JP2009024150A - 近赤外線吸収材料、これを含む近赤外線吸収組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規のジチオール系重合体からなる近赤外線吸収材料、該近赤外線吸収材料を含有する近赤外線吸収組成物、前記近赤外線吸収材料を含む層を有する積層体、前記近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルムおよび前記近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルターに関する。更に詳細には、半導体受光素子用、プラズマディスプレイ用、液晶ディスプレイ用などの光学フィルターやその他種々の近赤外線吸収あるいは近赤外線カットフィルター、近赤外線吸収あるいは近赤外線カットフィルム、さらには光学記録用色素、レーザーマーキング用近赤外線吸収材料、レーザー溶着における近赤外線吸収材料など種々の用途において有用に用いられる、前記近赤外線吸収材料、これら近赤外線吸収材料を含む層を有する積層体、前記近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルムおよび前記近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルターに関する。
近赤外部に吸収を有する近赤外線吸収材料としては、種々のものが知られている。これら近赤外線吸収材料の中で、有機ニッケル系錯体は、一般に950nm〜1200nmの近赤外部に吸収を有し、近赤外線吸収材料として優れた性質を有している。そして主な用途として、近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などの用途に用いられている。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルターにも用いられている。
一方、プラズマディスプレイ(PDP)では、発光素子が800〜1050nmのネオンガスの輝線を発し、これにより近赤外線リモコンを用いた機器の誤作動が発生するという問題がある。これを解決するためにPDPには近赤外線を吸収するフィルターが用いられているが、このフィルターには優れた可視透過性が求められる。また、このフィルターに用いられる色素には高い熱安定性、高耐光性も要求されているが、材料劣化によるフィルターの色度変化・近赤外線吸収能力の低下が課題となっている。
また、カメラやビデオカメラ等の光学機器では、光信号を電気信号に変換するために、シリコンダイオード素子、相補型金属酸化物半導体(CMOS)や電荷結合素子(CCD)等が使用される。これらの光−電気変換素子(以下、「光学素子」という)は、300〜1100nmという広範囲の光感応領域を有するので、人間の目の視感度400〜700nmと比較すると、近赤外領域で強く感応することになる。一般に、カメラやビデオカメラのような光学機器では、人間の視感度領域の波長光に感応することが必要で、この領域から外れた波長光はむしろ好ましくなく、測光や色再現性に支障をきたすこととなる。したがって、この場合、可視光線を透過し、かつ、近赤外領域の光を効率よく吸収カットする光学フィルターが必要となる。
上記CCD、CMOS用フィルターとしてりん酸エステル銅化合物を樹脂に分散したもの(例えば、特許文献1〜5参照)、ローパス機能と視感度補正機能を有する複合光学フィルター(例えば、特許文献6参照)ホスフィン酸化物をモノマーの一成分として重合させた樹脂からなるフィルター(例えば、特許文献7参照)等があるが、耐久性・透明性という点では必ずしも満足できるものではない。
また、近赤外線吸収材料としてジチオール系錯体も知られている。公知のジチオール系錯体近赤外線吸収材料としては、ビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献8、9参照)、ビス(1,2−アセナフチレンジチオラト)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献10参照)、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体(例えば、特許文献11参照)、アルコキシ基を有するビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献12参照)が挙げられる。また、高分子ジチオール錯体ではジチオラートニッケル高分子錯体(例えば、特許文献13参照)、ビスジチオレン錯体ポリマー(例えば、特許文献14参照)等が知られている。ビスジチオレン錯体ポリマーは、〜800nmと比較的短波長に吸収波長領域があり、一般的な近赤外線吸収材料用途としては不適である。また錯体骨格部位に置換基を持たないため溶解性に乏しいという欠点があった。また多核型チオール錯体(例えば、特許文献15参照)あるいは4級ホスホニウムビス(シス−1,2−エチレンジチオラト)ニッケレート誘導体(例えば、特許文献16参照)、二級アルキル基を有するジチオレート金属錯体(例えば、特許文献17参照)も長波長吸収材料として知られているが、溶媒に対する溶解性が低い、樹脂との相溶性に乏しい、あるいは低い温度に融点を持ち耐熱性に欠けるなど、実用的ではなかった。
同様に近赤外線吸収化合物としてフタロシアニン系材料が知られている。このようなフタロシアニン系材料として、置換基を有するフタロシアニン化合物もしくはナフタロシアニン化合物(例えば、特許文献18参照)、アミノ基を有するフタロシアニン化合物(例えば、特許文献19〜23参照)、含フッ素フタロシアニン化合物(例えば、特許文献24、25参照)等が知られている。
さらに、ジイモニウム系色素は、長波長(950nm〜1100nm)を幅広く吸収し、かつ可視光の透明性も極めて良好な材料であり、種々のものが知られている(例えば、特許文献26〜29参照)。そしてこの色素は、高い溶解性、樹脂相溶性をも有している。しかし、耐熱性や耐光性は、必ずしも満足できるものではない。
また、特殊な例ではオレフィンコポリマーを置換基としてもつジチオールニッケル錯体(例えば特許文献30)も知られているが、合成過程も長く、合成の難易度が高いこと、また色素が樹脂に連結されているため合成後色素の濃度を調節することが難く、合成毎にモル吸光係数がばらつくことを考えると明らかに実用的ではない。
上記近赤外線吸収材に用いられる近赤外線吸収色素は、一般的に、溶媒に溶解させた後、樹脂と混合してプラスチック等の基板にコーティングするか、あるいは樹脂と加熱混練されて、フィルム状、シート状、板状あるいはその他の形状に成形されて用いられる。そのため、上記近赤外線吸収色素には、溶媒に対する溶解性や樹脂との相溶性等に優れていることが求められる。さらに、上記近赤外線吸収材料は、屋外で使用される場合もあるので、近赤外線吸収色素自身にも高い耐久性、熱安定性等が要求される。
従来近赤外線吸収色素として用いられている、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ビスジチオベンジルニッケル錯体類等は、近赤外線吸収材料として配合されて用いられたとき、必ずしも満足すべき効果を示しているとはいえない。例えば、フタロシアニン類は、種々の置換基で置換されて、溶媒への溶解性を向上させているが、その結果、耐光性、熱安定性等が劣ったものとなっている。また、吸収スペクトルがシャープであるため近赤外線を吸収できる波長範囲が小さい。一方、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類は、製造が比較的容易であること、耐久性が良好という等の点においては優れているが、溶媒への溶解性が小さく、また樹脂との相溶性に劣るという問題がある。
すなわち、溶媒への溶解度が小さいと、近赤外線吸収材料を溶媒に溶解させて用いるときに、基板として用いるガラス、紙または樹脂の表面に、近赤外線を遮断するのに十分な量の色素を含有させることが困難となる。十分な量の色素を含有させるべく膜厚を厚くした場合、色素分子同士のスタッキングにより可視光領域に新しい吸収帯が現れ、可視光の透過率の減少を引き起こす。また、分子間相互作用が大きくなり、結果として近赤外線吸収特性の低下を招く。また、近赤外線吸収材料をモノマーと混合し、このモノマーを重合硬化させて近赤外線吸収部材とするときも、モノマーへの溶解度が小さいと、十分な量の色素を含有させることが困難となり、一方、十分な量の色素を含有させるべく溶解度以上の色素を含有させた場合、未溶解の色素が原因となって、近赤外線吸収層が部分的に不透明になるという問題が生じる。さらに、上記近赤外線吸収材料と樹脂との相溶性が悪いと均一な近赤外線吸収特性を有する層を得ることができないという問題も生じる。
さらに、色素の溶媒に対する溶解性、樹脂に対する相溶性が低いと、近赤外線を遮断するのに十分な量の色素を含有させることが困難となる上、可視光の透明性、長波長(800〜1100nm)の吸収も低くなり、耐性も低くなる。
一方、物質同士の溶解度すなわち相溶性を評価する基準としてHansen溶解度パラメーター(SP値)が用いられ、単位は(cal/cm3)1/2で表される。なお、以下では、Hansen溶解度パラメーター(SP値)を、単に「溶解度パラメーター」あるいは「SP値」と略記する。近年溶解度パラメーターについての理論や計算方法は、急速に進歩し、化学工業における溶媒選択の際の溶液物性の予測等に有効な方法として使用頻度が高まっている。溶解度パラメーターは、分散力(δd)、分子の永久双極子間に生じる力(δp)、分子の水素結合力(δh)から成り、物質同士のSP値が離れているものはそれぞれが相溶性に乏しく、近いものは溶解しやすい(山本秀樹著、「SP値 基礎・応用と計算法」、株式会社情報機構、2006年4月3日第4刷)。従来の近赤外線吸収組成物および近赤外線吸収フィルターでは、近赤外線吸収材料を樹脂と混合するときそれぞれのSP値の違いから、近赤外線吸収材料を均一に溶解できにくい、または濁りのあるフィルターとなってしまう、などの問題があった。また、どのような構造の化合物であれば、耐光性、耐熱性に優れ、しかも樹脂との相溶性、溶媒への溶解性がよく、これにより透明性、耐久性に優れた近赤外線吸収膜あるいは組成物が得られるのかを予測することは難しい。
したがって、本発明の目的は、製造が容易で、溶媒への溶解性、樹脂との相溶性が良好であり、しかも近赤外吸収領域が広く、耐熱性、耐久性に優れた近赤外線吸収材料を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を含有する近赤外線吸収組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を含有する近赤外線吸収組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を少なくともその一層に含有する近赤外線吸収性積層体あるいは上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を含む樹脂フィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を含有する光学フィルターを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料を含有する光学フィルターを提供することである。
本発明は、下記近赤外線吸収材料、近赤外線吸収組成物、積層体、樹脂フィルムおよび、光学フィルターに関する。
[1] 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料。
(式中、Mは金属原子を表し、R1〜R20のいずれか一つは直接結合を表わし、他の一つは下記一般式(2)で表される二価の基を表し、残りは各々独立に、水素原子または置換基を表す。)
(式中、X1〜X4は直接結合もしくは−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換もしくは未置換のイミノ基を表し、
Ar1およびAr2は、置換もしくは未置換のアリーレン基または置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基を表し、
nは自然数を表し、
Yは直接結合もしくは未置換のアルキレン基、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換イミノ基もしくは下記の二価有機残基Aのいずれかを表す。)
Ar1およびAr2は、置換もしくは未置換のアリーレン基または置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基を表し、
nは自然数を表し、
Yは直接結合もしくは未置換のアルキレン基、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換イミノ基もしくは下記の二価有機残基Aのいずれかを表す。)
[2] 上記[1]に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R10のうちのいずれか一つが直接結合であり、R11〜R20のうちのいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[3] 上記[1]に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R6〜R10のいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[4] 上記[1]に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R1〜R5の他の一つが一般式(2)で表される二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、X1〜X4の少なくとも一つがエーテル結合および/またはAr1およびAr2が置換もしくは未置換のフェニレン基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[6] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、X1〜X4の少なくとも一つがエーテル結合であり、Ar1およびAr2が置換もしくは未置換のフェニレン基であり、かつYが上記二価有機残基Aのうちのいずれかであることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、近赤外線吸収材料は一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する単重合体であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[8] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、該近赤外線吸収材料は、繰り返し単位として一般式(1)で表わされる繰り返し単位の二種以上を有する共重合体であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
[9] 上記[2]〜[4]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、一般式(2)で表わされる二価の基が結合されていないベンゼン環がオルト位に置換基を有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
[10] バインダー樹脂と、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料とを含んでなる近赤外線吸収組成物。
