JP2009021562A - 半導体用接着シート、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体用接着シート、それを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】切削速度が速い場合であってもダイシング時の割れ、欠け、剥がれなどの欠損を低減し、切削粉による汚染を低減することができる半導体用接着シートを提供すること。
【解決手段】異なる組成のα層、β層の少なくとも2層の接着剤層を有する半導体用接着シートであって、α層が(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し20重量%以上60重量%未満であり、β層が樹脂と(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量がβ層中40重量%以上70重量%以下である半導体用接着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体用接着シートに関する。より詳しくは、半導体ウェハ上に半導体用接着シートを形成した後、半導体用接着シート付きウェハをダイシングにより個片化したIC、LSI等、半導体素子をフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板等の実装基板に直接電気的接合する際に好適に用いられる半導体用接着シート、これを用いた半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体装置の小型化と高密度化に伴い、半導体素子を実装基板に実装する方法としてフリップチップ実装(ダイレクトチップアタッチ実装)が注目され急速に広まってきている。フリップチップ実装においては、接合部分の接続信頼性を確保するため、半導体素子上に形成されたバンプ電極と実装基板のパッド電極を接合した後に、半導体素子と実装基板との隙間に液状封止接着剤を注入し硬化させることが一般的な方法として採られている。しかし、半導体装置の軽薄短小化のために、半導体素子に形成されるバンプ電極の数の増大とバンプ電極の低背化が進んできたため、液状封止接着剤を半導体素子と実装基板との隙間に接合部分の接続信頼性を確保できる十分な量を注入するという従来の方法を用いることができないものが現れた。これに対し、実装基板あるいはバンプ電極付き半導体素子に、アンダーフィル材とよばれる液状接着剤をディスペンサーやスクリーン印刷等の方法により塗布した後に、半導体素子と実装基板を接合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、バンプ電極付き半導体ウェハに一定厚さの半導体用接着シートをラミネートした後、ダイシングにより半導体ウェハを個別半導体素子とし、次に、半導体素子を実装基板にフリップチップ接続し、電気的接合と樹脂封止を同時に行う方法およびそれに使用する接着フィルムが提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の液状封止接着剤を半導体ウェハのバンプ電極面側にコーティングした後にダイシングを行うと、切削粉が液状封止接着剤に付着しやすいという課題、液状封止接着剤の流動性が大きいためにおこる切削したウェハ端面への液状封止接着剤の付着や切削ブレードの目詰まりという課題がある。このため、特許文献1に記載の液状封止接着剤を半導体ウェハのバンプ電極面側にコーティングした後にダイシングを行うという工程を工業的に利用することは困難である。また、特許文献3、4記載の半導体用接着組成物を半導体ウェハのバンプ電極付き面にラミネートした後にダイシングを行うと、切削粉が液状封止接着剤に付着しやすいという課題、ウェハからの液状封止接着剤の剥がれ、液状封止接着剤の欠け、割れが生じるという課題がある。液状封止接着剤の欠け、割れは切削時の速度を遅くすることによりある程度は改善されるが、近年のウェハの大口径化が進む状況を考慮すると、切削速度の低下はコストアップの要因となる。絶縁性を有していない。
一方、特許文献5には有機溶剤可溶性ポリイミドに、ポリイミドと相溶性に優れるエポキシ樹脂を組み合わせる方法が開示されている。この方法を用いることにより光線透過率が高い接着シートが得られる。しかし、エポキシ樹脂に固形エポキシ樹脂を用いているため、非常にもろいという性質を有しており、バンプ電極付き半導体ウェハにラミネートした後、ダイシングを行うと、ウェハからの剥がれ、接着層自身の欠け、割れが生じる。
また、常温で固形である固形エポキシ樹脂と常温で液状であるエポキシ樹脂を混合して可撓性を持たせる技術が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、このような樹脂からなる接着剤層をバンプ電極付き半導体ウェハに形成した後にダイシングを行うと、ウェハから半導体用接着シートの剥がれ、半導体用接着シートの欠け、割れが生じるという課題がある。
さらにはポリイミドと、3官能以上のエポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂を含有する接着シートも開示されている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、特許文献7に記載されたポリイミドを含有する接着シートをバンプ電極付き半導体ウェハに形成した後にダイシングを行うと、ウェハから接着シートの剥がれ、接着シートの欠け、割れが生じるという課題がある。また、特許文献7に記載されたポリイミドを含有する接着シートを用いてフリップチップ実装を行うと、このポリイミドの吸水性が高いために、実装時の加熱のために接着シート中に吸水により蓄えられた水分が急激に蒸発し、それにより接着シートが発泡し、半導体チップと実装基板間の接着力が十分に得られないという課題、接続信頼性が低いなどの課題がある。
一方、接着性を高めるために接着層を多層化する技術が知られている(例えば、特許文献8−9参照)しかしながら、このような多層化した接着剤層をバンプ電極付き半導体ウェハに形成した後にダイシングを行うと、ウェハから半導体用接着シートの剥がれ、半導体用接着シートの欠け、割れが生じるという課題がある。
また、接着剤層をバンプ電極付き半導体ウェハに形成した後にダイシングが可能な接着剤層としては、有機溶剤可溶性ポリイミド、固形エポキシ樹脂および液状エポキシ樹脂からなる半導体用接着組成物(例えば、特許文献10参照)が知られている。この方法によりダイシング時の半導体用シートの欠け、割れは改善されるものの、生産性を高めるためにダイシング時の切削速度を速くすると、ウェハから半導体用接着シートの剥がれ、半導体用接着シートの欠け、割れが生じるという課題がある。
米国特許出願公開第2004/132888号明細書 米国特許出願公開第2001/16372号明細書 特開2004−315688号公報(特許請求の範囲) 特開2004−319823号公報(特許請求の範囲) 特開2003−192894号公報(請求項1) 特開2004−146495号公報(請求項11、39段落) 特開2004−292821号公報(特許請求の範囲、73段落) 特開平7−106765号公報(特許請求の範囲) 特開平7−154068号公報(特許請求の範囲) 国際公開第06/132165号パンフレット
本発明は、上記課題を解決すべく、切削速度が速い場合であってもダイシング時の割れ、欠け、剥がれなどの欠損を低減し、切削粉による汚染を低減することができる半導体用接着シートを提供することを課題とする。
すなわち本発明は、異なる組成のα層、β層の少なくとも2層の接着剤層を有する半導体用接着シートであって、α層が(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し20重量%以上60重量%未満であり、β層が樹脂と(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量がβ層中40重量%以上70重量%以下である半導体用接着シートである。
本発明の半導体用接着シートによれば、ダイシング時の割れ、欠け、剥がれなどの欠損ならびに切削粉による汚染を低減することができる。本発明の半導体用接着シートは、高速ダイシングにおいて特に顕著な効果を奏する。また、本発明の半導体用接着シートおよび製造方法を用いることにより、高精度に切断された半導体素子と実装基板とを接続することができ、信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体用接着シートは、異なる組成のα層、β層の少なくとも2層の接着剤層を有する半導体用接着シートであって、α層が(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し20重量%以上60重量%未満であり、β層が樹脂と(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量がβ層中40重量%以上70重量%以下である半導体用接着シートである。α層はダイシング時の半導体接着シート表面への切削粉の付着を抑制することができる。β層は半導体素子の表面保護膜である酸化珪素、窒化珪素、ポリイミドなどとの接着力が高いため、高速でダイシングを行った場合に生じやすい割れ、欠け、剥がれなどの欠損を低減することができる。これらα層、β層の少なくとも2層の接着剤層を有する半導体用接着シートを用いることにより、切削粉による汚染、割れ、欠け、剥がれを低減し、従来よりも高速でダイシングを行うことが可能となる。本発明の半導体用接着シートは、電極が形成された半導体素子を複数個形成したウェハの上に、β層面を半導体素子側にして仮接着し、その後ダイシングにより個片化を行い、個片化した半導体用接着シート付き半導体素子を実装基板に実装することにより、半導体素子上に形成された電極と実装基板の上の電極を直接接触させることで電気的接続を行う半導体素子を製造する際に好ましく使用できる。
本発明の半導体用接着シートのα層は、少なくとも(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有する。(a)有機溶剤可溶性ポリイミドは有機溶剤に可溶であればよく、構造等は特に限定されない。本発明において、有機溶剤可溶性とは、以下より選ばれる少なくとも1つの溶剤に23℃で20重量%以上溶解することを意味する。ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドである。
