JP2009006343A - 溶融金属用電磁ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融金属12に浸漬したダクト1の周囲に溶融金属12の酸化物等の浮遊物が生成するのを防止し、これにより正常な動作を確保する。
【解決手段】溶融金属用電磁ポンプは、溶融金属12を通す筒状の一部のダクト1、1’の中に移動磁界を発生させる誘導子14を設け、前記一部のダクト1、1’の中に前記誘導子14で発生した移動磁界の磁路を形成する磁性体からなるコア2を配置したものである。この溶融金属用電磁ポンプにおいて、誘導子14を有するポンプ側ダクト1が溶融金属12に浸漬された部分の周囲に、同溶融金属12の液面を覆う耐熱性を有するカバー材8を設けている。カバー材8としては、アルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させたものを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融アルミニウムや溶融亜鉛等の溶融金属を搬送するために使用される溶融金属用誘導電磁ポンプに関し、特に溶融金属を通すダクトの周りの溶融金属の液面に金属酸化物が形成して浮遊するのを防止するカバー材を設けた溶融金属用電磁ポンプに関する。
例えば鋳造等の分野では溶融アルミニウムなどを搬送するために、電磁誘導作用により溶融金属に推力を与えて搬送する溶融金属用電磁ポンプが利用されている。このような溶融金属用電磁ポンプは、磁性体製のヨークにコイルを巻いた誘導子により筒状のダクト内部に移動磁界を発生させて溶融金属に推力を与え、供給するる形式の誘導形電磁ポンプが主流である。
このような誘導形電磁ポンプは、例えば特開2006−341281号公報に記載されている。溶融金属が流れる管状のダクトの外周に移動磁界を発生するため、ヨークにコイルを巻いた誘導子を配置し、管状のダクトの内部に誘導子により発生した磁界の磁路となる磁性体のコアを配置している。コアは耐熱性及び耐蝕性を有する筒状の保護管により覆われている。従って、溶融金属の流路は管状のダクトと保護管との間に形成される環状部分となり、これにより、この種の電磁ポンプは環状流路形電磁ポンプと呼ばれている。
図2は、前述した溶融金属用電磁ポンプの従来例を示すもので、溶融アルミニウムや溶融亜鉛を搬送する一般的なものである。
溶融金属12の液面にポンプ側ダクト1の下端が差し込まれている。このポンプ側ダクト1には、給湯側ダクト1’がフランジ継手等の継手5、5’を介して接続されている。この先の給湯側ダクト1’は、図示してないバネ等により手前のポンプ側ダクト1に押しつけられ、継手5、5’の間に挿入された耐熱性のガスケットにより継手5、5’の部分のシール性が確保されている。これらのダクト1、1’は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、保温のため外側にヒータ9が巻かれ、溶融金属の融点以上の温度に加熱されるようになっている。
手前のポンプ側ダクト1の周囲には、磁性体製のヨーク15にコイル16を巻回した誘導子14が配置されている。またこのポンプ側ダクト1の中には、その中心軸が一致するように磁性体製の円柱体からなるコア2が配置されている。このコア2は、両端が閉じられた円筒形の保護管3の中に収納されており、ポンプ側ダクト1の中の溶融金属12と直接接触しないようになっている。保護管3は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、その中のコア2の周囲にクッション材としてアルミナ、マグネシア等のセラミック繊維或いはセラミック粉末等の充填材8が充填されている。
保護管3の給湯側ダクト1’に近い一端部の周囲にフランジ6が延設され、このフランジ6の外周に近い部分が前記ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’とを接続する継手5、5’の間に挟持されている。これにより、コア2がポンプ側ダクト1の中心に位置するよう保持されている。ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’は、その外周に設けた保温用のマイクロヒータ等からなるヒータ9により加熱され、溶融金属12の凝固を防ぐ。フランジ6には、溶融金属12の通路となる複数の円弧状の通過孔7が設けられている。
