JP2009002285A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の制御装置に関し、気筒内への吸入空気量の応答性を高めることで、吸入空気量の制御のみで車両の制振を行えるようにする。
【解決手段】吸気管の上流にスロットル20を設け、吸気バルブ12は可変動弁機構22により動作特性を変更可能とする。そして、車両からの制振要求がある場合、スロットル20の開度をスロットル20で吸入空気量が律速されない開度に設定するとともに、吸気バルブ12の動作特性を要求トルクに応じた動作特性に変更する。
【選択図】図1
【解決手段】吸気管の上流にスロットル20を設け、吸気バルブ12は可変動弁機構22により動作特性を変更可能とする。そして、車両からの制振要求がある場合、スロットル20の開度をスロットル20で吸入空気量が律速されない開度に設定するとともに、吸気バルブ12の動作特性を要求トルクに応じた動作特性に変更する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、車両に生じた振動、特に、ピッチングを内燃機関のトルク制御によって制振する制御装置に関する。
車両の加速後や減速後には、その反動により車両の前後が交互に上下するような振動、つまり、ピッチングが発生することがある。車両のピッチングは乗員にとっては不快であるため、これを抑制したいという要望が以前からあった。
上記のピッチング等、駆動系の捩れ等に起因する振動は、内燃機関のトルク制御によって抑制できることが知られている。特許文献1には、駆動系に振動が発生することを予測し、その共振周波数成分を低減するように内燃機関のトルクを低下させる技術が開示されている。ここに開示された技術では、点火時期の遅角や燃料噴射量の減量補正によって内燃機関のトルクを低下させている。
特開2003−41987号公報
特開2001−271661号公報
特開2004−100642号公報
しかしながら、点火時期によるトルク制御はトルクの応答性は高いものの燃費に与える影響も大きい。トルクダウンのために点火時期を大きく遅角させると燃費を悪化させることになる。また、燃料噴射量の減量は排気ガスのリーン化を招くため、燃料噴射量を大きく減量すると排気空燃比の理論空燃比からの逸脱によって排気ガス性能が悪化するおそれがある。つまり、特許文献1に開示されている方法は、振動の抑制と引き換えに燃費の悪化等の弊害が起こる可能性があり、必ずしも車両の総合的な性能を高めるものとは言えなかった。
内燃機関のトルクは、点火時期や燃料噴射量だけでなく、吸入空気量によっても制御することができる。吸入空気量によれば、燃費の悪化や排気ガス性能の悪化を招くことなく内燃機関のトルクを変化させることができる。従来、吸入空気量を制御するためのアクチュエータとしてスロットルが用いられている。スロットルの開度を変化させることで、気筒内への吸入空気量を増減させ、それによりトルクを増減させることができる。
ところが、スロットルの操作では、点火時期を遅角したときのような高いトルク応答性を得ることができない。スロットルを操作してから気筒内への吸入空気量が変化するまでには、吸気管容積分の応答遅れが存在するからである。車両の制振には高いトルク応答性が要求されるため、点火時期を併用することなくスロットルによるトルク制御のみで車両の制振制御を行うことは難しかった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、気筒内への吸入空気量の応答性を高めることで、吸入空気量の制御のみで車両の制振を行えるようにした、内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
吸気管の上流に設けられたスロットルと、
可変動弁機構により動作特性を変更可能な吸気バルブと、
アクセル開度や車両の挙動に基づいて内燃機関への要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
車両からの制振要求がある場合、前記スロットルの開度を前記スロットルで吸入空気量が律速されない開度に設定するとともに、前記吸気バルブの動作特性を要求トルクに応じた動作特性に変更する吸気制御手段と、
を備えることを特徴としている。
吸気管の上流に設けられたスロットルと、
可変動弁機構により動作特性を変更可能な吸気バルブと、
アクセル開度や車両の挙動に基づいて内燃機関への要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
車両からの制振要求がある場合、前記スロットルの開度を前記スロットルで吸入空気量が律速されない開度に設定するとともに、前記吸気バルブの動作特性を要求トルクに応じた動作特性に変更する吸気制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記吸気制御手段は、車両からの制振要求があった時点での開度に前記スロットルを固定することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、車両からの制振要求があった時点での開度に前記スロットルを固定することを特徴としている。
第3の発明は、第1の発明において、
前記吸気制御手段は、前記スロットルを略全開に固定することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、前記スロットルを略全開に固定することを特徴としている。
第4の発明は、第1又は第2の発明において、
前記吸気制御手段は、前記吸気管内の圧力が所定値以下となるときには、前記スロットルの操作によって吸気管圧を上昇させた後、前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、前記吸気管内の圧力が所定値以下となるときには、前記スロットルの操作によって吸気管圧を上昇させた後、前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴としている。
第5の発明は、第4の発明において、
前記吸気制御手段は、車両からの減速要求がある場合には、前記吸気管内の圧力が所定値以下であっても前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、車両からの減速要求がある場合には、前記吸気管内の圧力が所定値以下であっても前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴としている。
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、
前記吸気制御手段は、車両からの制振要求がある場合は、要求トルクから決まる前記吸気バルブの動作特性値に所定の上積み値を加算することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、車両からの制振要求がある場合は、要求トルクから決まる前記吸気バルブの動作特性値に所定の上積み値を加算することを特徴としている。
第7の発明は、第6の発明において、
前記吸気制御手段は、要求トルクの変動周波数が所定値よりも高い場合に前記上積み値の加算を行うことを特徴としている。
前記吸気制御手段は、要求トルクの変動周波数が所定値よりも高い場合に前記上積み値の加算を行うことを特徴としている。
第8の発明は、第6の発明において、
前記吸気制御手段は、前記吸気バルブの動作特性の変化が小さいときほど前記上積み値を大きい値に設定することを特徴としている。
前記吸気制御手段は、前記吸気バルブの動作特性の変化が小さいときほど前記上積み値を大きい値に設定することを特徴としている。
第9の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、
