JP2009022276A - 細胞評価方法及び細胞評価システム - Google Patents

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Abstract

【課題】メディカル、バイオテクノロジー分野などで行われている培養試験において、基質表面に相当する培養器の表面に機能性表面を形成させることにより、細胞の遊走能や増殖能を定量的に評価できる細胞評価方法を提供する。
【解決手段】 細胞評価方法は、細胞が培養される面に、一辺の長さが2μm以上1000μm以下の複数の領域11と、複数の領域11同士を2μm以上1000μm以下の間隔をあけて配置することにより形成される間隔領域12とのうち、いずれか一方へ親水性の領域が形成され、他方へ疎水性の領域が形成された細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、疎水性の領域に基づいて特定された評価範囲について、細胞が遊走、または伸張した距離を計測するステップと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、培養細胞を用いて薬物等の効果判定や、その毒性を試験する細胞評価方法に関する。
組織から単離した細胞を試験、検査に用いる手法は、バイオテクノロジー関連分野では欠かせない方法となっている。疾病、病態の診断、新薬の探索および薬効の判定、あるいは動物検査、植物検査、環境汚染物質の試験などに幅広く用いられている。単離した細胞は、直ちに試験に用いられる場合もあるが、多くは細胞培養の方法により培養皿や試験管のなかで培養が行われている。この培養系のなかで種々の検査が行われる。
近年、バイオテクノロジー分野で使用される細胞の種類は、創薬開発、薬剤の産生、再生医療を目的とした基礎試験、薬物などの効果判定、毒性判別等のアッセイ試験用途等、極めて多様化してきている。
これらのアッセイ試験は、通常均一な培養系を設定し、評価する薬物等の種類、濃度等を変えてその効果を見るものである。そのため培養に用いる培養器も一定の均一に形成された物が用いられる。この培養器は、プラスチック製シャーレ、ガラス製シャーレ、容器内に固定されたガラスプレート、又はウェルプレート等が一般的に用いられる。ウェルプレートには、6ウェルプレート、12ウェル、48ウェル、96ウェルの各プレート、又はシャーレがある。また、最近の微量化への流れから、更に小口径で多数の培養皿からなる384ウェルプレートも使用され始めている。
また、培養試験に用いられる細胞培養株には、In vivo試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すことが望まれる。培養細胞の薬剤感受性、毒性反応を評価する方法の一つとして、細胞の遊走能、増殖速度を測定することがあげられる。これまで、細胞の遊走能を評価するために最も用いられてきた方法が、ボイデンチャンバー法である。
ボイデンチャンバー法では、散布した細胞がチャンバー内で広範囲に分散する。従って、細胞の遊走能を定量化するには、広く分散した細胞を広範囲に観察することが必要となる。このため、実験効率、及び正確性に問題があった。また、ボイデンチャンバー法に用いるメンブレンの多孔質は、メンブレン材料と相容性の差を利用した抽出法等によって製造するため、均一な孔径を再現するには製造技術上の問題があった。
これらの問題を改良した方法として、メンブレンの多孔を通過する細胞を観察するのでなく、基質表面に相当する培養器の平面上にて、その遊走能、増殖能等を評価することが試みられている。また、近年、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、偏光顕微鏡、微分干渉顕微鏡等の解像度、及び画像処理性能が飛躍的に高まったことにより、基質表面の培養細胞の動態を、24時間以上にわたってタイムラプス観察することは容易になりつつある。さらに、基板上に複数のウェルと流路を形成した基板を使用し、その細い流路に細胞を通過させることによって、薬剤等の種類、濃度に応じた細胞の遊走能、増殖能の差異を正確に測定することが提案されている(例えば、特許文献2、3)。
特表平8−507860号公報 特開2002−159287号公報 特開2003−215120号公報
しかしながら、市販されている細胞培養器で細胞を培養すると、基質表面に相当する培養器の平面上に散布された細胞は、薄く伸びて方向性のない形態を取る。また、細胞の擬似足場となる接着斑は、薄く伸びた細胞全体を基質表面に固定するため、薬剤等の種類、濃度に応じた細胞の遊走能、増殖能の差異を定量的に評価することは困難であった。
また、通常の細胞散布法である、ピペット等を用いた細胞の散布を行う場合、培養液によって細胞が拡散するため、規則正しく配置することは難しい。In vivo試験と同様、細胞間ネットワークを構築することが好ましい心筋細胞等を使用する場合、近傍に存在する細胞どうしが広範囲にランダムにネットワークを形成しながら増殖する形態となる。このため、薬剤等の種類、濃度に応じた細胞の遊走能、増殖能を評価することは困難であった。
さらに、複数のウェルが互いに流路を介して連通している構造では、細胞の遊走能を評価することのできる対象が、極めて限定されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、メディカル、バイオテクノロジー分野などで行われている培養試験において、基質表面に相当する培養器の表面に機能性表面を形成させることにより、細胞の遊走能や増殖能を定量的に評価できる細胞評価方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明に係る細胞評価方法の一態様は、細胞が培養される面に、一辺の長さが2μm以上1000μm以下の複数の領域と、前記複数の領域同士を2μm以上1000μm以下の間隔をあけて配置することにより形成される間隔領域とのうち、いずれか一方が親水性の領域とされ、他方が疎水性の領域とされた細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、前記疎水性の領域に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、増殖または伸張した距離を計測するステップと、を備える。このような細胞培養容器を用いて細胞を培養することにより、複数の細胞が疎水性の領域に固定され、疎水性の領域に沿ってまたは疎水性の領域間を遊走、伸張、増殖または分化することが期待できる。
また、本発明に係る細胞評価方法の別の一態様は、細胞が培養される面に、一辺の長さが2μm以上1000μm以下の複数の領域と、前記複数の領域同士を2μm以上1000μm以下の間隔をあけて配置することにより形成される間隔領域とのうち、いずれか一方の領域へ細胞接着誘導物質が塗布された細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、前記細胞接着誘導物質が塗布された領域に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、増殖または伸張した距離を計測するステップと、を備える。このような細胞培養容器を用いて細胞を培養することにより、複数の細胞が細胞接着誘導物質の領域に固定され、細胞接着誘導物質の領域に沿ってまたは細胞接着誘導物質の領域間を遊走、伸張、増殖または分化することが期待できる。
前記細胞評価方法において、前記細胞培養容器は、前記複数の領域同士を連通させる通路部が形成されていることが好ましい。通路部が形成されることにより、各領域が連通した連結構造を有することになり、細胞が通路部を通して遊走、伸張、増殖または分化することが期待できる。
本発明に係る細胞評価方法のさらに別の一態様は、凸部または凹部を複数有し、前記複数の凸部または凹部によって、培養細胞を配置する複数の空間構造が形成された細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、前記複数の空間構造に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、または伸張した距離を計測するステップと、を備える。このような細胞培養容器を用いて細胞を培養することにより、複数の細胞が複数の空間構造に固定され、凸部または凹部を乗り越えて、遊走、伸張、増殖または分化することが期待できる。
前記細胞評価方法において、前記細胞培養容器は、前記複数の空間構造を連通させる開口部が設けられていることが好ましい。開口部が設けられることにより、各空間構造が連通した連結構造を有することになり、細胞が開口部を通して遊走、伸張、増殖、または分化することが期待できる。
