JP2009029789A - 家畜の尿路感染症予防・治療用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】家畜の尿路感染症の予防・治療に、従来使用されている、抗生物質投与或いはNa含量の増加もしくは利尿剤の使用は、投与方法等が複雑で実際の生産現場では手間がかかり過ぎて実施困難であり、特に抗生物質によるものでは、抗生物質を尿路中に長時間滞留させなければ効果的ではない欠点を有するものであった。本発明の課題は、産業動物分野においては食餌療法による、動物の健康的な生育と生産効率を向上させるという両面から、尿路感染症予防・治療のための尿酸性化技術を提供することにある。
【解決手段】第1リン酸カルシウムを有効成分として含有する家畜の尿路感染症予防・治療用組成物であり、さらに、塩化物、メチオニン、硫酸塩等を含有することができ、尿pHを6.8以下の範囲に維持する有効量を、家畜に投与することにより、家畜の尿路感染症の予防・治療が可能となる。
【選択図】なし
【解決手段】第1リン酸カルシウムを有効成分として含有する家畜の尿路感染症予防・治療用組成物であり、さらに、塩化物、メチオニン、硫酸塩等を含有することができ、尿pHを6.8以下の範囲に維持する有効量を、家畜に投与することにより、家畜の尿路感染症の予防・治療が可能となる。
【選択図】なし
Description
本発明は、家畜の尿路感染症の予防・治療用組成物、該予防・治療用組成物を、尿酸性に維持する有効量を投与する家畜の尿路感染症の予防・治療方法、該予防・治療用組成物を含有する家畜用飼料及び家畜用飲料等に関する。
尿路感染症は、腎から尿管、膀胱、尿道に到る尿路系部位で起こる感染症の総称であり、ブドウ状球菌、連鎖状球菌による下行性感染や大腸菌、肺炎桿菌、淋菌等による上行性感染から引き起こされる。一般的には大腸菌による上行性の単純感染が多いが、複数の菌による複雑性感染症を罹患する場合がある。通常尿路感染症の治療には抗菌剤を使用するが、複雑性感染症の場合、治療は長期間におよび、難治性になることも少なくなく慢性化をたどる。単純性尿路感染症においてもその発症メカニズムからして、再発するケースが非常に多い。感染菌は尿中の尿素を、自らが生産するウレアーゼによりアンモニアと二酸化炭素に分解するため、この影響を受け、尿はアルカリ性に傾く。その結果、アルカリ尿による感染結石や皮膚障害も引き起こす。細菌はアルカリ性領域で繁殖しやすく増殖が旺盛となるが、酸性域では抑制されることが知られている。
従来の尿路感染症の予防・治療方法においては、(1)抗生物質の投与、(2)食餌中のNa含量の増加もしくは利尿剤を使用することによる排泄尿量の増加、(3)尿酸性化剤の給与・投与という大別して3つの方法がとられてきた。そして、家畜の尿路感染症は、家畜の尿道結石症の一原因ともいわれており、その予防としても重要である。
前記(1)の抗生物質を使用する従来技術は文献を挙げるまでもなく多数知られており、前記(2)のNa含量の増加については、排尿量を増加させるために食塩の摂取量を多くすること(例えば、特許文献1参照)や、食塩或いは食塩とビタミンAD3剤、良質カルシウム剤、ミネラル剤の1種又は2種以上のものとを混合したものに、塩化アンモニウムを2〜30%の割合に混合油圧プレースで圧搾して得た肉用牛に舐食させる固形塩(たとえば、特許文献2参照)や、塩化ナトリウムを有効成分の一つとして用いること(例えば、特許文献3参照)が知られている。また、前記(3)の家畜における尿酸性化剤としては、DL−メチオニン、塩化アンモニウム、アスコルビン酸(ビタミンC)、二塩酸エチレンジアミン、リン酸水素ナトリウム等を使用すること(例えば、特許文献4参照)や、メチオニン及び塩化ナトリウム、塩化カリウム等の電解質を含有する犬猫用飲料(例えば、特許文献5参照)が知られている。
その他、天然物起源を有効成分とする尿路感染症治療剤として、古くからクランベリ又はその抽出物が知られており、また、茶葉抽出エキス単独又は茶葉抽出エキス及び生理的に許容し得る賦形剤からなる家畜及びペット動物の尿石症予防・治療剤(例えば、特許文献6参照)や、プルーンの抽出物を有効成分とする尿路感染症治療剤(例えば、特許文献7参照)や、P型大腸菌の凝集は阻害できるが、1型大腸菌の凝集は阻害できない、クランベリー植物(特に、Vaccinium macrocarpon)等から得られる精製された植物プロアントシアニジン抽出物を家畜に投与することを含む、家畜の尿生殖器感染症を予防又は治療する方法(例えば、特許文献8参照)が知られている。
