JP2009022186A - 抗原ペプチドおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】HAタンパク質の複数のサブタイプを交差認識し得る抗体およびこのような抗体を効率よく惹起し得る抗原を得て、スペクトルの広いインフルエンザワクチンを提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を含んでいるペプチド,該ペプチドによって惹起される抗体,該ペプチドを有しているA型インフルエンザウイルスに対するワクチン,該ペプチドをコードするポリヌクレオチド,該ポリヌクレオチドが作動可能に連結されている発現ベクター。
【選択図】なし

Description

本発明は、インフルエンザウイルスに対する抗体に関するものであり、より詳細には、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を惹起し得るペプチドおよびその利用に関するものである。
インフルエンザウイルスはコア蛋白質(核蛋白(NP蛋白)および膜蛋白(M1蛋白))の抗原性に基づいて分類される。1940年に、それまでに知られていたインフルエンザウイルスとは全く異なる抗原性を有するインフルエンザウイルスが分離され、前者をA型、後者をB型と規定した。さらに、1949年にTaylorによって新たなインフルエンザウイルス(C型)が発見されている。
A型インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子の表面糖蛋白であるヘマグルチニン(Hemagglutinin(HA))およびノイラミニダーゼ(Neuraminidase(NA))の抗原性に基づいてサブタイプ(亜型)に分類される。HAタンパク質は、ヒト等の細胞表面のシアル酸と結合して、ウイルス粒子が細胞内に取り込まれる際の重要な役割を担っている。NAタンパク質は、ウイルス粒子が感染後期に細胞表面から離れる際にシアル酸を切断する働きを有しており、感染性を獲得するのに役だっている。
インフルエンザウイルスの流行は社会的に大きな問題となっている。過去に大流行を起こしたのは1型サブタイプ、2型サブタイプまたは3型サブタイプのHAタンパク質を有するウイルスであり、近年問題となっているトリインフルエンザウイルスはH5型サブタイプのHAタンパク質を有している。インフルエンザウイルスの感染は終生免疫を獲得し得ないので、これらのインフルエンザに対する予防策として、流行予測に基づいて毎年ワクチンを作製し、そのワクチンを接種する。
具体的には、以下の手順に従って、脱脂・不活化したワクチン(HAワクチン)を得る:(1)次のシーズンに流行するであろうウイルスの抗原性を予測する;(2)この予測に基づいて、ワクチンとして適したインフルエンザウイルス株を選択する;(3)選択した株を発育鶏卵に摂取して増殖させ、漿尿液からウイルスを精製する;(4)精製したウイルスを濃縮し、エーテルおよびホルマリンを用いて処理する。
HAには16種類のサブタイプがあり、型によって抗原性が大きく異なる。また、ウイルスは宿主の免疫機構から逃れるために絶えずHAタンパク質に小さな変異を起こしているので、同一のサブタイプであっても株によってHAタンパク質のアミノ酸配列は異なっている。HAおよび/またはNAの変異に起因して、現在用いられているHAワクチンは、抗原型に適合したものを生産することが困難である。
また、得られたHAワクチンは、長期間にわたって強い感染防御免疫を誘導することができない。また、実際に流行しているウイルスと異なる型のウイルスから作製されたワクチンを用いても効果を期待し得ないので、流行に対する正確な予測が必要となる。さらに、ウイルス培養によってワクチンを作製するので、予想を上回る規模で流行が発生した場合には、十分なワクチン供給が困難である。また、ワクチンへ混入する鶏卵成分を完全に除去することは非常に困難であるので、卵アレルギーを有するヒトへは投与し得ない。HAタンパク質の複数のサブタイプ(すなわち、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプ)を交差認識し得る抗体を、鶏卵を用いることなく簡便に取得することが望まれている。
特許文献1〜3には、HAタンパク質のアミノ酸配列に基づいて所望の抗体を作製することが開示されている。特許文献1には、HAタンパク質のH1型サブタイプおよびH2型サブタイプを交差認識するがH3型サブタイプを認識しない抗体ならびにその抗原部位が開示されている。また、特許文献2には、HAタンパク質のH3型サブタイプを認識するがH1型サブタイプおよびH2型サブタイプを認識しない抗体ならびにその抗原部位が開示されている。特許文献3では、HAタンパク質のH3型サブタイプの部分断片からなるポリペプチドによるCPE阻害活性を確認している。
また、特許文献4には、ペプチド抗原を用いない技術として、コンビナトリアルケミストリー法およびファージディスプレイ法を用いて単離した遺伝子にコードされるヒトFabがHAタンパク質のH3型サブタイプに効果的な中和活性を有していることが記載されている。
特開平6−100594号公報(平成6年4月12日公開) 特開平7−304799号公報(平成7年11月21日公開) 特表昭59−501714号公報(昭和59年10月11日公表) 特開2006−254777号公報(平成18年9月28日公開)