前記細胞評価方法において、前記凸部と前記凹部とは、高さ3μm以上500μm以下、厚さ3μm以上500μm以下、幅3μm以上1000μm以下であることが好ましく、また、前記細胞培養容器は、表面の少なくとも一部に親水性または疎水性を有する、有機膜と無機膜との少なくとも一方を備えることが好ましい。
さらに、前記細胞培養容器は、透明性を有することが好ましく、培養する細胞種としては血管平滑筋細胞が好ましい。また、細胞を観察する面積を16mm以下にすること、観察する細胞数を50cells以下にすること、観察する時間を48時間以内にすることが好ましい。
前記細胞評価方法において、前記評価するステップは、前記評価範囲として、観察対象となる細胞及び前記観察対象となる細胞の位置を確定し、画像識別機能によって遊走、増殖または伸張した距離を計測する。あるいは、前記評価範囲として、観察対象となる細胞及び前記観察対象となる細胞の位置を確定し、画像識別機能によって増殖、または分化した細胞数を計測する。これにより、評価するステップの自動化が図れる。
本発明に係る細胞評価システムの一態様は、上記で説明した細胞評価方法を実現する細胞培養容器及び評価装置と、細胞を観察するカメラ及び顕微鏡装置と、を備える。
本発明によれば、メディカル、バイオテクノロジー分野などで行われている培養試験において、基質表面に相当する培養器の表面に機能性表面を形成させることにより、細胞の遊走能や増殖能を定量的に評価することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、本明細書では、「X〜Y」が数値範囲を示す場合、「X以上Y以下」を意味するものとする。
以下の実施の形態では、細胞を培養するための基質表面に相当するプレート、シャーレ、又は容器の表面に、機能性表面の一例として、親水性/疎水性表面、細胞接着誘導物質、凸部または凹部(凸、又は凹パターン)を形成させる一態様を説明する。これにより、細胞が薄く伸び、擬似足場となる接着斑が、細胞全体を基質表面に固定する現象を制御する。従って、In vivo試験と同様、細胞本来の性質を基質表面で再現することが可能となり、細胞の遊走能や増殖能を評価できる。また、各種サイトカイン・薬物等の効果判定、毒性試験等のアッセイ試験において、狭い観察範囲内にて、限定された細胞数を対象とした薬物の効果判定試験等においても、効果の判定を定量的に分析することができるため、効率的なアッセイ試験が可能となる。
例えば、従来技術であるボイデンチャンバー法では、細胞種に応じた孔径の異なる仕様を多数揃えておく必要があった。一方、本実施の形態では一定の寸法範囲を満足する機能性表面を有することによって、多様な細胞種を測定することができる。例えば、各種接着性細胞や血液細胞等の浮遊細胞を測定することができる。このため、多品種少ロットによる細胞培養容器のコスト高を避けることができることができる。
また、ボイデンチャンバー法で使用するメンブレンにおいて、均一な孔径を作製することは困難であった。一方、本実施の形態では、均一な寸法を有する機能性表面を再現性よく製造することができる。従って、各種サイトカイン薬物等の効果判定、毒性試験等のアッセイ試験において、その正確性、再現性を高めることができる。
以下では、まず、細胞培養容器、特に機能性表面について説明し、続いて、細胞観察・評価方法、細胞種、及び細胞培養容器の製造方法について説明する。
[細胞培養容器−1 親水性・疎水性領域の形成]
まず、機能性表面の一例として、親水性領域と疎水性領域とを配置する場合を説明する。細胞にとって、浮遊細胞、又は接着性細胞のいずれにおいても、擬似足場となる接着斑を基質上に形成する場合、疎水性が好ましいことが知られている。例として、一般に疎水性表面であるポリスチレン製プレート、ポリメタクリル樹脂製プレートの表面には、血液細胞、なかでも血小板が多数粘着し、凝集塊を形成することが知られている。そこで、細胞を培養する基質表面に親水性領域と疎水性領域とを配置して、疎水性領域に沿って、細胞を培養する。
図1は、本発明の実施の形態に係る細胞が培養される面に機能性を有する領域を配置する配置例を示す図である。図1に示すように、細胞が培養される面に、縦・横(a、b)の寸法が2μm〜1000μmの親水性または疎水性の領域11(この領域を「区分領域」ともいう)を、幅2μm〜1000μmの間隔(c、d)をおいて配置する。換言すれば、一辺の長さ(aまたはb)が2μm〜1000μmの複数の領域11を、2μm〜1000μmの間隔(c、d)をあけて配置する。その結果、複数の領域11と、その間の領域である間隔領域12とが配置される。このとき、複数の領域11と間隔領域12とのいずれか一方を親水性、他方を疎水性として形成する。
このようにして形成した機能性表面に細胞を散布した場合、細胞は、疎水性の領域を中心に粘着する傾向となり、細胞が薄く伸びて基質上に広く接着斑を形成することが抑制され、細胞の遊走能を高めることができる。例えば、領域11を疎水性とした場合、隣に親水性の間隔領域が配置されることになり、細胞の個別の性質に応じて、親水性の領域を乗り越えて疎水性の領域に遊走、又は増殖することが期待できる。このようにして、細胞が疎水性の領域に固定され、疎水性の領域に沿って、または疎水性の領域間を遊走、伸張、増殖、あるいは分化することになる。これにより、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異を正確に分析できるため、効率的なアッセイ試験が可能となる場合がある。
汎用の樹脂材料のなかで、水に対する接触角は、例えば、アクリル樹脂が72°、ポリスチレン樹脂が82°となっている。そして、細胞が基質表面に接着するのに好ましい水に対する接触角は70°付近であることが知られており、アクリル樹脂表面等に固定された細胞培養例が報告されている。細胞の接着性を制御する親水性の度合いは、水に対する接触角50°以下が好ましく、40°以下がより好ましい。細胞の接着性を制御する疎水性の度合いは、水に対する接触角50°以上が好ましく、60°以上がより。好ましい。領域の縦・横、及び、隣り合う領域間の幅の寸法は、小さすぎると細胞粒子の寸法と変わらなくなり、遊走能の測定に効果を発揮しにくくなることが予測される。逆に大きすぎると、細胞の遊走を阻害すること等が懸念される。領域の縦・横(a、b)、及び、隣り合う領域間の幅(間隔c、d)の寸法は、2μm〜1000μmの範囲であることが好ましく、20μm〜500μmであることがより好ましい。
さらに、図1に示した細胞培養容器の機能性表面において、領域11を連通させる通路部を設けることが好ましい。連通部の作製方法は、あらかじめマスクを作製しておき、エキシマ光照射、又は無機・蒸着法等によって選択的に通路部を形成すること方法があげられる。インクジェクト法を用い、コラーゲン等の細胞接着誘導物質を選択的にコートすることで通路部を形成することも可能である。通路部を形成した場合は、隣接する領域11が接続する通路が設けられることになる(図示せず)。複数の領域11が連通した連結構造が形成された細胞培養容器を用いることによって、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異をより正確に分析することができる。従って、効率的なアッセイ試験を実施できる可能性が高まる。また、細胞の種類や、各種サイトカイン薬物の種類によっては、細胞の遊走能、増殖能が低い場合がある。この場合、疎水性の領域が通路部を有することによって、近隣の領域11に細胞が移動しやすくなり、効率的なアッセイ試験を実施できる可能性が高まる。
以下に、具体的な機能性表面の一例とその作製手順について説明する。図2に領域11を親水性とした場合、図3に領域11を疎水性とした場合の細胞培養容器の一例を示す。図2、3中、(a)は、プレートの正面図であり、右側にプレート表面に形成する機能性表面を拡大した部分図を示し、(b)は、プレートの側面図を示す。
細胞が培養される面に、親水性と疎水性の領域が交互に連続する領域を形成させる工程では、金属製のマスクを作製する。金属製のマスクは、ウェットエッチング法を使用し、所望の通路部を有するマスクを作製する。ウェットエッチング法とは、耐酸性の樹脂レジストを金属プレートにコートしておき、フォトリソグラフ法により選択的に金属を露出させ、次に露出した金属部分のみを溶解させ、通路部を形成するものである。マスクの作製方法は、ウェットエッチング法だけでなく、例えば、ポリイミドフィルムにアルゴンレーザーを照射することによって、所望の通路部を有するマスクも作製可能であり、限定されるものではない。
