JP2009026856A - 金属膜付フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属膜と該金属膜と導通させたい箇所とを容易に導通させうる金属膜付フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(B)該ポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(C)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行い、金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする金属膜付フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層配線基板などに好適な金属膜付フィルムの製造方法に関する。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等についても小型化かつ高密度化が進んでいる。このプリント配線板等の高密度化への対応としては、例えば、配線パターンを多層化した多層配線基板が採用されている。
一般的に、2層以上の配線基板を形成する場合、ビアを形成することで2面間の導通を確保する必要がある。このビアを形成するためには、基板に穴を開けて、その穴の表面を薬品処理した上でめっきをする等の工程を行う。このように、多層配線基板を作製する際には、ビアの形成工程を有することが必須である。また、このビアの存在は、配線の高密度化を阻害してしまう、といった問題を有している。
一方、多層配線基板として、異方導電性フィルム、異方導電性樹脂、異方導電性接着剤層等を用いたものが知られている。
具体的には、例えば、配線パターンが形成された配線基板で、異方導電性フィルム又は異方導電性樹脂を挟み込んだ構成を有し、前記配線基板に形成された突起位置により導通されるもの(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、配線パターンが形成された回路基板と、配線パターンが形成された絶縁膜と、の間に異方導電性接着剤層を挟み、絶縁膜を貫通したビアホールに導通物質を充填してなり、圧力をかけて対向する配線パターンと導通させた構造の多層基板が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献1及び特許文献2に記載の多層配線基板では、いずれも、両面に存在する配線パターン間を導通させるためにビアを形成する必要があり、高密度化の観点からは未だ不十分であった。
また、異方導電性樹脂や異方導電性接着剤を配線板に適用する方法としては、例えば、特許文献3、4のように、配線パターンが形成されている基板上に、異方導電性樹脂や異方導電性接着剤を介して金属層が形成されてなるシールド付配線基板が知られている。
しかしながら、このシールド付配線基板においては、シールドフィルムをできあがった配線基板に外付けするタイプであり、シールドフィルムの金属層とグランドとを接続するのみであったため、配線基板と金属層との隙間を有効に使っているとはいえなかった。つまり、配線の高密度化においては更なる改良が求められている。
特開平8−330736号公報 特開2001−267750号公報 特開2006−229157号公報 特開2006−319216号公報
本発明は、前記従来における諸問題を考慮してなされたものであり、高密度な多層配線基板を簡易に作製しうる、及び、高密度な配線を有するシールド付配線基板を簡易に作製しうる金属膜付フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、異方導電性フィルムの表面に、フィルム上に無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが直接化学結合したポリマー層を形成して、該ポリマー層に無電解めっきを行うことで、前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法は、(A)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(B)該ポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(C)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行い、金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
また、更に、(D)前記(C)工程で形成された金属膜をシード層として電解めっきを行う工程を有することが好ましい態様である。
本発明においては、金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対して全面に形成する態様であってもよいし、また、金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対してパターン状に形成する態様であってもよい。
また、金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対してパターン状に形成する際にはフォトレジストを用いることが好ましい。
本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法は、(a)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるパターン状のポリマー層を形成し、該パターン状のポリマー層の形成領域と前記異方導電性フィルムの露出部とからなる凹部を得る工程と、(b)該パターン状のポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(c)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行う工程と、(d)前記(c)工程で形成された金属膜をシード層として用い、又は、前記異方導電性フィルム中の導電体を用いて電解めっきを行い、少なくとも前記凹部に金属を埋め込む工程と、を有することを特徴とする。
また、(d)工程において、凹部に埋め込まれた金属が凸部を形成することが好ましい態様である。また、(d)工程においては、前記パターン状のポリマー層上に金属膜を形成してもよい。
本発明によれば、高密度な多層配線基板を簡易に作製しうる、及び、高密度な配線を有するシールド付配線基板を簡易に作製しうる金属膜付フィルムの製造方法を提供することができる。
<第1の金属膜付フィルムの製造方法>
本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法は、(A)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(B)該ポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(C)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行い、金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
また、更に、(D)前記(C)工程で形成された金属膜をシード層として電解めっきを行う工程を有することが好ましい態様である。
本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法によれば、例えば、図1に示されるように、異方導電性フィルム10の片面に、ポリマー層20と無電解めっきによる金属膜30とが順次形成された金属膜付フィルム100aを得ることができる。
本発明においては、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーからなるポリマー層に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与し、無電解めっき(必要に応じて電解めっき)を行うことにより、ポリマー層中にめっき触媒やめっき金属が入り込んだ状態(コンポジット状態)が形成され、かつ、このポリマー層上にも金属膜が形成された状態となる。これにより、形成された金属膜は、めっき触媒、めっき金属がポリマー層に入り込んだことで、密着性に優れたものとなる。
その結果、形成された金属膜の任意の箇所に圧力を加えることで、その加圧箇所にて、金属膜と該金属膜と導通させたい箇所とを容易に導通させることができる。なお、上記のように金属膜は密着性に優れることから、金属膜が加圧により変形した場合であっても金属膜に亀裂が入ったり、また剥離してしまうことがなく、良好な導通が可能となる。
以上のことから、得られた金属膜付フィルムは、ビアを形成することなく異方導電性フィルムの両面間を導通させることができるため、高密度な多層配線基板を簡易に作製することができる。
また、得られた金属膜付フィルムにおいて、異方導電性フィルムの一方の面に形成される金属膜をシールド金属層とすることができる。本発明により得られた金属膜付フィルムの場合、このシールド金属層はその一部を、異方導電性フィルムの他方に存在する配線と導通させるための配線として用いることができる。また、この導通させるための領域も、非常に微細化できることから、高密度の配線を有するシールド付配線基板を簡易に作製することができる。
以下、本発明の金属膜付フィルムの製造方法における各工程について順次説明する。
〔(A)工程〕
