JP2009032661A - 積層型光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 色素増感型光電変換体と薄膜光電変換体を積層した積層型光電変換装置において、光電変換効率が高く、低コストに製造可能であり、耐候性の問題を大幅に軽減し得る積層型光電変換装置を得ること。
【解決手段】 積層型光電変換装置1は、導電性基板11の主面に、電解質を含む色素増感型光電変換体3と、過電圧を下げる触媒層15と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2とが順次積層されている構成である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高い光電変換効率が得られ、耐候性に優れ、さらに低コストに製造できる積層型光電変換装置に関する。
色素増感型太陽電池の光電変換効率(以下、変換効率ともいう)を向上させる方法として、色素を担持(含有)するTiO等から成る多孔質の半導体層の導電性を向上させる方法、また、色素の増感能力を高める方法、即ち色素の分光感度の長波長化や分光感度を有する波長帯域の広帯域化等を成す方法が研究されている。
多孔質の半導体層の導電性を向上させる方法として、半導体の分子の形状を針状やナノチューブ状、強固に焼結された粒状とする方法、半導体自体の物性である導電性を向上させる方法等が研究されている。
また、色素増感型太陽電池においては、色素をTiO2等から成る多孔質の半導体層に担持させているが、紫外線等の短波長光によって色素に光劣化が生じることが懸念されている。このため、紫外線の強度が弱い環境である室内等で使用されるパーソナルコンピュータや携帯電話等の電源として実用化することが検討されている。また、光の照度が強い太陽光の下では、光入射側に紫外線吸収フィルム等を設けて色素の光劣化を抑制する方法が考えられるが、この方法で色素の光劣化が十分に抑制されるか疑問があり、また、紫外線吸収フィルムを設けた場合には可視光の吸収も生じるため光電変換効率の低下が生じる。
また、色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させた複合型太陽電池の従来例として、特許文献1に記載された構成のものがある。特許文献1に記載された複合型太陽電池は、太陽光の入射面側に色素増感型太陽電池を配置し、色素増感型太陽電池の入射面と反対側(後側)に結晶系シリコン太陽電池を配置した構成である。この構成により、ルテニウム錯体を用いた色素増感型太陽電池において波長600nm以下の太陽光を有効に利用することができ、また、色素としてルテニウム錯体やキサンテン系色素を用いることができることが記載されている。
また、特許文献1には、波長600nm以上の太陽光で発電する太陽電池として、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンを用いた結晶系シリコン太陽電池に注目しており、結晶系シリコン太陽電池はシリコンのpn接合によってバンドの勾配が形成され、太陽光のうち波長400〜1100nmの光により生成した電子と正孔が内部電界によって分離され、起電力が発生することが記載されている。即ち、特許文献1に記載された複合型太陽電池は、太陽光の入射面側にルテニウム錯体を用いた色素増感型太陽電池を配置して、波長300nm〜600nmの光で発電を行うとともに、色素増感型太陽電池の後側に結晶系シリコン太陽電池を配置して、色素増感型太陽電池を透過した光のうち波長400nm〜1100nmの光で発電を行うものである。
特開2002−231324号公報
シリコン結晶基板等を用いたバルク結晶型の結晶系シリコン太陽電池は、通常シリコン結晶板の厚みが約300μmもあるために、シリコンの省資源化に不利であるという問題点と、材料コストが高くなるという問題点がある。また、結晶系シリコン太陽電池は、シリコン結晶基板を切り出すための結晶体(インゴットやバルク結晶体)を製造するのに1000℃以上の高温処理が必要であり、プロセスコストがかかり、また、発電セルを構成する1枚のシリコン結晶基板のサイズ(約15cm角)の大型化には限界があるので、多数の発電セルを用いてメートルサイズの光電変換モジュールを組み立てるためのアセンブルコストが増大するという問題点がある。
また、薄膜型の非晶質(アモルファス)系シリコン太陽電池は、厚みが約0.3μmと薄く、低温プロセス(約300℃)で製造可能であること、また自由なサイズの大型基板を用いることができるため、上記の問題点をほとんど解消できる。しかしながら、アモルファスシリコンはバンドギャップが大きいため、約700nm以下の短波長光しか吸収できず、光電変換効率が低いという問題点がある。
また、光電変換効率を高めるために、非晶質系シリコン太陽電池と微結晶系シリコン太陽電池を積層した薄膜型の積層型シリコン太陽電池は、非晶質系シリコン太陽電池と微結晶系シリコン太陽電池のいずれもが薄膜型であり、低コストのシリコン太陽電池として有力な候補であると考えられる。しかしながら、実際には、微結晶系シリコン太陽電池の厚みは非晶質系シリコン太陽電池の厚みの約10倍であり、また、これらはPCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)等の高価な大型真空装置を用いて製造されるために、微結晶系シリコン太陽電池の製造コストが厚みに比例して増加する傾向があり、低コスト化が困難であるという問題点がある。
また、アモルファスシリコン薄膜は、製膜条件、基板(ガラス基板もしくは透明導電基板)の前処理、メッキ法による電極形成時のメッキ液によるダメージ等により、ピンホールが形成され易い。アモルファスシリコン薄膜に形成されたピンホールは、リーク電流の原因となり、出力の低下を引き起こす。特に大面積の太陽電池モジュールの場合、リーク電流の発生が顕著となり、光電変換効率の低下及び太陽電池モジュールの出力低下を引き起こす。
さらに、アモルファスシリコン薄膜に形成されたピンホールは、非晶質系シリコン太陽電池と他種の太陽電池とを積層した積層型太陽電池の構成においても影響を及ぼす。積層型太陽電池の構成の場合、非晶質系シリコン太陽電池と他種の太陽電池との積層界面には、通常、ITO膜等から成る透明導電膜が形成される。透明導電膜は、非晶質系シリコン太陽電池と他種の太陽電池との積層には有効であるが、アモルファスシリコン薄膜に形成されたピンホールによるリーク電流の影響が顕著となるため、光電変換効率等の特性が大幅に低下し易い。
色素増感型太陽電池は、製造工程において高温処理や真空装置を必要としないことから、最も低コストに製造できる太陽電池と考えられる。しかしながら、色素増感型太陽電池の光電変換効率は低いため、バルク結晶型の結晶系シリコン太陽電池や薄膜型の積層型シリコン太陽電池に及ばない。
また、色素増感型太陽電池は、紫外線等の短波長光によって色素の劣化が生じることが懸念され、さらには、太陽光の熱によって色素の光劣化は加速される。現状では、短波長光や熱の影響の小さい環境である室内用途等での実用化が検討されているが、この場合、用途が限られるため、汎用性のある太陽電池とはいえない。また、短波長光の影響を小さくするために紫外線吸収フィルムを用いることもできるが、可視光の吸収も同時に生じるため、光電変換効率が大きく低下することとなり、紫外線吸収フィルムの積極的な使用はできない。このように、色素増感型太陽電池は、色素の光劣化や熱劣化の問題が未だ解消されておらず、耐候性に問題がある。
色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることができるといわれる、特許文献1の複合型太陽電池は、太陽光の入射面側に色素増感型太陽電池を配置し、色素増感型太陽電池の後側に結晶系シリコン太陽電池を配置しているため、色素の光劣化や熱劣化の問題は解消されておらず、耐候性の問題は依然として存在する。
また、特許文献1の複合型太陽電池は、結晶系シリコン太陽電池を用いているため、上述した問題点がある。即ち、シリコン基板の厚みが約300μmもあるため、シリコンの省資源化に不利であるという問題点と、材料コストが高くなるという問題点がある。さらに、シリコン結晶基板を切り出すための結晶体(インゴットやバルク結晶体)を製造するのに1000℃以上の高温処理が必要であり、プロセスコストがかかり、また、発電セルを構成する1枚のシリコン結晶基板のサイズ(約15cm角)の大型化には限界があるので、多数の発電セルを用いてメートルサイズの光電変換モジュールを組み立てるためのアセンブルコストが増大するという問題点がある。
従って、本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光電変換効率が高く、低コストに製造可能であり、耐候性の問題を大幅に軽減し得る積層型光電変換装置を得ることである。
本発明の積層型光電変換装置は、導電性基板上に、電解質を含む色素増感型光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体とが順次積層されている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は、透光性基板上に、電解質を含む非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、色素増感型光電変換体とが順次積層されている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記触媒層は第一の触媒層と第二触媒層を有し、前記第一の触媒層と第二の触媒層との間に透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層が形成されている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記色素増感型光電変換体の分光感度のピーク波長が前記薄膜光電変換体分光感度のピーク波長より長波長側にある構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記色素増感型光電変換体は、前記薄膜光電変換体を透過した光に対して分光感度を有する構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記薄膜光電変換体は、i型の非晶質シリコン層を有するpin構造とされている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記触媒層は、白金族元素,白金族元素の合金,アルミニウム,銀,カーボン及び導電性高分子うちの少なくとも一種から成る構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記導電性高分子は、チオフェン誘導体,カルバゾール誘導体及びアニリン誘導体のうちの少なくともいずれか一種を含む構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、前記非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下である構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,In,SnO,SnO:F,SnO:Sb,ZnO,ZnO:Ga,ZnO:Al及びZnO:Bのうちのいずれかから成る構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は、導電性基板上に、第一の光電変換体と、過電圧を下げる第一の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第二の触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体とが順次積層されている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体と、過電圧を下げる第二の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第一の触媒層と、第一の光電変換体とが順次積層されている構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、前記非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下である構成である。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,SnO:F及びSnO:Sbのうちのいずれかから成る構成である。
