JP2009035716A - 活性エネルギー線硬化型インキ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一次粒子径が100nm以下である親水性シリカを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキである。親水性シリカの比表面積が280m2/g以下が好ましく、親水性シリカの一次粒子径が28nm以下であり、比表面積が190m2/g以下であることが更に好ましい。また、エチレンオキサイドユニットを有するモノマーを含有する態様などが好ましい。エチレンオキサイドユニットの数が6以上19以下であり、エチレンオキサイドユニットを有するモノマーの含有量が、インキの総質量に対して
、0.02質量%以上20質量%以下である態様、などが好ましい。
【選択図】なし
Description
そこで、従来のエマルションインキに代わり、紫外線硬化型のインキが使用されるようになってきた。この紫外線硬化型インキは、紫外線の照射によって即時に硬化するため、前記紫外線硬化型インキを用いて印刷を行なった場合、一般に用いられているW/O(油中水滴)型エマルションインキよりもインキの乾燥性がよく、裏移りしないなどの長所がある。
前記温度に対する粘度変化に対しては、エマルションタイプの紫外線硬化型インキが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この提案では、インキをエマルション化することで、温度に対する粘度変化を従来の孔版印刷用エマルションインキと同程度にすることができるものの、高温で保存すると、印刷機上でインキの水分が蒸発して粘度が変化する結果、やはりインキが分離してしまうという問題があった。
また、前記紫外線硬化型インキは、通常使用される温度での印刷機上でのインキ垂れが起こり、再度使用する場合に良好な印刷物が得られないという問題もあった。さらに、前記インキ垂れは、インキが高温で保存された場合に、より顕著になるという問題があった。
<1> 一次粒子径が100nm以下である親水性シリカを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキである。
<2> 親水性シリカの比表面積が280m2/g以下である<1>に記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<3> 親水性シリカの一次粒子径が28nm以下であり、比表面積が190m2/g以下である<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<4> 下記構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットを有するモノマーを含有する<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
−(CH2CH2O)− ・・・構造式(1)
<5> 構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットの数が6以上19以下である<4>に記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<6> 構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットを有するモノマーの含有量が、インキの総質量に対して、0.02質量%以上20質量%以下である<4>から<5>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<7> 水の含有量が、インキの総質量に対して、5質量%以下である<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<8> 感熱デジタル製版によって穿孔製版された孔版原紙を用いて前記穿孔部を通過したインキで画像形成を行う孔版印刷に用いられる<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
<9> エチレンオキサイドユニットを有するモノマーを含有する場合、前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーがメタクリレート系モノマーである<1>から<8>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキである。
本発明の活性エネルギー線硬化型インキ(以下、単に「インキ」と称することもある)は、体質顔料、活性エネルギー線硬化型の重合性成分、着色剤、分散剤、重合開始剤を含み、更に必要に応じて、重合禁止剤、植物油、酸化防止剤、相乗剤、などのその他の成分を含んでなる。
なお、本発明のインキは、ラジカル重合により固化する材料から構成されてもよいし、カチオン重合により固化する材料から構成されてもよい。
前記体質顔料は、その少なくとも1種が、親水性シリカであり、更に必要に応じて疎水性シリカ、前記親水性シリカ及び疎水性シリカ以外の体質顔料を含む。
前記親水性シリカは、分子の表面にOH基を有するシリカである。
前記親水性シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アエロジル50、アエロジル90G、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルCOK84(いずれも日本アエロジル社製)などが挙げられる。
前記親水性シリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記親水性シリカがインキに含有されることで、インキの高温時の分離安定性を高めることができる。
ここで、前記「一次粒子」とは、お互いに面又はエッジで接触しており、更に分散できない状態の粒子を意味する。また、前記「一次粒子径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
なお、前記「通常使用される温度」とは、10〜30℃であり、前記「高温下で保存された時」における高温とは、50〜70℃である。
ここで、前記「比表面積」とは、1gあたりの表面積を意味する。また、前記「比表面積」は、BET法により測定することができる。
そして、前記一次粒子径が28nm以下で、かつ、前記比表面積が190m2/g以下であると、更にインキの高温時の分離安定性が高まり、通常使用される温度での印刷機上でインキ垂れを防ぐことができ、版の目詰まりを防ぐことができる。
なお、ここでいう「降伏値」とは、「流動を引き起こすのに必要な最低の剪断力の値」を意味する。インキの降伏値が高ければ、外力が加えられない状態で放置した場合に形状が安定し、インキ垂れを防ぐことができる。
前記疎水性シリカは、前記親水性シリカの表面のOH基の約80%を、メチル基等の疎水性基で置換(疎水化処理)したシリカである。
前記疎水性シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アエロジルR972、R974、R202、R805、R812、R812S、RX200、RY200(いずれも日本アエロジル社製)などが挙げられる。
なお、前記疎水性シリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このように、前記親水性シリカと前記疎水性シリカとを、併用することにより、親水性シリカの温度特性を損なうことなく、インキに塑性粘度を付与することができるので、インキの高温時の分離安定性を高めることができる。