前記要求トルク算出手段は、車両からの制振要求がある場合は、算出した要求トルクにさらに所定の上積みトルクを加算することを特徴としている。
前記要求トルク算出手段は、車両からの制振要求がある場合は、算出した要求トルクにさらに所定の上積みトルクを加算することを特徴としている。
第10の発明は、第1乃至第9の何れか1つの発明において、
前記吸気制御手段は、車両からの加速要求が減速要求に切り替わったときには、前記吸気バルブの動作特性の変更によって排気バルブとのオーバーラップ期間を増大させることを特徴としている。
前記吸気制御手段は、車両からの加速要求が減速要求に切り替わったときには、前記吸気バルブの動作特性の変更によって排気バルブとのオーバーラップ期間を増大させることを特徴としている。
第1の発明によれば、吸入空気量の制御のみで車両の振動を抑制することができる。吸気バルブの動作特性の変更によればスロットルの操作に比較して気筒内への吸入空気量の応答性を高めることができ、ひいてはトルク応答性を向上させることができるからである。また、このときのスロットルの開度は吸入空気量を律速しない開度に設定されるので、吸気バルブによる精確な吸入空気量の制御を担保することができる。
第2の発明によれば、車両からの制振要求があった時点での開度にスロットルを固定することで、その時点からの吸気管圧の変化を抑えることができる。
第3の発明によれば、スロットルを略全開に固定することで吸気管圧を高く保つことができ、吸気バルブによる吸入空気量の制御可能範囲を広くとることができる。
第4の発明によれば、吸気管圧が低いために吸気バルブの操作に対する吸入空気量の応答性が低くなるような状況では、先ずスロットルの操作によって吸気管圧が上昇せしめられるので、そのような状況であっても、吸気バルブの操作に対する吸入空気量の応答性を担保することができる。
第5の発明によれば、加速時に比較して細やかなトルク制御が要求されない減速時には、車両の制振を優先して吸気管圧が低くても吸気バルブの動作特性の変更が行われるので、低負荷域において生じる振動を速やかに抑制することができる。
第6の発明によれば、要求トルクから決まる吸気バルブの動作特性値(例えば、作用角、最大リフト量)に上積み値を加算することで、吸気バルブの動作量を必要動作量に対してオーバーシュートさせることができる。これによれば、吸気バルブの動作特性の変更に対する吸入空気量の応答性をより向上させることができる。
第7の発明によれば、要求トルクの変動が速い状況であっても、その変動に吸入空気量を追従させることができる。つまり、吸入空気量の応答性を高くして確実に車両の振動を抑制することができる。
第8の発明によれば、吸気バルブの動作特性の変化が小さいときほど吸気バルブの動作特性値の上積み値を大きくすることで、吸気バルブの動作特性の変化に対するトルクの感度を高め、トルクを確実に変動させることができる。
第9の発明によれば、要求トルクにさらに上積みトルクを加算し、それに基づいて吸気バルブの動作特性を変更することで、吸気バルブの動作量を必要動作量に対して容易にオーバーシュートさせることができる。
第10の発明によれば、吸気バルブと排気バルブとのオーバーラップ期間を増大させることで、内部EGR量を増大させて内燃機関の出力トルクを低下させることができ、車両からの減速要求に速やかに応えることができる。
実施の形態1.
[エンジンシステムの構成]
図1は本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置を備えたエンジンシステムの概略構成図である。なお、後述する他の実施の形態においても、エンジンシステムの構成はこの図に示すようになっている。
[エンジンシステムの構成]
図1は本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置を備えたエンジンシステムの概略構成図である。なお、後述する他の実施の形態においても、エンジンシステムの構成はこの図に示すようになっている。
本実施の形態にかかるエンジン2は火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数(図では1つのみ示している)の気筒10を有している。気筒10には吸気管4と排気管6が接続されている。気筒10と吸気管4との接続部にはその連通状態を制御する吸気バルブ12が設けられている。また、気筒10と排気管6との接続部にはその連通状態を制御する排気バルブ14が設けられている。
吸気バルブ12と排気バルブ14のそれぞれに、その動作特性を変更することができる可変動弁機構22,24が設けられている。吸気側の可変動弁機構22は、吸気バルブ12のバルブタイミング、作用角及び最大リフト量を可変にすることができる機構である。排気側の可変動弁機構24は、少なくとも排気バルブ14のバルブタイミングを可変にすることができる機構である。これら可変動弁機構22,24の構造に関する限定はない。このシステムでは、吸気側の可変動弁機構22により吸気バルブ12の作用角及び最大リフト量を変更することで、気筒10内に吸入される空気量を制御できるようになっている。また、吸気バルブ12と排気バルブ14の少なくとも一方のバルブタイミングを変更することで、バルブオーバーラップを制御できるようなっている。
吸気管4の上流には電子制御式のスロットル20が配置されている。このシステムでは、気筒10内に吸入される空気量をスロットル20でも制御することができる。吸気管4にはその内部の圧力(吸気管圧)に応じた信号を出力する吸気管圧センサ32が取り付けられている。
また、このシステムには、上記の吸気管圧センサ32の他、アクセル開度に応じた信号を出力するアクセル開度センサ34等、複数のセンサが設けられている。各センサ32,34の信号は、システム全体を総合的に制御するECU(Electronic Control Unit)30に入力されている。ECU30は、上記センサ32,34から発せられる信号や車両からの要求に基づき、可変動弁機構22,24やスロットル20の各制御量を決定している。なお、エンジン2には可変動弁機構22,24やスロットル20以外にもインジェクタや点火装置等の種々のアクチュエータが備えられている。ただし、それらは本発明の要部には関係しないので、図中での表示と本明細書内での説明は省略するものとする。
[車両の制振制御の概要]
本実施の形態のシステムでは、車両からの要求に基づき、車両のピッチングを抑制するための制振制御が行われる。車両の制振制御は、ECU30によるエンジンのトルク制御、より詳しくは、気筒10内への吸入空気量の制御によって行われる。本実施の形態のシステムは、上記のように、気筒10内への吸入空気量を制御する手段として、可変動弁機構22付きの吸気バルブ12とスロットル20とを備えている。ECU30は、吸気バルブ12の動作特性値とスロットル20の開度とを協調制御することによって、気筒10内への吸入空気量を要求トルクに応じた吸入空気量に制御している。なお、吸気バルブ12の動作特性値とは、バルブタイミング、作用角及び最大リフト量のことである。また、ここでいう要求トルクとは、ドライバのアクセル操作から決まる定常トルク(ドライバ要求トルク)に、ピッチングの制振に必要なトルク(制振トルク)を加算したトルクのことである。
本実施の形態のシステムでは、車両からの要求に基づき、車両のピッチングを抑制するための制振制御が行われる。車両の制振制御は、ECU30によるエンジンのトルク制御、より詳しくは、気筒10内への吸入空気量の制御によって行われる。本実施の形態のシステムは、上記のように、気筒10内への吸入空気量を制御する手段として、可変動弁機構22付きの吸気バルブ12とスロットル20とを備えている。ECU30は、吸気バルブ12の動作特性値とスロットル20の開度とを協調制御することによって、気筒10内への吸入空気量を要求トルクに応じた吸入空気量に制御している。なお、吸気バルブ12の動作特性値とは、バルブタイミング、作用角及び最大リフト量のことである。また、ここでいう要求トルクとは、ドライバのアクセル操作から決まる定常トルク(ドライバ要求トルク)に、ピッチングの制振に必要なトルク(制振トルク)を加算したトルクのことである。