本発明の積層型光電変換装置は、導電性基板上に、色素増感型光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体とが順次積層されていることから、薄膜光電変換体で短波長光(300nm〜700nm程度)が良好に光電変換され、色素増感型光電変換体で長波長光(700nm〜950nm程度)及び薄膜光電変換体を透過した短波長光が良好に光電変換されるため、広い波長帯域の光を効率良く光電変換できるとともに、光電変換効率が向上するという効果が得られる。
また、色素増感型光電変換体及び薄膜光電変換体は、両方とも低温プロセスで作製できるので、従来の積層型光電変換装置と比較して容易かつ低コストに製造可能である。
また、光入射側に薄膜光電変換体を配置し、薄膜光電変換体の後側(導電性基板側)に色素増感型光電変換体を配置したことにより、色素増感型光電変換体が太陽光等の強い光を直接受光することがない。しかも、光入射側の薄膜光電変換体は短波長光を良好に吸収するため、後側の色素増感型光電変換体には短波長光がほとんど到達しないので、色素の光劣化が大幅に軽減される。また、色素増感型光電変換体を導電性基板の裏面側より容易に冷却することができるので、色素増感型光電変換体の温度上昇を抑制して色素の熱劣化を抑制することができる。
また、色素増感型光電変換体と薄膜光電変換体との間に触媒層を形成していることから、色素増感型光電変換体と薄膜光電変換体との接合部における過電圧を低下させて、抵抗を低くして接合することができるとともに、薄膜光電変換体に形成されたピンホールによるリーク電流の影響を受けない接合構造とすることができる。従来の薄膜太陽電池であれば、リーク電流の発生の一例として、ピンホールの部分で薄膜半導体と接合する+(正)電極と−(負)電極とがショートすることが挙げられる。これは、ピンホールの部分で+電極と−電極がオーミック接続されることに起因する。これに対し、本発明の構成では、薄膜半導体の+電極(−電極)に相当する電解液と、−電極(+電極)に相当する透明導電膜とがショットキー接続となるため、ショートしないという利点がある。但し、薄膜半導体と電解液も接合部はショットキー接続となるため、触媒層を備えることにより、オーミック接続とする。このような構成により、薄膜光電変換体に形成されたピンホールによるリーク電流の影響を受けない接合構造とすることができる。その結果、高い光電変換効率が得られるとともに、薄膜光電変換体の構成、厚み等に関する成膜条件、導電性基板の選択の自由度が向上する。
また、本発明の積層型光電変換装置は、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、色素増感型光電変換体とが順次積層されていることから、上述した効果と同様の効果が得られる。なお、この構成では、透光性基板の側から光が入射する。
また、透光性基板を用いることによって、光の一部が透過する、シースルー型光電変換装置が形成できるという効果も有する。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、触媒層は第一の触媒層と第二触媒層を有し、前記第一の触媒層と第二の触媒層との間に透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層が形成されている、即ち、導電性基板上に、電解質を含む色素増感型光電変換体と、過電圧を下げる第一の触媒層と、透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第二の触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体とが順次積層されている。
この構成により、薄膜光電変換体と色素増感型光電変換体の特性を阻害することなく、中間層を設けることができる。その結果、中間層の屈折率を制御して薄膜光電変換体から色素増感型光電変換体に入射する光量を増加させること、薄膜光電変換体と色素増感型光電変換体との化学反応を中間層で物理的に仕切ることによって抑制することなどの作用効果を奏する。
また、第一の触媒層があることによって中間層をシート抵抗が103Ω/□以上の高抵抗にすることができ、薄膜光電変換体のピンホールによるリークの影響を小さくすることができる。そのため、薄膜光電変換体の成膜工程で、パーティクル低減のための大規模な雰囲気制御装置が不要となり、大幅に製造コストを低下させることができる。
また、中間層のシート抵抗が103Ω/□以上であることから、中間層に生じたキャリアによる光の散乱が抑制され、近赤外光領域での透過率が大幅に向上する。
また、第一の触媒層があることによって薄膜光電変換体と中間層との接触抵抗が低減され、中間層の材料選択の幅が大幅に広がる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体と、過電圧を下げる第二の触媒層と、透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第一の触媒層と、電解質を含む色素増感型光電変換体とが順次積層されている。
この構成により、上述した効果と同様の効果が得られる。なお、この構成では、透光性基板の側から光が入射する。
また、透光性基板を用いることによって、光の一部が透過するシースルー型光電変換装置を構成できるという効果も有する。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、色素増感型光電変換体の分光感度の
ピーク波長が薄膜光電変換体分光感度のピーク波長より長波長側にあることから、色素増
感型光電変換体と薄膜光電変換体において、それぞれ異なった波長帯域の光を光電変換で
きるので、高い光電変換効率が得られる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、色素増感型光電変換体は、薄膜光電変換体を透過した光に対して分光感度を有することから、高い光電変換効率が得られる。即ち、薄膜光電変換体は波長約700nm以下の短波長光を吸収して発電し、約700nm以上の長波長光を透過させるので、色素増感型光電変換体が薄膜光電変換体を透過した波長約700nm以上の光に対して分光感度を有する場合、後側の色素増感型光電変換体に十分な強度の長波長光が達するため、色素増感型光電変換体において長波長光によって十分な発電が行える。即ち、太陽光の波長帯域は310〜2000nmであり、光の強度が大きい波長帯域は400〜1200nmである。従って、後側の色素増感型光電変換体に、700〜1200nmあるいは700〜2000nmに感度を有する色素を用いることにより、十分な光電変換効率が得られる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、薄膜光電変換体は、i型の非晶質シリコン層を有するpin構造とされていることから、波長700nm程度までの比較的狭い可視光領域において0.9V程度の高い開放端電圧で発電するため、光電変換時の出力が大きいという効果が得られる。さらに、紫外線や青色の光はi型の非晶質シリコン層によく吸収されるため、色素増感型光電変換体に入射する紫外線や青色の光が低減する。そのため、有機物を含有する色素増感型光電変換体の光劣化が抑制される。
例えば、光入射側の導電性基板上に、多孔質の第1導電型(例えばn型)輸送体層、多孔質の第1導電型輸送体層の多数の孔に浸透し充填するような浸透性を有する第2導電型(例えばp型)輸送体層、触媒層、第1導電型(例えばn型)シリコン系半導体層、実質的に真性(i型)の非晶質シリコン系半導体層、第2導電型(例えばp型)シリコン系半導体層、透明導電層、透光性被覆体を順次積層した構成であって、第1導電型輸送体層と第2導電型輸送体層との界面に色素を配置した構成とすることによって、透明導電層の代わりに触媒層を形成したため、透明導電層が従来の2層から1層になり、また、支持基板を従来の2枚から1枚に減らすことができる。従って、積層構造が簡易化されて低コストなものとなる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、触媒層は、白金族元素,白金族元素の合金,カーボン及び導電性高分子うちの少なくとも一種から成ることから、密着強度、触媒能に優れ、透光性を確保しやすい触媒層とすることができる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、導電性高分子は、チオフェン誘導体,カルバゾール誘導体及びアニリン誘導体のうちの少なくともいずれか一種を含むことから、成膜が容易で透光性に優れ、ドーパントの選択性が高くなるという効果を奏する。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下であることから、非単結晶質光電変換層の光透過率が向上し、その結果積層型光電変換装置の光電変換効率が向上する。
また、非晶質Si薄膜等から成る非単結晶質光電変換層は、表面に光閉じ込め効果を有する凹凸構造が形成された一般にヘーズ基板と呼ばれる導電性基板または透光性基板の表面に形成されるが、ヘーズ基板に形成された非晶質Si薄膜は微細な貫通孔等が形成され易い。そのため、電荷が貫通孔を通じて導電性基板または透光性基板表面の導電層に短絡し、曲線因子(FF:Fill Factor)特性が劣化し、開放電圧Voc、さらには短絡電流密度Iscが低下する。それに対して、本発明においては、非単結晶質光電変換層上に、触媒層、または第二の触媒層及び中間層並びに第一の触媒層が形成されているため、非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下と薄くても、非単結晶質光電変換層における電荷の短絡を大幅に抑制できる。従って、非単結晶光電変換層の曲線因子(FF:Fill Factor)特性が低下せずに、非単結晶光電変換層の透過率を向上させることができる。また、非単結晶光電変換層の曲線因子は、その薄膜化により向上する。その結果、積層型光電変換装置の最大出力における電流密度が大きくなり、高い光電変換効率が得られる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,In,SnO,SnO:F,SnO:Sb,ZnO,ZnO:Ga,ZnO:Al及びZnO:Bのうちのいずれかから成ることから、透明性を維持しながらシート抵抗が低減されたものとなる。
