JP2009034725A - 溶接部特性に優れた電縫管製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油井のラインパイプ向けなど溶接部靭性が要求される管あるいは油井のケーシングパイプなど溶接部強度が要求される管を製造する方法を提供する。
【解決手段】帯材20をロール成形し、幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管製造方法において、前記ロール成形の終盤であるフィンパス成形により幅端部に幅方向にほぼ垂直な端面に連なるテーパ形状を付与することとし、該付与するに用いるスタンドのフィン形状を2段階以上の角度を有するものとし、かつ同スタンドのアプセットを0〜2%とする。
【選択図】図2
【解決手段】帯材20をロール成形し、幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管製造方法において、前記ロール成形の終盤であるフィンパス成形により幅端部に幅方向にほぼ垂直な端面に連なるテーパ形状を付与することとし、該付与するに用いるスタンドのフィン形状を2段階以上の角度を有するものとし、かつ同スタンドのアプセットを0〜2%とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、溶接部特性に優れた電縫管製造方法に関わり、特に、油井のラインパイプ向けなど溶接部靭性が要求される管あるいは油井のケーシングパイプなど溶接部強度が要求される管を製造する方法に関わる。
通常、管は溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、電縫鋼管を例とするように、帯材(板ともいう)をロール成形等によって丸めて幅端部を突き合わせて溶接して製造し、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔しマンドレルミル等で圧延して製造する。溶接管の場合、一般に溶接部の特性は母材より劣ると言われ、管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度の保証が常に議論されて問題となってきた。
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、管を寒冷地に敷設することが多いため低温靭性が重要であり、また、原油採掘の油井では採掘管を保護するためのケーシングパイプが必要であり、管の強度が重要視される。
通常、管の母材となる熱延板は、管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われるため、母材の靭性や強度等の特性は確保される。
通常、管の母材となる熱延板は、管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われるため、母材の靭性や強度等の特性は確保される。
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理以上に、溶接方法によって大きく左右されるため、特に、電縫溶接の場合は溶接部を母材同等の靭性や強度等の特性となしうる溶接技術の開発が重要であった。
電縫溶接の不良原因としては、ペネトレータと呼ばれる酸化物が被溶接帯材の幅端部に生成し、これが電縫溶接時に溶鋼とともに端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下し、また、強度不足になる例が多かった。
電縫溶接の不良原因としては、ペネトレータと呼ばれる酸化物が被溶接帯材の幅端部に生成し、これが電縫溶接時に溶鋼とともに端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下し、また、強度不足になる例が多かった。
そこで、従来、ペネトレータを溶接部から除くため、溶接部になる被溶接帯材の幅端面から積極的に溶鋼を排出する技術が鋭意検討されてきた。例えば、特許文献1〜5などに、帯材(板)の幅端部の形状について検討した例が記載されている。通常、帯材の幅端部はスリットや端面研削によってほぼ矩形端面(矩形端部の端面と同じ形状の端面)とされるのに対し、特許文献1〜5では、この幅端部を電縫溶接までにテーパ加工して、加工した幅端部形状によって電縫溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
特開昭57−31485号公報
特開昭63−317212号公報
特開2001−170779号公報
特開2001−259733号公報
特開2003−164909号公報
しかし、上記従来の方法では、テーパ加工手段を単独で用いて板端面にテーパ形状を付与するか、あるいは、単にテーパ加工手段を羅列して紹介したのみであったため、具体的に電縫管製造工程に適用しても効果が充分には発現しない場合があり、さらに詳細な検討が必要であった。特に、特許文献1においてX字形開先を付与する技術が記載されているが、本発明者らの検討では、この帯材端部(帯材の幅端部の意。以下同じ)をX字形開先のままスクイズロ一ルで挟んで圧接しようとすると左右の帯材端部が上下にずれ易くて、電縫溶接が正常にできず、製品としての管にすることできない場合が多々生じて問題であることがわかった。
