JP2009022202A - 反応処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応領域の温度制御を高精度で行なうことができる反応処理装置とすること。
【解決手段】複数の反応領域と、前記反応領域ごとに設けられた複数の加熱部と、を備え、前記加熱部は、発熱抵抗体である熱源と、前記熱源又は前記熱源周辺に設けられた比抵抗温度特性を有する測温体の抵抗値を検出し、予め得られた前記抵抗値と温度との相関関係に基いて、前記熱源の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度情報に基いて熱源の加熱量を制御する加熱制御手段と、を備える反応処理装置とすること。
【選択図】図6
【解決手段】複数の反応領域と、前記反応領域ごとに設けられた複数の加熱部と、を備え、前記加熱部は、発熱抵抗体である熱源と、前記熱源又は前記熱源周辺に設けられた比抵抗温度特性を有する測温体の抵抗値を検出し、予め得られた前記抵抗値と温度との相関関係に基いて、前記熱源の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度情報に基いて熱源の加熱量を制御する加熱制御手段と、を備える反応処理装置とすること。
【選択図】図6
Description
本発明は、反応処理装置に関する。より詳しくは、高精度の温度制御が可能な反応処理装置に関する。
温度条件に基づいて反応を制御する必要がある場合には、前記温度条件をより高精度に制御できることが望まれる。液体、固体、気体に関わらず反応を行なう反応処理装置において高精度に温度制御可能であることが望まれる。例えば、遺伝子解析等の技術分野でもこのような要請はある。
一例として、遺伝子増幅を行なうPCR法(polymerase chain reaction;ポリメラーゼ連鎖反応)を用いる場合が挙げられる。PCR法は、微量核酸の定量分析の標準的手法ともいえる。
PCR法は、「熱変性→プライマーとのアニーリング→ポリメラーゼ伸長反応」という増幅サイクルを連続的に行うことで、DNA等を数十万倍にも増幅させることができる。このようにして得られるPCR増幅産物をリアルタイムでモニタリングして前記微量核酸の定量分析を行うこともできる。
しかし、PCR法では前記増幅サイクルを正確に制御することが必要である。そのためには高精度の温度制御が必要となる。温度制御が不十分である場合には、無関係なDNA配列を増幅してしまったり、増幅が全く見られなかったりする。
このように、前記した装置等については、いずれも反応処理装置として高精度の熱制御ができることが重要となる。これに関する技術として、特許文献1や特許文献2には前記反応処理装置の温度制御に関する技術が開示されている。また、微小領域の発熱制御として半導体素子等を用いることも行なわれている。
従来の反応処理装置において半導体素子等を用いて温度制御を行なう場合であっても、以下の問題等がある。
半導体素子は一般に製造上のばらつきがあるため、各反応領域で同じ温度制御を行なった場合であっても、基板ごとに、あるいは同一基板上であっても加熱部ごとに、発熱量のばらつきが生じてしまう。その結果、反応処理装置としての高精度の温度制御が困難となってしまう。
また、半導体素子は、一般に温度によって特性が変化する性質がある。例えば、単結晶シリコンを用いたMOSトランジスタは負の温度特性を持ち、同じ電圧値を印加しても、温度が高くなると流れる電流が減少する。従って、同じ電圧値であっても温度によって発熱量が変化する結果となり、高精度の温度制御が困難となっていた。
そこで、本発明は、温度制御を高精度で行なうことができる反応処理装置を提供することを主目的とする。
まず、本発明は、複数の反応領域と、該反応領域ごとに設けられた複数の加熱部と、を備え、前記加熱部は、発熱抵抗体である熱源と、前記熱源又は前記熱源周辺に設けられた比抵抗温度特性を有する測温体の抵抗値を検出し、予め得られた前記抵抗値と温度との相関関係に基いて、前記熱源の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度情報に基いて熱源の加熱量を制御する加熱制御手段と、を備える反応処理装置を提供する。
発熱抵抗体である熱源の抵抗値を測定すること、あるいは熱源の周辺に設けた測温体の抵抗値を測定することで、前記熱源の温度を検出し、その温度情報を熱源の加熱量にフィードバックさせることで、より高精度の温度制御を行なうことができる。前記熱源の温度の検出とは、熱源の温度を直接検出することに限定されず、例えば、熱源周辺の測温体の温度を検出することで熱源の温度を検出することも包含する。
