JP2009034633A - 窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】硝酸イオン及びアンモニウムイオンを含有する溶液の電気分解処理において、塩素ガスの発生を抑える。
【解決手段】硝酸イオン及びアンモニウムイオンを含む窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法であって、塩化物イオンおよび銅イオンを共存状態で含む窒素成分含有溶液を電気分解することにより、塩素の発生を抑えることができ、さらには硝酸イオンとアンモニウムイオンの消滅速度とを調整することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素成分を含有する窒素成分含有溶液中の窒素成分を低減することができる、窒素低減処理方法及び処理装置に関する。
企業にとって工業排水の無害化は重要な課題の一つである。特にアンモニウムイオンや硝酸イオンなどの窒素成分が海や湖沼などに流れ込むと富栄養化を引き起こして赤潮が発生するなど、環境に悪影響を与えるため、工業排水中の窒素成分は十分に低減する必要がある。特に無機化学工業や金属鉱業などの工場から排水される高濃度の無機性窒素排水の処理は、企業にとって特に重要な課題である。例えば高純度の金属酸化物を製造する際、純度の高いメタルを硝酸水に溶解し、アンモニアを加えて中和させることによって水酸化物を析出させ、回収した水酸化物を乾燥及び焼成することにより高純度の金属酸化物を得る方法が採用されることがあり、このような製造工程からは、硝酸イオン及びアンモニウムイオンを高濃度(例えば窒素換算で30g-N/Lを超える場合もある)で含有する廃液が生じるため、廃液中の硝酸イオン及びアンモニウムイオンを十分に低減する必要がある。
廃液中の窒素成分を低減する処理方法としては、生物処理法、不連続点塩素注入法、アンモニアストリッピング法、イオン交換法、電気分解法などが知られているが、中でも、窒素成分を高濃度で含有する廃液を工業的に処理するには電気分解法が優れている。
電気分解法は、被処理液に電流を通すことにより、被処理液中の硝酸及びアンモニアを電気分解して窒素ガスに変換させて液中の窒素成分を低減する技術である。
このような電気分解法に関しては、例えば特許文献1において、アノードに白金を用い、カソードに不錆鋼等を用いて被処理水の電解することにより有機性排水を無害化する方法が開示されている。
特許文献2には、硝酸アンモニウム及びアンモニアを含むアンモニア性水溶液を電解することにより、硝酸アンモニウムを還元して亜硝酸アンモニウムを生成せしめ、硝酸を加えてアンモニアを中和し、続いてこの中和した溶液を加熱して亜硝酸アンモニウムを分解して窒素ガスを放出させて除去すると共に過剰の水を蒸発させて硝酸アンモニウムの濃度を高め、この高濃度の硝酸アンモニウム水溶液を再び陰極循環液に還流してアンモニアを加えるという一連の工程を連続して繰り返すことを特徴とする、硝酸とアンモニアの連続分解処理方法が開示されている。
特許文献3には、アノード及びカソードを構成する電極に鉄を用い、被処理水に電流を流して、アンモニア、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を酸化又は還元分解して窒素ガスにする方法が開示されている。
特許文献4には、電気化学的手法により被処理水中の有機態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸イオン又はアンモニアのうちの何れかの窒素化合物を処理する方法において、カソードを構成する金属材料として、銅と亜鉛又は銅とニッケル又は銅とアルミニウムを含む合金若しくは銅と鉄の焼結体を用い、アノードを構成する導電性材料として不溶性材料又はカーボンを用いることを特徴とする窒素処理方法が開示されている。
特許文献5には、硝酸性窒素を含む被処理水を電気分解する方法において、被処理液に塩化ナトリウムを添加することにより窒素化合物の除去効率が向上する旨が開示されている。
特開昭54−16844号公報 特開平6−218376号公報 特開2000−117259号公報 特許3738186号公報(特開2002−248474) 特開2002−248474号公報
ところで、窒素成分を含有する廃液(被処理液)を電気分解する処理においては、被処理液に塩化ナトリウムなどを添加して塩化物イオンの存在下で電気分解するのが一般的である。このような電気分解では、アノード、カソード及び溶液において次のような反応A〜Iが起こっているものと考えられる。すなわち、カソードでは、硝酸イオンがアンモニアまでカソード還元を受け(反応A〜D)、アノードでは、塩化物イオンが次亜塩素酸イオンに酸化され(反応E〜F)、溶液中では、アンモニアが次亜塩素酸と化学反応してクロラミン、ジクロラミンを経て無害な窒素ガスに変換される反応(反応G〜I)が起こっているものと考えられる。
(カソード反応)
反応A NO3 -+H2O+2e-→NO2 -+2OH-
反応B NO2 -+H2O+ e-→NO+2OH-
反応C NO +H2O+2e-→1/2N2+2OH-
反応D 1/2N2+3H2O+3e-→NH3+3OH-
(アノード反応)
反応E 2Cl-→Cl2+2e-
反応F Cl2+H2O→HClO+HCl
(溶液反応)
反応G NH3(aq)+HClO→NH2Cl+H2
反応H NH2Cl+HClO→NHCl2+H2
反応I NH2Cl+NHCl2→N2↑+3HCl
