JP2009010250A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009010250A
JP2009010250A JP2007171694A JP2007171694A JP2009010250A JP 2009010250 A JP2009010250 A JP 2009010250A JP 2007171694 A JP2007171694 A JP 2007171694A JP 2007171694 A JP2007171694 A JP 2007171694A JP 2009010250 A JP2009010250 A JP 2009010250A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
manufacturing
semiconductor device
semiconductor
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007171694A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Tokunaga
謙二 徳永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Renesas Technology Corp
Original Assignee
Renesas Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Renesas Technology Corp filed Critical Renesas Technology Corp
Priority to JP2007171694A priority Critical patent/JP2009010250A/ja
Publication of JP2009010250A publication Critical patent/JP2009010250A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

【課題】露光装置やレチクルストッカなどの半導体製造装置を使用した半導体装置の製造工程において、ヘイズの発生を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造工程で使用される露光装置10において、この露光装置10とクリーンルームとの間に外気取り込み部18を設ける。そして、外気取り込み部18の内部に光触媒フィルタ19aを配置する。続いて、光触媒フィルタ19aの後段に化学フィルタを配置する。この化学フィルタは、有機物を除去する有機物除去フィルタ19bと、無機物を除去する無機物除去フィルタ19cより構成されている。
【選択図】図13

Description

本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、露光装置を構成するレンズあるいは露光装置で使用するレチクルに発生するヘイズ(Haze)を抑制できる技術に適用して有効な技術に関するものである。
特開2006−196632号公報(特許文献1)には、露光装置に水膜(湿式)フィルタと除塵フィルタとを使用する技術が記載されている。このとき、除塵フィルタの一部に光触媒フィルタを使用することができるとしている。
特開平11−111593号公報(特許文献2)には、露光装置に光触媒フィルタを使用することにより、有機物を分解する技術が記載されている。このとき、光触媒フィルタの光触媒作用により除去することができないアミン系の無機物の除去に、イオン交換フィルタを重ねて使用してもよい旨の記載がある。
特開平11−67618号公報(特許文献3)には、露光装置に光触媒フィルタを使用する技術が記載されている。
特開2006−196632号公報 特開平11−111593号公報 特開平11−67618号公報
半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィ技術が多用される。フォトリソグラフィ技術とは、光を使用した写真蝕刻技術のことである。具体的には、半導体装置の製造工程において、半導体基板に形成した下地膜上にレジスト膜を塗布する。そして、回路パターンが形成されたフォトマスク(レチクル)を通して紫外線やエキシマレーザ光線などを照射してマスクパターンをレジスト膜に転写する(露光処理)。その後、現像処理を行なって、レジスト膜に形成されているパターンを顕在化する。このような一連の工程がフォトリソグラフィ技術であり、レジスト膜をパターニングした後は、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチング技術により、下地膜をパターニングする。この技術を繰り返し実施することにより、半導体基板上にデバイスおよび配線を形成している。
近年、半導体装置の微細化により、露光装置におけるパターンの転写工程も微細化が要求されている。露光装置では、レチクルを介して半導体基板上に塗布されているレジスト膜に光を照射することにより、レジスト膜にパターンを転写する。このとき転写するパターンの微細化の程度は照射する光の波長に依存する。このため、転写するパターンを微細化するためには、より波長の短い光を使用する必要がある。例えば、半導体装置の微細化が進むにつれて、ArFレーザ(波長λ=193nm)が露光装置の光源として使用されてきている。つまり、従来の光源であるKrFレーザ(波長λ=248nm)に代えて、より波長の短いArFレーザが使用されつつある。
ここで、露光装置を使用して半導体基板上にパターンを転写するためには、フォトマスクや縮小レンズ系が使用される。フォトマスクや縮小レンズ系では、光を透過する必要があるため、透過物質から形成されている。このように構成されている露光装置では、フォトマスクやレンズにヘイズが発生するという問題点がある。ヘイズとは、巨視的には、フォトマスクやレンズの一部領域にくもりが発生する現象ということができ、微視的には、結晶化した固体がフォトマスクやレンズに付着する現象として把握することができる。このヘイズが発生すると、パターンを転写する半導体基板上に点欠陥を発生させる。さらには、特に、フォトマスクにヘイズが発生すると、フォトマスクを透過する光がヘイズの影響によって反射や散乱を起こし、光の透過率を下げることになる。光の透過率が下がると、半導体基板上のレジスト膜に転写されるパターン寸法をシフトさせるなどの悪影響を及ぼすことになる。
ヘイズは、従来のKrFレーザを光源として使用する露光装置に比べ、より波長の短いArFレーザを光源として使用する露光装置で発生頻度が増加している。これは、KrFレーザの波長に比べてArFレーザの波長が短いため、光子のエネルギーが高く、微小な汚染分子でも化学反応を引き起こす可能性が高くなっているためと考えられる。
フォトマスク上に形成されているヘイズを分析すると、硫黄化合物である硫酸アンモニウム((NHSO)や有機物(炭化水素、カルボン酸、シアヌル酸、または、炭素を含有する他の分子)が検出されることが判明した。これらの物質は空気中にわずかに存在し、それが露光装置の内部に侵入することにより生じると考えられる。つまり、露光装置は、クリーンルーム内に設置されているが、この露光装置の外部(クリーンルーム)と露光装置の内部の間には空気を循環させている。その循環させている空気の中に上述したヘイズの原因となる物質が混入していると考えられる。さらには、硫酸アンモニウムの場合、空気中に存在するアンモニア(NH)と硫酸(HSO)が化学反応して形成される場合もあると考えられる。
そこで、ヘイズの構成元素となるアンモニア(NH)、硫酸(HSO)や有機物を除去する目的で、露光装置の外部と内部の間に化学フィルタを取り付けている。この化学フィルタは、例えば、酸物質除去フィルタ、アルカリ性物質除去フィルタや有機物除去フィルタなどから構成され、アンモニア(NH)、硫酸(HSO)や有機物を除去する機能を有している。しかし、上述した化学フィルタを使用しても、ヘイズの発生を抑えることができない問題点が発生している。
ヘイズは、フォトマスクやレンズに発生するものであり、主として露光装置を例に挙げて説明したが、フォトマスクを保存するレチクルストッカでも問題となる現象である。つまり、レチクルストッカでは、フォトマスクを保管しておく時間が長いため、レチクルストッカに保管されているフォトマスクのマスク基板とペリクルで囲まれた空間内に、クリーンルーム中の空気に含まれるアンモニアや硫酸イオンが侵入する。その状態で、レチクルストッカから露光装置に運ばれ、露光装置で露光処理を行なうと、フォトマスクにもヘイズが発生するのである。したがって、露光装置だけでなくレチクルストッカにフォトマスクを保管している段階でも、ヘイズ対策が必要になることがわかる。
本発明の目的は、露光装置やレチクルストッカなどの半導体製造装置を使用した半導体装置の製造工程において、ヘイズの発生を低減することができる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明による半導体装置の製造方法は、(a)半導体製造装置の外部から前記半導体製造装置の内部へ空気を供給する工程を備え、前記(a)工程は、(a1)前記空気を光触媒フィルタに通す工程と、(a2)前記空気を化学フィルタに通す工程とを有することを特徴とするものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
半導体製造装置の外部から半導体製造装置の内部へ空気を供給する工程において、空気を光触媒フィルタに通す工程と、空気を化学フィルタに通す工程とを有するように構成したので、フォトマスクやレンズに発生するヘイズの発生を低減することができる。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
半導体製造装置である露光装置は、半導体装置の製造工程のうちフォトリソグラフィ工程で使用される。露光装置では、光源から射出された光が回路パターンを形成したレチクル(フォトマスク)に照射された後、レチクルを通過した光が縮小レンズを介して半導体ウェハ(半導体基板)上に形成されているレジスト膜に照射される。これにより、レチクルに形成した回路パターンが半導体基板上に形成されているレジスト膜に転写される。この工程が露光装置を使用した露光処理である。
通常、レチクルが正常状態にあれば、半導体基板上に形成されているレジスト膜に回路パターンが正常に転写される。しかし、現状の露光装置では、レチクルあるいは縮小レンズにヘイズが発生している。ヘイズとは、巨視的には、レチクルや縮小レンズの一部領域にくもりが発生する現象ということができ、微視的には、結晶化した固体がフォトマスクやレンズに付着する現象として把握されるものである。ヘイズが発生すると、パターンを転写する半導体基板上に点欠陥を発生させる。さらには、特に、レチクルにヘイズが発生すると、フォトマスクを透過する光がヘイズの影響によって反射や散乱を起こし、光の透過率を下げることになる。光の透過率が下がると、半導体基板上のレジスト膜に転写されるパターン寸法をシフトさせるなどの悪影響を及ぼすことになる。したがって、ヘイズが発生すると、正常な回路パターンをレジスト膜に転写することができなくなる。
特に、露光装置の光源として、従来のKrFレーザを光源として使用する露光装置に比べ、より波長の短いArFレーザを光源として使用する露光装置で発生頻度が増加している。ただし、KrFレーザやそれ以外の光源でもヘイズは確認されているが、特に、KrFレーザやArFレーザなどのエキシマレーザを光源として使用するとヘイズが顕著に現れる特性を有している。
