JP2009024859A - 転がり軸受用軌道輪の製造方法 - Google Patents

転がり軸受用軌道輪の製造方法 Download PDF

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文志 吉田
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Abstract

【課題】外輪軌道6、6等の軌道面の加工を能率良く行なえる様にする事で、外輪2等の軌道輪の、延いてはこの軌道輪を組み込んだ転がり軸受の製造コストの低減を図る。
【解決手段】熱処理により上記軌道面となる部分を硬化させた後、この部分に、切削工具18を使用した旋盤による削り加工である荒仕上げ加工を施して、上記軌道面に近い形状とする。その後、回転砥石を使用した研削加工である仕上加工を施す。この研削加工時に削り取る量を少なくし、この研削加工を能率良く行なえる様にして、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

この発明は、各種機械装置の回転支持部に組み込む転がり軸受を構成する軌道輪の製造方法の改良に関する。具体的には、転動体の転動面を転がり接触させる為にこの軌道輪に設けた軌道面の加工を能率良く行なえる様にする事で、この軌道輪の製造コストの低減を図るものである。
自動車の車輪を懸架装置に対し回転自在に支持する為の転がり軸受の一種であるハブユニットとして、例えば図6に示す様な構造のものが広く知られている。このハブユニット1は、外輪2と、ハブ3と、複数個の転動体(玉)4、4とから成る。このうちの外輪2は、使用状態で上記懸架装置に対し支持固定されるもので、外周面にこの懸架装置に対し結合する為の外向フランジ状の取付部5を、内周面に複列の外輪軌道6、6を、それぞれ設けている。又、上記ハブ3は、ハブ本体7に内輪8を結合固定したもので、軸方向外端部(軸方向に関して外とは、上記懸架装置への組み付け時に車体の幅方向外となる側を言い、図6の左側。反対に、この車体の中央寄りとなる側を軸方向に関して内という。)に車輪を支持固定する為の回転側フランジ9を、軸方向中間部乃至内端部に複列の内輪軌道10、10を、それぞれ設けている。そして、これら両内輪軌道10、10と上記両外輪軌道6、6との間に上記各転動体4、4を、両列毎に複数個ずつ設けて、上記外輪2の内径側に上記ハブ3を、回転自在に支持している。
例えば上述の様なハブユニット1等の転がり軸受の軌道面(外輪軌道6、6及び内輪軌道10、10)等は、この軌道面となるべき部分を熱処理(焼き入れ)により硬化させた後、研磨する事で、所望の性状(寸法及び表面粗さ)に仕上げている。この様な、転がり軸受の軌道面等を研磨により仕上げる方法に関しては、例えば特許文献1〜5等に記載された、各種方法が知られている。図7〜9は、このうちの特許文献5に記載された仕上方法を示している。先ず、上記ハブ本体7の外周面で、上記回転側フランジ9の基端部分から軸方向外側の内輪軌道10を含む中間部分に掛けての部分は、図7に示す様に、第一の回転砥石11により研削加工する。又、上記内輪8の外周面の内輪軌道10は、図8に示す様に、第二の回転砥石12により研削加工する。更に、上記外輪2の内周面に設けた複列の外輪軌道6、6は、それぞれ図9に示す様な第三の回転砥石13により研削加工する。何れの場合も、回転砥石11〜13として、外周面の母線形状が、得るべき軌道面の母線形状に一致したものを使用する。従って、上記研削加工を施す前の状態での、これら各軌道面部分の母線形状は、得るべき軌道面の母線形状よりも小さめに(玉軸受の場合には母線形状の曲率半径を小さく)している。
