JP2009029258A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供する。
【解決手段】電磁モータを有するアクチュエータの作動によって、スタビライザバーが発生させるロール抑制力を変更可能なシステムにおいて、電磁モータへの目標供給電力を決定し(S1)、目標供給電力を電磁モータに供給する電力供給制御(S17等)と、アクチュエータの動作量の減少過程であって目標供給電力が閾値以下となる場合に電磁モータへの電力供給を行わない電力非供給制御(S10)と、アクチュエータの動作量の減少過程であって動作量が目標動作量に比較的近い場合に上記2つの制御の各々を特定の時間的な比率で実行する混在制御(S13)とが実行可能とされ、混在制御を実行すべき場合であっても、動作量の減少過程において電力非供給制御の実行前には混在制御の実行を禁止する(S12)ように構成すれば、アクチュエータの作動の円滑性を担保することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、車両に搭載されるスタビライザシステム、詳しくは、電磁モータを動力源として有するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動によってスタビライザバーの発生させるロール抑制力を変更可能なスタビライザシステムに関する。
車両用スタビライザシステムは、スタビライザバーの捩り反力を利用して、車体のロールを抑制するシステムである。近年では、下記特許文献に記載されているように、アクチュエータを備え、そのアクチュエータによってロール抑制力を、例えば、車体が受けるロールモーメントに応じて変更可能なシステムが検討され、既に実用化され始めている。
特開2006−188080号公報
上記特許文献に記載のスタビライザイザシステムでは、スタビライザバーが発生させるロール抑制力の方向や、ロール抑制力の増減等に応じて、アクチュエータの作動が制御される。したがって、アクチュエータの作動の円滑性の良否は、アクティブスタビライザシステムの実用性を左右する一因となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、電磁モータを有するアクチュエータの作動によって、スタビライザバーが発生させるロール抑制力を変更可能なスタビライザシステムであって、車体が受けるロールモーメントに応じてアクチュエータの目標動作量を決定し、アクチュエータの実際の動作量を目標動作量に変化させるとともに目標動作量に維持できるように電磁モータへの目標供給電力を決定するように構成され、(a)その目標供給電力を電磁モータに供給する状態(以下、「電力供給状態」という場合がある)に維持される電力供給制御と、(b)アクチュエータの動作量が減少する過程にあって目標供給電力が設定閾電力以下となる場合に、電磁モータへの電力の供給を行わない状態(以下、「電力非供給状態」という場合がある)に維持される電力非供給制御と、(c)アクチュエータの動作量が減少する過程にあってアクチュエータの動作量が目標動作量に比較的近い場合に、電力供給状態と電力非供給状態とを特定の時間的比率で交互に混在させる混在制御とを実行可能に構成され、その混在制御を実行すべき場合であっても、アクチュエータの動作量が減少する過程において一旦電力非供給制御が実行された後でない限り、混在制御の実行を禁止するように構成される。
上記3つの制御の各々を、各条件の下で実行すれば、電磁モータがモータ力を発生させる方向(以下、「モータ力方向」という場合がある)の反転による弊害、具体的に言えば、例えば、異音,振動等の発生,電磁モータへの負担の増大等を防止することが可能であるが、電力供給状態と電力非供給状態との切換時には、その切換によって異音が発生する虞がある。ただし、モータ力方向の反転による弊害は、電磁モータへの負担等を考慮すれば、電力供給状態と電力非供給状態との切換による弊害より大きいと考えられる。このため、モータ力方向の反転が生じる可能性の高い場合においては、電力供給状態と電力非供給状態との切換による異音の発生は容認してもよいと考えられる。ただし、モータ力方向が反転する可能性の低い場合には、電力供給状態と電力非供給状態との切換による異音の発生を回避するべきである。本発明の車両用スタビライザシステムでは、混在制御を実行すべき場合であっても、モータ力方向が反転しそうな場合に実行される電力非供給制御がアクチュエータの動作量の減少過程において実行された後でない限り、混在制御は実行されない。したがって、本発明の車両用スタビライザシステムによれば、モータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合には混在制御の実行を禁止することが可能となり、モータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合における電力供給状態と電力非供給状態との頻繁な切換による異音の発生を防止することが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(3)項の各々が、請求項1ないし請求項3の各々に相当する。
(1)自身の捩り反力に依拠してロール抑制力を発生させるスタビライザバーと、
動力源としての電磁モータを有し、前記スタビライザバーの発生させるロール抑制力の反力が自身の動作量を減少させる方向に作用する構造とされ、その反力の作用の下、その動作量を増大させることでそのロール抑制力を増大させ、その動作量を減少させることでそのロール抑制力を減少させるアクチュエータと、
前記電磁モータへの電力の供給を制御することで、前記アクチュエータを制御し、その結果として、前記スタビライザバーの発生させるロール抑制力を制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記制御装置が、
前記アクチュエータの目標動作量を、前記スタビライザバーが発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定し、前記電磁モータへの目標供給電力を、前記アクチュエータの実際の動作量の前記目標動作量に対する偏差である動作量偏差を減少させるための成分である偏差減少成分と、前記アクチュエータの動作量を前記目標動作量に維持するための成分である目標動作量維持成分とに基づいて決定する目標供給電力決定部と、
その目標供給電力決定部によって決定された前記目標供給電力を常時前記電磁モータに供給する制御である電力供給制御を実行する電力供給制御実行部と、
前記アクチュエータの動作量が減少する過程にあり、かつ、前記目標供給電力が設定閾電力以下となる場合に、前記電磁モータへの電力の供給を行わない制御である電力非供給制御を実行する電力非供給制御実行部と、
前記アクチュエータの動作量が減少する過程にあり、かつ、前記動作量偏差が設定閾偏差以下となる場合に、前記目標供給電力決定部によって決定された前記目標供給電力を前記電磁モータに供給する状態と前記電磁モータへの電力の供給を行わない状態とを特定の時間的比率で交互に混在させる制御である混在制御を実行する混在制御実行部と、
前記混在制御を実行すべき場合であっても、前記アクチュエータの動作量が減少する過程において一旦前記電力非供給制御が実行された後でない限り、前記混在制御の実行を禁止する混在制御禁止部と
を有する車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータによってスタビライザバーが発生させるロール抑制力を変更可能なスタビライザシステムに関するものである。本項の態様における「スタビライザバー」は、車体が受けるロールモーメントに対抗する力であるロール抑制力、より詳しく言えば、自身の捩れによって発生する捩り反力に依拠して車体のロールを抑制する力を発生させる主体となる構成要素であり、「アクチュエータ」は、そのロール抑制力の反力、つまり、スタビライザバーの捩り反力を受けた状態、言い換えれば、車体が受けるロールモーメントに対抗する状態でロール抑制力を変化させる構成要素である。以下の説明において、スタビライザバーとアクチュエータとによって構成される装置を、「スタビライザ装置」と呼ぶこととする。
スタビライザ装置の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、上記電磁モータが発生させる力に依拠して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させロール抑制力を変化させるような構成であってもよい。また、スタビライザバーの一方の端部と車輪保持部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪保持部材との間隔を変化させることでロール抑制力を変化させるような構成であってもよい。ちなみに、「電磁モータ」は、リニアモータであってもよく、回転モータであってもよい。
