JP2009006298A - 吸着用エアレイド不織布、およびその製造方法 - Google Patents

吸着用エアレイド不織布、およびその製造方法 Download PDF

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保二 安光
Wataru Takenouchi
渉 竹之内
Shigemi Kamisaka
茂実 上阪
Akira Matsumoto
章 松本
Yasuyuki Yamazaki
康行 山崎
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Abstract

【課題】中間層に存在する吸着性粒子の粒径が1mm以上でも多量に繊維層内部に進入させ、内部繊維と吸着性粒子とを効率良く接触させ、吸着性粒子と接触した部分の内部繊維が溶融接着しているので、不織布からの吸着離脱がなく、空気の浄化に使用した場合、湿度の影響がなくロングライフで、しかも水を使用しない乾式不織布製造のため、エネルギーロスの少なく、簡単な工程で製造可能な吸着用エアレイド不織布を供給する。
【解決手段】繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(A)を主体とするエアレイド不織布からなる下層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径50〜100μmの熱接着性複合繊維(B)を主体とするエアレイド不織布の空隙部に平均粒径が30〜5,000μmの吸着性粒子が充填されてなる中間層の少なくとも1層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(C)を主体とするエアレイド不織布からなる上層とが、順次、積層され、さらに熱処理されて一体化されてなる吸着用エアレイド不織布。
【選択図】なし

Description

本発明は、空気および水などに混在している有害ガスまたは有害物質を吸着除去する吸着用エアレイド不織布に関するものである。さらに詳しく述べれば、タバコの中のアンモニア、酢酸、アルデヒドなどの有害成分を除去する空気清浄器や、自動車の排ガス中の有害ガスおよび有害粒子を除去する自動車用キャビンフィルタ、さらには飲料水中のトリハロメタンなどのその他の人体有害要因となる微量有害物質を除去するための除去用フィルタや、冷蔵庫の臭吸着、室内のVOCなど吸着、作業環境の保護マスクなどのエアフィルタに用いられる吸着用エアレイド不織布およびその製造方法に関するものである。
従来、吸着不織布フィルタは、主として活性炭粒子を有する不織布が使用されて来た。例えば、文献1には、熱接着性複合繊維と合成パルプと粉末活性炭とからなる湿式抄紙法による吸着処理用シートが開示されているが、湿式抄紙法によるシートは高密度化しやすく、圧損が高いという欠点が生じるばかりか、製造時に水分の乾燥に余分のエネルギーを必要とするという、コストデメリットも大きい。
また、文献2は、2枚の不織布シートの間に介在された吸着剤粒子、あるいは1枚単独の不織布シート上に布設された吸着剤粒子が、それぞれ該不織布シートに止着されているものであって、かつ止着するためカレンダロールなどで加熱加圧を加えるので、得られたシートの圧損は大きくなるうえ、不織布シートの表面に止着させているので大量の吸着剤粒子を存在させることは極めて困難である。
さらに、文献3は、基本的な構成は文献2と同一だが、特に吸着剤粒子が不織布シートの外部表面側の表層部に没入しているのが特徴であり、その技術手段は加熱加圧であって、必然的に高圧損となるが、用途は特に平行流型エアフィルタを意図したもので、本発明とは分野も異なっている。また、表面に露出した粒子が離脱する可能性も考えられる。
さらに、文献4の実施例2には、ポリオレフィン系の複合繊維とパウダーとをエアレイドで散布し、両側をポリオレフィン系の複合繊維をカードウェブで保持する製造方法が開示されているが、この製造方法では、複数のカード機とエアレイド機が必要で、複雑な工程となる欠点を有している。
さらに、文献5には、短繊維と機能性粒子とを混合して、いわばエアレイド法でウェブ形成し、加熱処理する方法が示されている。この場合、細長い繊維と粒子状物はおのずから比重、形態、空気抵抗などが異なるので空気流中における運動速度が異なり、混合物をエアレイしてもウェブの均一性は期しがたく、例えば活性炭粒子が局所に偏在化する傾向が強い。
文献6には、高融点成分と低融点成分から構成されている1dpf〜15dpfの(太さ推定10.8~41.7μm)ステーブル複合繊維層に吸着性能を有する粒子を付着させた吸着フィルタが開示されている。しかしながら、粒子が大きくなると、繊維での溶融接着が十分に行われないので、粒子脱落の要因にもなり、また粒子の散布は文献6の第8図に示されているようにシャーカー74からの自由落下で粒子の形状によっては繊維質ウェブ24の空間に均一に分散させることは困難である。さらに、同引用文献の第7〜第9図に示されているIR加熱では、目付の大きい繊維状構造物が要求された場合、繊維状構造物全体に熱が行き届かなくなり複合繊維の溶融接着が完全ではなく、粒子の脱落の可能性が出るなどの欠点がある。
そのほか、熱接着パウダーを吸着性粒子と混合して、不織布の中に入れて不織布生産時に吸着性粒子を不織布の繊維に接着させる方法もあるが、この不織布をさらにプリーツ加工時に熱を加えたときに該熱接着パウダーが再溶融して、吸着性粒子の表面を覆ったり、または不織布の開口部を詰めたりして、フィルタ性能(圧損、吸着性能など)を低下させる欠点などがあった。