また、本発明の積層型光電変換装置は、導電性基板上に、第一の光電変換体と、過電圧を下げる第一の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第二の触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体とが順次積層されていることから、第一の光電変換体として、例えば、結晶質シリコン層等を含む結晶質光電変換体、有機半導体層を含む有機系光電変換体、またはCIGS層等の無機化合物系光電変換体を用いた、上記の作用効果を有する積層型光電変換装置を得ることができる。
また、本発明の積層型光電変換装置は、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体と、過電圧を下げる第二の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第一の触媒層と、第一の光電変換体とが順次積層されていることから、第一の光電変換体として、例えば、結晶質シリコン層等を含む結晶質光電変換体、有機半導体層を含む有機系光電変換体、またはCIGS層等の無機化合物系光電変換体を用いた、上記の作用効果を有する積層型光電変換装置を得ることができる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下であることから、非晶質Si薄膜等から成る非単結晶質光電変換層は、表面に光閉じ込め効果を有する凹凸構造が形成された一般にヘーズ基板と呼ばれる導電性基板または透光性基板の表面に形成されるが、ヘーズ基板に形成された非晶質Si薄膜は微細な貫通孔等が形成され易い。そのため、電荷が貫通孔を通じて導電性基板または透光性基板表面の導電層に短絡し、曲線因子(FF:Fill Factor)特性が劣化し、開放電圧Voc、さらには短絡電流密度Iscが低下する。それに対して、本発明においては、非単結晶質光電変換層上に、触媒層、中間層、及び第二の触媒層が形成されているため、非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下と薄くても、非単結晶質光電変換層における電荷の短絡を大幅に抑制できる。従って、非単結晶質光電変換層の曲線因子(FF:Fill Factor)特性が低下せずに、非単結晶光電変換層の透過率を向上させることができる。また、非単結晶光電変換層の曲線因子は、その薄膜化により向上する。その結果、積層型光電変換装置の最大出力における電流密度が大きくなり、高い光電変換効率が得られる。
また、本発明の積層型光電変換装置は好ましくは、中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,SnO:F及びSnO:Sbのうちのいずれかから成ることから、透明性を維持しながらシート抵抗が低減されたものとなる。
以下、本発明に係る実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態の積層型光電変換装置の断面図を図1に示す。なお、図中の矢印は積層型光電変換装置に入射する光を示す。
図1に示す本実施の形態の積層型光電変換装置1は、導電性基板11の主面に、電解質を含む色素増感型光電変換体3と、過電圧を下げる触媒層15と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2とが順次積層されている構成である。
過電圧を下げる触媒層15は、第2導電型輸送体(電解質)14と非単結晶質光電変換層16との電荷の授受を容易にするための層であり、第2導電型輸送体(電解質)14と薄膜光電変換体2とのオーミック接合を確保するための層である。なお、過電圧とは、積層型光電変換装置1を動作させるために最初に印加する大きな電圧のことをいう。
色素増感型光電変換体3は好ましくは、薄膜光電変換体2より長波長側にピーク感度を有し、薄膜光電変換体2を透過した光を吸収する。
色素増感型光電変換体3は、例えば、導電性基板11上に形成された多孔質の第1導電型(例えばn型)輸送体12、多孔質の第1導電型輸送体12の孔を埋めるように形成した浸透性の第2導電型(例えばp型)輸送体14および触媒層15から成るとともに、両輸送体の界面に色素13を配した構成である。
薄膜光電変換体2は、例えば、触媒層15、非単結晶質光電変換層16、透明導電層17および透光性被覆体18から成る。非単結晶質光電変換層16としては、非単結晶質シリコン系の薄膜pin接合層でもよく、CIGS(CuInGaSe)などの化合物半導体系の薄膜接合層でもよい。また、これらの接合層は、pin接合型、pn接合型、ショットキー接合型、ヘテロ接合型などの内部電界を生じるものがよい。
薄膜光電変換体2が非単結晶質シリコン系のものから成る場合、非晶質(アモルファス)シリコン系、ナノサイズ結晶を含むアモルファスシリコン系、微結晶シリコン系から成るものなどがよく、特に短波長感度を有するアモルファスシリコン系、光劣化が抑制されるナノサイズ結晶を含むアモルファスシリコン系がよい。ここで、アモルファスシリコン系とは、アモルファスシリコンカーバイト,アモルファスシリコンナイトライドなどの合金系を含む。
本実施の形態の積層型光電変換装置1は、薄膜光電変換体2の第1の出力の電流と、色素増感型光電変換体3の第2の出力の電流とが同じになるように、両光電変換体の性能を合わせるのがよい。この場合、薄膜光電変換体2と色素増感型光電変換体3との界面から外部に出力を取り出す必要がなく、集積化などの電極配線構造が簡易化される。両光電変換体の出力の電流を合わせるには、それぞれの膜みや感度などを調整すればよい。
図2に、薄膜光電変換体2をより詳しく示した本実施の形態の積層型光電変換装置1の断面模式図を示す。図2の構成は、図1の積層型光電変換装置1において、非単結晶質光電変換層16を、第1導電型(例えばn型)シリコン系半導体層16a、実質的に真性(i型)である真性非晶質シリコン系半導体層16b、第2導電型(例えばp型)シリコン系半導体層16cから成るものとした構成である。そして、第1導電型輸送体12と第2導電型輸送体14との界面に、非晶質シリコン系半導体より長波長側にピーク感度を有する色素13を配置している。
本実施の形態の他の形態の積層型光電変換装置は、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、色素増感型光電変換体とが順次積層されている構成である(図示せず)。この場合、図1及び図2に示す積層型光電変換装置と異なり、導電性基板11の代わりに透光性基板を用いるため、基板上に積層する各層の積層順が逆になる。
<導電性基板>
導電性基板11は、図1の構成の場合、薄い金属シートから成るものがよく、材料としてはチタン,ステンレス,アルミニウム,銀,銅,ニッケルなどがよい。また、導電性基板11の材料としては、カーボン,金属微粒子,金属から成る微細線を含浸させた樹脂や導電性樹脂などがよい。
また、導電性基板11は、絶縁基板11a上に、チタン,ステンレス,アルミニウム,銀,銅,ニッケル等から成る金属薄膜、またはITO,SnO2:F(フッ素ドープSnO2),ZnO:Al(AlドープZnO)等から成る酸化物導電膜、またはチタン層/ITO層/チタン層等の積層構造の導電層から成る導電膜11bを形成した構成のものがよい。
絶縁基板11aの材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート),ポリイミド,ポリカーボネート等の樹脂材料、または青板ガラス,ソーダガラス,硼珪酸ガラス,セラミックス等の無機材料、または導電性樹脂材料,有機無機ハイブリッド材料等がよい。
導電性基板11に光反射性を付与すると、透過光を反射させて再利用することができる。導電性基板11が金属製の基板から成る場合、銀やアルミニウム等から成るものがよい。
また、導電性基板11が、絶縁基板11a上に導電膜11bを形成したものから成る場合、導電膜11bは、銀膜、密着層付きのTi層/Ag層/Ti層等の積層膜等がよい。導電膜11bは、真空蒸着法,イオンプレーティング法,スパッタリング法,電解析出法等で形成する。
導電性基板11の厚みは0.01mm〜5mm、好ましくは0.02mm〜3.0mmがよい。導電膜11bの厚みは0.001μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜2.0μmがよい。
また、導電性基板11が、透光性のもの(SnO2:F(FドープSnO2)膜付き青板ガラス等)の場合、導電性基板11の裏面に光反射性のアルミニウムや銀等から成るシートや膜等を形成して、光反射性を付与しても構わない。
<多孔質の第1導電型輸送体>
多孔質の第1導電型輸送体12としては、二酸化チタン等(n型金属酸化物半導体)から成る多孔質のものがよく、導電性基板11上に多孔質の第1導電型輸送体12を形成する。
第1導電型輸送体(例えば、電子輸送体)12は、通常、二酸化チタン等(n型金属酸化物半導体)から成るものが用いられ、好適には粒状体または線状体(針状体,チューブ状体,柱状体等)の複数が集合して成るものがよい。
第1導電型輸送体12を多孔質体とすることにより、粒状体等同士の接合面積が拡がり、また色素13を担持する表面積が増えて、光電変換効率を高めることができる。
また、第1導電型輸送体12を多孔質体とすることにより、色素増感型光電変換体3の表面が凹凸状となり、色素増感型光電変換体3に光閉じ込め効果をもたらして、光電変換効率をより高めることができる。
n型金属酸化物半導体の材料や組成としては、二酸化チタン(TiO2)が最適であり、他の材料や組成としては、チタン(Ti),亜鉛(Zn),スズ(Sn),ニオブ(Nb),インジウム(In),イットリウム(Y),ランタン(La),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),ハフニウム(Hf),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),カルシウム(Ca),バナジウム(V)等の金属元素の少なくとも1種以上から成るn型金属酸化物半導体がよい。
また、n型金属酸化物半導体は、窒素(N),炭素(C),弗素(F),硫黄(S),塩素(Cl),リン(P)等の非金属元素の1種以上を含有していてもよい。これらは、いずれも電子エネルギーバンドギャップが可視光のエネルギーより大きい2eV〜5eVの範囲にあり、且つ電子エネルギー準位においてn型金属酸化物半導体の伝導帯が色素13の伝導帯より低いため、好ましい。
第1導電型輸送体12は、空孔率が20%〜80%、より好適には40%〜60%の多孔質体から成るものがよい。この理由は、この程度の空孔率の多孔質化により、光作用極の表面積を1000倍以上に高めることができ、光吸収と発電と電子伝導を効率よく行なうことができるからである。