典型的な車両の旋回を考えれば、旋回初期においては車体が受けるロールモーメントが増加し、旋回中期においてはロールモーメントが安定し、旋回終期においてはロールモーメントが減少する。本項に記載の「電力供給制御」は、車体が受けるロールモーメントに応じた目標供給電力を電磁モータに供給する状態(以下、「電力供給状態」という場合がある)に維持される制御であり、アクチュエータの動作量をロールモーメントに応じた大きさに変更させることが可能であることから、電力供給制御において、本項の態様の「アクチュエータ」は、旋回初期においては動作量を増大させることでロール抑制力を増大させ、旋回中期においては動作量を維持することでロール抑制力を維持し、旋回終期においては動作量を減少させることでロール抑制力を減少させている。このようにアクチュエータの作動が制御されると、後に詳しく説明するが、旋回初期においては電磁モータが実際に動作する方向(以下、「電磁モータの動作方向」という場合がある)と電磁モータがモータ力を発生させる方向(以下、「モータ力方向」という場合がある)とは同じ方向となるが、旋回終期においては、電磁モータの動作方向とモータ力方向とは同じ方向とはならない場合がある。つまり、アクチュエータの動作量が減少過程にあるときには、電磁モータのモータ力方向の反転が生じ、その反転による弊害、具体的に言えば、例えば、電磁モータへの負担が増大したり、異音、振動等が発生する虞がある。
本項に記載の「電力非供給制御」は、電磁モータに供給されるべき電力が比較的小さくなった場合、つまり、モータ力方向が反転しそうな場合に、電磁モータへの電力の供給を行わない状態(以下、「電力非供給状態」という場合がある)に維持される制御であることから、モータ力方向の反転を防止可能な制御である。また、本項に記載の「混在制御」は、アクチュエータの動作量の減少過程であってアクチュエータの実際の動作量が目標動作量に比較的近づいた場合に、電力供給状態と電力非供給状態とを特定の時間的比率で交互に混在させて、アクチュエータの実際の動作量を比較的穏やかに目標動作量に変化させることが可能な制御であることから、電磁モータの動作方向の反転を防止することでモータ力方向の反転を防止可能な制御である。このことから、電力非供給制御と混在制御とを、各条件の下で実行すれば、モータ力方向の反転による弊害を防止することが可能である。ところが、電力供給状態と電力非供給状態との切換時には、その切換によって異音が発生する虞がある。ただし、モータ力方向の反転による弊害は、電磁モータへの負担等を考慮すれば、電力供給状態と電力非供給状態との切換による弊害より大きいと考えられる。このため、モータ力方向の反転を防止するような場合においては、電力供給状態と電力非供給状態との切換による異音の発生は容認してもよいと考えられる。
典型的な車両の旋回中期においては、ロールモーメントは一定であることからアクチュエータの目標動作量は維持されるが、電磁モータの実際の動作量は、電磁モータのイナーシャ,アクチュエータのフリクション等に起因して、目標動作量より大きくなったり小さくなったりする場合がある。このため、アクチュエータの動作量が減少過程となったり、増加過程となったりする。つまり、車両の旋回中期において、電力供給制御と混在制御とが切換えられる場合があり、電磁モータの動作状態が、電力供給状態と電力非供給状態とで繰り返し切換えられる場合がある。旋回中期には、アクチュエータの動作量を目標動作量に維持する必要があるため、電磁モータへの供給電力が0となることは殆どないため、モータ力方向の反転が生じることも殆どない。このため、旋回中期等のモータ力方向の反転が生じる可能性が低い場合には、電力供給状態と電力非供給状態との切換が禁止されることが望ましい。
本項に記載の態様においては、混在制御を実行すべき場合であっても、モータ力方向が反転しそうな場合に実行される電力非供給制御がアクチュエータの動作量の減少過程において実行された後でない限り、混在制御は実行されない。したがって、本項に記載の態様によれば、例えば、モータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合には混在制御の実行を禁止することが可能となり、モータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合における電力供給状態と電力非供給状態との切換による異音の発生を防止することが可能となる。
本項に記載の「特定の時間的比率」は、混在制御において一度電力供給状態とされる時間と、その直後に、一度電力非供給状態とされる時間との比率であり、単一の比率であってもよく、何らかの条件によって定まる比率であってもよい。また、例えば、上記3つの制御のうちのいずれの制御を実行するかが特定の時間間隔をおいた時点ごとに決定されるような場合には、「混在制御」は、その特定の時間のうちに電力供給制御と電力非供給制御とが繰り返し実行される制御であり、「特定の時間的な比率」は、その特定の時間のうちの電力供給制御が実行される時間と電力非供給制御が実行される時間との比率であってもよい。
(2)前記電力非供給制御が、前記電磁モータが有する複数の通電端子を相互に導通させることによって行われる制御である(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様では、電力非供給制御時において、電磁モータの複数の通電端子の各々が相互に導通させられており、ロールモーメントによって電磁モータが動作させられた場合、電磁モータの起電力によるモータ力、言い換えれば、電磁モータが発電機として機能することによる制動力(抵抗力)が期待できることになる。通電端子が互いに短絡させられている場合には、起電力によるモータ力を大きくすることができ、例えば、ロールモーメントによってアクチュエータが比較的速く動作させられる場合に、アクチュエータを備えないスタビライザシステムと同様のロール抑制力、つまり、コンベンショナルなシステムにおいてスタビライザバーが発生させる力と同様の力を発生させることになる。したがって、本項に記載の態様によれば、電磁モータに電源から電力が供給されなくとも、ロール抑制力を発生させることが可能となり、電力非供給制御時に、モータ力方向の反転を防止するともに、車体のロールを抑制することが可能となる。
(3)前記目標供給電力決定部が、前記目標供給電力を、前記アクチュエータの動作量が減少する過程にある場合に、増加する過程若しくは維持されている過程にある場合に比較して小さい値に決定するように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
典型的な車両の旋回において、旋回初期においては、電磁モータの動作方向とモータ力方向とは同じ方向であるが、旋回終期においては、電磁モータの動作方向とモータ力方向とは同じ方向とはならない場合がある。つまり、旋回初期においては、車体が受けるロールモーメントに抗って電磁モータを動作させており、旋回終期においては、ロールモーメントによって電磁モータが動作させられる場合がある。したがって、アクチュエータの動作量を増加させる過程においては、ロールモーメントに抗って電磁モータを動作させるため、比較的大きなモータ力が必要となり、逆に、アクチュエータの動作量を減少させる過程においては、ロールモーメントによって電磁モータが動作させられるため、モータ力は比較的小さくてすむことになる。そこで、本項に記載の態様では、アクチュエータの動作量が減少する過程において電磁モータへの供給電力を低減させている。
(4)前記スタビライザバーが、
左右の車輪に対応して設けられ、それぞれが、車幅方向に延びて配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部において左右の車輪のうちの自身に対応するものを保持する車輪保持部に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を相対回転させるものである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置の具体的構造、詳しく言えば、上記スタビライザバーとアクチュエータとの構成に関する限定を加えた態様である。本項の態様によれば、スタビライザ装置が発生させるロール抑制力を効率的に変更可能である。
