JP2009023317A - ハニカム構造体成形用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハニカム構造体成形時における外周スキンの成形性低下、外周スキンに隣接するセル壁の倒れを抑制することができるハニカム構造体成形用金型を提供すること。
【解決手段】ハニカム構造体成形用金型1は、供給穴31とスリット溝41とを有する金型本体2と、立設部51とガイド部52とを有するガイドリング5とを備えている。金型本体2は、段付部42を有している。スリット溝形成面400は、中央スリット溝形成面422と外周スリット溝形成面402とを有している。段付部42は、その外周側面421の外周スリット溝形成面402に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されている。外周スリット溝形成面402とガイド部52との間の距離をA、段付部42の外周側面421とガイド部52の先端521との間の距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハニカム構造体を押出成形するためのハニカム構造体成形用金型に関する。
自動車等の内燃機関から排出される排ガスを浄化するための触媒を担持させる触媒担体としては、例えば、ハニカム状のセル壁81とセル壁81に囲まれた多数のセル82と外周側面を覆う筒状の外周スキン83とを有するハニカム構造体8(図6参照)が知られている。
ハニカム構造体8は、一般にハニカム構造体成形用金型を用いて、セラミックス原料を含む材料を押出成形することにより製造される。
このハニカム構造体成形用金型としては、従来から様々な構成のものが提案されている(特許文献1参照)。
例えば、図10に示すごとく、ハニカム構造体成形用金型91は、材料80を供給するための供給穴931と材料80をハニカム状に成形するための格子状のスリット溝941とを有する金型本体92と、スリット溝941から押し出された材料80を案内して所望の外形を得るためのガイドリング95とを備えている。また、金型本体92は、ガイドリング95に対向しない部分に、材料80の押出方向に突出した段付部942を有している。
上記構成のハニカム構造体成形用金型91を用いて材料80を押出成形した場合、同図に示すごとく、ガイドリング95に対向するスリット溝941から押出方向に押し出された材料80は、金型本体92とガイドリング95との間の間隙910に流入し、金型本体92の中心方向に向かって流通する。そして、ガイドリング95の先端951において、材料80がそのまま中心方向へ流通することを段付部942によって規制すると共に、ガイドリング95に案内されて押出方向に方向転換し、外周スキン83を形成する。
特開2002−283326号公報
しかしながら、段付部942の立ち上がり部分の隅部943の角度α’は、例えば110°と金型本体92の中心方向に傾斜している。そのため、ガイドリング95の先端951付近において、材料80が中心方向成分を有した状態で押出方向に方向転換され、この状態のまま外周スキン83を形成する。これにより、外周スキン83が中心方向に傾いた状態で形成され、その外周スキン83に隣接するセル壁81の倒れが生じていた。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ハニカム構造体成形時における外周スキンの成形性低下、外周スキンに隣接するセル壁の倒れを抑制することができ、ハニカム構造体を精度良く成形することができるハニカム構造体成形用金型を提供しようとするものである。
本発明は、ハニカム状のセル壁と該セル壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周スキンとを有するハニカム構造体を成形するためのものであり、上記セル壁と上記外周スキンとを一体的に成形することができるハニカム構造体成形用金型であって、
該ハニカム構造体成形用金型は、材料を供給するための供給穴と該供給穴に連通して材料をハニカム状に成形するための格子状のスリット溝とを有する金型本体と、該金型本体から押出方向に立設された立設部と該立設部から内方に向かって突出していると共に上記金型本体との間に間隙を設けたガイド部とを有するガイドリングとを備えており、
上記金型本体は、スリット溝形成面における上記ガイド部に対向しない部分に、押出方向に突出した段付部を有しており、
また、上記金型本体は、上記段付部の上記スリット溝形成面である中央スリット溝形成面と上記段付部の周囲の部分の上記スリット溝形成面である外周スリット溝形成面とを有しており、
上記段付部は、その外周側面の上記外周スリット溝形成面に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されており、
