JP2009005197A - 振動装置 - Google Patents

振動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009005197A
JP2009005197A JP2007165722A JP2007165722A JP2009005197A JP 2009005197 A JP2009005197 A JP 2009005197A JP 2007165722 A JP2007165722 A JP 2007165722A JP 2007165722 A JP2007165722 A JP 2007165722A JP 2009005197 A JP2009005197 A JP 2009005197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
magnetostrictive element
magnetostrictive
tube
main body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007165722A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoaki Suzukawa
元昭 鈴川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FUREEI KK
Original Assignee
FUREEI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FUREEI KK filed Critical FUREEI KK
Priority to JP2007165722A priority Critical patent/JP2009005197A/ja
Publication of JP2009005197A publication Critical patent/JP2009005197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)

Abstract

【課題】磁歪素子を利用した新規な振動装置を提供する。
【解決手段】振動装置300は、磁歪装置30と、本体40と、振動伝達機構310と、を備える。磁歪装置30は、磁界に応じて伸縮する超磁歪素子1と、磁界を発生するコイル4及びバイアス用磁石2と、それらを所定位置に保持するハウジング8とを含む。本体40は、超磁歪素子1の本体40側の端の振動を抑制するのに十分な硬度及び質量を有する。振動伝達機構310は、チューブ302と、チューブ302内に摺動可能に配設されたワイヤ304と、を備える。ワイヤ304の一端は、超磁歪素子1に連結される。
【選択図】図10

Description

本発明は、振動装置に関し、特に磁歪素子を利用して振動を発生する振動装置に関する。
ある種の磁性材料は、外部の磁界の変化に応じて歪を生じる。また、このような磁性材料に応力を加えて変形させると、その応力に応じて磁気特性が変化する。これらの現象は「磁歪」と呼ばれる。近年、従来知られていた磁歪素子の変位量に比して50〜100倍の変位を示す材料が発見されており、それらは「超磁歪素子」と呼ばれている。
磁歪素子に交流磁界を印加すると、その交流磁界の周波数に等しい周波数の振動を発生させることができる。このような現象を利用して、例えば、超磁歪素子を骨伝導式ヘッドフォンや聴覚補助器具などに応用することが期待されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2001−258095号公報 特開2004−266307号公報
本発明者は、振動の変位が大きく、かつ、発生応力が大きいという磁歪素子の特性を生かして、磁歪素子を利用した全く新しい振動装置を想到するに至った。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁歪素子を利用した新規な振動装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の振動装置は、磁界に応じて伸縮する磁歪素子と、磁界を発生する磁界発生手段と、磁歪素子と磁界発生手段とを所定位置に保持するハウジングと、磁歪素子の振動を遠隔に伝達する振動伝達機構と、を備える。
この態様によると、磁歪素子の振動を、遠隔に伝達できる振動装置を構成することができる。
ハウジングが該振動装置の外部の部材に対して連結されることにより、磁歪素子の外部の部材側の端の変位が、外部の部材により抑制されてもよい。
ハウジングが該振動装置の外部の部材に対して連結されることにより、外部の部材の質量を、磁歪素子の外部の部材側の端の変位を抑制するために利用可能であってもよい。
振動伝達機構は、チューブと、チューブ内に摺動可能に配設されたワイヤと、を備え、ワイヤの一端が、磁歪素子に連結されてもよい。この場合、ワイヤを介して振動を伝達する振動伝達機構を構成することができる。
振動伝達機構は、チューブと、チューブの両端をそれぞれ閉塞する蓋部と、チューブと蓋部によって形成される空間に充填された液体と、を備え、チューブの一端側の蓋部が、磁歪素子に連結されてもよい。この場合、液体を介して振動を伝達する振動伝達機構を構成することができる。
液体は、所定の圧力が印加された状態で、チューブと蓋部によって形成される空間に充填されてもよい。この場合、振動を効率的に伝達することができる。また、チューブは、弾性部材により形成されてもよい。この場合、振動伝達機構を変形自在とすることができる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、磁歪素子を利用した新規な振動装置を提供することができる。
まず、磁歪素子を駆動する磁歪装置に関する前提技術について説明する。つづいて、その磁歪装置を利用した振動装置について説明する。
(前提技術)