本工程では、異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
まず、本工程で用いられる異方導電性フィルムについて説明する。
本発明において、「異方導電性フィルム」とは、厚さ方向には導電性を示し、且つ、面内方向には絶縁性を示すフィルムをいう。例えば、エポキシ樹脂やポリイミド等の絶縁性樹脂中に導電粒子が分散してなるフィルムや、絶縁性樹脂からなるフィルム基材中に、導電性材料が互いに絶縁された状態で、かつ、フィルム基材を厚み方向に貫通した状態で配置されてなるフィルムなどが挙げられる。前者は、圧力等を付与することで、厚さ方向に導通するものであり、また、後者は、圧力などを付与することなく、厚さ方向の導通が可能なものである。
以下、本発明において、「異方導電性フィルム」を単に「フィルム」と称して説明する場合がある。
異方導電性フィルム中の導電粒子は、例えば、均一な粒径であって、球状の導電粒子でることが好ましい。粒径は、例えば、2〜20μmであることが好ましい。また、導電粒子としては、はんだ粒子、ニッケル粒子、ニッケルや樹脂の球体に金めっきを施したもの等が挙げられる。
なお、細長い棒状の導電体を有する異方導電性フィルムとしては、例えば、特開2005−93298号公報に記載のように、絶縁性樹脂からなるフィルム基材中に、導電性材料が互いに絶縁された状態で、かつ、フィルム基材を厚み方向に貫通した状態で配置されてなるものなどを用いることができる。
本発明において用いられる異方導電性フィルムとしては、具体的には、日立化成工業(株)製のAC−7246、AC−7207、AC−7206C、AC−2056、AC−2102、AC−9051、ソニーケミカル(株)製のFP20626、特開2005−93298号公報やhttp://www.nitto.co.jp/company/release/1999/99_04_21/index.htmlに記載のもの、巴工業(株)製の異方性導電接着フィルム(ACF)TP−1等が好ましく用いられる。
なお、前述のように、異方導電性フィルムは、その種類により導通の際の加圧等の有無などが変化するため、金属膜付フィルムの形態や使用態様にあわせて、適宜、選択することができる。
[異方導電性フィルムの表面及び中間層]
本発明における異方導電性フィルムは、ポリマーが化学的に直接結合できるような表面を有するものである。本発明においては、異方導電性フィルムの表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を異方導電性フィルム表面に設けてもよい。
中間層としては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法により、異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーを得る場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また、有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができる。光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
[重合開始能を発現する層]
本発明においては、異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーを得る際に活性点を効率よく発生させるという観点から、フィルム表面に設けられる中間層としては、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物を含有する層(重合開始能を発現する層)であることが好ましい。この重合開始能を発現する層としては、重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合性層、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、特定重合開始ポリマーと称する。)を架橋反応により固定化してなる重合開始層、更に、特定ポリイミドを用いてなる層などが挙げられる。
これらの態様の重合開始能を発現する層について順次説明する。
(重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合性層)
本発明における重合性層は、重合性化合物及び重合開始剤等の必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法でフィルム表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合性層に用いられる重合性化合物は、フィルムとの密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、親水性基を有するモノマーやポリマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
本発明における重合性層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、親水性基を有するモノマーやポリマーと、を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、その種類により適宜決定されるが、重合性層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
以下、本発明における重合性層には、重合開始剤として、以下に示す光カチオン重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤も好ましく用いられる。
−光カチオン重合開始剤−
光カチオン重合開始剤とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、以下に挙げるものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。この場合における光カチオン重合開始剤の含有量としては、酸の発生量、硬化性等の観点から、重合性層中、固形分で、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらの光カチオン重合開始剤、又は、それと同等の作用を有する基若しくは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。更に米国特許第3779778号、欧州特許第126712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
光カチオン重合開始剤として好ましい化合物としては、下記一般式(b1)、(b2)、又は(b3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009026856
一般式(b1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF 、PF 、SbF や、以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Figure 2009026856
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2009026856
Rcは、有機基を表す。
Rcにおける有機基としては炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。Rdは、水素原子、アルキル基を表す。
Rc、Rc、Rcは、各々独立に、有機基を表す。
Rc、Rc、Rcの有機基として、好ましくはRcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。RcとRcが結合して環を形成していてもよい。RcとRcが結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc、Rc〜Rcの有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、光カチオン重合開始剤としては、一般式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、一般式(b1)で表される他の化合物のR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい一般式(b1)で表される化合物としては、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、及び(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)について説明する。
化合物(b1−1)は、一般式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくは、フェニル基、インドール残基である。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合には、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば、炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3〜15)、アリール基(例えば、炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、一般式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐又は環状の2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、化合物(b1−3)について説明する。