上述したように、特許文献1に記載の抗体はH3型サブタイプを認識しない。また、特許文献2〜4に記載の抗体はH3型サブタイプ特異的である。このように、H3型サブタイプと他のサブタイプとの両方を認識する抗体は得られていない。また、HAタンパク質のH3型サブタイプに由来するポリペプチドのいくつかがCPE阻害活性を有していることが特許文献3に記載されているが、特許文献1および2には、特許文献3に記載のポリペプチドは中和活性が弱い上に、抗原性の点でも問題があると記載されている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペクトルの広いインフルエンザワクチンを提供することことにあり、より詳細には、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体およびこのような抗体を効率よく惹起し得る抗原を提供することにある。
本発明に係るペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでいることを特徴としている。本発明に係るペプチドを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識する抗体を惹起し得る。
本発明に係るワクチンは、上記のペプチドを有していることを特徴としている。本発明に係るワクチンを用いれば、A型インフルエンザウイルスを予防または治療し得る。
本発明に係るポリヌクレオチドは、上記ペプチドをコードすることを特徴としている。
本発明に係る発現ベクターは、上記ポリヌクレオチドが作動可能に連結されていることを特徴としている。本発明に係る発現ベクターを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識する抗体を惹起し得る抗原を提供し得る。
本発明に係るワクチンは、上記のポリヌクレオチドを有していることを特徴としている。本発明に係るワクチンを用いれば、A型インフルエンザウイルスを予防または治療し得る。
本発明に係るペプチド作製方法は、上記ポリヌクレオチドが導入されている形質転換体を用いる工程を包含することを特徴としている。本発明に係るペプチド作製方法を用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識する抗体を惹起し得る抗原を提供し得る。
本発明に係るペプチド作製キットは、上記ポリヌクレオチドが導入されている形質転換体を備えていることを特徴としている。本発明に係るペプチド作製キットを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識する抗体を惹起し得る抗原を提供し得る。
本発明に係る抗体は、A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンタンパク質のH1型サブタイプおよびH3型サブタイプを交差認識することを特徴としている。本発明に係る抗体は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識することが好ましい。
本発明に係る抗体は、重鎖可変領域が、(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、または(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、(3)配列番号4に示されるアミノ酸配列、または(4)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含むことを特徴としている。本発明に係る抗体は、重鎖可変領域が配列番号2に示されるアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域が配列番号4に示されるアミノ酸配列からなることが好ましい。
本発明に係るワクチンは、上記の抗体を有していることを特徴としている。本発明に係るワクチンを用いれば、A型インフルエンザウイルスを予防または治療し得る。
本発明に係る検出キットは、上記の抗体を備えていることを特徴としている。本発明に係る検出キットを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを簡便に検出し得る。
本発明に係る検出方法は、上記の抗体を用いることを特徴としている。本発明に係る検出方法を用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを簡便に検出し得る。
本発明に係るペプチドは非常に高い抗原性を有している。また、本発明に係るペプチドを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を得ることができるので、スペクトルの広いインフルエンザワクチンを提供することができる。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、従来技術からは容易に想到し得ないアミノ酸配列からなるペプチドが非常に効率よく抗体を惹起し、惹起された抗体がA型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