図1は、従来の磁歪装置の構成を示す。従来の磁歪装置90は、磁歪素子91、コイル92、バイアス用磁石93、キャップ94、及びケース95を備える。磁歪素子91は、略円柱状の形状を有しており、コイル92及びバイアス用磁石93により発生される磁界に応じて、その高さ方向に伸縮するように変位する。磁歪素子91は、その高さ方向が、略円柱状のケース95の深さ方向に一致するように、ケース95のほぼ中央に配置される。コイル92は、磁歪素子91の周囲に設けられ、外部の駆動装置から入力される電流により、磁歪素子91の周囲に磁界を発生する。バイアス用磁石93は、磁歪素子91の周囲に所定の強度の磁界をバイアスとして固定的に与えるために設けられている。キャップ94は、略円盤状の形状を有しており、磁歪素子91、コイル92、及びバイアス用磁石93を内部に含むケース95の封をするために設けられている。ケース95の側壁部の上部に係合溝96が形成されており、そこにキャップ94の係止部97が係止され、キャップ94とケース95が互いに固定される。このとき、磁歪素子91は、キャップ94とケース95に上下から押圧され、所定のプリストレスが与えられる。
コイル92に交流電流が与えられると、コイル92の周囲に交流磁界が発生し、これにより、磁歪素子91が軸方向に伸縮する。磁歪素子91の伸縮によりキャップ94が振動し、キャップ94を介して振動が外部へ伝達される。例えば、図1に示した磁歪装置90をヘッドフォンに利用する場合、キャップ94を耳付近に押圧接触させ、磁歪素子91により発生された振動を、キャップ94を介して頭部に伝達する。キャップ94は、ケース95の底部よりも大きな弾性を有するように形成されている。これにより、磁歪素子91の振動がケース95の底部により吸収されてしまうのを防ぎ、キャップ94を介して対象物、例えば利用者の頭部へ効率良く伝達されるようにしている。
図2は、超磁歪材料と圧電材料の特性を示す。テルビウム・ディスプロシウム・鉄(TbDyFe)などの超磁歪材料は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:PbZrO3-PbTiO3)などの圧電材料に比べて、以下に挙げるような優れた特性を有している。まず、超磁歪材料は、発生応力が大きく、変位量が大きいので、超磁歪素子が発生する振動を効率良く外部へ伝達することができる。また、駆動電圧が低いので、消費電力が小さくて済む。また、キュリー温度が高いので、高温でも使用できる。また、磁場により振動するので、駆動部分が電源と非接触であり、安全性に優れている。
更に、超磁歪材料は、発生応力が大きいので、エネルギーの大きい低周波の振動も確実に外部へ伝達することができるとともに、応答速度が速いので、高周波の入力信号にも確実に追随して振動を発生させることができる。したがって、幅広い周波数帯でフラットな特性が実現される。これは、とくに、ヘッドフォンやスピーカなどへの利用に好都合である。従来の圧電材料を用いたヘッドフォンなどにおいては、高々5〜20kHz程度までの音しか発生することができなかったが、超磁歪材料を用いることにより、30kHz以上の音を発生することができる。人間の可聴域の限界は20kHz程度と言われているが、超音波を感覚するという学説もある。また、鼓膜を介した聴覚ではなく、骨伝導による聴覚の研究はさほど進んでおらず、超音波領域の音を骨伝導で聴いたときの感覚は未知の世界である。本発明者は、近年、超音波領域の音も録音可能な機材が開発されていることも考慮し、高周波の音を発生させることのできない圧電材料ではなく、超音波領域の音も忠実に再生可能な超磁歪材料を用いたヘッドフォンやスピーカを開発したいと考えた。
しかしながら、本発明者は、超磁歪材料の優れた周波数特性を発揮させるためには、以下のような課題が存在することを認識するに至った。図3(a)(b)は、磁歪素子が振動する様子を模式的に示す。図3(a)に示すように、磁歪素子91の一端(以下、「固定端」と呼ぶ)98が固定されていれば、磁歪素子91は逆側の端(以下、「出力端」と呼ぶ)の方向にのみ伸縮するので、磁歪素子91が伸縮したときの振動は、出力端99から効率良く外部へ伝達される。しかし、図3(b)に示すように、磁歪素子91の固定端98を支持する部材が弾性を有していたり、軽量であったりして、固定端98が振動してしまう場合は、その分だけ、出力端99から外部へ伝達される振動の変位量や応力が減衰することになる。図1に示した磁歪装置90において、キャップ94を対象物に押圧接触させ、磁歪素子91の振動を対象物に伝達するときに、キャップ94が対象物を押す力の反作用により、磁歪素子91の固定端98がケース95の底部を押す力が発生する。このときに、図3(b)に示すように、ケース95が十分な慣性質量を有していなければ、出力端99における振動が減衰し、磁歪素子91の振動が十分に対象物に伝達されない。この現象は、振動エネルギーが大きい低周波帯において特に顕著となり、例えば磁歪装置90をヘッドフォンに利用する場合に、低音領域の音声が聞こえづらくなってしまう。
本発明者は、このような課題を認識し、幅広い周波数帯において磁歪素子91の周波数特性を劣化させないようにするためには、磁歪素子91の固定端98が当接する部材、例えば図1の磁歪装置90においてはケース95が、十分な慣性質量と硬度を有している必要があることを想到するに至った。このような課題は、圧電素子よりも発生応力の大きい磁歪素子ならではの課題であり、圧電素子を利用した音声伝達装置の開発者にとっては、課題として認識すらされていなかったと考えられる。また、聞こえにくい音域であっても妥協を許さず、人間の可聴域の全ての音を忠実に再生することが可能な音声伝達装置を実現したいという本発明者のこだわりから、認識されるに至った課題であると言える。後述するように、本発明者の実験によれば、超磁歪装置を振動発生装置として利用する場合に、広い周波数帯域で効率良く駆動させるためには、可動質量の約13.8倍以上、好ましくは21倍以上、より好ましくは69倍以上の慣性質量を磁歪素子91の固定端98側に設ける必要があることが分かっている。
図4は、上記の課題を踏まえて改良された磁歪装置の構成を示す。磁歪装置20は、主に、超磁歪素子1、バイアス用磁石2(バイアス用上位磁石2a及びバイアス用下位磁石2b)、ボビン3、コイル4、リード配線5a及び5b、振動ロッド6、プリストレスキャップ7a、ケース7b、及び弾性部材(弦巻発条)9を含む。
