JP2009003300A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置を大型化・重量化することなく、励磁コイルによって加熱される発熱部材の幅方向の温度分布が充分に均一化される、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】発熱層20bを有する発熱部材と、発熱部材に対向するように巻回されるとともに電磁誘導により発熱層20bを加熱する励磁コイル25と、を備える。励磁コイル25は、発熱部材の幅方向に沿って直線状に延びた直線部25aと、直線部25aの端部を接続するために屈曲された屈曲部25bと、を具備する。そして、発熱層20bの幅方向端部H2と屈曲部25bとの幅方向の位置関係に応じて、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚が定められる。
【選択図】図5

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間を低減して省エネルギー化することを目的として、電磁誘導加熱方式の定着装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、主として、発熱層を有する定着ローラ(発熱部材)、定着ローラに対向する励磁コイル、定着ローラに圧接してニップ部を形成する加圧ローラ、等で構成される。
そして、定着ローラは、励磁コイルとの対向位置で加熱される。加熱された定着ローラは、ニップ部に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、励磁コイルに対向する定着ローラの発熱層の位置に磁力線が形成されて、発熱層に渦電流が生じる。発熱層に渦電流が生じると、発熱層自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、定着ローラ全体が加熱される。
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、発熱層が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着部材の表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
また、このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置では、励磁コイルの端部に不安定な磁界が生じてしまうために、発熱部材(定着ローラ)の幅方向(回転軸方向)に温度ムラが生じてしまう問題が知られている。
このような問題を解決することを目的として、特許文献1等では、発熱部材(定着ローラ)の幅方向(回転軸方向)の長さよりも、励磁コイルの幅方向の長さが大きくなるように設定している。
一方、特許文献2等には、電磁誘導加熱方式の定着装置であって、定着ローラをツヅミ状に形成した場合であっても定着ローラの幅方向(長手方向)の温度分布を均一化させることを目的として、定着ローラの内周面と励磁コイルとの距離を幅方向にわたって一定に設定する技術が開示されている。ここでは、定着ローラの幅方向中央部の肉厚に比べて、定着ローラの幅方向両端部の肉厚が大きく設定されている。
また、特許文献3等には、電磁誘導加熱方式の定着装置であって、小サイズ紙が連続通紙された場合に定着ローラの非通紙領域の過昇温を防止することを目的として、幅方向中央部の発熱層の層厚を幅方向両端部の発熱層の層厚よりも大きく設定するとともに、記録媒体の幅方向サイズに応じて発熱範囲を切り替える技術が開示されている。
特開2004−157513号公報 特開2006−119410号公報 特開2006−114283号公報
従来の電磁誘導加熱方式を用いた定着装置では、励磁コイルによって電磁誘導加熱される発熱部材の幅方向の温度分布を充分に均一化することができなかった。そして、このように幅方向の温度分布が不均一になると、定着工程後の出力画像上に定着ムラが生じてしまう場合があった。
このような問題に対して、特許文献1等では、励磁コイルの端部に不安定な磁界が生じてしまうために、発熱部材の幅方向の長さよりも、励磁コイルの幅方向の長さが大きくなるように設定している。すなわち、励磁コイルの屈曲部を発熱部材の幅方向端部から外側に離して、励磁コイルの直線部のみが発熱部材に直接的に対向するように構成している。
しかし、このような構成であっても、発熱部材の幅方向の温度分布を充分に均一化できなかった。具体的には、屈曲部を発熱部材から離しても、発熱層の幅方向端部近傍に発熱量(温度)の低い領域が生じてしまっていた。また、発熱層の最端部が過昇温してしまっていた。
さらに、このような構成の場合には、励磁コイルの幅方向長さが大きくなって、装置が大型化・重量化してしまうことになる。また、励磁コイルの幅方向長さが大きくなることで、その他の部品(例えば、発熱部材を支持する軸受である。)が電磁誘導加熱されてしまう不具合が生じる可能性もあった。
一方、上述した特許文献2等の技術は、定着ローラをツヅミ状に形成した場合に生じる定着ローラの幅方向の温度ムラを解決することを目的としたものであって、上述した問題を解決するものではない。
また、特許文献3等の技術は、小サイズ紙が連続通紙された場合に定着ローラの非通紙領域の過昇温を防止することを目的としたものであって、上述した問題を解決するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置を大型化・重量化することなく、励磁コイルによって加熱される発熱部材の幅方向の温度分布が充分に均一化される、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
本願発明者は、上述した課題を解決するために研究を重ねた結果、発熱部材に対向する励磁コイルの形状が、発熱層に流れる渦電流の状態に大きく影響していることを知るに至った。すなわち、励磁コイルの直線部(発熱部材の幅方向に沿って直線状に形成されている部分である。)から発生される磁束の状態と、励磁コイルの屈曲部(直線部の端部を接続するために屈曲された部分である。)から発生される磁束の状態と、は大きく異なるために、発熱層に生じる渦電流の密度が幅方向両端部で不均一になって、発熱層の幅方向の発熱分布(温度分布)が不均一になってしまう。
そして、発熱層の幅方向端部と励磁コイルの屈曲部との幅方向の位置関係に応じて、発熱層の幅方向端部の層厚を最適化することで、発熱層の幅方向の発熱分布(温度分布)を均一化することができることを知得した。
この発明は以上述べた事項に基づくものであり、すなわち、この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、発熱層を有する発熱部材と、前記発熱部材に対向するように巻回されるとともに、電磁誘導により前記発熱層を加熱する励磁コイルと、を備え、前記励磁コイルは、前記発熱部材の幅方向に沿って直線状に延びた直線部と、前記直線部の端部を接続するために屈曲された屈曲部と、を具備し、前記発熱層の幅方向端部と前記屈曲部との幅方向の位置関係に応じて、該発熱層の該幅方向端部の層厚が定められたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記発熱層の幅方向端部と前記屈曲部との幅方向の位置を一致させる場合に、該発熱層の該幅方向端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも小さくなるように形成したものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記発熱層の幅方向端部に対して外側に前記屈曲部の幅方向の位置を定める場合に、該発熱層の該幅方向端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも大きくなるように形成して、該幅方向端部と該幅方向中央部との境界部の層厚が該幅方向中央部の層厚よりも小さくなるように形成したものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記発熱部材は、前記発熱層の強度を補強する補強層を具備したものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項4に記載の発明において、前記補強層は、磁性材料で形成されたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記発熱層は、その体積抵抗率が1.8×10-7Ω・cm以下になるように形成されたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記発熱層は、銅で形成されたものである。
