JP2009006573A - 熱転写受容シート - Google Patents

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Abstract

【課題】印画濃度が高く、画像が鮮明な、写真用途などに利用可能な熱転写受容シートを提供する。
【解決手段】シート状支持体上の少なくとも一面に、画像受容層を設けた熱転写受容シートにおいて、前記画像受容層が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ保水剤として膨潤性無機層状化合物を含有する水性塗工液を用いて形成された熱転写受容シート。また前記膨潤性無機層状化合物の、アスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が5〜6000であり、かつ粒子平均長径が0.1〜20μmであるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明の熱転写受容シートは、印画濃度が高く、画像が鮮明で、写真用途などに利用可能な熱転写受容シートに関するものである。
染料熱転写方式は、染料層を有する染料熱転写シート(以下単に、「インクリボン」という)と、この染料を受容する染料受容層(以下単に、「受容層」という。)を有する熱転写受容シート(以下単に、「受容シート」という)を用い、染料層と受容層を重ね合わせ、加熱により染料を受容層上に転写して画像を形成する。加熱はサーマルヘッドで行われ、多色の色ドットによりフルカラー画像を形成する。染料を用いているため画像は鮮明で透明性が高く、写真用途に利用可能な高品質画像が得られる。
受容層を形成する樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂が提案されている。例えば塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等である(例えば、特許文献1〜3参照。)。熱可塑性樹脂をトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解して受容層塗工液を作成し、これをシート状支持体に塗布・乾燥し受容シートを形成する技術が開示されている。
熱可塑性樹脂に染着した染料は、長期に渡って安定的に定着していることが求められる。しかし、上記受容シートに転写された画像は、受容層を形成する樹脂が親油性であるため、指紋などの油脂成分が付着すると、画像が変色・褪色する。画像耐久性を向上させるために、「オーバーラミネート」方式が主流になっている。これは画像の上に透明保護層を設けるものであり、サーマルヘッドによる加熱で、インクリボンの染料を順次転写した後、続いて透明樹脂を転写して保護層を形成する。しかしこの方式でも、油脂成分の浸透を完全に防ぐことは難しく、皮脂等による変色・褪色を防止するには不十分である。
さらに、受容層樹脂を水溶性・水分散性樹脂とする提案がされており、例えばポリエステル樹脂の水分散体が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。このような受容層では画像の油脂成分に対する耐久性は向上する。しかし受容層樹脂を水溶性・水分散性樹脂とするために、受容層塗工液の溶媒は水を主成分とした水性塗工液が用いられ、水性塗工液を塗工・乾燥する工程において、塗工液中の溶媒である水が基材へ浸み込む問題が発生しやすい。一方、塗工液の溶媒が有機溶剤系の場合は、一般に溶剤の揮発速度が速いため、溶媒の基材への浸み込みは発生し難い。浸み込みの現象は、水性塗工液に特有の問題である。
水性塗工液の物性の中でも、保水性は、浸み込みに大きな影響がある。塗工液の保水性が不足していると、塗工液中の溶媒(水)の基材への浸み込みはより発生しやすくなる。浸み込みにより、塗工液中の溶媒が急激に失われると、塗工液中の樹脂や顔料が、凝集したりいわゆるショックを起こしやすくなり、塗工層に塗工ムラができる。塗工ムラのある受容シートは、表面平滑性や表面光沢性が低下する。また、塗工ムラのある受容シートを印画した場合に、染料染着性が不均一となり、印画濃度が低下したり、画像均一性が低下して画像が不鮮明となったりする問題があった。
受容層の下に膨潤性無機層状化合物を含むバリア層を設け、印画画像のニジミを防止することは開示されている(例えば、特許文献5参照。)が、受容層とは異なるもので、塗工液の塗工性の改善等については何ら示されていない。また、膨潤性層状ケイ酸塩を用い、イオン交換、酸処理等を行った粘土有機複合体を含有する受容層が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、このような複合体では、むしろ保水性等は低下して、本願のような水性系塗工液の塗工液改善には適さないと考えられる。
特開昭59−224844号公報(第1頁) 特開昭61−199997号公報(第1頁) 特開平3−65391号公報(第1頁) 特開昭61−229594号公報(第1頁) 特開2004−284347号(第2頁) 特開平9−11644号(第2頁)
本発明は、上記従来技術の欠点を改良し、印画濃度が高く、画像が鮮明な、写真用途などに利用可能な受容シートを提供しようとするものである。
上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、受容シートの作成において、保水剤として膨潤性無機層状化合物を含有する水性塗工液を用いて受容層を形成することにより達成できることを見出し、本発明に至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)シート状支持体上の少なくとも一面に、画像受容層を設けた熱転写受容シートにおいて、前記画像受容層が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ保水剤として膨潤性無機層状化合物を含有する水性塗工液を用いて形成されたことを特徴とする熱転写受容シート。