[11] 上記[10]に記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂および前記近赤外線吸収材料それぞれのHansen溶解度パラメーターである分散力(δd)、分子の永久双極子間に生じる力(δp)、分子の水素結合力(δh)が、7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[12] 上記[10]または[11]に記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂100重量部に前記近赤外線吸収材料が0.01〜20重量部配合されていることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[14] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[15] 上記[10]〜[14]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が、さらに溶剤を含むことを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[16] 上記[10]〜[15]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記近赤外線吸収材料が、前記一般式(1)で表される近赤外線吸収波長の異なる二種以上の近赤外線吸収材料からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[17] 上記[10]〜[16]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が、さらに下記一般式(11)で表される近赤外線吸収材料を含むことを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(式中、Mは金属原子を表し、R50〜R53は置換もしくは未置換のアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または置換もしくは未置換のシリル基、置換もしくは未置換のアシル基を表し、同一配位子中の2つのRは互いに結合して環を形成しても良く、また一価の塩となっていても良い。)
[18] 上記[17]に記載の近赤外線吸収組成物において、一般式(11)におけるR50〜R53が下記一般式(12)で表される一価の有機残基であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(式中、X5は直接結合または−O−、−S−、−CO−、置換もしくは未置換のイミノ基を表し、n1は自然数を表し、n2は0または自然数を表し、R54〜R58は水素原子または置換基を表す。)
[19] 上記[18]に記載の近赤外線吸収組成物において、X5が直接結合または−O−であって、かつn2が1であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[20] 上記[18]または[19]に記載の近赤外線吸収組成物において、R54および/またはR58が置換基であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[21] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂が粘着剤または接着剤であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[22] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が塗布剤であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[23] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がプラズマディスプレイ用であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[24] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がレーザー溶着用であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[25] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がレーザーマーキング用であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[26] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が熱線遮断材用であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[27] 上記[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がLED用であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
[28] 基材上に、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料または[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を含む層が形成されてなる積層体。
[29] 上記[28]記載の積層体において、該積層体が粘着シートであることを特徴とする積層体。
[30] 上記[28]または[29]に記載の積層体において、基材が透明基材であることを特徴とする積層体。
[31] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の近赤外線吸収材料または[10]〜[20]のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を含む樹脂フィルム。
[32] 上記[28]〜[30]のいずれかに記載の積層体または[31]記載の樹脂フィルムを含んでなる光学フィルター。
[33] 上記[32]記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがプラズマディスプレイ用であることを特徴とする光学フィルター。
[34] 上記[32]記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターが液晶ディスプレイ用であることを特徴とする光学フィルター。
[35] 上記[32]記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがCCDカメラ用であることを特徴とする光学フィルター。
[36] 上記[32]記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがCMOSイメージセンサ用であることを特徴とする光学フィルター。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料は、製造が容易であり、耐光性、耐熱性に優れ、800nm〜1100nmの近赤外域に幅広い吸収を持つ重合体で、近赤外線吸収材料として有用な材料である。また、本発明の近赤外線吸収材料のSP値は、近赤外線吸収組成物において用いられるバインダー樹脂および溶剤のSP値に近いことから、従来の近赤外線吸収材料に比べ樹脂および溶剤との相溶性がよく、このため近赤外線吸収組成物における近赤外線吸収材料の含有量を従来のものより増大することができる。したがって、本発明の近赤外線吸収材料を含有する近赤外線吸収組成物は薄い膜でも近赤外線吸収性が良好で、可視光領域の光透過率も高く、耐久性の優れた膜を形成することができる。
また、本発明の近赤外線吸収組成物は基材に塗布することにより被膜を形成することができるが、それ自体で樹脂フィルムを形成することもできる。得られた近赤外線吸収性膜、この膜を有する積層体および近赤外線吸収性樹脂フィルムは、プラズマディスプレイ用、液晶ディスプレイ用、CCDカメラ用またはCMOSイメージセンサ用などの光学フィルターとして、また省エネルギー用として用いられる熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体やレーザー溶着、電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体など種々の用途に好ましく用いることができる。
本発明は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する新規な近赤外線吸収材料、この新規な近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収組成物、前記近赤外線吸収材料または前記近赤外線吸収組成物を含む層を有する積層体、前記近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収樹脂フィルム、これら近赤外線吸収積層体や近赤外線吸収樹脂フィルムを含む近赤外線吸収フィルターに関する。
以下、本発明の新規な近赤外線吸収材料から具体的に説明する。本発明の近赤外線吸収材料である一般式(1):
で表される繰り返し単位を有する重合体において、Mは金属原子を表し、R1〜R20のいずれか一つは直接結合を表わし、他の一つは一般式(2):
(式中、X1〜X4、Ar1およびAr2、nおよびYは、前記定義したとおりのものを表す。)
で表される二価の基を表し、残りは各々独立に、水素原子または置換基を表す。
で表される二価の基を表し、残りは各々独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(1)におけるMの金属原子は、金属原子であればよく特に限定はないが、ニッケル、コバルト、白金、パラジウムもしくは銅が好ましく、ニッケルが更に好ましい。
また、R1〜R20の「置換基」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のチオアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、モノもしくはジ置換アミノ基、水酸基、メルカプト基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、また、「置換基」は、隣接した置換基同士で置換もしくは未置換をもつ共役もしくは非共役の環を形成しても良い。好ましい「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数が1〜20のアルキル基、もしくはアルコキシ基、もしくはモノまたはジ置換アミノ基が挙げられる。また、隣接した置換基同士で置換もしくは未置換をもつ共役もしくは非共役の環としては、例えば、隣接した置換基同士で5ないし7員環の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が含まれてもよい脂肪族、炭素環式芳香族、複素環式芳香族、複素環が挙げられ、これらの環は任意の位置にさらに置換基を有してもよい。以下、これらの基についてさらに詳細に説明する。
上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のアルキル基は、置換もしくは未置換のアルキル基であればよく、特に限定されるものではない。またアルキル基は直鎖でも、分岐したものでも、環化したシクロアルキル基であってもよい。置換もしくは未置換のアルキル基を具体的に示すと、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基などが挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のアルコキシ基は、置換もしくは未置換のアルコキシ基であればよく、特に限定されるものではないが、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のチオアルコキシ基は、置換もしくは未置換のチオアルコキシ基であればよく、特に限定されるものではないが、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成するモノまたはジ置換アミノ基は、モノまたはジ置換アミノ基であればよく、特に限定されるものではないが、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(アセトオキシメチル)アミノ基、ビス(アセトオキシエチル)アミノ基、ビス(アセトオキシプロピル)アミノ基、ビス(アセトオキシブチル)アミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、p−tert−ブチルフェニキシ基、3−フルオロフェニキシ基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のアリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニレニル基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシアノフェニル基、o−,m−およびp−トリル基、キシリル基、o−,m−およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する置換もしくは未置換のヘテロアリール基としては、例えばチオニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フルフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、2−メチルピリジル基、3−シアノピリジル基等が挙げられる。
また、上記R1〜R20の「置換基」を構成する、隣接した置換基の結合によって形成された置換もしくは未置換をもつ共役もしくは非共役の環としては、例えば置換シクロヘキシル基、ナフチル基などが挙げられる。
一方、上記一般式(2)において、X1〜X4は直接結合もしくは−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換もしくは未置換のイミノ基を表し、好ましくはエーテル結合基、エステル結合基、置換もしくは未置換のイミノ基である。
また、一般式(2)におけるAr1およびAr2は、置換もしくは未置換のアリーレン基または置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基を表し、好ましくは置換もしくは未置換のフェニレン基である。
上記置換もしくは未置換アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜60の単環または縮合環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基である。具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントロリンジイル、ピレンジイル、トリフェニレンジイル、ベンゾフェナントロリンジイル、ペリレンジイル、ペンタフェニレンジイル、ペンタセンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。これら置換基としては、上記R1〜R20の置換基と同様なものが挙げられる。
また、上記置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基が挙げられ、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数4ないし30の5員または6員の芳香族ヘテロ環基である。芳香族ヘテロ環基の具体例としては、ピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。これら置換基としては、上記R1〜R20の置換基と同様なものが挙げられる。
また、一般式(2)において、nは自然数を表し、Yは直接結合もしくは未置換のアルキレン基、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換イミノ基もしくは下記の二価有機残基Aのうちのいずれかを表す。なお、置換イミノ基の置換基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が好ましいものとして挙げられる。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位としては、好ましくは(イ)R1〜R10のうちのいずれか一つが直接結合であり、R11〜R20のうちのいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基である繰り返し単位、(ロ)R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R6〜R10のいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基である繰り返し単位、あるいは(ハ)R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R1〜R5の他の一つが一般式(2)で表される二価の基である繰り返し単位が挙げられ、より好ましくは、次の一般式(4)〜(7)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式(4)〜(7)において、M、R1〜R20、X1〜X4、Ar1、Ar2、Y、nは、上記一般式(1)および(2)で記載したものと同じものを表わす。