また、熱接着不織布シートを吸着性粒子層の両側に挟んで、さらにその外側に不織布などでカバーする吸着不織布も市販されているが、吸着性粒子間での接着が少なくなり、不織布シートの層間剥離などの問題もあり、さらに吸着性粒子の充填量も少ないという欠点がある。
特開平08−126840号公報 特開2005−34693号公報 特開2003−334410号公報 特開2002−115162号公報 米国特許第6,703,072号明細書 特許第2818693号公報
本発明は、中間層に存在する吸着性粒子の粒径が1mm以上でも多量に繊維層内部に進入させ、内部繊維と吸着性粒子とを効率良く接触させ、吸着性粒子と接触した部分の内部繊維が溶融接着しているので、不織布からの吸着離脱がなく、空気の浄化に使用した場合、湿度の影響がなくロングライフで、しかも水を使用しない乾式不織布製造のため、エネルギーロスの少なく、簡単な工程で製造可能な吸着用エアレイド不織布を供給することを目的とするものである。
本発明は、繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(A)を主体とするエアレイド不織布からなる下層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径50〜100μmの熱接着性複合繊維(B)を主体とするエアレイド不織布の空隙部に30〜5、000μmの吸着性粒子が充填されてなる中間層の少なくとも1層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(C)を主体とするエアレイド不織布からなる上層とが、順次、積層され、さらに熱処理されて一体化されてなる吸着用エアレイド不織布に関する。
ここで、中間層は、少なくとも1層であり、2〜3層であってもよい。
また、中間層を構成する吸着性粒子の種類としては、活性炭、ゼオライト、活性白土、大谷石、シリカゲル、モレキュラーシーブ、多孔性鉱物、非晶質水酸化鉄が挙げられる。
さらに、上記中間層を構成する吸着性粒子の目付けは、好ましくは50〜2,000g/mである。
さらに、本発明の吸着用エアレイド不織布の繊維目付けは、好ましくは、下層の目付けが20〜100g/m、中間層の目付けが30〜300g/m、上層の目付けが10〜100g/m、全体の目付けが60〜500g/mである。
さらに、中間層における熱接着性複合繊維と吸着性粒子の重量比は、好ましくは10〜30/90〜60重量%である。
次に、本発明は、多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第一の噴出し部から熱接着性複合繊維(A)を噴出させ、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に上層ウェブを形成し、次いで第二の噴出し部から熱接着性複合繊維(B)を噴出させ、中間層ウェブを作製し、この上に、吸着性粒子供給ノズルから吸着性粒子を散布して、該熱接着性複合繊維(B)および吸着性粒子からなる中間層を形成させ、必要に応じて、この操作を必要に応じて複数回繰り返して、少なくとも1層の中間層を形成させたのち、第三の噴出し部から、熱接着性複合繊維(C)を噴出させ、上層ウェブを形成し、その後、熱風処理して繊維間結合を形成して不織布として一体化させることを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の吸着用エアレイド不織布の製造方法に関する。
なお、本発明の単糸繊維の繊径は、SEMなどの観察で測定もできるが、簡易的には下記の計算式で表される。
繊維繊径μm=11.89×(繊維デニール/繊維の比重)1/2
本発明の吸着用エアレイド不織布は、吸着性粒子の含有割合を多くすることができ、かつ不織布からの吸着性粒子の離脱がなく、空気の浄化に使用した場合、湿度の影響がなくロングライフで、しかも水を使用しない乾式不織布製造のため、エネルギーロスが少なく、簡単な工程で製造可能である。
<吸着用エアレイド不織布>
下層
下層は、フィルタ自体としての機能とともに、吸着性粒子を含む中間層からの吸着性粒子の脱離を防止し、またエアレイド生産時の吸引熱風によりネット部に圧縮されるので下層の密度が高くなり、その結果、下層部は硬くなりフィルタの形態保持の作用を果たす。
また、本発明の吸着用エアレイド不織布に用いられる下層は、低圧損であり、これは、シートの厚さ方向に空気を貫通させながらシート化するという製法上の特徴に起因する。結果的に、構成する繊維が面方向のみならず厚さ方向にも配列し、良好な通気性を示す。
下層を構成するエアレイド不織布は、エアレイド法によって形成する。すなわち、多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第一の噴出し部から、上記熱接着性複合繊維(A)を噴出し、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に、エアレイドウェブを形成する。
熱接着性複合繊維:
本発明の熱接着性複合繊維は、下記の繊維を意味し、下層側、中層側、および上層側に使用する熱接着性複合繊維を、それぞれ、熱接着性複合繊維(A)、(B),(C)と言う。
