JP2009019304A - 難燃性合成皮革 - Google Patents

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Abstract

【課題】意匠性や外観品位、風合いを損なうことなく高度な難燃性を有し、環境や人体に対する安全性が高い難燃性合成皮革を提供する。
【解決手段】繊維質基材の一方の面に湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層、ポリウレタン樹脂からなる無孔質層が順に積層されてなる合成皮革において、該多孔質層に、特定のジオルガニルホスフィン酸塩またはジオルガニルジホスフィン酸塩を、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高度な難燃性を有し、インテリア資材、車両用内装材として特に好適に用いられる合成皮革に関する。
従来、合成皮革は、天然皮革の代替品として、あるいは、天然皮革以上に良好な物性を備えた皮革素材として、衣料、鞄、靴、インテリア資材、車両用内装材など様々な用途に用いられている。これらのうち、インテリア資材、車両用内装材は、火災時の人的被害を考慮し法的に厳しく規制されており、合成皮革にはこの規格をクリアする高い難燃性が求められている。
合成皮革は、天然皮革調の風合いを得るため、一般に、繊維質からなる基材(例えば、不織布、織物、編物など)に樹脂層を積層して形成される。このような合成皮革を難燃化する方法としては、合成皮革を構成する各層(繊維質基材、樹脂層、さらに繊維質基材と樹脂層の間に接着層が設けられることもある)のうち少なくとも1つを難燃化する方法や、難燃層を新たに設ける方法などが報告されており、さらに、前者としては、繊維質基材に難燃剤を後加工により付与する方法や、繊維原料(ポリマー)に難燃剤を練り込む方法、繊維原料の重合時に難燃成分を共重合させる方法、樹脂に難燃剤を練り込む方法、樹脂の重合時に難燃成分を共重合させる方法などが報告されている。
難燃剤としては、従来、その優れた難燃性からハロゲン化合物が広く用いられてきた。また、難燃助剤としてアンチモン化合物を併用し、相乗的に難燃性を高めることが行われてきた。しかしながら、近年、環境問題に対する関心の高まりから、燃焼時にダイオキシン類をはじめ有毒なハロゲンガスを発生する虞のあるハロゲン化合物は、その使用が敬遠されている。また、アンチモン化合物も、人体に対する毒性が指摘されている。このため、非ハロゲン化合物、特にリン化合物による難燃化の検討が盛んである。
リン化合物といっても、難燃性や安全性、合成皮革の外観品位や物性に及ぼす影響などを考慮すると、使用可能な難燃剤は限られてくる。例えば、特許文献1には、赤リン系難燃剤を含有するポリカーボネート系ポリウレタン溶剤溶液を繊維基材に含浸および/または塗布した後、該ポリウレタンの非溶剤で凝固させて、繊維基材上にポリウレタンの多孔質膜を形成させてなる、難燃性に優れた皮革様シート状物が開示されている。しかしながら、赤リン系難燃剤は、それ自体が赤褐色に着色しているため、意匠性が制限されるという問題があった。
また、特許文献2には、有機リン成分共重合ポリエステルからなる極細繊維不織布の内部に、水酸化アルミニウムを含む高分子弾性体が充填され、この少なくとも片面にポリリン酸塩、好ましくはポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ナトリウムが添加された銀面層が積層されてなる、難燃性銀付調人工皮革が開示されている。さらに、特許文献3には、窒素−リン系難燃剤、好ましくはポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アミドアンモニウムおよびリン酸カルバメートから選ばれた一種以上の難燃剤を用いて難燃加工した基布の少なくとも片面に、熱可塑性ポリウレタン系樹脂層、好ましくはリン酸エステル系難燃剤および窒素系難燃剤から選ばれた一種以上の難燃剤を含有する熱可塑性ポリウレタン系樹脂層を設けてなる、難燃性合成樹脂レザーが開示されている。しかしながら、上記文献に記載のリン化合物は、難燃性が十分でなく、法的規制をクリアするには、多量のリン化合物を要するという問題があった。また、特許文献3に記載のように、基布に難燃剤を付与すると、合成皮革の風合いが粗硬になるという問題があった。さらに、熱可塑性ポリウレタン系樹脂層に好ましく含有されるリン酸エステル系難燃剤は、耐熱性が悪く、高温状況下で樹脂層表面にしみ出す結果(ブリード現象)、表面が白化し、外観品位が損なわれるという問題があった。
特開平5−163683号公報 特開2003−89986号公報 特開2005−15942号公報
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、意匠性や外観品位、風合いを損なうことなく高度な難燃性を有し、環境や人体に対する安全性が高い難燃性合成皮革を提供することを目的とする。
本発明は、繊維質基材の一方の面に湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層、ポリウレタン樹脂からなる無孔質層が順に積層されてなる合成皮革であって、該多孔質層が以下の式(I)で表されるジオルガニルホスフィン酸塩および/または以下の式(II)で表されるジオルガニルジホスフィン酸塩を含有することを特徴とする難燃性合成皮革である。