また、この発明の請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、発熱層の幅方向端部と励磁コイルの屈曲部との幅方向の位置関係に応じて、発熱層の幅方向端部の層厚を最適化している。これにより、装置を大型化・重量化することなく、励磁コイルによって加熱される発熱部材の幅方向の温度分布が充分に均一化される、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図10にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は転写ベルト17を清掃する転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルト、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程である。)。
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印方向に走行して、分離チャージャ18との対向位置に達する。そして、分離チャージャ18との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト17から分離される。
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。
ここで、転写ベルト17上に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト17から分離された後に定着装置19に導かれる。定着装置19では、定着ローラと加圧ローラとの間(ニップ部である。)にて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、画像形成装置本体1に設置される定着装置19の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置19は、誘導加熱部24(磁束発生手段)、発熱部材としての定着ローラ20、加圧ローラ30(加圧部材)、等で構成される。
ここで、発熱部材としての定着ローラ20(定着部材)は、その外径が40mm程度であって、芯金層(芯金)20e上に、弾性層20d、補強層20c(支持層)、発熱層20b、離型層20a、が順次積層された多層構造体である。
離型層20aの材料としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、これらの樹脂の混合物、又は、これらの樹脂を耐熱性樹脂に分散させたものを用いることができる。離型層20aの層厚は、5〜50μm(好ましくは、10〜30μmである。)に形成されている。これにより、定着ローラ20上のトナー離型性が担保されるとともに、定着ローラ20の柔軟性が確保される。
発熱層20bの材料としては、銀、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、ステンレス、又は、それらの合金等の導電性材料を用いることができる。発熱層20bに用いる金属材料は、磁性を有し、電気抵抗が高いものが好適である。
本実施の形態1では、発熱層20bに用いる金属材料として薄層の銅を用いている。このように発熱層20bとして電気導電性が良い薄層化された金属材料を用いることにより、発熱層20bの実質的な抵抗を任意に設定することができ、発熱層20bの発熱効率を向上させることができる。具体的に、発熱層20b(銅層)は、層厚が1〜20μm程度に設定され、補強層20c上にメッキ、スパッタ、真空蒸着等によって形成される。なお、本実施の形態1では、発熱層20bの層厚が、幅方向中央部に比べて幅方向両端部が小さくなるように設定されているが、これについては後で詳しく説明する。
補強層20c(支持層)は、発熱層20bを支持して発熱層20bの強度を補強するためのものである。補強層20cの材料としては、誘導加熱に影響されないセラミック等の非磁性・絶縁性材料や、熱容量の小さなポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の絶縁性・耐熱樹脂材料や、ニッケル、鉄、クロム、又は、それらの合金等の磁性導電性材料を用いることができる。
本実施の形態1では、補強層20cの材料として、層厚が50μmの磁性ステンレス(SUS430)を用いている。これにより、補強層20cの熱容量を比較的小さくすることができる。また、補強層20cを磁性材料で形成することで、励磁コイル25から発生する磁束を補強層20c及び発熱層20bに集中させることができるため、誘導加熱の加熱効率を向上させることができる。
弾性層20dの材料としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等の弾性材料を用いることができる。定着ローラ20に弾性層20dを設けることにより、定着ローラ20に径方向の撓みが生じるために、ニップ部におけるニップ幅を充分に確保することができる。また、定着ローラ20のローラ硬度を加圧ローラ30のものよりも小さくすることで、ニップ部から送出される記録媒体Pの排紙性・分離性を向上させることができる。
また、弾性層20dをスポンジゴムで形成することにより、発熱層20bの発熱を断熱保持することができる。したがって、定着ローラ20の表層側にある離型層20aが迅速に加熱されて、定着ローラ20の表面温度がすばやく昇温するために、記録媒体Pに熱が奪われても定着ローラ20表面にすばやく熱が供給されることになる。
弾性層20dの層厚は5mm以上に設定することが好ましい。これにより、充分なニップ幅を確保することができるとともに、発熱層20bの発熱を充分に断熱保持することができる。
なお、本実施の形態1では、弾性層20dとして、層厚が5mmの発泡シリコーンゴムを用いている。これにより、定着ローラ20の表層側に配置されている発熱層20bの熱が容易に定着ローラ20の内部に流れ込まず、定着ローラ20表面の加熱効率(昇温特性)が向上する。
芯金層20e(芯金)は、ニップ部を形成するために定着ローラ20にかけられる荷重に耐えうる剛性を持たせるために設けるものである。したがって、鉄等の剛性の高い金属を使用することができる。また、芯金層が誘導加熱に影響を与えないようにするために、セラミック等の非磁性かつ絶縁性の材料で芯金層を構成することもできる。
なお、本実施の形態1では、芯金層20eの材料として、層厚が2.0mmの非磁性ステンレス(SUS304)を用いている。
図2を参照して、加圧ローラ30は、アルミニウム、銅等からなる円筒部材32上にフッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性層31が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層31は、肉厚が0.5〜2mmで、アスカー硬度が60〜90度となるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ローラ20に圧接している。そして、定着ローラ20と加圧ローラ30との当接部(ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
誘導加熱部24(磁束発生手段)は、定着ローラ20の外周面に対向するように配設されている。誘導加熱部24は、励磁コイル25、第1コア28、第2コア29(センターコア)、コイルガイド27、等で構成される。
励磁コイル25は、外周面が絶縁被覆された外径0.15mmの銅線が90本束ねられた線束であって、定着ローラ20の外周面に対向するように巻回されている。詳しくは、図3を参照して、励磁コイル25は、第2コア29(センターコア)の周りを周回するように、定着ローラ20の表面を覆うコイルガイド27上の全域にわたって渦巻状に配設されている。
