JP2009018620A - 走行車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの動力を、直進用及び旋回用HST式無段変速機構25,28並びに差動機構を介して左右の走行クローラに伝達するように構成する一方、主変速レバー73と回動操作式の操向ハンドル10とを備えている走行車両において、走行機体1が前後進のいずれの状態であっても、操向ハンドル10の回動操作方向と走行機体1の旋回方向とを一致させるようにする。
【解決手段】操向ハンドル10から旋回用HST式無段変速機構28への操作力伝達経路に、主変速レバー73の操作状態に応じて、操向ハンドル10からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に切換可能な操作力切換機構100を配置する。
【選択図】図4
【解決手段】操向ハンドル10から旋回用HST式無段変速機構28への操作力伝達経路に、主変速レバー73の操作状態に応じて、操向ハンドル10からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に切換可能な操作力切換機構100を配置する。
【選択図】図4
Description
本願発明は、コンバイン等の農作業機やクレーン車等の特殊作業機のような走行車両に関するものである。
従来から、走行車両としてのコンバインにおいては、走行機体に搭載されたエンジンからの動力を、直進用油圧駆動装置、旋回用油圧駆動装置及び差動機構を介して左右の走行クローラに伝達するように構成されている。
かかる構成のコンバインの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1のコンバインでは、直進用油圧駆動装置の駆動出力量、すなわち走行機体の直進速度は操縦部に設けられた主変速レバーの操作量に応じて調節される。主変速レバーが中立位置にあれば、走行機体は直進しない。また、旋回用油圧駆動装置の駆動出力量、すなわち走行機体の旋回方向及び旋回速度は、操縦部のうち運転座席の前方に配置された丸型の操向ハンドルの回動方向及び回動操作量に応じて調節される。
実開平4−1077号公報
しかし、特許文献1のコンバインでは、前進時と後進時とで直進用油圧駆動装置の駆動方向を逆転させても、旋回用油圧駆動装置の駆動方向の設定は変わらないから、前進時であれば、旋回したい方向に操向ハンドルを回せばよい(例えば左旋回したい場合は操向ハンドルを左回しする)のに対して、後進時には、旋回したい方向と逆の方向に操向ハンドルを回さなければならない(例えば左旋回したい場合は操向ハンドルを右回しする)。換言すると、特許文献1のコンバインでは、前進時と後進時とで操向ハンドルの回し方向を逆にしなければ、同じ方向に旋回できない。
従って、特許文献1のコンバインを運転する際に、オペレータがかかる事実を予め知っておかなければ大変不便であると共に、コンバインの操向操作に、ある程度の慣れが必要であるという問題があった。
そこで、本願発明は上記の問題を解消した走行車両を提供することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明は、走行機体に搭載されたエンジンの動力を、直進用油圧駆動装置、旋回用油圧駆動装置及び差動機構を介して左右の走行部に伝達するように構成されている一方、前記直進用油圧駆動装置の出力を調節して前記走行機体の前後進速度を変更操作する直進操作体と、前記旋回用油圧駆動装置の出力を調節して前記走行機体の進行方向を変更操作する回動操作式の旋回操作体とを備えている走行車両であって、前記旋回操作体から前記旋回用油圧駆動装置への操作力伝達経路に、前記直進操作体の操作状態に応じて、前記旋回操作体からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に切換可能な操作力切換機構が配置されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した走行車両において、前記操作力切換機構は、前記旋回操作体からの回動操作力が伝達される縦向きのハンドル軸に被嵌された一対の伝達傘歯車と、前記両傘歯車に噛み合う従動傘歯車と、前記従動傘歯車を軸支する旋回中継軸と、前記両伝達傘歯車の間に配置されたクラッチ部材とを備えており、前記クラッチ部材は、前記直進操作体の操作に連動して、前記各伝達傘歯車を前記ハンドル軸に選択的に連結させるように構成されており、前記旋回中継軸が、旋回リンク機構を介して前記旋回用油圧駆動装置の調節部に連動連結されているというものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した走行車両において、前記操作力切換機構は、前記走行機体の操縦部に立設されたステアリングコラムの内部に配置されているというものである。
本願発明によると、回動操作式の旋回操作体から旋回用油圧駆動装置への操作力伝達経路に、直進操作体の操作状態に応じて、前記旋回操作体からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に切換可能な操作力切換機構が配置されているから、前記直進操作体の前進操作時と後進操作時とにおいて、前記旋回操作体の回動操作方向が同じ場合に、前記操作力切換機構の作用にて、前記旋回用油圧駆動装置の駆動方向を逆転できる。このため、走行機体が前後進のいずれの状態であっても、前記旋回操作体の回動操作方向と前記走行機体の旋回方向とが一致することになり、不慣れなオペレータでも、四輪自動車と同じような操作感覚で、困難なくコンバインの操向操作を実行できるという効果を奏する。