なお、このような形式の溶融金属用電磁ポンプでは、溶融金属12の液面が誘導子14の中には達していない。そのため、運転時に溶融金属12の液面が誘導子14の中には達するように、減圧手段等の補助的な手段が必要である。
このような溶融金属用電磁ポンプにおいて、溶融金属12の液面では、溶融金属12と空気中の酸素や水蒸気とが反応し、溶融金属12の酸化物が生成する。例えば、溶融金属12がアルミニウムである場合、高温の溶融アルミニウムと空気中の酸素が反応し、酸化アルミニウムが生成する。この酸化アルミニウムは溶融金属12より比重が小さいため、溶融金属12の液面に浮遊して酸化アルミニウムの層を形成し、溶融金属用電磁ポンプによる溶融金属12の給湯の障害となる。
図3は、浸漬形の環状溶融金属用誘導電磁ポンプの例である。このタイプの環状溶融金属用誘導電磁ポンプは誘導子14をセラミック等の耐熱性及び耐蝕性を有する材料からなる保護ケース17の中に収納し、ポンプの部分のほぼ全体を溶融金属12の中に浸漬している。保護ケース17の下端中央に溶融金属を導入する孔があり、この部分にポンプ側ダクト1の下端が接合されている。このダクト1の下端の孔からダクト1内に溶融金属12を汲み上げる形式である。保護管3はフランジ21によりポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’との接続部から誘導子14の高さまで吊り下げられている。その接続部は縦方向の蓋22と横方向の蓋22’により閉じられている。コア2は、縦方向の蓋22から棒23により誘導子14の高さまで吊り下げられている。その他、電磁ポンプそのものの構造及びダクト1、1’の接続は基本的に図2に示したものと同様であり、同じ部分は同じ符号で示している。その詳細は重複するので説明を省略する。
溶融金属12の液面に酸化膜が発生したときの障害を具体的に挙げると、溶融金属は一般に合金が多い。例えば、アルミニウムダイキャスト用合金としては、ADC材、鋳物用としてはAC材としてJISで規格化され、何れも強度を上げるため、Si、Mg、Mn、Cu等が添加されている。純粋な溶融アルミニウムの液面に薄く酸化膜が生じた場合、それはAlの緻密な膜で殆ど酸化膜が厚く成長することはない。しかし、前述の合金添加物が入るとAl酸化物の緻密さが欠け、時間と共に酸化膜が厚くなってしまう。溶融アルミニウムの液面がこのような厚い酸化膜で覆われると、初期の溶融金属12を汲み上げるとき、汲み上げ量に見合った溶融金属の液面上昇がもたらされず、給湯精度にばらつきが生じる。このため穴あき柄杓等によって手作業で表面酸化物をその都度除去しなければならない。この酸化物の除去時のカスが供給する溶融金属12に混じって、鋳込み製品を不良する。カスの混入はアルミインゴット投入時や溶融アルミニウムを追加した時にも同様の事が起きる。
特開2006−341281号公報 特開2007−195418号公報
本発明は、前述した従来の溶融金属用電磁ポンプにおける課題に鑑み、溶融金属に浸漬したダクトの周囲に溶融金属の酸化物等の浮遊物が生成するのを防止し、これにより正常な動作を確保することが出来る溶融金属用電磁ポンプを提供することを目的とする。
本発明では、前記の目的を達成するため、溶融金属12に浸漬されたポンプ側ダクト1の下端の周囲に、溶融金属12の液面を耐熱性のカバー材8で覆うことにより、その部分の溶融金属12の液面が空気と接触するのを防止し、その部分が酸化されるのを防止するようにしたものである。
すなわち、本発明による溶融金属用電磁ポンプは、溶融金属12を通す筒状の一部のダクト1、1’の中に移動磁界を発生させる誘導子14を設け、前記一部のダクト1、1’の中に前記誘導子14で発生した移動磁界の磁路を形成する磁性体からなるコア2を配置したものである。この溶融金属用電磁ポンプにおいて、誘導子14を有するポンプ側ダクト1が溶融金属12に浸漬された部分の周囲に、同溶融金属12の液面を覆う耐熱性を有するカバー材8を設けている。カバー材8としては、アルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させたものを使用する。
このような溶融金属用電磁ポンプでは、溶融金属12に浸漬されたポンプ側ダクト1の周囲に、溶融金属12の液面を耐熱性のカバー材8で覆ったので、その部分の溶融金属12の液面が空気と直接接触せず、その部分の酸化が防止される。特に、アルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させたものは耐熱性、耐食性があり、比重が溶融アルミニウム等より小さく、溶融金属12の液面に浮遊し、空気も通し難いので、カバー材8として最適である。