Figure 2009019304
[式中、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり;Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基、アルキルアリーレン基またはアリールアルキレン基であり;MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、NaまたはKであり;mは1〜4の整数であり;nは1〜4の整数であり;xは1〜4の整数である。]
上記難燃性合成皮革において、ジオルガニルホスフィン酸塩および/またはジオルガニルジホスフィン酸塩の含有量は、多孔質層を形成する湿気硬化型ポリウレタン樹脂100重量部に対して1〜30重量部であるのが好ましい。
また、多孔質層の厚さは50〜350μmであることが好ましく、無孔質層の厚さは10〜150μmであることが好ましく、さらには、無孔質層の厚さは、多孔質層の厚さの50%以下であることが好ましい。
本発明によれば、意匠性や外観品位、風合いを損なうことなく高度な難燃性を有する合成皮革を提供することができる。本発明の難燃性合成皮革は、人体に有毒なアンチモン化合物を含まず、燃焼時に有毒なハロゲンガスを発生することもない。本発明の難燃性合成皮革は、例えば、FMVSS302やJIS D 1201など車両用内装材の難燃性規格をクリアする高度な難燃性を有し、車両用内装材はもちろん、インテリア資材として特に好適に用いることができる。
本発明の難燃性合成皮革は、繊維質基材の一方の面に湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層、ポリウレタン樹脂からなる無孔質層が順に積層されてなる合成皮革であって、該多孔質層が特定のジオルガニルホスフィン酸塩および/またはジオルガニルジホスフィン酸塩を含有することを特徴とするものである。以下、本明細書において「ジオルガニルホスフィン酸塩」という場合、ジオルガニルホスフィン酸塩そのものだけでなく、ジオルガニルジホスフィン酸塩をも包含する場合があるものとする。
本発明に用いられる繊維質基材は特に限定されるものでなく、織物、編物、不織布などの繊維質布帛や、天然皮革などを挙げることができ、目的に応じて適宜選択すればよい。繊維質布帛において繊維の種類は特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。また、繊維質布帛に、従来公知の溶剤系または水系の高分子化合物、例えば、ポリウレタン樹脂やその共重合体を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いることもできる。なかでも強度や加工性の点から、合成繊維からなる編物、特にポリエステル繊維からなる編物が好ましく用いられる。
本発明の難燃性合成皮革は、上記繊維質基材の一方の面に、第1の樹脂層として、湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層が積層されたものであり、該多孔質層が難燃剤として、特定の有機リン化合物、すなわち、ジオルガニルホスフィン酸塩を含有することを特徴とする。ジオルガニルホスフィン酸塩の難燃機構は、加熱によりリン酸を生成し、これが、メタリン酸、ポリメタリン酸となって、ポリウレタン樹脂の燃焼部分に不揮発性のリン系ポリマーを形成する。また、リン酸の脱水作用によりポリウレタン樹脂を炭化させ、炭化物皮膜(チャー)を形成することにより、周囲からの酸素の供給および燃料(ポリウレタン樹脂の分解生成物)の供給を絶ち、燃焼を抑制するものである。
合成皮革を構成する繊維質基材とポリウレタン樹脂層の燃焼性を比較すると、繊維質基材を構成するポリエステルやナイロン、天然皮革などに比べてポリウレタン樹脂の方が燃えやすく、この燃えやすい樹脂層に、ジオルガニルホスフィン酸塩を含有させることが肝要である。ポリウレタン樹脂の燃焼では、ポリウレタン樹脂が燃焼熱で分解し、生成した分解物を燃料として継続的に燃焼が進行するが、ジオルガニルホスフィン酸塩を含有させることにより、ポリウレタン樹脂の分解と同時に炭化物皮膜が形成されるため、燃焼部分への燃料供給が絶たれる。また、繊維質基材が有する柔軟な風合いが粗硬化することもない。さらに、ジオルガニルホスフィン酸塩は白色であるため樹脂層が着色することがなく、耐熱性に優れるためブリードにより樹脂層表面が白化することもない。こうして、合成皮革に対して意匠性や外観品位、風合いを損なうことなく高度な難燃性を付与することができる。
上記の通り、本発明では、繊維質基材の一方の面に順に積層される多孔質層および無孔質層のうち、多孔質層にジオルガニルホスフィン酸塩を含有させる。ジオルガニルホスフィン酸塩を無孔質層に含有させることができないわけではないが、最外層となる無孔質層に粉末状のジオルガニルホスフィン酸塩を含有させると、耐摩耗性などの物性が低下するため推奨されない。
本発明に用いられるジオルガニルホスフィン酸塩は、以下の式(I)で表されるジオルガニルホスフィン酸塩または以下の式(II)で表されるジオルガニルジホスフィン酸塩であり、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2009019304