多孔質の第1導電型輸送体12の形状は、その表面積が大きくなり且つ電気抵抗が小さい形状がよく、通常は、微細粒子もしくは微細線状から成るのがよい。その平均粒径もしくは平均線径は5nm〜500nmであるのがよく、より好適には10nm〜200nmがよい。ここで、平均線径の5nm〜500nmにおける下限値は、これ未満になると材料の微細化ができず、上限値は、これを超えると接合面積が小さくなり光電流が著しく小さくなるからである。
また、第1導電型輸送体12の厚みは0.1μm〜50μmがよく、より好適には1μm〜20μmがよい。ここで、0.1μm〜50μmにおける下限値は、これより膜厚が小さくなると光電変換作用が著しく小さくなって実用に適さず、上限値は、これを超えて厚みが厚くなると光が透過しなくなって光が入射しなくなるからである。
第1導電型輸送体12が二酸化チタンから成る場合、その製造方法は以下のようになる。まず、TiOのアナターゼ粉末にアセチルアセトンを添加した後、脱イオン水とともに混練し、界面活性剤で安定化させた二酸化チタンのペーストを作製する。次に、作製したペーストをドクターブレード法で導電性基板11の導電膜11b上に一定の速度で塗布し、大気中において300℃〜600℃、好適には400℃〜500℃で、10分〜60分、好適には20分〜40分処理することにより、多孔質の第1導電型輸送体12を形成する。この手法は簡便であり、図1のように、耐熱性を有する導電性基板11上に予め形成できる場合に有効である。
<透光性基板>
透光性基板は、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート),ポリイミド,ポリカーボネート等の樹脂材料、または青板ガラス,ソーダガラス,硼珪酸ガラス,無アルカリガラス,透光性セラミックス等の無機材料、または導電性樹脂材料,有機無機ハイブリッド材料等がよい。
透光性基板の材料として、ガラス材料を用いる場合、強化ガラスを用いると、光電変換装置の機械的な強度が高まるためよい。透光性基板の主面の半導体を形成していない面には、屈折率や空孔率を制御した反射防止膜を設けてもよく、またはカラーフィルム等を貼って意匠性を高めるなどしてもよい。
<色素>
色素13としては、入射光に対する光電流効率(Incident Photon to Current Efficiency;IPCE)、いわゆる感度が薄膜光電変換体2の吸収限界波長より長波長側へ伸びている特性を有する色素13であれば有効である。
また、感度が、真性非晶質シリコン系半導体16bのピーク感度や吸収限界波長より長波長側へ伸びている特性を有する色素13であれば有効である。真性非晶質シリコン系半導体16bの吸収限界波長は約700nmであり、この場合、約700nm以上にIPCEを示す色素13であれば有効である。
従って、できるだけ長波長感度を有する色素13であって、薄膜光電変換体2のピーク感度より長波長側にピーク感度を有する色素13、真性非晶質シリコン系半導体16bのピーク感度より長波長側にピーク感度を有する色素13、真性非晶質シリコン系半導体16bの吸収限界波長の約700nmより長波長側にピーク感度を有する色素13等が有効である。
そのような色素13として、ビス型スクアリリウムシアニン色素がIPCEのピーク波長が800nm近くにあり有効である。他に、波長700nm以上に高い感度(IPCE)をもつアズレニウム塩化合物,スクワリン酸誘導体,トリアリルピラゾリン,ヒドラゾン誘導体,ビフェニルジアミン誘導体,トリ−p−トリルアミン(TPTA),トリスアゾ顔料,τ型無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,スクアリリウムシアニン,ブラック・ダイ,クマリン,βジケトナート,Re錯体,Os錯体,Ni錯体,Pd錯体,Pt錯体,フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の色素13がよい。
多孔質の第1導電型輸送体12に色素13を吸着させる方法としては、第1導電型輸送体12を形成した導電性基板11を、色素13を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。この場合、溶液及び雰囲気の温度は特に限定されるものではなく、例えば、大気圧下、室温が挙げられ、浸漬時間は色素13、溶媒の種類、溶液の濃度等により適宜調整することができる。これにより、色素13を多孔質の第1導電型輸送体12に吸着させることができる。
色素13を溶解させるために用いる溶媒は、エタノール等のアルコール類,アセトン等のケトン類,ジエチルエーテル等のエーテル類,アセトニトリル等の窒素化合物等を1種または2種以上混合したものが挙げられる。
また、溶液中の色素13の濃度は5×10-5〜2×10-3mol/l(l:リットル(1000cm3))程度が好ましい。
色素13の材料の他の例としては、金属錯体色素,有機色素,有機顔料,無機色素,無機顔料,無機系半導体等でもよい。
また、色素13は、単分子,超薄膜(厚みがバンドギャップに影響を与えるナノメートルオーダーの薄い膜厚をいう),微粒子,超微粒子(粒径がバンドギャップに影響を与えるナノメートルオーダーの小さい微粒子をいう),量子ドットの少なくとも一種からなってもよい。特に、色素13が超微粒子の半導体から成る場合、もはやバンドギャップは材料固有の値で無くなり、サイズに依存するようになる。その結果、バンドギャップがかなり小さい材料(1eV以下)であっても、ナノサイズ化によってバンドギャップを大きくすることができるので、吸収波長が選択でき、また感度の長波長化もし易い。超微粒子の半導体としては、CdS,CdSe,PbS,PbSe,CdTe,Bi23,InP,Si,Ge,CIGS(CuInGaSe),CIS(CuInS2),FeS2,Ag2S,Sb23,ZnS,Fe23等がある。
<第2導電型輸送体>
浸透性を有する第2導電型輸送体14、いわゆる電解質としては、ゲル電解質等の正孔輸送体、例えばp型半導体、液体電解質、固体電解質、電解塩等がよい。浸透性を有するとは、多孔質の第1導電型輸送体12を埋めるように形成されることである。浸透性を有する第2導電型輸送体14としては、電解液が最もよいキャリア移動を示すが、電解液は液漏れ等の問題があるので、ゲル電解質や固体電解質が好ましい。
第2導電型輸送体14のより具体的な材料としては、透明導電性酸化物,電解質溶液,ゲル電解質や固体電解質等の電解質,有機正孔輸送剤,極薄膜金属等が挙げられる。透明導電性酸化物としては、一価の銅を含む化合物半導体、またはGaP,NiO,CoO,FeO,Bi23,MoO2,Cr23等がよく、これらの中でも一価の銅を含む化合物半導体がよい。好適な一価の銅を含む化合物半導体としては、CuI,CuInSe2,Cu2O,CuSCN,CuS,CuInS2,CuAlSe2等がよく、これらの中ではCuI,CuSCNがよく、CuIが製造しやすく最も好ましい。
第2導電型輸送体14が電解質から成る場合、電解質溶液としては、第4級アンモニウム塩やLi塩等を用いる。電解質溶液の組成としては、例えば、炭酸エチレン,炭酸プロピレン,ジメチルスルホキシド,アセトニトリル,イオン性液体,γ−ブチロラクトン,メトキシプロピオニトリル等の有機溶媒に、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム,ヨウ化リチウム,ヨウ素等を混合し調製したものを用いることができる。
第2導電型輸送体14がゲル電解質から成る場合、ゲル電解質は、大別して化学ゲルと物理ゲルに分けられる。化学ゲルは、架橋反応等により化学結合でゲルを形成しているものであり、物理ゲルは、物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものである。具体的なゲル電解質としては、アセトニトリル,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド,ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,ポリアクリルアミド等のホストポリマーを混入して重合させたゲル電解質が好ましい。
なお、第2導電型輸送体14としてゲル電解質や固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆体を第1導電型輸送体12に含有させ、加熱、紫外線照射、電子線照射等の手段で二次元、三次元の架橋反応をおこさせることによって、ゲル化または固体化することができる。
イオン伝導性の固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド,ポリエチレンオキサイドもしくはポリエチレン等の高分子鎖に、スルホンイミダゾリウム塩,テトラシアノキノジメタン塩,ジシアノキノジイミン塩等の塩をもつ固体電解質が好ましい。ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウム塩,第4級アンモニウム塩,イソオキサゾリジニウム塩,イソチアゾリジニウム塩,ピラゾリジウム塩,ピロリジニウム塩,ピリジニウム塩等のヨウ化物を用いることができる。
上述のヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1,メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。
有機正孔輸送剤としては、トリフェニルジアミン(TPD1,TPD2,TPD3),チオフェン誘導体とそのポリマー,ペンタセン等のポリアセン,ルブレン,、フタロシアニン誘導体,金属フタロシアニン,OMeTAD(2,2’,7,7’−テトラキス(N,Nジ−P−メトキシフェニルアミンス)9,9’−ピロバイフルオレン)等が挙げられる。
<触媒層>
触媒層15は、第2導電型輸送体14と非単結晶質光電変換層16との電荷の授受を容易にするための層であり、その材料は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、塗布した錯体を熱分解する熱分解法等で形成したPt,Pd等の白金族元素、白金族元素の合金、アルミニウム、銀等がよい。また、スピンコート法等で成膜したポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT;ポリスチレンスルホナートなどをドーピングしてもよい)、電着法で成膜したポリビニルカルバゾール等の有機半導体材料、あるいはカーボン,導電性高分子等が用いられる。また、これらを積層したものを用いることもできる。
<非単結晶質光電変換層>
非単結晶質光電変換層16としては、プラズマCVD法によって連続堆積したpin接合の水素化アモルファスシリコン系半導体層がよい。触媒層15側にp型半導体層を設けたpin接合とするが、逆接合であるnip接合でも構わない。
ここで、非単結晶質光電変換層16を構成する、第1導電型シリコン系半導体層16aと第2導電型シリコン系半導体層16cは、それぞれn型半導体層とp型半導体層、もしくはp型半導体層とn型半導体層であり、結晶質は非晶質等である。また、真性非晶質シリコン系半導体層16bはi型半導体層である。
i型半導体層が非晶質である場合、p型半導体層とn型半導体層は少なくとも一方が、微結晶を有するもの、または水素化アモルファスシリコン合金系の層でも構わない。例えば、光入射側のp型半導体層は、水素化アモルファスシリコンカーバイドから成るものが、透光性を高めることができ、光の損失が少ないため、より好ましい。