このように被処理液に塩化ナトリウムなどを添加して塩化物イオンの存在下で電気分解すると、窒素化合物の除去効率(低減効率)が向上する反面、処理を継続するうちに塩素ガスが発生するようになり、電気分解槽のまわりに塩素ガスが停滞して作業環境が劣化するばかりか、塩素ガスによって電極が腐食されるという問題を抱えていた。特にカソードにおいては、従来用いられてきた材料、例えば銅、亜鉛或いは鉄などが塩素に脆いため、頻繁に電極を交換する必要が生じ、交換された電極は塩素による腐食のため痩せて再熔鋳する必要もあった。しかも、被処理液が、硝酸イオン及びアンモニウムイオンを高濃度で含有する場合には、長時間にわたって高濃度塩素ガスの曝露を受けることになるのでリード部分の腐食防止が常に必要となるが、(この際、リード表面に防食樹脂等を皮膜することで寿命を長くすることが可能ではあるが、)液中に浸漬している部分の腐食防止対策は特に困難であった。
さらに、硝酸及びアンモニウムイオンを高い濃度で含有する被処理液を従来公知の方法で電気分解すると、アンモニウムイオンが先に消滅し、硝酸が残留することになることが多い。しかし、このように硝酸が残留すると、電気分解を続けても分解速度が極端に遅くなり電力費アップに繋がるため、後工程に生物処理法若しくはイオン交換法によって硝酸を除去する工程を設ける必要がある。そして、このような問題は特に高濃度の被処理液であるほど顕著であった。かかる問題に関しては、被処理液中のアンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)を調整することができれば、最終的に過不足なく窒素成分を除去することができ、後工程を簡略化できることが期待される。
そこで本発明の目的は、被処理液に塩化物イオンが存在する状態で電気分解する窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法において、塩素ガスの発生を抑えることができ、さらには硝酸イオンとアンモニウムイオンの消失速度を調整することができる、新たな窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法を提供することにある。
かかる目的のため、本発明は、硝酸イオン及びアンモニウムイオンを含む窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法であって、当該窒素成分含有溶液中に塩化物イオンおよび銅イオンを共存させた状態で電気分解することにより、当該窒素成分含有溶液中の窒素成分を低減することを特徴とする、窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法を開示するものである。
本発明の処理方法によれば、塩素ガスの発生を抑えることができ、さらには、被処理液中のアンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)とを調整することができる。よって、塩素ガスの発生に関しては、例えば処理液中からの塩化物イオン消失速度を2mmol/Ah以下、すなわち経験上塩素ガス発生が作業環境の問題にならない程度以下に抑えることができ、電気分解操作時の作業環境の劣化を防止することができる。さらに、例えば被処理液が硝酸イオンとアンモニウムイオンを等モル含有するものであれば、アンモニアの分解速度を、硝酸のアンモニアへの変換速度の2倍に調整することにより、最終的に過不足なく窒素成分を除去することができ、後工程を簡略化することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態について詳述するが、本発明の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
本実施形態の窒素低減処理方法(以下「本窒素低減処理方法」と称する)は、被処理液中に塩化物イオンおよび銅イオン、必要に応じて鉄イオンを添加するなどして、被処理液中に少なくとも塩化物イオン及び銅イオンが共存する状態とした上で、この被処理液を電気分解することによって被処理液中の窒素成分を低減する処理方法である。
(被処理液)
本窒素低減処理方法が対象とし得る被処理液は、少なくとも硝酸イオン(NO3 -)およびアンモニウムイオン(NH4 +)を含有する窒素成分含有液であればよく、また、窒素成分消失を阻害しない範囲内で、亜硝酸イオン(NO2 -)、有機体窒素化合物を窒素成分として含有してもよい。
本窒素低減処理方法は、窒素成分を高濃度で含有する被処理液の処理に適しているから、硝酸イオンおよびアンモニウムイオンをそれぞれ0.01mol/L以上含有するものが好ましく、特に0.05mol/L〜6mol/L、中でも0.2mol/L〜2mol/L含有するものが好ましい。
また、本窒素低減処理方法は、硝酸イオンの消失速度とアンモニウムイオンの消失速度を調整することができ、例えば、アンモニウムイオンの消失速度を硝酸イオンの消失速度の2倍に調整することができ、この際、被処理液が硝酸イオンとアンモニウムイオンを略等モル濃度で含有するものであれば、最終的に過不足なく窒素成分を除去することができる。
ここで、上記の“略等モル濃度”とは、アンモニウムイオン濃度と硝酸イオン濃度の比(NH4 +濃度/NO3 -濃度)が1.5〜0.9を包含するものであり、好ましくは1.3〜0.9、より好ましくは、1.2〜1.0を包含するものである。