超磁歪素子1は、音声を変換してなる信号を振動に変換する振動変換素子として用いられるもので、概ね円柱状の外形を有し、上面にはバイアス用上位磁石2a、底面にはバイアス用下位磁石2bが、それぞれ配置される。この超磁歪素子1は、バイアス用上位磁石2aとバイアス用下位磁石2bとの間に挟持された状態でケース7bの内部に収容されて、バイアス用上位磁石2aとバイアス用下位磁石2bとによる磁界をバイアス磁界として恒常的に受ける(バイアス磁界が超磁歪素子1を恒常的に貫通する)ように設定されている。またそれと共に、この超磁歪素子1は、ケース7bの内部に収容された状態で、底面をケース7bによって支持されつつ、上面に振動ロッド6が弾性部材9の弾性力を受けて押し当てられることで、いわゆるプリストレスが恒常的に印加されるように設定されている。この超磁歪素子1は、上記のようにしてバイアス磁界とプリストレスとを恒常的に与えられた状態で、周囲に配置されたコイル4による可変磁界を受けることによって、入力された電気信号に対応した振動を発生する。
コイル4は、例えばガラス基材ポリカーボネートのような材質からなるボビン3の中心胴を巻回軸心として、その周囲に導体線を巻回してなるものである。リード配線を介して導体線に電気信号が入力されると、それに対応してコイル4が磁界を発生する。このコイル4から発せられる可変磁界が超磁歪素子1を貫くことで、その可変磁界の強さに対応して超磁歪素子1が伸縮し、それが振動として出力される。
振動ロッド6は、一端がバイアス用上位磁石2aを介して超磁歪素子1に機械的に接続され、超磁歪素子1から出力される振動を他端から外部へ伝達する。この振動ロッド6にはフランジ部61が設けられており、そのフランジ部61で弾性部材9による付勢力を受けて、バイアス用上位磁石2aに押し付けられる。その押圧力はバイアス用上位磁石2aを介して超磁歪素子1に印加される。また、そのフランジ部61及び弾性部材9によって、振動ロッド6全体がケース7b及びプリストレスキャップ7aの外側へと抜け落ちることを防いでいる。
ケース7bは、上記のような超磁歪素子1、バイアス用上位磁石2a、バイアス用下位磁石2b、ボビン3、コイル4、振動ロッド6、弾性部材9を、所定の状態に組み立てられた状態で収容する、いわゆる容器(又はボディ)である。プリストレスキャップ7aは、ネジ機構、溶接、カシメ、樹脂硬化などによりケース7bに固定される。プリストレスキャップ7aをケース7bに固定するときに、弾性部材9を介して超磁歪素子にプリストレスが与えられる。超磁歪素子1にプリストレスを与えることにより、電気信号と振動との間の変換効率を向上させることができる。プリストレスキャップ7a及びケース7bは、その内部の磁界を外側に漏らさないようにするため、及びその内部の磁界をより効果的に発生させるために、磁性体からなるものとすることが望ましい。
図5は、磁歪装置20を振動発生装置として備える電子機器の一例であるヘッドフォンの構成を示す。ヘッドフォン100は、本体110、磁歪装置20、及び振動パッド28を備える。本体110は、外部の再生装置などから入力される電気信号を磁歪装置20のコイルへ伝達するための回路29を含む。振動パッド28は、磁歪装置20の振動ロッド6に取り付けられ、振動ロッド6から伝達される振動を、ユーザの耳付近の頭蓋骨へ伝達する。ユーザは、振動パッド28のおもて面から伝達される振動を、骨伝導により音声として認識することができる。本発明者は、図5に示した骨導式ヘッドフォン100を試作し、低音から高音までの幅広い音域が忠実に再現され、優れた音響特性が実現されていることを確認した。
このように、幅広い周波数帯域の振動を効率良く発生させる磁歪装置を実現することができたが、その一方で、本発明者は、磁歪装置をヘッドフォン、聴覚補助器具、携帯電話端末のスピーカなどに利用する場合、装置の更なる小型化・軽量化が必要であることも課題として認識していた。ヘッドフォンや携帯電話端末などのように、小型で軽量であることが好まれる商品においては、サイズや重量の僅かな差が商品の売れ行きに多大な影響を及ぼすことは、既に市場で証明されていることである。たとえ、先行する類似商品よりも優れた特性を有していても、その先行商品よりも僅かに大きかったり、重かったりすることが、消費者の購買意欲を低下させる一因になってしまうことは、本発明者も認識しているところであり、これは、優れた性能を有する磁歪素子よりも、圧電素子を利用したヘッドフォンの方が先に商品化されていることからも証明されている。
超磁歪素子1は柱状であり、高さ方向に変位するので、可動部品を磁歪素子の高さ方向に直列に連結させる必要がある。また、対象物に必要な振動を与えるためには、ある程度の高さを有した超磁歪素子1を設ける必要があるので、高さ方向のサイズを小さくすることには限界がある。したがって、磁歪装置20の小型化・軽量化のためには、磁歪装置20の総重量のうちかなりの割合を占めるケース7b及びプリストレスキャップ7aを小型化・軽量化する必要がある。しかし、ケース7bについても、上述したように、低周波領域の特性を維持するためには、ある程度の慣性質量を有している必要がある。本発明者は、様々な実験を重ね、試行錯誤を繰り返す中で、このような二律背反する要請に応える技術を想到するに至った。
図6は、前提技術に係る磁歪装置の構成を示す。磁歪装置30は、図4に示した磁歪装置20の構成に比べて、プリストレスキャップ7a及びケース7bに代えてハウジング8を備えている。ハウジング8は、磁歪装置30が設けられる電子機器の本体へ磁歪装置30を取り付けるための連結機構の一例であるネジ部81を備える。すなわち、磁歪装置30の各構成は、ハウジング8に収容された状態で、ネジ部81により電子機器の本体へ取り付けられる。ハウジング8は、磁界発生手段であるバイアス用磁石2、コイル4、リード配線5a及び5bにより発生される磁界の磁気回路を調整して磁界を増幅させるために、軟鉄板などにより構成されるヨークを含む。このヨークにより、ハウジング8内に閉磁路が形成され、外部へ磁界が漏洩しないように遮断される。
