図1は、本発明による駆動方法に従って表示パネルとしてのプラズマディスプレイパネルを駆動するプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
図1において、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP10は、放電ガスが封入されている放電空間を挟んで対向配置された前面透明基板及び背面基板(図示せぬ)を備えている。前面透明基板上には2次元画面の横方向(水平方向)に夫々伸張して配列された行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynが形成されている。これら行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynは、夫々一対の行電極Xi及びYi(i:1〜n)にて、PDP10における第1〜第n表示ラインを担っている。背面基板上には、行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Yn各々と交叉するように、2次元表示画面の縦方向(垂直方向)に夫々伸張して配列された列電極D1〜Dmが形成されている。上記放電空間を含む各行電極対(X、Y)と列電極Dとの交叉部に、画素としての放電セル(表示セル)Pが形成される構造となっている。すなわち、PDP10には、第1行・第1列の放電セルP(1,1)〜第n行・第m列の放電セルP(n,m)からなる(n×m)個の放電セルPがマトリクス状に配列されているのである。
A/D変換器1は、入力映像信号VDを各画素(放電セルP)毎にその輝度レベルを例えば8ビットで表す画素データPDに変換してフレームメモリ2に供給する。フレームメモリ2は、これら画素データPD(1,1)〜PD(n,m)の各々を順次書き込み、その書き込まれた画素データPD(1,1)〜PD(n,m)の各々を順次読み出してSFデータ生成回路3に供給する。
SFデータ生成回路3は、フレームメモリ2から順次読み出された画素データPDに対して、先ず、誤差拡散処理及びディザ処理等からなる多階調化処理を施して多階調化画素データとして得る。例えば、誤差拡散処理では、画素データPDの上位ビット群を表示データ、残りの下位ビット群を誤差データと捉え、周辺画素各々に対応した画素データにおける上記誤差データを重み付け加算したものを、上記表示データに反映させることにより誤差拡散処理画素データを得る。又、ディザ処理では、互いに隣接する複数の画素からなる画素群毎に、各画素に対応した上記誤差拡散処理画素データに夫々、互いに異なる係数値からなるディザ係数を夫々割り当てて加算し、その加算結果中の所定の上位ビット群を多階調化画素データとして得る。
次に、SFデータ生成回路3は、上記多階調化画素データに基づき、図2に示す如きN個(N:整数)のサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、放電セルPを点灯及び消灯モードの内のいずれの状態に設定するのかを各ビット毎に示すSFデータGDを生成する。尚、1フレーム表示期間内でのサブフィールドの総数Nは、後述するSF数信号SFNによって指定された数である。SFデータ生成回路3は、各画素毎のSFデータGD各々を順次、SFメモリ4に供給する。
SFメモリ4は、各画素毎のSFデータGD各々を順次書き込み、1フレーム分の書き込みが終了する度に、以下の如き読み出し動作を行う。SFメモリ4は、後述するN個のサブフィールドSF1〜SF(N)の各々で、各SFデータGDから、そのサブフィールドに対応したビット桁を分離して読み出し、夫々SF1〜SF(N)アドレスデータビットDBとしてアドレスドライバ6に供給する。
駆動制御回路20は、上記SF数信号SFN及び後述するSUSパルス数信号SU1〜SU(N)に基づく図2に示す発光駆動シーケンスに従って、PDP10を駆動すべき各種駆動制御信号を、アドレスドライバ6、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8からなるパネルドライバに供給する。
すなわち、駆動制御回路20は、図2に示す如き1フィールド又は1フレーム表示期間(以下、単位表示期間と称する)内の先頭のサブフィールドSF1では、リセット行程R、選択書込アドレス行程WW及びサスティン行程I各々に従った駆動を順次実施させるべき各種制御信号をパネルドライバに供給する。更に、SF1に後続するサブフィールドSF2〜SF(N)各々では、駆動制御回路20は、選択消去アドレス行程WD及びサスティン行程I各々に従った駆動を順次実施させるべき各種制御信号をパネルドライバに供給する。パネルドライバ(アドレスドライバ6、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8)は、駆動制御回路20から供給された各種制御信号に応じた駆動パルスを生成してPDP10の列電極D、行電極X及びYに供給する。