(2)前記膨潤性無機層状化合物の、アスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が5〜6000であり、かつ粒子平均長径が0.1〜20μmである(1)項に記載の熱転写受容シート。
(3)前記膨潤性無機層状化合物が、膨潤性合成マイカである(1)項または(2)項に記載の熱転写受容シート。
(4)前記熱可塑性樹脂が、水溶性または水分散性の、ポリエステル樹脂エマルジョンおよび/または塩化ビニル共重合体樹脂エマルジョンである(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
(5)前記水性塗工液の保水度が、1000g/m以下である(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
本発明の受容シートは、印画濃度が高く、画像の濃淡ムラや白ヌケが殆ど無く、画像均一性に優れ、画像が鮮明で、写真用途などに利用可能な受容シートである。
本発明の受容シートは、シート状支持体上の少なくとも一面に、バリア層、画像受容層を順次積層した受容シートであり、画像受容層が、熱可塑性樹脂を主成分とする水性塗工液を用いて形成されたもので、かつこの水性塗工液には、保水剤として膨潤性無機層状化合物を含有する。以下に本発明について、詳細に説明する。
(受容層)
本発明で受容層を形成する樹脂としては、染料に対する親和性が高く、染料染着性の良好な熱可塑性樹脂を使用する。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。この中でも、染料染着性に優れたポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂が好ましく用いられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で使用してもよいし、また二種以上を併用して使用してもよい。本発明で受容層を形成する熱可塑性樹脂としては、上記のなかでも、染料染着性が良好なポリエステル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂が特に好ましい。
本発明では、受容層用塗工液は水性であることが特徴である。受容層の熱可塑性樹脂は水に溶解した状態で存在してもよいし、水に分散された状態で存在してもよい。熱可塑性樹脂を水溶化するには、ポリマー骨格または側鎖に親水基を導入する方法がある。親水基は、カルボキシル基、リン酸エステル基、スルホン基、アミノ基、イミノ基、第三アミン基、水酸基、エーテル基、アミド基等が挙げられる。親水基を導入した後、対イオンで中和し、親水性の石鹸またはイオン性基を形成させ水に溶解させる手法が一般的である。また水分散化する場合も乳化重合法等の公知の技術を使うことが可能である。受容層の固形分塗工量は、1g/m〜10g/mが好ましい。1g/m未満では、染料染着性が不十分となることがあり、10g/mを越えるとコストが増大する割に得られる効果が小さい。
(熱可塑性樹脂)
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分の重縮合により合成される。耐熱性の点で、分岐構造を有するポリエステル樹脂が特に好ましい。
(多価カルボン酸成分)
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分中に、イソフタル酸成分を50モル%以上含むことが好ましい。イソフタル酸成分50モル%未満では得られるポリエステル樹脂の耐光性が低下することがある。多価カルボン酸成分中には、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸を用いることも可能である。
脂環族ジカルボン酸類としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジプロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びそのアルキル誘導体、
また、2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸等の2,6−デカリンジカルボン酸及びそのアルキル誘導体、
また、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、ジメチルアダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、4,4’−カルボキシメチルシクロヘキサン、4,4’−カルボキシエチルシクロヘキサン等が挙げられる。
イソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸類としては、テレフタル酸、フタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、p−キシリレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸等が挙げられる。
