JP2009013101A - ペンタフルオロエタンの精製方法 - Google Patents

ペンタフルオロエタンの精製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009013101A
JP2009013101A JP2007175723A JP2007175723A JP2009013101A JP 2009013101 A JP2009013101 A JP 2009013101A JP 2007175723 A JP2007175723 A JP 2007175723A JP 2007175723 A JP2007175723 A JP 2007175723A JP 2009013101 A JP2009013101 A JP 2009013101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pentafluoroethane
fraction
distillation column
hfc
chloropentafluoroethane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007175723A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5104075B2 (ja
Inventor
Kazuhiro Takahashi
一博 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2007175723A priority Critical patent/JP5104075B2/ja
Publication of JP2009013101A publication Critical patent/JP2009013101A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5104075B2 publication Critical patent/JP5104075B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物から、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを除去して、ペンタフルオロエタンを効率的に精製できる新規な精製方法を提供する。
【解決手段】少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物を抽出蒸留操作に付して、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む第1フラクションを除去し、ペンタフルオロエタンを含み、かつペンタフルオロエタンに対するクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した第2フラクションを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペンタフルオロエタンの精製方法に関し、より詳細には、ペンタフルオロエタン(以下、HFC−125とも言う)、クロロペンタフルオロエタン(以下、CFC−115とも言う)および非凝縮性ガスを含む混合物から、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを除去して、ペンタフルオロエタンを精製する方法に関する。
ハイドロフルオロカーボン(HFC)の一種であるHFC−125は、クロロフルオロカーボン(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の代替となるオゾン層を破壊しない物質として重要であり、冷媒や発泡剤、噴射剤、エッチングガスなどとして広く用いられている。
HFC−125は、原料となる塩素化合物、例えばテトラクロロエチレン、トリクロロエチレンなどを触媒存在下にてフッ化水素(HF)で気相フッ素化する反応工程を経て製造されている。この反応工程では、塩化水素(HCl)、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロエタン(以下、HCFC−124とも言う)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)、トリフルオロメタン(以下、HFC−23とも言う)などが副生成物または中間生成物として生じ、これら副生成物は、反応工程より得られるガス状反応生成物に含まれることになる。
従って、高純度のHFC−125を得るためには、上記反応工程で得られたガス状反応生成物からそのような副生成物を除去する必要がある。一般的には、ガス状反応生成物からHClを蒸留操作または脱酸処理により除去し、その後、炭素系副生成物を蒸留(精留)操作により除去している。炭素系副生成物のうち、HCFC−124やHFC−23はHFC−125と沸点がある程度異なるので蒸留操作により除去できるが、CFC−115はHFC−125と沸点が近いため、単なる蒸留操作では効率的に除去することは難しい。従来、HFC−125とCFC−115とを含む混合物からCFC−115を分離除去する方法として、抽出蒸留が用いられている(例えば特許文献1〜4を参照のこと)。