(5)前記アクチュエータが、前記電磁モータの回転を減速する減速機と、前記電磁モータと前記減速機とを保持するハウジングとを有し、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続される構造とされた(4)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの構造、および、アクチュエータとスタビライザバーとの連結,配置関係を具体的に限定した態様である。本項の態様においてアクチュエータが有する減速機は、それの機構が特に限定されるものではない。例えば、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)、ハイポサイクロイド減速機構等、種々の機構の減速機を採用することが可能である。電磁モータの小型化を考えれば、減速機の減速比は比較的大きい(電磁モータの動作量に対するアクチュエータの動作量が小さいことを意味する)ことが望ましく、その点を考慮すれば、ハーモニックギヤ機構を採用する減速機は、本項の態様のシステムにおいて好適である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<車両用スタビライザシステムの構成>
i)スタビライザシステムの全体構成
図1に、本実施例の車両用スタビライザシステム10を模式的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された1対のスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持する車輪保持部材としてのサスペンションアーム(図2,3参照)に連結されたスタビライザバー20を備えている。そのスタビライザバー20は、それが分割された1対のスタビライザバー部材22を含む構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材22は、アクチュエータ26によって相対回転可能に接続されている。
ii)サスペンション装置の構成
本システム10を搭載する車両には、各車輪16に対応した4つのサスペンション装置が設けられている。転舵輪である前輪のサスペンション装置と非転舵輪である後輪のサスペンション装置とは、車輪を転舵可能とする機構を除き略同様の構成とみなせるため、説明の簡略化に配慮して、後輪のサスペンション装置を代表して説明する。図2,3に示すように、サスペンション装置30は、独立懸架式のものであり、マルチリンク式サスペンション装置とされている。サスペンション装置30は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム32,第2アッパアーム34,第1ロアアーム36,第2ロアアーム38,トーコントロールアーム40を備えている。5本のアーム32,34,36,38,40のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪16を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム32,34,36,38,40により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。また、サスペンション装置30は、コイルスプリング44と液圧式のショックアブソーバ46とを備えており、それらは、それぞれ、タイヤハウジングに設けられたマウント部と、第2ロアアーム38との間に、互いに並列的に配設されている。つまり、サスペンション装置30は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させているのである。
iii)スタビライザ装置の構成
スタビライザ装置14の各スタビライザバー部材22はそれぞれ、図2,3に示すように、概して車幅方向に延びるトーションバー部50と、トーションバー部50と一体をなしてそれと交差して概ね車両の前方に延びるアーム部52とに区分することができる。各スタビライザバー部材22のトーションバー部50は、アーム部52に近い箇所において、車体に固定的に設けられた保持具54によって回転可能に保持され、互いに同軸的に配置されている。各トーションバー部50の端部(アーム部52側とは反対側の端部)は、それぞれ、後に詳しく説明するようにアクチュエータ26に接続されている。一方、各アーム部52の端部(トーションバー部50側とは反対側の端部)は、リンクロッド56を介して第2ロアアーム38に連結されている。第2ロアアーム38には、リンクロッド連結部58が設けられ、リンクロッド56の一端部は、そのリンクロッド連結部58に、他端部はスタビライザバー部材22のアーム部52の端部に、それぞれ遥動可能に連結されている。
スタビライザ装置14の備えるアクチュエータ26は、図4に示すように、駆動源としての電磁モータ60と、その電磁モータ60の回転を減速して伝達する減速機62とを含んで構成されている。これら電磁モータ60と減速機62とは、アクチュエータ26の外殻部材であるハウジング64内に設けられている。そのハウジング64の一端部には、1対のスタビライザバー部材22の一方のトーションバー部50の端部が固定的に接続されており、一方、1対のスタビライザバー部材22の他方は、ハウジング64の他端部からそれの内部に延び入る状態で配設されるとともに、後に詳しく説明するように、減速機62と接続されている。さらに、1対のスタビライザバー部材22の他方は、それの軸方向の中間部において、ブシュ型軸受70を介してハウジング64に回転可能に保持されている。
電磁モータ60は、ハウジング64の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル72と、ハウジング64に回転可能に保持された中空状のモータ軸74と、コイル72と向きあうようにしてモータ軸74の外周に固定して配設された永久磁石76とを含んで構成されている。電磁モータ60は、コイル72がステータとして機能し、永久磁石76がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。なお、ハウジング64内に、モータ軸74の回転角度、すなわち、電磁モータ60の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ78が設けられている。モータ回転角センサ78は、エンコーダを主体とするものであり、アクチュエータ26の制御、つまり、スタビライザ装置14の制御に利用される。
減速機62は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)80,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)82およびリングギヤ(サーキュラスプライン)84を備え、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)として構成されている。波動発生器80は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸74の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ82は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯(本減速機62では、400歯)が形成されている。このフレキシブルギヤ82は、先に説明した1対のスタビライザバー部材22の他方のトーションバー部50の端部に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、そのスタビライザバー部材22のトーションバー部50は、モータ軸74を貫通しており、それから延び出す部分の外周面において、当該減速機62の出力部としてのフレキシブルギヤ82の底部を貫通する状態でその底部とスプライン嵌合によって相対回転不能に接続されているのである。リングギヤ84は、概してリング状をなして内周に複数の歯(本減速機62においては、402歯)が形成されたものであり、ハウジング64に固定されている。フレキシブルギヤ82は、その周壁部が波動発生器80に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ84と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。このような構造により、波動発生器80が1回転(360度)すると、つまり、電磁モータ60のモータ軸74が1回転すると、フレキシブルギヤ82とリングギヤ84とが、2歯分だけ相対回転させられる。つまり、減速機62の減速比は、1/200とされている。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と、左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、左右のスタビライザバー部材22を相対回転させる力、つまり、アクチュエータ26に対する外力が作用する。