また、特許文献1,2の方法では通常のフィンパス成形に用いる1段階角度のフィンに帯材幅端部の厚さ方向の一部を接触させて所望のテーパ形状を付与しようとするが、かかる方法ではアプセットを加減しても帯材幅端部が充分加工硬化していないためその厚さ方向全体がフィンに食い込んで一律な平坦面となってしまいやすく、所望のテーパ形状を安定的に得るのが極めて困難であることもわかった。
このように、従来の技術に則って、電縫管の溶接部になる帯材被溶接端部にテーパ加工を施しても充分な溶接部特性を得るのは困難であるという課題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その要旨は次のとおりである。
1. 帯材をロール成形し、幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管製造方法において、前記ロール成形の終盤であるフィンパス成形により幅端部に幅方向にほぼ垂直な端面に連なるテーパ形状を付与することとし、該付与するに用いるスタンドのフィン形状を2段階以上の角度を有するものとし、かつ同スタンドのアプセットを0〜2%とすることを特徴とする溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
1. 帯材をロール成形し、幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管製造方法において、前記ロール成形の終盤であるフィンパス成形により幅端部に幅方向にほぼ垂直な端面に連なるテーパ形状を付与することとし、該付与するに用いるスタンドのフィン形状を2段階以上の角度を有するものとし、かつ同スタンドのアプセットを0〜2%とすることを特徴とする溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
2. 前記テーパ形状の付与は、幅端部の管内面側になる部分と管外面側になる部分とのいずれか一方または両方に施すことを特徴とする前項1に記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
3. 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の複数のスタンドで行い、うち前段側のスタンドで幅端部の管内面側になる部分に、後段側のスタンドで幅端部の管外面側になる部分にそれぞれ施すことを特徴とする前項1または2に記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
3. 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の複数のスタンドで行い、うち前段側のスタンドで幅端部の管内面側になる部分に、後段側のスタンドで幅端部の管外面側になる部分にそれぞれ施すことを特徴とする前項1または2に記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
4. 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の少なくとも第1スタンドで行なうことを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
5. 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の少なくとも最終スタンドで行なうことを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
6.前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用のいずれか1つのスタンドで幅端部の管外面側となる部分と管内面側となる部分とに同時に施すことを特徴とする前項1、2、4、5のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
5. 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の少なくとも最終スタンドで行なうことを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
6.前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用のいずれか1つのスタンドで幅端部の管外面側となる部分と管内面側となる部分とに同時に施すことを特徴とする前項1、2、4、5のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
7. 前記テーパ形状は、前記幅方向にほぼ垂直な端面から幅方向内側への傾斜角度が25〜50°であり、帯材厚さ端から帯材厚さ方向内側へ延在する深さが帯材厚さの20〜45%であるものとすることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