本発明の半導体用接着シートは、α層にイミド環を有する(a)有機溶剤可溶性ポリイミドを含有しているので、耐熱性および耐薬品性に優れている。特に、有機溶剤可溶性ポリイミドの側鎖および末端に、エポキシ基と反応可能な官能基を各々少なくとも一つ有する場合、熱処理時にエポキシ化合物の開環、ポリイミドへの付加反応が促進され、より一層密度の高い網目構造を有する半導体用接着シートを得ることができる。エポキシ基と反応可能な官能基としては、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基が挙げられる。このようなポリイミドの合成方法としては、例えば、まず、エポキシ基と反応可能な基を有する酸二無水物とジアミンを反応させてポリイミド前駆体を合成し、次に、末端封止剤としてエポキシ基と反応可能な基を有する一級モノアミンやカルボン酸誘導体を用いて、このポリイミド前駆体の末端修飾を行い、続いて、150℃以上の熱処理を行い、ポリイミド閉環を行う方法が挙げられる。または、先にエポキシ基と反応可能な基を有する酸二無水物と末端封止剤として一級モノアミンを反応させた後、ジアミンを添加して末端修飾されたポリイミド前駆体を合成し、さらに150℃以上の高温でポリイミド閉環を行って得ることができる。あるいは、先にエポキシ基と反応可能な基を有するジアミンと末端封止剤としてカルボン酸誘導体を反応させた後、酸二無水物を添加して末端修飾されたポリイミド前駆体を合成し、さらに150℃以上の高温でポリイミド閉環を行って得ることができる。
本発明に用いられる(a)有機溶剤可溶性ポリイミドを、前述した溶剤に対し可溶性とするには、脂肪族構造、脂肪族環構造を含むポリイミドまたは芳香族ポリイミドの主鎖を1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するものとすることが好ましい。このような芳香族ポリイミドは、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基またはSO基を有するジアミン成分または酸二無水物成分を用いることにより得られる。これらの基を有するポリイミドを、ポリイミド全量に対し80重量%以上とすることが可溶性を大きくできる点で好ましい。また、芳香族ポリイミドの末端が、モノアミンおよび/またはカルボン酸誘導体からなる末端封止剤で末端封止されていることが好ましい。
本発明において、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドは、一般式(2)〜(7)のいずれかで表される構造を有し、かつエポキシ基と反応可能な官能基を側鎖および末端に各々少なくとも一つ有するものが好ましい。
Figure 2009021562
上記一般式(2)〜(7)において、Rは4〜14価の有機基であり、Rは2〜12価の有機基であって、R、Rの少なくとも一つは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する。R−(Rαは酸二無水物の構造成分を表しており、Rが炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。また、R−(Rβはジアミンの構造成分を表しており、Rが炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。また、RおよびRの両方が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基、SO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つずつ有することが好ましい。RおよびRは、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を示し、同じでも異なっていてもよい。Xは1価の有機基、Yは2価の有機基、Zは1価の有機基を示す。mは8〜200の範囲を示す。αおよびβはそれぞれ0〜10の整数を示し、α+βは1〜10の整数である。α≧1となる酸二無水物としては、例えば、下記に示した構造の芳香族酸二無水物を挙げることができる。
Figure 2009021562
11、R12は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R11およびR12が同時に水素原子となることはない。
に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する酸二無水物としては、具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物等が挙げられる。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有し、かつ、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する酸二無水物としては、具体的には、下記に示した構造の芳香族酸二無水物が挙げられる。
Figure 2009021562
10はC(CF、C(CH、SO、SまたはOを示す。R11およびR12は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R11およびR12が同時に水素原子となることはない。
が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基以外の有機基であり、α=0である場合の酸二無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物が挙げられる。本発明で用いる酸二無水物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
β≧1となるジアミンとしては、具体的には、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシジアミノピリミジン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物等や、下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。
Figure 2009021562
11〜R14は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R11およびR12が同時に水素原子となることはない。
に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物等が挙げられる。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有し、かつ、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有するジアミンとしては、具体的には、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルヒドあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物等や、下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。
Figure 2009021562
10はC(CF、C(CH、SO、SまたはOを示す。R11〜R12は水素原子、水酸基、チオール基またはスルホン酸基を示す。ただし、R11およびR12が同時に水素原子となることはない。
が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、イソプロピル基、エーテル基、チオエーテル基およびSO基以外の有機基であり、β=0である場合のジアミンとしては、具体的には、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、テレフタル酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、フタロ酸ヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、4,4’−ビスフェニルジカルボノヒドラジン、4,4’−シクロヘキサンジカルボノヒドラジン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換したヒドラジド化合物等が挙げられる。本発明で用いるジアミンは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(2)〜(7)中のRとして下記一般式(1)で表される構造をポリイミド全量に対し2〜15重量%有することが好ましい。一般式(1)で表される構造を2重量%以上有することにより、得られるポリイミドの溶剤に対する溶解性が向上し、かつ硬化時の収縮を抑えることができる。一方、15重量%以下とすることで、ポリイミド骨格の剛直性を維持し、耐熱性、絶縁性を保つことができる。なお、ここでポリイミド全量とは、構成成分の重合により得られたポリマー重量のことであり、合成時に過剰に仕込んだ1級アミン化合物、酸二無水物および末端封止剤は含まない。
Figure 2009021562
式中、Rは2価の炭化水素基を示し、同じでも異なっていてもよい。好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基またはフェニレン基である。Rは1価の炭化水素基を示し、同じでも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示し、好ましくは1〜2である。nを1以上とすることで硬化時の収縮を抑えることができ、10以下とすることでポリイミド骨格中のイミド基含有率を低減させず、絶縁性、耐熱性を向上することができる。
一般式(1)で表される構造を含むジアミンとしては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
上記一般式(2)〜(7)におけるR、Rを選択することにより、熱処理時にポリイミドとエポキシ化合物との反応率調整を行うことで半導体用接着シートの架橋密度を調整できる。これにより必要とする耐熱性、耐薬品性を半導体用接着シートに付与することが可能となる。R、Rの合計の20〜90モル%が水酸基、チオール基またはスルホン酸基であることが好ましい。これらの基をR、Rの20モル%以上とすることで、耐薬品性、耐熱性を向上することができ、90モル%以下とすることで、架橋密度を適度な範囲に抑制し、フィルムの伸度、靱性を保持することができる。
