JP2009002939A - アンペロメトリック型バイオセンサ - Google Patents

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康夫 井福
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Abstract

【課題】検出感度が高く、小型で安価なセンサユニット、及びそれを含む分析装置を提供する。
【解決手段】センサユニットは、絶縁性の基板11上に少なくとも対極19とナノチューブ状構造体を含む作用極18を有するアンペロメトリック型電極である電極部を有し、前記両電極に、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が形成されており、前記感知部における電荷の変化を電流変化として捉える。各種検出対象物質の、例えば、化学的反応測定又は免疫学的反応測定の用途に適用することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、抗原/抗体、レセプタ/リガンド、酵素/基質、核酸間ハイブリダイゼーション、イオン/イオン感応物質等の(相互作用対の構成員間の)相互作用を利用した、簡易、迅速、安価且つ高感度な電気的測定法及びそのためのセンサユニット、ストリップ並びに分析装置に関する。
なお、電気的測定法とは、少なくとも作用極と対極を備えた電極を利用したアンペロメトリック型測定法と、トランジスタを利用したボルタノメトリック型測定法とが含まれ、トランジスタとは、以下の説明において、特に断らない限り、電界効果トランジスタ(FET)及び単一電子トランジスタ(SET)のいずれをも含む。
本明細書における「測定」及び「検出」には、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」と、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」とが含まれ、両者を特別な場合を除き、区別しない。
アンペロメトリック型測定法に利用される電極部は、基板上に少なくとも作用極と対極を有し、前記アンペロメトリック型測定法は電極部近傍で発生した電極活性物質を作用極と対極間に所定電圧を印加することにより、両極間に流れる前記電極活性物質の量に対応した電流信号を測定する方法である。
一方、ボルタノメトリック型測定法に利用されるトランジスタは、ゲートに入力される電圧信号を、ソース電極あるいはドレイン電極から出力される電流信号に変換する素子である。ソース電極とドレイン電極との間に電圧を加えると、両者の間に形成されたチャネルに存在する荷電粒子がソース電極とドレイン電極との間を電界方向に沿って移動し、ソース電極あるいはドレイン電極から電流信号として出力される。
この際、出力される電流信号の強さは荷電粒子の密度に比例する。絶縁体を介してチャネルの上方、側面、あるいは下方などに設置したゲートに電圧を加えると、チャネルに存在する荷電粒子の密度が変化するため、これを利用して、ゲート電圧を変化させることにより電流信号を変化させることができる。
現在知られているアンペロメトリック型測定法に利用される化学物質検出素子(センサ)の具体的な例としては、非特許文献1に記載されているものが挙げられる。非特許文献1には、電流信号を検出するために基板上に櫛歯型電極を平面的に配置し、陽極と陰極の電極を独立して電位制御することで検出対象物質と電極近傍に固定化された物質と酵素標識物質の反応により産生される酸化還元物質(酸化型と還元型が可逆的に生じる酸化還元物質)の増幅された電気的な検出信号の変化を読み取ることによって、検出対象物質を検出することができることが示されている。
また、電極部に金、カーボン、白金等の従来から広く利用されている導電性物質を用いたアンペロメトリック型測定法とイムノクロマト法と組み合わせることにより、抗原抗体反応を利用した簡便な免疫測定方法として特許文献1に記載されているものが挙げられる。
一方、現在知られている、トランジスタを用いた化学物質検出素子(センサ)は上に述べたトランジスタの原理を応用したものである。具体的なセンサの例としては、特許文献2に記載されているものが挙げられる。特許文献2には、トランジスタのゲートに検出対象物質と選択的に反応する物質を固定化した構造を有するセンサが記載されている。検出対象物質とゲートに固定化された物質との反応によるゲート上の表面電荷の変化により、ゲートにかかる電位が変化するため、チャネルに存在する荷電粒子の密度が変化する。これによって生じるトランジスタのドレイン電極あるいはソース電極からの出力信号の変化を読み取ることによって、検出対象物質を検出することができる。
しかしながら、特許文献2のような従来のセンサは、検体を前処理することにより、検出対象物質と選択的に反応する物質との反応を阻害する物質を除去する際、あるいは反応によるゲート上の表面電荷の変化量を大きくするための物質を新たに添加する際、測定操作が複雑となり、分析に時間がかかり、簡便、安価に且つ迅速に分析を行うことができない、等の問題点が生じる。
また、トランジスタを用いた化学物質検出素子(センサ)は、ゲート上の表面電位が変化しなければ、検出することが難しいため、多くの生体分子(酵素)の反応や生化学反応の場合、反応前後において表面電位が変化する特殊な反応系を利用しなければならないなど、あらゆる酵素や生化学反応に応用することが難しい。さらに、トランジスタを用いた化学物質検出素子(センサ)は高価であるため、一般的に、医療診断分野で求められている、臨床検査のPOCT化(ポイントオブケアテスト:患者により近いところで検査を迅速に行う)の実現のためには課題となる。
また、非特許文献1のようなアンペロメトリック型測定法に利用される化学物質検出素子(センサ)の場合も前記と同様に、検体を前処理することにより、検出対象物質と選択的に反応する物質との反応を阻害する物質を除去する際、測定操作が複雑となり、分析に時間がかかる等の問題点が生じる他、そもそも検出感度が低いため、検体中の検出対象物質が極微量の場合、検出が困難となる。しかし、このセンサは、比較的安価で、その原理から多くの生体分子(酵素)の反応や生化学反応に応用することが可能である。
また、特許文献1のようなアンペロメトリック型測定法に利用される化学物質検出素子(センサ)の場合、非特許文献1のような利点や、イムノクロマト法との組み合わせによる検体の処理や反応の工程の簡略化により、簡便、安価ではあるが、電極部が通常の導電性物質を使用しているため、そもそも検出感度が低いため、検体中の検出対象物質が極微量の場合、検出が困難となり、実用化には到っていない。
特開2001−153838号公報 特開平10−260156号公報 「アナリティカル・ケミストリー(Analytical chemistry)」,(米国),1993年,65巻,1559-1563頁
このように、従来公知のセンサユニットでは、検出感度が充分でなく、更に高感度の検出が可能なセンサユニットが要求されている。本発明者は、電極部の作用極として従来から広く知られている金、カーボン、白金等の導電性物質ではなく、ナノチューブ状構造体を含む作用極を用いることにより、更に好ましい態様としては作用極のみに特定物質を固定することにより、驚くべきことに、検出感度を飛躍的に高めることが可能であることを見出した。従って、本発明の課題は、従来公知のセンサユニットよりも検出感度が高く、小型で安価なセンサユニット、及びそれを含む分析装置を提供することにある。
前記課題は、本発明による、絶縁性の基板上に少なくとも対極とナノチューブ状構造体を含む作用極を有するアンペロメトリック型電極である電極部を有する、検出対象物質を検出するためのセンサユニットであって、前記両電極に、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が形成されており、前記感知部における電荷の変化を電流変化として捉えることを特徴とする、検出対象物質を検出するためのセンサユニットにより、解決することができる。
本発明のセンサユニットの好ましい態様によれば、前記の毛細管作用をもつ支持体中及び/又は前記作用極上に、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定されている。
本発明のセンサユニットの別の好ましい態様によれば、感知部における電荷の変化を、酸化還元反応による電流変化として捉える。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記対極及び作用極が、酸素電極あるいは過酸化水素電極である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記対極及び作用極を含む、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が、コンタクト電極と電気的に接続されており、前記コンタクト電極は、測定回路と電気的に接続されている接続用コネクターに対して機械的に着脱可能であり、前記接続用コネクターに装着されているときには、前記感知部が前記測定回路と電気的に導通状態となる。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部を、2つ以上有する。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記電極部が、2つ以上集積されている。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記ナノチューブ状構造体が、カーボンナノチューブ、ボロンナイトライドナノチューブ及びチタニアナノチューブよりなる群から選ばれる構造体である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記カーボンナノチューブが、金属表面から、直接成長させることにより、金属表面と電気的又は機械的に良好に接触している構造体である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記カーボンナノチューブが、金属表面から、熱化学気相成長法又はプラズマ化学気相成長法を用いて直接成長させた構造体である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記電極部に加え、基板と、前記基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルとを備えたトランジスタ部を更に備え、前記トランジスタ部が、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部を備え、前記トランジスタ部及び前記アンペロメトリック型電極における各感知部における電荷の変化を、トランジスタ部においては電圧変化として、アンペロメトリック型電極においては電流変化として捉える。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記トランジスタ部のチャネルが、ナノチューブ状構造体からなる。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、(1)検体添加領域;(2)前記検体中に含まれる検出対象物質と結合することができ、しかも、標識物質で標識された免疫反応性物質を保持している標識化免疫反応性物質保持領域;(3)検出対象物質と選択的に免疫反応をする特定物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)の上流に、あるいは、前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記標識物質が荷電粒子である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記標識物質が酵素であり、前記酵素に対する基質供給領域が、前記感知部位領域に毛細管作用により連絡可能である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、(1)検体添加領域;(2)前記検体を前処理するための構造あるいは前処理物質を保持している前処理領域;(3)検出対象物質と選択的に化学反応をする特定物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記前処理領域(2)の上流に、あるいは、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記前処理領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記前処理領域(2)が前処理物質として界面活性剤を含み、前記感知部位領域(3)に特定物質としてコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールエステラーゼを含む。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記前処理領域(2)が前処理物質として界面活性剤を含み、前記感知部位領域(3)に特定物質としてリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、又はグリセロリン酸オキシダーゼを含む。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、(1)検体添加領域;(2)前記検体を前処理するための構造あるいは前処理物質を保持している前処理領域;(3)検出対象イオンに対するイオン選択性物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記前処理領域(2)の上流に、あるいは、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記前処理領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である。
本発明のセンサユニットの更に別の好ましい態様によれば、前記のクロマトグラフィー用支持体が2以上の感知部を有する。
また、本発明は、前記センサユニットを備える、分析装置に関する。
本発明の分析装置の好ましい態様によれば、分析装置による分析が、化学的反応測定及び免疫学的反応測定である。
本発明の分析装置の別の好ましい態様によれば、前記分析が、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、免疫学的反応測定グループ、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ及びレセプタ−リガンド間相互作用測定グループからなる群より選ばれる、少なくとも一つの測定グループの測定である。
本発明の分析装置の更に別の好ましい態様によれば、前記分析が、電解質濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、生化学項目測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、血液ガス濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸−タンパク質間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、及び、免疫学的反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質からなる群より選ばれる2以上の検出対象物質の検出である。
本発明の分析装置の更に別の好ましい態様によれば、前記分析が、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ、並びに、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループ及び免疫学的反応測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループの測定である。
本発明の分析装置の更に別の好ましい態様によれば、前記分析が、特定の疾患又は機能を判別するために選択された2以上の検出対象物質を検出である。
本発明のセンサユニット及び分析装置によれば、アンペロメトリック型電極において、毛細管作用をもつ支持体を有する感知部に、ナノチューブ状構造体を含む作用極を有する電極が形成されているため、検出感度を飛躍的に高めることが可能であり、極めて簡便で迅速に高感度の検知を要する分析が可能となる。また、金属表面上にカーボンナノチューブを形成すると電極表面積が格段に増加するため、小型で安価なセンサユニットを提供することができる。
本発明のセンサユニットは、絶縁性の基板上に少なくとも対極とナノチューブ状構造体を含む作用極を有するアンペロメトリック型電極である電極部を有し、前記両電極に、毛細管作用をもつ支持体(例えば、ストリップ)を含む感知部が形成されている。本発明のセンサユニットは、前記感知部における電荷の変化を電流変化として捉えることにより、検出対象物質を検出するようになっている。
また、本発明のセンサユニットは、適宜、電気接続切替部やトランジスタ部など、アンペロメトリック型電極以外の部材を備えていても良い。
