JP2009015005A - レンズ固定構造及びレンズ固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来方式のレンズ固定構造に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようにすると共に、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供できるようにする。
【解決手段】レンズ11を収納する鏡筒12と、開口部13aを有して鏡筒12内のレンズ11を固定する環状のレンズ押え部材13とを備え、レンズ押え部材13は、レンズ11と当接する側が凹型の円筒状に抉られた凹状の本体部13bを有しており、当該本体部13bの内側面には、当該開口部13aの口径に比べて奥部の口径が狭くなされた台錐形状の雌ネジ部13cが設けられ、鏡筒12は、レンズ11を収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだレンズガイド部12aを有しており、当該レンズガイド部12aの外面側には雄ネジ部12bが設けられ、レンズ押え部材13の台錐形状の雌ネジ部13cが鏡筒12の雄ネジ部12bに螺合されるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、車載用のカメラ等のカメラモジュール用のレンズユニットに適用可能なレンズ固定構造及びレンズ固定方法に関する。詳しくは、鏡筒内にレンズを固定する環状の押え部材を備え、この押え部材には、凹型の円筒状に抉られ本体部を設け、鏡筒には、凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を設けて、押え部材の本体部の内側面に設けられた台錐形状の雌ネジ部と、鏡筒の穴部の外面側に設けられた雄ネジ部とを螺合すると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とを当接したとき、押え部材の台錐形状の傾斜部に沿って、当該鏡筒の台錐形状の傾斜部をレンズのフランジ側面へ強制的に押圧できるようにすると共に、鏡筒の穴部側壁で光軸方向と直交する垂直な方向から中心へレンズを締め付けて、レンズの遊びを抑制できるようにしたものである。
近年、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、車載用のカメラ等のカメラモジュールには、レンズユニットが実装され、このレンズユニットには、レンズ固定構造が採用される場合が多い。この種のレンズ固定構造によれば、鏡筒にレンズを収納した後にレンズ押え部材で固定するようになされる。
図10は、従来例に係るレンズ固定構造10の構成例を示す断面図である。図10に示すレンズ固定構造10は、一般的なカメラモジュールのレンズユニットに採用され、レンズ41、鏡筒42及びレンズ押え部材43の3点から構成されている。図中、上方が被写体側であり、下方が撮像素子側である。また、一点鎖線は光軸0の方向(以下光軸方向という)であり、それと直交する波線に示す垂直方向は、レンズ41の径方向である。なお、図中、絞りや遮光等を目的とした光学部品は省略している。
レンズ押え部材43は扁平な円筒蓋(キャップ)状を成しており、レンズ41を固定して保持する。レンズ押え部材43は内側にカバーネジ43c(雌ネジ部)や、受光用の開口部43aを有している。鏡筒42にも受光用の開口部31や、レンズ41を収納する穴部、その外側に鏡筒ネジ42b(雄ネジ部)等が設けられる。鏡筒42の開口部31を除くレンズ41と当接する側は、レンズ41の縁部を受け止める平坦なレンズ縁部受止面となされている。カバーネジ43cの呼び径はMcであり、鏡筒ネジ42bの呼び径はMbであり、呼び径Mc,MbはMc=Mbの関係に設定されている。
図11は、図10の波線円内図に示したレンズ41、鏡筒42及びレンズ押え部材43の当接例を示す拡大図であり、3部品が固定された部分を拡大した図である。図11に示すレンズ41は、鏡筒42に対して、当該レンズ41の径方向に微小クリアランスΔCを持って挿入される。レンズ41の固定に関しては、隙間嵌め方法が採られる。ここに隙間嵌め方法とは、レンズ押え部材43に対して、レンズ41の主として光軸方向への位置規制を目的とした鏡筒42を圧入又は挿入ネジ締め等により固定することをいう。
レンズ41の隙間嵌め方法によれば、レンズ41の圧入に起因した応力歪みによる光学特性劣化を避けるために採用される。隙間嵌め方法では、レンズ押え部材43を緩めた状態でレンズ41が左右に移動可能となされる。図中、Fzはレンズ41を押える力であり、鏡筒42をレンズ押え部材43に圧入又は挿入ネジ締め等により固定した時点から発生する。この方法は、レンズ押え部材43がレンズ41を鏡筒42に対して、光軸方向に押え付けるので、撮像素子との距離を一定に保つことが可能となって、画ボケ等の光学特性劣化を抑えることができる。
この種のレンズ固定構造に関連して特許文献1には、レンズ固定方法、レンズ固定装置及びレンズ本体が開示されている。このレンズ固定装置によれば、外径Dを有したレンズ玉と、内径φのレンズ枠を上方に有した鏡筒とを備え、レンズ枠は鏡筒上部における段差dを成し、レンズ玉は外側面がカット形状となされ、そのカット面の高さはdに設定されている。レンズの外径Dとレンズ枠の内径φとはほぼ同等に設定されている。
レンズ固定時、熱収縮性を利用するために外径Dのレンズ玉を冷却し、冷却後、高さdのカット面を有するレンズ玉を段差dを有する鏡筒のレンズ枠に挿入し、その後、レンズ玉及びレンズ枠を含む鏡筒を熱加工して、レンズ玉を鏡筒のレンズ枠に固定するようになされる。このようにすると、高さdを有するレンズ玉のカット面(外側面)が、段差dを有する鏡筒のレンズ枠の内側面に密着して堅固に固定できるというものである。