一般式(2)、一般式(3)の構造成分であるXは、エポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有することが好ましい。このような官能基としては、例えばフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などが挙げられる。Xは、下記一般式(8)で示される構造であることが好ましく、これらは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する成分である。また一般式(2)、一般式(3)を構成するXは、一般式(8)で表される末端封止基単独で、またはその他の末端封止基との2種以上の組み合わせのいずれであってもよい。
Figure 2009021562
また、一般式(4)、一般式(5)の構造成分であるYは、エポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有することが好ましい。Yは、一般式(9)または一般式(10)で示される構造であることが好ましく、これらは、末端封止剤であるカルボン酸誘導体のうち、酸無水物に由来する成分である。また一般式(4)、一般式(5)を構成するYは、一般式(9)、一般式(10)のいずれかで表される末端封止基単独、またはその他の末端封止基との2種以上の組み合わせのいずれであってもよい。
Figure 2009021562
一般式(6)、一般式(7)の構造成分であるZは、エポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有することが好ましい。Zは一般式(11)または一般式(12)で示される構造であることが好ましく、これらは、末端封止剤であるカルボン酸誘導体のうち、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物から選ばれるものに由来する成分である。また一般式(6)、一般式(7)を構成するZは、一般式(11)、一般式(12)のいずれかで表される末端封止基単独で、またはその他の末端封止基との2種以上の組み合わせのいずれであってもよい。
Figure 2009021562
一般式(8)、一般式(11)、一般式(12)のR17は−CR2122−、−CHO−、−CHSO−より選ばれる2価の基を示し、R21およびR22は水素原子、水酸基、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれる1価の基を示す。一般式(11)、一般式(12)のR20は、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれる1価の基を示す。なかでも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは、メチル基、t−ブチル基である。一般式(10)、一般式(12)のR18およびR19は、水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜4の炭化水素基より選ばれる1価の基を示すが、少なくとも1つは水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基である。また、一般式(8)、一般式(9)、一般式(11)のR15およびR16は、水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれる1価の基を示すが、少なくとも1つは水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基である。一般式(8)、一般式(9)、一般式(11)のA、E、Gは、炭素原子または窒素原子であり、各々同じでも異なっていてもよい。oは0〜10の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。lは0または1であり、好ましくは0である。pは0または1であり、好ましくは0である。qは1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。r、s、tは0または1である。
一般式(8)で表される構造を有する1級モノアミンの好ましい具体例としては、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が挙げられる。
これらの中でも、特に5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が好ましく、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(9)または一般式(10)で表される構造を有する酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物などがあり、より好ましくは、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−ヒドロキシフタル酸無水物、トリメリット酸無水物の酸無水物等が挙げられる。
一般式(11)または一般式(12)で表される構造を有するカルボン酸誘導体、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物の好ましい具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物や、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸等のモノカルボン酸類が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(8)で表される成分(一般式(3)のX成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の1級モノアミン成分で換算すると、全ジアミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。一般式(9)や一般式(10)で表される成分(一般式(2)、一般式(5)のY成分)や、一般式(11)や一般式(12)で表される成分(一般式(4)、一般式(6)、一般式(7)のZ成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物成分で換算すると、全ジアミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜55モル%である。
一般式(2)〜(7)のmはポリマーの繰り返し数を示しており、8〜200の範囲を示す。好ましくは10〜150である。重量平均分子量で言うと、ゲルろ過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で4000〜80000であることが好ましく、特に好ましくは、8000〜60000である。mを8以上とすることで、組成粘度を大きくして厚膜塗布を可能とし、mを200以下とすることで、溶剤への溶解性を向上することができる。
本発明の(a)有機溶剤可溶性ポリイミドは一般式(2)〜(7)で表される構造からなるものであっても良いし、他の構造も有する共重合体あるいは混合体であっても良い。その際、一般式(2)〜(7)で表される構造を50モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいは混合に用いられる構造の種類および量は、加熱処理によって得られる耐熱性樹脂皮膜の耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
本発明に用いられる(a)有機溶剤可溶性ポリイミドは、ジアミンの一部をモノアミンである末端封止剤に置き換えて、または、酸二無水物の一部をモノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物である末端封止剤に置き換えて、公知の方法を利用して合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物あるいはモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などを利用して、ポリイミド前駆体を得、続いてこれを公知のイミド化反応させる方法を利用して有機溶剤可溶性ポリイミドを合成することができる。
また、ポリマー中に導入された一般式(1)の構造および本発明で使用される末端封止剤は、以下の方法で容易に検出、定量できる。例えば、一般式(1)の構造および末端封止剤が導入されたポリマーを、酸性溶液あるいは塩基性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるジアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、一般式(1)の構造および使用されている末端封止剤を容易に検出、定量することができる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリイミドを直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトル及び13CNMRスペクトル測定することによっても、一般式(1)の構造および使用されている末端封止剤を容易に検出、定量することが可能である。
本発明の半導体用接着シートにおいて、α層中の(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量は、後述する(b)エポキシ化合物100重量部に対し、15〜90重量部である。(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量を15重量部以上、好ましくは30重量部以上にすることで、ダイシング時のα層表面への切削粉の付着を抑制することができるほか、ダイシング時に半導体用接着シートが半導体ウェハから剥離したり、割れや欠けの発生を抑制することができる。また(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量を90重量部以下、好ましくは60重量部以下にすることで、ダイシング時に半導体用接着シートが半導体ウェハから剥離したり、割れや欠けの発生を抑制することができる。また、半導体用接着シートをバンプ電極付き半導体ウェハにラミネートする際に、半導体用接着シートがバンプ電極間に十分に流動し、気泡なくラミネートすることができる。このためフリップチップ実装後の半導体素子と実装基板間において高い接着力を有する半導体装置を得ることができる。また、半導体用接着シートが吸水しにくくなるために、ダイシング後の半導体用接着シート層付き半導体素子を実装基板にフリップチップ実装を行う際に、フリップチップ実装時の加熱による接着剤層の発泡を抑制することができる。このため、半導体素子と実装基板の接続信頼性が高い。