そこで、本発明者はヘイズの発生原因を追究している。ヘイズによってレチクルにくもりが発生するが、このくもりの原因物質を特定するため、ラマン分光分析を行なっている。図1は、レチクルに付着している物質に対するラマン分光分析を行った結果を示すグラフである。図1において、横軸はラマンシフト量を示している。図1の上部に表示されている波形が実際の分析波形であり、図1の下部に表示されている波形がライブラリにある硫酸アンモニウム((NHSO)の波形である。図1を見てわかるように、硫酸アンモニウムの波形の形状(ピークが出ている箇所)と実際の分析波形の形状が一致していることがわかる。これは、レチクルに付着してヘイズの原因となっている主要物質が硫酸アンモニウムであることを示している。
このように、ラマン分光分析を実施することにより、ヘイズの主要な原因物質が硫酸アンモニウムであることがわかる。次に、露光装置内において、レチクルに硫酸アンモニウムが付着するメカニズムについて説明する。
図2は、レチクルを示す側面図である。図2に示すように、レチクルは透過物質であるガラス基板1に遮光物質によってマスクパターン2が形成されている。そして、レチクルには、マスクパターン2の表面を保護するため、空間を挟んで保護膜であるペリクル3が形成されている。このように構成されているレチクルに紫外線を照射すると、マスクパターン2が形成されていない領域では、ガラス基板1を紫外線が透過する。これに対し、遮光物質であるマスクパターン2が形成されている領域では、紫外線がマスクパターン2によって遮光される。これにより、レチクルに形成された回路パターンを反映する光線が半導体基板上に形成されているレジスト膜に転写される。しかし、図2に示すように、透過領域に硫酸アンモニウムが付着していると、本来、透過する紫外線が遮光されたり、反射したりする。すると、レチクルに形成されたパターンが正常にレジスト膜に転写されなくなる。このように硫酸アンモニウムがレチクルのパターン形成面に付着すると特に問題となる。すなわち、レチクルのマスクパターン2を形成している面がレジスト膜上に結像されるので、レチクルのパターン形成面に硫酸アンモニウムが付着すると、パターン不良が顕著に現れる。これに対し、ペリクル3上に硫酸アンモニウムが付着してもパターン不良の原因となるが、ペリクル3上の面は、パターン形成面とは、ずれているため、レジスト膜上に明瞭に結像されない。したがって、パターン形成面上に硫酸アンモニウムが付着する場合よりも問題は少ない。このことから、パターン形成面上に硫酸アンモニウムが付着することが問題となる。
レチクル上に硫酸アンモニウムが付着するメカニズムとして考えられるのは、図3の(1)に示すように、アンモニア(NH)と硫酸(HSO)が化学反応して硫酸アンモニウムが生成される場合である。この反応は、広く言えば、空気中に存在するアンモニア(NH)と硫酸イオン(SO)により進むと考えられる。
露光装置はクリーンルーム内に配置されるが、このクリーンルームから露光装置の内部に空気が供給されている。したがって、クリーンルーム内の空気に含まれるアンモニアや硫酸イオンが露光装置の処理室内に侵入することが考えられる。露光装置の処理室内に侵入したアンモニアや硫酸イオンが、レチクルのパターン形成面付近で反応することにより、レチクルのパターン形成面に硫酸アンモニウムが付着すると考えることができる。以上のようなメカニズムに基づくと、アンモニアや硫酸イオンが露光装置の内部に侵入することを抑制すれば、ヘイズを防止できると考えることができる。
そこで、例えば、クリーンルームから露光装置の内部との間に化学フィルタを使用して、空気に含まれるアンモニアや硫酸イオンを除去することが考えられる。しかし、化学フィルタを使用して空気に含まれるアンモニアや硫酸イオンを除去しても、ヘイズの発生を防止することができなかった。このため、レチクル上に硫酸アンモニウムが付着するメカニズムとして別の化学反応が生じている可能性があると推測される。
この点を検討した結果、図3の(2)で示す化学反応が露光装置内で進むことが考えられる。すなわち、空気中に存在する硫化水素(HS)が露光装置内の光源である紫外線の影響により、空気中に含まれる酸素と化学反応して二酸化硫黄(SO)になる。そして、二酸化硫黄が紫外線の影響により、空気中に含まれる酸素と化学反応して三酸化硫黄(SO)になる。次に、この三酸化硫黄が空気中の水分(HO)と化学反応して硫酸(HSO)になる。そして、この硫酸がアンモニアと化学反応することにより、硫酸アンモニウムが生成されるというものである。以上のメカニズムによれば、硫酸アンモニウムを生成する原因物質がアンモニアや硫酸イオンだけでなく、紫外線照射化で硫酸イオンを生成する硫化水素や二酸化硫黄も考えられることがわかる。すなわち、硫化水素は図3の(2)で示す化学反応で硫酸アンモニウムを生じることがわかるが、同様の工程により二酸化硫黄も硫酸アンモニウムを生じることがわかる。このメカニズムによれば、紫外線が存在すると化学反応が促進されることがわかる。したがって、露光装置の光源としてKrFレーザやArFレーザに代表されるエキシマレーザを使用すると、これらが紫外線の供給源となるので、レチクル上に硫化水素や二酸化硫黄が存在すると硫酸アンモニウムを生成する化学反応が促進されることがわかる。このことから、露光装置の光源として紫外線を使用すると、ヘイズが発生しやすくなることがわかる。特に、KrFレーザに比べてArFレーザでは、波長が短いので、高エネルギーを有している。このため、露光装置の光源としてArFレーザを使用すると、硫化水素や二酸化硫黄から硫酸アンモニウムを生成する化学反応がより促進してヘイズが発生しやすくなることがわかる。
以下では、実際に硫化水素や二酸化硫黄から硫酸アンモニウムが生成されるかについて検証してみる。つまり、硫化水素や二酸化硫黄は紫外線が存在すると硫酸イオンに変化するかについて検証する実験を行なった。この実験について説明する。
図4に示すように、容器4の内部にレチクルを想定したガラス基板1a、1bを配置する。そして、ガラス基板1aは紫外線ランプ5からの紫外線が照射されるように配置し、ガラス基板1bは紫外線ランプ5からの紫外線が照射されないように配置する。そして、容器4の内部は、二酸化硫黄雰囲気あるいは硫化水素雰囲気にする。このような条件下で、容器4内に硫酸イオンが生成されるか実験した。
図5は、実験結果を示すグラフである。図5において、横軸にそれぞれ二酸化硫黄雰囲気と硫化水素雰囲気下の結果を示している。それぞれの雰囲気中において、紫外線を照射してガラス基板1aを露光する場合、紫外線を照射してガラス基板1bを露光しない場合、および紫外線を照射しない場合のリラティブインテンシティを縦軸に示している。リラティブインテンシティとは、硫酸イオンの生成度合を示す指標である。例えば、リラティブインテンシティが大きくなると、硫酸イオンが多く生成されていることを示している。
図5に示すように、二酸化硫黄雰囲気において、紫外線を照射しない場合が最もリラティブインテンシティが小さく、硫酸イオンの生成が少ないことがわかる。そして、二酸化硫黄雰囲気では、紫外線を照射してガラス基板1bを露光しない場合のリラティブインテンシティが次に大きく、紫外線を照射してガラス基板1aを露光する場合のリラティブインテンシティが最も大きいことがわかる。同様に、硫化水素雰囲気では、紫外線を照射してガラス基板1bを露光しない場合のリラティブインテンシティは紫外線を照射しない場合と同程度であるが、紫外線を照射してガラス基板1aを露光する場合のリラティブインテンシティは二酸化硫黄雰囲気と同様に最も大きいことがわかる。このことから、紫外線を照射してガラス基板1aを露光する場合に、硫酸イオンが最も生成されることがわかる。
以上の実験結果から、硫化水素あるいは二酸化硫黄から硫酸イオンが生成される化学反応が実際に生じることが確認された。そして、紫外線を照射してガラス基板1aを露光するという実際の露光装置の使用条件に近い条件で最も硫酸イオンの生成が大きくなることがわかる。特に、図5に示すように、紫外線を照射しない場合に比べて紫外線を照射してガラス基板1aを露光する場合は、リラティブインテンシティが1桁から2桁も大きくなることがわかる。したがって、硫化水素や二酸化硫黄が紫外線によって硫酸イオンに化学反応して最終的に硫酸アンモニウムが生成されるというメカニズムは現実に即していると考えることができる。特に、この化学反応は紫外線をレチクルに照射する条件化で反応が促進することが実験で判明した。したがって、単に空気中に存在するアンモニアと硫酸イオンだけを除去しただけでは、レチクルや縮小レンズに発生するヘイズを防止できないことがわかる。つまり、ヘイズを抑制するには、空気中に存在するアンモニアや硫酸イオンだけでなく、硫化水素や二酸化硫黄も除去する必要があることがわかる。
従来は、アンモニアや硫酸イオンを除去するために化学フィルタを使用しているが、この化学フィルタでは、空気中に含まれる硫化水素や二酸化硫黄を充分に除去することができないことについて説明する。
図6は、従来の露光装置を示す構成図である。図6において、露光装置10は、外部(クリーンルーム)と露光装置10の内部の間に外気化学フィルタ11aが設けられている。そして、露光装置10の内部には空気を循環させる循環ファン12が設けられており、この空気を循環させる空間が露光装置10の循環部13となっている。この循環部13には循環化学フィルタ11bが設けられている。そして、循環部13の内部には、半導体基板(半導体ウェハ)に露光処理を施す処理室14が設けられている。この処理室14と循環部13の間には、除塵フィルタであるULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)15が設けられている。さらに、循環部13の内部にはULPA15を介してウェハ搬送系16が配置されている。
処理室14の内部には、レチクルスキャンステージ17b、レンズ17cおよびウェハステージ17dが配置されている。そして、レチクルはレチクルスキャンステージ17b上に配置され、半導体基板Wはウェハステージ17d上に配置される。
このように構成されている露光装置10においては、クリーンルームから露光装置10の内部に外気化学フィルタを介して空気が供給される。このとき、図6に示すように、クリーンルーム内の空気において、硫酸イオン(SO)の量はわずかであり(<1.7ng−S/m)、二酸化硫黄(SO)の量は160(ng−S/m)、硫化水素(HS)の量は240(ng−S/m)である。そして、外気化学フィルタ11aを通した露光装置10の内部では、硫酸イオンの量は<1.9(ng−S/m)、二酸化硫黄の量は130(ng−S/m)、硫化水素の量は200(ng−S/m)である。さらに、循環化学フィルタ11bを通した後の空気においては、硫酸イオンの量は<1.8(ng−S/m)、二酸化硫黄の量は50(ng−S/m)、硫化水素の量は77(ng−S/m)である。したがって、外気化学フィルタ11aと循環化学フィルタ11bにより、二酸化硫黄と硫化水素はわずかに除去されるだけで、充分に除去されていないことがわかる。このため、外気化学フィルタ11aおよび循環化学フィルタ11bを通過した二酸化硫黄や硫化水素が露光処理を行なう処理室14に侵入する。侵入した二酸化硫黄や硫化水素は露光処理における紫外線照射により、硫酸イオンに変化し、最終的にアンモニアと反応して硫酸アンモニウムとなる。この硫酸アンモニウムがレチクルやレンズ17cに付着してヘイズが発生する。以上のことから、露光装置10に外気化学フィルタ11aと循環化学フィルタ11bを設けるだけでは、ヘイズの原因物質である硫化水素や二酸化硫黄を充分に除去できないことがわかる。