硝酸イオンとアンモニウムイオンを略等モル濃度で含有する被処理液の一例について説明する。例えば、高純度インジウム酸化物を製造する場合、精製されたインジウムメタルを高純度硝酸水に溶解し、ついで高純度アンモニア水を加えてpHを約10とすることで、水酸化インジウムが沈殿する。濾過操作により水酸化インジウムは回収され、酸化工程により高純度酸化インジウムが作られる一方、前記濾過操作で残された水溶液には、数モル/Lの濃度で硝酸イオンとアンモニウムイオンが含まれており、pH=10の水溶液であれば、アンモニウムイオンのモル濃度と硝酸イオンのモル濃度の比は概ね1.10〜1.01となるから、本窒素低減処理方法にとって好適な水溶液(被処理液)である。
被処理液のpHは、含まれるアンモニウムイオン濃度と硝酸イオン濃度の比で概ね決まるため、特に限定されるものではない。しかし、後述する銅イオン、鉄イオンを共存させるために加える化合物によってはpHを変化させることがある。この場合、塩素ガス発生抑制の点で、被処理液のpHは1.45〜12であるのが好ましく、特に1.5〜7、中でも2〜6であるのが好ましい。
被処理液は、上記の窒素成分以外の他の成分を含有していてもよい。その際は、本窒素低減処理方法の後工程或いは前工程として当該他の成分を除去できる工程を付加すればよい。
(塩化物イオン)
塩化物イオンは、次亜塩素酸(HClO)などのオキソ酸、塩酸(HCl)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、銅や鉄の塩化物など、水溶液に添加した際に塩化物イオンを生成する塩素化合物(塩化物)として被処理液に添加すればよい。中でも効果及び価格の両面から塩化ナトリウムとして添加するのが好ましい。
塩化物イオンの濃度(添加量)は、特に制限するものではないが、塩化物イオンは被処理液の電気伝導度に影響し、塩化物イオンの量が少ないと電解電圧が高くなってコスト効率が悪くなるため、塩化物イオンの濃度が0.1mol/L以上となるように添加するのが好ましく、特に0.1mol/L〜5mol/Lがより好ましく、中でも特に0.1mol/L〜0.5mol/Lとなるように添加するのがより一層好ましい。
(銅イオン)
被処理液中に、硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に、銅イオン(Cu+、Cu2+)を共存させることで、塩素ガスの発生を抑えることができ、また、硝酸イオン(NO3 -)とアンモニウムイオン(NH4 +)の消失速度とを調整することができる。例えば両者の消失速度が等しくなるように調整することも、アンモニアの消失速度を硝酸イオンの消失速度の2倍に調整することもできる。
銅イオンは、水溶液に添加した際に銅イオンを生成する銅或いは銅化合物として被処理液に添加すればよい。例えば銅(メタル)、塩化銅(CuCl、CuCl2)、酢酸銅、酸化銅(Cu2O、CuO)、水酸化銅、硫酸銅などを挙げることができる。中でも、本窒素低減処理方法の反応に関係のない成分を含まない点並びに環境を考慮すると、銅(メタル)或いは塩化銅(CuCl、CuCl2)として添加するのが好ましい。
銅イオンの濃度(添加量)は、特に制限するものではないが、本発明の効果を十分に発揮させるためには0.005mmol/L〜100mmol/Lとすることが好ましい。但し、後述するようにアノード電極の種類により最適な液中濃度(添加量)が存在することに留意する必要がある。すなわち、酸素発生型DSEを用いる場合には、被処理液中の濃度が0.005mmol/L〜100mmol/Lとなるように銅イオンを添加するのが好ましい。0.005mmol/L以上あれば塩素ガスの発生を有効に抑えることができる一方、100mmol/Lを超えると、カソードに針状に成長した銅が析出してアノード短絡するおそれがある。また、塩素発生型DSEを用いる場合には、被処理液中の濃度が0.05mmol/L〜100mmol/Lとなるように銅イオンを添加するのが好ましい。0.05mmol/L以上あれば塩素ガスの発生を有効に抑えることができる一方、100mmol/Lを超えると、カソードに針状に成長した銅が析出してアノード短絡するおそれがある。
なお、銅イオン添加前の被処理液中に適量の銅イオンが含まれている場合には、改めて銅イオンを添加する必要はない。
(鉄イオン)
上記銅イオンと共に鉄イオン(Fe2+、Fe3+)を被処理液中に共存させることで、塩素ガス発生の抑制効果をより一層高めることができる。また、銅イオンのみでは硝酸イオンの消失速度とアンモニウムイオンの消失速度を近づけることができない場合に、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)を共存させることで硝酸イオンの消失速度とアンモニウムイオンの消失速度とを同程度に調整することができる。
鉄イオンは、水溶液に添加した際に鉄イオン(Fe2+、Fe3+)を生成する鉄或いは鉄化合物として被処理液に添加すればよい。例えば鉄(メタル)、塩化鉄(FeCl2、FeCl3)、酸化鉄(FeO、Fe34、Fe23)、二硫化鉄(FeS2)、硫化鉄(FeS、Fe23、FeSO4、Fe(SO4)3)などを挙げることができる。中でも、本窒素低減処理方法の反応に関係のない成分を含まない点で、塩化鉄(FeCl2、FeCl3)、酸化鉄(FeO、Fe34、Fe23)として添加するのが好ましい。
鉄イオンの濃度(添加量)は、特に制限するものではないが、銅イオン1モルに対して1モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましく、特に5モル以上、中でも特に13モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましい。この際、鉄イオン添加量の上限は、必ずしも臨界的ではないが、処理コストを考慮すると50モル、より現実的には25モルであると考えられる。
なお、鉄イオン添加前の被処理液中に適量の鉄イオンが含まれている場合には、改めて鉄イオンを添加する必要はない。