次に、本発明は、前記温度検出手段の温度検出媒体と、前記加熱制御手段の加熱制御媒体とを、同一回路内に設けた反応処理装置を提供する。
前記温度検出媒体と前記加熱制御媒体とを同一回路内に配置することで、温度検出と加熱制御とを一括制御することができる。
続いて、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段を設けた反応処理装置を提供する。
発熱抵抗体のオン・オフをスイッチング制御することで、各反応領域の加熱実施をより高い精度で制御できる。
そして、本発明は、前記発熱抵抗体として、薄膜トランジスタを用いることができる。更に、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、薄膜トランジスタを用いる反応処理装置を提供する。薄膜トランジスタを、熱源用とスイッチング制御用のそれぞれに用いることで、熱加熱系と温度検出系を一括制御ができる。
あるいは、本発明は、前記発熱抵抗体は、酸化インジウムスズである反応処理装置を提供する。また、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、酸化インジウムスズを用いる反応処理装置を提供する。酸化インジウムスズを、熱源用とスイッチング制御用のそれぞれに用いることで、熱加熱系と温度検出系を一括制御ができる。
そして、本発明に係る反応処理装置は、前記反応領域で遺伝子増幅反応を行なうPCR装置とすることができる。
PCR装置とすることで、遺伝子増幅反応の加熱サイクルを、反応領域ごとに個別かつ高精度に温度制御できる。その結果、各反応領域に充填するサンプルの増幅量を一定倍数に制御することができる。従って、反応領域ごとに個別かつ高精度の温度制御を行なうことができるため、網羅的解析を高精度で行なうことができる。
また、本発明は、前記反応領域に所定波長の励起光を照射する光学手段と、前記励起光の照射により発生する蛍光を検出する蛍光検出部と、を備えるPCR装置とすることができる。
前記光学手段と蛍光検出部を備えることで、前記遺伝子増幅反応をリアルタイムに解析することができる。
発熱抵抗体である熱源の抵抗値を測定すること、あるいは熱源の周辺に設けた測温体の抵抗値を測定することで、前記熱源の温度を検出し、その温度情報を熱源の加熱量にフィードバックさせることで、より高精度の温度制御を行なうことができる。前記熱源の温度の検出とは、熱源の温度を直接検出することに限定されず、例えば、熱源周辺の測温体の温度を検出することで熱源の温度を検出することも包含する。
次に、本発明は、前記温度検出手段の温度検出媒体と、前記加熱制御手段の加熱制御媒体とを、同一回路内に設けた反応処理装置を提供する。
前記温度検出媒体と前記加熱制御媒体とを同一回路内に配置することで、温度検出と加熱制御とを一括制御することができる。
続いて、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段を設けた反応処理装置を提供する。
発熱抵抗体のオン・オフをスイッチング制御することで、各反応領域の加熱実施をより高い精度で制御できる。
そして、本発明は、前記発熱抵抗体として、薄膜トランジスタを用いることができる。更に、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、薄膜トランジスタを用いる反応処理装置を提供する。薄膜トランジスタを、熱源用とスイッチング制御用のそれぞれに用いることで、熱加熱系と温度検出系を一括制御ができる。
あるいは、本発明は、前記発熱抵抗体は、酸化インジウムスズである反応処理装置を提供する。また、本発明は、前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、酸化インジウムスズを用いる反応処理装置を提供する。酸化インジウムスズを、熱源用とスイッチング制御用のそれぞれに用いることで、熱加熱系と温度検出系を一括制御ができる。
そして、本発明に係る反応処理装置は、前記反応領域で遺伝子増幅反応を行なうPCR装置とすることができる。
PCR装置とすることで、遺伝子増幅反応の加熱サイクルを、反応領域ごとに個別かつ高精度に温度制御できる。その結果、各反応領域に充填するサンプルの増幅量を一定倍数に制御することができる。従って、反応領域ごとに個別かつ高精度の温度制御を行なうことができるため、網羅的解析を高精度で行なうことができる。
また、本発明は、前記反応領域に所定波長の励起光を照射する光学手段と、前記励起光の照射により発生する蛍光を検出する蛍光検出部と、を備えるPCR装置とすることができる。