また、前記直進操作体を中立位置にセットして前記走行機体の直進を停止させた状態では、オペレータの不用意な接触等にて前記旋回操作体を回動させたとしても、前記旋回用油圧駆動装置が駆動することはなく、前記走行機体を確実に停止状態に維持できる。従って、例えばメンテナンス作業等に際しては、前記直進操作体を中立位置にセットしておけば、オペレータの意図に反して前記走行機体が予想外の挙動をするおそれを確実に回避でき、安全性を十分に確保できるという効果も奏する。
特に、請求項2の発明によると、前記操作力切替機構が、前記旋回操作体からの回動操作力が伝達される縦向きのハンドル軸に被嵌された一対の伝達傘歯車と、前記両傘歯車に噛み合う従動傘歯車と、前記従動傘歯車を軸支する旋回中継軸と、前記直進操作体の操作に連動して前記各伝達傘歯車を前記ハンドル軸に選択的に連結させるクラッチ部材とを備えるという簡単な構造であるから、前進時と後進時とで前記旋回用油圧駆動装置の駆動方向を逆転させるための機構を低コストで製造できると共に、加工精度や組み立て精度の精粗によって動作にバラツキが生ずるのを回避できる。その結果、コンバインの製造コストの抑制に貢献するという効果を奏する。
更に、請求項3の発明によると、前記操作力切換機構は、前記走行機体の操縦部に立設されたステアリングコラムの内部に配置されているから、操作系統の構造がコンパクトになり、前記操縦部周辺の省スペース化に効果を発揮できる。
以下に、本願発明を具体化した実施形態を、走行車両としてのコンバインに適用した場合の図面(図1〜図9)に基づいて説明する。図1はコンバインの側面図、図2はコンバインの平面図、図3は走行駆動系統のスケルトン図、図4は主変速レバー、操向ハンドル及び両油圧駆動装置の連結関係を模式的に示す作用説明図、図5は図4における操作力切換機構の拡大説明図、図6は主変速レバーを前進操作した状態で操向ハンドルを左旋回操作したときの作用説明図、図7は図6における操作力切換機構の拡大説明図、図8は主変速レバーを後進操作した状態で操向ハンドルを左旋回操作したときの作用説明図、図9は図8における操作力切換機構の拡大説明図である。
(1).コンバインの概略構造
まず、図1及び図2を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。
まず、図1及び図2を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。
実施形態における3条刈り用のコンバインは、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、圃場の植立穀稈(未刈穀稈)を刈り取りながら取り込む刈取前処理装置3が単動式の油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン7付きの脱穀装置6と、脱穀後の穀粒を貯留するためのグレンタンク8とが横並び状に搭載されている。この場合、脱穀装置6が走行機体1の進行方向左側に、グレンタンク8が走行機体1の進行方向右側に配置されている。
刈取前処理装置3とグレンタンク8との間には操縦部9が設けられている。操縦部9内には、走行機体1の進行(旋回)方向及び旋回速度を変更操作する旋回操作体としての操向ハンドル10や、オペレータが着座する操縦座席11等が配置されている。操縦部9の下方には、動力源としてのエンジン12が配置されている。エンジン12の前方には、当該エンジン12からの動力を適宜変速して左右両走行クローラ2に伝達するためのミッションケース13が配置されている。
刈取前処理装置3はバリカン式の刈刃装置14や穀稈搬送装置15等を備えている。刈刃装置14は、刈取前処理装置3の骨組を構成する刈取フレーム5の下方に配置されている。穀稈搬送装置15は刈取フレーム5の上方に配置されている。刈取前処理装置3にて刈り取られた刈取穀稈は、フィードチェン7に受け継ぎ搬送され、脱穀装置6にて脱穀処理される。
脱穀装置6には、刈取穀稈を脱穀処理するための扱胴16が内蔵されている。扱胴16の下方には、扱網やチャフシーブ等による揺動選別と唐箕ファンの風による風選別とを行うための選別装置17が配置されている。該選別装置17による選別を経て、走行機体1の下部にある一番受け樋(図示せず)に集められた精粒等の一番物は、一番コンベヤ及び揚穀コンベヤ(共に図示せず)を介してグレンタンク8に集積される。枝梗付き穀粒等の二番物は、一番受け樋の後方にある二番受け樋及び還元コンベヤ(共に図示せず)を介して、処理胴18(図2参照)に送られ再脱穀される。再脱穀後の二番物は選別装置17に戻されて再選別される。
藁屑は、脱穀装置6の後部に配置された吸引ファン19に吸い込まれたのち、走行機体1の後部に形成された排出口から走行機体1の外部へ排出される。グレンタンク8内の穀粒は、排出オーガ20を介して走行機体1の外部に搬出される。なお、フィードチェン7の後端から排稈チェン21に受け継がれた排稈は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、若しくは排稈カッタ22にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方に排出される。
