JP2009034246A - フィルタ回収用医療用処置具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管体2内に進退自在に挿入され、先端にループ31を有する捕捉具3と、管体2内に進退自在に挿入されるとともにループ31内に貫挿され、先端部42に係止手段6を有する芯材4とを備える。そして、芯材4は、係止手段6でフィルタ5を係止してフィルタ5の姿勢を制御し、捕捉具3は係止手段6に係止されたフィルタ5をループ31で捕捉し、管体2は、先端側に移動されることでループ31により捕捉されたフィルタ5を管内に引き込む。これにより、フィルタ5が血管壁に埋もれている場合でも、フィルタ5の姿勢を本来の留置理想形態に戻した状態でループ31での捕捉を行うことができる。
【選択図】図3
Description
また、静脈は動脈と比較して、心臓の鼓動による脈動の影響を受けやすく、この脈動に応じて血管が内径側へ収縮変形運動を繰り返すため、この収縮変形運動が、ループ107の弾性拡径作用を阻害すると同時に、均等な円形ループの形成を困難なものとし、回収が不可能となるという問題があった。
請求項1に記載のフィルタ回収用医療用処置具は、血管内に留置されたフィルタを回収するためのものであって、可撓性管内に進退自在に挿入され、先端にループを有する捕捉具と、可撓性管内に進退自在に挿入されるとともにループ内に貫挿され、先端部に係止手段を有する芯材とを備える。そして、芯材は、係止手段でフィルタを係止し、捕捉具は、係止手段に係止されたフィルタをループで捕捉し、可撓性管は、先端側に移動されることでループにより捕捉されたフィルタを管内に引き込む。
請求項2に記載のフィルタ回収用医療用処置具は、芯材の外周を囲い、ループ内に貫挿される可撓性の樹脂チューブを備える。
これにより、芯材とループを含む捕捉具との間に樹脂チューブが設けられることになる。このため、芯材と捕捉具を操作する際に互いが擦れ合うことがなく、芯材及び捕捉具の進退操作が容易となる。
請求項3に記載のフィルタ回収用医療用処置具によれば、係止手段は先端部の外周に軸方向の手元側に傾斜して開口する切り欠きである。
これにより、切り欠きにフィルタの支柱等を引っ掛けて芯材を操作することで、フィルタの姿勢を制御することができる。
請求項4に記載のフィルタ回収用医療用処置具では、先端部は単条または多条のコイルスプリング体で構成され、係止手段はコイルスプリング体の素線間に設けられた間隙である。
これにより、間隙にフィルタの支柱等を引っ掛けて芯材を操作することで、フィルタの姿勢を制御することができる。
請求項5に記載のフィルタ回収用医療用処置具では、先端部が、スパイラル形状または波形状に成形されている。
これにより、係止手段によるフィルタの係止に加えて、先端部を回転させることで先端部にフィルタを絡ませることができ、芯材を操作することで、フィルタの姿勢を制御することができる。
請求項6に記載のフィルタ回収用医療用処置具によれば、可撓性管は手元端にY字コネクタを有し、Y字コネクタの二股に分かれた一方の分岐管には捕捉具が貫挿し、他方の分岐管には芯材が貫挿し、他方の分岐管に、芯材をロックするロック機構が設けられている。
これにより、術者の手元での芯材及び捕捉具の操作が行いやすくなる。また、ロック機構で芯材をロックすることにより、芯材でフィルタを係止した状態でループを芯材に伝わらせて前進させてフィルタを捕捉する操作が行いやすくなる。
請求項7に記載のフィルタ回収用医療用処置具によれば、可撓性管の外周に、可撓性管よりも短く、可撓性管に対して進退自在に設けられた外層可撓性管を備える。
外層可撓性管は、手元端にY字コネクタを有し、外層可撓性管のY字コネクタの二股に分かれた一方の分岐管には可撓性管が貫挿し、他方の分岐管からは可撓性管と外層可撓性管との間に流体を注入可能となっている。そして、可撓性管または外層可撓性管が先端側に移動されることで、ループにより捕捉されたフィルタを管内に引き込む。
また、係止手段は先端部の外周に軸方向の手元側に傾斜して開口する切り欠きである。
また、可撓性管の外周に、可撓性管よりも短く、可撓性管に対して進退自在に設けられた外層可撓性管を備える。外層可撓性管は、手元端にY字コネクタを有し、外層可撓性管のY字コネクタの二股に分かれた一方の分岐管には可撓性管が貫挿し、他方の分岐管からは可撓性管と外層可撓性管との間に流体を注入可能となっている。そして、可撓性管または外層可撓性管が先端側に移動されることで、ループにより捕捉されたフィルタを管内に引き込む。
最良の形態3のフィルタ回収用医療用処置具は、先端部は単条または多条のコイルスプリング体で構成され、係止手段はコイルスプリング体の素線間に設けられた間隙である。
最良の形態4のフィルタ回収用医療用処置具は、先端部が、スパイラル形状または波形状に成形されている。