本発明によれば、著しく良好な靭性および溶接強度を有する電縫管を製造することができる。
従来、電縫溶接部の靭性または強度を向上させるため、電縫溶接の前に帯板端面をテーパ加工していたが、より具体的に明示されていなかったため、これらの方法だけでは充分な効果が得られにくい揚合が多々生じていた。特にX字形開先を付与するとスクイズロ一ルで挟んで圧接した場合、左右の突き合せ端部が上下にずれ易くて鋼管とならず大問題であつた。
そこで、本発明者らは、帯材端部の厚さ中央部分には幅方向にほぼ垂直な面(垂直面からの傾き角度が±0.4°以内の面)を形成させ、この面の片側または両側の厚さ部分にはテーパを付与する方法を採用した。すなわち、帯材の厚さ中央部分にほぼ垂直な面を形成させることによって、スクイズロールで挟んだ場合に、安定して左右の突き合せ端部を突き合わせることが可能であり電縫溶接が安定して可能になることによる。
次に、所望のテーパ形状を得るために、本発明者らはフィンパス成形を活用することを検討した。
フィンパス成形では、フィンパス成形用のロール孔型に帯材の円周方向全体が充満しなくとも、帯材がロール孔型に装入される際に、帯材端部がフィンに強圧されてテーパ形状を付与しやすいことを把握した。すなわち、帯材がフィンパス成形用のロール孔型に装入される場合、フィンに接触した帯材端部およびそのほぼ180°反対側に位置する帯材の底の部分とが梁撓みの状態となって、断面を円弧形状に曲げようとする帯材の反力が大きく作用し、帯材端部には円周方向に大きな圧縮力が作用する結果、帯材端部はフィンに強圧されてフィンの形状がそのまま帯材端部に転写されやすいことを把握した。
フィンパス成形では、フィンパス成形用のロール孔型に帯材の円周方向全体が充満しなくとも、帯材がロール孔型に装入される際に、帯材端部がフィンに強圧されてテーパ形状を付与しやすいことを把握した。すなわち、帯材がフィンパス成形用のロール孔型に装入される場合、フィンに接触した帯材端部およびそのほぼ180°反対側に位置する帯材の底の部分とが梁撓みの状態となって、断面を円弧形状に曲げようとする帯材の反力が大きく作用し、帯材端部には円周方向に大きな圧縮力が作用する結果、帯材端部はフィンに強圧されてフィンの形状がそのまま帯材端部に転写されやすいことを把握した。
しかし、フィンパス成形によりテーパ形状を安定して付与するには、さらに詳紬な検討が必要であった。本発明者らによれば、フィンパス成形によってテーパ形状を付与するに用いるスタンドFSTのアプセット、すなわち、
(スタンドFST入側の帯材周長−スタンドFST出側の帯材周長)を(スタンドFST入側の帯材周長)で除算した値(×100%)
がマイナスにならず、少なくとも0%以上であり2%以下とするとよいことを把握した。
(スタンドFST入側の帯材周長−スタンドFST出側の帯材周長)を(スタンドFST入側の帯材周長)で除算した値(×100%)
がマイナスにならず、少なくとも0%以上であり2%以下とするとよいことを把握した。
すなわち、フィンパス成形用の孔型ロ一ルの円周方向設置位置が不良である場合、ロ一ル孔型による内周長が入側帯材周長より大きくなってアプセットが0%未満のマイナスの値になる場合がある。この場合、帯材端部がフィンのテーパ形状に届かず、帯材端部にテーパが付与できない場合が生じ、また、断面を円弧形状に曲げようとする帯材の反力によってテーパが付与できても、その大きさを目標どおり安定して得ることが難しい場合が生じた。
そこで、フィンパス成形で帯材を安定して成形するには、ロール孔型による内周長を入側の帯材周長より小さくして、フィンパス出側の帯材周長を小さくすることが必要であり、アプセットは0%以上必要となる。
また、フィンパス成形でのアプセットが2%を超えると、ロ一ル孔型による内周長に比べて帯材外周長が大きすぎて、帯材端部からの反力が著しく強くなり、帯材端部から少し内部に入った部分に大きなドッグポーン形状が形成され、また、電縫溶接後の溶接部盛り上がり部分の研削を行っても肉厚を所定範囲に収めることが難しい場合が生じ、また、帯材断面がゆがんだ円弧形状となって製品にならない場合も生じた。
また、フィンパス成形でのアプセットが2%を超えると、ロ一ル孔型による内周長に比べて帯材外周長が大きすぎて、帯材端部からの反力が著しく強くなり、帯材端部から少し内部に入った部分に大きなドッグポーン形状が形成され、また、電縫溶接後の溶接部盛り上がり部分の研削を行っても肉厚を所定範囲に収めることが難しい場合が生じ、また、帯材断面がゆがんだ円弧形状となって製品にならない場合も生じた。
これらから、フィンパス成形によりテーパを付与するスタンドのアプセットは0%以上2%以下の範囲とした。
なお、フィンパス成形において帯材端部の内面側(管の内面側になる側の意。以下同じ)、外面側(管の外面側になる側の意。以下同じ)のいずれか一方にテーパを付与する場合は、フィンの角度を2段階とすればよい。また、フィンパス成形において帯材の両端部に同時にテーパを付与する場合は、3段階の角度(フィン角度)を有するフィン形状とすればよい。なお、このフィン角度は、フィン側面内の仮想面をそのフィン回転中心軸側の端を不動としてフィン内側に倒していったときそれがフィン回転中心軸と平行になるまでの倒し角度(例えば図3に示すφ1、φ2が該当)である。