図2に示す細胞培養容器は、アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレートを作製する。次に、細胞が培養される面に、親水性と疎水性の領域が交互に連続する領域を形成させるため、金属製のマスクを作製する。金属製のマスクは、ウェットエッチング法を使用し、所望の通路部を有するマスクを作製する。次に、金属製マスクを樹脂プレートに重ねた後、ウシオ電機株式会社、エキシマ光(172nm)照射装置、UERを用い、60秒間紫外線照射を行う。縦・横a、bの長さの親水性の領域が、幅c、dの長さの疎水性の領域をはさんで連続する表面を形成後、滅菌を行う。図2では、親水性の領域15(斜線で示す部分)を形成し、間隔領域に疎水性の領域16を形成する例を示している。図2では、例えば、a、b、c、dを250μmとすることができる。
図3に示す細胞培養容器は、アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレートを作製する。次に、細胞が培養される面に、親水性と疎水性の領域が交互に連続する領域を形成させるため、金属製のマスクを作製する。金属製のマスクは、ウェットエッチング法を使用し、所望の通路部を有するマスクを作製する。次に、金属製マスクを樹脂プレートに重ねた後、ウシオ電機(株)、エキシマ光(172nm)照射装置、UERを用い、60秒間紫外線照射を行った。縦・横a、bの長さの疎水性の領域が、幅c、dの長さの親水性の領域をはさんで連続する表面を形成させた後、滅菌を行う。図3では、疎水性の領域17を形成し、間隔領域に親水性の領域18(斜線で示す部分)を形成する例を示している。図3では、例えば、a、b、c、dの長さを200μmとすることができる。
なお、上記では領域11(区分領域)は、長方形若しくは正方形を前提として説明したが、一辺の長さが2μm〜1000μmの範囲であれば、その他の四角形であってもよい。また、四角形以外であってもよく、一辺が2μm〜1000μmの範囲である多角形や、直径が2μm〜1000μmの範囲である円、楕円などの形状であってもよい。
[細胞培養容器−2 細胞接着誘導物質の塗布]
次に、機能性表面の一例として、所定の領域へ細胞接着誘導物質を塗布する場合を説明する。細胞培養試験では、細胞が培養される基質表面に、ラミニン、コラーゲン、またはポリリジン等からなる細胞接着誘導物質をコートしておくことによって、細胞接着性、細胞増殖性をより高めることが可能になる。また、各種サイトカイン薬物を使用した評価を行う際、細胞が培養される環境において、細胞接着誘導物質がコートされた基質上で評価したほうが、細胞の遊走能、増殖能を正しく評価できる場合がある。そこで、細胞を培養する基質表面の所定の領域に、細胞接着誘導物質を塗布して、細胞接着誘導物質に沿って細胞を培養する。
細胞接着誘導物質は、図1に示した領域11あるいは間隔領域12のいずれかへ塗布される。具体的には、細胞が培養される面に、縦・横(a、b)の寸法が2μm〜1000μmの領域が配置され、領域11が、幅2μm〜1000μmの間隔(c、d)をおいて配置される。複数の領域11、または間隔領域12のいずれか一方に、ラミニン、コラーゲン、またはポリリジンなどからなる細胞接着誘導物質のいずれか、または複数の細胞接着誘導物質が塗布される。換言すれば、複数の領域11と間隔領域12とのいずれか一方へ、ラミニン、コラーゲン、及びポリリジン等のうちの少なくとも一つからなる細胞接着誘導物質が塗布される。また、細胞接着誘導物質はこれらにかぎられるわけではなく、同様の効果を有する他の物質であってもよい。
このようにして形成した機能性表面に細胞を散布した場合、細胞は、細胞接着誘導物質の領域に沿って固定される傾向となり、細胞が薄く伸びて基質上に広く接着斑を形成することが抑制され、細胞の遊走能を高めることが可能となる。例えば、複数の領域11へ細胞接着誘導物質が塗布された場合、隣に細胞接着誘導物質が塗布されていない間隔領域12が配置されることになり、細胞の個別の性質に応じて、細胞接着誘導物質が塗布されていない領域を乗り越えて細胞接着誘導物質が塗布された領域に遊走、又は増殖することが期待できる。このようにして、細胞が細胞接着誘導物質が塗布された領域に沿って固定され、細胞接着誘導物質が塗布された領域に沿って、または細胞接着誘導物質を塗布した領域間を遊走、伸張、増殖、あるいは分化することになる。これにより、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異を正確に分析することができるため、効率的なアッセイ試験が可能となる場合がある。
領域の縦・横、及び、隣り合う領域間の幅の寸法は、小さすぎると細胞粒子の寸法と変わらなくなり、遊走能の測定に効果を発揮しにくくなることが予測される。逆に大きすぎると、細胞の遊走を阻害すること等が懸念される。領域11の縦・横(a、b)、及び、隣り合う領域11間の幅(間隔c、d)の寸法は、2μm〜1000μmの範囲であることが好ましく、20μm〜500μmであることがより好ましい。
さらに、図1に示した細胞培養容器の機能性表面において、細胞接着誘導物質が塗布された領域を連通させる通路部を設けることが好ましい。連通部の作製方法は、あらかじめマスクを作製しておき、エキシマ光照射、又は無機・蒸着法等によって選択的に通路部を形成すること方法があげられる。インクジェクト法を用い、コラーゲン等の細胞接着誘導物質を選択的にコートすることで通路部を形成することも可能である。複数の領域を連通させた連結構造を有する細胞培養容器を用いることによって、各種サイトカイン薬物等における遊走能、増殖能の差異をより正確に分析することができる。従って、効率的なアッセイ試験を実施できる可能性が高まる。また、細胞の種類や、各種サイトカイン・薬物の種類によっては、細胞の遊走能、増殖能が低い場合がある。この場合、細胞接着誘導物質の領域が通路部を有することによって、近接する領域に細胞が移動しやすくなり、効率的なアッセイ試験を実施できる可能性が高まる。
また、細胞培養試験において、細胞が培養される基質表面に、ラミニン、コラーゲン、またはポリリジン等からなる細胞接着誘導物質をコートしておくことが好ましい場合、親水性と疎水性の領域が交互に連続する基質表面の全体に、細胞接着誘導物質をコートすることも可能である。基質表面の全体に細胞接着誘導物質をコートした場合においても、基質表面のぬれ性の違いにより、細胞接着誘導物質の膜厚が異なるため、細胞の遊走を評価できる。更に、基質表面に細胞接着誘導物質がコートされた環境においても、細胞は基質表面のぬれ性の違いを認識するため、細胞の遊走能を評価できる。
以下に、具体的な機能性表面の一例とその作製手順について説明する。図4に領域11へ細胞接着誘導物質を塗布した場合の細胞培養容器の一例を示す。図4中、(a)は、プレートの正面図であり、右側にプレート表面に形成する機能性表面を拡大した部分図を示し、(b)は、プレートの側面図を示す。
図4に示す細胞培養容器は、アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレートを作製した後、滅菌を行う。次に、細胞が培養される面に細胞接着誘導物質を塗布するため、ニップンテクノクラスタ株式会社から発売されているGeneMachines OmniGrid Microarrayer(OmniGrid Micro)を用い、インクジェット方式により、細胞接着誘導物質の選択的なコーティングを行う。また、細胞接着誘導物質にはコラーゲンを選択する。機能性表面として、縦・横a、bの長さの細胞接着誘導物質がコートされていない領域11の間に、幅c、dの長さの格子状に細胞接着誘導物質がコートされた間隔領域19を基質表面に形成する。図4では、間隔領域19(斜線で示す部分)へ細胞接着誘導物質を塗布する例を示している。図4では、例えば、a、b、c、dの長さを200μmとすることができる。
[細胞培養容器−3 凸部・凹部の形成]
次に、機能性表面の一例として、凸部または凹部を形成する場合を説明する。細胞培養容器の表面に微小な構造物、例えば、凸部または凹部を有することは、細胞の遊走、伸長、増殖を阻害する場合がある。細胞を培養する表面に凸部または凹部を複数形成し、それらの凸部または凹部によって、培養細胞を配置するための複数の空間構造を形成することによって、細胞が複数の空間構造に配置され、細胞がその空間構造内で培養される場合がある。そこで、細胞を培養する基質表面に、凸部または凹部を形成して、空間構造内で細胞を培養する。
