この発明は、所望のスピンプロフィールを実現し、また全体として堅固な熱硬化性ポリブタジエンの外側コアで比較的柔らかで小さな圧縮の内側コアを包囲させた、改良されたゴルフボールに向けられている。好ましくは、このゴルフボールは、約50より小さい圧縮の内側コアと、この内側コアを包囲し、そのショアC硬度が80以上であり、その比重が1.1以上である少なくとも1つの外側コア層とを具備する。内側コアの硬度は外側コアの硬度より小さい。具体的な実施例では、内側コアの比重は外側コアの比重と等しいか、それより小さい。この実施例の具体的な側面では、内側コアの比重は1.13より小さく、または1.1より小さく、または0.90から1.13の範囲であり;外側コアの比重は1.11以上、または1.13以上、または1.25より大きく、または1.11から5.00の範囲、または1.24から2.00の範囲である。他の具体的な実施例では、内側コアの比重は外側コアの比重と等しいか、それより大きい。この実施例の具体的な側面では、内側コアの比重は好ましくは1.20以上、または1.20より大きく、または1.50以上、または1.50より大きく、または1.75以上、または1.75より大きく、または2.00以上、または2.00より大きく、または5.00以上、または5.00より大きく、そして、外側コアの比重は1.2以下、または1.2より小さく、または1.15以下、または1.15より小さく、または1.05以下、または1.05より小さい。
内側コアは、ポリブタジエンゴム、亜鉛ジアクリレート(「ZDA」)、有機過酸化物、および酸化亜鉛を含む。1実施例において、内側コアは、約100pphのポリブタジエンゴム、約34pphの亜鉛ジアクリレート、約0.53pphの有機過酸化物、および内側コアの比重を実現するに足る量の酸化亜鉛から製造される。外側コアは、ポリブタジエンゴム、硬化剤、亜鉛ジアクリレート、有機過酸化物、酸化亜鉛、およびバライト・フィラーを含み、1実施例においては、約100pphのポリブタジエンゴム、約8pphの硬化剤、約0.66pphの有機過酸化物、約5pphの酸化亜鉛、および約35pphの亜鉛ジアクリレートから製造される。適切な硬化剤はバラタおよびトランスポリイソプレンを含む。
全体として内側コアおよび外側コアは、組み合わされたコア全体の圧縮が約50より大きく、または約70より大きくなるように調合される。具体的な実施例では、内側コアおよび外側コアは、約50から約80、または約60から約80の組み合わされた二重コア圧縮、または約72の圧縮を伴う。他の具体的な実施例では、内側コアおよび外側コアは、約70から約100、または約75から約95の組み合わされた二重コア圧縮、または約85の圧縮を伴う。さらに他の実施例では、内側コアおよび外側コアは、約80から約100の組み合わされた二重コア圧縮を伴う。
1実施例において、内側コアの直径は約1.4インチから約1.5インチであり、外側コアの厚さは約0.05インチから約0.1インチであり、内側コアおよび外側コアの全体としての組み合わせコア直径は約1.58インチより大きく、好ましくは約1.60インチより大きい。他の実施例において、内側コアの直径は下限が約0.50インチ、または約0.70インチ、または約0.80インチ、または約0.90インチ、または約1.00インチで上限が約1.10インチ、または約1.20インチ、または約1.25インチ、または約1.30インチの範囲内であり、あるいは、約1.00インチであり;外側コアの厚さは、下限が約0.10インチ、または約0.20インチ、または約0.27インチで、上限が約0.29インチ、または約0.30インチ、または約0.35インチ、または約0.40インチ、または約0.57インチである範囲内であり;かつ、内側コアおよび外側コアの組み合わせた全体としての直径が約1.50インチから約1.60インチ、好ましくは、約1.54インチから約1.59インチ、より好ましくは、約1.55インチから約1.58インチ、さらに好ましくは約1.55インチ、または約1.58インチである。
1またはそれ以上の層を具備するカバーが設けられて外側コアを包囲し被覆する。カバーの全体の厚さは一般に約0.02インチまたはそれより大きく、好ましくはポリ尿素、ポリウレタン、またはアイオノマー性組成物から構築される。
ゴルフボールは、また、外側コア層およびカバー層の間に湿気バリア層を含んでよい。水蒸気バリア層は、湿気、例えば水に露出することによる劣化から内側コアおよび外側コアを防護して、ゴルフボールの使用可能な寿命を延ばす。湿気バリア層の水蒸気透過率はカバー層の水蒸気透過率より小さくなるように選択される。湿気バリア層の比重は約1.1から約1.2であり、その厚さは約0.03インチより小さい。湿気バリア層に適した材料は、スチレンブロックコポリマーおよび金属フレーク、例えばアルミニウムフレークの組み合わせを含む。
図1を参照すると、この発明に従うゴルフボール10は、所望のスピンプロフィールおよびプレイ特性を実現するように構築される。図示の実施例において、ゴルフボール10は、コア16およびカバー層15を含み、これがコア16を包囲する。1実施例において、コア16の直径は約1.58インチより大きい。他の実施例において、コア16の直径は約1.6インチより大きい。他の実施例において、コア16の直径は約1.53インチから約1.60インチ、または約1.54インチから約1.59インチである。他の実施例において、コア16の直径は約1.55インチである。さらに他の実施例において、コア16の直径は約1.58インチである。