また、第1リン酸カルシウム等のリン酸カルシウムを、無機態のリンやカルシウムを補給するために用いる飼料用ミネラル、或いはミネラル混合飼料(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13等参照)等が知られている。
さらに、リン酸カルシウムを胃腸病の予防のため、マグネシウム塩と共に有効な量投与する家畜の胃腸病予防法(例えば、特許文献14参照)が知られている。
家畜の尿路感染症の予防・治療に、従来使用されている、抗生物質投与或いはNa含量の増加もしくは利尿剤の使用は、産業動物分野においては、家畜の種類、尿路感染症の程度、多種の中からの抗生物質等の選択、投与方法等が複雑で実際の生産現場では手間がかかり過ぎて実施困難であり、しかも抗生物質によるものでは、抗生物質を尿路中に長時間滞留させなければ効果的ではない欠点を有するものであった。また、家畜用尿酸性化剤は、主に小動物分野で尿道結石症対策として研究開発されてきた。猫や犬の排泄尿のpHを酸性側に降下させる尿酸性化剤の代表的な構成成分としては、酸性リン酸ナトリウム、塩化アンモニウム、二塩酸エチレンジアミン、アスコルビン酸(ビタミンC)、メチオニン等が報告又は使用されてきた。しかしながら、これらの物質は飼料中の含有量が多い場合、動物の嗜好性の低下及び食下量の低下をもたらし、動物の健康的な生育に悪影響をもたらすという欠点があった。さらに、塩化アンモニウムを長期間給与した場合、動物に嘔吐及び下痢が認められるという報告がある。
例えば、養豚業界において、分娩後の種豚は尿量が減少し、排尿回数が減少するため、上行性腎盂腎炎や膀胱炎等を主徴とする尿路感染症が発症しやすく、さらに、分娩後に尿路感染症が発症し、それが悪化した場合、再受精の成功確率の低下により、繁殖成績が低下することが懸念されている。本発明の課題は、産業動物分野においては食餌療法による、動物の健康的な生育と生産効率を向上させるという両面から、尿路感染症予防・治療のための尿酸性化技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、繁殖成績の改善(一腹当りの産仔数の増加、一腹当りの離乳頭数、離乳時体重の増加、種豚泌乳量の増大、種豚発情回帰日数の短縮、種豚生殖器へのダメージの軽減等)を可能にする飼料等の開発を目指して鋭意研究し、飼料中の電解質バランス、家畜体内における水分量と電解質組成、尿酸性化による尿路感染症の予防効果、授乳期に尿を酸性化させる内分泌系の作用、尿酸性化による種豚の繁殖成績の改善作用、重炭酸イオンや2塩基性リン酸イオンやアンモニアによる尿の緩衝機構について種々検討した。
その結果授乳期の種豚に第1リン酸カルシウムを投与することによって、尿pHが降下し、尿中の細菌数が低下し、種豚泌乳量が増大して離乳時の体重が増加することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)第1リン酸カルシウムを有効成分として含有することを特徴とする家畜の尿路感染症予防・治療用組成物や、(2)さらに塩化ナトリウムを含有することを特徴とする前記(1)記載の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物に関する。
また本発明は、(3)前記(1)又は(2)記載の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物を配合したことを特徴とする家畜用飼料に関する。
本発明の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物は、従来の尿酸性化剤として使用されてきた有効成分と比較して、嗜好性の低下及び食下量の低下が認められず、また、給与・投与量が少量であるにも関わらず、優れた尿酸性化能を有し、かつ、動物の健康的な生育と生産効率を向上させるという顕著な効果を奏することができるものである。
本発明の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物としては、第1リン酸カルシウムを有効成分として含有するものであれば特に制限されないが、経口的に投与され、尿pHを6.8以下、例えばpH5.0〜6.8の範囲に維持するのに有効な量の第1リン酸カルシウムを含有するものが好ましい。ここで、第1リン酸カルシウムとは、化学式Ca(H2PO4)2、式量234.05を示し、酸性リン酸カルシウム、リン酸2水素カルシウム、1塩基性リン酸カルシウム等の別称を有する。本発明における第1リン酸カルシウムには、第1リン酸カルシウムの無水物や水和物など、流通しているあらゆる形態のものが包含される。
