JP2009007509A - 帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる光拡散板 - Google Patents

帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる光拡散板 Download PDF

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昭人 河越
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Abstract

【構成】ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部および平均粒子径が0.5〜10μmであって、かつ、二官能シロキサン単位および三官能シロキサン単位からなる骨格と表面にアルキル基とを有するシリコーンゴム粒子(C)0.1〜1.5重量部および特定の有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)1.5〜4.5重量部からなることを特徴とする帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物、およびそれからなる光拡散板。
【効果】本発明の光拡散性熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる光拡散板は、帯電防止性能に加えて、高度な光拡散性、輝度という光学的性能を備え、かつ光拡散板の薄肉化にも耐え得る高度な機械的強度を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリカプロラクトン、それ以外の透明な熱可塑性樹脂、特定構造のシリコーンゴム粒子および帯電防止剤を配合することにより、光拡散性、輝度、機械的強度、熱安定性、帯電防止性を向上させた光拡散性熱可塑性樹脂組成物、ならびにそれからなる光拡散板に関する。詳しくは、光源を覆う部材、例えば液晶テレビの直下型バックライトユニットおよびエッジライト型ユニットの光拡散板、照明器具のグローブボックス、各種デバイスのスイッチ類および光拡散性を必要とする用途全般などに好適に用いられる帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる光拡散板を提供するものである。
透明な熱可塑性樹脂は、光透過性を有することから電気・電子・OA、自動車などの分野において広範に使用されており、各分野ではそれぞれ求められる要求性能を満たす樹脂が選択され使い分けがなされている。特に、液晶テレビの直下型およびエッジライト型ユニット、照明器具カバーおよび各種デバイスのスイッチ類などの用途では、透明な熱可塑性樹脂を使用すると光を透過するため光源が透けて見えてしまうことから、樹脂成形品の背後にある光源(ランプ)の形状を認識させることなく、また光源の輝度をできるだけ損なわないような光拡散性を付与した材料が望まれている。
透明な熱可塑性樹脂に光拡散性を付与する目的で、従来技術では連続相を形成する熱可塑性樹脂に、それとは屈折率が異なる高分子系や無機系の粒子を分散相として配合する方法が採用されている。また、当該分散相と連続相の屈折率の差の範囲や分散相の該粒子の大きさを調整して所望の光拡散性を発現する方法が提案されている。(特許文献1および2参照)
本願発明の出願人は、より高度な光拡散性、輝度を得るために、透明な熱可塑性樹脂に光拡散剤およびポリカプロラクトンを配合してなる組成物(特許文献3参照)を提案した。
一方、光拡散板においては光拡散性および輝度に優れるのみならず、特に大型の液晶テレビの直下型ユニット用光拡散板においては、当該ユニット自体の薄型化、コストダウン等の要求から光拡散板の厚みの低減が必要とされ、それに応えることが可能な機械的強度をも有する光拡散板が求められている。
更に、光拡散板を実際に光源ユニットに組み込んだ際には熱可塑性樹脂に起因する帯電防止性能の欠如から埃が光拡散板に付着してしまうといった問題があり、使用環境の変化によってとりわけ液晶画面に表示ムラが発生する等の不具合を発生させることがあり、帯電防止性能の付与が求められていた。
一般に、帯電防止性能を付与する方法として、導電性カーボンブラックやカーボンファイバーを配合することが行なわれている。しかし、これらは黒色を呈しているため、光拡散板といった光学用途への適用は困難であった。また、黒色以外の用途には一般にアルカンスルホネートの金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が帯電防止剤として使用されていたが、これらを配合すると色調が白色不透明になるため、充分な光透過性が得られないため高い輝度が得られないといった問題があった。
特開昭60−184559号公報 特開平3−143950号公報 特開2006−83309号公報
本発明は、高度な光拡散性、輝度が得られるのみならず、大型の液晶テレビの直下型ユニット用に使用される薄肉の光拡散板等の用途であっても高い機械的強度を有することができ、しかも帯電防止性能をも有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物ならびにそれからなる光拡散板を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、透明な熱可塑性樹脂にポリカプロラクトン、特定のシリコーンゴム粒子および帯電防止剤を配合することにより、高度な光学的性能と機械的強度を有する光拡散板を得ることができる光拡散性熱可塑性樹脂組成物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部および平均粒子径が0.5〜10μmであって、かつ、二官能シロキサン単位および三官能シロキサン単位からなる骨格と表面にアルキル基とを有するシリコーンゴム粒子(C)0.1〜1.5重量部および下記一般式(1)に表される有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)1.5〜4.5重量部からなることを特徴とする帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物、およびそれからなる光拡散板を提供するものである。
一般式(1)
Figure 2009007509
(一般式(1)において、R1は炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R2〜R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じであっても異なっていてもよい。)
