JP2009004576A - 冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却装置のアセンブル工程において工程管理を容易にし、またアセンブル工程により形成された電子素子と冷却部材の熱抵抗を低減し、経年変化を抑えることができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置100は、電子素子106にほぼ対向して配置された冷却部材102と、電子素子106と冷却部材102との間に設けられた複数のカーボンナノチューブ104とから構成されている。そして、カーボンナノチューブ104の両端部が、それぞれ、冷却部材102と対向する電子素子106の面110、および電子素子106と対向する冷却部材102の面108と接触することにより、接触熱抵抗の低減構造を構成している。カーボンナノチューブの束104は、電子素子106の面110、および冷却部材102の面にほぼ垂直な方向に向いている。
【選択図】図1
【解決手段】冷却装置100は、電子素子106にほぼ対向して配置された冷却部材102と、電子素子106と冷却部材102との間に設けられた複数のカーボンナノチューブ104とから構成されている。そして、カーボンナノチューブ104の両端部が、それぞれ、冷却部材102と対向する電子素子106の面110、および電子素子106と対向する冷却部材102の面108と接触することにより、接触熱抵抗の低減構造を構成している。カーボンナノチューブの束104は、電子素子106の面110、および冷却部材102の面にほぼ垂直な方向に向いている。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷却装置に関し、より詳細には、電子素子と当該電子素子を冷却する冷却部材との間で生じる接触熱抵抗の低減を図った冷却装置に関する。
半導体装置、LED、パワーモジュール等の電子機器に用いられる電子素子は、高温になると異常動作が発生し、場合によっては損傷するという危険性がある。これらの電子素子の高性能化に伴い、発生する熱をどのように処理するかが重要な課題となっている。電子素子の発熱対策として、一般に冷却部材を発熱部に接触させて熱を逃がすことが行われている。冷却部材としては、CPUクーラーあるいはヒートシンクなどと呼ばれるものの他、ペルチェ素子等が用いられている。このような冷却方法では、発熱部である電子素子と冷却部材の間で生じる接触熱抵抗を低減することが重要である。
接触熱抵抗が生じる原因として、固体同士を接触させた場合に双方の固体の表面の凹凸により接触面に空隙が生じ、実質的な伝熱面積が減少することが挙げられる。このことを解決するために、従来は以下の方法が採用されていた。
1.電子素子と冷却部材との接触面にグリス等の流動性のある物質を塗布し、空隙を埋めることで接触熱抵抗を減少させる(例えば、特許文献1参照)。
2.ゴムやエラストマー等の柔らかい素材からなる伝熱シートを電子素子と冷却部材との間に挟み、空隙を埋める(例えば、特許文献2、3参照)。
3.電子素子と冷却部材とを接着剤により接合する(例えば、特許文献4参照)。
4.電子素子と冷却部材とをろう付けや溶接等により接合する。
1に記載した方法の場合、流動性の物質を均一に塗布することは困難であり、工程管理が難しくなる。塗布量が不十分であれば接触熱抵抗が増大し、塗布量が過剰であれば余剰の流動性物質が機器の機能を阻害する。また、グリス等の流動性物質の熱伝導率は低く、フィラー等を添加して熱伝導率を改善したとしても数W/m/K程度である。
2に記載した方法の問題点としては、やはり熱伝導率が低い点が挙げられる。また、ゴムやエラストマーによって固体の表面形状に親和させる場合には必然的に厚みが必要となる。低熱伝導の物質の厚みが大きい場合、熱抵抗は非常に大きくなる。
3に記載した方法において使用される接着剤も固化前は流動物であるため、1と同様の問題点が指摘される。
4に記載したろう付けや溶接は高温を必要とする。近年の高機能・高集積化した電子機器では樹脂材料等が多く使われているため、この方法は困難である。また、熱膨張差による接合欠陥や割れの管理が困難であるという問題もある。
このような課題を克服する方法として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」という)を使用して発熱体から冷却部材への放熱を促進する技術が開発されている。単層のCNTは6600W/m/Kの高い熱伝導を有するとされており(非特許文献1参照)、多層のCNTであっても2000W/m/K程度と高い熱伝導率を有している。このような技術としては、樹脂をCNTの束に浸み込ませたもの(特許文献5参照)、CNT間に樹脂を充填した放熱シート(特許文献6参照)、樹脂製の基板内に、第1表面から第2表面へ延びるCNTを含めた熱伝導材料(特許文献7参照)、パーティクルを含む層、綿状の高純度CNT層、不定形カーボンを含む層からなる多層のCNT集合体を貼り付ける方法(例えば、特許文献8参照)、CNTの束の間にポリカーボネートの介在材料を注入して用いる方法(例えば、特許文献9参照)等が知られている。