コア16の圧縮は全般的に約50またはそれより大きい。1実施例において、コア16の全体的な圧縮は約50より大きく、または約70より大きい。他の実施例において、コア16の全体的な圧縮は約80から約100である。他の実施例において、コア16の全体的な圧縮は約60から約80、または約50から約80である。他の実施例において、コア16の全体的な圧縮は約72である。他の実施例において、コア16の全体的な圧縮は約70から約100、または約75から約95である。さらに他の実施例において、コア16の全体的な圧縮は約85である。
ここでは、測定対象のゴルフボール、またはゴルフボール部品にバネ荷重力を印可して、ニュージャージー州のユニオンシティのAtti Engineering Company製の手動機器(「Attiゲージ」)を用いて、圧縮が測定される。この機器は、Federal Dial Gauge Model D81−Cを装備し、既知の荷重の下で較正されたバネを用いる。テスト球に力を加えてバネに対して0.2インチの距離だけ押す。この結果としてバネが0.2インチ圧縮すると、圧縮は100と評価される。バネが0.1インチ圧縮すると、圧縮は0と評価される。圧縮しやすく柔らかい材料は、硬く縮まりにくい材料より、小さなAttiゲージ値を有する。この装置で測定された圧縮はまたPGA圧縮とも呼ばれる。
コア16は、内側コア11および少なくとも1つの外側コア層13を含み、これが内側コアを包囲する。単一の外側コア層13を具備する二重層コアとして図示されるけれども、この発明に従う他の実施例は2、3、またはそれ以上のコア層を具備してよい。1実施例において、付加的な層(図示しない)が設けられ外側コア13を包囲する。この付加的な層の厚さは約0.005インチから約0.01インチであってよい。1実施例において、付加的なコア層の比重は約5より大きい。
一般的に、内側コア11は比較的柔らかな、低圧縮のコアとして構築される。1実施例において、内側コア11はベースゴム、架橋剤、開始剤、およびフィラーを含む。ベースゴムは典型的には天然、または合成ゴムを含む。好ましいベースゴムはポリブタジエンゴムである。好ましいポリブタジエンゴムの例は、オハイオ州、アクロンのバイエル(Bayer)から商業的に入手可能なBUNA(商標)CB22およびBUNA(商標)CB23;本国、東京のウベ工業(UBE Industries)から商業的に入手可能なUBEPOL(商標)360LおよびUBEPOL(商標)150L;テキサス州、ヒューストンのシェル(Shell)から商業的に入手可能なCARIFLEX(商標)BCP820およびCARIFLEX(商標)BCP824;およびミシガン州、ミッドランドのダウケミカル社(Dow Chemical Company)から商業的に入手可能なBR1200を含む。所望の場合には、内側コア11の性質を変性するために、ポリブタジエンに、本技術分野で公知の他のエラストマー、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムを混合することもできる。1実施例において、ベースゴムは約100パーツ・パー・ハンドレッド(pph)の量だけ存在する。
適切な架橋剤は、3〜8の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の金属塩、例えば亜鉛塩またはマグネシウム塩を含む。例は、金属塩ジアクリレート、ジメタクリレート、およびモノメタクリレートであって金属がマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、またはニッケルであるものを含み、これに限定されない。好ましいアクリレートは亜鉛アクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛メタクリレート、亜鉛ジメタクリレート、および、これらの混合物を含む。好ましくは、架橋剤は亜鉛ジアクリレートである。1実施例において、亜鉛ジアクリレートは80%の亜鉛ジアクリレート含量の亜鉛ジアクリレートペレットとして供給される。架橋剤は典型的にはベースポリマーの約10pphより多い量で、好ましくはベースポリマーの約15から約40pph、より好ましくはベースポリマーの約25から約35pphの量で存在する。1実施例において、架橋剤は約25pphより多い量存在する。他の実施例では、約34pphの量だけ存在する。
開始剤は硬化サイクル中で分解する公知の重合開始剤のいずれであってもよい。適切な開始剤は有機ペルオキシド化合物、例えばジクミルペルオキシド;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキサン;ジ−t−ブチルペルオキシド;およびこれらの混合物を含む。他の例は、これに限定されないが、ペンシルバニア州、フィラデルフィアのエルフ アトケム(Elf Atochem)から市販品として入手可能なVAROX(商標)231XLおよびVAROX(商標)DCP−R;イリノイ州、シカゴのアクゾ ノーベル(Akzo Nobel)から市販品として入手可能なPERKODOX(商標)BCおよびPERKODOX(商標)14;および、ニュージャージー州、トレントンのライン ケミ(Rhein Chemie)から市販品として入手可能なELASTOCHEM(商標)DCP−70を含む。好ましい有機過酸化物開始剤は、オランダ国、AmersfoortのAkzo Nobel Polymer Chemical bvから商業的に入手可能なTrigonox(商標)である。適切な開始剤濃度は、約0.1から約3.0pph、好ましくは約0.2から約2.0pph、さらに好ましくは約0.3から約1.5pphの初期濃度である。1実施例において、開始剤は0.5pphより大きな量だけ存在する。他の実施例において、開始剤のレベルは約0.53pphである。