特許文献3では、広いスペクトルのインフルエンザ抗血清を得るための免疫原ペプチドを得るためにHAタンパク質のH3型サブタイプの部分断片が用いられている。特許文献3によれば、H3型サブタイプ(HA1サブユニットのC末端領域〜HA2サブユニットのN末端領域)に由来するペプチド20〜26は、HA2サブユニットのアミノ酸第15〜28位からなるペプチド25を除けばいずれも免疫原ペプチドとして良好である。このように、特許文献3には、ペプチド25が、本発明者らの見出したペプチドのアミノ酸配列(GMVDGWYG:配列番号1)と類似する配列を含んでいるにもかかわらず免疫原性が低いことが記載されている。このような従来技術に基づけば、本発明者らの見出したペプチドが非常に効率よく抗体を惹起することは、全く予想され得なかった。しかも、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識する抗体を、本発明者らの見出したペプチドが惹起し得ることは、全く予想され得なかった。
〔1:ペプチドおよびポリヌクレオチド〕
本発明は、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を惹起し得るペプチドを提供する。
本明細書中において使用される場合、「A型インフルエンザウイルスの(複数の)サブタイプ」は、A型インフルエンザウイルスのHAタンパク質のサブタイプに基づく分類であることが意図され、「A型インフルエンザウイルスのHAタンパク質のサブタイプ」と交換可能に使用される。A型インフルエンザウイルスのHAタンパク質がH1型、H2型またはH3型のサブタイプである場合、それぞれH1ウイルス、H2ウイルスまたはH3ウイルスとも称する。また、単にH1型サブタイプと称する場合、「H1型サブタイプのHAタンパク質」または「H1型サブタイプのHAタンパク質を有するA型インフルエンザウイルス」が意図される。
1つの局面において、本発明に係るペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。なお、本明細書中において使用される場合、用語「ペプチド」は、「タンパク質」または「ポリペプチド」と交換可能に使用される。
本明細書中において使用される場合、「配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチド」は、「配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド」であることが好ましいが、「配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド」の機能が阻害されない限り、「配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド」にリンカーペプチドが付加されたものや他のアミノ酸またはタンパク質が連結されたもの(例えば、タグ化されたタンパク質または融合タンパク質)であってもよい。
本発明に係るペプチドの作製方法は、化学合成であっても発現ベクターを用いるものであってもよい。化学合成による場合は、本発明に係るペプチドは、公知のペプチド合成法によって製造することができる。ペプチド合成法としては、液相ペプチド合成法、固相ペプチド合成法等の化学合成法が挙げられるが、これらに限定されない。発現ベクターを用いる場合は、発現ベクターを導入した形質転換体からペプチドを生成しても、インビトロ翻訳系を用いてペプチドを生成してもよい。例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを挿入した発現ベクターを導入した宿主細胞中にて目的のペプチドを生成することができる。本明細書中において使用される場合、用語「形質転換体」は、細胞、組織または器官だけでなく、生物個体もまた意図される。形質転換体の作製方法としては、当該分野で周知の手順が採用されればよく、例えば、組換えベクターを宿主に導入して形質転換する方法が挙げられる。形質転換の対象となる生物としても、特に限定されないが、各種微生物、植物および動物が挙げられる。また、遺伝子が導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法などの当該分野において周知の手順に従って行うことができる。
なお、本発明に係るペプチドは、宿主細胞中において安定的に発現していることが好ましいが、一過性に発現していてもよい。このようにして生成されたペプチドを、公知の方法に従って精製することができる。ペプチドの精製方法としては、特に限定されないが、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等が挙げられる。このような工程を包含するペプチド作製方法もまた本発明の範囲内であり、このペプチド作製方法を実践するためのツール(例えば、発現ベクター、抗体または形質転換体)が備えられたペプチド作製キットもまた本発明の範囲内であることを、当業者は容易に理解する。
本発明はまた、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明に係るポリヌクレオチドは、上記ペプチドをコードすればよく、A型インフルエンザウイルスのHAタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に限定されない。なお、本明細書中において使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。