なお、フィンパス成形において帯材端部の内面側(管の内面側になる側の意。以下同じ)、外面側(管の外面側になる側の意。以下同じ)のいずれか一方にテーパを付与する場合は、フィンの角度を2段階とすればよい。また、フィンパス成形において帯材の両端部に同時にテーパを付与する場合は、3段階の角度(フィン角度)を有するフィン形状とすればよい。なお、このフィン角度は、フィン側面内の仮想面をそのフィン回転中心軸側の端を不動としてフィン内側に倒していったときそれがフィン回転中心軸と平行になるまでの倒し角度(例えば図3に示すφ1、φ2が該当)である。
ただし、2段階または3段階としたフィンのいずれかの角度がフィンロ一ル(フィン付きロール)の垂直方向(のフィン角度90°)より大きな角度になると、帯材端部がフィンにより削り取られて、「ひげ」と称する余肉材が発生することがあり、フィンパス成形時に傷を発生させるとともに、電縫溶接のスパークの原因となるので、フィンの角度は垂直方向(のフィン角度90°)以下にしておくとよい。
なお、フィンパス成形用の第1スタンドで帯材端部の内面側、外面側のいずれか一方または両方にテーパ形状を付与すると、帯材端部がフィンパストップロール(フィンロール)の水平部分(フィン両側の円弧状部分)から接触してロ一ル内部に入る(フィン側面に近づいていく)ため、帯材端部がロール孔型内のフィンテーパ部分に充満し易く安定してテーパ形状を付与しやすい。
また、可能であれば、フィンパス成形用の最終スタンドで帯材端部の内面側、外面側のいずれか一方または両方にテーパ形状を付与すると、そのすぐ後で電縫溶接が行われるため、乱れのない良好なテーパ形状を保持したまま電縫溶接が可能である。
しかし、フィンパス成形開始スタンド(第1スタンド)や途中(第1および最終スタンドを除いた残り)のスタンドでテーパ形状を付与したときでも、そこでフィンパス成形を受けた帯材端部は強圧によって著しく加工硬化するため、そこでのフィンパス成形で付与されたテーパ形状は、その後さらにフィンパス成形を受けても比較的潰れにくくなり、最終のフィンパス成形後も乱れのない良好な状態が保持できる。
しかし、フィンパス成形開始スタンド(第1スタンド)や途中(第1および最終スタンドを除いた残り)のスタンドでテーパ形状を付与したときでも、そこでフィンパス成形を受けた帯材端部は強圧によって著しく加工硬化するため、そこでのフィンパス成形で付与されたテーパ形状は、その後さらにフィンパス成形を受けても比較的潰れにくくなり、最終のフィンパス成形後も乱れのない良好な状態が保持できる。
また、2スタンド以上のフィンパス成形圧延が可能である場合、1つ(前段)のスタンドのフィンに、帯材端部の内面側、外面側のいずれか一方に付与したいテーパ形状と整合するような2段階のフィン角度のテーパを付与し、他の1つ(後段)のスタンドのフィンに、前記内面側、外面側のいずれか他方に付与したいテーパ形状と整合するような2段階のフィン角度のテーパを付与するとよい。
この場合、図3に示すように、前段側のスタンドで内面側にテーパを付与する場合のフィン形状を図3(a)、また、後段側のスタンドで内面側にテーパを付与する場合のフィン形状を図3(b)とすると、内面側にテーパを付与するときに帯材の幅方向に垂直な端面と整合するフィン根元側のフィン側面12は、前段側のスタンドの方が後段側のスタンドに比べて垂直方向16から比較的大きく傾斜させうる(図示のように、φ1<φ1')。そのため、前段側のスタンドの方が後段側のスタンドに比べて内面側へのテーパ付与を担う2段階目(フィン先端側のフィン側面13)のフィン角度(φ2,φ2')のとりうる範囲(η,η')をより広くでき(図示のように、η>η')、内面側へのテーパ付与が比較的容易である。よって、前段側のスタンドで内面側にテーパを付与し、残りの外面側へは後段側のスタンドでテーパを付与するのが好ましい。
なお、フィンパス成形圧延のいずれか一スタンドで帯材端部の一部分にテーパを付与した場合、その部分は強圧によって著しく加工硬化するため、さらに別のスタンドでテーパを付与しても前段スタンドで付与したテーパは比較的潰れにくくなる。従って、最終のフィンパス成形後の帯材端部には内面側、外面側とも乱れのない良好なテーパ形状が付与できているわけである。
もっとも、フィンパス成形において複数のスタンドを用いて、例えば一方のスタンドで外面側にテーパを付与した後、他のスタンドで内面側にテーパを付与すると、先にテーパを付与された外面側端部に、他のスタンドにおいてドッグボーンが形成されて目標とするテーパ形状を充分付与できない場合が全くないとはいいきれない。そこで、かかる場合をなくし、帯材端部に容易に所望の形状どおりのテーパを付与する観点からすれば、フィンパス成形のいずれか1つのスタンドで外面側、内面側の双方に同時にテーパを付与することが好ましいのである。
さらに、圧接直前の帯材端部のテーパ形状の適正化を図った結果、各部のテーパにおいて、幅方向に垂直な端面から幅方向内側への傾斜角度が25〜50°であり、帯材厚さ端から帯材厚さ方向内側への延在深さが帯材厚さの20〜45%であるテーパ形状とすれば良いことを把握した。