以上説明した通り、本発明による溶融金属用電磁ポンプでは、溶融金属12に浸漬されたポンプ側ダクト1の周囲の溶融金属12の液面が酸化されないので、ポンプ側ダクト1の周囲に酸化物が生成し、酸化アルミニウムの層が形成されない。これにより、ポンプ側ダクト1を通して溶融金属12を汲み上げる時の障害が起こらず、確実に溶融金属12のみを汲み上げて目的の箇所に供給することが可能となる。さらに、カバー材8を浮かせることにより、溶融金属12が空気中の水分と反応するのが防止され、溶融金属12に水素ガス混入することも防止でき、脱ガス処理も少なくなる。
本発明では、溶融金属12に浸漬されたポンプ側ダクト1の下端の周囲の溶融金属12の液面を耐熱性のカバー材8で覆うことにより、その部分の溶融金属12の液面を空気と遮断することでその目的を達成するようにした。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1は、本発明による外付形の環状溶融金属用誘導電磁ポンプの一実施例である。この溶融金属用誘導電磁ポンプの構成は基本的に図2により前述した従来の電磁ポンプと同じであり、同じ部分は同じ符号を付してある。
溶融金属12の液面にポンプ側ダクト1の下端が差し込まれている。ポンプ側ダクト1の周囲には、磁性体製のヨーク15にコイル16を巻回した誘導子14が配置されている。またこのポンプ側ダクト1の中には、その中心軸が一致するように磁性体製の円柱体からなるコア2が配置されている。このコア2は、両端が閉じられた円筒形の保護管3の中に収納されており、ポンプ側ダクト1の中の溶融金属12と直接接触しないようになっている。保護管3は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、その中のコア2の周囲にクッション材としてアルミナ、マグネシア等のセラミック繊維或いはセラミック粉末等の充填材8が充填されている。
このポンプ側ダクト1には、給湯側ダクト1’がフランジ継手等の継手5、5’を介して接続されている。この先の給湯側ダクト1’は、図示してないバネ等により手前のポンプ側ダクト1に押しつけられ、継手5、5’の間に挿入された耐熱性のガスケットにより継手5、5’の部分のシール性が確保されている。これらのダクト1、1’は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、保温のため外側にヒータ9が巻かれ、溶融金属12の融点以上の温度に加熱されるようになっている。
前記保護管3の給湯側ダクト1’に近い一端部の周囲にフランジ6が延設され、このフランジ6の外周に近い部分が前記ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’とを接続する継手5、5’の間に挟持されている。これにより、コア2がポンプ側ダクト1の中心に位置するよう保持されている。ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’は、その外周に設けた保温用のマイクロヒータ等からなるヒータ9により加熱され、溶融金属12の凝固を防ぐ。フランジ6には、溶融金属12の通路となる複数の円弧状の通過孔7が設けられている。
なお、このような形式の溶融金属用電磁ポンプでは、溶融金属12の液面が誘導子14の中には達していない。そのため、運転時に溶融金属12の液面が誘導子14の中には達するように、減圧手段等の補助的な手段が必要である。また、図1のポンプ側ダクト1は、垂直に立った状態でその下端が溶融金属12に浸漬されているが、このポンプ側ダクト1を斜めに傾けた状態でその下端を溶融金属12に浸漬することもある。
このような溶融金属用電磁ポンプにおいて、溶融金属12の液面には、シート状或いはマット状のカバー材8を設け、溶融金属12の液面を覆っている。例えば溶融金属12が溶融アルミニウムである場合、その液面の温度はアルミニウムの融点660.2℃より高い700℃近くに達する。さらに、溶融アルミニウムには強い腐食性がある。従って、カバー材8はこの高温と腐食性に耐えることが必要である。しかも、溶融金属12の液面に浮いて空気の通過を遮断することが必要であるため、比重が溶融金属12より小さいく、空気の遮断性を有することも必要となる。
このような要請に適うカバー材8としては、シート或いはマット状のアルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させた材料を挙げることが出来る。この材料は耐熱性、耐食性があり、溶融アルミニウム等より比重が小さく、空気も通し難いので、カバー材8として最適である。