上記外周スリット溝形成面と上記ガイド部との間の距離をA、上記段付部の外周側面と上記ガイド部の先端との間の押出方向に対して垂直な方向における距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしていることを特徴とするハニカム構造体成形用金型にある(請求項1)。
本発明のハニカム構造体成形用金型は、ハニカム状のセル壁と該セル壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周スキンとを有するハニカム構造体を成形するためのものである。上記金型は、上記金型本体と上記ガイドリングとにより構成されている。上記金型本体は、上記スリット溝形成面における上記ガイド部に対向しない部分に、押出方向に突出した段付部を有している。また、上記金型本体は、上記段付部の上記スリット溝形成面である中央スリット溝形成面と上記段付部の周囲の部分の上記スリット溝形成面である外周スリット溝形成面とを有している。
上記構成のハニカム構造体成形用金型を用いて材料を押出成形した場合、上記金型本体と上記ガイド部との間の上記間隙を通過する材料により、得ようとするハニカム構造体の外周スキンが形成される。すなわち、上記ガイド部に対向する上記外周スリット溝形成面の上記スリット溝から押し出された材料は、上記間隙に流入し、上記金型本体の中心方向に向かって流通する。そして、上記ガイド部の先端において、上記ガイド部に案内されて押出方向に方向転換し、外周スキンを形成する。
ここで、本発明では、上記金型本体は、上述したとおり上記段付部を有している。そして、該段付部は、その外周側面の上記外周スリット溝形成面に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されている。そのため、上記ガイド部の先端付近において、材料が押出方向に方向転換する際に、材料がそのまま中心方向へ流通することを上記段付部によって規制することができると共に、材料の押出方向への方向転換をしっかりと行うことができる。これにより、外周スキンを押出方向に形成することができ、ハニカム構造体成形時における外周スキンや外周スキンに隣接するセル壁の倒れを抑制することができる。
さらに、本発明では、上記外周スリット溝形成面と上記ガイド部との間の距離をA、上記段付部の外周側面と上記ガイド部の先端との間の押出方向に対して垂直な方向における距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしている。外周スキンは、上記距離Aの厚みの上記間隙を通過した材料が、上記距離Bの上記段付部の外周側面と上記ガイド部の先端との間を通過することにより形成される。そして、上記距離Bによって得ようとする外周スキンの厚みが決定される。よって、上記距離Aと上記距離Bとが上記関係を満たすことにより、外周スキンを形成するのに必要な材料を上記間隙からの供給によってほぼ賄うことができる。これにより、外周スキンを形成する材料の供給量が不足するおそれがなく、所望の厚みの外周スキンを安定的に得ることができる。
このように、本発明のハニカム構造体成形用金型によれば、ハニカム構造体成形時における外周スキンの成形性低下、外周スキンに隣接するセル壁の倒れを抑制することができ、ハニカム構造体を精度良く成形することができる。
本発明において、上記押出方向とは、上記金型本体から材料が押し出される方向のことである。
また、上記スリット溝形成面とは、上記金型本体において上記スリット溝が形成されている面のことである。
また、上記スリット溝の格子形状は、成形するハニカム構造体のセル壁の形状に合わせて、種々の形状を採用することができる。例えば三角形、四角形、六角形等とすることができる。
また、上記外周スリット溝形成面と上記ガイド部との間の距離Aと、上記段付部の外周側面と上記ガイド部の先端との間の押出方向に対して垂直な方向における距離Bとの関係がB<Aの場合には、外周スキン形成のための材料が必要以上に供給されるおそれがあり、所望の厚みの外周スキンを安定的に得ることができないおそれがある。一方、B≧1.5Aの場合には、上記間隙を通過した材料だけでは外周スキンを充分に形成することができないおそれがある。そのため、所望の厚みの外周スキンを安定的に得ることができないおそれがある。
また、上記ガイド部の先端部には、上記外周スリット溝形成面に対向する部分から上記段付部の外周側面に対向する部分にかけて所定の曲率を有する先端部R面が形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記ガイド部の先端付近において、材料の押出方向への方向転換を上記先端部R面によって円滑に進めることができる。
