JP2009013182A - 抗体を産生するカプセル封入細胞 - Google Patents

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Abstract

【課題】カプセルからの抗体の放出が可能であり、かつ宿主において移植後の炎症応答を引き起こさない、抗体産生細胞を含有するカプセルを提供すること。
【解決手段】
本発明の課題は、抗体産生細胞を封入するカプセルであって、前記細胞を含有するコアと、前記コアを取り囲み、且つ前記細胞により産生された抗体を通過可能である多孔性カプセル壁とを備えたカプセルによって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗体、とりわけ種々のクラスの免疫グロブリン;IgM、IgD、IgGs、IgEおよびIgAに属する抗体を産生するカプセル封入細胞、並びに前記カプセル封入細胞の、治療上有益な抗体の長期間のデリバリーまたは継続したデリバリーを目的とする生体移植のための使用に関する。
患者に移植した操作された(engineered)細胞により、細胞増殖抑制性腫瘍または細胞毒性腫瘍に特異的な抗体を全身デリバリーすることは、外科手術、化学療法または放射線治療のような主治療後の再発を防止するための長期に亘る抗がんサーベイランス治療にとって非常に有益であり得る。このようなアプローチは、ウイルス中和抗体またはウイルス産生細胞に対する毒性を有する抗体をデリバリーするものであれば、AIDSのような重症のウイルス性疾患を治療するために使用することもできる。さらに、抗体の長期的な全身デリバリーは、より基本的な目的、例えば体液性応答が病気の進展に寄与する自己免疫疾患の新規動物モデルを開発するためにも有効であり得る(非特許文献1)。別の適用可能性として、細胞タイプに特異的な膜マーカーを認識する細胞毒性抗体を血流に放出することにより、特異的な細胞セットの種々の分化経路および/または生物学的重要性をin vivoで研究するのに有効な新たな細胞破壊技術の開発が挙げられる。この状況において、抗体は、例えば特定の分化ステップの後、分化中の標的細胞表面にコグネイト抗原が出現した直後に、この標的細胞を殺すだろう。
レトロウイルスの遺伝子転移を用いることにより、遺伝的改変および患者への移植が可能な幾つかの細胞タイプ(皮膚繊維芽細胞、筋細胞、肝細胞およびケラチノサイト)が、親抗体の特異性および親和性を保持した抗体を産生できることが最近示された(非特許文献2)。更に、操作された筋細胞の移植は、少なくとも数ヶ月間、マウスにおいてクローン抗体の全身デリバリーを可能にする。これらの観察は、患者細胞の操作が長期に亘る抗体ベースの遺伝子治療にとって有効であり得るという考えを支持するが、幾つかの問題により、このような技術の臨床上の適用は潜在的に制限される。第一に、このような治療上のアプローチは、労働集約的であり時間浪費的であるだろう。第二に、患者細胞の安定した遺伝的改変には、現在のところ、免疫システムによる非MHC(MHC=主要組織適合遺伝子複合体)適合細胞の拒絶を避けるため、ex vivoレトロウイルス感染、その後の自己移植を利用している。これは、ある個人由来の操作された細胞を別人に使用することができないため、該アプローチの多用途性を低下させる。第三に、遺伝子治療プロトコールで使用可能な細胞における効率的な遺伝子転移および転移遺伝子の長期的な発現が、未だ完全には解決されない問題である(非特許文献3;非特許文献4; 非特許文献5)。
この観点から、免疫保護デバイスの中にカプセル封入した操作された細胞の患者への移植は、より多用途で、費用的に有効なアプローチであり得る。一方では、この移植は(最適な抗体発現のためにin vitroで可能性として選択された)非MHC適合細胞の同じバッチを数人の患者に使用することを可能にするはずであり、他方では、カプセルの移植は非常に単純な外科手術である。その上、このような技術は、治療を終了することが必要なときに、抗体産生細胞の簡単な外科的除去という実現性をも提供してくれるだろう。
最適な機能のために、カプセル孔は、二つの基準を満たさなければならない。
一つは、カプセル孔は、抗体のような問題の分子が出ていくことを許容し、且つ細胞の生存に必要な栄養分が侵入して効率よく拡散することを許容するのに十分大きくなければならない。二つめに、カプセル孔は、封入された細胞がカプセルから外に出ることを妨害し、且つ宿主の免疫システム細胞の侵入を妨害するために十分小さくなければならない。