次に、外気化学フィルタ11aや循環化学フィルタ11bを構成する化学フィルタでは硫化水素や二酸化硫黄を充分に除去できないことについて説明する。
図7は、化学フィルタの種類とその特性について示す図である。図7に示すように、化学フィルタには大別して活性炭タイプとイオン交換タイプがある。活性炭タイプは、有機物の除去に優れている。そして、酸性物質の除去やアルカリ性物質の除去にも効果的である。酸性物質の除去には活性炭に水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性物質を担時することにより効果的に行なうことができる。つまり、担時とは浸み込ませる意味であり、水酸化カリウムなどのアルカリ性物質を活性炭に浸み込ませている。これにより、活性炭に吸着した酸性物質と、活性炭に浸み込ませているアルカリ性物質とを中和させて酸性物質を除去するものである。同様に、アルカリ性物質を除去するには、活性炭にリン酸(HPO)などの酸性物質を担時することにより効果的に行なうことができる。このように活性炭タイプの化学フィルタでは、有機物の除去のほか、酸性物質およびアルカリ性物質の除を行なうことができる。
一方、イオン交換タイプの化学フィルタは有機物の除去には向いておらず、酸性物質およびアルカリ性物質の除去に適している。例えば、酸性物質の除去にはアニオン交換を利用し、アルカリ性物質の除去にはカチオン交換を利用している。
化学フィルタでは、中和反応などを利用して酸性物質やアルカリ性物質を除去することに適している。しかし、二酸化硫黄や硫化水素は酸性物質やアルカリ性物質ではないので、化学フィルタによる中和反応などの化学反応を利用して除去することはできないのである。化学フィルタによっても二酸化硫黄や硫化水素がわずかに除去されるが、そのメカニズムは、物理吸着によるものと考えられる。したがって、物理吸着が飽和するとそれ以上除去できなくなるので、化学フィルタでは二酸化硫黄や硫化水素を充分に除去できないのである。
図8は、化学フィルタの使用日数と硫化水素(HS)の除去率との関係を示すグラフである。図8において、横軸は化学フィルタの使用日数を示しており、縦軸は硫化水素の除去率を示している。図8に示すように、化学フィルタの使用開始日近くにおいて、硫化水素の除去率は80%程度であるが、化学フィルタの使用日数が経過するにしたがって、急激に除去率が低下している。具体的に、化学フィルタの使用日数が20日を超えると硫化水素の除去率が30%程度に低下し、その後、日数が経過すると、硫化水素の除去率が20%を下回るようになっている。この結果から、化学フィルタでは硫化水素を充分に除去することができないことがわかる。
図9は、化学フィルタの使用日数と二酸化硫黄(SO)の除去率との関係を示すグラフである。図9において、横軸は化学フィルタの使用日数を示しており、縦軸は二酸化硫黄の除去率を示している。図9に示すように、化学フィルタの使用開始日近くにおいて、硫化水素の除去率は60%程度であるが、化学フィルタの使用日数が経過するにしたがって、急激に除去率が低下している。具体的に、化学フィルタの使用日数が20日を超えると二酸化硫黄の除去率が20%程度に低下し、その後、日数が経過すると、硫化水素の除去率が0%になっている。すなわち、化学フィルタの使用日数が100日程度になると、化学フィルタではほとんど二酸化硫黄を除去できなくなる。この結果から、化学フィルタでは二酸化硫黄を充分に除去することができないことがわかる。
次に、図10は、クリーンルーム内の空気中に含まれる二酸化硫黄の濃度と化学フィルタを通した空気中に含まれる二酸化硫黄の濃度とをプロットしたグラフである。図10において、横軸は時間であり、縦軸は二酸化硫黄の濃度を示している。図10に示すように、クリーンルーム内の空気の方が化学フィルタを通した空気よりも二酸化硫黄の濃度が低い。つまり、化学フィルタによって二酸化硫黄が除去されていないばかりでなく、逆に二酸化硫黄の濃度が高くなっている。これは、化学フィルタにおいては、二酸化硫黄が物理吸着によって除去されているにすぎないことを示している。すなわち、図10に示す現象は、化学フィルタに物理吸着されている二酸化硫黄が飽和して、逆に化学フィルタから吐き出されていると考えることができる。
以上のことから、化学フィルタは、二酸化硫黄や硫化水素の除去に適していないことがわかる。以上述べたことをまとめると、ヘイズの発生となる原因物質として二酸化硫黄や硫化水素が考えられるが、この二酸化硫黄や硫化水素は化学フィルタでは除去することが困難であるということになる。
そこで、本実施の形態1では、二酸化硫黄や硫化水素の除去に光触媒フィルタを使用している。光触媒フィルタとは、光触媒となる酸化チタンに紫外線を照射することにより、様々な有機物を酸化分解し、強力な脱臭・抗菌力を発揮するフィルタである。そして、酸化脱臭力は活性炭と比較して低下がなく半永久的に持続する特徴がある。本実施の形態1では、この光触媒フィルタを二酸化硫黄や硫化水素の除去に使用する点に特徴の1つがある。
図11は、光触媒フィルタのメカニズムを説明する模式図である。図11において、光触媒となる酸化チタンに紫外線を照射すると、酸化チタンから電子が放出され、この電子が空気中の酸素と結びついて活性酸素になる。同様に、酸化チタンから電子が放出されるので、酸化チタン内には正孔が生じ、この正孔と空気中の水分が結びついて水酸基ラジカルが生成される。このようにして生成された活性酸素と水酸基ラジカルは反応性が豊かであるので、空気中の二酸化硫黄や硫化水素と反応する。このため、光触媒フィルタによって空気中に存在する二酸化硫黄や硫化水素を除去することができるのである。
図12は、光触媒フィルタを通過した後における様々な物質の量と光触媒フィルタを通過していない周辺部における様々な物質の量とを比較した図である。図12に示すように、光触媒フィルタによって二酸化硫黄や硫化水素の量を低減できることがわかる。具体的には、二酸化硫黄は、530(ng/m)から400(ng/m)へ減少し、硫化水素は、280(ng/m)から200(ng/m)に減少している。したがって、二酸化硫黄や硫化水素を低減する観点からは、光触媒フィルタが有効であることがわかる。
しかし、光触媒フィルタを使用すると、乳酸、酢酸あるいは蟻酸などの有機酸やアンモニアイオンが増加することがわかった。つまり、光触媒フィルタを使用することにより、ヘイズの発生原因となる二酸化硫黄や硫化水素を低減することができるが、有機酸やアンモニアなどの物質が増加する副作用があることを見出した。有機酸やアンモニアイオンが増加する理由としては以下のように考えることができる。
フォトリソグラフィ工程では、露光装置を使用する露光工程の他に、半導体基板上にレジスト膜を塗布する工程や露光工程でレジスト膜に転写したパターンを顕在化する現像工程が存在する。レジスト膜の塗布工程や現像工程は、塗布現像装置によって実施される。この塗布現像装置もクリーンルーム内に配置されるので、塗布現像装置からクリーンルーム内にレジスト溶剤(PEGMEA(poly ethylene glycol methylether acrylate)やPEGME(poly ethylene glycol methyl ether))など)やレジスト現像剤、シンナーなどの有機物が放出されている。したがって、クリーンルーム内の空気には、上述したレジスト溶剤やレジスト現像剤、有機物が含まれている。これらの物質のうち、例えば、レジスト溶剤が光触媒フィルタを通過すると、光触媒フィルタで生成された活性酸素や水酸基ラジカルとレジスト溶剤が化学反応する。この結果、レジスト溶剤が分解され乳酸、酢酸あるいは蟻酸といった有機酸が生成されると考えられる。また、レジスト現像剤が光触媒フィルタを通過すると、光触媒フィルタで生成された活性酸素や水酸基ラジカルとレジスト現像剤が化学反応してアンモニアが生成されると考えられる。さらに、有機物も光触媒フィルタで生成された活性酸素や水酸基ラジカルと化学反応して分解されるが、完全にCOとなるまで分解されず、小さな分子量の有機物となると考えられる。
光触媒フィルタで副産物として生成される有機酸やアンモニアあるいは有機物もヘイズの原因物質となるので除去する必要がある。このように、二酸化硫黄や硫化水素を除去する目的で光触媒フィルタを使用するが、副作用として、有機酸、アンモニアおよび有機物の量が増加してしまう。したがって、有機酸、アンモニアおよび有機物を除去する必要がある。
そこで、本実施の形態1における露光装置では、以下に示す構成をとっている。図13は、本実施の形態1における露光装置10の構成を示す図である。
図13において、本実施の形態1における露光装置10は、クリーンルームの内部に配置されている。そして、クリーンルームから露光装置10の内部への空気の供給が外気取り込み部18を介して行なわれる。すなわち、露光装置10の外側には外気取り込み部18が設けられており、この外気取り込み部18を介してクリーンルームの空気が露光装置10の内部に供給されるように構成されている。
外気取り込み部18に接続されている露光装置10の入り口には、外気化学フィルタ11aが設けられている。外気化学フィルタ11aは、例えば、有機物除去フィルタと無機物除去フィルタから構成されており、露光装置に流入する空気から有機物や無機物を除去するようになっている。
外気化学フィルタ11aを介した露光装置10の内部には、露光装置10の内部に存在する空気を循環する循環部13が形成されている。この循環部13は、露光装置10内の空気を循環する機能を有しており、例えば、循環ファン12が設けられている。循環ファン12によって循環部13を空気が循環するように構成されている。
循環部13にも循環化学フィルタ11bが設けられており、露光装置10内を循環する空気を清浄にしている。循環化学フィルタ11bも外気化学フィルタ11aと同様に、有機物除去フィルタと無機物除去フィルタから構成されている。
循環部13の内側には、除塵フィルタであるULPA15を介して処理室14が設けられており、この処理室14は、半導体基板Wに対して露光処理を行なうように構成されている。循環部13によって露光装置10内を循環している空気は、ULPA15を介して処理室14に供給される。そして、処理室14から循環部13へ空気が戻されるように構成されている。
処理室14内には露光装置10の露光部が形成されている。露光部は、投光部17a、レチクルスキャンステージ17b、レンズ17cおよびウェハステージ17dを有している。
投光部17aには、露光処理に使用する光源が配置されており、この光源から射出された光の形状や方向を制御するように構成されている。光源には、例えば、KrFレーザやArFレーザなどの紫外線を利用したエキシマレーザが使用されるが、その他のレーザを使用してもよい。本実施の形態1では、形成するパターンの微細化に対応して波長の短いArFレーザが主に使用される。この光源から射出された光は、投光部17aに設けられている反射板やレンズによって、光の進行方向や光の形状が加工される。
レチクルスキャンステージ17bは、レチクルRを配置するステージであり、レチクルRをスキャンすることができるように構成されている。レチクルRとは、ガラス基板などの透過物質上に遮光物質からなるパターンが形成されたものであり、半導体基板W上に転写する回路パターンが形成されている。
レンズ17cは、複数のレンズを備えており、縮小光学系を構成している。すなわち、レンズ17cによって、レチクルRに形成されている回路パターンを半導体基板W上に縮小して結像する機能を有している。
ウェハステージ17dは、半導体基板(半導体ウェハ)Wを配置するように構成されており、このウェハステージ17d上に配置された半導体基板Wに露光処理を施すようになっている。
