JP2007195331A - 電動モータの駆動装置およびそれが配備された車両用スタビライザシステム - Google Patents

電動モータの駆動装置およびそれが配備された車両用スタビライザシステム Download PDF

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Abstract

【課題】電動モータを駆動するための駆動装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】駆動装置104に、それが備えるスイッチング素子Q1〜Q6のすべてがOFF状態とされる状況下において、強制的に、電源の高電位側に対応するスイッチング素子Q1〜Q3のすべてをON状態とする保護回路142を設ける。保護回路によって電動モータ70の各相を短絡させることができる。この作用ににより、電動モータへ電力を供給しないようにスイッチング素子が制御される状態において、電動モータが外部入力によって動作させられることによって生じる電動モータ側から電源側への電流の逆流が、効果的に防止される。その結果、電源あるいはスイッチング素子等への過大な負担が回避される。なお、本駆動装置を車両用スタビライザシステムにおいて採用すれば、信頼性の高いシステムを構築することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電源から供給される電力を制御することによって電動モータを駆動させる駆動装置、および、その駆動装置が配備された電動の車両用スタビライザシステムに関する。
最近の車両においては、下記特許文献1に記載されているような電動アクティブスタビライザシステムが搭載され始めている。このアクティブスタビライザシステムは、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を車両の旋回状態に応じてアクティブに変更可能なシステムとされ、そのロール抑制力を変更するために、電動モータを駆動源とするアクチュエータを備えている。
特表2002−518245号公報
上記特許文献1に記載されているようなスタビライザシステムは、アクチュエータが有する電動モータを制御することによって、その電動モータの力に依拠するロール抑制力を発揮するように構成され、その電動モータの制御には、いわゆるインバータと呼ばれるような駆動装置が用いられる。この駆動装置は、一般的に、電源と電動モータの端子とを導通させるための複数のスイッチング素子を有し、それらスイッチング素子のON状態とOFF状態とを切換えることによって、電動モータへ供給される電力を制御するものとされている。
上記スタビライザシステムでは、スタビライザバーのロール抑制力を可及的に小さくすることが望まれる状況下では、駆動装置が備えるすべてのスイッチング素子がOFF状態とされることで、電源から電動モータへの電力の供給を断つようにされる。ところが、そのような制御状態において、スタビライザバーが路面の起伏等によって動作させられる場合、つまり、外部入力によって動作させられる場合には、その動作に応じてアクチュエータも動作させられ、それに伴って電動モータも動作させられる。そのため、電動モータにはその動作に依拠する起電力(「逆起電力」と呼ぶこともできる)が発生し、電動モータが発電機として機能することとなる。この電動モータによって発電された電流は、スイッチング素子を逆流し、あるいは、スイッチング素子に還流路が並設されている場合にはその還流路を通過して、電源側へ向かうこととなる。このように電流が逆流する場合、例えば、電源への過大な負担、電源側の電圧の上昇によるスイッチング素子自体への過大な負担等の事態をひき起こすことが考えられる。このことは、駆動装置の信頼性、ひいては、スタビライザシステムの信頼性を低下させる一因となる。本発明は、そういった実情に鑑みてなされたものであり、信頼性の高い駆動装置および信頼性の高いスタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の駆動装置は、自身が備えるスイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況下において、電源の高電位側に対応するスイッチング素子のすべてと低電位側に対応するスイッチング素子のすべてとの一方をON状態とする回路を備えたことを特徴とする。また、本発明の車両用スタビライザシステムは、上記本発明の駆動装置を、アクチュエータの駆動源である電動モータの駆動装置として用いて構成されたことを特徴とする。
上記本発明の駆動装置では、上記回路によって電動モータの各相を短絡あるいは相互に導通させることができる。この作用により、電動モータへ電力を供給しないようにスイッチング素子が制御される状態において、電動モータが外部入力によって動作させられることによって生じる電動モータ側から電源側への電流の逆流が、効果的に防止される。その結果、電源あるいはスイッチング素子等への過大な負担が回避あるいは抑制され、本発明の駆動装置は、信頼性の高い駆動装置となる。また、上記本発明の車両用スタビライザシステムでは、上記本発明の駆動装置を備えることにより、信頼性の高いスタビライザシステムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、下記各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、それぞれ相当する。また、(11)項が請求項4に相当する。
(1)それぞれの対が、電動モータの各相の端子と対応して設けられ、それぞれの対が、(a)ON状態とされることによって前記電動モータの対応する端子と電源の高電位側とを通電状態とし、OFF状態とされることによって非通電状態とする高電位側スイッチング素子と、(b)ON状態とされることによって前記電動モータの対応する端子と電源の低電位側とを通電状態とし、OFF状態とされることによって非通電状態とする低電位側スイッチング素子とから構成される複数対のスイッチング素子と、
それら複数対のスイッチング素子の各々へ制御信号を出力することによって、それらスイッチング素子の各々のON状態とOFF状態とを切換える素子駆動部と
を備えた電動モータの駆動装置であって、
当該駆動装置が、