非単結晶質光電変換層16を形成する他の堆積法としては、触媒CVD法等でもよい。プラズマCVD法と触媒CVD法を組み合わせると、水素含有量を増加させることができ、非単結晶質光電変換層16の光劣化が抑制できて信頼性が高まる。
また、これらのシリコン系半導体層16a,16b,16cは、化学気相成長法によりそれぞれの製膜条件で連続堆積できるので好適である。より詳しく説明すると、例えば、第2導電型シリコン系半導体層16cがp型a−Si:H(Hドープアモルファスシリコン)層であり、成膜する場合、原料ガスとしてSiH4ガス,H2ガス,B26ガス(H2で500ppmに希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ最適化する。また、p型a−Si:H層の厚みは50Å〜200Åの範囲がよく、より好適には80Å〜120Åがよい。50Åより薄いと、内部電界が形成できず、200Åより厚いと、光損失が増える。
また、例えば、真性非晶質シリコン系半導体層16bがi型a−Si:H層であり、成膜する場合、原料ガスとしてSiH4ガス,H2ガスを用い、これらのガスの流量を最適化する。i型a−Si:H層の厚みは500Å〜5000Å(0.05μm〜0.5μm)の範囲がよく、より好適には1500Å〜2500Å(0.15μm〜0.25μm)がよい。500Åより薄いと、充分な光電流が得られず、5000Åより厚いと、後側の色素増感型光電変換体3に光を透過させることができない。
また、例えば、第1導電型シリコン系半導体層16aがn型a−Si:H層であり、成膜する場合、原料ガスとしてSiH4ガス,H2ガス,PH3ガス(H2で1000ppmに希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ最適化する。n型a−Si:H層の厚みは50Å〜200Åの範囲がよく、より好適には80Å〜120Åがよい。50Åより薄いと、内部電界が形成できず、200Åより厚いと、光損失が増える。
シリコン系半導体層16a,16b,16cを形成する際の導電性基板11の温度は、何れの層の場合にも150℃〜300℃の範囲がよく、より好適には180℃〜240℃がよい。150℃より低くても、また300℃よりも高くても、好適な光半導体は得られない。
非単結晶質光電変換層16の厚みは350nm(0.35μm)以下であることが好ましい。この場合、非単結晶質光電変換層16の光透過率が向上し、その結果積層型光電変換装置1の光電変換効率が向上する。
また、非晶質Si薄膜等から成る非単結晶質光電変換層16は、表面に光閉じ込め効果を有する凹凸構造が形成された一般にヘーズ基板と呼ばれる、透明導電層17が形成された透光性被覆体18の表面に形成されるが、ヘーズ基板に形成された非晶質Si薄膜は微細な貫通孔等が形成され易い。そのため、電荷が貫通孔を通じて透明導電層17に短絡し、曲線因子(FF:Fill Factor)特性が大幅に低下し、開放電圧Voc、さらには短絡電流Iscが低下する。それに対して、本実施の形態においては、非単結晶質光電変換層16上に、触媒層15、または第二の触媒層22及び中間層21並びに第一の触媒層15が形成されているため、非単結晶質光電変換層16の厚みが350nm以下と薄くても、非単結晶質光電変換層16における電荷の短絡を大幅に抑制できる。従って、非単結晶光電変換層の曲線因子(FF:Fill Factor)特性が低下せずに、非単結晶光電変換層の透過率を向上させることができる。また、非単結晶光電変換層の曲線因子は、その薄膜化により向上する。その結果、積層型光電変換装置の最大出力における電流密度が大きくなり、高い光電変換効率が得られる。
凹凸構造が形成されたヘーズ基板は、0.01μm〜0.5μm程度の算術平均粗さの凹凸構造を有するものである。
また、非単結晶質光電変換層16の厚みは350nm以下においても高い光電変換効率が得られるが、その光電変換効率は使用する色素13によっても変化する場合がある。その理由は、光電変換効率は色素13が発電できる電流密度と非単結晶質光電変換層16の発電できる電流密度とがマッチングしたときに最大となるからである。どちらか一方が光を電流に過剰に変換したとしても、過剰な電流は全て損失となり、積層型光電変換装置1の変換効率は低下してしまう。そのため、非単結晶質光電変換層16が同じ厚みで、同じ透過スペクトルを持つ場合であっても、色素13の吸収スペクトルによっては、色素13が発電する電流密度は非単結晶質光電変換層16の発電する電流密度よりも大きくなる場合も、小さくなる場合もある。例えば、色素13がブラックダイ(ソラロニクス(SOLARONIX)社製)から成る場合、非単結晶質光電変換層16の厚みは150〜250nm程度がよい。この厚み範囲内であれば、最も高い光電変換効率が得られる。
表面に光閉じ込め効果を有する凹凸構造が形成されたヘーズ基板上に、厚みを350nm以下と薄くした非単結晶質光電変換層16が形成され、非単結晶質光電変換層16上に、触媒層15、または第二の触媒層22及び中間層21が形成されている構成を含む薄膜光電変換体2は、色素増感型光電変換体3を、結晶質シリコン層等を含む結晶質光電変換体、有機半導体層を含む有機系光電変換体、またはCIGS層等の無機化合物系光電変換体に代替した積層型光電変換装置にも適用できる。
<透明導電層>
透明導電層17としては、低温成長のスパッタリング法や低温スプレー熱分解法で形成したスズドープ酸化インジウム層(ITO層)や不純物ドープの酸化インジウム層(In23層)等がよい。他には、溶液成長法で形成した不純物ドープの酸化亜鉛層(ZnO層)等がよく、また、ITO層、In23層、ZnO層を積層して用いてもよい。
また、熱CVD法で形成したフッ素ドープの二酸化スズ層(SnO2:F層)等を用いてもよい。他には、不純物ドープの酸化インジウム層(In23層)等が使える。
他の成膜法として、真空蒸着法,イオンプレーティング法,ディップコート法,ゾル・ゲル法等がある。これらの成膜法によって入射光の波長オーダーの大きさの表面凹凸を形成すると、光閉じ込め効果があってよい。
また、透明導電層17として、真空蒸着法やスパッタリング法等で形成したAu,Pd,Al等から成る、光が透過可能な薄い金属層でもよい。
<透光性被覆体>
透光性被覆体18の材料としては、フッ素樹脂,シリコーンポリエステル樹脂,高耐候性ポリエステル樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂等がよく、または金属屋根等に塗布して形成される、アクリル,ウレタン,シリコーン,シランカップリング剤,あるいはこれらの混合物等の樹脂が耐候性に優れ特によい。他の材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート),ポリイミド,ポリカーボネート等の樹脂シートや白板ガラス,ソーダガラス,硼珪酸ガラス,セラミックス等の無機質シート、有機無機ハイブリッドシート等がよい。
透光性被覆体18の厚みは0.1μm〜6mm、好ましくは1μm〜4mmがよい。また、防眩性,遮熱性,耐熱性,低汚染性,抗菌性,防かび性,意匠性,高加工性,耐疵付き・耐摩耗性,滑雪性,帯電防止性,遠赤外線放射性,耐酸性,耐食性,環境対応性等を透光性被覆体18に付与することにより、信頼性や商品性をより高めることができる。
また、図2の構成の場合、透光性被覆体18として、充分な機械的強度を有する厚みがあり支持体として使用できれば、予め薄膜光電変換体2を形成しておいても構わない。この場合、透光性被覆体18の厚みは0.05mm〜2mmがよく、より好ましくは0.1mm〜1mmがよい。
また、透光性被覆体18の光入射側の表面は平坦なものでよいが、入射光の波長オーダーの凹凸を有する表面であることがよく、その場合光閉じ込め効果がある。
<下地層>
下地層は図示していないが、図1の構成では、導電性基板11と多孔質の第1導電型輸送体12との間に、下地層としての第1導電型輸送体の薄い(厚み0.05μm〜2μm)緻密層を挿入すると、逆電流が流れなくなるのでよい。
また、図2の構成では、触媒層15と多孔質の第1導電型輸送体12との間に、第1導電型輸送体の薄い(厚み0.05μm〜2μm)緻密層を挿入すると、逆電流が流れなくなるのでよい。
また、実施の形態の他例の積層型光電変換装置の断面図を図3に示す。なお、図中の矢印は積層型光電変換装置に入射する光を示す。図3の積層型光電変換装置1aは、導電性基板11上に、電解質14を含む色素増感型光電変換体3と、過電圧を下げる第一の触媒層15と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層21と、過電圧を下げる第二の触媒層22と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2とが順次積層されている構成である。
過電圧を下げる第一の触媒層15は、第2導電型輸送体(電解質)14と中間層21との電荷の授受を容易にするための層であり、第2導電型輸送体(電解質)14と中間層21とのオーミック接合を確保するための層である。なお、過電圧とは、積層型光電変換装置1aを動作させるために最初に印加する大きな電圧のことをいう。
色素増感型光電変換体3は好ましくは、薄膜光電変換体2より長波長側にピーク感度を有し、薄膜光電変換体2を透過した光を吸収する。
色素増感型光電変換体3は、例えば、導電性基板11上に形成された多孔質の第1導電型(n型)輸送体12、多孔質の第1導電型輸送体12の孔を埋めるように形成した浸透性の第2導電型(p型)輸送体14および第一の触媒層15から成るとともに、両輸送体の界面に色素13を配した構成である。
薄膜光電変換体2は、例えば、非単結晶質光電変換層16、透明導電層17及び透光性被覆体18から成る。非単結晶質光電変換層16としては、非単結晶質シリコン系の薄膜pin接合層でもよく、CIGS(CuInGaSe)などの化合物半導体系の薄膜接合層でもよい。また、これらの接合層は、pin接合型、pn接合型、ショットキー接合型、ヘテロ接合型などの内部電界を生じるものがよい。
薄膜光電変換体2が非単結晶質シリコン系のものから成る場合、非晶質(アモルファス)シリコン系、ナノサイズ結晶を含むアモルファスシリコン系、微結晶シリコン系から成るものなどがよく、特に短波長感度を有するアモルファスシリコン系、光劣化が抑制されるナノサイズ結晶を含むアモルファスシリコン系がよい。ここで、アモルファスシリコン系とは、アモルファスシリコンカーバイト,アモルファスシリコンナイトライドなどの合金系を含む。
中間層21は高抵抗でシート抵抗が103Ω/□以上である中間層21と、過電圧を下げる第二の触媒層22から成る。第二の触媒層22は、非単結晶質光電変換層16と中間層21との電荷の授受を容易にするための層であり、非単結晶質光電変換層16と中間層21とのオーミック接合を確保するための層である。
本実施の形態の積層型光電変換装置1aは、薄膜光電変換体2の第1の出力電流と、色素増感型光電変換体3の第2の出力電流とが同じになるように、両光電変換体の性能を合わせるのがよい。この場合、薄膜光電変換体2と色素増感型光電変換体3との界面から外部に出力電流を取り出す必要がなく、集積化のための電極配線構造が簡易化される。両光電変換体の出力電流を合わせるには、それぞれの膜みや感度などを調整すればよい。