上記多価カルボン酸と同様に用いられる同カルボン酸の誘導体類としては、上記ジカルボン酸のエステル化合物、酸無水物、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸類としては、直鎖状又は分岐状の脂肪族ジカルボン酸及びそれらのエステル化合物、酸ハロゲン化物、酸無水物等の誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸、ブラシル酸、ドデカンジカルボン酸、ポリアルケニルコハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、重合脂肪酸のダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。これらの中でも、アジピン酸、セバシン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度上昇や、分岐構造形成のために、多価カルボン酸成分として、3価以上のカルボン酸を含有させることができる。3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、トリカルバリル酸、カンホロン酸、トリメシン酸、1,2,5−ナフタレントリカルボン酸、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸、1,8,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、重合脂肪酸のトリマー酸などの3価以上のカルボン酸やこれらのエステル化合物及び酸無水物などが挙げられる。該化合物の含有量は、全カルボン酸成分中の0.5〜10モル%が好ましく、より好ましくは1〜7モル%である。
(多価アルコール成分)
本発明のポリエステル樹脂は、多価アルコール成分として脂環族グリコール類及び又は脂肪族グリコール類を使用することが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、または2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
脂環族グリコール類としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添BIS−A(水素化ビスフェノールA)、1,2−シクロペンタンジオール、1,4−シクロオクタンジオール、2,5−ノルボルナンジオール、アダマンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添BIS−A等が好ましく使用される。
脂肪族グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が好ましく使用される。
上記グリコール成分に加えて3価以上の多価アルコールを添加して縮重合することも可能である。3価以上のアルコール化合物の具体例としては、グリセリン、ジグリセロール、ポリグリセロール等のグリセロール化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のメチロール化合物が挙げられる。
(塩化ビニル共重合体樹脂)
本発明の塩化ビニル共重合体は、塩化ビニルをモノマー単位として50質量%以上の割合で含有する塩化ビニルと他のコモノマーとの共重合体を挙げることができる。
(コモノマー)
コモノマーとしては、例えば、脂肪酸ビニルエステル類として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、やし酸ビニルなどが挙げられる。アクリル酸もしくはメタクリル酸およびそのエステル類として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。また、マレイン酸およびそのエステル類として、マレイン酸、マレイン酸ジエチルなどが挙げられ、アルキルビニルエーテル類として、メチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、などのアルキルビニルエーテル等が挙げられる。さらにエチレン、プロピレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレンなどを挙げることができる。なお塩化ビニル共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
これらの共重合体のうち、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、塩化ビニルとアクリルとの共重合体等は、染料との親和性が良好であり、特に好ましい。また塩化ビニル共重合体樹脂は、水酸基あるいはカルボキシル基を導入したものが好ましく使用される。
塩化ビニル系樹脂の水酸基は、塩化ビニルと例えば酢酸ビニルとを共重合させた後、一部を加水分解することにより導入する方法がある。また、カルボキシル基は、重合時にマレイン酸を添加して導入する方法がある。
上記、ポリエステル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂は、ガラス転移温度が30℃〜80℃であることが好ましく、40℃〜70℃がより好ましい。30℃未満では耐熱性が不足し、印画時にインクリボンと受容層が貼り付くことがある。一方、80℃を越えると、染料染着性が劣り、鮮明な画像を形成できない場合がある。なお、ガラス転移とは、高分子物質を加熱したときにガラス状の硬い状態からゴム状に変わる現象をいい、剛性や粘度が低下する。ガラス転移が起きる温度をガラス転移温度という。示差走査熱量形(DSC)にて、試験片を一定速度で昇温したときの吸熱量を測定することで得られ、JIS C 6481で規定されている。
上記、ポリエステル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂は、数平均分子量が、1000〜50000が好ましい。1000未満では、形成した皮膜の柔軟性が不足しヒビ割れしやすいことがある。50000を越えると、染料染着性が不足し、鮮明な画像が得られない場合がある。
なお数平均分子量とは、分子1個当たりの平均の分子量である。合成高分子は通常、分子量が異なる分子の混合物であり、それぞれの分子量の総和を分子の数で除したものが数平均分子量となる。測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いる。ゲル状粒子を充填したカラムに試験材料の希薄溶液を流し、流出するまでの時間を測定する。分子の大きさによって流出時間が異なることを利用して、分子量を算出できる。
(膨潤性無機層状化合物)