前記光学手段と蛍光検出部を備えることで、前記遺伝子増幅反応をリアルタイムに解析することができる。
本発明に係る反応処理装置によれば、高精度かつ個別の温度制御を行うことができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る反応処理装置の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図1は、本発明に係る反応処理装置の一実施形態を側面視した概念図である。以下に使用する図面では、説明の便宜上、装置の構成を簡素化して示している。
図1中の符号1は、本発明に係る反応処理装置を示している。この反応処理装置のサイズや層構造等は、目的に応じて適宜選択可能であり、反応処理装置1の形態構成についても本発明の目的に沿う範囲で設計又は変更可能である。
反応処理装置1は、複数の反応領域A1を有するウェル基板11と、前記反応領域A1を加熱する加熱部12と、を備えている。
前記反応領域A1では、所定の反応をそれぞれの反応領域ごとに行なうことができる。前記反応領域A1は、複数の反応を行なうことができるため、例えば、反応領域A1ごとに反応条件を変化させて網羅的な解析を行なうこともできる。
前記加熱部12は、発熱抵抗体である熱源と、前記熱源の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度情報に基いて熱源の加熱量を制御する加熱制御手段と、を備えている。前記温度検出手段としては、熱源の抵抗を検出し、熱源の抵抗値と温度との相関関係に基づいて、前記熱源の温度を検出することが挙げられる。また、比抵抗温度特性を有する測温体を熱源の周辺に設けておき、この測温体の抵抗を検出し、測温体の抵抗値と温度との相関関係に基づいて、前記熱源の温度を検出するものであってもよい。加熱部12のより具体的な構成等については後述する。
図2は、本発明に係る反応処理装置の各加熱部12の配線図の一例である。
図2に示すように、本発明では、前記反応処理装置1において、各反応領域A1をマトリクス状に配置し、各反応領域A1に対応した加熱部12を設ける構成とできる。
熱源として発熱抵抗体を用い、各発熱抵抗体をゲート線(X方向)とデータ線(Y方向)に沿ってマトリクス状に配置させている。このような構成とすることで、各熱源を一括制御することができる。
また、前記発熱抵抗体をスイッチング制御する手段を設けることが望ましい。例えば、制御素子としてスイッチング機能を有する素子等を組み込むことで、各反応領域A1の加熱実施のオン・オフ状態をより正確に制御できる。前記制御素子としては、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)等を用いることができる。薄膜トランジスタの種類について限定されず、例えば、ポリ珪素や、α−珪素等のタイプを用いることができる。
従って、図2においても、前記発熱抵抗体として薄膜トランジスタを用いることができ、薄膜トランジスタの持つスイッチング機能を利用して、各反応領域A1の温度制御を個別に行うことができるのはもちろんである。温度制御は、ドレイン(d)−ソース(s)間の電流Idsを可変にしてもよいし、ドレイン(d)−ソース(s)間の電流Idsを定電流電源によりコントロールしてもよい。
あるいは、薄膜トランジスタはスイッチング素子としてのみ利用し、ドレイン(d)−ソース(s)間に、他の発熱抵抗体(例えば、白金、モリブテン等)を直列に配置して熱源として用いてもよい。この場合は、発熱抵抗体に流れる電流値を制御することで、温度制御が可能となる。
発熱抵抗体は、図3に示すような比抵抗温度特性を有する。発熱抵抗体の抵抗値は温度と線形関係にある。本発明では、この比抵抗温度特性を利用した温度検出を行なう。使用する発熱抵抗体の抵抗値と温度との相関関係をあらかじめ得ておく。そして、前記加熱部12の熱源である発熱抵抗体の抵抗値を実際に検出し、検出された抵抗値から対応する温度を検出することができる。
本発明において、発熱抵抗体としては従来公知のものを適宜使用でき、例えば、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、炭化珪素、モリブデンシリサイド、ニッケル−クロム合金、鉄−クロム−アルミニウム合金等も用いることができる。一例として、各種金属の抵抗率と温度係数を表1に示す。
本発明では、温度検出手段によって得られた温度情報を熱制御系にフィードバックすることで、より制度の高い温度制御を行なうことができる。その結果、反応領域A1ごとに温度制御を行なうこともでき、個別かつ高精度の温度制御ができる反応処理装置とすることができる。