特許第2827912号明細書 特許第3520718号明細書 特許第3848361号明細書 特許第3262454号明細書 特開2007−55934号公報 特開2007−31382号公報
上述したHFC−125を得る反応工程では触媒の劣化がしばしば問題となっている。触媒劣化を抑制するため、反応ガス中の有機物に対して約0.01mol%〜10mol%の酸素を添加することが有効であることがわかっている。
反応工程に添加する酸素には、経済的には空気を用いることが望ましい。このような場合、空気に含まれていた窒素および二酸化炭素や未反応の酸素が反応後も残ることとなる。従って、反応工程で得られたガス状反応生成物には、目的生成物であるHFC−125ならびに中間生成物であるHCFC−124、副生成物であるCFC−115およびHFC−23などのほか、窒素、二酸化炭素および酸素などの空気に由来する非凝縮性ガスも含まれることとなる。より高純度のHFC−125を得るためには、これら空気由来の非凝縮性ガスもガス状反応生成物から除去する必要がある。
このような非凝縮性ガスを除去する方法として、まず第一に、非凝縮性ガスをHClと共に蒸留除去することが考えられる。しかしながら、非凝縮性ガスおよびHClを単なる蒸留操作により除去するには、高圧にした上に温度を非常に低く(例えば−40〜−60℃)して操作しなければならないため、多大なエネルギーを消費することとなる。また、蒸留塔の塔頂部より抜き出される非凝縮性ガスにHFC−125が同伴するので、望ましくない。HFC−125のロスが生じるだけでなく、温暖化物質であるHFC−125を非凝縮性ガスと共に大気放出するのは環境保護の観点から回避すべきであり、経済的観点からは放出および排気する量は少ないほうがよいからである。
第二に、HClを蒸留によらずに脱酸処理により除去し、その後の精留工程で非凝縮性ガスを蒸留除去することが考えられる。この場合、図2に示すように、ガス状反応生成物を脱酸処理して得られた混合物を、低沸点物除去用蒸留塔11にて蒸留して非凝縮性ガスを除去し、これより得られた高沸点物フラクションを高沸点物除去用蒸留塔12にて蒸留してHCFC−124を除去し、これより得られたHFC−125とCFC−115との混合物フラクションを抽出蒸留塔13にて抽出剤を用いて抽出蒸留してCFC−115を除去し、HFC−125と抽出剤との混合物フラクションを抽出剤回収用蒸留塔14にて蒸留して抽出剤を分離回収し、これにより、HFC−125を得る。しかしながらこの場合も、低沸点物除去用蒸留塔11にて非凝縮性ガスと単なる蒸留操作により除去するには、高圧にした上に温度を非常に低く(例えば−20〜−40℃程度)して操作しなければならないため、多大なエネルギーを消費することとなる。またこの場合も、低沸点物除去用蒸留塔11の塔頂部より抜き出される非凝縮性ガスにHFC−125が同伴するので、同様の理由により望ましくない。
その他、非凝縮性ガスを膜に透過させて除去し、HFC−125を非透過ガスとして分離する方法(特許文献5を参照のこと)や、塩素系溶剤にHFC−125を吸収させ、これに吸収されない非凝縮性ガスと分離する方法(特許文献6を参照のこと)が提案されている。しかしながら、膜分離による方法は、蒸留による除去方法に比べてHFC−125のロス量が大きい(即ち収率が低い)という難点がある上、分離に用いる膜の耐久性の低さも指摘されている。また、塩素系溶剤に吸収させる方法は、用いる塩素系溶剤自体が環境保護の観点から好ましくないという難点がある。
更に、これらいずれの方法によっても、CFC−115を除去することはできないので、HFC−125と非凝縮性ガスとを分離する上記のような蒸留工程、膜分離工程または溶剤吸収工程とは別に、HFC−125とCFC−115とを分離する抽出蒸留工程が依然として必要とされる。
本発明は、かかる従来の課題を鑑みてなされたものであり、ペンタフルオロエタンの精製方法であって、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)および非凝縮性ガスを含む混合物から、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを除去して、ペンタフルオロエタンを効率的に精製できる新規な精製方法を提供することを目的とする。
本発明の1つの要旨によれば、少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物を抽出蒸留操作に付して、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む第1フラクションを除去し、ペンタフルオロエタンを含み、かつペンタフルオロエタンに対するクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した第2フラクションを得ることを含む、ペンタフルオロエタンの精製方法が提供される。