上述の様にして、上記各軌道面を研削加工により仕上げる場合、回転砥石による削り代が多くなり、加工の能率を必ずしも良好にできない。特に、母線形状が円弧である玉軸受用の軌道面の場合には、この傾向が著しい。この点に就いて、図10を参照しつつ説明する。この図10は、内輪15の外周面に形成した単列深溝型の内輪軌道16に、回転砥石17により研削加工を施して、この内輪軌道16の性状を所望通りに仕上げる場合に就いて示している。即ち、上記内輪15及び上記回転砥石17を互いに異なる速度で回転させつつ、この回転砥石17を平行移動させて、この回転砥石17の外周面を上記内輪軌道16に押し付ける。そして、図10の上部に実線で示した形状を削り取って、この上部に鎖線で、同じく下部に実線で、それぞれ示した、所望の性状を有する上記内輪軌道16に仕上げる。
この場合に、上記内輪軌道16の各部の削り取り量を、上記内輪15の径方向の寸法で表すと、幅方向中央部の削り取り量δ0 は、上記研削加工の進行に伴う上記回転砥石17の移動量と同じであるが、幅方向端部の削り取り量δ1 は、この移動量よりもかなり多くなる。上記回転砥石17の移動は、このうちの幅方向端部の削り取りを無理なく行なえる速度で行なう必要がある為、相当緩徐に行なう必要がある。即ち、上記回転砥石17の移動速度は、幅方向中央部の削り取りの面からは必要以上に遅くなり、上記内輪軌道16の仕上加工の能率が悪化する。
上述の様な原因での仕上加工の能率悪化を防止する為には、図11に鎖線イで示す様に、仕上加工前の状態での、内輪軌道16となるべき部分の母線形状の曲率半径R1 を少し大きめにしておく事が考えられる。即ち、上記図10に示した仕上方法の場合には、図11に破線ロで示した、比較的小さな曲率半径R2 の形状から研削して、実線ハで示した、曲率半径がR3 である内輪軌道16を得る為、上記図10で説明した様な能率悪化を生じる。これに対して上述の様に、仕上加工前の状態での内輪軌道16の母線形状の曲率半径R1 を少し大きめにすれば、図11の鎖線イと実線ハとの、この図11の上下方向の距離から明らかな通り、上述の様な原因での能率悪化を防止できる。
但し、仕上加工前の状態での内輪軌道16の母線形状は、この仕上加工に先立って行なう熱処理により歪むので、上記鎖線イで示した形状を正確に得る事は難しい。従って、仕上加工前の状態での内輪軌道16の母線形状を上記鎖線イの様にする事で、この仕上加工の能率向上を図る事は、現実的には難しい。むしろ、上記熱処理による歪みを考慮して、上記内輪軌道16の幅方向端部には、十分な研削代(仕上加工により除去すべき厚さ)を確保する場合が多く、この様な場合には、上述の様な原因での、仕上加工の能率悪化が益々著しくなる可能性がある。尚、以上の説明は、単列深溝型の内輪軌道16の場合に就いて説明したが、アンギュラ型の内輪軌道の場合も、更には外輪軌道の場合も、同様に生じる。何れにしても、軌道面の仕上加工の能率悪化は、軌道輪、延いてはこの軌道輪を組み込んだ転がり軸受の製造コストを高くする原因となる為、好ましくない。
又、軌道輪の何れかの周面に設けた軌道面を研削加工により仕上げる場合、この何れかの周面又はこの周面と反対側の周面の一部で、軌道面となるべき部分以外の部分を、形状精度及び寸法精度が十分な基準面とする事が、精度の良い軌道面を得る為には好ましい。例えば、図9に示した様に、外輪2の内周面に複列の外輪軌道6、6を形成する場合、この外輪2の軸方向内端部外周面に設けた嵌合面14を、上記基準面に加工してから、これら両外輪軌道6、6の研削加工を行なう。又、図8に示した様に、内輪2の外周面に内輪軌道10を形成する場合には、この内輪10の端部でこの内輪軌道10となるべき部分から外れた部分(肩部20の外周面)を基準面に加工してから、この内輪軌道10の加工を行なう。この様な基準面を、従来は研削加工により形成していた。ところが、円筒面である基準面の加工は、上記両外輪軌道6、6又は上記内輪軌道10の加工を行なう為の回転砥石とは別個の回転砥石を使用しなければならない等、加工能率が悪く、上記外輪2又は内輪8等の軌道輪、延いてはこれら各軌道輪を組み込んだ転がり軸受の製造コストが嵩む原因となっていた。