これらの式(I)および(II)において、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよく、直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。具体的には、RおよびRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基またはフェニル基であるのが好ましく、RとRは互いに同一でも異なっていてもよい。
また、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基、アルキルアリーレン基またはアリールアルキレン基である。具体的には、Rは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−オクチレン基またはn−ドデシレン基(以上、アルキレン基);フェニレン基またはナフチレン基(以上、アリーレン基);メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、tert−ブチルフェニレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基またはtert−ブチルナフチレン基(以上、アルキルアリーレン基);フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基またはフェニルブチレン基(以上、アリールアルキレン基)であるのが好ましい。
このようなオルガニル基を有するホスフィン酸塩やジホスフィン酸塩を構成するジオルガニルホスフィン酸およびジオルガニルジホスフィン酸として、好ましくは、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、エタン−1,2−ジ(メチルホスフィン酸)およびベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)などを挙げることができる。
上記式中、Mは、これらのホスフィン酸やジホスフィン酸と塩を形成する金属イオンを表すものであって、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、NaまたはKである。Mは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛であるのが好ましく、特に好ましくはアルミニウムまたは亜鉛である。
また、mは、上記Mで表される金属のイオン価を表すものであって、1〜4の整数であり、2または3であるのが好ましい。また、nは、1〜4の整数であり、好ましくは1または3である。xは、1〜4の整数であり、好ましくは1または2である。
このようなジオルガニルホスフィン酸塩としては、難燃性および合成の点から、好ましくは、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびジエチルホスフィン酸亜鉛などのジアルキルホスフィン酸のカルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩を挙げることができる。
ジオルガニルホスフィン酸塩は、水溶液中、ジオルガニルホスフィン酸又はジオルガニルジホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物と反応させることにより得ることができる。これらは、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件によって、ポリマー性化合物も形成し得る。したがって、本発明において「ジオルガニルホスフィン酸塩」という場合、ジオルガニルホスフィン酸塩および/またはジオルガニルジホスフィン酸塩のモノマーだけでなく、これらのポリマーをも包含するものとする。
ジオルガニルホスフィン酸塩は、通常、平均粒径が0.1〜100μmの粉末であるが、好ましくは平均粒径が2〜10μm、より好ましくは3〜5μmに粉砕したものを用いるのがよい。ジオルガニルホスフィン酸塩は粒径が小さいほど表面積が大きくなり、燃焼熱によりリン酸化が進むため、炭化物皮膜の形成が促進されて、難燃性が有効に発揮される。平均粒径が10μmを超えると、十分な難燃性が得られない虞がある。一方、平均粒径が2μm未満であると、分散性が悪くなったり、作業性(粉体の取り扱い)が悪くなったりする虞がある。
多孔質層を形成する湿気硬化型ポリウレタン樹脂におけるジオルガニルホスフィン酸塩の含有量は、湿気硬化型ポリウレタン樹脂100重量部に対して1〜30重量部であるのが好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。含有量が1重量部未満であると、十分な難燃性が得られない虞がある。含有量が30重量部を超えると、合成皮革としての物性、例えば耐摩耗性や引張強度などが不良となる虞がある。
次に、多孔質層を形成する湿気硬化型ポリウレタン樹脂について説明する。