その場合、電磁モータ60が発生させる力であるモータ力(電磁モータ60が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ26がその外力に対抗する力を発生させているときには、それら2つのスタビライザバー部材22によって構成された1つのスタビライザバー20が捩じられることになる。この捩りにより生じる捩り反力は、ロールモーメントに対抗する力となる。つまり、スタビライザ装置14が、スタビライザバー20の捩り反力に依拠してロール抑制力を発生させているのである。そして、モータ力によってアクチュエータ26の回転量を変化させることで、左右のスタビライザバー部材22の相対回転量を変化させれば、上記ロール抑制力が変化し、車体のロールをアクティブに抑制することが可能となる。なお、ここでいうアクチュエータ26の回転量とは、車両が平坦路に静止している状態を基準状態としてその基準状態でのアクチュエータ26の回転位置を中立位置とした場合において、その中立位置からの回転量、つまり、動作量を意味する。したがって、アクチュエータ26の回転量が大きくなるほど、アクチュエータ26の回転位置が中立位置から離れ、スタビライザバー20の捩り反力、つまり、ロール抑制力も大きくなるのである。
iv)制御装置の構成
本スタビライザシステム10では、図1に示すように、2つのスタビライザ装置14に対応する電子制御ユニット(ECU)90が設けられている。ECU90は、各スタビライザ装置14、詳しくは、各アクチュエータ26の作動を制御する制御装置であり、各アクチュエータ26が有する電磁モータ60に対応する駆動回路としての2つのインバータ92と、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ96とを備えている(図10参照)。インバータ92の各々は、コンバータ98を介してバッテリ100に接続されており、対応するスタビライザ装置14の電磁モータ60に接続されている。電磁モータ60は定電圧駆動され、電磁モータ60への供給電力は、供給電流量を変更することによって変更される。供給電流量の変更は、インバータ92がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
コントローラ96には、上記モータ回転角センサ78とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するためのステアリングセンサ102,車体に実際に発生している横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ104が接続されている。コントローラ96には、さらに、ブレーキシステムの制御装置であるブレーキ電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という場合がある)108が接続されている。ブレーキECU108には、4つの車輪のそれぞれに対して設けられてそれぞれの回転速度を検出するための車輪速センサ110が接続され、ブレーキECU108は、それら車輪速センサ110の検出値に基づいて、車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)を推定する機能を有している。コントローラ96は、必要に応じ、ブレーキECU108から車速を取得するようにされている。さらに、コントローラ96は、各インバータ92にも接続され、それらを制御することで、各スタビライザ装置14の電磁モータ60を制御する。なお、コントローラ96のコンピュータが備えるROMには、後に説明する各スタビライザ装置14の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
<電磁モータへの供給電流と電磁モータの動作状態>
本システム10は、車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させるべく、アクチュエータ26の実際の回転量である実回転量が目標となる回転量である目標回転量となるようにアクチュエータ26が制御されることによって、制御される。つまり、車体が受けるロールモーメントに応じて、電磁モータ60が発生させるべきモータ力の方向(以下、「モータ力方向」という場合がある)および電磁モータ60への供給電流量が決定される。そして、決定されたモータ力方向および供給電流量に従って電磁モータ60を作動させることで、アクチュエータ26を制御し、車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させて、ロール抑制制御が実行されるのである。なお、アクチュエータ26の回転量と電磁モータ60の回転角であるモータ回転角とは対応関係にあるため、実際の制御では、アクチュエータ26の回転量に代えてモータ回転角が使用されており、基準状態でのモータ回転角は0とされ、モータ回転角が中立位置から離れるほどモータ回転角の絶対値が大きくなるものとされる。
具体的な制御について言えば、スタビライザ装置14がロールモーメントに応じた適正なロール抑制力を発生させるべく、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度に基づいて、電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。詳しく言えば、ステアリングホイールの操作角δと車両走行速度vに基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定され、
Gy*=KA・Gyc+KB・Gyr(KA,KBはゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。コントローラ96内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標モータ回転角θ*のマップデータが格納されており、マップデータを参照して、電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。
そして、実モータ回転角θが上記目標モータ回転角θ*になるように、電磁モータ60が制御される。電磁モータ60の制御において、電磁モータ60に供給される電力は、実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差である動作量偏差としてのモータ回転角偏差Δθ(=θ*−θ)に基づいて決定される。詳しく言えば、モータ回転角偏差Δθに基づくフィードバック制御の手法に従って決定される。具体的には、まず、電磁モータ60が備えるモータ回転角センサ78の検出値に基づいて、上記モータ回転角偏差Δθが認定され、次いで、それをパラメータとして、次式に従って、目標供給電力としての目標供給電流i*が決定される。
*=KP・Δθ+KI・Int(Δθ)
この式は、PI制御則に従う式であり、第1項,第2項は、それぞれ、比例項、積分項を、KP,KIは、それぞれ、比例ゲイン,積分ゲインを意味する。また、Int(Δθ)は、モータ回転角偏差Δθの積分値に相当し、目標モータ回転角θ*に近似されるものであることから(実モータ回転角θに近似されるものと考えることもできる)、上記式は、
*=KP・Δθ+KI・θ*
と等価なものと考えることもできる。
上記目標供給電流i*を決定するための式は、2つの項からなり、それら2つの項は、それぞれが、目標供給電力の成分と考えることができる。第1項の成分は、モータ回転角偏差Δθに基づく成分(以下、「偏差依拠電流成分」という場合がある)ihとして、、第2項の成分は、目標モータ回転角θ*に基づく成分(以下、「目標回転角依拠電流成分」という場合がある)imとして次式で示す。
h=KP・Δθ
m=KI・θ*
モータ回転角偏差Δθは、それの符号により、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*に近づくべき方向と、動作させるべき量とを表すものである。つまり、偏差依拠電流成分ihは、実モータ回転角θを目標モータ回転角θ*に変化、言い換えれば、モータ回転角偏差Δθを減少させるために必要な電流成分である偏差減少成分と考えることができる。それに対して、目標回転角依拠電流成分imは、アクチュエータ26の動作量を維持するために必要な定常的なモータ力を発生させるために、電磁モータ60に供給されるべき電力成分、言い換えれば、目標動作量維持成分と考えることができる。つまり、車体が受けるロールモーメントによっても、電磁モータ60が回転させられないようにするための電流成分と考えることができる。以上のことに鑑みて、本スタビライザシステム10では、目標供給電流i*は、上記2つの電流成分の和として決定される。