ある生物学的に活性な分子の放出を可能にするが、これら分子を産生する細胞を宿主の免疫システムから保護する、透過性の構造に細胞を封入することは、幾つかの成功により達成された。(非特許文献6を概説として参照)。ヒト成長ホルモン(hGH)(非特許文献7)または分泌型のヒト・アデノシンデアミナーゼ(非特許文献8)を産生するように遺伝的に改変した細胞を、カプセルで封入した。これら研究の双方において、細胞を、ポリ-L-リジン-アルギン酸塩のマイクロカプセルに封入して、その細胞を長期間培養すると生存し続けることが示された。これに伴って、酵素またはホルモンの長期間の産生が起こった。更に、マウスにそのマイクロカプセルを移植すると、細胞は1年間生存しつづけ、hGHを産生しつづけることが実証され、これにより、カプセルが宿主の免疫システムによる破壊からトランスフェクトされた細胞を保護していることが証明された。
しかし、ポリリジン-アルギン酸塩カプセルが、炎症応答を引き起こすことも報告された(非特許文献9;非特許文献10)。
細胞のカプセル封入については、他の材料を用いた報告もされている。神経成長因子を産生するように遺伝的に改変された新生仔ハムスターの腎細胞を、ポリアクリロニトリル/塩化ビニルで封入し、ラットの脳に移植した。そのカプセル封入細胞は、少なくとも6ヶ月間生存し、NGFを産生し続けた(非特許文献11および非特許文献12)。
マウスのIL-4に対して特異的なmAbを分泌するラットのハイブリドーマ細胞を、アルギン酸塩で封入し、マウスの腹腔内および皮下に移植した(非特許文献13)。しかし、血流中にデリバリーされた抗体レベルは、カプセルの劣化の結果、14日後に低下した。その上、このシステムにおいて、カプセルから腹腔内に放出された細胞の結果、腹水の発達が移植30日後に100%観察された。
肝細胞を、硫酸セルロースおよびポリジメチルジアリルアンモニウムのポリ電解質複合体で封入することに成功した(非特許文献14)。90%以上のカプセル封入された肝細胞が、その生存能力を保持し、単層として増殖した肝細胞に比べて、このカプセル封入細胞は高い代謝活性を示した。
同じ封入材料が、抗体を産生するハイリドーマ細胞をカプセル封入するために使用されている(非特許文献15)。そのカプセルは、硫酸セルロースナトリウム(1.5%)およびポリ-ジメチル-ジアリル-アンモニウムクロリド(2%溶液)の溶液から調製された。カプセル特性、細胞増殖、およびモノクローナル抗体産生に対する、カプセル封入工程の種々のパラメーターの影響をテストし、ポリアニオンとして硫酸セルロースナトリウム、およびポリカチオンとしてポリ-ジメチル-ジアリル-アンモニウム-クロリドを使用したカプセル封入が、高密度で哺乳類細胞を培養するのに有効なカプセル調製にとって適切なツールであることが実証された。
当該分野の状況から公知であることを要約すると、抗体を産生するカプセル封入細胞の、治療を目的とする抗体の長期間のデリバリーおよび/または継続した放出のための生体移植は、記載または示唆もされていないか、あるいはカプセルの移植は、例えば、炎症応答のような重度の副作用という結果に至るかのどちらかである。
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従って、本発明の目的は、カプセルからの抗体の放出が可能であり、かつ宿主において移植後の炎症応答を引き起こさない、抗体産生細胞を含有するカプセルを提供することである。
本発明は、単独または組み合わせにおいて、とりわけ以下のものを包含する。
抗体産生細胞を封入するカプセルであって、前記細胞を含有するコアと、前記コアを取り囲み、且つ前記細胞により産生された抗体を通過可能である多孔性カプセル壁とを備えたカプセル;
前記多孔性カプセル壁が、反対電荷のポリ電解質から形成されたポリ電解質複合体から成る上記カプセル;
前記多孔性カプセル壁が、硫酸セルロースおよびポリジメチルジアリルアンモニウムから形成された複合体から成る上記カプセル;
前記細胞が、クローン抗体を産生するように遺伝的に改変された上記の任意のカプセル;
前記抗体が、免疫グロブリンのIgA、IgM、IgG、IgDまたはIgEクラスに属する上記の任意のカプセル。
上記の任意のカプセルであって、前記抗体が、
ウイルス感染細胞の表面上にあるウイルス表面マーカー
がん細胞
自己免疫疾患の病理学的効果に関与するTまたはBリンパ球
寄生生物の表面マーカーまたは
有害効果(例えば自己抗体)を伴って循環する抗原
に結合し、前記細胞に対して細胞増殖抑制性または細胞毒性効果を示す抗体から選択されるか、または、
前記抗体が、ウイルスの細胞感染に必要なウイルスレセプターに結合し阻害する抗体、ウイルスへの結合を介した直接的な中和効果を有する抗体もしくは循環する有害抗原に対する直接的な中和効果を有する抗体から選択されるカプセル;