先ず、先頭のサブフィールドSF1のリセット行程Rでは、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8が、リセットパルスを全ての行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynに印加する。かかるリセットパルスの印加に応じて、全ての放電セルP内においてリセット放電が生起され、各放電セルP内に残留していた壁電荷が消滅する。これにより、全ての放電セルPは消灯モードの状態に初期化される。
サブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、アドレスドライバ6が、SFメモリ4から供給されたSF1アドレスデータビットDBの論理レベルに対応したピーク電圧を有する画素データパルスを生成する。例えば、アドレスドライバ6は、SF1アドレスデータビットDBが論理レベル1である場合には高電圧、論理レベル0である場合には低電圧の画素データパルスを生成し、かかる画素データパルスを1表示ライン分(m個)ずつ列電極D1〜Dmに印加する。すなわち、アドレスドライバ6は、先ず、第1表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加し、次に、第2表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加し、次に、第3表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加して行く。以降、同様にして第4〜第n表示ラインに夫々対応したm個の画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次、列電極D1〜Dmに印加して行くのである。更に、SF1の選択書込アドレス行程WWでは、Y電極ドライバ8が、各表示ライン毎の画素データパルス群の印加タイミングと同一タイミングにて、走査パルスを行電極Y1〜Ynへと順次印加して行く。この際、走査パルスが印加された行電極と、高電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の放電セルPにのみ選択的に書込アドレス放電が生起され、その放電セルP内に所定量の壁電荷が形成される。つまり、かかる書込アドレス放電により、この放電セルPは点灯モードに設定される。一方、走査パルスが印加された行電極と、低電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の放電セルPには上述した如き書込アドレス放電は生起されず、この放電セルPはその直前までの状態、つまり消灯モードの状態を維持する。
又、サブフィールドSF2〜SF(N)各々の選択消去アドレス行程WDでは、アドレスドライバ6が、SFメモリ4から供給されたSFアドレスデータビットDBの論理レベルに対応したピーク電圧を有する画素データパルスを生成する。例えば、アドレスドライバ6は、SFアドレスデータビットDBが論理レベル1である場合には高電圧、論理レベル0である場合には低電圧の画素データパルスを生成し、かかる画素データパルスを1表示ライン分(m個)ずつ列電極D1〜Dmに印加する。すなわち、アドレスドライバ6は、先ず、第1表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加し、次に、第2表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加し、次に、第3表示ラインに対応したm個の画素データパルスを夫々列電極D1〜Dmに同時に印加して行く。以降、同様にして第4〜第n表示ラインに夫々対応したm個の画素データパルスを1表示ライン分ずつ順次、列電極D1〜Dmに印加して行くのである。更に、SF2〜SF(N)各々の選択消去アドレス行程WDでは、Y電極ドライバ8が、各表示ライン毎の画素データパルス群の印加タイミングと同一タイミングにて、走査パルスを行電極Y1〜Ynへと順次印加して行く。この際、走査パルスが印加された行電極と、高電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の放電セルPにのみ選択的に消去アドレス放電が生起され、その放電セルP内に残留していた壁電荷が消滅する。つまり、かかる消去アドレス放電により、この放電セルPは消灯モードに設定される。一方、走査パルスが印加された行電極と、低電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の放電セルPには上述した如き消去アドレス放電は生起されず、この放電セルPはその直前までの状態(点灯モード又は消灯モード)を維持する。