(2).コンバインの走行駆動系統
次に、図3を参照しながら、コンバインの走行駆動系統について説明する。
次に、図3を参照しながら、コンバインの走行駆動系統について説明する。
エンジン12の前方に位置するミッションケース13は、第1油圧ポンプ23及び第1油圧モータ24からなる直進用HST式無段変速機構25(直進用油圧駆動装置)と、第2油圧ポンプ26及び第2油圧モータ27からなる旋回用HST式無段変速機構28(旋回用油圧駆動装置)とを備えている。HST式無段変速機構25,28においては、エンジン12の出力軸12aに、伝達ベルト30a,30bにて、第1及び第2油圧ポンプ23,26の入力軸29a,29bを連動連結させ、各油圧ポンプ23,26を駆動するように構成されている。
第1油圧モータ24の出力軸31には、副変速機構32及び差動機構33を介して左右走行クローラ2の各駆動輪34を連動連結させている。差動機構33は左右対称状に配置された一対の遊星ギヤ機構35,35を有している。各遊星ギヤ機構35は、1つのサンギヤ36と、該サンギヤ36の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ37と、これらプラネタリギヤ37に噛合うリングギヤ38等にて形成されている。
プラネタリギヤ37は、サンギヤ軸39と同軸線上に位置したキャリヤ軸40のキャリヤ41にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ36,36を挟んで左右のキャリヤ41を対向配置させている。リングギヤ38は、各プラネタリギヤ37に噛み合う内歯38aを有していてキャリヤ軸40に回転自在に軸支されている。キャリヤ軸40は左右外向きに延びて車軸を構成しており、その先端部に駆動輪34(図1及び図3参照)が取り付けられている。
直進用HST式無段変速機構25は、第1油圧ポンプ23の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ24の正逆回転と回転数の制御を行うものである。この場合、第1油圧モータ24の回転出力を、出力軸31の伝達ギヤ42から各ギヤ43,44,45及び副変速機構32を経由してサンギヤ軸39に固定したセンタギヤ46に伝達し、その結果、サンギヤ36を回転させるように構成されている。
副変速機構32は、ギヤ44を有する副変速軸47と、ギヤ45を介してセンタギヤ46に噛合う(高速用)ギヤ48を有する駐車ブレーキ軸49とを備えている。副変速軸47とブレーキ軸49との間には、各一対の低速用ギヤ50,51、中速用ギヤ52,53、高速用ギヤ54,48が設けられており、低中速スライダ55及び高速スライダ56のスライド操作にて副変速の低速・中速・高速の切換を行うように構成されている。なお、副変速の低速・中速間及び中速・高速間には中立(副変速の出力が0(零)になる位置)を有している。
駐車ブレーキ軸49には駐車ブレーキ57を設けている。また、刈取前処理装置3に回転力を伝達する刈取PTO軸58には、ギヤ59,60及び一方向クラッチ61を介して副変速軸47を連結させており、刈取前処理装置3を車速同調速度で駆動させ得るように構成されている。
上記構成から分かるように、実施形態のコンバインは、センタギヤ46からサンギヤ軸39に伝達された第1油圧モータ24の駆動力を、左右の遊星ギヤ機構35を介して左右キャリヤ軸40に伝達させると共に、左右キャリヤ軸40に伝達された回転動力を左右の駆動輪34にそれぞれ伝え、左右走行クローラ2を駆動するように構成されている。
旋回用HST式無段変速機構28は、第2油圧ポンプ26の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ27の正逆回転と回転数の制御を行うものである。この場合、ミッションケース13内には、操向出力ブレーキ62を有するブレーキ軸63と、操向出力クラッチ64を有するクラッチ軸65と、前述した左右リングギヤ38の外歯38bに常時噛合させる左右入力ギヤ66,67とを備えている。
第2油圧モータ27の出力軸68には、前記ブレーキ軸63及び操向出力クラッチ64を介して、クラッチ軸65を連結させ、クラッチ軸65に、正転ギヤ69を介して右入力ギヤ67を連結させている。また、クラッチ軸65には正転ギヤ69及び逆転ギヤ70を介して左入力ギヤ66を連結させている。
低中速及び高速スライダ55,56を中立にして操向出力ブレーキ62を入にし且つ操向出力クラッチ64を切にすると、第2油圧モータ27からの回転動力の伝達が阻止される。また、前記中立以外の副変速出力時に操向出力ブレーキ62を切にし且つ操向出力クラッチ64を入にすると、第2油圧モータ27の回転動力は、正転ギヤ69を介して右側のリングギヤ38の外歯38bに伝達されると共に、正転ギヤ69及び逆転ギヤ70を介して左側のリングギヤ38の外歯38bに伝達される。その結果、第2油圧モータ27の正転(逆転)時は、互いに逆方向の同一回転数で、左リングギヤ38が逆転(正転)し、右リングギヤ38が正転(逆転)する。