上記の任意のカプセルの、前記カプセルから放出された抗体に応答する病気または疾患を治療するための、ヒトを含めた動物生体への移植のための使用;
皮下移植のための上記の使用;
上記の任意のカプセルの、前記カプセルから放出された抗体に応答する病気または疾患を治療する薬学的組成物を産生するための使用;
上記の任意のカプセルを含有し、前記カプセルから治療上有効な量で放出された抗体に応答する病気または疾患を治療するための薬学的組成物;
上記の任意のカプセル封入細胞により産生された抗体に応答する疾患または病気の治療方法であって、前記カプセルおよび/または上記の薬学的組成物の、ヒトを含めた動物生体への移植を含む方法;
皮下移植を含む上記の方法;並びに、
がんもしくは自己免疫疾患を治療するか、または寄生生物もしくは病原性ウイルスによる感染を治療もしくは防御する上記の方法。
本発明により、カプセルからの抗体の放出を可能にし、且つ宿主において移植後の炎症応答を引き起こさない、抗体を産生する細胞を含有するカプセルを提供する。
本発明のカプセル封入された細胞は、(例えば、硫酸基含有ポリサッカライドもしくはポリサッカライド誘導体、またはスルホン酸基含有合成ポリマーから選択された)ポリ電解質の水溶液中に、抗体を産生する細胞を懸濁することにより調製することができ、その後、予め形成された粒子形態のその溶液を、(例えば、第四級アンモニウム基を有するポリマーのような)反対電荷のポリ電解質の水溶液を含有する沈殿浴に導入する。
硫酸基含有ポリサッカライドまたはポリサッカライド誘導体とは、硫酸セルロース、酢酸硫酸セルロース、硫酸カルボキシメチルセルロース、硫酸デキストランまたは硫酸デンプンの塩、特にナトリウム塩の形態を含む。スルホン酸基含有合成ポリマーとは、スルホン酸ポリスチレンの塩、好ましくはナトリウム塩であり得る。
第四級アンモニウム基を有するポリマーとは、ポリジメチルジアリルアンモニウムまたはポリビニルベンジル-トリメチルアンモニウムの塩、好ましくは塩化物の塩の形態を含む。
本発明の好ましい態様において、抗体を産生する細胞は、硫酸セルロースおよびポリジメチルジアリル-アンモニウムから形成された複合体から成る複合体中でカプセル封入される。
本発明のカプセル調製のために使用する硫酸セルロースカプセルの調製方法は、DE A1 40 21 050に全て記載されている。また、硫酸セルロースの合成は、この特許出願に記載されている。硫酸セルロースカプセルの包括的な特徴付けのための方法は、H.Dautzenbergら,Biomat.,Art.Cells & Immob.Biotech.,Vol.21,399-405(1993)に、広く取りあげられている。硫酸セルロースカプセルおよびその調製は、GB 2 135 954にも記載されている。セルロースカプセルの特徴、即ちそのサイズ、孔サイズ、壁の厚さ、および機械的特性は、例えばカプセルを調製した物理的状況、沈殿浴の粘性、そのイオン強度、温度、細胞/硫酸セルロース懸濁液の添加速度、硫酸セルロースの組成、並びにDautzenbergグループにより記載されたその他のパラメーターのような幾つかのファクターに依存する。
本発明のカプセルは、抗体を産生する細胞を、水溶液中、好ましくは緩衝液中に0.5−50%、好ましくは0.5−5%の硫酸セルロースナトリウムおよび5%のウシ胎仔血清を含有する溶液中で懸濁することにより調製することができる。次いで、この懸濁液を、分注システム(例えば、エアージェットシステムまたはピエゾ電気システム)により、水溶液中、好ましくは緩衝液中に0.5−50%、好ましくは0.5−10%のポリジメチル-ジアリルアンモニウムクロリドの撹拌溶液を含有する沈殿浴に滴下する。カプセル形成はミリ秒以内に起こり、細胞を含有するカプセルは、30秒ないし5分間沈殿浴に保持してから洗った。この方法の迅速性により、全工程にわたって細胞は過度に圧迫されないことが保証される(Strangeら,Biomat.Art.Cells & Immob.Biotech.21.343-352(1993))。
本発明のカプセルは、0.01から5mmまでの可変的な直径を有するが、好ましくは、0.1から3mmまでである。その結果、カプセルは、可変的な細胞数を含有するようにつくることができる。本発明のカプセル封入工程を用いて、1010以下、好ましくは、103−107の抗体産生細胞を、ポリ電解質複合体中でカプセルに封入することができる。
硫酸セルロースおよびポリジメチルジアリルアンモニウムから成るカプセルは、優れた機械的特性を有し、一定した直径および孔サイズに製造することができる。