次に、本実施の形態1における露光装置10の特徴的構成について説明する。図13において、本実施の形態1における露光装置10の特徴的構成は、外気取り込み部18の内部に光触媒フィルタ19aと化学フィルタとを設ける点にある。
光触媒フィルタ19aによってクリーンルームに流入した空気に含まれる二酸化硫黄や硫化水素を効果的に除去できる。しかし、光触媒フィルタ19aでは、光触媒作用によって生成された活性酸素や水酸基ラジカルが、クリーンルームから流入する空気に含まれるレジスト溶剤やレジスト現像剤あるいはシンナーなどの有機物とも化学反応し、有機酸やアンモニア、有機物を生成する。このため、光触媒フィルタ19aを設けただけでは、空気中の二酸化硫黄や硫化水素を低減することはできるが、空気中の有機酸やアンモニア、有機物を増加することになってしまう。すなわち、光触媒フィルタ19aを設けるだけでは、空気の清浄化の観点からは不充分である。そこで、本実施の形態1では、化学フィルタを設けている。化学フィルタによって、光触媒フィルタ19aで生成された有機酸、アンモニアおよび有機物を充分に除去できる。本実施の形態1では、光触媒フィルタ19aと化学フィルタの両方を使用することで、空気中に含まれる二酸化硫黄や硫化水素、さらには、有機酸、アンモニア、有機物を効果的に除去することができる。これにより、露光装置10に供給される空気が清浄化されるので、ヘイズの発生を充分に抑制することができる。
ここで、重要な点は、光触媒フィルタ19aと化学フィルタとの配置する順番である。すなわち、本実施の形態1では、まず、光触媒フィルタ19aを前段に配置し、この光触媒フィルタ19aの後段に化学フィルタを配置することにより、空気に含まれる不純物を効果的に除去できる利点が生じる。
例えば、化学フィルタを前段に配置し、光触媒フィルタ19aを後段に配置するとする。この場合、前段の化学フィルタでは、有機酸、アンモニアおよび有機物が空気中から低減されるが、二酸化硫黄や硫化水素は空気中から低減されない。したがって、二酸化硫黄や硫化水素を含んだ空気が後段に配置された光触媒フィルタ19aに流入する。光触媒フィルタ19aでは、二酸化硫黄や硫化水素を低減することができるので、空気中から二酸化硫黄や硫化水素を低減することができる。このように前段に化学フィルタを設け、後段に光触媒フィルタ19aを設けても問題ないように考えられる。
しかし、上述したように、光触媒フィルタ19aを空気が通過すると、空気に含まれる有機酸、アンモニアおよび有機物が増加する。したがって、光触媒フィルタ19aを後段に設けると、光触媒フィルタ19aで新たに発生する有機酸、アンモニアおよび有機物を除去できないことになる。
したがって、前段に光触媒フィルタ19aを配置し、後段に化学フィルタを配置する必要があることがわかる。以上ように構成することにより、まず、光触媒フィルタ19aで二酸化硫黄や硫化水素を充分に低減することができる。そして、光触媒フィルタ19aで新たに生成された有機酸、アンモニアおよび有機物は、後段に配置されている化学フィルタによって低減することができるのである。すなわち、二酸化硫黄や硫化水素だけでなく、有機酸、アンモニアおよび有機物を効果的に除去する観点からは、前段に光触媒フィルタ19aを配置し、この光触媒フィルタ19aの後段に化学フィルタを配置することが重要であることがわかる。
さらに、2枚の化学フィルタを使用し、この2枚の化学フィルタの間に光触媒フィルタを配置する構成も考えることができる。つまり、前段に化学フィルタを配置し、中段に光触媒フィルタを配置する。そして、中段に配置されている光触媒フィルタの後段に化学フィルタを配置する。このように構成することによっても、二酸化硫黄や硫化水素だけでなく、有機酸、アンモニアおよび有機物を効果的に除去することができる。特に、光触媒フィルタを2枚の化学フィルタで挟むように構成することにより、前段の化学フィルタでレジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物を予め低減することができる。これらのレジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物は、光触媒フィルタに流入すると、光触媒フィルタでの化学反応により、有機酸、アンモニアおよび有機物が生成される。このため、予め、光触媒フィルタの前段に化学フィルタを設けることにより、光触媒フィルタにおいて有機酸、アンモニアおよび有機物の発生原因となる物質(レジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物)を低減することができる。つまり、光触媒フィルタの前段に化学フィルタを設けてレジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物を低減することにより、光触媒フィルタで発生する有機酸、アンモニアおよび有機物の発生を抑制できるのである。
そして、光触媒フィルタの後段にも化学フィルタを配置することにより、光触媒フィルタで増加する有機酸、アンモニアおよび有機物を低減できる。以上より、2枚の化学フィルタの間に光触媒フィルタを挟むことにより、二酸化硫黄や硫化水素を低減することができることはもちろん、効果的に有機酸、アンモニアおよび有機物を低減できる。
ここで、図13に示すように、本実施の形態1における露光装置10では、光触媒フィルタ19aを1つ設けるように構成しているが、複数の光触媒フィルタ19aを外気取り込み部に設けるように構成してよい。複数の光触媒フィルタ19aを使用することにより、二酸化硫黄および硫化水素の低減効率を向上させることができる。
化学フィルタの構成としては、例えば、図13に示すように、有機物除去フィルタ19bと無機物除去フィルタ19cを備えている。これにより、有機物は主に有機物除去フィルタ19bで低減され、無機物は主に無機物除去フィルタ19cで低減される。有機物除去フィルタ19bとしては、活性炭を使用することが考えられる。また、無機物としては、酸性物質やアルカリ性物質などがあるため、無機物除去フィルタ19cは、例えば、酸性物質除去フィルタとアルカリ性物質除去フィルタから構成される。酸性物質除去フィルタやアルカリ性物質除去フィルタはイオン交換型フィルタを使用することができる。
なお、化学フィルタを構成する有機物除去フィルタ19bと無機物除去フィルタ19cの順序は問わない。すなわち、化学フィルタを配置する位置において、前段に有機物除去フィルタ19bを配置し、後段に無機物除去フィルタ19cを配置してもよいし、前段に無機物除去フィルタ19cを配置し、後段に有機物除去フィルタ19bを配置してもよい。
本実施の形態1における露光装置10は上記のように構成されており、主に露光装置10に供給される空気の清浄化動作について説明する。
図13に示すように、クリーンルームに存在する空気が外気取り込み部18に流入する。このとき、クリーンルームに存在する空気の中には、レジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物の他に二酸化硫黄や硫化水素が含まれている。
外気取り込み部18に流入した空気は、まず、外気取り込み部18の内部に設けられている光触媒フィルタ19aを通過する。光触媒フィルタ19aでは光触媒となる酸化チタンに紫外線を照射することにより、活性酸素や水酸基ラジカルが生成される。生成された活性酸素や水酸基ラジカルと空気中に含まれる二酸化硫黄や硫化水素が化学反応して、二酸化硫黄や硫化水素が低減される。すなわち、二酸化硫黄や硫化水素は活性酸素や水酸基ラジカルと反応して硫酸イオンになり低減される。同時に、空気に含まれるレジスト溶剤、レジスト現像剤および有機物が活性酸素あるいは水酸基ラジカルによって酸化分解されて、乳酸、酢酸および蟻酸などからなる有機酸、アンモニア、有機物が生成される。したがって、空気が光触媒フィルタ19aを通過すると、二酸化硫黄や硫化水素が低減される一方で、有機酸、アンモニアや有機物が増加する。
続いて、光触媒フィルタ19aを通過した空気は、有機物除去フィルタ19bを通過する。有機物除去フィルタ19bは、例えば、活性炭から構成されており、この活性炭に有機酸や有機物が吸着することにより、空気中の有機酸や有機物が低減される。つまり、光触媒フィルタ19aを通過することにより新たに生成された有機酸や有機物が、この有機物除去フィルタ19bを通ることにより低減される。
次に、有機物除去フィルタ19bを通過した空気は、無機物除去フィルタ19cを通過する。無機物除去フィルタ19cは、例えば、イオン交換型フィルタから構成された酸性物質除去フィルタとアルカリ性物質除去フィルタを有している、この無機物除去フィルタ19cで酸性物質やアルカリ物質が低減され、空気中の酸性物質やアルカリ性物質が低減される。つまり、光触媒フィルタ19aを通過することにより新たに生成された硫酸イオンやアンモニアなどの無機物が、この無機物除去フィルタ19cを通ることにより低減される。
以上にようにして、光触媒フィルタ19a、有機物除去フィルタ19bおよび無機物除去フィルタ19cを空気が順次通過することにより、空気中に含まれている二酸化硫黄、硫化水素、有機酸、アンモニアおよび有機物が低減されて空気が清浄化される。
続いて、外気取り込み部18から流出した空気は、露光装置10の内部に流入する。露光装置10の内部において、流入した空気は、外気化学フィルタ11aを介して循環部13に供給される。循環部13に供給された空気は、循環化学フィルタ11bを通過し、循環ファン12によって攪拌される。この外気化学フィルタ11aや循環化学フィルタ11bにより、さらに、有機酸、アンモニアおよび有機物が低減される。
循環部13に供給された空気は、ULPA15を介して、処理室14に流入する。ULPA15によって空気中に含まれるパーティクルが低減される。以上のようして処理室14に空気が供給されることになる。処理室14に供給される空気は、上述した外気取り込み部18に設けられている光触媒フィルタ19a、化学フィルタ(有機物除去フィルタ19bおよび無機物除去フィルタ19c)によって清浄化されている。そして、処理室14から循環部13に空気が戻り、処理室14と循環部13の間で清浄化された空気が循環することになる。
このような状況下で、処理室14では半導体基板W上に対して露光処理が行なわれる。具体的には、光源であるArFレーザから射出された光は投光部17aにおいて、光の方向や形状が調整される。そして、投光部17aから射出された光はレチクルRを介して縮小レンズ系を構成するレンズ17cに入射する。続いて、レンズ17cに射出した光は、半導体基板W上に形成されているレジスト膜に照射される。これにより、レチクルRに描画されている回路パターンが半導体基板W上に縮小投影され、レジスト膜に回路パターンが転写される。このようにして露光処理が実施される。
露光処理では、ArFレーザ光(紫外線)が照射され、この紫外線がレチクルRやレンズ17cを通過する。したがって、レチクルRやレンズ17cを取り囲む周囲の空気に二酸化硫黄や硫化水素が多く存在すると、二酸化硫黄や硫化水素が紫外線の影響により化学反応し、最終的に、空気中に含まれるアンモニアと反応して硫酸アンモニウムがレチクルRやレンズ17cに付着する。すなわち、レチクルRやレンズ17cは紫外線を照射するので、二酸化硫黄や硫化水素から硫酸アンモニウムが生成されやすく、へイズが発生しやすくなる。ヘイズが発生すると、レジスト膜上に正常な回路パターンが転写されなくなるので、パターン不良が発生することになる。