図4は、本制御装置の温度制御フィードバックを行なうシステム図である。このシステムは、例えば、後に示す図7の温度検出回路と、後に示す図10の電流制御回路と、アナログディジタルコンバーター(ADC)と、ディジタルポテンショメータと、CPUと、により構成することができる。
フィードバック制御システムは、以下のような手順によって行なわれる。CPUはあらかじめ設定した温度となるように加熱部Hを制御する。ここで設定した温度とは、外部コンピュータからの設定、あるいは外部記憶装置、CPUの内部記憶装置などに記録された情報に基づいている。
このときCPUは設定された温度に最適な電流値となるべくディジタル制御信号をディジタルポテンショメータへ出力する。ディジタルポテンショメータと電流制御回路とによって、加熱部Hは所定の温度に制御される。
一方、加熱部Hと同一回路内に組み込まれた温度検出媒体Sは反応領域A1の温度に応じて抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検出回路によって検出し、その信号をアナログディジタルコンバーターによりディジタル信号として変換し、ディジタルデータとしてCPUに取り込まれる。
CPUは、この温度検出媒体Sにより取り込まれた温度情報と前記設定温度との差分を演算処理し、更に設定温度に最適な電流値となるべくディジタル信号をディジタルポテンショメータへ出力する。このように温度検出媒体S等を用いて検出された信号によって温度制御フィードバックを行なうことができる。その結果、より高精度の温度制御を行なうことができる。
従来では、反応処理装置の温度を制御する目的で、半導体素子等を用いている。しかし、半導体素子は製造上のばらつき等が生じることが多い。従って、複数の反応領域を備えた反応処理装置では、基板ごとに、あるいは同一基板上であっても加熱部(ヒータユニット)ごとに発熱量のばらつきが生じてしまう。
本発明では、温度検出手段により検出された温度情報に基いて、熱源から発生させる熱量を補正することができる。例えば、制御電流へ加熱についての補正フィードを行なうことができる。これによって、加熱部ごとの発熱量のばらつきを制御できる。
また、前記温度検出手段に用いる検出媒体と、前記加熱制御手段とは、同一回路内に設けることが望ましい。同一回路内に前記検出媒体と加熱制御媒体を組み込むことで、一括制御が可能となり、デバイスとしても小型化が可能となる点で望ましい。
比抵抗温度特性を有する媒体の相関関係としては、例えば、図5に示す電流−温度の関係等を対応テーブルとして用いることもできる。図5は、ドレイン(d)−ソース(s)間の電流を測定して、温度情報へと変換するテーブルの一例を示している。この温度情報に基づいて制御電流へ補正フィードすることで温度制御を行なうことができる。
図6は、本発明に係る反応処理装置の加熱部の構成の一例を示す概念図である。
図6は、発熱抵抗体をマイクロヒータHとして用い、温度検出手段としての温度検出媒体Sを組み込んだ一例を示している。このように反応領域A1ごとに温度検出系回路と加熱系回路とを組み込むことができる。
本発明では、発熱抵抗体として熱源用酸化インジウムスズ(ITO)を用い、更に温度検出媒体として温度検出用酸化インジウムスズを用いることができる。同様に、発熱抵抗体として熱源用薄膜トランジスタを用い、更に温度検出媒体として温度検出用薄膜トランジスタを用いることもできる。
図7は、本発明に係る反応処理装置の加熱部の回路構成の一例を示す回路図である。より詳しくは、熱源用と温度検出用として酸化インジウムスズをそれぞれ用いた回路構成を示している。
図7は、本発明に係る反応処理装置の温度検出の回路構成の一例を示す回路図である。符号Sは温度検出媒体を示しており、酸化インジウムスズを用いた回路構成である。図7に示す回路では、所定の電圧VDDを温度検出媒体Sに印加することで、温度検出媒体Sに電流Isが流れる。電流Isは、所定電圧VDDと、抵抗1の抵抗値と、温度検出媒体Sの抵抗値によって決定される。即ち、電流Isは下記式によって決定される。
例えば、電圧VDDが12V、抵抗1の抵抗値が12kΩ、温度検出媒体Sの抵抗が390Ωのとき、電流Isは0.96mAとなる。更に、抵抗1、抵抗2、抵抗3、温度検出媒体Sの抵抗値が、下記式の関係にあるとき、回路中のA−B間の電圧が0Vとなる。
室温においてA−B間の電圧が0となるように、抵抗1、抵抗2、抵抗3の抵抗値を設定しておくことにより、A−B間で電圧をモニタすることで室温に対しての温度変化量を検出することができる。ここでは室温に対しての例を示したがこれに限定するものではなく、所望の温度においても同様に温度変化量を検出することができる。