図2は、ECU30が実施する制振制御の概要をブロック図で示したものである。ECU30は、ドライバからの情報としてアクセル開度を取得し、また、車両からの要求も取得する。車両からの要求は車両挙動に基づいて発せられる要求であり、ピッチングの制振要求が含まれている。ECU30は、これらの情報をドライバーモデルにて処理し、前述の要求トルクを計算する。ECU30のこれらの機能は、本発明の「要求トルク算出手段」としての機能に相当する。ECU30は、ドライバーモデルにて算出した要求トルクをパワトレマネージャに入力する。
ECU30のパワトレマネージャでは、ドライバーモデルから入力された要求トルクに基づき、ピッチングの制振要求を含む種々の要求を勘案してアクチュエータ、すなわち、動弁系とスロットル20の各制御量を決定する。なお、ここでいう動弁系とは、可変動弁機構22と吸気バルブ12とからなるシステムを指す。
図3は、パワトレマネージャの機能をブロック図で示したものである。この図に示すように、パワトレマネージャは、ピッチセンサ等の情報から現在の車両挙動を識別し、また、エンジン2の運転条件から燃費の最適化のための条件を識別する。そして、それらのそれらの識別結果を踏まえた上で、まず、動弁系の諸元、つまり、吸気バルブ12の動作特性値(バルブタイミング、作用角及び最大リフト量)を選定する。続いて、目標スロットル開度を選定する。動弁系諸元と目標スロットル開度とが選定されることで、それに応じて気筒10内への吸入空気量の過渡特性が決定することになる。
ECU30は、パワトレマネージャで選定した動弁系諸元と目標スロットル開度とに基づいてエンジン制御を実施する。ECU30によるエンジン制御の結果は、まず、エンジンの出力トルクに表れ、それから車両の挙動に表れる。車両挙動はピッチセンサ等の各種センサで検出され、パワトレマネージャによる動弁系諸元と目標スロットル開度の各選定にフィードバックされることになる。
[実施の形態1の制振制御の特徴]
本実施の形態おいてECU30により実施される制振制御は、制振のための吸入空気量制御を動弁系でのみ実施することに特徴がある。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図4及び図5を用いて説明する。なお、以下に説明する制振制御をECU30が実施することで、本発明の「吸気制御手段」が実現される。
本実施の形態おいてECU30により実施される制振制御は、制振のための吸入空気量制御を動弁系でのみ実施することに特徴がある。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図4及び図5を用いて説明する。なお、以下に説明する制振制御をECU30が実施することで、本発明の「吸気制御手段」が実現される。
図4のフローチャートは、動弁系諸元、つまり、吸気バルブ12のバルブタイミング、作用角及び最大リフト量を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。ECU30は、図4に示すルーチンを所定の実行タイミングで繰り返し実行している。図4に示すルーチンの最初のステップS100では、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップとして最適動弁マップが選択される。要求トルクを実現するための動弁系諸元の設定は複数考えられるが、最適動弁マップでは、定常トルクを基準として燃費が最適になるように動弁系諸元の設定が行われている。なお、最適動弁マップでは、動弁系諸元に関連するパラメータとして要求トルクの他にエンジン回転数も用いられている。
次のステップS102では、車両からのピッチングの制振要求(P制振要求)の有無が判定される。ピッチングの制振要求がない場合、つまり、定常時には、最適動弁マップを用いて定常時の動弁系諸元(以下、定常諸元という)が設定される(ステップS104)。また、設定した定常諸元から気筒10内への吸入空気量Qvlが推定される(ステップS106)。推定吸入空気量Qvlは、後述する目標スロットル開度の設定に使用される。次のステップS108では、ステップS104で設定した定常諸元に基づいて動弁系の駆動処理、つまり、可変動弁機構22による吸気バルブ12の動作特性の変更が実施される。
一方、ピッチングの制振要求がある場合、つまり、過渡時には、定常時と同じく最適動弁マップを用いて過渡時の動弁系諸元(以下、過渡諸元という)が設定される(ステップS110)。ただし、この場合は、吸入空気量の推定は行われず、後述するようにスロットル開度は固定される。つまり、動弁系による吸入空気量制御のみでピッチングの制振が行われる。ステップS108では、ステップS110で設定した過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される。
図5のフローチャートは、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンを示している。ECU30は、図5に示すルーチンを所定の実行タイミングで繰り返し実行している。図5に示すルーチンの最初のステップS200では、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される。ピッチングの制振要求がない場合、つまり、定常時には、推定吸入空気量Qvlに所定値αを加算した値Qtgが目標吸入空気量として設定される(ステップS202)。そして、この目標吸入空気量Qtgに相当するスロットル開度Tangleが目標スロットル開度として設定される(ステップS204)。次のステップS206では、ステップS204で設定した目標スロットル開度Tangleに基づいてスロットル20の駆動処理が実施される。
気筒10内への吸入空気量は、スロットル開度できまる吸入空気量と、動弁系諸元できまる吸入空気量のうち、小さいほうに律速される。したがって、上記のように目標吸入空気量Qtgを推定吸入空気量Qvlよりも大きく設定することで、気筒10内への吸入空気量を動弁系にて制御することが可能になる。
一方、ピッチングの制振要求がある場合、つまり、過渡時には、前述のようにスロットル開度は固定される(ステップS208)。この場合のスロットル開度の固定値は、吸入空気量がスロットル20にて律速されないような開度になっていればよい。好ましくは全開であるが、車両からの制振要求があった時点でのスロットル開度に固定することでもよい。
[実施の形態1の制振制御の効果]
動弁系による吸入空気量の制御は、スロットル20による吸入空気量の制御に比較して吸気ボリュームによる遅れが無い分、気筒10内への吸入空気量の応答性が優れている。したがって、本実施の形態のように車両の制振のための吸入空気量制御を動弁系のみで行えば、スロットル20を用いる場合に比較してトルク応答性を向上させることが可能であり、燃費の悪化を招く点火時期制御を行わなくとも、吸入空気量の制御のみで車両の振動を抑制することができる。
動弁系による吸入空気量の制御は、スロットル20による吸入空気量の制御に比較して吸気ボリュームによる遅れが無い分、気筒10内への吸入空気量の応答性が優れている。したがって、本実施の形態のように車両の制振のための吸入空気量制御を動弁系のみで行えば、スロットル20を用いる場合に比較してトルク応答性を向上させることが可能であり、燃費の悪化を招く点火時期制御を行わなくとも、吸入空気量の制御のみで車両の振動を抑制することができる。
また、スロットル20を吸入空気量を律速しないスロットル開度に固定することで、動弁系による精確な吸入空気量制御を担保することができる。特にスロットル20を全開に固定する場合には、吸気管圧を高く保つことができ、動弁系による吸入空気量の制御可能範囲を広くとることができる。
実施の形態2.