また、上記先端部R面の曲率半径は、0.5mm以下であることが好ましい(請求項3)。
上記先端部R面の曲率半径が0.5mmを超える場合には、上記先端部R面を設けた効果が小さくなるおそれがある。
また、上記先端部R面が描く円弧の中心位置は、上記通常スリット溝形成面よりも上記外周スリット溝形成面側にあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記段付部の高さを充分にとっておくことにより、材料の上記金型本体の中心方向への流通を規制すると共に、材料の押出方向への方向転換をしっかりと行うという上記段付部を設けたことによる効果を充分に発揮することができる。
また、上記外周スリット溝形成面と上記段付部の外周側面とが成す隅部には、所定の曲率を有する隅部R面が形成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記段付部の外周側面付近において、材料の押出方向への方向転換を上記隅部R面によって円滑に進めることができる。
また、上記隅部R面の曲率半径は、0.5mm以下であることが好ましい(請求項6)。
上記隅部R面の曲率半径が0.5mmを超える場合には、上記隅部R面を設けた効果が小さくなるおそれがある。
(実施例1)
実施例にかかる本発明のハニカム構造体成形用金型について説明する。
本例のハニカム構造体成形用金型1は、図1〜図3に示すごとく、ハニカム状のセル壁81と、セル壁81に囲まれた多数のセル82と、外周側面を覆う筒状の外周スキン83とを有するハニカム構造体8(図6)を成形するためのものであり、セル壁81と外周スキン83とを一体的に成形することができるものである。
本例のハニカム構造体成形用金型1は、図1、図2に示すごとく、金型本体2とガイドリング5とを備えている。金型本体2には、ガイドリング5を固定するためのピン穴が、ガイドリング5には、金型本体2を固定するためのピン穴が設けられている(図示略)。
金型本体2は、材料を供給する供給穴31を設けた供給穴部3と、供給穴31に連通して材料をハニカム状に成形する格子状のスリット溝41を設けたスリット溝部4とを有する。
スリット溝部4は、図2、図3(a)に示すごとく、その周囲よりも突出した円形状を呈しており、スリット溝形成面400に四角形格子状のスリット溝41を設けてある。スリット溝形成面400には、後述するガイド部52に対向しない部分に、押出方向に突出した円形状を呈する段付部42が設けられている。そして、スリット溝形成面400は、段付部42における中央スリット溝形成面422と、段付部42の周囲の部分における外周スリット溝形成面402とを有する。
供給穴部3は、図2に示すごとく、供給穴形成面300(スリット溝形成面400の反対側の面)にスリット溝41に連通する供給穴31を設けてある。
また、図3(b)に示すごとく、供給穴31は、四角形格子状のスリット溝41の格子点のうち、縦横方向1つおきの格子点に対応する場所に設けられている。供給穴31の内径r1は1.5mmであり、スリット溝41の溝幅tは100μmである。
ガイドリング5は、図1、図2に示すごとく、金型本体2の基準面200から材料の押出方向へ延びるよう構成された立設部51と、立設部51から内方へ向かって突出していると共にスリット溝部4との間に間隙10を設けたガイド部52とを有する。
立設部51は、リング状を呈しており、この立設部51の高さを外周スリット溝形成面402の高さより大きくすることによって、間隙10を確保している。また、立設部51の内周側面510は、金型本体2のスリット溝部4の外周側面401に当接している。
ガイド部52は、スリット溝部4の外周スリット溝形成面402に対向するガイド対向面520が外周スリット溝形成面402との間の間隙10を維持するように内方に突出するよう形成されている。ガイド部52の先端521が呈する形状は、得ようとするハニカム構造体8の外形寸法に合わせた円形状としてある。
また、本例において、図2に示すごとく、段付部42は、その外周側面421の外周スリット溝形成面402に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されている。なお、本例の角度αは90°である。
また、スリット溝部4の外周スリット溝形成面402とガイド部52との間の距離をA、段付部42の外周側面421とガイド部52の先端との間の押出方向に対して垂直な方向における距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしている。なお、本例の距離Aは0.4mm、距離Bは0.55mmである。