カプセル封入細胞は、通常の細胞培養培地(その培地特性は、カプセル封入された細胞に依存する)中で、標準の湿度、温度およびCO2濃度の条件で培養することができる。この培養期間にわたって、カプセルから細胞培養培地への抗体の産生は、特異的抗体を用いたウェスタンブロットまたはElisa技術のどちらかにより実証することができ、更に蛍光色素を結合した二次抗体を用いて定量することもできる。
適切な期間の培養後(通常、1時間以上30日以下)、細胞含有カプセルを、直接またはシリンジを用いた注射により、身体の種々の場所に外科的に移植することができる。
本発明のカプセル封入細胞により産生される抗体は、治療に有効な任意の免疫グロブリンクラスに基づくことができ、遺伝的に改変された抗体も含むがこれに限定されない。
本発明のカプセル封入細胞は、患者から採取した細胞、またはクローン抗体の産生のために遺伝的に改変した、ヒトおよび動物細胞を含む任意の他の供給源から採取した細胞であり得る。
カプセル封入細胞およびカプセルの各々は、前記カプセルから放出された抗体に応答する病気または疾患の治療を目的とする、ヒトを含めた動物生体への移植のために特に使用される。カプセルを動物体の腹腔内および皮下に移植した後、カプセル、特に硫酸セルロースカプセルは、皮下または腹腔内移植にかかわらず、移植後10ヶ月もの間、元の形のまま観察されるため、例えば、アルギン酸塩カプセルより、機械的耐性に関して明らかな利点を提供することが見出された。
その上、細胞を含有した硫酸セルロースカプセルの皮下および腹腔内移植は、少なくとも二つの点に関して違いを呈していることが観察された。第一に、血流中に放出された抗体の量は、前者の状況において著しく高かった。この違いに対する非常に適切な説明は、皮下に移植されるとカプセルは急速に血管新生され、腹腔内に移植されると全く血管新生されないという事実にある。血管新生の有利な効果は二重にあり、一つには血液による抗体摂取が容易になることであり、二つめには、腹腔内に移植されたカプセル内の細胞生存能力の低いことが再現的に観察されることから、細胞の生存に好ましい栄養分の供給が確保されていることである。10ヶ月間の追跡にわたって何の重大な変化も示さなかった広範囲の血管新生に加えて、皮下移植後に結合嚢(connective pouch)内に細胞が群生することは、カプセルの除去が必要と分かった場合、カプセルの除去を、簡単な一工程での新器官全体の外科的切除により可能にする。結局、移植された硫酸セルロースカプセルの周囲での孤立した繊維症(isolating fibrosis)の発生は系統的でないと強調することは重要である。この観察は、繊維症を伴う宿主の反応が、カプセル化ポリマーによる有効なマクロファージの活性化の結果として、カプセルの周囲でおそらく生じた、アルギン酸塩-ポリ(L)-アルギン酸塩のマイクロカプセルのケースで報告されたものと対照的である(Pueyo,M.E.ら,J.Biomater Sci.Polym.ED.,Vol.5,197-203(1993))。
抗イディオタイプ応答は、多量の投与量の精製モノクローナル抗体により繰り返し治療された患者にしばしば観察され、時々、その治療の効果を中和することができる(Isaacs,J.D.,Semin.Immunol.,Vol.2,449-456(1990))。更に、抗体の投与方法は、抗イディオタイプ応答の誘導に関して重要なパラメーターであることも示されている。例えば、皮下および皮内注射は、静脈内注射よりずっと免疫抗原性が高いことが報告されている(Durrant,L.G.ら.,Cancer Immunol.Immunother.,Vol.28,37-42(1989))。従って、前記抗体を放出する硫酸セルロースカプセルに封入された細胞を移植した動物体で産生されるモノクローナル抗体に対して検出可能な抗イディオタイプ応答が観察されないと強調することは重要である。
要約すると、上記のデータは、抗体を放出するカプセル封入細胞の移植が、特にがんおよびウイルス性疾患に対する、長期に亘る抗体ベースの遺伝子/細胞治療アプローチに適していることを明らかに実証している。
従って、本発明の好ましい態様において、カプセル封入された抗体産生細胞は、長期的な治療のために継続した抗体の放出が必要である療法で使用される。
このような状況は、例えば、HIV、B型肝炎、単純ヘルペス、および陰部ヘルペスのような慢性ウイルス感染により引き起こされる病気である。