本発明の半導体用接着シートのα層は、さらに(b)エポキシ化合物を含有する。(b)エポキシ化合物はポリイミド側鎖および末端のフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基と反応し、密度の高い網目構造を構成するため、得られる半導体用接着シートは各種薬品に耐性を発現する。各種溶剤、特にN−メチルピロリドンに対して完全不溶とすることができる。また、エポキシ化合物は、一般に収縮を伴わない開環反応によって硬化するため、(b)エポキシ化合物を含む本発明の半導体用接着シートは、硬化時の収縮を低減することが可能となる。このために(b)エポキシ化合物としては、エポキシ基を2個以上有するものを用いることが好ましく、エポキシ当量(g/eq、Weight per Epoxide Equivalent)は100〜500であることが好ましい。エポキシ当量を100以上とすることで、硬化後の半導体用接着シートの靱性を向上することができ、500以下とすることで熱硬化後に密度の高い網目構造とすることができるため、半導体用接着シートを高絶縁性にすることができる。
α層に用いられる(b)エポキシ化合物は(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物(液状エポキシ化合物)と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形であるエポキシ化合物(固形エポキシ化合物)とを含有し、エポキシ化合物全量に対し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有比率が20重量%以上60重量%未満であることが必要である。(b−1)液状のエポキシ化合物を20重量%以上にすることで、基材上に半導体用接着シートを形成しロール状にした際の割れや基材からの剥がれを抑制し、ダイシング時の接着シートの割れや欠けを抑制した可塑性、可撓性に優れた半導体用接着シートが得ることができる。好ましくは30重量%以上である。一方、エポキシ化合物全量に対し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量を60重量%未満にすることで、剥離痕なく基材から離型することができ、さらにダイシング時の半導体接着シート表面への切削粉の付着を抑制することができ、後のフリップチップ実装後の半導体チップと実装基板との高い接着力と電気導通信頼性を得ることができる。好ましくは50重量%以下である。
ここで(b−1)液状エポキシ化合物とは25℃、1.013×10N/mで150Pa・s以下の粘度を示すものであり、25℃で150Pa・sを越える粘度を示すものは(b−2)固形エポキシ化合物とする。このようなエポキシ化合物であれば特に限定されず、(b−1)液状エポキシ化合物としては、例えば“エピコート”(登録商標)828、エピコート1002、エピコート1750、エピコート152、エピコート630、(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)HP−4032(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上組み合わせてもよい。また、(b−2)固形エポキシ化合物としては、エピコート1002、エピコート1001、YX4000H、エピコート4004P、エピコート5050、エピコート154、エピコート157S70、エピコート180S70、YX4000H(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“テピック”(登録商標)S、テピックG、テピックP(以上商品名、日産化学工業(株)製)、“エポトート”(登録商標)YH−434L(商品名、東都化成(株)製)、EPPN502H、NC3000(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピクロンN695、エピクロンHP−7200(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。これらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、本発明の半導体用接着シートのβ層は、樹脂と(b−1)液状エポキシ化合物を含有し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量がβ層中40重量%以上70重量%以下であることが必要である。(b−1)液状エポキシ化合物を40重量%以上含有することで、ダイシング時の半導体用接着シートの割れ、欠け、剥がれを抑制し、ウェハとの高い接着力を有する半導体接着シートを得ることができる。好ましくは50重量%以上である。一方、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量を70重量%以下にすることで、剥離痕なく基材から離型することができる。さらにダイシング時に使用する微細な凹凸面を有するブレードへの接着剤の付着や凹部埋没が起こりにくいので、半導体用接着シートの割れ、欠け、剥がれを抑制することができる。これにより切削速度を速くすることができる。好ましくは60重量%以下である。
樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも用いることができるが、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体、(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。中でも、半導体装置の信頼性確保の点から前述した(a)有機溶剤可溶性ポリイミドがより好ましい。
β層は、前述した(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)液状エポキシ化合物と(b−2)固形エポキシ化合物を含有し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し60重量%以上80重量%以下であることが、接着性や信頼性確保の点から好ましい。
β層中の(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量は、(b)エポキシ化合物100重量部に対し、好ましくは15〜90重量部である。(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量を15重量部以上にすることで、ダイシング時に半導体用接着シートが半導体ウェハから剥離したり、割れや欠けの発生をより抑制することができる。このようなダイシング時の欠陥は切削速度が速いほど顕著になる。より好ましくは30重量部以上である。また(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量を90重量部以下にすることで、半導体用接着シートをバンプ電極付き半導体ウェハにラミネートする際に、半導体用接着シートがバンプ電極間に十分に流動し、気泡なくラミネートすることができる。このためフリップチップ実装後の半導体素子と実装基板間において高い接着力を有する半導体装置を得ることができる。また、半導体用接着シートが吸水しにくくなるために、ダイシング後の半導体用接着シート層付き半導体素子を実装基板にフリップチップ実装を行う際に、フリップチップ実装時の加熱による接着剤層の発泡を抑制することができる。このため、半導体素子と実装基板の接続信頼性が高い。より好ましくは65重量部以下である。
次に、β層に用いられる(b)エポキシ化合物は(b−1)液状エポキシ化合物と(b−2)固形エポキシ化合物を含有し、エポキシ化合物全量に対し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量が60重量%以上80重量%以下であることが好ましい。(b−1)液状エポキシ化合物の含有量60重量%以上にすることで、ダイシング時の半導体ウェハの半導体接着シートの剥がれをより抑制することができる。より好ましくは65重量%以上である。一方、(b)エポキシ化合物全量に対し、(b−1)液状エポキシ化合物の含有量を80重量%以下にすることで、剥離痕なく基材から離型することができ、さらにダイシング時に使用する微細な凹凸面を有するブレードへの接着剤の付着や凹部埋没を抑制することができる。さらにダイシング時に使用する微細な凹凸面を有するブレードへの接着剤の付着や凹部埋没が起こりにくいので、半導体用接着シートの割れ、欠け、剥がれを抑制することができる。これにより、切削速度を速くすることができる。このほか半導体接着シートの形態保持性がよくなり、基材上に半導体用接着シートを形成しロール状に巻き取った場合、フィルム端からのしみ出しを抑制することができる。さらにロール状に巻いた半導体用接着シートを床置きした場合、ロール自重によって接地面の半導体接着シートに部分的な変形が生じ、厚みムラが発生するといった問題も低減することができる。半導体接着シートに厚みムラがあると、半導体接着シート越しに観測するアライメントマークが歪んだ形に観測され、アライメントマークの認識能が低下する。
本発明の半導体用接着シートにおいて、α層、β層に含まれる(a)有機溶剤可溶性ポリイミドは、硬化後の半導体用接着シートの物性の調整が簡便に行うことができるという点から、同一構造、同一含有量であることが好ましい。