しかし、本実施の形態1では、外気取り込み部18に設けられている光触媒フィルタ19a、化学フィルタ(有機物除去フィルタ19bおよび無機物除去フィルタ19c)によって空気が清浄化されている。つまり、処理室14に供給される空気には、ヘイズの主要な原因物質である二酸化硫黄や硫化水素が低減されている。このため、紫外線が照射されているレチクルRやレンズ17cにおいても、ヘイズの発生が低減される。したがって、本実施の形態1によれば、レチクルRやレンズ17cに発生するヘイズを抑制することができるので、半導体基板Wに転写されるパターンのパターン不良を低減することができる。つまり、本実施の形態1によれば、半導体装置の製造工程で実施されるフォトリソグラフィ工程の信頼性を向上するという顕著な効果を得ることができる。
以下では、本実施の形態1における露光装置を使用して、CMISFET(半導体装置)を製造する製造工程について説明する。このCMISFETの製造工程において、例えば、本実施の形態1における露光装置を、素子分離領域形成工程に適用する例について説明する。
まず、図14に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板20を用意する。このとき、半導体基板20は、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。
次に、図15に示すように、半導体基板20上に酸化シリコン膜21および窒化シリコン膜22を順次形成する。窒化シリコン膜22および酸化シリコン膜21は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して形成することができる。
続いて、図16に示すように、窒化シリコン膜22上にレジスト膜22aを塗布する。このレジスト膜22aを塗布する工程について説明する。まず、半導体基板20を搬送容器に収納し、搬送台車で塗布/現像装置に搬送する。
次に、塗布/現像装置では搬送容器のドアを開け、半導体基板20をレジスト膜塗布用のカップに搬送し、レジスト材料(半導体材料)を滴下しスピンにより膜厚均一化を行なう。これにより、窒化シリコン膜22上にレジスト膜22aが塗布される。そして、半導体基板20を、TARC(Top Anti Reflect Coating)膜塗布用のカップに搬送し、TARC材料(半導体材料)(図示せず)を滴下しスピンにより膜厚均一化を行う。
続いて、ベーク室でベークし、その後一貫接続された本実施の形態1における露光装置に半導体基板20を搬送する。露光装置内で半導体基板20は所定のレチクルを用いたステップ露光により表面のレジスト膜22aを感光させる。
詳細には、図13に示すクリーンルームからの空気が取り込まれる外気取り込み部18を設けている露光装置10において、露光装置10内の処理室14には、レンズや光源が配置されている。この露光装置10の内部にレチクルR、半導体基板20(W)を配置した後、光源およびレンズを用いて半導体基板20(W)に対して露光処理する。一般的に最小加工寸法が90nmまでの製品ではKrFレーザ光源(λ=248nm)を用いた露光装置10で露光を行い、最小加工寸法が65nm以下の製品ではArFレーザ光源(λ=193nm)を用いた露光装置10で露光を行う。
露光装置10でレジスト膜22aを感光させた後、半導体基板20は再び塗布/現像装置に戻り、現像用のカップで現像液処理を施すことで、図17に示すように、レジストパターンが形成される。つまり、半導体基板20上に形成されているレジスト膜22aがパターニングされる。このパターニングは、素子分離領域を開口するように行なわれる。
この露光工程においてレチクルR上にヘイズによる点欠陥が存在すると、その欠陥が半導体基板20上のレジスト膜22aの感光にも影響を与え、現像により半導体基板20上の点欠陥として出現する。すなわち、レジストパターンに欠陥が存在すると、そのレジストパターンを用いてエッチングを行う下地膜(窒化シリコン膜22、酸化シリコン膜21)にも欠陥が転写され、正常な素子分離領域が形成されず、歩留りを低下させることになる。
従来の露光装置におけるヘイズは、主に以下に示すようにして発生する。従来の露光装置の処理室内には二酸化硫黄や硫化水素が存在するため、レチクルのガラス面とぺリクル面の間の空間に二酸化硫黄や硫化水素が入り込む。さらに、空気中に存在する酸素、水分、微量のアンモニアもこの空間に存在する。この状況下で、ArFレーザ光がレチクルを通して半導体基板に照射される際、レチクルのガラス面とぺリクル面の間の空間で、二酸化硫黄や硫化水素が紫外線(ArFレーザ光)のもとで硫酸イオンになる化学反応が進行し、最終的に硫酸アンモニウムがレチクルのパターン形成面上に形成されてArFレーザ光の透過を遮るようになる。これにより、半導体基板へのパターン転写が正常に行なわれなくなる。
これに対し、本実施の形態1における露光装置10では、二酸化硫黄や硫化水素が低減されているため、露光装置10内の処理室14の空気は清浄化されている。この状態でArFレーザ光により露光処理を行っても硫黄の供給源がないため、二酸化硫黄や硫化水素から硫酸アンモニウムが生成される化学反応が起こらず、ヘイズが低減される。
これは、本実施の形態1では、図13に示す外気取り込み部18に設けられている光触媒フィルタ19a、化学フィルタ(有機物除去フィルタ19bおよび無機物除去フィルタ19c)によって空気が清浄化されているからである。つまり、処理室14に供給される空気には、ヘイズの主要な原因物質である二酸化硫黄や硫化水素が低減されている。このため、紫外線が照射されているレチクルRやレンズ17cにおいても、ヘイズの発生が低減される。したがって、本実施の形態1によれば、レチクルRやレンズ17cに発生するヘイズを抑制することができるのである。以上のことから、図17に示すように、パターニングされたレジスト膜22aには欠陥がなく、正常にパターニングされることになる。
次に、図18に示すように、パターニングしたレジスト膜22aをマスクにしたエッチングにより、窒化シリコン膜22および酸化シリコン膜21をパターニングする。パターニングは、素子分離溝を形成する領域に窒化シリコン膜22および酸化シリコン膜21が残らないように行なわれる。
そして、図19に示すように、パターニングした窒化シリコン膜22および酸化シリコン膜21をハードマスク膜にしたプラズマエッチングにより半導体基板20に素子分離溝23を形成する。
次に、図20に示すように、半導体基板20に形成した素子分離溝23の表面に酸化シリコン膜24を形成する。この酸化シリコン膜24は、例えば、熱酸化法によって形成することができる。その後、図21に示すように、素子分離溝23内を含む半導体基板20上に酸化シリコン膜25を形成する。酸化シリコン膜25は、例えば、高密度プラズマCVD法により形成することができる。
続いて、図22に示すように、半導体基板20の表面を化学的機械的研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)で研磨する。そして、露出した窒化シリコン膜22を熱リン酸で除去することにより、半導体基板20上に素子分離領域29を形成することができる。その後、図22に示す酸化シリコン膜21および酸化シリコン膜25を除去する。この素子分離領域29は、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。
次に、図23に示すように、素子分離領域29で分離された活性領域に不純物を導入してウェルを形成する。例えば、活性領域のうちnチャネル型MISFET形成領域には、p型ウェル30を形成し、pチャネル型MISFET形成領域には、n型ウェル31を形成する。p型ウェル30は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板20に導入することで形成される。同様に、n型ウェル31は、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板20に導入することで形成される。
続いて、p型ウェル30の表面領域およびn型ウェル31の表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
次に、半導体基板20上にゲート絶縁膜32を形成する。ゲート絶縁膜32は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、ゲート絶縁膜32は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜32を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜32と半導体基板20との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜32のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜32に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板20をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板20の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜32を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板20を熱処理し、ゲート絶縁膜32と半導体基板20との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
また、ゲート絶縁膜32は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜32として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜32の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜32として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電体膜が使用されるようになってきている。高誘電体膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。
例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
続いて、図24に示すように、ゲート絶縁膜32上にポリシリコン膜(導体膜)33を形成する。ポリシリコン膜33は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、nチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜33中にリンや砒素などのn型不純物を導入する。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜33中にホウ素などのp型不純物を導入する。
そして、図25に示すように、ポリシリコン膜33上に酸化シリコン膜34を形成した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、酸化シリコン膜34上にパターニングしたレジスト膜35a、35bを形成する。レジスト膜35aおよびレジスト膜35bは、ゲート電極形成領域を覆うように形成される。
続いて、図26に示すように、レジスト膜35a、35bをマスクにしたエッチングにより酸化シリコン膜34をパターニングして酸化シリコン膜34a、34bを形成する。この酸化シリコン膜34a、34bはポリシリコン膜33を加工してゲート電極を形成する際のハードマスクとなる膜である。このハードマスク膜は酸化シリコン膜だけでなく、窒化シリコン膜等の材質を用いてもよい。