また、ガイド部52の先端部522には、外周スリット溝形成面402に対向する部分から段付部42の外周側面421に対向する部分にかけて所定の曲率を有する先端部R面53が形成されている。先端部R面53の曲率半径は0.3mmである。
また、先端部R面53が描く円弧の中心位置Oは、通常スリット溝形成面401よりも外周スリット溝形成面402側にある。
次に、本例のハニカム構造体成形用金型1の製造方法について簡単に説明する。
ハニカム構造体成形用金型1を作製するに当たっては、まず、その金型素材20として、材質がSKD61よりなる四角形状の板材を準備する。
次いで、図4(a)に示すごとく、金型素材20におけるスリット溝形成面400をその周囲(基準面200)よりも突出させるように外周部を切削する外周粗加工を行う。
次いで、図4(b)に示すごとく、外周粗加工を行った面と反対側の面である供給穴形成面300に、ドリルを用いて供給穴31を多数形成した。
次いで、図4(c)に示すごとく、金型素材20のスリット溝形成面400に円盤状研削砥石(図示略)を用いてスリット溝41を1本ずつ多数形成し、四角形格子状とする。
次いで、図4(d)に示すごとく、金型素材20のスリット溝形成面400の外周形状を所望の円形状に整え、さらにスリット溝形成面400の中央に周囲よりも突出した段付部42を形成する段付加工を行い、金型本体2を得る。
次いで、得られた金型本体2にガイドリング3を組み付ける。金型本体2にガイドリング5を固定する際には、金型本体2の基準面200にガイドリング5を重ね、ピンを金型本体のピン穴、ガイドリング5のピン穴に挿設することにより固定する(図示略)。このとき、金型本体2のスリット溝部4の外周面401にガイドリング5の立設部51の内周面510を当接させる。
以上により、ハニカム構造体成形用金型1を得る。
次に、上記構成のハニカム構造体成形用金型1を用いて、ハニカム構造体8を製造する方法について説明する。
まず、ハニカム構造体成形用金型1をスクリュー式の押出成形装置(図示略)の先端にセットし、この押出成形装置内に混練したセラミック原料を含む材料80を投入する。なお、材料80としては、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルクを含有し、最終的にコーディエライトを主成分とする化学組成となるように調整したコーディエライト化原料粉末に水、バインダ、造孔材等を加えて混練したものを用いた。
次いで、上記押出成形装置からハニカム構造体成形用金型1の供給穴31に材料80を供給する。そして、図5に示すごとく、供給穴31に供給された材料80のうち、外周スリット溝形成面402から押し出された材料80は、間隙10を通過し、外周スキン83を形成する。また、中央スリット溝形成面422から押し出された材料80は、直接、四角形格子状のセル壁81を形成する。
このようにして、外周スキン83及びセル壁81を一体的に同時に進行しながら形成する。そして、図6に示すごとく、ハニカム状のセル壁81と、セル壁81に囲まれた多数のセル82と、外周側面を覆う筒状の外周スキン83とを有するハニカム構造体8を成形する。
そしてさらに、押出成形後のハニカム構造体8を乾燥し、所定温度で焼成することより、コーディエライトセラミックからなるハニカム構造体8を作製する。
次に、本例のハニカム構造体成形用金型1における作用効果について説明する。
本例のハニカム構造体成形用金型1において、金型本体2は、スリット溝形成面400におけるガイド部52に対向しない部分に、押出方向に突出した段付部42を有している。また、金型本体2は、段付部42のスリット溝形成面400である中央スリット溝形成面402と段付部42の周囲の部分のスリット溝形成面400である外周スリット溝形成面422とを有している。
上記構成のハニカム構造体成形用金型1を用いて材料80を押出成形した場合、金型本体2とガイド部52との間の間隙10を通過する材料80により、得ようとするハニカム構造体8の外周スキン83が形成される。すなわち、ガイド部52に対向する外周スリット溝形成面402のスリット溝41から押し出された材料80は、間隙10に流入し、金型本体2の中心方向に向かって流通する。そして、ガイド部52の先端521において、ガイド部52に案内されて押出方向に方向転換し、外周スキン83を形成する。
ここで、本例では、金型本体2は、上述したように段付部42を有している。そして、段付部42は、その外周側面421の外周スリット溝形成面402に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されている。そのため、ガイド部52の先端521付近において、材料80が押出方向に方向転換する際に、材料80がそのまま中心方向へ流通することを段付部42によって規制することができると共に、材料80の押出方向への方向転換をしっかりと行うことができる。これにより、外周スキン83を押出方向に形成することができ、ハニカム構造体8成形時における外周スキン83や外周スキン83に隣接するセル壁81の倒れを抑制することができる。