而して、旋回用の第2油圧モータ27を停止させて左右リングギヤ38を静止固定させた状態で、直進用の第1油圧モータ24を駆動させると、第1油圧モータ24からの回転出力はセンタギヤ46から左右のサンギヤ36に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構35のプラネタリギヤ37及びキャリヤ41を介して、左右の走行クローラ2が左右同一回転方向で同一回転数にて駆動し、走行機体1の前後方向直進走行が行われる。
一方、直進用の第1油圧モータ24を停止させて左右のサンギヤ36を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧モータ27を正逆回転駆動させると、左側の遊星ギヤ機構35が正或いは逆回転し且つ右側の遊星ギヤ機構35が逆或いは正回転し、左右走行クローラ2を逆方向に駆動し、走行機体1を左又は右に旋回させる。
また、直進用の第1油圧モータ24を駆動させながら、旋回用の第2油圧モータ27を駆動させると、走行機体1が左右に旋回して進路が修正される。走行機体1の旋回半径は第2油圧モータ27の出力回転数によって決定される。
(3).操縦部周辺の構造
次に、図1、図2、図4及び図9を参照しながら、操縦部9周辺の構造について説明する。
次に、図1、図2、図4及び図9を参照しながら、操縦部9周辺の構造について説明する。
操縦部9における操縦座席11の前方には、縦長のステアリングコラム71が立設されている。ステアリングコラム71から上向きに突出した縦長のハンドル軸77には、旋回操作体としての丸型の操向ハンドル10が水平回転可能に取り付けられている。いうまでもないが、操向ハンドル10から手を離せば、当該操向ハンドル10は中立位置に自動的に復帰するように構成されている。
操縦座席11の一側方(実施形態では左側)には、前後に長いサイドコラム72が配置されている。サイドコラム72には、直進操作体としての主変速レバー73、副変速レバー74、刈取クラッチレバー75、脱穀クラッチレバー76が配置されている。
主変速レバー73は、走行機体1の前進、停止、後退及びその車速を無段階に変更操作するためのものである。副変速レバー74は、ミッションケース13内の副変速機構32を変更操作して、直進用HST式無段変速機構25の出力及び回転数を、低速、中速、高速及び中立という4段階の変速段に設定保持するためのものである。刈取クラッチレバー75は刈取前処理装置3への動力継断操作用のものであり、脱穀クラッチレバー76は脱穀装置6への動力継断操作用のものである。実施形態では、いずれのレバー73〜76も前後傾動可能に構成されている。
実施形態では、主変速レバー73をほぼ垂直な姿勢の中立位置(停止位置)から前方に倒すと、走行機体1は前進する。主変速レバー73の前方への倒れ角度が大きいほど、走行機体1の前進速度が速くなる。逆に、主変速レバー73を中立位置から後方に倒すと、走行機体1は後進する。主変速レバー73の後方への倒れ角度が大きいほど、走行機体1の後進速度が速くなる。
(4).主変速レバー及び操向ハンドルとHST式無段変速機構との連結構造
次に、図4〜図9を参照しながら、主変速レバー73及び操向ハンドル10とHST式無段変速機構25,28との連結構造について説明する。
次に、図4〜図9を参照しながら、主変速レバー73及び操向ハンドル10とHST式無段変速機構25,28との連結構造について説明する。
まずは、主変速レバー73から直進用HST式無段変速機構28への操作力伝達経路について説明する。ステアリングコラム71内の下部には、横向きの主変速軸81が回転可能に軸支されており、サイドコラム72上の主変速レバー73は、主変速ロッド80を介して、主変速軸81の一端部に固着された直進入力リンク82に連動連結されている。このため、主変速レバー73を前後方向に傾動操作すると、その操作力が主変速ロッド80を経由して主変速軸81に伝達され、主変速軸81はその軸心回りに正逆回動することになる。
詳細は後述するが、主変速軸81の長手中途部には、操作力切換機構100のクラッチ部材105を昇降動させるためのカム部材83が固着されている。主変速軸81の他端部に固着された直進出力リンク84には、球関節状継手85を介して直進中継ロッド86の一端部が連結されている。直進中継ロッド86の他端部は、球関節状継手87を介して、ステアリングコラム71の底部に配置された直進外筒軸88の直進上リンク89に連結されている。直進外筒軸88は、ステアリングコラム71の底面に回動可能に軸支された縦向き筒状のものである。直進上リンク89は直進外筒軸88の上部に横向き突設されている。
主変速軸81が正逆回動すると、主変速軸81から直進出力リンク84、直進中継ロッド86及び直進上リンク89を経由した出力によって、直進外筒軸88がその軸心回りに正逆回動することになる。
直進外筒軸88の下部に固着された横向きの直進下リンク90には、球関節状継手91を介して直進連動ロッド92の一端部が連結されている。直進連動ロッド92の他端部は、直進用HST式無段変速機構25から上向きに突出した直進制御軸94の車速制御アーム95に連動連結されている。車速制御アーム95は直進制御軸94の先端部に横向き突設されている。主変速ロッド80から直進制御軸94の車速制御アーム95に至る連結構造は、走行機体1の車速の無段階変更及び前後進切換を行うための直進リンク機構96を構成している。
ここで、直進制御軸94は、直進用HST式無段変速機構25における第1油圧ポンプ23の回転斜板の傾斜角度(斜板角)を調節するためのものであり、直進用HST式変速機構25の変速出力を調節する調節部として機能している。