前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況下において、前記高電位側のスイッチング素子のすべてと前記低電位側のスイッチング素子のすべてのと一方を、ON状態とする一方側素子ON状態実現回路を備えた駆動装置。
本項の態様によれば、上記一方側素子ON状態実現回路によって、スイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況下、つまり、電動モータへの電力の供給を停止するような状況下において、高電位側のスイッチング素子のすべて、あるいは、低電位側のスイッチング素子のすべてがOFF状態とされる。この状態、つまり、一方側素子ON状態が実現されれば、電動モータの端子間を短絡あるいは導通させる回路が形成され、その電動モータが外部入力によって動作させられることによって生じる電動モータ側から電源側への電流の逆流が効果的に防止あるいは抑制されることとなる。このことにより、例えば、電源への過大な負担、あるいは、電源側の電圧上昇によるスイッチング素子への過大な負担が軽減されることで、本項の態様の駆動装置は、信頼性の高い駆動装置となる。
本項の態様は、いわゆるインバータと呼ばれる一般的な駆動装置に広く適用することが可能である。また、「スイッチング素子」は、その種類が特に限定されるものではなく、本項の態様は、例えば、MOS型FETを主体とするもの、また、バイポーラ型トランジスタを主体とするもの等、種々の素子を有する駆動装置を対象とすることが可能である。ちなみに、MOS型FETの場合は、それ自体が還流路を有する構造とされており、それ自体を通って電流が逆流する。また、バイポーラ型トランジスタの場合は、還流路としての還流ダイオードが並設されることが一般的であり、その還流ダイオードを通って電流が逆流する。このように、本項の態様では、スイッチング素子の種類によらず、電源側への電流の逆流を抑制あるいは防止できるのである。
本態様の駆動装置が備える「素子駆動部」は、例えば、当該駆動装置を制御する制御装置からの指令に基づいて、供給電力を調整すべく、スイッチング素子を切換えるような回路を広く意味する。また、電動モータがブラシレスDCモータであるような場合においては、例えば、電動モータの電気角に応じたスイッチング素子の切換えを実行するような機能を有するものであってもよい。また、駆動装置が備える「一方側素子ON状態実現回路」は、駆動装置内に備わっていることが望ましく、例えば、上記素子駆動部内に設けられていてもよい。つまり、上記素子駆動部自体が、一方側素子ON状態実現回路の機能を備えるようなものであってもよいのである。
(2)前記一方側素子ON状態実現回路が、
前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされた時点からの設定時間の経過を検出するタイマ回路を有し、そのタイマ回路によって設定時間の経過が検出された場合に、前記高電位側のスイッチング素子のすべてと低電位側のスイッチング素子のすべてのと一方を、ON状態とするものである(1)項に記載の駆動装置。
すべてのスイッチング素子がOFF状態とされる場合であっても、比較的短時間であれば、上述した電源への負担,スイッチング素子への負担は比較的小さいと考えられる。一方で、極短い時間ではあるがノイズ的にスイッチング素子のすべてがOFF状態とされることもあり得、また、短い時間すべてのスイッチング素子がOFF状態されることを有効的に利用するような制御を実行したい場合もあり得る。本項に記載の態様は、本項の態様は、そのようなことを考慮し、スイッチング素子のすべてがOFF状態となる状況が設定時間継続したことを条件として、上述の一方側素子ON状態が実現されるように構成された態様である。
(3)前記一方側素子ON状態実現回路が、前記素子駆動部内部の信号に基づいて前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況を検出し、その検出結果に基づいて前記素子駆動部の出力する制御信号を変更するものである(1)項または(2)項に記載の駆動装置。
本項の態様によれば、当該素子駆動部内に配設された一方側素子ON状態実現回路によって、容易に、上述した一方側素子ON状態が実現されることとなる。
(4)当該駆動装置が、前記複数対のスイッチング素子をパルス幅変調方式で作動させることによって前記電動モータへの電力供給量を制御可能なインバータである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の駆動装置。
本項に記載の態様が、駆動装置として、電動モータの制御において一般的に用いられているインバータを対象とする態様であり、本項の態様によれば、適切な電動モータの制御が可能となり、また、そのインバータにおけるスイッチング素子への負担、そのインバータから電源への電流の逆流による電源の負担を、軽減させることができる。
(11)両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結されるスタビライザバーと、
駆動源としての電動モータを有し、その電動モータの作動によって前記スタビライザバーの発揮するロール抑制力を変更するアクチュエータと、
前記電動モータと電源との間に設けられて、その電動モータを駆動する(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の駆動装置と
を備えた車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、いわゆるアクティブスタビライザシステムに関する態様であり、上述した駆動装置を、アクチュエータが備える電動モータの駆動装置として利用した態様である。アクティブスタビライザシステムにおいては、車両が直進している状態においては、必ずしもスタビライザバーがロール抑制力を発揮することを要しないため、アクチュエータが有する電動モータに対しての電力の供給は停止される。通常、アクチュエータは、ロールモーメント,路面の凹凸等によりスタビライザバーが動作させられる等、外部入力によって動作可能に構成されることが多く、その場合には、電動モータへの電力の供給が停止されているときであっても、外部入力によるアクチュエータの動作に伴って電動モータが動作して発電することとなる。そのような場合において、駆動装置が備えるスイッチング素子への負担、電源への負担が大きくなることが予測される。本項の態様によれば、駆動装置が電動モータへ電力を供給しない状況下において、前述の一方側素子ON状態が実現されることから、上記スイッチング素子への負担、電源への負担が軽減されることになる。なお、一方側素子ON状態が実現された場合、電動モータはいわゆる短絡制動されている状態にあるため、本システムのスタビライザバーは、アクティブではない通常のスタビライザシステムが有するスタビライザバーと同様なロール抑制力を発揮し得る状態となる。