本発明に係るポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもRNAの形態であってもよく、当業者であれば、本発明に係るペプチドのアミノ酸配列情報、およびこのペプチドをコードする塩基配列情報に基づけば容易に製造することができる。具体的には、一般的なDNA合成法、PCR増幅等によって製造することが可能である。
本発明はさらに、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいるベクターを提供する。上述したペプチドの作製方法に用いられる場合は、上記ベクターは、上記ポリヌクレオチドを作動可能に連結した発現ベクターであることが好ましい。本明細書中において使用される場合、用語「作動可能に連結」は、目的のペプチド(またはタンパク質)をコードするポリヌクレオチドが、プロモータなどの制御領域の制御下にあって、このペプチド(またはタンパク質)を宿主細胞中で発現し得る形態にあることが意図される。目的のペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現ベクターに「作動可能に連結」して所望のベクターを構築する手順は当該分野において周知である。また、発現ベクターを宿主細胞に導入する方法もまた、当該分野において周知である。よって、当業者は、容易に所望のペプチドを宿主細胞内に生成させることができる。
上述したように、本発明に係るペプチドおよびポリヌクレオチドを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を惹起することができる。この抗体は、A型インフルエンザウイルスに対する中和活性を有している可能性が非常に高い。すなわち、本発明に係るペプチドおよびポリヌクレオチドは、A型インフルエンザウイルスに対するワクチンとして機能し得る。
〔2:抗体〕
上述したように、本発明に係るペプチドまたはポリヌクレオチドを用いれば、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を得ることができる。すなわち、本発明は、A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を提供する。本発明に係る抗体は少なくともH1型サブタイプおよびH3型サブタイプを認識する。
本明細書中において使用される場合、「抗体」は、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgMおよびこれらのFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fcフラグメント)が意図され、例としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体および抗イディオタイプ抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明に係る抗体は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチドによって惹起される。すなわち、本発明に係る抗体は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むペプチドに特異的に結合し得る。本明細書中において使用される場合、「ペプチドと特異的に結合する抗体」は、本発明に係るペプチドに特異的に結合し得る完全な抗体分子および抗体フラグメント(例えばFabおよびF(ab’)フラグメント)を含むことが意図される。このような抗体は、組換えDNA技術の適用または化学合成によって産生され得る。
一実施形態において、本発明に係るペプチドを用いて生成したマウスモノクローナル抗体は、特定のアミノ酸配列を含む抗体であり得る。本実施形態に係る抗体は、重鎖可変領域(VH)が配列番号2に示されるアミノ酸配列またはその変異体を含む抗体であり得、軽鎖可変領域(VL)が配列番号4に示されるアミノ酸配列またはその変異体を含む抗体であり得る。
本明細書中においてポリペプチドまたはタンパク質に関して用いられる場合、用語「変異体」は、具体的に明示されたポリペプチドとそのアミノ酸配列が異なっていても、その明示されたポリペプチドの有する活性を保持しているポリペプチド(またはタンパク質)が意図される。すなわち、本明細書中において使用される場合、重鎖可変領域(VH)または軽鎖可変領域(VL)の変異体は、それぞれ配列番号2または4に示されるアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであり得る。
ペプチドを構成するアミノ酸のいくつかが、このペプチドの構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに人為的に改変させるだけではなく、天然のペプチドにおいて、当該ペプチドの構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。当業者は、周知技術を使用してペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸を容易に変異させることができる。また、当業者は、本明細書に記載の方法に従えば、作製したペプチドが所望の活性を有しているか否かを容易に確認し得る。