ここで、抵抗変化量に対する電圧の変化について説明する。
温度検出媒体Sを金属の抵抗体とした場合、図5に示す温度と比抵抗の関係を有する。このため、温度が上昇することにより、温度検出媒体Sの抵抗値が大きくなる。例えば、室温における温度検出媒体Sの抵抗値に対して温度上昇したときの抵抗上昇分をΔRとすると、そのときのモニタ電圧はVm=Is×ΔRで表すことができる。その挙動は、図8に示す関係となる。モニタ電圧Vmはオペアンプにより増幅され、例えば、オペアンプの増幅度が3倍である場合、前記アナログディジタルコンバータ入力電圧の挙動については図9に示す関係となる。
アナログディジタルコンバータのスペックについて説明する。例えば、分解能12bit(4096)、入力範囲0〜2.5Vとした条件では、アナログディジタルコンバーターの最大入力2.5VになるΔRはグラフから114Ωである。この場合、温度検出媒体Sの抵抗値が1℃あたり1Ω変化したとすると、最大測定温度は114℃+室温となり、アナログディジタルコンバータの1bitあたりの最小分解能は0.0278℃となる。
図10は、本発明に係る反応処理装置の加熱部の回路構成の別の一例を示す回路図である。より詳しくは酸化インジウムスズ熱源制御回路である。
ディジタルポテンショメータは、ディジタルデータ(図示せず)により端子Hと端子Mの間の抵抗と、端子Mと端子Lの間の抵抗を可変にすることができる素子であって、電圧Vrefを生成する。ここで、電圧Vrefは、下記式で表すことができる。
ディジタルポテンショメータにより設定された電圧Vrefは、オペアンプとPMOSによりVref=Vsetとなるように制御される。ここでVDDから抵抗RsとPMOSを通ってNMOS1を流れる電流Isetは以下の式で表すことができる。
更に、NMOS1とNMOS2により構成されたカレントミラー回路により、前述の電流IsetとVDDからマイクロヒータHを通ってNMOS2に流れる電流Ihがほぼ等しくなる。このように、本回路はマイクロヒータHの電流Ihを制御することができる。
熱源用酸化インジウムスズを制御する電流に対して、温度検出媒体等を用いて検出された温度情報によって温度制御フィードバックを行なうことで、より高精度の温度制御を行なうことができる。
図10では、熱源用酸化インジウムスズへの電流制御を行なう温度補正の一例を示しているが、例えば、薄膜トランジスタ熱制御系において利用する電流制御についても、同様に温度検出媒体を用いた温度補正を行なうことができる。
従って、本発明では、発熱抵抗体として熱源用薄膜トランジスタを用い、更に温度検出媒体として温度検出用薄膜トランジスタを用いることもできる。
このように、本発明によれば、個別かつ高精度に熱制御できる反応処理装置1とすることができる。この反応処理装置は、精密な熱制御を要する反応に用いる装置として、幅広い用途に用いることができる。そのなかでも、例えば、遺伝子増幅反応等を行なうPCR装置として好適に使用することができる。
従来のPCR装置では、サーマルサイクラー等の温度制御が確かに行なわれているが、グラディエント機構等であるため、各サンプル毎の個別の温度制御は困難である。また、遺伝子増幅反応の温度制御も個別に行なうことができない。その結果、各サンプルの遺伝子増幅量を一定に増幅させることができない等といった問題が顕著であった。
図11は、本発明に係る反応処理装置をPCR装置とした第1実施形態を側面視した概念図である。以下に使用する図面では、説明の便宜上、装置の構成等については簡素化して示している。
図11中の符号2は、本発明に係るPCR装置を示している。このPCR装置2のサイズや層構造は、目的に応じて適宜選定可能であり、PCR装置2の形態構成についても本発明の目的に沿う範囲で設計又は変更可能である。
PCR装置2は、複数の反応領域A2を有するウェル基板21と、光源22と、該光源22より発せられた励起光L1,L2を導く励起光走査板23とを備えている。そして、フィルター24と、蛍光L3を検出する蛍光検出部25と、前記反応領域A1を加熱する加熱部26と、が測定基板27に設けられている。そして、遺伝子増幅反応の加熱サイクル等を制御するペルチェ素子28を備えている。
PCR装置2では、光源22より発せられた励起光L1が、励起光走査板23を経て、励起光L2として各反応領域A2に照射される。そして、反応領域A2内から発せられた蛍光L3を蛍光検出部25により検出・測定される。
PCR装置2では、加熱部26を反応領域A2ごとに設け、前記温度検出手段と前記加熱制御手段とを備えることで、各々の反応領域A2を個別に、かつ高精度に温度制御することができる。その結果、遺伝子発現量を高精度に解析することができる。以下、PCR装置2の各構成について詳細に説明する。