或る種のウイルス感染は、細胞表面で特異的なマーカーまたは抗原の露出という結果に至る。このような表面マーカーは、ウイルス感染細胞に対して毒性を有するように変化させることができる特異的な抗体により選択的に認識され得る。このような抗体を産生するカプセル封入細胞は、ウイルス感染の長期的な治療に適用することができる。
本発明の他の態様において、ウイルス感染に対する直接的または間接的な中和効果である場合、ウイルス感染の最初の段階でウイルスと相互作用する細胞表面上にあるマーカーまたはウイルス受容体を認識して結合する中和抗体を産生するカプセル封入細胞を提供する。
中和効果は、この場合、ウイルスの結合および/または細胞侵入を直接妨害することにより、任意の標的細胞の更なる感染を防止するか、あるいは間接的に患者自身の補体系により溶解するか、もしくは単球もしくはマクロファージのような免疫システムの細胞に抗体を介してウイルスを呈示することに依存し得る。
特別な態様において、本発明は、腫瘍の治療における本発明のカプセル封入細胞の使用に関する。
特異的な細胞タイプ、または自己再生が可能な特異的な細胞セットが、ヒトに対して毒性があるか、または生命をおびやかすものであると判明した任意の状況において、細胞の選択的破壊のためにカプセル封入細胞により産生され、正常もしくはその毒性を改良して改変された、細胞特異的な毒性抗体を、腫瘍細胞を除去するために使用することができる。
本発明のカプセルの別の適用は、多発性硬化症およびリウマチ性動脈炎のような重度の自己免疫疾患の治療にあり、その治療において、病理学的効果を担う特異的なT細胞およびB細胞は、長期の治療において、カプセル封入細胞により産生される細胞特異的な毒性抗体によって絶えず排出され得る。
本発明の別の態様において、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)
、三日熱マラリア原虫(P.vivax)または四日熱マラリア原虫(P.malariae)のような寄生生物の表面マーカーに対する抗体を産生するカプセル封入細胞を提供する。
マラリアは、TBCおよびHepBに加えて、一年に最も多くの死者を出す三大病の一つである。寄生生物にマークを付け、それにより寄生生物を破壊する免疫システムの細胞を引きつけた結果、マラリア原虫(Plasmodium)に対する抗体を適用することは、マラリア感染の危険性が高い国への旅行者のための、無毒で無害な予防法として使用することができる。
カプセル封入された、抗体を放出する細胞は、少なくとも一つの薬学的キャリアまたは賦形薬と共に治療上有効な量の細胞を含有する薬学的組成物を製造するために使用することもできる。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであるが、限定するものと解釈してはならない。
細胞および細胞培養条件
マウスの骨髄腫細胞(P3-X63-Ag8.653)とhTgで免疫処置したマウス由来の脾臓細胞との融合により調製されたハイブリドーマ細胞株、Tg10(Piechaczyk,M.Chardes,T.,Cot,M.C.,Pau,B.,and Bastide,J.M.,Hybridoma,Vol4,No.4,361-367(1985))を、カプセルに封入するために使用した。Tg10細胞は、ヒトサイログロブリンに対する、Tg10とも呼ばれるモノクローナル抗体(mAb)を産生する。細胞は、10%FCSを補充したRPMI 1640(Gibco/BRL)中、100u.(=Units)/mLストレプトマイシン、100u./mLペニシリンおよび2mM L-グルタミンの存在下で増殖させた。硫酸セルロースマトリクス(CSM)中にカプセル封入されたTg10細胞を、フリーな細胞と同じ条件下で培養した。
抗体およびF(ab)'2断片の精製
Tg10mAbを、Tg10細胞の培養上清について、アフィニティークロマトグラフィーにより精製した(Durrant,LGら,Cancer Immunol.Immunother.,Vol,28,37-41(1989))。Tg10mAbに対するウサギ抗イディオタイプ抗体を、記載どおりに作製した(Del Rio,M.ら,Immunol.Invest.,Vol.24,655-667(1995))。Tg10F(ab)'2断片を、ペプシンによるTg10mAbの切断後、電気泳動で調製し、調製断片の純度は、SDS-PAGE解析により制御した(Del Rio,M.ら,Immunol.Invest.,Vol.24,655-667(1995))。
細胞のカプセル封入