特開2004−317990号公報(第5頁 図1)
ところで、従来例に係るレンズ固定方法によれば、以下のような問題がある。
i.図10に示したレンズ固定構造10によれば、レンズ41の光軸方向の位置規制を主目的とした鏡筒42を備えており、レンズ押え部材43は、レンズ41との互いに平行で平坦な面を張り合わせるように接触され、副次的に発生した摩擦力を利用して光軸0と垂直方向へのレンズ位置規制を行なっている。
しかし、レンズ固定構造10によれば、レンズ41の径方向への積極的な位置規制を行なう仕様になっておらず、当該鏡筒42に振動や衝撃等が加わった場合、図11に示したレンズ径方向に設定された微小クリアランスΔC分だけレンズ41が移動するおそれがある。レンズ41の移動現象は“画ズレ”の原因となる。
ii.因みに、特許文献1に見られるようなレンズ固定装置であると、熱加工中、レンズ玉が鏡筒のレンズ枠の光軸中心から位置ずれしないように何らかの対策を講ずる必要があり、レンズ固定工程が複雑化することが懸念される。
iii.上述の“画ズレ”問題を解決する手段として、図12にレンズ固定構造10’の改善例を示している。この改善例によれば、図12に示すようなレンズフランジ部に傾斜形状を設け、同様な傾斜形状を持つレンズ押え部材43’を嵌め込む。これにより、斜面同士を接触及び固定させてレンズ41の位置規制を行なう方法が考えられている。
しかしながら、今後、カメラモジュールの薄型化が進むことは自明であり、それに伴いレンズ41の薄型化も当然進むと思われる。その場合、レンズフランジ部を薄くすると、充分な傾斜部を付加することは困難であり、可能な範囲内で微小傾斜または緩やかな傾斜を作成したとしても、その効果は弱く、問題点i.と同様な状況に陥ることが懸念される。
iv.また、環境変化に伴う温度変化等の影響に因って、レンズ押え部材43等の光軸方向位置が鏡筒42に対して相対的に変化し、その押え力が減少した場合には、レンズ41が自由に径方向に移動してしまう。この結果、撮像素子に対する光軸(レンズ中心)の位置が移動して、製品としてモニタ上に表示した映像が、レンズ移動前の映像に対してズレるという現象が想定される。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、従来方式のレンズ固定構造に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようにすると共に、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供できるようにしたレンズ固定構造及びレンズ固定方法を提供することを目的とする。
上述した課題は、レンズと、このレンズを収納する鏡筒と、開口部を有して鏡筒内のレンズを固定する環状の押え部材とを備え、押え部材は、レンズと当接する側が凹型の円筒状に抉られた本体部を有しており、当該本体部の内側面には、当該開口部の口径に比べて奥部の口径が狭くなされた台錐形状の雌ネジ部が設けられ、鏡筒は、レンズを収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有しており、当該穴部の外面側には雄ネジ部が設けられ、押え部材の台錐形状の雌ネジ部が鏡筒の雄ネジ部に螺合されることを特徴とする第1のレンズ固定構造によって解決される。
本発明に係る第1のレンズ固定構造によれば、レンズを鏡筒内に収納する場合、例えば、押え部材の雌ネジ部の呼び径Mcと、鏡筒の雄ネジ部の呼び径Mbとの間には、Mc<Mbなる関係が設定される。従って、鏡筒を本体部内へ挿入すればするほど、鏡筒の穴部側壁をレンズのフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる。
本発明に係る第1のレンズ固定方法は、開口部を有した押え部材を使用して鏡筒内にレンズを固定する方法であって、レンズを当接するための押え部材を加工して凹型の円筒状の本体部を形成し、かつ、当該本体部の内側面に当該開口部の口径に比べて奥部の口径を狭くした台錐形状の雌ネジ部を形成する工程と、レンズを収納するための鏡筒部材を加工して凹型の円筒状の穴部を形成し、かつ、当該穴部の外面側に雄ネジ部を形成する工程と、レンズを鏡筒内に収納する工程と、レンズが収納された鏡筒の雄ネジ部に押え部材の台錐形状の雌ネジ部を螺合する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明に係る第1のレンズ固定方法によれば、レンズを鏡筒内に収納する場合、鏡筒を本体部へ挿入すればするほど、鏡筒の穴部側壁をレンズのフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる。
本発明に係る第2のレンズ固定構造は、レンズと、このレンズを収納する鏡筒と、開口部を有して鏡筒内のレンズを固定する環状の押え部材とを備え、押え部材は、レンズと当接する側が凹型の円筒状に抉られた本体部を有しており、当該本体部の内側面には雌ネジ部が設けられると共に、当該本体部の内側奥周囲には台錐形状の傾斜部が設けられ、鏡筒は、レンズを収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有しており、当該穴部の外面側には雄ネジ部が設けられると共に、当該穴部の外側上部周囲には台錐形状の傾斜部が設けられ、押え部材の雌ネジ部と鏡筒の雄ネジ部とが螺合されると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とが当接されることを特徴とするものである。