さらに、実施の形態の他例の積層型光電変換装置として、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2と、過電圧を下げる第二の触媒層22と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層21と、過電圧を下げる第一の触媒層15と、電解質14を含む色素増感型光電変換体3とが順次積層されている構成を採り得る(図示せず)。この場合、図3に示す積層型光電変換装置1aと異なり、導電性基板11の代わりに透光性基板を用いるため、基板上に積層する各層の積層順が逆になる。
<中間層>
中間層21は、図3の構成の場合、In,SnO,ZnO,ITO(SbドープIn),ZnO:B(BドープZnO),ZnO:Ga(GaドープZnO),ZnO:Al(AlドープZnO),SnO:F(FドープSnO),SnO:Sb(SbドープSnO),TiO2:Nb(NbドープTiO2)等から成る透明導電層、TiO2から成る半導体層がよい。特に、TiO2:Nbは、耐薬品性などの化学的特性の点、さらには高屈折率であるために薄膜化でき、好ましい。
これらの層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、電解析出法等で形成する。他にスピンコート法等で形成したポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT;ポリスチレンスルホナートなどをドーピングしてもよい)層、電着法で形成したポリビニルカルバゾール等の有機半導体層が用いられる。
中間層21の厚みは0.001μm〜1μmがよく、より好ましくは0.01μm〜0.2μmがよい。0.001μm未満では、中間層21が層を成さずに島状部が分布した形態となり易い。1μmを超えると、中間層21の光の吸収や電気抵抗値が増大し易くなる。
また、中間層21の厚みは、薄膜型光電変換体2の透過率からも好ましい値が存在する。薄膜型光電変換体2における中間層21と接する部位の材料の屈折率、及び色素増感型光電変換体3における中間層21に接する部位の材料の屈折率から、中間層21による透過率向上の効果が最適となる中間層21の厚みが求められる。具体的には、薄膜型光電変換体2としてアモルファスシリコンからなる光電変換体、色素増感型光電変換体3の電解液にアセトニトリル溶媒を用い、中間層21にIn:Sn層を用いた場合、中間層21の好適な厚みは0.07〜0.08μmである。
<第二の触媒層>
第二の触媒層22は、第2導電型輸送体14と非単結晶質光電変換層16との電荷の授受を容易にするための層であり、その材料は例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、または塗布した錯体を熱分解する熱分解法等によって形成したPt,Pd等の白金族元素、白金族元素の合金、アルミニウム、銀等がよい。また、スピンコート法等によって形成したポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT;ポリスチレンスルホナートなどをドーピングしてもよい)、電着法で形成したポリビニルカルバゾール等の有機半導体、あるいはカーボン,導電性高分子等がよい。また、これらを積層したものを用いることもできる。
また、本実施の形態の積層型光電変換装置の他の例においては、導電性基板11上に、第一の光電変換体と、過電圧を下げる第一の触媒層15と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層21と、過電圧を下げる第二の触媒層22と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2から成る第二の光電変換体とが順次積層されている。
この構成において、第一の光電変換体として、例えば、結晶質シリコン層等を含む結晶質光電変換体、有機半導体層を含む有機系光電変換体、またはCIGS層等の無機化合物系光電変換体を用いることができる。
また、本実施の形態の積層型光電変換装置の他の例においては、透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体2から成る第二の光電変換体と、過電圧を下げる第二の触媒層22と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層21と、過電圧を下げる第一の触媒層15と、第一の光電変換体とが順次積層されている。
この構成において、第一の光電変換体として、例えば、結晶質シリコン層等を含む結晶質光電変換体、有機半導体層を含む有機系光電変換体、またはCIGS層等の無機化合物系光電変換体を用いることができる。
結晶質シリコン層を含む結晶質光電変換体は、CVD法等を用いて成膜した微結晶シリコン光電変換体、多結晶シリコン光電変換体、単結晶シリコン光電変換体である。これらの結晶質シリコン層を含む結晶質光電変換体は、それぞれp層、i層、n層を含んでいてもよく、p層、n層のみから成ってもよい。
微結晶シリコン光電変換体は、第1導電型微結晶シリコン層(厚さが1nm乃至30nmに設定され、より好ましくは1nm以上10nm未満に設定される)を含む。これに積層して、光電変換層としての結晶質を含むシリコン系薄膜を形成する。光電変換層として用いられるシリコン系薄膜は、ノンドープのi型多結晶シリコン薄膜、体積結晶化分率80%以上のi型微結晶シリコン薄膜、あるいは微量の不純物を含む弱p型または弱n型で光電変換機能を十分に備えている結晶質シリコン系薄膜が使用され得る。
光電変換層はこれらに限定されず、合金材料であるシリコンカーバイド,シリコンゲルマニウム等から成るものを用いてもよい。光電変換層の厚みは0.5μm〜20μmに設定され、これは結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層として必要かつ十分な厚さである。光電変換層は550℃以下という低温で形成されるので、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子を多く含み、その水素含有量は0.1原子%〜30原子%である。
光電変換層上には、第2導電型シリコン系薄膜が積層される。この第2導電型シリコン系薄膜としては、たとえば導電型を決定する不純物元素であるB(ホウ素)が0.01原子%以上ドープされたp型シリコン薄膜、またはリンが0.01原子%以上ドープされたn型シリコン薄膜などが用いられ得る。しかし、第2導電型シリコン系薄膜についてのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としては、たとえばp型シリコンにおいてはアルミニウム等でもよい。また、第2導電型シリコン系薄膜の代わりに、シリコンカーバイド,シリコンゲルマニウム等の合金材料から成る膜を用いてもよい。なお、第2導電型シリコン系薄膜は、多結晶、微結晶、非晶質のいずれでもよく、その厚みは好ましくは3nm〜100nmに設定され、より好ましくは5nm〜50nmに設定される。
多結晶シリコン光電変換体は、第1導電型多結晶シリコン層の表面に第2導電型多結晶シリコン層を積層した構成であり、光入射側の面に光の反射を抑えるための凹凸が形成されているとよい。
単結晶シリコン光電変換体は、第1導電型単結晶シリコン層の表面に第2導電型単結晶シリコン層が積層された構成であり、光入射側の面に光の反射を抑えるための凹凸が形成されているとよい。また、表面準位による再結合を抑制するための酸化シリコン層を最表面に有していると、開放端電圧Voc、短絡電流密度Jscが向上し、好適である。
有機半導体層を含む有機系光電変換体は、有機系半導体を用いた光電変換体であり、pin接合型、pn接合型、バルクヘテロ型、超格子型等の内部電界を生じるものであればよい。
有機系光電変換体を構成する有機半導体の材料としては、フタロシアニン,亜鉛フタロシアニン,銅フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,バナジルフタロシアニン,ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニン,塩化フタロシアニンなどのフタロシアニン系半導体、C60,C70,酸化フラーレン,フェニルC61ブチルアシッドメチルエステル(PCBM),フェニルC85ブチルアシッドメチルエステル([84]PCBM),フラーレン誘導体などのフラーレン系半導体、テトラメチルポルフィリンなどのポルフィリン系半導体、バクテリオクロロフィル類、クロロフィル類、ペンタセン,テトラセンなどのポリアセン系半導体、ポリ−3−ヘキシルチオフェンなどのチオフェン系半導体、ナフタレン系半導体,ピロール系半導体,ベンゾキノン,ナフトキノンなどのキノン系半導体、テトラシアノキノジメタン(TCNQ),テトラフルオロテトラシアノキノジメタンなどのTCNQ系半導体、ペリレン、ペリレンテトラカルボン酸などのペリレン系半導体がよく、それぞれ非晶質、多結晶相、単結晶相として用いることができる。
これらの有機半導体に、官能基によって電子吸引性、電子供与性、安定性などを付与した誘導体及び重合体も用いられる。また、これらの有機半導体にドーピングしたもの、電荷移動錯体としたものを用いることもできる。例えば、p型ドーパントとしてテトラシアノキノジメタンを、n型ドーパントとしてMgまたはテトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)を、ドーピングした金属フタロシアニンなどを用いることができる。また、TCNQにテトラチアフバレン(TTF)を配位させた電荷移動錯体などを用いることもできる。このようにドーピングすることで、導電性を高めて移動度を向上させ、膜厚を厚く成膜できる。また、ドーピングによって伝導帯、荷電子帯の準位を制御し、有機系光電変換層の開放端電圧を増加させることができる。
また、有機半導体との電荷分離性が良好であれば、有機系光電変換層を構成する半導体は、カルコパイライト系化合物半導体、シリコン系半導体、酸化亜鉛などの2−6族半導体、窒化インジウムなどの3−5族半導体などと混合してもよい。特にカルコパイライト系化合物半導体は、長波長感度があり、好適である。このような有機系半導体と無機系半導体を用いる方法として、有機系光電変換層にカルコパイライト系化合物半導体の微粒子を混入させて半導体色素として用いる方法、表面が平坦面もしくは凹凸形状とされたn型酸化亜鉛半導体にp型半導体であるP3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)をコートしてpn界面を形成させる方法、n型酸化亜鉛半導体にバルクヘテロ層(P3HTとPCBMの混合膜)をコートし、pn界面の形成と同時にホールブロック層としての機能を発現させる方法などがよい。
ホールブロック層は、電子と正孔が拡散し、金属電極中で再結合することを抑制する層であり、正孔の移動を抑え、電子を透過させる。ホールブロック層の挿入により、短絡電流密度Jscの向上、開放端電圧Vocの向上、曲線因子FFの向上の効果がある。