非凝縮性ガスはHFC−125より低い沸点を有し、他方、CFC−115はHFC−125より高い沸点を有するので、非凝縮性ガスとCFC−115とを蒸留操作により同時に除去することは考えられていなかった。また、窒素、酸素、二酸化炭素などの非凝縮性ガスはHFC−125より相当低い沸点を有しており、単なる蒸留操作により容易に分離できるので、抽出蒸留操作を利用するという発想はなかった。
これに対して、本発明によれば、抽出蒸留操作を利用することにより、上記第1フラクション中にクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを同時に除去することが可能となる。これにより、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを別々に分離する場合に比べて、工程数および必要な設備費用を削減できる。また、非凝縮性ガスを単なる蒸留操作により分離する場合と比べて、必要なエネルギーを低減でき、かつ、高いHFC−125収率を得ることができる。
具体的には、抽出蒸留操作において、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)に対するペンタフルオロエタン(HFC−125)の比揮発度αが1未満である抽出剤を用いることによって、CFC−115および非凝縮性ガスの双方を気相側へより多く分配して第1フラクションとして除去でき、HFC−125を液相側へより多く分配して抽出剤と共に第2フラクションとして得ることができる。
比揮発度αは、少なくとも着目成分Aおよび着目成分B(成分Aの沸点<成分Bの沸点)から本質的に成る溶液が気液平衡状態にある場合において、液相の低沸点成分Aのモル分率をxとし、高沸点成分Bのモル分率をxとし、その液相と平衡状態にある場合の気相の低沸点成分Aのモル分率をyとし、高沸点成分Bのモル分率をyとした場合、以下の式により定義される。
α=(y/x))/(y/x))
CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αは、上記の式において、成分AがHFC−125であり、成分BがCFC−115である場合の比揮発度である。比揮発度αは温度依存性があり得るが、CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αは、抽出蒸留操作を実施する使用温度範囲において、本発明では1未満のものを選択する。
原理的に、CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αは、共存する第3成分によって、1を超える値も、1未満の値も取り得る。抽出蒸留に使用する抽出剤としてはいずれも使用可能ではあるが、本発明で使用可能な抽出剤は1未満のもののみであり、好ましくは比揮発度αが0.6未満のものである。
比揮発度αが1を超えるものを使用すると、目的生成物であるHFC−125および反応系にリサイクルすべき中間体であるHCFC−124は、抽出蒸留塔より塔頂部から非凝縮ガスと一緒に抜き出すことになるため、結局、その後に非凝縮ガスとHFC−125およびHCFC−124とを分離する更なる塔が必要となり、本発明を実現することができない。
よって、非凝縮ガスおよびCFC−115を抽出蒸留塔より塔頂部から同時に抜き出し、目的生成物であるHFC−125および中間体であるHCFC−124を塔底から回収することができる抽出剤は、CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αが1未満のもののみである。
CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αが1未満である抽出剤として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタフルオロプロパノール、テトラフルオロプロパノール、アセトン、ジエチルエーテルおよびニトロメタン、ならびに一般式:RO(CHCHO)(式中、RおよびRは水素または炭素数1〜4のアルキル基であって、同じまたは相互に異なり、nは1〜3の整数である)により表されるエチレングリコール系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。その他、特許文献1および2を参照して、適宜選択することができる。
「非凝縮性ガス」は、HFC−125より低い沸点を有するガスを意味する。非凝縮性ガスには、例えばN、O、COおよびトリフルオロメタン(HFC−23)からなる群より選択される少なくとも1種が含まれ得る。N、O、COは、触媒劣化抑制のために反応工程で添加された空気に由来するものであってよい。また、HFC−23は、反応工程において生じた副生成物であってよい。
1つの態様において、本発明の方法は、
(1)少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物と抽出剤とを第1蒸留塔に供給し、第1蒸留塔にて該混合物を抽出蒸留操作に付して、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む第1フラクションを第1蒸留塔の塔頂部より得、ペンタフルオロエタンおよび抽出剤を含み、かつペンタフルオロエタンに対するクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した第2フラクションを第1蒸留塔の塔底部より得、および