(12)前記スタビライザバーが、
それぞれが、車幅方向に延びる1つの軸線上に配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部において前記車輪保持部材に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を前記軸線のまわりに相対回転させるものである(11)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザシステムの具体的構造、詳しく言えば、上記スタビライザバーとアクチュエータとを含んで構成されるスタビライザ装置の構造に関する限定を加えた態様である。本項の態様によれば、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を効率的に変更可能である。
(13)前記アクチュエータが、前記電動モータの回転を減速させる減速機と、前記電動モータおよび前記減速機とを支持するハウジングとを有し、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続された(12)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの構造、および、アクチュエータとスタビライザバーとの連結,配置関係を具体的に限定した態様である。本項の態様においてアクチュエータ有する減速機は、それの機構が特に限定されるものではない。例えば、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)、プラネタリギヤ機構等、種々の機構の減速機を採用することが可能である。電動モータの小型化を考えれば、減速機の減速比は比較的大きい(電動モータの動作量に対するアクチュエータの動作量が小さいことを意味する)ことが望ましく、その点を考慮すれば、ハーモニックギヤ機構を採用する減速機は、本項の態様のシステムにおいて好適である。また、減速比の大きな減速機を採用する場合、外部入力によるアクチュエータの動作によって比較的大きな発電量の発電がなされるため、先に述べたスイッチング素子,電源への負担は大きくなることが予想される。したがって、前述の一方側素子ON状態の実現可能であることは、減速比の大きな減速機を採用するシステムにおいて、特に有益である。
以下、請求可能発明の実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例,変形例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪スタビライザシステムの構成および機能≫
図1に、実施例としての車両用スタビライザシステム10を概念的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された2つのスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持する車輪保持部材の各々に連結部材を介して連結されたスタビライザバー20を備えている(図2参照)。そのスタビライザバー20は、中央部で分割されており、一対のスタビライザバー部材、すなわち右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを含む構成のものとされている。それら一対のスタビライザバー部材22,24がアクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されており、大まかにいえば、スタビライザ装置14は、アクチュエータ30が、左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させることによって(図の矢印,点線矢印を参照のこと)、スタビライザバー20全体の見かけ上の剛性を変化させて車体のロール抑制を行う。
図2には、一方のスタビライザ装置14の車幅方向の中央から一方側の車輪16にかけての部分が概略的に示されている。本スタビライザシステム10が装備される車両は、それぞれが4つの車輪16の各々に対して設けられた4つの独立懸架式のサスペンション装置38を含んで構成されている。このサスペンション装置38は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結されるとともに他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動の意味)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、サスペンション装置38は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「エアばね」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびスプリング48は、それぞれ、それらの一端部が車体側のマウント部に、他端部がロアアーム44に連結されている。このような構造から、サスペンション装置38は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たすものとなっている。
スタビライザ装置14は、先に説明した一対のスタビライザバーである右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを備える(図2には、右スタビライザバー部材22および左スタビライザバー部材24の一方が示されている)。各スタビライザバー部材22,24は、それぞれ、略車幅方向に延びるトーションバー部60と、トーションバー部60と一体化されてそれと交差して概ね車両前方あるいは後方に延びるアーム部62とに区分することができる。各スタビライザバー部材22,24のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所において、車体の一部であるスタビライザ装置配設部64に固定的に設けられた支持部材66によって回転可能に支持され、互いに同軸に配設されている。それらトーションバー部60の端部(車幅方向における中央側の端部)の間には、上述のアクチュエータ30が配設されており、後に詳しく説明するが、各トーションバー部60の端部は、それぞれ、そのアクチュエータ30に接続されている。一方、アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、上述のロアアーム44に設けられたスタビライザバー連結部68に連結されている。