前記親水性シリカ及び疎水性シリカ以外の体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機ベントナイト、白土、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、等の無機微粒子;ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等の有機微粒子;又はこれらの共重合体からなる微粒子;などが挙げられる。
前記親水性シリカ及び疎水性シリカ以外の体質顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性エネルギー線硬化型の重合性成分は、その少なくとも1種が、分子内に下記構造式(1)で表されるユニットを有するモノマーであり、更に必要に応じてその他の重合性成分を含む。なお、前記構造式(1)で表されるユニットは、エチレンオキサイド(EO)ユニットである。
−(CH2CH2O)− ・・・構造式(1)
前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイドユニットの数:5〜20)、エチレンオキサイド変性トリメチロールトリ(メタ)アクリレート(エチレンオキサイドユニットの数:3〜20)などが挙げられる。前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーとしては、皮膚刺激性、皮膚感さ性などの安全性の観点から、メタクリレート系のモノマーが好ましい。
前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーがインキに含有されると、インキが高温下で保存された時の印刷機上でのインキ垂れをより防ぐことができ、高温保存時の粘度安定性をより高めることができる。
なお、前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーは、分子構造内にベンゼン構造や、ビスフェノールA骨格を有さないことが好ましい。
前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーは、水溶性であることが好ましく、水に不溶なモノマーと併用することが好ましい。また、前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーは、特に、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールなどのカプロラクトン変性のモノマーと併用することが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型の重合性成分としては、分子内に構造式(1)で表されるユニットを有しないその他の重合性成分を含んでいてもよい。
前記その他の重合性成分としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系のアクリル酸変性又はメタクリル酸変性されたモノマー及びオリゴマーが挙げられる。
具体的には、一官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジシクロペンテルエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレンオキサイドユニットの数が3〜14)、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PO:3〜14)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)クリレートなどが挙げられる。三官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(プロピレンオキサイドユニットの数が1〜6)などが挙げられる。四官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
なお、前記その他の重合性成分におけるモノマーは、分子構造内にベンゼン構造や、ビスフェノールA骨格を有さないことが好ましい。
前記その他の重合性成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、各種色調の公知の顔料、分散染料などの不溶性着色剤を用いることができる。
前記着色剤としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料等のフタロシアニン系顔料;アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、イソインドリン系色素、ジオキサンジン系色素、スレン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素、金属錯体等の縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキ等の有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料;蛍光顔料;などが挙げられる。
なお、前記着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤分散剤は、前記着色剤及び体質顔料を分散させる機能を有する成分である。
前記着色剤分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリンポリリシノレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド、などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミン系高分子化合物;アルミニウムキレート系化合物;スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物;ポリカルボン酸エステル型高分子化合物;脂肪族系多価カルボン酸;高分子ポリエステルのアミン塩類;エステル型アニオン界面活性剤;高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類;長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩;ポリアミド系化合物;リン酸エステル系界面活性剤;アルキルスルホカルボン酸塩類;スルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩類;ジオクチルスルホコハク酸塩類;ポリエチレンイミン;アルキロールアミン塩;アルキド樹脂等の不溶性着色剤分散能を有する樹脂、などが挙げられる。
なお、前記着色剤分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ラジカル重合開始剤としては、光開列型と水素引抜き型とが挙げられ、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどが挙げられる。