前記トランジスタ部としては、基板と、前記基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルとを備えたトランジスタ部を有し、更に、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部を備えるトランジスタ部であれば、特に限定されるものではないが、例えば、国際公開WO2006/025481号パンフレットに記載の各種トランジスタ部を挙げることができる。
具体的には、例えば、
(1)前記のトランジスタ部が検出用感知ゲートを備え、前記検出用感知ゲートが、トランジスタ部の基板に固定されたゲート本体と、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部とを備え、前記感知部が前記ゲート本体に対して電気的に導通があるトランジスタ部(前記感知部に、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定化されていることが好ましい)、
(2)前記のトランジスタ部が検出用感知ゲートを備え、前記検出用感知ゲートが、トランジスタ部の基板に固定されたゲート本体と、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部とを備え、前記感知部が、前記ゲート本体に対して電気的に導通があり、更に、検出対象物質の存在を前記トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極を備えるトランジスタ部、
(3)トランジスタ部の基板に固定されたゲート本体が、前記の毛細管作用をもつ支持体と一緒になって前記感知部を形成するトランジスタ部(前記感知部に、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定化されていることが好ましい)、
(4)トランジスタ部の基板に固定されたゲート本体が、前記の毛細管作用をもつ支持体と一緒になって前記感知部を形成し、更に、検出対象物質の存在を前記トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極を備えるトランジスタ部、
(5)前記のチャネルに、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定された毛細管作用をもつ支持体を含む前記感知部が形成されているトランジスタ部
などを挙げることができる。
以下、本発明におけるセンサユニット及び支持体の構成要素について説明する。
[I.アンペロメトリック電極部]
アンペロメトリック電極部は、絶縁性基板上に少なくとも作用極と対極を有する一対の電極部位であり、必要に応じて参照極を有する電極を含む部位である。この時、対向する2つの電極から交互にくし型状に配設したくし型電極と参照物質を有する参照電極とこの参照電極に対向する対向電極とを同一基板上に形成した電極部であることが好ましい。具体的な態様としては、特許2590002号記載のくし形電極部を有する電極があげられる。また、コンタクト電極とは、それぞれの電極から引き出された導電性のリード線が、接続用コネクターを介して分析装置(特に測定回路)に接続する部分である。前記電極は、毛細管作用を持つ支持体と共に、感知部を形成する。
(1.基板)
基板は、絶縁性を有する基板であれば任意の素材で形成された基板を用いることができるが、通常は、絶縁性基板、又は、絶縁された半導体基板を用いる。なお、本明細書において絶縁性という場合には、特に断らない限り電気絶縁性のことを指し、絶縁体という場合には、特に断らない限り電気絶縁体の事を指す。また、センサとして用いる場合、感度を高めるためには、絶縁性基板、あるいは、表面を絶縁性基板を構成する素材(即ち、絶縁体)で被覆することにより絶縁した半導体基板であることが好ましい。これら、絶縁性基板や、絶縁体で被覆した半導体基板を用いた場合、特に後述するトランジスタの基板として用いる際、他の方法で絶縁した半導体基板に比べ、誘電率が低いために浮遊容量を低減することができ、そのため、例えばバックゲート(基板に対してチャネルと反対側に設けられたゲート)を検出用感知ゲートとした場合に相互作用の感知感度を高めることができる。
絶縁性基板は、絶縁体で形成された基板である。絶縁性基板を形成する絶縁体の具体例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウム、アクリル樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)等が挙げられる。なお、絶縁体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、半導体基板は、半導体で形成された基板である。半導体基板を形成する半導体の具体例としては、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、インジウム燐、炭化シリコン等が挙げられる。なお、半導体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に、半導体基板を絶縁する方法は任意であるが、通常は、上記のように絶縁体で被覆して絶縁することが望ましい。半導体基板の上に絶縁膜を形成して絶縁する場合、被覆に用いる絶縁体の具体例としては、上記の絶縁性基板を形成する絶縁体と同様のものが挙げられる。
また、絶縁した半導体基板を用いる場合には、この半導体基板は、後述するゲート[即ち、ゲート本体や電圧印加ゲート等]としても作用させることも可能である。但し、絶縁した半導体基板をゲートに用いる場合、その基板は電気抵抗が小さいことが望ましく、例えば、高濃度にドナーあるいはアクセプタが添加され、抵抗率が低く金属的伝導性を示す半導体を用いた半導体基板が望ましい。
更に、基板の形状は任意であるが、通常は平板状に形成する。また、その寸法についても特に制限は無いが、基板の機械的強度を保つため厚さが100μm以上であることが好ましい。
(2.電極)
アンペロメトリック電極部は導電性であり、参照極に関しては更に測定中の電位の基準を与える電極であれば、その作製法は任意であるが、主としてフォトリソグラフィー法により作製することができ、メッキや印刷でも製造可能である。電極素材としては、金、カーボン、白金などの導電性の物質が最適である。
本発明のセンサユニットにおいては、上述したアンペロメトリック型電極の作用極がナノチューブ状構造体を含むことが好ましい。このような電極としては、金属表面にカーボンナノチューブを備えるもの、すなわち、金属表面上にカーボンナノチューブを形成した電極を挙げることができ、その他の具体的構成については特に限定されるものではない。前記カーボンナノチューブとしては、例えば、炭素原子のみからなり、直径が0.4〜50nm、長さが約1〜数100μmの一次元性のナノ材料であることが好ましい。
金属表面にカーボンナノチューブを形成する技術は、従来公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、例えば、化学気相成長法、例えば、熱化学気相成長又はプラズマ化学気相成長により簡易に形成することができる。
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNTs;single-walled carbon nanotubes)であることが好ましい。カーボンナノチューブの化学構造はグラファイト層を丸めてつなぎ合わせたもので表されるが、「単層カーボンナノチューブ」とは、このグラファイト層の数が1枚だけのものである。なお、グラファイト層の巻き方(らせん度)に依存して電子構造が金属的になったり、半導体的になったりすることが知られている。前記構成によれば、直径が小さいため、より高密度に成長でき、その結果、表面積が格段に増加することができる。更に、結晶性も良いため、物質を表面に固定化しやすいという利点がある。
また、前記カーボンナノチューブは、特定物質を表面に固定化したものであることが好ましい。カーボンナノチューブに抗体等を固定化する技術は、従来公知の方法を好適に用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、リンカー物質を介して固定化する技術を用いることができる。
また、カーボンナノチューブは、金属表面から、例えば、化学気相成長法、例えば、熱化学気相成長法やプラズマ化学気相成長法等を用いて直接成長させることが好ましい。これにより、電気的・機械的に金属表面と良好に接触し、電極の性能と安定性を劇的に向上させることができる。また、カーボンナノチューブを金属電極表面に直接成長させる方法としては、金属電極表面上に触媒をフォトレジスト等でパターニングし、化学気相成長法、例えば、熱化学気相成長法やプラズマ化学気相成長法でカーボンナノチューブを形成させることが好ましい。
また、カーボンナノチューブ電極は、リソグラフィーの方法を用いて、数ミクロンの金属表面上に形成することができるため、複数個同時に1つの基板上に形成することができる。これにより、同時複数項目計測が容易になる。
(3.毛細管作用をもつ支持体)
本発明のストリップにおける毛細管作用をもつ支持体は、液体が展開可能である支持体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド繊維、グラスファイバー、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、フッ化ビニリデン樹脂、又はポリテトラフルオロエチレンなどからなる多孔質体(例えば、濾紙又は多孔性ポリマー)などを挙げることができる。
(4.感知部)
感知部は、少なくとも対極と作用極を有する電極部と、毛細管作用をもつ支持体とから主として構成される。毛細管作用をもつ支持体中に、及び/又は、作用極上に、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定することができる。ここで、検出対象物質とは、本発明のセンサユニットを用いて検出しようとする対象であり、特定物質とは、検出対象物質と何らかの相互作用を選択的に生じる物質である。一つの感知部には、1種の特定物質を単独で固定しても良く、2種以上の特定物質を任意の組み合わせ及び比率で固定化してもよい。なお、これらの検出対象物質、特定物質及び相互作用については、後で詳細に説明する。
感知部は1個を単独で設けても良く、2個以上を設けてもよい。また、感知部を2個以上設ける場合、各感知部に固定する特定物質は、同種であっても、異なっていても良い。このように感知部を2個以上設けることにより、複数の相互反応を一つのセンサユニットで検出することができるようになり、これにより、一つのセンサユニットで更に多種の検出対象物質の検出を行うことができるようになる。但し、感知部同士は、各感知部における相互作用を確実に感知するため、通常は電気的に非導通状態とすることが望ましい。
[II.トランジスタ部]
(1.基板)
基板は、絶縁性を有する基板であれば任意の素材で形成された基板を用いることができ、アンペロメトリック電極部における基板と同様の材料、寸法、形状で形成することができる。
(2.ソース電極,ドレイン電極)
ソース電極は、上記トランジスタのキャリアを供給することができる電極であれば他に制限は無い。また、ドレイン電極は、上記トランジスタのキャリアを受け取ることができる電極であれば、他に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。但し、ソース電極及びドレイン電極は、通常は同一の基板上に設けられる。
ソース電極及びドレイン電極はそれぞれ任意の導体で形成することができ、具体例としては、金、白金、チタン、炭化チタン、タングステン、アルミニウム、モリブデン、クロムケイ化タングステン、窒化タングステン、多結晶シリコンなどが挙げられる。また、ソース電極、ドレイン電極を形成する導体は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に、ソース電極及びドレイン電極の寸法や形状も任意である。
(3.チャネル)
チャネルは、ソース電極及びドレイン電極の間の電流の通路となりうるものであり、公知のチャネルを適宜用いることができる。
また、チャネルの形状や寸法に制限は無く、任意である。但し、チャネルは、基板から離隔した状態で上記のソース電極及びドレイン電極間に装架されていることが好ましい。これにより、ゲート本体とチャネルとの間の誘電率を低下させることができ、ゲート本体の電気容量を小さくすることができるため、センサユニットの感度を高めることができる。
また、チャネルは、室温において上記のソース電極及びドレイン電極の間に弛んだ状態で設けられていることが好ましい。これにより、温度変化によってチャネルが破損する可能性を小さくすることができる。
更に、チャネルの数も任意であり、1本でも、2本以上であってもよい。
また、上記のように、チャネルの構成によって上記のトランジスタは電界効果トランジスタと単一電子トランジスタとに分けられる。両者の違いは、チャネルが量子ドット構造を有しているかに応じて区別され、チャネルが量子ドット構造を有していないトランジスタは電界効果トランジスタとなり、チャネルが量子ドット構造を有しているトランジスタは単一電子トランジスタとなる。
従って、チャネルを形成する場合には、センサユニットの目的や、トランジスタを電界効果トランジスタと単一電子トランジスタとのいずれにするかなどに応じて、適当な材料によって形成することが好ましい。
以下、電界効果トランジスタのチャネル(以下適宜、「FETチャネル」という)と、単一電子トランジスタのチャネル(以下適宜、「SETチャネル」という)とについて、それぞれ説明する。なお、FETチャネルとSETチャネルとを区別しないで指す場合、単に「チャネル」という。また、上述のように電界効果トランジスタと単一電子トランジスタとはチャネルによって区別することができるため、FETチャネルを有するトランジスタは電界効果トランジスタであり、SETチャネルを有するトランジスタは単一電子トランジスタと認識すべきである。
FETチャネルは、電流の通路となりうるものであり、公知のチャネルを適宜用いることができる。一般に、トランジスタのチャネルは、半導体基板の素材として例示した半導体により形成され、FETチャネルとしても、上記のような半導体によりチャネルを形成することができる。
但し、センサユニットの感度を高めるためには、FETチャネルは微細なものであることが好ましい。一般に、トランジスタを用いたセンサの検出感度の限界は、トランジスタのゲートの電気容量(以下適宜、「ゲート容量」という)に関係している。ゲート容量が小さいほど、ゲートの表面電荷の変化を大きなゲート電圧の変化として捉えることができ、センサの検出感度が向上するのである。ゲート容量はチャネルの長さLとチャネルの幅Wとの積L×Wに比例するので、ゲート容量の減少にはチャネルの微細化が効果的である。微細なチャネルとしては、例えば、ナノチューブ状構造体を用いてチャネルを形成することが好ましい。
ナノチューブ状構造体とは、チューブ状の構造体であって、その長手方向に直交する断面の直径が0.4nm以上50nm以下のものをいう。なお、ここでチューブ状とは、構造体の長手方向の長さと、これに垂直な方向のうち最も長い一方向の長さとの比が10以上10000以下の範囲にある形状を指し、ロッド状(断面形状が略円形)、リボン状(断面形状が扁平な略方形)等の各形状を含む。
ナノチューブ状構造体は電荷輸送体として用いることができ、直径が数ナノメートルの一次元量子細線構造を有するため、これをトランジスタのチャネルに用いた場合には、従来のセンサ等に用いられていた電界効果トランジスタに比べてトランジスタのゲート容量が著しく低減する。従って、特定物質及び検出対象物質の間の相互作用により生じるゲート電圧の変化は極めて大きくなり、チャネルに存在する荷電粒子の密度の変化は著しく大きくなる。このことにより検出感度は劇的に向上する。
ナノチューブ状構造体の具体例としては、カーボンナノチューブ(CNT)、ボロンナイトライドナノチューブ、チタニアナノチューブ等が挙げられる。従来の技術では、半導体微細加工技術を用いても、10nm級のチャネルの形成は困難であり、それによりセンサとしての検出感度も制限されていたが、これらのナノチューブ状構造体を用いることにより、従来よりも微細なチャネルを形成することができる。
ナノチューブ状構造体は、そのカイラリティに応じて半導体的な電気的性質及び金属的な電気的性質の両方を示すが、半導体的FETチャネルに用いる場合、ナノチューブ状構造体は、その電気的性質として半導体的性質を有することがより望ましい。
一方、SETチャネルもFETチャネルと同様、電流の通路となりうるものであり、公知のチャネルを適宜用いることができる。従って、半導体により形成することも可能であるが、通常はその大きさが微細であることが好ましく、FETチャネルと同様、ナノチューブ構造体を用いてチャネルを形成することが好ましい。また、ナノチューブ状構造体の具体例としてカーボンナノチューブ(CNT)、ボロンナイトライドナノチューブ、チタニアナノチューブ等を使用することができることもFETチャネルと同様である。
しかし、上述したように、FETチャネルと異なり、SETチャネルは量子ドット構造を有する。従って、SETチャネルは量子ドット構造を有する物質で形成することになり、半導体を材料とする場合でも、量子ドット構造を有する半導体を材料として使用することになる。これは、ナノチューブ構造体をSETチャネルに用いる場合でも同様であり、ナノチューブ状構造体の中でも、量子ドット構造を有するナノチューブ構造体でSETチャネルを形成する。その具体例を挙げると、欠陥を導入したカーボンナノチューブをSETチャネルとして用いることができる。詳しくは、欠陥と欠陥との間に通常0.1nm以上50nm以下の量子ドット構造を有するカーボンナノチューブをSETチャネルとして用いることができる。