本発明の半導体用接着シートにおいて、α層およびβ層は、必要によりさらに硬化促進剤を含有してもよい。エポキシ化合物と硬化促進剤を組み合わせることで、固形エポキシ化合物および液状のエポキシ化合物の硬化を促進し、短時間で硬化させることができる。硬化促進剤としては、各種イミダゾール、イミダゾールシラン、イミダゾリン、酸無水物などが挙げられる。各種イミダゾールとしては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイトなどが挙げられる。イミダゾールシランとしては、IS−1000、IS−1000D、IM−1000、SP−1000、IA−100A、IA−100P、IA−100F(以上商品名、日鉱マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。酸無水物としては、ヘキサハイドロフタル酸無水物、メチルテトラハイドロフタル酸無水物、アデカハードナーEH−3326、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A(以上商品名、旭電化工業(株)製)、エピクロンB−570、エピクロンB−650(以上商品名、大日本インキ化学(株)製)などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、(b)エポキシ化合物の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲であることが望ましい。硬化促進剤の含有量を0.1重量部以上とすることでエポキシ化合物の硬化を効果的に促進し、10重量部以下とすることで硬化物の絶縁性、耐熱性を向上させることができる。また、硬化促進剤は、水に不溶のものが好ましく用いられる。ここで、水に不溶とは、25℃、1.013×10N/m下の純水への溶解量が5重量%以下のものをいう。水溶性の硬化促進剤はダイシング時に用いる切削水に溶解し、半導体用接着シートの膜面が粗くなったり、硬化性や接着性の低下を引き起こすことがある。
また、公知のエポキシ化合物用硬化剤やフィラーを含有してもよい。
本発明の半導体用接着シートは、前記α層およびβ層を有するものであり、さらに他の接着剤層を有してもかまわない。また、必要により基材、粘着剤層などの他の層を有してもかまわない。本発明において、半導体用接着シートのうち、基材を有するものをキャリア付き半導体用接着シートと定義する。
基材としては、鉄、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属箔、セラミックス、ガラスなど無機基材、ガラスエポキシ基板、プラスチックフィルム等を使用することができる。このうち軽く、可撓性に優れるプラスチックフィルムが好ましく用いられる。このようなプラスチックフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムは離型処理が施されていてもよく、たとえばシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、脂肪族アミド系等で離型処理してもよい。
粘着剤層としては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリエステル系、スチレン−ブタジエン系、イソプレン系、天然ゴム等を含有するものを挙げることができる。粘着・剥離の方式が、感圧粘着型、熱硬化剥離型、光硬化剥離型である粘着剤を用いることができる。粘着剤層の厚みは粘着剤の種類や使用法によって選択され、通常1〜50μmである。このような粘着剤層を具備した基材としては、市販されているバックグラインドテープ、ダイシングテープなどの粘着テープを用いることも可能である。
本発明の半導体用接着シートにおいて、接着剤層の合計厚さは、半導体用接着シートをバンプ電極付き半導体ウェハに貼り合わせる場合には、バンプ電極の平均高さ以上であることが好ましい。より好ましくは、バンプ電極の平均高さ以上かつバンプ電極の平均高さと実装基板上のパッド電極平均高さを足し合わせた厚さの1.5倍以下であり、さらにより好ましくは、バンプ電極の平均高さ以上かつバンプ電極の平均高さと実装基板上のパッド電極平均高さを足し合わせた厚さ以下である。なお、バンプ電極の高さは、バンプ電極が形成されていないウェハ面を基準(0μm)として計測する。また、実装基板上のパッド電極高さは、パッド電極が形成されている実装基板(ポリイミド、ガラスエポキシ、ガラス、セラミックスなど)の絶縁面を基準(0μm)として、全ての電極パッドの高さを計測し、その平均値とする。シート化した半導体用接着シートの厚さがバンプ電極の平均高さ未満であるとフリップチップボンディング後の半導体チップ、半導体用接着シートと実装基板との間に空隙ができ、接着力が低下する。また、半導体用接着シートの厚さがバンプ電極の平均高さと実装基板上のパッド電極平均高さを足し合わせた厚さの1.5倍を越えると不経済であるだけでなく、半導体チップ下の半導体用接着シートのはみ出し量が多くなり、実装面積が大きくなったり、はみ出した半導体用接着シートが半導体チップ上部にまで回り込みフリップチップボンディング装置の加熱ホーンを汚染しホーンと半導体チップが接着してしまう場合がある。また、加熱ホーンを汚染した場合は、ホーンの平坦性が損なわれ、フリップチップボンディング時の半導体チップの加熱状態が不均一となり、ボンディング不良が発生することがある。
半導体用接着シートのα層、β層のそれぞれの厚みは特に限定されないが、β層の厚みは0.1μm以上、20μm以下にすることが好ましい。β層を0.1μm以上にすることでウェハとの接着性が確保され、β層を20μm以下にすることでダイシングブレードの目詰まりがなく、高いダイシング性を維持することができる。より好ましくは1μm以上である。β層の厚みを1μm以上にすることで、23℃の室温で半導体用接着シートを1ヶ月間保管した後においても高いダイシング性を維持することができる。
本発明の半導体用接着シートにおいて、接着剤層の光線透過率が70%以上であることが好ましい。接着剤層の光線透過率を70%以上とするには、各接着剤層の各構成成分を類似の構造として全成分間の相溶性を高めること、光線透過率に大きな影響を与えない程度に光線透過の阻害要因となりやすい粒子やマイクロカプセルの含有量を少なくすることなどの手段を用いることが有効である。なお、粒子やマイクロカプセルは、光線透過率を大きく阻害しない範囲で添加することで、他の物性などの調整を行ってもよい。粒子には、金属や酸化物などの導電性を持った無機粒子、酸化物、窒化物など非導電性の粒子、有機物粒子、有機物を無機物でコーティングした粒子などを用いることができる。接着剤層中に粒子を含有させ、光透過性を阻害する影響を小さくするには、粒子に径の小さいものを用いることや、粒子に屈折率が半導体用接着シートを構成する他の材料との屈折率差が小さいものを用いることが有効である。接着剤層の光線透過率が70%以上であると、ダイシング時にバンプ電極や半導体ウェハ上のアライメントマークの認識が容易であり、高精度に切断することができる。さらには、接着剤層の光線透過率が70%以上であると、フリップチップ実装時のアライメントマークの認識も同様に良好となるため、高精度に実装基板上の電極パッドと半導体チップの接合を行うことができる。接着剤層の光線透過率が80%以上であると、短時間にアライメントマークの認識ができるためにより好ましい。なお、本発明における光線透過率とは、接着剤層に対する波長350〜900nmにおける最大光線透過率のことである。具体的には波長350nm〜900nmにおける光線透過率を測定し、光線透過率が最大値を示した波長を中心とする波長±10nmにおける光線透過率の平均値を本発明における光線透過率値とする。接着剤層の光線透過率は、接着剤層の厚さに依存する場合もある。一方、用いられる接着剤層の厚さは、半導体に形成されたバンプの高さなどにより異なる。本発明における接着剤層の光線透過率は、ダイシング時または/およびフリップチップ実装時のアライメントマークの認識性のためのものであるので、ダイシングやフリップチップ実装に用いられる厚さにおける接着剤層の光線透過率である。
光を透過するプラスチックフィルム等の基材上に形成された接着剤層の光線透過率を測定する場合は、別途この光を透過するプラスチックフィルムのみの測定を行い、このプラスチックフィルムの影響を差し引いた値を光線透過率とするキャリブレーションを行う。光線透過率の測定は、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で行う。このような測定は、例えば、スペクトロフォトメーター(日立製作所(株)製、U−3210)を用いて行うことができる。
キャリア付き半導体用接着シートにおいては、基材と接着剤層の接着力は2N/m以上49N/m以下にすることが好ましい。2N/m以上とすることで、基材と接着剤層間での意図しない剥離が起きない取り扱いに優れた半導体用接着シートを得ることができる。基材と接着剤層の接着力を49N/m以下とすることで、基材を剥離した際に基材表面に接着剤層が残存しにくくなる。
また、必要に応じ、基材上に設けた接着剤層の上にさらに別の基材をラミネートして、接着剤層の上下を基材で挟んだキャリア付き半導体用接着シートを得ることができる。このとき各面の各々の接着力の大きさは特に限定されず、各面が2N/m以上49N/m以下の接着力であることが好ましい。また一方の基材を(d)基材とし、他方の基材を(e)基材とすると、(e)基材と接着剤層間の接着力と(d)基材と接着剤層間の接着力の差が5N/m以上であることが好ましい。ここで、(e)基材と接着剤層間の接着力は、(d)基材と接着剤層間の接着力より大きい。また前記接着力の差は47N/m以下が好ましい。接着力の差を5N/m以上とすることで、基材を剥離する際に、接着剤層の剥がれや浮きを発生させないようにすることができ、接着力の差を47N/m以下とすることで、基材を剥離した際に基材表面に接着剤層が残存しにくくなる。
(d)基材と接着剤層の接着力は以下のように測定することができる。まず半導体用接着シートを幅25mm、長さ300mmに切り取り、これを厚さ2mmのステンレス板に両面粘着テープを用いて固定する。この際、両面粘着テープの粘着面に(d)基材面を粘着させるようにする。次に、(d)基材を接着剤層から角度90度の方向に200mm/分の速度で引き剥がし、(d)基材と接着剤層の間の接着力(N/m)を測定する。
(e)基材と接着剤層の接着力は以下のように測定することができる。まず、半導体用接着シート材料を幅25mm、長さ300mmに切り取り、(d)基材を除去した後、両面粘着テープを貼り付けた厚さ2mmのステンレス板上に、両面粘着テープを用いて固定する。この際、両面粘着テープの粘着面に接着剤層面を粘着させるようにする。(e)基材を接着剤層から角度90度の方向に200mm/分の速度で剥がし(e)基材と接着剤層の間の接着力(N/m)を測定する。
基材と接着剤層との接着力は、基材の種類や厚さの選択、液状エポキシ樹脂の量や室温でゴム状態であるタック成分の添加等の接着剤層の組成、溶媒の種類、半導体用接着シートの加熱エージングなどにより調整することができる。
また、(e)基材の表面に粘着剤層が形成されていてもよい。(e)基材の表面の粘着剤層が形成されている場合は、この粘着剤層面が、接着剤層と粘着するように(e)基材と接着剤層を積層する。この場合、(e)基材を接着剤層から剥離する際に、粘着剤が接着剤層上に残ることがないように、(e)基材と粘着剤層間の粘着力は、粘着剤層と接着剤層の間の接着力より大きくしておくことが好ましい。
