JP2009006477A - 光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法 - Google Patents

光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸工程での破断頻度の少ない、製造安定性に優れた偏光膜等の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法を提供すること。
【解決手段】材質がハイス鋼、合金鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、刃先角度が60〜90°、逃げ角が1°00′〜5°00′、刃先端厚みが0.05〜1.2mmである上刃と、材質が合金鋼、ハイス鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、逃げ角が0°00′〜8°00′である下刃よりなるシェア刃を用いて、所定の幅になるように、フィルム流れ方向に向かってフィルムの両端をスリットする光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィルムの一軸延伸時での破断頻度が少なく、高延伸化が容易で、かつ延伸速度が良好という、加工安定性に優れた光学用、特に偏光膜用のポリビニルアルコール系フィルムを得るためのスリット方法に関するものである。
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解し、混練、脱泡して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜して、金属加熱ロール等を使用して乾燥することにより製造されている。このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは形状安定性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに光学用フィルム、特に偏光膜が挙げられる。
かかる偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを所定の幅になるように、フィルムの流れ方向に向かって両端部をスリットした後、一軸延伸し、染色したフィルムであり、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品位で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
このような中、ポリビニルアルコール系フィルムを原反とした偏光膜を製造する場合、優れた光学特性を有するためには、例えば所定の幅にスリットした後の延伸工程で、4〜6倍程度のかなり高度の一軸延伸が施される。
しかしながら、このような高延伸工程においては、ポリビニルアルコール系フィルムの破断が起きやすく、かかる破断を軽減するためには、延伸速度を低速にする必要があり、その結果生産性の低下や時には偏光物性の低下を引き起こすといった製造面、物性面の安定性に問題が起こりがちである。
そこで、本発明ではこのような背景下において、延伸工程時に延伸速度を大きくしても破断頻度が少ない、製造安定性に優れた光学用のポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法、特に偏光膜用のポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、材質がハイス鋼、合金鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、刃先角度が60〜90°、逃げ角が1°00′〜5°00′、刃先端厚みが0.05〜1.2mmである上刃と、材質が合金鋼、ハイス鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、逃げ角が0°00′〜8°00′である下刃よりなるシェア刃を用いて、所定の幅になるように、フィルム流れ方向に向かってフィルムの両端をスリットする光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
更に、本発明では、シェア刃の設定条件として、上刃と下刃の噛み合い量が0.05〜3mm、側圧が100〜3000gfであることが好ましい。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法は、特定のシェア刃を用いて、所定の幅となるように、フィルムの流れ方法に向かってフィルムの両端をスリットするため、得られたポリビニルアルコール系フィルムは、延伸工程時での破断頻度が少なく、高延伸が容易で、延伸速度も良好な、偏光膜等の製造安定性に優れた効果を示し、更に光学特性にも優れており、特に偏光膜用として非常に有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明のスリット方法に用いるポリビニルアルコール系フィルムについて、ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。
又、ポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、ポリビニルアルコールにシリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と酢酸ビニルを共重合して得られる共重合体をケン化させる、等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂における粘度平均重合度は特に限定されないが、中でも1000〜5000が好ましく、特には1200〜5000が好ましく、更には1400〜4500が好ましい。かかる粘度平均重合度が1000未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず、5000を越えると延伸が困難となり工業的な生産が難しくなり好ましくない。
尚、粘度平均重合度については、JIS K 6726に準じて測定を行った。
更に、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず好ましくない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有することもできる。該可塑剤が30重量%を越えるとフィルム強度が劣り好ましくない。
又、更に好ましくは、フィルムの剥離性を向上させるために、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の界面活性剤から選ばれる剥離剤がポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有される。該剥離剤が5重量%を越えるとフィルム表面外観が不良となり好ましくない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、偏光膜用のポリビニルアルコール系原反フィルムを製造するわけであるが、まず、該ポリビニルアルコール系樹脂を水又は有機溶媒に溶解し原液を調製した後、かかる原液を流延製膜して原反フィルムを製造する。