(カソード)
カソード電極は、特に電極材料を限定するものではなく、銅や鉄、亜鉛と銅の合金若しくは焼結体、銅とニッケルの合金若しくは焼結体、銅とアルミニウムの合金若しくは焼結体、SUS、DSE、その他の材料からなる電極を用いることが可能ではあるが、本窒素低減処理方法においても、塩素ガス及び塩化物イオンの発生をゼロに抑えることは難しいため、塩素及び塩化物イオンに対する耐食性を備えた材料であるのが好ましい。かかる観点から、チタン若しくはその合金からなる電極、又は、チタン若しくはその合金で被覆された電極、ニオブ若しくはその合金からなる電極、又は、ニオブ若しくはその合金で被覆された電極を用いるのが特に好ましい。
なお、チタン若しくはその合金からなる電極、又は、チタン若しくはその合金で被覆された電極をカソードとして用いる場合、被処理液に銅イオンを存在させることで、硝酸イオンをアンモニア乃至アンモニウムイオンに効率的に変換させることができるようになる。
(アノード)
アノード電極は、特に電極材料を限定するものではないが、不溶性金属若しくは金属酸化物などからなる電極、或いは不溶性金属若しくは金属酸化物で被覆された電極を用いるのが好ましい。例えば市販されている不溶性金属電極(;Dimensionally Stable Electrode、以下「DSE」と称する)、例えばカーボン、プラチナ、鉛のほか、チタン基材にプラチナ、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化スズ、酸化タンタルなどを塗布若しくは焼成してなる電極を用いることができ、酸素発生型DSE及び塩素発生型DSEのいずれも好適に用いることができる。但し、酸素発生型DSE及び塩素発生型DSEのいずれをアノード電極に用いるかによって、好ましい処理条件が異なるので、後述する点に留意する必要がある。
ここで、上記の酸素発生型DSEとは、硫酸、硝酸などの無機酸の水溶液の電解液中で陽極に用いて電解を行なうと、陽極から酸素が発生するDSEである。例えばチタン等を基体として、Ir及びTa、Ir及びSn、Pt、或いは、β−Pb、或いはこれらの酸化物からなる被覆層を形成してなる電極を挙げることができる。具体的には、チタン基体に二酸化イリジウムを主体とした被覆層を焼成して得られた電極(例えば、「エクセロ−ド(登録商標)B・Fタイプ」)などを例示することができる。
また、上記の塩素発生型DSEとは、塩素を含む塩類の水溶液の電解液中で陽極に用いて電解を行なうと、陽極から塩素が発生するDSEである。例えばチタン等を基体として、Ru及びTi、Ru、Ir及びTi、Ir及びSn、或いはこれらの酸化物からなる被覆層を形成してなる電極を挙げることができる。具体的には、チタン基体に白金系の被覆層を焼成して得られた電極(例えば、「エクセロ−ド(登録商標)RNタイプ」)などを例示することができる。
アノード電極として酸素発生型DSEを用いる場合には、塩素ガスの発生抑制の観点から、被処理液中に0.005mmol/L〜100mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのが好ましく、特に0.02mmol/L〜20mmol/L、中でも0.05mmol/L〜20mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのがさらに好ましい。
また、アンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)を同程度にする観点からすると、被処理液中に0.005mmol/L〜100mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのが好ましく、特に0.01mmol/L〜50mmol/L、中でも0.2mmol/L〜20mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのがさらに好ましい。
他方、アノード電極として塩素発生型DSEを用いる場合には、塩素ガスの発生抑制の観点から、被処理液中に0.05mmol/L〜100mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのが好ましく、特に0.05mmol/L〜20mmol/L、中でも0.05mmol/L〜10mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのがさらに好ましい。
また、アンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)を同程度にする観点からすると、被処理液中に0.05mmol/L〜20mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのが好ましく、特に0.05mmol/L〜10mmol/L、中でも1mmol/L〜10mmol/Lの濃度で存在するように銅イオンを添加するのがさらに好ましい。
なお、アノード電極として塩素発生型DSEを用いる場合には、銅イオンと共に鉄イオンを共存させることで、塩素ガスの発生をより一層効果的に抑制することができ、アンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)の調整についてもより一層効果的に調整することができる。