本発明の半導体用接着シートにおける接着剤層は、半導体用接着組成物を基材で挟みプレス圧延、あるいはロール圧延することにより作製することができる。キャリア付き半導体用接着シートの場合、基材上にα層、β層の半導体用接着組成物を用いて多層コーティングを行う方法、逐次コーティングを行う方法により作製することができる。また、バンプ電極付き半導体ウェハに半導体用接着組成物をコーティングして接着剤層を形成してもよい。この場合、最初にβ層の半導体用接着組成物をコーティングし、最後にα層の半導体用接着組成物のコーティングを行うことにより、α、β層の2層を有する半導体用接着シートの形成されたバンプ電極付き半導体ウェハを得ることができる。
また、粘着剤層を有する場合、粘着剤層を具備した基材としては、市販されているバックグラインドテープ、ダイシングテープなどの粘着テープを用いることも可能である。その他、接着剤層上にコーティング等により粘着剤層を形成した後に、基材をラミネートなどの方法で積層してもよい。
接着剤層を形成する半導体用接着剤組成物は、溶媒を含有してもよい。溶媒としては、接着剤層に含まれる前記成分を溶解するものを適宜選択すればよく、例えば、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、プロパノール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。特に大気圧下沸点が120℃以下であるものを用いると、低温、短時間で脱溶媒化できるためシート化加工が容易となる。
接着剤層や粘着剤層を形成するために用いる塗工機としては、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどを挙げることができるが、スリットダイコーターがコーティング時の溶媒の揮発が少なく塗布性が安定するため好ましく使用される。
次に、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。バンプ電極などの電極が形成された半導体素子を形成搭載したウェハの上に、β層を半導体素子側にして本発明の半導体用接着シートを仮接着する。半導体用接着シートの両面に基材を有している場合、(d)β層側の基材を除去した後、剥き出しになったβ層をウェハ仮接着する。仮接着は、通常40〜100℃の加熱ラミネートまたは真空加熱ラミネートによって行う。この温度範囲において半導体用接着シートの動的粘度は10〜100000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは500〜10000Pa・sである。半導体用接着シートの動的粘度が10Pa・s以上であれば、取り扱いが容易である。100000Pa・s以下であれば、比較的低い圧力でのラミネートでバンプ電極を半導体用接着シート中に十分埋めることができる。
次に、必要に応じて半導体素子が形成されていないウェハ面を研磨加工するバックグラインド加工を行ってもよい。即ち、前記工程により得られた、半導体用接着シート付半導体ウェハの(e)基材面をバックグラインド加工機固定面に設置し、半導体が形成されていないウェハ面(裏面)の研削・研磨加工を行ってもよい。このような加工を行うことで薄型の半導体用接着シート付半導体ウェハを得ることができる。この加工工程によれば、バックグラインド工程と半導体チップ実装の接着剤塗布を別々に行う通常の方法に比べ工程が簡略化できる。
次に、前記工程により得られた(e)基材と半導体用接着シート付半導体ウェハとテープフレームをダイシングテープに貼り付ける。この際、(e)基材と半導体用接着シート付半導体ウェハは、バンプ電極と反対側の面をダイシングテープの粘着面に粘着させるようにする。その後、ダイシングを行う。
ダイシング工程では、まずカットテーブル上に、前記方法により作製した半導体用接着シートが付いた電極付き半導体ウェハをダイシングテープで貼り付けたテープフレームをセットし、次に(e)基材を有する場合はこれを剥離する。装置上で電極または半導体ウェハ上のアライメントマークを認識させ、カットサイズ、切削速度、深さ、ブレード回転数、切削水量など各ダイシング条件を所定の値に設定しダイシングを行い、半導体用接着シート付きの半導体素子に個片化する。ここで、半導体ウェハ上のアライメントマークは複数の角形状含むものであることが好ましく、このような形状のアライメントマークを用いるとアライメントエラーを少なくできる。ダイシング後のウェハの乾燥は25〜100℃、10秒〜4時間で処理することが望ましい。ダイシングによる半導体用接着シートの割れ、欠けおよび半導体ウェハからの剥がれは、切削端部を基準位置0μmとして最大長さが25μm以内であることが好ましい。半導体用接着シートの割れ、欠け、または半導体ウェハからの剥がれが、25μmを越えた場合、ダイシング時およびダイシング後の半導体用接着シートに水が吸着、付着しやすくなる。吸着した水は、後に行われるフリップチップ実装時に接着剤組成物層に空隙、ボイドが生じる原因となり、接着力の低下および電気的信頼性の低下を引き起こす。この半導体用接着シートの割れ、欠けおよび半導体ウェハからの剥がれはクロスカット部分(半導体チップの角に当たる部分)で発生しやすい。
次に、個片化した半導体用接着シート付き半導体素子は、通常のフリップチップボンダーを用いて実装基板に実装される。実装条件は半導体素子と実装基板の電気的接続が良好に得られる範囲であれば特に限定されるものではなく、バンプや実装基板の電極の材質に応じて適宜に決定される。また、半導体用接着シートの硬化が不十分な場合は、実装後に半導体素子実装基板を加熱し、半導体用接着シートの硬化をさらに進めてもよい。
以下実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の半導体用接着シートの評価は以下の方法により行った。
1.ラミネート工程および評価
まず、キャリア付き半導体用接着シートから軽剥離側プラスチックフィルム基材(例えば実施例1においてはポリプロピレンフィルム基材)を除去し、半導体用接着シートのβ面を露出させた。この時、(i)半導体用接着シート面の剥離痕の有無、(ii)半導体接着シートの重剥離側プラスチックフィルム基材(例えば実施例1においてはポリエチレンテレフタレートフィルム基材)からの剥離、脱落の有無を観察し、剥離性を評価した。(i)(ii)の一方でも有りの場合を×、(i)(ii)ともに無しの場合を○とした。
次に、半導体用接着シートのβ面が外向きになるように局率半径5mmで曲げたときに、(i)半導体用接着シートの割れの有無、(ii)重剥離側プラスチックフィルム基材からの剥がれの有無を観察し、可撓性を評価した。(i)(ii)の一方でも有りの場合を×、(i)(ii)ともに無しの場合を○とした。
次いで、貼り合わせ装置(テクノビジョン(株)製、モデル900S)ステージ上に固定された平均高さ20μmのバンプ電極付き(256バンプ/チップ、ピッチ65μm、金メッキバンプ、液晶ドライバ用)シリコンウェハ(直径150mm、厚さ625μm)のバンプ電極に軽剥離側プラスチックフィルム基材を剥離した後の半導体用接着シートのβ面を温度80℃、貼り合わせ速度30cm/分でラミネートした。この時、半導体用接着シート面および断面を顕微鏡観察(20倍率)し、バンプ電極周辺および半導体用接着シートとシリコンウェハ界面のボイドまたは空隙の有無を観察し、ラミネート性を評価した。ボイド、空隙がある場合は×、それ以外は○とした。半導体ウェハ周囲の余分な半導体用接着シートはカッター刃にて切断し、プラスチックフィルム基材(例えば実施例1においてはポリエチレンテレフタレートフィルム基材)を具備したバンプ電極が半導体用接着剤で埋め込まれた半導体ウェハを得た。
2.ダイシング工程および評価
前記1.記載の方法で得られた半導体ウェハのバンプ電極とは反対側のウェハ基板面にダイシングテープ(リンテック(株)製、D−650)の貼り合わせと、テープフレームへの固定は、ウェハマウンター装置(テクノビジョン(株)製、FM−1146−DF)を用いた。次いで残りのプラスチックフィルム基材を除去した。ダイシング装置(DISCO(株)製、DFD−6240)の切削ステージ上に、半導体用接着シート面が上になるようテープフレームを固定して、ダイシング装置の顕微鏡付きCCDカメラにてアライメントを行った。アライメントは半導体ウェハに配列するバンプ電極でアライメントした場合と半導体ウェハ面のアライメントマークでアライメントした場合の二通りの方法で実施した。この時、すべてのバンプ電極あるいは半導体ウェハ面の全てのアライメントマークについて認識ができた場合を○、一部でも認識できなかった場合を×としてアライメントマーク認識性を評価した。
このアライメントマークの概略図を図2に示した。符号7は十字のアライメントマークであり、その文字太さ(20μm)を符号8、文字長さ(140μm)を符号9で示した。符号10は円状のアライメントマークであり、直径(100μm)を符号11で示した。符号12は四角形のアライメントマークであり、四角形の短辺長さ(10μm)を符号13、四角形の長辺長さ(50μm)を符号14で示した。符号15は正三角形のアライメントマークであり、正三角形の辺長さ(30μm)を符号16で示した。
次いで、以下のような切削条件でダイシングを行った。
ダイシング装置:DFD−6240(DISCO(株)製)
半導体素子サイズ:2.5×16.5mm
ブレード:NBC−ZH 205O−SE27HEEE
スピンドル回転数:25000rpm
切削速度:80mm/s
切削深さ:ダイシングテープの深さ20μmまで切り込む
カット:ワンパスフルカット
カットモード:ダウンカット
切削水量:3.7L/分
切削水および冷却水:温度23℃、電気伝導度0.5MΩ・cm(超純水に炭酸ガスを注入)。
バンプ電極が半導体用接着剤組成物で埋め込まれた半導体ウェハをダイシングにより個片チップ化したもの(半導体素子)について、半導体用接着シート表面の切削粉の付着の有無、半導体用接着シート表面の割れ、欠けの有無、ウェハから接着剤層の剥がれの有無を顕微鏡により観察した。切削粉の付着については半導体用接着シート表面に切削粉の付着のないものを○、1μmを越える大きさの切削粉の付着数が100個未満のものを△、1μmを越える大きさの切削粉の付着数が100個以上のものを×とし、耐汚染性を評価した。また、半導体用接着シートの切削端部から半導体用接着シートの割れ、欠けおよびウェハからの剥がれの長さが15μm未満の場合を○、15μm以上25μm以下の場合を△、25μmを越えるものを×として、耐傷性を評価した。ダイシング後の半導体用接着シート付き半導体ウェハの概略図を図1に示し、割れ、欠けおよびウェハからの剥がれを例示した。符号1は組成物が塗布された半導体ウェハの一部であり、発生した接着シートの割れ・欠け部を符号2、クラックを符号3で示した。また、接着シートの割れ、欠けの大きさを測定するために、割れ・欠け2やクラック3の大きさは符号4で示した欠損部長さとして表される。また符号5は切削端部を示し、符号6は欠損部の長さでも最大のものを表している。