なお、前記重合開始剤は、光源に合わせて、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記重合開始剤、増感剤、重合促進剤の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて適宜選択することができるが、インキの総質量に対して、各々、1〜25質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
本発明のインキ中におけるその他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合禁止剤、植物油、酸化防止剤、相乗剤、などが挙げられる。
本発明のインキは、前記インキの保存安全性及び暗反応によるゲル化を防止する目的で、重合禁止剤を使用してもよい。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、t−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノール(MEHQ)、などが挙げられる。
前記重合禁止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、インキの総質量に対して、100〜5,000ppmであり、100〜500ppmが好ましい。
本発明のインキは、必要に応じて、硬化特性を阻害しない範囲で植物油を使用してもよい。
前記植物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大豆油、ナタネ油、コーン油、ゴマ油、トール油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、ウォルナッツオイル、ポピーオイル、リンシードオイル、などが挙げられる。
また、前記植物油としては、エステル化した植物油も使用することができる。前記エステルとしては、例えば、メチルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、プロピルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、印刷後のインキ乾燥性を考慮すると、ヨウ素価が100以上の、一般に乾性油及び半乾性油と呼ばれるものを使用するのが好ましい。ただし、長期間放置による印刷機上でのインキ固着が問題になる場合には、ヨウ素価が100以下の植物油を使用してもよい。
なお、前記植物油は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジフェニルフェニレンジアミン、イソプロピルフェニルフェニレンジアミンなどのアミン系化合物、トコフェロール、ジブチルメチルフェノールなどのフェノール系化合物、メルカプトメチルベンゾイミダゾールなどの硫黄系化合物、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、などが挙げられる。
なお、前記酸化防止剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤は、前記植物油の含有量に対して極めて少量の酸化防止剤を添加した場合、適切な酸化防止効果は期待できない場合があり、逆に、植物油の含有量に対して多量の酸化防止剤を一度に添加してしまうと、酸化促進剤として作用してしまう場合にもある。よって、少量の酸化防止剤でも植物の酸化を抑えるために、後述する相乗剤を加えることが好ましい。
前記相乗剤とは、それ自身では酸化防止作用をほとんど持たないが、酸化防止剤と併用されることで前記酸化防止剤の酸化防止作用を増強させるものである。前記相乗剤は、通常酸性物質で、いくつかの水酸基またはカルボキシル基を持っている多官能性化合物である。
前記相乗剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、トレオニン、ロイシン、牛乳タンパク質加水分解物、ノルバリン、パルミチン酸アスコルビン、フェニルアラニン、シスチン、トリプトファン、プロリン、アラニン、グルタミン酸、バリン、膵臓タンパクのペプシン消化液、アスパラギン、アルギニン、バルビツール酸、アスフェナミン、ニンヒドリン、プロパニジン、ヒスチジン、ノルロイシン、グリセロリン酸、カゼインのトリプシン加水分解液、カゼインの塩酸加水分解液などが挙げられる。
なお、前記相乗剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明のインキは、水や乳化剤(HLB:3〜10)などを添加することで、エマルションの形態としてもよい。
前記インキに、水が少量添加されることにより、インキの切れが良くなり、印刷時に用紙の排紙ミスが改善される。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高温時の分離安定性を考慮する場合には、インキの総質量に対して、20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、水を含有しないことが更に好ましい。前記含有量が20質量%を超えると、印刷機上でインキの分離安定性が低下することがある。前記含有量が5質量%以下であると、インキの高温時の分離安定性をより高めることができる。
前記乳化剤の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、含有しないことが好ましい。前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマー以外のモノマーとして、水溶性のモノマーを使用した場合には、インキに乳化剤を添加することなくエマルションの形態にできる点で好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型インキの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、常法により各成分を混合して、3本ロールミルなどの分散機を用いて分散処理を行うことにより製造する方法などが挙げられる。
前記インキを、孔版印刷システム用として用いる場合、前記インキの粘度は、攪拌条件によっても調節可能である。前記粘度としては、システムにあった粘度であれば特に制限はないが、ずり速度20s−1のときの粘度が2〜40Pa・sであるのが好ましく、10〜30Pa・sであるのがより好ましい。また、印刷後の用紙の巻き上がりの観点から、下記Cassonの近似式により近似したインキの塑性粘度が2.0Pa・s以下であるのが好ましく、1.0Pa・s以下がより好ましく、0.5Pa・s以下が更に好ましい。また、下記Cassonの近似式により近似したインキの降伏値が、25〜250Pa以下が好ましく、25〜100Pa以下がより好ましい。
−活性エネルギー線硬化型インキの調製−
表1〜3に示す処方に従い、着色剤、着色剤分散剤、体質顔料、重合性成分及び重合開始剤を混合し、3本ロールミル(株式会社井上製作所製)を用いて分散処理を行って、実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを調製した。
表1〜3中の、体質顔料及び重合性成分の詳細は、表4、5に示す通りである。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、下記の内容により、高温時の分離安定性、皮膜強度、二本ロール上での垂れ性、高温保存垂れ性、高温保存粘度安定性及び目詰まりの評価を行った。各評価結果を、表6〜8に示す。