化合物(b1−3)は、以下の一般式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2009026856
一般式(b1−3)において、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。Zcは、非求核性アニオンを表し、一般式(b1)に於けるXの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、直鎖又は分岐のペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐のプロポキシ基、直鎖又は分岐のブトキシ基、直鎖又は分岐のペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
及びRとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
及びRは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
、Rは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
一般式(b2)、一般式(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。Xは、非求核性アニオンを表し、一般式(b1)におけるXの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
204〜R207のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
使用してもよい光カチオン重合開始剤として、更に、下記一般式(b4)、一般式(b5)、又は一般式(b6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009026856
一般式(b4)〜(b6)中、Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。R206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。Aは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアリーレン基を表す。
光カチオン重合開始剤の中でも好ましいものとしては、一般式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤の特に好ましいものの具体例〔例示化合物(b−1)〜(b−61)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
また、特開2002−122994号公報の段落番号〔0029〕乃至〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。特開2002−122994号公報の段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
−光ラジカル重合開始剤−
本発明における光ラジカル重合開始剤は、低分子であっても高分子であってもよい。
低分子の光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することができる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども、光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子光ラジカル重合開始剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号、特願2006−053430号、特願2006−264706号、Photochemistry&Photobiology,Vol.5,p46(1999)等に記載の、活性カルボニル基、トリクロロメチルトリアジン、チオキサントンを側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。高分子の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記化合物(1)〜(14)を挙げることもできる。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
なお、光ラジカル重合開始剤としては、ポリマーとの結合性の観点から、高分子型の光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。この高分子型の光ラジカル重合開始剤の重量平均分子量としては、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。また、重量平均分子量の上限値としては、溶解性の点から100000が好ましい。
また、重合性層に含有される重合性化合物がエポキシ樹脂である場合、高分子型の光ラジカル重合開始剤が該エポキシ樹脂を兼ねていてもよい。このような高分子型の光ラジカル重合開始剤としては、以下の(15)〜(30)で表される化合物を好適に用いることができる。ここで、(15)〜(30)中、x、yは、モル分率を表し、x+y=100(x≠0、y≠0)である。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
上記した光ラジカル重合開始剤を用いる場合、その含有量は、ポリマーとの結合性、それに起因する密着強度の低下を抑制する点、硬化物のTg低下を抑制する点、硬化物の誘電率が高くなるといった熱特性、電気特性上の問題を防止する点から、全固形分に対して、0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合性層をフィルム上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
上記のように、フィルム表面上に上記の重合性層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合性層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、フィルム上にポリマーが結合した後に重合性層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、光源として、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。引き続き行われるポリマー層の形成と、エネルギー付与により実施される重合性層の活性点とポリマーとの結合の形成を阻害しないという観点から、重合性層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
(特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層)
本発明における重合開始層は、特定重合開始ポリマーを含んで構成されていてもよい。この特定重合開始ポリマーは、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーである。このため、その特定重合開始ポリマーにおいて、重合開始基がポリマー鎖に結合しており、且つ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。このような重合開始層の表面にポリマーを結合させる場合、例えば、親水性基を有するモノマーを含有する溶液を接触させても、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分が溶出することを防止することができる。また、重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したポリマーのみが生成されることになる。
ここで用いられる特定重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。特定重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
−重合開始層の成膜−
本発明における重合開始層は、上述の特定重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液をフィルム上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、特定重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
特定重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH,多価イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 2009026856
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の特定重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
Figure 2009026856