107個の細胞を、3.8%硫酸セルロースナトリウムおよび5%ウシ胎仔血清を含む食塩緩衝液1mLに懸濁した。その懸濁液を、食塩緩衝液中に2,5%ポリ-ジメチル-ジアリル-アンモニウム(PDDMDAAC)を含む沈殿浴に、分注システム(エアージェットシステム)を用いて滴下した。カプセル形成はミリ秒以内に起こり、続いて、内側の多孔性の硫酸セルロースから本質的に成る機械的支持層がさらに構築された。細胞を含むそのカプセルを、沈殿浴中に30秒ないし5分間保持し、次いでDMEMで洗った(Stangeら,Biomat.Art.Cells & Immob.Biotech.21,3443-352(1993))。
上述の種々のパラメーター、即ち硫酸セルロースナトリウムの濃度、エアージェットシステムの流速および沈殿浴中の時間に対して得られたバッチを、生物学的研究のために使用した。条件の代表的な例は、例えば、2.5%硫酸セルロースナトリウム、2%ポリジメチル-ジアリルアンモニウム、および沈殿浴中に1分、または1.5%硫酸セルロースナトリウム、2%ポリジメチル-ジアリルアンモニウム、および沈殿浴中に0.5分、または3%硫酸セルロースナトリウム、3%ポリジメチル-ジアリルアンモニウム、および沈殿浴中に2分である。正確なパラメーターは、所望のカプセルの正確なサイズ、カプセル壁の厚み、並びにその他の特徴を更に考慮して選択することができる。
カプセルの移植
4〜6週齢のC3Hマウス(IFFA-CREDO)に、0.1%キシラジン(Rompun,Bayer)および10mg/mLケタミン(Imalgene,Rhone Merieux)を含む溶液を体重1グラムあたり0.01mL使用して、麻酔をかけた。カプセルは、移植前にリン酸緩衝化食塩水(0.15M NaCl、0.01Mリン酸Na、pH7)で洗った。6または20個のCSM-Tg10カプセルを、マウスの腹腔内または皮下(腹の部位)の何れかに移植した。後者のケースでは、1または3箇所に、1箇所あたり6または7カプセルのクラスターで移植した。
マウスの免疫処置
Tg10抗イディオタイプ抗体を産生するため、6週齢のB6D2F1メスマウス(IFFA CREDO)に、1:1の体積比のフロイント完全アジュバント(Sigma)で乳化された精製Tg10mAbをマウスあたり20μg使用して、複数の部位に皮内注射した。フロイント不完全アジュバント(Sigma)中の精製Tg10mAbを20μg(腹腔内に10μgおよび筋内に10μg)、初回免疫処置から3週および4週後に各々、2回のブースター注射を行った。マウスから、各免疫処置の前および最後の免疫処置から1週間後に採血した。凝固後、血液サンプルを6000rpmで15分間遠心し、血清の一部を使用まで−20℃で保存した。各血清サンプルを、以下に記載したように、Tg10に対する抗イディオタイプ抗体の存在について分析した。
Tg10抗体の免疫アッセイ。抗イディオタイプ免疫応答の解析
細胞培養の上清中およびマウス血清中のTg10抗体を、記載どおりにマイクロタイタープレート(Maxisorb,Nunc)のコーティングについて、ヒトサイログロブリン(hTg)(UCB-Bioproducts)を用いて、ELISAにより分析し(Piechaczyk,M.ら,Hybridoma,Vol.4,361-367(1985);Noel,D.ら,J.Immunol.Meth.,Vol.193,177-187(1996))、450nmにおける吸光度をDynatech社の自動MR5000プレートリーダーを用いて測定した。プロテインAセファロース−精製Tg10mAbを、濃度決定のための基準として使用した。Tg10mAbに対する抗イディオタイプ抗体を、マイクロタイタープレートのコーティングについて、Tg10F(ab)'2を用いて、ELISAにより分析した(Del Rio,M.ら,Immunol.Invest.,Vol.24,655-667(1995))。Tg10mAbに対するウサギ抗イディオタイプ抗血清(Del Rio,M.ら,Immunol.Invest.,Vol.24,655-667(1995))を陽性コントロールとして実験に含めた。
硫酸セルロース(CS)中にカプセル封入されたTg10細胞による in vitroでの抗体産生
まず、カプセル封入工程およびCSマトリクスがTg10ハイブリドーマ細胞に対して毒性があり得るか、または抗体産生に影響を及ぼし得るかどうかを測定した。細胞培養条件に置かれたカプセル封入細胞を、カプセルの破砕後、カプセル封入後の種々の時点で数えた。細胞の生存能力をトリパンブルー排除法を用いて制御した。平行して、Tg10mAbの産生を、ELISAにより分析した。培養培地は、24時間ごとに交換した。
主な観察結果は、以下のとおりである。
(i)各カプセルは、その直径が0.5mmから2mmまで変化し、平均1mmで、カプセル封入の時点で平均2×104個のTg10細胞を含んでいた。