上記エアレイドウェブを構成する熱接着性複合繊維としては、例えば、低融点成分を鞘成分とし、高融点成分を芯成分とする芯鞘型、一方が低融点成分、他方が高融点成分であるサイドバイサイド型などが挙げられる。これらの複合短繊維の両方の成分の組み合わせとしては、PP〔ポリプロピレン〕/PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE、PP/低融点共重合PP、PET/低融点共重合ポリエステルなどが挙げられる。ここで、上記低融点共重合ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを基本骨格として、イソフタル酸、5−金属スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族多価アルコールなどとの変性共重合などが挙げられる。
なお、得られる吸着用エアレイド不織布のエレクトレット化のしやすさからは、熱接着性複合繊維としては、ポリプロピレンとポリエチレン、ポリプロピレンと変性ポリエチレン、またはポリプロピレンと変性ポリプロピレンからなり、サイドバイサイド型、または芯鞘型の複合繊維が好ましい。この場合、変性体は異性体であっても良い。
上記低融点成分である熱接着成分の融点は、通常、80〜180℃、好ましくは90〜160℃である。80℃未満の場合、不織布としての耐熱性が低いので、複合化の加工やプリーツ加工などにおいてトラブルが生じやすく、また自動車や工場などで使用する場合、実用上の温度に耐えられない。一方、180℃を超えると、不織布製造工程における熱処理温度を高くする必要が生じ、生産性が落ち、実用的でないばかりか、後述する熱風処理における接着効果も期待できなくなる。
エアレイド不織布の製法がエアレイド法であるので、熱接着性複合繊維(A)は、繊維長が1〜15mmであり、好ましくは1〜10mmである。繊維長が1mm未満の場合は、強度や剛性アップの効果が十分でなく、一方、15mmを超えると、繊維どうしが絡まり易くなり、工程性や地合いの悪化につながりやすい。
また、熱接着性複合繊維(A)の単糸繊径は、10〜75μm、好ましくは15〜30μmである。10μm未満では、細すぎて、圧損が上昇する。一方、75μmを超えると、構成繊維本数が減るので、熱結合点の数が減少して不織布強度が低下するばかりか、得られるエアレイド不織布の剛性が低下し好ましくない。
すなわち、熱接着性複合繊維(A)の単糸繊径は、使用される吸着性粒子の大きさに応じて決められ、例えば吸着性粒子が30μmの場合、10〜30μmである。一方、吸着性粒子が5,000μmの場合、その粒径の2%程度の太さの100μm以下でエアレイドの紡出性を考えれば75μm程度が良い。
なお、熱接着性複合繊維には、各種の添加物を付与していても良い。例えば、通常の艶消剤、熱安定剤、顔料、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、防カビ剤、芳香剤などの剤を添加、あるいはコーティング、付着されていてもよい。
また、熱接着性複合繊維は、捲縮していても、していなくてもよく、またストランドチョップであってもよい。捲縮している場合、ジグザグ型の二次元捲縮繊維およびスパイラル型やオーム型などの三次元(立体)捲縮繊維の何れも使用できる。
下層の目付けは、好ましくは20〜100g/m、さらに好ましくは35〜100g/mである。20g/m未満では、吸着性粒子が露出する恐れがあり、一方100g/mを超えると、高密度になり中層、上層の繊維の吸引に支障をきたすので好ましくない。
中間層
中間層は、単糸繊径が比較的太い熱接着性複合繊維(B)を主体とするエアレイド不織布の空隙部に吸着性粒子が充填されており、この有害物質を化学吸着または物理吸着させる吸着性粒子を該熱接着性複合繊維の溶融部分が固着させる作用をなす。この中間層は、フィルタ自体としての機能と、吸着性粒子によって、空気中の有害物質や室内のVOC(アルデヒドなどの揮発性有機ガス物質)、農薬、塗装などの有機ガスを吸着したり、さらに鉛、砒素、アンチモンなどの有害金属の吸着作用をなす。
中間層を構成するエアレイド不織布は、エアレイド法によって形成する。すなわち、多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第二の噴出し部から、上記熱接着性複合繊維(B)を噴出し、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に、エアレイドウェブを形成させ、次いで、第二吹き出し部の下流側に設けられた吸着性粒子供給ノズルから吸着性粒子を該ウェブ上に散布して、該ウェブの空隙内に充填させる。このウェブ形成と吸着性粒子の該ウェブ上への充填は少なくとも1回、必要に応じて、2〜3回など、複数回繰り返して行う。なお、複数回行う場合は、得られる吸着用エアレイド不織布において、吸着性粒子の目付けを大幅に増加させる場合である。
中間層は、熱接着性複合繊維(B)と吸着性粒子を同時に散布した場合は、繊維と粒子の比重の差があり、均一に散布できないので、上記のように、別々に散布する必要がある。すなわち、上記のように、繊維層をエアレイド製造機の前のヘッドで紡出した後で次のエアレイドのヘッド(吸着性粒子供給ノズル)で吸着性粒子を散布すれば、粒子は前のヘッドで紡出された繊維の隙間に散布され均一な状態が得られる。
なお、中間層における吸着性粒子は、通常、熱接着性複合繊維(B)の繊維間空隙内に充填されているが、散布量が多い場合には、充填されている以外にさらに該不織布(ウェブ)の上に載置されていてもよい。
熱接着性複合繊維(B):
熱接着性複合繊維(B)の作用効果は、吸着性粒子を3次元的に均一に分散させて、なおかつ吸着性粒子を中間層の熱接着性複合繊維に固着させることにある。従って、熱接着性複合繊維(B)の単糸繊径は、50〜100μm、好ましくは50〜75μmである。50μm未満では、剛性によるクッション性が少なくなり中間層の3次元構造の形成が困難になるうえ、空隙部が狭くなり、吸着性粒子の充填が難しくなる。一方、100μmを超えると、熱接着性複合繊維の溶融部の数が少なくなり、吸着性粒子の接着不足を生じる原因にもなる。