直進外筒軸88の正逆回動にて直進連動ロッド92を押し引きすると、直進制御軸94が正逆回動して、第1油圧ポンプ23の斜板角を調節することになる。その結果、第1油圧モータ24の回転数制御及び正逆転切換が実行され、走行機体1の車速の無段階変更並びに前後進切換が行われる。
次に、操向ハンドル10から旋回用HST式無段変速機構28への操作力伝達経路について説明する。図4、図6及び図8に示すように、操向ハンドル10の回動操作力が伝達されるハンドル軸77は、ステアリングコラム71内に配置された操作力切換機構100に連動連結されている。実施形態の操作力切換機構100は、
1.主変速レバー73を前進及び後進のいずれの方向に傾動操作した場合であっても、操向ハンドル10の回動操作方向と走行機体1の旋回方向とが一致する(操向ハンドル10を左に回せば走行機体1は左旋回し、操向ハンドル10を右に回せば走行機体1は右旋回する)、
2.主変速レバー73が中立位置にあると操向ハンドル10を操作しても機能しない(旋回しない)、
という動作を実行するために、操向ハンドル10からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に適宜切り換えて、ステアリングコラム71の底部に配置された旋回内軸110に伝達するように構成されている。
1.主変速レバー73を前進及び後進のいずれの方向に傾動操作した場合であっても、操向ハンドル10の回動操作方向と走行機体1の旋回方向とが一致する(操向ハンドル10を左に回せば走行機体1は左旋回し、操向ハンドル10を右に回せば走行機体1は右旋回する)、
2.主変速レバー73が中立位置にあると操向ハンドル10を操作しても機能しない(旋回しない)、
という動作を実行するために、操向ハンドル10からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に適宜切り換えて、ステアリングコラム71の底部に配置された旋回内軸110に伝達するように構成されている。
ここで、旋回内軸110は、前述の直進外筒軸88を回動可能で且つ上下抜け不能に貫通している。すなわち、実施形態の旋回内軸110及び直進外筒軸88は、互いに独立して回動可能な縦向き同心状の二重軸構造になっている。なお、図示は省略したが、ハンドル軸77の下端部は、ステアリングコラム71の底面に回動可能に軸支されている。
主変速レバー73を前後傾動操作した状態で、操向ハンドル10の回動操作にてハンドル軸77が正逆回動すると、ハンドル軸77から操作力切換機構100を経由した切換出力によって、操作力切換機構100の一構成要素である横向きの旋回中継軸104がその軸心回りに正逆回動することになる。
旋回中継軸104に固着された旋回出力リンク106には、球関節状継手107を介して旋回中継ロッド108の一端部が連結されている。旋回中継ロッド108の他端部は、球関節状継手109を介して、直進外筒軸88に回動可能に挿入された旋回内軸110の旋回上リンク111に連結されている。旋回上リンク111は旋回内軸110の上部に横向き突設されている。
旋回中継軸104が正逆回動すると、旋回中継軸104から旋回出力リンク106、旋回中継ロッド108及び旋回上リンク111を経由した出力によって、旋回内軸110がその軸心回りに正逆回動することになる。
旋回内軸110の下部に固着された横向きの旋回下リンク112には、球関節状継手113を介して旋回連動ロッド114の一端部が連結されている。旋回連動ロッド114の他端部は、旋回用HST式無段変速機構28から上向きに突出した旋回制御軸116の操向制御アーム117に、縦向きの枢支ピン115にて回動可能に枢着されている。操向制御アーム117は旋回制御軸116の先端部に横向き突設されている。旋回中継軸104の旋回出力リンク106から旋回制御軸116の操向制御アーム117に至る連結構造は、特許請求の範囲に記載した旋回リンク機構118に相当する。
ここで、旋回制御軸116は、旋回用HST式無段変速機構28における第2油圧ポンプ26の回転斜板の傾斜角度(斜板角)を調節するためのものであり、旋回用HST式変速機構28の変速出力を調節する調節部として機能している。
旋回内軸110の正逆回動にて旋回連動ロッド114を押し引きすると、旋回制御軸116が正逆回動して、第2油圧ポンプ26の斜板角を調節することになる。その結果、第2油圧モータ27の回転数制御及び正逆転切換が実行され、走行機体1の旋回角度(旋回半径)の無段階変更並びに左右旋回方向の切り換えが行われる。
次に、主として図5、図7及び図9を参照しながら、操作力切換機構100の詳細構造について説明する。操作力切換機構100は、ハンドル軸77の長手中途部に被嵌された上下一対の伝達傘歯車101,102と、両傘歯車101,102に噛み合う従動傘歯車103と、従動傘歯車103を軸支する旋回中継軸104と、両伝達傘歯車101,102の間に配置されたクラッチ部材105とを備えている。
実施形態の各伝達傘歯車101,102は、ハンドル軸77に自由回転可能で且つ上下ずれ不能に取り付けられている。上下両伝達傘歯車101,102の相対向する上下面部には、それぞれキー溝121,122が凹み形成されている。旋回中継軸104はステアリングコラム71内の適宜箇所に回動可能に軸支されている。ハンドル軸77の外周のうち上下両伝達傘歯車101,102の間の部位にはスプライン部123が形成されており、当該スプライン部123に、スプライン穴を有する筒状のクラッチ部材105が上下スライド可能に被嵌されている。