図5は、本発明の実施の形態に係る細胞が培養される面に凸部または凹部を配置する配置例を示す図である。領域21(空間構造を形成する境界領域)に、凸部または凹部を形成する。凸部または凹部の高さ、又は深さは、形成された複数の空間構造に細胞が配置され、平坦な面と比較して細胞が容易に乗り越えない寸法であることが望ましい。好ましい凸部または凹部の高さ、又は深さは、3μm〜500μmの範囲であることが好ましく、5μm〜300μmであることがより好ましい。厚さ(f)は、3μm〜500μmの範囲であることが好ましく、5μm〜300μmであることがより好ましい。幅(g)は、3μm〜1000μmであることが好ましく、5μm〜800μmであることがより好ましい。4つの凸部または凹部により、内径がh、iの長さで形成される空間構造を形成する。
細胞を培養する表面に凸部または凹部を形成することにより、細胞が薄く伸びて、基質表面上に広く接着斑を形成することが抑制され、細胞の遊走能を高めることが可能となる。そして、細胞の個別の性質に応じて、凸部または凹部を乗り越えて空間構造が形成された領域に遊走、又は増殖することが可能になる。また、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異を正確に分析できるため、効率的なアッセイ試験が可能になる。
さらに、細胞培養容器において、複数の空間構造を連通させる開口部22を設けることが好ましい。図5では、開口部22は、隣り合う領域21をj、kの幅離して配置している。複数の空間構造が連通した構造を有する細胞培養容器を用いることによって、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異をより正確に分析できるため、効率的なアッセイ試験が可能となる場合がある。細胞の種類や、各種サイトカイン・薬物の種類によっては、細胞の遊走能、増殖能が低い場合がある。この場合、複数の空間構造が連通する構造を有することで、近接する領域に細胞が移動しやすくなり、効率的なアッセイ試験が可能となる場合がある。
なお、凸部と凹部とは、いずれか一方を複数形成してもよいし、凸部と凹部とを混在させて形成してもよい。なお、凸部と凹部とが混在する場合には、凸部と凹で遊走能が違うことが予測され、凸部、凹部各領域別に評価する、あるいは、凸部、凹部が1単位ごとに連続する基質にて評価することが望ましいと考えられる。
[細胞培養容器−4 無機膜または有機膜の被覆]
細胞培養容器の基質上に無機膜または有機膜を被覆することで、親水化、又は疎水化することができる。これにより、親水化によるマイクロ構造体への気泡排除と細胞接着誘導物質のスムーズな導入、疎水度合いの調整による細胞の接着度合いの制御等が可能となる。無機膜、または有機膜を被覆する方法として、例えば、蒸着法、スパッタリング法、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射等を用いる方法、細胞の接着を促すタンパク質であるコラーゲン等を塗布する方法がある。
また、一部分をマスクすることにより、他の部分のみを有機膜、又は無機膜により選択的に被覆することもできる。これにより、培養試験条件の幅をさらに広くすることができる。選択的に無機膜、又は有機膜を被覆する他の方法として、インクジェット方式により、直接被覆する方法や、シルクスクリーン印刷等があげられるが、特にこれらに限定されるものではない。スパッタリング法、蒸着法等の無機膜形成法は、油浸レンズ観察法への適用も可能である。通常、油浸レンズに用いるオイルには、細胞を培養するガラスプレートおよび光学レンズと光学物性を適合させるため、有機溶剤が配合されている。有機溶剤は、樹脂製細胞培養容器に浸透し、白化や溶解の問題を発生させるため、適用できない可能性がある。無機材料は、ガスバリヤー効果と同時に、耐有機溶剤性を有するため、油浸レンズのオイルが接触する細胞培養容器の底面に、無機膜を形成することで、油浸レンズ観察法への適用も可能となり、樹脂製細胞培養容器の適用範囲を広げることができる。透過光観察を行う場合、膜厚を400nm以下とするか、SiO等の透明無機材料を用いることが好ましい。
[細胞培養容器−5 機能性表面の利点]
上記で説明したような機能性表面を細胞培養容器へ作製することにより、次のような利点が期待できる。細胞の遊走能、増殖能、又は分化能を評価する際、培養面となる基質の表面に機能性表面を設けることによって、目視による細胞の遊走能測定において、簡便、かつ正確に分析することが可能になる。例えば、基質の表面に疎水性、又は親水性表面を交互に形成することにより、生物顕微鏡を使用する際、光線透過量の差を利用してグリッド線の代わりとして活用することができる。研究者は、あらかじめ、そのパターン寸法を把握しておくことで、細胞の遊走距離を簡便に測定することができる。また、基質の表面に、細胞接着誘導物質を選択的に配置する場合も同様である。特に、基質の表面に凸部または凹部を有する場合は、明瞭な光線透過量の違いから、簡便、かつ正確に細胞の遊走距離を分析することが可能となる。
[細胞観察・評価方法]
細胞培養容器の基質上の細胞を観察するには、一般的に位相差顕微鏡等の生物顕微鏡が使用され、透過光観察が中心になっている。透過光観察を可能にするため、樹脂製を使用する場合、ガラス製プレートと同等の光透過率を実現するには、紫外線領域を含む波長300nm〜800nmの光透過率を80%以上、ヘイズ値を10%以内とすることが好ましい。上記要求を満たすため、細胞培養容器には、紫外線吸収剤が含まれないアクリル樹脂を用いるか、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有さない材料を選択することが必要である。また、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物には、紫外線吸収剤が含まれていないことが必要である。
蛍光観察法では、蛍光色素を光らせるための光(励起光)は、細胞培養容器を透過しなければ、それにより発生した蛍光(蛍光放射光)を識別できない。従って、高い光透過性が要求される。蛍光(蛍光放射光)を識別するために必要な透明性は、可視光の全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以内とする必要がある。上記要求を満たすため、細胞培養容器には、例えば、ポリメチルメタクリレート等の光学特性に優れる材料を用いることが好ましく、結晶性樹脂であるポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、非結晶状態で用いることが好ましい。
自家蛍光とは、ポリマー分子が紫外・可視光を吸収した後、光を放出して自ら蛍光を発することをいう。ガラスプレートは自家蛍光を発しないのに対し、樹脂プレートの多くは自家蛍光するため、サンプルから発生した蛍光(蛍光放射光)を識別できなくなり、蛍光分析の特徴である微量分析が困難となる。自家蛍光の影響を受けないためには、波長230nm〜800nmの光を照射することで自家蛍光しないことが要求される。そのため、細胞培養容器には、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有しない樹脂材料を選択する必要がある。また、自家蛍光の可能性を極力排除するため、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物は、できる限り少量とするか、添加しないことが好ましい。
微分干渉観察法のコントラストを低下させずに、偏光顕微鏡や微分干渉顕微鏡により観察するために、光学ひずみの小さい材料が要求される。そのため、細胞培養容器には、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有しない樹脂材料を選択することが必要である。
本発明では、細胞を培養するための基質表面に相当するプレート、シャーレ、又は容器の表面に、親水性/疎水性表面、細胞接着誘導物質、凸部または凹部を形成させることにより、細胞が薄く伸び、擬似足場となる接着斑が基質表面に広く固定される現象を制御する。これにより、各種サイトカイン・薬物等の効果判定、毒性試験等のアッセイ試験において、正確に分析することができるため、効率的なアッセイ試験が可能となる。
特に、ボイデンチャンバー法のように広範な範囲の細胞を観察しなくても、基質上の機能性表面により、狭い観察範囲内にて、限定された細胞を対象としても、再現性の良い遊走能、増殖能を正確に分析することが可能である。