本発明に用いられる湿気硬化型ポリウレタン樹脂としては、分子末端にイソシアネート基を有するホットメルトウレタンプレポリマー(以下、「ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマー」、あるいは単に「プレポリマー」という場合がある)と大気中の水分(湿気)の反応によって得られるポリウレタン樹脂が好適である。
ポリウレタン樹脂は、周知の通り、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する高分子化合物の総称であり、一般にポリオールとポリイソシアネートを反応(架橋・硬化反応)させることによって製造される(以下の式(III))。ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートの反応を適当なところで止めたものであり、使用時に硬化反応を完結させることを特徴とする。本発明に用いられるウレタンプレポリマーは分子末端にイソシアネート基を有し、このイソシアネート基が大気中の水分と反応して、アミンと炭酸ガスを生成(以下の式(IV))、さらに、イソシアネート基が反応生成物と連鎖的に反応していく(以下の式(V)および(VI))。こうして、三次元網目構造を有するポリウレタン樹脂層が形成されるとともに、式(IV)で発生する炭酸ガスにより、樹脂層には多数の孔が形成される。
Figure 2009019304
ここで、ウレタンプレポリマーが有するホットメルト性は、分子構造に起因する性質であり、常温では固体ないしは基材に塗布困難な程度に粘調な状態であるが、熱を加えると溶融して液状になり、冷却により再度凝集力が発現する性質をいう。このホットメルト性を有するウレタンプレポリマーを用いることにより、加熱溶融状態で塗布することができるため、環境や人体に悪影響を及ぼす有機溶剤を使用する必要がない。また、製造工程で有機溶剤を除去する工程が不要となって、エネルギー負荷や製造コストを軽減することができる。
かかるホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートを、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基が、ポリオールが有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることにより得ることができる。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを製造する際に使用可能なポリオールは特に限定されるものでなく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、シリコーン変性ポリオールなどを挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐加水分解性の点からポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが好ましく、難燃性、耐光性および耐熱性の点からポリカーボネートポリオールがより好ましい。
一方、ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを製造する際に使用可能なポリイソシアネートも特に限定されるものでなく、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートあるいは脂環族ジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の2量体および3量体を含むポリメリックMDIなどを挙げることができる。なかでも、硬化反応のコントロールが容易であるという点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。
ポリオールとポリイソシアネートを反応させる際の、イソシアネート基/水酸基の当量比は1.1〜5.0であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。当量比が1.1未満であると、プレポリマーに水酸基が残り、硬化して得られるポリウレタン樹脂において加水分解が起こり易く、物性が不良となる虞がある。当量比が5.0を超えると、安定性が悪く、硬化反応のコントロールが不可能となる虞がある。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、水分を除去したポリオールとポリイソシアネートを混合後、加熱してバッチ方式で反応させる方法、あるいは水分を除去したポリオールとポリイソシアネートをそれぞれ加熱して、所定の比率で押出機に投入して連続押出反応方式で反応させる方法などを採用することができる。