次に、図27に示すように、パターニングした酸化シリコン膜34aおよび酸化シリコン膜34bをハードマスク膜にしたプラズマエッチングによりポリシリコン膜33を加工して、nチャネル型MISFET形成領域にゲート電極36aを形成し、pチャネル型MISFET形成領域にゲート電極36bを形成する。
この後、図28に示すように、ハードマスク膜である酸化シリコン膜34a、34bを除去することにより、ゲート電極36a、36bを形成することができる。ここで、nチャネル型MISFET形成領域のゲート電極36aには、ポリシリコン膜33中にn型不純物が導入されている。このため、ゲート電極36aの仕事関数値をシリコンの伝導帯近傍(4.15eV)の値にすることができるので、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。一方、pチャネル型MISFET形成領域のゲート電極36bには、ポリシリコン膜33中にp型不純物が導入されている。このため、ゲート電極36bの仕事関数値をシリコンの価電子帯近傍(5.15eV)の値にすることができるので、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。このように本実施の形態1では、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧を低減することができる(デュアルゲート構造)。
続いて、図29に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFETのゲート電極36aに整合した浅いn型不純物拡散領域37を形成する。浅いn型不純物拡散領域37は、半導体領域である。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に浅いp型不純物拡散領域38を形成する。浅いp型不純物拡散領域38は、pチャネル型MISFETのゲート電極36bに整合して形成される。この浅いp型不純物拡散領域38は、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより形成することができる。
次に、図30に示すように、ゲート電極36a、36bを覆うように、半導体基板20上に酸化シリコン膜39を形成する。酸化シリコン膜39は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、図31に示すように、酸化シリコン膜39を異方性エッチングすることにより、サイドウォール40をゲート電極36a、36bの側壁に形成する。サイドウォール40は、酸化シリコン膜39の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜のみ、もしくは、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールを形成してもよい。
続いて、図32に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール40に整合した深いn型不純物拡散領域41を形成する。深いn型不純物拡散領域41は、半導体領域である。この深いn型不純物拡散領域41と浅いn型不純物拡散領域37によってソース領域が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域41と浅いn型不純物拡散領域37によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅いn型不純物拡散領域37と深いn型不純物拡散領域41で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
同様に、pチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール40に整合した深いp型不純物拡散領域42を形成する。この深いp型不純物拡散領域42と浅いp型不純物拡散領域38によってソース領域およびドレイン領域が形成される。したがって、pチャネル型MISFETにおいてもソース領域およびドレイン領域はLDD構造をしている。
このようにして、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
その後、半導体基板20上にコバルト膜を形成する。このとき、ゲート電極36a、36bに直接接するようにコバルト膜が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42にもコバルト膜が直接接する。
コバルト膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、コバルト膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極36a、36bを構成するポリシリコン膜33とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜43を形成する。これにより、ゲート電極36a、36bはポリシリコン膜33とコバルトシリサイド膜43の積層構造となる。コバルトシリサイド膜43は、ゲート電極36a、36bの低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜43が形成される。このため、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42においても低抵抗化を図ることができる。
そして、未反応のコバルト膜は、半導体基板20上から除去される。なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜43を形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜43に代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成するようにしてもよい。
次に、図33に示すように、半導体基板20の主面上に層間絶縁膜となる酸化シリコン膜44を形成する。この酸化シリコン膜44は、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、酸化シリコン膜44の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、酸化シリコン膜44にコンタクトホール45を形成する。そして、コンタクトホール45の底面および内壁を含む酸化シリコン膜44上にチタン/窒化チタン膜46aを形成する。チタン/窒化チタン膜46aは、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜46aは、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
続いて、コンタクトホール45を埋め込むように、半導体基板20の主面の全面にタングステン膜46bを形成する。このタングステン膜46bは、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜44上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜46aおよびタングステン膜46bを例えばCMP法で除去することにより、プラグ47を形成することができる。
次に、図34に示すように、酸化シリコン膜44およびプラグ47上にチタン/窒化チタン膜48a、銅を含有するアルミニウム膜48b、チタン/窒化チタン膜48cを順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線49を形成する。さらに、配線49の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、本実施の形態1における半導体装置を形成することができる。
本実施の形態1における露光装置をCMISFETの素子分離領域を形成する工程を例にして説明したが、これに限らず、CMISFETを製造する様々な工程で使用するフォトリソグラフィ工程に幅広く適用することができる。さらに、半導体装置としてCMISFETを例に挙げて説明したが、不揮発性メモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体装置の製造工程にも本実施の形態1における露光装置を適用することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、露光装置の外気取り込み部に光触媒フィルタと化学フィルタを配置する例について説明した。本実施の形態2では、露光装置の内部、具体的には、露光装置の循環部と処理室との間に光触媒フィルタを配置する例について説明する。
図35は、本実施の形態2における露光装置10の構成を示す図である。図35に示す本実施の形態2における露光装置10と、図13に示す前記実施の形態1における露光装置10とはほぼ同様の構成をしているので、相違点について説明する。
本実施の形態2における露光装置10は、外気取り込み部が設けられておらず、露光装置10の内部に光触媒フィルタ19aが設けられている点が前記実施の形態1と相違する。具体的に、本実施の形態2では、露光装置10内の循環部13と処理室14の間に光触媒フィルタ19aが設けられている。このように構成することによっても、処理室14に供給される空気中の二酸化硫黄および硫化水素を低減することができる。
図35に示すように、本実施の形態2における露光装置10では、処理室14から循環部13に空気が移動する際、光触媒フィルタ19aを通過するように構成されている。そして、循環部13に戻った空気は、循環化学フィルタ11bを通過した後、再び循環部13から処理室14に供給される。このため、露光装置10内の空気は、循環部13と処理室14を循環するたびに光触媒フィルタ19aを通過することになるので、処理室14内の空気には、二酸化硫黄や硫化水素の含有率が低減されるのである。以上のようにして、本実施の形態2における露光装置10においても、処理室14内のレチクルRやレンズ17cに発生するヘイズを抑制することができる。
ここで、光触媒フィルタ19aでは、前記実施の形態1で説明したように、有機酸、アンモニアおよび有機物が増加する特性があるが、これらの物質は光触媒フィルタ19aの後段に設けられている循環化学フィルタ11bで除去されるので問題はないのである。つまり、本実施の形態2では、図13に示す前記実施の形態1のように、有機物除去フィルタ19bおよび無機物除去フィルタ19cが設けられていないが、これらのフィルタの機能を循環化学フィルタ11bで代用しているのである。循環化学フィルタ11bも有機物と無機物の両方を除去することができるように、有機物除去フィルタと無機物除去フィルタから構成されている。以上より、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、前記実施の形態1と前記実施の形態2とを組み合わせた構成について説明する。
図36は、本実施の形態3における露光装置10の構成を示す図である。図36に示すように、本実施の形態3における露光装置10では、光触媒フィルタが異なる2箇所の場所に配置されている。具体的には、外気取り込み部18の内部と、露光装置10内の処理室14と循環部13の間に設けられている。つまり、前記実施の形態1と同様に、外気取り込み部18に光触媒フィルタ19aを設けることにより、クリーンルームから露光装置10に空気を取り込む際に、空気中に含まれる二酸化硫黄および硫化水素を低減することができる。さらに、空気が露光装置10内に供給された後は、前記実施の形態2と同様に、処理室14と循環部13との間に設けられた光触媒フィルタ19aにより、二酸化硫黄および硫化水素が低減される。