(2)該第2フラクションを第2蒸留塔に供給し、第2蒸留塔にて該第2フラクションを蒸留操作に付して、ペンタフルオロエタンを含み、かつ該混合物より高いペンタフルオロエタン濃度を有する第3フラクションを第2蒸留塔の塔頂部より得、抽出剤を含む第4フラクションを第2蒸留塔の塔底部より得る
ことにより実施される。
上記態様によれば、第1蒸留塔における抽出蒸留操作のために用いた抽出剤を、第2蒸留塔での蒸留操作により除去でき、元の混合物におけるよりも高いHFC−125濃度を有する第3フラクションを精製物として得ることができる。
工程(2)で得られた第4フラクションは、工程(1)の抽出剤の少なくとも一部に代えて第1蒸留塔に供給してよい。これにより、抽出剤をリサイクル利用することができる。
このような本発明の方法は、ペンタフルオロエタンの精製方法としてだけでなく、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)および非凝縮性ガスを含む混合物から、ペンタフルオロエタンを含み、かつペンタフルオロエタン(HFC−125)に対するクロロペンタフルオロエタン(CFC−115)および非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した精製物を得ることを含む、ペンタフルオロエタンの製造方法としても理解され得るであろう。
本発明によれば、ペンタフルオロエタンの精製方法であって、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)および非凝縮性ガスを含む混合物から、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを除去して、ペンタフルオロエタンを効率的に精製できる新規な精製方法が提供される。
本発明の方法によれば、抽出蒸留操作を利用することにより、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを同時に除去することが可能となる。これにより、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを別々に分離する場合に比べて、工程数および必要な設備費用を削減できる。また、非凝縮性ガスを単なる蒸留操作により分離する場合と比べて、必要なエネルギーを低減でき、かつ、高いHFC−125収率を得ることができる。
本発明の1つの実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
図1に示すように、HFC−125、CFC−115および非凝縮性ガスを含む混合物を第1蒸留塔(抽出蒸留および低沸点物除去用)1に中段部から供給する。この混合物は、HFC−125製造プロセスにおいて、原料となる塩素化合物、例えばテトラクロロエチレン、トリクロロエチレンなどを触媒存在下にて、空気を添加しながらフッ化水素(HF)で気相フッ素化する反応工程より得られたガス状反応生成物(クルードガス)であってよい。本実施形態において混合物は非凝縮性ガスとして、空気に由来するN、OおよびCOと、副生成物であるHFC−23を含む。また、混合物はHFC−125、CFC−115および非凝縮性ガスに加えて、中間生成物であるHCFC−124も含む。
他方、抽出剤を第1蒸留塔1に塔頂部から供給する。抽出剤は、CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αが1未満であるもの、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタフルオロプロパノール、テトラフルオロプロパノール、アセトン、ジエチルエーテルおよびニトロメタン、ならびに一般式:RO(CHCHO)(式中、RおよびRは水素または炭素数1〜4のアルキル基であって、同じまたは相互に異なり、nは1〜3の整数である)により表されるエチレングリコール系化合物などであってよい。より好ましくは、抽出剤は、CFC−115に対するHFC−125の比揮発度αが約0.6以下であるもの、例えばメタノール、エタノール、アセトン、ニトロメタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどである。
抽出剤と混合物との比(S/F)は、用いる抽出剤にもよるが、例えば約0.2〜10、好ましくは約1〜4(いずれも重量基準の割合)とすることができる。
そして第1蒸留塔1において抽出蒸留操作を実施する。このとき、圧力は約1.1〜1.6MPa、塔頂温度を約2〜14℃および塔底温度を約117〜165℃として実施され得るが、これに限定されるものではない。このような温度は、非凝縮性ガスのみを単なる蒸留操作により除去する場合(図2の低沸点物除去用蒸留塔11)に必要な−40℃程度の温度よりも常温に近く、冷却に必要なエネルギーがより小さいという利点がある。