クラッチ部材105は、その上下面からそれぞれ外向きに突出したキー部125,126と、上下両キー部125,126の間に凹み形成された環状溝部124とを有している。環状溝部124には、ステアリングコラム71内における操作力切換機構100の前方に位置するクラッチアーム127の先端部が嵌め込まれている。この場合、主変速レバー73の前後傾動操作に連動して、クラッチアーム127が後述する横支軸128と一体的に上下回動することによって、クラッチ部材105がハンドル軸77のスプライン部123に沿って上下スライド移動する構成になっている。
クラッチ部材105の各キー部125(126)は、クラッチ部材105がハンドル軸77のスプライン部123に沿って、図6及び図7に示す上位置(図8及び図9に示す下位置)にスライド移動した状態で、各伝達傘歯車101(102)のキー溝121(122)に係合する構成になっている。かかる係合にて、各伝達傘歯車101(102)とハンドル軸77とは、クラッチ部材105を介して一体的に回転するように連結される(図7及び図9参照)。
クラッチアーム127の回動姿勢(クラッチ部材105の上下位置)は、主変速レバー73の操作状態(前傾、後傾及び中立)に応じて上下及び中立の3姿勢に変更可能に設定されている。実施形態では、ステアリングコラム71内における操作力切換機構100の前方に、横支軸128が回動可能に軸支されており、当該横支軸128にクラッチアーム127の基端部が固着されている。横支軸128には、側面視で横支軸を挟んでクラッチアーム127とは逆向きに延びる揺動アーム129も固着されている。
揺動アーム129の先端部には、縦長の昇降ロッド131の上端部が横向きの枢着ピン130にて回動可能に枢着されている。図示は省略したが、昇降ロッド131の長手中途部は、ステアリングコラム71内の適宜箇所に上下スライド可能に支持されている。昇降ロッド131の下端部には、主変速軸81の長手中途部に固着されたカム部材83のカム面133に当接する回転ローラ132が横軸回りに回転可能に軸支されている。
ここで、カム部材83のカム面133は、カム部材83の回動中心O(主変速軸81の中心)からの半径距離が最も短い最短カム面133bと、中間カム面133aと、中心Oからの半径距離が最も長い最長カム面133cとを有しており、最短カム面133bと中間カム面133aとの間、及び、中間カム面133aと最長カム面133cとの間が湾曲面にて連設されている。
各カム面133a〜133cはいずれも、カム部材83の回動中心Oからの距離が一定である略円弧状に形成されている。中間カム面133aには、主変速レバー73が中立位置にあるときに回転ローラ132が当接する箇所である。最短カム面133bは、主変速レバー73を前方に倒したとき(前進操作時)に回転ローラ132が当接する箇所であり、最長カム面133cは、主変速レバー73を後方に倒したとき(後進操作時)に回転ローラ132が当接する箇所である。
主変速レバー73が中立位置のときは、回転ローラ132がカム部材83の中間カム面133a上に位置する。この場合、昇降ロッド131、揺動アーム129ひいてはクラッチアーム127が中立姿勢に保持される。従って、クラッチ部材105は、上下両伝達傘歯車101,102と噛み合うことのない中立位置に保持される(図5参照)。
主変速レバー73を前方に倒す前進操作をしたときは、主変速軸81が矢印A方向に回動して、回転ローラ132が中間カム面133aより低い最短カム面133b上に移動する。そうすると、昇降ロッド131が下向きに引っ張られて、揺動アーム129及びクラッチアーム127が横支軸128と共に矢印B方向に回動し、クラッチアーム127を上向き姿勢にする。その結果、クラッチ部材105が上伝達傘歯車101に接近するように上位置まで上昇スライド移動する(図7参照)。なお、最短カム面133bがカム部材83の回動中心Oからの距離が一定の略円弧状に形成されているため、前進操作時のクラッチ部材105は、主変速レバー73の前倒れ角度の大小に拘らず、図7に示す上位置に位置保持される。
主変速レバー73を後方に倒す後進操作をしたときは、主変速軸81が矢印C方向に回動して、回転ローラ132が中間カム面133aより高い最長カム面133c上に移動する。そうすると、昇降ロッド131が上向きに押し上げられて、揺動アーム129及びクラッチアーム127が横支軸128と共に矢印D方向に回動し、クラッチアーム127を下向き姿勢にする。その結果、クラッチ部材105が下伝達傘歯車102に接近するように下位置まで下降スライド移動する(図9参照)。また、最長カム面133cもカム部材83の回動中心Oからの距離が一定の略円弧状に形成されているため、後進操作時のクラッチ部材105は、主変速レバー73の後ろ倒れ角度の大小に拘らず、図9に示す下位置に位置保持される。
クラッチ部材105が図6及び図7に示す上位置に上昇スライド移動した状態で、上キー部125が上伝達傘歯車101の上キー溝121に係合すると、上伝達傘歯車101とハンドル軸77とがクラッチ部材105を介して一体回転するように連結される。そして、ハンドル軸77に伝達された回動操作力にて、上伝達傘歯車101が正逆回動することにより、上伝達傘歯車101に噛み合う従動傘歯車103及び旋回中継軸104がその軸心回りに正逆回動することになる。この場合、下伝達傘歯車102は、ハンドル軸77に対して自由回転可能(フリー回転可能)な状態になっている。