かくして得られるホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーの軟化温度は、30〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜70℃である。軟化温度が30℃未満であると、硬化して得られるポリウレタン樹脂の軟化温度が低く、耐熱性や強度が不良となる虞がある。軟化温度が100℃を超えると、加工に適した粘性を得るのに高温を要し、作業性が悪くなる虞がある。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーには、上述の難燃剤、すなわち、ジオルガニルホスフィン酸塩以外に、必要に応じて、硬化して得られるポリウレタン樹脂の物性を損なわない範囲内で、ウレタン硬化剤、ウレタン化触媒、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、不活性気体、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、工程負荷の軽減や合成皮革の物性向上のために、ウレタン硬化剤やウレタン化触媒を用いることが好ましい。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーが硬化して得られるポリウレタン樹脂の軟化温度は130〜240℃であることが好ましく、より好ましくは140〜200℃である。軟化温度が130℃未満であると、耐熱性が不良となる虞がある。軟化温度が240℃を超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。
上記湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層の厚さは50〜350μmであることが好ましく、より好ましくは100〜200μmである。厚さが50μm未満であると、耐摩耗性が不良となる虞がある。厚さが350μmを超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。
本発明の難燃性合成皮革は、繊維質基材の一方の面に積層された湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層の表面に、さらに、第2の樹脂層として、ポリウレタン樹脂からなる無孔質層が積層されたものである。これにより、合成皮革の耐摩耗性が向上する。なお、本発明において無孔質層は、多孔質層の表面に形成される樹脂層の総称をいい、少なくとも一層の樹脂層からなるが、同一または異なる組成の2層以上の樹脂層からなることができる。
無孔質層の形成に用いられるポリウレタン樹脂は特に限定されるものでなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、難燃性、耐久性および耐光性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系(無溶媒系)、ホットメルト系、溶剤系、水系を問わず、さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、その目的と用途に応じて適宜選択すればよい。
ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、ポリウレタン樹脂の物性を損なわない範囲内で、ウレタン化触媒、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、不活性気体、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、難燃剤は、環境負荷を考慮し、リン化合物から選択することが好ましい。
無孔質層の厚さは10〜150μmであることが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。厚さが10μm未満であると、均一に無孔質層を形成することが困難で、部分的に無孔質層が欠如する虞がある。厚さが150μmを超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。
さらに、無孔質層の厚さは、多孔質層の厚さの50%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下である。50%を超えると、多孔質層が有する難燃性が十分に発揮されず、合成皮革全体として十分な難燃性が得られない虞がある。ただし、無孔質層が難燃剤を含有する場合は、この限りではない。
次に、本発明の難燃性合成皮革の製造方法について説明する。本発明の難燃性合成皮革は特に限定されるものでなく、例えば、以下の方法により製造することができる。
(1)加熱溶融状態にあるホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを含む組成物を離型性基材に塗布し、該プレポリマー組成物が粘調性を有する状態のうちに、繊維質基材に貼り合わせ、室温まで冷却し、エージング処理して多孔質層を形成する。次いで、離型性基材を剥離し、露出する多孔質層表面にポリウレタン樹脂を含む組成物を塗布し、必要により、熱処理、エージング処理して無孔質層を形成する。
(2)加熱溶融状態にあるホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを含む組成物を繊維質基材に塗布し、該プレポリマー組成物が粘調性を有する状態のうちに、離型性基材に貼り合わせ、室温まで冷却し、エージング処理して多孔質層を形成する。次いで、離型性基材を剥離し、露出する多孔質層表面にポリウレタン樹脂を含む組成物を塗布し、必要により、熱処理、エージング処理して無孔質層を形成する。