アクチュエータ30は、図3に模式的に示すように、電動モータ70と、電動モータ70の回転を減速する減速機72とを含んで構成されている。これら電動モータ70および減速機72は、アクチュエータ30の外殻部材であるハウジング74内に設けられている。ハウジング74は、ハウジング保持部材76によって、回転可能かつ軸方向(略車幅方向)に移動不能に、車体に設けられたスタビライザ装置配設部64に保持されている。図2から解るように、ハウジング74の両端部の各々には、2つの出力軸80,82の各々が延び出すように配設されている。それら出力軸80,82のハウジング74から延び出した側の端部が、それぞれ、各スタビライザバー部材22,24の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。また、図3から解るように、一方の出力軸80は、ハウジング74の端部に固定して接続されており、また、他方の出力軸82は、ハウジング74内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング74に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その出力軸82のハウジング74内に存在する一方の端部が、後に詳しく説明するように、減速機72に接続され、その出力軸82は、減速機72の出力部を兼ねるものとなっている。
電動モータ70は、ハウジング74の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル84と、ハウジング74に回転可能に保持された中空状のモータ軸86と、モータ軸86の外周においてコイル84と向き合うようにして一円周上に固定して配設された複数の永久磁石88とを含んで構成されている。電動モータ70は、コイル84がステータとして機能し、永久磁石88がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
減速機72は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)90,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)92およびリングギヤ(サーキュラスプライン)94を備え、ハーモニックギヤ機構(ハーモニックドライブ機構(登録商標),ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構等とも呼ばれる)として構成されている。波動発生器90は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸86の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ92は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ92は、先に説明した出力軸82に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、出力軸82は、モータ軸86を貫通しており、それから延び出す端部にフレキシブルギヤ92の底部が固着されることで、フレキシブルギヤ92と出力軸82とが接続されているのである。リングギヤ94は、概してリング状をなして内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されたものであり、ハウジング74に固定されている。フレキシブルギヤ92は、その周壁部が波動発生器90に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ94と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器90が1回転(360度)すると、つまり、電動モータ70のモータ軸86が1回転すると、フレキシブルギヤ92とリングギヤ94とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力、つまり、アクチュエータ30に対する外部入力が作用する。その場合、電動モータ70が発生する力であるモータ力(電動モータ70が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、以下、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ30がその外部入力に釣り合う力をアクチュエータ力として発揮しているときには、それら2つのスタビライザバー部材22,24によって構成された1つのスタビライザバー20が捩られることになる。この捩りにより生じる弾性力は、ロールモーメントに対抗する力、すなわち、ロール抑制力となる。そして、モータ力によってアクチュエータ30の出力軸80,82の相対回転位置、つまり、アクチュエータ30の回転位置(動作位置のことである)を変化させることで、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24との相対回転位置を変化させれば、車体が同じロールモーメントを受けている場合、言い換えれば、同じロール抑制力を発生させている場合であっても、車体のロール量を変化させることが可能となる。本スタビライザ装置14は、そのようにして、スタビライザバーの見かけ上の剛性、すなわち、スタビライザ剛性を変化させることが可能な装置とされているのである。