本発明の光拡散性熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる光拡散板は、帯電防止性能に加えて、高度な光拡散性、輝度という光学的性能を備え、かつ光拡散板の薄肉化にも耐え得る高度な機械的強度を有している。そのため、光源を覆う部材、すなわち液晶テレビの直下型バックライトユニットおよびエッジライト型ユニットの拡散板、照明器具のグローブボックス、各種デバイスのスイッチ類および光拡散性を必要とする用途全般に好適に用いられ、実用上の利用価値が極めて高い。
本発明にて使用されるポリカプロラクトン(A)は、ε−カプロラクトンを触媒存在下で開環重合して製造されるポリマーであり、とりわけ2−オキセパノンのホモポリマーが好適に用いられる。該ポリマーは市販品として、ダウ・ケミカル社製トーンポリマー、ソルベイ社製CAPAなどが挙げられる。ポリカプロラクトン(A)の粘度平均分子量としては、10000〜100000のものが好適で、さらに好ましくは40000〜90000である。
さらに、ポリカプロラクトン(A)には、ε−カプロラクトンを開環重合させる際に、1,4−ブタンジオールなどと共存させて変性したものや分子末端をエーテルあるいはエステル基などで置換した変性ポリカプロラクトンも含まれる。
ポリカプロラクトン(A)の組成比率は、それ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)からなる(A)および(B)の樹脂成分に基づいて0.1〜7重量%である。組成比率が0.1重量%未満であると、光拡散効果が得られず、十分な輝度が得られないため好ましくない。一方、7重量%を越えると十分な熱安定性と機械的強度が得られず好ましくない。より好ましい組成比率としては、0.3〜5重量%である。
本発明に使用される透明な熱可塑性樹脂(B)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、メタクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートとポリエステルなどをブレンドしたポリマーアロイなどが挙げられる。とりわけ、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、ポリアリレート、スチレン系共重合樹脂またはシクロオレフィンポリマーが好適に用いられる。なお、熱可塑性樹脂(B)の透明性の程度は、光を透過し、かつ当該樹脂の成形体を観察者と光源等の対象物の間に介在させた場合に観察者が対象物を認識できる程度の性能をいう。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるシリコーンゴム粒子(C)とは、下記一般式(2)で示される二官能シロキサン単位および下記一般式(3)で示される三官能シロキサン単位の骨格からなり、さらにアルキル基が粒子の表面に存在しているものである。
一般式(2)
Figure 2009007509
一般式(3)
Figure 2009007509
上記一般式(2)および一般式(3)において、R、RおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよいアルキル基を示す。
本発明のシリコーンゴム粒子(C)を構成する骨格の内、二官能シロキサン単位の比率は30〜95重量%が好ましく、より好ましくは40〜70重量%の範囲である。二官能シロキサン単位の比率が大きくなる程、シリコーンゴムのガラス転移温度(Tg)が低くなり、屈折率が低くなる。
また、三官能シロキサン単位は、シリコーンゴム粒子(C)を構成するシロキサン単位の5〜70重量%が好ましく、より好ましくは30〜60重量%の範囲である。三官能シロキサン単位は、シリコーンゴムを架橋構造にするために用いられ、これにより屈折率を高めることが可能である。
本発明のシリコーンゴム粒子(C)は、公知の方法で作ることができる。まずその骨格は、例えば、「有機ケイ素ポリマーの合成と応用」(1989年11月30日株式会社シーエムシー発行)に記載のごとく、二官能性と三官能性のクロロシランまたはアルコキシシランの共加水分解、共縮合による方法がある。この際用いるクロロシランまたはアルコキシシランのSiに直接結合しているアルキル基を選択することにより、R、R、Rを決めることができる。なかでも、炭素数1〜6のアルキル基、とりわけメチル基が好適である。
二官能シロキサン単位と三官能シロキサン単位の量比は、所望のシリコーンゴム粒子(C)のTg、屈折率で選択すればよい。なお、シリコーンゴム粒子(C)のTgは、−50〜−200℃が適している。屈折率は、1.39〜1.46のものが適している。
本発明のシリコーンゴム粒子(C)の平均粒子径は、0.5〜10μmである。平均粒子径が0.5μm未満の場合は十分な光拡散性を示すことができず好ましくない。また、10μmを超えると透過光が減少するので好ましくない。好ましくは、2〜4μmの範囲である。
かかるシリコーンゴム粒子は市販品として、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の「トレフィルE−600」や「トレフィルE−606」が挙げられる。
シリコーンゴム粒子(C)の配合量は、0.1〜1.5重量部(ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)である。配合量が0.1重量部未満であると十分な光拡散効果が得られにくくなるとともに、十分な機械的強度が得られず好ましくない。一方、1.5重量部を越えると光の透過性が損なわれ、十分な光拡散性能が得られなくなるため好ましくない。より好ましくは、0.5〜1.2重量部の範囲である。
本発明にて使用される有機スルホン酸のホスホニウム塩(D)とは、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)
Figure 2009007509

(一般式(1)において、R1は炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R2〜R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じであっても異なっていてもよい。)
上記一般式(1)で表わされる化合物の中でも特に、下記一般式(4)で表わされる化合物が好適に使用できる。
一般式(4)
Figure 2009007509