この際、鉄イオンの液中濃度(添加量)は、銅イオン1モルに対して1モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましく、特に5モル以上、中でも特に13モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましい。この際、鉄イオン添加量の上限は、必ずしも臨界的ではないが、処理コストを考慮すると50モル、より現実的には25モルであると考えられる。
また、アンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)を同程度にする観点からすると、銅イオン1モルに対して1モル〜10モルの鉄イオンが共存するように添加するのが好ましく、特に2モル〜7モル、中でも2モル〜5モルの鉄イオンが共存するように添加するのがさらに好ましい。
(電解条件)
本窒素低減処理方法における液温は、特に調整する必要はないが、電解槽およびDSE電極の耐熱性等を鑑みると、60℃以下であるのが好ましい。
電流密度に関しては、電流密度を高くするほど反応量が多くなり、速やかに窒素低減が達成されるため、この点からすると電流密度は高い方が好ましいと言える。しかし、一般的に市販されているDSEの電流密度は許容電流密度が決まっているので、その範囲内で使用するのがより好ましい。この範囲を超えると寿命が短くなる等、DSE電極に悪い影響を及ぼすことになる。
電解電圧に関しては、本発明者らの研究によると、前述したカソード電極反応(反応A〜D)とアノード電極反応(反応E)を加えた電極電位は室温で2.8Vであった。実際の電気分解反応では、これに溶液抵抗、電極過電圧が加わってくるため、被処理液の電気伝導度や、カソード−アノード電極間距離ならびに電極の表面状態などにもよるが、2.8V以上の電圧を印加するのが好ましい。
(反応及び作用)
本窒素低減処理方法においては、アノード、カソード及び溶液中において次のような反応A〜Iが起こっているものと考えられる。
(カソード反応)
反応A:NO3 -+H2O+2e-→NO2 -+2OH-
反応B:NO2 -+H2O+ e-→NO+2OH-
反応C:NO +H2O+2e-→1/2N2+2OH-
反応D:1/2N2+3H2O+3e-→NH3+3OH-
(アノード反応)
反応E:2Cl-→Cl2+2e-
反応F:Cl2+H2O→HClO+HCl
(溶液反応)
反応G:NH3(aq)+HClO→NH2Cl+H2
反応H:NH2Cl+HClO→NHCl2+H2
反応I:NH2Cl+NHCl2→N2↑+3HCl
本窒素低減処理方法においては、被処理液(電解液)中に硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に銅イオンを共存させることにより、被処理液(電解液)中の塩化物イオン消失速度を抑制することができる。このような銅イオンの共存効果は、次のように推察することができる。
すなわち、前述した反応式において、アンモニウムイオンと次亜塩素酸(HClO)とが反応する溶液反応(反応G〜I)が進むと、液中の塩化水素(HCl)が増加して溶液のpHが低下してくる。次亜塩素酸は、溶液のpHが1.45以上であれば、次亜塩素酸分子が安定なので塩素ガスはほとんど発生しないが、pHが1.45未満になると分解乖離して塩素ガスを液中から放出することが知られている。ところが、銅イオンが存在すると、生成した塩化水素(HCl)の塩化物イオン(Cl-)が銅イオンと結びつき、一方の水素イオン(H+)は水素ガスとして溶液から放出し、溶液中の水素イオン濃度増加(pH低下)を抑制するようになる。これは、塩酸水溶液に銅金属を加えると、銅の溶解酸化と共に水素ガスが放出するのと似ている。この作用により溶液中のpHを(銅イオン濃度と次亜塩素酸濃度にも依るが)1.45以上に保つことができ、溶液中からの塩素ガス発生が抑制できたと推察できる。また、酸化された銅イオンはカソードにて再還元され上記効果を繰り返すので、添加する銅の形態は金属、1価、2価イオンのいずれかを問うものではない。
また、本窒素低減処理方法においては、被処理液(電解液)中に硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に銅イオンを共存させることにより、被処理液中のアンモニアの分解速度(;アンモニウムイオンの消失速度)と硝酸のアンモニアへの変換速度(;硝酸イオンの消失速度)とを調整することができ、例えば被処理液が硝酸イオンとアンモニウムイオンを等モル含有するものであれば、アンモニアの分解速度を、硝酸のアンモニアへの変換速度の2倍に調整することにより、最終的に過不足なく窒素成分を除去することができるが、このような銅イオンの共存効果は、次のように推察することができる。
すなわち、アノードで生成した次亜塩素酸がアンモニウムイオンと反応するが、銅イオンが存在すると、一部の次亜塩素酸は銅イオンと反応して次亜塩素酸銅(Cu(ClO)2)を形成する。次亜塩素酸銅は比較的不安定で、塩化銅(CuCl2)とオキシ塩化銅(3CuO・CuCl2・4H2O)に分解する。換言すれば、次亜塩素酸を、塩素ガスを発生することなく分解する。この効果によって溶液中の次亜塩素酸濃度を調整できるため、アンモニウムイオンの分解速度を調整することが可能になり、さらに、カソードにおいても、上述した銅イオンの還元反応も生じるので、硝酸イオンのアンモニアへの変換速度も調整できるようになったと推察できる。被処理液が硝酸イオンとアンモニウムイオンを等モル含有する場合には、アンモニアの分解速度を、硝酸のアンモニアへの変換速度の2倍に調整することにより、最終的に過不足なく窒素成分を除去できるものと考えられる。