さらに、本例では、外周スリット溝形成面402とガイド部52との間の距離をA、段付部42の外周側面421とガイド部52の先端521との間の押出方向に対して垂直な方向における距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしている。外周スキン83は、上記距離Aの厚みの間隙10を通過した材料80が上記距離Bの段付部42の外周側面421とガイド部52の先端521との間を通過することにより形成され、上記距離Bによって得ようとする外周スキン83の厚みが決定される。そして、上記距離Aと上記距離Bとが上記関係を満たすことにより、外周スキン83を形成するのに必要な材料80を間隙10からの供給によってほぼ賄うことができる。これにより、外周スキン83を形成する材料80の供給量が不足するおそれがなく、所望の厚みの外周スキン83を安定的に得ることができる。
このように、本例のハニカム構造体成形用金型1によれば、ハニカム構造体8成形時における外周スキン83の成形性低下、外周スキン83に隣接するセル壁81の倒れを抑制することができ、ハニカム構造体8を精度良く成形することができる。
(実施例2)
本例は、実施例1のハニカム構造体成形用金型1を基に、構成を変更した例である。
本例のハニカム構造体成形用金型1においては、図7に示すごとく、外周スリット溝形成面402と段付部42の外周側面421とが成す隅部には、所定の曲率を有する隅部R面43が形成されている。隅部R面43の曲率半径は0.3mmである。
その他は、実施例1と同様の構成である。
この場合には、ハニカム構造体8成形時において、段付部42の外周側面421付近における材料80の押出方向への方向転換を隅部R面43によってさらに円滑に進めることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、実施例1のハニカム構造体成形用金型1を基に、構成を変更した例である。
本例のハニカム構造体成形用金型1において、図8に示すごとく、金型本体2には、スリット溝41が形成されたスリット溝形成領域61(本例でいうスリット溝形成面400を含む領域に当たる)よりも外方に、外周スキン用供給穴形成領域62が設けられている。外周スキン用供給穴形成領域62は、スリット溝形成領域61を囲むように設けられている。
外周スキン用供給穴形成領域62には、金型本体2を貫通してなり、外周スキン83を形成する材料を供給するための複数の外周スキン用供給穴32が形成されている。外周スキン用供給穴32は、外周スキン用供給穴形成領域62内において2列を成して配列されている。外周スキン用供給穴32の内径r2は1.5mmである。
また、外周スキン用供給穴32の各列において、各外周スキン用供給穴32とガイド部52の先端521との間の押出方向に対して垂直な方向における距離はすべて同じである。本例では、内側から第1列目の外周スキン用供給穴32の中心からガイド部52の先端521との間の最短距離aを7mmに、第2列目の外周スキン用供給穴32の中心からガイド部52の先端521との間の最短距離bを10mmに設定してある。
なお、立設部51の内周面510と金型本体2のスリット溝部4の外周面401との間には、外周スキン用供給穴32から押し出された材料の流通経路となる外周スキン用供給路11が形成されている。
また、同図に示すごとく、金型本体2は、材料を供給することができないよう供給穴31を塞いだ供給穴閉塞領域20を有している。そして、供給穴閉塞領域20は、外周スリット溝形成面402がガイド部52に対向しない非対向領域21を含む領域である。
本例では、供給穴閉塞領域20は、供給穴31に材料が侵入することを防止するためのリング状を呈する材料止め部材33を供給穴形成面300に配設することにより形成されている。材料止め部材33は、外周スリット溝形成面402のスリット溝41に連通する供給穴31、つまり段付部42よりも外方にある供給穴31全てを塞ぐように設けられている。また、材料止め部材33には、各外周スキン用供給穴32に連通する連通穴331が設けられている。
また、同図に示すごとく、ガイドリング5のガイド部52には、スリット溝部4のスリット溝形成面400に対向するガイド対向面520から押出方向に湾曲状に凹んで形成されたプール溝54が全周に渡って環状に設けられている。