他に、上述のようにホールブロック層としての機能を発現する材料として、TiOx,NbOx,ZrOx,TaOx,WOxなどの無機金属酸化物層が挙げられる。この無機金属酸化物層は、一部アモルファス構造を含むことによってカバレッジが良くなり、耐湿性などが向上することから、信頼性が向上する。有機半導体は、真空蒸着法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、印刷法、インクジェット法、物理気相堆積法などによって形成される。
無機化合物系光電変換体は、いわゆるCIGSなどの化合物半導体を用いたものであり、第1導電型半導体であり、かつ光吸収層として使用される多元化合物半導体薄膜、特にCu−III−VI2族カルコパイライト構造の半導体薄膜と、溶液から化学的に成長した透明で高抵抗を有する金属硫化物化合物半導体薄膜とが積層されて成る。さらに、金属硫化物化合物半導体薄膜上に、第2導電型を有し窓層として供される禁制帯幅が広くかつ透明で導電性を有する金属酸化物半導体薄膜を形成すると、電荷分離及び導電性の点で好適である。
以下、本実施の形態の積層型光電変換装置の実施例について説明する。
透光性被覆体としての、透明導電膜(SnO2:F膜(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、まずプラズマCVD装置を用いて、第2導電型シリコン系半導体層としてのp型a−Si:H層、真性非晶質シリコン系半導体層としてのi型a−Si:H層、第1導電型シリコン系半導体層としてのn型a−Si:H層を、順次連続して真空中で堆積させた。
p型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,B26ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ2.7sccm,9sccmとし、100Å(0.010μm)の厚みで堆積させた。
次に、i型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ5sccm,20sccmとし、1500Åの厚みで堆積させた。
次に、n型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガス,PH3ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ2.7sccm,37sccm,2.8sccmとして、200Åの厚みで堆積させた。
なお、ガラス基板の温度は、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層のいずれの形成の場合にも200℃とした。
次に、スパッタリング装置を用いて、n型a−Si:H層上に、触媒層としてのPt層を厚み0.01μmとなるよう堆積した。このとき、Pt層は薄いため高抵抗となっており、シート抵抗が測定できなかった。
次に、導電性基板(導電性シート)として透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、多孔質の二酸化チタン層を形成した。第1導電型輸送体(電子輸送体)である二酸化チタン層は以下のようにして形成した。まず、TiO2のアナターゼ粉末にアセチルアセトンを添加した後、脱イオン水とともに混練し、界面活性剤で安定化させた二酸化チタンのペーストを作製した。次に、作製したペーストをドクターブレード法によって、透明導電膜上に、一定の速度で塗布し、大気中において450℃で20分焼成し、多孔質の二酸化チタン層を形成した。
次に、色素としてブラックダイ色素(ソラロニクス社製)を用い、色素を溶解させるために用いる溶媒としてアセトニトリルとt−ブタノール(容積比で1:1)を用い、二酸化チタン層を形成した導電性基板を、色素を溶解した溶液に浸漬して、色素を二酸化チタン層に担持させた。浸漬した時間は24時間、そのときの導電性基板の温度は24℃であった。
次に、透明導電膜、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層、触媒層を積層した、上記のFTO膜付ガラス基板と、色素を担持させた多孔質の二酸化チタン層が形成されたFTO膜付ガラス基板とを、二酸化チタン層に下記の液体電解質を含有させて軽く貼り合わせ、積層型光電変換装置を作製した。正孔輸送体(電解質)として、液体電解質である沃素(I2)と沃化リチウム(LiI)にアセトニトリル溶液とターシャルブチルピリジン(TBP)を加えて調製したものを用いた。この積層型光電変換装置について、光電変換効率等の特性を評価した。
得られた積層型光電変換装置は、AM1.5下、100mW/cm2で比較的高い短絡電流密度8.44mA/cm2、高い開放端電圧(1.489V)を示した。光電変換効率は7.45%であった。
以上のように、実施例1においては、本実施の形態の積層型光電変換装置が容易に作製でき、しかも高い光電変換効率を実現することができた。また、積層型光電変換装置の電圧非印加時のリーク電流特性は良好であり、暗所にて−1.6V時の電流密度は0.064mA/cm2であった。
透光性被覆体としての、透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、まずプラズマCVD装置を用いて、第2導電型シリコン系半導体層としてのp型a−Si:H層、真性非晶質シリコン系半導体層としてのi型a−Si:H層、第1導電型シリコン系半導体層としてのn型a−Si:H層を、順次連続して真空中で堆積させた。
p型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,B26ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ2.7sccm,18sccmとし、100Å(0.010μm)の厚みで堆積させた。
次に、i型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ5sccm,20sccmとし、膜厚で500Åの厚みで堆積させた。
次に、n型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガス,PH3ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ3sccm,30sccm,6sccmとして、200Åの厚みで堆積させた。
なお、ガラス基板の温度は、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層のいずれの形成の場合にも200℃とした。
次に、スパッタリング装置を用いて、n型a−Si:H層上に、触媒層としてのPt層を厚み0.01μmとなるよう堆積した。このとき、Pt層は薄いため高抵抗となっており、シート抵抗が測定できなかった。
次に、導電性基板(導電性シート)として透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、多孔質の二酸化チタン層を形成した。第1導電型輸送体(電子輸送体)である二酸化チタン層は以下のようにして形成した。まず、TiO2のアナターゼ粉末にアセチルアセトンを添加した後、脱イオン水とともに混練し、界面活性剤で安定化させた二酸化チタンのペーストを作製した。作製したペーストをドクターブレード法によって、透明導電膜上に、一定の速度で塗布し、大気中において450℃で20分焼成し、多孔質の二酸化チタン層を形成した。
次に、色素としてブラックダイ色素(ソラロニクス社製)を用い、色素を溶解させるために用いる溶媒としてエタノール溶液を用い、共吸着剤としてデオキシコール酸を添加した。二酸化チタン層を形成した導電性基板を、色素を溶解した溶液に浸漬して、色素を二酸化チタン層に担持させた。浸漬した時間は24時間、そのときの導電性基板の温度は24℃から27℃であった。
次に、透明導電膜、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層、触媒層を積層した、上記のFTO膜付ガラス基板と、色素を担持させた多孔質の二酸化チタン層が形成されたFTO膜付ガラス基板とを、二酸化チタン層に下記の液体電解質を含有させて軽く貼り合わせ、積層型光電変換装置を作製した。正孔輸送体(電解質)として、液体電解質である沃素(I2)と沃化リチウム(LiI)とジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPII)にアセトニトリル溶液とターシャルブチルピリジン(TBP)を加えて調製したものを用いた。この積層型光電変換装置について、光電変換効率等の特性を評価した。
得られた積層型光電変換装置は、AM1.5下、100mW/cm2で高い開放端電圧(1.59V)を示した。光電変換効率は4.82%であった。
以上のように、実施例2においては、本実施の形態の積層型光電変換装置が容易に作製でき、しかも高い光電変換効率を実現することができた。また、積層型光電変換装置の電圧非印加時のリーク電流は良好であり、暗所にて−1.6V時の電流密度は0.107mA/cm2であった。
透光性被覆体としての、透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ10cm×10cm)上に、プラズマCVD装置を用いて、第2導電型シリコン系半導体層としてのp型a−Si:H層、真性非晶質シリコン系半導体層としてのi型a−Si:H層、第1導電型シリコン系半導体層としてのn型a−Si:H層を、順次連続して真空中で堆積させた。
p型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,B26ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ2.7sccm,18sccmとし、100Å(0.010μm)の厚みで堆積させた。
次に、i型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ5sccm,20sccmとし、膜厚で1400Åの厚みで堆積させた。
次に、n型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガス,PH3ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ3sccm,30sccm,6sccmとして、200Åの厚みで堆積させた。
なお、ガラス基板の温度は、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層のいずれの形成の場合にも200℃とした。
次に、スパッタリング装置を用いて、n型a−Si:H層上に、第二の触媒層としてのPt層を厚み約0.001μmとなるよう堆積した。次に中間層として、In:Sn層を形成した。この中間層はスパッタリング装置を用いて、厚みが0.075μmとなるように形成した。このとき、導入したガスはアルゴンガス10sccm、20%酸素混合アルゴンガス10sccmを同時に導入してスパッタリングした。さらに第一の触媒層としてのPt層を厚み約0.001μmとなるように堆積した。この中間層のシート抵抗測定用に、ガラスからなるダミー基板(厚み0.7mm)にも同時に第一の触媒層、中間層、第二の触媒層をスパッタリングした。このダミー基板上にスパッタリングした積層膜のシート抵抗は、10Ω/□であった。