本発明の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物は、第1リン酸カルシウムに加えて、さらに塩化物、メチオニン、硫酸塩からなる群から選ばれる1又は2種以上を含むものが好ましく、前記塩化物として塩化ナトリウムを好適に挙げることができるが、その他の塩化物、例えば塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム等をも挙げることができ、これら塩化物の1又は2種以上を含有することができる。塩化ナトリウムは、第1リン酸カルシウム100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは25〜40質量部配合することができる。その他の塩化物、メチオニン及び硫酸塩からなる群から選ばれる1又は2種以上は、適宜配合することができる。
本発明の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物には、上記第1リン酸カルシウム、塩化物、メチオニン、硫酸塩の他、必要に応じて賦形剤を添加することができ、かかる賦形剤として、例えば、乳糖、ショ糖、ショ糖脂肪酸エステル、マンニトール、コーンスターチ、結晶セルロース、タルク、二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シクロデキストリン等を挙げることができる。
本発明の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物を経口投与に際しては、適した剤形、例えば、乳剤、懸濁剤、シロップ剤等の液剤や、錠剤、粉剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤等の固型製剤とすることができ、特に、顆粒剤、細粒剤、錠剤等が好ましく、粉剤や細粒剤や顆粒剤の場合、飼料にふりかけて用いたり、予め飼料に混合して用いたり、又は、水に溶かして飲料水として用いるのに適している。塩化ナトリウムその他の塩化物は、飲料に含有させた場合、飼料に添加した場合と比べてその摂取量を約1〜5倍増やすことができ、かつ嗜好性の低下もない。
前記固型製剤や、該製剤を配合した固形飼料及び水に配合した飲料水を経口的に投与又は給与することにより家畜の尿路感染症を予防・治療することができる。
家畜やペットに対する前記予防・治療用組成物の投与量や飼料・ペットフードの給与量は、尿感染症の程度、年齢、体重等により決めることができ、例えば、種豚の場合、第1リン酸カルシウム換算で、体重1kg当り、5〜125mg/日、好ましくは12.5〜100mg/日である。給与量が体重1kg当り125mg/日を超えると、嗜好性の低下及び食下量の低下を招くおそれがある。前記予防・治療剤は、食餌の前後を問わず投与できる。
本発明における家畜としては、産業動物では、牛、豚、馬、羊、ヤギ等の家畜、鶏、鴨、七面鳥、ダチョウ等の家禽を例示することができ、愛玩動物(ペット)では、犬、猫、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、サル、鳥(アヒル、うずら、きじ、インコ等)を例示することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
第1リン酸カルシウム(小野田化学工業株式会社製)90質量部及び二酸化ケイ素(塩野義製薬株式会社製)10質量部を均一に混合し、粉状の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
第1リン酸カルシウム75質量部、塩化ナトリウム(鳴門塩業株式会社製)20質量部及び二酸化ケイ素5質量部を均一に混合し、常法の顆粒化方法により顆粒状の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
第1リン酸カルシウム56質量部、塩化ナトリウム18質量部、硫酸ナトリウム(三田尻化学工業株式会社製)1質量部、硫酸マグネシウム(小野田化学工業株式会社製)10質量部及び二酸化ケイ素5質量部を均一に混合し、顆粒化して顆粒状の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
第1リン酸カルシウム55質量部、塩化ナトリウム18質量部、硫酸ナトリウム10質量部、塩化マグネシウム(馬居化成工業株式会社製)8質量部、DL−メチオニン(住友化学株式会社製)8質量部及びシクロデキストリン(日本食品化工株式会社製)1質量部を均一に混合して、常法の錠剤化方法により錠剤型とし、ゼラチンによりコーティングして錠剤の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