なお、アクチュエータ30には、ハウジング74内に、モータ軸86の回転角度、すなわち、電動モータ70の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ100が設けられている。モータ回転角センサ100は、本アクチュエータ30ではエンコーダを主体とするものであり、後述の駆動回路による電動モータ70の通電相の切換えのための電気角の検出に利用されるとともに、アクチュエータ30の動作位置、言い換えれば、スタビライザバー部材22,24の相対回転量を指標するものとして、それの検出に利用される。
アクチュエータ30が備える電動モータ70には、図1に示すように、バッテリ(図では、「BAT」と表されている)102から電力が供給される。詳しく言えば、本スタビライザシステム10では、バッテリ102と、そのバッテリ102の電圧を昇圧等するためのDC−DCコンバータ(図では、「CNV」と表されている)103とによって、電源が構成され、そのコンバータ103からの電力が、2つのスタビライザ装置14の各々に対応して設けられた2つのインバータ104を介して、2つのスタビライザ装置14の各々が有する電動モータ70の各々に供給されるのである。つまり、本スタビライザシステム10では、インバータ104は、電動モータ70を駆動する駆動装置として機能するものとなっている。なお、電動モータ70は定電圧駆動されることから、供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更され、電動モータ70は、その供給電流量に応じたモータ力を発揮することとなる。ちなみに、インバータ104による供給電流量の制御は、後に詳しく説明するように、パルス変調方式(PWM(Pulse Width Modulation))によって行われる。詳しく言えば、パルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)が変更することによって行われる。
本スタビライザシステム10は、図1に示すように、2つのスタビライザ装置14の各々、詳しくは、2つのアクチュエータ30の各々の作動は、それぞれに対して設けられた制御装置であるコントローラ(図では「CONT」と表されている)110によって制御される。ちなみに、2つのインバータ104の一方と2つのコントローラ110の一方、それらの他方と他方とは、それぞれユニット化されており、本スタビライザシステム10は、2つのスタビライザ電子制御ユニット(図では「ECU」と表されている)111を備えるものとされている。そのコントローラ110は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、コントローラ110には、上記モータ回転角センサ100とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ120,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ122,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ124が接続されている。(図1では、それぞれ「θ」,「δ」,「v」,「Gy」と表されている)。さらに、コントローラ110は、インバータ104にも接続され、コントローラ110は、インバータ104を制御することで、アクチュエータ30の発生するアクチュエータ力を制御するとともに、アクチュエータ30の回転位置、つまり、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24との相対回転位置を制御するものとされている。
なお、本スタビライザシステム10は、前輪側,後輪側の2つのスタビライザ装置14を備えており、それら2つのスタビライザ装置14は、設定されたロール剛性配分に従ってそれぞれが個別に制御され、その個々の制御下において、それぞれが所定のロール抑制力を発生させることになるが、ここからの説明では、特に断わりのない限り、説明の単純化に配慮して、2つのスタビライザ装置14を同一構成のものとして扱い、また、それらを一元化して扱うこととする。
≪スタビライザ装置の制御≫
スタビライザ装置14は、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量に基づいて、アクチュエータ30の目標回転位置が決定され、アクチュエータ30の回転位置がその目標回転位置となるように制御される。つまり、ロールモーメント指標量に基づき、電動モータ70のトルク発生方向および電動モータ70への供給電流量を決定される。そして、決定されたトルク発生方向および供給電流量に従って電動モータ70を作動させることで、アクチュエータ力の方向および大きさを制御し、ロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させて、アクティブなスタビライザ装置14の制御が実行されるのである。なお、ここでいうアクチュエータ30の回転位置とは、車体にロールモーメントが全く作用しない状態を基準状態としてその基準状態でのアクチュエータ30の回転位置を中立位置とした場合において、その中立位置からの回転量を意味する。つまり、アクチュエータ30の動作位置の中立位置に対する変位量である対中立位置変位量を意味する。また、アクチュエータ30の回転位置と電動モータ70の回転角であるモータ回転角とは対応関係にあるため、実際の制御では、アクチュエータ30の回転位置に代えてモータ回転角が使用される。
スタビライザ装置14の制御をより具体的に説明すれば、本実施例においては、上記ロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて、適正なスタビライザ剛性を得るべく、アクチュエータ30の目標回転位置、つまり、目標モータ回転角θ*が決定される。詳しく言えば、ステアリングホイールの操舵角と車両走行速度に基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr
ここで、K1,K2はゲインであり、そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、目標モータ回転角θ*が決定される。
目標モータ回転角θ*が決定された後、実際のモータ回転角である実モータ回転角θがフィードバックされることで、その実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差に基づくフィードバック制御の手法に従って、電動モータ70への目標供給電流i*が決定される。詳しく説明すれば、まず、決定された目標モータ回転角θ*に対する実モータ回転角θの偏差であるモータ回転角偏差Δθ(=θ*−θ)が認定される。そしてそのモータ回転角偏差Δθをパラメータとして、次式に従って、電動モータ70に対する目標供給電流i*が決定される。