[実施の形態2の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態2としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1とは車両の制振制御の内容に相違がある。エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。
[実施の形態2の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態2としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1とは車両の制振制御の内容に相違がある。エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。
複雑な機構からなる動弁系には、部品の加工精度や組立精度に気筒毎のばらつきがある。このため、作用角や最大リフト量などの動作特性が気筒間で全く同一になっているとは限らない。気筒間で吸気バルブ12の動作特性にばらつきがある場合、その影響は吸入空気量が少ない低負荷域において相対的に大きくなる。つまり、低負荷域では、吸入空気量が少なくなる分、動作特性のばらつきによる誤差の占める比率が大きくなり、その結果、気筒間の吸入空気量比に大きなばらつきが生じてしまう。したがって、現実的には、動弁系によって制御できる吸入空気量には制御精度上の下限が存在している。その下限以下でも吸入空気量を制御しようとするならば、スロットル20による吸入空気量制御を行う必要がある。
本実施の形態おいてECU30により実施される制振制御は、動弁系では精確に吸入空気量を制御できない低負荷域での制振制御に特徴がある。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図6及び図7を用いて説明する。
図6のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図6のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。図4のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。
図6に示すルーチンの最初のステップS100では、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップとして最適動弁マップが選択される。次のステップS102では、車両からのピッチングの制振要求(P制振要求)の有無が判定される。ピッチングの制振要求がない場合の処理(ステップS104,S106,S108)は、図4のフローチャートにおける処理に同じである。
一方、ピッチングの制振要求がある場合は、吸気管圧センサ32で測定される吸気管圧Pimと予め設定された基準圧Pimlbとが比較される(ステップS120)。この基準圧Pimlbは、前述の動弁系によって制御できる吸入空気量の制御精度上の下限に対応している。吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも低いとき、吸入空気量の制御はスロットル20によって行われている。つまり、スロットル20によって気筒10内への吸入空気量が律速されている。
ステップS120の判定の結果、吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも低い場合には、定常時と同じく、最適動弁マップを用いて定常諸元が設定される(ステップS104)。また、設定した定常諸元から気筒10内への吸入空気量Qvlが推定される(ステップS106)。次のステップS108では、ステップS104で設定した定常諸元に基づいて動弁系の駆動処理、つまり、可変動弁機構22による吸気バルブ12の動作特性の変更が実施される。
一方、ステップS120において吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも高いと判定された場合、つまり、動弁系による吸入空気量制御が可能になった場合には、最適動弁マップを用いて過渡諸元が設定され(ステップS110)、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。この場合、実施の形態1と同様にスロットル開度は固定され、動弁系による吸入空気量制御のみでピッチングの制振が行われる。
図7のフローチャートは、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンを示している。ただし、図7に示すルーチンは、スロットル20による吸入空気量制御が行われている場合の処理を示し、動弁系による吸入空気量制御が行われている場合の処理については省略している。動弁系による吸入空気量制御が行われている場合の処理は、実施の形態1と同様、図5に示すルーチンにて示される。
図7に示すルーチンの最初のステップS210では、過渡処理中か否か、つまり、制振のための吸入空気量制御が実施されている際中か否か判定される。過渡処理中でない場合、つまり、定常時には要求トルクに応じた目標スロットル開度の選定が行われ、目標スロットル開度に基づいてスロットル20の駆動処理が実施される(ステップS216)。この場合は、気筒10内への吸入空気量はスロットル20によって律速され、スロットル開度から決まる空気量が気筒10内に導入される。
一方、過渡処理中と判定された場合には、吸気管圧に基づいたスロットル開度の調整が実施される。具体的には、スロットル開度を大きくすることでスロットル20による吸入空気量の制限を解除し、動弁系を操作したときの吸入空気量の応答性を担保できるようにする。まず、ステップS212では、吸気管圧Pimと目標吸気管圧の下限値Pimtlとが比較される。吸気管圧Pimが目標吸気管圧の下限値Pimtlよりも大きい場合には、続いてステップS218の判定が行われる。ステップS218では、吸気管圧Pimと目標吸気管圧の上限値Pimthとが比較される。
これらの比較の結果、吸気管圧Pimが目標吸気管圧の下限値Pimtlよりも小さい場合には、吸気管圧Pimを上昇させるべくスロットル開度が調整される。具体的には、現在のスロットル開度tangleに所定値βを加算した値が目標スロットル開度Tangleとして設定され(ステップS214)、そのように設定された目標スロットル開度に基づいてスロットル20の駆動処理が実施される(ステップS216)。また、吸気管圧Pimが目標吸気管圧の上限値Pimthよりも大きい場合には、上昇しすぎた吸気管圧Pimを下げるべくスロットル開度が調整される。具体的には、現在のスロットル開度tangleから所定値βを減算した値が目標スロットル開度Tangleとして設定され(ステップS220)、そのように設定された目標スロットル開度に基づいてスロットル20の駆動処理が実施される(ステップS216)。そして、吸気管圧Pimが目標吸気管圧の下限値Pimtlから上限値Pimthの間になったときには、現在のスロットル開度をそのまま維持するようにスロットル20の駆動処理が実施される(ステップS216)。
[実施の形態2の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、吸気管圧が低い状況で車両からの制振要求があった場合には、先ずスロットル20の操作によって吸気管圧が上昇せしめられるので、そのような状況であっても、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性を担保することができる。したがって、動弁系では精確に吸入空気量を制御することができず、スロットル20によって吸入空気量が制御される低負荷域であっても、動弁系の操作による吸入空気量制御によって制振することが可能となる。
本実施の形態によれば、吸気管圧が低い状況で車両からの制振要求があった場合には、先ずスロットル20の操作によって吸気管圧が上昇せしめられるので、そのような状況であっても、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性を担保することができる。したがって、動弁系では精確に吸入空気量を制御することができず、スロットル20によって吸入空気量が制御される低負荷域であっても、動弁系の操作による吸入空気量制御によって制振することが可能となる。
実施の形態3.