図5を参照して、励磁コイル25は、定着ローラ20(発熱部材)の幅方向(図5の左右方向である。)に沿って直線状に延びた直線部25aと、直線部25aの端部を接続するために屈曲された屈曲部25b(湾曲部)と、を具備している。本実施の形態1では、励磁コイル25の幅方向の長さLが、定着ローラ20(発熱層20b)の幅方向(回転軸方向)の長さHとほぼ等しくなるように設定されている(図5を参照できる。)。すなわち、励磁コイル25の屈曲部25bと、発熱層20b(定着ローラ20)の幅方向端部と、の幅方向の位置がほぼ一致するように構成されている。したがって、励磁コイル25の幅方向の内径(コイル内径)は、発熱層20bの幅方向長さHよりも短くなるように形成されている。
なお、本実施の形態1における画像形成装置は、最大通紙幅が297mm(A4横サイズ)に設定されている。そして、発熱層20b(定着ローラ20)の幅方向長さHが325mm、励磁コイル25の幅方向長さLが320mm(幅方向の内径が300mm)に設定されている。
図2を参照して、コイルガイド27は、耐熱性が高く絶縁性の樹脂材料等からなり、定着ローラ20との対向面の側で励磁コイル25を保持する。
第1コア28は、定着ローラ20の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向するように配設されている。第1コア28の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
第2コア29は、第1コア28よりも定着ローラ20の外周面に近接して対向するとともに、幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設されている。第2コア29の幅方向の長さは、定着ローラ20の幅方向の長さとほぼ等しい。第2コア29の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
また、図示は省略するが、定着ローラの外周面に対向する位置であって、誘導加熱部24から離れた位置には、定着ローラ20の温度を検知する温度センサが配設されている。本実施の形態1では、温度センサとして、定着ローラ20表面の温度を非接触で検知するサーモパイルを用いている。サーモパイルは、反応速度が早いため、細やかな温度制御が可能となる。そして、温度センサによる定着温度の検知結果に基いて、誘導加熱部24による加熱量を調整する。なお、温度センサとしては、サーモパイルの他に、接触型のサーミスタ等を用いることもできる。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
不図示の駆動モータによって、定着ローラ20が図2の時計方向に回転駆動されると、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。そして、定着ローラ20は、誘導加熱部24との対向位置(対向面)で、誘導加熱部24(励磁コイル25)から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル25から発熱層20bに向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、定着ローラ20の発熱層20bに渦電流が生じて、発熱層20bはその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、定着ローラ20は、自身の発熱層20bの電磁誘導によって加熱される。
その後、誘導加熱部24によって加熱された定着ローラ20表面は、加圧ローラ30とのニップ部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、不図示のガイド板に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される。
定着位置を通過した定着ローラ20表面は、その後に再び誘導加熱部24との対向位置に達する。このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以下、本実施の形態1における定着装置19において、特徴的な構成・動作について詳述する。
図5(A)及び図5(B)を参照して、本実施の形態1では、定着ローラの発熱層20bの幅方向端部と、励磁コイル25の屈曲部25bと、の幅方向の位置関係に応じて、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚(図5(B)の上下方向の高さである。)が定められている。
具体的に、本実施の形態1では、発熱層20bの幅方向端部H2と屈曲部25bとの幅方向の位置が一致するように形成されていて、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚が幅方向中央部H1の層厚よりも小さくなるように形成されている。詳しくは、本実施の形態1では、発熱層20bの幅方向端部H2(本実施の形態1では屈曲部25bの位置に相当する。)の層厚が8μm、発熱層20bの幅方向中央部H1(本実施の形態1では直線部25aの位置に相当する。)の層厚が10μm、に設定されている。
このような構成により、定着装置19(励磁コイル25)を大型化・重量化することなく、励磁コイル25によって加熱される定着ローラ20の幅方向の温度分布を充分に均一化することができる。
なお、直線部25aとは定着ローラ20(発熱部材)の幅方向に沿って直線状に延びた領域であって、屈曲部25bとは直線部25aの端部を接続するために屈曲された領域であって励磁コイル25の屈曲が始まる位置から最端部までの領域である。
ここで、本実施の形態1では、発熱層20bの層厚を幅方向の位置によって変化させることで、定着ローラ20の表面に、発熱層20bの層厚差にともなう段差が形成されることになる。しかし、その段差は僅かに2μm(10μm−8μm)であるので、段差によって定着ムラ等の定着不良が生じることはほとんどない。
以下、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚を幅方向中央部H1の層厚よりも小さく形成することで励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層20bの幅方向の温度分布が均一化される理由について詳述する。
まず、本実施の形態1において解決したい課題について整理する。
図6(A)及び図6(B)に示す定着装置(従来の定着装置である。)は、励磁コイルと発熱層との幅方向長さがほぼ等しく設定されていて、発熱層22bの層厚(10μmである。)が幅方向にわたってほぼ均一に形成されている。図6(A)及び図6(B)に示す定着装置は、図5に示す本実施の形態1の定着装置に対して、発熱層20bの層厚を除き、ほぼ同等に構成されている。
図6(C)は、図6(A)及び図6(B)の定着装置において、定着ローラの表面温度を室温から180℃まで昇温させたときの、幅方向の温度分布を示すグラフである。図6(C)において、横軸は定着ローラの幅方向位置を示し、0mmの位置が中点であり、中点から左側の位置は負値で示し、右側の位置は正値で示している。温度分布は、中点(0mm位置)を中心にしてほぼ左右対称になる。
図6(C)に示すように、定着ローラの幅方向中央部の温度はほぼ180℃で均一であるが、中点から±140mmの位置から最端部にかけて温度が低下している。最大通紙幅は297mm(A4サイズ)であるために、A4サイズの記録媒体Pを短手方向を通紙方向として搬送すると、記録媒体Pの端部にあたる±150mmの位置で160℃以下にまで定着温度が落ち込んでいて定着不良が発生してしまう。
このような不具合は、発熱層20bに流れる渦電流が、励磁コイル25の形状に沿うという性質が原因となっている。
図7は、図6(A)及び図6(B)の定着装置における発熱層20bに生じる渦電流の状態を示す模式図である。図7(A)は励磁コイル25を幅方向にみた上面図であって、図7(B)は発熱層20bを幅方向にみた上面図である。
図7(A)及び図7(B)に示すように、励磁コイル25から発生する磁束により発熱層20bには渦電流R(誘導電流)が流れ、その渦電流Rは励磁コイルに流れる電流(すなわち、励磁コイルの形状である。)に沿って流れる。