しかしながら、CNTに樹脂等を含浸させると、上記の1で指摘したような不具合、即ち樹脂の量の過不足により熱接触状態が変化してしまうという問題があった。
また、樹脂などの有機物は、その揮発物が素子の電気的な接点などに付着するために不良品が発生する原因となり、また経年劣化を生じることが問題とされている。例えばシリコーンでは発生するシロキサンが接点不良を起こすことが知られており、高温となる部分での使用を避けなければならない。有機物からの揮発物は温度が上昇するほど発生量が増加するため、熱接触部に使用する場合には注意が必要である。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子素子と冷却部材の接触熱抵抗を低減し、経年変化を抑えることができる冷却装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、本発明に係る冷却装置は、電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、前記電子素子と前記冷却部材との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記冷却部材の互いに対向する面と接触させたものである。
本発明の第2の側面によれば、本発明に係る冷却装置は、電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、前記冷却部材に接合されたSiC基板と、前記電子素子と前記SiC基板との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記SiC基板の互いに対向する面と接触させたものである。
本発明の第3の側面によれば、本発明に係る冷却装置は、電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、前記電子素子と前記冷却部材との間に設けられたSiC基板と、前記電子素子と前記SiC基板との間、および前記冷却部材と前記SiC基板との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記SiC基板の互いに対向する面、または前記冷却部材および前記SiC基板の互いに対向する面と接触させたものである。
本発明によれば、グリスや樹脂等の介在材料を用いないため、冷却装置のアセンブル工程において、工程管理を容易にすることができる。
また、アセンブル工程により形成された素子と冷却部材の近接部分における熱抵抗を減らしつつ、経年変化を最小限に抑えることが可能となる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、冷却部材または電子素子の接触面から垂直に成長させたCNTの束により接触熱抵抗を低減させるものである。図1は、本発明の第一実施形態に係る冷却装置の構成を示す。冷却装置100は、電子素子106、電子素子106とほぼ対向して配置され、この電子素子106を冷却する冷却部材102、および電子素子106と冷却部材102との間に設けられた複数のCNT104を含む。そして、CNT104の一方の端部が、冷却部材102と対向する電子素子106の面110と接触し、CNT104の他方の端部が、電子素子106と対向する冷却部材102の面108と接触するようにして、接触熱抵抗の低減構造を構成する。
複数のCNT104間には介在する材料が存在せず、かつCNT104の両端部はそれぞれ電子素子106および冷却部材102に直接接触している。
また、CNT104は、電子素子106の面110、および冷却部材102の面108にほぼ垂直な方向に向いている。これは、図2の矢印に示すように熱が移動する場合、電子素子106から冷却部材102に向かう熱伝導率は、CNTの長手方向に沿って最も大きくなるからである。
図3は、本実施形態における冷却装置の製造方法を示す。同図によれば、まず冷却部材102の表面108から複数のCNT104を垂直に成長させる。CNTの成長に際し、面内密度を20%以上とすれば本発明の効果を奏することができるが、可能な限り高密度に成長していることが望ましい。CNTは長さ方向に高い伝導率を有しているので、一方向のCNTの束であれば密度が高いほど熱抵抗は下がると考えられる。しかし、図3に示すように凹凸を有する表面に端部を接触させようとする場合、CNTを屈曲させる空間がある方がよく、面内密度が20〜70%の範囲にあるのが望ましい。
また、CNTの結晶性は高いことが好ましい。CNTは結晶性が高いほど熱伝導率が向上するため、高結晶性を有するCNTを用いることで熱抵抗が減少するからである。例えば、3000℃の熱処理によって結晶性が向上し、化学気層蒸着法(CVD法)による繊維の熱伝導率が大幅に向上することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
CNTの成長方法としては、例えばCVD法(例えば、非特許文献2参照)やSiC分解法(例えば、特許文献10参照)を使用することができるが、高密度および高結晶性という条件を満たすことができれば、いずれの方法を採用しても良い。