窒化硼素は、溶融アルミニウム等の溶融金属に対する耐性が高く、しかも溶融金属12に濡れず、弾くという性質がある。このような窒化硼素粉末の性質故に、この窒化硼素粒子をアルミナ−シリカ系繊維に浸透させることにより、パッキン材の耐溶融金属性を向上することができる。窒化硼素粒子を、前記パッキンの内部まで浸透させ、繊維に付着させることにより、溶融金属12に対する耐浸透性、耐食性を向上させることができる。
ところが窒化硼素粉末は、潤滑材として利用されているように、粒子同士の結合性が殆どなく、サラサラとした粉末であり、しかもツルツルとしている。このため、窒化硼素粉末を、アルミナ−シリカ系繊維からなるパッキン材に浸透させても、窒化硼素粉末の繊維への付着性が殆どなく、定着性が悪い。また、この窒化硼素粉末を、水に分散したスラリとしてアルミナ−シリカ系繊維に浸透させても、水が乾燥すると、窒化硼素粒子の凝固性が殆ど無くなってしまうため、定着性の改善にはならない。
そこで、水ガラスとメチルアルコールを使用することで、窒化硼素粉末のアルミナ−シリカ系繊維への浸透性及び定着性の改善を図ることが出来る。分散媒中に水ガラスを含む窒化硼素のスラリーを、アルミナ−シリカ系繊維に染みこませることにより、アルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させる。
具体的には水ガラスを水に溶解し、水ガラスの希釈溶液に窒化硼素粉末を分散してスラリーを作り、このスラリーにメチルアルコールを添加し、このスラリーをアルミナ−シリカ系繊維に染みこませる。水ガラスの溶液は、原料の水ガラスが水に2〜5重量%溶解する。窒化硼素のスラリーは、窒化硼素粉末が水ガラス溶液に20〜30重量%分散する。また、メチルアルコールは、全体に対して30〜60重量%の割合で添加する。
スラリー中の窒化硼素粒子は、水に分散させた状態に比べ、水ガラスを加えることによって、アルミナ−シリカ系繊維への付着性が向上する。他方、スラリーに水ガラスを入れることによって、スラリーのアルミナ−シリカ系繊維内への浸透性が悪くなる。この浸透性は、スラリーにメチルアルコールを添加することにより改善され、スラリー中を繊維内に容易に浸透させることができる。
このようにして、アルミナ−シリカ系繊維に窒化硼素粒子を付着させたカバー材は柔軟性もあり、しかも溶融アルミニウム等の溶融金属を弾き、内部に浸透させない性質が強くなる。このため、長期にわたってカバー材を使用しても、溶融金属が内部に浸透せず、溶融アルミニウム等によるシリカ成分の還元反応も起こらない。これによって、アルミナ−シリカ系繊維からなるカバー材の長寿命化が可能となる。
次に、このカバー材について、の製造方法と共により具体的に説明する。
このカバー材は、アルミナ−シリカ系(Al23−SiO2 系)のシート状またはマット状の綿状繊維を主材料とする。このようなアルミナ−シリカ系繊維は、例えばニチアス社製の「ファインフレックスバルクファイバ」等として市販されており、通常はその市販のものを使用する。
このアルミナ−シリカ系繊維の組成は、重量比でほぼ1:1の割合のAl23とSiO2 とが大半を占め、その他若干のNa2O、FeO3、MgO、CaO、TiO2 等を含む。繊維径は2〜10μmであり、3μm前後が一般的である。カバー材としては、このアルミナ−シリカ系繊維をフエルト状に成形したものを使用する。
このアルミナ−シリカ繊維に窒化硼素の粒子を付着させるため、窒化硼素のスラリーを作る。アルミナ−シリカ系繊維の繊維径は2〜10μmであり、窒化硼素粒子がアルミナ−シリカ系繊維の表面に付着することが必要であることから、スラリーを作るための窒化硼素粉末としては、粒径が1μm以下、より具体的には、0.1〜1μmのものを使用する。一般に潤滑材として市販されている窒化硼素粉末を使用することが出来るが、それらは粒径0.2〜0.3μmのものが多い。
このような窒化硼素粉末は、水ガラスの水溶液に分散する。水ガラスの水溶液を使用するのは、水だけのスラリーでは、スラリー中の窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ繊維への付着性が悪く、水が蒸発して乾燥すると、窒化硼素粒子の繊維への定着性が極端に悪くなるためである。水ガラスは、工業用として市販されており、その組成は一般にNa2O・nSiO2・mH2O で表され、n=2〜4である。市販されている水ガラスは、n=2.1(1号)、n=2.5(2号)、n=3.1(3号)と品種が定められているが、通常は1号または2号を使用する。市販の水ガラスは、そのままでは粘度が高すぎ、窒化硼素粉末の分散性が悪く、またアルミナ−シリカ系繊維内への浸透も悪いため、加熱しながら水(湯)に溶かして希釈する。このとき、水ガラスが溶液全体に対して2〜5重量%となるように溶解するのが適当である。