特開平9−242763号公報 特開平10−217001号公報 特開平12−71705号公報 特開平12−234624号公報 特開2004−92830号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、軌道面の加工を能率良く行なえる様にする事で、この軌道輪の、延いてはこの軌道輪を組み込んだ転がり軸受の製造コストの低減を図るべく発明したものである。
本発明の転がり軸受用軌道輪の製造方法のうち、請求項1に記載した転がり軸受用軌道輪の製造方法は、何れかの面に全周に亙って軌道面を形成した、鋼材製の転がり軸受用軌道輪を造る為、熱処理により軌道面となるべき部分を硬化させてから、この部分に旋盤による削り加工を施した後、この部分に研削加工を施して、この部分を軌道面とする。この場合に施す研削加工は、旋削後直ちに砥粒の小さな砥石を使用する研削(超仕上による仕上研削)を行なう態様でも、或いは、旋削後、砥粒の大きな砥石での研削(荒研削)後、砥粒の小さな砥石を使用する研削(超仕上による仕上研削)を行なう態様でも良い。
この様な請求項1に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、転がり軸受を玉軸受とし、上記軌道面の断面形状を円弧形とする。
更に、この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項3に記載した様に、上記何れかの面を周面とし、上記軌道面を、この周面のうちで軸方向に離隔した2個所にそれぞれ玉の接触角の方向を互いに逆にする状態で形成されたものとする。
或いは、上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、上記何れかの面を周面とし、この周面又はこの周面と逆側の周面の一部で、軌道面となるべき部分以外の部分に、旋盤による第二の削り加工を施して基準面を形成する。その後、この基準面を利用して軌道面となるべき部分に加工を施す。この様な、基準面を利用して軌道面となるべき部分に施す加工は、例えば、請求項5に記載した様に、旋盤による削り加工後に行なう研削加工とする。
尚、上述の様に、上記何れかの周面又は、この周面と逆側の周面の一部で、軌道面となるべき部分以外の部分に、旋盤による第二の削り加工を施して基準面を形成する技術は、請求項6に記載した様に、上記請求項1に記載した発明とは独立して行なう事もできる。
上述の様に構成する本発明の転がり軸受用軌道輪の製造方法によれば、軌道面の加工を能率良く行なえる。
先ず、請求項1に記載した発明の場合には、旋盤による削り加工によりこの軌道面となるべき部分に荒仕上げを施す為、続いて行なう研削加工による削り代を少なく抑えられる。この荒仕上げの際には、被加工物である軌道輪と、バイト等の切削工具との相対的変位速度を、その時点での削り量の多少に応じて調節する事により、上記軌道面の加工量が部分的に大きく異なる場合であっても、無駄のない削り加工(荒仕上げ加工)を行なえる。又、上記軌道輪と上記切削工具との相対変位量及び相対変位速度は、従来から工作機械の技術分野で広く知られた数値制御装置(NC装置)により、容易に、且つ高精度で制御できる。従って、上記荒仕上げにより、上記軌道面となるべき部分の形状及び寸法を、この部分の全幅に亙り、完成後の軌道面に近くできて、研削加工による削り代を十分に少なくできる。この結果、熱処理後に、切削による荒仕上げ加工と、回転砥石を使用する研削加工との両方の加工を行なう事を考慮しても、上述の様に軌道面の加工を能率良く行なえる。