本発明では、受容層に膨潤性無機層状化合物を含有する。本発明の膨潤性無機層状化合物は、層状の構造単位を持ち、層と層の間には分子サイズ(つまりナノメートルサイズ)の空間をもつ。この空間には通常は水分子やナトリウム、カルシウムイオンなどが存在している。そして空間に存在するナトリウムイオンやカルシウムイオンが水和する力によって膨潤する性質を持つ。層の厚さはごく薄く、そのため表面積は非常に大きくなり、大きな保水能力を持つのである。膨潤性無機層状化合物としては、例えばグラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物、合成スメクタイト、合成マイカ等が挙げられる。
粘土系鉱物は一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側からはさんでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。 これらの粘土系鉱物として、具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、タルク、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。その他の例については、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店などの文献を参照することができる。
上記の粘土系鉱物の中でもより膨潤しやすいという観点から3層構造タイプのスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族の粘土系鉱物が好ましい。上記のスメクタイト族の膨潤性粘土系鉱物の具体例としては、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等が挙げられ、より好ましくは、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライトである。
これら膨潤性無機層状化合物は天然品の膨潤性粘土系鉱物以外にも、合成品、加工処理品(例えばシランカップリング剤の表面処理品)が挙げられる。合成品は天然品と比較して、純度や粒径が均一にコントロールしやすい点で、より好ましい。合成スメクタイトや合成マイカの製造方法には、水熱反応法(特開平6−345419号公報参照)、固相反応法、熔融法(特開平5−270815号公報参照。)などの合成方法がある。
水熱反応法は、珪酸塩、マグネシウム塩、アルカリ金属イオン、アルカリ金属塩、フッ素イオンなど各種原料を含んだ水溶液あるいは水性スラリーをオートクレーブやパイプリアクターの中で100〜400℃の高温、高圧化のもとで反応させ、合成させる方法である。水熱反応法では、結晶の成長が遅いため一般に大きな粒子のものが得られず、粒子径が10〜100nmのものがほとんどである。しかしながら、水熱反応においても、低濃度、低温、長時間の条件で合成すれば、粒子径が1μm以上の大きな粒子を製造することは可能である。しかしながら、この場合、製造コストが極端に高くなるといった問題がある。
固相反応法はタルクと珪フッ化アルカリと他の原料とともに400〜1000℃の範囲で数時間反応させ、合成マイカを製造する方法である。固相反応は原料のタルクの構造を残したまま元素移動を起こしてマイカが生成される(トポタキシー)。そのため得られる合成マイカの品質が原料のタルクの物性やその不純物に依存する。また元素移動を完全にコントロールできないため、合成マイカの純度や結晶化度が低い場合がある。
熔融法は、無水珪酸、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪フッ化カリウム、炭酸カリウム、その他の原料をマイカの熔融点(例えば1500℃)以上で熔融後、徐冷結晶化し、合成マイカや合成スメクタイトを製造する方法である。また、加熱方法の違いにより、外熱式熔融法と内熱式熔融法がある。外熱式熔融法は、原料を入れたルツボを熔融点以上の温度の室に入れて昇温後、熔融点以下の温度の室に移動させて製造する方法であるが、ルツボの費用等が高コストとなる。内熱式熔融法は黒鉛(炭素)電極や金属電極を備えた容器中で通電により原料を加熱熔融させた後、冷却させる方法であり、熔融合成法においては内熱式熔融法が一般的である。熔融合成法は冷却結晶化した塊を粉砕、分級することにより粒子径をコントロールした合成品を製造することができる。熔融合成法は原料として高純度原料を使用することができ、熔融化するため原料が均一に混合できるため、結晶化度が高く、粒子径が大きく、純度の高い合成マイカや合成スメクタイトを製造することができるといった利点がある。
本発明において、膨潤性合成マイカの具体例としては、ナトリウム四珪素雲母(NaMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウムテニオライト(NaMgLiSi10、熔融法)、リチウムテニオライト(LiMgLiSi10、熔融法)などが挙げられる。また膨潤性合成スメクタイトとしては、ナトリウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)2、水熱反応法又は熔融法)、リチウムヘクトライト(Li0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、サポナイト(Na0.33Mg2.67AlSi4.010(OH)、水熱反応法)などが挙げられる。本発明において、膨潤性無機層状化合物としては、膨潤性合成マイカが、塗工液の保水性向上の効果や、価格、入手の容易さなどから好ましく使用される。
膨潤性合成マイカの中でも、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムフッ素四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等がより好ましく使用され、中でもナトリウム四珪素雲母、ナトリウムフッ素四珪素雲母が特に好ましく、熔融合成法により、所望の粒子径、アスペクト比、結晶性のものが得られる。