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、特定重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の特定重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
重合開始層の塗布量は、ポリマーとの結合性や、膜性の観点から、乾燥後の重量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
(特定ポリイミドを用いてなる重合開始能を発現する層)
本発明において、重合開始能を発現する層として、下記に示すような、骨格中に重合開始部位を有するポリイミド(以下、適宜、特定ポリイミドと称する。)を用いて形成された層を用いることもできる。
この特定ポリイミドを用いてなる重合開始能を発現する層は、ポリイミド前駆体化合物の作製し、このポリイミド前駆体化合物をフィルム上に塗布した後、加熱処理を施し、ポリイミド前駆体のポリイミド構造(特定ポリイミド)へ変化させることで形成することができる。
上記のようにして作製される特定ポリイミドの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
本工程では、異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(以下、「相互作用性基」と称する場合がある。)を有し、且つ、異方導電性フィルム表面と直接結合するポリマーからなるポリマー層を形成する。
[表面グラフト重合]
本工程において、ポリマー層を形成する際には、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段が用いられる。
グラフト重合とは、高分極性基子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明では、先に説明した異方導電性フィルムの表面に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を接触させ、エネルギーを付与することで、該フィルム上に活性点を発生させ、この活性点と該化合物の重合性基とフィルムとが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
この接触は、フィルムを、該重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、該重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層をフィルム表面に、塗布法により形成することが好ましい。
(重合性基及び相互作用性基を有する化合物)
本発明に用いられる重合性基及び相互作用性基を有する化合物とは、後述の相互作用性基を有するモノマー、又は該相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものである。
−相互作用性基を有するモノマーの例−
使用できるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸塩、等が使用できる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸、等のカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが使用できる。
Figure 2009026856
−重合性基及び相互作用性基を有するポリマー−
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させる方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法、及び、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法である。
上記iii)の方法において、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。
Figure 2009026856
また、相互作用性基を有するモノマーと共重合する重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
相互作用性基を有するポリマー中のカルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
次に、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に、塩基などの処理により二重結合を導入する方法について詳しく述べる。本合成手法に関しては、特開2003−335814号公報に記載の手法を用いることができる。二重結合前駆体を有するモノマーとしては、特開2003−335814記載の化合物(i−1〜i−60)が使用する事ができ、この中でも特に下記(i−1)が好ましい。
Figure 2009026856
−脱離反応に用いられる塩基−
ii)の方法において、塩基などの処理により二重結合を導入する際に使用される塩基としては、アルカリ金属類の、水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。
金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基の量に対して、当量以下であってもよく、また当量以上であってもよい。
脱離反応における、温度条件は、室温、冷却、過熱いずれの条件であってもよい。好ましい温度条件としては、−20〜100℃の範囲である。
本発明において、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、配線間の絶縁信頼性の向上の観点から、相互作用性基としてシアノ基を有するポリマー(以下、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)を好適に用いることができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
Figure 2009026856
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、各々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、各々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いはヒドロキシ基、又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いはヒドロキシ基、又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009026856
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、各々独立して、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基を表す。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009026856
上記式(3)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、窒素原子、又は酸素原子、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009026856
式(4)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、各々独立して、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009026856
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、Lが、シアノ基との連結部位に、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるLが、シアノ基との連結部位に、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合とで、その合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009026856
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)とを反応させ、重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009026856
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009026856
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009026856
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009026856
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、共重合成分全体に対し1〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの分子量(Mw)は、3000〜20万が好ましく、更に好ましくは4000〜10万である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