本実施形態に係る抗体は、重鎖可変領域(VH)が、(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、または(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含む抗体であり得、軽鎖可変領域(VL)が、(3)配列番号4に示されるアミノ酸配列、または(4)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含む抗体であり得る。なお、配列番号2および4に示されるアミノ酸配列に対応する塩基配列はそれぞれ配列番号3および5に示される。よって、当業者は、これらの配列情報に従って、本実施形態に係る抗体を容易に作製することができる。
本発明に係る抗体は、A型インフルエンザウイルスに対する中和活性を有している可能性が非常に高い。すなわち、本発明に係る抗体は、A型インフルエンザウイルスに対するワクチンとして機能し得る。また、本発明に係る抗体を用いれば、本発明に係るペプチドの精製を容易にすることができる。例えば、本発明に係る発現ベクターまたは形質転換体を用いて生成させたペプチドを、本発明に係る抗体を用いてアフィニティ精製すればよい。さらに、本発明に係る抗体を用いれば、A型インフルエンザウイルスを簡便に検出することができる。
このように、本発明に係る抗体は、本発明に係るペプチドと特異的に結合する抗体であればよく、本明細書中に具体的に記載した個々の免疫グロブリンの種類(IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgM)、キメラ抗体作製方法、ペプチド抗原作製方法等によって限定されるべきではない。したがって、上記各方法以外によって取得される抗体も本発明の範囲に属することに留意しなければならない。また、本発明に係る抗体を用いるワクチン、ペプチド生成方法(ペプチド生成キット)およびA型インフルエンザウイルスの検出方法(検出キット)もまた、本発明の範囲内であることを当業者は容易に理解する。
〔3:ワクチン〕
上述したように、本発明に係るペプチド、ポリヌクレオチドおよび抗体は、A型インフルエンザウイルスに対するワクチンの有効成分となり得る。すなわち、本発明は、A型インフルエンザウイルスに対するワクチンを提供する。
本発明に係るワクチンは、ワクチン組成物として提供されても、ワクチンキットとして提供されてもよい。本明細書中では、「有効成分を含有しているワクチン組成物」と「有効成分を備えているワクチンキット」を総称して、「有効成分を有しているワクチン」という。なお、ワクチン組成物およびワクチンキットについては、以下に詳述する。
本明細書中において使用される場合、「組成物」は各種成分が一物質中に含有されている形態であることが意図される。また、本明細書中において使用される場合、「キット」は各種成分の少なくとも1つが別物質中に含有されている形態であることが意図される。
一般に、組成物は「二種以上の成分が全体として均質に存在し、一物質として把握されるもの」が意図され、例えば、物質Aを主成分として含有する単一物、主成分としての物質Aと物質Bとを含有する単一物であり得る。このような組成物は、物質Aおよび物質B以外に他の成分(例えば、薬学的に受容可能なキャリア)を含有してもよい。本発明に係るワクチン組成物は、後述する有効成分を物質Aとして含有していることを特徴としており、単独で使用されても、他の物質または組成物と併用されてもよい。この場合、併用されるべき他の物質または組成物が本発明に係るワクチン組成物中に提供されてもされなくてもよい。後者の場合は、これらを全体として一組成物として認識し得ないが、この場合は、後述する「キット」の範疇に入り得、組成物としてではなくキットとして提供され得ることを当業者は容易に理解する。
1つの局面において、本発明は、ワクチン組成物を提供する。一実施形態において、本発明に係るワクチン組成物は、本発明に係るペプチドを含有していることを特徴としている。他の実施形態において、本発明に係るワクチン組成物は、本発明に係るポリヌクレオチドを含有していることを特徴としている。本実施形態において、本発明に係るポリヌクレオチドはコードするペプチドを発現し得る形態であることが好ましく、本発明に係るポリヌクレオチドが作動可能に連結されている発現ベクターの形態であることがより好ましい。さらなる実施形態において、本発明に係るワクチン組成物は、本発明に係る抗体を含有していることを特徴としている。このように、本発明に係るペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体が、ワクチンの有効成分としてA型インフルエンザウイルスに対する治療ワクチンまたは予防ワクチンの調製において使用される。
本明細書中において使用される場合、「予防ワクチン」は、疾患発生を予防するために未処置の個体に投与されるワクチンであり、「治療ワクチン」は、既に罹患している個体に、その感染を低減もしくは最小にするか、またはこの疾患の免疫病理的結果を排除するために投与されるワクチンである。
有効成分としての物質を含むワクチンの調製は、当業者に公知である。代表的には、本発明に係るワクチン組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかの注射可能物として調製されるが、注射前に液体に溶解もしくは懸濁するために適切な固体形態としてもまた調製され得る。この調製物は、乳化され得るか、またはリポソーム中に乳化されたタンパク質であり得る。