これらの膨潤性無機層状化合物は、市販品のものを使用することもできる。例えば一般にナトリウムベントナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア(天然モンモリロナイト、クニミネ工業製)、ベンゲル(天然ベントナイト、ホージュン社製)、スメクトン(合成サポナイト、クニミネ工業社製)、ラポナイト(合成ヘクトライト、ラポルテ社製)、DMA−350、DMA−80E(合成マイカ、トピー工業製)、ME−100(合成マイカ、コープケミカル製)などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で好ましく使用される膨潤性無機層状化合物は、水中で容易に膨潤、劈開及び分散する膨潤性無機層状化合物である。膨潤性無機層状化合物の溶媒への膨潤性の程度は、膨潤試験により評価することができる。膨潤性無機層状化合物の膨潤性は、約5ml/2g以上が好ましく、より好ましくは約20ml/2g以上である。
膨潤性試験を詳述する。試験容器として100mlメスシリンダーを用い、溶媒100mlに対して、膨潤性無機層状化合物2gをゆっくり加えて静置した後、23℃、24hr後の膨潤性無機層状化合物分散層と上澄み層との界面の目盛から、膨潤性無機層状化合物分散層の体積を読み、膨潤度とする。この数値(ml/2g)が大きい程、膨潤性が高く好ましい。溶媒としては、通常水が使用される。
本発明で使用される膨潤性無機層状化合物としては、アスペクト比が5〜6000のものが好ましく用いられ、より好ましくはアスペクト比が100〜5000で、さらに好ましくはアスペクト比が500〜5000である。アスペクト比が5未満では、塗工液に添加した場合の保水性向上効果が充分得られないことがある。アスペクト比が6000を超えると、得られた受容シートに印画したときに、印画濃度低下が起こることがある。これは、層状化合物が有するバリア効果による染料染着性低下と考えられる。
なお、アスペクト比ZはZ=L/aなる関係で示されるものであり、Lは膨潤性無機層状化合物の水中での粒子平均長径(レーザー回折式粒度分布計で測定。堀場製作所製、粒度分布計LA−910を使用、体積分布50%のメジアン径)であり、aは膨潤性無機層状化合物の厚みである。厚みは、バリア層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による写真観察によって求めた値である。
本発明で使用される膨潤性無機層状化合物の粒子平均長径は0.1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。粒子平均長径が0.1μm未満では、塗工液に添加した際に、塗工液中で分散状態が不安定となり、沈降したり、経時で塗工液の保水性が低下したりすることがある。粒子平均長径が20μmを超えると、得られる受容シートの受容層表面の平滑度が低下して画質が悪化することがある。
本発明で、膨潤性無機層状化合物は、受容層塗工層の固形分に対して、0.1質量%〜5.0質量%含有するのが好ましく、0.5質量%〜3.0質量%がより好ましい。0.1質量%未満では、保水性向上の効果が十分でなく、5.0質量%を超えると、染料の染着性を損なう場合がある。
本発明で、膨潤性無機層状化合物を添加した受容層用塗工液の保水度は、1000g/m以下が好ましく、10〜1000g/mの範囲がより好ましい。1000g/mを超えると、受容層用塗工液の基材への浸み込みを防止する効果が不足することがあり、10g/m未満では、塗工、乾燥時の水分が蒸発し難く、乾燥不良となる場合がある。
なお、保水度は、フィルターと吸水紙を重ね、フィルター側に塗工液をのせて圧力をかけ、一定時間後に吸水紙の重量を測定して得られる。例えば、SMT社製保水度計AA−GWRを用い、塗工液5ml、セル圧力1kgf/cm、吸水時間30秒の設定で測定し、吸水紙1m当たりの吸水量を換算した値を用いる。塗工液中の水がフィルターを通過して吸水紙に吸収されるので、この吸水量を測定するのである。吸水紙の吸水量が少ないほど、塗工液の保水性は良好であることを示す。
受容層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種材料を添加できる。耐熱性向上のためには架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、有機金属化合物等他が挙げられる。架橋剤は、熱可塑性樹脂の官能基と反応して三次元架橋させることができる。官能基は例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等である。
受容層には、印画時のインクリボン剥離性向上のために、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン樹脂などのシリコーン系化合物、ポリエチレンワックスなどの各種ワックス、金属石鹸などが挙げられる。
(シート状支持体)
本発明における受容シートの支持体としては、セルロースパルプを主成分とする紙類や合成樹脂シート類が使用される。例えば、紙類としては上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙などが挙げられる。合成樹脂を主成分としたシート類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
多孔質延伸シート類としてはポリオレフィン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を主成分とした、例えば合成紙、多孔質ポリエステルシートなどが挙げられる。積層体類としては、多孔質延伸シート同士、多孔質延伸シートと他のシート及び/又は紙等とを積層貼着させたシートなどが挙げられる。
シート状支持体の受容層面側の平滑度は、50秒以上が好ましい。50秒未満では、得られた受容シートの平滑性が不足し、画像均一性が損なわれる場合がある。なお平滑度は、シート表面の平滑性の指標である。一定条件下で基準面と試験片表面との間を流れる空気の流量を測定することで得られ、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5(王研式平滑度)に規定されている。