原液調製に際して使用される溶媒としては、例えば水はもちろん、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類及びこれらの混合物が用いられる。
上記有機溶媒中には、少量、例えば5〜30重量%の水を含有させても差し支えない。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は5〜50重量%が実用的である。該溶媒を用いて得られた原液は、キャスト法、押出法等任意の方法で製膜される。製膜方法としては、乾式或いは湿式製膜法にて、即ち、該溶液を口金スリットから一旦空気中、又は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気中に吐出し、次いで凝固浴中に導いて未延伸フィルムを形成せしめる。又は、製膜溶液を口金スリットから一旦ローラー、或いはベルトコンベア等の上に吐出し、製膜を行い、乾燥して未延伸フィルムを形成せしめる。必要に応じて、乾燥後、熱処理や調湿が行われる。
かくして光学用、特に偏光膜用のポリビニルアルコール系フィルムが得られ、次に該ポリビニルアルコール系フィルムは、所定の幅になるように、フィルムの流れ方向に向かってフィルムの両端がスリットされる。
スリットは、市場の要求に応じて所定の幅にスリットされるが、かかるスリットに際しては、上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムをロール状に巻き取る前にスリットを行うこともできるし、また、一旦ロール状に巻き取った後に再度巻き出してスリットを行うこともできる。
本発明においては、かかるスリットにおいて、そのスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下とすることが好ましい。該表面平均粗さ(Ra)が5μmを越えると後述の延伸工程においてフィルムの破断が発生しやすく、破断頻度が高くなり製造安定性に劣り、又、延伸倍率を高くすることもできず、光学特性に劣ることにもなる。
尚、表面平均粗さ(Ra)とはJIS B 0601で定義されるものである。
かかるスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、該ポリビニルアルコール系フィルムの融解熱量(△H)を30〜80J/g、更には40〜70J/g、特には50〜70J/gとすることが好ましく、かかる融解熱量(△H)が30J/g未満ではスリット断面に歪み等が発生し延伸工程での破断の原因となり、80J/gを越えるとスリット断面にクラック等が発生し延伸工程での破断の原因となり、いずれも連続運転に支障を来し好ましくない。
尚、融解熱量(△H)については、パーキンエルマー社製DSC7を用いて、測定温度範囲−30〜260℃で、昇温速度10℃/minの条件で測定したものを、ポリビニルアルコール系フィルムの融解熱量とした。
その他、後述の如く、スリット時の刃の形状や側圧、刃の噛み合い量等の要因で表面平均粗さ(Ra)を調整することも好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムの融解熱量(△H)は、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を調整したり、上記可塑剤の添加量を調整したり、ポリビニルアルコール系フィルムの含水率を調整したり、フィルムの乾燥条件を適宜調整したりすることにより、上記範囲にコントロールすることができる。
ポリビニルアルコール系フィルムの含水率としては、0.2〜8重量%が好ましく、特に好ましくは1〜6重量%である。該含水率が0.2重量%未満ではスリット断面にクラック等が入りやすくなり、8重量%を越えるとスリット時の張力制御が不安定となったり、又可塑剤のブリード等によりフィルムがブロッキングしたりして好ましくない。
本発明においては、スリット方法としては、シェア刃を用いてスリットすることが基材変形が少ない点で有効である。
かかるシェア刃は、一対のロールの両端部にスリット用の刃を取り付け、上刃と下刃との噛み合わせにより、フィルムをスリット出来るように設定されたもので、上刃としては、材質がハイス鋼、合金鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、刃先角度が60〜90°、逃げ角が1°00′〜5°00′、好ましくは2°00′〜4°00′、刃先端厚みが0.05〜1.2mm、好ましくは0.1〜0.8mmのものが挙げられ、下刃としては、材質が合金鋼、ハイス鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、逃げ角が0°00′〜8°00′、好ましくは0°00′〜5°00′のものが用いられる(図1〜3参照)。
又、シェア刃の設定条件としては、上刃と下刃の噛み合い量は0.05〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜3mm、特に好ましくは0.1〜1.5mmであり、側圧は100〜3000gfが好ましく、より好ましくは500〜2000gfである(図4参照)。
ここで、側圧とは、上刃の下刃に対する側方の押し付け力のことを意味するものである。
更に、基材抱角としては、90〜180°とすることが好ましい。尚、基材抱角とは、スリット対象フィルムが下刃と接触開示する点と下刃から剥離する点の2点と下刃のロール中心点とを結んだときになす角のことである(図5参照)。
又、スリット速度としては特に制限されないが、50〜200m/min、特には80〜150m/minとすることが好ましい。
かくして本発明のスリット方法により、上記ポリビニルアルコール系フィルムは、そのスリット断面の表面平均粗さ(Ra)が5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下となるようにスリットされ、光学用、特に偏光膜用のポリビニルアルコール系フィルムとして用いられる。
以下、偏光膜の製造方法について説明する。
偏光膜の製造方法としては、かかるポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。
偏光膜に用いられるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、更には40〜90μmで、30μm以下では延伸が難しく、100μm以上では膜厚精度が低下して好ましくない。
かかるポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は次に延伸及び染色、ホウ素化合物処理が施される。延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階段のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