図7は、図6に示した磁歪装置30を備える電子機器の構成を模式的に示す。電子機器50の本体40は、磁歪装置30を取り付けるための連結機構の一例であるネジ部41を備えている。磁歪装置30のネジ部81と、本体40のネジ部41を螺合させることにより、磁歪装置30が本体40に取り付けられる。連結機構は、その他、溶接、カシメ、樹脂硬化などにより磁歪装置30と本体40とを連結させてもよい。ハウジング8の本体40側の面は開放されており、磁歪装置30が本体40に取り付けられると、バイアス用下位磁石2bが直接本体40に当接する。このとき、本体40の、バイアス用下位磁石2bが当接する位置に突起42が設けられており、ネジを締めることにより、超磁歪素子1がバイアス用下位磁石2bを介して突起42から押圧され、超磁歪素子1に所定のプリストレスが印加される。また、リード配線5a及び5bが本体40の回路49に接続され、回路49から入力される電気信号がコイル4へ伝達される。
図4に示した磁歪装置20では、超磁歪素子1の固定端を支持する機能をケース7bが担っていたが、図6及び図7に示した磁歪装置30では、この機能を、磁歪装置30へ電気信号を入力するための回路などの構成を含む電子機器50の本体40に担わせるのである。つまり、ハウジング8は、超磁歪素子1、コイル4、バイアス用磁石2、弾性部材9などの構成を収納するために設けられており、超磁歪素子1の固定端を支持する機能や超磁歪素子1にプリストレスを印加する機能は担わない。ハウジング8が本体40に連結されることにより、本体40の質量が、超磁歪素子の固定端の変位を抑制するために利用可能となり、本体40により、超磁歪素子の固定端の変位が抑制される。これにより、磁歪装置30の外部の部材により超磁歪素子の固定端の変位を抑制することができるので、大きな慣性質量を有する部材を磁歪装置30に設ける必要がなくなる。さらに、超磁歪素子1にプリストレスを印加するためのプリストレスキャップも省略することができるので、磁歪装置30を小型化・軽量化することができ、ひいては、電子機器50全体を小型化・軽量化することができる。
また、従来の磁歪装置では、ケースとプリストレスキャップも含めて組み上げられた磁歪装置がまず存在し、その磁歪装置を電子機器などへ組み込む必要があったが、磁歪装置30では、本体40が十分な質量と硬度を有していさえすれば、どのような本体40にも取り付けることができるので、磁歪装置30を利用した電子機器を柔軟に設計することができる。
図1に示した従来の磁歪装置90においては、磁歪素子91にプリストレスを印加する機構が必要である以上、その機構は磁歪装置90内に設けることが当然であるという思想に暗黙のうちに束縛されていたと言える。また、図4に示した磁歪装置20においても、超磁歪素子1の固定端の振動を抑制するように支持する機構が必要であり、その機構を磁歪装置20内に設けていた。そして、その思想から脱却できないために、磁歪装置90及び20を小型化・軽量化することができず、このことこそが、性能では圧電素子をはるかに凌駕する磁歪素子の普及を妨げる根本的な要因となっていた。
特許文献2(特開2004−266307号公報)には、スピーカユニットのハウジング内に、受信回路、電池、ケースの質量を利用したカウンタマスを設け、駆動コイルにより振動素子が伸縮駆動されることで発生する振動を、他端側の振動板に効率良く伝達するようにする技術が開示されている。しかし、スピーカユニットの内部にカウンタマスが設けられることに変わりはなく、スピーカユニットが軽量化されているとは言えない。さらに、磁歪素子の固定端側に大きなカウンタマスを設けているので、スピーカユニットが振動素子の振動方向に長いスティック状の形状となっており、スピーカユニットが小型化されているとは言えない。
本発明者は、磁歪装置の軽量化及び小型化、とくに振動素子の振動方向の小型化を目指して発想の転換を図り、電子機器50の本体40が、超磁歪素子1にプリストレスを印加し、かつ、超磁歪素子1の固定端の振動を抑制する部材として機能すればよいことに思い当たった。これにより、磁歪装置30は、自身が超磁歪素子1の固定端の振動を抑制するだけの慣性質量を有していなければならないという束縛から解放され、大幅に小型化・軽量化することが可能となった。更に、超磁歪素子1を上下から挟持してプリストレスを印加するための部材の一部を省略することが可能となり、超磁歪素子1の振動方向の小型化に成功した。これは、周波数特性の維持と、小型化・軽量化という、二律背反する要請の双方が満足されたことを意味する。したがって、本発明は、特性では優れている磁歪素子の商品化を妨げていた課題を克服し、磁歪素子を用いた機器の普及のためのブレイクスルーとなる画期的な発明であると言える。
前述したように、磁歪素子の固定端における振動を抑制し、出力端における振動を効率良く外部へ伝達するためには、可動質量の約13.8倍以上の慣性質量が固定端側にあればよい。したがって、本体40は、超磁歪素子1、バイアス用磁石2、弾性部材9、及び振動ロッド6の質量の合計の約13.8倍、好ましくは約21倍、より好ましくは約69倍以上の質量を有していればよい。また、振動ロッド6により振動される別の構成、例えば利用者の耳付近にヘッドフォンをあてがうための振動パッドなどが設けられている場合には、その質量も振動ロッド6の質量に含める。また、本体40と力学的に一体であるとみなせる構成部材の質量は、本体40の質量に含めてもよい。
固定端側の構成が当接する位置の本体40の部材、図7の例では突起42は、超磁歪素子1の固定端側の振動を抑制するために十分な硬度を有していることが望ましい。また、ハウジング8は、磁性体であることが望ましい。しかし、例えば磁歪装置30をヘッドフォンなどに利用する場合は、発生する磁場はさほど大きくないので、ハウジング8は磁性体でなくてもよい。この場合、より軽量化を図るために、ハウジング8を質量の軽い材料により構成してもよい。
図8は、図6に示した磁歪装置30を備える電子機器50の一例であるヘッドフォンの構成を示す。ヘッドフォン200は、図5に示したヘッドフォン100に備えられていた密閉型の磁歪装置20に代えて、図6に示した開放型の磁歪装置30を備える。本発明者は、図8に示したヘッドフォン200を試作し、図5に示したヘッドフォン100と同様に、低音から高音までの幅広い音域が忠実に再現され、優れた音響特性が実現されていることを確認した。
本発明者は、図4に示した密閉シリンダー型の磁歪装置20を備えた図5のヘッドフォン100と、図6に示した開放型の磁歪装置30を備えた図8のヘッドフォン200を試作し、可動質量と固定端を支持する慣性質量との質量比と、ヘッドフォンから出力される音声の周波数特性との関係を、実際にヘッドフォンを装着した同一被験者の聴覚により確認した。骨伝導により人体に知覚される音声の周波数特性を数値として計測するのは困難であるため、今回は被験者の聴覚により周波数特性の差異を確認している。