なお、中間層に用いられる熱接着性複合繊維(B)は、単糸繊径が太い以外は、熱接着性複合繊維(A)と同様の種類、繊維長が採用される。
中間層における熱接着複合繊維(B)の目付は、好ましくは30〜300g/m、さらに好ましくは35〜200g/mである。熱接着性複合繊維(B)の目付けは、吸着性粒子の散布量とのバランスで決定されるが、中間層の繊維の目的は吸着性粒子の溶融接着保持と上下の繊維層との溶融接着の効果も持っているので、30g/m未満になれば、層関剥離を生じ易く、一方300g/mを超えると、圧損を上げるので好ましくない。
吸着性粒子:
中間層に用いられる吸着性粒子としては、活性炭、ゼオライト、活性白土、大谷石、シリカゲル、モレキュラーシーブ、多孔性鉱物、非晶質水酸化鉄などが挙げられる。
本発明に使用される吸着層の吸着性粒子の種類は、用途によって異なるが、空気清浄器および自動車キャビンフィルタなどの空気中の有害物質を除去する場合と飲料水などの液体中の有害物を除去する場合、室内のVOC(アルデヒドなどの揮発性有機ガス物質など)、靴の中敷に使用する足の汗から発散するアンモニアなどの臭気、農薬、塗装などの有機ガス作業に使用するマスクなどには、一般的には粒状活性炭が良い。そのほか、大谷石などはエチレンガスなどを吸着するため、冷蔵庫その他の野菜鮮度保持として有用であり、また、シリカゲル、モレキュラシーブなどの湿度吸収粒子も挙げられる。さらに、非晶質水酸化鉄は、鉛、砒素、アンチモンなどの有害金属類の吸着に有効である。粒状活性炭には、さらに有害物質を化学反応で吸着除去するために各種の添着剤を添着させても良い。例えば、アンモンニアなどのアルカリガスの場合、酸性物質を添着させることができる。しかしながら、飲料水では、添着剤が溶出する場合があるので、無添着の粒状活性炭を使用することが必要である。
これらの吸着性粒子は、単独使用、混合使用、または多層で単独・混合使用も可能である。
なお、吸着性粒子中には、キトサンなどの抗菌剤、二酸化チタンなどの光触媒などを併用することもできる。
吸着性粒子の大きさは、小さければ小さい程、比表面積が広くなり吸着速度は速くなるが、吸着量は機能性粒子の重さに関係し、粒径は余り寄与しないし、小さくなればエアレイド不織布からの離脱も大きくなり、またエアレイド不織布製造時の均一散布などに支障を来たす。従って、吸着性粒子の平均粒径は、好ましくは30〜5,000μm、さらに好ましくは100〜3,000μmである。30μmより細かいと、不織布より露出し易く、また散布が均一に行い難い。一方、5,000μmより大きいと、初期の吸着速度が遅くなったり、エアレイドによる均一散布が困難である。
ここで、吸着性粒子の平均粒径は、タイラー社篩を使用しJIS K1474の活性炭試験方法の粒度測定に準じて測定する。例えば、60メッシュ表示粒子は、タイラー社の60メッシュの篩上に95%以上残っている粒子径を60メッシュまたは250μm粒子径、また、30メッシュの篩上に95%以上残っている粒子径を30メッシュまたは500μmの粒子径という。なお、メッシュより粒子径の算出は、次の近似式を採用した。
粒子径μm=(25.4/メッシュ)×590
また、中間層に用いられる吸着性粒子の目付け(中間層が複層の場合を含む)は、要求される吸着性能によって異なるが、好ましくは50〜2,000g/m、さらに好ましくは100〜1,000g/mである。50g/m未満では、有毒ガスなどのガス吸着性能が劣る。一方、例えば500g/mを超える場合は、吸着性粒子供給ノズルの供給を2〜3台設置し、2〜3層の中間層を設ければ良いが、吸着性粒子の目付けが2,000g/mを超える吸着用エアレイド不織布はロール生産が困難になる。
以上のように、中間層は、1層のみならず、吸着性粒子の目付けによっては、2〜3層の複層構造を採用してもよい。
さらに、中間層を構成する熱接着性複合繊維(B)と吸着性粒子の重量割合は、好ましくは10〜30/90〜70重量%、さらに好ましくは10〜25/90〜75重量%である。熱接着性複合繊維(B)の割合が10重量%未満では、吸着性粒子への接着が不良になり、吸着性粒子の漏れを生じやすく、一方、30重量%を超えると、吸着性能が悪くなる。
上層
上層も、下層同様に、フィルタ自体としての機能とともに、吸着性粒子を含む中間層からの吸着性粒子の脱離を防止し、またプレフィルタとしての作用を果たす。
本発明の吸着用エアレイド不織布に用いられる上層は、低圧損であり、これは、シートの厚さ方向に空気を貫通させながらシート化するという製法上の特徴に起因する。結果的に、構成する繊維が面方向のみならず厚さ方向にも配列し、良好な通気性を示す。
上層を構成するエアレイド不織布は、エアレイド法によって形成する。すなわち、多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第三の噴出し部から、中間層の上に、熱接着性複合繊維(C)を噴出し、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に、エアレイドェブを形成する。
ところで、上層(流体流入側)であるプレフィルタ層は、一般的には、大気中の比較的大きな粒子をフィルタの表面層で捕らえて、細かな粒子はフィルタの内部で捕集する方式を採用すればライフが長くなるので、比較的太い繊維が使用される。しかしながら、本発明の吸着用エアレイド不織布は吸着層である中間層に吸着性粒子を保持しているので、フィルタをプリーツなどのアッセンブリー加工時の吸着性粒子のプレフィルタ層側からの漏れを防止するためには、圧損を上げない程度に細い繊維層が必要となる。そのため、上層のプレフィルタ層となる熱接着性複合繊維(C)の種類や単糸繊径、繊維長は、上記熱接着性複合繊維(A)と同様である。