Figure 2009026856
ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009026856
−相互作用性基を有するマクロモノマー−
重合性基及び相互作用性基を有する化合物の例としては、マクロモノマーも使用することができる。
この場合に用いられるマクロモノマーの製造方法としては、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。用い得るマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本態様に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーにおいて、有用な重量平均分子量としては、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
このような重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、主成分である重合性基及び相互作用性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドンが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用しても良いし、混合して使用してもよい。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
フィルム表面に組成物を液状のまま接触させてポリマー層を形成する場合には、任意に方法が適用できるが、塗布法にフィルム表面に組成物を適用する場合の塗布量としては、充分な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
−エネルギー付与−
フィルム表面に存在する重合開始部位に活性点を発生させるためのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用できる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするポリマーとの結合性や、光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
以上のようにして、本発明におけるポリマー層が形成される。
なお、ポリマー層の形成は、例えば、ポリマー層形成後のフィルム上に、0.1%メチレンブルー水溶液を塗布し、ポリマー層形成部分が青色に着色するのを観測することで確認することができる。
〔(B)工程〕
本工程においては、前記(A)工程にて形成されたポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する。
−無電解めっき触媒−
本工程において用いられる無電解めっき触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、ポリマーが有する相互作用性基と相互作用させることで、ポリマー層に選択的に金属コロイド(無電解めっき触媒)を吸着させることができる。
−無電解めっき触媒前駆体−
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解めっき触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でポリマー層上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO)n、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解めっき触媒である金属コロイド、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩をポリマー層上に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液をポリマー層が存在するフィルム表面に塗布するか、或いは、その溶液中にポリマー層を有するフィルムを浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、相互作用性領域上の相互作用性基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極子−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、相互作用性領域に金属イオンを含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液中の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
〔(C)工程〕
本工程では、前記(B)工程でポリマー層に付与された無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行い、金属膜を形成する。
即ち、本工程における無電解めっきを行うことで、前記(B)工程において形成されたポリマー層の内部やその上に金属膜が形成される。本工程にて形成された金属膜は、後述する(D)工程の電解めっきにおけるシード層として機能する。
−無電解めっき−
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、前記(B)工程で得られた、無電解めっき触媒が付与されたフィルムを、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体がパターン状に付与されたフィルムを、無電解めっき触媒前駆体がクラフトパターンに吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、フィルムを水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここ使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCu(SO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、めっき浴の金属塩又は金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られる金属膜は、SEMによる断面観察により、ポリマー層中に無電解めっき触媒やめっき金属の微粒子がぎっしりと分散しており、更にその上に比較的大きな粒子が析出していることが確認される。界面はポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、フィルム(有機成分)と無機物(無電解めっき触媒又はめっき金属)との界面の平滑であっても密着性が良好である。
〔(D)工程〕
本工程では、前記(C)工程で形成された金属膜をシード層として電解めっきを行う。この工程により、フィルムとの密着性に優れたシード層(無電解めっきによる金属膜)をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電解めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電解めっきにより形成される金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
−乾燥工程−
本発明の製造方法においては、前記(D)工程の後に、更に、乾燥工程を行うことが、フィルムと金属膜との密着性向上の観点から好ましい。
乾燥工程における乾燥処理は如何なる手段であってもよく、具体的には、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥、送風乾燥などの手段により行うことができる。これらの中でも、乾燥に起因するポリマー層の変質を抑制するという観点からは、常温又はその近傍の温度条件で乾燥処理を行うことが好ましい。具体的には、常温下における自然乾燥、常温条件下での減圧乾燥、及び常温送風乾燥の各乾燥処理が好ましい。
加温を行うことなく水分を可能な限り除去するという観点からは、これらの乾燥処理を、1時間以上、更には24時間以上実施することが好ましい。乾燥処理条件は、必要とされる密着性などを考慮して適宜選択すればよいが、具体的には、前記(D)工程後のフィルムを、例えば、25℃前後の温度雰囲気下で1〜3日程度、1〜3週間程度、或いは、1〜2ヶ月程度保存して乾燥する方法、通常の真空乾燥機による減圧下に1〜3日程度、或いは、1〜3週間程度、保存して乾燥する方法等が挙げられる。
このような乾燥処理を行うことにより、フィルムと金属膜との密着性が向上する作用は明確ではないが、充分な乾燥を行うことにより、密着性を低下させる要因である水分が金属部分とポリマー層との界面に保持されるのを防ぐことで、水分に起因する密着性の低下を抑制しうるものと推定している。
また、乾燥中における銅等からなる金属膜表面の酸化防止のために、乾燥工程の前に、酸化防止剤を金属膜表面に塗布することが好ましい。酸化防止剤としては、一般的に使用されるものが適用でき、例えば、アジミドベンゼン等が使用できる。
本発明においては、金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対して全面に形成する態様であってもよいし、金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対してパターン状に形成する態様であってもよい。