図4の密閉型の磁歪装置20を用いた実験では、可動部分の質量が1.3g、固定端を支持する慣性質量が17.9g、総質量が22.2gである磁歪装置20の試作品が、従来の圧電素子などを用いた骨導式ヘッドフォンよりも優れた周波数特性、すなわち広範囲の周波数の音声を出力する能力を有することが確認された。したがって、固定端を支持する慣性質量は、可動質量の約13.8倍以上であることが好ましいことが分かった。磁歪装置20の超磁歪素子1の振動を被験者の頭部へ伝達するための振動パッドの質量を可動質量に含めると、慣性質量は可動質量の約3.4倍以上であることが好ましい。この磁歪装置20を備えたヘッドフォン100の試作品は、本体を含めた固定端側の慣性質量が約90gで、可動質量の約69倍(振動パッドを含めた場合は約9倍)となっており、従来の骨導式ヘッドフォンよりも優れた音響特性を有することが確認された。
これに対し、図6の開放型の磁歪装置30では、プリストレスキャップ7aとケース7bをハウジング8に交換したことにより、磁歪装置30の質量を12.8gに抑えることができた。磁歪装置20の試作品の質量は約22.2gであったので、磁歪装置の質量が約半分に抑えられている。上述の実験により、可動質量の約13.8倍以上、より好ましくは69倍以上の慣性質量の部材を固定端側に設けることで優れた周波数特性が得られることが分かっているので、磁歪装置30を装着する対象となる本体が、その質量を有していればよい。試作品の磁歪装置30の場合、可動質量が1.3gであるから、本体の質量は17.9g以上であればよい。本発明者は、12.8gの磁歪装置30を27g(可動質量の約21倍)の本体40に装着したヘッドフォン200を試作し、音響特性の優れたヘッドフォンが実現されていることを確認した。このヘッドフォン200は、ヘッドフォン100と同様に優れた音響特性を維持しつつ、ヘッドフォン100に比べて大幅に軽量化が図られている。この試作品では、ハウジング8を金属により構成しているが、コイルをパーマロイのようなヨークで閉磁路にすれば、ハウジング8を樹脂などの軽量な材料で構成してもよい。これにより、更に磁歪装置30を軽量化することができ、ヘッドフォンなどの装置全体を軽量化することができる。
図9は、前提技術に係る電子機器50の別の構成例を示す。図9に示した磁歪装置30は、図7に示した磁歪装置30の構成に加えて、底板11を更に備える。底板11は、例えば、磁歪装置30又は本体40へ水滴が侵入するのを防ぐために、防水加工された板により構成されてもよいし、本体40側へ磁場が漏れるのを防ぐために、磁性体により構成されてもよい。本図の磁歪装置30は、本体40側に底板11が設けられているので、開放型ではなく密閉型であるが、底板11は、超磁歪素子1の固定端の振動を抑制するために必要な慣性質量を有している必要はない。底板11は、超磁歪素子1の固定端の振動を抑制するために設けられるのではなく、振動の抑制に必要な慣性質量は電子機器50の本体40が有していればよい。
この場合も、本体40は、可動質量の約16.8倍以上、好ましくは約21倍以上、より好ましくは約69倍以上の質量を有していればよいが、底板11の質量を本体40の質量に含めてもよい。また、底板11以外に、本体40と超磁歪素子1の間に部材が設けられている場合は、その部材の質量を本体40の質量に含めてもよい。要は、超磁歪素子1の固定端側に、固定端の振動を抑制するのに十分な質量及び硬度があればよい。これにより、超磁歪素子1の振動を効率良く外部へ伝達することができる。また、磁歪装置30の優れた周波数特性を遺憾なく発揮させることができ、特に、磁歪装置30をヘッドフォン200に利用する場合には、音質を向上させることができる。
(実施の形態)
本発明者は、前提技術で説明した磁歪装置の発生応力及び変位量の大きさに着目し、磁歪装置の振動を遠隔に伝達することのできる振動装置を想到するに至った。この振動装置は、発生応力及び変位量が大きく、また、超音波帯域の振動も伝達することができるので、音響分野、医療分野など、様々な分野に利用することができる。以下、図面を参照してこの振動装置について説明する。
図10は、実施の形態に係る振動装置の構成を示す図である。図10に示すように、振動装置300は、磁歪装置30と、本体40と、振動伝達機構310と、を備える。
磁歪装置30は、図6及び図7に示した磁歪装置であり、ハウジング8のネジ部81と、本体40のネジ部41を螺合させることにより、磁歪装置30が本体40に取り付けられている。このように、ハウジング8が本体40に連結されることにより、本体40の質量が、超磁歪素子1の固定端の変位を抑制するために利用可能となり、本体40により、超磁歪素子1の固定端の変位が抑制される。これにより、磁歪装置30の外部の部材により超磁歪素子の固定端の変位を抑制することができるので、大きな慣性質量を有する部材を磁歪装置30に設ける必要がなくなる。さらに、超磁歪素子1にプリストレスを印加するためのプリストレスキャップも省略することができるので、磁歪装置30を小型化・軽量化することができ、ひいては、振動装置300全体を小型化・軽量化することができる。
振動伝達機構310は、超磁歪素子1の振動を遠隔に伝達する機能を有する。図10に示すように、振動伝達機構310は、チューブ302と、チューブ302内に摺動可能に配設されたワイヤ304と、を備える。
ワイヤ304は、その一端が振動ロッド6に当接され、振動ロッド6、バイアス用上位磁石2aを介して超磁歪素子1に機械的に連結される。振動ロッド6と当接するワイヤ304の一端を超磁歪素子側端304a、ワイヤ304の他方の端を振動端304bと呼ぶ。ワイヤ304の長さは、振動装置300が用いられる用途に応じて、任意の長さとすることができる。また、ワイヤ304の種類は特に限定されないが、可撓性材料のワイヤ、たとえば、アルミワイヤやスチールワイヤなどの金属ワイヤや、プラスチックワイヤを用いることが好ましい。