なお、溶液中の銅イオンの多くはカソード電極に電着していくが、すべて電着するのではなく、ppbレベルの銅イオンは溶液中に存在したままでいる。また、アノード電極で発生した次亜塩素酸や、次亜塩素酸とアンモニウムイオンとの反応で生成した塩酸(HCl)がカソード電極に電着した銅を再溶解させ、液中に銅イオンを存在させるような平衡状態を保っている。このことは、本窒素低減処理方法において、銅イオンの液中濃度(添加量)の最低限である0.005mmol/L、すなわち重量表示すると318ppbの銅イオンを添加すると効果が顕著になり、この時カソード電極には銅金属の電着はまったく認められなかったことと相容れるものである。
次に、本窒素低減処理方法における鉄イオンの共存効果について説明する。
本研究によれば、銅イオンに換えて、鉄イオンを硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に存在させた場合には、銅イオンと同じような効果は得られないことが確認されている。このことから、鉄イオンは銅イオンと共に存在して初めて効果を発揮するものと考えられる。鉄イオンが銅イオンの効果を促進する理由(メカニズム)はまだ不明な点も多いが、銅イオンが1価及び2価の価数をとることができる一方で、鉄イオンは2価及び3価の価数をとることができる点を考慮すると、鉄イオンが銅イオンの価数変化に関係していると推察できる。
さらに、本窒素低減処理方法では、カソードに析出する銅を回収することができ、また、電解液から酸化物若しくは水酸化物として鉄を回収することができる。そして、これらを再び被処理液に添加すれば、新品の銅乃至鉄を用いた場合と同様の結果を得ることができるから、本窒素低減処理方法の系内において銅乃至鉄、特に銅をリサイクルすることが可能である。
(処理装置)
本窒素低減処理方法を実施するための処理装置は適宜設計可能であるが、好ましい処理装置としては、例えば、カソード電極として、チタン若しくはその合金からなる電極、又は、チタン若しくはその合金で被覆された電極を備え、アノード電極として、酸素発生型DSE若しくは塩素発生型DSEからなる電極を備え、各電極は電源装置に接続され、さらに、硝酸イオン、アンモニウムイオン、塩化物イオンおよび銅イオンを共存状態で含有する電解液を収容する電解槽を備えた窒素成分含有溶液の処理装置を挙げることができる。
以下、本発明の実施例(試験例)について説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
(硝酸イオン、アンモニウムイオン、塩化物イオンの測定方法)
電気分解を開始後適時に、電解液(被処理液)を0.1mL採取し、イオンクロマトグラフ装置(東亜DKK社製ICA−2000)により、電解液中の硝酸イオン(NO3 -)、アンモニウムイオン(NH4 +)及び塩化物イオン(Cl-)を定量した。
(試験1:酸素発生型DSEをアノードに使用)
Ti製のカソード電極(電解液への浸漬部として長さ35mm×幅15mm、リード部はTi製)と酸素発生型DSE電極(組成:酸化イリジウム系、電解液への浸漬部として長さ35mm×幅20mm、リード部はTi製)とを電解槽(電解液量:300mL)内に電極間距離60mmをおいて設置した。カソード、アノードのリード部は電解槽外部に取り出し、電解液蒸気などに曝されなくなった箇所で整流電源の銅製リード線につなげた。
被処理液に関しては、硝酸水溶液にアンモニアを加えて、硝酸イオン0.9mol/L、アンモニウムイオン0.9mol/Lを含有する水溶液(pH4、温度:室温)を調製し、これに塩化ナトリウムを0.4mol/L、塩化銅(CuC1・2HO)を所定量(0〜100mmol)添加し、これを電解液として用いた。
電極間に2Aの定電流(電流密度:15A/dm(アノード)、19A/dm(カソード))を流して24時間電解を行い、上記の如く経時的に電解液中の硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度、塩化物イオン濃度を測定した。
なお、電解中に液温の制御、pHの制御は特にしなかった。
また、比較対照として、銅製のカソード電極(電解液への浸漬部として長さ35mm×幅15mm、リード部も銅製)を用い、且つ塩化銅(CuC1・2HO)を添加しない以外の点では、上記同様に試験及び測定を行った。
電解開始後適時に測定した硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度、塩化物イオン濃度の値からそれぞれの消失速度(mmol/Ah)を求め、銅イオンの濃度との関係を図1に示した。ここで、消失速度を時間の単位ではなく、電気量(Ah)としたのは、硝酸イオン、アンモニウムイオンの分解が供与した電気量(電流×時間)に比例しており、より一般的な表現方法だからである。
(結果・考察)
被処理液に銅イオンを添加して、硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に銅イオンを共存させることにより、塩化物イオンの消失速度を変化させることができ、さらにアンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度とを調整できることがわかった。
塩化物イオンの消失速度が速いということは、塩素ガスが液中から液面を通して外部に出ていることを示しており、電気分解操作における作業環境が悪くなっていることを示している。さらにまた、塩素ガスが液中から出て行くと、液中の塩化物イオン濃度が減少するので、アノードで次亜塩素酸を生成するための過電圧が高くなったり、電気伝導度が低下し電力が無駄に消耗され好ましくない。