(3)離型性基材にポリウレタン樹脂を含む組成物を塗布し、必要により、熱処理、エージング処理して無孔質層を形成する。次いで、無孔質層表面に加熱溶融状態にあるホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーを含む組成物を塗布し、該プレポリマー組成物が粘調性を有する状態のうちに、繊維質基材に貼り合わせ、室温まで冷却し、エージング処理して多孔質層を形成する。最後に離型性基材を剥離する。
なかでも、無孔質層の厚さを容易に調整可能で、且つ均一な層形成が可能であることから、(3)の方法が好ましい。以下、(3)の方法に沿って説明するが、樹脂の塗布方法や熱処理など各種の説明事項は、基本的に(1)および(2)の方法を採用する場合にも共通する事項である。
ポリウレタン樹脂組成物を離型性基材に塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、T−ダイコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも、均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、ナイフコーターまたはコンマコーターによる塗布が好ましい。
本発明に用いられる離型性基材は特に限定されるものでなく、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよく、例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、合成皮革の表面に意匠性を付与することができる。
ポリウレタン樹脂組成物の塗布厚は、前記無孔質層の厚さに応じて適宜設定すればよい。
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、ポリウレタン樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるとともに、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。熱処理温度は50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。熱処理温度が50℃未満であると、熱処理に時間がかかり、工程負荷が大きくなったり、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となったりする虞がある。熱処理温度が150℃を超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。また、熱処理時間は2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは3〜10分間である。熱処理時間が2分間未満であると、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となる虞がある。熱処理時間が20分間を超えると、加工速度が遅くなり工程負荷が大きくなる虞がある。
なお、ポリウレタン樹脂として、ホットメルト系の樹脂を用いる場合にあっては、加熱溶融した樹脂を多孔質表面に塗布した後、冷却することにより形成することができ、熱処理は不要である。
さらに、必要によりエージング処理を行い、上記反応を完結させる。かくして、離型性基材上に無孔質層が形成される。
離型性基材上に形成された無孔質層表面にホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマー組成物を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターまたはT−ダイコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、ナイフコーターまたはコンマコーターによる塗布が好ましい。なお、プレポリマーは、温度制御可能な原料タンクにて流動可能に加熱溶融された後、ミシングヘッドにて他の原料と所定の割合で混合、撹拌されて、塗布装置に供給される。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーの加熱溶融温度は、軟化温度よりも好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜60℃高い温度に設定する。加熱溶融温度がプレポリマーの軟化温度より20℃未満で高い温度であると、プレポリマーの粘度が高く、塗布時の作業性が悪くなる虞がある。加熱溶融温度がプレポリマーの軟化温度よりも80℃を超えて高い温度であると、硬化反応のコントロールが不可能となる虞がある。加熱溶融温度は通常、50〜150℃、好ましくは60〜120℃の範囲で設定する。
プレポリマー組成物の塗布厚は25〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。塗布厚をこの範囲に設定することにより、塗布厚の好ましくは1.1〜2倍、より好ましくは1.2〜1.5倍の厚さを有する多孔質層を得ることができ、好ましくは50〜350μm、より好ましくは100〜200μmの厚さを有する多孔質層となる。
次いで、プレポリマー組成物(その一部は硬化反応が進み、ポリウレタン樹脂となっている)が粘調性を有する状態のうちに、繊維質基材に貼り合わせ、室温まで冷却し、エージング処理することにより、多孔質層が形成される。