[実施の形態3の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態3としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1及び2とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態2の制振制御を基本としつつ、制振時のスロットルの介在をより抑制できるような制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図8を用いて説明する。
[実施の形態3の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態3としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1及び2とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態2の制振制御を基本としつつ、制振時のスロットルの介在をより抑制できるような制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図8を用いて説明する。
図8のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図8のフローチャートにおいて、図6のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。図6のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態2と共通(図7に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図8に示すルーチンと図6に示すルーチンとの違いは、ステップS102でピッチングの制振要求があると判定された場合の処理にある。図8に示すルーチンでは、ピッチングの制振要求がある場合、まず、ノンスロ履歴フラグが0か1か判定される(ステップS130)。ノンスロ履歴フラグは、動弁系による精確な吸入空気量制御が可能となる運転域(ノンスロ域:スロットルによる吸入空気量制御を必要としない運転域の意)において1に設定されるフラグであり、動弁系では精確な吸入空気量制御ができない運転域(ノンスロ不可域:スロットルによる吸入空気量制御が必要となる運転域の意)では0に設定されている。
ノンスロ履歴フラグが0の場合、吸気管圧センサ32で測定される吸気管圧Pimと基準圧Pimlbとの比較が行われる(ステップS120)。吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも低ければ、現在の運転域はノンスロ不可域であると判断することができる。その場合は、実施の形態2と同じく、ステップS104,S106,S108の処理が実行される。また、このときスロットル20の側では、これも実施の形態2と同じく、動弁系を操作したときの吸入空気量の応答性を担保できるように、吸気管圧に基づいたスロットル開度の調整が実施される。
一方、ステップS120において吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも高いと判定された場合は、現在の運転域はノンスロ域であると判断することができる。その場合は、ステップS132にて前述のノンスロ履歴フラグが1に設定される。続いて、最適動弁マップを用いて過渡諸元が設定され(ステップS110)、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。このときスロットル20の側ではスロットル開度が固定されるため、動弁系による吸入空気量制御のみでピッチングの制振が行われる。
ノンスロ履歴フラグが1に設定された後は、ステップS130の判定後、ステップS120を経ること無くステップS110,S108の処理が実施される。これにより、スロットル20の側ではスロットル開度を固定されたまま維持されることとなり、引き続き動弁系による吸入空気量制御のみでピッチングの制振が行われる。
[実施の形態3の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、エンジン2の運転域がノンスロ不可域からノンスロ域に変わったときは、それ以降の制振制御を動弁系のみによる吸入空気量制御によって行うことができる。これによれば、制振制御時のスロットル20の介在を極力抑えることが可能となり、動弁系による高い空気応答性を維持することができる。
本実施の形態によれば、エンジン2の運転域がノンスロ不可域からノンスロ域に変わったときは、それ以降の制振制御を動弁系のみによる吸入空気量制御によって行うことができる。これによれば、制振制御時のスロットル20の介在を極力抑えることが可能となり、動弁系による高い空気応答性を維持することができる。
実施の形態4.
[実施の形態4の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態4としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至3とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、動弁系による制振制御域を拡大できるような制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図9を用いて説明する。
[実施の形態4の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態4としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至3とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、動弁系による制振制御域を拡大できるような制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図9を用いて説明する。
図9のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図9のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。図4のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図9に示すルーチンと図4に示すルーチンとの違いは、ステップS102でピッチングの制振要求があると判定された場合の処理にある。図9に示すルーチンでは、ピッチングの制振要求がある場合、まず、要求トルクがマイナストルクか否か判定される(ステップS140)。ここでいうマイナストルクとは、走行抵抗に釣り合うトルクより小さいトルクの意味である。したがって、要求トルクがマイナストルクであれば、車両は減速することになる。つまり、マイナストルクの要求は、車両からの減速要求を意味している。
要求トルクがマイナストルクの場合、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップの再選択が行われる(ステップS142)。前述のように、動弁系によって制御できる吸入空気量には制御精度上の下限が存在しているため、吸入空気量が少ない低負荷域(ノンスロ不可域)ではスロットル20によって吸入空気量が制御される。最適動弁マップでは、ノンスロ不可域でのスロットル20による吸入空気量制御を妨げないように動弁系諸元が設定されている。しかし、要求トルクが減速要求を意味するマイナストルクであれば、気筒10間に多少のトルクばらつきが生じたとしても許容可能と考えられる。そこで、ステップS142では、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップとして、最適動弁マップに替えて領域拡大動弁マップが選択される。領域拡大動弁マップは、動弁系で吸入空気量制御を行う運転域が最適動弁マップよりも低負荷側に拡大されているマップである。この領域拡大動弁マップを用いて過渡諸元が設定され(ステップS110)、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
要求トルクがマイナストルクでない場合には、実施の形態1と同じく、最適動弁マッププを用いて過渡諸元が設定され(ステップS110)、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
[実施の形態4の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、動弁系による制振制御域を通常はスロットル20にて吸入空気量制御が行われるノンスロ不可域まで拡大することができる。つまり、ノンスロ域において生じるピッチングだけでなく、ノンスロ不可域において生じるピッチングも空気応答性に優れた動弁系によって速やかに制振することが可能となる。
本実施の形態によれば、動弁系による制振制御域を通常はスロットル20にて吸入空気量制御が行われるノンスロ不可域まで拡大することができる。つまり、ノンスロ域において生じるピッチングだけでなく、ノンスロ不可域において生じるピッチングも空気応答性に優れた動弁系によって速やかに制振することが可能となる。
実施の形態5.