すなわち、前記傾斜角度が25°未満であると、板厚中央部からの溶鋼排出が不充分となってペネトレータが残留して電縫溶接部の靭性や強度が低下することがあり、一方、前記傾斜角度が50°超であると、テーパ形状が溶接後に製品管の疵として残留しやすい。
すなわち、前記傾斜角度が25°未満であると、板厚中央部からの溶鋼排出が不充分となってペネトレータが残留して電縫溶接部の靭性や強度が低下することがあり、一方、前記傾斜角度が50°超であると、テーパ形状が溶接後に製品管の疵として残留しやすい。
また、前記延在深さが板厚の20%未満であると、板厚中央部からの溶鋼排出が不充分となってペネトレータが残留しやすくなり、一方、前記延在深さが板厚の45%超であると、未溶接の管状の帯材をスクイズロールで挟んで端部を圧接する際、相対する左右の両端部が上下にずれ易くて電縫溶接が正常にできず、製品としての管にすることができない場合が多々生じ、また、電縫溶接ができた場合でも、テーパ形状が溶接後に製品管の疵として残留しやすい。
図1は本発明の実施に用いられる電縫管製造ラインの1例を示す模式図である。このラインは、帯材20を、アンコイラ1から払い出し、レベラ2で平坦に矯正し、ロール成形機4で帯材20を徐々に丸めていき、丸めた帯材20の左右両幅端部を加熱実施部(コンタクトチップ)5と圧接実施部(スクイズロール)6からなる電縫溶接機で電縫溶接して管30となし、管30の溶接ビード部をビード切削機7で切削し、切削後の管30を、サイザー8で外径調整した後、管切断機9で所定長さに切断するという構成を有している。
ロール成形機4は、最下流段に、丸めた板端部を拘束して真円に近い形状(横断面形状)とするフィンパス成形3用のスタンドを所定台数備えており、この例では第1スタンド3a、第2スタンド3b、第3スタンド3cの全3スタンドよりなっているが、全1〜2スタンドあるいは全4スタンド以上とされる場合もある。
本発明の実施にあたっては、テーパ付与用スタンドとして、フィンパス成形3用の全3スタンドのうち少なくとも1つのスタンドを充当し、そのスタンドのフィンを2段階以上の角度を有するものとし、かつ、そのスタンドのアプセットを本発明の規定範囲である0〜2%に設定する。
本発明の実施にあたっては、テーパ付与用スタンドとして、フィンパス成形3用の全3スタンドのうち少なくとも1つのスタンドを充当し、そのスタンドのフィンを2段階以上の角度を有するものとし、かつ、そのスタンドのアプセットを本発明の規定範囲である0〜2%に設定する。
例えば図1の第3スタンド3cを用いて、帯材20の幅端部の内面側と外面側に同時にテーパ形状を付与する場合、図2(a),(b)に示すように、第3スタンド3c内のフィンを3段階の角度を有するものとする。そのフィン形状は、図2(b)に示すように目標テーパ形状に整合するように設計すればよい。なお、11は帯材20の幅方向に垂直な端面と整合するフィン角度部分であり、α、γは帯材端部の外面側、内面側の目標テーパ形状の傾斜角度であって前述のように共に25〜50°とするのが好ましく、また、β、δは同テーパ形状の延在深さであって前述のように共に板厚の20〜45%とするのが好ましい。
なお、帯材端部の内面側、外面側のいずれか一方にテーパ形状を付与する場合は、それを付与しない側の傾斜角度(α、γのいずれか一方)を0°とすべきであるのはいうまでもない。
以下、実施例に基づいて説明する。
ここでは、帯材として板幅1920mm×板厚19.1mmの鋼帯を用いて、外径600mmの電縫管を製造した。製造した電縫管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片は、管長手方向位置の相違する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向に平行にし、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置として採取し、JIS5号の2mmVノッチ衝撃試験片として、−46℃での衝撃試験を行い、吸収エネルギー(衝撃強度)、脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギーは125J以上、脆性破面率は35%以下を性能許容範囲とした。
ここでは、帯材として板幅1920mm×板厚19.1mmの鋼帯を用いて、外径600mmの電縫管を製造した。製造した電縫管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片は、管長手方向位置の相違する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向に平行にし、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置として採取し、JIS5号の2mmVノッチ衝撃試験片として、−46℃での衝撃試験を行い、吸収エネルギー(衝撃強度)、脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギーは125J以上、脆性破面率は35%以下を性能許容範囲とした。