目標供給電流i*は、それの符号によって電力供給方向が異なることから、電磁モータ60のモータ力方向をも表すものと考えることができる。したがって、目標供給電流i*に基づいて、電磁モータ60へのデューティ比とモータ力方向とが決定され、それらに従って電磁モータ60が作動させられるのである。詳しく言えば、その決定された目標供給電流i*に基づくモータ力方向およびデューティ比についての指令がインバータ92に発令され、インバータ92の備えるスイッチング素子が切換えられて、電磁モータ60の動作状態が、バッテリ100から電力が決定されたデューティ比に従って供給され、決定されたモータ力方向にモータ力を発生させる状態とされている。なお、本実施例においては、電磁モータ60の回転方向を、便宜的に、時計回り方向と反時計回り方向としており、モータ回転角θが増加する場合の電磁モータ60の回転方向を「正方向(CW方向)」とモータ回転角θが減少する場合の回転方向を「逆方向(CCW方向)」と呼び、目標供給電流i*の符号が正の場合のモータ力方向を正方向と、目標供給電流i*の符号が負の場合のモータ力方向を逆方向としている。すなわち、目標供給電流i*の符号が正の場合に、電磁モータ60の動作状態は、バッテリ100から決定されたデューティ比に従う電力を受けてモータ力を正方向に発生させる状態(以下、「正方向力発生状態」若しくは「cw状態」という場合がある)とされ、目標供給電流i*の符号が負の場合に、電磁モータ60の動作状態は、バッテリ100から決定されたデューティ比に従う電力を受けてモータ力を逆方向に発生させる状態(以下、「逆方向力発生状態」若しくは「ccw状態」という場合がある)とされている。つまり、電磁モータ60に電力が供給される際の電磁モータ60の動作状態(以下、「電力供給状態」、若しくは、電磁モータ60が駆動力を発生させいる状態という意味を込めて「drive状態」略して「drv状態」という場合がある)には、cw状態とccw状態とがあるのである。さらに、電磁モータ60の動作状態には、バッテリ100から電力が供給されない状態(以下、「電力非供給状態」、若しくは、ブレーキ力が得られる状態という意味をこめて「brake状態」略して「brk状態」という場合がある)がある。ここでいう、brk状態とは、電磁モータ60の各相の通電端子が相互に導通させられた状態であり、電磁モータ60の各相があたかも相互に短絡させられた状態である。このような状態では、電磁モータ60が発電機として機能し、いわゆる短絡制動の効果が得られることになる。
なお、先に説明したように、本スタビライザシステム10においては、電磁モータ60の通電制御はインバータ92によって行われ、上記電磁モータ60の動作状態は、インバータ92が有するスイッチング素子の切換態様によって定まる。図5に示すように、電磁モータ60は、Δ結線された3相のDCブラシレスモータであり、各相(U,V,W)に対応してそれぞれ通電端子120u,120v,120w(以下、総称して「通電端子120」という場合がある)を有している。インバータ92は、各通電端子、つまり各相(U,V,W)について、high(正)側,low(負)側の2つのスイッチング素子を備えている(以下、6つのスイッチング素子の各々を、「UHC」,「ULC」,「VHC」,「VLC」,「WHC」,「WLC」と呼ぶこととする)。スイッチング素子切換回路は、電磁モータ60に設けられた3つのホール素子HA,HB,HCの検出信号により回転角(電気角)を判断し、その回転角に基づいて6つのスイッチング素子の各々のON/OFFの切換えを行う。なお、インバータ92は、バッテリ100とコンバータ98とで構成される電源の高電位側の端子124hと低電位側の端子124lとに接続されている。
図6を参照しつつ説明すれば、drv状態では、いわゆる120°通電矩形波駆動と呼ばれる方式にて、各スイッチング素子UHC,ULC,VHC,VLC,WHC,WLCのON/OFFが、電磁モータ60の回転位相に応じて切り換えられる。cw状態とccw状態とでは、切換えのパターンが互いに相違するものとされている。なお、drv状態では、low側に存在する各スイッチング素子ULC,VLC,WLCのみが、デューティ比に従ったON/OFF制御、つまり、デューティ制御が行われるようになっている(図6における「1*」は、そのことを示している)。それに対し、brk状態では、電磁モータ60の回転位相によらず、high側のスイッチング素子UHC,VHC,WHCのいずれもがON状態とされ、low側のスイッチング素子ULC,VLC,WLCのいずれもが、OFF状態とされる。
<車両用スタビライザシステムの制御>
本スタビライザシステム10においては、通常、スタビライザ装置14のアクチュエータ26が備える電磁モータ60は、電磁モータ60の動作状態がdrv状態に維持される「電力供給維持モード」の下で制御されており、電力供給制御が実行されている。電力供給維持モードには、電磁モータ60の動作状態がcw状態に維持される「正方向力発生モード」と、電磁モータ60の動作状態がccw状態に維持される「逆方向力発生モード」とがある。電磁モータ60の作動モードが正方向力発生モードとされている場合には、決定された目標供給電流i*の絶対値に応じた大きさのモータ力を正方向に発生させるように制御され、一方、電磁モータ60の作動モードが逆方向力発生モードとされている場合には、決定された目標供給電流i*の絶対値に応じた大きさのモータ力を逆方向に発生させるように制御される。言い換えれば、これらのモードの下において、電磁モータ60は、決定された目標供給電流i*に対応するモータ力方向およびデューティ比に応じて制御されることが可能とされている。
図7に、典型的な一旋回動作を例にとって、必要とされるロール抑制力Is,目標モータ回転角θ* 実モータ回転角θ,偏差依拠電流成分ih,目標回転角依拠電流成分im,目標供給電流i*の関係を、時間の経過を横軸とするグラフにて概略的に示す。車両の一旋回動作においては、ロール抑制力Isは、車体が受けるロールモーメントに応じ、以下のように変化する。まず、旋回初期[a]においては、操舵角の増加に伴って、ロール抑制力Isは増加する。続く、旋回中期[b]では、操舵角が一定とされた定常旋回となり、ロール抑制力Isは、一定となる。そして、旋回終期[c]においては、操舵角の減少に伴って、ロール抑制力Isは、減少する。それと相応するように、目標モータ回転角θ*も変化し、それに相応して、実モータ回転角θも、目標モータ回転角θ*に対してある程度の遅れを伴う態様で、図に示すように変化する。つまり、ロール抑制力Isの変化する旋回初期[a]においては、電磁モータ60の動作方向は中立位置から離れる方向となり、旋回後期[c]では、電磁モータ60の動作方向は中立位置に近づく方向となる。
電磁モータ60への目標供給電流i*は、先に説明したように、偏差依拠電流成分ihと目標回転角依拠電流成分imとの合計であり、それらの各々の変化に従って、変化することになる。2つの成分ih,imをそれぞれ説明すれば、偏差依拠電流成分ihは、電磁モータ60をモータ回転角偏差Δθに基づき回転させる役割から、旋回初期[a]では、実モータ回転角θを中立位置から遠ざけるべく、電磁モータ60の動作方向と同じ方向のモータ力方向となる値となり、旋回中期[b]では概して0となり、旋回終期[c]では、実モータ回転角θを中立位置に近づけるべく、電磁モータ60の動作方向と同じ方向のモータ力方向となる値となる。それに対し、目標回転角依拠電流成分imは、動作量維持電力としての役割を果たすものであることから、車両の一旋回を通じて、実モータ回転角θを中立位置から電磁モータ60の動作方向に離した位置で維持すべく、目標モータ回転角θ*に応じた値となっている。つまり、目標回転角依拠電流成分imのモータ力方向は、旋回初期[a]では、電磁モータ60の動作方向と同じ方向となるが、旋回後期[c]では、電磁モータ60の動作方向と逆の方向となる。