[実施の形態5の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態5としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至4とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性を高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図10を用いて説明する。
[実施の形態5の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態5としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至4とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性を高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図10を用いて説明する。
図10のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図10のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。図4のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図10に示すルーチンと図4に示すルーチンとの違いは、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップの選択にある。図10に示すルーチンでは、まず、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される。そして、ピッチングの制振要求がない場合に、最適動弁マップが選択される(ステップS100)。その後の処理(ステップS104,S106,S108)は、図4に示すルーチンにおける処理に同じである。
一方、ピッチングの制振要求がある場合には、制振用動弁マップが選択される(ステップS150)。制振用動弁マップと最適動弁マップとでは、同一の要求トルクに対する動弁系諸元の設定に違いがある。制振用動弁マップにおける動弁系諸元の設定は、最適動弁マップに比較して、より大きな吸入空気量が実現されるような設定になっている。つまり、制振用動弁マップによれば、要求トルクから決まる動弁系諸元(必要動弁系諸元)に、吸入空気量を増大させる上積み値が加算されたものが、過渡時の動弁系諸元として選択されることになる。吸気バルブ12の作用角を例にとると、制振用動弁マップによれば、必要作用角よりも大きな作用角が選択されることになる。この制振用動弁マップを用いて過渡諸元が設定され(ステップS110)、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
[実施の形態5の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、過渡時には動弁系の動作量を必要動作量に対してオーバーシュートさせることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより向上させることができる。また、制振要求の有無に応じて最適動弁マップと制振用動弁マップとを切り替えることで、定常時における燃費を犠牲にすることもない。
本実施の形態によれば、過渡時には動弁系の動作量を必要動作量に対してオーバーシュートさせることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより向上させることができる。また、制振要求の有無に応じて最適動弁マップと制振用動弁マップとを切り替えることで、定常時における燃費を犠牲にすることもない。
実施の形態6.
[実施の形態6の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態6としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至5とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性を高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図11を用いて説明する。
[実施の形態6の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態6としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至5とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態1の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性を高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図11を用いて説明する。
図11のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図11のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。図4のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図11に示すルーチンと図4に示すルーチンとの違いは、最適動弁マップから動弁系諸元を導出するための要求トルクの設定にある。図11に示すルーチンでは、まず、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される。ピッチングの制振要求がない場合には、要求トルクに応じた動弁系諸元が最適動弁マップを用いて設定される(ステップS162)。ここで設定される動弁系諸元は、図4に示すルーチンのステップS104で設定される定常諸元に相当する。制振要求がない場合には、この定常諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
これに対して、ピッチングの制振要求がある場合には、要求トルクに所定の上積みトルクαが加算される(ステップS160)。そして、この補正後の要求トルクに応じた動弁系諸元が最適動弁マップを用いて設定される(ステップS162)。ここで設定される動弁系諸元は、図4に示すルーチンのステップS110で設定される過渡諸元に相当する。制振要求がある場合には、この過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
[実施の形態6の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、要求トルクの補正という簡素な方法により、動弁系の動作量を必要動作量に対して容易にオーバーシュートさせることができる。これにより、実施の形態5と同じく、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより向上させることができる。また、制振要求が有る場合に限って要求トルクに上積みトルクを加算することで、定常時には最適な動弁系諸元で動弁系を駆動することが可能であり、定常時における燃費を犠牲にすることもない。
本実施の形態によれば、要求トルクの補正という簡素な方法により、動弁系の動作量を必要動作量に対して容易にオーバーシュートさせることができる。これにより、実施の形態5と同じく、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより向上させることができる。また、制振要求が有る場合に限って要求トルクに上積みトルクを加算することで、定常時には最適な動弁系諸元で動弁系を駆動することが可能であり、定常時における燃費を犠牲にすることもない。
実施の形態7.
[実施の形態7の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態7としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至6とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、最適動弁マップと制振用動弁マップとを選択可能とする利点をより活かせる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図12及び図13を用いて説明する。
[実施の形態7の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態7としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至6とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、最適動弁マップと制振用動弁マップとを選択可能とする利点をより活かせる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図12及び図13を用いて説明する。
図12のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図12のフローチャートにおいて、図10のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。また、図10のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。特にステップS104,S106,S110の処理に関してはフローチャート内での図示も省略している。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図12に示すルーチンと図10に示すルーチンとの違いは、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップの選択にある。図12に示すルーチンでは、まず、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される(ステップS102)。そして、ピッチングの制振要求がない場合には、最適動弁マップが選択される(ステップS100)。その後の処理は、図10に示すルーチンにおける処理に同じである。
一方、ピッチングの制振要求がある場合には、高応答フラグが0か1か判定される(ステップS170)。高応答フラグは、要求トルクの変化速度が高いか否か、つまり、吸入空気量に高い応答性が求められているか否か判定するためのフラグである。高応答が要求されている状況では高応答フラグは1に設定され、そうでないときには高応答フラグは0に設定される。高応答フラグの切り替えは図13に示すルーチンに従って行われる。
図13に示すルーチンの最初のステップS300では要求トルクが入手され、次のステップS302では要求トルクの軌跡(時間変化)がトレースされる。ステップS304では要求トルクの軌跡から、要求される応答周波数が推定される。ステップS306では、推定した応答周波数と所定の基準周波数βとの比較が行われる。比較の結果、応答周波数が基準周波数βよりも大きければ、高応答フラグは1に設定される(ステップS308)。なお、高応答フラグの初期値は0に設定されている。
ステップS170の判定の結果、高応答フラグが0であれば、最適動弁マップが選択される(ステップS100)。この場合は、実施の形態1と同様、最適動弁マップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
これに対し、ステップS170の判定の結果、高応答フラグが1であれば、制振用動弁マップが選択される(ステップS150)。この場合は、実施の形態5と同様、制振用動弁マップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
これに対し、ステップS170の判定の結果、高応答フラグが1であれば、制振用動弁マップが選択される(ステップS150)。この場合は、実施の形態5と同様、制振用動弁マップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
[実施の形態7の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、制振用動弁マップの使用を吸入空気量に高い応答性が求められる状況に限定することで、それ以外の状況では燃費に優れた最適動弁マップに基づいて動弁系を駆動することができる。また、動弁系の空気応答性は優れているので、要求される応答周波数があまりにも高くない限りは、通常の最適動弁マップに基づいた制振制御でも十分な効果を得ることができる。そして、要求される応答周波数が高いときには、最適動弁マップに替えて制振用動弁マップを用いることで、吸入空気量の応答性を高くして確実に車両の振動を抑制することができる。
本実施の形態によれば、制振用動弁マップの使用を吸入空気量に高い応答性が求められる状況に限定することで、それ以外の状況では燃費に優れた最適動弁マップに基づいて動弁系を駆動することができる。また、動弁系の空気応答性は優れているので、要求される応答周波数があまりにも高くない限りは、通常の最適動弁マップに基づいた制振制御でも十分な効果を得ることができる。そして、要求される応答周波数が高いときには、最適動弁マップに替えて制振用動弁マップを用いることで、吸入空気量の応答性を高くして確実に車両の振動を抑制することができる。
実施の形態8.