又、請求項6に記載した発明の場合には、旋盤による第二の削り加工を施して基準面を形成する為、この基準面の加工コストを抑えられる。即ち、旋盤による削り加工は、回転砥石を使用する研削加工よりも加工能率が高い分、上記加工コストを抑えられる。特に、請求項4、5に記載した発明の様に、請求項1に記載した発明と請求項6に記載した発明とを組み合わせると、同一或いは連続した工程により、上記軌道面の加工と上記基準面の加工とを前後して(旋盤のチャックに軌道輪を着脱する手間を増大させる事なく)行なう事が可能になり、上記加工コストの低減効果が更に大きくなる。
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例は、前述の図6に示したハブユニット1の如き複列アンギュラ型の玉軸受ユニットを構成する、外輪2の内周面に形成した、玉4、4(図6参照)に背面組み合わせ型の接触角を付与する形状を有する複列の外輪軌道6、6となるべき部分に、切削工具18による荒仕上げ加工を施す場合に就いて示している。上記外輪2は、これら両外輪軌道6、6となるべき部分を高周波加熱後に急冷する高周波焼き入れにより、少なくともこれら両外輪軌道6、6となるべき部分を焼き入れ硬化している。
この様に、予め上記両外輪軌道6、6となるべき部分を焼き入れ硬化した、上記外輪2は、旋盤の主軸の端部に設けたチャック装置を構成する把持爪21により抑え付けて、この主軸と同心に支持固定する。上記外輪2の外周面のうち、この把持爪21が把持する嵌合面14は、上記高周波焼き入れ処理を施す以前に精度の良い円筒面に加工しておく。従って、上記チャック装置により上記外輪2を上記主軸に対し、精度を確保した状態で、同心に支持できる。尚、上記高周波焼入れ処理は、上記外輪2の内径側に高周波加熱コイルを配置して行なう。この為、この高周波焼入れによる、上記嵌合面14への歪の影響は小さい。この嵌合面14は、車輪への組み付け状態で、ナックルと嵌合固定する部分である。この様に、上記把持爪21が把持する部分と、ナックルと嵌合固定する部分とを同じにすれば、上記歪の影響が、上記外輪2を上記ナックルへの嵌合固定に支障ない程度に小さければ、この部分に施す表面加工を一度で済ませる事ができる。但し、上記把持爪21が把持する部分と、ナックルと嵌合固定する部分とを別にしたり、或いは、上記歪の影響が大きい場合には、表面加工をそれぞれの部分に行なう必要がある。上述の様に、上記主軸に上記外輪2を支持固定した状態で、上記両外輪軌道6、6となるべき部分に、上記切削工具18の刃先19を突き当て、これら両外輪軌道6、6となるべき部分に荒仕上げ加工を施す。具体的には、これら両外輪軌道6、6となるべき部分を、この部分の形状及び寸法が、完成後の外輪軌道6、6よりも少しだけ小さめとなるまで削り取る。即ち、熱処理後に於ける上記部分の形状及び寸法が、図2の破線aで示すものであり、完成後の外輪軌道6、6の形状及び寸法が図2の実線bで示すものである場合に、上記荒仕上げ加工により上記部分を、図2の鎖線cに示す状態にまで削り取る。
この荒仕上げ加工時には、上記主軸により上記外輪2を回転させつつ、上記切削工具18の刃先19を、上記両外輪軌道6、6となるべき部分を倣う様に変位させる。この変位は、数値制御装置からの指令に基づき、上記切削工具18を支持した刃物台を上記外輪2の軸方向(図1の左右方向)に変位させつつ、径方向(図1の上下方向)に変位させる事により行なう。この場合に、軸方向の変位量と径方向の変位量とを互いに関連させつつ調節して、上記刃先19を、上記両外輪軌道6、6となるべき部分に倣って変位させつつ、これら両外輪軌道6、6となるべき部分に存在する焼き入れ硬化層の一部を削り取る。この際、必要に応じて、シールリングの外周縁を係止する為の係止溝等も形成する。
