音波を用いて且つ当該超音波を前記印加荷重σの印加方向と同方向に伝搬させて測定する音伝搬時間測定手段を有し、
    この音伝搬時間測定手段で測定される複数の各音伝搬時間情報t,t,tおよび当該音伝搬時間情報tに対応した印加荷重情報σを入力し且つこの内の複数の音伝搬時間情報t,tに基づいて当該音の伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、これらの諸情報および前記被測定物を形成する素材が備えているヤング率Eを含む固有の弾性定数等を含んで予め特定された応力依存係数αに関する下式、
    α=f(Δt,σ)={1−E(Δt/t)/σ
    を演算することにより当該被測定物の素材固有の応力依存係数αを算定する応力依存係数算定手段を設け、
    この応力依存係数算定手段で算定される応力依存係数αおよび前記音伝搬時間測定手段で測定される複数の音伝搬時間情報等に基づいて、実際に装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の前記被測定物の未知の内部応力σを、前記応力依存係数αを含んで予め特定された次式、
    σ=f(Δt,α)=E(Δt/t)/(1−α)、
    (ここで、Δt=t−t
    を演算することにより算定する主演算部を備えていることを特徴とした応力測定装置。
  6. 前記請求項5に記載の応力測定装置において、
    前記応力依存係数算定手段は、時間情報抽出機能と、伝搬時間変化分算定機能と、応力依存係数算定機能とを有し、
    前記時間情報抽出機能が、前記音伝搬時間測定手段で得られる印加荷重σを含む前記複数の情報から音伝搬時間情報t,tを抽出するように機能し、
    前記伝搬時間変化分算定機能が、前記時間情報抽出機能で抽出された音伝搬時間情報t,tに基づいて前記印加荷重σに対応した音伝搬時間の変化分Δtを算定するように機能し、
    前記応力依存係数算定機能が、前記音伝搬時間にかかる情報および前記印加荷重σにかかる情報等に基づいて応力依存係数αにかかる前記算定式 α=f(Δt,σ)={1−E(Δt/t)/σ}を演算し前記被測定物を形成する素材固有の応力依存係数αを算定するように機能する構成としたことを特徴とする応力測定装置。
  7. 前記請求項5又は6に記載の応力測定装置において、
    前記応力依存係数算定手段では、応力依存係数αを算定する算定式α=f(Δt,σ)として、前記α={1−E(Δt/t)/σ}に代えて次式
    Figure 2009036774
    としたことを特徴とする応力測定装置。
  8. 装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の被測定物について所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間tを超音波を用いて測定すると共に、この被測定物について前記所定箇所の対向面相互間を伝搬する音の伝搬時間を、無負荷時若しくはこれに近い状態の伝搬時間tと所定の荷重を変化させながら印加して当該印加荷重σの大きさに対応した音の伝搬時間tとに分けて、それぞれ超音波を用いて且つ当該超音波を前記印加荷重σの印加方向に直交する方向に伝搬させて測定する音伝搬時間測定手段を有し、
    この音伝搬時間測定手段で測定される複数の各音伝搬時間情報t,t,tおよび当該音伝搬時間情報tに対応した印加荷重情報σを入力し且つこの内の複数の音伝搬時間情報t,tに基づいて当該音の伝搬時間の変化分Δt(=t−t)を算定すると共に、これらの諸情報および前記被測定物を形成する素材が備えているヤング率Eとポアソン比νとを含む固有の弾性定数等を含んで予め特定された応力依存係数αに関する下式、
    α=f(Δt,σ)={−ν−E(Δt/t)/σ
    を演算することにより当該被被測定物の素材固有の応力依存係数αを算定する応力依存係数算定手段を設け、
    この応力依存係数算定手段で算定される応力依存係数αおよび前記音伝搬時間測定手段で測定される複数の音伝搬時間情報等に基づいて、実際に装置若しくは建造物等に装備され未知の荷重が印加された状態の前記被測定物の未知の内部応力σを、前記応力依存係数αを含んで予め特定された次式、
    σ=f(Δt,α)=−E(Δt/t)/(ν+α)、
    (ここで、Δt=t−t
    を演算することにより算定する主演算部を備えていることを特徴とした応力測定装置。
  9. 前記請求項8に記載の応力測定装置において、
    前記応力依存係数算定手段が、時間情報抽出機能と、伝搬時間変化分算定機能と、応力依存係数算定機能とを有し、
    前記時間情報抽出機能が、前記音伝搬時間測定手段で得られる印加荷重σを含む複数の情報から音伝搬時間情報t,tを抽出するように機能し、
    前記伝搬時間変化分算定機能が、前記時間情報抽出機能が稼働して抽出された音伝搬時間情報t,tに基づいて前記印加荷重σに対応した音伝搬時間の変化分Δtを算定するように機能し、
    前記応力依存係数算定機能が、前記音伝搬時間にかかる情報および前記印加荷重σにかかる情報等に基づいて応力依存係数αにかかる前記算定式 α=f(Δt,σ)={−ν−E(Δt/t)/σ}を演算し前記被測定物を形成する素材固有の応力依存係数αを算定するように機能する構成としたことを特徴とする応力測定装置。
  10. 前記請求項8又は9に記載の応力測定装置において、
    前記応力依存係数算定手段では、応力依存係数αを算定する算定式α=f(Δt,σ)として、前記α={−ν−E(Δt/t)/σ}に代えて次式
    Figure 2009036774
    したことを特徴とする応力測定装置。
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