実施例1のフィルタ回収用医療用処置具1(以下、医療処置具1と呼ぶ)の構成を、図1及び図2を用いて説明する。
医療処置具1は、可撓性の可撓性管2(以下、管体2と呼ぶ)と、管体2内に進退自在に挿入される捕捉具3と、芯材4とを備える。
芯材4は、ループ31内を貫挿して設けられ、ステンレス製の中空管体で形成されており、最先端41は、半球状に溶接、またはロー付け加工が施されている。また、先端部42の外周には、フィルタ5を係止する係止手段6として、軸方向に対して傾斜して手元側に向けて開口する2つの切り欠き61、62が設けられている。
尚、切り欠きを3つ以上設けてもよく、先端部42の外周に所定角度間隔に放射状に設けてもよい。
そして、分岐管23には、芯材4をロックするロック機構25が設けられている。ロック機構25は、割り溝25a付きの円筒部材25bを有しており、芯材4が円筒部材25bに貫挿され、外周から螺合締付けされることにより、円筒部材25bの割り溝25aが閉まり、芯材4と分岐管23とが固定される。すなわち、芯材4と管体2とが固定される。
把持具35、45は、各々、上述したロック機構25と同様の構成のロック機構を有しており、ロック機構により捕捉具3及び芯材4上の任意の位置に固定される。
外層管体7は、手元端にY字コネクタ71を有し、Y字コネクタ71の二股に分かれた一方の分岐管72には管体2が貫挿し、他方の分岐管73には管体2と外層管体7との間に流体を注入するためのシリンジ74が接続されている。尚、分岐管72と管体2との間には、シリンジ74から注入される流体の漏れを防ぐためのシール機構が設けられている。
実施例1の医療処置具1の操作方法を、図3を用いて説明する。
医療処置具1は、血栓や血餅物質等が肺動脈内へ進入するのを防ぐため、下大静脈内に血管内に留置されたフィルタ5を回収するために用いられる。フィルタ5は、血流方向の上流側に複数本の支柱51が傘状に開いた略三角錐形状を呈しており、ここでは、回収前の状態が、図3(a)の二点鎖線で表すように、内皮細胞の増殖等により、支柱51及び下流側の端部52(三角錐の頂点)が血管壁内に埋もれて、軸方向に対して傾いた状態となっている。
(a)まず、芯材4をフィルタ5の近辺に到達させ、係止手段6(例えば、切り欠き61)を支柱51及び端部52に係合させる。その後、芯材4を手元側に引っ張り、フィルタ5の姿勢を軸方向に向かせ、芯材4を緊張状態にして、ロック機構25により芯材4をロックし、管体2と芯材4とを固定する(図3(a)参照)。
(c)次に、ロック機構25を解除し、管体2を前進させながら、ループ31を手元側へ引っ張り、フィルタ5の支柱51を収縮させながら、管体2内でループ31とともにフィルタ5を引き込み管体2内へ留める(図3(c)参照)。
(d)最後に、管体2を体外に取り出して、フィルタ5の回収を完了する。
実施例1の医療処置具1によれば、フィルタ5の支柱51の一部又はフィルタ5の端部52が血管壁に埋もれてしまっている場合でも、芯材4の係止手段6によってフィルタ5を係止し、緊張状態とすることで、フィルタ5の姿勢を本来の留置理想形態(端部52が血管径中心に概ね位置する姿勢)に戻すことができる。
さらに、管体2と外層管体7との間に流体を注入可能となっているため、例えば、管体2と外層管体7との間に生理食塩水を注入することで、管体2と外層管体7との間に凝血塊が蓄積するのを防ぎ、管体2と外層管体7との進退移動をスムーズに行うことができる。
本実施例の医療処置具1は、芯材4の外周を囲い、ループ31内に貫挿される可撓性の樹脂チューブ8を備える。樹脂チューブ8の材料としては、例えば、ポリエチレン、もしくは、PTFE、PFA等のフッ素樹脂が望ましい。また、寸法は、例えば、内径1mm、外径1.6mmである。
本実施例の医療処置具1は、先端部42が単条のコイルスプリング体で構成され、係止手段6はコイルスプリング体の素線間に設けられた間隙64である。
本実施例では、例えば、線径0.2mmの線材を外径0.6mmに巻回成形してなり、疎巻き部分のコイルピッチを4mmとすることで間隙64が設けられている。このとき、素線の傾斜角は、フィルタ5の支柱51の傾斜角と概ね一致させることが好ましい。
また、図5(b)に示すように、軸方向に対して傾斜して手元側に向けて開口するように部分的に素線間を広げて間隙65を設けて係止手段6としてもよい。
本実施例の医療処置具1は、先端部42が多条のコイルスプリング体で構成され、係止手段6はコイルスプリング体の素線間に設けられた間隙66である。
本実施例では、例えば、線径0.2mmの2本の線材を外径0.6mmに巻回成形してなり、コイルピッチを6mmとすることで間隙66が設けられている。また、ロープ撚線機を用いて、2本の線材を撚りピッチが6mmとなるように撚合して形成してもよい。すなわち、外径0.2mmの線材7本を、内1本を芯線、6本を側線として撚合してなる撚線の、隣接し合う2本の側線を残して、その他の側線及び芯線を欠落させた構造である。尚、撚り角は、フィルタ5の支柱51の傾斜角と概ね一致させることが好ましい。