また、上層の目付けは、好ましくは10〜100g/m、さらに好ましくは30〜80g/mである。10g/m未満では、30μm程度の吸着性粒子の漏れの可能性が有り、一方100g/mを超えると、プリーツ加工などでは厚くなり過ぎてプリーツ面積が少なくなる。
なお、以上の下層、中間層および上層には、上記熱可塑性複合繊維以外の通常の合成繊維やビニロン繊維もしくは合成パルプを、通常、50重量%以下、好ましくは20重量%以下程度、併用することもできる。
ここで、上記合成繊維の素材としては、融点160℃以上の繊維形成性ポリマーが用いられる。この繊維形成性ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの繊維形成性芳香族ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド、ポリプロピレン、芳香族ポリアミドなどが挙げられる。好ましくは、上記の繊維形成性芳香族ポリエステルである。
上記ポリマーの融点は、160℃以上、好ましくは180℃以上である。160℃未満では、エアレイドウェブを熱処理する際に軟化しやすく、得られるエアレイド不織布の剛性が保てない。
また、合成繊維の単糸繊径は、好ましくは30〜80μm、さらに好ましくは39〜68μmである。合成繊維として、30〜80μmの単糸繊径を有する太繊度のタイプを使用することにより、得られるエアレイド不織布の通気性が向上するばかりか、剛性が向上し、プリーツ加工が容易となり、かつ高風圧でもプリーツの山倒れが起き難いという効果(耐風圧性)も得られる。この耐風圧性は、実用上重要な特性である。単糸繊径が30μm未満では、剛性が低くなり、プリーツ加工などの成形性やプリーツ剛性が充分ではなく、一方、80μmを超えると、構成繊維本数が小さくなり、実用上の強度が不充分なばかりか、粗い粉塵の濾過、集塵、除塵機能も低下してしまう。
また、合成繊維の繊維長は、通常、3〜15mm、好ましくは5〜12mmである。3mm未満では、不織布強度が低下し、一方15mmを超えると、エアレイド工程で繊維どうしが絡まり易くなり、工程性や地合いの悪化につながりやすい。
なお、合成繊維の単糸断面は、円形でも、非円形で異形断面であってもよい。
さらに、以上の合成繊維以外の繊維として、例えばビニロン繊維や合成パルプ(例えば、三井化学(株)製SWPのような、PEやPPを素材とする多分岐フィブリル状繊維)を用いてもよい。
<吸着用エアレイド不織布の製造方法>
本発明の吸着用エアレイド不織布は、多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第一の噴出し部から熱接着性複合繊維(A)を噴出させ、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に繊維ウェブを形成し、次いで第二の噴出し部から熱接着性複合繊維(B)を噴出させ、積層ウェブを作製し、この上に、吸着性粒子供給ノズルから吸着性粒子を散布して、該熱接着性複合繊維(B)および吸着性粒子からなる中間層を形成させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返して、少なくとも1層の中間層を形成させたのち、第三の噴出し部から、熱接着性複合繊維(C)を噴出させ、上層ウェブを形成し、その後、熱風処理して繊維間結合を形成して不織布として一体化させることにより得られる。
熱風処理
本発明の吸着用エアレイド不織布は、以上のようにして形成された、下層/少なくとも1層の中間層/上層からなるエアレイドェブを形成し、これに熱風処理を施すことにより得られる。
このうち、繊維間結合を形成するための熱風処理としては、熱接着性複合繊維(A)〜(C)の低融点成分の融点+20℃以上、該複合繊維の高融点成分の融点未満の温度が好ましい。熱風処理温度が低いと、繊維どうしの熱結合が不充分となり、得られるエアレイド不織布の剛性が下がる。しかしながら、上記低融点成分の融点よりも30℃以上高い場合、あるいは高融点成分(芯鞘型複合繊維の芯成分、あるいはサイドバイサイド型複合繊維の高融点成分)の融点以上の場合は、繊維の熱収縮が大きくなり易く、地合いの悪化を招いたり、はなはだしい場合は繊維の劣化を生じるので好ましくない。
熱風処理温度は、通常、110〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
なお、カレンダー処理などの熱圧処理を加えることは、フィルタとして圧損アップの弊害をもたらすので好ましくない。ただし、表面平滑化や厚さコントロールの狙いで軽度な熱圧処理を加えることは、本発明の趣旨に反しない限り可能である。
このようにして得られる本発明の吸着エアレイド不織布の厚さは、通常、1〜10mm、プリーツ加工を行う場合は1〜4mmであり、目付けは、全体の繊維目付60〜500g/m、好ましくは100〜380g/m、吸着性粒子の目付50〜2,000g/mを加えた総目付けは110〜2,500g/m、好ましくは200〜1,380g/mである。吸着用エアレイド不織布の総目付が、110g/m未満の場合は、吸着性能が劣り、また剛性が不十分で、本発明の趣旨にそぐわない。さらに、フィルタ性能が悪化するばかりか、不織布強力も低くなるので実使用で破壊などのトラブルを引き起こし易い。一方、2,500g/mを超えると、取扱い性や加工性が悪化し、通気性ダウン、圧損アップが生じ、粗塵フィルタとしての性能が不十分となり、好ましくない。