ウェル基板21は、複数の反応領域(ウェル)A2を備えている。この反応領域A2で所定の遺伝子増幅反応等を行う。例えば、このウェル基板21は、低蛍光発光プラスチック材料やガラスで形成し、人の遺伝子数に匹敵する数の反応領域A1をマトリクス状に配置することができる。
本発明では、PCR反応のための反応領域(ウェル)A2はマイクロ空間であることが望ましい。例えば、ウェルを300μm×300μm×300μm(約30nL容量)とし、約4万個のウェルを並べるとすると、約6cm角の面積を有するデバイスとなる。
ここで、個々の反応領域A2の形状は特に限定されず、反応溶液を保持できる形状であれば、どのような形状でもよい。励起光L1,L2を照射・導入する光路や、蛍光L3を検出する光路等を考慮して適宜好適な形状を選択することができる。PCR装置2では、反応領域A2内で前記蛍光L3を反射させるため、反応領域A1は曲面部分を有している。
光散乱や外光の影響による検出感度の低下を抑制するために、反応領域A1は、遮光する材質(例えば、ダイヤモンドライクカーボン等)にてコーティングされていることが望ましい。
本発明では、前記複数の反応領域A2全てに特定波長の励起光を照射可能な光学手段として、光源22や、励起光L1を各反応領域A2に導入するための励起光走査板23を用いることができる。
光源22は、特定波長の光を発光するものであればよく、その種類は特に限定されないが、好適には、白色もしくは単色の発光ダイオード(LED)を用いることが望ましい。発光ダイオードを用いることで、不要な紫外線や赤外線を含まない光を簡便に得ることができる。
本発明では、光源22の設置場所や光源数については特に限定されない。図示はしないが、各反応領域A2に対応するように光源22を複数設け、各光源22が対応する各反応領域A2に向かって励起光を直接照射する構造としてもよい。これにより各反応領域A2を光源22で直接照射できるため、励起光量をより多く採取でき、かつ励起光L1,L2の光量を個別に制御することができ、各反応領域A2に均一に励起光L1,L2を照射できる。
励起光走査板23は、光源22から発せられる励起光L1をウェル基板21内の各反応領域A2に導くものである。前記励起光走査板23内部のスペーサ231に光源22から発せられる励起光L1が導入される。そして、前記励起光走査板23の底部には反射膜232が設けられており、ウェル基板21へ励起光L2を導入することができる。これにより、各反応領域A2内の反応液中の蛍光物質を均一な光量で励起させることができる。前記反射膜232の材料等については特に限定されないが、好適には、ダイクロイックミラーを用いることが望ましい。
また、本発明では、励起光走査板23の上部に、前記励起光L1,L2の波長光のみを透過するフィルター233を設けることが望ましい。これにより、光源22から発せられる光から励起光L2を効率よく取り出し、反応領域A2へ導くことができる。このフィルター233としては、例えば偏光フィルター等を用いることができる。
反応領域A2に照射された励起光L2は、反応領域A2内の反応液中のプローブの蛍光物質等に照射されることで蛍光L3を発する。この蛍光L3は反応領域A2内の壁面で反射して、反応領域A2下方に設けられた蛍光検出部25で検出・測定される。
また、本発明では、特定波長の光を取り出すことができるように、反応領域A2と蛍光検出部25との間にもフィルター24を配置できる。前記フィルター24は特定波長の光(蛍光L3等)を取り出すことができればよく、その材料は限定されないが、例えば、ダイクロイックミラーを用いることができる。
蛍光検出部25は、反応領域A2に照射された励起光L2に応答して、インターカレートしたプローブ中の蛍光色素が励起することで発せられる蛍光を検出・測定する。
そして、前記蛍光検出部25は、検出した蛍光量を電気的信号(電流あるいは電圧)に変換し、その物理変動量がDNA増幅信号との相関関係に基づいて比較算出するように設計することもできる。このような対応テーブルを用いて検出することで、より高精度の光学検出系とすることができる。
更に、前記蛍光検出部25の蛍光検出媒体と加熱部26の前記温度検出媒体を、加熱制御素子回路内、あるいは反応部周辺に配置することができる。このような構成とすることで、光学系・熱制御系等を一括制御できたり、デバイスの小型化を可能としたりできる。
PCR装置2では、加熱部26を各反応領域A2にそれぞれ設けることで、例えば、PCRサイクルを行う場合、熱変性→アニーリング→伸長反応のステップについてより高精度の温度制御を行うことができる。従来では、反応領域ごとの温度のばらつきが生じる場合であっても、本発明によれば、温度検出手段により温度情報を加熱制御手段にフィードバックすることができるため、反応領域A1ごとに温度のばらつきも防止できる。