水ガラスは、水中に最高55重量%程度まで溶解するが、水ガラスの濃度が高いと、窒化硼素のスラリーのアルミナ−シリカ系繊維への浸透性が極端に悪くなる。また、後述するように、窒化硼素のスラリーのアルミナ−シリカ系繊維への浸透性の改善のため、スラリーにメチルアルコールを加えたとき、水ガラスとメチルアルコールとの反応により、白い凝固物が生成してしまう。水ガラスの濃度を5重量%以下とすると、メチルアルコールを加えたときに白い凝固物が多少生成するが、容易に崩れて分散するため、殆ど問題なくなる。他方、水ガラスの濃度を2重量%より少なくすると、窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ系繊維への付着性の改善効果に乏しく、窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ系繊維への定着性が悪い。このため、水ガラスの濃度を2〜5重量%とするものである。
次に、この水ガラス溶液に前述の窒化硼素粉末を分散する。窒化硼素粉末の分散割合は、スラリー全体に対して窒化硼素粉末が20〜30重量%となる範囲が適当である。スラリー全体に対する窒化硼素の分散割合を20〜30重量%とするのは、分散割合がその範囲を越えると、スラリーのアルミナ−シリカ繊維への浸透がしにくくなり、また、分散割合がその範囲に満たないと、窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ繊維への付着性が悪くなるためである。
さらに、このスラリーにメチルアルコールを添加する。メチルアルコールを添加するのは、スラリーの表面張力と粘度を―時的に低下させることにより、スラリーのアルミナ−シリカ系繊維への濡れ性をよくし、フエルト状のアルミナ−シリカ系繊維にスラリー浸透しやすくするためである。エチルアルコールは、それをスラリーに添加しても、その粘度を十分低くすることが出来ないため、スラリーの希釈添加剤として、メチルアルコールを使用するものである。
スラリーへのメチルアルコールの添加割合は、添加後のスラリー全体に対して50重量%、すなわち水ガラス溶液に窒化硼素を分散したスラリーとメチルアルコールとを1:1とするのが標準である。この割合を中心として、添加後のスラリー全体に対して、メチルアルコールを30〜60重量%の割合で添加することができる。メチルアルコールの添加割合が前記の範囲を越えると、スラリーの粘性が低くなり過ぎ、窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ系繊維への付着性が悪くなる。また、メチルアルコールの添加割合が前記の範囲に満たないと、スラリーの粘性が高すぎて、窒化硼素粒子のアルミナ−シリカ系繊維へのなじみが悪く、スラリーの浸透がしにくい。メチルアルコールは、揮発性があり、時間を経るとスラリーの分散媒の組成が変わってしまうため、スラリーをアルミナ−シリカ系繊維に浸透させる直前に添加する。メチルアルコールの蒸発を抑えることが可能であれば、窒化硼素粉末を分散する前に水ガラス水溶液にメチルアルコールを添加しておいてもよい。
次に、このスラリーをアルミナ−シリカ系繊維に浸透させる。スラリーの浸透を促進させるために、アルミナ−シリカ系繊維を加圧しながらその中の空気を抜くようにすると、1分程度でスラリーがアルミナ−シリカ系繊維になじみ、多くは10分以内でスラリーの浸透が完了する。アルミナ−シリカ系繊維にスラリーを浸透させる量は、アルミナ−シリカ系繊維の表面から内部までスラリーが十分浸透するのを目安とする。カバー材として使用されるスラリーの浸透前のアルミナ−シリカ系繊維の見かけ比重は、0.3g/cm3 前後であるが、このようにして満遍なくスラリーを浸透させ、乾燥させたアルミナ−シリカ系繊維の見かけ比重は、0.4g/cm3 前後となる。