ところで、従来から知られている一般的な乾式不織布製造法、つまり短繊維のカーディング法、あるいは連続繊維のスパンボンド法などによる場合、層を構成する繊維はほぼ面状に配列していて、厚さ方向に配向させることは困難である。従って、既存の乾式不織布を本発明が意図するエアフィルタ材に使用した場合、圧力損失が高いという欠点を有する。ニードルパンチやスパンレースのような機械的繊維交絡の方法を加えれば比較的に厚さ方向へ繊維を並び変えることができるものの、ニードルまたはスパンレースの水スジによる貫通孔が残るために微細なダストの捕捉作用に欠けるものとなってしまう。
これに対し、本発明の不織布は、短い繊維を使用したエアレイド不織布製造法によるものなので、単層のみならず、多層の場合でも、繊維は厚さ方向に配列しやすく、かつ層間において異なる繊維径の繊維どうしの混じり合いも生じ、繊維層間の繊維径勾配は比較的に連続傾斜になる。
従って、圧力損失が小さく、目詰まりも少なくなってライフ(ろ過可能時間)が長くなるうえ、圧損上昇が少ないという特徴ばかりか、極めて地合いの良好な、つまり均一性の良好なフィルタが得られるという大きな特徴を有する。均一性は、本発明が意図するエアフィルタ材の用途において極めて重要であり、上記した既存の乾式不織布では得られ難い。
さらに、ニードルを使用していないので、ニードル跡による性能低下の問題も解消される。また、ケミカルバインダーを使用していないので、皮膜形成による圧力損失アップや捕集効率ダウンの弊害が無く、環境汚染の恐れも無い。
<メルトブロー不織布との一体化>
なお、本発明の吸着用エアレイド不織布は、上記エアレイド不織布単独からなるもののほか、このエアレイド不織布の少なくとも一方の面に、メルトブロー不織布が複合・一体化された複合不織布からなるものであってもよい。エアレイド不織布とメルトブロー不織布との複合化のメリットは、エアレイド不織布単体では得られにくい優れた集塵性が得られる。ここで、メルトブロー不織布は、エアレイドに適用可能な合繊よりも一般的に細い極細繊維なので、微細粉塵の捕集に有効である。
なお、メルトブロー不織布にエレクトレット加工を施すと微細粒子の捕集効率が高くなるのでさらに好ましい。
ここで、メルトブロー不織布は、熱可塑性ポリマーを溶融して、口金より押し出し、高速加熱媒体で繊維を細化して、走行するネットコンベア上に捕集し不織布構造体として得られる。
本発明に用いられるメルトブロー不織布は、本発明の吸着用エアレイド不織布において、数十μm以下の微細粒子の捕集の役目を果たすものである。
メルトブロー不織布に用いられる熱可塑性ポリマーは、特に限定されることなく、用途に応じて、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ゴム弾性を有するポリウレタン、ポリエステルエーテル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどメルトブロー法により不織布を形成できるものであれば任意に使用できる。しかしながら、汎用性に優れ、また、エレクトレット化が可能なことから、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類が好ましい。特に好ましくは、ポリプロピレンである。これらのポリマーには、通常の艶消剤、熱安定剤、顔料、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、防カビ剤、芳香剤などの剤が添加、あるいは付着されていてもよい。
上記メルトブロー不織布は、繊維の平均径は0.2〜25μm、好ましくは0.5〜15μm、目付が10〜60g/m、好ましくは12〜50g/mである。平均径が0.2μm未満の場合、メルトブロー法の生産性が悪化して高コストとなるので実用的でなくなり、かつ、繊維が平面配列となりやすいメルトブロー法不織布においては、特に極細化すると通気性が悪化しやすい傾向があるので、エアフィルタとして好ましくない。一方、25μmを超えると、太過ぎて微細粉塵の捕集性能が悪化する。メルトブロー不織布を構成する繊維の平均径は、ポリマー粘度、紡糸口金のポリマー吐出口の口径、ポリマー吐出量、高速加熱媒体流の流量と流速、温度などの条件により、容易に調整することができる。
また、メルトブロー不織布の目付けは、10g/m未満では、強度が低過ぎて実用的でないばかりか、微細粉塵の捕集性能も悪化し、一方、60g/mを超えると、通気性が悪化して好ましくない。
なお、メルトブロー不織布は、芯鞘型複合繊維から形成されていても良い。
また、本発明のエアレイド不織布とメルトブロー不織布を積層・一体化して複合シートとするには、インラインでもアウトラインでも可能である。
複合・一体化の手段は、ポイントボンド(部分的に熱圧処理して熱接着する)、パウダーボンド(粉末状接着剤を使用する)、ホットメルト(熱可塑性ポリマーを溶融して、圧空とともに噴出させて、不織布上に細かい繊維状に噴出・スプレーする)などが挙げられる。接着剤の付与量は、圧損が増大しないように、少ない方が好ましいが、通常、固形分換算で、2〜20g/m、好ましくは4〜10g/mであり、圧損を上げずにしかも剥離を生じない範囲で決められる。
これらの一体化の過程で熱が加わる場合には、エレクトレット化の効果が減衰しやすいので、一体化したあとで再度エレクトレット加工を加えても良い。
<エレクトレット加工>
本発明の吸着用エアレイド不織布は、エレクトレット加工を施してもよい。