CVD法は、種々の物体上にCNTを成長させることができる点で優れている。しかし、高密度という点ではSiC分解法の方が優れている。
SiC分解法では、CVD法によりSi単結晶からなる基板の上にSiC単結晶の膜を形成する。得られたSiC単結晶膜を真空下で加熱し、珪素原子を除去すると、高配向されたCNT膜が得られる。この方法によれば、基板の素材は限定されるものの、非常に高密度のCNT104が得られる。
ついで、成長したCNT104の端部が接触するように、とめ付け等で電子素子106と冷却部材102とがほぼ対向するように配置する。図3に示す例では、電子素子106の表面110(接触界面)が凹凸を有しているが、CNTは柔軟性を有しているため、図1や図2に示すように凹凸面に端部を接触させることができる。
CNT104の長さは、対向して配置させる電子素子106の表面粗さ(Rz)の1〜4倍、望ましくは2倍程度である。これは、長さが表面粗さの4倍を大きく超えるとCNTの屈曲角が大きくなり、その結果熱のパスが長くなって熱抵抗が大きくなる一方、長さが表面粗さをかなり下回る場合には、CNTの端部が凹部に届かず、十分な熱伝導が行えなくなるためである。
また、電子素子106と冷却部材102とが対向するように配置する際に、CNTを屈曲させて、電子素子106と冷却部材102との距離をCNTの長さの80%〜50%程度とするのが好ましい。つまり、厚さの変化は20〜50%の範囲にあるのが効果的である。これは、厚さが50%を超えて変化するとCNTの屈曲が大きくなりすぎ、端部ではなく側部が相手面に接触するため熱伝導の効率が落ちる一方、厚さの変化が20%未満であれば、相手面に端部が届かないCNTの割合が著しく増加し、この場合も熱伝導の効率が落ちてしまうためである。
なお、図3に示すように冷却部材102からCNTの束を成長させる代わりに、電子素子106から成長させることとしてもよい。この場合、CNTを垂直に成長させるためには、表面が可能な限り平坦であることが望ましい。また、上述と同様の理由により、CNT104の長さは、対向して配置させる冷却部材102の表面粗さ(Rz)の1〜4倍、望ましくは2倍程度である。
図4は、本発明の第二実施形態に係る冷却装置の構成を示す。冷却装置400は、電子素子406、電子素子406とほぼ対向するように配置され、この電子素子406を冷却するための冷却部材402、冷却部材402に接合されたSiC基板412、および電子素子406とSiC基板412との間に設けられた複数のCNT404から構成されている。そして、CNT404の一方の端部が、SiC基板412と対向する電子素子406の面410と接触し、CNT404の他方の端部が、電子素子406と対向するSiC基板412の面408と接触するようにして、接触熱抵抗の低減構造を構成する。
複数のCNT404間には介在する材料が存在せず、かつCNT404の端部は電子素子406およびSiC基板412に直接接触している。
また、CNT404は、電子素子406の面410、およびSiC基板412の面414にほぼ垂直な方向に向いている。
本実施形態における冷却装置の製造方法では、まず複数のCNT404を当該SiC基板412の表面414から垂直に成長させる。CNT404は可能な限り高密度に成長していることが望ましいが、図4に示すように凹凸を有する表面に端部を接触させようとする場合、CNTを屈曲させる空間がある方がよく、面内密度が20〜70%の範囲にあるのが望ましい。また結晶性が高いことが好ましいことは、第一実施形態と同様である。
ついで、冷却部材402の表面408に、SiC基板412の他方の面を接合する。接合する部材として冷却部材402を選択する理由は、多くの冷却部材は単純な金属素材であるため、ろう付け等による熱履歴にも耐え得ることによる。
ついで、CNT404の端部が電子素子406と接触するように、とめ付け等で電子素子406と冷却部材402とがほぼ対向するように配置する。
ここで、CNT404の長さは、電子素子406の表面粗さ(Rz)の1〜4倍、望ましくは2倍程度である。
また、電子素子406とSiC基板412とをとめ付けにより対向するように配置する場合、カーボンナノチューブを屈曲させることにより、電子素子406とSiC基板412との距離をCNTの長さの80%〜50%程度とするのが好ましい。
以上のような構成を採用することにより、SiC分解法を用いてCNTの束を垂直に成長させることが可能となり、結果として非常に高密度なCNTの束を形成することができる。
図5は、本発明の第三実施形態に係る冷却装置の構成を示す。冷却装置500は、電子素子506、電子素子506とほぼ対向するように配置され、この電子素子506を冷却するための冷却部材502、電子素子506と冷却部材502との間に設けられたSiC基板512、電子素子506とSiC基板512との間に設けられた複数のCNT504a、および冷却部材502とSiC基板512との間に設けられた複数のCNT504bから構成されている。そして、CNT504aの端部の一方はSiC基板512と対向する電子素子506の面510と接触し、端部の他方は電子素子506と対向するSiC基板512の面518と接触している。また、CNT504bの端部の一方はSiC基板512と接触する冷却部材502の面508と接触し、端部の他方は冷却装置502と対向するSiC基板512の面516と接触している。
