JP2009006679A - 印刷装置、印刷物生成方法、および、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷ヘッドの寿命とドット形成との両方を考慮することによって画質の劣化を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】N組(Nは2以上の整数)のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用するN種類の印刷モードを利用する。ここで、各ノズルグループは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群が共通の印刷領域で相互に組み合わされる。
【選択図】図13
【解決手段】N組(Nは2以上の整数)のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用するN種類の印刷モードを利用する。ここで、各ノズルグループは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群が共通の印刷領域で相互に組み合わされる。
【選択図】図13
Description
本発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関する。
コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像などの出力装置として、印刷媒体上を走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。かかる印刷装置における画質の劣化要因の1つとして、インクの凝集(インクの寄り集まりによって斑となる減少)やブリード(インクの滲み)が発生している。このような画質劣化要因に対して、従来から、インクの浸透性その他のインクの物理的性質の改善や物理的性質の相違するインクの使い分け、インクデューティーの制限、あるいはハーフトーン処理後におけるドットデータの各記録走査への振り分けといった種々の方法で画質劣化を抑制することが行われてきた(特許文献1〜6)。
また、このような印刷装置は、インクを吐出するノズルを有する印刷ヘッドを備えている。印刷によって印刷ヘッドの劣化が進行すると、適切なインクドットが形成されなくなる可能性が高くなる。このように、印刷ヘッドの寿命も画質劣化の要因の1つであった。
ところが、従来は、印刷ヘッドの寿命とドット形成との両方を考慮することによって画質の劣化を抑制する点については、十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、印刷ヘッドの寿命とドット形成との両方を考慮することによって画質の劣化を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部と、前記印刷部を制御する制御部と、を備え、前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、前記制御部は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、印刷装置。
この構成によれば、N組(Nは2以上の整数)のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用するN種類の印刷モードが利用可能であるので、印刷負荷がN組のノズルグループに分散される。これにより、印刷ヘッドの劣化が過剰に進行することが抑制されるので、画質劣化を抑制できる。さらに、各ノズルグループは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群が共通の印刷領域で相互に組み合わされるので、同じ印刷領域内のドット形成が複数のノズルサブグループに分散される。これにより、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が可能となるので、画質劣化を抑制できる。このように、印刷ヘッドの寿命とドット形成との両方を考慮することによって画質の劣化を抑制することができる。
[適用例2]適用例1に記載の印刷装置であって、前記N組のノズルグループのそれぞれに関して、前記共通の印刷領域におけるドット形成タイミングは、前記M組のノズルサブグループ毎に異なっている、印刷装置。
この構成によれば、ドット形成タイミングがノズルサブグループ毎に異なっているので、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が容易である。
[適用例3]適用例1または適用例2のいずれかに記載の印刷装置であって、前記制御部は、(A)前記N種類の印刷モードを所定の順番で順次使用する処理と、(B)1ページ分の印刷領域を分割して得られる所定の複数の部分領域のそれぞれの印刷に、前記各部分領域に予め対応付けられた前記印刷モードを使用する処理と、の少なくとも一方を実行する、印刷装置。
この構成によれば、N種類の印刷モードのそれぞれが使用されるので、印刷負荷をN種類のノズルグループに適切に分散させることができる。
[適用例4]適用例3に記載の印刷装置であって、前記N種類の印刷モードを所定の順番で順次使用する処理は、(A1)印刷されたページ数が所定ページ数だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、(A2)印刷されたジョブ数が所定数だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、(A3)最後に前記印刷モードが切り替えられてからの経過時間が所定値だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、の少なくとも一部を含む、印刷装置。
この構成によれば、印刷量を考慮した条件に従ってN種類の印刷モードが使用されるので、印刷負荷をN種類のノズルグループに適切に分散させることができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の印刷装置であって、前記N組のノズルグループのそれぞれに関して、前記M組のノズルサブグループのそれぞれは、所定方向に沿って複数のノズルが配置されたノズル列を含み、前記ノズルの前記所定方向の位置は前記M組のノズルサブグループ毎に異なっている、印刷装置。
この構成によれば、M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を、容易に共通の印刷領域で相互に組み合わせることができるので、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が容易である。
[適用例6]適用例5に記載の印刷装置であって、前記L種類の特定インクのそれぞれのための複数のノズルサブグループは、前記所定方向とは垂直な方向に沿って並んで配置され、前記複数のノズルサブグループのそれぞれの両隣には、前記特定インクの種類とノズルグループとの少なくとも一方が異なるノズルサブグループが配置されている、印刷装置。
この構成によれば、同一のノズルグループに含まれる2つのノズルサブグループ間の距離が過剰に近くなることが抑制されるので、これらのノズルサブグループのドット形成タイミングが過剰に近くなることを抑制できる。すなわち、2つのノズルサブグループによって同一の特定インクが近いタイミングで共通の印刷領域に吐出されることが抑制される。その結果、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が容易となる。
[適用例7]適用例5または適用例6に記載の印刷装置であって、前記印刷ヘッド部は、前記所定方向のノズル位置が互いに異なるM本のノズル列を前記L種類の特定インク毎に備える同じ印刷ヘッドをM個含み、1つの前記ノズルグループのM組のノズルサブグループのそれぞれのノズル列は、前記M個の印刷ヘッドに1つずつ分かれて配置されている、印刷装置。
この構成によれば、M個の同じ印刷ヘッドを利用することによって、印刷ヘッドの寿命とドット形成との両方を考慮することによって画質の劣化を抑制することができる。
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれかに記載の印刷装置であって、前記制御部は、元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記各印刷画素へのドットの形成状態を決定し、前記N種類の印刷モードのそれぞれに関して、前記ドット形成状態の決定は、前記入力階調値の少なくとも一部の範囲において、前記M組のドット群の少なくとも一部の複数のドット群のそれぞれに対するドット数の配分が前記ドット群毎に異なるように、実行される、印刷装置。
この構成によれば、ドット群毎に異なるドット数配分を利用することによって、印刷媒体やインクの特性並びにその組合せといった種々の印刷環境に適したドットの形成が可能となるので、画質の劣化を抑制することができる。
[適用例9]適用例8に記載の印刷装置であって、前記N種類の印刷モードのそれぞれに関して、前記ドット形成状態の決定は、前記入力階調値の少なくとも一部の範囲において、前記M組のドット群の少なくとも一部の複数のドット群のそれぞれに対するドット数の配分が、前記共通の印刷領域におけるドット形成タイミングが早いほど多くなるように、実行される、印刷装置。
こうすれば、先に着弾したインクが後に着弾したインクの吸収を妨げるといった印刷環境で顕著な効果を奏することができる。なお、このような印刷環境として、印刷媒体が光沢紙であり、ドットが色材として顔料を使用するインクで形成される場合が本願発明者によって確認されている。
[適用例10]適用例9に記載の印刷装置であって、前記ドット形成タイミングが早いほど多くなるように前記配分が設定される前記入力階調値の範囲は、ゼロより大きな所定値よりも大きな範囲内に設定されている、印刷装置。
この構成によれば、明るい領域において粒状性が目立つことを抑制しつつ、インクの凝集や滲みを抑制することができる。
[適用例11]適用例8ないし適用例10のいずれかに記載の印刷装置であって、前記ハーフトーン処理はディザマトリックスを用いたハーフトーン処理であり、前記ディザマトリックスは、前記複数のドット群の各々が予め設定された共通の特性を有するように構成されている印刷装置。
この構成によれば、複数のドット群の各々が予め設定された共通の特性を有するので、1つのドット群に起因する画質の劣化を抑制することができる。
[適用例12]1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う方法であって、インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部を制御する工程を備え、前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、前記印刷部の制御は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、方法。
[適用例13]1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部を制御する機能をコンピュータに実行させ、前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、前記印刷部の制御機能は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、コンピュータプログラム。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷方法および装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.変形例:
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.変形例:
A.第1実施例:
A1.印刷システムの構成の一例:
図1は、印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
A1.印刷システムの構成の一例:
図1は、印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラープリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。アプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示する。
プリンタドライバ96の内部には、入力画像の解像度を印刷解像度に変換する解像度変換モジュール97と、RGBをCMYKに色変換する色変換モジュール98と、後述の実施例で生成されるディザマトリックスMや誤差拡散法を使用して入力階調値をドットの形成で表現可能な出力階調数へ減色するハーフトーンモジュール99と、ハーフトーンデータを用いてカラープリンタ20に送信するための印刷データを生成する印刷データ生成モジュール100と、色変換モジュール98が色変換の基準とする色変換テーブルLUTと、ハーフトーン処理のために各サイズのドットの記録率を決定するための記録率テーブルDTと、が備えられている。プリンタドライバ96は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、たとえばCD−ROM126やフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
図2は、カラープリンタ20の概略構成図である。カラープリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷媒体Pを副走査方向に搬送する副走査駆動部と、印刷ヘッド10A、10Bを駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッド10A、10Bを備える印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。なお、カラープリンタ20では、印刷ヘッド10A、10Bの主走査は行われない。
図3は、図2における矢視AAに相当し、印刷ヘッド10A、10Bの下面におけるノズル配列を示す説明図である。これらの印刷ヘッド10A、10Bの構成は同じである。ここで、第1印刷ヘッド10Aを用いて詳細に説明を行う。
第1印刷ヘッド10Aの下面には、紙送り方向とは逆の方向に沿って、8つのノズル列KA1、KA2、YA1、YA2、MA1、MA2、CA1、CA2がこの順番に配置されている。最初の2つのノズル列KA1、KA2は、ブラックインクを吐出する。次の2つのノズル列YA1、YA2は、イエローインクを吐出する。次の2つのノズル列MA1、MA2は、マゼンタインクを吐出する。最後の2つのノズル列CA1、CA2は、シアンインクを吐出する。なお、各印刷ヘッド10A、10Bには、各ノズルNzからインクを吐出させる吐出駆動部が設けられている(図示せず)。このような吐出駆動部としては、ノズルからインク滴を吐出する種々の装置を採用可能である。例えば、ピエゾによって生じる圧力変動をインク吐出に利用する装置や、ヒータによって生じる泡をインク吐出に利用する装置を採用可能である。なお、印刷による吐出駆動部の劣化は、画質劣化の要因の1つである。
各ノズル列の複数のノズルNzは、紙送り方向と垂直な方向(以下「直交方向」とも呼ぶ)に沿って一定のノズルピッチk・Dでそれぞれ整列している。ここで、kは整数であり、Dは直交方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。本明細書では、「ノズルピッチはkドットである」とも言う。このときの単位[ドット]は、印刷解像度のドットピッチを意味している。紙送りに関しても同様に、[ドット]の単位を用いる。
8つのノズル列KA1〜CA2のそれぞれに関しては、ノズルピッチkは「2」である。また、紙送り方向とは逆方向に沿った順番が奇数である4つのノズル列KA1、YA1、MA1、CA1は、ノズルNzの直交方向の位置が互いに同じとなるように、配置されている(以下、これら4つのノズル列KA1、YA1、MA1、CA1の全体を、奇数列NA1とも呼ぶ)。同様に、順番が偶数である4つのノズル列KA2、YA2、MA2、CA2は、ノズルNzの直交方向の位置が互いに同じとなるように、配置されている(以下、これら4つのノズル列KA2、YA2、MA2、CA2の全体を、偶数列NA2とも呼ぶ)。さらに、偶数列NA2の直交方向の位置は、奇数列NA1から、ドットピッチDだけ直交方向にシフトしている。
第2印刷ヘッド10Bは、直交方向に沿って見たときに第1印刷ヘッド10Aと重ならないように紙送り方向にずれた位置に配置されている。ここで、第2印刷ヘッド10Bのノズル列を示す符号として、第1印刷ヘッド10Aのノズル列の符号中の「A」を「B」に置換した符号を用いている。例えば、第2印刷ヘッド10Bの下面には、8つのノズル列KB1、KB2、YB1、YB2、MB1、MB2、CB1、CB2がこの順番に配置されている。そして、最後の2つのノズル列CB1、CB2は、シアンインクを吐出する。また、偶数列NB2(KB2、YB2、MB2、CB2)の直交方向の位置は、奇数列NB1(KB1、YB1、MB1、CB1)から、ドットピッチDだけ直交方向にシフトしている。
また、2つの印刷ヘッド10A、20Bのそれぞれの奇数列NA1、NB1は、ノズルNzの直交方向の位置が互いに同じとなるように、配置されている。すなわち、奇数列NA1と奇数列NB1とは、同じ印刷画素位置にインクを吐出することが可能である。偶数列NA2と偶数列NB2とについても同様である。これらにより、第1印刷ヘッド10Aの偶数列NA2と、第2印刷ヘッド10Bの奇数列NB1と、を利用することにより、全ての印刷画素に、抜けを生じさせることなく、全てのインクを吐出することができる。同様に、第1印刷ヘッド10Aの奇数列NA1と、第2印刷ヘッド10Bの偶数列NB2と、を利用することにより、全ての印刷画素に、抜けを生じさせることなく、全てのインクを吐出することができる。このように、第1実施例では、利用するノズル列が互いに異なる2つのモードでの印刷(ハーフトーンデータの生成)が可能である(詳細は後述)。
図4は、図2における矢視BBに相当し、印刷ヘッド10A、10Bの横面を示す説明図である。図4では、印刷媒体Pが矢印の紙送り方向に送られているので、共通の印刷領域に対して、印刷ヘッド10Aで最初にインク滴が吐出され、引き続き、印刷ヘッド10Bでインク的が吐出されることになる。図3から分かるように、印刷ヘッド10Aと印刷ヘッド10Bとでは、相互に相違する画素ではあるが、共通の印刷領域において相互に隣接する画素にインク滴を吐出することになる。
このように、共通の印刷領域に対して、先にインク滴を吐出する印刷ヘッドは先行ヘッドと呼ばれ、後にインク滴を吐出する印刷ヘッドは後続ヘッドと呼ばれる。なお、印刷ヘッド10Aの各ノズル列で形成される複数のドットの集合(ドット群)や印刷ヘッド10Bの各ノズル列で形成される複数のドットの集合(ドット群)は、特許請求の範囲における「複数のドット群の各々」に相当する。
A2.印刷(ハーフトーン)の第1モードと第2モード:
図5は、第1モードの説明図である。図5には、2つの印刷ヘッド10A、10Bが示されている。第1モードでは、第1印刷ヘッド10Aの偶数列NA2と第2印刷ヘッド10Bの奇数列NB1とが利用される。奇数列NA1と偶数列NB2とは利用されない。なお、図5では、説明を簡単にするために、シアンインクに関する要素のみが示されている。
図5は、第1モードの説明図である。図5には、2つの印刷ヘッド10A、10Bが示されている。第1モードでは、第1印刷ヘッド10Aの偶数列NA2と第2印刷ヘッド10Bの奇数列NB1とが利用される。奇数列NA1と偶数列NB2とは利用されない。なお、図5では、説明を簡単にするために、シアンインクに関する要素のみが示されている。
図中の各ノズルNzには、アルファベット(「A」または「B」)と数字(「1」または「2」)との組合せによって表された符号が付されている。第1印刷ヘッド10AのノズルNzには「A」が付され、第2印刷ヘッド10BのノズルNzには「B」が付されている。また、奇数列NA1、NB1のノズルNzには「1」が付され、偶数列NA2、NB2のノズルNzには「2」が付されている。
第1モードでは、2重丸で図示されたノズルNzが利用される。具体的には、第1印刷ヘッド10Aの偶数列NA2に含まれるシアンノズル列CA2と、第2印刷ヘッド10Bの奇数列NB1に含まれるシアンノズル列CB1と、が利用される。
図中の印刷ヘッド10A、10Bの下には、印刷画像PI1が示されている。この印刷画像PI1には、印刷画素Pxの一部(4行4列)が示されている。番号Rnは行番号を示し、番号Cnは列番号を示している。各印刷画素Pxに付された符号は、その印刷画素Pxにインクを吐出するノズルを示している。この符号は、図5の各ノズルNzに付された符号と同じである。
図5の下部には、2つの画素グループPG11、PG12が示されている。第1画素グループPG11は、先行ヘッド10Aによって形成される画素のグループであり、第2画素グループPG12は、後続ヘッド10Bによって形成される画素のグループである。これらの画素グループには、印刷画像PI1と同様に、符号が付された印刷画素Pxが示されている。
図示するように、行番号Rnが偶数である行(ライン)は、先行ヘッド10Aのシアンノズル列CA2によって先に印刷される(第1画素グループPG11)。一方、行番号Rnが奇数である行(ライン)は、後続ヘッド10Bのシアンノズル列CB1によって後に印刷される(第2画素グループPG12)。このように、第1画素グループPG11のドット形成タイミングは、第2画素グループPG12よりも早い。
なお、先行ヘッド10A(偶数列NA2)のシアンノズル列CA2と、後続ヘッド10B(奇数列NB1)のシアンノズル列CB1との全体は、特許請求の範囲における「第1ノズルグループ」に相当する。また、これらのノズル列CA2、CB1のそれぞれは、「ノズルサブグループ」に相当する。
図6は、第2モードの説明図である。図6には、図5と同様に、印刷ヘッド10A、10Bと、印刷画像PI2と、画素グループPG21、PG22が示されている。ノズルNzと印刷画素Pxとに付された符号の意味は、図5と同じである。
第2モードでは、第1印刷ヘッド10Aの奇数列NA1と第2印刷ヘッド10Bの偶数列NB2とが利用される。偶数列NA2と奇数列NB1とは利用されない。すなわち、第2モードでは、第1モードでは利用されないノズル列が利用される。逆に、第1モードでは、第2モードでは利用されないノズル列が利用される。
図中の印刷画像PI2は、第2モードによる印刷画像を示している。また、この印刷画像PI2の下には、第1画素グループPG21と第2画素グループPG22とが示されている。第1画素グループPG21は、先行ヘッド10Aによって形成される画素のグループであり、第2画素グループPG22は、後続ヘッド10Bによって形成される画素のグループである。
図示するように、第2モードでは、行番号Rnが奇数である行(ライン)は、先行ヘッド10Aのシアンノズル列CA1によって先に印刷される(第1画素グループPG21)。一方、行番号Rnが偶数である行(ライン)は、後続ヘッド10Bのシアンノズル列CB2によって後に印刷される(第2画素グループPG22)。