本発明に係る第2のレンズ固定構造によれば、レンズを鏡筒内に収納する場合、鏡筒を本体部内へ挿入すればするほど、押え部材の台錐形状の傾斜部に沿って、当該鏡筒の台錐形状の傾斜部をレンズのフランジ側面へ強制的に押し付けることができる。
本発明に係る第2のレンズ固定方法は、開口部を有した押え部材を使用して鏡筒内にレンズを固定する方法であって、レンズを当接するための押え部材を加工して凹型の円筒状の本体部を形成し、かつ、当該本体部の内側面に雌ネジ部を形成すると共に、当該本体部の内側奥周囲に台錐形状の傾斜部を形成する工程と、レンズを収納する鏡筒部材を加工して凹型の円筒状の穴部を形成し、かつ、当該穴部の外面側に雄ネジ部を形成すると共に、当該穴部の外側上部周囲に台錐形状の傾斜部を形成する工程と、レンズを鏡筒内に収納する工程と、レンズが収納された鏡筒の雄ネジ部と押え部材の雌ネジ部とを螺合すると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とを当接する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明に係る第2のレンズ固定方法によれば、レンズを鏡筒内に収納する場合、鏡筒を本体部内へ挿入すればするほど、押え部材の台錐形状の傾斜部に沿って、当該鏡筒の台錐形状の傾斜部をレンズのフランジ側面へ強制的に押し付けることができる。この結果、第1のレンズ固定方法と同様にして、鏡筒の穴部側壁が光軸方向と直交する垂直な方向から中心へレンズを締め付けるようになる。
本発明に係る第1のレンズ固定構造及びレンズ固定方法によれば、鏡筒内にレンズを固定する環状の押え部材を備え、押え部材は、凹型の円筒状に抉られ、かつ、開口部の口径に比べて奥部の口径が狭くなされた本体部を有し、鏡筒は、凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有し、押え部材の本体部の内側面に設けられた台錐形状の雌ネジ部と、鏡筒の穴部の外面側に設けられた雄ネジ部とが螺合されるものである。
この構成によって、鏡筒を本体部へ挿入すればするほど、鏡筒の穴部側壁をレンズのフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる。この結果、鏡筒の穴部側壁が光軸方向と直交する垂直な方向から中心へレンズを締め付けるようになるのでの、レンズの遊びを抑制できるようになる。これにより、従来方式のレンズ固定構造に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようになる。従って、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供することができ、当該部品を実装したカメラの信頼性の向上に寄与するところが大きい。
本発明に係る第2のレンズ固定構造及びレンズ固定方法によれば、鏡筒内にレンズを固定する環状の押え部材を備え、押え部材は、凹型の円筒状に抉られ本体部を有し、鏡筒は、凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有し、押え部材の本体部の内側面に設けられた台錐形状の雌ネジ部と、鏡筒の穴部の外面側に設けられた雄ネジ部とが螺合されると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とが当接されるものである。
この構成によって、鏡筒を本体部へ挿入すればするほど、押え部材の台錐形状の傾斜部に沿って、当該鏡筒の台錐形状の傾斜部をレンズのフランジ側面へ強制的に押し付けることができる。この結果、第1のレンズ固定構造及びレンズ固定方法と同様にして、鏡筒の穴部側壁が光軸方向と直交する垂直な方向から中心へレンズを締め付けるようになるので、レンズの遊びを抑制できるようになる。これにより、従来方式のレンズ固定構造に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようになる。従って、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供することができ、当該部品を実装したカメラの信頼性の向上に寄与するところが大きい。
続いて、この発明に係るレンズ固定構造及びレンズ固定方法の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、本発明に係る第1の実施例としてのレンズ固定構造1の構成例を示す一部破砕の斜視図である。
図1に示すレンズ固定構造1は、カメラモジュール用のレンズ鏡筒に適用して好適であり、レンズ11、鏡筒12及びレンズ押え部材13を備えて構成される。
レンズ11は光学部材の一例を構成し、鏡筒12の開口部31と対峙する側であって、当該鏡筒12と当接させる側が凸型に突出した状態を有すると共に、その外周部が所定のフランジ厚を有した円盤状を成している。光学部材にはレンズ11の他に絞り部品や、アパーチャ(遮光)部品等が含まれる。レンズ11にはガラスやプラスティック(樹脂)等を素材とする凹レンズや凸レンズが使用される。
鏡筒12は、扁平な円筒状を成しており、レンズ11を収納して保持する。鏡筒12は、レンズ11を収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだレンズガイド部12aを有している。当該レンズガイド部12aの外面側には雄ネジ部12bが設けられる。鏡筒12にはレンズ座面部12c、溝部12d及び受光用の開口部31が設けられる。鏡筒12には樹脂成形部品や炭素繊維含有の樹脂成形部品等が使用される。