[実施の形態8の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態8としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至7とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性をさらに高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図14を用いて説明する。
[実施の形態8の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態8としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至7とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性をさらに高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図14を用いて説明する。
図14のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図14のフローチャートにおいて、図10のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。また、図10のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。特にステップS104,S106,S110の処理に関してはフローチャート内での図示も省略している。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図14に示すルーチンと図10に示すルーチンとの違いは、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップの選択にある。図14に示すルーチンでは、まず、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される(ステップS102)。そして、ピッチングの制振要求がない場合には、最適動弁マップが選択される(ステップS100)。その後の処理は、図10に示すルーチンにおける処理に同じである。
一方、ピッチングの制振要求がある場合には、要求トルクの変化量から動弁系の動作量の変化量(以下、動弁変化量)が推定計算され、その動弁変化量が所定の基準値よりも大きいか否か判定される(ステップS180)。この判定の結果、動弁変化量が所定の基準値よりも大きい場合には、制振用動弁小マップが選択される(ステップS182)。一方、動弁変化量が基準値以下の場合には、制振用動弁大マップが選択される(ステップS184)。そして、それぞれ選択されたマップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
制振用動弁小マップと制振用動弁大マップとでは、同一の要求トルクに対する動弁系諸元の設定に違いがある。制振用動弁小マップにおける動弁系諸元の設定は、最適動弁マップに比較して、より大きな吸入空気量が実現されるような設定になっている。制振用動弁大マップにおける動弁系諸元の設定は、制振用動弁小マップに比較して、さらに大きな吸入空気量が実現されるような設定になっている。したがって、制振用動弁大マップによれば、制振用動弁小マップに比較して、動弁系の動作量はより大きくオーバーシュートすることになる。
[実施の形態8の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、動弁変化量が小さいときには動弁系の動作量を大きくオーバーシュートさせることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答感度を高めることができる。これによれば、要求トルクの変化量から決まる動弁変化量が小さいときであっても、トルクを確実に変動させて車両の振動を抑制することができる。
本実施の形態によれば、動弁変化量が小さいときには動弁系の動作量を大きくオーバーシュートさせることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答感度を高めることができる。これによれば、要求トルクの変化量から決まる動弁変化量が小さいときであっても、トルクを確実に変動させて車両の振動を抑制することができる。
実施の形態9.
[実施の形態9の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態9としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至8とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態2の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性をより高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図15及び図16を用いて説明する。
[実施の形態9の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態9としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至8とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態2の制振制御を基本としつつ、制振時の吸入空気量の応答性をより高めることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図15及び図16を用いて説明する。
本実施の形態の制振制御は、図6及び図7の各フローチャートに示すルーチンに加え、図15及び図16の各フローチャートに示すルーチンを実行することで実現される。まず、図15のフローチャートに示すルーチンは、スロットル20の動作速度を制御するためのルーチンである。このルーチンの最初のステップS400では、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される。そして、ピッチングの制振要求が無い場合に限り、スロットル20の動作速度に制限が加えられる(ステップS402)。この制限は、スロットル20の個体間にある動作速度のばらつき、特に、最高速度のばらつきを吸収するために設定されたものである。ピッチングの制振要求がある場合には、ステップS402の処理がスキップされることで、スロットル20の動作速度の制限は解除される。つまり、最高速度での動作が許容される。
図16のフローチャートに示すルーチンは、スロットル20の最高動作速度を学習するためのルーチンである。このルーチンの最初のステップS500ではスロットル開度が入手され、次のステップS502ではスロットル開度の軌跡(時間変化)がトレースされる。ステップS504ではスロットル開度の軌跡から、スロットル開度の動作速度が算出される。ステップS506では、算出した動作速度と履歴にある最高動作速度(以下、最高履歴)との比較が行われる。比較の結果、今回算出した動作速度が最高履歴を超えていれば、今回算出した動作速度が最高履歴として更新される(ステップS508)。
[実施の形態9の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、吸気管圧が低い状況で車両からの制振要求があった場合には、スロットル20を最高速度で動作させて吸気管圧を速やかに上昇させることができる。吸気管圧をより速く上昇させることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより高めることができる。
本実施の形態によれば、吸気管圧が低い状況で車両からの制振要求があった場合には、スロットル20を最高速度で動作させて吸気管圧を速やかに上昇させることができる。吸気管圧をより速く上昇させることで、動弁系の操作に対する吸入空気量の応答性をより高めることができる。
また、スロットル20の最高動作速度を学習して以後のスロットル制御に反映することによって、スロットル20の個体間にある動作ばらつきを補償することが可能となる。具体的には、各々のスロットル20の実力に見合った動作速度指令を出すことが可能になる。これによれば、指令速度と実速度との偏差を監視し、その偏差からスロットル20の故障を検出するロジックをECU30が有する場合には、スロットル20の動作ばらつきが故障判断に与える影響を軽減することができる。
実施の形態10.