超磁歪素子側端304aと振動ロッド6は、接着剤や溶接などにより恒久的に接続されてもよいし、磁石や取付部材を設けて取り外し可能なように接続されてもよい。取り外し可能に接続した場合には、用途に応じて異なる長さのワイヤを取り替えることが可能となる。また、ワイヤ304と振動ロッド6は、一体の部品として形成されてもよい。この場合、部品点数が減るので、部品コスト及び組立工数を削減することができる。
チューブ302は、ワイヤ304を覆うように設けられる。チューブ302の磁歪装置30側の端302aは、ハウジング8に設けられたチューブ取付部312に取り付けられる。また、チューブ302の他端302bからは、ワイヤ304の振動端304bが露出している。チューブ302の内径は、ワイヤ304がチューブ302内を摺動可能となるように、ワイヤ304の外径よりも大きく形成される。ワイヤ304とチューブ302の摩擦係数を低減するために、チューブ302の内壁にオイルなどの潤滑剤を塗布してもよい。チューブ302の材料は特に限定されないが、可撓性のある弾性材料で形成することにより、振動伝達機構310を変形自在に構成することができる。
以上のように構成された振動装置300において、本体40の回路49によりコイル4に交流電流が印加されると、コイル4の周囲に交流磁界が発生し、超磁歪素子1が伸縮する。超磁歪素子1の伸縮が、振動としてバイアス用上位磁石2a、振動ロッド6を介してワイヤ304に伝達され、振動端304bを振動させることができる。このように、振動装置300は、振動伝達機構310を備えることにより、磁歪装置30の発生した振動を遠隔まで伝達することができる。また、超磁歪素子1の振動方向とは異なる方向に振動方向を変換して振動を伝達することができる。
ワイヤを用いて振動源の振動を遠隔に伝達しようとした場合、振動させるワイヤ全体の質量や、チューブとワイヤとの間の摩擦力のために、振動源には大きな発生応力が必要となる。本実施の形態に係る振動装置300は、振動源として発生応力が大きい超磁歪素子を用いることにより、ワイヤを介した振動の伝達を実現している。ワイヤを複数設けることにより、一つの超磁歪素子1の振動を複数の対象物へ伝達することもできる。
図11は、実施の形態に係る振動装置の別の構成例を示す図である。図11に示すように、振動装置400は、磁歪装置30と、本体40と、振動伝達機構410と、を備える。振動装置400は、振動伝達機構410の構成が、図10の振動装置300と異なっている。
図11に示すように、振動伝達機構410は、チューブ402と、振動端側蓋部406と、磁歪素子側蓋部408と、液体404と、を備える。
チューブ402の長さは特に限定されず、振動装置400の用途に応じて任意の長さとすることができる。また、チューブ402の材料は特に限定されないが、可撓性のある弾性材料で形成することにより、振動伝達機構410を変形自在に構成することができる。
振動端側蓋部406、磁歪素子側蓋部408は、チューブ402両端の開口部を閉塞するように設けられる。振動端側蓋部406、磁歪素子側蓋部408は、ゴム等の弾性材料や、金属材料により形成することができる。チューブ402、振動端側蓋部406及び磁歪素子側蓋部408によって形成される空間には、液体404が充填される。液体404は、所定の圧力が印加された状態で充填されることが好ましい。圧力が印加された状態で液体404を充填することにより、振動を効率的に伝達することができる。
振動伝達機構410は、磁歪素子側蓋部408が振動ロッド6と当接されることにより、振動ロッド6、バイアス用上位磁石2aを介して超磁歪素子1に機械的に連結される。振動伝達機構410は、ハウジング8に設けられた振動伝達機構支持部412により支持される。振動伝達機構410は、接着剤や溶接などにより恒久的に振動伝達機構支持部412に取り付けられてもよいし、取り外し可能なように設けられてもよい。取り外し可能とした場合には、用途に応じて長さの異なる振動伝達機構410を選択することが可能となる。
以上のように構成された振動装置400において、本体40の回路49によりコイル4に交流電流が印加されると、コイル4の周囲に交流磁界が発生し、超磁歪素子1が伸縮する。超磁歪素子1の伸縮が、振動としてバイアス用上位磁石2a、振動ロッド6を介して磁歪素子側蓋部408に伝達される。磁歪素子側蓋部408の振動は、液体404を介して振動端側蓋部406に伝達され、振動端側蓋部406を振動させることができる。このように、振動装置400は、振動伝達機構410を備えることにより、磁歪装置30の発生した振動を遠隔まで伝達することができる。
液体を介して振動を遠隔に伝達するためには、振動源には大きな発生応力が必要となる。本実施の形態に係る振動装置400は、振動源として発生応力が大きい超磁歪素子を用いることにより、液体を介した振動の伝達を実現している。
図12は、図10に示した振動装置を用いたヘッドフォンを示す図である。ヘッドフォン250は、2つの振動装置300を備える。それぞれの振動装置300のワイヤ304先端には、振動パッド252が設けられる。振動パッド252は、ユーザがヘッドフォン250を搭載した際に、ユーザの左右の耳付近の頭蓋骨へ振動を伝達できるよう、支持部262により支持される。チューブ302及びワイヤ304の長さは、所定の長さ、たとえば、ユーザがヘッドフォン250を搭載した際に、磁歪装置30がユーザの服のポケットに入る程度の長さに設定される。
このように振動装置300を用いてヘッドフォン250を構成した場合、図5または図8のヘッドフォンのように、ユーザの頭部に搭載される部分に磁歪装置や回路等を備える必要がなくなるので、ユーザの頭部にかかる重量を軽減することができる。また、ヘッドフォン250のユーザの頭部に搭載される部分を小型化することができる。なお、図12では、図10の振動装置300を用いたヘッドフォンを示したが、振動装置として図11に示した振動装置400を用いてもよい。
図13は、図10に示した振動装置を用いた音響システムを示す図である。音響システム500において、室内に置かれた振動装置300の振動伝達機構310は、壁520の下方から壁520の裏側へと入れられ、そこから上方へ配設されている。図13において、破線は、壁の裏側の配線を表している。さらに、振動伝達機構310のワイヤは、途中から二股に分岐され、一方の振動端304cは、壁520を振動させるべく、壁520の裏面に当接される。また、他方の振動端304dは、壁520に隣接する壁522の裏側に配設され、壁522を振動させるべく、壁522の裏面に当接される。