このようにして、アルミナ−シリカ系繊維にスラリーを浸透させた後、乾燥した状態で、アルミナ−シリカ系繊維を顕微鏡で観察すると、繊維の表面に窒化硼素粒子が付着し、繊維が窒化硼素粉末で覆われているのが確認出来る。アルミナ−シリカ系繊維に窒化硼素のスラリーを浸透させカバー材は、水ガラス水溶液である分散媒中の水分が乾燥しないうちに耐熱性構造部材の継ぎ目に充填し、セットする。カバー材が乾燥してしまうと、乾燥過程でカバー材に皺が発生し、またカバー材が曲がりにくくなってしまうためである。また、カバー材の表面に割れや気泡による孔が出来ると、溶融アルミニウムの漏洩の原因となるからである。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。アルミナ−シリカ系繊維としては、ニチアス社製の「ファインフレックス1300バルクファイバ」を使用した。このアルミナ−シリカ系繊維の組成は、Al23が51.8%、SiO2 が47.9%、Na2Oが0.2%、FeO3 が0.1%(何れも重量比)であり、その他微量のMgO、CaO、TiO2 等を含んでいる。繊維径は3μm以下、繊維長は最長250mm、真比重は2.73、嵩密度は、0.06〜0.20g/cm3 、32メッシュ残の粒子含有率(測定法JIS A9504)は、2%以下である。溶融温度は1760℃以上である。このアルミナ−シリカ系繊維をフエルト状(フェルト状にしたものの嵩密度は0.3g/cm3 前後である。)に成形したものを用意した。
一方、1号の水ガラス(Na2O・nSiO2・mH2O においてn=2.1)を使用し、これを加熱しながら水(湯)に溶かして希釈した。このとき水ガラスを溶液全体に対して3重量%となるように溶解した。次に、この水ガラス溶液に、平均粒径0.3μmの窒化硼素粉末を添加し、混合して分散した。窒化硼素粉末は、スラリー全体に対して窒化硼素粉末が23重量%となる量を添加した。
次に、このスラリーにメチルアルコールを添加した。なお試料として、添加後のスラリー全体に対するアルコールを添加量を、30重量%、50重量%及び70重量%としたものを作った。また水ガラス水溶液に窒化硼素粉末を分散したスラリーに、アルコールを添加しない試料も用意した。その後、これらのスラリーを4トンのアルミナ−シリカ系繊維に浸透させた。浸透時には、スラリーの浸透を促進させるために、手でアルミナ−シリカ系繊維を加圧し、その中の空気を抜きながら、アルミナ−シリカ系繊維の表面から内部までスラリーが十分浸透するようにスラリーを繊維中に含浸することを試みた。その結果、アルミナ−シリカ繊維に浸透した窒化硼素粒子の量を表1に示す。
Figure 2009006343
なお、メタノール濃度を70重量%とした場合、窒化硼素粒子がアルミナ−シリカ系繊維に浸透するが、メチルアルコールが先に浸透してしまい、窒化硼素粒子が浸透しにくい。さらに、前記のカバー材のうち、メチルアルコールの添加濃度が70重量%のものを除いて、10分間浸透したものを水分の乾燥前に溶融アルミニウムの液面に浮かせて、溶融アルミニウムの浸食試験を行った。その結果、200時間使用後の溶融アルミニウムのカバー材への表面からの浸食深さを測定した。その結果を表2に示す。なお、溶融アルミニウムの温度は700℃とした。
Figure 2009006343
なお、以上の例では、溶融金属として何れも溶融アルミニウムに適用した例を説明したが、例えば溶融金属として、溶融亜鉛、溶融錫などについても同様に適用することが出来ることは明らかである。
本発明による溶融金属用誘導電磁ポンプの一実施例を示す断面図である。 溶融金属用誘導電磁ポンプの従来例を示す断面図である。 溶融金属用誘導電磁ポンプの他の従来例を示す断面図である。
1 ポンプ側ダクト
1’ 給湯側ダクト
2 コア
8 カバー材
12 溶融金属
14 誘導子

Claims (2)

  1. 溶融金属を通す筒状の一部のダクト(1)、(1’)の中に移動磁界を発生させる誘導子(14)を設け、前記一部のダクト(1)、(1’)の中に前記誘導子(14)で発生した移動磁界の磁路を形成する磁性体からなるコア(2)を配置した溶融金属用電磁ポンプにおいて、誘導子(14)を有するポンプ側ダクト(1)が溶融金属(12)に浸漬された部分の周囲に、同溶融金属(12)の液面を覆う耐熱性を有するカバー材(8)を設けたことを特徴とする溶融金属用電磁ポンプ。
  2. カバー材(8)がアルミナ−シリカ系繊維の表面に水ガラスと共に窒化硼素粒子を付着させたものであることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属用電磁ポンプ。
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