次に、導電性基板(導電性シート)として透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、多孔質の二酸化チタン層を形成した。第1導電型輸送体(電子輸送体)である二酸化チタン層は以下のようにして形成した。まず、TiO2のアナターゼ粉末をαテルピネオール中に、添加物と共に良く分散したペーストを用意した。これを導電性基板の主面に印刷し、450℃で30分焼成した。この印刷・焼成を繰り返し、多孔質の二酸化チタン層を形成した。
次に、色素としてブラックダイ色素(ソラロニクス社製)を用い、色素を溶解させるために用いる溶媒としてエタノール溶液を用い、共吸着剤としてデオキシコール酸を添加した。二酸化チタン層を形成した導電性基板を、色素を溶解した溶液に浸漬して、色素を二酸化チタン層に担持させた。浸漬した時間は24時間、そのときの導電性基板の温度は24℃から27℃であった。
次に、透明導電膜、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層、第一の触媒層、中間層、第二の触媒層を積層した、上記のFTO膜付ガラス基板と、色素を担持させた多孔質の二酸化チタン層が形成されたFTO膜付ガラス基板とを、それらのギャップが50μmとなるように樹脂を挟むようにして軽く貼り合わせ、二酸化チタン層に下記の液体電解質を含有させて積層型光電変換装置を作製した。正孔輸送体(電解質)として、液体電解質である沃素(I2)と沃化リチウム(LiI)とジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPII)にアセトニトリルとターシャルブチルピリジン(TBP)を加えて調製したものを用いた。この積層型光電変換装置について、光電変換効率等の特性を評価した。
得られた積層型光電変換装置は、AM1.5下、100mW/cm2で光電変換効率9.92%を示した。
透光性被覆体としての、透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ10cm×10cm)上に、まずプラズマCVD装置を用いて、第2導電型シリコン系半導体層としてのp型a−Si:H層、真性非晶質シリコン系半導体層としてのi型a−Si:H層、第1導電型シリコン系半導体層としてのn型a−Si:H層を、順次連続して真空中で堆積させた。
p型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,B26ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ2.7sccm,18sccmとし、100Å(0.010μm)の厚みで堆積させた。
次に、i型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ5sccm,20sccmとし、膜厚で1000Åの厚みで堆積させた。
次に、n型a−Si:H層を形成するための原料ガスとして、SiH4ガス,H2ガス,PH3ガス(H2で希釈したもの)を用い、これらのガスの流量をそれぞれ3sccm,30sccm,6sccmとして、200Åの厚みで堆積させた。
なお、ガラス基板の温度は、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層のいずれの形成の場合にも200℃とした。
次に、スパッタリング装置を用いて、n型a−Si:H層上に、第二の触媒層としてのPt層を厚み約0.001μmとなるよう堆積した。次に中間層として、TiO:Nb層を形成した。この中間層はスパッタリング装置を用いて、厚みが0.015μmとなるように形成した。このとき、導入したガスはアルゴンガス94sccm、20%酸素混合アルゴンガス5sccmを同時に導入してスパッタリングした。さらに第一の触媒層としてのPt層を厚み約0.001μmとなるように堆積した。この中間層のシート抵抗測定用に、ガラスからなるダミー基板(厚み0.7mm)にも同時に第一の触媒層、中間層、第二の触媒層をスパッタリングした。このダミー基板上にスパッタリングした積層膜のシート抵抗は、10Ω/□であった。
次に、導電性基板(導電性シート)として透明導電膜(SnO2:F(FTO膜)、シート抵抗10Ω/□)付きガラス基板(サイズ1cm×2cm)上に、多孔質の二酸化チタン層を形成した。第1導電型輸送体(電子輸送体)である二酸化チタン層は以下のようにして形成した。まず、TiO2のアナターゼ粉末をαテルピネオール中に、添加物と共に良く分散したペーストを用意した。これを導電性基板の主面に印刷し、450℃で30分焼成した。この印刷・焼成を繰り返し、多孔質の二酸化チタン層を形成した。
次に、色素としてブラックダイ色素(ソラロニクス社製)を用い、色素を溶解させるために用いる溶媒としてエタノール溶液を用い、共吸着剤としてデオキシコール酸を添加した。二酸化チタン層を形成した導電性基板を、色素を溶解した溶液に浸漬して、色素を二酸化チタン層に担持させた。浸漬した時間は24時間、そのときの導電性基板の温度は24℃から27℃であった。
次に、透明導電膜、p型a−Si:H層、i型a−Si:H層、n型a−Si:H層、第一の触媒層、中間層、第二の触媒層を積層した、上記のFTO膜付ガラス基板と、色素を担持させた多孔質の二酸化チタン層が形成されたFTO膜付ガラス基板とを、それらのギャップが50μmとなるように樹脂を挟むようにして軽く貼り合わせ、二酸化チタン層に下記の液体電解質を含有させて積層型光電変換装置を作製した。正孔輸送体(電解質)として、液体電解質である沃素(I2)と沃化リチウム(LiI)とジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPII)にアセトニトリルとターシャルブチルピリジン(TBP)を加えて調製したものを用いた。この積層型光電変換装置について、光電変換効率等の特性を評価した。
得られた積層型光電変換装置は、AM1.5下、100mW/cm2で光電変換効率9.97%を示した。
本実施の形態の積層型光電変換装置の一例を示す断面図である。 本実施の形態の積層型光電変換装置の他例を示す断面図である。 本実施の形態の積層型光電変換装置の他例を示す断面図である。
符号の説明
1,1a:積層型光電変換装置
2:薄膜光電変換体
3:色素増感型光電変換体
11:導電性基板
12:第1導電型輸送体
13:色素
14:第2導電型輸送体
15:(第一の)触媒層
16:非単結晶質光電変換層
16a:第1導電型シリコン系半導体層
16b:真性非晶質シリコン系半導体層
16c:第2導電型シリコン系半導体層
17:透明導電層
18:透光性被覆体
21:中間層
22:第二の触媒層

Claims (18)

  1. 導電性基板上に、電解質を含む色素増感型光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体とが順次積層されている積層型光電変換装置。
  2. 透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体と、過電圧を下げる触媒層と、電解質を含む色素増感型光電変換体とが順次積層されている積層型光電変換装置。
  3. 前記触媒層は第一の触媒層と第二触媒層を有し、前記第一の触媒層と第二の触媒層との間に透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層が形成されている請求項1記載の積層型光電変換装置。
  4. 前記触媒層は第一の触媒層と第二触媒層を有し、前記第一の触媒層と第二の触媒層との間に透明性を有するとともにシート抵抗が103Ω/□以上である中間層が形成されている請求項2記載の積層型光電変換装置。
  5. 前記色素増感型光電変換体の分光感度のピーク波長が前記薄膜光電変換体分光感度のピーク波長より長波長側にある請求項1乃至4のいずれか記載の積層型光電変換装置。
  6. 前記色素増感型光電変換体は、前記薄膜光電変換体を透過した光に対して分光感度を有する請求項1乃至5のいずれか記載の積層型光電変換装置。
  7. 前記薄膜光電変換体は、i型の非晶質シリコン層を有するpin構造とされている請求項1乃至6のいずれか記載の積層型光電変換装置。
  8. 前記触媒層は、白金族元素,白金族元素の合金,アルミニウム,銀,カーボン及び導電性高分子のうちの少なくとも一種から成る請求項1乃至7のいずれか記載の積層型光電変換装置。
  9. 前記導電性高分子は、チオフェン誘導体,カルバゾール誘導体及びアニリン誘導体のうちの少なくともいずれか一種を含む請求項8記載の積層型光電変換装置。
  10. 前記薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、前記非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下である請求項1乃至9のいずれか記載の積層型光電変換装置。
  11. 前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,In,SnO,SnO:F,SnO:Sb,ZnO,ZnO:Ga,ZnO:Al及びZnO:Bのうちのいずれかから成る請求項3記載の積層型光電変換装置。
  12. 前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,In,SnO,SnO:F,SnO:Sb,ZnO,ZnO:Ga,ZnO:Al及びZnO:Bのうちのいずれかから成る請求項4記載の積層型光電変換装置。
  13. 導電性基板上に、第一の光電変換体と、過電圧を下げる第一の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第二の触媒層と、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体とが順次積層されている積層型光電変換装置。
  14. 透光性基板上に、非晶質の半導体から成るとともに光透過性を有する薄膜光電変換体から成る第二の光電変換体と、過電圧を下げる第二の触媒層と、透明性を有し、シート抵抗が103Ω/□以上である中間層と、過電圧を下げる第一の触媒層と、第一の光電変換体とが順次積層されている積層型光電変換装置。
  15. 前記薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、前記非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下である請求項13記載の積層型光電変換装置。
  16. 前記薄膜光電変換体は非単結晶質光電変換層を含み、前記非単結晶質光電変換層の厚みが350nm以下である請求項14記載の積層型光電変換装置。
  17. 前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,SnO:F及びSnO:Sbのうちのいずれかから成る請求項13または請求項15記載の積層型光電変換装置。
  18. 前記中間層は、TiO2:Nb,In:Sn,SnO:F及びSnO:Sbのうちのいずれかから成る請求項14または請求項16記載の積層型光電変換装置。
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