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーの反応速度は、選択するプレポリマーや任意で用いられる添加剤(特にウレタン硬化剤やウレタン化触媒)の種類や量によって大きく変動するため、選択する条件によってエージング処理条件を適宜設定する必要があるが、通常、室温で2日〜1週間程度行われる。この過程で、プレポリマーの硬化反応が完結する。硬化反応が未完結であると、耐摩耗性などの物性が不良となる虞がある。
最後に離型性基材を剥離して、本発明の難燃性合成皮革を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は重量基準であるものとする。また、得られた合成皮革の評価は以下の方法に従った。
[燃焼性]
米国自動車安全基準FMVSS302の試験方法に準拠して評価した。長さ350mm、巾100mmに裁断した試験片の端部に、ガスバーナーで15秒間接炎させ、着火操作を行い、着火した炎が端部から38mmの位置に設けた標線を越えてから消火するまでの距離と時間を測定した。タテ方向、ヨコ方向でそれぞれ10点ずつ測定し、燃焼速度を算出した。燃焼速度の最大値が80mm/分未満のもの、着火した炎が標線前に消火したもの、および、試験片に着火しなかったものを「難燃性有り」と判断し、燃焼速度の最大値が80mm/分以上のものを「難燃性無し」と判断した。
[風合い]
パネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:柔軟性が有る
△:やや柔軟性に欠ける
×:硬く、柔軟性が無い
[ブリード性]
10cm四方に裁断した試験片を広口試薬瓶(共栓付250ml瓶、硬質ガラス製)に試験片の樹脂面がガラスに触れないように試薬瓶の側面に沿わせて入れ、110℃に調整された乾燥機内に400時間静置して熱処理する。熱処理後、試薬瓶を乾燥機から取り出し室温まで冷却した後、試験片を試薬瓶から取り出し、目視にて観察し、下記の基準に従って判定した。
○:試験片表面に白化物が析出していない
△:試験片表面にわずかに白化物が析出した
×:試験片表面に明らかに白化物が析出した
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマーは以下のように製造した。すなわち、60℃に保温した1リットルの4ツ口フラスコに、数平均分子量が3000のポリエステルポリオールを10部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を11部入れて水酸基がなくなるまで80℃にて撹拌し、ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマー(軟化温度:60℃)を得た。
[実施例1]
処方1
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 100部
(クリスボンNY−328、大日本インキ化学工業株式会社製)
DMF 40部
カーボンブラック顔料 15部
(DIALAC BLACK L−1770S、大日本インキ化学工業株式会社製)
架橋剤 2部
(バーノックDN950、大日本インキ化学工業株式会社製)
粘度を2000cpsに調整した。
処方2
ホットメルトウレタンポリイソシアネートプレポリマー 100部
(100℃に加熱溶融)
ウレタン硬化剤 15部
(40℃に加熱溶融した数平均分子量2000のポリエステルポリオール)
カーボンブラック顔料 2部
(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)
アミン系ウレタン化触媒 1部
(TOYOCAT−DT、TOSOH株式会社製)
ジオルガニルホスフィン酸塩系難燃剤 10部
(ジエチルホスフィン酸アルミニウム、平均粒径:4μm)
上記処方1に従い調製したポリウレタン樹脂組成物を、シボ調の凹凸模様を有する離型紙(R−51、リンテック株式会社製)に、コンマコーターにて厚さが200μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で2分間熱処理して、厚さ40μmの無孔質層を形成した。
上記処方2に従い調製したプレポリマー組成物を、離型紙上に形成された無孔質層表面に、コンマコーターにて厚さが125μmとなるようにシート状に塗布し、該プレポリマー組成物が粘調性を有する状態のうちにポリエステルトリコット布に貼り合わせ、マングルにて5kg/mの荷重で圧締し、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で3日間エ−ジング処理して、厚さ150μmの多孔質層を形成し、離型紙を剥離して本発明の難燃性合成皮革を得た。多孔質層を構成するポリウレタン樹脂の軟化温度は160℃であった。
[実施例2]
多孔質層に含有させる難燃剤の量を1.5部とした以外は、実施例1と同様にして本発明の難燃性合成皮革を得た。
[実施例3]
プレポリマー組成物の塗布厚を250μmとして厚さ300μmの多孔質層を形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の難燃性合成皮革を得た。
[実施例4]