レンズ押え部材13は環状の押え部材の一例を構成し、扁平な円筒蓋(キャップ)状を成しており、上方中央に受光用の開口部13aを有して、鏡筒12内のレンズ11を固定するものである。レンズ押え部材13は、レンズ11と当接する側が凹型の円筒状に抉られた凹状の本体部13bを有している。当該本体部13bの内側面には、当該開口部13aの口径に比べて奥部の口径が狭くなされた台錐形状の雌ネジ部13c(カバーネジ)が設けられる。この例では、レンズ押え部材13の台錐形状の雌ネジ部13cが鏡筒12の雄ネジ部12bに螺合される。レンズ押え部材13の材質には、アルミダイキャストや、黄銅、SUS等の金属又は合金が使用される。
図2は、レンズ固定構造1の構成例を補足する断面図である。図2に示すレンズ固定構造1によれば、鏡筒12に挿入されるレンズ11は、円盤状部位(フランジ)を有している。レンズ11は、円盤状部位をレンズ押え部材13の平坦面Iと鏡筒12の平坦面IIIとで挟み込まれる(以下、平坦面挟持構造という)。この例では、平坦面挟持構造に加えて、鏡筒12の雄ネジ部12bにより、レンズ11を中心に寄せる構造(以下、レンズ中心寄せ構造という)を採っている。
例えば、レンズ押え部材13は開口部13aを有しており、当該開口部13aを除くレンズ11と当接する側が凹状に落ち込んだ本体部13bとなされ、この本体部13bの天板部位が平坦面Iを成している。
また、レンズ11の円盤状部位は平坦面IIa,IIbを有している(図5B参照)。平坦面IIaは、レンズ押え部材13の開口部13aと対峙する部分を除く部位に設けられ、平坦面IIbは、鏡筒12の開口部31と対峙する部分を除く部位に設けられる。
この例で、鏡筒12の内側にはレンズ座面部12cが設けられ、レンズ座面部12cは平坦面IIIを有している。レンズ座面部12cの平坦面IIIと、レンズ押え部材13の平坦面Iとでレンズ11の円盤状部位を挟み込むようになされる。レンズ11の平坦面IIaはレンズ押え部材13の平坦面Iに当接され、その平坦面IIbは鏡筒12の平坦面IIIに当接される。これに加えて、レンズ11の円盤状部位の側面を鏡筒12の雄ネジ部12bで当接するようになされる(平坦面挟持構造)。
ここで、レンズ押え部材13の雌ネジ部13cの呼び径をMcとし、鏡筒12の雄ネジ部12bの呼び径をMbとしたとき、呼び径Mcと呼び径Mbとの間には、(1)式、すなわち、
Mc<Mb・・・・・(1)
なる関係に設定される。このようにレンズ押え部材13の雌ネジ部13cの呼び径Mcと、鏡筒12の雄ネジ部12bの呼び径Mbを設定すると、凹状の本体部13b内へ鏡筒12を挿入すればするほど、当該レンズ押え部材13のレンズガイド部12a側壁をレンズ11のフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる(レンズ中心寄せ構造)。
図3は、図2の波線円内図に示したレンズ11、鏡筒12及びレンズ押え部材13の当接例を示す拡大図であり、3部品が固定された部分を拡大した図である。
図3に示すレンズ11、鏡筒12及びレンズ押え部材13の当接例によれば、レンズ11を挟持した状態で当該鏡筒12及びレンズ押え部材13が共にネジ締めされて相互に締結される。通常のレンズ固定構造によれば、鏡筒12及びレンズ押え部材13のそれぞれが同じ呼び径の雄ネジや雌ネジ等を備え、微小なクリアランス(ネジの遊び)を持ちながら、ネジ締めされる。これに対して、本発明の仕様では、故意的に「鏡筒12の雄ネジ部12bの呼び径Mb>レンズ押え部材13の雌ネジ部13cの呼び径Mc」なる関係に設定し、呼び径Mbと呼び径Mcとの間に微小な差を持たせた点に特徴を有している。
更に、この例では、鏡筒12のレンズガイド部12aの内側周囲に所定の深さの溝部12dが設けられる。例えば、図3に示す鏡筒12のレンズ座面部12cにおいて、レンズガイド部12aの根元に、光軸方向に深さを持つような溝部12dが形成される。この溝部12dを設けることによって、レンズガイド部12aの強度を減少させ、当該ガイド部12aの径方向の倒れ込みを容易にできるようになる。これにより、鏡筒12と、レンズ押え部材13との間の強度を調整できるようになる。
図4は、レンズ11、鏡筒12’及びレンズ押え部材13の当接例を示す拡大図であり、変形例としてのレンズ固定構造1’の3部品が固定された部分を拡大した図である。
この例では、図3に示した鏡筒12のレンズガイド部12aの根元から溝部12dが取り除かれ、レンズ11の径方向において、レンズ押え部材13の雌ネジ部13cの強度や、鏡筒12’のレンズガイド部12aの強度等の間で形状的又は材料的な強度関係を各々の部位に持たせたものである。
ここに、レンズ押え部材の雌ネジ部13cの強度をFcとし、鏡筒12のレンズガイド12aの強度をFbとしたとき、強度Fc,Fbとの間には、(2)式、すなわち、
Fc>Fb・・・・・(2)
なる関係に設定される。このように、レンズ押え部材13の雌ネジ部13cの強度Fcと、鏡筒12のレンズガイド部12aの強度FbとをFc>Fbの関係に設定すると、溝部12dを設けなくても、当該鏡筒12と、レンズ押え部材13との間の強度を調整できるようになる。
これらの関係を設定した上で、雌ネジ部13c及び雄ネジ部12bの同時ネジ締めによって、レンズ押え部材13を鏡筒12に締め込む。これにより、レンズ押え部材13とレンズ11とが光軸方向に面接触することで、呼び径Mbが大きい鏡筒12のレンズガイド部12aが、呼び径Mcの小さいレンズ押え部材13の雌ネジ部13cに押されて径方向に倒れ込み、レンズ11に対して直接接触する。ここで、レンズ中心方向への力をFxとしたとき、力Fxは、レンズ11の径方向の動きを規制し、光学部品の光軸ズレを防止でき、しかも、映像ズレを抑えるようになる。