前記一般式(1)の繰り返し単位には、一般式(2)の二価の基を構成する置換基を含め置換もしくは未置換のアリールを有することから、分散力(δd)が増大される。中でも、特にフェニル基のR1〜R20としてハロゲン原子、カルボニル基を有する基などが用いられることにより、分子の永久双極子間に生じる力(δp)も増大される。さらに、一般式(2)のX1〜X4として、スルフィド結合基、エーテル結合基、ウレタン結合基、アミド結合基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、置換もしくは未置換のアルキレン基などを用いることにより、近赤外線吸収材料のδhおよびδpを増大させることが可能である。本発明の近赤外線吸収材料は、一般式(1)の基本骨格を有することにより、SP値は7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0となる。また、上記一般式(4)〜(7)で表される繰り返し単位を含め、一般式(1)で表される繰り返し単位においては、一般式(2)で表わされる二価の基が結合されていないベンゼン環の少なくとも1つのベンゼン環のオルト位に置換基が置換されている場合、特に溶剤に対する溶解性の向上が見られる。これらベンゼン環のオルト位の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数が1〜20のアルキル基、例えば、塩素原子、メチル基などが好ましいものとして挙げられる。また、ベンゼン環の置換基がアルコキシ基、もしくはモノまたはジ置換アミノ基である場合は、一般式(2)で表わされる二価の基が結合されていないベンゼン環のパラ位に置換する場合が好ましい。
近赤外線吸収材料のSP値を7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0にすることで、近赤外線吸収材料、樹脂、溶媒のSP値が近くなり、溶媒への溶解性、樹脂との相溶性が増すことによってHaze値が低下し、可視領域の光透過率が高く、800nm〜1100nmの近赤外域を効率的にカットすることができ、かつ高耐久性を持つ近赤外吸収フィルム、近赤外吸収フィルターなどを作ることができる。その際の溶剤への溶解度の指標としては、トルエンに対して1.0wt%以上、酢酸エチルに対して0.2wt%以上、メチルエチルケトンに対して1.0wt%以上であり、色素にこれだけ溶解性があれば、樹脂と混合してフィルムなどを作る際、濁りの少ないHazeの低いものを作成することができる。これ以下の溶解度であると、フィルムは不透明でHazeの高いものとなり、光学フィルターなどに使用する場合、不適当である。
本発明においては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体は、単重合体であっても、共重合体であってもよい。共重合体においては、二種以上の一般式(1)で表される繰り返し単位からなる共重合体であってもよいし、一般式(1)で表される繰り返し単位と一般式(1)で表される繰り返し単位に該当しない繰り返し単位とを含む共重合体であってもよい。また該共重合体はランダム、ブロック、またはグラフト共重合体であってもよい。一般式(1)で表される繰り返し単位以外の共重合成分としては、重合性反応末端をもつ化合物で、例えば同一分子内に−OH基を少なくとも二つ有する化合物、同一分子内にハロゲン基および−OH基を有する化合物、同一分子内にハロゲン基を複数有する化合物、同一分子内に−COOH基を複数有する化合物、同一分子内に−COCl基を複数有する化合物、同一分子内に−OH基および−COOH基を有する化合物、同一分子内に−NH2基を複数有する化合物、同一分子内に−NH2基および−COOH基を有する化合物などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収材料は、耐熱性、耐光性の点からは重量平均分子量は特に限定されないが、例えばゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定法によるポリスチレン換算で1,000〜10,000程度であることが好ましい。
本発明の一般式(1)で表される近赤外線吸収材料は800nm〜1,100nmに吸収領域を有することから、近赤外線吸収材料として好ましく用いることができる。上記一般式(4)および一般式(5)は構造異性体であり、区別せずに用いることができるので、近赤外線吸収材料としていずれか一方を用いてもよいし、分離せずに構造異性体の混合物として用いてもよい。また近赤外線吸収領域の異なるユニットを必要に応じて共重合しても良いし、近赤外線吸収領域の異なる重合体同士を混合しても良い。
一般式(1)で表される近赤外線吸収材料は単重合体同士を任意に組み合わせて用いてもよく、さらに一般式(11)で表される構造の近赤外線吸収材料を同時に用いてよい。また一般式(11)で表される構造の近赤外線吸収材料を用いる場合、単一構造のものを用いてもよいし、異なる構造のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明の近赤外線吸収材料である重合体に用いられる一般式(1)で示される繰り返し単位の代表的な構造例を表1に具体的に示すが、本発明の近赤外線吸収材料の重合体を構成する繰り返し単位が、以下の具体例で示した繰り返し単位に限定されるものではない。なお、表1は、各ユニットモノマーの構造を示すのみで、その重合形態を示したものではない。また、一般式(4)と一般式(5)の構造異性体については、一般式(5)の繰り返し単位で代表して記載してある。
本発明の一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料は、例えば次のような合成スキームに従って製造することができる。各式中、R21〜R24は置換基で置換されていてもよいフェニル基またはフェニレン基であり、Qは一般式(2)の一部である、−[CH2]n−X2−Ar1−Y−Ar2−X3−[CH2]n−に相当する。下記合成スキームには一般式(6)あるいは一般式(7)で示される重合体についての例示はないが、これら一般式(6)あるいは一般式(7)で示される重合体についても、例えば、化合物AまたはBの−Br、−OH基などをR21とR22にあるいは同一の基であるR21に二つ置換した化合物などを用いることにより同様に製造することができる。なお、これらの合成スキームは本発明の近赤外線吸収材料を合成するスキームの一部を示すのみであり、本発明の近赤外線吸収材料の合成スキームが以下のものに限定されるものでないことは勿論である。
合成スキーム中の一般式で示される原料化合物AおよびBは、例えばJournal of American Chemical Society,87:7,April 5,1965もしくは米国特許第5089585号明細書記載の合成法に従った方法で製造することができる。
上記スキームにおける合成は、例えば次のようにして行われる。
(合成条件例)
窒素雰囲気下、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンなどの極性溶剤中、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、トリエチルアミンなどの塩基を化合物Aに対して2当量〜50当量、好ましくは8当量〜20当量使用してQを含むジオール、ジアミン、ジ酸塩化物、ジブロマイドと共に40℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃において加熱撹拌するとスキーム中、括弧内の繰り返し単位をもつ化合物を合成することができる。取り出しは不溶物をろ過後、メタノール、エタノールなどのアルコールに再沈殿することにより行う。
(合成条件例)
窒素雰囲気下、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンなどの極性溶剤中、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、トリエチルアミンなどの塩基を化合物Aに対して2当量〜50当量、好ましくは8当量〜20当量使用してQを含むジオール、ジアミン、ジ酸塩化物、ジブロマイドと共に40℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃において加熱撹拌するとスキーム中、括弧内の繰り返し単位をもつ化合物を合成することができる。取り出しは不溶物をろ過後、メタノール、エタノールなどのアルコールに再沈殿することにより行う。
一方、本発明においては、一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料と共に必要に応じ他の近赤外線吸収材料を用いることができる。本発明において特に好ましく用いることのできる近赤外線吸収材料として、下記一般式(11)で表される近赤外線吸収材料がある。
(式中、M2は金属原子を表し、R50〜R53は置換もしくは未置換のアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または置換もしくは未置換のシリル基、置換もしくは未置換のアシル基を表し、同一配位子中の2つのRは互いに結合して環を形成しても良く、また一価の塩となっていても良い。)
上記一般式(11)で表される近赤外線吸収材料において、M2の金属原子は、金属原子であればよく特に限定はないが、ニッケル、コバルト、白金、パラジウムもしくは銅が好ましく、ニッケルが更に好ましい。
一般式(11)のR50〜R53の置換もしくは未置換のアルキル基については、置換もしくは未置換のアルキル基であればよく、特に限定されるものではない。またアルキル基は直鎖でも、分岐したものでも、環化したシクロアルキル基であってもよい。置換もしくは未置換のアルキル基を具体的に示すと、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェノキシエチル基、o−メチルベンジル基、o−クロロベンジル基などが挙げられ、好ましくはブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数3〜20程度の直鎖状および分岐アルキル基、ベンジル基、フェネチル基、o−メチルベンジル基、o−クロロベンジル基などのフェニル基置換のアルキル基、フェノキシエチル基などのフェノキシ置換アルキル基であり、それぞれのフェニル基に置換基を有したものが更に好ましい。
また、一般式(11)におけるR50〜R53の置換もしくは未置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニレニル基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシアノフェニル基、o−、m−およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられ、好ましくは置換もしくは未置換のフェニル基である。
一般式(11)におけるR50〜R53の置換もしくは未置換のヘテロアリール基としては、例えばチオニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フルフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、2−メチルピリジル基、3−シアノピリジル基等が挙げられる。
一般式(11)におけるR50〜R53の置換もしくは未置換のシリル基としては、トリイソプロピルシリル基、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基ドデシルジメチルシリル基などが挙げられる。
一般式(11)におけるR50〜R53の置換もしくは未置換のアシル基としては、ベンゾイル基、アセチル基などが挙げられる。
一般式(11)における一価の塩とは、下記一般式(13)で表される構造である。
(式中、X+は任意のカチオンを表し、M、R50〜R53は一般式(11)で定義したものと同一である。)
一般式(13)において、X+は好ましくは、4級アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオンおよび4級ホスホニウムカチオンである。4級アンモニウムカチオンとしては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオンなどが挙げられ、ピリジニウムカチオンとしては、ヘキサデシルピリジニウムカチオン、N−ブチル−4−メチルピリジニウムイオンなどが挙げられ、4級ホスホニウムカチオンとしてはテトラブチルホスホニウムイオン、トリフェニルヘプチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
また、一価のイオン構造を取る場合、同一配位子内のRは互いに結合した環構造であることが好ましい。特に好ましくは−CH2−CH2−である。
一般式(11)で表される近赤外線吸収材料の例を表2に示すが、一般式(11)で表される近赤外線吸収材料が以下のものに限定されるものではない。
一般式(11)で表される近赤外線吸収材料の例を表2に示すが、一般式(11)で表される近赤外線吸収材料が以下のものに限定されるものではない。
一般式(1)と一般式(11)で表される近赤外線吸収材料(一般式(11)には一般式(13)で表される近赤外線吸収材料も包含される。)が同時に含まれる場合、これらは任意の比率で含まれてよいが、好ましい比率としては、一般式(1)表される近赤外線吸収材料:一般式(11)で表される化合物が、重量比で1:0.5〜1:5であることが好ましい。この場合、一般式(1)で表される近赤外線吸収材料の「−X1−[CH2]n−X2−Ar1−Y−Ar2−X3−[CH2]n−X4−」の二価の基が一般式(11)で表される色素と共相溶効果を起こし、一般式(1)で表される近赤外線吸収材料が樹脂に均一に分散もしくは溶解され、結果として耐熱性、耐光性が向上する。
前記一般式(1)の繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料、並びに、前記一般式(1)の繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料を含む組成物は、近赤外線の吸収が必要とされる用途であればどのような用途においても用いることができ、またその使用態様、使用形態も近赤外線吸収材料の構造により制限を受けることはない。すなわち、本発明の近赤外線吸収材料は、上記一般式(1)の繰り返し単位構造を含む近赤外線吸収材料以外の他の近赤外線吸収材料(近赤外線吸収性色素)、例えば前記の一般式(11)で表される近赤外線吸収材料やこれ以外の近赤外線吸収材料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤等の補助的材料とともに用いることができる。また、本発明の近赤外線吸収材料は、これら補助的成分と共に溶剤に溶解または溶剤または水に分散させる、あるいは必要であればバインダー樹脂等とともに溶剤に溶解または溶剤または水に分散して近赤外線吸収組成物とし、これを塗布剤として用い、基材等に塗布して近赤外線吸収層を形成することができる。さらに、バインダー樹脂が自己支持性フィルムを形成することができるものであれば、例えば、該組成物を剥離性基材上に塗布してフィルムを形成した後、剥離性基材からフィルムを剥離し、近赤外線吸収フィルムとして利用することもできる。本発明でいう塗布剤とは、樹脂および/または有機溶剤または水を含む液状組成物またはペースト状の組成物からなる近赤外線吸収性を有する加工材料である。本発明の塗布剤は、本発明の近赤外線吸収材料を適宜の塗布剤に溶解または分散させることにより調製することができる。本発明の塗布剤は、油性の塗布剤であってもよく、水性の塗布剤であってもよい。
また、前記のようにして近赤外線吸収層を形成することに代え、粘着剤あるいは接着剤層、紫外線吸収層、ハードコート層、基材など他の機能層に本発明の近赤外線吸収材料を含有させ、これら層に近赤外線吸収特性を付与してもよい。例えば、粘着剤層あるいは接着剤層に本発明の近赤外線吸収材料を含有させるには、従来公知の粘着剤あるいは接着剤組成物に本発明の近赤外線吸収材料を添加し、近赤外線吸収性の粘着剤あるいは接着剤を得ること、この近赤外線吸収性の粘着剤あるいは接着剤を用いて、近赤外線吸収性の粘着層あるいは接着層を形成し、この層を近赤外線吸収フィルター層として利用すればよい。このとき、必要であれば、前記他の成分を含ませてもよい。また必要であれば、成形樹脂中に含有させ、近赤外線吸収フィルムあるいは成形物を形成することもできる。前記本発明の近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収層を有する積層体あるいは単体フィルムは光学フィルターとして好ましく用いられる。