評価範囲(細胞観察範囲)は、疎水性の領域、細胞接着誘導物質を塗布した領域、または凸部及び凹部のいずれかに基づいて特定される。例えば、一つの領域を一単位として細胞観察範囲を特定する。または、凸部及び凹部のいずれかに囲まれる空間構造を一単位として、細胞観察範囲を特定する。
本発明では、従来のようにチャンバーの全ての面を観察範囲とすることなく、かつ、一定の時間内で細胞の遊走能を定量評価することが可能である。細胞の種類、機能にもよるが、例えば24時間の培養時間における遊走距離は最大で1mm前後と予測され、前記一単位を測定単位として正確に評価可能となる。細胞観察範囲は、16mm以下であることが好ましく、9mm以下であることがより好ましい。通常の分析では、3mm程度の観察範囲において、再現性の良い分析が可能である。
同様に、観察する細胞数においても、基質上の機能性表面により、限定された細胞数を対象とした薬物の効果判定試験等においても、基質上で各細胞の性状を発現できることにより、再現性の良い分析結果を得ることができる。前記の細胞観察範囲において、細胞数が多すぎる場合、領域のなかに複数の細胞が固定され、細胞どうしで遊走しようとする動きを相殺してしまい正確な測定が難しくなることが予測される。
観察を行う細胞数は、50cells以下であることが好ましく、30cells以下であることがより好ましい。
細胞の遊走能の観察において、機能性表面で培養することにより、血清やサイトカイン薬剤の濃度差等に応じた差異を、限定された観察時間内で再現可能となる。特に患者から採取した血管平滑筋細胞を使用した遊走能、増殖能の評価において、複数の薬剤種、又はその濃度に応じた差異を評価し、最適な治療法を検討する際に効率的である。血管平滑筋細胞であれば、48時間の培養で、増殖能の差異から、遊走能を評価可能である。細胞を観察する時間についても、通常に行われている培養時間、例えば96時間以上を実施とせずとも、薬剤濃度と細胞の遊走機能の違いを、再現性良く分析することができる。細胞を観察する時間は、48時間以内であることが好ましく、30時間以内であることがより好ましい。通常の分析では、24時間程度の観察時間で、再現性の良い分析が可能である。
近年のデータ処理速度、画像識別能力の向上により、観察対象となる細胞、及びその位置を確定しておき、画像識別機能によって遊走、または伸張した距離を自動計測することも可能である。あらかじめ観察対象となる複数の細胞、及びその位置を確定しておくことで、プログラム化された画像識別機能が、基質と細胞を識別し、培養時間の経過と共に、細胞が遊走した距離を自動で算出し、各細胞の遊走距離の平均値測定や、遊走距離の分布等を知ることができる。
同様に、観察対象となる細胞、及びその位置を確定しておき、画像識別機能によって、増殖、又は分化した細胞数を自動計測することも可能である。細胞の骨格構造はアクチンフィラメントからなり、ビンキュリン、ミオシンといった構造等にて形成されている。例えば、あらかじめ観察対象となる細胞のサイズ、骨格構造をプログラム化された画像識別機能に認識させておくことで、培養時間の経過と共に、増殖、又は分化した細胞数を知ることができる。例えば、画像識別機能は、カメラ、動画の大容量記録媒体、測定エリアの指定、経過時間における計測指定、及び識別機能を有するプログラムを実行する計算機の機能を備える評価装置により実現することができる。カメラの測定エリアを広くしたり、画素数を高めることは、識別の精度を高めることに貢献するが、膨大な記憶容量が必要となり、高額な評価装置となるため、必要とされる仕様を適宜選択することが望ましい。動画のフレーム数についても同様で、通常の1秒30フレームの解像度を採用すると、動画は鮮明な画像が得られる反面、高価な評価装置となるため、識別に使用するフレーム数は、精度に影響の無い範囲で最適化しておくことが望ましい。
本発明では、機能性表面を有する細胞培養容器、及び画像識別機能に、カメラ、顕微鏡装置を加えたシステムとすることで、その特徴を最大限に発揮することができる。
本発明は、非常に広範な用途に展開できることが期待され、機能性表面を備える細胞培養容器を使用した細胞の機能評価方法及びシステムとして実用化が期待できる。特に、本発明の細胞評価方法では、細胞培養容器が機能性表面を備えることによって、狭い範囲でも正確に細胞の機能を評価することが可能であり、多様な倍率のレンズを必要とせず、低コストでシステムを完成させることが可能である。
このように、本発明の好適な実施形態によれば、機能性表面が形成された細胞培養容器を用いることにより、細胞の遊走能や増殖能を定量的に評価することができる。これにより、各種サイトカイン薬物等の効果判定、毒性試験等のアッセイ試験において、効果の判定を正確に分析することが可能となる細胞評価方法、及び細胞評価システムを安価に提供することが可能になる。
[細胞種]
本発明で使用される細胞種は、特に限定するこのではなく、例えば、浮遊細胞である白血球細胞、接着性細胞である、血管平滑筋細胞、癌細胞、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、ES(Embryonic Stem)細胞、骨髄間葉系細胞、脂肪細胞、心筋細胞、または線維芽細胞等であってもよい。そのなかで、血管平滑筋細胞は、遊走能、増殖能が高く、本発明を用いた場合、特に効果を発揮する細胞種の一つである。
ここで、血管平滑筋細胞の研究の必要性について説明する。高齢化社会を迎えた今日、動脈硬化とそれによって生じる各種臓器の機能障害の予防と治療は、我々にとって身近な問題である。身体のすみずみまで栄養を行き届かせている動脈をはじめとする血管は、弾力性に富んでいるが、年をとるとともに血管も老化し、弾力性が失われて硬くなったり、内部にさまざまな物質が沈着して血管の通り道が狭くなり、流れが滞るような状態となる。これを動脈硬化という。
動脈硬化が起こることが原因で、身体にさまざまな症状が現れているものを動脈硬化症といい、心疾患のうちの多くをしめる虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)や、脳血管疾患の半数をしめる脳梗塞ばかりでなく、動脈硬化性萎縮腎、下腿の壊疽(組織の死)を引き起こす閉塞性動脈硬化症等の原因となり、いずれも死の原因となる重大な病気である。
厚生労働省の人口動態統計によると、死亡総数に対する死因別の割合は、1位、悪性新生物、2位、心疾患、3位、脳血管疾患となっている。動脈硬化などの血管の障害を共通の基盤とする心疾患と脳血管疾患の割合を合わせると、悪性新生物よりも大きくなっており、更に年代別死亡原因の80歳以上では、1位、心疾患、2位、脳血管障害、3位、悪性新生物となり順位が逆転しているのが現状である。また、動脈硬化は、高コレステロール血症、糖尿病、肥満症等によって引き起こされ、高血圧症等の合併症を伴うことも知られている。
高齢化社会において、生活の質(QOL)を高めていくためには、血管病研究として動脈硬化が原因となって生じる疾病の仕組みを明らかにしていき、その治療や予防について展開していくことが急務となっている。
動脈硬化病変の形成には、いろいろな現象を伴うことが報告されている。細胞増殖という機序は、内膜肥厚という動脈硬化巣に必ずみられる病巣形成に極めて重要な作用をしている。この細胞が増殖するという機構は、増殖させる側(増殖因子)と増殖する細胞側の2つの因子によってなされる。
細胞を増殖させる側(増殖因子)には、さまざまな増殖因子の生成機構や細胞に到達するまでの調節がある。増殖する細胞側には、細胞の受容体の発現や細胞内情報伝達機構の調節等がある。近年、これらの研究により、細胞の増殖を抑制することによって動脈硬化を抑制しようという試みが多くなされてきており、細胞側の要因として平滑筋細胞の形質の転換と増殖に関する研究が注目されている。
動脈硬化病変とは、血管壁が厚くなることをいう。本来、血管が流れる内腔は広くなっているが、内膜が肥厚すると内腔が狭窄する。この内膜の肥厚は、内膜下に平滑筋細胞やマクロファージ等が蓄積・集族した結果である。
このような細胞郡の集族メカニズムを知ることは、動脈硬化病変の形成を解明するうえで特に重要である。血中の単球は、接着を介して進入して泡沫細胞化となる。また、本来は血管の収縮・拡張をになっている平滑筋細胞が遊走したり、増殖して集積する。また、血中のLDLが内比細胞の下に浸潤し、マクロファージがファゴサイトシスしたり、平滑筋細胞が大量にLDLをとりこんでコレステロールを蓄積するようになる。
これらが破綻すると、細胞外にも蓄積し、さらに細胞間を埋めつくす細胞外物質も血管肥厚に関与するようになる。