一方、図7(A)を参照して、励磁コイル25は、1つの線束を周回させて加工されたものであるために、直線部25aの断面積SA(コイル電流に直交する面にコイルが占める面積である。)と、屈曲部25bの最端部(コイルが屈曲されて幅方向に直交する方向に延びた領域である。)の断面積SBと、がほぼ等しくなる。そのため、屈曲部25bの中部(コイルが屈曲されている領域である。)の断面積SCは、上述の断面積SAや断面積SBに比べて大きくなってしまうことになる。したがって、励磁コイルを構成する線束に流れる電流はどの場所でも一定であるので、断面積SCの位置でのコイルの電流密度は、断面積SA及び断面積SBの位置でのコイルの電流密度よりも小さくなってしまう。コイルの電流密度とそれに対する発熱層に流れる渦電流は比例するため、コイル断面積SA,SB、SCに対応する発熱層の位置SA´、SB´、SC´において、位置SC´における渦電流密度が、位置SA´、SB´における渦電流密度より小さくなってしまう。したがって、位置SC´における発熱量は、位置SA´、SB´の発熱量に比べて低下してしまう。このような理由から、図6(C)に示すように、励磁コイル25の屈曲部25bに対応する、定着ローラ20の幅方向両端部で、発熱層20bの発熱量の低下にともなう、温度低下が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態1では、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚が幅方向中央部H1の層厚よりも小さくなるように形成しているために、良好な昇温特性を維持しつつ、定着ローラの幅方向の温度分布を均一化することができる。
図8にて、その効果について説明する。図8は、板状の発熱層20bを誘導加熱したときの、交流磁場解析シミュレーションにより計算した渦電流分布である。
図8(A1)は従来の発熱層20b(層厚が幅方向にわたって10μmで均一化されているものである。)の計算モデルであって、図8(B1)は本実施の形態1の発熱層20b(幅方向中央部H1の層厚が10μm、幅方向端部部H2の層厚が5μmのものである。)の計算モデルである。どちらの計算モデルも、上端の破線部と左端の破線部とを対称軸とした左右対称の1/4モデルであり、発熱層20bの材料は銅であって、矢印方向にコイル電流が流れる。また、図8(B1)の計算モデルは、幅方向端部H2の長さを10mmに設定した。
図8(A2)及び図8(B2)は、それぞれ、図8(A1)及び図8(B1)の計算モデルに対応した渦電流分布の計算結果である。図8(A2)及び図8(B2)において、発熱層のそれぞれの位置の渦電流の大きさをベクトルで表しており、渦電流の大きな流れを矢印Rで示している。
図8(A2)及び図8(B2)に示す計算結果からわかるように、双方の計算モデルにおいて、発熱層の最端部(図の下端である。)から中央側100mmの位置までの渦電流の流れ方が大きく異なる。具体的に、図8(A1)のモデルは、渦電流が、発熱層の最端部で幅方向に直交する方向に沿って流れて、大きな曲率をもって緩やかに折れ曲がり、幅方向中央部では幅方向に沿って流れる。これに対して、図8(B1)のモデルは、最端部に流れる渦電流が、小さな曲率で急峻に折れ曲がった後に、幅方向に沿って流れている。
これは、図8(B1)のモデルが、発熱層端部の層厚が中央部の層厚よりも薄く形成されていて、端部の電気抵抗が高くなるためである。すなわち、発熱層端部の電気抵抗が中央部よりも高いため、渦電流は、電気抵抗が低い中央部をできるだけ通るような経路をとって、端部と中央部の境界で急峻に折れ曲がる。したがって、図8(B1)のモデルでは、層厚が均一な図8(A1)のモデルに比べて、渦電流が折れ曲がる部分(渦電流密度が低下する部分である。)を少なくすることができる。これらの計算結果からも、発熱層の端部の層厚と中央部の層厚とを異ならせることにより、端部の渦電流分布を制御できることがわかる。
図9は、図8と同様の計算モデルを交流磁場解析シミュレーションにより計算したときの、発熱層の幅方向の発熱量分布を示すグラフである。
図9において、横軸は幅方向の位置を表していて、0mmの位置が発熱層の最端部であり、正方向が発熱層の中央への方向である。また、縦軸の発熱量は、幅方向のそれぞれの位置の発熱量を、発熱層の幅方向中央部の発熱量で割った値である。また、図9において、グラフW0は発熱層の層厚が幅方向にわたって均一のとき(端部層厚10μm、中央部層厚10μmのときである。)の結果を示し、グラフW1は発熱層の幅方向端部(最端部から10mmの領域である。)の層厚が薄いとき(端部層厚8μm、中央部層厚10μmのときである。)の結果を示し、グラフW2は発熱層の幅方向端部(最端部から10mmの領域である。)の層厚がさらに薄いとき(端部層厚5μm、中央部層厚10μmのときである。)の結果を示す。
図9に示すように、端部の層厚を中央部よりも薄くした発熱層は、層厚が幅方向にわたって均一な発熱層と比較して、発熱量が最も低下する部分(最端部から10mmの位置である。)と、その低下量はあまり変わらないが、10mm位置から最端部(0mm位置)までの間の発熱量が大きく異なる。端部の層厚を中央部よりも薄くした発熱層は、発熱量が低下する範囲が小さく、また層厚を薄くした部分の発熱量は中央部のものよりも大きい。
発熱量が低下する範囲が小さくなる理由は、上述の渦電流分布より、渦電流が端部で急峻に折れ曲がることによる。また、層厚を薄くした部分の発熱量が中央部よりも大きくなる理由は、発熱層端部の電気抵抗が大きくなりジュール熱が大きくなることによる。
このようなことから、発熱層中央部よりも温度が低下しやすい発熱層端部の層厚を中央部よりも薄くすることにより、発熱層が幅方向の端部で温度低下する問題を解決できることがわかる。
ただし、図9から、発熱層端部の厚さを薄くしても、発熱層最端部の発熱ピークは消失しないことがわかる。これは、発熱層最端部では、渦電流が、コイル形状に沿ってではなく、半強制的に折曲がって流れるため、渦電流が集中的に流れることと、発熱層よりも外側のコイルから発生する磁束が発熱層の最端部を加熱することと、による。そのため、屈曲部25bも含めた励磁コイル25の幅方向長さLを、発熱層25aの幅方向長さHよりも長くしてしまうと、端部の発熱量が増加してしまう。
したがって、本実施の形態1では、発熱層20bの幅方向両端部H2の層厚が幅方向中央部H1の層厚よりも小さくなるように構成するとともに、励磁コイル25の幅方向長さLが発熱層20bの幅方向長さとほぼ等しくなるように(屈曲部25bの幅方向位置が発熱層20bの幅方向端部H2とほぼ一致するように)構成している。これにより、発熱層20bの幅方向の温度分布を均一化することができる。
図10は、本実施の形態1における定着装置19の、(A)励磁コイルを幅方向にみた上面図と、(B)定着ローラの発熱層を幅方向にみた断面図と、(C)定着ローラの表面温度を室温から180℃まで昇温させたときの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。図10(C)において、グラフNは発熱層20bの層厚が幅方向にわたって均一のもの(従来の定着装置である。)であって、グラフMは本実施の形態1のものである。
図10(C)から、発熱層の温度が低下しやすい領域(幅方向両端部H2)の層厚を幅方向中央部H1よりも小さくすることで、幅方向両端部の温度低下が抑止されることがわかる。具体的に、定着ローラの幅方向の温度分布ムラは180±5℃の範囲内になり、幅方向の温度分布が均一化された。
また、中央から±140mmの位置では、発熱層の渦電流の折り返しにより若干の温度低下が見られるが、従来のものと比較すると、温度低下する量も範囲も著しく小さくなっている。
また、コイルの幅方向長さLが、発熱層20bの幅方向長さHとほぼ等しいため、渦電流は基本的にコイル形状に沿って流れて、発熱層最端部の温度ピークは低下している。
なお、発熱層20bの温度が低下する部分はコイルの屈曲部25bに対応する部分であるため、発熱層20bの、コイル屈曲部25bと直線部25aとの境界に対応する位置から最端部までの領域で、発熱層20bの層厚を小さくすることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態1では、発熱層20bの幅方向端部H2と励磁コイル25の屈曲部25bとの幅方向の位置関係に応じて、発熱層20bの幅方向端部H2の層厚を最適化している。これにより、定着装置19(誘導加熱部24)を大型化・重量化することなく、励磁コイル25によって加熱される定着ローラ20(発熱部材)の幅方向の温度分布を充分に均一化することができる。
特に、本実施の形態1では、励磁コイル25の長さLが発熱層20b(定着ローラ20)の長さよりも大きくならないように構成しているために、装置の小型化が達成されるとともに、定着ローラの両端部に具備される軸受等が励磁コイル25の磁界により発熱する不具合も抑止することができる。
実施の形態2.