一方、クラッチ部材105が図8及び図9に示す下位置に下降スライド移動した状態で、下キー部126が下伝達傘歯車102の下キー溝122に係合すると、下伝達傘歯車102とハンドル軸77とがクラッチ部材105を介して一体回転するように連結される。そして、ハンドル軸77に伝達された回動操作力にて、下伝達傘歯車102が正逆回動することにより、下伝達傘歯車102に噛み合う従動傘歯車103及び旋回中継軸104がその軸心回りに正逆回動することになる。この場合は、上伝達傘歯車101がハンドル軸77に対して自由回転可能(フリー回転可能)な状態になっている。
実施形態では、操向ハンドル10(ハンドル軸77)の回動方向と、従動傘歯車103及び旋回中継軸104の回動方向との対応関係が、上伝達傘歯車101経由の動力伝達か下伝達歯車102経由の動力伝達かによって切り換わる。換言すると、前進時と後進時とでは、操向ハンドル10の回動操作方向が同じでも、従動傘歯車103及び旋回中継軸104の回動方向が逆転する。
例えば、主変速レバー73の前進操作時に操向ハンドル10を左回動操作すれば、上伝達傘歯車101経由の動力伝達であるために、従動傘歯車103及び旋回中継軸104が矢印E方向に回動するのに対して(図6及び図7参照)、主変速レバー73の後進操作時に操向ハンドル10を左回動操作すれば、下伝達歯車102経由の動力伝達であるために、従動傘歯車103及び旋回中継軸104が矢印E方向と逆の矢印F方向に回動するのである。
他方、クラッチ部材105が上下両伝達傘歯車101,102の間の中立位置にあれば、いずれのキー部125,126も、上下両伝達傘歯車101,102のキー溝121,122に係合せず、上下両伝達傘歯車101,102とハンドル軸77との連結が解除されることになる(図5参照)。上記の構成から分かるように、クラッチ部材105は、ハンドル軸77から各伝達傘歯車101,102への操作力継断動作(操作力を選択的に伝達したり遮断したりする動作)を行う役割を担っている。
(5).上記連結構造の挙動
次に、図4〜図9を参照しながら、主変速レバー73や操向ハンドル10を操作したときの上記連結構造の挙動例について説明する。
次に、図4〜図9を参照しながら、主変速レバー73や操向ハンドル10を操作したときの上記連結構造の挙動例について説明する。
図4及び図5に示すように、主変速レバー73が中立位置のときは、クラッチ部材105が上下両伝達傘歯車101,102の間の中立位置に保持され、操向ハンドル10を左右に回動操作しても、ハンドル軸77から上下両伝達傘歯車101,102への操作力の伝達が遮断されるから、直進制御軸94だけでなく旋回制御軸116も回動しない。このため、第1及び第2油圧ポンプ23,26の斜板角は共に中立状態に保持され、両方のHST式無段変速機構25,28が駆動しない。
つまり、主変速レバー73を中立位置にセットして走行機体1の直進を停止させた状態では、オペレータの不用意な接触等にて操向ハンドル10を回動させたとしても、旋回用HST式無段変速機構28が駆動することはなく、走行機体1を確実に停止状態に維持できる。従って、例えばメンテナンス作業等に際しては、主変速レバー73を中立位置にセットしておけば、オペレータの意図に反して走行機体1が予想外の挙動をするおそれを確実に回避でき、安全性を十分に確保できる。
主変速レバー73の前進操作時は、直進リンク機構96を経由した操作力にて、第1油圧ポンプ23の直進制御軸94が図6に示す矢印G方向(前進方向)に回動する。その結果、走行機体1は主変速レバー73の前傾操作量に比例した前進動作を実行する。主変速レバー73の後進操作時は、直進リンク機構96を経由した操作力にて、第1油圧ポンプ23の直進制御軸94が図8に示す矢印H方向(後進方向)に回動する。その結果、走行機体1は主変速レバー73の後傾操作量に比例した後進動作を実行する。
図6及び図7に示すように、主変速レバー73を前進操作した状態で操向ハンドル10を左回動操作したときは、主変速軸81のカム部材83の作用にてクラッチ部材105が上位置にスライド移動し、ハンドル軸77と上伝達傘歯車101とが一体回動することになる。このため、ハンドル軸77から上伝達傘歯車101を経由した操作力にて、従動傘歯車103及び旋回中継軸104が矢印E方向に回動する。
そして、旋回中継軸104から旋回リンク機構118を経由した出力にて、第2油圧ポンプ26の旋回制御軸94が図6に示す矢印I方向に回動する。その結果、操向ハンドル10の回動操作量に比例して、左走行クローラ2が減速方向に駆動する一方、右走行クローラ2が増速方向に駆動することになり、走行機体1は前進しながら左旋回してその走行進路を修正する。
図8及び図9に示すように、主変速レバー73を後進操作した状態で操向ハンドル10を左回動操作したときは、主変速軸81のカム部材83の作用にてクラッチ部材105が下位置にスライド移動し、ハンドル軸77と下伝達傘歯車102とが一体回動することになる。このため、ハンドル軸77から下伝達傘歯車102を経由した操作力にて、従動傘歯車103及び旋回中継軸104が図6の矢印E方向と逆の矢印F方向に回動する。