この様にしてこれら両外輪軌道6、6となるべき部分に荒仕上げ加工を施す場合に、上記外輪2と上記切削工具18との相対的変位速度を、その時点での削り量の多少に応じて調節する。即ち、上記両外輪軌道6、6となるべき部分のうち、軸方向に対する傾斜角度が大きい、上記外輪2の軸方向中央寄り部分は、図10により前述した通り加工量が多くなるので、上記変位速度を遅くする。これに対して、上記両外輪軌道6、6となるべき部分のうち、軸方向に対する傾斜角度が小さい、これら各部分の幅方向中央部は加工量が少なくなるので、上記変位速度を速くする。この様に変位速度を調節する事も、上記数値制御装置からの指令により、容易に行なえる。従って、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の全幅に亙り、無駄のない削り加工を行なえて、これら両外輪軌道6、6となるべき部分の荒仕上げ加工を能率良く行なえる。
又、本例の場合には、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の断面形状の中心角α(図4参照)と上記切削工具18の刃先19の角度β(図1参照)との関係を適正に規制する事により、この切削工具18を上記外輪2の軸方向及び径方向に変位させるだけで、上記両外輪軌道6、6となるべき部分を、全幅に亙り切削できる様にしている。この点に就いて、図3〜4を参照しつつ説明する。
上記両外輪軌道6、6となるべき部分の断面形状は、図4に示す様に、当該断面形状の曲率中心Oを通り上記外輪2の径方向に向いた仮想直線イに関して、非対称である。即ち、この仮想直線イよりもこの外輪2の中央寄り部分に関する中心角αaL(αbL)が、同じく端部寄り部分に関する中心角αaS(αbS、このαbSに関しては図示省略)よりも大きく(αaL>αaS、αbL>αbS、α=αaL+αaS=αbL+αbS、αaL=αbL、αaS=αbS)なっている。
この様な、それぞれが上述の様な非対称形状である1対の外輪軌道6、6となるべき部分に、単一の切削工具18により荒仕上げ加工を行なえる様に、これら両外輪軌道6、6となるべき部分の断面形状のうち、上記仮想直線イから、上記外輪2の幅方向中央側端縁までの間の断面形状に関する中心角の和(αaL+αbL)を、180度から上記切削工具18aの刃先角度βを減じた値以下とする{(αaL+αbL)≦(180−β)}。尚、上記両外輪軌道6、6となるべき部分を単一の切削工具18により荒仕上げ加工できる様にする為には、上記条件に加えて、上記仮想直線イよりもこの外輪2の中央寄り部分に関する中心角αaL、αbLに関しても、上記刃先角度βとの関係で規制する。即ち、これら両中心角αaL、αbLを、90度から上記刃先角度βの1/2を減じた値以下(αaL、αbL≦90−β/2)とする。そして、上記切削工具18の中心線を上記外輪2の径方向に一致させる。尚、上記刃先19の形状は、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の幅方向に関して対称にしている。
上記刃先19の形状を対称にすると共に、上記各角度αaL、αaS、αbL、αbS、βの値を上述の様に規制する事で、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の幅方向両端部に関しても、上記刃先19を突き当てられる様にしている。従って、これら両外輪軌道6、6となるべき部分に対する上記切削工具18の角度を変更しなくても(上記刃先19を図1に示した状態から何れかの方向に傾斜させなくても)、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の全幅を切削加工できて、前記荒仕上げ加工を容易に行なえる。尚、上記切削工具18としては、刃先19の角度βが35度のものが市販されている。従って、上記仮想直線イから上記幅方向中央側端縁までの間の断面形状に関する中心角の和「αaL+αbL」を145度以下とすれば、上記切削工具18として市販のものを使用してこの切削工具18の調達コストの低減を図り、且つ、上記荒仕上げ加工を能率良く行なえる。