このように、本発明に係る好適な実施の形態では、この平滑筋細胞を用いた増殖能や遊走能の評価において、In vivo試験と同様、細胞本来の性質を基質表面で再現することが可能となる。例えば、内膜平滑筋細胞と中膜平滑筋細胞、LDLと変性LDL、各種サイトカイン・薬物等における遊走能、増殖能の差異を正確に分析することができるため、効率的なアッセイ試験が可能になる。
薬剤種としては、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、transforming growth factor -beta(TGF−β)、Angiotensin II、Endothelin、サイトカイン、血清等があげられる。
[細胞培養容器の製造方法]
図6は、樹脂製の細胞培養容器を作成する手順の一例を示す図である。この製造方法は、基板上にマイクロ空間構造パターンを形成するステップと、基板上に形成されたマイクロ空間構造パターンまたはその転写パターンに従って金属を付着させ、所望の樹脂プレートの構造パターンと反対のパターンを有する金属構造体を形成するステップと、金属構造体のパターンを転写して樹脂プレートを形成するステップとを備える。ここで、マイクロ空間構造パターンとは、基質表面に形成させる機能性表面の各領域の配置を特定するパターンである。
本製造法によって得られた機能性表面の各領域(例えば、疎水性または親水性の領域、細胞接着誘導物質を塗布した領域、凸部または凹部を形成する領域)の寸法精度は、原盤となる金属構造体のパターンを転写することによって樹脂プレートを形成するため、高い寸法精度と抵コスト化の両立が可能となる。
製造工程の詳細は、次の(i)〜(v)の工程からなり、各工程を順に説明する。
(i)基板上へのレジスト層を形成する(図6(a))。
(ii)マスクを用いたレジスト層を露光する(図6(b))。
(iii)レジスト層の現像を行い、所望のレジストパターンを形成する(図6(c))。
(iv)形成されたレジストパターンを導電化処理した後(図6(d))、形成されたレジストパターンに従って、基板上に金属構造体をメッキにより堆積させ(図6(e))、金属構造体を作製する(図6(f))。
(v)この金属構造体を型として、樹脂成形品を形成することによって、細胞培養容器を製造する(図6(g))。
(i)基板上へのレジスト層の形成工程(図6(a))
成形品形成ステップで得られる樹脂製細胞容器の平面度は、ガラス基板31上へレジスト層32を形成する工程で決定づけられる。すなわち、ガラス基板31上にレジスト層32を形成した時点の平面度が金属構造体、ひいては細胞培養容器の平面度に反映される。ガラス基板31上にレジスト層32を形成する方法は何ら限定されないが、一般的にスピンコート方式、ディッピング方式、ロール方式、ドライフィルムレジストの貼り合わせ等を挙げることができる。なかでも、スピンコート方式は、回転しているガラス基板31上にレジストを塗布する方法で、直径300mmを超えるガラス基板31にレジストを高い平面度で塗布する利点がある。従って、高い平面度を実現できる観点から、スピンコート方式が好ましい。
レジスト層32として用いられるレジストは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれもでもよい。いずれの場合も、レジストの感度、露光条件により、レジストの焦点深度が変わる。そのため、例えば、UV露光装置を用いた場合、露光時間、UV出力値をレジスト厚さ、感度に応じて種類を選択するのが好ましい。
レジスト層32として用いるレジストがウェットレジストの場合、例えば、スピンコート方式で所定のレジスト厚さを得る方法としては、スピンコート回転数の変更や粘度調整による方法がある。スピンコート回転数の変更による方法は、スピンコーターの回転数を適宜設定することによって所望のレジスト厚さを得るものである。粘度調整による方法は、レジストの厚さが厚い場合や塗布面積が大きい場合に、平面度が低下することが懸念されるため、実際使用上で要求される平面度に応じて粘度を調整するものである。
例えばスピンコート方式の場合、1回で塗布するレジスト層の厚さは、高い平面度を保持することを考慮し、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmの範囲内であることが好ましい。高い平面度を保持したうえで、所望のレジスト層32の厚さを得るためには、レジスト層32を複数回に分けて形成することができる。
レジスト層32にポジ型レジストを用いた場合、ベーク時間(溶剤の乾燥)が過度に進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像においてパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。
(ii)マスクを用いたレジスト層の露光工程(図6(b))
マスク33の種類は何ら限定されないが、エマルジョンマスク、クロムマスク等を挙げることが出来る。レジストパターン形成ステップでは、用いるマスク33によって寸法、および精度が左右される。そして、その寸法、および精度は、樹脂製細胞培養容器にも反映される。従って、樹脂製細胞培養容器の各寸法、および精度を所定のものとするためには、マスク33の寸法、および精度を規定する必要がある。マスク33の精度を高める方法は何ら限定されないが、例えば、マスク33のパターン形成に用いるレーザー光源をより波長の短いものに変えることを挙げることができる。しかしながら、設備費用が高額であり、マスク製作費が高額となるため、樹脂製細胞培養容器が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが好ましい。
マスク33の材質は温度膨張係数、UV透過吸収性能の面から石英ガラスが好ましいが比較的高価であるため、樹脂成形品が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが好ましい。
露光に用いられる光源は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。シンクロトロン放射光は、設備費用が高額であり、実質的に樹脂プレートの価格が高額となるものの、露光深度が深いものを得たい場合などに用いることができる。
露光時間や露光強度等の露光条件はレジスト層の材質、厚み等により変化するため、得られるパターンに応じて適宜調節することが好ましい。特に空間構造パターンの寸法、および精度に影響を与えるため、露光条件の調節は重要である。また、レジストの種類により焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を用いた場合、露光時間、UV出力値をレジストの厚さ、感度に応じて選択するのが好ましい。
(iii)レジスト層の現像工程(図6(c))
現像工程では、用いたレジストに対応する所定の現像液を用いることが好ましい。現像時間、現像温度、現像液濃度等の現像条件はレジストの厚みやパターン形状に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、必要な深さを得るために現像時間を長くしすぎると、所定の寸法よりも大きくなってしまうため、適宜条件を設定することが好ましい。この現像工程により、レジストパターン34が形成される。
細胞培養容器の上面、または微細パターン底部の平面精度を高める方法としては、例えば、レジスト塗布で用いるレジスト種類(ネガ型、ポジ型)を変更する方法、金属構造体の表面を研磨する方法などがあげられる。
なお、所望の造型深さを得るために複数のレジスト層32を形成する場合、それら複数のレジスト層32を同時に露光・現像処理する、あるいは、一つのレジスト層32を形成および露光処理した後、さらにレジスト層32の形成および露光処理を行い、2つのレジスト層32を同時に現像処理することができる。
(iv)金属構造体形成工程(図6(d)、(e)、(f))
金属構造体形成ステップとはレジストパターン形成ステップで得られたレジストパターン34に沿って金属を堆積させ、金属構造体(スタンパー)36のマイクロ空間構造面をレジストパターン34に沿って形成することにより、金属構造体36を得る工程である。この工程では予めレジストパターン34に沿って導電性膜35を形成する(図6(d))。導電性膜35の形成方法は、特には限定されないが、好ましくは、真空蒸着法、スパッタリング法等による。導電性膜35に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、アルミニウムなどを挙げることができる。
導電性膜35を形成した後、レジストパターン34に沿って金属をメッキにより堆積させ、金属構造体36を形成する(図6(e))。メッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。