有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)の配合量は、1.5〜4.5重量部(ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)である。配合量が1.5重量部未満では帯電防止性に劣り、また4.5重量部を超えると熱安定性と機械的強度が低下するので好ましくない。より好ましくは、2.2〜4重量部の範囲である。
本発明の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物には、上記以外の公知の添加剤、例えば、酸化防止剤[ホスファイト系酸化防止剤、ホスフェート系酸化防止剤、ホスホナイト系酸化防止剤、およびこれらのエステル系酸化防止剤等]、紫外線吸収剤[ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤等]、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、着色剤[例えば酸化チタン、カーボンブラック、染料]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤、展着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加してもよい。
本発明における実施の形態および順序には何ら制限はない。例えば、ポリカプロラクトン(A)、透明な熱可塑性樹脂(B)、シリコーンゴム粒子(C)および有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)を任意の配合量で計量し、タンブラー、リボブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の一軸またはニ軸押出機を用いて溶融混練し、ペレット化させる方法、あるいは、各々の成分を一部または全てを別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し、溶融混合する方法、さらには、(A)と(C)と(D)を高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化し、マスターバッチとした後、当該マスターバッチと(B)とを、所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機の投入する位置、押出温度、スクリュー回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。さらに、該マスターバッチと(B)とを、所望の比率により乾式混合後、射出成形機やシート押出機に直接投入し、成形品とすることも可能である。また、本発明の光拡散性熱可塑性樹脂組成物を成形に供する方法としては、特に制限はなく、公知の射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法等を用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
使用した原材料は以下のものである。
ポリカプロラクトン:
ソルベイ社製CAPA6500C
(粘度平均分子量:50000、以下PCLと略記)
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製カリバー200−13
(粘度平均分子量:25000、以下PCと略記)
シリコーンゴム粒子:
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−606
(ジメチルポリシロキサン、以下LD−1と略記)
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−601
(エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、以下LD−2と略記)
アクリル系光拡散剤:
ローム・アンド・ハース社製アクリル系拡散剤EXL−5136
(以下LD−3と略記)
有機スルホン酸ホスホニウム塩:
竹本油脂社製エレカットS−418
(アルキルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩 以下帯電防止剤と略記)
本発明における各種評価項目の測定方法について説明する。
1.ランプ間輝度
2本の冷陰極管を射出成形機により作成した平板試験片(長さ:90mm、幅:50mm、厚さ:2mm)の裏側に配置し、ランプ間の垂直方向にある試験片表面上の輝度をトプコン社製輝度計BM−7により測定した。なお、輝度とは、ある方向に向かう光度の、その方向に垂直な面における単位面積当たりの割合のことをいい、一般に、発光面の明るさの程度を表す[単位:(cd/m)]。評価の基準としては、ランプ間輝度の測定値が3200cd/m以上であるものを合格(○)、3200cd/m未満であるものを不合格(×)とした。測定方法の概略を図1に示す。
2.機械的強度
ASTM D−256規格に準じて、射出成形機により作成したノッチ付アイゾット試験片(長さ:6.3mm、幅:1.3mm、厚さ:1/8インチ)を用いて、東洋精機社製アイゾット試験機により、機械的強度(衝撃強度)を測定した。評価の基準として、衝撃強度が20kg・cm/cm以上であるものを合格(○)、20kg・cm/cm未満であるものを不合格(×)とした。
3.熱安定性
射出成形機にて15分間滞留前後の平板試験片を作成後、スペクトロフォトメーター(村上色彩研究所社製CMS−35SP)により、黄色度の変化(△YI)を測定した。△YIとは、滞留前後の黄味の程度の差を表し、△YIが小さい程、変色は小さく耐光性に優れている。△YIの評価の基準としては、△YIの値が6.0未満であるものを合格(○)、6.0以上であるものを不合格(×)とした。
4.表面固有抵抗(Rs):
射出成形機にて作成した平板試験片を、23℃、50%相対湿度の条件で24時間状態調節した後、超絶縁計(シシド静電気社製SME−8311)により、測定電圧1000V、サンプリング時間30秒の条件で表面抵抗値を測定した。表面固有抵抗Rsが1.0×1014未満の場合を合格とした。
5.半減期:
射出成形機にて作成した平板試験片を、23℃、50%相対湿度の条件で24時間状態調節した後、スタティックオネストメーター(シシド静電気社製H−0110)により、半減期を測定した。まず、10KVの電荷を、試験片の耐電圧が一定になるまで印加し続ける。その後、チャージを止め帯電圧の減衰を観察し、初期の帯電圧が半減するまでの時間を測定して半減期とした。半減期が30秒以下を合格とした。