プール溝54の内面には、ガイド部52の先端521に近づくに従って深さが徐々に小さくなるようプール溝傾斜面541が形成されている。プール溝傾斜面541のガイド対向面520に対する傾斜角βは、10〜20°である。本例の傾斜角βは15°に設定した。
その他は、実施例1と同様の構成である。
次に、上記構成のハニカム構造体成形用金型1を用いて、ハニカム構造体8を製造する方法について説明する。
まず、図9に示すごとく、供給穴31及び外周スキン用供給穴32に材料80を供給する。なお、材料止め部材33で塞がれた供給穴31には、材料80を供給しない。
外周スキン用供給穴32に供給された材料80は、基準面200から押し出され、外周スキン用供給路11を通過し、間隙10から一旦プール溝54に溜められる。そして、プール溝54から再び間隙10に流入し、金型本体2の中心方向に向かって流通する。その後、ガイドリング5のガイド部52に案内されて、外周スキン83を形成する。
また、供給穴31に供給され、中央スリット溝形成面422から押し出された材料80は、直接、四角形格子状のセル壁81を形成する。
その他は、実施例1と同様の製造方法である。
次に、本例のハニカム構造体成形用金型における作用効果について説明する。
本例のハニカム構造体成形用金型1において、金型本体2には、スリット溝形成領域61よりも外方に、外周スキン用供給穴形成領域62がスリット溝形成領域61を囲むように形成されている。そして、外周スキン用供給穴形成領域62には、外周スキン83を形成する材料80を供給するための外周スキン用供給穴32が環状に複数列を成して配列されている。すなわち、本例のハニカム構造体成形用金型1は、スリット溝形成領域61よりも外方に設けられた外周スキン供給穴形成領域62の外周スキン用供給穴32から、外周スキン83を形成する材料80を主に供給する構成となっている。
そして、本例では、外周スキン用供給穴32の各列において、各外周スキン用供給穴32とガイド部52の先端521との間の押出方向に対して垂直な方向における距離(a、b)がすべて同じとなっている。そのため、ハニカム構造体8成形時において、外周スキン用供給穴形成領域62の外周スキン供給穴32の各列から押し出された材料80は、各列においてほぼ同じ距離を経てガイドリング5のガイド部52の先端521に到達し、そこから外周スキン83を形作ることになる。つまり、外周スキン用供給穴形成領域62から外周スキン83形成のために供給される材料80をほぼ一定量とすることができる。これにより、外周スキン83形成のために供給される材料80のばらつきを抑制することができ、均一な厚みの外周スキン83を形成することができる。
また、金型本体2は、外周スリット溝形成面400がガイド部52に対向しない非対向領域21を有しており、金型本体2の非対向領域21に重合する部分には、非対向領域21に重合する位置に存在する供給穴31を塞ぐように材料止め部材33が設けられている。そのため、ハニカム構造体8成形時において、非対向領域21に存在するスリット溝41から押出方向に押し出され、そのまま押出方向に外周スキン83を形成する材料80をなくすことができる。
すなわち、本例では、ハニカム構造体8成形時において、金型本体2とガイド部52との間の間隙10を通過する材料80のみによって、得ようとするハニカム構造体8の外周スキン83が形成される。具体的には、間隙10に流入した材料80が、金型本体2の中心方向に向かって流通する。そして、ガイド部52の先端521において、ガイド部52に案内され、金型本体2の中心方向への流通を段付部42によって規制しながら押出方向に方向転換し、外周スキン83を形成する。これにより、同じ流通方向、流速の材料80のみによって外周スキン83を形成することになるため、外周スキン83を精度良く安定的に形成することができる。そして、外周スキン83の厚みの不均一性、強度低下等の不具合を抑制することができる。
また、本例において、ガイドリング5のガイド部52には、スリット溝部4のスリット溝形成面400に対向するガイド対向面520から押出方向に凹んで形成されたプール溝54が全周に渡って環状に設けられている。そのため、外周スキン用供給穴32から押し出された材料80は、外周スキン用供給路11を通過し、間隙10からプール溝54に流入して一旦溜められた(プールされた)後、再び間隙10に流入し、金型本体2の中心方向に向かって流通する。そして、ガイドリング5のガイド部52に案内されて押出方向に方向転換し、外周スキン83を形成する。
すなわち、押し出された材料80をプール溝54に一旦溜めてから中心方向に流通させることにより、中心方向へ流通する際の材料80の流通状態(材料80の流量、流速、流通方向等)を均一化することができる。これにより、ハニカム構造体8を成形する際に、外周スキン83の厚みのばらつきを小さくすることができる。そして、成形性・均一性に優れた外周スキン83を形成することができる。