第1リン酸カルシウム52質量部、塩化ナトリウム19質量部、硫酸ナトリウム11質量部、硫酸マグネシウム10質量部、DL−メチオニン7質量部及び二酸化ケイ素1質量部を均一に混合し、顆粒化して顆粒状の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
第1リン酸カルシウム70質量部、塩化ナトリウム18質量部、DL−メチオニン10質量部及びタルク2質量部を均一に混合し、顆粒化して顆粒状の尿路感染症予防・治療用組成物を得た。
[試験例1]
種豚を各区5頭ずつに分けて試験を行った。試験区には種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)を、表1に示す量を給餌した。その際、朝のみに飼料の上に実施例5の方法により得られた尿路感染症予防・治療用組成物を20gふりかけて28日間給与した。対照区は、種豚用飼料のみを給与した。
試験開始から18日目から20日目の間及び25日目から28日目の間にそれぞれ午前中1回採尿した。採尿の方法は、種豚が排尿する際直接容器で受けて採取した。採取した尿を下記に示す試験方法により一般細菌数を調べた。その試験結果を表2に示す。
種豚を各区5頭ずつに分けて試験を行った。試験区には種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)を、表1に示す量を給餌した。その際、朝のみに飼料の上に実施例5の方法により得られた尿路感染症予防・治療用組成物を20gふりかけて28日間給与した。対照区は、種豚用飼料のみを給与した。
試験開始から18日目から20日目の間及び25日目から28日目の間にそれぞれ午前中1回採尿した。採尿の方法は、種豚が排尿する際直接容器で受けて採取した。採取した尿を下記に示す試験方法により一般細菌数を調べた。その試験結果を表2に示す。
[尿中一般細菌数の測定方法]
標準寒天培地法により測定した。すなわち、採取した尿を滅菌済リン酸緩衝液を用いて段階希釈し、その1mlを標準寒天培地上に塗布した。これを37℃で48時間培養し、細菌のコロニーがいくつ形成されるかを数えることにより細菌数を測定した。
標準寒天培地法により測定した。すなわち、採取した尿を滅菌済リン酸緩衝液を用いて段階希釈し、その1mlを標準寒天培地上に塗布した。これを37℃で48時間培養し、細菌のコロニーがいくつ形成されるかを数えることにより細菌数を測定した。
表2に示すとおり、投与18〜20日目では、対照区と試験区とを比べると、平均細菌数において、むしろ対照区の方がわずかであるが少なく、投与25〜28日目では、試験区が対照区に比べて明らかに少なくなっていることが分る。そして降下度(投与18〜20日目の細菌数から投与25〜28日目の細菌数を差し引いた数値)からみて、対照区では、No.1を除いてすべて細菌数は増加しているのに対し、試験区では、全ての区において細菌数は減少していることが分った。
[試験例2]
分娩が近づいた種豚を分娩舎に移し、初日は、朝採尿を行った後、種豚用飼料(ラクト78)約1.4kgの上に実施例5の尿路感染症予防・治療用組成物20gをふりかけ給与し、夕方は種豚用飼料(ラクト78)のみを約1.4kg給与した。2日目は朝、夕に初日と同様にして種豚用飼料と尿路感染症予防・治療組成物を給与し、午前中に採尿しpHを測定した。3日目は、夕方に実施例5の尿路感染症予防・治療組成物20gを種豚用飼料にふりかけて給与した。4日目は午前中に採尿しpHを測定した。対照区は、種豚用飼料のみを給与し、pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その試験結果を表3に示す。
分娩が近づいた種豚を分娩舎に移し、初日は、朝採尿を行った後、種豚用飼料(ラクト78)約1.4kgの上に実施例5の尿路感染症予防・治療用組成物20gをふりかけ給与し、夕方は種豚用飼料(ラクト78)のみを約1.4kg給与した。2日目は朝、夕に初日と同様にして種豚用飼料と尿路感染症予防・治療組成物を給与し、午前中に採尿しpHを測定した。3日目は、夕方に実施例5の尿路感染症予防・治療組成物20gを種豚用飼料にふりかけて給与した。4日目は午前中に採尿しpHを測定した。対照区は、種豚用飼料のみを給与し、pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その試験結果を表3に示す。
表3に示すとおり、対照区では、1〜3日目はpH7.20以上で、4日目にpH6.97を示したのに対し、試験区では、1日目がpH6.99を、2日目でpH5.97と下がり、さらに4日目では、pH5.55にまで下がった。このように、試験区では、本発明の尿路感染症予防・治療用組成物の投与により、尿を顕著に酸性化することが分った。
[試験例3]