ここで、エレクトレット加工とは、例えば特開昭61−186568号公報に開示されている加工方法であり、公知の種々のエレクトレット化の方法、例えば、熱エレクトレット法、エレクトロエレクトレット法、ラジオエレクトレット法、メカノエレクトレット法などを適用することによって、シートなどを荷電状態にする加工方法である。
メルトブロー不織布は、通常、油剤などの処理はなされないが、油剤を含めたなんらかの剤で処理されている場合には、あらかじめ例えば50〜100℃の熱水浴に数秒〜数十分程度通して洗浄してから乾燥する方法、ウォタージェット処理して乾燥する方法などを加えておくことが必要となる。
エレクトレット加工の具体的な一例としての条件は、ポリプロピレン系繊維シートの場合、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは90℃〜120℃程度の加熱ローラー上にて、−30〜−5KVあるいは+5〜+30KV、さらに好ましくは−30〜−5KV程度の直流電圧を印加し、次に冷却ロール上にてさらに−30〜−5KVあるいは+5〜+30KV、さらに好ましくは−30〜−5KV程度の直流電圧を印加する方法などが挙げられる。生活空間に存在する微少塵埃の多くはプラス帯電しているものが比較的に多いので、印加電圧はマイナスとする方が好ましい。
<プリーツ加工>
本発明の吸着用エアレイド不織布からなるエアフィルタは、以上のエアレイド不織布単独、あるいはエアレイド不織布とメルトブロー不織布からなる複合不織布を用いて、プリーツ加工が施されていても良い。
この際、プリーツ加工機は、レシプロまたは、ロータリー式が好適に使用され、プリーツの高さは10〜100mm、プリーツ間隔は2〜10mmが好適である。
なお、本発明の吸着用エアレイド不織布は、メルトブロー不織布との積層体の場合、メルトブロー不織布側が空気流入の下流側で使用するのが好適であるが、あるいは、エアレイド不織布側が空気流入の下流側でもよい。
また、本発明の吸着用エアレイド不織布は、フィルタとして用いる場合、通常、空気などの流体流入側を上層、流体流出側を下層として用いるが、これとは逆に、流体流入側を下層、流体流出側を上層として用いてもよい。
なお、空気の流入側または流出側には、捕集性能の強化、強度の補強などを目的として、目付けが好ましくは10〜80g/m、さらに好ましくは12〜60g/m程度の乾式不織布(サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布など)や、湿式不織布などの他の合繊不織布を適宜、積層してもよい。これらの合繊不織布には、30重量%未満のセルロース系繊維、例えば木材パルプ、レーヨン、コットン、リンターパルプなどが含まれていても良い。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
エアレイド不織布製造機を用いて、下層として、A噴射ノズルから繊度2.2dt(単糸繊径16μm)、繊維長5mmの、鞘部ポリエチレン/芯部ポリエステルからなる熱接着性複合繊維(帝人ファイバー(株)製)35g/mを紡出し、次いで中間層となるウェブ層をB噴射ノズルより、繊度20dt(単糸繊径53μm)、繊維長5mmの、鞘部ポリエチレン/芯部ポリプロピレンからなる熱接着性複合繊維(チッソポリプロ繊維(株)製)を50g/m紡出し、その後にパウダーホッパーより、吸着性粒子として、平均粒径が250〜500μm(30/60メッシュ)の活性炭C(日本エンバイロケミカル(株)製、白鷺G2c)を160g/mで該ウェブ層上に散布し、さらにその上に上層としてC噴射ノズルより、A噴射ノズルで使用した熱接着性複合繊維を35g/m紡出し、熱風条件として135℃で熱処理し、厚さ3mm、総目付け280g/mの吸着用エアレイド不織布を作成した。なお、中間層における熱接着性複合繊維と吸着性粒子の重量比は、24/76である。これらの物性値を表1に示す。
実施例2
実施例2として実施例1の上層、下層の熱接着性複合繊維として、繊度2.2dt(単糸繊径18μm)、繊維長5mmの鞘部ポリエチレン/芯部ポリプロピレンからなる熱接着性複合繊維(チッソポリプロ繊維(株)製)を使用し、また粒状活性炭Cは実施例1のタイプを250g/m散布した以外は、実施例1と同様にして実施例2の吸着用エアレイド不織布を作成した。なお、実施例2の中間層における熱接着性複合繊維と吸着性粒子の重量比は、17/83になる。これらの物性値を表1に示す。
実施例3
実施例3として、実施例2の吸着用エアレイド不織布の下層側にさらに最下層として、クラレ(株)製のエレクトレット加工されたメルトブロー不織布[PF0020EL(EMB)、平均単糸繊径3μm、目付20g/m]をオレフィン系のホットメルト樹脂(松村石油社製、モレスコメルト)1g/mを用いてホットメルトスプレー法で貼り合わせて、実施例3の吸着用エアレイド不織布とした。なお、中間層における熱接着性複合繊維と吸着性粒子の重量比は、17/83になる。これらの物性値を表1に示す。
比較例1
比較例1として、市販されているシートを分析し、自社の試験機で作成した。下層として2.2dt(単糸繊径18μm)、繊維長76mmのレギュラーポリプロピレン繊維50g/mをカード機で紡出し、下層の上にナイロン系の接着不織布シート(NW)(呉羽テックKK社製、ダイナック)15g/mを置き、その上に実施例1〜2で使用した粒状活性炭Cを180g/m散布した後、さらに該ナイロン系接着不織布シート(NW)を15g/m置き、さらに上層として3.3dt(18μm)、長さ76mmのレギュラーポリエステル繊維によるカード式不織布20g/mを積層したものを、120℃の熱風炉に入れて比較例1の試料を作成した。これらの物性値を表1に示す。