さらに、本例では、プール溝54の内面に、ガイド部52の先端521に近づくに従って深さが徐々に小さくなるようプール溝傾斜面541が形成されており、その傾斜角βは10°≦β≦20°を満たしている。プール溝54にプール溝傾斜面541を設け、その傾斜角βを上記特定の角度とすることにより、材料80がプール溝54から間隙10へと流入する際に、プール溝傾斜面541によって材料80に対して徐々に圧力をかけることができる。そのため、より密度の高い状態の材料80を中心方向へ流通させ、その密状態の材料80によって外周スキン83を精度良く形成することができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
実施例1における、ハニカム構造体成形用金型を示す説明図。 図1のA−A線断面図。 実施例1における、金型本体を示す説明図。 実施例1における、金型本体の供給穴とスリット溝との関係を示す説明図。 実施例1における、ハニカム構造体を成形する様子を示す説明図。 実施例1における、ハニカム構造体を示す説明図。 実施例2における、ハニカム構造体成形用金型のその他の例を示す説明図。 実施例3における、ハニカム構造体成形用金型のその他の例を示す説明図。 実施例3における、ハニカム構造体を成形する様子を示す説明図。 従来における、ハニカム構造体成形用金型の構造及び材料を成形する様子を示す説明図。
符号の説明
1 ハニカム構造体成形用金型
2 金型本体
31 供給穴
400 スリット溝形成面
402 外周スリット溝形成面
41 スリット溝
42 段付部
421 外周側面(段付部の外周側面)
422 中央スリット溝形成面
5 ガイドリング
51 立設部
52 ガイド部
521 先端(ガイド部の先端)

Claims (6)

  1. ハニカム状のセル壁と該セル壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周スキンとを有するハニカム構造体を成形するためのものであり、上記セル壁と上記外周スキンとを一体的に成形することができるハニカム構造体成形用金型であって、
    該ハニカム構造体成形用金型は、材料を供給するための供給穴と該供給穴に連通して材料をハニカム状に成形するための格子状のスリット溝とを有する金型本体と、該金型本体から押出方向に立設された立設部と該立設部から内方に向かって突出していると共に上記金型本体との間に間隙を設けたガイド部とを有するガイドリングとを備えており、
    上記金型本体は、スリット溝形成面における上記ガイド部に対向しない部分に、押出方向に突出した段付部を有しており、
    また、上記金型本体は、上記段付部の上記スリット溝形成面である中央スリット溝形成面と上記段付部の周囲の部分の上記スリット溝形成面である外周スリット溝形成面とを有しており、
    上記段付部は、その外周側面の上記外周スリット溝形成面に対する角度αが90°≦α≦95°となるよう形成されており、
    上記外周スリット溝形成面と上記ガイド部との間の距離をA、上記段付部の外周側面と上記ガイド部の先端との間の押出方向に対して垂直な方向における距離をBとした場合に、A≦B<1.5Aを満たしていることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
  2. 請求項1において、上記ガイド部の先端部には、上記外周スリット溝形成面に対向する部分から上記段付部の外周側面に対向する部分にかけて所定の曲率を有する先端部R面が形成されていることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
  3. 請求項2において、上記先端部R面の曲率半径は、0.5mm以下であることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
  4. 請求項2又は3において、上記先端部R面が描く円弧の中心位置は、上記通常スリット溝形成面よりも上記外周スリット溝形成面側にあることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記外周スリット溝形成面と上記段付部の外周側面とが成す隅部には、所定の曲率を有する隅部R面が形成されていることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
  6. 請求項5において、上記隅部R面の曲率半径は、0.5mm以下であることを特徴とするハニカム構造体成形用金型。
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