サブフィールドSF1〜SF(N)各々のサスティン行程Iでは、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8が、そのサブフィールドに対応したSUSパルス数信号SUにて示されている回数分だけ、行電極X1〜Xn及びY1〜Ynに対して交互に繰り返しサスティンパルスを印加する。この際、SUSパルス数信号SU1〜SU(N)各々は、夫々サブフィールドSF1〜SF(N)に対応しており、そのサブフィールドSFのサスティン行程Iで印加すべきサスティンパルスの数を示すものである。従って、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8は、例えば、サブフィールドSF1のサスティン行程IではSUSパルス数信号SU1、サブフィールドSF2のサスティン行程IではSUSパルス数信号SU2にて示される回数分だけ繰り返しサスティンパルスを印加する。かかるサスティンパルスの印加により、壁電荷が残留したままとなっている放電セルP、すなわち点灯モードの状態にある放電セルPのみが、このサスティンパルスが印加される度にサスティン放電し、そのサスティン放電に伴う発光状態を維持する。
かかる駆動によると、輝度レベル0を表現する場合(第1階調)を除き、図3に示す如く、必ず、先頭のサブフィールドSF1にて放電セルP内で書込アドレス放電が生起され(二重丸にて示す)、この放電セルPは点灯モードに設定される。その後、サブフィールドSF2〜SF(N)各々の内の1のサブフィールドの選択消去アドレス行程WOのみで選択消去アドレス放電が生起され(黒丸にて示す)、放電セルPは消灯モードに設定される。尚、図2に示す如き発光駆動シーケンスによれば、単位表示期間内において放電セルPを消灯モードの状態から点灯モードの状態に遷移させることが可能な機会は、SF1の選択書込アドレス行程WWだけである。よって、放電セルPは、一旦、消灯モードに設定されると、それ以降のサブフィールドから最後尾のサブフィールドSF(N)までの間に亘り消灯モードの状態を維持することになる。
従って、放電セルPは、輝度レベル0を表現する場合(第1階調)を除き、単位表示期間内において、先頭サブフィールドSF1から表現すべき中間輝度に対応した分だけ連続したサブフィールドSF各々(白丸にて示す)で点灯モードに設定され、各SFのサスティン行程Iにてサスティン放電に伴う発光を繰り返し生起する。この際、単位表示期間内において生起されたサスティン放電の総数に対応した輝度が視覚される。つまり、N個のサブフィールドによれば、図3に示す如き(N+1)種類の発光パターンに基づく(N+1)階調分の中間輝度が表現される。
尚、図2及び図3に示す駆動では、先頭サブフィールドSF1にて、先ず全放電セルPをリセット放電させることにより消灯モードに初期化し、黒表示(第1階調)を実施する場合を除き、各放電セルPに対して書込アドレス放電(二重丸にて示す)を生起させてこれを点灯モードに遷移させるようにしている。よって、かかる駆動によって黒表示を行う場合、1フィールド表示期間を通して生起される放電は、先頭サブフィールドSF1でのリセット放電だけとなる。従って、全放電セルをリセット放電させて点灯モードの状態に初期化してから、これを消灯モード状態に遷移させるべき選択消去アドレス放電を生起させる駆動を採用する場合に比して、1フィールド表示期間内で生起される放電回数が少なくなる。これにより、暗い画像を表示する際のコントラスト、いわゆる暗コントラストを向上させることが可能となる。
ここで、単位表示期間内に設けるべきサブフィールドの数(N個)を決定するSF数信号SFN、及び各サブフィールドのサスティン行程Iにて繰り返し印加すべきサスティンパルスの数を決定するSUSパルス数信号SU1〜SU(N)は、SF構築回路23によって生成される。
図4は、SF構築回路23の内部構成の一例を示す図である。
図4において、SUSパルス総数設定回路231は、先ず、映像信号VDによって示される輝度レベルに基づき、画像1フレーム(又は1フィールド)分毎の平均輝度を求める。次に、SUSパルス総数設定回路231は、かかる平均輝度に応じて、単位表示期間内において印加すべきサスティンパルスの総数を決定する。例えば、SUSパルス総数設定回路231には、各種の平均輝度と、その平均輝度に対応した最適なサスティンパルスの印加総数を示す情報とが対応付けされているルックアップテーブルが予め記憶されている。この際、ルックアップテーブルには、上記の如き平均輝度が高くなるほど、単位表示期間内において印加すべきサスティンパルスの総数が少なくなるような対応関係にて、各種の平均輝度と、その平均輝度に対応した最適なサスティンパルスの印加総数を示す情報とが対応付けして記憶されている。SUSパルス総数設定回路231は、このルックアップテーブル中から、上記平均輝度に対応したサスティンパルスの総数を示す情報を読み出し、その総数を示すSUSパルス総数信号SPNBAをSF数設定回路232及びSUSパルス総数補正回路233各々に供給する。すなわち、SUSパルス総数設定回路231は、いわゆるABL(Automatically Brightness Limit)制御を担う機能を備えたものである。