前記したように、本発明の近赤外線吸収組成物においては、本発明の近赤外線吸収材料は、必要に応じバインダー樹脂と共に近赤外線吸収組成物とされ、基材上に塗布することにより近赤外吸収材料を含む層を形成して、積層体とすることができる。積層体は、例えば、光学フィルター、光学反射板、光学拡散板などに使用できる。また、バインダー樹脂の他、例えば一般式(11)で表されるような他の近赤外線吸収材料等の他の光収性色素、安定剤、溶剤、粘着性樹脂、他の補助成分、必要であれば他の機能層を形成する成分などが用いられて積層体層が形成されてもよい。
本発明の近赤外線吸収組成物においては、油性の塗布剤を構成する場合、バインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、およびそれらの共重合樹脂を挙げることができる。また、水性の塗布剤を構成する場合、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料が用いられる。バインダー樹脂は、塗布剤が油性であるか水性であるかにより、適宜の樹脂、共重合体を選択すればよい。これら樹脂のガラス転移温度は、近赤外線吸収材料を塗布剤として用いる場合は形成されるコート層の耐久性から考えて80℃以上であることが好ましい。また、粘着剤として用いる場合はこの限りではなく、室温以下、例えば0℃以下のガラス転移温度が粘着物性という観点から望ましい。
また、油性の塗布剤を構成する有機溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、およびそれらの混合溶媒を挙げることができる。一方、水性の塗布剤の調製方法としては、本発明の近赤外線吸収材料を微粉化処理して数マイクロメーター以下の微粒子を得、当該微粒子を、未着色のアクリル系のポリマーエマルジョン中に分散させる方法を挙げることができる。
前記一般式(11)で表される近赤外線吸収材料以外の他の光吸収性色素としては、例えば、シアニン系、キノリン系、クマリン系、チアゾール系、オキソノール系、アズレン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、アゾ系、ベンジリデン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ナフトキノン系、アントロキノン系、トリフェニルメタン系、ジイモニウム系、ジチオール金属錯体系化合物等が挙げられる。
上記他の光吸収性色素としては、近赤外線吸収材料であるニッケル錯体系色素および/またはフタロシアニン系色素および/またはジイモニウム系色素が好ましいものである。本発明の近赤外線吸収材料に対するこれら他の光吸収性色素の添加量は、本発明の近赤外線吸収材料100重量部に対して、好ましくは20〜500重量部、より好ましくは50〜200重量部である。吸収スペクトルとの兼ね合いでフィルムとしたときの可視光透過率が70〜80%以上、近赤外領域の透過率は10%以下となる比率が好ましい。
上記ニッケル錯体系色素としては、下記一般式(8)表されるものが好ましい。さらにニッケル錯体系色素は一価のカチオンとのイオン化化合物となっていても良い。
(式中R29〜R32はOまたはSまたはNRを表し、Rは置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、置換もしくは未置換のアルキル基を表し、R60〜R63は置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、置換もしくは未置換のアルキル基を表し、同一配位子中の置換基は互いに結合して共役もしくは非共役の環を形成しても良い。)
上記一般式(8)の構造を有するニッケル錯体系色素としては、具体的にはAmerican Dye Source, Ink(Laser Dyes & Near Infrared Dyes)カタログ記載のADS845MC、ADS870MC、ADS880MC、ADS890MC、ADS920MC、ADS990MC等が挙げられるがこれらに限定したものではない。
また、上記一般式(8)の構造を有するニッケル錯体系色素において、R29〜R32が何れもSであり、R60〜R63が置換フェニル基である近赤外線吸収性色素の一例を、下記表3に示す。これら表3の近赤外線吸収色素は、本願発明の一般式(1)の繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料を合成する際、副生物として形成されることもある色素である。したがって、一般式(1)の繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料を合成する際に、副生成物として一般式(8)で表される近赤外線吸収性色素が生成されたとしても、これを分別することなく、本発明の近赤外線吸収材料として用いることができる。
(式中、M1は金属原子、R33〜R48は水素原子もしくは置換基を表し、M1にはさらに置換基を有しても良い。)
具体的には、株式会社日本触媒製イーエクスカラーIR−10、IR−12、IR−14等があるがこれらに限定されるものではない。
上記一般式(10)において、X-のハロゲンイオンとしては、例えばヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン等が挙げられる。また、無機酸イオンとしては例えばヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。有機酸イオンとしては例えば酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。市販品としては、例えば日本化薬(株)製IRG−022、IRG−023、IRG−040等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本発明の近赤外線吸収材料や上記他の光吸収性色素の、光あるいは熱に対する安定化を図る目的で使用される上記各種安定化剤としては、例えば、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016号明細書、米国特許3982944号明細書参照)、ハイドロキノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細書参照)、フェノール誘導体(特開昭54−21004号公報参照)、スピロインダンまたはメチレンジオキシベンゼンの誘導体(英国特許出願公開2077455号明細書、英国特許2062888号明細書参照)、クロマン、スピロクロマンまたはクマランの誘導体(米国特許3432300号明細書、米国特許3573050号明細書、米国特許3574627号明細書、米国特許3764337号明細書、特開昭52−152225号公報、特開昭53−20327号公報、特開昭53−17729号公報、特開昭61−90156号公報参照)、ハイドロキノンモノエーテルまたはパラアミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号明細書、英国特許2066975号明細書、特公昭54−12337号公報、特開昭55−6321号公報参照)、ビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報参照)、金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60−97353号公報参照)、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報参照)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書参照)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報参照)、酸化防止剤(欧州特許820057号明細書参照)が挙げられる。また、本発明の光学フィルターは、一重項酸素等のクエンチャーとして、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有してもよく、本発明の近赤外線吸収材料の効果を阻害しない範囲において、ビスチオラート金属錯体アニオン等のクエンチャーアニオンを用いてもよい。
本発明の近赤外線吸収材料に対する、他の光吸収性色素や各種安定剤等の添加量は、本発明の近赤外線吸収材料100重量部に対して、好ましくは20〜200重量部、更に好ましくは50〜150重量部である。吸収スペクトルとの兼ね合いでフィルムとしたときの可視光透過率が70〜80%以上、近赤外領域の透過率は10%以下となる比率が好ましい。
前記のとおり、本発明の近赤外線吸収材料は、塗布剤の他、粘着剤または接着剤として用いることができる。本発明の塗布剤には、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。本発明の塗布剤の用途は、基材の表面被覆を目的とするものであれば特に制限されるものではなく、本発明の塗布剤によれば、近赤外線吸収性を有する塗膜を形成することができる。
本発明の近赤外線吸収組成物が粘着剤として用いられる場合、バインダーとして粘着性バインダーを使用しても良い。粘着性バインダーとしては、アクリル系、ウレタン系、ゴム系などが挙げられる。アクリル系として用いることのできるモノマーとしてはアクリルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。本発明においては、粘着物性を確保するという点で、炭素数が4〜12のアクリル系モノマーを共重合に供することが好ましい。さらに好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。これらは、粘着剤としての望ましい物性を得る目的のため、適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上述粘着性バインダーにおいてアクリル系モノマー、アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー、およびその他のモノマー等を共重合してなるアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は5万〜100万であることが好ましく、5万〜20万の低分子量アクリル系共重合体であることがより好ましい。
さらに、粘着性バインダーと本発明の近赤外吸収材料とを含んでなる粘着剤は、基材上に公知の方法で塗工されて、積層体である粘着剤シートとなる。ここで用いられる基材は、後に記載する基材のほか、紙、金属、布なども用いられる。また、粘着性バインダーが、単独でシートを構成できる場合は、基材を必要としない粘着剤シートとなる。また、基材の両面に粘着剤が塗工される形態であってもよい。ただし、一方の面の粘着剤が、本発明の粘着剤を含まない場合であってもよい。
粘着性バインダーと本発明の近赤外線吸収材料とを含んでなる粘着剤は、基材上に公知の方法で塗工されて、積層体である粘着剤シートとなる。ここで用いられる基材は、後に記載する基材のほか、紙、金属、布なども用いられる。また、粘着性バインダーが、単独でシートを構成できる場合は、基材を必要としない粘着剤シートとなる。また、基材の両面に粘着剤が塗工される形態であってもよい。ただし、一方の面の粘着剤が、本発明の粘着剤を含まない場合であってもよい。
本発明の近赤外線吸収材料のバインダー樹脂に対する添加量としては、樹脂100重量部に対して、近赤外線吸収材料0.01〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜15重量部である。この割合が0.01重量部未満である場合には、近赤外線領域の波長光を効率よく吸収することができず、一方、20質量部を超える場合には、近赤外線吸収材料の分散性が低下して透明性(可視光線透過性)が損なわれることがある。
本発明における接着剤は、本発明の近赤外吸収材料および接着剤からなる近赤外線吸収性を有する加工材料である。本発明の接着剤は、本発明の近赤外線吸収材料を、接着性を有する適宜の媒体に溶解または分散させることにより調製することができる。
本発明の光学フィルターの構成として、基材に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の各層を設けてもよい。本発明の近赤外線吸収材料、上記の他の光吸収性色素や各種安定剤を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、基材または任意の各層に含有させる方法、基材または任意の各層にコーティングする方法、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着材に混入させる方法、本発明の近赤外線吸収材料等を含有する近赤外線吸収層を上記の各層とは別に設ける方法等が挙げられる。本発明の近赤外線吸収材料は、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着剤に混入させる方法および近赤外線吸収層を設ける方法に好適である。
本発明の近赤外線吸収材料の使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2である。1mg/m2未満の使用量では、近赤外線吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもあるため好ましくない。
上記基材の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;あるいは、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン等の高分子材料が挙げられる。光学フィルター用途で有れば、基材は透明支持体であることが好ましく、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
これらの基材中には、光吸収性色素、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微粒子等を添加することができ、また、これらの基材には各種の表面処理を施すことができる。
上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等の無機微粒子が挙げられる。
上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
上記下塗り層は、本発明の近赤外線吸収材料を含有する近赤外線吸収層を設ける場合に、基材と近赤外線吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、近赤外線吸収層側の表面が粗面である層または近赤外線吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成される。なお、近赤外線吸収層が設けられていない基材の面に下塗り層を設けて、基材とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、また、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、基材と近赤外線吸収層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニルエーテルの重合またはこれらの共重合により得ることができる。上記ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に近赤外線吸収層を形成することで、基材と近赤外線吸収層とを接着する。表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、20nm〜3μmであることが好ましく、50nm〜1μmであることがさらに好ましい。近赤外線吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン、高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターにおいては、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、基材を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤や硬膜剤等を添加してもよい。
上記反射防止層中においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、同6−115023号、同8−313702号、同7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、同6−299091号、同7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、同6−56478号、同7−92306号、同9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いることもできる。
さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。ここで、主成分とは、無機微粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。また、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマー等を用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
上記ハードコート層は、透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。また、シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
上記の近赤外線吸収層、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
本発明の光学フィルターを用いれば太陽光の可視光線を有効に透過させ、かつ熱線を確実にカットできる。また耐久性に優れているため長期にわたって太陽光に暴露しても熱線遮断能力が損なわれることはない。
本発明の光学フィルターは、撮像装置(画像入力装置)におけるCCD(例えばシリコンフォトダイオードからなる光電変換素子)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。ここに、「CCDのための視感度補正フィルター」には、CCDに至る光路中に単独で配置される視感度補正フィルターのほか、リッド、レンズおよび保護板などが含まれるものとする。また、CCDを搭載する撮像装置としては、例えばビデオカメラ、デジタルカメラ、ボードカメラ、カラースキャナ、カラーファックス、カラー複写機、カラーテレビ電話装置などを挙げることができる。本発明の光学フィルターを搭載してなる撮像装置によれば、CCD(シリコンフォトダイオード)への入射光を、実質的に可視領域の光に限定することができ、この結果、正確な測光(露出操作)を行うことができ、しかも、赤色成分の再現にも支障を来すことはない。
本発明の光学フィルターは、CMOSイメージセンサまたは人工網膜が搭載された撮像装置(画像入力装置)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。本発明の光学フィルターを備えたCMOSイメージセンサおよび人工網膜、並びにこれらを搭載してなる撮像装置によれば、上述したCCDにおける効果と同様の効果を奏することができる。
また本発明の光学フィルターは、赤外線通信装置(850〜950nmの光を媒体とする通信装置)が使用される環境におけるノイズカットフィルターとして好適に用いることができる。かかるノイズカットフィルターによれば、近赤外線の発生源(例えば自動ドア、リモコンなど近赤外線を用いた機械)をカバーし、当該発生源からの赤外線を遮断することにより、通信中におけるノイズの発生を確実に防止することができる。
また、本発明の光学フィルターを、プラズマディスプレイ装置もしくは液晶パネルディスプレイ装置のパネルの前面に配置することによって、当該パネルから照射される近赤外線を効率よくカットすることができる。この結果、当該ディスプレイ装置の周囲において、近赤外線に起因するリモコンの誤動作などを生じさせることはない。
近年、軽量化および低コスト化等の観点より、自動車部品等、各種分野の部品として樹脂成形物が頻繁に用いられている。また、樹脂成形物の高生産性化等の観点より、樹脂成形物を予め複数に分割して成形し、これらの分割成形物を互いに接合する手段が採られることが多い。樹脂材同士の接合は、従来、レーザーに対して透過性のある透過性樹脂材と、レーザーに対して吸収性のある吸収性樹脂材とを重ね合わせた後、前記透過性樹脂材側からレーザーを照射することにより、透過性樹脂材と吸収性樹脂材との当接面同士を加熱溶融させて両者を一体的に接合するレーザー溶着方法により行われている。従来のレーザー溶着方法では、同種あるいは異なる種類の樹脂部材の接合において、接合される樹脂部材がレーザーに対して吸収性を有するものと吸収性を有さないものの2種類となるため、その色調に差が生じ、接合された樹脂部材の使用用途に限界があった。具体的には、レーザーに対して非吸収性の樹脂材料は白色あるいは透明のレーザー透過色であり、吸収性の部材はカーボンブラック等の黒色系のレーザー吸収色であるため、見た目の違和感を生じるようになっていた。すなわち、このような異なる色の樹脂材料を接合すると、見た目の接合力が弱く感じられるとともに、接合部が目立つという問題を有していた。
本発明の材料を用いれば、透過性樹脂材内を透過したレーザーが吸収性樹脂材の当接面に到達して吸収され、この当接面に吸収されたレーザーがエネルギーとして蓄積される。その結果、吸収性樹脂材の当接面が加熱溶融されると共に、この吸収性樹脂材の当接面からの熱伝達により透過性樹脂材の当接面が加熱溶融される。この状態で、透過性樹脂材および吸収性樹脂材の当接面同士を圧着させれば、両者を一体的に接合することができる。本材料は可視光線の透過率が良好であることから、レーザー透過性樹脂材との色調差を小さくすることができ、また近赤外線領域の吸収において大きなモル吸光係数を有しているためレーザーの照射により透過性樹脂材および吸収性樹脂材の当接面同士を確実に溶着させて十分な接合強度をもつ樹脂組成物を提供できる。
最近では、簡便かつ効率的にマーキングを行う方法として、レーザー光の照射によるマーキングが盛んに行われている。このレーザー光の照射によるマーキング方法は、文字やイラスト状にレーザー光を照射した部分が熱エネルギーにより変色し、光の散乱によって文字やイラストが識別できるというものである。
例えば、特開平9−302236号公報には、ロイコ色素、発色補助成分および熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を、成形後、レーザー光を照射することにより、レーザーマーキングが可能であることが開示されている。しかしながら、混練時の熱により発色成分の反応が起こるため、発色成分が限定され、発色の自由度が制約される。また、特開平11−92632号公報には、発色剤として銅系化合物およびニッケル系化合物を含むエポキシ樹脂にレーザー光を照射することにより、樹脂成形品の表面にレーザーマーキングする技術が開示されているが、この場合は黒色のマーキングに限られている。特開平8−120133号公報には、ゴム強化ビニル系樹脂にチタンブラック等の化合物を配合した有彩色のレーザーマーキングが可能な樹脂組成物が開示されているが、この場は樹脂が、ゴム強化ビニル系樹脂に限られており、その応用展開に制約がある。
本発明の近赤外線吸収材料は高い可視光線透過率および高い近赤外線吸収能を持つため、低出力の活性エネルギー線でマーキング可能な、透明性の高いマーキング用組成物を提供できる。また鮮明で高速且つ高精度の文字やイラスト等の模様を、簡単に素早くマーキングすることができる。
さらに、LEDは高効率かつ高輝度発光でRGB三色にて現在様々な分野で利用されている。しかしながら、比較的大きなエネルギーを発生させるため発熱源となり、ダイオード使用機器は常に高温にさらされるという問題を有している。発熱の原因はダイオードの輻射熱・赤外線発生によるものである。本発明の近赤外線吸収材料は近赤外線の吸収能に優れており、かつ高い可視光透明性を有しているためLEDの発光色を変えることなく赤外線をカットできる。また、高耐熱性および高耐光性を有しているため、長時間本材料をLEDに用いても近赤外線吸収能が衰えることは無い。本発明の近赤外線吸収材料を用いればダイオードの発光による発熱を抑制することができる。
本発明の光学フィルターは好ましくは、ディスプレイ用フィルターまたはCCD、CMOSイメージセンサ用フィルターとして配置されその配置方法は何ら制限を受けるものではない。
以下、製造例および実施例にて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
窒素気流下、四つ口フラスコに2’,5’−ジメチルフェニルグリオキサール、(70g、388mmol)、(2−ブロモエチル)ベンゼン(72g、388mmol)、ジクロロエタン500mlを仕込み、これに四塩化チタン(110g、583mmol)をゆっくり滴下し、室温において3時間撹拌を行った。反応終了後水を加えて抽出を行ったのちエバポレーションを行い、ヘキサンで再結晶を行った。収率60%。
ベンゾイン誘導体化合物1(50g、94mmol)、五硫化二りん(12.5g、56mmol)ジオキサン200mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、2時間リフラックスした。反応後ろ過を行い、ろ液にNiCl2・6H2O(11.2g、47mmol)水溶液を加え、再びリフラックスを2時間行った。反応終了後、水、メタノールを加えしばらく撹拌した後、ろ過を行い回収した。収率45%。
製造例2で合成した化合物2(0.9g、1.06mmol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン(0.388g、1.06mmol)およびK2CO3(1.16g、8.44mmol)およびDMF40mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌した。反応終了後ろ過、エバポレーションを行い、水/メタノール=1/2の溶液に滴下、洗浄を行った。ろ過して目的物を回収した。収率68%。
原料としてフェニルグリオキサールを用いた以外製造例1と同様の方法で化合物1を合成した。収率46%。
製造例4で合成した化合物3(3.0g、9.4mmol)、五硫化二りん(12.53g、28.2mmol)ジオキサン50mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、2時間リフラックスした。反応後ろ過を行い、ろ液にNiCl2・6H2O(1.12g、4.7mmol)水溶液を加え、再びリフラックスを2時間行った。反応終了後、水、メタノールを加えしばらく撹拌した後、ろ過を行い回収した。収率45%。
化合物4およびビスヒドロキシフェニルシクロヘキサンを用いた以外製造例3と同様の方法によりP−21を合成した。収率80%
[製造例7]P−2の合成
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンを用いた以外製造例3の方法に従って合成した。収率70%。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンを用いた以外製造例3の方法に従って合成した。収率70%。
[製造例8]P−4の合成
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに4−4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いた以外製造例3の方法に従って合成した。収率75%。
(2−ブロモエチル)ベンゼンの代わりに[N−(2−ブロモエチル)−N−エチル]アニリンを用いた以外製造例1の方法に従って合成を行った。収率43%。
製造例2にて化合物1の代わりに化合物5を用いた以外同様の方法で化合物6を合成した。収率41%。
1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンおよび化合物6を用いた以外製造例3と同様の方法にて合成を行った。収率77%。
2’,5’−ジメチルフェニルグリオキサールの代わりにo−メチルフェニルグリオキサールを用いる以外製造例1と同様の方法にて化合物7を合成した。収率63%
化合物1の代わりに化合物7を用いる以外製造例2と同様の方法で化合物8を合成した。収率20%。
製造例12および13において、o−メチルフェニルグリオキサールのかわりにo−クロロフェニルグリオキサールを用いた以外同様の方法で化合物9を合成した。収率36%
製造例1〜2および12〜14において(2−ブロモエチル)ベンゼンの代わりにフェニルプロピルブロマイドを用いる以外同様の方法にて化合物10(収率23%)、化合物11(収率29%)、化合物12(収率33%)を合成した。
[製造例16]P−22の合成
製造例3において化合物2の代わりに化合物8を用いる以外同様にしてP−22を合成した。収率85%。
製造例3において化合物2の代わりに化合物8を用いる以外同様にしてP−22を合成した。収率85%。
[製造例17]P−23の合成
製造例3において化合物2の代わりに化合物9を用いる以外同様にしてP−23を合成した。収率82%。
製造例3において化合物2の代わりに化合物9を用いる以外同様にしてP−23を合成した。収率82%。
[製造例18]P−24の合成
製造例3において化合物2の代わりに化合物10を用いる以外同様にしてP−24を合成した。収率85%。
製造例3において化合物2の代わりに化合物10を用いる以外同様にしてP−24を合成した。収率85%。
[製造例19]P−25の合成
製造例3において化合物2の代わりに化合物11を用いる以外同様にしてP−25を合成した。収率80%。
製造例3において化合物2の代わりに化合物11を用いる以外同様にしてP−25を合成した。収率80%。
[製造例20]P−26の合成
製造例3において化合物2の代わりに化合物12を用いる以外同様にしてP−26を合成した。収率81%。
製造例3において化合物2の代わりに化合物12を用いる以外同様にしてP−26を合成した。収率81%。
[製造例21]P−27の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を用いる以外同様にしてP−27を合成した。収率78%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を用いる以外同様にしてP−27を合成した。収率78%。
[製造例22]P−28の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を用いる以外同様にしてP−28を合成した。収率79%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を用いる以外同様にしてP−28を合成した。収率79%。
[製造例23]P−29の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物10を用いる以外同様にしてP−29を合成した。収率90%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物10を用いる以外同様にしてP−29を合成した。収率90%。
[製造例24]P−30の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物11を用いる以外同様にしてP−30を合成した。収率84%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物11を用いる以外同様にしてP−30を合成した。収率84%。
[製造例25]P−31の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物12を用いる以外同様にしてP−31を合成した。収率81%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物12を用いる以外同様にしてP−31を合成した。収率81%。
[製造例26]P−32の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりにビス(2メチル4−ヒドロキシフェニル)スルフィドを用いる以外同様にしてP−32を合成した。収率82%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりにビス(2メチル4−ヒドロキシフェニル)スルフィドを用いる以外同様にしてP−32を合成した。収率82%。
[製造例27]P−33の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりにビス(2メチル4−ヒドロキシフェニル)スルフィドを用いる以外同様にしてP−33を合成した。収率87%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりにビス(2メチル4−ヒドロキシフェニル)スルフィドを用いる以外同様にしてP−33を合成した。収率87%。