前記の量子ドット構造を有するカーボンナノチューブの製造方法は任意であるが、例えば、欠陥を有さないカーボンナノチューブに、水素、酸素、アルゴンなどの雰囲気ガス中での加熱、あるいは酸溶液等中での煮沸などの化学的処理を施すことによって欠陥を導入して作製することができる。
ナノチューブ状構造体に欠陥を導入することにより、ナノチューブ状構造体内に欠陥と欠陥との間に領域が数ナノメートルの大きさの量子ドット構造が形成され、更にゲート容量は低減する。量子ドット構造を有するナノチューブ状構造体においては、量子ドット構造内への電子の流入が制限されるクーロンブロッケイド現象が生じるため、そのようなナノチューブ状構造をチャネルに用いれば単一電子トランジスタが実現される。
具体例を挙げて説明する。例えばシリコン系MOSFET(メタル・オキサイド・セミコンダクター・電界効果トランジスタ)のゲート容量は10−15F(ファラッド)程度であり、これに対して上記の欠陥を導入したナノチューブ状構造体を用いた単一電子トランジスタのゲート容量は10−19F〜10−20F程度である。このように、単一電子トランジスタでは従来のシリコン系MOSFETに比べて、ゲート容量が1万〜10万分の一程度減少する。
その結果、このようなナノチューブ状構造体をチャネル用いた単一電子トランジスタを形成すれば、検出物質の検出感度を大きく向上させることができる。
また、SETチャネルがFETチャネルと異なるもう一つの点としては、ナノチューブ状構造体をSETチャネルとして用いる場合、それらは電気的特性として金属的性質を有することが好ましい。なお、ナノチューブ状構造体が金属的か半導体的かを確認する手法の例としては、ラマン分光法でカーボンナノチューブのカイラリティを決定することにより確認する手法や、走査トンネル顕微鏡(STM)分光法を用いてカーボンナノチューブの電子状態密度を測定することにより確認する手法が挙げられる。
更に、チャネルは、絶縁性部材により被覆して、パッシベーションあるいは保護することが望ましい。これにより、トランジスタ内において流れる電流が、確実にチャネルに流れるようにすることができるため、安定して検出を行うことができる。
絶縁性部材としては、絶縁性の部材であれば任意の部材を用いることが可能であるが、具体例としては、フォトレジスト(感光性樹脂)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)などの高分子材料、アミノプロピルエトキシシランなどの自己組織化膜、PER−フルオロポリエーテル、フォンブリン(商品名)などのルブリカント、フラーレン類化合物、あるいは酸化シリコン、弗化ケイ酸塩ガラス、HSQ(Hydrogen Silsesquioxane)、MLQ(Methyl Lisesquioxane)、多孔質シリカ、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウム、ダイヤモンド薄膜などの無機物質を用いることができる。また、これらは任意の種類及び比率で組み合わせて用いてもよい。
また、検出用感知ゲートのゲート本体とチャネルとの間には、絶縁性であってかつ低誘電率の材料の層(低誘電率層)が設けられていることが好ましい。更に、ゲート本体からチャネルまでの間が全体に(即ち、ゲート本体からチャネルまでの間にある層がすべて)低誘電率の性質を有することがより好ましい。
低誘電率層を構成する材料は、上記のように絶縁性であれば他に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。その具体例としては、二酸化シリコン、弗化ケイ酸塩ガラス、HSQ(Hydrogen Silsesquioxane)、MLQ(Methyl Lisesquioxane)、多孔質シリカ、ダイヤモンド薄膜などの無機材料、ポリイミド、パリレン(Parylene)−N、パリレン(Parylene)−F、弗化ポリイミドなどの有機材料が挙げられる。なお、低誘電率の材料は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
つまり、チャネルからゲート本体にかけての間が絶縁性で且つ低誘電率であることにより、ゲート本体上で生じた表面電荷の変化が、チャネル内の電荷密度の変化としてより効率的に伝達されるのである。これにより、上記相互作用をトランジスタの大きな出力特性の変化として感知することができるので、上記のトランジスタをセンサに用いた場合に、センサの感度をより向上させることができる。
また、特にチャネルとしてSETチャネルを用いる場合、チャネルとゲート本体間、及び、チャネルと電圧印加ゲート間に設ける絶縁層の誘電率を、量子ドットに電子1個がトラップされることによって生じる静電エネルギーが、動作温度における熱エネルギーより充分大きくなるように適宜選択することが好ましい。例として、量子ドットに2個の接合、ゲート本体、電圧印加ゲートが接合されている場合を挙げる。2個の接合の容量の和をC、チャネルとゲート本体間に絶縁層を設けることによりチャネルとゲート本体間に形成されるキャパシタの容量をCG1、チャネルと電圧印加ゲート間に絶縁層を設けることによりチャネルと電圧印加ゲート間に形成されるキャパシタの容量をCG2とした場合、kT<<e/{2(C+CG1+CG2)}を満たすように絶縁層の誘電率を適宜選択することが好ましい。ここで、左辺が熱エネルギーを表し、右辺が電子1個のトラップによる静電エネルギーを表す。また、kはボルツマン定数を表し、Tは動作温度を表し、eは素電荷を表す。
また、トランジスタに電圧印加ゲートが設けられている場合、トランジスタにゲート電圧を印加する電圧印加ゲートとチャネルとの間には、絶縁性であってかつ高誘電率の材料の層(高誘電層)が形成されていることが好ましい。更に、電圧印加ゲートからチャネルまでの間が全体に(即ち、電圧印加ゲートからチャネルまでの間にある層がすべて)高誘電率の性質を有することがより好ましい。
高誘電層を形成する材料は、上記のように絶縁性を有して且つ高誘電率のものであれば他に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。その具体例としては、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの無機物質、高誘電率特性を有する高分子材料などが挙げられる。また、高誘電率の材料は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
つまり、電圧印加ゲートからチャネルにかけての間が絶縁性で且つ高誘電率である高誘電層を形成することにより、電圧印加ゲートから電圧印加した場合に、トランジスタの伝達特性をより効率よく変調させることができるのである。これにより、上記のトランジスタをセンサとして用いた場合、センサとしての感度をより向上させることができる。
なお、前記のような絶縁層、低誘電層、高誘電層の形成方法に制限は無く、公知の方法を任意に用いることができる。例えば、酸化シリコンを用いて絶縁層を形成する場合には、基板全面に酸化シリコンからなる膜を形成した後、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、除去したい部分の酸化シリコンを選択的にウェットエッチングにより除去し、形成することができる。
チャネルの作製方法に特に制限は無く、上述したチャネルを作製することができれば、任意の方法によりチャネルを作製することができる。例えば、カーボンナノチューブを用いるチャネルは、例えば、国際公開WO2006/025481号パンフレットの項目(3−2.チャネルの作製方法)に記載の作製方法に従って作製することができる。
(4.検出用感知ゲート)
検出用感知ゲートは、ゲート本体と、毛細管作用を持つ支持体を含む感知部(相互作用感知部:以下感知部)とを有して構成されている。検出用感知ゲートを有する本発明のセンサユニットでは、検出用感知ゲートの感知部で相互作用が生じた場合、ゲート本体のゲート電圧が変化するようになっており、このゲート本体のゲート電圧に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質の検出を行うことができるようになっている。
また、本発明のセンサユニットでは、後で詳述するように、前記検出用感知ゲートに代えて、ゲート本体と毛細管作用を持つ支持体とからなる感知部を設ける態様とすることもできるし、あるいは、チャネルと毛細管作用を持つ支持体とからなる感知部を設ける態様とすることもできる。
(4−1.ゲート本体)
ゲート本体は、対応するソース電極及びドレイン電極と同一の基板に固定されたゲートである。このゲート本体は、トランジスタのチャネル内の荷電粒子の密度を制御するゲート電圧を印加することができるものであれば他に制限は無い。通常、ゲート本体はチャネル、ソース電極及びドレイン電極から絶縁された導体を有して構成され、一般的には導体及び絶縁体から構成される。
ゲート本体を構成する導体は任意であるが、その具体例としては、金、白金、チタン、炭化チタン、タングステン、ケイ化タングステン、窒化タングステン、アルミニウム、モリブデン、クロム、多結晶シリコンなどが挙げられる。なお、ゲート本体の材料である導体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、上記導体の絶縁に用いる絶縁体も任意であり、その具体例としては、基板の材料として例示した絶縁体と同様のものが挙げられる。更に、ゲート本体の絶縁に用いる絶縁体についても、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、ゲート本体の導体に代えて、又は導体と併用して、半導体を用いるようにしても良い。その際の半導体の種類は任意であり、また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、ゲート本体の寸法及び形状は任意である。
更に、ゲート本体を配置する位置は、チャネルに対してゲート電圧を印加することができる位置であれば他に制限は無く、例えば基板の上方に配設してトップゲートとしてもよく、基板のチャネルと同じ側の面上に配設してサイドゲートとしてもよく、基板の裏面(チャネルと反対側の面)に配設してバックゲートとしてもよい。これにより、検出時の操作を簡単に行うことができる。但し、トップゲートとしてゲート本体を形成すると、一般にチャネルとトップゲートとの距離はチャネルと他の位置のゲートとの距離に比べて近いため、センサユニットの感度を高めることができる。
更に、ゲート本体をトップゲート又はサイドゲートとして形成する場合には、チャネルの表面に絶縁膜を介してゲートを形成してもよい。ここでいう絶縁膜としては、絶縁性を有する任意の膜を任意に用いることができるが、通常は、絶縁性の素材で形成された膜である。絶縁膜の素材は絶縁性を有していれば他に制限は無く任意であるが、具体例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウムなどの無機材料、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)などの高分子材料が挙げられる。
また、ゲート本体には、使用時に、電圧を印加するようにしてもよいし、電圧を印加せずフローティングの状態とするようにしても良い。
更に、ゲート本体の数は任意であり、トランジスタに1つのみのゲート本体を設けても良く、2つ以上のゲート本体を設けてもよい。
(4−2.毛細管作用をもつ支持体を含む感知部:感知部)
本実施形態において感知部は、好ましくは、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定され、基板とは離隔して形成された部材であり、検出対象物質と特定物質との相互作用が生じた場合に、その相互作用を電気信号(電荷の変化)としてゲート本体に送ることができるように構成されている。一つの感知部には、1種の特定物質を単独で固定しても良く、2種以上の特定物質を任意の組み合わせ及び比率で固定化してもよい。
感知部は、毛細管作用をもつ支持体と、感知素子(例えば、ゲート本体へ電気信号として伝える電極、又は、ゲート本体若しくはチャネルそれ自体)とから構成され、特定物質を固定化することができ、そこで生じた相互作用をゲート本体等が電気信号として取り出すことができれば他に制限は無く、任意の材料で形成することができる。この時、例えば、感知素子は導体や半導体などで形成することができるが、検出感度を高めるためには、導体で形成することが好ましい。なお、感知素子を形成する導体及び半導体の具体例は、ゲート本体の材料として例示したものと同様のものを用いることができる。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、感知部として、金属以外に薄い絶縁膜を使用してもよい。絶縁膜としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウムなどの無機材料、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)などの高分子材料を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。但し、ゲート本体が相互作用を電気信号として取り出すことができるよう、ゲート本体との距離を小さくしたり、絶縁膜の膜厚を充分小さくしたりすることが望ましい。
更に、感知素子は、上記のように相互作用による電気信号をゲート本体に送るため、少なくとも検出時(使用時)には、ゲート本体に対して電気的に導通をとりうるように構成されている。どのようにして導通をとるかは任意であるが、例えば、導線、コネクター等の導通部材を用いて電気的に接続して導通をとるようにしても良く、感知部とゲート本体とを直接接続することにより導通をとるようにしてもよい。
また、感知部はゲート本体に対して、直接又は間接に、機械的に着脱可能に構成することが望ましい。即ち、ゲート本体を、直接又は導通部材等を用いて機械的にゲート本体に装着(接続)されたときにはゲート本体に電気的に導通状態となり、機械的にゲート本体から脱離されたときにはゲート本体に電気的に非導通状態となるように構成することが望ましい。これにより、感知部を取替えることで特定物質を交換することが可能となる。つまり、センサユニット全体を交換しなくとも、検出対象物質や検出の目的に応じて特定物質を交換することができるようになり、センサユニットの製造コスト、操作の手間などを大幅に改善することが可能となる。
更に、感知部は1個を単独で設けても良く、2個以上を設けてもよい。また、感知部を2個以上設ける場合、各感知部に固定する特定物質は、同種であっても、異なっていても良い。このように感知部を2個以上設けることにより、複数の相互反応を一つのセンサユニットで検出することができるようになり、これにより、一つのセンサユニットで更に多種の検出対象物質の検出を行うことができるようになる。但し、感知部同士は、各感知部における相互作用を確実に感知するため、通常は電気的に非導通状態とすることが望ましい。
また、感知部を2個以上設ける場合、1つのゲート本体に対して2つ以上の感知部を対応して設けることが好ましい。即ち、1つのゲート本体が、2つ以上の感知部と導通可能に形成されることが好ましい。このように、2つ以上の感知部で生じる相互作用に起因する電気信号を1つのゲート本体に送り、それをトランジスタの特性の変化として検出するようにすれば、ゲート本体の数を抑制することができ、ひいては、トランジスタの小型化、及び集積化を行うことが可能になる。
更に、感知部の形状及び寸法に制限は無く、その用途や目的に応じて任意に設定することができる。
(5.電圧印加ゲート)
本発明のセンサユニットは、検出対象物質と特定物質との相互作用により生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより、検出対象物質を検出することができる。このようなトランジスタの特性の変化が生じるには、通常、チャネルに電流を流すことになるが、そのためには、チャネルに対して電界を生じさせることになる。従って、ゲートに電圧を印加し、そのゲート電圧によりチャネルに対して電界を生じさせることになる。
ゲート電圧を印加する場合には、上述したように、ゲート本体に電圧を印加し、その電圧をゲート電圧としてチャネルに電圧を印加するようにしても良い。また、相互作用によって電圧が生じるような場合には、ゲート本体をフローティングの状態にし、相互作用により生じる電圧をゲート電圧として用いるようにしても良い。しかし、検出の精度を高めるためには、ゲート本体とは別に、相互作用をトランジスタの特定の変化として検出するための電圧を印加される電圧印加ゲートを設け、この電圧印加ゲートによりチャネルに対して電界を生じさせることが望ましい。
電圧印加ゲートは、固定されたゲートとして設けられる。また、通常、チャネル、ソース電極及びドレイン電極から絶縁された導体を有して構成され、一般的には導体及び絶縁体から構成される。