金属構造体36はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。また、金属構造体36はその表面状態を改善するために、離型剤等で表面処理しても構わない。なお、金属構造体36の深さ方向の傾斜角度は、樹脂成形品の形状から50°〜90°であることが望ましく、より望ましくは60°〜87°である。メッキにより堆積した金属構造体36はレジストパターン34から分離される(図6(f))。
(v)成形品形成工程(図6(g))
成形品形成ステップは、金属構造体36を型として、樹脂成形品37を形成する工程である。樹脂成形品37の形成方法は特に限定されないが、例えば射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができ、生産性、型転写性の観点から射出成形が好ましく用いられる。所定の寸法を選択した金属構造体を型として射出成形で樹脂成形品37を形成する場合、金属構造体36の形状を高い転写率で樹脂成形品に再現することができる。転写率を確認する方法としては、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いる方法がある。
樹脂成形品37の平面度の最小値は、工業的に再現し易い観点から1μm以上であることが好ましい。樹脂成形品37の平面度の最大値は、例えば、該成形品に反り等が発生して光学系ユニットと接触しない等、支障とならない観点から200μm以下であることが好ましい。樹脂成形品37の造形部に対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
以下に実施例を説明する。本実施例で示した培養試験は、一例であり、薬物等の効果判定、毒性判定等のアッセイ試験、創薬開発、薬剤の産生、再生医療を目的とした基礎試験等において、適用範囲を限定するものではない。
細胞が培養される面に、凸部または凹部を形成させる工程では、凸部または凹部を形成後、真空蒸着法により、酸化ケイ素(Si0)膜(無機膜の一例)を堆積させ、親水性表面を形成させた。これは、樹脂表面の疎水性に起因して、凸部または凹部の表面に気泡が付着することによって、細胞の定着性が損なわれることを防止するためのものである。
酸化ケイ素(Si0)膜を選択した他の理由として、細胞接着性を向上させるため、化学的に安定な酸化ケイ素(Si0)膜を選択したが、これに限定されるものではない。また、細胞接着性が損なわれる場合には、適宜、細胞接着誘導物質をコートすることで細胞の遊走能の分析に適用可能となる。
実施例で使用した細胞は、肺高血圧症患者の肺動脈平滑筋細胞を用いた。
播種した細胞の遊走能、増殖能の評価は、ニコン社のインキュベーションイメージングシステム(LCV100)を用い、目視にて確認を行った。
[細胞培養容器の製造]
[実施例1]
図7に、実施例1における凸部を形成した機能性表面を有する細胞培養容器の一例を示す。図7中、(a)は、プレートの正面図であり、右側にプレート表面に形成する凸部の配置を拡大した部分図を示し、(b)は、プレートの側面図、(c)は、凸部のVIIC−VIIC断面を示す部分図である。
アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、高さ30μm、厚さ20μm、幅70μmの複数の凸部25を形成した。これにより、4個の凸部25に囲まれた、縦・横100μmの空間構造が形成される。複数の空間構造を連通するための開口部22の幅は、30μmとした。
次に、(株)アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、酸化ケイ素(Si0)膜を堆積させた後、滅菌を行った。膜厚は、日本真空技術(株)の表面形状測定器(DEKTAK3030)による触針法にて測定し、0.2μmであった。光学物性値は、全光線透過率87%、ヘイズ値5.8%であった。次に、水に対する接触角を測定し、21°であることを確認した。
[実施例2]
図8に、実施例2、3における凹部を形成した機能性表面を有する細胞培養容器の一例を示す。図8中、(a)は、プレートの正面図であり、右側にプレート表面に形成する凹部を拡大した部分図を示し、(b)は、プレートの側面図、(c)は、凹部のVIIIC−VIIIC断面を示す部分図である。
アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、深さ30μm、厚さ20μm、幅70μmの複数の凹部26を形成した。これにより、4個の凹部に囲まれた、縦・横100μmの空間構造が形成される。複数の空間構造を連通するための開口部の幅は、30μmとした。
次に、(株)アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、酸化ケイ素(Si0)膜を堆積させた後、滅菌を行った。膜厚は、日本真空技術(株)の表面形状測定器(DEKTAK3030)による触針法にて測定し、0.2μmであった。光学物性値は、全光線透過率86%、ヘイズ値4.6%であった。次に、水に対する接触角を測定し、17°であることを確認した。
[実施例3]
実施例3は、実施例2と同じ方法で細胞培養容器を製造した。
[比較例1]
図9に、比較例1で製造した細胞培養容器の一例を示す。滅菌済みの市販ポリスチレン製シャーレ(IWAKI、深型、Φ90mm−深さ20mm)を使用した。ポリスチレン製シャーレの光学物性値(板厚:1.0mm)について、(株)スガ試験機(型式:HA−TR)の可視光線透過率計を使用し、全光線透過率をJIS K6714に準拠した方法で測定した。2回の測定の平均値を求めたところ、全光線透過率85%、ヘイズ値6.3%であった。空気中にて、水に対する接触角を測定した。協和界面化学株式会社、型式CA−DT・A型を用いて測定したところ86°であった。
[比較例2]
比較例2は、比較例1と同じ方法で細胞培養容器を製造した。
[比較例3]
図10に、比較例3で製造した細胞培養容器の一例を示す。アクリル樹脂(クラレ、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレートを作製した。次に、培養面となる基質表面を親水性とするため、ウシオ電機(株)、エキシマ光(172nm)照射装置、UERを用い、60秒間紫外線照射を行った。光学物性値は、全光線透過率83%、ヘイズ値3.2%であった。次に、比較用基板1と同様、水に対する接触角を測定し、19°であることを確認した。
[肺動脈平滑筋の遊走能評価]
使用した細胞 : 肺高血圧症患者の肺動脈平滑筋細胞
細胞の遊走能の分析 : 培養液(DMEM/F12)に、血清または血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量を変化させ、遊走能の分析を行った。
対象細胞数 : 10cells
遊走能距離の測定法 : 目視による実測測定(単位:bpd=Block per day、1Block=100μm)
細胞培養時間 : 24時間
実施例1、2、3では、細胞培養容器の細胞を培養する面に機能性表面を有することにより、比較例1、2、比較例3のように底面に細胞全体が接着することなく、機能性表面を足場とし、遊走していくことが確認された。また、培養液に対する添加量の変化に対する遊走能の変化量を定量化することに成功した。
実施例1、2、3では、凸部25および凹部26によって形成された空間構造内に細胞が配置され、開口部22を経由して細胞が遊走し、培養液に添加する血清(FBS)または血小板由来増殖因子(PDGF)の量を変化させることにより、ボイデンチャンバー法などでは定量出来ない5倍程度の微妙な差異を、有意さをもって定量化できた。
図11に、実施例1、2で培養した細胞の状態を示す。(a)は、血清の添加量0.1%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真(実施例2)であり、(b)は、血清の添加量10%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真(実施例1)である。
一方、比較例1、比較例2では、血清、又は血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量を変化させても、遊走能の差異を定量化することはできなかった。また、培養面となる基質上で、散布された細胞は薄く伸び、細胞の擬似足場となる接着斑は、薄く伸びた細胞全体を基質表面に固定するため、細胞の遊走能を定量化することはできなかった。