上述の様な条件で、上記切削工具18により上記両外輪軌道6、6となるべき部分に、それぞれの全幅に亙り荒仕上げ加工を施して、これら両外輪軌道6、6となるべき部分の形状を、完成後の外輪軌道6、6よりも少しだけ小さくする。即ち、上記荒仕上げ加工により上記両外輪軌道6、6となるべき部分を、図2の破線aに示した状態から鎖線cに示す状態にまで削り取る。尚、削り取り作業は、単一の切削工具18により、上記両外輪軌道6、6同士、時間的に前後して行なうので、これら両外輪軌道6、6同士の間隔を適正にする為の制御が容易になる。即ち、数値制御装置により上記切削工具18の移動量を制御するのみで、上記両外輪軌道6、6同士の間隔を適正にできる。互いに別々の切削工具により削り加工する場合の様に、旋盤に対するこれら各切削工具の取付位置関係(刃先同士の間隔)を厳密に規制する必要はない。この為、図2の鎖線cで表される、上記両外輪軌道6、6となるべき部分の荒仕上げ後の形状と、同じく実線bで表される、完成後のこれら両外輪軌道6、6の形状との間に、差を設定(鎖線cと実線bとが交差したり重なったりするのを防止)しつつ、この差を僅少に抑える作業が容易になる。従って、面倒な作業を必要とせずに、次述する、回転砥石による仕上加工時の削り代を極く僅少に抑えられる。
尚、上記荒仕上げ加工を行なう際に、熱処理に基づいて上記外輪2の表面に形成された酸化膜を除去したり、保持器やシールリング等の他の部材とこの外輪2との干渉を防止する為、この外輪2の内周面の端部及び中央部等、上記両外輪軌道6、6以外の部分にも、併せて旋削加工を施す事もできる。即ち、上記外輪2の内周面には、上記熱処理に基づく酸化膜が存在するので、上記荒仕上げ加工時にこの外輪2の内周面に、全幅全周に亙って上記旋削加工を施せば、上記酸化膜を除去して、異物となる酸化膜の破片等が付着しない、良質な外輪2を得られる。更には、玉4、4(図6参照)との組み合わせ時にこれら各玉6、6の転動面に傷を付けにくくすべく、上記外輪2の内周面全体に荒仕上げ加工を施す事もできる。特に、上記両外輪軌道6、6の内径が異なる、所謂異径PCD用の外輪の場合、形状が複雑な為、熱処理に伴う変形が大きくなるので、上記荒仕上げ加工により、上記外輪2の内周面の性状を整える事の有効性が高くなる。
上述の様にして、上記両外輪軌道6、6となるべき部分に荒仕上げ加工を施した後、これら両外輪軌道6、6となるべき部分に回転砥石による研削加工である仕上加工を施し、これら両外輪軌道6、6となるべき部分の性状(形状、寸法、表面粗さ)を所望に仕上げて、上記両外輪軌道6、6とする。上記仕上加工は、前述した従来の製造方法の場合と同様、例えば図9に示す様に、第三の回転砥石13により行なう。
尚、上記研削加工を施す以前に、上記外輪2の軸方向中央部外周面に設けた、予備基準面22を、図1に鎖線で示す円筒面状の基準面23に加工する事もできる。即ち、第二の切削工具24により上記予備基準面22に旋削加工を施し、この予備基準面22を、上記第三の回転砥石13による研削加工の際の基準面23とする事もできる。この様な基準面23を旋削加工する作業と、上記両外輪軌道6、6に荒仕上げ加工を施す作業とは、上記外輪2を旋盤のチャックに把持した状態のまま、同時、或いは連続した工程により行なう。従って、上記予備基準面22の加工を能率良く行なえる。尚、予備基準面の位置は、上記外輪2の周面のうちの上記両外輪軌道6、6を形成している部分以外の周面ならば、図1に示した位置に限らない。例えば、図1では、前記把持爪21は、上記外輪2の外周面一端部(図1の左側)を支持しているが、この把持爪21が、外周面他端部(図1の右側)を支持する様な場合には、上記嵌合面14を予備基準面として、上記第二の切削工具24によりこの嵌合面14に旋削加工を施し、基準面とする事もできる。この際には、上記把持爪21が把持する上記外周面他端部には、上記外輪2に高周波焼入れ処理を施す前に、表面加工を施して精度良い円筒面状としておく。