音響システム500において、テレビジョン受像機510が発する音声信号が振動装置300へ供給されると、振動伝達機構310の振動端304c、304dは、音声信号に応じて振動する。振動端304c、304dの振動は、部屋の壁520、522に伝達され、壁520、522がスピーカーとして機能し、室内に音声を発生させる。
このように、聴衆の周囲の壁、床、天井などをスピーカーとして機能させ、音声を発生させることで、全く新しい音響空間を作り出すことができる。振動装置300の振動端を聴衆が座っている椅子530やテーブル540などに当接することにより、椅子530やテーブル540をスピーカーとして機能させることもできる。この場合、空気の振動を介して音声を感知するだけでなく、床や椅子などから直接聴衆に振動が伝達され、骨伝導などを介して複合的に音声を感知させることもできる。このように、目的やニーズに合わせて振動装置300を設置することにより、最適な音響空間を演出することができる。
図13では、振動伝達機構310のワイヤを分岐させ、2つの振動端を振動させる構成としたが、このように複数の振動端を同時に振動させることができるのは、発生応力の大きい超磁歪素子を用いた振動装置ならではの機能である。なお、図13では、図10の振動装置300を用いた音響システムを示したが、振動装置として図11に示した振動装置400を用いてもよい。
図14は、図11に示す振動装置を用いた超音波内視鏡を示す図である。図14は、超音波内視鏡600の先端部を示している。超音波内視鏡600の先端面610には、照明部602、観察部604、鉗子口606、ノズル608、超音波振動子620が設けられている。
観察部604は、対物レンズと、CCDなどの固体撮像素子とを備え、撮像した画像を図示しない本体へ送信する機能を有する。照明部602は、観察部604を挟んだ両側の位置に配設されている。照明部602は、本体に設けられた光源からの光を照射する機能を有する。鉗子口606は、組織採取や処置、異物回収などに用いられる鉗子その他の処置部を導出するために設けられる。ノズル608は、観察部604の対物レンズが臓器内部の粘液や血液で汚れたときに、水や空気を噴出して洗浄するために設けられる。
超音波振動子620は、生体組織等の対象物に超音波を送信し、対象物から反射された超音波を受信する機能を有する。図14に示す超音波内視鏡600では、超音波振動子620として、図11に示す振動装置400が用いられている。超音波内視鏡600では、振動装置400の振動伝達機構410の先端部が、先端面610から突出するように設けられている。
以上のように構成された超音波内視鏡600において、振動装置のコイルに所定の周波数の交流電流が印加されると、振動端側蓋部406が振動することによって超音波が放射される。振動端側蓋部406から放射された超音波は、対象物により反射される。この反射した超音波が、振動端側蓋部406を振動させ、今度は、反射した超音波がチューブ402内の液体を介して磁歪装置の超磁歪素子へと伝達される。超磁歪素子がこの振動に応じて変化すると、超磁歪素子の磁気特性が変化するので、コイルに流れる電流が変化する。この電流変化を検出し、処理して画像化することにより、超音波断層画像を生成することができる。
このように図11に示す振動装置400を超音波内視鏡に用いた場合、超磁歪素子で発生した振動を、振動伝達機構を介して遠隔に伝達できるので、内視鏡の先端部に超音波を発生するための超音波トランスデューサを設ける必要がなくなる。これにより、内視鏡先端部の小型化及び軽量化を実現することができる。
図15は、図10に示す振動装置300を用いた解体機を示す図である。超磁歪素子は、発生応力及び変位量が大きいため、振動を与えることにより物体を解体する解体機として使用することができる。図15に示す振動装置300は、ワイヤ304の先端に振動板710を備える。図15では、振動装置300を駆動することにより振動板710を振動させ、壁700の解体を行っている様子を示している。このように振動装置300を解体機として用いる場合、解体対象物の大きさ、硬さ等に応じて、超磁歪素子の大きさを設定すればよい。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
従来の磁歪装置の構成を示す図である。 超磁歪材料と圧電材料の特性を示す図である。 図3(a)(b)は、磁歪素子が振動する様子を示す図である。 改良された磁歪装置の構成を示す図である。 図4に示した磁歪装置を備えた電子機器の一例であるヘッドフォンの構成を示す図である。 前提技術に係る磁歪装置の構成を示す図である。 前提技術に係る電子機器の構成を示す図である。 図6及び図7に示した磁歪装置を備えた電子機器の一例であるヘッドフォンの構成を示す図である。 前提技術に係る電子機器の別の構成例を示す図である。 実施の形態に係る振動装置の構成を示す図である。 実施の形態に係る振動装置の別の構成例を示す図である。 図10に示した振動装置を用いたヘッドフォンを示す図である。 図10に示した振動装置を用いた音響システムを示す図である。 図11に示す振動装置を用いた超音波内視鏡を示す図である。 図10に示す振動装置を用いた解体機を示す図である。
符号の説明
1 超磁歪素子、 2 バイアス用磁石、 4 コイル、 6 振動ロッド、 8 ハウジング、 30 磁歪装置、 40 本体、 41 ネジ部、 42 突起、 49 回路、 81 ネジ部、 250 ヘッドフォン、 252 振動パッド、 262 支持部、 300 振動装置、 302 チューブ、 304 ワイヤ、 310 振動伝達機構、 400 振動装置、 402 チューブ、 404 液体、 406 振動端側蓋部、 408 磁歪素子側蓋部、 410 振動伝達機構、 500 音響システム、 510 テレビジョン受像機、 520、522 壁、 600 超音波内視鏡、 610 先端面、 620 超音波振動子。

Claims (7)

  1. 磁界に応じて伸縮する磁歪素子と、
    前記磁界を発生する磁界発生手段と、
    前記磁歪素子と前記磁界発生手段とを所定位置に保持するハウジングと、
    前記磁歪素子の振動を遠隔に伝達する振動伝達機構と、
    を備えることを特徴とする振動装置。