本発明に係るワクチン組成物の有効成分は、薬学的に受容可能かつ有効成分と適合性の賦形剤と混合され得る。好ましい賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどおよびそれらの混合物が挙げられる。さらに、所望される場合、本発明に係るワクチン組成物は、微量の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝剤)を含み得る。
本発明に係るワクチン組成物の処方形態は、種々の経路(鼻腔内投与、粘膜投与、経口投与、腟内投与、尿道投与または眼内投与)による注射(皮下および筋肉内注射を含む。)や、坐剤のような非経口投与形態であり得る。
また、本発明に係るワクチン組成物の処方形態は、経口投与形態であってもよい。経口投与に用いられる場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような賦形剤が併用される。経口投与形態の組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性処方物、または散剤の形態であり得る。ワクチン組成物が凍結乾燥形態にて提供される場合、この凍結乾燥物質は、投与前に、例えば、懸濁液として再構成され得、再構成は、好ましくは緩衝液中で行われる。
本発明に係るワクチン組成物はまた、ワクチンの有効性を増強するためのアジュバントを含み得る。有効であり得るアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水型乳化物、水中油型乳化物、ムラミルジペプチド、細菌内毒素、リピドX、Bordetella pertussis、Corynebacterium parvum(Propionobacterium acnes)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロックコポリマーまたは他の合成アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。このようなアジュバントは、種々の供給元から市販されている。代表的には、水中油型アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、またはこれらとの混合物のようなアジュバントが使用される。なお、ヒトへの適用のためには、水酸化アルミニウムが認可されている。
他の局面において、本発明は、ワクチンキットを提供する。本発明に係るワクチンキットは、上述したワクチン組成物に対応するものであり、本発明に係るペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体をワクチンの有効成分として備えていればよく、上述したワクチン組成物の成分をさらに備えていてもよい。
一実施形態において、本発明に係るワクチンキットは、本発明に係るペプチドを備えていることを特徴としている。他の実施形態において、本発明に係るワクチンキットは、本発明に係るポリヌクレオチドを備えていることを特徴としている。本実施形態において、本発明に係るポリヌクレオチドはコードするペプチドを発現し得る形態であることが好ましく、本発明に係るポリヌクレオチドが作動可能に連結されている発現ベクターの形態であることがより好ましい。別の実施形態において、本発明に係るワクチンキットは、本発明に係る抗体を備えていることを特徴としている。
本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは各材料を使用するための指示書を備える。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図される。また、本発明に係るキットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であり得、ここで、組成物の形態は上述したような形態であり得、溶液形態の場合は容器中に内包されていてもよい。本発明に係るキットは、物質Aおよび物質Bを同一の容器に混合して備えていても別々の容器に備えていてもよい。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。本発明に係るキットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。さらに、本発明に係るキットは、インフルエンザ予防/治療に適用するために必要な器具をあわせて備えていてもよい。
このように、本発明に係るワクチンを用いれば、毎年生じる抗原変異に干渉されないインフルエンザ予防/治療を提供し得る。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、請求項および上記実施形態に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔1:ペプチドの作製〕