電圧印加ゲートを構成する導体は任意であるが、具体例としては、ゲート本体に用いる導体と同様のものが挙げられる。また、この導体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に、上記導体の絶縁に用いる絶縁体も任意であり、その具体例としては、ゲート本体の材料として例示した絶縁体と同様のものが挙げられる。また、この絶縁体についても、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、電圧印加ゲートの導体に代えて、又は導体と併用して、半導体を用いるようにしても良い。その際の半導体の種類は任意であり、また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電圧印加ゲートの寸法及び形状は任意である。
更に、電圧印加ゲートを配置する位置は、チャネルに対してゲート電圧を印加することができる位置であれば他に制限は無く、例えば基板の上方に配設してトップゲートとしてもよく、基板のチャネルと同じ側の面上に配設してサイドゲートとしてもよく、基板の裏面に配設してバックゲートとしてもよい。これにより、検出をより簡単に行うことができる。
また、電圧印加ゲートをトップゲート又はサイドゲートとして形成する場合には、チャネルの表面に絶縁膜を介してゲートを形成してもよい。ここでいう絶縁膜としては、ゲート本体において用いたのと同様のものを指す。
更に、電圧印加ゲートをバックゲートとして設け、且つ、トランジスタ部を集積する場合には、各トランジスタに、それぞれ電気的に分離されたバックゲートを設けることが好ましい。トランジスタ部を集積した場合、電気的に分離しないと、隣のトランジスタ部の電圧印加ゲートによる電界の影響で検出感度が低下する虞があるためである。また、この場合、公知技術として広く一般に実施されているような、基板に高ドープをしてアイランドを作製する方法を採用したり、更に、SOI(Silicon on Insulator)で電気絶縁を行ったり、又は、STI(Shallow Trench Isolation)でデバイス間を電気的に絶縁分離することが好ましい。
更に、電圧印加ゲートに電圧を印加する場合、その電圧の印加方法に制限はなく任意である。例えば、配線などを通じて電圧を印加しても良いが、検体液を含めた何らかの液体を通じて電圧を印加するようにしても良い。
電圧印加ゲートには、相互作用をトランジスタの特定の変化として検出するための電圧が印加される。相互作用が生じた場合、ソース電極とドレイン電極間に流れる電流(チャネル電流)の電流値、しきい値電圧、ドレイン電圧のゲート電圧に対する傾き、また次に挙げるものは単一電子トランジスタ特有の特性であるが、クーロン振動のしきい値、クーロン振動の周期、クーロンダイアモンドのしきい値、クーロンダイアモンドの周期などのトランジスタの特性値にその相互作用に起因する変動が生じる。通常、印加される電圧の大きさは、この変動を最大とすることができる大きさに設定する。
(6.参照電極)
参照電極は、検出対象物質の存在をトランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される電極である。詳しくは、感知部に対して電圧を印加する電極であり、このとき、検体を介して感知部に電圧を印加するように構成してもよい。更に、参照電極は、基準電極として用いたり、検体の電圧を一定にするために用いたりすることもできる。
参照電極は、検出対象物質の検出が可能である限り、その配置位置に制限はない。基板上に形成することも可能であるが、通常は、感知部とともに基板とは別体として形成する。但し、検出感度を高めるためには、参照電極と感知部とを対向させるように配置し、両者の間に検体が位置するようにセンサユニットを構成することが好ましい。また、参照電極は、感知部に対して安定して電圧又は電界を印加できる程度に感知部の近傍に設置することが好ましい。
更に、参照電極はチャネル、ソース電極、ドレイン電極から絶縁された電極として形成するが、この際、参照電極の材料、寸法、形状に特に制限はない。通常は、電圧印加ゲートについて説明したのと同様の材料、寸法、形状で形成することができる。
また、感知部を2つ以上設ける場合には、1つの参照電極が2つ以上の感知部に対応するように構成してもよい。これにより、センサユニットの小型化を図ることができる。
ここで、参照電極を用いた検出のメカニズムを説明する。
参照電極が感知部に対して電圧又は電界を印加できるようにセンサユニットを構成した場合、参照電極と感知部とを絶縁させ、参照電極が形成する電界内に検体がある状態で、感知部に電圧又は電界を印加する。このとき、検体内の検出対象物質が何らかの変化(数、濃度、密度、相、状態等の変化など)を生じると、検出対象物質の変化に起因して検体部分の誘電率が変化し、このためゲート本体のゲート電位が変化する。このゲート電圧の変化に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより、検出対象物質の検出を行うことができる。
一方、検体を介して感知部に電圧を印加できるようにセンサユニットを構成した場合、検体を介して特定(直流、交流)の電圧又は電界を感知部に印加する。このとき、検体内の検出対象物質が何らかの変化(数、濃度、密度、相、状態等の変化など)を生じると、検出対象物質の変化に起因して検体部分の電気インピーダンスが変化し、このためゲート本体のゲート電位が変化する。このゲート電圧の変化に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより、検出対象物質の検出を行うことができる。
[III.集積化]
前記アンペロメトリック電極部と、所望により設けることのできる前記トランジスタ部は、集積化されていることが好ましい。即ち、単一の基板に、対極及び作用極(所望により、更に参照極)からなる電極部、更に所望により、トランジスタ部(すなわち、ソース電極、ドレイン電極、チャネル、検出用感知ゲート、及び、適宜電圧印加ゲート)が2以上設けられていることが好ましく、更に、それらはできるだけ小型化されていることがより好ましい。
なお、トランジスタ部に関しては、検出用感知ゲートの構成要素のうち、感知部は、通常は基板とは別に形成されるため、基板上には少なくともゲート本体が集積されていればよい。また、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジスタの構成部材と共有されるように設けてもよく、例えば、検出用感知ゲートの感知部、及び、電圧印加ゲート等は、集積化されたトランジスタのうちの2以上に共有されるようにしてもよい。更に、集積化するトランジスタは1種のもののみを集積化しても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積化しても良い。
このようにアンペロメトリック電極部及びトランジスタ部の集積化を行うことにより、センサユニットの小型化及び低コスト化、検出の迅速化及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少なくともいずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積化により一度に多数の検出用感知ゲートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物質を検出することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる。また、例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積化を行えば、検出感度を高めることが可能になる。更に、例えば、分析結果の検討のため等に用いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、ある電極又はトランジスタを用いた結果を同一センサユニット上にある他の電極又はトランジスタの結果と比較して分析することが可能となる。
トランジスタの集積化を行う場合、トランジスタの配置やそれに固定化される特定物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知するためにひとつのトランジスタを用いてもよいし、複数のトランジスタのアレイを用いソース電極−ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同じ検出対象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複数のトランジスタを用いてもよい。
また、集積化の具体的な方法に制限はなく、公知の方法を任意に用いることができるが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用することができる。また、最近ではMEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
更に、集積化を行った場合の配線についても制限はなく任意であるが、通常は、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて各ソース電極間及び/又はドレイン電極間を接続したりゲート本体と感知部とを接続したりすることが好ましい。
[IV.電気接続切替部]
本発明のセンサユニットにおいて、アンペロメトリック型電極部が複数設けられ、集積されている場合には、感知部とコンタクト電極部との導通を切り替える電気接続切替部を備えていることが好ましい。また、トランジスタ部が集積されている場合や感知部が複数設けられている場合、即ち、ゲート本体及び感知部の一方又は両方が2個以上設けられている場合には、本発明のセンサユニットは、ゲート本体と感知部との導通を切り替える電気接続切替部を備えていることが好ましい。これにより、センサユニットの小型化や、検出データの信頼性向上、検出の効率化などを図ることができる。なお、トランジスタを集積した場合には、同一のトランジスタ内の導通だけでなく、他のトランジスタとの間で上記の導通を切り替えるように構成しても良い。
また、アンペロメトリック型電極部に関する電気接続切替部については、例えば、1つのコンタクト電極に対して2つ以上の感知部が対応して設けられている場合には、電気接続切替部は、2以上の感知部のうちのどれと、コンタクト電極とを導通させるかを選択的に切り替えることが可能に構成できる。これにより、1つのコンタクト電極で2以上の感知部で生じる相互作用による電気信号を取り出すことができ、コンタクト電極の数の抑制が可能となり、センサユニットの小型化を行うことが可能となる。また、アンペロメトリック型電極部の対極及び/又は参照極を共通化して、対極及び/又は参照極の数を抑制することができる。
また、トランジスタ部に関する電気接続切替部については、例えば、1つのゲート本体に対して2つ以上の感知部が対応して設けられている場合には、電気接続切替部は、2以上の感知部のうちのどれと、ゲート本体とを導通させるかを選択的に切り替えることが可能に構成できる。これにより、1つのゲート本体で2以上の感知部で生じる相互作用による電気信号を取り出すことができ、ゲート本体の数の抑制が可能となり、ひいてはトランジスタの数の抑制が可能となるため、センサユニットの小型化を行うことが可能となる。
また、例えば2以上のゲート本体に対して1つの感知部が設けられている場合には、電気接続切替部は、2以上のゲート本体のうちのどれと、感知部とを導通させるかを選択的に切り替えることが可能に構成できる。これにより、一つの相互作用を2以上のゲート本体を用いて検出することが可能となり、各ゲート本体を用いた検出データを利用することで、検出データの信頼性を高めることが可能となる。
更に、ゲート本体及び感知部がそれぞれ2以上対応して設けられている場合には、両者を組み合わせて、効率的な検出な検出を行うことが可能となるほか、上記の効果も得ることができる。
電気接続切替部は、コンタクト電極と感知部との導通又はゲート本体と感知部との導通を切り替えることができればその具体的構成は任意であるが、通常は、コンタクト電極と感知部とを導通させる導通部材又はゲート本体と感知部とを導通させる導通部材として構成することが好ましい。例えば、コンタクト電極と感知部とを接続する配線を有するコネクター又はゲート本体と感知部とを接続する配線を有するコネクターにおいて、その配線を適切に切り替えるスイッチを設けるようにすれば、そのコネクターを電気接続切替部として用いることができる。また、スイッチ自体を電気接続切替部とみなしてもよい。
[V.検出対象物質、特定物質及び相互作用]
(1.検出対象物質及び特定物質)
検出対象物質とは、本発明のセンサユニットが検出する対象となる物質である。検出対象物質については特に制限は無く、任意の物質を検出対象物質とすることができる。また、検出対象物質として、純物質以外のものを用いることも可能である。
また、検出対象物質の検出に必要な特定物質は、検出対象物質と選択的に相互作用できるものであれば特に制限は無く、任意の物質を用いることができる。
検出対象物質及び特定物質それぞれの具体例としては、タンパク質(酵素、抗原/抗体、レクチン等)、ペプチド、脂質、ホルモン(アミン・アミノ酸誘導体・ペプチド・タンパク質等からなる含窒素ホルモン、及び、ステロイドホルモン)、核酸、糖、オリゴ糖、多糖等の糖鎖、色素、低分子化合物、有機物質、無機物質、pH、イオン(Na,K,Cl等)若しくはこれらの融合体、又は、ウイルス若しくは細胞を構成する分子、血球などが挙げられる。
また、これらの検出対象物質は、血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織・細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含むほとんど全ての液体試料中に含まれる成分として検出される。
タンパク質としては、タンパク質の全長であっても結合活性部位を含む部分ペプチドでもよい。またアミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的分子として用いることができる。合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくは、アミノ酸配列が既知の精製されたタンパク質か、あるいはcDNAライブラリー等から適当な方法を用いて翻訳、精製されたタンパク質を用いることができる。
更に、脂質としては、特に制限はない。例えば脂質及びタンパク質と脂質との複合体、糖と脂質との複合体等が挙げられ、具体例を挙げると、総コレステロール、LDL−コレステロール、HDL−コレステロール、リポタンパク、アポリポタンパク、トリグリセライド等が挙げられる。
また、核酸としては、特に制限はなく、DNAあるいはRNAも用いることができる。また、塩基配列あるいは機能が既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する核酸としての機能、及び塩基配列が既知のものか、あるいはゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
更に、糖鎖としては、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。
また、低分子化合物としては、相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質と結合もしくは反応する能力が既に知られているものでも用いることができる。
(2.相互作用)
上記の通り、感知部上には数多くの特定物質を固定化することができ、特定物質が固定化された感知部を用いれば、本発明のセンサユニットを、その特定物質と相互作用する物質(検出対象物質)を検出するバイオセンサなどに好適に使用することができる。この際、検出対象物質と特定物質との間で生じる相互作用に制限は無いが、例えば、検出対象物質と特定物質との反応のほか、pH、イオン、温度、圧力、誘電率、抵抗値、粘度等の外環境の変化などが挙げられる。
また、検出されるシグナル(相互作用により生じるアンペロメトリック型電極部及び/又はトランジスタ部の特性の変化)の増幅や特定を目的として、特定物質と相互作用した物質と更に相互作用する物質(標識物質)で、検出対象物質を標識することも可能である。なお、標識物質としては、例えば、酵素(例えばH等の電気的活性種を生成及び/又は消費することができる酵素)、電気化学的反応を有する物質やこれらの物質を生成及び/又は消費することができる酵素、あるいは電子メディエーターと酵素の組み合わせ、荷電を有する高分子や粒子などが挙げられる。前記粒子としては、例えば、高分子化合物からなる粒子(例えば、ラテックス粒子)、あるいは、無機化合物又は金属からなる粒子(例えば、金コロイド)などを挙げることができる。また、標識物質は1種を単独で用いても2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。これらの標識を行う方法は、イムノアッセイやインターカレーター等を利用したDNA解析の領域では標識化測定法として広く用いられている方法である(参考文献:今井一洋 生物発光と化学発光 昭和64年 廣川書店、P.TIJSSENエンザイムイムノアッセイ 生化学実験法 11 東京化学同人、Takenaka,Anal.Biochem.,218,436(1994)等多数)。