  2. 前記ハウジングが該振動装置の外部の部材に対して連結されることにより、前記磁歪素子の前記外部の部材側の端の変位が、前記外部の部材により抑制されることを特徴とする請求項1に記載の振動装置。
  3. 前記ハウジングが該振動装置の外部の部材に対して連結されることにより、前記外部の部材の質量を、前記磁歪素子の前記外部の部材側の端の変位を抑制するために利用可能であることを特徴とする請求項1に記載の振動装置。
  4. 前記振動伝達機構は、チューブと、前記チューブ内に摺動可能に配設されたワイヤと、を備え、前記ワイヤの一端が、前記磁歪素子に連結されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の振動装置。
  5. 前記振動伝達機構は、チューブと、前記チューブの両端をそれぞれ閉塞する蓋部と、前記チューブと前記蓋部によって形成される空間に充填された液体と、を備え、前記チューブの一端側の蓋部が、前記磁歪素子に連結されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の振動装置。
  6. 前記液体は、所定の圧力が印加された状態で、前記チューブと前記蓋部によって形成される空間に充填されることを特徴とする請求項5に記載の振動装置。
  7. 前記チューブは、弾性部材により形成されることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の振動装置。
JP2007165722A 2007-06-24 2007-06-24 振動装置 Pending JP2009005197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007165722A JP2009005197A (ja) 2007-06-24 2007-06-24 振動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007165722A JP2009005197A (ja) 2007-06-24 2007-06-24 振動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009005197A true JP2009005197A (ja) 2009-01-08

Family

ID=40321074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007165722A Pending JP2009005197A (ja) 2007-06-24 2007-06-24 振動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009005197A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103024650A (zh) * 2012-12-19 2013-04-03 中国民用航空飞行学院 一种参量扬声器用超磁致伸缩稀土换能器
JP2016091263A (ja) * 2014-11-04 2016-05-23 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 制御装置及び制御プログラム
JP7431425B1 (ja) 2023-04-13 2024-02-15 Filltune株式会社 音声伝達装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103024650A (zh) * 2012-12-19 2013-04-03 中国民用航空飞行学院 一种参量扬声器用超磁致伸缩稀土换能器
JP2016091263A (ja) * 2014-11-04 2016-05-23 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 制御装置及び制御プログラム
JP7431425B1 (ja) 2023-04-13 2024-02-15 Filltune株式会社 音声伝達装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4058462B2 (ja) 音声伝達装置及び音声検知装置
EP2991376B1 (en) Acoustic reproduction apparatus and sound-collecting acoustic reproduction apparatus
JP4069294B2 (ja) イヤフォン、音声伝達装置
KR100934273B1 (ko) 진동형 이어폰
JP2009094986A (ja) 受話装置
JP2009111820A (ja) 骨伝導イヤホン
US11974657B2 (en) Brush, replacement member for brush, and method for using brush
JP2004266307A (ja) スピーカユニットおよび音声出力装置
JP6951491B2 (ja) 骨伝導スピーカー
JP2008270879A (ja) 受話装置
EP3827701B1 (en) Brush, replacement member for brush, and method for using brush
JP6359804B2 (ja) 音響機器
JP5956320B2 (ja) 音声振動出力装置
JP2009005197A (ja) 振動装置
JP6421360B2 (ja) インナーイヤホン
EP2991377B1 (en) Acoustic apparatus
JP2004165895A (ja) 電気音響変換装置
JP2008016982A (ja) 音響システム
JP2002315098A (ja) 電気音響変換器
JP3871628B2 (ja) 電気音響変換器
KR20160032642A (ko) 체감진동형 복합 음향리시버
JP2014216870A (ja) 音響機器
KR101328390B1 (ko) 진동타입 이어폰
KR20080073524A (ko) 음향신호 변환장치
JP2021027506A (ja) 電気音響変換装置