本発明では、上記の如く、ポリビニルアルコール系フィルムのスリット断面の表面平均粗さ(Ra)が5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1.5μm以下となるように、ポリビニルアルコール系フィルムをスリットするため、得られるポリビニルアルコール系フィルムは、かかる延伸工程においてもフィルムの破断頻度が非常に少なく、製造安定性に優れ、高延伸化が容易となるのである。
フィルムへの染色はフィルムにヨウ素或いは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。
通常は、ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの濃度は10〜50g/l、ヨウ化カリ/ヨウ素の重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
染色処理されたフィルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。
ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリを共存させるのが実用上望ましい。
処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は50〜70℃程度、処理時間は5〜20分程度が好ましく、又必要に応じて処理中に延伸操作を行っても良い。
このようにして得られた偏光膜は、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フィルム又はシートを保護膜として積層接着して用いることもできる。
かかる保護膜としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルム又はシートが挙げられる。
又、かかる偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その片面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
かかる偏光膜(又はその少なくとも片面に保護膜あるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
又、更に偏光板(上記感圧性接着剤が設けられたもの)の片面(上記感圧性接着剤が設けられていない面)に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層等が挙げられ、更に、各種2種以上の組み合わせをすることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、これらに限定されることはない。
かかる偏光膜は、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に用いられる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
粘度平均重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−1)を用いて、45%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を調整した後、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行い含水率4%のポリビニルアルコール系フィルム(F−1)を得た。
尚、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−1)の融解熱量(△H)は57J/gであった。
次に、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−1)を下記条件下において、1mの幅にスリットした。
[スリット条件]
シェア刃:東洋刃物社製
上刃:材質 ハイス鋼
寸法 外径108mm 内径75mm 厚み0.7mm
刃先角度 60°
逃げ角 3°30′
刃先端厚み 0.7mm
下刃:材質 合金鋼
寸法 外径86mm 内径60mm 厚み10mm
逃げ角 5°
上刃と下刃の噛み合い量:1.5mm
側圧:1500gf
基材抱角:140°
スリット速度:120m/min
スリット後のスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を、キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡 VK−8500を用いて測定したところ、0.9μmであった。
かかるスリット後のポリビニルアルコール系フィルム(F−1)を1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素0.17g/l)で1.3倍、硼酸槽(50℃、ヨウ素12ppm、硼酸47g/l)で1.7倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度7.5m/minでトータル6倍の一軸延伸を行い、偏光膜を得た。
かかる偏光膜製造時の延伸において、破断頻度を下記の如く評価した。
(破断頻度)
8時間連続運転を行い、フィルムの破断回数をカウントし、下記の基準で評価した。
◎・・・0回
○・・・1〜2回
△・・・3〜4回
×・・・5回以上
又、得られた偏光膜について、測定装置として日本電色工業社製のΣ90を用いて、偏光物性(単体透過率及び偏光度)を測定した。結果は表1に示した。
実施例2
粘度平均重合度2600、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−2)を用いて、35%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を調整した後、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行い含水率3.5%のポリビニルアルコール系フィルム(F−2)を得た。
尚、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−2)の融解熱量(△H)は63J/gであった。
次に、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−2)を下記条件下において、1mの幅にスリットした。
[スリット条件]
シェア刃:東洋刃物社製
上刃:材質 ハイス鋼
寸法 外径108mm 内径75mm 厚み0.7mm
刃先角度 90°
逃げ角 3°30′
刃先端厚み 0.2mm
下刃:材質 超硬合金鋼
寸法 外径86mm 内径60mm 厚み10mm
逃げ角 0°
上刃と下刃の噛み合い量:1.5mm
側圧:1500gf
基材抱角:140°
スリット速度:100m/min
スリット後のスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を、キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡 VK−8500を用いて測定したところ、1.2μmであった。