*=Ka・Δθ+Kb・Int(Δθ)
この式は、PI制御則に従う式であり、第1項,第2項は、それぞれ、比例項、積分項を、Ka,Kbは、それぞれ、比例ゲイン,積分ゲインを意味する。また、Int(Δθ)は、モータ回転角偏差Δθの積分値に相当し、目標モータ回転角θ*に近似されるものである。ちなみに、上記式における第2項は、モータ回転角θを目標モータ回転角θ*に維持するために、つまり、アクチュエータ30の回転位置を維持するために、電動モータ70に供給されるべき電流量成分と考えることができ、第1項は、モータ回転角を維持するための電流量成分をモータ回転角偏差Δθに応じて増減補正して、モータ回転角θを目標モータ回転角θ*に近づけるための電流量成分、つまり、アクチュエータ30を積極的に回転させるための電流量成分と考えることができる。
上述したところの、目標モータ回転角θ*の決定、目標供給電流i*の決定は、コントローラ110によって行われる。先に説明したように、電動モータ70への電力の供給は、駆動装置としてインバータ104を介して行われるため、コントローラ110からインバータ104へは、決定された目標供給電流i*に基づくところの、モータ力を発生させる方向についての指令およびデューティ比についての指令が発せられることになる。なお、後に詳しく説明するが、バッテリ102から電力を供給する必要のない状態(以下、「電力供給不要状態」という場合がある)においては、インバータ104が有するすべてのスイッチング素子をOFF状態とするような指令(以下、「電力非供給指令」という場合がある)が発せられる。本スタビライザシステム10においては、デューティ比、つまり、パルスオン時間/(パルスオン時間+パルスオフ時間)が、設定された値(例えば3%)を下回るような場合には、電力供給不要状態であるとみなして、電力非供給指令が発せられる。ちなみに、電力供給不要状態は、車両が旋回していない状態や、車両の旋回後期、つまり、旋回によって車体が受けるロールモーメントが減少過程にある状態において生じる。
≪インバータの構成および機能≫
電動モータ70の駆動装置であるインバータ104は、図4に示すように構成されており、6つスイッチング素子(MOSFETである)Q1〜Q6を有するスイッチング素子部130と、それらスイッチング素子Q1〜Q6の各々のON状態とOFF状態とを切り換える回路部である素子駆動部132とを含んで構成されている。
スイッチング素子部130は、電動モータ70の駆動電圧(例えば40V程度)が供給されるDC−DCコンバータ103(以下、「コンバータ103」と略す場合がある)の主出力端子に接続されるともに、電動モータ70の各相の端子に接続される。詳しく言えば、スイッチング素子Q1〜Q6は、それぞれが電動モータ70の各相に対応する3つのスイッチング素子対に区分けされている。具体的に言えば、スイッチング素子Q1,Q4は、U相に、スイッチング素子Q2,Q5は、V相に、スイッチング素子Q3,Q6は、W相に、それぞれ対応している。それぞれの対において、スイッチング素子Q1〜Q3は、高電位側スイッチング素子として機能し、それぞれが、コンバータ103の高電位側の出力端子と、電動モータ70の対応する各相の端子との間に設けられ、ON状態とされることによって、コンバータ103の高電位側の出力端子と電動モータ70の対応する端子とを通電状態し、OFF状態とされることによって非通電状態とする。一方、スイッチング素子Q4〜Q6は、低電位側スイッチング素子として機能し、それぞれが、コンバータ103の低電位側の出力端子(グランド端子)と、電動モータ70の対応する各相の端子との間に設けられ、ON状態とされることによって、コンバータ103の低電位側の出力端子と電動モータ70の対応する端子とを通電状態し、OFF状態とされることによって非通電状態とする。
素子駆動部132は、マイコン134と、プリドライバ136とを含んで構成されている。マイコン134は、コントローラ110からの指令と、アクチュエータ30が有するモータ回転角センサ100の検出値に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6の各々に対応して自身が有する6つの制御信号出力部138から、制御信号を出力する。マイコン134は、コンバータ103からの制御電圧(例えば5V程度)の供給を受けて作動し、制御信号は、その制御電圧に近い電圧の信号であり、対応するスイッチング素子Q1〜Q6をON状態とすべきときにのみ、出力される。プリドライバ136は、スイッチング素子Q1〜Q6の各々に対応する6つのアンプ140を備えている。各アンプ140には、対応するマイコン134の制御信号出力部138のからの制御信号が抵抗R7〜R12を介して入力される。プリドライバ136は、コンバータ103から上記電動モータ70の駆動電圧より高い電圧(例えば50V程度)の電力の供給を受けており、各アンプ140は、マイコン134からの制御信号が入力されている場合に、その高い電圧の駆動信号を対応するスイッチング素子Q1〜Q6のゲートに出力する。スイッチング素子Q1〜Q6は、駆動信号がゲートに入力されている場合にON状態とされ、駆動信号が入力されていない場合にOFF状態とされる。
マイコン134には、コントローラ110とアクチュエータ30が有するモータ回転角センサ100とが接続されており、マイコン134は、コントローラ110からの指令およびモータ回転角センサ100によって検出された電動モータ70の電気角に基づいて、制御信号の出力の有無を決定し、また、制御信号を出力する場合には、ON状態とするスイッチング素子Q1〜Q6に対応する制御信号出力部138から制御信号を出力するようにされている。詳しく言えば、本インバータ104は、電源から電力を供給して電動モータ70を駆動する場合、いわゆる120゜矩形波通電方式により駆動するため、マイコン134は、コントローラ110からのモータ力発生方向の指令に基づいて、検出されている電動モータ70の電気角に対応する高電位側スイッチング素子Q1〜Q3のいずれかをON状態とするとともに、対応する低電位側スイッチング素子Q4〜Q6のいずれかをデューティ比の指令に基づいてそのデューティ比に応じてON状態とOFF状態とを切換えるような制御信号を出力する。一方で、コントローラ110から上述の電力非供給指令が発せられている場合には、マイコン134はいずれも制御信号出力部138からも制御信号を出力せず、すべてのスイッチング素子Q1〜Q6がOFF状態とされる。