この抽出蒸留操作によって、第1蒸留塔1の塔頂部より第1フラクションが得られ、塔底部より第2フラクションが得られる。第1フラクションは、CFC−115および非凝縮性ガス(N、O、COおよびHFC−23)より実質的に成り、HFC−125を殆ど同伴していない。第2フラクションは、HFC−125、HCFC−124および抽出剤より実質的に成る。CFC−115および非凝縮性ガスの少なくとも一部、好ましくは実質的に全部が第1フラクション中に除去されているので、第2フラクションにおけるHFC−125に対するCFC−115および非凝縮性ガスの各割合は、元の混合物における割合より低下し、好ましくは無視できる程度である。
これにより、CFC−115および非凝縮性ガスを同時に除去することができる。還元すれば、図1に示す第1蒸留塔における操作は、従来例を示す図2における抽出蒸留塔13と低沸点物除去用蒸留塔における操作による効果を一度に果たすものであり、従来例に比べて工程数および必要な設備(蒸留塔1本分)を削減できる。
次に、上記のようにして得られた第2フラクションを第2蒸留塔(抽出剤回収用)2に中段部から供給して、抽出剤を分離するように第2蒸留塔2において蒸留操作を実施する。このとき、圧力は約0.3〜0.6MPa、塔頂温度を約−18〜2℃および塔底温度を約160〜190℃として実施され得るが、これに限定されるものではない。
この蒸留操作によって、第2蒸留塔2の塔頂部より第3フラクションが得られ、塔底部より第4フラクションが得られる。第3フラクションは、HFC−125およびHCFC−124より実質的に成る。第4フラクションは、抽出剤より実質的に成る。
得られた第4フラクションは第1蒸留塔1に、抽出剤の一部または全部に代えて供給してよい。これにより、抽出剤を回収してリサイクル利用することができる。
他方、上記のようにして得られた第3フラクションは第3蒸留塔(高沸点物除去用)3に中段部から供給して、高沸点物を除去するように第3蒸留塔3において蒸留操作を実施する。このとき、圧力は約1.8〜2.3MPa、塔頂温度を約35〜45℃および塔底温度を約88〜100℃として実施され得るが、これに限定されるものではない。
この蒸留操作によって、第3蒸留塔3の塔頂部より第5フラクションが得られ、塔底部より第6フラクションが得られる。第5フラクションは、低沸点物であるHFC−125より実質的に成る(従って、元の混合物におけるよりも高いHFC−125濃度を有する)。第6フラクションは、高沸点物であるHCFC−124より実質的に成り、反応工程へと戻されてリサイクル利用することができる。
最終的に得られた第5フラクションは、製品として取り出される。本実施形態では、第1フラクション中にHFC−125が殆ど同伴されないので、非凝縮性ガスを単なる蒸留操作で除去する場合に比べてHFC−125の収率が高く、原単位改善の効果が得られる。
以上、本実施形態によれば、CFC−115および非凝縮性ガスを同時に除去することができ、これにより、これらを別々に分離する場合に比べて、工程数および必要な設備費用を削減でき、かつ、高いHFC−125収率を得ることができる。
(実施例)
図1を参照して上述した本発明の実施形態に従って、本発明のHFC−125精製方法を実施した。
第1蒸留塔1へ供給する混合物として所定の混合ガスを用いた。また、抽出剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル(2−メトキシエタノール)を用いた。第1蒸留塔1には高さ25mの充填塔を用い、混合物(混合ガス)を1kmol/hrで中段からフィードし、また、混合物の全体量の4倍モル(重量基準では約1.9倍)の抽出剤を塔頂部からフィードして、抽出蒸留を行った。このときの操作圧力は約1.1MPaとし、塔頂温度は約2℃、塔底温度は約117℃とした。
第1蒸留塔1の塔底部から得た第2フラクションは、第2蒸留塔2へ送って蒸留操作に付し、抽出剤を塔底部より第4フラクションとして回収し、第1蒸留塔2に戻して再利用した。第2蒸留塔2にて塔頂部より得たHFC−125とHCFC−124の第3フラクションは、第3蒸留塔へ送って蒸留操作に付し、高沸点物であるHCFC−124を塔底部より第6フラクションとして除去し、HFC−125を塔頂部より第5フラクションとして得た。第2蒸留塔2および第3蒸留塔3における操作条件は適宜設定し得る。
この実施例について、第1蒸留塔1での抽出蒸留操作における物質収支を表1に示す。尚、組成分析にはガスコロマトグラフを用いた(比較例も同様)。
Figure 2009013101
(比較例)
図2を参照して上述した従来のHFC−125精製方法を実施した。
低沸点物除去用蒸留塔11へ供給する混合物として実施例で用いたものと同じ組成を有する混合ガスを用いた。また、低沸点物除去用蒸留塔11には、実施例で用いた第1蒸留塔1と同じ充填塔を用い、混合物(混合ガス)を1kmol/hrで中段からフィードした。但し、抽出剤はフィードせず、抽出蒸留ではなく、通常の蒸留を行った。このときの操作圧力は約1.6MPaとし、塔頂温度は約−25℃、塔底温度は約43℃とした。