図11〜図16にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図11は、実施の形態2の定着装置19における励磁コイル25と発熱層20bとの幅方向の関係を示す図であって、前記実施の形態1における図5に相当する図である。
本実施の形態2における定着装置19は、励磁コイル25の長さLが定着ローラ(発熱層20b)の長さHよりも大きく設定されていて、それに合わせて発熱層20bの幅方向の層厚が定められている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図11を参照して、本実施の形態2における定着装置19は、励磁コイル25の幅方向の長さLが、定着ローラ20(発熱層20b)の幅方向(回転軸方向)の長さHより長くなるように設定されている。そして、発熱層20b(定着ローラ20)の幅方向端部H2aに対して外側に、励磁コイル25の屈曲部25bが配設されている。さらに、励磁コイル25の幅方向の内径(コイル内径)が、発熱層20bの幅方向長さHよりも長くなるように形成されている。
なお、本実施の形態2における画像形成装置は、最大通紙幅が297mm(A4横サイズ)に設定されている。そして、発熱層20b(定着ローラ20)の幅方向長さHが325mm、励磁コイル25の幅方向長さLが365mm(幅方向のコイル内径が325mm)に設定されている。
そして、本実施の形態2においても、図11(A)及び図11(B)を参照して、定着ローラの発熱層20bの幅方向端部H2aと、励磁コイル25の屈曲部25bと、の幅方向の位置関係に応じて、発熱層20bの幅方向端部H2a(境界部H2bも含む。)の層厚が定められている。
具体的に、本実施の形態2では、発熱層20bの幅方向端部H2aに対して外側に屈曲部25bの幅方向の位置が定められていて、発熱層20bの幅方向端部H2aの層厚が幅方向中央部H1の層厚よりも大きくなるように形成され、幅方向端部H2aと幅方向中央部H1との境界部H2bの層厚が幅方向中央部H1の層厚よりも小さくなるように形成されている。さらに詳しくは、本実施の形態2では、発熱層20bの幅方向端部H2a(本実施の形態2では、最端部から10mmの範囲である。)の層厚が15μm、発熱層20bの境界部H2b(本実施の形態2では、最端部から10〜40mmの範囲である。)の層厚が8μm、発熱層20bの幅方向中央部H1の層厚が10μm、に設定されている。
このような構成により、定着装置19(励磁コイル25)をそれほど大型化・重量化することなく、励磁コイル25によって加熱される定着ローラ20の幅方向の温度分布を充分に均一化することができる。
なお、本実施の形態2における定着装置19は、上述した励磁コイル25の長さLと発熱層20bの層厚とを除き、前記実施の形態1のものとほぼ同様に構成され動作する。
以下、コイル長Lが発熱層の長さHよりも長いときに発熱層20bの層厚を上述のように構成することにより励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層20bの幅方向の温度分布が均一化される理由について詳述する。
まず、本実施の形態2において解決したい課題について整理する。
図12(A)及び図12(B)に示す定着装置(特許文献1等の従来の定着装置である。)は、励磁コイルの幅方向長さLが発熱層の幅方向長さHよりも大きく設定されていて、発熱層22bの層厚(10μmである。)が幅方向にわたってほぼ均一に形成されている。図12(A)及び図12(B)に示す定着装置は、図11に示す本実施の形態2の定着装置に対して、発熱層20bの層厚を除き、ほぼ同等に構成されている。このように、従来の定着装置は、コイルの直線部25aのみを発熱層20bに直接的に対向させるように構成することで、発熱層20bに生じる渦電流をできるだけ直線化しようとしている。
図12(C)は、図12(A)及び図12(B)の定着装置において、定着ローラの表面温度を室温から180℃まで昇温させたときの、幅方向の温度分布を示すグラフであって、前記実施の形態1における図6(C)に相当するグラフである。なお、図12(C)において、グラフQ1は補強層20cに磁性ステンレス(SUS430)を用いたときの温度分布を示し、グラフQ2は補強層20cに非磁性ステンレス(SUS304)を用いたときの温度分布を示す。
図12(C)に示すように、±140mmの位置に、図6(C)よりは改善されているが、温度が低下している領域がある。また、図6(C)とは大きく異なり、±150mmの位置から最端部にかけて、定着ローラの温度が非常に高くまで昇温している。
このように、従来の定着装置は、コイルの直線部25aのみを発熱層20bに対向させるように構成することで、定着ローラの端部の温度低下の改善が若干見られる反面、最端部の温度ピークの発生により定着ローラ端部の温度が不均一になってしまう。
また、補強層20cを磁性材料で形成した場合には、温度分布の不均一性がより大きくなることがわかる。しかし、補強層20cを磁性材料で形成することにより、発熱層20bに磁束が集中して高効率な加熱がおこなえる。これに対して、補強層20cを非磁性材料で形成した場合には、発熱層の幅方向の温度分布の不均一性が若干解消される反面、加熱効率が低下してしまう。
最大通紙幅の端部にあたる±150mmの位置では、定着温度が160℃以上あるものの、中央部よりも温度が低いことには変わりなく、A4サイズ紙の横方向通紙を連続的におこなうと定着不良が発生する可能性がある。
また、定着ローラの幅方向の温度分布が不均一であると、定着装置の立ち上げ特性(昇温特性)が悪化する。なお、「立ち上げ特性」とは、定着ローラがトナーを定着するのに必要な温度まで昇温する時間の短さであって、昇温時間が短いほどよく、ユーザーにとって使いやすい画像形成装置ということになる。