前者の場合は、前記(A)工程にて、異方導電性フィルムの片面又は両面における全面にポリマー層を形成し、その後、(B)〜(D)工程を行えばよい。
後者の場合には、異方導電性フィルムの片面又は両面に対して全面に金属膜を形成した後、例えば、以下に示される方法で、必要としない領域の金属膜を除去して、パターン状の金属膜を得る方法を用いればよい。また、この他の方法として、後述する第2の金属膜付フィルムの製造方法を応用して、(d)工程において凹部に金属を埋め込まない態様とすることで、パターン状の金属膜を形成してもよい。
−異方導電性フィルム上に存在する不要な領域の金属膜を除去する方法−
異方導電性フィルムの片面又は両面に存在する不要な領域の金属膜を除去する方法としては、例えば、フォトレジストを用いる方法が好ましい。より具体的には、一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、金属膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により所望の金属膜の形状と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属膜を除去し、パターン状の金属膜を形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが、装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
セミアディティブ法とは、無電解めっきにより形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属膜の不要な領域と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電解めっきを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、無電解めっきにより形成された金属膜をパターン状に除去することで、パターン状の金属膜を形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電解めっき手法としては前記(D)工程に記載の手法が使用できる。
以上のような手段により、異方導電性フィルム上に存在する不要な領域の金属膜を除去することができ、所望の金属配線を形成することができる。
<第2の金属膜付フィルムの製造方法>
次に、本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法について説明する。
本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法は、(a)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるパターン状のポリマー層を形成し、該パターン状のポリマー層の形成領域と前記異方導電性フィルムの露出部とからなる凹部を得る工程と、(b)該パターン状のポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(c)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行う工程と、(d)前記(c)工程で形成された金属膜をシード層として用い、又は、前記異方導電性フィルム中の導電体を用いて電解めっきを行い、少なくとも前記凹部に金属を埋め込む工程と、を有することを特徴とする。
つまり、本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法では、前述の本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法の(A)工程に代えて、異方導電性フィルムの片面又は両面に対して所望のパターン状のポリマー層を形成する(a)工程を有することを要する。
本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法によれば、例えば、図2に示されるように、異方導電性フィルム10の片面に、パターン状(局所的に)に、ポリマー層20と無電解めっきによる金属膜30とが順次積層されており、ポリマー層20の形成領域と異方導電性フィルム10とから形成される凹部、及び金属膜30上に電解めっきによる金属膜40が形成された金属膜付フィルム100bを得ることができる。
この製造方法によれば、凹部に埋め込まれた金属部分が導通部位となる金属膜付フィルムを得ることができる。この金属膜付フィルムは、導通部位が異方導電性フィルムに接触していることから、大きな圧力を必要とすることなく、また、異方導電性フィルムの種類によっては圧力をかけることなく導通が可能となる。
〔(a)工程〕
本工程では、パターン状のポリマー層の形成領域と異方導電性フィルムの露出部とからなる凹部を得る。ここで、「異方導電性フィルムの露出部」とは、前述の中間層(重合開始能を有する層)などの他の層や膜が存在せず、異方導電性フィルム自体の表面が露出した領域を指す。
本工程において、パターン状のポリマー層を形成するために、異方導電性フィルム上に重合性基及び相互作用性基を有する化合物を接触させた後、異方導電性フィルム表面に対しパターン状にエネルギー付与を行い、活性種(ラジカル)を部分的に発生させ、異方導電性フィルム表面の活性種と重合性基及び相互作用性基を有する化合物とを反応させる方法が用いられる。
このように、フィルム表面に部分的に発生した活性種と重合性基及び相互作用性基を有する化合物との間で表面グラフト重合反応が引き起こされることにより、この工程では、ポリマー層がパターン状に形成される。
また、パターン状のポリマー層を形成する他の方法としては、例えば、前述の表面グラフト重合法を用いて、異方導電性フィルムの表面に全体的にポリマー層を形成しておき、所望されない領域のポリマー層を除去する方法や、異方導電性フィルムに対し重合開始能を発現する層をパターン状に形成し、パターン状の重合開始能を発現する層上にポリマー層を形成する方法が用いられる。
なお、上記のいずれの方法でパターン状のポリマー層を形成する場合であっても、異方導電性フィルムの表面に中間層(重合開始能を発現する層)が形成されている場合には、その中間層も除去する必要がある。
この(a)工程において、パターン状にエネルギーを付与する方法を用いる場合には、紫外線や可視光線などを用いた走査露光や、所定のマスクパターンを介した全面露光を適用することができる。
また、(a)工程において、所望されない領域のポリマー層を除去する方法を用いる場合には、プラズマエッチング法、光化学エッチング法、エンポス加工などを用いればよい。
(a)工程において、重合開始能を発現する層をパターン状に形成する方法としては、重合開始能を発現する層を構成する各成分を含む塗布液を、例えば、インクジェット法;コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷のような印章法;スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、平版印刷のような印刷法等を用いて、異方導電性フィルムの所定の領域に塗布する手法を用いればよい。特に、インクジェット法が、パターンの解像度、プロセスの簡便性の点で好ましい。
また、重合開始能を発現する層をパターン状に形成する他の方法としては、異方導電性フィルムの表面に全体的に重合開始能を発現する層を形成しておき、所望されない領域の重合開始能を発現する層を除去する方法が挙げられる。重合開始能を発現する層を除去する方法としては、例えば、過マンガン酸カリウムなどによる従来公知のエッチング法が用いられる。この方法は、異方導電性フィルムの表面に残存する不必要な中間層の除去にも適用することができる。
更に、重合開始能を発現する層として、現像除去可能な光重合性層を用いた場合には、露光及び現像により、パターン状の重合開始能を発現する層を得ることができる。
上記のようにして、重合開始能を発現する層をパターン状に形成した後は、その層上に重合性基及び相互作用性基を有する化合物を接触させた後、異方導電性フィルム表面に対し全面にエネルギー付与を行い、重合開始能を発現する層と重合性基及び相互作用性基を有する化合物とを反応させることでパターン状のポリマー層が形成される。
ここで、エネルギー付与の方法としては、本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法の(A)工程と同様の方法が用いられる。
本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法における(a)工程は、上記のようにパターン状のエネルギー付与を行う点、又は、重合開始能を発現する層をパターン状に形成する点のみが異なるが、それ以外の方法、それに用いられる重合性基及び相互作用性基を有する化合物や異方導電性フィルムについては、本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法の(A)工程と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
本工程では、パターン状のポリマー層が形成されることで、ポリマー層の非形成領域と異方導電性フィルムの露出部とからなる凹部が形成される。この凹部には、後述する工程により、金属が埋め込まれることから、埋め込みビアとすることができる。