(本発明例1)本発明例1では、図1と同様の電縫管製造ライン(フィンパス成形用のスタンドは全3スタンド)を用い、第1、第2スタンドのフィン形状は通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%とし、第3スタンドでは、フィン形状を2段階角度の形状としかつアプセットを0.2%として、この第3スタンドで板端部の外面側に、傾斜角度=25°、延在深さ=4mm(板厚の21%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(本発明例2)本発明例2では、図1と同様の電縫管製造ライン(ただし、フィンパス成形用のスタンドは全2スタンドとした)を用い、フィンパス成形用の第1スタンドではフィン形状を図2(b)と同様の3段階角度の形状としかつアプセットを1.0%とし、第2スタンドではフィン形状を通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%として、前記第1スタンドで内外面側双方に、傾斜角度=45°、延在深さ=7mm(板厚の37%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(本発明例3)本発明例3では、図1と同様の電縫管製造ライン(フィンパス成形用のスタンドは全3スタンド)を用い、第1、第2スタンドのフィン形状は通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%とし、第3スタンドでは、フィン形状を3段階角度の形状としかつアプセットを0.2%として、この第3スタンドで板端部の内外面側双方に、傾斜角度=30°、延在深さ=5mm(板厚の26%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(本発明例4)本発明例4では、図1と同様の電縫管製造ライン(ただし、フィンパス成形用のスタンドは全2スタンドとした)を用い、フィンパス成形用の第1スタンドではフィン形状を図2(b)と同様の3段階角度の形状としかつアプセットを1.0%とし、第2スタンドではフィン形状を通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%として、前記第1スタンドで内外面側双方に、傾斜角度=40°、延在深さ=8mm(板厚の42%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(比較例1)比較例1では、図1と同様の電縫管製造ライン(フィンパス成形用のスタンドは全3スタンド)を用い、フィンパス成形用の第1、第3スタンドではフィン形状を通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%とし、第2スタンドではフィン形状を図2(b)と同様の3段階角度の形状としかつアプセットを−0.1%として、この第2スタンドで内外面側双方に、傾斜角度=20°、延在深さ=3mm(板厚の16%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(比較例2)比較例2では、図1と同様の電縫管製造ライン(フィンパス成形用のスタンドは全3スタンド)を用い、第1〜第3スタンドのフィン形状は通常の1段階角度の形状とし、アプセットは第1、第2スタンドで0.1%、第3スタンドで−0.1%とし、第2スタンドで帯材端部内面側のほぼ1/2板厚部分をフィンに接触させ、第3スタンドで帯材端部外面側のほぼ1/2板厚部分をフィンに接触させるようにして、内外面側双方に、傾斜角度=20°、延在深さ≒9.5mm(板厚の約50%)の目標テーパ形状の付与を図った。
(従来例)従来例では、図1と同様の電縫管製造ライン(フィンパス成形用のスタンドは全3スタンドとした)を用い、フィンパス成形の第1、第2、第3スタンドのフィン形状をいずれも通常の1段階角度の形状としかつアプセットを0.1%として、ロール成形前に帯材の幅端部を平らに研磨して矩形端面とし、フィンパス成形ではテーパの付与を図らず、前記矩形端面が保全されるようにした(通常のフィンパス成形と同様)。
これらにより製造した電縫管の溶接部におけるシャルピー衝撃値(衝撃強度)と脆性破面率を測定した結果を表1に示す。また、電縫溶接直前の材料端部からテーパ形状観察用サンプルを切り出して断面形状を観察した結果も表1に付記した。
表1より、本発明例では、溶接部の衝撃強度が著しく高く脆性破面率が小さくて、靭性が良好であって、製品の信頼性が高い。なお、本発明例2、4では、テーパ付与に用いない第2スタンドでのフィンパス成形による若干の潰れは認められたものの、内外面側双方ともほぼ目標通りのテーパ形状を確保できた。
これに比べて、比較例では帯材端部に目標テーパ形状がほとんど付与されず、従来例とともに溶接部の衝撃強度が低く脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しかった。