本発明においては、上記シート状支持体の中でも、セルロースパルプを主成分とする紙類が好ましい。得られる受容シートの風合いが印画紙に近いものとなり、コスト的にも有利である。
(中間層)
紙支持体を使用する場合には、シート状支持体上に中空粒子を含有する中間層を設けることが好ましい。中間層は、断熱性とクッション性を付与できるので、画像鮮明性や画像均一性を向上できる。中間層で使用される中空粒子の材質、製造方法は特に限定されないが、具体的には、中空粒子の壁を形成する材料としてアクリルニトリル、塩化ビニリデン、スチレン−アクリル酸エステル等の重合体、あるいは共重合体が挙げられる。それら中空粒子の製造方法としては、樹脂粒子中にブタンガスを封入し、加熱発泡させる方式や、エマルジョン重合方式などが挙げられる。中間層の塗工量は、1g/m〜30g/mが好ましい。1g/m未満では、充分な断熱性とクッション性が得られないことがあり、30g/mを越えると、コストが増大する割に得られる効果が小さい。
中空粒子の粒径は、0.1μm〜10μmが好ましい。0.1μm未満では、中空粒子の壁が薄くなって耐熱性が不足し、塗工乾燥工程で壊れやすい。10μmを越えると、得られた受容シートの表面凹凸が大きくなり、画像均一性が劣る場合がある。中空粒子の体積中空率は、50%〜90%が好ましい。50%未満では断熱性とクッション性を付与する効果が不十分な場合がある。90%を越えると、中空粒子の壁が薄くなり、耐久性が低下することがある。
(バリア層)
紙支持体に中間層を設ける場合、中間層と受容層の間に、さらにバリア層を設けることが好ましい。受容層に染着した染料が、中間層や紙支持体に移動しないようにバリアすることによって、画像のにじみを防止できる。バリア層に使用される樹脂は、フィルム形成能に優れ、弾力性、柔軟性のある樹脂が使用され、水溶性または水分散性樹脂が好ましく使用される。
例えば、水溶性樹脂類では、デンプン、変性デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂などが挙げられる。
水分散性樹脂類としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル樹脂系ラテックス、メタアクリル酸エステル系共重合樹脂ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、ポリエステルエマルジョン、ポリエステルポリウレタンアイオノマー、ポリエーテルポリウレタンアイオノマーなどが挙げられる。バリア層に使用する樹脂は、軟化点が30℃〜150℃のものが好ましい。軟化点が30℃未満では、画像のにじみ防止効果が不足する場合があり、150℃を越えると、塗工乾燥工程での成膜性が劣り、塗工層にクラックが発生することがある。
バリア層には、画像のにじみ防止のため、膨潤性無機層状化合物を含有することができる。この場合の膨潤性無機層状化合物は、バリア性付与の目的で使用する。受容層に染着した染料が、中間層や紙支持体に移動しないようにバリアすることによって、画像のにじみを防止できる。膨潤性無機層状化合物類としては、フッ素金雲母、カリウム四珪素雲母、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどの合成マイカ、あるいはナトリウムヘクトライト、リチウムヘクトライト、サポナイトなどの合成スメクタイトが挙げられる。
(裏面層)
本発明の受容シートにおいて、シート状支持体の受容層が設けられていない側の面(裏面)上には、適宜、裏面層を設ける。裏面層の目的は、走行性向上、静電気防止、受容シート相互の擦れによる受容層の傷つき防止、受容シートを重ね置きしたときの裏面への染料移行防止などである。裏面層は接着成分としての樹脂と、必要に応じて顔料や添加剤を含有する。
本発明において、特に中空粒子を含有する中間層を設けた支持体を使用する場合には、受容シートにカレンダー処理を施してもよい。得られた受容シート表面の凹凸を減少させ、均一な画像を得るためである。カレンダー処理は、中間層、バリア層、受容層塗工後のいずれの段階で行ってもよい。カレンダー処理に使用されるカレンダー装置は、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、クリアランスカレンダー等の一般に製紙業界で使用されているカレンダー装置を適宜使用できる。
上記各塗工層には、一般の塗被紙製造において使用される濡れ剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
本発明において、中間層、バリア層、受容層、およびその他の塗工層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、及びスライドビードコーター等の公知のコーターを使用して、所定の塗工液を塗工、乾燥して形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の「部」はすべて「質量部」を示し、固形分量である。Tgはガラス転移温度を示す。
実施例1
(中間層の形成)
シート状支持体として、厚さ150μのアート紙(商品名:OK金藤N、王子製紙製、坪量174.4g/m)を使用し、その片面に下記組成の中間層用塗工液Aを、固形分塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥して中間層を形成し、シート状支持体Aを得た。
中間層用塗工液A
スチレン−アクリル系中空粒子エマルジョン
(商品名:Nipol MH5055、日本ゼオン製、
30%水分散液、平均粒径0.5μ、体積中空率55%) 70部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、
日本ゼオン製、45%水分散液) 20部