なお、先行ヘッド10A(奇数列NA1)のシアンノズル列CA1と、後続ヘッド10B(偶数列NB2)のシアンノズル列CB2との全体は、特許請求の範囲における「第2ノズルグループ」に相当する。また、これらのノズル列CA1、CB2のそれぞれは、「ノズルサブグループ」に相当する。
以上の第1モードと第2モードとのそれぞれの説明は、シアンインク以外の他のインクについても、同様である。
また、上述した第1と第2のモードのそれぞれにおけるインクドットの形成状態は、ハーフトーンモジュール99(図1)によって決定される。第1実施例では、ハーフトーンモジュール99は、ディザマトリックスMを利用することによって、インクドット形成状態を決定する。
図7は、ディザマトリックスMの一部を概念的に例示した説明図である。図示したマトリックスには、横方向(直交方向)に256要素、縦方向(紙送り方向)に64要素、合計16384個の要素に、階調値1〜255の範囲から万遍なく選択された閾値が格納されている。なお、ディザマトリックスMの大きさは、図7に例示したような大きさに限られるものではなく、縦と横の要素数が同じマトリックスも含めて種々の大きさとすることができる。
図8は、ディザマトリックスを使用したドット形成の有無の考え方を示す説明図である。図示の都合上、一部の要素についてのみ示されている。ドット形成の有無の決定では、図8に示す通り、画像データの階調値と、ディザマトリックス中で対応する位置に記憶されている閾値とが比較される。画像データの階調値の方がディザテーブルに格納された閾値よりも大きい場合にはドットが形成され、画像データの階調値の方が小さい場合にはドットが形成されない。図8中でハッチングを付した画素がドットの形成対象となる画素を意味している。このように、ディザマトリックスを用いれば、画像データの階調値とディザマトリックスに設定されている閾値とを比較するという単純な処理で、画素毎のドットの形成有無を判断することができるので、階調数変換処理を迅速に実施することが可能となる。さらに、画像データの階調値が決まると、各画素にドットが形成されるか否かは、もっぱらディザマトリックスに設定される閾値によって決まることからも明らかなように、組織的ディザ法では、ディザマトリックスに設定する閾値の格納位置によって、ドットの発生状況を積極的に制御することが可能である。
このように、組織的ディザ法は、ディザマトリックスMに設定する閾値の格納位置によって、ドットの発生状況を積極的に制御することが可能なので、閾値の格納位置の設定を調整することによってドットの分散性その他の画質を制御することができるという特徴を有している。このことは、ディザマトリクスの最適化処理によって、先行ヘッドと後続ヘッドへのドット数の配分の直接的な制御が可能であることを意味している。
A3.凝集・ブリード:
図9は、インクの凝集やブリードと呼ばれる現象のメカニズムを示す説明図である。インクの凝集やブリードは、大きく分けて3つの段階を経て発生する。第1の段階は、近接する複数の画素にインク滴が吐出される段階である。この段階では、複数のインク滴が玉状となって印刷媒体P上に存在している。第2の段階は、複数のインク滴が連結する段階である。この段階では、インクが紙送り方向に2本の線となって、この線上を自由に移動できる。第3の段階は、インク溜まりが発生する段階である。インクの表面張力によって、インクが2本の線の中央部に集まって、インク溜まりRiが発生している。このようなインクの流れ込みによって、インクの凝集(インクの寄り集まりによって斑となる減少)やブリード(インクの滲み)が発生している。
図9は、インクの凝集やブリードと呼ばれる現象のメカニズムを示す説明図である。インクの凝集やブリードは、大きく分けて3つの段階を経て発生する。第1の段階は、近接する複数の画素にインク滴が吐出される段階である。この段階では、複数のインク滴が玉状となって印刷媒体P上に存在している。第2の段階は、複数のインク滴が連結する段階である。この段階では、インクが紙送り方向に2本の線となって、この線上を自由に移動できる。第3の段階は、インク溜まりが発生する段階である。インクの表面張力によって、インクが2本の線の中央部に集まって、インク溜まりRiが発生している。このようなインクの流れ込みによって、インクの凝集(インクの寄り集まりによって斑となる減少)やブリード(インクの滲み)が発生している。
図10は、先行ヘッドと後続ヘッドとによってインク滴が吐出されるときのインクの流れ込みのメカニズムの様子を示す説明図である。先行ヘッドでインクが吐出され、印刷媒体P上にインク滴の膜が形成された上に、重ねて後続ヘッドでインク滴が吐出されると、先行ヘッドで形成されたインク滴の膜によって、後続ヘッドで吐出されたインク滴の印刷媒体Pへの浸透が阻害されるという現象が本願発明者によって突き止められた。本願発明者は、さらに、このようなメカニズムの解明に基づいて、このような現象を考慮した最適なインク滴吐出方法を考案した。この発明は、先行ヘッドと後続ヘッドのインク吐出量の配分を制御するというものである。すなわち、先行ヘッドによるインク滴の吐出配分を多くし、その多くした分だけ後続ヘッドのインク吐出配分を小さくして、後続ヘッドに吐出されるインク滴の流動を抑制するというものである。このような物理的な現象は、色材として顔料を使用し、印刷媒体として光沢紙を使用した場合に顕著に発生することが確認された。
図11は、第1実施例における出力ドット割合ODを示すグラフである。横軸は入力階調値IVを示し、縦軸は出力ドット割合OD(%)を示している。第1グラフTdg1は、先行ヘッド10Aによって形成されるインクドットの割合を示し、第2グラフTdg2は、後続ヘッド10Bによって形成されるインクドットの割合を示している。
入力階調値IVは、ハーフトーンモジュール99(図1)に入力される階調値であり、各インクの階調値(インク量に相当する)を示している。このような入力階調値IVは、色変換モジュール98によって各印刷画素毎、各インク毎に決定される。第1実施例では、入力階調値IVは「0〜255」の範囲内に設定される。
出力ドット割合ODは、入力階調値IVによって表される中間調を再現するためのインクドットの割合を示している。出力ドット割合ODが0%であることは、インクドットが形成されないことを意味している。また、出力ドット割合ODが100%であることは、全ての印刷画素にインクドットが形成されることを意味している。
図示するように、第1グラフTdg1は、第2グラフTdg2と比べて、大きな出力ドット割合ODを示している(入力階調値IVの最小値(0)と最大値(255)とを除く)。すなわち、ハーフトーンモジュール99(図1)は、先行ヘッド10Aによって形成されるインクドットの割合が、後続ヘッド10Bによって形成されるインクドットの割合よりも大きくなるように、ハーフトーン処理を実行する。例えば、図5に示す第1モードでは、第1画素グループPG11に形成されるインクドットの割合が、第2画素グループPG12に形成されるインクドットの割合よりも大きくなる。また、図6に示す第2モードでは、第1画素グループPG21に形成されるインクドットの割合が、第2画素グループPG22に形成されるインクドットの割合よりも大きくなる。これらの結果、後続ヘッド10Bから吐出されるインク滴の流動が抑制されるので、インクの凝集やブリードが抑制される。また、インクの凝集やブリードが抑制されるので、印刷画質を維持しつつインク濃度を高くして色再現範囲を拡大することも可能である。なお、第1グラフTdg1と第2グラフTdg2とを足し合わせた出力ドット割合ODは、入力階調値IVに比例している(図示省略)。
なお、図7、図8に示すように、第1実施例では、ハーフトーンモジュール99(図1)は、ディザマトリックスM(図1、図7、図8)を利用してインクドット形成状態を決定する。そこで、ディザマトリックスMは、実際の印刷結果から得られる出力ドット割合ODが図11の特性を示すように、予め決定されている。このような特性を示すディザマトリックスは、任意の方法で作成可能である。例えば、小さい閾値を、優先的に、先行する第1画素グループに対応する画素位置に割り当てればよい。なお、実際の出力ドット割合ODは、入力階調値IVが一定値である一様な領域を印刷したときの、その領域内の印刷画素の総数に対するインクドットの総数の割合を測定することによって取得可能である。
なお、ディザマトリックスM(図1)は、第1モード用の第1ディザマトリックスと、第2モード用の第2ディザマトリックスとを含んでいる。第1と第2のディザマトリックスのそれぞれは、実際の出力ドット割合ODが図11の特性を示すように、予め決定されている。この代わりに、第1モードと第2モードとで、同じディザマトリックスを共用してもよい。この場合には、両方のモードでの実際の出力ドット割合ODが図11の特性を示すように、ディザマトリックスの配置(印刷画素位置)をモード毎に決定することが好ましい。例えば、第1モード用の配置から行番号Rnを1だけずらした配置を、第2モード用の配置として採用可能である。
以上説明したディザマトリックスは、各インクに共通に利用してもよい。また、各インク毎に異なるディザマトリックスを利用してもよい。
A4.印刷処理:
印刷処理は、図1に示すプリンタドライバ96によって実行される。プリンタドライバ96は、印刷のために供給された画像データを読み込む。次に、解像度変換モジュール97は、読み込んだ画像データの解像度を変換する。次に、色変換モジュール98は、解像度が変換された画像データに対して、色変換を実行する。この色変換によって、各インクの階調値(インク量に相当する)で表されるデータが生成される。次に、ハーフトーンモジュール99は、色変換によって生成された画像データに対してハーフトーン処理を実行する。次に、印刷データ生成モジュール100は、ハーフトーン処理によって生成されたハーフトーンデータ(ドットの形成状態を表すデータ)から、印刷データを生成する。この印刷データは、ハーフトーンデータを含んでいる。生成された印刷データは、カラープリンタ20に送信される。カラープリンタ20は、受信した印刷データを利用して印刷ヘッド10A、10Bを制御することによって、印刷を実行する。なお、プリンタドライバ96は、特許請求の範囲における「制御部」に相当する。また、印刷ヘッド10A、10Bの全体は「印刷ヘッド部」に相当する。
印刷処理は、図1に示すプリンタドライバ96によって実行される。プリンタドライバ96は、印刷のために供給された画像データを読み込む。次に、解像度変換モジュール97は、読み込んだ画像データの解像度を変換する。次に、色変換モジュール98は、解像度が変換された画像データに対して、色変換を実行する。この色変換によって、各インクの階調値(インク量に相当する)で表されるデータが生成される。次に、ハーフトーンモジュール99は、色変換によって生成された画像データに対してハーフトーン処理を実行する。次に、印刷データ生成モジュール100は、ハーフトーン処理によって生成されたハーフトーンデータ(ドットの形成状態を表すデータ)から、印刷データを生成する。この印刷データは、ハーフトーンデータを含んでいる。生成された印刷データは、カラープリンタ20に送信される。カラープリンタ20は、受信した印刷データを利用して印刷ヘッド10A、10Bを制御することによって、印刷を実行する。なお、プリンタドライバ96は、特許請求の範囲における「制御部」に相当する。また、印刷ヘッド10A、10Bの全体は「印刷ヘッド部」に相当する。
図12は、ハーフトーンデータ生成処理の手順を示すフローチャートである。第1実施例では、上述した第1モードと第2モードとが交互に繰り返し利用される。最初のステップS910では、ハーフトーンモジュール99(図1)は、モード切替条件が成立するか否かを判断する。例えば、印刷されたページ数が1ページだけ増加することが、条件として採用される。後述するように、この場合には、1ページ毎にモードが切り替えられる。