[製造例28]P−34の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−34を合成した。収率89%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物8を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−34を合成した。収率89%。
[製造例29]P−35の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−35を合成した。収率80%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物9を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−35を合成した。収率80%。
[製造例30]P−36の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物10を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−36を合成した。収率83%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物10を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−36を合成した。収率83%。
[製造例31]P−37の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物11を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−37を合成した。収率85%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物11を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−37を合成した。収率85%。
[製造例32]P−38の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物12を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−38を合成した。収率81%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物12を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノールを用いる以外同様にしてP−38を合成した。収率81%。
[製造例33]P−39の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物2を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに2,2’−ビス(4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いる以外同様にしてP−39を合成した。収率78%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物2を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに2,2’−ビス(4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いる以外同様にしてP−39を合成した。収率78%。
[製造例34]P−42の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物2を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを用いる以外同様にしてP−42を合成した。収率75%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物2を、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル−2−プロピル)ベンゼンの代わりに2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンを用いる以外同様にしてP−42を合成した。収率75%。
製造例1において(2−ブロモエチル)ベンゼンの代わりにN−(3−ブロモプロピル)アニリンを用いた以外同様に合成を行い、出来た生成物を化合物1の代わりに用いて製造例2に従って合成し、化合物13を得た。収率15%。
[製造例36]P−46の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物13を用いた以外同様にして合成し、P−46を得た。収率67%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物13を用いた以外同様にして合成し、P−46を得た。収率67%。
製造例9において、[N−(2−ブロモエチル)−N−エチル]アニリンの代わりに[N−(3−ブロモプロピル)−N−プロピル]アニリンを、2’,5’−ジメチルフェニルグリオキサールの代わりにo−メチルフェニルグリオキサールを用いた以外同様に合成を行った。生成物を化合物5の代わりに用いた以外製造例10と同様の方法で化合物14を合成した。収率22%。
[製造例38]P−47の合成
製造例11において化合物6の代わりに化合物14を用いた以外同様にしてP−47を合成した。収率78%。
製造例11において化合物6の代わりに化合物14を用いた以外同様にしてP−47を合成した。収率78%。
製造例37においてo−クロロフェニルグリオキサールの代わりに4−メトキシフェニルグリオキサールを用いた以外同様にして化合物15を合成した。
[製造例40]P−48の合成
化合物15を20mmol、ビスヒドロキシジフェニルメタンを21mmol、K2CO3210mmolを窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2Lに滴下して沈殿をろ過、P−48を回収した。収率75%。
化合物15を20mmol、ビスヒドロキシジフェニルメタンを21mmol、K2CO3210mmolを窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2Lに滴下して沈殿をろ過、P−48を回収した。収率75%。
[製造例41]P−56の合成
化合物2(20mmol)および化合物6(20mmol)および1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(20mmol)を用いて製造例3と同様の方法でP−56を合成した。収率67%
化合物2(20mmol)および化合物6(20mmol)および1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(20mmol)を用いて製造例3と同様の方法でP−56を合成した。収率67%
[製造例42]P−59の合成
化合物2(15mmol)、2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(15mmol)、化合物13(15mmol)、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(15mmol)、およびK2CO3(200mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2Lに滴下して沈殿をろ過、P−59を回収した。収率73%。
化合物2(15mmol)、2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(15mmol)、化合物13(15mmol)、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(15mmol)、およびK2CO3(200mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2Lに滴下して沈殿をろ過、P−59を回収した。収率73%。
[製造例43]P−60の合成
化合物12(15mmol)、化合物14(15mmol)、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(30mmol)、およびK2CO3(300mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水3Lに滴下して沈殿をろ過、P−60を回収した。収率83%。
化合物12(15mmol)、化合物14(15mmol)、1,3−ビス[2(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(30mmol)、およびK2CO3(300mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水3Lに滴下して沈殿をろ過、P−60を回収した。収率83%。
[製造例44]P−61の合成
化合物10(15mmol)、化合物15(15mmol)、テトラクロロビスフェノールA(15mmol)、ビスヒドロキシジフェニルメタン(15mmol)およびK2CO3(300mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2.5Lに滴下して沈殿をろ過、P−61を回収した。収率85%。
化合物10(15mmol)、化合物15(15mmol)、テトラクロロビスフェノールA(15mmol)、ビスヒドロキシジフェニルメタン(15mmol)およびK2CO3(300mmol)を窒素雰囲気下DMF中で80℃にて加熱撹拌を行った。反応終了後ろ過を行い、ろ液を水2.5Lに滴下して沈殿をろ過、P−61を回収した。収率85%。
[製造例45]P−62の合成
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノールを用いた以外製造例3の方法に従って合成した。収率75%。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノールを用いた以外製造例3の方法に従って合成した。収率75%。
[製造例46]P−64の合成
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノールを用い、化合物2の代わりに化合物12を用いた以外製造例3の方法に従ってP−64を合成した。収率79%。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンの代わりに4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノールを用い、化合物2の代わりに化合物12を用いた以外製造例3の方法に従ってP−64を合成した。収率79%。
窒素雰囲気下、メタノール500ml中でテトラチアペンタレン2,5−ジオン(5.0g、24mmol)を撹拌しているところに、20℃にてナトリウムメトキシド(2.6g、48mmol)を加え、90分撹拌した。そこへ1−ブロモブタン(6.6g、48mmol)滴下し、4時間反応させた。そこへさらにナトリウムメトキシド(2.6g、48mmol)を加え、2時間撹拌後、NiCl26H2O(2.9g、2.9mmol)を50mlメタノールに溶かした溶液をゆっくり滴下した。さらに4時間撹拌し、テトラエチルアンモニウムブロマイドを3.0mmol加え、空気をバブリングしながら1時間撹拌した。得られたバルクをろ過してアセトン300mlに溶かし、100mlに溶かしたI2(6mmol)を滴下した。1時間撹拌すると緑色の沈殿が生じ、ろ過を行った。ろ物をクロロホルム/メタノール=6:4の溶液で再結晶してPP−1を得た。収率44%。
[製造例48]PP−2の合成
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−2の合成を行った。収率35%。
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−2の合成を行った。収率35%。
[製造例49]PP−3の合成
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−2−エチルヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−3の合成を行った。収率45%。
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−2−エチルヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−3の合成を行った。収率45%。
[製造例50]PP−5の合成
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−4−トリフルオロブタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−5の合成を行った。収率41%。
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−4−トリフルオロブタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−5の合成を行った。収率41%。
[製造例51]PP−8の合成
1−ブロモブタンの代わりにブロモメチルシクロヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−8の合成を行った。収率31%。
1−ブロモブタンの代わりにブロモメチルシクロヘキサンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−8の合成を行った。収率31%。
[製造例52]PP−10の合成
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−2−エトキシエタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−10の合成を行った。収率31%。
1−ブロモブタンの代わりに1−ブロモ−2−エトキシエタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−10の合成を行った。収率31%。
[製造例53]PP−11の合成
1−ブロモブタンの代わりにトリメチルシリルクロライドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−11の合成を行った。収率51%。
1−ブロモブタンの代わりにトリメチルシリルクロライドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−11の合成を行った。収率51%。
[製造例54]PP−14の合成
1−ブロモブタンの代わりに(2−ブロモエチル)ベンゼンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−14の合成を行った。収率33%。
1−ブロモブタンの代わりに(2−ブロモエチル)ベンゼンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−14の合成を行った。収率33%。
[製造例55]PP−15の合成
1−ブロモブタンの代わりにベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−15の合成を行った。収率48%。
1−ブロモブタンの代わりにベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−15の合成を行った。収率48%。
[製造例56]PP−16の合成
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−o−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−16の合成を行った。収率42%。
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−o−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−16の合成を行った。収率42%。
[製造例57]PP−17の合成
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−m−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−17の合成を行った。収率40%。