なお、前記「二本ロール上での垂れ性」の評価により、通常使用される温度における印刷機上での垂れ性を評価することができ、「高温保存垂れ性」の評価により、高温にさらされたインキの、通常使用される温度における印刷機上での垂れ性を評価することができる。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、ガラス瓶に各インキを入れて密閉した状態で、60℃にて1ヶ月放置した後、インキの分離状況を目視にて観察し、以下の3段階の評価基準に基づき評価した。
−評価基準−
○:分離はほとんど観られない。
△:分離がやや観られるが、実用上問題ないレベルである。
×:著しい分離が観られ、実用上問題がある。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、孔版印刷機(「サテリオA650」;リコー株式会社製)を使用し画像を印刷した後、印刷物の画像上を布で擦り、布の汚れ具合を下記の3段階の評価基準に基づき目視により評価した。
−評価基準−
○:汚れがほとんど観られない。
△:汚れがやや観られるが、実用上問題ないレベルである。
×:顕著な汚れが観られ、実用上問題がある。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、23℃における、印刷機内のインキを練るためのロール上(二本のロールからなる)でのインキの形状を、下記の4段階の評価基準に基づき目視により評価した。
−評価基準−
◎:変化が観られない。
○:若干変化が観られるが、実用上問題ないレベルである。
△:練った状態からインキ溜まりの形状が変化するが、実用上問題ないレベルである。
×:インキが平らになり流動性があり、実用上問題がある。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、60℃に1ヶ月保存したサンプルの流動性を、下記の3段階の評価基準に基づき目視により評価した。なお、評価時のサンプルの温度は、23℃である。
−評価基準−
○:流動性が観られない。
△:流動性の傾向が観られるが、実用上問題ないレベルである。
×:流動性があり、実用上問題がある。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、保存前のサンプルの粘度と、このサンプルを60℃に1ヶ月保存した後の粘度とを、ストレスレオメータ(ボーリン社製CSR−10)により測定した。具体的には、直径2cmで角度2度のコーンを使用して、測定温度23℃で、応力12.5〜150Paの流動曲線を測定し、下記Cassonの近似式に従って、Casson塑性粘度及びCasson降伏値を算出し、ずり速度10s−1の時の粘度を計算から求め、サンプルの粘度とした。
−評価基準−
◎:20%未満の粘度上昇、または、15%未満の粘度低下
○:20%以上の粘度上昇、または、15%以上の粘度低下であるが、実用上問題ないレベルである。
△:40%以上の粘度上昇であるが、実用上問題ないレベルである。
×:60%以上の粘度上昇であり、実用上問題がある。
実施例1〜24及び比較例1〜5の活性エネルギー線硬化型インキを用いて、リコー製サテリオA650を使用し1000枚印刷した後、版の表面を下記の3段階の評価基準に基づき目視により評価した。
−評価基準−
○:目詰まりの兆候が観られない。
△:わずかに目詰まりの兆候が観られるが、実用上問題ないレベルである。
×:目詰まりが観られ、実用上問題がある。
実施例1〜6と、比較例1、2、4とを比較することで、体質顔料として親水性シリカを添加すると、高温時の分離安定性が高まることが示された。
実施例1〜6と、比較例3、5とを比較することで、親水性シリカの一次粒子径が100nm以下であると、皮膜強度が付与することができ、二本ロール上での垂れ性(通常使用される温度での印刷機上での垂れ)をより防ぐことができ、高温にさらされたインキの垂れ性をより防ぐことができることが示された。
実施例4と、実施例5、6とを比較することで、親水性シリカの比表面積が280m2/g以下であると、二本ロール上での垂れ性を、より防ぐことができることが示された。
実施例2、3と、実施例1、4、17とを比較することで、親水性シリカの一次粒子径が28nm以下で、かつ、比表面積が190m2/g以下であると、高温時の分離安定性をより高めることができ、二本ロール上での垂れ性をより防ぐことができ、目詰まりをより防ぐことができることが示された。
実施例8、12、13、19と、実施例11、14とを比較することで、エチレンオキサイドユニットの数が6以上19以下であると、二本ロール上での垂れ性をより防ぐことができ、高温にさらされたインキの垂れ性をより防ぐことができることが示された。
実施例22、23と、実施例7、24とを比較することで、エチレンオキサイドユニットを有するモノマーの含有量が、インキの総質量に対して、0.02質量%以上20質量%以下であると、高温保存時の粘度安定性をより高めることができることが示された。
Claims (9)
- 一次粒子径が100nm以下である親水性シリカを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキ。
- 親水性シリカの比表面積が280m2/g以下である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- 親水性シリカの一次粒子径が28nm以下であり、比表面積が190m2/g以下である請求項1から2のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- 下記構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットを有するモノマーを含有する請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
−(CH2CH2O)− ・・・構造式(1) - 構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットの数が6以上19以下である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- 構造式(1)で表されるエチレンオキサイドユニットを有するモノマーの含有量が、インキの総質量に対して、0.02質量%以上20質量%以下である請求項4から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- 水の含有量が、インキの総質量に対して、5質量%以下である請求項1から6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- 感熱デジタル製版によって穿孔製版された孔版原紙を用いて前記穿孔部を通過したインキで画像形成を行う孔版印刷に用いられる請求項1から7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
- エチレンオキサイドユニットを有するモノマーを含有する場合、前記エチレンオキサイドユニットを有するモノマーがメタクリレート系モノマーである請求項1から8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
Priority Applications (2)
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