モード切替条件が成立する場合には、ハーフトーンモジュール99は、現行のモードを切り替える(ステップS920)。現行モードが第1モードである場合には、現行モードが第2モードに設定される。現行モードが第2モードである場合には、現行モードが第1モードに設定される。次のステップS930では、ハーフトーンモジュール99は、切り替え後の現行モードでハーフトーンデータを生成する。
モード切替条件が成立しない場合には、ハーフトーンモジュール99による現行モード切り替えがキャンセルされ、現行モードが維持される。そして、次のステップS930では、ハーフトーンモジュール99は、維持された現行モードでハーフトーンデータを生成する。
図13(A)〜13(D)は、モード切替条件の4種類の実施例を示している。図13(A)に示す条件は、最後に前記印刷モードが切り替えられた後、印刷されたページ数が1ページだけ増加したことを示している。この条件を採用する場合には、1ページ毎にモードが切り替えられる。例えば、図13(A)に示すように、1ページ目が第1モードで印刷された場合には、2ページ目は第2モードで印刷され、3ページ目は第1モードで印刷される。なお、ページ数増加の閾値は、1ページに限らず、任意の数を採用可能である。例えば、10ページを採用してもよい。2つのモードを均等に利用するためには、増加閾値が小さいことが好ましい。また、モード切替は、文書の区切りとは無関係に判断される。例えば、複数の文書が印刷される場合には、或る文書の1ページ目は、1つ前に印刷された文書の最終ページの次のページであるものとして、扱われる。
第1モードによるハーフトーンでは、ハーフトーンモジュール99(図1)は、偶数列NA2と奇数列NB1とを利用して印刷画像を生成するためのハーフトーンデータを生成する(図5)。このハーフトーンデータは、インクドット形成状態を表している。また、このハーフトーンデータは、偶数列NA2と奇数列NB1とを利用すべきことを示す情報を含んでいる。
第2モードによるハーフトーンでは、ハーフトーンモジュール99(図1)は、奇数列NA1と偶数列NB2とを利用して印刷画像を生成するためのハーフトーンデータを生成する(図6)。このハーフトーンデータは、インクドット形成状態を表している。また、このハーフトーンデータは、奇数列NA1と偶数列NB2とを利用すべきことを示す情報を含んでいる。
いずれのモードが採用された場合にも、印刷データ生成モジュール100(図1)は、ハーフトーンデータを含む印刷データを生成する。カラープリンタ20は、印刷データを利用して印刷を実行する。ハーフトーンデータが第1モードで生成された場合には、制御回路40(図2)は、偶数列NA2と奇数列NB1とを利用して印刷を実行する。ハーフトーンデータが第2モードで生成された場合には、制御回路40は、奇数列NA1と偶数列NB2とを利用して印刷を実行する。
以上のように、第1モードと第2モードとは順次繰り返し利用される。この理由は、印刷ヘッド10A、10Bの劣化進行を抑制するためである。上述のように、第1モードと第2モードとの間では、印刷に利用されるノズル列が異なっている(図5、図6)。そこで、第1モードと第2モードとを交互に繰り返し利用すれば、印刷負荷を各モードのノズル列に分散させることができる。その結果、各印刷ヘッド10A、10Bの劣化が過剰に進行することを抑制できる。そして、長期間に亘って良好な画質を維持することが可能となる。
次に、図13(B)〜13(D)に示す他の条件について説明する。図13(B)に示す条件は、1ページ内の部分領域毎にモードを選択することを示している。この実施例では、紙送り方向側の1/2ページ分の領域には予め第1モードが対応付けられ、残りの1/2ページ分の領域には予め第2モードが対応付けられている。この条件を採用する場合には、1/2ページ毎にモードが切り替えられる。例えば、図13(B)に示すように、1ページ目の最初の半分が第1モードで印刷され、残りの半分が第2モードで印刷される。2ページ目以降も同様にモードが切り替えられる。このような条件は、2UP印刷を行う場合に採用することが好ましい。2UP印刷とは、元の文書の2ページを1ページにまとめて印刷する技術である。このような2UP印刷に、このモード切替条件を適用すれば、元の文書の1ページの途中でモードが切り替わることを防止できる。
なお、部分領域としては、紙送り方向に沿って並ぶ任意の複数の領域を採用可能である。例えば、1/4ページ毎にモードを切り替えても良い。また、部分領域としては、紙送り方向とは垂直な方向に沿って並ぶ複数の領域を採用してもよい。一般には、部分領域としては、1ページ分の印刷領域を分割して得られる任意の複数の部分領域を採用可能である。ここで、同一のインクを同じ印刷画素に吐出可能な複数のノズルグループのそれぞれが1ページの印刷によって利用されるように、部分領域と、その部分領域に対応付けられたモードと、の両方が設定されることが好ましい。いずれの場合も、ハーフトーンモジュール99(図1)は、複数の部分領域のそれぞれのハーフトーン(印刷)に、各部分領域に予め対応付けられたモードを使用すればよい。
図13(C)に示す条件は、最後に前記印刷モードが切り替えられた後、印刷されたジョブ数が1だけ増加することを示している。ここで、ジョブ(印刷ジョブ)は、1つの印刷物の印刷を意味している。例えば、2つの文書を印刷する場合には、2つの文書印刷のそれぞれが、1つのジョブとして扱われる。この条件を採用する場合には、ジョブ毎にモードが切り替えられる。例えば、図13(C)に示すように、1つ目のジョブが第1モードで印刷された場合には、2つ目のジョブは第2モードで印刷され、3つ目のジョブは第1モードで印刷される。なお、ジョブ数増加の閾値は、1に限らず任意の数を採用可能である。例えば、3を採用してもよい。2つのモードを均等に利用するためには、増加閾値が小さいことが好ましい。
図13(D)に示す条件は、最後に前記印刷モードが切り替えられた後、時間が1日だけ経過することを示している。この条件を採用する場合には、1日毎にモードが切り替わる。例えば、図13(D)に示すように、6月6日に第1モードで印刷された場合には、翌日(6月7日)には第2モードで印刷され、その翌日(6月8日)には第1モードで印刷される。なお、時間増加の閾値は、1日に限らず、任意の値を採用可能である。例えば、1時間を採用してもよく2日を採用してもよい。
ハーフトーンモジュール99(図1)は、予め設定された複数のモード切替条件の内のいずれか1つが成立したことに応じて、モードを切り替えてもよい。また、所定の1つの条件が使用されてもよい。いずれの場合も、使用される条件がユーザによって選択されてもよい。また、閾値がユーザによって設定されてもよい。また、モード切替条件としては、図13(A)〜13(D)に示す条件に限らず、種々の条件を採用可能である。なお、図13(A)〜13(D)の条件は、いずれも、印刷量を考慮した条件である。
B.第2実施例:
図14は第2実施例における出力ドット割合ODを示すグラフである。図11との差違は、入力階調値IVが所定の閾値thよりも小さい範囲では、第1グラフTdg1が、第2グラフTdg2と同じ出力ドット割合ODを示している点だけである。入力階調値IVが閾値thよりも大きな範囲では、図11の実施例と同様に、第1グラフTdg1は、第2グラフTdg2と比べて、大きな出力ドット割合ODを示している(入力階調値IVの最大値(255)を除く)。
図14は第2実施例における出力ドット割合ODを示すグラフである。図11との差違は、入力階調値IVが所定の閾値thよりも小さい範囲では、第1グラフTdg1が、第2グラフTdg2と同じ出力ドット割合ODを示している点だけである。入力階調値IVが閾値thよりも大きな範囲では、図11の実施例と同様に、第1グラフTdg1は、第2グラフTdg2と比べて、大きな出力ドット割合ODを示している(入力階調値IVの最大値(255)を除く)。
このように、入力階調値IVが閾値thよりも小さい範囲において、第1グラフTdg1を第2グラフTdg2と同じに設定する理由は、明るい領域における粒状性が目立つことを抑制するためである。入力階調値IVが小さい領域(すなわち、明るい領域)では、印刷媒体P上に形成されるインクドットの密度が低い。その結果、ドットの配置に局所的な偏りが生じると、ドットが視認され易く、画像の粒状感を損ねやすい。従って、粒状性が目立つことを抑制するためには、先行する第1画素グループと後に続く第2画素グループとの両方に複数のインクドットを配分することが好ましい。特に、図5や図6に示す実施例のように、印刷媒体P上における印刷画素Pxの密度が2つの画素グループの間で同じ場合には、2つの画素グループにほぼ均等に複数のインクドットを配分する事が好ましい。
なお、入力階調値IVの小さい領域では、複数のインクドットが接触する可能性が低い。従って、入力階調値IVの小さい一部の範囲で2つのグラフTdg1、Tdg2が同じ出力ドット割合ODを示す場合であっても、インクの凝集とブリードは抑制される。
なお、閾値thは、インクが凝集し易いほど小さいことが好ましい。ここで、入力階調値IVを増大させたときに、インクが凝集し始める階調値IVよりも少しだけ小さい階調値IVを閾値thとして採用することが好ましい。こうすれば、インクが凝集し始める入力階調値IVを大きな値にシフトさせることができる。なお、この閾値thは、インク毎に異なっていても良く、また、印刷媒体Pの種類毎に異なっていても良い。例えば、光沢紙は普通紙と比べてインクドットが滲みにくい(凝集しにくい)ので、光沢紙用の閾値thを、普通紙用の閾値thよりも大きな値に設定可能である。また、サイズの異なる複数種類のインクドットを形成可能なノズルを利用する場合がある。この場合には、色変換モジュール98(図1)は、サイズ毎に入力階調値を決定すればよく、また、ハーフトーンモジュール99は、サイズ毎にハーフトーン処理を実行すればよい。ここで、サイズが大きいほどインクドットが滲みやすい。そこで、サイズが大きいほど閾値thを小さな値に設定することが好ましい。
C.第3実施例:
図15は、第3実施例における出力ドット割合ODを示すグラフである。図11との差違は、入力階調値IVの全範囲において、第1グラフTdg1が、第2グラフTdg2と同じ出力ドット割合ODを示している点だけである。このような配分を採用する場合であっても、共通の印刷領域に形成される複数のインクドットは、先行する第1画素グループと、後に続く第2画素グループとに分散される。その結果、複数のインクドットを一度に形成する場合と比べて、インクの凝集とブリードを抑制することができる。
図15は、第3実施例における出力ドット割合ODを示すグラフである。図11との差違は、入力階調値IVの全範囲において、第1グラフTdg1が、第2グラフTdg2と同じ出力ドット割合ODを示している点だけである。このような配分を採用する場合であっても、共通の印刷領域に形成される複数のインクドットは、先行する第1画素グループと、後に続く第2画素グループとに分散される。その結果、複数のインクドットを一度に形成する場合と比べて、インクの凝集とブリードを抑制することができる。
D.第4実施例:
図16は、印刷ヘッドの別の実施例を示す説明図である。第4実施例では、1つの印刷ヘッド10Cが利用される。また、この印刷ヘッド10Cはモノクロ印刷に利用される。この印刷ヘッド10Cの下面には、4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2が設けられている。この印刷ヘッド10Cの構成は、図3に示す4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2を1つの印刷ヘッドに設けた構成と、同じである。これらの4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2を利用することによって、モノクロ印刷が可能である。また、上述の各実施例と同様に、第1モードと第2モードとが利用可能である。第1モードでは、2つのブラックノズル列KA2、KB1が利用され、第2モードでは、2つのブラックノズル列KA1、KB2が利用される。このように、共通の印刷領域に対して、先行してインクドットを形成するノズル列と、後に続けてインクドットを形成するノズル列と、の両方が1つの印刷ヘッドに設けられていても良い。これは、図5に示す実施例のように複数種類のインクを利用する場合にも、同様である。