SF数設定回路232は、SUSパルス総数信号SPNBAに基づき、単位表示期間内において物理的に設けることが可能となる最大のサブフィールド数を求め、これを最終的なサブフィールド総数として示すSF数信号SFNをSUSパルス総数補正回路233、輝度区切値算出回路234、SFデータ生成回路3及び駆動制御回路20に供給する。尚、単位表示期間内において印加されるべきサスティンパルスの総数が大なるほど、この単位表示期間内において物理的に設けることが可能となるサブフィールドの数は少なくなる。つまり、SF数設定回路232は、SUSパルス総数信号SPNBAにて示されるサスティンパルスの総数が多いほど、少ないサブフィールド数を表すSF数信号SFNを生成するのである。
SUSパルス総数補正回路233は、SF数信号SFNにて示されるサブフィールド数、及び所定のシフトパルス数SUSTに基づく以下の如き演算によって、SUSパルス総数信号SPNBAにて示されるサスティンパルス総数を補正して得られた補正SUSパルス総数信号SPNをSUSパルス数変換回路235に供給する。
SPN=SPNBA−(SFN・SUST)
すなわち、SUSパルス総数補正回路233は、所定のシフトパルス数SUSTにサブフィールド数(SFN)を乗算して得られたパルス数を、単位表示期間内において印加すべきサスティンパルスの総数(SPNBA)から減算することにより、補正サスティンパルス総数(SPN)を得るのである。
輝度区切値算出回路234は、入力映像信号VDにて表現可能な輝度レベルの範囲内の各輝度レベルに対して、1フレーム分の入力映像信号VD毎に、その輝度レベルで発光させるべき画素の総数、つまり頻度を表す輝度頻度データを生成する。そして、輝度区切値算出回路234は、かかる輝度レベルの範囲内において、SF数信号SFNにて示されるN個のサブフィールドSF1〜SF(N)が夫々担うべき輝度範囲を割り当てる。この際、輝度区切値算出回路234は、頻度が高い輝度領域に対しては、低い輝度領域に比して割り当てるべきサブフィールドの数を多くする。例えば、図5に示す如き輝度頻度データが生成された場合には、輝度レベル「0」〜「127」なる低輝度領域での頻度は、輝度レベル「128」〜「255」なる高輝度領域での頻度よりも小である。ここで、SF数信号SFNにて示されるサブフィールド数が7つである場合には、輝度区切値算出回路234は、図5に示す如く、かかる低輝度領域に対しては3つのサブフィールドSF1〜SF3を割り当て、高輝度領域に対しては4つのサブフィールドSF4〜SF7を割り当てる。すなわち、この際、高輝度領域に割り当てられたサブフィールドSF4〜SF7各々が担うべき輝度範囲は、低輝度領域に割り当てられたサブフィールドSF1〜SF3各々が担うべき輝度範囲よりも小となる。つまり、低輝度領域よりも高輝度領域に対して、階調間の輝度差を低減させた滑らかな階調表現が為されるようになるのである。そして、輝度区切値算出回路234は、SF数信号SFNにて示されるN個のサブフィールドSF1〜SF(N)が夫々担う輝度範囲同士の境界での輝度を、輝度区切値S1〜S(N)としてSUSパルス数変換回路235に供給する。
SUSパルス数変換回路235は、輝度区切値S1〜S(N)の内の最大のS(N)が、補正SUSパルス総数信号SPNにて示されるサスティンパルス総数と一致する図6に示す如き逆ガンマ曲線(2.2乗曲線)γCLに従って、輝度区切値S1〜S(N)各々を、その輝度区切値に対応したサスティンパルス数SP1〜SP(N)に夫々変換する。すなわち、SUSパルス数変換回路235は、入力映像信号VDにて表現可能な最大輝度に相当する輝度区切値S(N)を補正SUSパルス総数信号SPNにて示される値と一致させるように輝度区切値S1〜S(N)を正規化し、更に逆ガンマ曲線γCLに従ったオフセットを掛けたものをサスティンパルス数SP1〜SP(N)として得るのである。
SF割当演算回路236は、サスティンパルス数SP1〜SP(N)に基づく以下の如き演算により、サブフィールドSF1〜SF(N)各々毎の基本サスティンパルス数SQ1〜SQ(N)を算出する。
SQ1=SP1
SQ2=SP2−SP1
SQ3=SP3−SP2
SQ4=SP4−SP3
・
・
・
SQ(N−1)=SP(N−1)−SP(N−2)
SQ(N) =SP(N)−SP(N−1)
加算器237は、基本サスティンパルス数SQ1〜SQ(N)各々に対して、上記シフトパルス数SUSTを一律に加算することにより、サブフィールドSF1〜SF(N)各々のサスティン行程Iにおいて繰り返し印加すべきサスティンパルス数を示すSUSパルス数信号SU1〜SU(N)を得る。すなわち、加算器237は、上記SUSパルス総数補正回路233にてSUSパルス総数信号SPNBAから減算された分を補うべきシフトパルス数SUSTを、基本サスティンパルス数SQ1〜SQ(N)各々に一律に加算するのである。加算器237は、かかる加算演算によって算出されたSUSパルス数信号SU1〜SU(N)を上記SFデータ生成回路3及び駆動制御回路20に供給する。