3.フリップチップボンディング工程および評価
前記2.記載の方法で作製したバンプ電極が半導体用接着シートで埋め込まれた半導体素子を、フリップチップボンディング装置(トライテック(株)製、DB−100)を用いて実装基板に接続した。実装基板には、錫メッキを施した厚さ9μmのパッド電極が付いている、厚さ50μmのポリイミドフィルムを用いた。前記2.記載の方法で作製した半導体素子のバンプ電極とパッド電極付きポリイミドフィルム実装基板上のパッド電極が重なるようにアライメントを行った。この時、すべてのバンプ電極あるいは半導体ウェハ面の全てのアライメントマークについて認識ができた場合を○、一部でも認識できなかった場合を×とし、アライメントマーク認識性を評価した。
アライメント後、温度200℃、時間20s、加重100Nの条件でフリップチップボンディングを行った。これによりポリイミドフィルム実装基板上に半導体素子を実装した半導体付き実装基板を得た。ボンディング終了後、ポリイミドフィルムの半導体素子が実装されていない側から透して、実装した半導体素子の空隙またはボイドの有無を、半導体用接着シート面および断面を顕微鏡観察(20倍率)することによって、確認した。空隙またはボイドがある場合は×、それ以外は○として、接続性を評価した。
4.導通性評価(初期導通性および熱衝撃試験後)
前記3.記載の方法で作製した半導体付き実装基板の初期導通性および熱衝撃試験後導通性を以下の方法で評価した。初期導通性は、前記3.記載の方法で作製した半導体付き実装基板20個について、デジタルマルチメーター(アドバンテスト(株)製、TR6847)を用いて電気抵抗値を測定し、導通不良(電気抵抗値が無限大となり断線している)となった個数により評価した。
熱衝撃試験後導通性は、前記初期導通性の良品(導通不良とならなかったもの)について評価した。半導体付き実装基板を−40℃で5分間維持後、125℃で5分間維持を1サイクルとして、これを1000サイクル行った後の半導体付き実装基板の導通性を評価した。初期導通性試験の良品の20個について電気抵抗値を測定し、導通不良(電気抵抗値が無限大となり断線している)となった個数により評価した。
5.液晶表示テスト
前記4.記載の方法で熱衝撃試験評価の良品(導通不良とならなかったもの)の半導体付き実装基板を液晶パネルに組み込み半導体装置を作製し、表示テストを行った。表示されたものは○、評価に進むことができなかったものや表示されない、またはノイズが発生しているものは×とした。
合成例1 有機溶剤可溶性ポリイミドAの合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFとする)24.54g(0.067モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(以下、SiDAとする)4.97g(0.02モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール(以下、3−Aphとする)2.18g(0.02モル)をN−メチルピロリドン(NMP)80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以下、ODPAとする)31.02g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸させながら、180℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿したポリマーを得た。この沈殿をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃、20時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このようにしてエポキシ基と反応可能な官能基を有し、一般式(1)で表される構造が7.4重量%含まれる有機溶剤可溶性ポリイミドAを得た。得られたポリマー4gにテトラヒドロフラン6gを加え、23℃で撹拌したところ溶解した。
以下に、各実施例に用いた原料を示す。
樹脂:フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成(株)製)
固形エポキシ化合物:
エピコート157S70(商品名、エポキシ当量:210g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)
エピクロンHP−7200H(商品名、エポキシ当量:280g/eq、大日本インキ化学工業(株)製)
液状エポキシ化合物:
エピコート828(商品名、エポキシ当量187g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)
エピコートYX8000(商品名、エポキシ当量205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)
硬化促進剤:2−フェニルイミダゾール(商品名2PZ、四国化成工業(株)製、非水溶性)
溶剤:メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、n−プロピルアルコール。
実施例1〜90および比較例1〜48
表1〜10に示す各成分を、表1〜10に示す組成比で調合し、半導体用接着組成物ワニスα、βを作製した。
スリットダイコーター(塗工機)を用いて、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に半導体用接着組成物ワニスαを塗布し、80℃で4分間乾燥し、15μmの乾燥厚さのα層を形成した。次いで、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、α層上に半導体用接着組成物ワニスβを塗布し、80℃で3分間乾燥し、乾燥後の厚さ10μmのβ層を積層した。その後、厚さ15μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム基材(商品名、トレファンBO型番YK57)の未処理面を加熱ロール温度40℃でβ層面にラミネートし、α層とβ層が積層された接着剤層の合計厚さが25μmであるキャリア付き半導体用接着シート(ポリプロピレンフィルム基材、接着剤層、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の3層構造)を得た。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。
得られたキャリア付き半導体用接着シートを用いて、前記ラミネート工程、ダイシング工程およびフリップチップボンディング工程により半導体装置を作製し、前記各評価を行った。評価結果を表1〜10に示す。
実施例1〜90のフリップチップボンディング後の試料を半導体と実装基板の界面に垂直な方向から顕微鏡観察を行い、半導体チップに対する接着剤のはみ出しを評価したところ、はみ出しが最も大きいところでも0.2mmと非常に小さいものであった。
実施例91
表6の実施例47に記載された組成比で作製した半導体用接着シートワニスαを、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、厚さ80μmの未延伸ポリプロピレンフィルム基材(商品名、トレファンNO型番ZK−99、東レ(株)製)の親水化処理を行っていない面上に塗布し、その後75℃で4分間乾燥し、15μmの乾燥厚さのα層を形成した。次いで表6の実施例47に記載された組成比で作製した半導体用接着組成物ワニスβを、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、α層上に塗布し、75℃で3分間乾燥し、乾燥後の厚さ10μmのβ層を積層した。この方法により、ポリプロピレンフィルム基材上に、α層およびβ層を有する、バックグラインドテープ機能と半導体接着機能を併せ持つキャリア付き半導体用接着シートを得た。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。
貼り合わせ装置(テクノビジョン(株)製、モデル900S)ステージ上に固定された平均高さ20μmのバンプ電極付き(256バンプ/チップ、ピッチ65μm、金メッキバンプ、液晶ドライバ用)シリコンウェハ(直径150mm、厚さ625μm)のバンプ電極に、前記キャリア付き半導体用接着シートのβ層面を温度60℃、貼り合わせ速度10cm/分でラミネートした。バンプ電極付きシリコンウェハ周囲の余分なキャリア付き半導体用接着シートはカッター刃にて切断した。これにより、接着剤層上にプラスチックフィルム基材がこの順に積層されている電極が半導体用接着剤で埋め込まれた半導体ウェハを得た。
次いで、この半導体ウェハのバンプ電極とは反対側の面を、研削・研磨装置(DISCO(株)製、DGP−8760)を用いて半導体ウェハの厚みが100μmになるよう研削・研磨を行った。続いて、キャリア付き半導体用接着剤シートからプロピレンフィルム基材を剥がした。この後、実施例1と同様に、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程を行い、各評価を行ったところ、実施例47と同様の結果を得た。
実施例92
表6の実施例47に記載された組成比で作製した半導体用接着シートワニスβを、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、厚さ80μmの未延伸ポリプロピレンフィルム基材(商品名、トレファンNO型番ZK−99、東レ(株)製)の親水化処理を行っていない面上に塗布し、その後75℃で4分間乾燥し、10μmの乾燥厚さのβ層を形成した。次いで表6の実施例47に記載された組成比で作製した半導体用接着組成物ワニスαを、スリットダイコーター(塗工機)を用いて、β層上に塗布し、75℃で3分間乾燥し、乾燥後の厚さ15μmのα層を積層した。その後、半導体用接着シート上に、厚さ160μmの粘着剤層が形成されたプラスチック製ベースフィルム基材(商品名、BGE−124S、トーヨーアドテック(株)製)を、粘着剤層面がα層に粘着するように加熱ロール温度25℃でラミネートし、ポリプロピレンフィルム基材上に、β層、α層、粘着剤層およびプラスチック製ベースフィルム基材をこの順に有する、バックグラインドテープ機能と半導体接着機能を併せ持つキャリア付き半導体用接着シートを得た。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。