かかるスリット後のポリビニルアルコール系フィルム(F−2)について、実施例1と同様に6倍延伸を行い偏光膜を得、破断頻度及び偏光物性を評価した。結果は表1に示した。
実施例3
粘度平均重合度4000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−3)を用いて、25%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を調整した後、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行い含水率3.7%のポリビニルアルコール系フィルム(F−3)を得た。
尚、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−3)の融解熱量(△H)は60J/gであった。
次に、得られたポリビニルアルコール系フィルム(F−3)を下記条件下において、1mの幅にスリットした。
[スリット条件]
シェア刃:東洋刃物社製
上刃:材質 ハイス鋼
寸法 外径108mm 内径75mm 厚み0.7mm
刃先角度 90°
逃げ角 3°30′
刃先端厚み 0.2mm
下刃:材質 超硬合金鋼
寸法 外径86mm 内径60mm 厚み10mm
逃げ角 0°
上刃と下刃の噛み合い量:1.5mm
側圧:1500gf
基材抱角:140°
スリット速度:80m/min
スリット後のスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を、キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500」を用いて測定したところ、1.3μmであった。
かかるスリット後のポリビニルアルコール系フィルム(F−3)について、実施例1と同様に6倍延伸を行い偏光膜を得、破断頻度及び偏光物性を評価した。結果は表1に示した。
Figure 2009006477
参考例1
実施例1に準じて、粘度平均重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、含水率0.1%のポリビニルアルコール系フィルム(f−1)を得た。
尚、得られたポリビニルアルコール系フィルム(f−1)の融解熱量(△H)は71J/gであった。
次に、得られたポリビニルアルコール系フィルム(f−1)を下記条件下において、1mの幅にスリットした。
[スリット条件]
シェア刃:東洋刃物社製
上刃:材質 ハイス鋼
寸法 外径108mm 内径75mm 厚み0.7mm
刃先角度 60°
逃げ角 3°30′
刃先端厚み 0.7mm
下刃:材質 合金鋼
寸法 外径86mm 内径60mm 厚み10mm
逃げ角 5°
上刃と下刃の噛み合い量:1.5mm
側圧:4000gf
基材抱角:140°
スリット速度:120m/min
スリット後のスリット断面の表面平均粗さ(Ra)を、キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡 VK−8500を用いて測定したところ、6.1μmであった。
かかるスリット後のポリビニルアルコール系フィルム(f−1)について、実施例1と同様に6倍延伸を行い、破断頻度を評価した。
得られたポリビニルアルコール系フィルム(f−1)では、破断頻度が5回以上と高く、偏光膜の製造安定性に劣るものであった。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法は、特定のシェア刃を用いて、所定の幅となるように、フィルムの流れ方法に向かってフィルムの両端をスリットするため、得られたポリビニルアルコール系フィルムは、延伸工程時での破断頻度が少なく、高延伸が容易で、延伸速度も良好な、偏光膜等の製造安定性に優れた効果を示し、更に光学特性にも優れており、特に偏光膜用として非常に有用である。
本発明で用いるシェア刃の上刃の一例を示した概略図であり、フィルムの流れ方向に対しての上刃の側面図(1)及び正面図(2)である。尚、正面図(2)は上半分の形状を図示したもので、上半分の形状と下半分の形状は対象である。 図1で示されるフィルムの流れ方向に対しての上刃の正面図(2)の斜線部分を拡大した拡大図である。 本発明で用いるシェア刃の下刃の一例を示した概略図であり、フィルムの流れ方向に対しての下刃の側面図(1)及び正面図(2)である。尚、正面図(2)は上半分の形状を図示したもので、上半分の形状と下半分の形状は対象である。 シェア刃の上刃と下刃が噛み合った状態の概略図であり、フィルムの流れ方向に対しての正面図である。 シェア刃の上刃と下刃が噛み合った状態の概略図であり、フィルムの流れ方向に対しての側面図である。
符号の説明
a・・・上刃の刃先角度
b・・・上刃の逃げ角
c・・・下刃の逃げ角
D・・・上刃、下刃の外径
d・・・上刃、下刃の内径
t・・・上刃、下刃の厚み
s・・・下刃の最内側から刃先までの間隔
e・・・上刃と下刃の噛み合い量
f・・・基材抱角
g・・・フィルム
h・・・上刃の刃先端厚み

Claims (4)

  1. 材質がハイス鋼、合金鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、刃先角度が60〜90°、逃げ角が1°00′〜5°00′、刃先端厚みが0.05〜1.2mmである上刃と、材質が合金鋼、ハイス鋼、ステンレス鋼、超硬合金鋼から選ばれ、逃げ角が0°00′〜8°00′である下刃よりなるシェア刃を用いて、所定の幅になるように、フィルム流れ方向に向かってフィルムの両端をスリットすることを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法。
  2. シェア刃の設定条件として、上刃と下刃の噛み合い量が0.05〜3mm、側圧が100〜3000gfであることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法。
  3. 粘度平均重合度1000〜5000、ケン化度80モル%以上であるポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなるポリビニルアルコール系フィルムをスリットすることを特徴とする請求項1または2記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法。
  4. 含水率が0.2〜8重量%であるポリビニルアルコール系フィルムをスリットすることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムのスリット方法。
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JP2010253952A (ja) * 2010-05-14 2010-11-11 Kuraray Co Ltd 延伸加工用ビニルアルコール系重合体フィルムの切断方法

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