6.総合判定
以下の表1〜表3について、ランプ間輝度、機械的強度、熱安定性および帯電防止性(表面固有抵抗と半減期)の評価において、全てを満たすものを合格(○)そうでないものを不合格(×)とした。
表1〜表3に示す配合成分および配合比率にて、各種配合成分をタンブラーで乾式混合し、次いで、二軸押出機(神戸製鋼所社製KTX−37、軸直径=37mmφ、L/D=30)を用いて250〜290℃の温度条件にて溶融混練を行った。得られた各種ペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製J100E2P)を用い、シリンダー設定温度300℃の条件にて、長さ90mm、幅50mm、厚さ2mmの輝度測定用の平板試験片およびISO規格に準じたシャルピー試験片を作成した。なお、熱安定性を評価する目的で、射出成形機(日本製鋼所社製J100E2P)を用いて、シリンダー設定温度320℃の条件にて15分間滞留後、長さ90mm、幅50mm、厚さ2mmの平板試験片を作成した。測定値および評価結果を表1〜3に示した。
Figure 2009007509
Figure 2009007509
Figure 2009007509
Figure 2009007509
表1および表2に示すとおり、本発明の構成を満たす場合(実施例1〜7)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、表3および表4に示すとおり、本発明の構成を満たさない場合には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、ポリカプロラクトンの配合量が規定量よりも少ない場合で、機械的強度、熱安定性および帯電防止性は合格するものの、ランプ間輝度が劣っていた。
比較例2は、ポリカプロラクトンの配合量が規定量よりも多い場合で、ランプ間輝度および帯電防止性は合格するものの、機械的強度および熱安定性が劣っていた。
比較例3は、メチル基を有したシリコーンゴム粒子の配合量が規定量よりも少ない場合で、熱安定性および帯電防止性は合格するものの、ランプ間輝度および機械的強度が劣っていた。
比較例4は、メチル基を有したシリコーンゴム粒子の配合量が規定量よりも多い場合で、機械的強度、熱安定性および帯電防止性は合格するものの、ランプ間輝度が劣っていた。
比較例5は、エポキシ基を有したシリコーンゴム粒子を用いた場合で、ランプ間輝度、機械的強度および帯電防止性は合格するものの、熱安定性が劣っていた。
比較例6は、アクリル系光拡散剤を用いた場合で、ランプ間輝度および帯電防止性は合格するものの、機械的強度および熱安定性が劣っていた。
比較例7は、有機スルホン酸ホスホニウム塩の配合量が規定量よりも少ない場合で、ランプ間輝度、機械的強度および熱安定性は合格するものの、帯電防止性が劣っていた。
比較例8は、有機スルホン酸ホスホニウム塩の配合量が規定量よりも多い場合で、ランプ間輝度および帯電防止性は合格するものの、機械的強度および熱安定性が劣っていた。
本発明におけるランプ間輝度の測定方法を示す図である。
符号の説明
A:輝度計
B:ランプの光線
C:光拡散板
D:ランプ(冷陰極管)

Claims (10)

  1. ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部および平均粒子径が0.5〜10μmであって、かつ、二官能シロキサン単位および三官能シロキサン単位からなる骨格と表面にアルキル基とを有するシリコーンゴム粒子(C)0.1〜1.5重量部および下記一般式(1)に表される有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)1.5〜4.5重量部からなることを特徴とする帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
    一般式(1)
    Figure 2009007509
    (一般式(1)において、R1は炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、R2〜R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じであっても異なっていてもよい。)
  2. ポリカプロラクトン(A)の粘度平均分子量が40000〜90000であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  3. ポリカプロラクトン(A)の組成比率が0.3〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 透明な熱可塑性樹脂(B)がポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、ポリアリレート、ポリスチレン、スチレン系共重合樹脂またはシクロオレフィンポリマーから選択される1種もしくは2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  5. シリコーンゴム粒子(C)の表面のアルキル基が、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  6. シリコーンゴム粒子(C)の平均粒子径が、2〜4μmであることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  7. シリコーンゴム粒子(C)の配合量が、0.5〜1.2重量部(ポリカプロラクトン(A)0.1〜7重量%およびそれ以外の透明な熱可塑性樹脂(B)93〜99.9重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性に優れる光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)が、下記一般式(2)に示されるアルキルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
    一般式(2)
    Figure 2009007509
  9. 有機スルホン酸ホスホニウム塩(D)の配合量が、2.2〜4重量部であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の帯電防止性を有する光拡散性熱可塑性樹脂組成物を成形してなる光拡散板。
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