Figure 2009006298
注1)通気性:フラジール法(JIS
L-1091) を用いた。
注2)P効率・圧損:リヨン(株)製、パーティクルカウンターを用いて、風速75cm/secにて、1〜5μmの大気塵の捕集効率P、およびその時の圧損を測定した。
注3)NH3、アセトアルデヒド、酢酸の吸着率(%):日本電機工業会の空気清浄器の性能試験法(JEM1467−1995)により、タバコ5本/1m燃焼時の各成分の1分間後の吸着率%で表した。ただし、測定試料は、20mm高さ×56山×幅250mmのプリーツ加工品を用いた。(面積:0.56m、風量:5.1m/分)
注4)その他
プリーツ性:20mm高さ×56山×幅250mmのプリーツ加工後、5kg加重を載せて変形しないことを目視で観察し、高さが2mm以下に変形しないものを「良好」と判定した。
層間剥離:プリーツ加工した時の吸着フィルタの断面の剥離が無いかを目視で観察した。手で断面を強制的に剥離した時剥離しないものを「なし」、プリーツ後の断面は剥離していないが、手で剥離した時剥離したものを「やや有り」と判定した。
表1から、実施例1〜2、比較例1の吸着不織布は、市販の空気清浄器のガス吸着性能を十分満足するものであるが、詳細に見ると、実施例2の活性炭量が250g/mと比較例1の180g/mに比べて、圧損が約15%も低いことは、本発明は市販の吸着不織布よりも圧損が低いことが分かる。
また、1〜5μmの大気塵での捕集性能は、実施例2の方が実施例1よりは高いのは、使用している繊維の差のエレクトレットの効果、すなわち実施例2の芯部のポリプロピレンと実施例1のポリエステルの差であると考えられる。実施例3では、実施例2にさらにエレクトレットされたメルトブロー不織布がラミネートされているので、より高い捕集効率の吸着用エアレイド不織布と言える。さらに、本発明の吸着用エアレイド不織布を用いたエアフィルタは、カードなどの併用が不要で製造設備の簡略化になり、しかもエマルジョンまたは溶剤系の接着剤を使用していないので、製造中の作業環境がクリーンで、製造エネルギーも少なく、また使用時のVOCなどの問題もない理想的な吸着用エアレイド不織布である。
また、本発明の吸着用エアレイド不織布は、疎水性繊維である熱接着性複合繊維から構成されているので、湿度に対して膨潤することがなく圧損が低く、さらに水洗いして再使用も可能である。
さらに、本発明の吸着用エアレイド不織布は、吸着性粒子、および上下層への接着は複合繊維の鞘部の溶融接着で行われているため、吸着微粒子のミクロポアーなどへの溶融物の進入がなく、上下層との層間がない圧損の低い吸着用エアレイド不織布の製造が可能であると言える。
本発明の吸着用エアレイド不織布は、家庭、工場、事務所などの空気清浄機器用濾材、自動車・列車・航空機などの外部空気取り入れ用、あるいは車内・機内空気清浄用のフィルタなどのほか、電気掃除機の集塵バッグやファイナルフィルタやマスク、浄水器フィルタなどの用途に有用である。

Claims (7)

  1. 繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(A)を主体とするエアレイド不織布からなる下層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径50〜100μmの熱接着性複合繊維(B)を主体とするエアレイド不織布の空隙部に平均粒径が30〜5,000μmの吸着性粒子が充填されてなる中間層の少なくとも1層と、繊維長1〜15mm、単糸繊径10〜75μmの熱接着性複合繊維(C)を主体とするエアレイド不織布からなる上層とが、順次、積層され、さらに熱処理されて一体化されてなる吸着用エアレイド不織布。
  2. 中間層が1〜3層からなる請求項1記載の吸着用エアレイド不織布。
  3. 中間層を構成する吸着性粒子が、活性炭、ゼオライト、活性白土、大谷石、シリカゲル、モレキュラーシーブ、多孔性鉱物、または非晶質水酸化鉄である請求項1または2記載の吸着用エアレイド不織布。
  4. 中間層を構成する吸着性粒子の目付けが、50〜2,000g/mである請求項1〜3いずれかに記載の吸着用エアレイド不織布。
  5. 下層の繊維目付けが20〜100g/m、中間層の繊維目付けが30〜300g/m、上層の繊維目付けが10〜100g/m、全体の繊維目付けが60〜500g/mである請求項1〜4いずれかに記載の吸着用エアレイド不織布。
  6. 中間層における熱接着性複合繊維と吸着性粒子の重量比が10〜30/90〜70重量%である請求項1〜5いずれかに記載の吸着用エアレイド不織布。
  7. 多孔質ネットコンベア上に位置する多数台の噴き出し部のうち、第一の噴出し部から熱接着性複合繊維(A)を噴出させ、ネットコンベア下面に配置した空気サクション部で吸引しながらネットコンベア上に下層ウェブを形成し、次いで第二の噴出し部から熱接着性複合繊維(B)を噴出・吸引して中間層ウェブを作製し、この上に、吸着性粒子供給ノズルから吸着性粒子を散布して、該熱接着性複合繊維(B)および吸着性粒子からなる中間層を形成させ、必要に応じて、この操作を必要に応じて複数回繰り返して、少なくとも1層の中間層を形成させたのち、第三の噴出し部から、熱接着性複合繊維(C)を噴出させ、上層ウェブを形成し、その後、熱風処理して繊維間結合を形成して不織布として一体化させることを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の吸着用エアレイド不織布の製造方法。
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