このビアホール(埋め込みビア)の径は、上記のように、パターン状にエネルギーを付与する際の解像度や、重合開始能を発現する層をパターン状に形成する際の解像度により決定されることから、これらの方法を選択することにより、より小径のビアホール(埋め込みビア)を形成することができる。
〔(b)工程及び(c)工程〕
(b)工程では、前記(a)工程で形成されたパターン状のポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する。
また、(c)工程では、(b)工程で付与された無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行う。
これら本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法における(b)工程及び(c)工程は、前記(a)工程で形成されたパターン状のポリマー層を有するフィルムに対して行われる点以外は、本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法における(B)工程及び(C)工程と同様の方法で行われるため、ここでは、説明を省略する。
なお、(c)工程は、作製する金属膜付フィルムの形態によっては、後述の(d)工程の後に行ってもよい。
〔(d)工程〕
本工程では、前記(c)工程で形成された金属膜をシード層として用い、又は、前記異方導電性フィルム中の導電体を用いて電解めっきを行い、少なくとも前記凹部に金属を埋め込む。
なお、本工程では、凹部に金属を埋め込むと共に、パターン状のポリマー層上に金属膜を形成してもよい。
また、本工程において、凹部に埋め込まれた金属が凸部を形成することが好ましい態様である。
この工程で用いられる電解めっき法としては、本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法における(D)工程と同様の方法が用いられるため、ここでは、説明を省略する。
本発明では、(d)工程において、異方導電性フィルムが棒状や繊維状の導電体が厚み方向に配列されているものである場合、図3(a)に示すように、ポリマー層20が形成されていない領域、すなわち異方導電性フィルム10の露出領域にのみに電圧をかけ、局所的に電解めっきを行うことができる。この方法によれば、図3(b)に示すように、凹部にのみ電解めっきによる金属40aが埋め込まれることになる。また、電解めっきの条件によっては、凹部に埋め込まれた金属40aが凸部を形成する態様とすることもできる(図3(b)参照)。
また、続いて、図3(c)に示すように、凹部に埋め込まれた金属40aに対して電圧をかけることで、図3(d)に示すように、異方導電性フィルム10の他方の面にのみ無電解めっきによる金属40bが形成され、凸部を形成することもできる。なお、金属40bが形成された後、(c)工程、即ち無電解めっきを行ってポリマー層20上に金属膜30を形成してもよい(図3(d)参照)。
このようにして作製された金属膜付フィルム100cの金属40a及び40bは、ビアの代わりとすることができ、配線の高密度化を図ることができる。
なお、図3では、電解めっき((d)工程)を行った後に無電解めっき((c)工程)を行い、更には、金属40aと金属膜30とが接触した態様を説明したが、以下のような態様であってもよい。
即ち、先に、無電解めっきを行い、ポリマー層20上に金属膜30を形成してから、無電解めっきにより、金属40a及び金属40bを形成してもよい。このように、金属膜30を形成してから金属40aを形成する場合、電解めっきにより析出しためっき金属が金属膜30と接触するまで成長すると、そのめっき金属と金属膜30との間が通電するため、金属膜30上にも電解めっきによる金属膜が形成されることになる。
また、以下の方法を用いることにより、図4に示すように、金属膜30と金属40aとが離間した形態の金属膜付フィルム100dを得ることができる。
即ち、図3に示される態様において、図3(a)に示されるように凹部に電圧をかける際、凹部よりも小さなスポットに電流を流して電解めっきにより析出するめっき金属を小さくすることで、金属膜30と金属40aとが離間した形態を得ることができる。
また、図3(b)に示されるように金属40aを形成した後、この金属40aに隣接するポリマー層20を除去することで、金属膜30と金属40aとが離間した形態を得ることができる。
なお、本発明の第2の金属膜付フィルムの製造方法により得られた金属膜付フィルムに対しても、前述のサブトラクティブ法、セミアディティブ法を用い、必要としない領域の金属膜を除去して、パターン状の金属膜を得ることもできる。つまり、異方導電性フィルム上に存在する不要な領域の金属膜を除去することで、所望の金属配線を形成することができる。
<使用態様>
本発明の第1及び第2の金属膜付フィルムの製造方法により得られた金属膜付フィルムは、以下のように用いられる。
本発明の第1の金属膜付フィルムの製造方法により得られた金属膜付フィルムは、導通させたい領域の金属膜を加圧することにより、また、異方導電性フィルムの種類によっては加圧することなく、その金属膜と他の導電性領域とを導通させることができる。
ここで、異方導電性フィルムの両面に金属膜が形成されていれば、対向する金属膜間で導通することになるため、上記の他の導電性領域とは他方の金属膜となる。また、異方導電性フィルムの片面に金属膜が形成されている場合には、異方導電性フィルム中の導電粒子や、金属膜が形成されていない面に接触している導電性領域、例えば、金属配線や金属膜と導通することになる。
上述のように、金属膜と他の導電性領域との間を導通するために加えられる圧力は、異方導電性フィルムの種類や、金属膜の膜厚などにより決定され、適宜、必要は熱若しくは圧力を付与すればよい。
具体的には、異方導電性フィルムとしてが、スリーボンド社製のスリーボンド3370Kの場合には、温度:160〜180℃、圧力:2〜3MPa、時間:20〜30secの条件で加圧することにより、導通することができる。
なお、本発明により得られた金属膜付フィルムを複数積層して多層配線基板とする場合には、形成された配線の表面を、過マンガン酸カリウムによる粗面化処理などの処理により粗面化してもよい。配線の表面を粗面化することで、配線基板間の接着性を向上させることができる。
また、多層配線基板とする場合には、例えば、スリーボンド社製のスリーボンド3373などの異方導電性接着剤を用いることができる。
なお、図4に示される金属膜付フィルム100dは多層配線基板とする際、金属膜30と金属40aとの間が離間しており導通していないため、金属40a及び40bは上下に積層する配線基板間のみを導通させるために用いられる。つまり、金属膜付フィルム100dを他の配線基板で挟み込んだ場合、金属膜30に影響を及ぼすことなく、他の配線基板間のみを導通させることができる。
本発明の金属膜付フィルムの製造方法によれば、前述したような、高密度な多層配線基板を簡易に作製しうる、及び、高密度の配線を有するシールド付配線基板を簡易に作製しうる、といった効果の他、以下に示すような優れた点が挙げられる。
本発明の製造方法により得られた金属膜付フィルムは、金属膜と異方導電性フィルムとの密着性に優れることから、より緻密な配線を形成することができる。
また、異方導電性フィルムの表面を粗面化することなく密着性に優れる金属膜が得られることから、高周波特性に優れた配線を形成することができる。即ち、高周波信号を扱い配線に適用しても、基板表面の粗さに起因する伝送損失を抑制することができるため、好ましい。特に、この効果は、異方導電性フィルムが棒状や繊維状の導電体が厚み方向に配列されているものである場合に優れる。
以下、本発明の金属膜付フィルムの製造方法の実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施形態1>
[合成例1]
(特定重合開始ポリマーAの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、〔2−(アクリロイロキシ)エチル〕(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロミド8.1gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート13.5gと、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記構造の特定重合開始ポリマーAを得た。
Figure 2009026856
[合成例2]
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーBの合成)
−モノマー1の合成−
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマー1を120.3gを得た。
次に、1000ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド40gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。モノマーA12.58g、メタクリル酸27.52g、V−601(和光純薬製)0.921gのN,N−ジメチルアセトアミド40g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで、反応溶液を冷却した後、水3.5Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し高分子化合物を30.5g得た。得られた高分子化合物をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、124,000であった。