図16は、印刷ヘッドの別の実施例を示す説明図である。第4実施例では、1つの印刷ヘッド10Cが利用される。また、この印刷ヘッド10Cはモノクロ印刷に利用される。この印刷ヘッド10Cの下面には、4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2が設けられている。この印刷ヘッド10Cの構成は、図3に示す4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2を1つの印刷ヘッドに設けた構成と、同じである。これらの4つのノズル列KB1、KB2、KA1、KA2を利用することによって、モノクロ印刷が可能である。また、上述の各実施例と同様に、第1モードと第2モードとが利用可能である。第1モードでは、2つのブラックノズル列KA2、KB1が利用され、第2モードでは、2つのブラックノズル列KA1、KB2が利用される。このように、共通の印刷領域に対して、先行してインクドットを形成するノズル列と、後に続けてインクドットを形成するノズル列と、の両方が1つの印刷ヘッドに設けられていても良い。これは、図5に示す実施例のように複数種類のインクを利用する場合にも、同様である。
E.第5実施例:
第5実施例では、ディザマトリックスの特性と生成とについて説明する。以下、図6に示す第2モードで利用されるディザマトリックスを用いて説明を行う。ただし、第1モードで利用されるディザマトリックスについても、同様に生成可能である。
第5実施例では、ディザマトリックスの特性と生成とについて説明する。以下、図6に示す第2モードで利用されるディザマトリックスを用いて説明を行う。ただし、第1モードで利用されるディザマトリックスについても、同様に生成可能である。
E1.ディザマトリックスの特性:
図17は、ディザマトリクスの調整の簡単な例として、ブルーノイズ特性を有するブルーノイズディザマトリクスの各画素に設定されている閾値の空間周波数特性を概念的に例示した説明図である。ブルーノイズマトリックスの空間周波数特性は、1周期の長さが1周期の長さが2画素付近の高い周波数領域に最も大きな周波数成分を有する特性となっている。このような空間周波数特性は、人間の視覚特性を考慮して設定されたものである。すなわち、ブルーノイズディザマトリクス、高周波領域において感度が低いという人間の視覚特性を考慮して、高周波領域に最も大きな周波数成分が発生するように閾値の格納位置が調整されたディザマトリックスMである。
図17は、ディザマトリクスの調整の簡単な例として、ブルーノイズ特性を有するブルーノイズディザマトリクスの各画素に設定されている閾値の空間周波数特性を概念的に例示した説明図である。ブルーノイズマトリックスの空間周波数特性は、1周期の長さが1周期の長さが2画素付近の高い周波数領域に最も大きな周波数成分を有する特性となっている。このような空間周波数特性は、人間の視覚特性を考慮して設定されたものである。すなわち、ブルーノイズディザマトリクス、高周波領域において感度が低いという人間の視覚特性を考慮して、高周波領域に最も大きな周波数成分が発生するように閾値の格納位置が調整されたディザマトリックスMである。
図17には、さらに、グリーンノイズマトリックスの空間周波数特性を破線の曲線として例示している。図示されているように、グリーンノイズマトリックスの空間周波数特性は、1周期の長さが2画素から十数画素の中間周波数領域に最も大きな周波数成分を有する特性となっている。グリーンノイズマトリックスの閾値は、このような空間周波数特性を有するように設定されていることから、グリーンノイズ特性を有するディザマトリックスMを参照しながら各画素のドット形成の有無を判断すると、数ドット単位で隣接してドットが形成されながら、全体としてはドットの固まりが分散した状態で形成されることになる。いわゆるレーザープリンタなどのように、1画素程度の微細なドットを安定して形成することが困難なプリンタでは、こうしたグリーンノイズマトリックスを参照してドット形成の有無を判断することで、孤立したドットの発生を抑制することができる。その結果、安定した画質の画像を迅速に出力することが可能となる。逆に言えば、レーザープリンタなどでドットの形成有無を判断する際に参照されるディザマトリックスには、グリーンノイズ特性を有するように調整された閾値が設定されている。
図18は、人間が有する視覚の空間周波数に対する感度特性である視覚の空間周波数特性VTF(Visual Transfer Function)を概念的に示した説明図である。視覚の空間周波数特性VTFを利用すれば、人間の視覚感度を視覚の空間周波数特性VTFという伝達関数としてモデル化することによって、ハーフトーン処理後のドットの人間の視覚に訴える粒状感を定量化することが可能となる。このようにして定量化された値は、粒状性指数と呼ばれる。式F1は、視覚の空間周波数特性VTFを表す代表的な実験式を示している。式F1中の変数Lは観察距離を表しており、変数uは空間周波数を表している。式F2は、粒状性指数を定義する式である。式F2中の係数Kは、得られた値を人間の感覚と合わせるための係数である。
このような人間の視覚に訴える粒状感の定量化は、人間の視覚系に対するディザマトリクスのきめ細かな最適化を可能とするものである。具体的には、ディザマトリックスに各入力階調値を入力した際に想定されるドットパターンに対してフーリエ変換を行ってパワースペクトルFSを求めるとともに、視覚の空間周波数特性VTFと乗算した後に全入力階調値で積分(式F2)することによって得ることができる粒状性指数をディザマトリクスの評価関数として利用することができる。この例では、ディザマトリクスの評価関数が小さくなるように閾値の格納位置を調整すれば最適化が図れることになる。
このような人間の視覚特性を考慮して設定されたブルーノイズディザマトリクスやグリーンノイズマトリックスといったディザマトリックスに共通するのは、いずれも印刷媒体上において人間の視覚感度が最も高い空間周波数の領域である1サイクル毎ミリメートルを中心周波数とした0.5サイクル毎ミリメートルから2サイクル毎ミリメートルまでの所定の低周波の範囲内の成分の平均値が小さくなるように設定されている点である。たとえば所定の低周波の範囲内の成分の平均値が少なくとも人間の視覚感度がほぼゼロとなる10サイクル毎ミリメートルの周波数を中心周波数とした5サイクル毎ミリメートルから20サイクル毎ミリメートルまでの範囲の成分の平均値よりも小さくなるような周波数特性を有するようにすれば、人間の視覚感度の高い領域において粒状性を抑制することができるので、人間の視覚感度に着目した効果的な画質の改善を行うことができることが発明者によって確認されている。
E2.本発明の第5実施例におけるディザマトリックスの生成方法:
図19は、本発明の第5実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャートである。この例では、説明を分かりやすくするために8行8列の小さなディザマトリックスを生成するものとしている。ディザマトリックスの最適性をあらわす評価としては、粒状性指数(式F2、図18)が使用されるものとしている。
図19は、本発明の第5実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャートである。この例では、説明を分かりやすくするために8行8列の小さなディザマトリックスを生成するものとしている。ディザマトリックスの最適性をあらわす評価としては、粒状性指数(式F2、図18)が使用されるものとしている。
ステップS100では、グループ化処理が行われる。グループ化処理とは、印刷ヘッド10A(先行ヘッド)でドットが形成される画素のグループ(第1の画素グループ)と、印刷ヘッド10B(後続ヘッド)でドットが形成される画素のグループ(第2の画素グループ)と、の各々に対応する要素にディザマトリックスMを分割する処理である。
図20は、本発明の第5実施例におけるディザマトリックスMを示す説明図である。 ディザマトリックスMの各要素に格納された数値は、先行ヘッドと後続ヘッドのいずれがドットの形成を担当するかを表している。数値「1」が格納された要素は、印刷ヘッド10A(先行ヘッド)がドット形成を担当する画素に対応し、数値「2」が格納された要素は、印刷ヘッド10B(後続ヘッド)がドット形成を担当する画素に対応する。
図21は、本発明の第5実施例における分割マトリックスM1、M2を示す説明図である。分割マトリックスM1は、印刷ヘッド10A(先行ヘッド)がドット形成を担当する要素を抜き出したマトリックスである。分割マトリックスM2は、印刷ヘッド10B(後続ヘッド)がドット形成を担当する要素を抜き出したマトリックスである。
ステップS150では、ドット数配分テーブルが読み出される。ドット数配分テーブルとは、印刷ヘッド10A(先行ヘッド)と印刷ヘッド10B(後続ヘッド)によって形成されるドット数の配分数を表したテーブルである。
ドット数配分テーブルとしては、図11に示す入力階調値IVと出力ドット割合ODとの対応関係を示すテーブルが利用される。ディザマトリックスMの総画素数(この実施例では16384)に出力ドット割合ODを乗じることによって、ドットオン目標数が得られる。例えば、入力階調値IVが或る値IVxのときに、先行ヘッドのドットオン目標数Td1は、16384*Tdg1(IV=IVx)で表され、後続ヘッドのドットオン目標数Td2は、16384*Tdg2(IV=IVx)で表される。ドットオン目標数は、本発明の第5実施例のディザマトリックス生成処理において、ディザマトリックスの評価の基準として利用される。なお、ドット数の配分を表す情報は、各入力階調値毎のデータとしても良いし、近似計算式であっても良い。
ステップS200では、着目閾値決定処理が行われる。着目閾値決定処理とは、格納要素の決定対象となる閾値を決定する処理である。本実施例では、比較的に小さな値の閾値、すなわちドットの形成されやすい値の閾値から順に選択することによって閾値が決定される。このように、ドットが形成されやすい閾値から順に選択すれば、ドットの粒状性が目立つハイライト領域におけるドット配置をコントロールする閾値から順に格納される要素を固定していくことになるので、ドットの粒状性が目立つハイライト領域に対して大きな設計自由度を与えることができるからである。
ステップS300では、格納要素決定処理が行われる。格納要素決定処理とは、着目閾値を格納する要素を決定するための処理である。このような着目閾値決定処理(ステップS200)と格納要素決定処理(ステップS300)とを交互に繰り返すことによってディザマトリックスが生成される。なお、対象となる閾値は、全ての閾値であっても良いし、あるいは一部の閾値であっても良い。
図22は、本発明の第5実施例における格納要素決定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。ステップS310では、決定済み閾値の対応ドットがオンとされる。決定済み閾値とは、格納要素が決定された閾値を意味する。本実施例では、前述のようにドットの形成されやすい値の閾値から順に選択されるので、着目閾値にドットが形成される際には、決定済み閾値が格納された要素に対応する画素には必ずドットが形成されることになる。逆に、着目閾値にドットが形成される最も小さな入力階調値においては、決定済み閾値が格納された要素以外の要素に対応する画素にはドットは形成されないことになる。