前記のように、特定物質と検出対象物質との「相互作用」とは特に限定されるものではないが、通常は、共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合のうち少なくとも1つから生じる分子間に働く力による作用を示す。但し、本明細書に言う「相互作用」との用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合、双極子結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含有される。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体との間の結合及び解離、タンパク質レセプタとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸とそれに結合するタンパク質との間の結合及び解離、核酸と核酸との間の結合及び解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合及び解離、あるいは糖鎖とタンパク質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と蛋白質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と低分子化合物との間の結合及び解離、イオンとイオン感応性物質との間の相互作用等が挙げられるが、この範囲に限られるものではない。例えば、イムノグロブリンやその派生物であるF(ab’)、Fab’、Fab、レセプタや酵素とその派生物、核酸、天然あるいは人工のペプチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質あるいは有機配位子、ウイルス、細胞、薬物等が挙げられる。
また、感知部に固定化される特定物質と他の物質との「相互作用」として、物質以外にもpHやイオン、温度、圧力、誘電率、抵抗値、粘度等の外環境の変化に対するゲートに固定化される機能性物質の関与する応答及び機能性物質が固定化されないゲートそのものの応答が挙げられる。
(3.感知部への特定物質の固定化方法)
本発明においては、作用極及び対極(好ましくは、更に参照極)を含むアンペロメトリック電極部と、毛細管作用を持つ支持体とから主に構成される感知部に特定物質を固定化することができ、例えば、支持体にのみ、作用極にのみ、あるいは、支持体及び作用極の両方に、特定物質を固定化することができる。毛細管作用を持つ支持体及び電極から構成される感知部への特定物質の固定化方法としては、感知部として、毛細管作用を持つ支持体又は電極の少なくともいずれか一方に特定物質を固定することができる方法であれば特に制限は無く、任意である。例えば、感知部に直接物理吸着で結合させることも可能であるが、予め感知部上にアンカー部を有するフレキシブルスペーサーを介して結合させても良い。
感知部に金等の金属を用いた場合、フレキシブルスペーサーは構造式(CH(nは1〜30の自然数を表すが、2〜30が好ましく、2〜15が更に好ましい)のアルキレンを含有することが望ましい。スペーサー分子の一端は、金等の金属への吸着として適しているアンカー部としてチオール基やジスルフィド基を使用し、スペーサー分子の検出用感知ゲートから離れた方を向いている他端には固定化したい特定物質を結合しうる結合部を1個又は複数個含有する。このような結合部は、例えばアミノ基やカルボキシル基、ヒドロキシル基、スクシミド基等種々の反応性官能基やビオチン及びビオチン誘導体、ジゴキシン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、及び誘導体、テオフィリン等のハプテンやキレートを用いても良い。
また感知部に含まれる毛細管作用を持つ支持体(例えば、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロース膜等)に固定化する場合は、直接物理吸着や共有結合で支持体に結合させることも可能であるが、予め支持体にアンカー部を有するフレキシブルスペーサーを介して結合させても良い。
また感知部に直接又はこれらアンカー部を有するフレキシブルスペーサーを介して導電性高分子、親水性高分子、LB膜等やマトリックスを結合させ、その導電性高分子、親水性高分子、LB膜等やマトリックスに固定化したい特定物質を1又は複数種結合又は包括/担持させても良い。更に、予め導電性高分子、親水性高分子やマトリックスに固定化したい物質を1又は複数個結合又は包括/担持させた後に感知部に結合させても良い。
この際、導電性高分子としてはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等が使用され、親水性高分子としてはデキストラン、ポリエチレンオキシド等電荷を有さない高分子でも良いし、ポリアクリル酸、カルボキシメチルデキストラン等電荷を有する高分子でも良い。
特に、特定のイオンを検出する場合は、感知部上に特定のイオンに対応するイオン感応膜を形成させることができる。更に、イオン感応膜の代わりに、あるいはイオン感応膜と共に酵素固定膜を形成させることにより、検出対象物質に対して酵素が触媒として作用した結果生じる生成物の生成を相互作用として感知し、それにより検出対象物質を検出することもできる。
更に、酵素活性を測定する場合は、抗酵素抗体の固定化された感知部で酵素を捕捉した後、次いで酵素に対応する基質を含む酵素反応液を混合して、生成された酵素反応産物を上記と同じ方法で検出し、それにより酵素活性を測定することもできる(特開2001−299386号公報参照)。
また、固定化したい特定物質を固定化した後、牛血清アルブミン、ポリエチレンオキシド又は他の不活性分子により表面を処理したり、特定物質の固定化層の上に付着層で被覆することにより非特異的反応を抑制したり、透過することのできる物質を選択したり、制御したりすることもできる。
更に、感知部として薄い絶縁膜を使用した際に、H、Na等のイオンを測定する場合は、必要であれば、絶縁膜上にそれぞれ測定対象となるイオンに対応するイオン感応膜を形成させることもできる。更にイオン感応膜の代わりに、あるいはイオン感応膜とともに酵素固定膜を形成させることにより検出対象物質に対して酵素が触媒として作用した結果生じる生成物を測定することにより検出対象物質を検出することもできる(参考文献:鈴木周一 バイオセンサー 1984 講談社,軽部ら センサーの開発と実用化、第30巻、第1号、別冊化学工業 1986)。
[VI.ストリップ]
本発明のセンサユニットにおけるストリップ(すなわち、クロマトグラフィー用支持体)は、その一部が、毛細管作用をもつ支持体それ自体であり、毛細管作用により、検体を感知部に接触させる部材である。本発明のセンサユニットにおいては、電気的シグナルを得るために、その使用時において、毛細管作用をもつ支持体が溶液で濡れている(すなわち、通電可能な状態にある)必要がある。また、検体とは、センサユニットを用いて検出する対象となるものであり、その検体に検出対象物質が含有されている場合には、その検出対象物質と特定物質とが相互作用するようになっている。本発明のセンサユニットにおいては、ストリップの乾燥を防止する機構(例えば、カバー)を設けることができる。
ストリップは、毛細管作用により、検体を感知部に接触させて、その検体に検出対象物質が含有されている場合に上記の相互作用を生じさせることができれば具体的な構成に制限は無い。例えば、検体を感知部に接触するように保持する容器として構成することができる。検体を流通させて検出を行うことにより、検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
また、ストリップには、上述した感知部を形成してもよい。即ち、基板上のゲート本体と、ストリップの感知部とにより、検出用感知ゲートが構成されるようにしても良い。これにより、感知部の着脱をストリップの着脱と共に行うことが可能となり、操作の簡便化を図ることができる。
以下、ストリップについて、更に詳細に説明する。なお、本発明においては、少なくとも1つのアンペロメトリック型電極部を含む限り、所望により、アンペロメトリック型測定法に基づくアンペロメトリック型電極部と、ボルタメトリック型測定法に基づく前記トランジスタ部とを、任意に組み合わせて使用可能である。従って、以下の説明では、アンペロメトリック型測定法を利用する態様と、ボルタメトリック型測定法を利用する態様とを特に区別することなく、説明する。
ストリップの形状、寸法、数等に特に制限は無いが、その検出の目的に応じて、適切な構造を形成することが望ましい。例えば、2以上の相互作用を感知する場合には、相互作用の感知に用いる試薬や反応生成物が他の相互作用の感知を阻害することを防止するため、各感知部を仕切る壁部を設けること等により、個々の感知部間において検体が混合しないようにすることができる。また、例えば、別種の検出対象物質を一度で分析する場合や、相互作用の感知に必要な試薬を個々の感知部に別々に導入する場合などには、検体を予め別々のストリップに分離させることも可能である。
ストリップの具体的な態様は検出対象物質により、種々のものが考えられるが、以下、添付図面に基づいて、各用途に応じたストリップについて説明する。
例えば、図1及び図2に示すようなストリップを用いて免疫反応を利用した検出対象物質の測定を実施することができる。図1に示すストリップは、展開方向(図1及び図2における矢印Aで示す方向)の上流から下流に向かって、検体添加領域として機能する試料添加パッド1、標識化免疫反応性物質保持領域として機能する標識化免疫反応性物質保持パッド2、免疫反応性物質固定化領域として機能する免疫反応性物質固定化メンブレン3、及び液体吸収領域として機能する吸収パッド4がこの順に、基材層としての粘着シート6上に、例えば、接着剤によって貼付して配置されている。前記免疫反応性物質固定化メンブレン3は、ボルタノメトリック型測定法の場合は、ゲート本体と電気的導通を取りうるように配線7で配線された感知素子5(図6及び図7、又は図8及び図9参照)と接触し、アンペロメトリック型測定法の場合は、少なくとも作用極と対極とを含む感知素子5(図10及び図11)、好ましくは少なくとも作用極と対極と参照極とを含む感知素子5(図12及び図13)と接触し、それぞれ、感知部を形成している。なお、前記配線部7は、溶液と接触しないように、絶縁層(図示せず)で表面を覆われている。
ここで、図6及び図7に示すボルタノメトリック型感知素子部においては、基板11上に、絶縁層12、電極層15、抗体担持層16がこの順に設けられており、更に、前記電極層15とリード線14により電気的に導通するコンタクト電極13が、基板11上に設けられている。前記コンタクト電極13は、接続用コネクタ(図示せず)と機械的に着脱可能であると同時に、装着時には電気的に導通可能である。前記接続用コネクターは、例えば、ゲート電極と電気的に導通されている。リード線14は、溶液と接触しないように、絶縁層で表面を覆われている。
また、図8及び図9に示すボルタノメトリック型感知素子部においては、基板11上に、絶縁層12、電極層15、抗体担持層16がこの順に設けられており、これとは別に、前記基板11上に参照極17が設けられている。前記電極層15と前記参照極17は、それぞれ、リード線14a,14bを介して、基板11上に設けられたコンタクト電極13a,13bと電気的に接続されている。前記コンタクト電極13a,13bは、接続用コネクタ(図示せず)と機械的に着脱可能であると同時に、装着時には電気的に導通可能である。前記接続用コネクターは、例えば、ゲート電極と電気的に導通されている。リード線14a,14bは、溶液と接触しないように、絶縁層で表面を覆われている。
図10及び図11(図11に示す電子受容体−抗体担持層20は、図10からは省略している)に示すアンペロメトリック型感知素子部においては、基板11上に設けた絶縁層12上に、カーボンナノチューブ状構造体を含む作用極18と、対極19とが互いに非接触状態で設けられており、更に、少なくとも前記作用極18を覆うように、少なくとも抗体を含む電子受容体−抗体担持層20が少なくとも前期作用極18上に設けられている。図11に示す電子受容体−抗体担持層20に代えて、作用極18及び対極19を覆う電子受容体−抗体担持層を絶縁層12上に設けることもできる。前記作用極18と前記対極19は、それぞれ、リード線14a,14bを介して、基板11上に設けられたコンタクト電極13a,13bと電気的に接続されている。前記コンタクト電極13a,13bは、接続用コネクタ(図示せず)と機械的に着脱可能であると同時に、装着時には電気的に導通可能である。前記接続用コネクターは、例えば、ポテンショスタットと電気的に導通されている。リード線14a,14bは、溶液と接触しないように、絶縁層で表面を覆われている。
図12及び図13(図13に示す電子受容体−抗体担持層20は、図12からは省略している)に示すアンペロメトリック型感知素子部においては、基板11上に設けた絶縁層12上に、カーボンナノチューブ状構造体を含む作用極18と、対極19と、参照極21とが互いに非接触状態で設けられており、更に、少なくとも前記作用極18を覆うように、少なくとも抗体を含む電子受容体−抗体担持層20が少なくとも前期作用極18上に設けられている。図13に示す電子受容体−抗体担持層20に代えて、作用極18と対極19及び/又は参照極21とを覆う電子受容体−抗体担持層を絶縁層12上に設けることもできる。前記の作用極18、対極19、参照極21は、それぞれ、リード線14a,14b,14cを介して、基板11上に設けられたコンタクト電極13a,13b,13cと電気的に接続されている。前記コンタクト電極13a,13b,13cは、接続用コネクタ(図示せず)と機械的に着脱可能であると同時に、装着時には電気的に導通可能である。前記接続用コネクターは、例えば、ポテンショスタットと電気的に導通されている。リード線14a,14b,14cは、溶液と接触しないように、絶縁層で表面を覆われている。
本発明におけるストリップは、例えば、図1に示すように、検体添加領域、標識化免疫反応性物質保持領域、免疫反応性物質固定化領域、感知部を少なくとも含む限り、特に限定されるものではないが、液体吸収領域を更に含むことが好ましい。
また、本発明におけるストリップは、図1に示すように、これらの各領域を同一平面上に水平方向に配置することもできるし、あるいは、図2(a)に示すように、隣接する各領域の一部のみが重なるように配置することもできるし、図2(b)に示すように、複数の領域を積層して配置することもできる。なお、図2では、粘着シート6及び配線7を省略している。
なお、本明細書において「検体添加領域」とは、少なくとも検体を添加可能な領域を意味し、添加物質が検体のみの場合は勿論のこと、例えば、添加物質が検体及び緩衝液の場合である「検体及び緩衝液添加領域」、あるいは、添加物質が検体、基質、及び緩衝液の場合である「検体、基質、及び緩衝液添加領域」、更には、基質供給領域などが包含される。
これらの領域は、利用する反応系に応じて、その配置、供給手順等を適宜設計することができる。例えば、(1)検体と同じく、基質を溶液状態で添加することもできるし、(2)基質保持領域として機能する密封袋に基質(溶液)を予め封入しておき、袋に穴をあけることにより、基質を展開することもできるし、(3)基質(粉)の保持領域を設けておき、後から、緩衝液を加え、基質として展開することもできる。
なお、本明細書において「標識化免疫反応性物質保持領域」あるいは「前処理領域」が「検体添加領域」より上流に配置されるときは、標識化免疫反応性物質あるいは前処理物質を下流に展開させるため、添加物質として緩衝液、基質、あるいはこれらの混合物を「標識化免疫反応性物質保持領域」あるいは「前処理領域」に添加することもできる。
これらの領域は、利用する反応系に応じて、その配置、供給手順等を適宜設計することができる。例えば、(1)基質を溶液状態で添加することもできるし、(2)基質保持領域として機能する密封袋に基質(溶液)を予め封入しておき、袋に穴をあけることにより、基質を展開することもできるし、(3)基質(粉)の保持領域を設けておき、後から、緩衝液を加え、基質として展開することもできる。
前記免疫反応性物質固定化メンブレン3は、個別測定対象物質(例えば、測定対象物質A及び測定対象物質B)のいずれか1つとのみ、それぞれ特異的に結合することのできる各免疫反応性物質(以下、特定免疫反応性物質と称する)を、それぞれ別々に固定化した領域である検出ゾーン8a,8bを有する。更に、免疫反応性物質固定化メンブレン3は、前記検出ゾーン8a,8bの下流(展開方向に関して)に、標識化免疫反応性物質と結合することのできる共通免疫反応性物質を固定化した領域である検出ゾーン8cを有する。
また、別の態様としては、前記免疫反応性物質固定化メンブレン3は、測定対象物質(例えば、測定対象物質A)と特異的に結合することのできる特定免疫反応性物質を、固定化した領域である検出ゾーン8aと、それとは別に検出ゾーン8aにおけるシグナルから、測定対象物質Aの濃度を算出するため、所定濃度に調整された測定対象物質Aが固定化した検出ゾーン8bを有し、更に、免疫反応性物質固定化メンブレン3は、前記検出ゾーン8a,8bの下流(展開方向に関して)に、標識化免疫反応性物質と結合することのできる共通免疫反応性物質を固定化した領域である検出ゾーン8cを有する。
図1に示すストリップにおいて、標識化免疫反応性物質の標識物質として、酵素を使用する場合には、例えば、検体、基質、及び緩衝液を試料添加パッド1に添加することができる。また、図1に示すストリップにおいて、標識化免疫反応性物質の標識物質として、荷電粒子(例えば、荷電を有する高分子化合物)を使用する場合には、例えば、検体及び緩衝液を試料添加パッド1に添加することができる。
本発明で用いる各特定免疫反応性物質は、測定対象物質(すなわち、個別測定対象物質と総量測定対象物質との組み合わせ)に応じて適宜決定することができる。