なお、図12の定着装置において、装置の立ち上げに必要な定着設定温度は180℃である。従来の定着装置は、1200Wの電力を投入すると、定着ローラが180℃にまで昇温する時間(立ち上げ時間)は、中央部で10秒、端部で13秒であった。したがって、定着ローラの大部分の昇温が10秒で完了しているにもかかわらず、端部の昇温が未完了であり、装置としての立上時間は13秒となってしまい、非常に非効率な加熱をおこなっていることになる。
また、定着ローラの最大通紙幅よりも端部側にあたる±150mm以上の領域は、記録媒体の画像には影響を与えないが、定着ローラの最端部が異常に発熱する。したがって、定着ローラの寿命の短命化や端部の異常発熱を防止するため、安全装置(サーモスタット等)の設置が必要になってしまう。
また、励磁コイル25の幅方向長さLを定着ロー20よりも長くすることで、励磁コイル25の屈曲部25bの磁束が定着ローラ20以外の金属部品(例えば、定着ローラの軸受)を誘導加熱してしまうため、その金属部品を高耐熱性、断熱性を考慮した材料で形成しなければならずコストアップの原因となる。
本願発明者は、研究を重ねた結果、これらの現象が、発熱層の最端部では、発熱層に流れる渦電流が、コイル形状に沿わずに、折れ曲がって流れることによるものであることを知得した。
図13(A)及び図13(B)は、図12(A)及び図12(B)の定着装置における発熱層20bに生じる渦電流の状態を示す模式図であって、前記実施の形態1における図7(A)及び図7(B)に相当する図である。
図13(A)及び図13(B)に示すように、発熱層の渦電流Rは、幅方向中央部において、コイル形状に沿って直線的に流れる(図13(A)の矢印に示すコイル電流とは逆向きに流れる。)。これに対して、発熱層の渦電流Rは、幅方向両端部において、コイル形状に沿わずに、屈曲して流れる。これは、発熱層が導電性材料で形成されているため、発熱層に流れる電流が常に短絡した状態になる経路をとることによる。そのため、発熱層に流れる渦電流は、一番安定した状態で、その大部分がコイル直線部25aに沿って流れ、発熱層端部で折れ曲がってループ状に流れることになる。
したがって、発熱層端部に対向するコイルの形状に関わらず、渦電流は発熱層端部で必ず屈曲して流れることになり、図7と同様に、渦電流が直線に流れる領域SA´、渦電流の屈曲が完了する領域SB´、渦電流が屈曲する領域SC´が形成されることになる。ここでも、領域SC´での渦電流密度が、領域SA´及びSB´の渦電流密度よりも小さくなってしまい、その結果、その領域での発熱量が低下してしまう。
本願発明者が実験をおこなったところ、図12の従来の定着装置では、発熱層の最端部から10〜40mm程度中央部寄りの位置で、発熱層端部の温度低下が生じていているのを確認した。発熱層の最端部から10〜40mmの位置で、発熱層を流れる渦電流が屈曲し始めているものと考えられる。
また、渦電流は、コイル形状に沿ってではなく、半強制的に折曲がるため発熱層の最端部には渦電流が集中的に流れて、領域SB´での渦電流密度が領域SA´での渦電流密度よりも高くなる。
さらに、従来の定着装置は、コイルの幅方向長さが発熱層の幅方向長さよりも長くなるように設定しているため、発熱層よりも外側のコイルから発生する磁束が、発熱層の最端部を加熱して、発熱層の最端部では発熱のピークが発生する。このとき、補強層が磁性材料で形成されていれば、発熱層よりも外側のコイルから発生する磁束が、発熱層の最端部に集中しやすくなる。そのため、図12(C)で説明したように、発熱層の最端部が過昇温するものと考えられる。
図14は、先に説明した図9の発熱量分布(計算結果)に、グラフW3を追加したものである。
図14において、グラフW3は、発熱層の幅方向端部(最端部から10mmの領域である。)の層厚が厚いとき(端部層厚15μm、中央部層厚10μmのときである。)の結果を示す。
図14の結果から、発熱層の幅方向端部の層厚が厚いときには、層厚が幅方向にわたって均一な発熱層のもの(グラフW0)と比較すると、層厚を厚くした部分の発熱量が低下していることがわかる。層厚を厚くした部分の発熱量が中央部よりも小さくなったのは、発熱層端部の電気抵抗が小さくなりジュール熱が小さくなったことによる。
本実施の形態2における定着装置では、このような現象を利用することにより、発熱層の幅方向の最端部で、温度が異常昇温する課題を解決している。
すなわち、誘導コイル25の幅方向長さLを、発熱層20bの幅方向長さHよりも長く設定して、発熱層20bの最端部H2a(温度が昇温すると予測される位置である。)の層厚を中央部H1の層厚よりも厚く設定し、さらにその内側の境界部H2b(温度が低下すると予測される位置である。)の層厚を中央部H1の層厚よりも薄く設定する。
これにより、励磁コイル25によって電磁誘導加熱される発熱層20bの幅方向の温度分布を均一化することができる。
図15は、本実施の形態2における定着装置19の、(A)励磁コイルを幅方向にみた上面図と、(B)定着ローラの発熱層を幅方向にみた断面図と、(C)定着ローラの表面温度を室温から180℃まで昇温させたときの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。図15(C)において、グラフNは発熱層20bの層厚が幅方向にわたって均一のもの(従来の定着装置であって、補強層に磁性ステンレスを用いている。)であって、グラフMは本実施の形態2のものである。
図15(C)から、発熱層の境界部H2b(渦電流が屈曲することにより発熱層の温度が低下する位置であって、±130〜150mmの領域である。)の層厚を8μmとして中央部H1の層厚よりも薄くすることにより、その位置の温度低下が全体的に改善されることがわかる。