塩素ガスの発生抑制の観点からすると、塩化物イオン消失速度を2mmol/Ah以下に抑えるためには、0.005mmol/L〜100mmol/Lの濃度となるように銅イオンを被処理液中に存在させるのが好ましく、特に0.02mmol/L〜20mmol/L、中でも0.05mmol/L〜20mmol/Lの濃度となるように銅イオンを存在させるのが好ましいことが判明した。
また、アンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度を同程度にする観点からすると、0.005mmol/L〜100mmol/Lの濃度となるように銅イオンを被処理液中に存在させるのが好ましく、特に0.01mmol/L〜50mmol/L、中でも0.2mmol/L〜20mmol/Lの濃度となるように銅イオンを存在させるのが好ましいことが判明した。
一方、比較対照例で示した公知技術として知られている銅カソードを用いた場合には、塩化物イオンの消失速度は遅いもののゼロではないため、発生した塩素ガスにより溶液内および液面にある銅カソードには塩基性塩化銅等が析出して、銅カソードの腐食が認められた。さらにアンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度に乖離が発生し、且つ、両者の消失速度も銅イオンを共存させた場合と比較して遅いことが認められた。
(試験2−1:塩素発生型DSEをアノードに使用、鉄添加なし)
Ti製のカソード電極(電解液への浸漬部として長さ35mm×幅15mm、リード部はTi製)と塩素発生型DSE電極(組成:白金族系、電解液への浸漬部として長さ35mm×幅20mm、リード部はTi製)とを電解槽(電解液量:300mL)内に電極間距離60mmをおいて設置した。カソード、アノードのリード部は電解槽外部に取り出し、電解液蒸気などに曝されなくなった箇所で整流電源の銅製リード線につなげた。
被処理液に関しては、硝酸水溶液にアンモニアを加えて、硝酸イオン0.9mol/L、アンモニウムイオン0.9mol/Lを含有する水溶液(pH4、温度:室温)を調製し、これに塩化ナトリウムを0.4mol/L、塩化銅(CuC1・2HO)を所定量(0mmol/L〜100mmol/L)添加し、これを電解液として用いた。
電極間に2Aの定電流(電流密度:15A/dm(アノード)、19A/dm(カソード))を流して24時間電解を行い、上記の如く経時的に電解液中の硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度、塩化物イオン濃度を測定した。
なお、電解中に液温の制御、pHの制御は特にしなかった。
また、比較対照として、銅製のカソード電極(電解液への浸漬部として長さ35mm×幅15mm、リード部も銅製)を用い、且つ塩化銅(CuC1・2HO)を添加しない以外の点では、上記同様に試験及び測定を行った。
電解開始後適時に測定した硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度、塩化物イオン濃度の値からそれぞれの消失速度(mmol/Ah)を求め、銅イオンの濃度との関係を図2に示した。
(結果・考察)
塩素発生型DSEからなる電極を用いた場合も、被処理液中に、硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に銅イオンを共存させることにより、塩素ガスの発生を抑制でき、アンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度を調整できることが判明した。
塩素ガスの発生抑制の観点からすると、0.05mmol/L〜100mmol/Lの濃度となるように銅イオンを被処理液中に存在させるのが好ましく、特に0.05mmol/L〜20mmol/L、中でも0.05mmol/L〜10mmol/Lの濃度となるように銅イオンを存在させるのが好ましいことが判明した。
さらにアンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度を同程度にする観点からすると、0.05mmol/L〜20mmol/Lの濃度となるように銅イオンを被処理液中に存在させるのが好ましく、特に0.05mmol/L〜10mmol/L、中でも1mmol/L〜10mmol/Lの濃度となるように銅イオンを存在させるのが好ましいことが判明した。
一方、比較対照例で示した公知技術として知られている銅カソードを用いた場合には、塩化物イオンの消失速度は遅いもののゼロではないため、発生した塩素ガスにより溶液内および液面にある銅カソードには塩基性塩化銅等が析出して、銅カソードの腐食が認められた。
(試験2−2:塩素発生型DSEをアノードに使用、鉄添加あり)
Ti製のカソード電極(電解液への浸漬部として長さ35mm×幅15mm、リード部はTi製)と塩素発生型DSE電極(組成:白金族系、電解液への浸漬部として長さ35mm×幅20mm、リード部はTi製)とを電解槽(電解液量:300mL)内に電極間距離60mmをおいて設置した。カソード、アノードのリード部は電解槽外部に取り出し、電解液蒸気などに曝されなくなった箇所で整流電源の銅製リード線につなげた。
被処理液に関しては、硝酸水溶液にアンモニアを加えて、硝酸イオン0.9mol/L、アンモニウムイオン0.9mol/Lを含有する水溶液(pH4、温度:室温)を調製し、これに塩化ナトリウムを0.4mol/L、塩化銅(CuC1・2HO)を2mmol添加し、さらに塩化鉄(FeC1・4HO)を所定量(0mmol/L〜20mmol)添加し、これを電解液として用いた。