更に、別の態様として、図3に示すようなストリップを用いて酵素反応を利用した検出対象物質の測定を実施することができる。図3に示すストリップは、展開方向(図3における矢印Aで示す方向)の上流から下流あるいは上方から下方に向かって、検体添加領域として機能する試料添加パッド1、検体の前処理領域として機能する前処理パッド2、酵素反応性物質固定化領域として機能する酵素反応性物質固定化メンブレン3、及び液体吸収領域として機能する吸収パッド4がこの順に、基材層としての粘着シート6上に、例えば、接着剤によって貼付して配置されている。前記酵素反応性物質固定化メンブレン3は、ボルタノメトリック型測定法の場合は、ゲート本体と電気的導通を取りうるように配線7で配線された感知素子5(図6及び図7、又は図8及び図9参照;但し、図6〜図9に示す抗体担持層16に代えて、酵素反応性物質担持層を使用)と接触し、アンペロメトリック型測定法の場合は、少なくとも作用極と対極とを含む感知素子5(図10及び図11;但し、図11に示す電子受容体−抗体担持層20に代えて、電子受容体−酵素反応性物質担持層を使用)、好ましくは少なくとも作用極と対極と参照極とを含む感知素子5(図12及び図13)と接触し、それぞれ、感知部を形成している。本発明のストリップは、検体添加領域、前処理領域、酵素反応性物質固定化領域、感知部を少なくとも含む限り、特に限定されるものではないが、必要に応じて、前処理領域、液体吸収領域を更に含むことが好ましい。なお、本明細書において「酵素反応性物質」とは、酵素反応に関与する物質を意味し、例えば、酵素それ自体、酵素基質を挙げることができる。
この時、特に、測定対象物質がグルコースの場合、ボルタノメトリック型測定法の場合は、ゲート本体と電気的導通を取りうるように配線7で配線された感知素子(例えば、図6又は図8)を含む感知部において、あるいは、アンペロメトリック型測定法の場合は、少なくとも作用極と対極とを含む感知素子(例えば、図10)、好ましくは少なくとも作用極と対極と参照極とを含む感知素子(例えば、図12)を含む感知部において、酵素反応性物質固定化領域において、例えば、図14〜図17に示すように、感知素子部上には第1から第4の膜で構成される、グルコース検出膜を形成させることができる。
第1の膜として妨害物質除去膜31が形成されている。妨害物質除去膜31は、例えば、シランカップリング剤、ナフィオン、アセチルセルロースから少なくとも1つを成膜したものである。成膜方法はスピン塗布あるいはディスペンサーによる滴下法が用いられる。第2の膜はグルコース酸化酵素(GOD)固定化膜32である。GOD、アルブミン、グルタルアルデヒドを含む水溶液をスピン塗布あるいは滴下して形成され、必要に応じて電子メディエーターとしてフェリシアン化カリウム等を含む。第3の膜はグルコース制限透過膜33であり、例えば、シリコーン、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタンから選択され、スピン塗布あるいは滴下により形成される。第4の膜は汚染物質除去膜34であり、親水性の高分子膜、例えば、アルブミン−グルタルアルデヒド架橋膜、アルギン酸、κ−カラギーナン、ポリビニールアルコール、親水性ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸、親水性ポリシロキサンなどから選択され、スピン塗布あるいは滴下により形成される。積層された膜の厚さは1μm以下である。
グルコース検出膜を所定の部分に形成するために、特公平5−48418号公報により明らかにされているフォトレジストによるリフトオフ法を用いることができる。すなわち、感知部が形成された基板上にフォトレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィー法により所定の部分のフォトレジスト膜を除き、次に第1から第4までの膜材料をスピン塗布あるいはディスペンサーによる滴下により順次積層し、最後にフォトレジスト膜を溶解させることにより、所定の部分にのみに膜を形成する。
検体中のグルコース分子はGOD固定化膜内でGODの作用によりD−グルコノ−δ−ラクトンと過酸化水素に変換される。アンペロメトリック型測定法の場合、この過酸化水素は作用極表面で酸化され、作用極から対極へ電流が流れる(反応式1)。この時、過酸化水素を酸化するために参照極に対して作用極に所定の電圧を印加し、この電圧が保たれるように対極の電位を変化させながら、作用極から対極へ流れる過酸化水素の酸化電流を測定する(反応式2)ことにより、グルコース濃度が測定される。
β−D−グルコース+O→D−グルコノ−δ−ラクトン+H・・・(反応式1)
→2H+O+2e・・・(反応式2)
なお、この際、酵素・電極間の電子授受を仲介する電子メディエーターとしてフェリシアン化カリウム等を用いても良い。また、ボルタノメトリック型測定法としてトランジスタを用いる場合は、上記GODの酵素反応に伴う感知部におけるpHの変化により測定する。
本発明の実施の形態では酵素としてグルコース酸化酵素を使用したグルコース測定について説明したが、本発明ではこの酵素に限定するものではない。例えば、図14〜図17のGOD固定化膜において、GODに代わりにアルコール酸化酵素を使用することによりアルコール酸化酵素固定化膜を形成し、グルコース制限透過膜の代わりに、作製条件を改良しアルコール制限透過膜を形成することによりアルコール検出膜を構成することが可能となり、アルコールセンサを実現することができる。アルコール酸化酵素の他にも酵素として、乳酸酸化酵素、グルタミン酸化酵素などの各種の酸化酵素を用いて、乳酸、グルタミン酸を同様にして測定することができる。
また、本発明の実施の形態では酵素としてグルコース酸化酵素を使用したグルコース測定について説明したが、本発明ではこの酵素に限定するものではない。例えば、図14〜図17のGOD固定化膜において、GODに代わりにコレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼを用いて前処理領域に前処理物質として界面活性剤を含ませることにより、コレステロールを測定することができ、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼを用い、前記と同じく、前処理領域に前処理物質として界面活性剤を含ませることにより、中性脂肪を測定することができる。
酵素反応性物質固定化メンブレンは、個別測定対象物質(例えば、測定対象物質A及び測定対象物質B)のいずれか1つとのみ、それぞれ特異的に反応することのできる各酵素反応性物質(以下、特定酵素反応性物質と称する)を、それぞれ別々に固定化した領域である検出ゾーンを有する。
一方、酵素活性を測定する場合は、抗酵素抗体の固定化された感知部で酵素を捕捉した後、次いで酵素に対応する基質を含む酵素反応液を添加して、生成された酵素反応産物を上記と同じ方法で検出し、それにより酵素活性を測定することもできる(特開2001−299386号公報参照)。
また、検出対象物質としてタンパク質や核酸などのそれ自体が上記の反応に関与しない分子の場合、酵素標識された該検出対象物質に特異的な抗体と該検出対象物質との複合体を形成させ、その酵素に対応する基質を含む酵素反応液を添加して、生成された酵素反応産物を上記と同じ方法で検出し、それにより検出対象物質を測定することもできる。
更に、別の態様として、図4に示すようなストリップを用いてイオン選択性物質(膜)を利用した検出対象物質の測定を実施することができる。図4に示すストリップは、展開方向(図4における矢印Aで示す方向)の上流から下流あるいは上方から下方に向かって、検体添加領域として機能する試料添加パッド1、検体の前処理領域として機能する前処理パッド2、ゲート本体若しくアンペロメトリック型電極部と電気的導通を取りうるように配線7された感知部5において、イオン選択性物質固定化領域として機能するイオン選択性物質固定化メンブレン3、及び液体吸収領域として機能する吸収パッド4がこの順に、基材層としての粘着シート6上に、例えば、接着剤によって貼付して配置されている。本発明のストリップは、検体添加領域、前処理領域、及びイオン選択性物質固定化領域、感知部を少なくとも含む限り、特に限定されるものではないが、液体吸収領域を更に含むことが好ましい。
特に、特定のイオンを検出する場合は、感知部に特定のイオンに対応するイオン感応膜を形成させることができる。更に、イオン選択性物質の代わりに、あるいはイオン選択性物質と共に酵素を固定化することにより、検出対象物質に対して酵素が触媒として作用した結果生じる生成物の生成を相互作用として感知し、それにより検出対象物質を検出することもできる。
更に、感知部として薄い絶縁膜を使用した際に、H、Na等のイオンを測定する場合は必要であれば、絶縁膜上にそれぞれ測定対象となるイオンに対応するイオン感応膜を形成させることもできる。更にイオン感応膜の代わりに、あるいはイオン感応膜とともに酵素固定膜を形成させることにより検出対象物質に対して酵素が触媒として作用した結果生じる生成物を測定することにより検出対象物質を検出することもできる(参考文献:鈴木周一 バイオセンサー 1984 講談社,軽部ら センサーの開発と実用化、第30巻、第1号、別冊化学工業 1986)。
本発明のストリップにおいて、各物質固定化領域における各反応性物質の配置パターンは、後述する分析工程において、各信号が区別可能であるように隔離されている限り、特に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、図1、図3、又は図4のストリップを2つ以上前記展開方向に並置して配置(多レーン・多行型)することもできる。また、各検出ゾーンの形状も、特に限定されるものではなく、例えば、ドット状又は帯状であることができる。
また、例えば、検体として血液を用いた場合、血液中に含まれる赤血球等を予め除去するため、必要に応じて、図1、図3〜図5における検体添加領域及び/又は前処理領域において細孔によるろ過機能を用たせても良い。
本発明のストリップにおける毛細管作用をもつ支持体は、液体が展開可能である支持体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド繊維、グラスファイバー、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、フッ化ビニリデン樹脂、又はポリテトラフルオロエチレンなどからなる多孔質体(例えば、濾紙又は多孔性ポリマー)などを挙げることができる。
接触工程の終了後、分析工程において、各検出ゾーン毎に、信号を分析する。分析工程では、測定対象物に応じて、図18に示すようにボルタノメトリック型測定法かアンペロメトリック型測定法を選択し、各信号を分析し、各検出ゾーン毎に測定対象物質の量を算出する。
[VII.分析装置の例]
以下に、本発明のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示すが、本発明は以下の例に限定されるものではなく、例えば各構成要素の説明において上述したように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図19は、本発明のセンサユニットを用いた分析装置100の模式的説明図であり、図20は、センサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である。
図19に示すように、この分析装置100は、センサユニット101と、測定回路102とを有して構成され、ストリップ107中を、検体及び試薬を矢印のように流すことができるように構成されている。ここで、測定回路102は、図18に示すように、アンペロメトリック型測定法の場合は電極部での特性変化を検出するための回路であり、ボルタノメトリック型測定法においてはセンサユニット101内のトランジスタ部(図23のトランジスタ部103参照)の特性変化を検出するための回路(トランジスタ特性検出部)であり、具体例としては、任意の抵抗、コンデンサ、電流計、電圧計、通常利用することができる集積回路素子(所謂IC、オペレーショナルアンプ等)、コイル(インダクタ)、フォトダイオード、LED(発光ダイオード)などを含めた公知の電子回路部品を用いた回路などから目的に応じて構成される。
センサユニット101は、図20に示すように、集積検出デバイス104と、コネクタソケット105と、分離型集積電極106と、ストリップ107とを備えている。このうち、集積検出デバイス104は分析装置100に固定されている。一方、コネクタソケット105、分離型集積電極106、及びストリップ107は、集積検出デバイス104から機械的に着脱可能となっている。
集積検出デバイス104は、図20に示すように、基板108上に、それぞれ同様に構成された複数(ここでは4個)の検出デバイス部109が集積化された構成となっている。
基板108上に集積化された検出デバイス部109は、絶縁性の素材で形成された基板108上に、導体(例えば、金)で形成された対極及び作用極(図示せず)と接続可能なコンタクト電極を有している。コンタクト電極には、それぞれ測定回路102に通じる配線(図示省略)が接続されていて、この配線を通じ、対極及び作用極における電荷の変化を電流変化として測定回路102で検出されるようになっている。
コネクタソケット105は、集積検出デバイス104と分離型集積電極106との間で、集積検出デバイス104と分離型集積電極106とを接続するコネクターである。コネクタソケット105の図中下部(下面)には、集積検出デバイス104の上面の形状に合わせて形成された、コネクタソケット105を集積検出デバイス104に装着するための装着部105Aが設けられている。また、コネクタソケット105の図中上部(上面)には、分離型集積電極106の下面の形状に合わせて形成された、分離型集積電極106をコネクタソケット105に装着するための装着部105Bが設けられている。これにより、コネクタソケット105を介して分離型集積電極106は集積検出デバイス104に装着されるようになっている。なお、コネクタソケット105自体は、前記のように集積検出デバイス104に対して着脱可能となっている。
コネクタソケット105内には導体からなる配線が設けられていて、センサユニット101の組み立て時には、集積検出デバイス104の検出デバイス部109と、分離型集積電極106の電極部116とが電気的に導通をとることができるようになっている。具体的には、集積検出デバイス104の図中左から1番目、2番目、3番目及び4番目の検出デバイス部109それぞれと、分離型集積電極106の図中左から1列目、2列目、3列目及び4列目の各3個ずつの電極部116とが対応していて、コネクタソケット105内の配線により、対応する検出デバイス部109と電極部116とが電気的に導通をとられるようになっている。従って、コネクタソケット105は、導通部材として機能するようになっている。
更に、コネクタソケット105は、内部に配線を切り替えるスイッチ(図示省略)を有していて、そのスイッチを切り替えることにより、検出デバイス部109を、対応する電極部116のうちのどれと電気的に導通させるかを選択できるようになっている。従って、コネクタソケット105は、電気接続切替部として機能するようになっている。
なお、分離型集積電極106の裏面は、コネクタソケット105上部の装着部105Bに簡単に装着できるようパッケージを作製することが好ましい。具体的には、例えば、配線124をパターン化し、バンプ等を形成して、TAB(Tape Automated Bonding)やフリップチップボンディングなど利用して基板122にボンディングを行い、下部のコネクタソケット105に接続できるようにパッケージを作製することが好ましい。また、分離型集積電極106はコネクタソケット105に着脱可能になっているが、装着時の固定手段は任意であり、例えば、一般的なICパッケージのようなコネクターなどを用いることができる。
また、ストリップ107は、毛細管作用を持つ支持体125(125a,125b、126cからなる)に、電極部116が形成されたものである。具体的には、毛細管作用を持つ支持体125を流れる検体が各電極部116に接触することができるように、形成されている。この際、温度及び/又は湿度をコントロールすることにより、分析精度を上げることができる。なお、ここでは図中左側から右側にかけて、検出デバイス部109それぞれに対応した各3個ずつの電極部116のうち、それぞれ1個ずつを通過するように毛細管作用を持つ支持体125a,125b、126cが設けられている。なお、各支持体中を流れる検体は、1つの支持体中のみを通過し、隣接する支持体には流出しないように、各支持体は、例えば、仕切り等により互いに分離されていることが好ましい。
電極部116の表面、及び/又は、ストリップ107における特定物質固定化領域に、特定物質を固定化することができる。例えば、特定物質として免疫反応性物質又は酵素反応性物質を用いる場合には、電極部116のみに特定物質を固定化することもできるし、あるいは、電極部116及び特定物質固定化領域の両方に特定物質を固定化することもできる。特定物質としてイオン選択性物質を用いる場合には、電極部116のみに特定物質を固定化する。
ストリップ107は、分離型集積電極106と一体に形成され、ストリップユニット126を構成する。従って、分析装置100の使用時には、ストリップユニット126をコネクタソケット105を介して集積検出デバイス104に装着することになる。なお、このストリップユニット126は通常は使い切り(使い捨て)とする。また、ストリップ107と分離型集積電極106とは、別体として形成しても良い。
[利用分野]