図12は、本発明に係る反応処理装置をPCR装置とした第2実施形態を側面視した概念図である。以下、図11に示す形態との相違点を中心に説明し、共通する部分についてはその説明を割愛する。
このPCR装置3は、反応領域(ウェル)A2ごとに蛍光検出部35や加熱部36を測定基板37に備えている点では、第1の実施形態と共通する。しかし、励起光L2をウェル基板31の上方から照射して、反応領域A3内を透過した蛍光L3を検出する点等で相違する。
PCR装置3では、光源32から発せられる励起光L1が、励起光走査板33によって反応領域A3に導かれる。励起光走査板33では、スペーサ331を励起光L1が通過し、反射膜332とフィルター333によりウェル基板31に励起光L2が導入される。
そして、励起光L2は、反応領域A3内の反応液中のプローブの蛍光物質等に照射されることで蛍光L3を発する。この蛍光L3は、フィルター34を経て、反応領域A3の下方に設けられた蛍光検出部35で検出・測定される。
また、温度制御は、反応領域A3下方に設けられた加熱部36により行われ、ペルチェ素子38等によって加熱サイクル等についての温度制御を行なうことができる。
一般的なPCR装置では、「熱変性→アニーリング→伸長反応」からなるサイクルを30サイクル程度行なうために25〜30分の反応時間を要する。その際、約2℃/秒の温度制御を行っている。これに対して、本発明のPCR装置では、20℃以上/秒の温度制御が可能であるため、1サイクルあたり40秒程度の時間短縮が可能となり、30サイクル全体ではおよそ25分以下の反応時間とすることもできる。
また、プライマーの設計に応じて、アニーリング時間、伸長反応時間をコントロールすることができるため、増幅率を一定倍率(例えば2倍等)に揃えることができるため、遺伝子発現量の検出精度を向上させることができる。
1 反応処理装置
2,3 PCR装置
2,3 PCR装置
Claims (9)
- 複数の反応領域と、該反応領域ごとに設けられた複数の加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
発熱抵抗体である熱源と、
前記熱源又は前記熱源周辺に設けられた比抵抗温度特性を有する測温体の抵抗値を検出し、予め得られた前記抵抗値と温度との相関関係に基いて、前記熱源の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された温度情報に基いて熱源の加熱量を制御する加熱制御手段と、
を備える反応処理装置。 - 前記温度検出手段に用いる温度検出媒体と、前記加熱制御手段に用いる加熱制御媒体とは、同一回路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の反応処理装置。
- 前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の反応処理装置。
- 前記発熱抵抗体は、薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の反応処理装置。
- 前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、薄膜トランジスタを用いることを特徴とする請求項4に記載の反応処理装置。
- 前記発熱抵抗体は、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項1に記載の反応処理装置。
- 前記発熱抵抗体の発熱をスイッチング制御する手段として、酸化インジウムスズを用いることを特徴とする請求項6に記載の反応処理装置。
- 前記反応領域で遺伝子増幅反応を行なうPCR装置であることを特徴とする請求項1に記載の反応処理装置。
- 前記反応領域に所定波長の励起光を照射する光学手段と、
前記励起光の照射により発生する蛍光を検出する蛍光検出部と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の反応処理装置。
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2007
- 2007-07-19 JP JP2007188106A patent/JP2009022202A/ja active Pending
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