更に、固形分濃度が30%となるように調製水を加え、中間層用塗工液Aを調製した。
受容層用塗工液A
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:ビニブラン603、
日信化学製、Tg64℃、50%水分散液) 88部
膨潤性合成マイカ(商品名:S1ME、コープケミカル製、ナトリウムフッ素4珪素雲母、
粒子平均長径2μ、アスペクト比2000、5%水分散液) 2部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、
日華化学製、固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Aを調製した。調製した受容層用塗工液Aの保水度は、SMT社製保水度計AA−GWRを用いて測定した結果、450g/mであった。
(受容層の形成)
上記組成の受容層用塗工液Aを、上記シート状支持体Aに、固形分塗工量が5g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成し、受容シートを得た。
実施例2
(中間層、バリア層の形成)
シート状支持体として、厚さ150μのアート紙(商品名:OK金藤N、王子製紙製、坪量174.4g/m)を使用し、その片面に下記組成の中間層用塗工液Bを、固形分塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥して中間層を形成した。得られたシートの中間層に下記組成のバリアAを、固形分塗工量が3g/mとなるように塗工、乾燥してシート状支持体Bを得た。
中間層用塗工液B
スチレン−アクリル系中空粒子エマルジョン
(商品名:Nipol MH5055、日本ゼオン製、
30%水分散液、平均粒径0.5μ、体積中空率55%) 70部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、
日本ゼオン製、45%水分散液) 20部
更に、固形分濃度が30%となるように調製水を加え、中間層用塗工液Bを調製した。
バリア層用塗工液A
ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、鹸化度99%、
重合度1000、クラレ製、10%水溶液) 40部
スチレン−アクリル共重合体樹脂(商品名:ポリマロン326、
Tg50℃、荒川化学工業製、40%水溶液) 60部
更に、固形分濃度が10%となるように調製水を加え、バリア層用塗工液Aを調製した。
受容層用塗工液B
ポリエステル樹脂(商品名:スカイボンEW312、SKケミカルス製、
Tg64℃、50%水溶液) 87部
膨潤性合成スメクタイト(商品名:NHT−8、トピー工業製、ナトリウムヘクトライト、
粒子平均長径8μ、アスペクト比800、3%水分散液) 3部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、
日華化学製、固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Bを調製した。調製した受容層用塗工液Bの保水度は650g/mであった。
(受容層の形成)
上記組成の受容層用塗工液Bを、上記シート状支持体Bに、固形分塗工量が3g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成し、受容シートを得た。
実施例3
(中間層、バリア層の形成)
シート状支持体として、厚さ150μのアート紙(商品名:OK金藤N、王子製紙製、坪量174.4g/m)を使用し、その片面に下記組成の中間層Bを、固形分塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥して中間層を形成した。得られたシートの中間層に下記組成のバリアBを、固形分塗工量が3g/mとなるように塗工、乾燥してシート状支持体Cを得た。
バリア層用塗工液B
膨潤性合成マイカ(商品名:NTS−10、ナトリウム4珪素雲母、
粒子平均長径12μm、アスペクト比2400、
トピー工業製5%、5%水ゾル液) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、クラレ製) 50部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:L−1537、
旭化成製、50%水分散液) 20部
更に、固形分濃度が15%となるように調製水を加え、バリア層用塗工液Bを調製した。
受容層用塗工液C
ポリエステル樹脂(商品名:PMD1200、東洋紡製、
Tg67℃、分子量15000、40%水分散液) 88部
膨潤性合成マイカ(商品名:DMA−350、ナトリウム4珪素雲母、
粒子平均長径12μm、アスペクト比3000、
トピー工業製、5%水分散液) 2部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、
日華化学製、固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Cを調製した。調製した受容層用塗工液Cの保水度は280g/mであった。
(受容層の形成)
上記組成の受容層用塗工液Cを、上記シート状支持体Cに、固形分塗工量が5g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成し、受容シートを得た。
実施例4
受容層用塗工液Cの代りに下記組成の受容層用塗工液Dを使用した以外は、実施例3と同様にして受容シートを作成した。
受容層用塗工液D
ポリエステル樹脂(商品名:PMD1200、東洋紡製、
Tg67℃、分子量15000、40%水分散液) 87部
膨潤性粘土系鉱物(商品名:クニピアF、モンモリロナイト、粒子平均長径2μm、
アスペクト比400、クニミネ工業製、5%水分散液) 3部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、