複数のCNT504a、504b間には介在する材料が存在しない。また、CNT504aの両端部はそれぞれ電子素子506、SiC基板512に直接接触し、CNT504bの両端部はそれぞれ冷却部材502およびSiC基板512に直接接触している。
また、CNT504b、504aは、SiC基板512の表面にほぼ垂直な方向に向いている。
本実施形態における冷却装置の製造方法では、まずSiC基板512の面518からCNT504aを垂直に成長させ、面516からCNT504bを垂直に成長させる。CNT504a、504bは可能な限り高密度に成長していることが望ましいが、図5に示すように凹凸を有する表面に端部を接触させようとする場合、CNTを屈曲させる空間がある方がよく、面内密度が20〜70%の範囲にあるのが望ましい。また結晶性が高いことが好ましいことは、第一実施形態および第二実施形態と同様である。
ついで、CNT504bの端部がSiC基板512に対向して配置される冷却部材502の面508に接触し、CNT504aの端部がSiC基板512に対向して配置される電子素子506の面510に接触するように、とめ付け等で電子素子506と冷却部材502とでSiC基板512を挟んで配置する。
CNT504aの長さは、SiC基板512に対向して配置される電子素子506の表面粗さ(Rz)の1〜4倍、望ましくは2倍程度である。また、CNT504bの長さは、SiC基板512に対向して配置される冷却部材502の表面粗さ(Rz)の1〜4倍、望ましくは2倍程度である。
また、電子素子506とSiC基板512とを対向して配置させる際に、CNTを屈曲させ、電子素子506とSiC基板512との距離がCNTの長さの80%〜50%程度とするのが好ましい。冷却部材502とSiC基板512とを対向して配置させた際にも同様に、CNTを屈曲させ、冷却部材502とSiC基板512との距離がCNTの長さの80%〜50%程度とするのが好ましい。
以上のような構成を採用することにより、SiC分解法を用いてCNTの束を垂直に成長させることが可能となり、結果として非常に高密度なCNTの束を形成することができる。
また、平坦なSiC基板の両面からCNTを成長させるので、表面から垂直にCNTを成長させることが容易となり、また冷却部材の表面に凹凸を有する場合においても熱伝導効率を上げることが可能となる。
なお、上述の実施の形態で記載されたCNTの長さに関する条件はCNTの束に含まれる全てのCNTについて該当することを要求するものではなく、約50%以上のCNTにおいてその条件が満たされれば本発明の効果を奏することができる。
以上述べた形態以外にも種々の変形が可能である。しかしながら、特許請求の範囲に記載された技術思想に基づくものである限り、その変形は本発明の技術範囲内となる。
以下、本発明の実施例について説明する。
試料として10mm角、厚さ400μmのSiC基板を2つ用意し、一方のSiC基板の片面にはCNTの束を成長させた。CNTの面内密度は約60%、長さ4μmであった。他方のSiC基板はそのまま用いた。
これら2つのSiC基板に対向して配置させる固体として、アルミニウム板(厚さ3mm、表面粗さRz2.06μm)を用いて、日立製作所(会社名)製の樹脂熱抵抗測定装置を用いて熱抵抗を評価した。図6に本実施例における測定方法の概略を示す。この装置は定常法による接触熱抵抗測定値であり、1cm角の正方断面を有する銅製の伝熱部(加熱軸)602、同じく銅製の伝熱部(冷却軸)604を上下に分割して有している。これら伝熱部602、604に試料610を挟み込んで荷重をかけ、上から下に向かって定常熱流速を与えて伝熱部602、604の各測温点での温度を測定し、温度分布を測定することで伝熱部端部の温度を予測し、試料の接触熱抵抗を測定する。伝熱部602と試料610、および伝熱部608とアルミニウム板612との間には約10mgのグリス606、608を塗布した。今回使用したグリスの熱抵抗は、1cm2で0.035℃/Wである。
図6の右側に測定した熱流方向への温度分布を模式的に示しており、符号Aは接触熱抵抗、符号Bはグリスの熱抵抗を示している。符号Aの温度差は熱抵抗に比例する。熱流が一定であるため、温度差が分かれば熱抵抗を算出することができる。
図7は、本発明の実施例で用いたCNT束/Al接触界面を、SEMを用いて3万倍の倍率で撮影した写真であり、CNT束がアルミニウムの凹凸に沿って接触している様子がわかる。また、図8は本発明の実施例で用いたSiC/Al接触界面を、1万倍の倍率でSEMで撮影した写真である。このように倍率を下げて撮影しても、非常に大きな空隙が生じていることがわかる。
以下に、接触熱抵抗の測定結果を示す。
SiC/Al固体接触の熱抵抗ρSiC、CNT束/Al接触の熱抵抗ρCNTとすると、SiC/Al固体接触を基準とした熱抵抗向上率Efは、