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−m−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−17の合成を行った。収率40%。
[製造例58]PP−18の合成
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−p−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−18の合成を行った。収率44%。
1−ブロモブタンの代わりにα−ブロモ−p−キシレンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−18の合成を行った。収率44%。
[製造例59]PP−19の合成
1−ブロモブタンの代わりに2,4−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−19の合成を行った。収率33%。
1−ブロモブタンの代わりに2,4−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−19の合成を行った。収率33%。
[製造例60]PP−20の合成
1−ブロモブタンの代わりに2,5−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−19の合成を行った。収率27%。
1−ブロモブタンの代わりに2,5−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−19の合成を行った。収率27%。
[製造例61]PP−21の合成
1−ブロモブタンの代わりに3,4−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−21の合成を行った。収率25%。
1−ブロモブタンの代わりに3,4−ジメチルベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−21の合成を行った。収率25%。
[製造例62]PP−22の合成
1−ブロモブタンの代わりにo−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−22の合成を行った。収率34%。
1−ブロモブタンの代わりにo−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−22の合成を行った。収率34%。
[製造例63]PP−23の合成
1−ブロモブタンの代わりに2,4−ジクロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−23の合成を行った。収率33%。
1−ブロモブタンの代わりに2,4−ジクロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−23の合成を行った。収率33%。
[製造例64]PP−24の合成
1−ブロモブタンの代わりにp−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−24の合成を行った。収率53%。
1−ブロモブタンの代わりにp−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−24の合成を行った。収率53%。
[製造例65]PP−25の合成
1−ブロモブタンの代わりにm−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−25の合成を行った。収率43%。
1−ブロモブタンの代わりにm−クロロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−25の合成を行った。収率43%。
[製造例66]PP−26の合成
1−ブロモブタンの代わりにp−フルオロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−26の合成を行った。収率36%。
1−ブロモブタンの代わりにp−フルオロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−26の合成を行った。収率36%。
[製造例67]PP−27の合成
1−ブロモブタンの代わりにo−フルオロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−27の合成を行った。収率39%。
1−ブロモブタンの代わりにo−フルオロベンジルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−27の合成を行った。収率39%。
[製造例68]PP−29の合成
1−ブロモブタンの代わりにブロモフェノキシメタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−29の合成を行った。収率40%。
1−ブロモブタンの代わりにブロモフェノキシメタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−29の合成を行った。収率40%。
[製造例69]PP−30の合成
1−ブロモブタンの代わりにβ−ブロモフェネトールを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−30の合成を行った。収率42%。
1−ブロモブタンの代わりにβ−ブロモフェネトールを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−30の合成を行った。収率42%。
(化合物16の合成)
窒素雰囲気下、DMF500mlおよびジクロロアセトン(50g、442mmol)およびp−メチルベンゼンチオール(110g、884mmol)に炭酸カリウム(264g、2mol)を加え、60℃で4時間撹拌した。不溶部をろ過後、水2000mlにろ液を滴下した。白色沈殿を再結晶(ヘキサン)して化合物16を得た。収率80%。
窒素雰囲気下、DMF500mlおよびジクロロアセトン(50g、442mmol)およびp−メチルベンゼンチオール(110g、884mmol)に炭酸カリウム(264g、2mol)を加え、60℃で4時間撹拌した。不溶部をろ過後、水2000mlにろ液を滴下した。白色沈殿を再結晶(ヘキサン)して化合物16を得た。収率80%。
(化合物17の合成)
窒素雰囲気下、ジクロロメタン100ml中に化合物16(30g、104mmol)を溶かし、そこへ臭素(17g、104mmol)を滴下した。3時間反応の後、有機層を水で2回洗い、減圧脱溶剤の後、メタノール再結晶により化合物17を得た。収率88%。
窒素雰囲気下、ジクロロメタン100ml中に化合物16(30g、104mmol)を溶かし、そこへ臭素(17g、104mmol)を滴下した。3時間反応の後、有機層を水で2回洗い、減圧脱溶剤の後、メタノール再結晶により化合物17を得た。収率88%。
(化合物18の合成)
窒素雰囲気下、アセトン中に化合物17(30g、82mmol)を溶かし、そこへイソプロポキシキサントゲン酸カリウム(15g、82mmol)を加え、3時間撹拌を行った。不溶部をろ過し、ろ液を減圧濃縮の後、濃硫酸700mlに対して0〜5℃にて滴下した。滴下後、室温まで戻し、二時間反応を行った。反応液を氷水2000ml撹拌下に滴下して黄色沈殿が生成した。これをろ過して、ろ過物をメタノールで再結晶して化合物18を55%の収率で得た。
窒素雰囲気下、アセトン中に化合物17(30g、82mmol)を溶かし、そこへイソプロポキシキサントゲン酸カリウム(15g、82mmol)を加え、3時間撹拌を行った。不溶部をろ過し、ろ液を減圧濃縮の後、濃硫酸700mlに対して0〜5℃にて滴下した。滴下後、室温まで戻し、二時間反応を行った。反応液を氷水2000ml撹拌下に滴下して黄色沈殿が生成した。これをろ過して、ろ過物をメタノールで再結晶して化合物18を55%の収率で得た。
(PP−32の合成)
窒素雰囲気下、化合物18およびNiCl2・6H2O、テトラエチルアンモニウム、およびヨウ素を用いて、製造例45を参考にPP−32を合成した。収率55%。
窒素雰囲気下、化合物18およびNiCl2・6H2O、テトラエチルアンモニウム、およびヨウ素を用いて、製造例45を参考にPP−32を合成した。収率55%。
[製造例71]PP−35の合成
p−メチルベンゼンチオールの代わりにo−クロロベンゼンチオールを用いた以外製造例71と同様の方法にてPP−35の合成を行った。収率33%。
p−メチルベンゼンチオールの代わりにo−クロロベンゼンチオールを用いた以外製造例71と同様の方法にてPP−35の合成を行った。収率33%。
[製造例72]PP−38の合成
1−ブロモブタンの代わりにフェナシルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−38の合成を行った。収率30%。
1−ブロモブタンの代わりにフェナシルブロマイドを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−38の合成を行った。収率30%。
[製造例73]PP−39の合成
1−ブロモブタンの代わりにジヨードエタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−39の合成を行った。収率35%。
1−ブロモブタンの代わりにジヨードエタンを用いた以外製造例47と同様の方法にてPP−39の合成を行った。収率35%。
窒素雰囲気下、メタノール500ml中でテトラチアペンタレン2,5−ジオン(5.0g、24mmol)を撹拌しているところに20℃にてナトリウムメトキシド(2.6g、48mmol)を加え、90分撹拌した。そこへジヨードエタン(6.8g、24mmol)滴下し、4時間反応させた。そこへさらにナトリウムメトキシド(2.6g、48mmol)を加え、2時間撹拌後、NiCl26H2O(2.9g、2.9mmol)を50mlメタノールに溶かした溶液をゆっくり滴下した。さらに4時間撹拌し、テトラブチルホスホニウムブロマイドを3.0mmol加え、空気をバブリングしながら1時間撹拌した。得られた個体をろ過してPP−42を得た。収率49%。
なお、上記製造例で合成された化合物1〜18の融点を表4に示す。
[実施例1]
下記に本発明の一般式(1)で表される近赤外線吸収材料のいくつかについて、その分子量Mw、Mnおよび近赤外線極大吸収波長を測定した。結果を表5−1、5−2に示す。
なお、分子量測定は東ソー株式会社製 高速GPC;HLC8120GPCを用い、溶媒THF、UV検出254nmにて行った(ポリスチレン換算)。また、近赤外線吸収波長は日本分光製吸光光度測定機V−570にて測定した。
下記に本発明の一般式(1)で表される近赤外線吸収材料のいくつかについて、その分子量Mw、Mnおよび近赤外線極大吸収波長を測定した。結果を表5−1、5−2に示す。
なお、分子量測定は東ソー株式会社製 高速GPC;HLC8120GPCを用い、溶媒THF、UV検出254nmにて行った(ポリスチレン換算)。また、近赤外線吸収波長は日本分光製吸光光度測定機V−570にて測定した。
種々の溶媒におけるSP値を表6に示す。(山本秀樹著、「SP値 基礎・応用と計算法」、株式会社情報機構、2006年4月3日第4刷)第81〜84頁)
[実施例2]
以下に比較化合物1、比較化合物2(製造法については特開平2−264788号公報参照)、比較化合物3(製造法については米国特許第5089585号明細書参照)および本発明のいくつかの近赤外線吸収材料について、トルエンおよび酢酸エチルに対する溶解度を表7に示す。なお、溶解度試験は次のようにして行った。すなわち、サンプル瓶中に材料および溶剤を加え、種々濃度にて一昼夜撹拌を行い、各種溶媒に対する溶解度を調べることにより行った。
以下に比較化合物1、比較化合物2(製造法については特開平2−264788号公報参照)、比較化合物3(製造法については米国特許第5089585号明細書参照)および本発明のいくつかの近赤外線吸収材料について、トルエンおよび酢酸エチルに対する溶解度を表7に示す。なお、溶解度試験は次のようにして行った。すなわち、サンプル瓶中に材料および溶剤を加え、種々濃度にて一昼夜撹拌を行い、各種溶媒に対する溶解度を調べることにより行った。
上記表7より、本発明の近赤外線吸収材料は、溶剤に対する溶解性が高いことが分かる。また、比較化合物1と比較化合物2の溶解度を比較することにより、アリール基に置換基を有することにより、δpが増大し、酢酸エチルへの溶解性が増すことが分かる。さらに、比較化合物1、比較化合物2および比較化合物3と本発明の近赤外線吸収材料との溶解度の比較から、本発明の近赤外線吸収材料との溶解度の改善は、フェニル基に「−X1−[CH2]n−X2−Ar1−Y−Ar2−X3−[CH2]n−X4−」の二価の基が導入されたことによるものであることが分かる。また、置換もしくは未置換のフェニレン基およびアルキレン基が非極性溶剤への溶解性を向上させ、エステル基、カルボニル基、イミノ基などの極性基が極性溶剤への溶解性を向上させていることが分かる。すなわち本発明の近赤外吸収材料のSP値は樹脂および溶媒のSP値に近くなっていることが分かる。
[実施例3]
表8に比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3および本発明のいくつかの近赤外線吸収材料の種々の溶媒への溶解性を示す。なお、表においては、近赤外線吸収材料の溶解度が0.01wt%未満を×、0.01wt%以上0.20wt%未満を△、0.2wt%以上1.0wt%未満を○、1.0wt%以上を◎としている。また、MEKはメチルエチルケトンを示し、Tはトルエンを示し、Eは酢酸エチルを示し、T/E=3/7とはトルエンと酢酸エチルの重量比が3:7の溶液を示している。
表8に比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3および本発明のいくつかの近赤外線吸収材料の種々の溶媒への溶解性を示す。なお、表においては、近赤外線吸収材料の溶解度が0.01wt%未満を×、0.01wt%以上0.20wt%未満を△、0.2wt%以上1.0wt%未満を○、1.0wt%以上を◎としている。また、MEKはメチルエチルケトンを示し、Tはトルエンを示し、Eは酢酸エチルを示し、T/E=3/7とはトルエンと酢酸エチルの重量比が3:7の溶液を示している。
上記表8より、比較化合物1、比較化合物2および比較化合物3は、SP値が7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0の範囲ではないことが分かる。また、表8の結果からも、本発明の近赤外線吸収材料の「−X1−[CH2]n−X2−Ar1−Y−Ar2−X3−[CH2]n−X4−」の二価の中でも、置換もしくは未置換のフェニレン基およびアルキレン基が非極性溶剤への溶解性を向上させ、エステル基、カルボニル基、イミノ基などの極性基が極性溶剤への溶解性を向上させていることが分かる。例えば、P−1において、トルエン、酢酸エチル、MEKに溶解することより、7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0の範囲にあることが分かる。
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、および比較化合物4(製造方法については米国特許第6489399号明細書参照)、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=200,000)溶液(溶剤:酢酸エチル:トルエン=2:1)に固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工した。このフィルムについてHaze値および近赤外極大吸収波長(λmax)における透過率(%T)を表9に示した。Haze値は、NIPPONN DENSHOKU製 Haze Meter NDH2000にて測定した。
上記表9より、溶媒、樹脂との相溶性が増すことによりコート剤のHaze値が低くなり、近赤外線吸収が増大することが分かる。比較化合物4は材料の重量の中での近赤外線吸収部位の占める割合が小さいためこれを含んだフィルムでは近赤外線吸収能力が弱い。
[実施例5]
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して約2.0%混合し、PETフィルムに膜厚20μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについてHaze値、可視光およびλmaxの透過率を表10に示す。なお、Haze値は実施例4と同様の方法で求めた。また可視光およびλmaxの透過率は、日本分光製吸光光度測定機V−570にて測定した。