日華化学製、固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Dを調製した。調製した受容層用塗工液Dの保水度は920g/mであった。
実施例5
(導電層形成)
厚さ100μの上質紙両面に、ポリプロピレンの多層構造フィルム(商品名:ユポFPG50、ユポ・コーポレーション製)をドライラミネート方式で積層した。積層したシートに下記組成の導電層用塗工液Aを、固形分塗工量が1g/mとなるように塗工、乾燥してシート状支持体Dを得た。
導電層用塗工液A
ポリアクリロニトリル樹脂(商品名:ニポール1561、日本ゼオン製) 80部
アニオン型導電性樹脂(商品名:ケミスタット6120、三洋化成製) 20部
更に、固形分濃度が10%となるように調製水を加え、導電層用塗工液Aを調製した。
受容層用塗工液E
ポリウレタン樹脂(商品名:ネオステッカー#1700、日華化学製、
Tg20℃、32%水分散液) 89.5部
膨潤性合成マイカ(商品名:ME−100、ナトリウムフッ素4珪素雲母、
粒子平均長径6μm、アスペクト比5500、
コープケミカル製、5%水分散液) 0.5部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、
日華化学製、固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Eを調製した。調製した受容層用塗工液Eの保水度は480g/mであった。
(受容層の形成)
上記組成の受容層用塗工液Eを、上記シート状支持体Dに、固形分塗工量が5g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成し、受容シートを得た。
比較例1
受容層用塗工液Aの代りに下記組成の受容層用塗工液Fを使用した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
受容層用塗工液F
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:ビニブラン603、日信化学製、
Tg64℃、50%水分散液) 90部
ポリイソシアネート(商品名:NKアシストIS−70S、日華化学製、
固形分100%) 10部
更に、固形分濃度が20%となるように調製水を加え、受容層用塗工液Fを調製した。調製した受容層用塗工液Fの保水度は4200g/mであった。
評価
上記各実施例および比較例で得られた受容シートについて、下記試験を行った。得られた結果を表1に示す。
「印画濃度」
市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:DPP−SV55、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクシートを順次受容シートに接触させ、サーマルヘッドでコントロールされた加熱を施すことにより、黒ベタ画像を作成した。得られた黒ベタ画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定し、印画濃度を評価した。
◎:印画濃度が1.9以上であり、実用には全く問題ない。
○:印画濃度が1.8以上1.9未満であり、実用可能である。
×:印画濃度が1.8未満であり、実用には適さない。
「画像均一性」
市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:DPP−SV55、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクシートを順次受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施す事により、黒の階調画像を作成した。得られた階調画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定し、印画濃度0.3に相当する部分を選び出した。選んだ記録画像の画像均一性を、画像の濃淡ムラや白ヌケの有無により目視評価した。
画像の濃淡ムラや白ヌケが殆ど無く、画像均一性の優れているものから順に、◎、○、△、×とした。×レベルの場合には、画像の濃淡ムラや画像白ヌケの欠陥が著しく、実用に適さない。
Figure 2009006573
本発明の受容シートは、印画濃度が高く、画像均一性に優れた、昇華熱転写方式を初めとする各種の熱転写方式のフルカラープリンターに有用なものであって、産業界に寄与するところは大である。

Claims (5)

  1. シート状支持体上の少なくとも一面に、画像受容層を設けた熱転写受容シートにおいて、
    前記画像受容層が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ保水剤として膨潤性無機層状化合物を含有する水性塗工液を用いて形成されたことを特徴とする熱転写受容シート。
  2. 前記膨潤性無機層状化合物の、アスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が5〜6000であり、かつ粒子平均長径が0.1〜20μmである請求項1に記載の熱転写受容シート。
  3. 前記膨潤性無機層状化合物が、膨潤性合成マイカである請求項1または2に記載の熱転写受容シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、水溶性または水分散性の、ポリエステル樹脂エマルジョンおよび/または塩化ビニル共重合体樹脂エマルジョンである請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受容シート。
  5. 前記水性塗工液の保水度が、1000g/m以下である請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写受容シート。
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