ポリウレタン樹脂組成物を厚さが300μmとなるように塗布し、100℃で2分間熱処理する工程(塗布−乾燥)を2回繰り返して、厚さ120μmの無孔質層を形成し、プレポリマー組成物の塗布厚を250μmとして厚さ300μmの多孔質層を形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の難燃性合成皮革を得た。
[実施例5]
ポリウレタン樹脂組成物を厚さが300μmとなるように塗布し、100℃で2分間熱処理する工程(塗布−乾燥)を2回繰り返して、厚さ120μmの無孔質層を形成し、プレポリマー組成物の塗布厚を200μmとして厚さ240μmの多孔質層を形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の難燃性合成皮革を得た。
[実施例6]
上記処方2に従い調製したプレポリマー組成物を、シボ調の凹凸模様を有する離型紙(R−51,リンテック株式会社製)に、コンマコーターにて厚さが40μmとなるようにシート状に塗布し、該プレポリマー組成物が粘調性を有する状態のうちにポリエステルトリコット布に貼り合わせ、マングルにて5kg/mの荷重で圧締し、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で3日間エ−ジング処理して、厚さ50μmの多孔質層を形成した。
次いで、離型紙を剥離し、露出した多孔質層表面に、水系ポリウレタン樹脂(WLS210、大日本インキ化学工業株式会社製)をグラビアロールコーターにて30g/m(ウェット重量)となるように塗布し、乾燥機にて110℃で2分間熱処理して、厚さ10μmの無孔質層を形成し、本発明の難燃性合成皮革を得た。
[比較例1]
多孔質層に含有させる難燃剤として、ジオルガニルホスフィン酸塩の代わりに、無機リン酸塩系難燃剤(粒径:8μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例2]
多孔質層に含有させる難燃剤として、ジオルガニルホスフィン酸塩の代わりに、リン酸エステル系難燃剤を用いた以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例3]
多孔質層に難燃剤を含有させず、さらに、ポリエステルトリコット布として、下記処方3に従い調製した組成物を140g/m(ウェット重量)となるようにパディング処理し、150℃で6分間熱処理して難燃性を付与したポリエステルトリコット布を用いた以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
処方3
ポリカーボネート系ポリエステル樹脂 20部
(Appretam NPU−1、クラリアントジャパン株式会社製)
水 80部
ジオルガニルホスフィン酸塩系難燃剤 6部
(ジエチルホスフィン酸アルミニウム、平均粒径:4μm)
上記実施例および比較例の合成皮革について、評価した結果を表1に示す。
Figure 2009019304
表1に示されるように、ジオルガニルホスフィン酸塩で多孔質層を難燃化した実施例1〜6では、風合いや外観品位を損なうことなく高度な難燃性が付与された。これに対し、多孔質層に配合する難燃剤として無機リン酸塩を用いた比較例1では、難燃性が不十分であった。また、難燃剤としてリン酸エステルを用いた比較例2では、難燃性には優れるものの、表面が白化し、外観品位に劣っていた。また、繊維質基材を難燃化した比較例3では、難燃性が不十分であり、また風合いにも劣っていた。

Claims (3)

  1. 繊維質基材の一方の面に湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなる多孔質層、ポリウレタン樹脂からなる無孔質層が順に積層されてなる合成皮革であって、該多孔質層が以下の式(I)で表されるジオルガニルホスフィン酸塩および/または以下の式(II)で表されるジオルガニルジホスフィン酸塩を含有することを特徴とする難燃性合成皮革。
    Figure 2009019304
    [式中、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり;Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基、アルキルアリーレン基またはアリールアルキレン基であり;MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、NaまたはKであり;mは1〜4の整数であり;nは1〜4の整数であり;xは1〜4の整数である。]
  2. ジオルガニルホスフィン酸塩および/またはジオルガニルジホスフィン酸塩の含有量は、多孔質層を形成する湿気硬化型ポリウレタン樹脂100重量部に対して1〜30重量部であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性合成皮革。
  3. 多孔質層の厚さが50〜350μmであり、無孔質層の厚さが10〜150μmであり、かつ、無孔質層の厚さが多孔質層の厚さの50%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性合成皮革。
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