このように、SF構築回路23では、先ず、単位表示期間内で各表示セルに印加すべきサスティンパルスの総数(SPNBA)から所定の第1パルス数(SFN・SUST)を減算したもの(SPN)を各サブフィールドに分配することにより、各サブフィールド毎の基本サスティンパルス数(SQ1〜SQ(N))を夫々求める。そして、上記の如く減算した第1パルス数の分を補うべき第2パルス数(SUST)を、各サブフィールド毎の基本サスティンパルス数(SQ1〜SQ(N))各々に一律に加算することにより、各サブフィールドのサスティン行程Iにおいて放電セル各々に繰り返し印加すべきサスティンパルスの印加回数(SU1〜SU(N))を得るのである。
よって、駆動制御回路20は、サブフィールドSF1〜SF(N)各々のサスティン行程Iにおいて、そのSFに対応したSUSパルス数信号SUにて示される回数(SQ+SUST)分だけ繰り返しサスティンパルスをPDP10に印加させるべく、パネルドライバを制御する。
以下に、かかる駆動を採用したことによる作用効果について、図7(a)及び図7(b)の一例を参照しつつ説明する。
尚、図7(a)及び図7(b)は、サブフィールドSF1〜SF(N)の内からSF1〜SF5のみを抜粋し、SF1〜SF5各々に対応した基本サスティンパルス数SQ1〜SQ5として、
SQ1:1
SQ2:2
SQ3:3
SQ4:5
SQ5:8
が上記SF構築回路23のSF割当演算回路236にて生成された場合に、図3に示す如き第2〜第6階調駆動各々で表現される輝度レベルを表すものである。
この際、図7(a)は、仮に、上記基本サスティンパルス数SQ1〜SQ5にて示される回数分だけSF1〜SF5各々のサスティン行程Iでサスティンパルスを印加した場合での各階調毎の輝度レベルを表すものである。すなわち、先ず、第2階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1のみでサスティン放電が生起されるので、SQ1にて示される1回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第3階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1及びSF2各々でサスティン放電が生起されるので、SQ1とSQ2との合計である3回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第4階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF3各々でサスティン放電が生起されるので、SQ1、SQ2及びSQ3の合計である6回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第5階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF4各々でサスティン放電が生起されるので、SQ1、SQ2、SQ3及びSQ4の合計である11回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第6階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF5各々でサスティン放電が生起されるので、SQ1、SQ2、SQ3、SQ4及びSQ5の合計である19回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。
一方、図7(b)は、上記基本サスティンパルス数SQ1〜SQ5の夫々に、所定のシフトパルス数SUSTを一律に加算して得られたSUSパルス数信号SU1〜SU5にて示される回数分だけSF1〜SF5各々のサスティン行程Iでサスティンパルスを印加した場合での各階調毎の輝度レベルを表すものである。すなわち、先ず、第2階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1のみでサスティン放電が生起されるので、SU1にて示される(1+SUST)回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第3階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1及びSF2各々でサスティン放電が生起されるので、SU1とSU2との合計である(3+2・SUST)回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第4階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF3各々でサスティン放電が生起されるので、SU1、SU2及びSU3の合計である(6+3・SUST)回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第5階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF4各々でサスティン放電が生起されるので、SU1、SU2、SU3及びSU4の合計である(11+4・SUST)回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。次に、第6階調駆動では、図3に示す如くSF1〜SF(N)の内のSF1〜SF5各々でサスティン放電が生起されるので、SU1、SU2、SU3、SU4及びSU5の合計である(19+5・SUST)回分のサスティン放電に伴う輝度が表現される。