旋回終期[c]においては、上記の如く偏差依拠電流成分ihと目標回転角依拠電流成分imとの方向の相違があるため、減速機62のフリクション,電磁モータ60のイナーシャ等に起因して、実モータ回転角θが波打つように変化する。この変化によって、旋回終期[c]、言い換えれば、アクチュエータ26の動作量が減少過程にあるときでは、偏差依拠電流成分ihと目標回転角依拠電流成分imとの合計である目標供給電流i*の符号が短い間隔で切換り、目標供給電流i*のモータ力方向は正方向となったり逆方向となったりする可能性が高くなる。このような電磁モータ60のモータ力方向の反転は、電磁モータ60への負担の増加,異音,振動等の発生の一因となることから、本スタビライザシステム10では、アクチュエータ26の動作量の減少過程において、上記目標供給電流i*の絶対値、つまり、電磁モータ60への目標供給電力が設定閾電力以下となる場合には、電磁モータ60が、それの動作状態がbrk状態に維持される「電力非供給モード」(以下、「ブレーキモード」という場合がある)の下で制御される。つまり、アクチュエータ26の動作量の減少過程におけるモータ力方向の反転を防止すべく、電力非供給制御が実行される。電磁モータ60の作動モードがブレーキモードとされる場合には、本スタビライザシステム10では、電磁モータ60において生じる起電力に依拠するモータ力によって、コンベンショナルなシステムにおけるスタビライザバーと略同様のロール抑制力を発生させることとなる。つまり、ロールモーメントによってアクチュエータ26が動作させられる場合には、動作させられる方向とは反対の方向にモータ力を発生させるのである。このため、本システム10においては、旋回終期[c]の電磁モータ60のモータ力方向の反転を防止することが可能となる。
また、電磁モータ60のモータ力方向の反転は、実モータ回転角θが波打つように変化することに起因して生じることが多いため、実モータ回転角θの波打つような変化を抑制すべく、アクチュエータ26の動作量が減少過程にあり、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*に比較的近づいている場合には、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*に穏やかに変化するように電磁モータ60を制御することが望ましい。このため、電磁モータ60の動作方向が中立位置に近づく方向であり、上記モータ回転角偏差Δθが設定閾偏差α1以下となる条件の下において、電磁モータ60が、それの動作状態がdrv状態とbrk状態とを特定の時間的な比率で交互に混在させる状態とされるモード(以下、「混在モード」という場合がある)の下で制御されることが望ましい。すなわち、電力供給制御と電力非供給制御との各々が特定の時間的な比率で混在して実行される混在制御が実行されることが望ましいのである。
つまり、アクチュエータ26の動作量の減少過程において、電力非供給制御と混在制御とを各条件の下で実行し、電磁モータ60の動作状態をdrv状態とbrk状態とで切換えることによって、モータ力方向の反転による弊害を防止することが可能である。ところが、電磁モータ60の動作状態の切換時には、その切換によって異音が発生する虞がある。ただし、モータ力方向の反転による弊害は、電磁モータへの負担等を考慮すれば、電磁モータ60の動作状態の切換による弊害より大きいと考えられる。このため、モータ力方向の反転を防止するような場合においては、電磁モータ60の動作状態の切換による異音の発生は容認してもよいと考えられる。
ところが、モータ力方向の反転が生じないような場合においても、電磁モータ60の動作状態がdrv状態とbrk状態とで切換えられる場合がある。詳しく言えば、典型的な一旋回動作の旋回中期[b]において、ロール抑制力Isは一定となるため、目標モータ回転角θ*も一定となるが、減速機62のフリクション,電磁モータ60のイナーシャ等に起因して、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*より大きくなったり小さくなったりする場合がある。そのように旋回中期[b]において、実モータ回転角θが波打つように変化する場合のロール抑制モーメントIs,目標モータ回転角θ*,実モータ回転角θ,偏差依拠電流成分ih,目標回転角依拠電流成分im,目標供給電流i*,電磁モータ60の作動モードの関係は、図8に示すようになる(図8は、図7に対して時間軸である横軸を伸長して示してある)。図から解るように、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*より大きくなったり小さくなったりすることで、電磁モータ60の動作方向が中立位置に近づく方向となったり離れる方向となったりする。また、実モータ回転角θの変化によるモータ回転角偏差Δθは比較的小さい。このため、電磁モータ60の作動モードが電力供給維持モードと混在モードとで頻繁に切換えられ、電磁モータ60の動作状態がdrv状態とbrk状態とで切換えられることになる。また、旋回中期[b]には、目標動作量維持成分としての目標回転角依拠電流成分imの存在によって、目標供給電流i*が0となることは殆どないため、電磁モータ60のモータ力方向の反転が生じることも殆どない。つまり、電磁モータ60のモータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合において、電磁モータ60の動作状態が切換えられ、その切換によって異音が生じる虞がある。このため、モータ力方向の反転が生じる可能性が低い場合においては、電磁モータ60の動作状態の頻繁な切換を禁止することが望ましい。
以上のことに鑑みて、本システム10においては、電磁モータ60のモータ力方向の反転が生じる可能性の低い場合には混在制御の実行を禁止すべく、アクチュエータ26の動作量が減少する過程であって上記モータ回転角偏差Δθが設定閾偏差α1以下となる条件の下であっても、その過程において目標供給電流i*の絶対値が設定閾電力以下となった後でない限り、混在制御の実行を禁止している。つまり、アクチュエータ26の動作量の減少過程において、モータ力方向が反転する直前に実行される電力非供給制御が実行された後でなければ、混在制御は実行されないのである。このように混在制御の実行を制限することで、モータ力方向の反転が生じる可能性が低い場合の電磁モータ60の動作状態の頻繁な切換を防止することが可能となる。
混在モードは、上述のように、電磁モータ60の動作状態が、電力供給維持モードにおける電磁モータ60の動作状態であるdrv状態と、ブレーキモードにおける電磁モータ60の動作状態であるbrk状態とが混在するとされていることから、電力供給維持モードとブレーキモードとの中間的なモードと考えられる。本システム10においては、drv状態とbrk状態との特定の時間的比率、つまり、構成比が互いに異なる混在モードとして、ブレーキモードに近い混在モード(以下、「高ブレーキ率混在モード」という場合がある)と、電力供給維持モードに近い混在モード(以下、「低ブレーキ率混在モード」という場合がある)と、電力供給維持モードとブレーキモードとの中間の混在モード(以下、「中ブレーキ率混在モード」という場合がある)との3種のモードが採用されている。ちなみに、brk状態とdrv状態との構成比は、高ブレーキ率混在モードでは3:1とされ、中ブレーキ率混在モードでは1:1とされ、低ブレーキ率混在モードでは1:3とされている。
本システム10は、短い時間(例えば300μsec)を1ステージとして、そのステージ毎に、上記cw状態,ccw状態,brk状態のいずれかとされるような制御が実行され、また、4つのステージを、1ユニットとし、そのユニット毎の構成状態のパターン(以下、「単位パターン」という場合がある)が、繰り返されるような制御が実行される。したがって、上記混在モードは、図9に示すような単位パターンを有するモードとされている。具体的に言えば、低ブレーキ率混在モードの場合には、電磁モータ60の動作状態が、1ステージbrk状態とされ、続いて、3ステージdrv状態とされる単位パターンが繰り返され、中ブレーキ率混在モードの場合には、2ステージbrk状態とされ、続いて、2ステージdrv状態とされる単位パターンが、高ブレーキ率混在モードの場合には、3ステージbrk状態とされ、続いて、1ステージdrv状態とされる単位パターンが、それぞれ繰り返される。
この3種の混在モードのうちのいずれのモードとされるかは、実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差であるモータ回転角偏差Δθに基づいて行われる。実モータ回転角θと目標モータ回転角θ*とが近いような場合、つまり、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α2以下の場合には、電磁モータ60の作動モードが高ブレーキ率混在モードとされ、実モータ回転角θと目標モータ回転角θ*とが離れているような場合、つまり、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α3(α2<α3)以上の場合には、電磁モータ60の作動モードが低ブレーキ率混在モードとされ、それらの中間の場合、つまり、モータ回転角偏差Δθの絶対値が閾値α3より小さく値α2より大きい場合に、中ブレーキ率混在モードとされる。