本実施の形態3によれば、複数の光触媒フィルタ19aを設けることにより、さらに、露光装置10内の処理室14に供給される空気中の二酸化硫黄および硫化水素の含有率を低減することができる。そして、光触媒フィルタ19aで新たに発生する有機酸、アンモニアおよび有機物は、光触媒フィルタ19aの後段に設けられている有機物除去フィルタ19b、無機物除去フィルタ19c、外気化学フィルタ11aおよび循環化学フィルタ11bによって充分に低減することができる。
以上のことから、本実施の形態3においても、処理室14に供給される空気には、ヘイズの主要な原因物質である二酸化硫黄や硫化水素が低減されている。このため、紫外線が照射されているレチクルRやレンズ17cにおいても、ヘイズの発生が低減される。したがって、本実施の形態3によれば、レチクルRやレンズ17cに発生するヘイズを抑制することができるので、半導体基板Wに転写されるパターンのパターン不良を低減することができる。つまり、本実施の形態3によれば、半導体装置の製造工程で実施されるフォトリソグラフィ工程の信頼性を向上するという顕著な効果を得ることができる。
(実施の形態4)
前記実施の形態1では、半導体製造装置の一例として露光装置を例に挙げて説明したが、本実施の形態4では、レチクルを保存するレチクルストッカに本発明を適用する例について説明する。
回路パターンが形成されているレチクルは、露光装置における露光処理で使用されるが、露光装置で使用される前はレチクルストッカと呼ばれる半導体製造装置に保管されている。すなわち、通常、複数のレチクルは、レチクルストッカに保存されており、使用する際、露光装置にレチクルストッカから使用するレチクルを搬出するようになっている。
レチクルストッカもクリーンルーム内に配置されており、通常、クリーンルームの空気にレチクルストッカはさらされている。クリーンルーム内の空気には、二酸化硫黄や硫化水素が含まれているので、レチクルストッカの内部に二酸化硫黄や硫化水素も混入する。特に、レチクルは、レチクルストッカに保管されている時間が長いので、レチクルストッカに保管されているレチクルのマスク基板とペリクルの間の空間に、二酸化硫黄や硫化水素が侵入しやすい。しかし、この状態では、レチクルに紫外線が照射される環境ではないので、直ちに、レチクルのマスク基板とペリクルの間に侵入した二酸化硫黄や硫化水素が紫外線照射のもとで硫酸イオンに変化し、最終的に、硫酸アンモニウムとなることは少ないと考えられる。ところが、レチクルストッカに保管されているレチクルは、露光装置に運ばれて露光処理に使用される。このとき、レチクルのマスク基板とペリクルの間に、多量の二酸化硫黄や硫化水素が存在すると、露光処理の際、レチクルに照射される紫外線によって、二酸化硫黄や硫化水素が化学反応し、最終的に、硫酸アンモニウムが生成されてレチクルにヘイズが発生する。したがって、レチクルストッカにレチクルを保管している段階から、レチクルのマスク基板とペリクルの間の空間に二酸化硫黄や硫化水素がなるべく侵入しないように管理することが必要であることがわかる。つまり、ヘイズを抑制する観点からは、レチクルストッカでもレチクルに二酸化硫黄や硫化水素がなるべく侵入しないように管理することが必要である。
そこで、本実施の形態4では、レチクルストッカをクリーンルーム内に配置してクリーンルームの空気にレチクルストッカをさらすのではなく、レチクルストッカの内部を密閉して、レチクルストッカに清浄化した空気を供給するように構成している点に特徴の1つがある。すなわち、本実施の形態4では、レチクルストッカに、二酸化硫黄や硫化水素を低減した清浄な空気を供給するに構成している。
図37は、本実施の形態4におけるレチクルストッカ50の構成を示す図である。図37において、レチクルストッカ50には外気取り込み部18が接続されている。この外気取り込み部18に光触媒フィルタ19a、光触媒フィルタ19aの後段に有機物除去フィルタ19bと無機物除去フィルタ19cが設けられている。
外気取り込み部18を介してクリーンルームからレチクルストッカ50の内部には空気が供給されている。そして、レチクルストッカ50の内部に供給された空気は、ULPA15を介して複数のレチクルRを保存している保存室に供給されている。レチクルストッカ50には、複数のレチクルRが保存されており、必要に応じて、RSP(Reticle Smif(Standard Mechanical Interface) Pod)により、露光装置へ搬出されるように構成されている。
本実施の形態4におけるレチクルストッカの特徴の1つは、外気取り込み部18に、光触媒フィルタ19aを設けるとともに、光触媒フィルタ19aの後段に化学フィルタを設けている点である。このように構成することにより、レチクルストッカ50内に供給される空気中の二酸化硫黄および硫化水素の含有率を低減することができる。そして、光触媒フィルタ19aで新たに発生する有機酸、アンモニアおよび有機物は、光触媒フィルタ19aの後段に設けられている有機物除去フィルタ19b、無機物除去フィルタ19cによって充分に低減することができる。
したがって、本実施の形態4によれば、レチクルストッカ50に供給される空気の清浄化を実現することができ、レチクルRにヘイズが発生することを抑制することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態5では有機物除去フィルタに自己再生式フィルタを使用する例について説明する。
図38は、本実施の形態5におけるフィルタ構成を示す図である。図38において、クリーンルーム内の空気は、まず、光触媒フィルタ53を通過し、その後、有機物フィルタを通過する。そして、有機物フィルタを通過した後、無機物フィルタ55を通過して半導体製造装置52の内部に供給される。
ここで、半導体製造装置52は、例えば、露光装置やレチクルストッカである。有機物フィルタは、有機物フィルタ54aと有機物フィルタ54bから構成されている。有機物フィルタ54a、54bは、例えば、活性炭から構成されており、主に有機物を除去するように構成されている。一方、無機物フィルタ55は、例えば、酸性物質除去フィルタやアルカリ物質除去フィルタから構成されており、主に酸性物質やアルカリ性物質を除去するように構成されている。
有機物フィルタ54a、54bは、物理吸着によって有機物を除去している。したがって、物理吸着する有機物が多くなると飽和して有機物の除去効率が低下する。そこで、本実施の形態5では、有機物フィルタとして自己再生式フィルタを構成している。
具体的に自己再生式フィルタは、有機物フィルタ54aと有機物フィルタ54bから構成されている。このように構成されている自己再生式フィルタの動作について説明する。まず、前提として、図38に示す有機物フィルタ54bは物理吸着が飽和しており、使用できない状態にあるとする。この場合、有機物フィルタとして有機物フィルタ54aが使用される。
まず、クリーンルーム内に空気は、光触媒フィルタ53を通過する。これにより、空気中の二酸化硫黄および硫化水素が低減される。そして、光触媒フィルタ53を通過した空気は、切替弁56aによって有機物フィルタ54aに流入する。このため、有機物フィルタ54aに有機物が物理吸着し、空気中の有機物が低減される。続いて、有機物フィルタ54aを通過した空気は切替弁56bにより無機物フィルタ55に流入する。この空気が無機物フィルタ55を通過することにより、空気中の酸性物質やアルカリ性物質などの無機物が低減される。そして、無機物フィルタ55を通過した空気が半導体製造装置52に供給される。
このようにして、空気中の二酸化硫黄および硫化水素の含有率を低減することができる。そして、光触媒フィルタ53で新たに発生する有機酸、アンモニアおよび有機物は、光触媒フィルタ53の後段に設けられている有機物フィルタ54aおよび無機物フィルタ55によって充分に低減することができる。
ここで、有機物フィルタのうち、有機物フィルタ54bは吸着率が飽和して使用できない状態にあるので、この有機物フィルタ54bを再生する動作について説明する。まず、切替弁56bを切り替えることにより、ヒータで暖められた空気を有機物フィルタ54bに供給する。すると、有機物フィルタ54bでは、ヒータで暖められた空気によって有機物フィルタ54bに吸着している有機物が離脱する。これにより、有機物フィルタ54bの吸着率が低下して再びフィルタとしての機能が回復する。このとき、有機物フィルタ54bから離脱した有機物は空気とともに外部に放出される。これは、切替弁56aを切り替えることにより実現できる。以上のようにして、有機物フィルタ54bを再生することができる。
そして、現在使用している有機物フィルタ54aの吸着率が飽和した場合、切替弁56aと切替弁56bとを切り替えることにより、再生した有機物フィルタ54bを使用する。吸着率が飽和した有機物フィルタ54aは、切替弁56aと切替弁56bを切り替えて上述した再生動作を実施する。2つの有機物フィルタで使用状態と再生状態を繰り返すことにより、フィルタの交換を不要にすることができる。
本実施の形態5によれば、光触媒フィルタと自己再生式フィルタとを組み合わせることによっても本発明を実現することができることがわかる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
ラマン分光分析の結果を示す図である。 レチクルを示す側面図である。 ヘイズの主要な原因物質である硫酸アンモニウムの生成メカニズムを示す図である。 二酸化硫黄や硫化水素から硫酸イオンが生成されるかを実験するための装置構成を示す図である。 図4に示す装置構成での実験結果を示すグラフである。 従来の露光装置の構成を示す図である。 化学フィルタの種類と機能を示す図である。 化学フィルタの使用日数と硫化水素の除去率との関係を示すグラフである。 化学フィルタの使用日数と二酸化硫黄の除去率との関係を示すグラフである。 クリーンルーム内の空気中に含まれる二酸化硫黄の濃度と化学フィルタを通した空気中に含まれる二酸化硫黄の濃度とをプロットしたグラフである。 光触媒フィルタのメカニズムを示す図である。 光触媒フィルタを通過する前後の物質量を示す図である。 本発明の実施の形態1における露光装置の構成を示す図である。 実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図31に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 実施の形態2における露光装置の構成を示す図である。 実施の形態3における露光装置の構成を示す図である。 実施の形態4におけるレチクルストッカの構成を示す図である。 実施の形態5におけるフィルタ構成を示す図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 マスクパターン
3 ペリクル
4 容器
5 紫外線ランプ
10 露光装置
11a 外気化学フィルタ
11b 循環化学フィルタ
12 循環ファン
13 循環部
14 処理室
15 ULPA
16 ウェハ搬送系
17a 投光部
17b レチクルスキャンステージ
17c レンズ
17d ウェハステージ
18 外気取り込み部
19a 光触媒フィルタ
19b 有機物除去フィルタ
19c 無機物除去フィルタ
20 半導体基板
21 酸化シリコン膜
22 窒化シリコン膜
22a レジスト膜
23 素子分離溝
24 酸化シリコン膜
25 酸化シリコン膜
29 素子分離領域
30 p型ウェル
31 n型ウェル
32 ゲート絶縁膜
33 ポリシリコン膜