また、光軸方向への力をFzとしたとき、力Fzがレンズ11の光軸方向の動きを規制するので、レンズ11等の光学部品の光軸ズレを抑制し、画ボケ等の光学特性劣化を防止できるようになる。
次に、本発明に係る第1のレンズ固定方法について説明する。図5A〜Cは、レンズ固定例を示す工程図である。この実施例では、開口部13aを有した扁平円筒状のレンズ押え部材13を使用して鏡筒12の内部にレンズ11を固定する場合を前提とする。
まず、図5Aに示すレンズ押え部材13と、図5Bに示すレンズ11と、図5Cに示す鏡筒12とを準備する。レンズ11に関しては、フランジの厚みをdとし、レンズ部材の所定の側、この例では、レンズ押え部材13の開口部13aと対峙させる側であって、当該レンズ押え部材13と当接させる円盤状部位に平坦面IIaを形成する。また、鏡筒12の開口部31と対峙させる側であって、当該鏡筒12と当接させる部分を凸型に突出させると共に円盤状部位に平坦面IIbを形成する。レンズ部材にはガラスやプラスティックを使用する。
この例では、レンズ11の外径がφとなるように、所定のレンズ用の型枠を形成し、この型枠にレンズ材料を流し込んでレンズ11を形成する。これにより、鏡筒12のレンズガイド部12aへ挿入可能で外周表裏面に平坦面IIa,IIbを有した形状のレンズ11を形成するようになされる。
レンズ押え部材13に関しては、アルミダイキャスト等の本体部材を扁平な円筒蓋(キャップ)状に加工し、受光用の開口部13aや、凹状の本体部13b、当該本体部13bの内側に呼び径Mcの雌ネジ部13cを形成する。例えば、アルミダイキャスト等の原料を型枠に入れて成型し、その後、孔開け加工機で開口部13aを形成する。ネジ加工機で、本体部13bの内側に、開口部13aの口径に比べて奥部の口径を狭くした台錐形状の雌ネジ部13cを形成する。
鏡筒12に関しては、樹脂成形部材の本体中央に開口部31を形成し、この開口部31を除くレンズ11と当接する側に、凹型に落ち込む円筒状のレンズガイド部12aを形成する。レンズガイド部12aの中央には平坦面IIIを成したレンズ座面部12cを形成する。レンズガイド部12aの外面側には呼び径Mbを有した雄ネジ部12bを形成する。もちろん、鏡筒12を象ったコア及びキャビティから成る金型を作成し、当該金型に所望の樹脂部材を封入して雄ネジ部12b付きの鏡筒12を形成してもよい。
レンズ11、鏡筒12及び、レンズ押え部材13が準備できたら、レンズ11を鏡筒12内に収納する。この例では、図5Bに示すレンズ11の円盤状部位の平坦面IIaと、レンズ押え部材13の平坦面Iとを当接し、レンズ11の円盤状部位の平坦面IIbと、鏡筒12のレンズ座面部12cの平坦面IIIとを当接するように組み合わせて、図5Aに示すレンズ押え部材13の内部に当該レンズ11載置済みの鏡筒12を収納(挿入)する。
このとき、レンズ11が収納された鏡筒12の雄ネジ部12bに、レンズ押え部材13の台錐形状の雌ネジ部13cを螺合して確実に固定するようになされる。特に、レンズ11への突き当て時に、図4に示したように、鏡筒12のレンズガイド部12aの内側より、光軸中心方向に力Fxが働き、鏡筒12は光軸0と垂直方向の径方向に対して確実に固定される。これにより、図1に示した第1のレンズ固定構造1を提供することができる。
このように、第1の実施例としてのレンズ固定構造1及びレンズ固定方法によれば、レンズ11を鏡筒12内に収納する場合、上述したレンズ押え部材13の雌ネジ部13cの呼び径Mcと、鏡筒12の雄ネジ部12bの呼び径Mbとの間には、Mc<Mbなる関係に設定するようになされる。
従って、レンズ押え部材13の凹状の本体部13b内へ鏡筒12のレンズガイド部12aを挿入すればするほど、そのレンズガイド部12aの側壁をレンズ11のフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる。この結果、レンズガイド部12aの側壁が光軸方向と直交する垂直方向から中心へレンズ11を締め付けるようになるので、レンズ11の遊びを抑制できるようになる。これにより、従来方式のレンズ固定構造10に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようになる。従って、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供することができ、当該部品を実装したカメラの信頼性の向上に寄与する。
図6は、本発明に係る第2の実施例としてのレンズ固定構造2の構成例を示す一部破砕の斜視図である。第2の実施例では、第1の実施例と異なり、鏡筒22とレンズ押え部材23を相互に締結固定する各々の雄ネジ部22b及び雌ネジ部23cの配設位置と、レンズ21の径方向への移動規制位置とを別箇所に分離して設けた点である。
図6に示すレンズ固定構造2は、第1の実施例と同様にしてカメラモジュール用のレンズ鏡筒に適用して好適であり、レンズ21、鏡筒22及びレンズ押え部材23を備えて構成される。
レンズ21は光学部材の一例を構成し、鏡筒22の開口部31と対峙する側であって、当該鏡筒22と当接させる側が凸型に突出した状態を有すると共に、その外周部が所定のフランジ厚を有した円盤状を成している。レンズ21には第1の実施例と同様にしてガラスやプラスティック等を素材とする凹レンズや凸レンズが使用される。光学部材にはレンズ21の他に絞り部品や、アパーチャ(遮光)部品等が含まれる。レンズ21にはガラスやプラスティック(樹脂)等を素材とする凹レンズや凸レンズが使用される。