ここで、すべてのスイッチング素子Q1〜Q6がOFF状態とされた場合を考える。この場合に、外部入力によってアクチュエータ30が動作させられたとき、つまり、電動モータ70が回転させられた場合、電動モータ70は発電機として機能して発電する。スイッチング素子Q1〜Q6には、素子内部に還流路が設けられており、電動モータ70によって発電された電流は、スイッチング素子Q1〜Q6を逆流し、コンバータ103に向かうことになる。ところが、コンバータ103は、逆方向の電流を許容する構造とされておらず、場合によっては、その発電電流によって損傷を受ける事態が発生し得る。また、コンバータ103の出力部の電圧が上昇して、スイッチング素子Q1〜Q6のソース−ドレイン間の電圧差が大きくなり、そのことに起因して、スイッチング素子Q1〜Q6自体が損傷を受ける事態も発生し得る。そのような事態は、インバータ104の信頼性を損ね、ひいては、スタビライザシステム10自体の信頼性を損ねることとなる。ちなみに、そのような事態は、すべてのスイッチング素子Q1〜Q6がOFF状態とされる時間が長く続く程、発生の可能性が高くなる。
上記事態を回避すべく、本インバータ104には、保護回路142が設けられている。この保護回路142は、NOR回路IC1,タイマ回路144,バッファ回路IC2,反転型のバッファ回路IC3,それぞれがスイッチング素子である6つのトランジスタQ7〜Q12を含んで構成されている。NOR回路IC1は、マイコン134とプリドライバ136との間の6つの制御出力線の各々に接続されており、それらから上記制御信号が入力され、マイコン134の制御信号出力部138のすべてが、制御信号を発していない場合に、ON信号を発生させる。タイマ回路144は、ダイオードD1,抵抗R13,コンデンサC1とを含んで構成されており、NOR回路IC2からのON信号が入力された場合に、出力信号の電位をON信号が入力された時点からの時間の経過に応じて漸増させてバッファ回路IC2に出力するような回路とされている。バッファ回路IC2は、ある設定された電圧以上のON信号が入力されている場合に、トランジスタQ10〜Q12のベースに、トランジスタQ10〜Q12をON状態とするためのベース電圧を供給するとともに、そのベース電圧をバッファ回路IC3に供給する。反転型のバッファ回路IC3は、バッファ回路IC2から先のベース電圧が供給されている場合において、トランジスタQ7〜Q12をON状態とすべく、それらのベースに供給されているベース電圧を反転させる。
図5に、この保護回路142の作動状態を、図4の回路におけるA〜D点の電位の変化として表す。この図から解るように、マイコン134のいずれの制御信号出力部138からも制御信号が出力されていない状態が、抵抗R13の抵抗およびコンデンサC1の容量に応じて定まる設定時間T1以上継続した場合に、トランジスタQ7〜Q12のすべてがON状態とされる。トランジスタQ7〜Q9のコレクタ,エミッタは、コンバータ103の制御電圧端子,高電位側のスイッチング素子Q1〜Q3に対応する制御出力線に接続されており、トランジスタQ7〜Q9がON状態とされることで、制御信号が強制的にプリドライバ136に入力され、高電位側のスイッチング素子Q1〜Q3が、すべて、ON状態とされる。また、トランジスタQ10〜Q12のコレクタ,エミッタは、コンバータ103のグランド端子,高電位側のスイッチング素子Q4〜Q5に対応する制御出力線に接続されており、トランジスタQ10〜Q12がON状態とされることで、それら制御出力線が強制的にグランド電位にされ、低電位側のスイッチング素子Q4〜Q6が、すべて、OFF状態とされる。このように、本保護回路142は、スイッチング素子Q1〜Q6のすべてがOFF状態とされる状況下において、高電位側のスイッチング素子Q1〜Q3のすべてをON状態とする一方側素子ON状態実現回路として機能するものとされている。
高電位側のスイッチング素子Q1〜Q3のすべてがON状態とされた場合には、導通されたそれらの素子Q1〜Q3の電力供給路とそれらの素子に内蔵されている還流路とによって、電動モータ70の各相の端子を相互に短絡させる短絡経路が形成されることになる。この短絡経路によって、電動モータ70によって発電された電流は、電動モータ70内部、つまり、電動モータ70が備えるステータコイル84を巡回することとなる。つまり、電動モータ70は、いわゆる短絡制動状態とされるのである。この状態では、外部入力によって電動モータ70が発電した電流は、コンバータ103には向かうことがなく、先に説明したコンバータ103の損傷,スイッチング素子Q1〜Q6の損傷が回避される。つまり、保護回路142の機能により、電源への負担,インバータ104への負担が軽減されることになるのである。ちなみに、短絡制動状態においては、電動モータ70、すなわち、アクチュエータ30は、外部入力による比較的速い動作に対しては、比較的大きな抵抗を発生させ、スタビライザバー20は、アクチュエータ30を備えていないコンベンショナルなスタビライザシステムのスタビライザバーと同程度の捩り反力を発生させることとなる。
なお、素子駆動部132には、抵抗R1〜R6が設けられているが、それらの抵抗R1〜R6は、マイコン134の失陥時等において、強制的に、高電位側スイッチング素子Q1〜Q3のすべてをON状態とするとともに、低電位側のスイッチング素子Q4〜Q6のすべてをOFF状態するためのものとされている。つまり、本素子駆動部132は、それらの抵抗R1〜R6を含んで構成されるもう1つの保護回路を有するものとされているのである。
≪変形例としてのインバータ≫
以下に、本スタビライザシステムにおいて採用可能なインバータについての2つの変形例を説明する。以下の2つの変形例は、先のインバータ104と同等の機能,同様の構成を有することから、同じ機能を有する構成要素については同じ符号あるいは同様の符号を用いることとし、極力説明を省略することとする。