これに比べて、比較例では帯材端部に目標テーパ形状がほとんど付与されず、従来例とともに溶接部の衝撃強度が低く脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しかった。
1 アンコイラ
2 レベラ
3 フィンパス成形
3a フィンパス成形用の第1スタンド
3b フィンパス成形用の第2スタンド
3c フィンパス成形用の第3スタンド
4 ロール成形機
5 加熱実施部(コンタクトチップ)
6 圧接実施部(スクイズロール)
7 ビード切削機
8 サイザー
9 管切断機
11 帯材の幅方向にほぼ垂直な端面と整合するフィン角度部分
12 フィン根元側(1段階目)のフィン側面
13 フィン先端側(2段階目)のフィン側面
15 フィン回転中心軸方向
15P フィン回転中心軸に平行な直線
16 垂直方向
20 帯材(板)
30 管
2 レベラ
3 フィンパス成形
3a フィンパス成形用の第1スタンド
3b フィンパス成形用の第2スタンド
3c フィンパス成形用の第3スタンド
4 ロール成形機
5 加熱実施部(コンタクトチップ)
6 圧接実施部(スクイズロール)
7 ビード切削機
8 サイザー
9 管切断機
11 帯材の幅方向にほぼ垂直な端面と整合するフィン角度部分
12 フィン根元側(1段階目)のフィン側面
13 フィン先端側(2段階目)のフィン側面
15 フィン回転中心軸方向
15P フィン回転中心軸に平行な直線
16 垂直方向
20 帯材(板)
30 管
Claims (7)
- 帯材をロール成形し、幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管製造方法において、前記ロール成形の終盤であるフィンパス成形により幅端部に幅方向にほぼ垂直な端面に連なるテーパ形状を付与することとし、該付与するに用いるスタンドのフィン形状を2段階以上の角度を有するものとし、かつ同スタンドのアプセットを0〜2%とすることを特徴とする溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状の付与は、幅端部の管内面側になる部分と管外面側になる部分とのいずれか一方または両方に施すことを特徴とする請求項1に記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の複数のスタンドで行い、うち前段側のスタンドで幅端部の管内面側になる部分に、後段側のスタンドで幅端部の管外面側になる部分にそれぞれ施すことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の少なくとも第1スタンドで行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用の少なくとも最終スタンドで行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状の付与は、フィンパス成形用のいずれか1つのスタンドで幅端部の管外面側となる部分と管内面側となる部分とに同時に施すことを特徴とする請求項1、2、4、5のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
- 前記テーパ形状は、前記幅方向にほぼ垂直な端面から幅方向内側への傾斜角度が25〜50°であり、帯材厚さ端から帯材厚さ方向内側へ延在する深さが帯材厚さの20〜45%であるものとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶接部特性に優れた電縫管製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007221363A JP2009034725A (ja) | 2007-07-10 | 2007-08-28 | 溶接部特性に優れた電縫管製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007181214 | 2007-07-10 | ||
JP2007221363A JP2009034725A (ja) | 2007-07-10 | 2007-08-28 | 溶接部特性に優れた電縫管製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009034725A true JP2009034725A (ja) | 2009-02-19 |
Family
ID=40437137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007221363A Pending JP2009034725A (ja) | 2007-07-10 | 2007-08-28 | 溶接部特性に優れた電縫管製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009034725A (ja) |
-
2007
- 2007-08-28 JP JP2007221363A patent/JP2009034725A/ja active Pending
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