鏡筒22は第1の実施例と同様にして扁平な円筒状を成しており、レンズ21を収納して保持する。鏡筒22は受光用の開口部31や、レンズ21と当接する側が凹型の円筒状に抉られた(落ち込んだ)レンズガイド部22a等を有している。当該レンズガイド部22aの外面側には雄ネジ部22bが設けられる。これまでは第1の実施例と同様であるが、これと共に、当該レンズガイド部22aの外側上部周囲には台錐形状の平坦面が設けられる。鏡筒22には樹脂成形部品や炭素繊維含有の樹脂成形部品等が使用される。
レンズ押え部材23は環状の押え部材の他の一例を構成し、扁平円筒蓋(キャップ)状を成し、内側上方中央に受光用の開口部23aを有している。レンズ押え部材23は鏡筒22の内部に収納されたレンズ21を固定するものである。レンズ押え部材23は、レンズ21と当接する側が凹型の円筒状に抉られた凹状の本体部23bを有している。レンズ押え部材23の内側面には雌ネジ部23cが設けられると共に、当該レンズ押え部材23の内側奥周囲には台錐形状の平坦面が設けられる。この例では、レンズ押え部材23の雌ネジ部23cと鏡筒22の雄ネジ部22bとが螺合されると共に、当該レンズ押え部材23の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒22の台錐形状の傾斜部とが当接される。レンズ押え部材23の材質には、アルミダイキャストや、黄銅、SUS等の金属又は合金が使用される。
図7は、レンズ固定構造2の構成例を補足する断面図である。図7に示すレンズ固定構造2によれば、鏡筒22に挿入されるレンズ21は、円盤状部位(フランジ)を有している。レンズ21は、第1の実施例と同様にして平坦面挟持構造を採っている。第1の実施例と異なるのは、変形レンズ中心寄せ構造が採られる点である。変形レンズ中心寄せ構造では、レンズ押え部材23のレンズ固定側に、鏡筒22のレンズガイド部22aを倒れ込ませる傾斜形状(傾斜部Ib)を設けている点が異なっている。
例えば、レンズ押え部材23は開口部23aを有している。レンズ押え部材23は当該開口部23aを除くレンズ21と当接する側が凹状に落ち込んだ本体部23bとなされ、この本体部23bの天板部位が傾斜部Iaと、これに連続する台錐形状の傾斜部Ibとなされている。この例で、傾斜部Ibは、開口部23aの内側奥周囲に設けられ、当該傾斜部Ibとレンズ21の側面とで台錐楔形状の溝部23dを構成する(図5A参照)。
また、レンズ21の円盤状部位は第1の実施例と同様にして平坦面IIa,IIbを有している(図5B参照)。平坦面IIaは、レンズ押え部材23の開口部23aと対峙する部分を除く部位に設けられ、平坦面IIbは、鏡筒22の開口部31と対峙する部分を除く部位に設けられる。
この例で、鏡筒22のレンズガイド部22aの外側上部周囲には台錐形状の傾斜部IVが設けられ、このレンズガイド部22aの傾斜部IVが先端台錐楔形状部22eを構成する(図5C参照)。レンズガイド部22aの内側にはレンズ座面部22cが設けられる。レンズ座面部22cは平坦面IIIを有している。この例でも、レンズ座面部22cの平坦面IIIと、レンズ押え部材23の平坦面Iaとでレンズ21の円盤状部位を挟み込むようになされる。レンズ21の平坦面IIaはレンズ押え部材23の平坦面Iaに当接され、その平坦面IIbは鏡筒22の平坦面IIIに当接される(平坦面挟持構造)。
この例では、平坦面挟持構造に加えて、レンズ21の円盤状部位の側面を鏡筒22のレンズガイド部22aの側壁でレンズ径方向へ当接する(寄せる)ようになされる。ここで、レンズ押え部材23の雌ネジ部23cの呼び径をMcとし、鏡筒22の雄ネジ部22bの呼び径をMbとしたとき、呼び径Mcと呼び径Mbとの間には、(3)式、すなわち、
Mc=Mb・・・・(3)
なる関係に設定される。このようにレンズ押え部材23の雌ネジ部23cの呼び径Mcと、鏡筒22の雄ネジ部22bの呼び径Mbを設定し、凹状の本体部23b内へ鏡筒22を挿入すればするほど、上述した台錐楔形状の溝部23dに、先端台錐楔形状部22eを挿入することができ、当該レンズ押え部材23のレンズガイド部22aの側壁をレンズ21のフランジ側面へ強制的に倒れ込ませることができる(変形レンズ中心寄せ構造)。
図8は、図7の波線円内図に示したレンズ21、鏡筒22及びレンズ押え部材23の当接例を示す拡大図であり、3部品が固定された部分を拡大した図である。
図8に示すレンズ21、鏡筒22及びレンズ押え部材23の当接例によれば、レンズ21を挟持した状態で当該鏡筒22及びレンズ押え部材23を共にネジ締めによって相互に締結される。
この例でも、鏡筒22のレンズガイド部22aの内側周囲に所定の深さの溝部22dが設けられる。例えば、図8に示す鏡筒22のレンズ座面部22cにおいて、レンズガイド部22aの根元に、光軸方向に深さを持つような溝部22dが形成される。この溝部22dを設けることによって、レンズガイド部22aの強度を減少させ、当該ガイド部22aの径方向の倒れ込みを容易にできるようになる。これにより、第1の実施例と同様にして鏡筒22と、レンズ押え部材23との間の強度を調整できるようになる。
例えば、図8に示すレンズ21の径方向において、レンズ押え部材23の内側の傾斜部(面)Ibの強度や、鏡筒22のレンズガイド部12aの傾斜部(面)IVの強度等の間で形状的又は材料的な強度関係を各々の部位に設定するようになされる。
ここに、レンズ押え部材の傾斜部Ibの強度をGcとし、鏡筒22のレンズガイド12aの傾斜部IVの強度をGbとしたとき、強度Gc,Gbとの間には、(4)式、すなわち、
Gc>Gb・・・・・(4)
なる関係に設定される。このように、レンズ押え部材23の傾斜部(面)Ibの強度Gcと、鏡筒22のレンズガイド部22aの傾斜部IVの強度GbとをGc>Gbの関係に設定すると、当該鏡筒22と、レンズ押え部材23との間の強度を調整できるようになる。