ここで、図7(a)に示す如く、基本サスティンパルス数SQ1〜SQ5に基づく第2階調及び第3階調間での輝度差は「2」となる。一方、図7(b)に示す如きSUSパルス数信号SU1〜SU5に基づく第2階調及び第3階調間での輝度差は「2+SUST」となり、その輝度差は「2」よりも大となる。又、図7(a)に示す如く、基本サスティンパルス数SQ1〜SQ5に基づく第2階調及び第6階調間での輝度差は「18」となるが、図7(b)に示す如きSUSパルス数信号SU1〜SU5に基づく第2階調及び第6階調間での輝度差は「18+4・SUST」となり、その輝度差は「18」よりも大となる。
すなわち、入力映像信号における平均輝度及び輝度分布に基づいて各サブフィールド毎に求めたサスティンパルスの印加回数(SQ)に対して、夫々一律に所定のシフトパルス数(SUST)を加算することにより、各階調間での輝度差を広げるようにしたのである。
これにより、単位表示期間内において表示セルを発光させるべき対象となるサブフィールドの数が多くなるほど、上記の如きシフトパルス数(第2パルス数)の加算に伴うサスティンパルス数の増加分が多くなる。よって、隣接する階調間での輝度差が大となり、いわゆる高い精彩感の画像表示が為されるようになる。
特に、ABL制御が実施される場合には入力映像信号における平均輝度が高いほど単位表示期間あたりのサステインパルスの総数(SPNBA)が少なくなるので、明るい画像に対して上述の精彩感の低下が生じるが、上述した如きシフトパルス数(SUST)の加算により、その精彩感の低下が抑制されることになる。又、サステインパルスの総数(SPNBA)が少ない場合には多い場合に比して、各階調毎のサスティン放電の合計回数に対するシフトパルス数(SUST)の割り合いが大となる。よって、サステインパルスの総数(SPNBA)が少なくなるほど、入力映像信号に対する表示輝度特性は、図8に示す如き逆ガンマ曲線(2.2乗曲線)γCLから、一点鎖線の如き直線に近づく。これにより、平均輝度の高い明るい画像に対しては、これをより明るく表示することが可能となる。
また、単位表示期間あたりのサスティンパルスの総数(SPNBA)が少なくなった場合、SUSパルス数変換回路235での処理においては、基本サスティンパルス数(SQ)が0となってしまうサブフィールドが発生する可能性がある。その場合においても、シフトパルス(SUST)の加算により、各サブフィールドのサスティンパルス数(SU)は必然的に0とはならない。よって、その様な場合においても、各階調間の表示をディザ処理等によって表現することが可能となる。
尚、上記実施例におけるSF構築回路23では、SUSパルス総数設定回路231にて算出されたサスティンパルスの総数(SPNBA)に基づいて、単位表示期間毎のサブフィールド数(SFN)を求めるようにしているが、サブフィールド数は所定の固定数であっても良い。この場合、図4に示されるSF数設定回路232は不要となり、固定数としてのサブフィールド数を示す値が、SUSパルス総数補正回路233、輝度区切値算出回路234、SFデータ生成回路3及び駆動制御回路20に夫々供給される。又、SF数設定回路232は、サスティンパルス総数(SPNBA)以外のパラメータから単位表示期間毎のサブフィールド数(SFN)を求めるようにしても良い。更に、かかるSF構築回路23では、サブフィールド数(SFN)及び入力映像信号(VD)に基づき輝度区切値S1〜S(N)を算出するようにしているが、このサブフィールド数(SFN)のみならず、輝度区切値S1〜S(N)をも、夫々所定の固定値としても良い。この際、入力映像信号(VD)によって表される最大輝度レベルが輝度区切値S(N)と一致しなくなる場合が生じる。このような場合でも、輝度区切値S1〜S(N)から各階調毎のサスティンパルス数SP1〜SP(N)を求めるにあたり、図6に示す如く、最大の輝度区切値S(N)と最大のサスティンパルス数SP(N)とを対応付けさせた正規化を行う。これにより、最後尾のサブフィールドSF(N)の直前のSF(N−1)において、入力映像信号(VD)によって表される最大輝度レベルが表現されることになる。
又、図6に示す如き輝度区切値−サスティンパルス数変換処理では、入力映像信号VDにて表現可能な最大輝度に相当する輝度区切値S(N)を補正SUSパルス総数信号SPNと一致させるように、輝度区切値S1〜S(N)の正規化を行うようにしているが、輝度区切値S(N)を補正SUSパルス総数信号SPNと一致させなくても良い。要するに、最後尾のサブフィールドSF(N)における輝度区切値S(N)に対応したサスティンパルス総数が、補正SUSパルス総数信号SPN以下であれば良いのである。この際、輝度区切値S(N)に対応したサスティンパルス総数が、補正SUSパルス総数信号SPNに近い数であるほど階調表現能力が高くなる。