図23は、マトリックスに1〜11番目にドットが形成されやすい閾値(0〜10)が格納されたマトリックスの各要素に対応する11個の画素の各々にドットが形成された様子を黒丸印で示す説明図である。このようにして構成されるドットパターンDpaは、12番目のドットをどの画素に形成すべきかを決定するために使用される。なお、*印については後述する。
ステップS320では、格納候補要素選択処理が行われる。格納候補要素選択処理とは、格納される閾値が決定済みの要素(図23の例では、1〜11番目にドットが形成されやすい閾値(0〜10)が格納された要素)を除く各要素を、着目閾値の格納候補として順に選択する処理である。図23の例では、1行1列の*印が格納された要素が着目閾値の最初の格納候補として選択されている。
ステップS330では、格納候補要素の対応ドットがオンとされる。この処理は、ステップS310において、決定済み閾値の対応ドットとしてオンとされたドット群に追加される形で行われる。
図24は、格納候補要素の対応ドットと決定済み閾値の対応ドットとがオンされたドット形成状態を数値化したマトリックス、すなわちドット密度を定量的に表したドット密度マトリックスDdaを示す説明図である。数字0は、ドットが形成されていないことを意味し、数字1は、ドットが形成されていること(前述のようにドットが格納候補要素に形成されていると仮定されている場合を含む)を意味する。
図25は、第1の画素グループと第2の画素グループとにおいて、候補要素の対応ドットと決定済み閾値の対応ドットとがオンされたドット形成状態を数値化したドット密度マトリックスDd1、Dd2を示す説明図である。図25から分かるように、第1の画素グループには、8個のドットが形成されており、第2の画素グループには、4個のドットが形成されている。
ステップS340では、評価値決定処理が行われる。評価値決定処理は、本実施例では、図26に示された評価値算出式に基づいて評価値を算出する処理である。評価値算出式は、各画素グループにおけるドットオン目標数(図11)との一致性に関する評価値を算出する第1項と、全画素を評定とした粒状性指数Gaを算出する第2項の和として構成されている。
第1項は、各階調値に応じてドット数配分テーブル(図11)から取得されたドットオン目標数Td1、Td2と各画素グループのドットオン数(決定済み閾値数Th1、Th2)との差の2乗の和として、ドットオン目標数との一致性を算出する。決定済み閾値数Th1、Th2が、ドットオン目標数Td1、Td2にそれぞれ近いほど、評価値が小さくなることになる。
第2項は、全画素を評定とした粒状性指数Gaを算出する。粒状性指数Gaは、本実施例では、画質の粒状感を表す指数として、図18に示された式F1と式F2とを利用して算出される。これにより、人間の視覚感度に基づいて粒状感の少ない画質を実現することができる。粒状性指数Gaも値が小さいほど、粒状感が少ない好ましい状態を意味する。
なお、重み付け係数Wd、Waは、それぞれ第1項と第2項とに対する重み付けを表す値である。具体的には、ドットオン目標数との一致性を重視する場合には、重み付け係数Wdの値を大きくすれば良く、粒状感を重視する場合には、重み付け係数Waの値を大きくすれば良い。
ステップS350では、今回算出された評価値が、前回に算出された評価値(図示しないバッファに格納)と比較される。比較の結果、今回算出された評価値が小さい(好ましい)ときには、このバッファに算出された評価値と格納候補要素と関連づけられて格納(更新)されるとともに、今回の格納候補要素が格納要素と仮に決定される(ステップS360)。
このような処理は、全ての候補要素について行われ、最後に図示しないバッファに格納された格納候補要素に決定されることになる(ステップS370)。さらに、このような処理が全ての閾値、あるいは予め設定された範囲の全ての閾値について行われ、ディザマトリックスの生成が完了する(ステップS400、図19)。
このように、第5実施例では、先行ヘッドで形成されるドット数と後続ヘッドで形成されるドット数との配分を格納するドット数配分テーブル(図11)に基づいて、先行ヘッドと後続ヘッドへのドット数を適切に配分するように構成されたディザマトリックスMを生成することができる。このようなディザマトリックスを使用すれば、先行ヘッドと後続ヘッドへのドット数の配分を直接的に制御して印刷媒体P上におけるインクの流動を抑制した印刷を実現して画質を向上させることができる。
なお、本実施例では、ドットオン目標数との一致性を評価値として算出して、ドット配分の最適化を図っているが、ドット数配分テーブル(図11)に基づいて簡略化した方法も利用できる。たとえばドット数配分テーブルでは、比較的に低い階調領域では、第2の画素グループに形成されるドット数が1個だけ増えるにしたがって、第1の画素グループに形成されるドット数が2個増えるので、格納候補要素の選択順を工夫して、第1の画素グループからの2個連続での選択と、第2の画素グループからの1個だけの選択とを交互に実行することによって粒状性指数だけの算出でディザマトリックスを生成することができる。なお、比較的に高い階調領域では、第1の画素グループと第2の画素グループを逆にするだけでよい。このように、格納候補要素の選択の比率を調整することによっても、ドットオン目標数との一致性を確保することできる。
また、粒状感を表す評価値としては、粒状性指数だけでなくRMS粒状度を使用しても良い。RMS粒状度とは、ドット密度マトリックスをローパスフィルタ処理した後、標準偏差を算出する処理である。RMS粒状度の算出は、たとえば図27の計算式を用いて行うことができる。
F.第6実施例:
図28は、本発明の第6実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャートである。第6実施例のディザマトリックスの生成方法は、評価値決定処理(ステップS340)における評価値算出式が図29の計算式に変更されて、ステップS340aとされている点でのみ第5実施例のディザマトリックスの生成方法と相違する。
図28は、本発明の第6実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャートである。第6実施例のディザマトリックスの生成方法は、評価値決定処理(ステップS340)における評価値算出式が図29の計算式に変更されて、ステップS340aとされている点でのみ第5実施例のディザマトリックスの生成方法と相違する。
第6実施例の計算式(図29)は、各画素グループ毎の粒状性指数Gg1、Gg2が評価値に追加されている点で第5実施例の計算式(図26)と相違する。ここで、重み付け係数Wgは、各画素グループ毎の粒状性指数Gg1、Gg2に対する重み付けを調整するための係数である。各画素グループ毎の粒状性指数Gg1、Gg2が評価に追加されているのは、インクの流動メカニズムと周波数領域との有機的な関係に着目した解析によるものである。
図30は、従来のディザマトリックスを用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。図30において、3つのドットパターンDpa、Dp1、Dp2は、それぞれ印刷画像のドットパターンDpaと、印刷ヘッド10A(先行ヘッド)で形成されるドットパターンDp1と、と印刷ヘッド10B(後続ヘッド)で形成されるドットパターンDp2と、を示している。印刷画像のドットパターンDpaは、第1の画素グループのドットパターンDp1(以下、先行ヘッドドットパターンDp1と呼ぶ。)と、第2の画素グループのドットパターンDp2(以下、後続ヘッドドットパターンDp2と呼ぶ。)と、が共通の印刷領域で組み合わせられることによって形成される。なお、図30〜図32では、説明を分かりやすくするために同一の配分としているが、前述のように階調値に応じて両者Dp1、Dp2のドット密度が相互に相違することになる。
図30から分かるように、印刷画像のドットパターンDpaが比較的に均一なドットの分散性を示しているのに対して、先行ヘッドドットパターンDp1や後続ヘッドドットパターンDp2は、ドットの疎密が生じている。このようなドットの疎密は、低周波成分を発生させて顕著な画質劣化として人間の目に認識されるものである。このような画質劣化は、従来のディザマトリックスが印刷画像のドットパターンDpaの画質を向上させるように構成されていることに起因して生じるものであるが、先行ヘッドドットパターンDp1と後続ヘッドドットパターンDp2とが、予め想定されるようにドット形成位置の誤差を生じさせることなく、さらには、インクの流動も生じさせることなく、組み合わせられるものであれば本来は顕在化しないものでもある(図31)。
しかし、先行ヘッドドットパターンDp1や後続ヘッドドットパターンDp2での低周波成分の発生は、インクの流動に起因する滲みや凝集を人間の視覚感度の高い低周波領域で顕著に顕在化させる役割を果たすことになる。さらに、先行ヘッドドットパターンDp1と後続ヘッドドットパターンDp2のインク濃度が前述のように相違すると、一方のドットパターンが目立つ結果として、一方のドットパターンに起因する低周波領域での粒状性が画質を劣化させることになる。
本願発明者は、このような観点から、インクの流動に起因する滲みや凝集が人間の視覚感度の高い低周波領域での顕在化を抑制するために、各画素グループ毎の粒状性指数Gg1、Gg2を抑制することに想到したのである。
図32は、第2実施例のディザマトリックスの生成方法で生成されたディザマトリックスを用いた各ドットパターンを示す説明図である。第6実施例のディザマトリックスの生成方法で生成されたディザマトリックスによれば、先行ヘッドドットパターンDp1や後続ヘッドドットパターンDp2での低周波成分の発生が抑制されているので、インクの流動に起因する滲みや凝集が発生しても低周領域で顕著に顕在化することを回避することができる。さらに、印刷ヘッド10Aと印刷ヘッド10Bのドット形成位置の相対的なズレが生じても、それぞれの疎と疎あるいは密と密の一致によって画質が過度に劣化することを抑制するという効果をも奏する。
このように、第6実施例は、先行ヘッドと後続ヘッドの各々で形成されるドットパターンに起因する低周波の疎密とインクの流動に起因する滲みや凝集の有機的な関係による画質劣化を抑制して画質をさらに向上させることができるという利点がある。
G.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G−1. 上述の実施例では、2個の印刷ヘッドを使用した印刷装置への適用例が開示されているが、たとえば第1変形例(図33)に示されるような4個の印刷ヘッドを使用した印刷へも適用することができる。第1変形例では、ノズルピッチkが4の4個の印刷ヘッドを千鳥に配置して、各印刷画素にインク滴が吐出できるように構成されている。このような構成では、たとえば、図34に示されるように4個の画素グループM21、M22、M23、M24に分割するとともに、図35に示されるドット数配分テーブルのグラフTdg1、Tdg2、Tdg3、Tdg4に基づいてドット数の配分をそれぞれ設定することによって実現することができる。
なお、図33に示す変形例においては、ノズル列Yはイエローインクを吐出し、ノズル列Mzはマゼンタインクを吐出し、ノズル列Cはシアンインクを吐出し、ノズル列Kはブラックインクを吐出する。また、4つの印刷ヘッド12A〜12Dの全体は、先行ヘッドを示している。さらに、後続ヘッドとしても、先行ヘッドと同様の印刷ヘッドが利用される。第1モードでは、後続ヘッドを利用せずに先行ヘッドを利用し、第2モードでは、先行ヘッドを利用せずに後続ヘッドを利用する。この代わりに、図5、図6に示す実施例と同様に、第1モードと第2モードのそれぞれにおいて、先行ヘッドと後続ヘッドとの両方を利用してもよい。