これらの関係を設定した上で、雌ネジ部13c及び雄ネジ部12bの同時ネジ締めによって、レンズ押え部材23を鏡筒22に締め込むことにより、レンズ押え部材23とレンズ21とが、強度的に弱く設定したレンズガイド部22aを介して、光軸方向に面接触する。これにより、呼び径Mbの鏡筒22のレンズガイド部12aの傾斜部IVが、呼び径Mb=Mcに設定されたレンズ押え部材23の傾斜部Ibに押されて径方向に倒れ込み、レンズ21に対して直接接触する。
この例では、レンズ押え部材23の傾斜部Ib及びレンズ側面から成る台錐楔形状の溝部23dに、レンズガイド部22aの先端台錐楔形状部22eを挿入した時、レンズ21を押える力Fが発生する。ここでレンズ中心方向への力をFxとしたとき、力Fxは、レンズ21の径方向の動きを規制し、光学部品の光軸ズレを防止でき、しかも、映像ズレを抑えるようになる。また、光軸方向への力をFzとしたとき、力Fzがレンズ21の光軸方向の動きを規制するので、レンズ21等の光学部品の光軸ズレを抑制し、画ボケ等の光学特性劣化を防止できるようになる。
次に、本発明に係る第2のレンズ固定方法について説明する。図9A〜Cは、レンズ固定例を示す工程図である。この実施例では、開口部23aを有した扁平円筒状のレンズ押え部材23を使用して鏡筒22の内部にレンズ21を固定する場合を前提とする。
まず、図9Aに示すレンズ押え部材23と、図9Bに示すレンズ21と、図9Cに示す鏡筒22とを準備する。レンズ21に関しては、第1の実施例と同様にしてフランジの厚みをdとし、レンズ部材の所定の側、この例では、レンズ押え部材23の開口部23aと対峙させる側であって、当該レンズ押え部材23と当接させる円盤状部位に平坦面IIaを形成する。また、鏡筒22の開口部31と対峙させる側であって、当該鏡筒22と当接させる部分を凸型に突出させると共に円盤状部位に平坦面IIbを形成する。レンズ部材にはガラスやプラスティックを使用する。
この例では、レンズ21の外径がφとなるように、所定のレンズ用の型枠を形成し、この型枠にレンズ材料を流し込んでレンズ21を形成する。これにより、鏡筒22のレンズガイド部22aへ挿入可能で外周表裏面に平坦面IIa,IIbを有した形状のレンズ21を形成するようになされる。
レンズ押え部材23に関しては、アルミダイキャスト等の本体部材を扁平な円筒蓋(キャップ)状に加工し、受光用の開口部23aや、凹状の本体部23b、当該本体部23bの内側に、傾斜部Ib及び呼び径Mcの雌ネジ部23cを形成する。例えば、アルミダイキャスト等の原料を型枠に入れて成型し、その後、孔開け加工機で開口部23aを形成する。傾斜部Ibは型枠成形時にレンズ押え部材23の内側を台錐形状に加工することで設定する。
鏡筒22に関しては、樹脂成形部材の本体中央に開口部31を形成し、この開口部31を除くレンズ21と当接する側に、凹型に落ち込む円筒状のレンズガイド部22aを形成する。レンズガイド部22aの中央には平坦面IIIを成したレンズ座面部22cを形成する。レンズガイド部22aの外面側には、その先端部に傾斜部IVと、呼び径Mbを有した雄ネジ部22bとを形成する。傾斜部IVは、レンズガイド部22aの先端外側を端面(法面)仕上げすることで設定する。もちろん、雄ネジ形状及び傾斜部形状付きの鏡筒22を象ったコア及びキャビティから成る金型を作成し、当該金型に所望の樹脂部材を封入して雄ネジ部22b及び傾斜部IV付きの鏡筒22を形成してもよい。
レンズ21、鏡筒22及び、レンズ押え部材23が準備できたら、レンズ21を鏡筒22内に収納する。この例では、図9Bに示すレンズ21の円盤状部位の平坦面IIaと、レンズ押え部材23の平坦面Iとを当接し、レンズ21の円盤状部位の平坦面IIbと、鏡筒22のレンズ座面部22cの平坦面IIIとを当接するように組み合わせて、図9Aに示すレンズ押え部材23の内部に、当該レンズ載置済みの鏡筒22を収納(挿入)する。
このとき、レンズ21が収納された鏡筒22の雄ネジ部22bに、レンズ押え部材23の台錐形状の雌ネジ部23cを螺合して確実に固定する。例えば、図8に示したレンズ押え部材23の傾斜部Ib及びレンズ側面から成る台錐楔形状の溝部23dに、レンズガイド部22aの先端台錐楔形状部22eを挿入すると、レンズ21を押える力Fが発生する。そして、鏡筒22のレンズガイド部22aの内側より、光軸中心方向に力Fxが働き、鏡筒22は光軸0と垂直方向の径方向に対して確実に固定される。これにより、図6に示した第2のレンズ固定構造2を提供することができる。
このように、第2の実施例としてのレンズ固定構造2及びレンズ固定方法によれば、レンズ21を鏡筒22の内部へ収納する場合、鏡筒22をレンズガイド部22a内へ挿入すればするほど、レンズ押え部材23の台錐形状の傾斜部Ibに沿って、当該鏡筒22の台錐形状の傾斜部(面)IVをレンズ21のフランジ側面へ強制的に押し付けることができる。
この結果、第1の実施例と同様にして、鏡筒22のレンズガイド部22aの側壁が光軸方向と直交する垂直方向から中心へレンズ21を締め付けるようになるので、レンズ21の遊びを抑制できるようになる。これにより、従来方式のレンズ固定構造に比べて撮像素子に対する光軸ズレを防止できるようになる。従って、高信頼度のレンズ組み込み部品を提供することができ、当該部品を実装したカメラの信頼性の向上に寄与する。
この発明は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、車載用のカメラ等のカメラモジュール用のレンズユニットに適用して極めて好適である。