そして、旋回中継軸104から旋回リンク機構118を経由した出力にて、第2油圧ポンプ26の旋回制御軸94が図8に示す矢印J方向(図6の矢印I方向とは逆向き)に回動する。その結果、操向ハンドル10の回動操作量に比例して、左走行クローラ2が減速方向に駆動する一方、右走行クローラ2が増速方向に駆動することになり、走行機体1は後進しながら左旋回してその走行進路を修正する。
すなわち、前進時と後進時とでは、操向ハンドル10の回動操作方向が同じでも、従動傘歯車103及び旋回中継軸104の回動方向が逆になり、ひいては、第2油圧ポンプ26における旋回制御軸94の回動方向が逆転するため、前後進のいずれであっても、操向ハンドル10の回動操作方向と走行機体1の旋回方向とが一致するのである。従って、実施形態のコンバインによると、例えばコンバインに乗るのが初めてのような不慣れなオペレータであっても、四輪自動車と同じような操作感覚で、困難なくコンバインの操向操作を実行できるという効果を奏する。
特に、実施形態の操作力切換機構100は、ハンドル軸77の長手中途部に被嵌された上下一対の伝達傘歯車101,102と、両傘歯車101,102に噛み合う従動傘歯車103と、従動傘歯車103を軸支する旋回中継軸104と、主変速レバー73の操作に連動して各伝達傘歯車101,102をハンドル軸77(操向ハンドル10)に選択的に連動連結させるクラッチ部材105とを備えるという簡単な構造であるから、前進時と後進時とで、第2油圧ポンプ26における旋回制御軸94の回動方向を逆転させるための機構を低コストで製造できると共に、加工精度や組み立て精度の精粗によって動作にバラツキが生ずるのを回避できる。その結果、コンバインの製造コストの抑制に貢献するという効果を奏する。
また、操作力切換機構100は、走行機体1の操縦部9に立設されたステアリングコラム71の内部に配置されているから、操作系統の構造がコンパクトになり、操縦部9周辺の省スペース化にも効果を発揮できるのである。
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明は、前述のようなコンバインに限らず、トラクタ、田植機等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種車両に対して広く適用できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
1 走行機体
9 操縦部
10 操向ハンドル
11 操縦座席
12 エンジン
13 ミッションケース
25 直進用HST式無段変速機構
28 旋回用HST式無段変速機構
73 主変速レバー
100 操作力切換機構
105 クラッチ部材
9 操縦部
10 操向ハンドル
11 操縦座席
12 エンジン
13 ミッションケース
25 直進用HST式無段変速機構
28 旋回用HST式無段変速機構
73 主変速レバー
100 操作力切換機構
105 クラッチ部材
Claims (3)
- 走行機体に搭載されたエンジンの動力を、直進用油圧駆動装置、旋回用油圧駆動装置及び差動機構を介して左右の走行部に伝達するように構成されている一方、前記直進用油圧駆動装置の出力を調節して前記走行機体の前後進速度を変更操作する直進操作体と、前記旋回用油圧駆動装置の出力を調節して前記走行機体の進行方向を変更操作する回動操作式の旋回操作体とを備えている走行車両であって、
前記旋回操作体から前記旋回用油圧駆動装置への操作力伝達経路に、前記直進操作体の操作状態に応じて、前記旋回操作体からの操作力を正逆回転及び中立の3段階に切換可能な操作力切換機構が配置されている、
走行車両。 - 前記操作力切換機構は、前記旋回操作体からの回動操作力が伝達される縦向きのハンドル軸に被嵌された一対の伝達傘歯車と、前記両傘歯車に噛み合う従動傘歯車と、前記従動傘歯車を軸支する旋回中継軸と、前記両伝達傘歯車の間に配置されたクラッチ部材とを備えており、
前記クラッチ部材は、前記直進操作体の操作に連動して、前記各伝達傘歯車を前記ハンドル軸に選択的に連結させるように構成されており、前記旋回中継軸が、旋回リンク機構を介して前記旋回用油圧駆動装置の調節部に連動連結されている、
請求項1に記載した走行車両。 - 前記操作力切換機構は、前記走行機体の操縦部に立設されたステアリングコラムの内部に配置されている、
請求項1又は2に記載した走行車両。
Priority Applications (1)
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JP2007181046A JP2009018620A (ja) | 2007-07-10 | 2007-07-10 | 走行車両 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007181046A Pending JP2009018620A (ja) | 2007-07-10 | 2007-07-10 | 走行車両 |
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JP (1) | JP2009018620A (ja) |
-
2007
- 2007-07-10 JP JP2007181046A patent/JP2009018620A/ja active Pending
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