G−2.上述の実施例では、紙送りのみで印刷が行われるラインプリンタに対して、本発明は、適用されているが、印刷ヘッドの主走査と印刷媒体の副走査と行いつつドットを形成する印刷にも本発明は適用可能である。
G−3.上述の実施例では、先行ヘッドのインクの吐出量を後続ヘッドのインクの吐出量よりも多くするように設定されているが、たとえば印刷環境(印刷媒体の種類やインクの特性)によっては、逆とする方がインクの流動を抑制できる場合も想定される。本発明のハーフトーン処理は、一般に、共通の印刷領域における複数のドット群の各々のドット形成順序に応じて、複数のドット群の各々のドット数の配分が決定された特定のディザマトリックスを用いてドットの形成状態を決定するように構成されていればよい。
なお、先行ヘッドのインクの吐出量を後続ヘッドのインクの吐出量よりも多くするように設定することが最適な印刷環境として、色材として顔料を使用し、印刷媒体として光沢紙を使用した場合に顕著に発生することが確認されているが、これに限られず種々の印刷環境を上述の観点から実験で確認することによって本発明を適用することができる。
なお、1種類のモードで(すなわち、1組のノズルグループによって)共通の印刷領域に形成される全てのドット群に関して、ドット数配分がドット群毎に異なっている必要はない。全てのドット群の内の少なくとも一部の複数のドット群に関して、ドット数配分がドット群毎に異なっていることが好ましい。例えば、図35に示す実施例において、第2グラフTdg2と第3グラフTdg3とのそれぞれの出力ドット割合ODが同じ値に設定されてもよい。
G−4.上述の実施例や変形例では、粒状性指数やRMS粒状度に基づいてディザマトリックスの最適性を評価しているが、たとえば簡略化した方法として、ドットの形成が疎となっている画素に対応する要素に着目閾値が格納されるように格納要素を決定するようにしても良い(ポテンシャル法)。さらに、たとえばドットパターンに対してフーリエ変換を行うとともにVTF関数を用いてディザマトリックスの最適性を評価するように構成しても良い。具体的には、ゼロックスのDooleyらが用いた評価尺度(Grainess scale:GS値)をドットパターンに適用して、GS値によってディザマトリックスの最適性を評価するように構成しても良い。ここで、GS値とは、ドットパターンに対して2次元フーリエ変換を含む所定の処理を行って数値化するとともに、視覚の空間周波数特性VTFを乗じるフィルタ処理を行った後に積分することによって得ることができる粒状性評価値である(参考文献:ファインイメージングとハードコピー、コロナ社、日本写真学会、日本画像学会 合同出版委員会編 P534)。ただし、前者は、フーリエ変換などの複雑な計算が不必要となるという利点を有する。
G−5.上述の実施例では、1個の閾値の格納要素毎に評価処理が行われているが、たとえば複数個の閾値の格納要素を同時に決定するような場合にも本発明は、適用することができる。具体的には、たとえば上述の実施例において6番目までの閾値の格納要素が決定されていて、7番目と8番目の閾値の格納要素を決定するような場合にも7番目の閾値の格納要素にドットが追加された場合の評価値と、7番目と8番目の閾値の格納要素にそれぞれドットが追加された場合の評価値とに基づいて格納要素を決定するようにしても良いし、あるいは7番目の閾値の格納要素のみを決定するようにしても良い。
G−6.上述の実施例では、比較的に小さな値の閾値、すなわちドットの形成されやすい値の閾値から順に選択することによって着目閾値を決定し、このようにして決定された着目閾値が各要素に格納されたと仮定したときのドットの形成状態を想定して、それぞれ算出された所定の目標状態との相関を表すマトリックス評価値に基づいて、前記複数の格納候補要素の中から前記着目閾値の格納要素を決定してディザマトリックスを作成している。しかし、このような方法に限られず、比較的に大きな値から順に選択するようにしても良い。ただし、実施例の方法は、前述のようにドットの粒状性が目立つハイライト領域に対して大きな設計自由度を与えることができるという利点がある。
さらに、閾値を順に決定する方法に限られず、初期状態としてのディザマトリックスを準備するとともに、各要素に格納された複数の閾値の一部を、他の要素に格納された閾値と入れ替えつつ各閾値が格納される要素を決定してディザマトリックスを生成するように構成しても良い。この場合には、評価関数は、所定の要素群素の各々に形成されるドット密度の差を評価関数(罰関数)に含めることによって設定することができる。なお、評価の基準となるドット密度マトリックスは、着目閾値にドットが形成される最も小さな入力階調値に基づいて生成しても良いし、それ以上の入力階調値に基づいて生成しても良い。
G−7.上述の各実施例では、2つのノズルグループを利用しているが、ノズルグループの総数は3以上であってもよい。この場合も、ドットデータ生成は、N組(Nは2以上の整数)のノズルグループのそれぞれを排他的に利用するN種類のモードを有することが好ましい。この場合も、図12、図13の実施例と同様に、複数のモードのそれぞれを使用することが可能である。また、上述の各実施例において、1つのノズルグループに含まれるノズルサブグループの総数は、2(図3、図16)や4(図33)に限らず、任意の複数を採用可能である。
いずれの場合も、印刷ヘッドの総数としては、任意の数を採用可能である。例えば、全てのノズルが1つの印刷ヘッドに設けられていても良い。また、各印刷ヘッドに対するノズルの配置としても、任意の配置を採用可能である。例えば、1つのノズルサブグループが、複数の印刷ヘッドに分散して設けられていても良い。具体的には、図3に示す実施例において、シアンノズル列CA1が、複数の印刷ヘッドに分散して設けられていても良い。このような複数の印刷ヘッドとしては、例えば、直交方向の位置が互いに異なる複数の印刷ヘッドを利用可能である。
G−8.上述の各実施例において、ドット形成タイミングが早いほど多くなるように配分が設定される入力階調値IVの範囲(以下「シフト範囲」と呼ぶ)は、ゼロより大きな所定値(閾値th)よりも大きな範囲内に設定されていることが好ましい(例えば、図14)。ここで、シフト範囲は、閾値thよりも大きい範囲の内の一部の範囲であってもよく、また、閾値thよりも大きな全範囲であってもよい。入力階調値IVが最大の場合にドット群毎に配分を異ならせる方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、或る印刷画素にインクドットを形成しない方法や、或る印刷画素に複数のインクドットを形成する方法を採用可能である。また、各ノズルサブグループ毎に、担当する印刷画素の最大割合が異なっていても良い。例えば、第1ノズルサブグループが全印刷画素の2/3を担当し、第2ノズルサブグループが全印刷画素の1/3を担当してもよい。この場合には、出力ドット割合ODの合計が100%の場合であっても、ノズルサブグループ毎に出力ドット割合ODが異なる(66.6%と33.3%)。
G−9.なお、本発明におけるディザマトリックスの使用は、たとえば特開2005−236768号公報や特開2005−269527号公報に開示されているようなドットの形成状態を特定するための中間データ(個数データ)を使用するような技術においては、ディザマトリックスを用いて生成された変換テーブル(あるいは対応関係テーブル)の使用をも含む広い概念を有する。このような変換テーブルは、本発明の生成方法で生成されたディザマトリックスから直接生成されるだけでなく、調整や改良が行われる場合もあるが、このような場合も本発明の生成方法で生成されたディザマトリックスの使用に該当する。
G−10.上述の各実施例において、ディザマトリックスMは、複数のノズルサブグループの各々によって形成される複数のドット群の各々が予め設定された共通の特性を有するように構成されていることが好ましい。こうすれば、複数のドット群の各々において、低周波領域で発生するインクの流動に起因する滲みや凝集を抑制して、さらに顕著な効果を生じさせることができる。さらに、本発明では、たとえば先行ヘッドドットパターンDp1と後続ヘッドドットパターンDp2との間ではインク濃度が相違するので、一方のドットパターンが目立つ結果として、一方のドットパターンに起因する低周波領域での粒状性が画質を劣化させることになる。
ここで、前記共通の特性は、フーリエ変換処理を含む計算処理によって算出される粒状性指数で表される値であり、前記粒状性指数は、視覚の空間周波数特性に基づいて決定されたVTF関数と、前記フーリエ変換処理によって予め算出された定数との積に基づいて算出されるようにしても良いし、あるいは、前記共通の特性は、ローパスフィルタ処理を含む計算処理によって算出されるRMS粒状度で表される値であるようにしても良い。
なお、本発明は、ディザマトリックス、ディザマトリックス生成装置、ディザマトリックスを用いた印刷装置や印刷方法、印刷物の生成方法といった種々の形態、あるいは、これらの方法または装置の機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の形態で実現することができる。
また、印刷装置や印刷方法、印刷物の生成方法におけるディザマトリックスの使用は、ディザマトリックスに設定されている閾値と画像データの階調値とを画素毎に比較することによって、画素毎にドット形成の有無を判断しているが、たとえば閾値と階調値の和を固定値と比較してドット形成の有無を判断するようにしても良い。さらに、閾値を直接使用することなく閾値に基づいて予め生成されたデータと、階調値とに応じてドット形成の有無を判断するようにしても良い。本発明のディザ法は、一般に、各画素の階調値と、ディザマトリックスの対応する画素位置に設定された閾値とに応じてドットの形成の有無を判断するものであれば良い。
G−11.上述の各実施例において、複数のドット群の各々が有する共通の特性としては、以下のような特性を採用してもよい。
<第1特性>第1特性は、ブルーノイズ特性とグリーンノイズ特性のいずれか一方である。ドット群(ドットパターン)がこのような特性を示せば、人間の視覚感度の高い領域において粒状性を抑制することができる。
<第2特性>また、ドットパターンの空間周波数分布において、ピークの周波数が4サイクル毎ミリメートルよりも高いことが好ましい。こうすれば、人間の視覚感度の高い領域において粒状性を抑制することができる(図18)。
<第3特性>また、ドットパターンが、以下に説明する第3特性を示すことも好ましい。この第3特性は、印刷媒体上において、0.5サイクル毎ミリメートルから2サイクル毎ミリメートルまでの範囲内の成分の平均強度値が、5サイクル毎ミリメートルから20サイクル毎ミリメートルまでの範囲内の成分の平均強度値よりも小さいことを示す特性である。ドットパターンが第3特性を示せば、人間の視覚感度の高い領域において粒状性を抑制することができる(図17)。なお、或る周波数範囲内の成分の平均強度値としては、空間周波数分布の測定結果が示す強度の平均値を採用可能である。ここで、平均値としては、周波数に依存しない均等な重みを用いて算出された平均値を採用可能である。
ところで、上述の各実施例、各変形例で説明したディザマトリックスの生成方法では、比較的低い空間周波数範囲において、ドットパターンの空間周波数分布の強度が小さくなるように、ディザマトリックスが生成される(特に、図17に示すように視覚感度が比較的に高い4サイクル毎ミリメートル以下の範囲において強度が小さくなる)。その結果、上述した生成方法によって生成されたディザマトリックスを利用することによって、上述の各種特性を示すようなドットパターンを容易に形成することができる。