(ii)カプセル封入から4日後のカプセル封入細胞の生存能力は、少なくとも80%であると算定された。
(iii)Tg10mAbの産生は、50日の期間にわたって検出できた。
(iv)10日間にわたって、抗体産生の初期増加が観察され、これは、(空間の限界のため分割は1または2ラウンドを越えることができない)カプセル内のTg10細胞の増殖の限界と関連していた。
(v)抗体産生の著しい低下は、細胞死の始まりと関連しており、10日ないし20日目に始まった。
総合すると、これらのデータは、カプセル封入工程それ自体は、Tg10細胞に対して毒性がないことを示唆している。むしろ、CSマトリクス内の細胞の生存は、好ましいようである。というのも、標準の培養条件下において継代しないで同時に培養したTg10細胞は、1ないし2週間以内に死ぬからである。
Tg10細胞含有のCSカプセルをマウスに移植した後の in vivoにおけるTg10mAbのデリバリー
次に、Tg10mAbの全身デリバリーが、マウスにカプセルを移植した後に達成され得るかどうかを検討した。皮下(腹の部位)および腹腔内の移植の両方を、どちらの局在が抗体の血流へのより良いデリバリーを可能にするかを決定するため、調査した。3匹のC3Hマウスの腹腔内に6カプセルを移植し、1匹のマウスに20カプセルを移植した。同様に、3匹のマウスの皮下に6カプセルおよび3匹のマウスに20カプセルを移植した。血流中のTg10抗体の濃度は、以後ELISAによりモニターした。
抗体産生は、
(i)移植したカプセルの数に直接関連している
(ii)移植後2〜3週の間にピークに達する
(iii)カプセルを皮下に移植した際は、腹腔内移植の場合の2.5μg/mLと比べて、12.5μg/mLもの高い値に達することができるため、再現的に高い
(iv)血流中のTg10抗体の濃度は、わずか数十ng/mLまでしだいに減少したが、4ヶ月もの間検出され得る
ことが観察できた。
結局、抗体産生の低下は、カプセル封入細胞の連続的な死に関連しているようである。皮下移植後2ヶ月のマウスから取り出したカプセル中の封入細胞の生存能力は20-30%と算定され、この値は抗体濃度の低下と関連している。
カプセルの血管新生の追跡
腹腔内および皮下に移植されたカプセルは、血管新生に関して異なった行動を示した。従って、移植後2ヶ月の皮下移植されたカプセルは、緩い結合組織から作られた血管新生された嚢に包まれているように見えた。このような新器官は、ハイブリドーマ細胞を含有したカプセルであるかないかに関わらず形成された。対照的に、カプセルを腹腔内に移植すると、カプセルはクラスターを形成せず、流動的なままであり、血管新生は観察されなかった。
次に、血管新生の始まりを調査し、血管由来因子によるカプセルの処理が、皮下移植されたカプセルの血管新生を促進および/または改良できるかどうかを調べた。bFGF、血管形成活性を有することが公知の増殖因子(Montesano,R.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.83,7297-7301(1986);Thompson,J.A,ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.86,7928-7932(1989))および/または上記のタイプIラットコラーゲン(Sigma)で処理されたカプセルを、移植し、血管新生に関して追跡した。テストした種々の実験条件の間で明白な違いは観察されなかった。カプセルのまわりに発達する血管は、移植3日後に容易に目に見ることができ、完全な血管新生は2ないし3週間後に完成し、血管の網目構造は、少なくとも10ヶ月間、安定に残る新器官のまわりやその内部に存在した。
検出可能な炎症応答は、移植された標準的なTg10細胞含有のCSカプセルで発生しなかった
マウスを、移植されたカプセルにより触発される可能性がある炎症応答の発生について調査した。肉眼検査で検出可能な即時型または遅延型炎症応答は、腹腔内または皮下どちらの移植後もカプセル付近で観察されなかった。また、皮下移植から10ヶ月後でさえ、カプセルの血管新生に変化がないことは注目すべきことであった。