Ef=(ρSiC−ρCNT)/ρSiC×100(%)
で表すことができる。ここに0.5MPaの場合の値それぞれρSiC=0.81℃/W、ρCNT=0.60℃/Wを代入すると25.9%となる。
Ef=(ρSiC−ρCNT)/ρSiC×100(%)
で表すことができる。ここに0.5MPaの場合の値それぞれρSiC=0.81℃/W、ρCNT=0.60℃/Wを代入すると25.9%となる。
表1に示すように、CNT束により、単純な固体同士の接触と比較して、接触熱抵抗が約25.9%向上した。
同様の計算により、1MPaの場合の値を代入すると、接触熱抵抗は19.2%向上した。荷重が大きいためSiC/Al固体接触の伝熱面積が増加し熱抵抗はより小さくなっているが、本発明に係る構造のほうがより熱抵抗が低減されていることが分かる。
100、400、500 冷却装置
102、402、502 冷却部材
104、404、504a、504b CNT
106、406、506 電子素子
412、512 SiC基板
102、402、502 冷却部材
104、404、504a、504b CNT
106、406、506 電子素子
412、512 SiC基板
Claims (13)
- 電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、
前記電子素子と前記冷却部材との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、
前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記冷却部材の互いに対向する面と接触させたことを特徴とする冷却装置。 - 前記カーボンナノチューブの面内密度は20〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブの長さは、前記電子素子または前記冷却装置の表面粗さの1〜4倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブは屈曲しており、前記電子素子と前記冷却部材との距離は前記カーボンナノチューブの長さの80〜50%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷却装置。
- 電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、
前記冷却部材に接合されたSiC基板と、
前記電子素子と前記SiC基板との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、
前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記SiC基板の互いに対向する面と接触させたことを特徴とする冷却装置。 - 前記カーボンナノチューブの面内密度は20〜70%であることを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブの長さは、前記電子素子の表面粗さの1〜4倍であることを特徴とする請求項5または6に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブは屈曲しており、前記電子素子と前記SiC基板との距離は前記カーボンナノチューブの長さの80〜50%であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の冷却装置。
- 電子素子とほぼ対向して配置され、該電子素子を冷却するための冷却部材と、
前記電子素子と前記冷却部材との間に設けられたSiC基板と、
前記電子素子と前記SiC基板との間、および前記冷却部材と前記SiC基板との間に設けられた複数のカーボンナノチューブとを備え、
前記カーボンナノチューブの両端部を、それぞれ、前記電子素子および前記SiC基板の互いに対向する面、または前記冷却部材および前記SiC基板の互いに対向する面と接触させたことを特徴とする冷却装置。 - 前記カーボンナノチューブの面内密度は20〜70%であることを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブの長さは、前記SiC基板の対向する面の表面粗さの1〜4倍であることを特徴とする請求項9または10に記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブは屈曲しており、前記電子素子と前記SiC基板との距離は前記カーボンナノチューブの長さの80〜50%であることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の冷却装置。
- 前記カーボンナノチューブは屈曲しており、前記冷却部材と前記SiC基板との距離は前記カーボンナノチューブの長さの80〜50%であることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の冷却装置。
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