本実施例の医療処置具1は、先端部42が、スパイラル形状(図7(a)参照)または波形状(図7(b)参照)に成形されている。具体的には、先端部42は、スパイラル形状または波形状の金型内にセットされた状態で、800℃程度で熱処理されることにより成形される。また、熱処理による変色をなくすため、必要に応じて、熱処理後、電解研磨加工を施して形成される。
実施例1の医療処置具1は、芯材4が中空管体で構成されていたが、先端部42のみが中空管体で構成されており、先端部42より手元側を単線46(図8(a)、(c)参照)又は撚線構造体47(図8(d)参照)で構成してもよい。
尚、単線46は、例えば、外径0.3〜0.6mmのステンレス鋼線材またはNi−Ti線とする。
また、撚線構造体47は、外径0.3mmの芯線の外周に外径0.15mmの12本の素線を側ストランドとして撚合して形成してもよい。これによれば、芯線の外径を太くして側線の外径を細くすることで、柔軟性を維持しながら、押し引き操作の操作性をより向上させることができる。
尚、中空管体で構成する場合、中空管体は、例えばステンレス鋼またはNi−Ti線で外径0.6mm、内径0.4mmに形成する。
2 管体(可撓性管)
21 Y字コネクタ
22 分岐管
23 分岐管
25 ロック機構
3 捕捉具
31 ループ
4 芯材
42 先端部
5 フィルタ
6 係止手段
62、62 切り欠き
64〜66 間隙
7 外層管体(外層可撓性管)
71 Y字コネクタ
72 分岐管
73 分岐管
8 樹脂チューブ
Claims (7)
- 血管内に留置されたフィルタを回収するためのフィルタ回収用医療用処置具において、
可撓性管内に進退自在に挿入され、先端にループを有する捕捉具と、
前記可撓性管内に進退自在に挿入されるとともに前記ループ内に貫挿され、先端部に係止手段を有する芯材とを備え、
前記芯材は、前記係止手段で前記フィルタを係止し、
前記捕捉具は、前記係止手段に係止された前記フィルタを前記ループで捕捉し、
前記可撓性管は、先端側に移動されることで前記ループにより捕捉された前記フィルタを管内に引き込むことを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項1に記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記芯材の外周を囲い、前記ループ内に貫挿される可撓性の樹脂チューブを備えることを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項1または2に記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記係止手段は、前記先端部の外周に、軸方向の手元側に傾斜して開口する切り欠きであることを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項1または2に記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記先端部は、単条または多条のコイルスプリング体で構成され、
前記係止手段は、前記コイルスプリング体の素線間に設けられた間隙であることを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項3または4に記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記先端部は、スパイラル形状または波形状に成形されていることを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記可撓性管は、手元端にY字コネクタを有し、
前記Y字コネクタの二股に分かれた一方の分岐管には前記捕捉具が貫挿し、他方の分岐管には前記芯材が貫挿し、
前記他方の分岐管に、前記芯材をロックするロック機構が設けられていることを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。 - 請求項6に記載のフィルタ回収用医療用処置具において、
前記可撓性管の外周に、前記可撓性管よりも短く、前記可撓性管に対して進退自在に設けられた外層可撓性管を備え、
前記外層可撓性管は、手元端にY字コネクタを有し、
前記外層可撓性管のY字コネクタの二股に分かれた一方の分岐管には前記可撓性管が貫挿し、他方の分岐管からは前記可撓性管と前記外層可撓性管との間に流体を注入可能となっており、
前記可撓性管または前記外層可撓性管が先端側に移動されることで、前記ループにより捕捉された前記フィルタを管内に引き込むことを特徴とするフィルタ回収用医療用処置具。
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