低沸点物除去用蒸留塔11の塔底部から得たフラクションは、高沸点物除去用蒸留塔12へ送って蒸留操作に付し、高沸点物であるHCFC−124のフラクションを塔底部より除去し、HFC−125とCFC−115のフラクションを塔頂部より得た。この塔頂フラクションは、抽出蒸留塔13へ送って抽出蒸留操作に付し、CFC−115のフラクションを塔頂部より除去し、HFC−125と抽出剤のフラクションを塔底部より得た。この塔底フラクションは、抽出剤回収用蒸留塔14へ送って蒸留操作に付し、抽出剤を塔底部より回収し、抽出蒸留塔13に戻して再利用した。抽出剤回収用蒸留塔14の塔頂部から、HFC−125のフラクションを得た。高沸点物除去用蒸留塔12、抽出蒸留塔13、抽出剤回収用蒸留塔14における操作条件は適宜設定し得る。
この比較例について、低沸点物除去用蒸留塔11での蒸留操作における物質収支を表2に示す。
Figure 2009013101
本実施例によれば、表1を参照して、CFC−115、窒素、酸素、二酸化炭素およびHFC−23を第1フラクション中に分析精度に基づいて全量除去できた。これより、CFC−115および非凝縮性ガス(窒素、酸素、二酸化炭素およびHFC−23)を同時に除去できることが確認された。
これに対して比較例では、表2を参照して、窒素、酸素、二酸化炭素およびHFC−23は第1フラクション中に分析精度に基づいて全量除去できたが、CFC−115は分析精度に基づいて全量が第2フラクション中にHFC−125と共に含まれることになった。換言すれば、CFC−115および非凝縮性ガス(窒素、酸素、二酸化炭素およびHFC−23)を同時に除去することはできなかった。
このため、比較例では抽出蒸留塔13においてCFC−115を除去する抽出蒸留操作を実施する必要があり、本実施例より蒸留塔を1本多く必要とし、工程数が多くなった。
また、本実施例によれば、表1を参照して、第1フラクションに同伴されるHFC−125はごくわずかであった(0.001kmol/hr)。
これに対して比較例では、表2を参照して、第1フラクションに実施例の7倍ものHFC−125が同伴された(0.007kmol/hr)。
よって、本実施例では、HFC−125のロスが低減されるということが確認され、これは高いHFC−125収率をもたらし得る。
また、本実施例における第1蒸留塔1での抽出蒸留操作は塔頂温度約2℃、塔底温度約117℃で実施されたのに対し、比較例における低沸点物除去用蒸留塔11での蒸留操作は塔頂温度約−25℃、塔底温度約43℃で実施された。このような比較例の蒸留操作は、実施例に比べて使用する塔の本数が多く、また、低温維持のために、エネルギーをより多く消費した。
本発明は、HFC−125の製造プロセスにおいて、HFC−125を精製するのに利用することができる。
本発明の1つの実施形態におけるペンタフルオロエタンの精製方法を説明する概略図である。 従来のペンタフルオロエタンの精製方法を説明する概略図である。
符号の説明
1 第1蒸留塔(抽出蒸留および低沸点物除去用)
2 第2蒸留塔(抽出剤回収用)
3 第3蒸留塔(高沸点物除去用)
11 低沸点物除去用蒸留塔
12 高沸点物除去用蒸留塔
13 抽出蒸留塔
14 抽出剤回収用蒸留塔

Claims (6)

  1. 少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物を抽出蒸留操作に付して、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む第1フラクションを除去し、ペンタフルオロエタンを含み、かつペンタフルオロエタンに対するクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した第2フラクションを得ることを含む、ペンタフルオロエタンの精製方法。
  2. 抽出蒸留操作において、クロロペンタフルオロエタンに対するペンタフルオロエタンの比揮発度αが1未満である抽出剤を用いる、請求項1に記載のペンタフルオロエタンの精製方法。
  3. 抽出剤が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタフルオロプロパノール、テトラフルオロプロパノール、アセトン、ジエチルエーテルおよびニトロメタン、ならびに一般式:RO(CHCHO)(式中、RおよびRは水素または炭素数1〜4のアルキル基であって、同じまたは相互に異なり、nは1〜3の整数である)により表されるエチレングリコール系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載のペンタフルオロエタンの精製方法。
  4. 非凝縮性ガスが、N、O、COおよびトリフルオロメタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの精製方法。
  5. (1)少なくともペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む混合物と抽出剤とを第1蒸留塔に供給し、第1蒸留塔にて該混合物を抽出蒸留操作に付して、クロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスを含む第1フラクションを第1蒸留塔の塔頂部より得、ペンタフルオロエタンおよび抽出剤を含み、かつペンタフルオロエタンに対するクロロペンタフルオロエタンおよび非凝縮性ガスの各割合が該混合物より低下した第2フラクションを第1蒸留塔の塔底部より得、および