カプセル封入細胞により放出されたTg10抗体に対する 抗イディオタイプ体液性応答は検出できなかった Tg10抗体に対する体液性応答が、カプセル封入されたハイブリドーマ細胞を移植されたマウスにおいて発生するという可能性を、更に調査した。抗Tg10抗体を含有する予め特性決定されたウサギ血清(Del Rio,Mら,Immunol.Invest.,Vol.24,655-667(1995))を、これらの実験にポジティブコントロールとして使用した。その上、一連のマウスに、上記したとおり、フロイントアジュバントの存在下で精製モノクローナル抗体により免疫処置をした。注射した13匹のマウスのうち、6匹が明らかな抗イディオタイプ応答を発生し、これはマウスがこのような応答の誘導に本質的に無反応でないことを示している。対照的に、抗イディオタイプ応答は、抗体の血液濃度および移植部位に関わらず、カプセルを移植された何れのマウスにおいても検出されなかった。これらのデータは、硫酸セルロースマトリクスが、Tg10抗体に対する中和体液性応答の誘導に都合がよい明らかなアジュバント効果を発揮しないことを示している。
要約すると、ハイブリドーマ細胞を含有する硫酸セルロースのカプセルは、皮下または腹腔内腔に移植されると、少なくとも数ヶ月間、免疫応答性マウスの血流にモノクローナル抗体を運搬するために使用され得ることが示された。上記データは、抗体産生細胞を含有するカプセルの患者への移植は、抗体の全身への長期間にわたる運搬を潜在的に可能にし、がんおよび重度のウイルス性疾患のサーベイランス治療の発展に有効であり得ることを示している。その上、抗体産生細胞の硫酸セルロースによるカプセル封入は、抗体ベースの遺伝子/細胞治療アプローチにおいて有効である。

Claims (12)

  1. 抗体産生細胞をカプセル封入するカプセルであって、前記細胞により産生された抗体を通過可能な多孔性カプセル壁を具備し、硫酸基含有ポリサッカライドもしくはポリサッカライド誘導体またはスルホン酸基含有合成ポリマーおよびポリカチオンから形成された、ヒトを含めた動物体への移植により、前記細胞から産生された抗体に応答する病気または疾患の治療に使用するためのカプセル。
  2. 前記の硫酸基含有ポリサッカライドもしくはポリサッカライド誘導体が、硫酸セルロース、酢酸硫酸セルロース、硫酸カルボキシメチルセルロース、硫酸デキストランまたは硫酸デンプンを含む群から選択される、請求項1記載のカプセル。
  3. 前記のスルホン酸基含有合成ポリマーがスルホン酸ポリスチレンの塩である、請求項1記載のカプセル。
  4. 前記ポリカチオンが、第四級アンモニウム基を有するポリマーである、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカプセル。
  5. 第四級アンモニウム基を有する前記のポリマーがポリジメチルジアリルアンモニウムまたはポリビニルベンジル-トリメチルアンモニウムから選択される、請求項4記載のカプセル。
  6. 前記の硫酸基含有ポリサッカライドが硫酸セルロースであり、前記ポリカチオンがポリジメチルジアリルアンモニウムである、請求項1、2、4または5のいずれか1つに記載のカプセル。
  7. 前記抗体産生細胞が、クローン抗体を産生するように遺伝的に改変された請求項1〜6のいずれか1つに記載のカプセル。
  8. 前記抗体が、免疫グロブリンのIgA、IgM、IgG、IgDまたはIgEクラスに属する請求項1〜7のいずれか1つに記載のカプセル。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のカプセルであって、前記抗体が、
    ウイルス感染細胞の表面上にあるウイルス表面マーカー
    がん細胞
    自己免疫疾患の病理学的効果に関与するTまたはBリンパ球
    寄生生物の表面マーカーまたは
    有害効果を伴って循環する抗原
    に結合し、前記抗体が細胞増殖抑制性または細胞毒性効果を示す抗体から選択されるか、または、前記抗体が、ウイルスの細胞感染に必要なウイルスレセプターに結合し阻害する抗体、ウイルスへの結合を介した直接的な中和効果を有する抗体もしくは循環する有害抗原に対する直接的な中和効果を有する抗体から選択されるカプセル。
  10. 皮下移植または腹腔内移植のための請求項1〜9のいずれか1つに記載のカプセル。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載のカプセルの、前記カプセルから放出された抗体に応答する病気または疾患を治療する際にヒトを含めた動物体への移植によって使用する薬学的組成物を産生するための使用。
  12. 請求項1〜10のいずれか1つに記載のカプセルを含み、前記カプセルから治療上有効な量で放出された抗体に応答する病気または疾患を治療する際に、ヒトを含めた動物体への移植によって使用するための薬学的組成物。
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