また、コイルの幅方向長さLが発熱層の幅方向長さHよりも長くても、発熱層の両端部H2a(最端部)の層厚を15μmとして中央部H1の層厚よりも厚くすることにより、ジュール熱による発熱が低下して、その位置の異常な過昇温が抑止される。
具体的に、定着ローラの幅方向の温度分布ムラは180±5℃の範囲内になり、幅方向の温度分布が均一化された。
ここで、各実施の形態の定着装置において、発熱層20bの体積抵抗率が1.8×10-7Ω・cm以下になるように形成することが好ましい。具体的には、発熱層20bの層厚が1〜50μmのときに良好に誘導加熱をおこなえる金属材料で発熱層20bを形成することが好ましい。
以下、その理由について説明する。
各実施の形態では、発熱層20bの材料として銅を用いていて、幅方向中央部H1の層厚を10μm、幅方向端部H2(又は境界部H2b)の層厚を8μmに設定している。発熱層20bの電気抵抗は、発熱層の層厚に反比例するため、中央部の発熱層に対して端部(又は境界部)の発熱層の抵抗は25%増加したことになる。発熱層(銅層)は極めて薄層であるため、端部にて2μm厚さを変えただけで抵抗を25%変動させることができる。
各実施の形態のように発熱層の層厚が幅方向の位置によって変化すると、ニップ部において記録媒体に対する定着ローラの圧接力が幅方向に不均一になり、定着画像に悪影響を与える可能性がある。しかし、銅のように発熱層の層厚を僅かに変化させただけで電気抵抗を大きく変動させることができる材料を発熱層に使用することで、この課題を解決することができる。本願発明者が実験をおこなったところ、各実施の形態において、発熱層の幅方向の層厚差による、記録媒体の定着ムラは発生しないことを確認した。
これに対して、発熱層を非磁性ステンレス(SUS304)にて形成する場合、発熱層(中央部)の層厚を0.7mmに設定する必要がある。これは、非磁性ステンレス(SUS304)の体積抵抗率が7.2×10-7(Ω・m)であって、銅の体積抵抗率1.72×10-7(Ω・m)と比較して、極めて高くて、銅のように薄層の形状では充分な加熱効率が得られないためである。
そして、発熱層を非磁性ステンレス(SUS304)にて形成する場合、充分な加熱効率を確保するとともに、端部の電気抵抗を中央部のものより25%増加させるためには、中央部の層厚を0.7mm、両端部の層厚を0.56mmに設定する必要がある。このような場合には、中央部と端部との発熱層の層厚差が140μmになってしまう。このような発熱層を有する定着ローラ(離型層の層厚は幅方向に均一に30μmとした。)を用いて、本願発明者が実験をおこなったところ、出力画像の端部と中央部とに光沢の違いが見られた。これは、定着ローラの端部と中央部とで、ニップ部において記録媒体に対する圧接力が異なることが原因と考えられる。
このように発熱層を非磁性ステンレス(SUS304)にて形成する場合のように、発熱層の層厚が幅方向の位置によって大きく変化してしまうとき、発熱層20bの幅方向の層厚の違いに合わせて、離型層20a(表層)の層厚を幅方向の位置によって変化させることもできる。すなわち、離型層20aの両端部の層厚が中央部の層厚に比べて厚くなるように構成して、定着ローラ20の表面を幅方向にわたってフラットに形成することができる。しかし、その場合には、離型層を形成する際の工程が複雑になってしまうことになる。
以上のことから、発熱層20bは、その層厚が1〜50μmのときに良好に誘導加熱をおこなえる金属材料で形成することが好ましいことになる。すなわち、発熱層20bは、体積抵抗率が1.8×10-7Ω・cm以下の電気導電性がよい材料で形成することが好ましい。
図16は、前記実施の形態1の定着装置(補強層20cを層厚50μmの磁性ステンレスSUS430で形成したものである。)を用いて、層厚が10μmの発熱層の体積抵抗率が変化した場合の発熱層の発熱効率を、交流磁場解析シミュレーションにより計算した結果を示すグラフである。ここで、発熱層の発熱効率とは、励磁コイルに投入した電力のうち、発熱層の実際の発熱に供した電力の割合であり、発熱効率が高いほど加熱効率の良い定着装置ということになる。
図16より、層厚が10μmの発熱層の体積抵抗率が0.1×10-7〜0.6×10-7Ω・cmであるときに特に高い発熱効率を示し、体積抵抗率がそれ以上高くなると徐々に発熱効率が低下していくことがわかる。したがって、発熱層20bは、発熱効率が90%以上になる、体積抵抗率が1.8×10-7Ω・cm以下になる金属材料で形成することが好ましい。発熱層20bの材料としては、例えば、ニッケル(体積抵抗率:0.724×10-7Ω・cm)を用いることができ、好ましくは体積抵抗率が0.1×10-7〜0.6×10-7Ω・cmである銅、アルミニウム、金、銀等の良伝導性の材料を用いることができる。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、発熱層20bの幅方向端部H2aと励磁コイル25の屈曲部25bとの幅方向の位置関係に応じて、発熱層20bの幅方向端部H2a、H2b(境界部も含む。)の層厚を最適化している。これにより、定着装置19(誘導加熱部24)をそれほど大型化・重量化することなく、励磁コイル25によって加熱される定着ローラ20(発熱部材)の幅方向の温度分布を充分に均一化することができる。
特に、本実施の形態2では、品質管理上等の理由からコイル端部の形状を高精度に設定できない場合等であっても、発熱層の最端部の温度を複雑に制御することなく、簡単な構成で、発熱層の幅方向の発熱分布を均一化することができる。
実施の形態3.