本発明のセンサユニット及びそれを用いた分析装置は、任意の分野で適宜用いることができるが、例えば、血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織・細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含むほとんど全ての液体試料の分析に利用することができる。具体例を挙げると、次のような分野で用いることができる。
血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織・細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含む液体試料の臨床検査を含むバイオセンサとして用いる場合には、pH、電解質、溶存ガス、有機物、ホルモン、アレルゲン、色素、薬物、抗生物質、酵素活性、蛋白質、ペプチド、変異原性物質、微生物細胞、血液細胞、血球、血液型、遺伝子解析の1つ以上の測定項目を疾患あるいは機能別に集積した感知部又は感知部位を同時あるいは順次、少なくとも2つ以上のゲートで測定することにより、測定が可能となる。集積された感知部又は感知部位でのそれぞれ個々の測定原理としてイオンセンサ、酵素センサ、微生物センサ、免疫センサ、酵素免疫センサ、発光免疫センサ、菌計数センサ、及び各種の電気化学的反応を利用した電気化学センサ等が考えられるが、最終的に電気的シグナルとして取り出せる原理を全て含む[参考文献:鈴木周一 バイオセンサー 講談社(1984),軽部ら センサーの開発と実用化、第30巻、第1号、別冊化学工業(1986)]。
疾患別に測定する利用方法としては、肝疾患が疑われる場合のスクリーニング検査が挙げられる。通常、肝疾患が疑われる場合、要因として過栄養性脂肪肝、アルコール性肝障害、ウイルス性肝炎、その他の潜在性肝疾患(原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性心不全、先天性代謝異常)が挙げられる。この際、過栄養性脂肪肝の診断には、ALTの上昇が認められ、アルコール性肝障害の検出にはγGTPが最も鋭敏に上昇する。またウイルス性肝炎にはALTの正常例が少なくないのでHBs抗原、HCV抗体等の肝炎ウイルスマーカーの検査が不可欠となる。潜在性肝疾患の検出にはALT、AST、γGTPの組み合わせで判断される。即ち、肝疾患のスクリーニング検査には、ALT、AST、γGTPという酵素活性を調べる生化学項目とHBs抗原、HCV抗体という高感度を要する免疫項目を同時に測定する。
更に、チャネルにカーボンナノチューブを採用するなどして、センサユニット及び分析装置を高感度にした場合には、従来は複数の測定機器を用いて多くの手間をかけて分析していた測定項目を、上述したセンサユニットによって分析することが可能となる。
例えば、化学的反応測定及び免疫学的反応測定を、上述したセンサユニットで分析できるようにすることが可能である。
例えば、電解質濃度測定グループ、酵素反応等の化学的反応を利用した生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、免疫学的反応測定グループ、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質相互作用測定グループ及びレセプタ−リガンド間相互作用測定グループからなる測定グループの群より選ばれる、少なくとも一つの測定グループの測定を、上述したセンサユニットで分析できるようにすることが可能となる。
また、例えば、電解質濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、生化学項目測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、血液ガス濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸−タンパク質間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、及び、免疫学的反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質からなる群より選ばれる2以上の検出対象物質の検出を、前記センサユニットで分析できるようにすることも可能である。即ち、それぞれの測定グループに含まれる各検出対象物質のうち、同じ測定グループの検出対象物質を2種以上検出するようにしてもよく、異なる測定グループの検出対象物質を2種以上検出するようにしてもよい。
更に、電解質濃度測定グループ、酵素反応等の化学的反応を利用した生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ、並びに、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループ、及び、免疫学的反応測定グループ、生化学項目測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループの測定を、前記センサユニットで分析できるようにすることも可能である。従来は、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループ、免疫学的反応測定グループなどの測定グループに含まれる検出対象物質を検出しようとする場合には、非常に高い感度が要求されたため、検出が困難であった。そのため、これらの測定グループを、他の測定グループとともに同じセンサユニットを用いて測定することは出来なかった。しかし、本発明のセンサユニットによれば、カーボンナノチューブ等をチャネルに用いることにより高い感度を備えることができ、しかも、集積化により同じセンサユニットで2以上の検出対象物質を検出することが可能となる。従って、従来の技術では同じセンサユニットで分析することができなかった測定グループに含まれる検出対象物質であっても、検出することが可能なセンサユニット及び分析装置を提供することができる。但し、カーボンナノチューブ等を使用しなくても測定できると考えられていた生化学項目測定グループ等の中でも、非常に高感度が要求される検出対象物質と考えられるが、そのような高感度を要する検出対象物質を検出する際には、カーボンナノチューブ等をチャネルに用いたトランジスタ部により検出を行うようにすることが望ましい。
また、特定の疾患又は機能を判別するために選択された2以上の検出対象物質を検出できるようにすることも可能である。例えば、肝疾患について判別する際には、生化学項目グループの内、ALT、AST、γ−GTP、ALP、総ビリルビン、直接ビリルビン、ChE、総コレステロールを測定し、免疫学的反応測定グループの内、肝炎ウイルス関連マーカー(IgM−HA抗体、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体等)の測定を行う。
但し、生化学項目グループ等はここで例示したもの以外にも今後新規に発見される項目を含む多くの項目が存在し、それぞれの疾患(例えば腎・尿路疾患、血液・造血器疾患、内分泌疾患、膠原病・自己免疫疾患、循環器疾患、感染症等)にあった測定項目を選択すべきであり、これら各疾患に対して選択されるべき項目は「実践 臨床検査(株)じほう 2001年発行」、「日本臨床 第53巻,1995年増刊号 広範囲 血液・尿化学検査、免疫学検査」等に記載されているように臨床検査項目として広く知られている項目を含む。また、疾患を特定できず、発熱、痙攣等の症状からも「瀧 健治:救急外来診療で役立つ症候からの鑑別診断の進めかた 羊土社」等に記載されている様に測定項目を選択することができる。
ところで、実際に本発明のセンサユニットを用いた分析装置を準備する際には、高い検出感度を要求されない検出対象物質の検出に用いるトランジスタ部のチャネルはどのようなチャネルを用いても良いが、高い検出感度を要求される検出対象物質の検出に用いるトランジスタ部のチャネルには、カーボンナノチューブを用いることが好ましい。上述したように、カーボンナノチューブ等のナノチューブ構造体をチャネルに用いたトランジスタ部においては高い検出感度を実現することが可能であり、特に、カーボンナノチューブをチャネルに用いたトランジスタ部では確実に高い感度を発揮することができる。
医療等の分野に本発明の分析装置を用いる場合には、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループ、免疫学的反応測定グループなどの高い検出感度を要求される測定グループ(以下適宜「高感度測定グループ」という)に含まれる検出対象物質と、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、血液凝固能測定グループなどの高い検出感度を要求されない測定グループ(以下適宜「低感度測定グループ」という)に含まれる検出対象物質とを一連の操作で検出したい場合がある。
このような場合に用いる分析装置は、高感度測定グループに対応したアンペロメトリック型電極部と、低感度測定グループに対応したアンペロメトリック型電極部とを有するセンサチップを備えるものが好ましい。特に血糖等の生化学項目をアンペロメトリック型電極で測定するのが好ましい。この時、アンペロメトリック型電極部に加えて、トランジスタ部を同様な趣旨により、用いることもできる。特に、H及びNa、K等のイオンや電解質濃度を測定する場合はトランジスタ部で測定するのが好ましい。また、上述したように、カーボンナノチューブ等のナノチューブ構造体をチャネルに用いたトランジスタ部においては高い検出感度を実現することが可能であり、特に、カーボンナノチューブをチャネルに用いたトランジスタ部では高感度測定グループを測定することもできる。
[POCTについて]
上述したようにセンサユニットや分析装置の利便性の向上や小型化を行うことが可能になったことにより、POCT(ポイントオブケアテスト)の観点からも利点が得られる。
即ち、従来、医療診断分野では患者により近いところでの検査を迅速に行うという観点から、臨床検査のPOCT化(小型化、迅速化)が急速に進行すると考えられており、様々な機種が開発されつつある。
医療診断分野における測定対象としては、電解質/血液ガス、生化学項目、免疫項目等をはじめ、上記のような様々な測定グループが挙げられるが、従来技術ではそれぞれ測定方法が異なるため別々の装置で測定されており、疾患ごとに全ての検査項目を同一原理で一度に測定することはできず、真のPOCTは実現されていない。
例えば、肝疾患が疑われる場合、AST(アスパラギン酸アミノトランスファラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、γ−GTP等の生化学項目は比色法で測定され、ウイルス肝炎項目は化学発光等の高感度な検出法で測定されている。このように、従来は、特定の診断に際して別々の方法を組み合わせて測定されていた。これは極めて高感度の検出感度を要する抗原−抗体反応を利用した免疫項目の検出感度に技術的制限があり、他の電解質/血液ガス、生化学項目と同一原理で一度に測定することができないからであった。
これに対して、本発明のセンサユニットにおいては、例えば、カーボンナノチューブをチャネルに用いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより、機能別、疾患別に一度に診断を行うことができ、POCTの実現が可能となる。
即ち、例えば極めて高感度の検出感度を要する抗原−抗体反応を利用した免疫項目の検出にはカーボンナノチューブを含む作用極を有するアンペロメトリック型電極、又はカーボンナノチューブを利用した単一電子トランジスタ(CNT−SET)、若しくはカーボンナノチューブを利用した電界効果トランジスタ(CNT−FET)を採用し、一方、他の電解質/血液ガス、生化学項目にはカーボンナノチューブを含む作用極を有するアンペロメトリック型電極、CNT−SET、CNT−FET、あるいは従来から使用されている特許3137612号等に記載の電界効果トランジスタ(FET)もしくはアンペロメトリック型測定法を採用し、更に、トランジスタ部の集積化、即ち、CNT−SET、CNT−FET、その他のトランジスタ、及び電極等の集積化、並びに、これらを含むストリップユニット又はセンサユニットの分離、各ストリップユニットに試薬等を供給するためのラテラルフロー加工、組立て技術等を組み合わせることにより、高感度の検出感度を要する項目の検出を含む複数の異なる測定項目を一度に測定することができる。
また、高い精度で検出を行う観点から、検出には全ての検出対象物質をカーボンナノチューブを含む作用極を有するアンペロメトリック型電極、CNT−FETもしくはCNT−SETを用いて測定することが好ましいが、少なくとも高感度を要する免疫項目などの検出対象物質の検出においては、カーボンナノチューブを含む作用極を有するアンペロメトリック型電極、CNT−FET又はCNT−SETを用いれば、その他の検出対象物質については、従来から良く知られているアンペロメトリック型測定法等の他法で測定してもよく、カーボンナノチューブを利用しない電界効果トランジスタや単一電子トランジスタを用いて測定してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:B型肝炎表面抗原(HBs抗原)の測定(CNT−GOD系)》
1−1.カーボンナノチューブ(CNT)作用極をもつ電極部、感知部の作製
図21に示すパターンからなる電極部を「Electrochemistry Communications 9, 2007, 13-18」記載の方法に基づき作製した。即ち、SiO/Si基板上にフォトリソグラフィー法により、Pt電極部をパターニングした後、作用極(作用極下地面積:160,000μm)上に触媒を塗布し、熱化学気相成長(熱CVD)法により、カーボンナノチューブ作用極41を作製した。また、電極部の一部に銀・塩化銀インク(BAS社製)を塗布することにより、参照極42を作製し、カーボンナノチューブ作用極、対極43、参照極を備えた電極部50を作製した。作用極、対極、参照極の反対側の端部は、接続用コネクター44として機能し、電極部と接続用コネクターはリード部45で結ばれ、電極部と接続用コネクター部以外は絶縁膜により覆った。
なお、カーボンナノチューブ作用極をSEMにより観察した結果を図22に示す。
1−2.相互作用反応部、酸化還元反応部の作製
次に、上記電極部のカーボンナノチューブ作用極上に、0.15mol/L NaClを含む0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)中に1mg/mLのHBs抗原に対する抗体である抗HBsモノクローナル抗体(IgG:自社製)を含む水溶液0.3μLを適下し、37℃、飽和水蒸気圧下で30分間固定化させた。その後、溶媒を25℃、湿度40%の条件下で、1時間乾燥、真空デシケーター内で室温にて2時間乾燥させた後、1%カゼイン(和光純薬社製)含有0.1mol/L Tris/0.15mol/L NaCl水溶液(SIGMA社製、pH8.0)中に30分間振とう下、浸漬させて、未反応部をブロッキングし、さらに、脱塩水を用いて基板を洗浄後乾燥し、電極部に特定物質として抗HBsモノクローナル抗体が固定化された相互作用反応部かつ酸化還元反応部として用いた。
1−3.Pt電極を作用極とした電極部、感知部の作製(対照実験用Pt電極部)
次に、カーボンナノチューブ作用極の効果を調べるため、作用極にカーボンナノチューブが形成されていない電極(Pt作用極:作用極下地面積:160,000μm)を上記の項目1−1と同様にフォトリソグラフィー法により作製し、電極部、感知部とした。
次に上記の項目1−2と同様の方法にてPt作用極上に抗HBsモノクローナル抗体を固定し、電極部に特定物質として抗HBsモノクローナル抗体が固定化された相互作用反応部かつ酸化還元反応部として用いた。
なお、本電極部は作用極がPt電極である以外は項目1−1及び項目1−2記載の電極部と同じである。
1−4.グルコースオキシダーゼ(GOD)標識抗HBsウサギポリクローナル抗体(Fab’)溶液の作製
抗HBsウサギポリクローナル抗体(自社製)及びGOD(ロシュ社製)、架橋試薬[Succinimidyl 4-[N-maleimidomethyl]-cyclohexane-1-carboxylate(PIERCE社製)]を用いて、「高感度酵素免疫測定法(石川栄治:学会出版センター、1993)」記載のマレイミド・ヒンジ法に基づき、GOD標識抗HBsウサギポリクローナル抗体(Fab’)を作製し、酵素標識抗体とし、GOD標識抗HBsウサギポリクローナル抗体(Fab’)を0.1%カゼイン及び0.15mol/L NaClを含む0.1mol/L Tris緩衝液(pH8.0)にて、所定の濃度に調整した溶液をGOD標識抗HBs抗体溶液とした。
1−5.グルコース(基質)溶液の作製
50mg/mLグルコース(和光純薬社製)水溶液をグルコース溶液とした。
1−6.毛細管作用を利用した電極部保持イムノクロマトグラフ装置の構築