図6に、第1変形例のインバータ150の構成を示す。このインバータ150は、プリドライバ136が反転型のアンプ140によって構成されている。そのような構成とされていることから、スイッチング素子Q1〜Q6をOFF状態とする場合に、マイコン134の制御信号出力部138から制御信号が出力される。本インバータ150においは、IC1はAND回路とされており、本インバータ150においても、タイマ回路144を含む保護回路142により、設定時間、スイッチング素子Q1〜Q6のすべてがOFF状態とされた場合に、つまり、マイコン134のすべての制御信号出力部138から制御信号が出力されている場合に、強制的に、高電位側スイッチング素子Q1〜Q3のすべてがON状態とされ、低電位側スイッチング素子Q4〜Q6のすべてがOFF状態とされる。その結果、上述の一方側素子ON状態が実現され、コンバータ103の損傷,スイッチング素子Q1〜Q6の損傷が回避されることになる。
図7に、第2変形例のインバータ160の構成を示す。本インバータ160は、電動モータ70が単相のブラシ付モータである場合に好適な駆動装置である。したがって、本インバータ160では、電気角に応じたスイッチング素子Q1〜Q6の切換えは行われず、モータ力発生方向によるスイッチング素子Q1〜Q6の切換え、および、PWMに基づく低電位側スイッチング素子Q4,Q6の切換えのみが行われる。なお、先のインバータ104と同様に、電力非供給指令が発せられているときには、すべてのスイッチング素子Q1〜Q6がOFF状態とされる。このインバータ160においても、タイマ回路144を含む保護回路142により、設定時間、スイッチング素子Q1〜Q6のすべてがOFF状態とされた場合に、つまり、マイコン134のすべての制御信号出力部138から制御信号が出力されていない場合に、強制的に、高電位側スイッチング素子Q1,Q3の両者がON状態とされ、低電位側スイッチング素子Q4,Q6の両者がOFF状態とされる。その結果、上述の一方側素子ON状態が実現され、コンバータ103の損傷,スイッチング素子Q1〜Q6の損傷が回避されることになる。
実施例の車両用スタビライザシステムの全体構成を概念的に示す図である。 図1のスタビライザシステムを構成するスタビライザ装置の車幅方向の中央から一方側の車輪16にかけての部分を概略的に示す図である。 スタビライザ装置が有するアクチュエータの構造を模式的に示す図である。 実施例の駆動装置であるところの、アクチュエータが備える電動モータを駆動するためのインバーをを示す回路図である。 図4の回路図におけるA〜Dの各点における信号電位の時間の経過に伴う変化を示すチャートである。 実施例のスタビライザシステムに採用可能な第1変形例としてのインバータを示す回路図である。 実施例のスタビライザシステムに採用可能な第2変形例としてのインバータを示す回路図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 14:スタビライザ装置 20:スタビライザバー 22:右スタビライザバー部材 24:左スタビライザバー部材 30:アクチュエータ 60:トーションバー部 62:アーム部 70:電動モータ 72:減速機 74:ハウジング 80:出力軸 82:出力軸(出力部) 102:バッテリ 103:DC−DCコンバータ 104:インバータ(駆動装置) 110:コントローラ 110:スタビライザ電子制御ユニット(ECU) 130:スイッチング素子部 132:素子駆動部 134:マイコン 136:プリドライバ 142:保護回路(一方側素子ON状態実現回路) 144:タイマ回路 150:インバータ(駆動装置) 160:インバータ(駆動装置) Q1〜Q6:スイッチング素子 Q1〜Q3:高電位側スイッチング素子 Q4〜Q6:低電位側スイッチング素子

Claims (4)

  1. それぞれの対が、電動モータの各相の端子と対応して設けられ、それぞれの対が、(a)ON状態とされることによって前記電動モータの対応する端子と電源の高電位側とを通電状態とし、OFF状態とされることによって非通電状態とする高電位側スイッチング素子と、(b)ON状態とされることによって前記電動モータの対応する端子と電源の低電位側とを通電状態とし、OFF状態とされることによって非通電状態とする低電位側スイッチング素子とから構成される複数対のスイッチング素子と、
    それら複数対のスイッチング素子の各々へ制御信号を出力することによって、それらスイッチング素子の各々のON状態とOFF状態とを切換える素子駆動部と
    を備えた電動モータの駆動装置であって、
    前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況下において、前記高電位側のスイッチング素子のすべてと前記低電位側のスイッチング素子のすべてのと一方を、ON状態とする一方側素子ON状態実現回路を備えた駆動装置。
  2. 前記一方側素子ON状態実現回路が、
    前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされた時点からの設定時間の経過を検出するタイマ回路を有し、そのタイマ回路によって設定時間の経過が検出された場合に、前記高電位側のスイッチング素子のすべてと低電位側のスイッチング素子のすべてのと一方を、ON状態とするものである請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記一方側素子ON状態実現回路が、前記素子駆動部内部の信号に基づいて前記スイッチング素子のすべてがOFF状態とされる状況を検出し、その検出結果に基づいて前記素子駆動部の出力する制御信号を変更するものである請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
  4. 両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結されるスタビライザバーと、
    駆動源としての電動モータを有し、その電動モータの作動によって前記スタビライザバーの発揮するロール抑制力を変更するアクチュエータと、
    前記電動モータと電源との間に設けられて、その電動モータを駆動する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駆動装置と
    を備えた車両用スタビライザシステム。
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