本発明に係る第1の実施例としてのレンズ固定構造1の構成例を示す一部破砕の斜視図である。 レンズ固定構造1の構成例を補足する断面図である。 図2の波線円内図に示したレンズ11、鏡筒12及びレンズ押え部材13の当接例を示す拡大図である。 レンズ11、鏡筒12’及びレンズ押え部材13の当接例を示す拡大図である。 (A)〜(C)は、レンズ固定例を示す工程図である。 第2の実施例としてのレンズ固定構造2の構成例を示す一部破砕の斜視図である。 レンズ固定構造2の構成例を補足する断面図である。 図7の波線円内図に示したレンズ21、鏡筒22及びレンズ押え部材23の当接例を示す拡大図である。 (A)〜(C)は、レンズ固定例を示す工程図である。 従来例に係るレンズ固定構造1の構成例を示す断面図である。 図10の波線円内図に示したレンズ41、鏡筒42及びレンズ押え部材43の当接例を示す拡大図である。 レンズ固定構造10’の改善例を示す拡大図である。
符号の説明
1,2・・・レンズ固定構造、11,21・・・レンズ、12,22・・・鏡筒、12b,22b・・・雄ネジ部、12a,22a・・・レンズガイド部、13,23・・・レンズ押え部材、13a,31・・・開口部、13c,23c・・・雌ネジ部

Claims (10)

  1. レンズと、
    前記レンズを収納する鏡筒と、
    開口部を有して前記鏡筒内のレンズを固定する環状の押え部材とを備え、
    前記押え部材は、
    前記レンズと当接する側が凹型の円筒状に抉られた本体部を有しており、当該本体部の内側面には、当該開口部の口径に比べて奥部の口径が狭くなされた台錐形状の雌ネジ部が設けられ、
    前記鏡筒は、
    前記レンズを収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有しており、当該穴部の外面側には雄ネジ部が設けられ、
    前記押え部材の台錐形状の雌ネジ部が前記鏡筒の雄ネジ部に螺合されることを特徴とするレンズ固定構造。
  2. 前記押え部材の雌ネジ部の呼び径をMcとし、前記鏡筒の雄ネジ部の呼び径をMbとしたとき、前記呼び径Mcと呼び径Mbとの間には、
    Mc<Mb
    なる関係に設定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ固定構造。
  3. 前記押え部材の雌ネジ部の強度をFcとし、前記鏡筒の穴部の強度をFbとしたとき、前記強度Fc,Fbとの間には、
    Fc>Fb
    なる関係に設定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ固定構造。
  4. 前記鏡筒の穴部の内側周囲に所定の深さの溝部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のレンズ固定構造。
  5. 開口部を有した押え部材を使用して鏡筒内にレンズを固定する方法であって、
    前記レンズを当接するための押え部材を加工して凹型の円筒状の本体部を形成し、かつ、当該本体部の内側面に当該開口部の口径に比べて奥部の口径を狭くした台錐形状の雌ネジ部を形成する工程と、
    前記レンズを収納するための鏡筒部材を加工して凹型の円筒状の穴部を形成し、かつ、 当該穴部の外面側に雄ネジ部を形成する工程と、
    前記レンズを鏡筒内に収納する工程と、
    前記レンズが収納された前記鏡筒の雄ネジ部に前記押え部材の台錐形状の雌ネジ部を螺合する工程とを有することを特徴とするレンズ固定方法。
  6. レンズと、
    前記レンズを収納する鏡筒と、
    開口部を有して前記鏡筒内のレンズを固定する環状の押え部材とを備え、
    前記押え部材は、
    前記レンズと当接する側が凹型の円筒状に抉られた本体部を有しており、当該本体部の内側面には雌ネジ部が設けられると共に、当該本体部の内側奥周囲には台錐形状の傾斜部が設けられ、
    前記鏡筒は、
    前記レンズを収納する側が凹型の円筒状に落ち込んだ穴部を有しており、当該穴部の外面側には雄ネジ部が設けられると共に、当該穴部の外側上部周囲には台錐形状の傾斜部が設けられ、
    前記押え部材の雌ネジ部と前記鏡筒の雄ネジ部とが螺合されると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とが当接されることを特徴とするレンズ固定構造。
  7. 前記押え部材の雌ネジ部の呼び径をMcとし、前記鏡筒の雄ネジ部の呼び径をMbとしたとき、前記呼び径Mcと呼び径Mbとの間には、
    Mc=Mb
    なる関係に設定されることを特徴とする請求項6に記載のレンズ固定構造。
  8. 前記押え部材の傾斜部の強度をGcとし、前記鏡筒の穴部の傾斜部の強度をGbとしたとき、前記強度Gc,Gbとの間には、
    Gc>Gb
    なる関係に設定されることを特徴とする請求項6に記載のレンズ固定構造。
  9. 前記鏡筒の穴部の内側周囲に所定の深さの溝部が設けられることを特徴とする請求項6に記載のレンズ固定構造。
  10. 開口部を有した押え部材を使用して鏡筒内にレンズを固定する方法であって、
    前記レンズを当接するための押え部材を加工して凹型の円筒状の本体部を形成し、かつ、当該本体部の内側面に雌ネジ部を形成すると共に、当該本体部の内側奥周囲に台錐形状の傾斜部を形成する工程と、
    前記レンズを収納する鏡筒部材を加工して凹型の円筒状の穴部を形成し、かつ、当該穴部の外面側に雄ネジ部を形成すると共に、当該穴部の外側上部周囲に台錐形状の傾斜部を形成する工程と、
    前記レンズを鏡筒内に収納する工程と、
    前記レンズが収納された前記鏡筒の雄ネジ部と前記押え部材の雌ネジ部とを螺合すると共に、当該押え部材の台錐形状の傾斜部と当該鏡筒の台錐形状の傾斜部とを当接する工程とを有することを特徴とするレンズ固定方法。
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