    (2)該第2フラクションを第2蒸留塔に供給し、第2蒸留塔にて該第2フラクションを蒸留操作に付して、ペンタフルオロエタンを含み、かつ該混合物より高いペンタフルオロエタン濃度を有する第3フラクションを第2蒸留塔の塔頂部より得、抽出剤を含む第4フラクションを第2蒸留塔の塔底部より得る
    こと含む、請求項1〜4のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの精製方法。
  6. 工程(2)で得られた第4フラクションを、工程(1)の抽出剤の少なくとも一部に代えて第1蒸留塔に供給する、請求項5に記載のペンタフルオロエタンの精製方法。
JP2007175723A 2007-07-04 2007-07-04 ペンタフルオロエタンの精製方法 Active JP5104075B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007175723A JP5104075B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 ペンタフルオロエタンの精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007175723A JP5104075B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 ペンタフルオロエタンの精製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009013101A true JP2009013101A (ja) 2009-01-22
JP5104075B2 JP5104075B2 (ja) 2012-12-19

Family

ID=40354439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007175723A Active JP5104075B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 ペンタフルオロエタンの精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5104075B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011052559A1 (ja) * 2009-10-27 2011-05-05 昭和電工株式会社 フッ素含有化合物の精製方法
CN103396289A (zh) * 2013-06-27 2013-11-20 太仓中化环保化工有限公司 一种一氯五氟乙烷和五氟乙烷的分离方法
CN103693794A (zh) * 2013-12-12 2014-04-02 内蒙古奥利星煤化集团有限责任公司 一种地下十水芒硝矿水溶开采制得的卤水处理方法
WO2014136877A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 日本ゼオン株式会社 高純度2-フルオロブタン
JPWO2015064550A1 (ja) * 2013-10-30 2017-03-09 日本ゼオン株式会社 高純度フッ素化炭化水素、プラズマエッチング用ガスとしての使用、及び、プラズマエッチング方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4774124B1 (ja) * 2009-09-24 2011-09-14 富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社 平版印刷版現像廃液削減装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH083082A (ja) * 1994-04-20 1996-01-09 Daikin Ind Ltd ペンタフルオロエタンの製造方法
JPH10324650A (ja) * 1997-05-22 1998-12-08 Daikin Ind Ltd ペンタフルオロエタンの製造方法
JP2007031382A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Showa Denko Kk ペンタフルオロエタンの回収方法および該方法を含むペンタフルオロエタンの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH083082A (ja) * 1994-04-20 1996-01-09 Daikin Ind Ltd ペンタフルオロエタンの製造方法
JPH10324650A (ja) * 1997-05-22 1998-12-08 Daikin Ind Ltd ペンタフルオロエタンの製造方法