[実施の形態10の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態10としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至9とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、マイナストルクの要求にも応えることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図17を用いて説明する。
[実施の形態10の制振制御の特徴]
本発明の実施の形態10としての内燃機関の制御装置は、実施の形態1乃至9とは車両の制振制御の内容に相違がある。本実施の形態の制振制御は、実施の形態5の制振制御を基本としつつ、マイナストルクの要求にも応えることができる制御内容を採ったことに特徴がある。なお、エンジンシステムの構成は実施の形態1と共通しており、図1にて示される。以下の説明では、エンジンシステムの構成に関しては図1を参照し、図1中の符号を使用するものとする。以下では、ECU30により実施される制振制御の詳細について図17を用いて説明する。
図17のフローチャートは、動弁系諸元を選定し、それに基づいて動弁系を駆動するためのルーチンを示している。図17のフローチャートにおいて、図10のフローチャートと共通する処理については共通の番号を付している。また、図10のフローチャートにて既に説明した処理については、その内容の説明は簡略或いは省略する。特にステップS104,S106,S110の処理に関してはフローチャート内での図示も省略している。なお、目標スロットル開度を選定し、それに基づいてスロットル20を駆動するためのルーチンは実施の形態1と共通(図5に示すルーチン)であるので、フローチャートによる図示と説明は省略する。
図17に示すルーチンと図10に示すルーチンとの違いは、要求トルクを動弁系諸元に関連付けるマップの選択にある。図17に示すルーチンでは、まず、車両からのピッチングの制振要求の有無が判定される(ステップS102)。そして、ピッチングの制振要求がない場合には、最適動弁マップが選択される(ステップS100)。その後の処理は、図10に示すルーチンにおける処理に同じである。
一方、ピッチングの制振要求がある場合には、吸気管圧Pimと基準圧Pimlbとが比較される(ステップS190)。吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも大きい場合には、つまり、エンジン2の運転域がノンスロ域にある場合には、制振用動弁マップが選択される(ステップS150)。この場合は、実施の形態5と同様、制振用動弁マップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
ステップS190の判定の結果、吸気管圧Pimが基準圧Pimlbよりも小さい場合には、つまり、エンジン2の運転域がノンスロ不可域にある場合には、続いて、先回の要求トルクがプラストルクであったか否か判定される(ステップS192)。先回の要求トルクがプラストルクの場合には、続いて、今回の要求トルクがマイナストルクか否か判定される(ステップS196)。先回の要求トルクがプラストルクでないとき、また、今回の要求トルクがマイナストルクでないときは、制振用動弁マップが選択される(ステップS150)。そして、制振用動弁マップを用いて設定された過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。
これに対し、先回の要求トルクがプラストルクであり、且つ、今回の要求トルクがマイナストルクのときには、通常の制振用動弁マップに比較してバルブオーバーラップが拡大された特別な制振用動弁マップが選択される(ステップS196)。バルブオーバーラップを拡大する方法は、吸気バルブ12の開タイミングを進角する方法でも、排気バルブ14の閉タイミングを遅角する方法でもよい。この場合は、上記の特別な制振用動弁マップを用いて過渡諸元が設定され、その過渡諸元に基づいて動弁系の駆動処理が実施される(ステップS108)。バルブオーバーラップが拡大されることで、気筒10内への吸入空気量に占める内部EGR量が増大し、それに伴ってエンジン2の出力トルクも低下することになる。
[実施の形態10の制振制御の効果]
本実施の形態によれば、ノンスロ不可域においてプラストルクの要求後に続いてマイナストルクの要求がある場合には、バルブオーバーラップの拡大によって内部EGR量を増大さしめ、それによりエンジン2の出力トルクを瞬時に低下させることができる。つまり、制振用動弁マップの選択によってノンスロ不可域での空気応答性を高めつつ、マイナストルクの要求にも速やかに応えることができる。
本実施の形態によれば、ノンスロ不可域においてプラストルクの要求後に続いてマイナストルクの要求がある場合には、バルブオーバーラップの拡大によって内部EGR量を増大さしめ、それによりエンジン2の出力トルクを瞬時に低下させることができる。つまり、制振用動弁マップの選択によってノンスロ不可域での空気応答性を高めつつ、マイナストルクの要求にも速やかに応えることができる。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、実施の形態5の制振制御の応用例である実施の形態7,8,10の各制御内容は、実施の形態6の制振制御にも応用することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、実施の形態5の制振制御の応用例である実施の形態7,8,10の各制御内容は、実施の形態6の制振制御にも応用することができる。
2 エンジン本体
4 吸気管
6 排気管
10 燃焼室
12 吸気バルブ
14 排気バルブ
20 スロットル
22 吸気側の可変動弁機構
24 排気側の可変動弁機構
30 ECU
32 吸気管圧センサ
34 アクセル開度センサ
4 吸気管
6 排気管
10 燃焼室
12 吸気バルブ
14 排気バルブ
20 スロットル
22 吸気側の可変動弁機構
24 排気側の可変動弁機構
30 ECU
32 吸気管圧センサ
34 アクセル開度センサ
Claims (10)
- 吸気管の上流に設けられたスロットルと、
可変動弁機構により動作特性を変更可能な吸気バルブと、
アクセル開度や車両の挙動に基づいて内燃機関への要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
車両からの制振要求がある場合、前記スロットルの開度を前記スロットルで吸入空気量が律速されない開度に設定するとともに、前記吸気バルブの動作特性を要求トルクに応じた動作特性に変更する吸気制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記吸気制御手段は、車両からの制振要求があった時点での開度に前記スロットルを固定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、前記スロットルを略全開に固定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、前記吸気管内の圧力が所定値以下となるときには、前記スロットルの操作によって吸気管圧を上昇させた後、前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、車両からの減速要求がある場合には、前記吸気管内の圧力が所定値以下であっても前記吸気バルブの動作特性を変更することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、車両からの制振要求がある場合は、要求トルクから決まる前記吸気バルブの動作特性値に所定の上積み値を加算することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、要求トルクの変動周波数が所定値よりも高い場合に前記上積み値の加算を行うことを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、前記吸気バルブの動作特性の変化が小さいときほど前記上積み値を大きい値に設定することを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
- 前記要求トルク算出手段は、車両からの制振要求がある場合は、算出した要求トルクにさらに所定の上積みトルクを加算することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気制御手段は、車両からの加速要求が減速要求に切り替わったときには、前記吸気バルブの動作特性の変更によって排気バルブとのオーバーラップ期間を増大させることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007165531A JP2009002285A (ja) | 2007-06-22 | 2007-06-22 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007165531A JP2009002285A (ja) | 2007-06-22 | 2007-06-22 | 内燃機関の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009002285A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011042928A1 (ja) * | 2009-10-05 | 2011-04-14 | トヨタ自動車株式会社 | 車両制振制御装置 |
JP2011196210A (ja) * | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
WO2013187151A1 (ja) * | 2012-06-14 | 2013-12-19 | 日産自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
-
2007
- 2007-06-22 JP JP2007165531A patent/JP2009002285A/ja active Pending
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