貼り合わせ装置(テクノビジョン(株)製、モデル900S)ステージ上に固定された平均高さ20μmのバンプ電極付き(256バンプ/チップ、ピッチ65μm、金メッキバンプ、液晶ドライバ用)シリコンウェハ(直径150mm、厚さ625μm)のバンプ電極に、軽剥離側プラスチックフィルム基材であるポリプロピレンフィルムを剥離した後の前記半導体用接着シートのβ層面を温度60℃、貼り合わせ速度10cm/分でラミネートした。半導体ウェハ周囲の余分な半導体用接着シートはカッター刃にて切断した。これにより、半導体用接着剤層上に粘着剤層、プラスチック製ベースフィルム基材がこの順に積層されている電極が半導体用接着剤で埋め込まれた半導体ウェハを得た。
次いで、この半導体ウェハのバンプ電極とは反対側の面を、研削・研磨装置(DISCO(株)製、DGP−8760)を用いて半導体ウェハの厚みが100μmになるよう研削・研磨を行った。続いて、半導体用接着剤シートから粘着剤層付きプラスチック製ベースフィルム基材を剥がした。この後、実施例1と同様に、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程を行い、各評価を行ったところ、実施例47と同様の結果を得た。
比較例49
表6の実施例48に記載された組成比で作製した半導体用接着シートワニスαをスリットダイコーター(塗工機)を用いて、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に半導体用接着組成物ワニスαを塗布し、80℃で4分間乾燥し、25μmの乾燥厚さのα層を形成した。その後、厚さ15μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム基材(商品名、トレファンBO型番YK57)の未処理面を加熱ロール温度40℃でα層面にラミネートし、キャリア付き半導体用接着シート(ポリプロピレンフィルム基材、α層、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の3層構造)を得た。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。
得られたキャリア付き半導体用接着シートを用いて、実施例1と同様に1.ラミネート工程、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程、4.導通性評価、5.液晶表示テストを行い、各評価を行った。評価結果を表10に示す。
比較例50
表6の実施例48に記載された組成比で作製した半導体用接着シートワニスβをスリットダイコーター(塗工機)を用いて、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に半導体用接着組成物ワニスβを塗布し、80℃で4分間乾燥し、25μmの乾燥厚さのβ層を形成した。その後、厚さ15μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム基材(商品名、トレファンBO型番YK57)の未処理面を加熱ロール温度40℃でβ層面にラミネートし、キャリア付き半導体用接着シート(ポリプロピレンフィルム基材、β層、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の3層構造)を得た。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。
得られたキャリア付き半導体用接着シートを用いて、実施例1と同様に1.ラミネート工程、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程、4.導通性評価、5.液晶表示テストを行い、各評価を行った。評価結果を表10に示す。
実施例93〜95
表6の実施例47〜49に記載されたキャリア付き半導体用接着シートのα層、β層の厚みをそれぞれ6μm、19μmにしたキャリア付き半導体用接着シートを作製した。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。これを23℃、55%RHの環境下で1ヶ月間放置した後、実施例1と同様に1.ラミネート工程、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程、4.導通性評価、5.液晶表示テストを行い、各評価を行ったところ、実施例1〜90と同様の結果を得た。
実施例96〜98
表6の実施例47〜49に記載されたキャリア付き半導体用接着シートのα層、β層の厚みをそれぞれ24μm、1μmにしたキャリア付き半導体用接着シートを作製した。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。これを23℃、55%RHの環境下で1ヶ月間放置した後、実施例1と同様に1.ラミネート工程、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程、4.導通性評価、5.液晶表示テストを行い、各評価を行ったところ、実施例1〜90と同様の結果を得た。
実施例99〜101
表6の実施例47〜49に記載されたキャリア付き半導体用接着シートのα層、β層の厚みをそれぞれ25μm、0.1μmにしたキャリア付き半導体用接着シートを作製した。これを直径7.6cmの紙管にロール状に巻き取った。これを23℃、55%RHの環境下で1ヶ月間放置した後、実施例1と同様に1.ラミネート工程、2.ダイシング工程、3.フリップチップボンディング工程、4.導通性評価、5.液晶表示テストを行い、各評価を行ったところ、2.ダイシング工程における切削速度が80mm/sではダイシング加工性評価の耐傷性が△の評価であり、それに伴い導通評価の初期導通性および熱衝撃試験の結果において半導体付き実装基板20個中4個が不良であったが、60mm/sとすると実施例1〜90と同様の結果を得た。
比較例51〜74
表9、10の比較例27〜50の2.ダイシング工程における切削速度を60mm/sに変更した以外、実施例1と同様に評価を行ったところ、比較例27〜50と同様の結果を得た。
Figure 2009021562
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本発明の半導体用接着シートは、ダイシングにより個片化したIC、LSI等、半導体素子をフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、セラミックス基板などの実装基板に直接電気的接合する接着剤シートとして好適に利用可能である。
ダイシング後の半導体用接着シート付き半導体ウェハの概略図 ウェハ上のアライメントマークの概略図
符号の説明
1 組成物が塗布された半導体ウェハの一部
2 組成物の割れ・欠け部
3 クラック
4 欠損部長さ
5 切削端部
6 最大欠損部長さ
7 十字のアライメントマーク
8 文字太さ(20μm)
9 文字長さ(140μm)
10 円状のアライメントマーク
11 直径(100μm)
12 四角形のアライメントマーク
13 四角形の短辺長さ(10μm)
14 四角形の長辺長さ(50μm)
15 正三角形のアライメントマーク
16 正三角形の辺長さ(30μm)

Claims (8)

  1. 異なる組成のα層、β層の少なくとも2層の接着剤層を有する半導体用接着シートであって、α層が(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し20重量%以上60重量%未満であり、β層が樹脂と(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状であるエポキシ化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量がβ層中40重量%以上70重量%以下である半導体用接着シート。
  2. 前記β層が(a)有機溶剤可溶性ポリイミドおよび(b)エポキシ化合物を含有し、(a)有機溶剤可溶性ポリイミドの含有量が(b)エポキシ化合物100重量部に対し15〜90重量部であり、(b)エポキシ化合物が(b−1)25℃、1.013×10N/mにおいて液状である化合物と(b−2)25℃、1.013×10N/mにおいて固形である化合物を含有し、(b−1)液状であるエポキシ化合物の含有量が全エポキシ化合物に対し60重量%以上80重量%以下である請求項1記載の半導体用接着シート。
  3. β層の厚みが0.1μm以上20μm以下である請求項1および2記載の半導体用接着シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の半導体用接着シートであって、β層、α層、および基材をこの順に有するキャリア付き半導体用接着シート。
  5. 前記α層と基材の間に、さらに粘着剤層を有する請求項4記載のキャリア付き半導体用接着シート。
  6. 請求項1〜3のいずれか記載の半導体用接着シートから形成された耐熱性樹脂を有する半導体装置。
  7. 電極が形成された半導体素子を複数個形成したウェハの上に、請求項1〜3のいずれか記載の半導体用接着シートを、β層を半導体素子側にして仮接着し、その後ダイシングにより個片化を行い、個片化した半導体用接着シート付き半導体素子を実装基板に実装することにより、半導体素子上に形成された電極と実装基板の上の電極を直接接触させることで電気的接続を行う半導体装置の製造方法。
  8. 電極が形成された半導体素子を複数個形成したウェハの上に、請求項4または5記載のキャリア付き半導体用接着シートを、β層を半導体素子側にして仮接着し、続いて半導体素子が形成されていないウェハ面を研磨加工し、その後ダイシングにより個片化を行い、個片化した半導体用接着シート付き半導体素子を実装基板に実装することにより、半導体素子上に形成された電極と実装基板の上の電極を直接接触させることで電気的接続を行う半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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