JP2007031382A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Showa Denko Kk ペンタフルオロエタンの回収方法および該方法を含むペンタフルオロエタンの製造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011052559A1 (ja) * 2009-10-27 2011-05-05 昭和電工株式会社 フッ素含有化合物の精製方法
CN102596867A (zh) * 2009-10-27 2012-07-18 昭和电工株式会社 含氟化合物的纯化方法
US8692038B2 (en) 2009-10-27 2014-04-08 Showa Denko K.K. Fluorine-containing compound purification method
CN102596867B (zh) * 2009-10-27 2014-06-11 昭和电工株式会社 含氟化合物的纯化方法
TWI503299B (zh) * 2009-10-27 2015-10-11 Showa Denko Kk Purification method of fluorine - containing compounds
WO2014136877A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 日本ゼオン株式会社 高純度2-フルオロブタン
US20160016869A1 (en) * 2013-03-07 2016-01-21 Zeon Corporation High-purity 2-fluorobutane
JPWO2014136877A1 (ja) * 2013-03-07 2017-02-16 日本ゼオン株式会社 高純度2−フルオロブタン
US9659787B2 (en) 2013-03-07 2017-05-23 Zeon Corporation High-purity 2-fluorobutane
CN103396289A (zh) * 2013-06-27 2013-11-20 太仓中化环保化工有限公司 一种一氯五氟乙烷和五氟乙烷的分离方法
JPWO2015064550A1 (ja) * 2013-10-30 2017-03-09 日本ゼオン株式会社 高純度フッ素化炭化水素、プラズマエッチング用ガスとしての使用、及び、プラズマエッチング方法
CN103693794A (zh) * 2013-12-12 2014-04-02 内蒙古奥利星煤化集团有限责任公司 一种地下十水芒硝矿水溶开采制得的卤水处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5104075B2 (ja) 2012-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5788380B2 (ja) フッ化水素からのr−1233の分離
US20130105296A1 (en) Purification method of 2,3,3,3-tetrafluoropropene
JP5104075B2 (ja) ペンタフルオロエタンの精製方法
JP5069236B2 (ja) フルオロメチル1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルエーテル(セボフルラン)の精製方法
JP4781266B2 (ja) 弗化水素を精製する方法
JP2020063304A (ja) フッ化水素からのr−1233の分離
CN107253898A (zh) 用于纯化氯化烃的方法
JP3684427B2 (ja) ハロゲン化炭化水素とクロロペンタフルオロエタンとを含む混合物からペンタフルオロエタンを分離する方法
US9284241B2 (en) Process for the removal of contaminant from a hydrochlorofluoroolefin by extractive distillation
US8692038B2 (en) Fluorine-containing compound purification method
JP5338240B2 (ja) フッ化水素の分離方法
KR100598890B1 (ko) 하이드로플루오로카본의 정제
CN107531594B (zh) 五氟乙烷的纯化方法
WO1996007627A1 (en) Purification of pentafluoroethane
JPH09255597A (ja) ペンタフルオロエタンの精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120515

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120917

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5104075

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3