分娩後から離乳時までの母豚に、試験区には種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)を、表1に示す量を給与し、朝のみ実施例5の尿路感染症予防・治療用組成物20gを種豚用飼料の上にふりかけ、分娩後から離乳時までの19日間給与し、その間母乳で子豚を飼育した。そのときの子豚の増体重を測定した。対照区は、種豚用飼料のみを給与し、同様に子豚の増体重を測定した。子豚は、各区7頭とした。その試験結果を表4に示す。
分娩後から離乳時までの母豚に、試験区には種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)を、表1に示す量を給与し、朝のみ実施例5の尿路感染症予防・治療用組成物20gを種豚用飼料の上にふりかけ、分娩後から離乳時までの19日間給与し、その間母乳で子豚を飼育した。そのときの子豚の増体重を測定した。対照区は、種豚用飼料のみを給与し、同様に子豚の増体重を測定した。子豚は、各区7頭とした。その試験結果を表4に示す。
表4に示すとおり、試験区の子豚の方が対照区の子豚より発育が優れていることが明らかであり、これは、試験区の母豚の泌乳量が増大していることを示すものであって、本発明の尿路感染症予防・治療用組成物が、尿感染症を予防でき、家畜の健全な生育によい効果をもたらしていることが分った。
[試験例4]
(リン酸カルシウムの違いによる尿pHへの影響)
授乳期の体重200kgの母豚に、試験区は、朝、夕に種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)約1.4kgを給与した。朝のみ種豚用飼料の上に第1リン酸カルシウム20gをふりかけて給与し、1日目から4日目の朝(飼料給与前)に採尿しpHを測定した。
対照区1は、朝、夕に種豚用飼料約1.4kgを給与し、朝のみ第2リン酸カルシウム20gをふりかけて給与した。
対照区2は、朝、夕に種豚用飼料約1.4kgを給与し、朝のみ第3リン酸カルシウム20gをふりかけて給与した。
対照区3は、朝、夕に種豚用飼料のみを給与した。pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その結果を表5に示す。
(リン酸カルシウムの違いによる尿pHへの影響)
授乳期の体重200kgの母豚に、試験区は、朝、夕に種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)約1.4kgを給与した。朝のみ種豚用飼料の上に第1リン酸カルシウム20gをふりかけて給与し、1日目から4日目の朝(飼料給与前)に採尿しpHを測定した。
対照区1は、朝、夕に種豚用飼料約1.4kgを給与し、朝のみ第2リン酸カルシウム20gをふりかけて給与した。
対照区2は、朝、夕に種豚用飼料約1.4kgを給与し、朝のみ第3リン酸カルシウム20gをふりかけて給与した。
対照区3は、朝、夕に種豚用飼料のみを給与した。pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その結果を表5に示す。
表5に示すとおり、第2リン酸カルシウムを添加した対照区1では、2日目にpH7.06を示し、3日目からpH値の降下が認められたものの、4日目には1日目(試験開始時)と同じpH6.75を示した。第3リン酸カルシウムを添加した対照区2では、2日目にpH7.06を示し、3日目からpH値の降下が認められたものの4日目にはpH7.05と上昇し、1日目(試験開始時)よりも高い数値を示した。これらの試験結果から、第2リン酸カルシウム及び第3リン酸カルシウムは、十分な尿酸性化能を有しないことが分かった。これに対し、試験区では2日目には早くもpHの降下が認められてpH6.40を示し、3日目にはpH5.85、4日目にはpH5.82を示し、pH値の明らかな降下が認められた。このように、第1リン酸カルシウムを使用した本発明の尿路感染症予防・治療用組成物の投与により、第2リン酸カルシウム及び第3リン酸カルシウムを使用した場合に比べ尿を顕著に酸性化できることが分かった。
[試験例5]
(第1リン酸カルシウム添加濃度の検討)
授乳期の体重200kgの母豚に、試験区1〜6は、朝、夕に種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)約1.4kg給与した。朝のみ第1リン酸カルシウムを下記量ふりかけて給与し、1日目から4日目の朝(飼料給与前)に採尿しpHを測定した。
対照区は、朝、夕に種豚用飼料のみを給与した。pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
対照;授乳期飼料のみ