また、電力供給維持モードは、先に説明したように、正方向力発生モードと逆方向力発生モードとがあることから、そのことに対応して、混在モードは、電磁モータ60の動作状態がcw状態とbrk状態との構成状態とされた正方向混在モードと、電磁モータ60の動作状態がccw状態とbrk状態との構成状態とされた逆方向混在モードとの2種に区分けすることができる。したがって、本スタビライザシステム10では、混在モードは、正方向混在モードと、逆方向混在モードとの各々において、上記3種のモードが設定されており、具体的には、正方向低ブレーキ率混在モード、正方向中ブレーキ率混在モード、正方向高ブレーキ率混在モード、逆方向低ブレーキ率混在モード、逆方向中ブレーキ率混在モード、逆方向高ブレーキ率混在モードの6つのモードが設定されているのである。図10に、電磁モータ60の各作動モードの単位パターンをまとめて示しておく。
なお、上述のように、旋回初期[a]においては、電磁モータ60の動作方向とモータ力方向とは同じ方向であるが、旋回終期[c]においては、電磁モータ60の動作方向とモータ力方向とは同じ方向とはならない場合がある。つまり、旋回初期[a]においては、車体が受けるロールモーメントに抗って電磁モータ60を動作させており、旋回終期[c]においては、ロールモーメントによって電磁モータ60が動作させられる場合がある。したがって、アクチュエータ26の動作量を増加させる過程においては、ロールモーメントに抗って電磁モータ60を動作させるため、比較的大きなモータ力が必要となり、逆に、アクチュエータ26の動作量を減少させる過程においては、ロールモーメントによって電磁モータ60が動作させられることから、モータ力は比較的小さくてすむことになる。そこで、本システム10では、電力供給制御時において、アクチュエータ26の動作量が減少している場合には、上述のように決定された目標供給電流i*を次式に従って低減させている。
*=KT・i*
ここで、KTは、目標供給電流i*を低減させるためのゲインであり、車体が受けるロールモーメントを利用して実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*に変化するように設定されている。
<制御プログラム>
本スタビライザシステム10の制御は、図11にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、設定された時間間隔、つまり、上記1ユニット毎に作動モードを決定可能とする時間間隔をおいてコントローラ96により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、スタビライザ制御プログラムは、前後の車輪に対して設けられた1対のスタビライザ装置14の各アクチュエータ26ごとに実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
スタビライザ制御プログラムによる処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、図12にフローチャートを示す目標供給電流決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、S21において、車速vがブレーキECU108の演算値に基づいて取得され、次に、S22において、ステアリングホイールの操作角δが、ステアリングセンサ102の検出値に基づいて取得される。続いて、S23において、取得された車速vおよび操作角δに基づいて推定横加速度Gycが推定される。コントローラ96には、車速vと操作角δとをパラメータとする推定横加速度Gycに関するマップデータが格納されており、推定横加速度Gycは、そのマップデータを参照することによって推定される。
S24において、車体に実際に発生する横加速度である実横加速度Gyrが、横加速度センサ104の検出値に基づいて取得される。そして、S25において、制御横加速度Gy*が、上述のように推定横加速度Gycと実横加速度Gyrとから決定され、S26において、その制御横加速度Gy*に基づき、目標モータ回転角θ*が決定される。次に、S27において、モータ回転角センサ78に基づいて実モータ回転角θが取得され、S28において、実モータ回転角θと目標モータ回転角θ*とに基づき、前述のPI制御則に従う式に従って、目標供給電流i*が決定される。
目標供給電流決定サブルーチンの実行の後、メインルーチンのS2において、電磁モータ60のモータ力方向が判定される。具体的に言えば、目標供給電流i*の符号の正負が判定され、目標供給電流i*の符号が正と判定された場合は、S3において、電磁モータ60のモータ力方向を示すモータ力方向フラグFMのフラグ値が0にされ、一方、目標供給電流i*の符号が負と判定された場合は、S4において、モータ力方向フラグFMのフラグ値が1にされる。そのフラグFMのフラグ値が0とされる場合には、モータ力方向が正方向であることを示し、1とされる場合には、モータ力方向が逆方向であることを示している。
次に、アクチュエータ26の動作量が減少過程にあるか否かが判定される。具体的に言えば、S5において、目標モータ回転角θ*の符号の正負が判定され、目標モータ回転角θ*の符号が正と判定された場合には、S6において、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*より大きいか否かが判定される。また、S5において目標モータ回転角θ*の符号の符号が負と判定された場合には、S7において、目標モータ回転角θ*が実モータ回転角θより大きいか否かが判定される。S6において実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*より大きいと判定された場合、若しくは、S7において目標モータ回転角θ*が実モータ回転角θより大きいと判定された場合は、電磁モータ60の動作方向は中立位置に近づく方向であり、S8において、目標供給電流i*の絶対値が設定閾電力としての設定閾電流i0以下か否かが判定される。目標供給電流i*の絶対値が設定閾電流i0以下と判定された場合は、S9において、混在制御の実行を許可する混在制御許可フラグFKのフラグ値が1にされる。そのフラグFMのフラグ値が1とされる場合には、混在制御の実行が許可されていることを示し、0とされる場合には、混在制御の実行が禁止されていることを示している。そして、S10において、電磁モータ60の作動モードがブレーキモードに決定される。
また、S8において目標供給電流i*の絶対値が設定閾電流i0より大きいと判定された場合は、S11において、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α1以下であるか否かが判定される。モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α1以下であると判定された場合は、S12において、混在制御許可フラグFKのフラグ値が1とされているか否かが判定される。混在制御許可フラグFKのフラグ値が1とされていると判定された場合は、図13にフローチャートを示す混在モード決定サブルーチンが実行される。
混在モード決定サブルーチンでは、S31において、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α2以下であるか否かが判定され、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α2以下であると判定された場合は、S32において、モータ力方向フラグFMのフラグ値によって、電磁モータ60のモータ力方向が判定される。モータ力方向が正方向と判定された場合には、S33において、電磁モータ60の作動モードが正方向高ブレーキ率混在モードに決定され、一方、モータ力方向が逆方向と判定された場合には、S34において、作動モードが逆方向高ブレーキ率混在モードに決定される。また、S31においてモータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α2より大きいと判定された場合は、S35において、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α3(α3>α2)以上であるか否かが判定される。モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α3以上であると判定された場合は、S36において、電磁モータ60のモータ力方向が判定され、モータ力方向が正方向と判定された場合には、S37において、電磁モータ60の作動モードが正方向低ブレーキ率混在モードに決定され、一方、モータ力方向が逆方向と判定された場合には、S38において、作動モードが逆方向低ブレーキ率混在モードに決定される。また、S35において、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α3より小さいと判定された場合は、S39において、電磁モータ60のモータ力方向が判定され、モータ力方向が正方向と判定された場合には、S40において、電磁モータ60の作動モードが正方向中ブレーキ率混在モードに決定され、一方、モータ力方向が逆方向と判定された場合には、S41において、作動モードが逆方向中ブレーキ率混在モードに決定される。電磁モータ60の作動モードが混在モードのいずれかに決定されると、このサブルーチンは終了する。