200ml三口フラスコに得られた高分子化合物26.0g、p−メトキシフェノール0.1gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド60g、アセトン60gに溶解し、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)60.4gを滴下ロート用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸17mlを溶解させた水2Lに投入し重合性基含有ポリマーを析出させた。析出した重合性基含有ポリマーを濾取、水で洗浄、乾燥し15.6g得た。
〔(A)工程〕
まず、日立化成工業(株)製AC−2056を異方導電性フィルムとして用意する。
この異方導電性フィルムから保護シートを外し、その表面に下記の重合開始層塗布液Aを、ロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させる。
<重合開始層塗布液A>
・前記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
続いて、重合開始層が形成された異方導電性フィルムに、下記組成からなる塗布液Aをロッドバー#18を用いて塗布する。
<塗布液Aの組成形成>
・前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマーB 0.25g
・シクロヘキサノン 8.0g
得られた膜に、1.5kW高圧水銀灯を使用し1分間露光を行う。その後、得られた膜を飽和重曹水にて洗浄する。
〔(b)工程及び(c)工程〕
続いて、ポリマー層を有するフィルムを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄する。
その後、下記組成の無電解メッキ浴Aに20分間浸漬する。
<無電解メッキ浴成分A>
・OPCカッパ−H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ−H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ−H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・水 83mL
以上のようにして、図1に示される構造を有する金属膜付フィルムが得られる。
この金属膜付フィルムに対し、金属膜が形成されていない面に他の金属膜を接触させた後、鋭角な凸部を有する金属を両側から突き立てることで、金属膜の一部がポリマー層及び重合開始層を突き破り、その結果、導通することになる。
また、異方導電性フィルムの両面に、前述の方法で無電解めっきによる金属膜が形成される態様であれば、鋭角な凸部を有する金属を両側から突き立てることで、両側の金属膜の一部がポリマー層及び重合開始層を突き破り、両面間が導通することとなる。
<実施態様2>
〔(a)工程〕
まず、日立化成工業(株)製AC−2056を異方導電性フィルムとして用意する。
この異方導電性フィルムから保護シートを外し、その表面に前記の重合開始層塗布液Aを、インクジェットプリンタを用いてパターン状に塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させる。
これにより、パターン状の重合開始層が形成される。
続いて、重合開始層が形成された異方導電性フィルムに、前記組成からなる塗布液Aをロッドバー#18を用いて塗布する。
得られた膜に、1.5kW高圧水銀灯を使用し1分間露光を行う。その後、得られた膜を飽和重曹水にて洗浄する。
〔(b)工程及び(c)工程〕
続いて、パターン状のポリマー層を有するフィルムを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄する。
その後、前記組成の無電解メッキ浴Aに20分間浸漬する。
〔(d)工程〕
次いで、下記組成の電解メッキ浴Aにて15分間電解メッキする。
<電解メッキ浴Aの組成>
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
〔導通方法〕
以上のようにして、図2に示される構造を有する金属膜付フィルムが得られる。
この金属膜付フィルムに対し、金属膜が形成されていない面に他の金属膜を接触させる、或いは、金属膜が形成されていない面に更に前述の方法で無電解めっきによる金属膜を形成する。その後、凹部に埋め込まれた金属に対し両側から圧力及び熱をかけることで、凹部に埋め込まれた金属がコンタクト部となり、導通することになる。
なお、導通させる際、鋭角な凸部を有する金属を両側から突き立てる方法を用い、局所的に圧力を加えてもよい。
また、凹部に埋め込まれた金属が凸部を形成するような態様にしておくことで、圧力をかけた際、異方導電性フィルムに対しより強く食い込むようにしてもよい。
<実施形態3>
図3に示すような方法で、金属膜付フィルムを作製する。
まず、実施形態2と同様にして、異方導電性フィルム上にパターン状のポリマー層を形成する。
その後、前記電解メッキ浴Aを用い、図3(a)に示すように、ポリマー層の非形成領域にのみ電圧をかけて、電解めっきを行う。これにより、図3(b)に示すように、金属40aが形成される。
続いて、図3(c)に示すように、電圧供給面を反対にして、金属40aに対して電圧をかけ、図3(d)に示すように、金属40bを得る。
その後、実施形態2と同様にして、無電解めっきを行う。
以上のようにして、図3(d)に示される構造を有する金属膜付フィルムが得られる。
なお、金属40bが形成された面に対しても、前述の方法で、金属膜30が形成されていてもよい。
この金属膜付フィルムにおいて、異方導電性フィルム10が圧力等を必要とせず導通可能な場合には金属40a及び40bは導通していることになる。
また、異方導電フィルムの種類によっては、金属40a及び40bに対し両側から圧力及び熱をかけることで、導通することになる。
本発明により得られる金属膜付フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明により得られる金属膜付フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の金属膜付フィルムの製造方法の一例を示す概略断面図である。 本発明により得られる金属膜付フィルムの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 異方導電性フィルム
20 ポリマー層
30 無電解めっきによる金属膜
40 電解めっきによる金属膜
40a、40b 電解めっきによる金属
100a〜100d 金属膜付フィルム

Claims (7)

  1. (A)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    (B)該ポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
    (C)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行い、金属膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする金属膜付フィルムの製造方法。
  2. 更に、(D)前記(C)工程で形成された金属膜をシード層として電解めっきを行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜付フィルムの製造方法。
  3. 前記金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対して全面に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属膜付フィルムの製造方法。
  4. 前記金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対してパターン状に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属膜付フィルムの製造方法。
  5. 前記金属膜を異方導電性フィルムの片面又は両面に対してパターン状に形成する際に、フォトレジストを用いることを特徴とする請求項4に記載の金属膜付フィルムの製造方法。
  6. (a)異方導電性フィルムの片面又は両面に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該異方導電性フィルム表面と直接結合したポリマーからなるパターン状のポリマー層を形成し、該パターン状のポリマー層の形成領域と前記異方導電性フィルムの露出部とからなる凹部を得る工程と、
    (b)該パターン状のポリマー層上に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
    (c)該無電解めっき触媒又はその前駆体を用いて無電解めっきを行う工程と、
    (d)前記(c)工程で形成された金属膜をシード層として用い、又は、前記異方導電性フィルム中の導電体を用いて電解めっきを行い、少なくとも前記凹部に金属を埋め込む工程と、
    を有することを特徴とする金属膜付フィルムの製造方法。
  7. 前記(d)工程において、凹部に埋め込まれた金属が凸部を形成することを特徴とする請求項6に記載の金属膜付フィルムの製造方法。
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