各サブタイプ間のhomology解析に、NBCI(National Center for Biotechnology Information)のInfluenza Virus Resourceに登録されている配列を用いた。H1型として1994〜2005年にヒトから分離された64株、H2型として1900〜2005年にヒトから分離された13株、H3型として1990〜2005年に日本でヒトから分離された7株および2003〜2005年に日本以外(主に米国)でヒトから分離された144株、ならびにH5型として1900〜2005年にヒトから分離された118株の配列をこのデータベースから抽出して用いた。複数のサブタイプを交差認識する抗体を惹起し得ると考えられるペプチド配列を、複数設計した。
設計したアミノ酸配列のN末端またはC末端にCysを導入したものからなるペプチドを、オペロンバイオテクノジーの推奨する手順に従って、Fmocアミノ酸誘導体を用いる固相合成法によって合成した。合成装置には、島津製作所製自動ペプチド合成機PSSM−8を用いた。固相樹脂上でFmoc伸長反応を実施した後、アミノ酸側鎖保護基および固相からの脱離をTFAベースの脱保護剤によって実施した。引き続き、島津製作所LC−10Aiシステムを用いてペプチドをHPLC精製した。精製条件は下記の通りである:
HPLC精製条件
・システム:島津製作所製 LC−10Ai
・流速 9.0 ml/min
・カラム ワイエムシィ社製 YMC−Pack ODS−AM 20×150mm
・検出波長 210nm
・グラジエント 移動相A:0.1N HCl
移動相B:アセトニトリル
・分取時のグラジエント条件:20分間にB20〜40%。
精製したペプチドを、Applied Biosystems社製質量分析装置Voyager DEを用いてMALDI−TOF MSによる質量分析を実施して、理論分子量の近似値を示すピークが含まれることを確認した後に、凍結乾燥した。
〔2:ペプチドとキャリアタンパク質との複合体化〕
続いて、キャリアタンパク質としてBSAを用い、架橋剤にEMCSを用いるMBS法によって、ペプチドとキャリアタンパク質との複合体化を行った。
バイアル瓶の中で20mgのBSAを2mlのdHOに溶解した。2.0mgのEMCSを0.5mlのジメチルホルムアミドに溶解した。BSA溶液を攪拌しながら、DMFに溶解したEMCSを滴下した(0.4ml)。室温で45〜60分間、穏やかに攪拌して、EMCSとBSAとを結合させた。結合体を、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.2−7.4)で平衡化したゲルろ過カラム(Sephadex G−25)にアプライし、A280のピークを回収した。回収したBSA−MBSの濃度を5mg/mlに調整した。また、ペプチドを水またはリン酸緩衝液に溶解して、10mg/mlのペプチド溶液を調製した。調製したBSA−MBSおよびペプチド溶液を、重量が等量になるように混合し、攪拌しながら室温で2時間または4℃で一晩反応させた。反応の完了後に、リン酸緩衝液を反応液に添加して濃度を1.0mg/mlに調整した。
次いで、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に未反応のペプチド溶液5μlを添加し、2mg/ml DTNB[5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)]を100μl添加して、室温で約15分間反応させた後にペプチド中のSH基とBSA−MBSとの結合率を定量した。結合率の定量を、DTNBによる発色の吸光度変化を用いて行った。具体的には、A412を測定し(Ap412)、反応後のKLH−ペプチド溶液50μl(反応前で使用したペプチドと同じ量)を用いて同様にA412を測定し(Ak412)、式(結合効率(%)=(Ap412−Ak412)/Ap412×100)に従って結合効率を測定した。
〔3:免疫〕
上記2に従ってキャリアタンパク質と複合体化させたペプチドを免疫原として用いてBalb/Cマウス(雌)の免疫を行った。2週間間隔での4回の腹部皮下への免疫を繰り返し、尾静脈からの最終免疫の3日後に、ポリエチレングリコールによる細胞融合法を定法に従って行い、A型インフルエンザウイルスに対するモノクローナル抗体を作製した。抗体の選択、得られた抗体の免疫学的性質の検討を、主にELISA法によって行った。
具体的には、Balb/Cマウス(雌6週齢)に対し、初回免疫としてFCA(Freund’s complete adjuvant)と抗原(BSAとの複合体)とを混合して得られたエマルジョンを、マウスの腹部皮下の2箇所に50μlずつ投与した(100μg抗原/マウス)。初回免疫から10日後にマウスの眼窩静脈叢より部分採血し、抗血清における力価測定をELISA法にて定法に従って行った。
初回免疫から2週間後に追加免疫を行った。3回目からは不完全フロイントアジュバンド(FIA)と抗原(BSAとの複合体)とを混合して得られたエマルジョンを使用した。方法は初回免疫と同様に行い、マウス1匹あたり100μlずつ投与した。10日後に採血し、同様に力価測定を行った。免疫を合計4回行った。
免疫したマウスにおいて、追加免疫に応じて力価の上昇が確認された。特に、InfAペプチドを用いた追加免疫後に力価が十分に上がったマウスにのみ最終免疫を行った。最終免疫としてアジュバントの代わりに滅菌PBSと抗原との混合液をマウスに尾静脈投与した。最終免疫の3日後にPEG法による細胞融合を行い、ハイブリドーマを作製した。なお、InfAペプチドは、HA2サブユニットのアミノ酸16〜23位のN末端にCysを導入したものからなるペプチドである。このように短いペプチドであるにもかかわらずInfAペプチドは非常に高い免疫原性を有していることがわかった。