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して約2.0%混合し、PETフィルムに膜厚20μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについてHaze値、可視光およびλmaxの透過率を表10に示す。なお、Haze値は実施例4と同様の方法で求めた。また可視光およびλmaxの透過率は、日本分光製吸光光度測定機V−570にて測定した。
上記表10において、可視光透過率は450nm〜650nmにおける平均透過率、λmaxとは極大吸収波長を示す。比較化合物4を含む粘着フィルムはHaze値が低いものの、色素からオレフィン樹脂を長く伸ばした構造材料であるため、近赤外線吸収部位の占める重量の割合が小さい。したがってこれを含むフィルムはさらに樹脂で希釈されるためλmaxの近赤外線吸収能力が弱い。その他では上記表10より相溶性の高いフィルムほどHaze値が低くなり、可視光の透過率が高く、λmaxの吸収率が高いことが分かる。
[実施例6]
実施例5のフィルムにおいて、湿度95%、温度80℃、48時間の条件でテストをし、前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%T値を表11に示す。
実施例5のフィルムにおいて、湿度95%、温度80℃、48時間の条件でテストをし、前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%T値を表11に示す。
表11より試験前後でのHaze値の変化および極大吸収波長の透過率変化Δ%Tは比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4よりもP−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62のほうが小さく、湿度および温度に対しての耐久性が強いことが分かる。
[実施例7]
実施例5のフィルムにおいて、温度80℃、500時間の条件でテストをし、前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%Tを表12に示す。
実施例5のフィルムにおいて、温度80℃、500時間の条件でテストをし、前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%Tを表12に示す。
上記表12より試験前後でのHaze値および極大吸収波長の透過率変化Δ%Tは比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4よりもP−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62のほうが小さく、耐熱性に優れていることが分かる。
[実施例8]
実施例5のフィルムにおいて、紫外線吸収PETフィルム(テイジンテトロンフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製)を装着し、キセノン−100W/m2、温度60%、湿度60%、で24時間耐光試験を行い、試験前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%Tを表13に示す。
実施例5のフィルムにおいて、紫外線吸収PETフィルム(テイジンテトロンフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製)を装着し、キセノン−100W/m2、温度60%、湿度60%、で24時間耐光試験を行い、試験前後のHaze値、極大吸収波長の透過率変化Δ%Tを表13に示す。
上記表13より試験前後でのHaze値および極大吸収波長の透過率変化Δ%Tは比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4よりもP−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62のほうが小さく、耐久性に優れることが分かる。
[実施例9]
実施例4で作成したそれぞれのフィルムについて実施例6〜8と同様の試験を行ったところ、同様の結果が得られた。
実施例4で作成したそれぞれのフィルムについて実施例6〜8と同様の試験を行ったところ、同様の結果が得られた。
実施例1〜7より、本発明の近赤外吸収材料は近赤外吸収材料に用いる官能基を調節することによって材料のSP値を7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0に収め、溶剤に対する溶解性、樹脂に対する相溶性を向上させ、いずれも耐久性に優れたものであることが明らかである。
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=200,000)溶液(溶剤:酢酸エチル:トルエン=2:1)に固形分に対して約1.5%混合し、さらにそこへ上記比較化合物5(日本国特許第3699464号公報記載)、比較化合物6(特開2005−232158号公報、特開2006−195399号公報記載)もしくはPP−2、PP−3、PP−5、PP−16、PP−20、PP−30を固形分に対して2%混合してPETフィルムに塗工した。このフィルムについて80℃、500時間で耐熱試験を行い、Haze値、850nmおよび1000nmにおける透過率変化(Δ%T)および色味変化Δy値を表14に示した。なお、Haze値、Δ%Tについては実施例5と同様の方法で求め、色度変化Δy値についてはMINOLTA製色彩色度計CR−300にて行った。
上記表14より本発明の一般式(1)の材料P−1、P−2、P−、P−38、P−56、P−62および一般式(3)で表される材料PP−2、PP−3、PP−5、PP−16、PP−20、PP−30の組み合わせのとき、耐久性が飛躍的に向上することが分かる。
[実施例11]
実施例10で作成したフィルムについて実施例6および実施例8で用いた耐久性試験条件で試験を行ったところ、実施例10と同等の結果が得られた。
実施例10で作成したフィルムについて実施例6および実施例8で用いた耐久性試験条件で試験を行ったところ、実施例10と同等の結果が得られた。
[実施例12]
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を2.5%、比較化合物5、比較化合物6もしくはPP−2、PP−3、PP−5、PP−16、PP−20、PP−30を3.0%、固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して混合し、PETフィルムに膜厚20μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについて80℃、500時間で耐熱試験を行い、Haze値、850nmおよび1000nmにおける透過率変化(Δ%T)および色味変化Δy値を表15に示した。なお、Haze値、Δ%Tについては実施例5と同様の方法で求め、色度変化Δy値についてはMINOLTA製色彩色度計CR−300にて行った。
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、比較化合物4、P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62を2.5%、比較化合物5、比較化合物6もしくはPP−2、PP−3、PP−5、PP−16、PP−20、PP−30を3.0%、固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して混合し、PETフィルムに膜厚20μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについて80℃、500時間で耐熱試験を行い、Haze値、850nmおよび1000nmにおける透過率変化(Δ%T)および色味変化Δy値を表15に示した。なお、Haze値、Δ%Tについては実施例5と同様の方法で求め、色度変化Δy値についてはMINOLTA製色彩色度計CR−300にて行った。
上記表より比較化合物を用いた場合では粘着剤中における色素劣化が顕著であり、本発明の一般式(1)の材料P−1、P−2、P−6、P−38、P−56、P−62および一般式(3)で表される材料PP−2、PP−3、PP−5、PP−16、PP−20、PP−30の組み合わせのとき、耐久性が飛躍的に向上することが分かる。
[実施例13]
実施例12で作成したフィルムについて実施例6および実施例8で用いた耐久性試験条件で試験を行ったところ、実施例12と同等の結果が得られた。
実施例12で作成したフィルムについて実施例6および実施例8で用いた耐久性試験条件で試験を行ったところ、実施例12と同等の結果が得られた。
以上より本発明の一般式(1)の色素および一般式(11)の色素を組み合わせて使用することにより色味変化が少なく、耐久性の良い均一に透明なフィルターが作成可能であることが明らかとなった。
[実施例14]
P−1、P−1とその副生成物PP−45混合物およびPP−45につき、固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して2.0%混合し、PETフィルムに膜厚25μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについて80℃、500時間で耐熱試験を行い、Haze値、近赤外極大吸収波長(850nm)おける透過率変化(Δ%T)表16に示した。なお、Haze値、Δ%Tについては実施例5と同様の方法で求め、P−1中の副生成物PP−45の割合に関してはGPC(UV:290nm検出)のピーク面積比にて求めた。
P−1、P−1とその副生成物PP−45混合物およびPP−45につき、固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に固形分に対して2.0%混合し、PETフィルムに膜厚25μmで塗工し90℃で2分乾燥させた後、さらに粘着面をPETフィルムでラミネートした。このフィルムについて80℃、500時間で耐熱試験を行い、Haze値、近赤外極大吸収波長(850nm)おける透過率変化(Δ%T)表16に示した。なお、Haze値、Δ%Tについては実施例5と同様の方法で求め、P−1中の副生成物PP−45の割合に関してはGPC(UV:290nm検出)のピーク面積比にて求めた。
上記表より、P−1とP−1およびその副生成物PP−45混合物は初期Haze値に変わりが無く、耐久性も同等である。しかしPP−45のみ用いた場合では高Hazeとなり、耐久性も低下することが分かる。すなわちP−1、P−1とPP−45(P−1合成時の副生成物)の混合物は区別なく使用することができる。
[実施例15]
実施例14において、さらにPP−44(近赤外極大吸収波長:1,000nm)を2.0wt%添加して同様の試験を行ったところ、実施例14と同等の結果が得られた。
実施例14において、さらにPP−44(近赤外極大吸収波長:1,000nm)を2.0wt%添加して同様の試験を行ったところ、実施例14と同等の結果が得られた。
Claims (24)
- 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料。
一般式(1):
一般式(2):
二価有機残基A:
- 請求項1に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R10のうちのいずれか一つが直接結合であり、R11〜R20のうちのいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R6〜R10のいずれか一つが一般式(2)で表わされる二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1に記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R5のいずれか一つが直接結合であり、R1〜R5の他の一つが一般式(2)で表される二価の基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、X1〜X4の少なくとも一つがエーテル結合および/またはAr1およびAr2が置換もしくは未置換のフェニレン基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、X1〜X4の少なくとも一つがエーテル結合であり、Ar1およびAr2が置換もしくは未置換のフェニレン基であり、かつYが上記二価有機残基Aのうちのいずれかであることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、近赤外線吸収材料は一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する単重合体であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、該近赤外線吸収材料は、繰り返し単位として一般式(1)で表わされる繰り返し単位の二種以上を有する共重合体であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
- 請求項2〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、一般式(2)で表わされる二価の基が結合されていないベンゼン環がオルト位に置換基を有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
- バインダー樹脂と、請求項1〜9のいずれかに記載の近赤外線吸収材料とを含んでなる近赤外線吸収組成物。
- 請求項10に記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂および前記近赤外線吸収材料それぞれのHansen溶解度パラメーターである分散力(δd)、分子の永久双極子間に生じる力(δp)、分子の水素結合力(δh)が、7.0<δd<9.0、0.1<δp<5.5、0.1<δh<5.0であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項10または11に記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂100重量部に前記近赤外線吸収材料が0.01〜20重量部配合されていることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記バインダー樹脂のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項10〜14のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が、さらに溶剤を含むことを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項10〜15のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、前記近赤外線吸収材料が、前記一般式(1)で表される近赤外線吸収波長の異なる二種以上の近赤外線吸収材料からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項18に記載の近赤外線吸収組成物において、X5が直接結合または−O−であって、かつn2が1であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 請求項18または19に記載の近赤外線吸収組成物において、R54および/またはR58が置換基であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
- 基材上に、請求項1〜9のいずれかに記載の近赤外線吸収材料または請求項10〜20のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を含む層が形成されてなる積層体。
- 請求項21に記載の積層体において、該積層体が粘着シートであることを特徴とする積層体。
- 請求項1〜9項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料を含有する樹脂フィルム。
- 請求項21または22に記載の積層体、または請求項23に記載の樹脂フィルムを含んでなる光学フィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007232245A JP4055824B1 (ja) | 2006-09-08 | 2007-09-07 | 近赤外線吸収材料、これを含む近赤外線吸収組成物およびその用途 |
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