市販のポリスチレンシャーレを使用し、基質表面全体が疎水性を形成している比較例1で製造した細胞培養容器を用いた場合では、血清および血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量を変えても、遊走能の差異は認められなかった。
図12に、比較例1および2で培養した細胞の状態を示す。(a)は、血清の添加量10%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真であり(比較例1)、(b)は、血清の添加量0.1%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量10ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真である(比較例2)。
アクリル樹脂の表面に紫外線照射を行い、基質表面全体を親水性に改質した比較例3においても同様であった。
なお、本発明は上記に示す実施の形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施の形態及び実施例の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
本発明の実施の形態に係る細胞が培養される面に機能性を有する領域を配置する配置例を示す図である。 領域11を親水性とした場合の細胞培養容器の一例を示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図である。 領域11を疎水性とした場合の細胞培養容器の一例を示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図である。 間隔領域へ細胞接着誘導物質を塗布した場合の細胞培養容器の一例を示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図である。 本発明の実施の形態に係る細胞が培養される面に凸部または凹部を配置する配置例を示す図である。 樹脂製の細胞培養容器を作成する手順の一例を示す図である。 実施例1における凸部を形成した機能性表面を有する細胞培養容器の一例を示すである。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は凸部の断面を示す図である。 実施例2、3における凹部を形成した機能性表面を有する細胞培養容器の一例を示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は凹部の断面を示す図である。 比較例1で製造した細胞培養容器の一例を示す図である。 比較例3で製造した細胞培養容器の一例を示す図である。 実施例1、2で製造した細胞培養容器を用いて培養した細胞の状態を示す写真である。(a)は、血清の添加量0.1%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真(実施例2)であり、(b)は、血清の添加量10%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真(実施例1)である。 比較例1、2で製造した細胞培養容器を用いて培養した細胞の状態を示す写真である。(a)は、血清の添加量10%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量0ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真である(比較例1)。(b)は、血清の添加量0.1%、血小板由来増殖因子(PDGF)の添加量10ng/mLにおける細胞の培養状態を示す写真である(比較例2)。
符号の説明
11、21 領域、12、19 間隔領域、15、18 親水性領域、16,17 疎水性領域、22 開口部、25 凸部、26 凹部、31 ガラス基板、32 レジスト層、33 マスク、34 レジストパターン、35 導電膜、36 スタンパー、37 樹脂成形品

Claims (15)

  1. 細胞が培養される面に、一辺の長さが2μm以上1000μm以下の複数の領域と、前記複数の領域同士を2μm以上1000μm以下の間隔をあけて配置することにより形成される間隔領域とのうち、いずれか一方が親水性の領域とされ、他方が疎水性の領域とされた細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、
    前記疎水性の領域に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、増殖または伸張した距離を計測するステップと、を備える細胞評価方法。
  2. 細胞が培養される面に、一辺の長さが2μm以上1000μm以下の複数の領域と、前記複数の領域同士を2μm以上1000μm以下の間隔をあけて配置することにより形成される間隔領域とのうち、いずれか一方の領域へ細胞接着誘導物質が塗布された細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、
    前記細胞接着誘導物質が塗布された領域に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、増殖または伸張した距離を計測するステップと、を備える細胞評価方法。
  3. 前記細胞培養容器は、前記複数の領域同士を連通させる通路部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の細胞評価方法。
  4. 凸部または凹部を複数有し、前記複数の凸部または凹部によって、培養細胞を配置する複数の空間構造が形成された細胞培養容器を用いて細胞を培養するステップと、
    前記複数の空間構造に基づいて特定された評価範囲について、前記細胞が遊走、または伸張した距離を計測するステップと、を備える細胞評価方法。
  5. 前記細胞培養容器は、前記複数の空間構造を連通させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の細胞評価方法。
  6. 前記凸部と前記凹部とは、高さ3μm以上500μm以下、厚さ3μm以上500μm以下、幅3μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項4または5記載の細胞評価方法。
  7. 前記細胞培養容器は、表面の少なくとも一部に親水性または疎水性を有する、有機膜と無機膜との少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  8. 前記細胞培養容器は、透明性を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  9. 前記培養するステップは、培養する細胞として、血管平滑筋細胞を用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  10. 前記評価するステップは、前記評価範囲として、観察対象となる細胞及び前記観察対象となる細胞の位置を確定し、画像識別機能によって遊走、増殖または伸張した距離を計測することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  11. 前記評価するステップは、前記評価範囲として、細胞を観察する面積を16mm以下にすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  12. 前記評価するステップは、前記評価範囲として、観察する細胞数を50cells以下にすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  13. 前記評価するステップは、観察する時間を、48時間以内にすることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  14. 前記評価するステップは、前記評価範囲として、観察対象となる細胞及び前記観察対象となる細胞の位置を確定し、画像識別機能によって増殖、または分化した細胞数を計測することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の細胞評価方法を実現する細胞培養容器及び評価装置と、
    細胞を観察するカメラ及び顕微鏡装置と、を備える細胞評価システム。
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