〔4:スクリーニング〕
細胞融合から約3日後にHAT培地(約100μl)を添加した。その7日後にコロニーを確認し得たウエルについて1次スクリーニングを行った。次いで、限界希釈法に従って2次スクリーニングを行った。スクリーニングおよびクローニングを繰り返した後に、InfAペプチドに対するマウスモノクローナル抗体を8クローン確立した。得られたモノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)の配列(アミノ酸配列およびコードする塩基配列)を、それぞれ配列番号2および3(VH)、配列番号4および5(VL)に示す。また、得られた抗体のアイソタイプは6クローンがIgG(κ)であり2クローンがIgG2b(κ)あった(表1参照)。
〔5:交差反応性〕
得られた抗体の免疫学的反応性を、ELISAおよびウエスタンブロッティングに調べた。InfAペプチド(配列番号6)以外に、HA領域のペプチドであるHAcペプチド(配列番号7)およびIAHペプチド(配列番号8)、ならびにgp41−1の高度保存領域からなるTP41−1ペプチド(配列番号9)を使用した(表2参照)。HA以外のタンパク質として、BSA、THY、HSA、KLHおよびヘモグロビンを使用した。
交差反応性試験の結果を図1に示す。取得したモノクローナル抗体8クローンはいずれもInfAペプチドに特異的に反応することがわかった。
〔6:免疫学的反応性〕
さらに、H1型ウイルス(H1N1)およびH3型ウイルス(H3N2)の破砕液を用いたウエスタンブロッティングを行い、得られた抗体のHAに対する反応性を調べた。H1型ウイルスに対する結果を図2に示し、H3型ウイルスに対する結果を図3に示す。また、それぞれの図において、還元したウイルスをサンプルに用いた結果を上段に示し、還元していない(非還元の)ウイルスをサンプルに用いた結果を下段に示した。ポジティブコントロールとして、HA2と反応することが知られているJN1−1抗体およびJN1−2抗体を用いた。
その結果、IgG2b(κ)アイソタイプの2クローン(InfA−15およびInfA−17)はインフルエンザウイルスのH1型およびH3型と免疫学的に反応することがわかった。
A型インフルエンザウイルスの複数のサブタイプを交差認識し得る抗体を得ることができるので、毎年生じる抗原変異に干渉されないインフルエンザ予防/治療が可能になる。このため、本発に係るペプチドおよび抗体は、医療業、製薬産業、試薬産業等に利用することができ、非常に有用である。
本発明に係る抗体の交差反応性試験の結果を示す図である。 本発明に係る抗体のH1型ウイルス(H1N1)に対する免疫学的反応性の結果を示す図である。 本発明に係る抗体のH3型ウイルス(H3N2)に対する免疫学的反応性の結果を示す図である。

Claims (11)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでいる、ペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドを有している、A型インフルエンザウイルスに対するワクチン。
  3. 請求項1に記載のペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
  4. 請求項3に記載のポリヌクレオチドが作動可能に連結されている、発現ベクター。
  5. 請求項3に記載のポリヌクレオチドを有している、A型インフルエンザウイルスに対するワクチン。
  6. 請求項3に記載のポリヌクレオチドが導入されている形質転換体を用いる工程を包含する、ペプチド作製方法。
  7. A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンタンパク質のH1型サブタイプおよびH3型サブタイプを交差認識する、抗体。
  8. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを特異的に認識する、請求項7に記載の抗体。
  9. 重鎖可変領域(VH)が、
    (1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、または
    (2)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列
    を含み、
    軽鎖可変領域(VL)が、
    (3)配列番号4に示されるアミノ酸配列、または
    (4)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列
    を含む、請求項7に記載の抗体。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の抗体を有している、A型インフルエンザウイルスに対するワクチン。
  11. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の抗体を用いる、A型インフルエンザウイルスを検出する方法。
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