電極間に2Aの定電流(電流密度:15A/dm(アノード)、19A/dm(カソード))を流して24時間電解を行い、上記の如く経時的に電解液中の硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度、塩化物イオン濃度を測定し、アンモニウムイオン、硝酸イオン濃度、ならびに塩化物イオンの消失速度を求めた。特に本実験では、アンモニウムイオンと硝酸イオンの消失速度の乖離具合を評価するために、アンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度の比(アンモニウムイオンの消失速度/硝酸イオンの消失速度)を求め、鉄イオンの液中濃度(添加量)との関係を図3に示し、塩化物イオンの消失速度(mmol/L)と鉄イオンの液中濃度(添加量)との関係を図4に示した。
なお、電解中に液温の制御、pHの制御は特にしなかった。
(結果・考察)
塩素発生型DSEからなる電極を用いた場合には、被処理液中に、硝酸イオン、アンモニウムイオンおよび塩化物イオンと共に、銅イオンと鉄イオンとを共存させることで、塩素ガスの発生をより効果的に抑制することができ、さらには、アンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度を同程度にする点においても特に優れていることが判明した。
塩素ガスの発生抑制の観点からすると、鉄イオンの液中濃度(添加量)は、銅イオン1モルに対して1モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましく、特に5モル以上、中でも特に13モル以上の鉄イオンが共存するように添加するのが好ましい。この際、鉄イオン添加量の上限は必ずしも臨界的ではないが、処理コストを考慮すると50モル、より現実的には25モルであると考えられる。
また、アンモニウムイオンの消失速度と硝酸イオンの消失速度とを同程度にする観点からすると、銅イオン1モルに対して鉄イオンが1モル〜10モル共存するように添加するのが好ましく、特に2モル〜7モル、中でも2モル〜5モル共存するように添加することがさらに好ましいことが判明した。
なお、酸素発生型DSEをアノードに使用した場合と、塩素発生型DSEをアノードに使用した場合とを比較すると、酸素発生型DSEをアノードに使用した場合の方が、銅イオンの濃度において広い範囲で、硝酸イオンとアンモニウムイオンとを等モル速度で消失させることができるから、より制御しやすいことがわかった。
さらに本実施例では、硝酸イオン濃度とアンモニウムイオン濃度とが略同程度(各々0.9mmol)であるから、特に効果が認められるが、アンモニウムイオン濃度と硝酸イオン濃度の比が先述した範囲内であれば、銅イオン濃度を調整することで最終的に溶液からアンモニウムイオンと硝酸イオンを同時に消失させることができる。
試験1において、銅イオンの濃度(mmol/L)と、硝酸イオン、アンモニウムイオン、塩化物イオンの各消失速度(mmol/Ah)との関係を示したグラフである。 試験2−1において、銅イオンの濃度(mmol/L)と、硝酸イオン、アンモニウムイオン、塩化物イオンの各消失速度(mmol/Ah)との関係を示したグラフである。 試験2−2において、鉄イオンの濃度(mmol/L)と、硝酸イオンとアンモニウムイオンの消失速度比(%)との関係を示したグラフである。 試験2−2において、鉄イオンの濃度(mmol/L)と、塩化物イオンの消失速度(mmol/Ah)との関係を示したグラフである。

Claims (7)

  1. 硝酸イオン及びアンモニウムイオンを含む窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法であって、当該窒素成分含有溶液中に塩化物イオンおよび銅イオンを共存させた状態で電気分解することにより、当該窒素成分含有溶液中の窒素成分を低減することを特徴とする、窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  2. カソード電極として、チタン若しくはその合金からなる電極、又は、チタン若しくはその合金で被覆された電極を用いて電気分解することを特徴とする請求項1に記載の窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  3. 窒素成分含有溶液に塩化物イオン、銅イオン及び鉄イオンを共存させた状態で電気分解することを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  4. アノード電極として酸素発生型DSEを用い、窒素成分含有溶液中に0.005mmol/L〜100mmol/Lの濃度で銅イオンを存在させることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  5. アノード電極として塩素発生型DSEを用い、窒素成分含有溶液中に0.05mmol/L〜100mmol/Lの濃度で銅イオンを存在させることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  6. アノード電極として塩素発生型DSEを用い、銅イオン1モルに対して1モル以上の比率で鉄イオンを共存させることを特徴とする請求項5に記載の窒素成分含有溶液の窒素低減処理方法。
  7. カソード電極として、チタン若しくはその合金からなる電極、又は、チタン若しくはその合金で被覆された電極を備え、アノード電極として、酸素発生型DSE若しくは塩素発生型DSEからなる電極を備え、さらに、硝酸イオン、アンモニウムイオン、塩化物イオンおよび銅イオンを共存状態で含有する電解液を収容する電解槽を備えた窒素成分含有溶液の処理装置。
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