本発明の製造方法は、図1〜4に示す様な複列アンギュラ型の外輪軌道の加工に限らず、単列アンギュラ型の外輪軌道、複列或いは単列の深溝型の外輪軌道、各型式の内輪軌道の加工に適用できる。何れの場合でも、切削工具を軌道輪の軸方向及び径方向に平行移動させるのみで軌道面の荒仕上げを行なえる様にすべく、軌道面の断面形状の中心角と上記切削工具の刃先の角度とを規制する事が好ましい。例えば、図5に示す様に、複列玉軸受を構成する外輪2aの内周面の軸方向に離隔した2個所位置に形成した、それぞれが深溝型である1対の外輪軌道6a、6aに荒仕上げ加工を施す場合には、これら両外輪軌道6a、6a中心角αを、180度から切削工具18の刃先19(図1参照)の角度βを減じた値以下(α≦180−β)とする。
本発明の実施の形態の1例で、外輪内周面の外輪軌道に荒仕上げ加工を施す状態を示す断面図。 加工工程での外輪軌道の形状を示す、図1のA部に相当する拡大断面図。 外輪を取り出して示す断面図。 図3のB部拡大図。 外輪の別形状を示す断面図。 ハブユニットの1例を示す断面図。 従来方法によりハブユニット本体に仕上加工を施す状態を示す断面図。 同じく内輪に仕上加工を施す状態を示す断面図。 同じく外輪に仕上加工を施す状態を示す断面図。 従来方法の問題点を説明する為の、内輪と回転砥石とを示す断面図。 同じく内輪軌道部分の拡大断面図。
符号の説明
1 ハブユニット
2、2a 外輪
3 ハブ
4 転動体(玉)
5 取付部
6、6a 外輪軌道
7 ハブ本体
8 内輪
9 回転側フランジ
10 内輪軌道
11 第一の回転砥石
12 第二の回転砥石
13 第三の回転砥石
14 嵌合面
15 内輪
16 内輪軌道
17 回転砥石
18 切削工具
19 刃先
20 肩部
21 把持爪
22 予備基準面
23 基準面
24 第二の切削工具

Claims (6)

  1. 何れかの面に全周に亙って軌道面を形成した、鋼材製の転がり軸受用軌道輪を造る為、熱処理によりこの軌道面となるべき部分を硬化させてから、この部分に旋盤による削り加工を施した後、この部分に研削加工を施して、この部分を軌道面とする転がり軸受用軌道輪の製造方法。
  2. 転がり軸受が玉軸受であり、軌道面の断面形状が円弧形である、請求項1に記載した転がり軸受用軌道輪の製造方法。
  3. 何れかの面が周面であって、軌道面が、この周面のうちで軸方向に離隔した2個所にそれぞれ玉の接触角の方向を互いに逆にする状態で形成されている、請求項2に記載した転がり軸受用軌道輪の製造方法。
  4. 何れかの面が周面であって、この周面又はこの周面と逆側の周面の一部で、軌道面となるべき部分以外の部分に、旋盤による第二の削り加工を施して基準面を形成した後、この基準面を利用して軌道面となるべき部分に加工を施す、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した転がり軸受用軌道輪の製造方法。
  5. 基準面を利用して軌道面となるべき部分に施す加工が、旋盤による削り加工後に行なう研削加工である、請求項4に記載した転がり軸受用軌道輪の製造方法。
  6. 何れかの面に全周に亙って軌道面を形成した、鋼材製の転がり軸受用軌道輪を造る為、この何れかの周面又はこの周面と逆側の周面の一部で、軌道面となるべき部分以外の部分に、旋盤による第二の削り加工を施して基準面を形成すると共に、熱処理によりこの軌道面となるべき部分を硬化させた後、この基準面を利用してこの部分に研削加工を施し、この部分を軌道面とする転がり軸受用軌道輪の製造方法。
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