いずれの場合も、上述の各種特性は、ハーフトーン処理によって再現される全ての色範囲に亘って示される必要はなく、一部の色再現範囲において示されていればよい。特に、少なくとも一部のグレーを再現する場合に上述の各種特性の少なくとも一部が示されることが好ましい。グレー領域は種々の印刷画像に見られるので、種々の印刷画像の粒状性を抑えることができる。なお、グレーは、明るさが最大と最小の間の値に設定された無彩色を意味している。
G−12.図3、図16、図33に示す実施例のように、ノズルサブグループは、所定方向に沿って複数のノズルが配置されたノズル列を含み、さらに、同じノズルグループ内においては、所定方向のノズル位置はノズルサブグループ毎に異なっていることが好ましい。こうすれば、複数のノズルサブグループの各々によって形成されるドット群を、容易に共通の印刷領域で相互に組み合わせることができるので、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が容易である。
さらに、複数のノズルサブグループは、所定方向とは垂直な方向に沿って並んで配置され、複数のノズルサブグループのそれぞれの両隣には、インクの種類とノズルグループとの少なくとも一方が異なるノズルサブグループが配置されていることが好ましい。例えば、図3に示す実施例では、シアンノズル列CA1の一方の隣には、ノズルグループが異なるシアンノズル列CA2が配置されている。また、シアンノズル列CA1の他方の隣には、インクが異なるマゼンタノズル列MA2が配置されている。他のノズル列についても同様である。こうすれば、2つのノズルサブグループによって同一のインクが近いタイミングで共通の印刷領域に吐出されることが抑制される。その結果、インクの凝集や滲みの抑制を考慮したドット形成が容易となる。
また、印刷ヘッド部は、所定方向のノズル位置が互いに異なるM本(Mは2以上の整数)のノズル列をL種類(Lは1以上の整数)の特定インク毎に備える同じ印刷ヘッドをM個含み、1つのノズルグループのM組のノズルサブグループのそれぞれのノズル列は、M個の印刷ヘッドに1つずつ分かれて配置されていることが好ましい。例えば、図3に示す実施例では、2つの印刷ヘッド10A、10Bのそれぞれが、4種類のインク毎に、直交方向のノズル位置が異なる2本のノズル列を備えている。そして、シアンインクのための第1ノズルグループは、シアンノズル列CA1とシアンノズル列CB2である。これら2本のノズル列は、2つの印刷ヘッド10A、10Bに分かれて配置されている。他のインクと他のノズルグループとについても同様である。これらの結果、複数の同じ印刷ヘッドを利用して、画質の劣化を抑制することができる。
以上説明した種々の特徴は、インクの種類数や、ノズルグループの総数や、ノズルサブグループの総数が異なる場合にも同様に適用され得る。また、いずれの場合も、ハーフトーン処理としては、ディザマトリックスを用いた処理に限らず、誤差拡散法等の種々の処理を採用可能である。
G−13.上述の各実施例において、複数のモードでの印刷が可能なインクは、印刷に利用されるインクの内の一部のインクであってもよい。例えば、シアンインクとマゼンタインクとイエローインクとブラックインクとが利用可能な場合に、ブラックインクについてのみ複数のノズルグループを選択的に利用し、他のインク(シアン、マゼンタ、イエロー)については、1組のノズルグループを利用してもよい。
G−14.上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1のハーフトーンモジュール99の機能を、論理回路を有するハードウェア回路によって実現してもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
10A…第1印刷ヘッド(先行ヘッド)
10B…第2印刷ヘッド(後続ヘッド)
10C…印刷ヘッド
12A…印刷ヘッド
20…カラープリンタ
22…モータ
24…キャリッジモータ
32…操作パネル
40…制御回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…印刷データ生成モジュール
M…ディザマトリックス
P…印刷媒体
PD…印刷データ
DT…記録率テーブル
Px…印刷画素
Nz…ノズル
LUT…色変換テーブル
10B…第2印刷ヘッド(後続ヘッド)
10C…印刷ヘッド
12A…印刷ヘッド
20…カラープリンタ
22…モータ
24…キャリッジモータ
32…操作パネル
40…制御回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…印刷データ生成モジュール
M…ディザマトリックス
P…印刷媒体
PD…印刷データ
DT…記録率テーブル
Px…印刷画素
Nz…ノズル
LUT…色変換テーブル
Claims (13)
- 1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、
インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部と、
前記印刷部を制御する制御部と、
を備え、
前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、
前記制御部は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、
前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、
前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、
印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記N組のノズルグループのそれぞれに関して、前記共通の印刷領域におけるドット形成タイミングは、前記M組のノズルサブグループ毎に異なっている、
印刷装置。 - 請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
(A)前記N種類の印刷モードを所定の順番で順次使用する処理と、
(B)1ページ分の印刷領域を分割して得られる所定の複数の部分領域のそれぞれの印刷に、前記各部分領域に予め対応付けられた前記印刷モードを使用する処理と、
の少なくとも一方を実行する、印刷装置。 - 請求項3に記載の印刷装置であって、
前記N種類の印刷モードを所定の順番で順次使用する処理は、
(A1)印刷されたページ数が所定ページ数だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、
(A2)印刷されたジョブ数が所定数だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、
(A3)最後に前記印刷モードが切り替えられてからの経過時間が所定値だけ増加したことに応じて前記印刷モードを切り替える処理と、
の少なくとも一部を含む、印刷装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記N組のノズルグループのそれぞれに関して、
前記M組のノズルサブグループのそれぞれは、所定方向に沿って複数のノズルが配置されたノズル列を含み、
前記ノズルの前記所定方向の位置は前記M組のノズルサブグループ毎に異なっている、
印刷装置。 - 請求項5に記載の印刷装置であって、
前記L種類の特定インクのそれぞれのための複数のノズルサブグループは、前記所定方向とは垂直な方向に沿って並んで配置され、
前記複数のノズルサブグループのそれぞれの両隣には、前記特定インクの種類とノズルグループとの少なくとも一方が異なるノズルサブグループが配置されている、
印刷装置。 - 請求項5または請求項6に記載の印刷装置であって、
前記印刷ヘッド部は、前記所定方向のノズル位置が互いに異なるM本のノズル列を前記L種類の特定インク毎に備える同じ印刷ヘッドをM個含み、
1つの前記ノズルグループのM組のノズルサブグループのそれぞれのノズル列は、前記M個の印刷ヘッドに1つずつ分かれて配置されている、
印刷装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記各印刷画素へのドットの形成状態を決定し、
前記N種類の印刷モードのそれぞれに関して、前記ドット形成状態の決定は、前記入力階調値の少なくとも一部の範囲において、前記M組のドット群の少なくとも一部の複数のドット群のそれぞれに対するドット数の配分が前記ドット群毎に異なるように、実行される、
印刷装置。 - 請求項8に記載の印刷装置であって、
前記N種類の印刷モードのそれぞれに関して、前記ドット形成状態の決定は、前記入力階調値の少なくとも一部の範囲において、前記M組のドット群の少なくとも一部の複数のドット群のそれぞれに対するドット数の配分が、前記共通の印刷領域におけるドット形成タイミングが早いほど多くなるように、実行される、
印刷装置。 - 請求項9に記載の印刷装置であって、
前記ドット形成タイミングが早いほど多くなるように前記配分が設定される前記入力階調値の範囲は、ゼロより大きな所定値よりも大きな範囲内に設定されている、印刷装置。 - 請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記ハーフトーン処理はディザマトリックスを用いたハーフトーン処理であり、
前記ディザマトリックスは、前記複数のドット群の各々が予め設定された共通の特性を有するように構成されている印刷装置。 - 1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う方法であって、
インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部を制御する工程を備え、
前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、
前記印刷部の制御は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、
前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、
前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、
方法。 - 1種類以上のインクを用いて印刷媒体上に印刷を行う処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
インクを吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド部を備える印刷部を制御する機能をコンピュータに実行させ、
前記複数のノズルは、前記1種類以上のインクの内の少なくともL種類(Lは1以上の整数)の特定インクのそれぞれに関して、同一の前記特定インクを同じ印刷画素に吐出可能なN組(Nは2以上の整数)のノズルグループを含み、
前記印刷部の制御機能は、前記N組のノズルグループの内の1つのノズルグループを利用した印刷を前記印刷部に実行させる印刷モードであって、利用されるノズルグループが互いに異なるN種類の印刷モードを有し、
前記N組のノズルグループのそれぞれは、M組(Mは2以上の整数)のノズルサブグループを含み、
前記N種類の印刷モードのそれぞれでは、前記M組のノズルサブグループのそれぞれによって形成されるM組のドット群を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像が形成される、
コンピュータプログラム。
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