34 酸化シリコン膜
34a 酸化シリコン膜
34b 酸化シリコン膜
35a レジスト膜
35b レジスト膜
36a ゲート電極
36b ゲート電極
37 浅いn型不純物拡散領域
38 浅いp型不純物拡散領域
39 酸化シリコン膜
40 サイドウォール
41 深いn型不純物拡散領域
42 深いp型不純物拡散領域
43 コバルトシリサイド膜
44 酸化シリコン膜
45 コンタクトホール
46a チタン/窒化チタン膜
46b タングステン膜
47 プラグ
48a チタン/窒化チタン膜
48b 銅を含有するアルミニウム膜
48c チタン/窒化チタン膜
49 配線
50 レチクルストッカ
51 RSP
52 半導体製造装置
53 光触媒フィルタ
54a 有機物フィルタ
54b 有機物フィルタ
55 無機物フィルタ
56a 切替弁
56b 切替弁
R レチクル
W 半導体基板

Claims (18)

  1. (a)半導体製造装置の外部から前記半導体製造装置の内部へ空気を供給する工程を備え、
    前記(a)工程は、
    (a1)前記空気を光触媒フィルタに通す工程と、
    (a2)前記空気を化学フィルタに通す工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(a2)工程で使用する前記化学フィルタは、有機物を低減できる有機物除去フィルタと、無機物を低減できる無機物除去フィルタとを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項2記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記無機物除去フィルタは、酸性物質を低減できる酸性物質除去フィルタと、アルカリ性物質を低減できるアルカリ性物質除去フィルタとを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項2記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記有機物除去フィルタは、活性炭フィルタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項3記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記酸性物質除去フィルタと前記アルカリ性物質除去フィルタは、イオン交換型フィルタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(a1)工程で前記空気を前記光触媒フィルタに通した後、前記光触媒フィルタを通した前記空気を、前記(a2)工程で、前記化学フィルタに通すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記空気に含まれる硫化水素あるいは二酸化硫黄を、前記光触媒フィルタを通すことによって低減することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(a1)工程は、前記光触媒フィルタを複数個使用することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置は、露光装置であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 請求項9記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記露光装置は、エキシマレーザを使用することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 請求項10記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記露光装置は、ArFレーザあるいはKrFレーザを使用することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置は、レチクルを保存するレチクルストッカであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置の内部と前記半導体製造装置の外部との間には、前記半導体製造装置の内部に前記空気を取り込む外気取り込み部が設けられており、
    前記光触媒フィルタおよび前記化学フィルタは、前記外気取り込み部に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置は、露光装置であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置は、レチクルを保存するレチクルストッカであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記化学フィルタは、有機物を低減する有機物除去フィルタと、無機物を低減する無機物除去フィルタとを有しており、
    前記有機物除去フィルタは、自己再生式フィルタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  17. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置の内部には、半導体ウェハの処理を行なう処理室と、前記処理室に対して、前記半導体製造装置の内部に供給された前記空気を循環させる循環部とが設けられており、
    前記光触媒フィルタおよび前記化学フィルタは、前記循環部に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  18. 請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体製造装置の内部と前記半導体製造装置の外部との間には、前記半導体製造装置の内部に前記空気を取り込む外気取り込み部が設けられており、かつ、前記半導体製造装置の内部には、半導体ウェハの処理を行なう処理室と、前記処理室に対して、前記半導体製造装置の内部に供給された前記空気を循環させる循環部が設けられており、
    前記光触媒フィルタおよび前記化学フィルタは、前記外気取り込み部と前記循環部に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
JP2007171694A 2007-06-29 2007-06-29 半導体装置の製造方法 Pending JP2009010250A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007171694A JP2009010250A (ja) 2007-06-29 2007-06-29 半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007171694A JP2009010250A (ja) 2007-06-29 2007-06-29 半導体装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009010250A true JP2009010250A (ja) 2009-01-15

Family

ID=40325028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007171694A Pending JP2009010250A (ja) 2007-06-29 2007-06-29 半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009010250A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011215404A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Toppan Printing Co Ltd フォトマスクブランクとその製造方法
JP2018132669A (ja) * 2017-02-15 2018-08-23 大日本印刷株式会社 Hazeの除去方法、及びフォトマスクの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011215404A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Toppan Printing Co Ltd フォトマスクブランクとその製造方法
JP2018132669A (ja) * 2017-02-15 2018-08-23 大日本印刷株式会社 Hazeの除去方法、及びフォトマスクの製造方法
JP7009746B2 (ja) 2017-02-15 2022-01-26 大日本印刷株式会社 Hazeの除去方法、及びフォトマスクの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI598704B (zh) 用於改良之元件完整性之光阻剝除處理
JP2006203120A (ja) 半導体装置の製造方法
KR20110095908A (ko) 전공정 플라즈마 개재형 애싱 프로세스 및 장치
US8283242B2 (en) Method of removing photoresist
JPH04229621A (ja) 半導体基板表面の処理方法
JP2014082439A (ja) 基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板処理システム
KR20200066711A (ko) 마스크 패턴 형성 방법, 기억 매체 및 기판 처리 장치
JP6738414B2 (ja) 紫外線に暴露された水性液体媒体で基板を処理する方法
CN101122749A (zh) 光刻图形的形成方法
JP2009010250A (ja) 半導体装置の製造方法
US20160325220A1 (en) Ozone abatement system for semiconductor manufacturing system
JP6943012B2 (ja) 液処理方法、液処理装置、及び記憶媒体
KR100839349B1 (ko) 포토레지스트 처리 방법 및 포토레지스트의 제거 방법.
JP4006341B2 (ja) 光学素子の洗浄装置及び方法
US7416990B2 (en) Method for patterning low dielectric layer of semiconductor device
JP2009238868A (ja) マスクパターンの形成方法
JP2006108564A (ja) 電子デバイスの製造方法および露光システム
KR19990088109A (ko) 웨트에칭방법및장치
US20090123878A1 (en) Patterning method
US7015568B2 (en) System for ultraviolet atmospheric seed layer remediation
JP4524457B2 (ja) 半導体装置の製造方法及び装置
US9362150B2 (en) Substrate processing apparatus
CN102122640B (zh) 形成快闪存储器的方法
JP2004207590A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2010002863A (ja) フォトマスクの処理方法及び電子デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100528