図17にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図17は、実施の形態3における定着装置19を示す断面図である。本実施の形態3における定着装置19は、定着部材として定着ベルト60を用いている点が、定着部材として定着ローラ20を用いている前記各実施の形態のものとは相違する。
図17に示すように、本実施の形態3における定着装置19は、誘導加熱部24、定着ベルト60(定着部材)、発熱部材としての加熱ローラ41、定着補助ローラ50、加圧ローラ30、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ50は、ステンレス鋼等からなる芯金の表面に、発泡シリコーンゴム等の弾性層を形成したものである。定着補助ローラ50の弾性層は、肉厚が1〜5mmで、アスカー硬度が30〜60度となるように形成されている。また、定着補助ローラ50の外径は、40mmに設定されている。
発熱部材としての加熱ローラ41は、磁性ステンレス(SUS430)等からなり補強層としても機能する芯金41a(肉厚は0.1mmである。)の表面に、銅からなる発熱層41b(幅方向中央部の層厚は10μmである。)を形成したものである。
加熱ローラ41の発熱層41bは、前記各実施の形態のものと同様に、発熱層41bの幅方向端部と、励磁コイル25の屈曲部25bと、の幅方向(図17の紙面垂直方向である。)の位置関係に応じて、発熱層41bの幅方向端部の層厚が定められている。
加熱ローラ41は、図17の時計方向に回転する。そして、加熱ローラ41の発熱層41bは、誘導加熱部24(励磁コイル25)から発せられる磁束によって誘導加熱される。
定着ベルト60は、加熱ローラ41及び定着補助ローラ50(2つのローラ部材である。)に張架・支持されている。
定着ベルト60は、基材上に、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物からなる離型層、が順次積層された多層構造のエンドレスベルトである。
定着ベルト60は、図17の時計方向に周回する。そして、定着ベルト60は、加熱ローラ41から発せられる熱によって加熱される。
誘導加熱部24は、前記各実施の形態のものと同様に、励磁コイル25、第1コア28、第2コア29(センターコア)、コイルガイド27、等で構成される。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
定着補助ローラ50の回転駆動によって、定着ベルト60は図17中の時計方向に周回するとともに、加熱ローラ41も時計方向に回転して、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。定着ベルト60は、加熱ローラ41に巻装された位置で加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル25から加熱ローラ41(発熱層41b)に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、加熱ローラ41の発熱層41bに渦電流が生じて、発熱層41bの電気抵抗によってジュール熱が発生して、加熱ローラ41が加熱される。こうして、定着ベルト60は、加熱ローラ41からの受熱によって加熱される。
その後、加熱ローラ41によって加熱された定着ベルト60表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
定着位置を通過した定着ベルト60表面は、その後に再び加熱ローラ41の位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、発熱層41bの幅方向端部と励磁コイル25の屈曲部との幅方向の位置関係に応じて、発熱層41bの幅方向端部の層厚を最適化している。これにより、定着装置19(誘導加熱部24)を大型化・重量化することなく、励磁コイル25によって加熱される加熱ローラ41(又は、定着ベルト60)の幅方向の温度分布を充分に均一化することができる。
特に、本実施の形態3では、定着ベルト60を加圧ローラ30に圧接してニップ部を形成しているために、充分なニップ幅を確保することができる。また、層厚差のある発熱層41bを有する加熱ローラ41は、ニップ部において記録媒体Pに直接的に接触することがないため、発熱層41bの材料(層厚)に関わらず記録媒体Pに対する圧接力が幅方向に不均一になる不具合が生じない。したがって、発熱層41bの材料の選択肢が増すことになる。
なお、本実施の形態3では、定着ベルト60を介して加熱ローラ41の外周面に対向する位置に誘導加熱部24を配設したが、加熱ローラ41の外周面に直接的に対向するように誘導加熱部24を配設することもできる。すなわち、誘導加熱部24を、定着ベルト60を介することなく、加熱ローラ41に直接的に対向させることができる。その場合にも、本実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態3では、加熱ローラ41のみが誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される構成とした。これに対して、定着ベルト60に発熱層を設けることで、定着ベルト60と加熱ローラ41とがどちらも誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される構成とすることもできるし、定着ベルト60のみが誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される構成とすることもできる。その場合にも、定着ベルト60の発熱層の幅方向端部と励磁コイル25の屈曲部との幅方向の位置関係に応じて発熱層の幅方向端部の層厚を最適化することで、上述した発熱層の材料の選択肢の効果を除き、本実施の形態3とほぼ同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 図1の画像形成装置に設置された定着装置を示す断面図である。 励磁コイルを示す斜視図である。 定着ローラを示す部分拡大断面図である。 (A)励磁コイルを幅方向にみた上面図と、(B)発熱層を幅方向にみた断面図と、である。 従来の定着装置の、(A)(B)励磁コイルと発熱層との幅方向の関係を示す図と、(C)定着ローラの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。 従来の定着装置の、発熱層に生じる渦電流の状態を示す模式図である。 発熱層に生じる渦電流のシミュレーション結果を示す図である。 発熱層の幅方向の発熱分布を示すグラフである。 (A)(B)励磁コイルと発熱層との幅方向の関係を示す図と、(C)定着ローラの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。 この発明の実施の形態2における定着装置の、(A)励磁コイルを幅方向にみた上面図と、(B)発熱層を幅方向にみた断面図と、である。 従来の定着装置の、(A)(B)励磁コイルと発熱層との幅方向の関係を示す図と、(C)定着ローラの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。 従来の定着装置の、発熱層に生じる渦電流の状態を示す模式図である。 発熱層の幅方向の発熱分布を示すグラフである。 実施の形態2における定着装置の、(A)(B)励磁コイルと発熱層との幅方向の関係を示す図と、(C)定着ローラの幅方向の温度分布を示すグラフと、である。 発熱層の体積抵抗率と発熱効率との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態3における定着装置を示す断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
19 定着装置、
20 定着ローラ(定着部材、発熱部材)、
20a 離型層、
20b 発熱層、
20c 補強層、
20d 弾性層、
20e 芯金層(芯金)、
24 誘導加熱部、
25 励磁コイル、
25a 直線部、
25b 屈曲部、
30 加圧ローラ、
41 加熱ローラ(発熱部材)、
50 定着補助ローラ、
60 定着ベルト(定着部材、発熱部材)。

Claims (8)

  1. トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
    発熱層を有する発熱部材と、
    前記発熱部材に対向するように巻回されるとともに、電磁誘導により前記発熱層を加熱する励磁コイルと、
    を備え、
    前記励磁コイルは、前記発熱部材の幅方向に沿って直線状に延びた直線部と、前記直線部の端部を接続するために屈曲された屈曲部と、を具備し、
    前記発熱層の幅方向端部と前記屈曲部との幅方向の位置関係に応じて、該発熱層の該幅方向端部の層厚が定められたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記発熱層の幅方向端部と前記屈曲部との幅方向の位置を一致させる場合に、該発熱層の該幅方向端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも小さくなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記発熱層の幅方向端部に対して外側に前記屈曲部の幅方向の位置を定める場合に、該発熱層の該幅方向端部の層厚が幅方向中央部の層厚よりも大きくなるように形成して、該幅方向端部と該幅方向中央部との境界部の層厚が該幅方向中央部の層厚よりも小さくなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記発熱部材は、前記発熱層の強度を補強する補強層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記補強層は、磁性材料で形成されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記発熱層は、その体積抵抗率が1.8×10-7Ω・cm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記発熱層は、銅で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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