また、メインルーチンのS6において実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*以下と判定された場合、若しくは、S7において目標モータ回転角θ*が実モータ回転角θ以下と判定された場合は、電磁モータ60の動作方向は中立位置から離れる方向であり、S14において、混在制御許可フラグFKのフラグ値が0にされる。また、S11においてモータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾偏差α1より大きいと判定された場合、若しくは、S12において混在制御許可フラグFKのフラグ値が0とされていると判定された場合には、S15において、決定された目標供給電流i*を上述のように低減させる。そして、その後、若しくは、S14において混在制御許可フラグFKのフラグ値が0にされた後に、S16において、電磁モータ60のモータ力方向が判定され、モータ力方向が正方向と判定された場合には、S17において、電磁モータ60の作動モードが正方向力発生モードに決定され、一方、モータ力方向が逆方向と判定された場合には、S18において、作動モードが逆方向力発生モードに決定される。電磁モータ60の作動モードがいずれかに決定されると、S19において、コントローラ96によって、決定された作動モードに関する指令と、必要に応じて目標供給電流i*に基づくデューティ比に関する指令とが、インバータ92に送信された後、本プログラムの1回の実行が終了する。
<コントローラの機能構成>
上記スタビライザ制御プログラムを実行するコントローラ96は、それの実行処理に鑑みれば、図14に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ96は、上記目標供給電流決定サブルーチンの処理を実行する機能部、つまり、目標供給電流i*を決定する機能部として、目標供給電力決定部130を、S16〜S18の処理を実行する機能部、つまり、電力供給制御を実行する機能部として、電力供給制御実行部132を、S8,S10の処理を実行する機能部、つまり、電力非供給制御を実行する機能部として、電力非供給制御実行部134を、S11,S13の処理を実行する機能部、つまり、混在制御を実行する機能部として、混在制御実行部136を、S9,S12の処理を実行する機能部、つまり、混在制御の実行を禁止する機能部として、混在制御禁止部138を、それぞれ備えている。なお、目標供給電力決定部130は、S15の処理を実行する機能部、つまり、目標供給電力決定部130において決定された目標供給電流i*を低減させる機能部として、目標供給電力低減部140を有している。
請求可能発明である車両用スタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置を車両上方からの視点において示す模式図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置を車両前方からの視点において示す模式図である。 スタビライザ装置の備えるアクチュエータを示す概略断面図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるインバータと図4に示す電磁モータとが接続された状態での回路図である。 電磁モータの各作動モードにおける図5のインバータによるスイッチング素子の切り換え状態を示す表である。 車両の典型的な一旋回動作中におけるロール抑制力,目標モータ回転角,実モータ回転角,偏差依拠電流成分,目標回転角依拠電流成分,目標供給電流の時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 旋回中期に実モータ回転角が変化するときの、ロール抑制力,目標モータ回転角, 実モータ回転角,偏差依拠電流成分,目標回転角依拠電流成分,目標供給電流,作動モードの時間経過に対する変化を概略的に示すチャートである。 混在モードの単位パターンを示す表である。 電磁モータの作動モードとその作動モードの単位パターンとを示す表である。 スタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。 スタビライザ制御プログラムにおいて実行される目標供給電流決定サブルーチンを示すフローチャートである。 スタビライザ制御プログラムにおいて実行される混在モード決定サブルーチンを示すフローチャートである。 スタビライザシステムの制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 20:スタビライザバー 22:スタビライザバー部材 26:アクチュエータ 50:トーションバー部 52:アーム部 60:電磁モータ 62:減速機 64:ハウジング 82:フレキシブルギヤ(出力部) 90:電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 120:通電端子 130:目標供給電力決定部 132:電力供給制御実行部 134:電力非供給制御実行部 136:混在制御実行部 138:混在制御禁止部

Claims (3)

  1. 自身の捩り反力に依拠してロール抑制力を発生させるスタビライザバーと、
    動力源としての電磁モータを有し、前記スタビライザバーの発生させるロール抑制力の反力が自身の動作量を減少させる方向に作用する構造とされ、その反力の作用の下、その動作量を増大させることでそのロール抑制力を増大させ、その動作量を減少させることでそのロール抑制力を減少させるアクチュエータと、
    前記電磁モータへの電力の供給を制御することで、前記アクチュエータを制御し、その結果として、前記スタビライザバーの発生させるロール抑制力を制御する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記アクチュエータの目標動作量を、前記スタビライザバーが発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定し、前記電磁モータへの目標供給電力を、前記アクチュエータの実際の動作量の前記目標動作量に対する偏差である動作量偏差を減少させるための成分である偏差減少成分と、前記アクチュエータの動作量を前記目標動作量に維持するための成分である目標動作量維持成分とに基づいて決定する目標供給電力決定部と、
    その目標供給電力決定部によって決定された前記目標供給電力を常時前記電磁モータに供給する制御である電力供給制御を実行する電力供給制御実行部と、
    前記アクチュエータの動作量が減少する過程にあり、かつ、前記目標供給電力が設定閾電力以下となる場合に、前記電磁モータへの電力の供給を行わない制御である電力非供給制御を実行する電力非供給制御実行部と、
    前記アクチュエータの動作量が減少する過程にあり、かつ、前記動作量偏差が設定閾偏差以下となる場合に、前記目標供給電力決定部によって決定された前記目標供給電力を前記電磁モータに供給する状態と前記電磁モータへの電力の供給を行わない状態とを特定の時間的比率で交互に混在させる制御である混在制御を実行する混在制御実行部と、
    前記混在制御を実行すべき場合であっても、前記アクチュエータの動作量が減少する過程において一旦前記電力非供給制御が実行された後でない限り、前記混在制御の実行を禁止する混在制御禁止部と
    を有する車両用スタビライザシステム。
  2. 前記電力非供給制御が、前記電磁モータが有する複数の通電端子を相互に導通させることによって行われる制御である請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 前記目標供給電力決定部が、前記目標供給電力を、前記アクチュエータの動作量が減少する過程にある場合に、増加する過程若しくは維持されている過程にある場合に比較して小さい値に決定するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
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