カーボンナノチューブ作用極をもつ電極部及び対照用Pt作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフストリップは、以下のように作製した。図23に示すように、ニトロセルロースメンブレン(Hi-Flow 180 Unbacked: MILLIPORE社製)51を用いて、そのニトロセルロースメンブレンの一端(A端)上部に、シリコンラバーシート(厚み:5mm、SR板 SR−50:タイガースポリマー社製)を切り抜いた試薬添加プール52を配置した。また、そのニトロセルロースメンブレンの他の一端(B端)上部に、吸収パット53としてセルロースパット(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS: MILLIPORE社製)を配置し、試薬添加プールに添加された試薬等が、ニトロセルロースメンブレンの毛細管作用により、吸収パットへ流れるように、ニトロセルロースメンブレンと吸収パットを一部重ね合わせて貼付した。続いて、ニトロセルロースメンブレンの下部に、上記項目1−2又は1−3にて作製した抗HBsモノクローナル抗体固定化電極50を電極部側がニトロセルロースメンブレンと接触するように配置し、電極部保持イムノクロマトグラフストリップの構築を行った。この電極部保持イムノクロマトグラフストリップにより、ニトロセルロースメンブレンによる毛細管作用を利用した反応を電気的に測定することを可能にした。
2−1.電気化学アナライザーによるHBs抗原の測定
上記1−6記載のカーボンナノチューブ作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフストリップ及び対照用Pt作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフストリップを用いて、HBs抗原の測定を行った。
まず、HBs抗原(組換え品、サブタイプadw、自社製)を0.1%カゼイン及び0.15mol/L NaClを含む0.1mol/L Tris緩衝液(pH8.0)にて所定濃度に調整した溶液(以下、HBs抗原溶液と称する)を、試薬添加用プールに200μL添加し、送液した後、2.88mg/mLのGOD標識抗HBs抗体溶液を同じく試薬添加用プールに200μL添加し、送液した。
その後、グルコース溶液を同じく試薬添加用プールに200μL添加し、送液し、2.5分後にその状態にて電気化学的測定を行った。
電気化学的測定は、作用極、参照極、対極の各接続用コネクターを電気化学アナライザー(モデル832A:ALS社製)にそれぞれ接続し、サイクリックボルタノメトリー(CV)により、グルコース溶液を送液状態のままで、参照極に対して1.0Vと−0.5Vの間で電位を変化させることにより、電気化学的応答を測定した。
2−2.測定結果
図4及び図5にカーボンナノチューブ作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフ装置によるHBs抗原濃度0kU/mL及び3.76kU/mL時のCV測定結果を、図6及び図7にHBs抗原濃度0kU/mL及び3.76kU/mL時の対照用Pt作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフ装置によるCV測定結果を示す。また、得られた酸化電流値を表1に示す。
《表1》
HBs抗原濃度 酸化電流値
(kU/mL) (nA)
CNT作用極 0 45
3.76 559
Pt作用極 0 55
3.76 116
図4〜図7に示すように、カーボンナノチューブ作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフ装置ではHBs抗原濃度が3.76kU/mLの時、参照極に対して0.6Vの電位(酸化電位)にて、H由来の酸化電流として、559nAの酸化電流が検出されるのに対し、対照用Pt作用極をもつ電極部を保持したイムノクロマトグラフ装置ではHBs抗原濃度が3.76kU/mLの時、H由来の酸化電流として、116nAの酸化電流が検出された(表1参照)。
このことからカーボンナノチューブ作用極を用いることにより検出感度が著しく高くなることが分かった。
本発明のセンサユニット及びそれを含む分析
装置は、各種検出対象物質の、例えば、化学的反応測定又は免疫学的反応測定の用途に適用することができる。
本発明の分析装置の一態様(免疫反応性物質を固定化)について、その主要部を模式的に示す側面図、平面図、及び底面図である。 本発明の分析装置の別の一態様について、その主要部を模式的に示す側面図である。 本発明の分析装置の更に別の一態様(酵素反応性物質を固定化)について、その主要部を模式的に示す側面図、平面図、及び底面図である。 本発明の分析装置の更に別の一態様(イオン選択性物質を固定化)について、その主要部を模式的に示す側面図、平面図、及び底面図である。 本発明の分析装置の更に別の一態様(複数レーン)について、その主要部を模式的に示す側面図、平面図、及び底面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできるボルタノメトリック型感知素子部を模式的に示す平面図である。 図6に示すボルタノメトリック型感知素子部のI−I線模式的断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる別のボルタノメトリック型感知素子部を模式的に示す平面図である。 図8に示すボルタノメトリック型感知素子部のI−I線模式的断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできるアンペロメトリック型感知素子部を模式的に示す平面図である。 図10に示すアンペロメトリック型感知素子部のI−I線模式的断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる別のアンペロメトリック型感知素子部を模式的に示す平面図である。 図12に示すアンペロメトリック型感知素子部のI−I線模式的断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる、グルコース酸化酵素(GOD)固定化膜を有するボルタノメトリック型感知素子部を模式的に示す断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる、グルコース酸化酵素(GOD)固定化膜を有する別のボルタノメトリック型感知素子部を模式的に示す断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる、グルコース酸化酵素(GOD)固定化膜を有するアンペロメトリック型感知素子部を模式的に示す断面図である。 本発明のセンサユニットに用いることのできる、グルコース酸化酵素(GOD)固定化膜を有する別のアンペロメトリック型感知素子部を模式的に示す断面図である。 本発明の分析装置の一態様の構成を示す説明図である。 本発明の分析装置の別の一態様について、センサユニットを、分離型集積電極とコネクタソケットとの間で分離した状態で示す、模式的説明図である。 図19に示す本発明のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である。 本発明の分析装置の一態様であるイムノクロマトグラフ装置における電極部を模式的に示す説明図である。 図21に示す電極部のCNT作用極の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す、図面に代わる写真である。 図21に示す電極部を含む、本発明の分析装置の一態様であるイムノクロマトグラフ装置の(a)模式的説明図、(b)模式的平面図である。 本発明の分析装置による、HBs抗原(濃度=0kU/mL)のCV測定結果を示すグラフである。 本発明の分析装置による、HBs抗原(濃度=3.76kU/mL)のCV測定結果を示すグラフである。 比較用の、Pt作用極を有する分析装置による、HBs抗原(濃度=0kU/mL)のCV測定結果を示すグラフである。 比較用の、Pt作用極を有する分析装置による、HBs抗原(濃度=3.76kU/mL)のCV測定結果を示すグラフである。

Claims (26)

  1. 絶縁性の基板上に少なくとも対極とナノチューブ状構造体を含む作用極を有するアンペロメトリック型電極である電極部を有する、検出対象物質を検出するためのセンサユニットであって、
    前記両電極に、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が形成されており、
    前記感知部における電荷の変化を電流変化として捉えることを特徴とする、検出対象物質を検出するためのセンサユニット。
  2. 前記の毛細管作用をもつ支持体中に、及び/又は、前記作用極上に、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定されている、請求項1に記載のセンサユニット。
  3. 感知部における電荷の変化を、酸化還元反応による電流変化として捉える、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
  4. 前記対極及び作用極が、酸素電極あるいは過酸化水素電極である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  5. 前記対極及び作用極を含む、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が、コンタクト電極と電気的に接続されており、前記コンタクト電極は、測定回路と電気的に接続されている接続用コネクターに対して機械的に着脱可能であり、前記接続用コネクターに装着されているときには、前記感知部が前記測定回路と電気的に導通状態となる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  6. 毛細管作用をもつ支持体を含む感知部を、2つ以上有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  7. 前記電極部が、2つ以上集積されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  8. 前記ナノチューブ状構造体が、カーボンナノチューブ、ボロンナイトライドナノチューブ及びチタニアナノチューブよりなる群から選ばれる構造体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  9. 前記カーボンナノチューブが、金属表面から、直接成長させることにより、金属表面と電気的又は機械的に良好に接触している構造体である、請求項8に記載のセンサユニット。
  10. 前記カーボンナノチューブが、金属表面から、熱化学気相成長法又はプラズマ化学気相成長法を用いて直接成長させた構造体である、請求項9に記載のセンサユニット。
  11. 前記電極部に加え、
    基板と、前記基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルとを備えたトランジスタ部を更に備えた、請求項1〜10に記載のセンサユニットであって、
    前記トランジスタ部が、毛細管作用をもつ支持体を含む感知部を備え、
    前記トランジスタ部及び前記アンペロメトリック型電極における各感知部における電荷の変化を、トランジスタ部においては電圧変化として、アンペロメトリック型電極においては電流変化として捉える、前記センサユニット。
  12. 前記トランジスタ部のチャネルが、ナノチューブ状構造体からなる、請求項11に記載のセンサユニット。
  13. (1)検体添加領域;(2)前記検体中に含まれる検出対象物質と結合することができ、しかも、標識物質で標識された免疫反応性物質を保持している標識化免疫反応性物質保持領域;(3)検出対象物質と選択的に免疫反応をする特定物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、
    前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、
    前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)の上流に、あるいは、前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記標識化免疫反応性物質保持領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  14. 前記標識物質が荷電粒子である、請求項13に記載のセンサユニット。
  15. 前記標識物質が酵素であり、前記酵素に対する基質供給領域が、前記感知部位領域に毛細管作用により連絡可能である、請求項13に記載のセンサユニット。
  16. (1)検体添加領域;(2)前記検体を前処理するための構造あるいは前処理物質を保持している前処理領域;(3)検出対象物質と選択的に化学反応をする特定物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、
    前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、
    前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記前処理領域(2)の上流に、あるいは、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記前処理領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  17. 前記前処理領域(2)が前処理物質として界面活性剤を含み、前記感知部位領域(3)に特定物質としてコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールエステラーゼを含む、請求項16に記載のセンサユニット。
  18. 前記前処理領域(2)が前処理物質として界面活性剤を含み、前記感知部位領域(3)に特定物質としてリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、又はグリセロリン酸オキシダーゼを含む、請求項16に記載のセンサユニット。
  19. (1)検体添加領域;(2)前記検体を前処理するための構造あるいは前処理物質を保持している前処理領域;(3)検出対象イオンに対するイオン選択性物質を固定された領域を含む感知部位領域;及び(4)液体吸収領域を有する、液体を展開可能なクロマトグラフィー用支持体を更に備え、
    前記感知部位領域(3)に、前記の毛細管作用をもつ支持体を含む感知部が設けられ、
    前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)の上流に、あるいは、前記検体添加領域(1)が前記前処理領域(2)の上流に、あるいは、前記前処理領域(2)が前記検体添加領域(1)を含む状態に配置され、前記前処理領域(2)と前記液体吸収領域(4)とが、前記感知部位領域(3)を介して、毛細管作用により液体連絡することが可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  20. 前記のクロマトグラフィー用支持体が2以上の感知部を有する、請求項13〜19のいずれか一項に記載のセンサユニット。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載のセンサユニットを備える、分析装置。
  22. 分析装置による分析が、化学的反応測定及び免疫学的反応測定である、請求項21に記載の分析装置。
  23. 前記分析が、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、免疫学的反応測定グループ、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ及びレセプタ−リガンド間相互作用測定グループからなる群より選ばれる、少なくとも一つの測定グループの測定である、請求項20又は22に記載の分析装置。
  24. 前記分析が、電解質濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、生化学項目測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、血液ガス濃度測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、核酸−タンパク質間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質、及び、免疫学的反応測定グループから選択された少なくとも1つの検出対象物質からなる群より選ばれる2以上の検出対象物質の検出である、請求項21〜23のいずれか一項に記載の分析装置。
  25. 前記分析が、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ、並びに、核酸間ハイブリダイゼーション反応測定グループ、核酸−タンパク質間相互作用測定グループ、レセプタ−リガンド間相互作用測定グループ及び免疫学的反応測定グループからなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループの測定である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の分析装置。
  26. 前記分析が、特定の疾患又は機能を判別するために選択された2以上の検出対象物質を検出である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の分析装置。
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