試験1;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム0.5g(/頭・日)
試験2;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム1.0g(/頭・日)
試験3;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム10.0g(/頭・日)
試験4;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム20.0g(/頭・日)
試験5;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム25.0g(/頭・日)
試験6;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム30.0g(/頭・日)
(第1リン酸カルシウム添加濃度の検討)
授乳期の体重200kgの母豚に、試験区1〜6は、朝、夕に種豚用飼料(「ラクト78」日清丸紅飼料株式会社商品名)約1.4kg給与した。朝のみ第1リン酸カルシウムを下記量ふりかけて給与し、1日目から4日目の朝(飼料給与前)に採尿しpHを測定した。
対照区は、朝、夕に種豚用飼料のみを給与した。pH測定は、試験区と同じ条件で行った。なお、採尿方法は試験例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
対照;授乳期飼料のみ
試験1;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム0.5g(/頭・日)
試験2;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム1.0g(/頭・日)
試験3;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム10.0g(/頭・日)
試験4;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム20.0g(/頭・日)
試験5;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム25.0g(/頭・日)
試験6;授乳期飼料+第1リン酸カルシウム30.0g(/頭・日)
表6に示すとおり、第1リン酸カルシウム無添加の対照では、1日目pH7.14から徐々に下がっても4日目でpH7.08を示し1日目(試験開始時)とほとんど変化が見られなかったのに対し、試験区1〜6の各区では2日目、3日目および4日目のいずれにおいても、1日目と比較して添加量依存的にpH値の降下が認められた。このように、試験区では本発明の尿路感染症予防・治療用組成物の投与により、尿を顕著に酸性化することが分かった。
Claims (3)
- 第1リン酸カルシウムを有効成分として含有することを特徴とする家畜の尿路感染症予防・治療用組成物。
- さらに塩化ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1記載の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物。
- 請求項1又は2記載の家畜の尿路感染症予防・治療用組成物を配合したことを特徴とする家畜用飼料。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015078151A (ja) * | 2013-10-17 | 2015-04-23 | 国立大学法人名古屋大学 | 尿路感染症の予防又は治療 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH02154648A (ja) * | 1988-12-06 | 1990-06-14 | Shiraishi Calcium Kk | 固形混合飼料の製造方法 |
WO1998008499A1 (en) * | 1996-08-27 | 1998-03-05 | Dsm N.V. | Biocidal compositions |
JP2003235466A (ja) * | 2002-02-12 | 2003-08-26 | Fuso Chemical Co Ltd | 水溶性混合飼料組成物 |
-
2008
- 2008-06-19 JP JP2008160618A patent/JP2009029789A/ja active Pending
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