ゴルフボールの一部または複数の部分に添加するフィラーは、典型的には、レオロジー特性および混合特性に影響を与える処理助剤または化合物、密度調整用フィラー、引き裂き強度修正剤、強化用フィラー等を含む。フィラーは一般に無機物であり、適切なフィラーは多数の金属または金属酸化物を含み、例えば酸化亜鉛および酸化スズ、ならびに硫酸バリウム、バライト、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、クレイ、タングステン、炭化タングステン、シリカのアレイ、および、これらの混合物を含む。フィラーは種々の発泡剤またはブローイング剤を含むこともでき、当業者はこれらを直ちに選択することができる。フィラーはポリマー、セラミック、金属、およびガラスのソリッド、または中空の、充填した、または充填していない微小粒子を含んでよい。フィラーは典型的にはゴルフボールの一部または複数の部分に添加されてその密度を調整し、均一なゴルフボール標準に適合させる。好ましくは、内側コア11はフィラーとして酸化亜鉛を含む。フィラーは、内側コア11において、所望の比重が得られるに足る量だけ存在する。1実施例では、内側コア11は、非充填または発泡性の密度減少材料を含んで、内側コア11の比重を小さくして、ゴルフボール10の慣性モーメントを大きくしてよい。他の実施例では、内側コア11は、比重増大性のフィラー、フレーク、または微粒子を含んで、内側コア11の比重を大きくして、ゴルフボール10の慣性モーメントを小さくしてよい。
内側コア11の成分および成分密度は所望の物理特性を実現するように選択される。内側コア11は、その圧縮が、約70未満、または約65未満、または約50未満、または約40未満、または約30未満、または約25未満、または約20未満、または約15未満、または約10未満であるように選択され、あるいは、圧縮は約10または約20である。
内側コア11の硬度は、外側コア13の硬度より小さくなるように選択される。1実施例において、内側コア11の硬度は約70から約80ショアCである。他の実施例において、内側コア11の硬度は約80ショアCより小さく、例えば、約78ショアCである。他の実施例において、内側コア11のショアC硬度は、78以下、または78未満、または70以下、または70未満、または65以下、または65未満、または60以下、または60未満であり、あるいは、内側コア11のショアC硬度は、下限が約50、または約55で、上限が約60、または約63、または約65の範囲内である。さらに他の実施例において、内側コア11のショアC硬度は約63である。
1実施例において、内側コア11の比重は約1.13より小さく、例えば、約1から約1.1または約1.05である。他の実施例において、内側コア11の比重は約1.1より小さい。他の実施例において、内側コア11の比重は約0.90から約1.13である。他の実施例において、内側コア11の比重は、下限が約0.90、または約1.10、または約1.11で、上限が約1.13、または約1.15、または約1.16の範囲である。他の実施例において、内側コア11の比重は約1.15である。さらに他の実施例において、内側コア11の比重は約1.11である。
1実施例において、内側コア11の反発係数は、約0.8から約0.825であり、好ましくは0.812である。他の実施例において、内側コア11の反発係数は、約0.740から約0.799である。他の実施例において、内側コア11の反発係数は、約0.750から約0.780である。さらに他の実施例において、内側コア11の反発係数は、約0.745から約0.775である。ここで、ゴルフボールに関して用語「反発係数」(「COR」)は、ボールを堅固な板に発射したときのリバウンド速度の入射速度に対する比として定義される。CORおよびこのCORを測定するための適切な試験方法に関する検討は、例えば、米国特許第6,547,677B2号に見いだすことができ、ここでは参照してこれを組み入れる。1実施例において、内側コア11は少なくとも1インチの直径を持つように、または、約1.4インチから約1.5インチの直径を持つように構築される。他の実施例において、内側コア11の直径は約1.457インチである。他の実施例において、内側コア11の直径は約1.00インチであり、あるいは、下限が約0.50、または約0.70、または約0.80、または約0.90、または約1.00インチで、上限が約1.10、または約1.20、または約1.25、または約1.30インチの範囲である。
代替的な実施例において、内側コア11は液体または中空コアである。
外側コア13は内側コア11を包囲し、内側コア11より堅固となるように構築される。1実施例において、外側コア13は、ベースゴム、架橋剤、開始剤、1または複数のフィラー、および、代替的には、硬化剤を含む。適切なベースゴム、架橋剤、開始剤およびフィラーは内側コア11のそれらと同様である。1実施例において、ベースゴムは熱硬化性ポリブタジエンである。ベースゴムは約100pphの量だけ存在する。亜鉛ジアクリレートは好ましい架橋剤である。1実施例において、架橋剤は35pphより多い量だけ存在する。他の実施例において、架橋剤の量は約40より多い。さらに他の実施例において、架橋剤は約53pphの量だけ存在する。好ましくは、開始剤は有機過酸化物である。1実施例において、有機過酸化物は約0.66pphの量だけ存在する。好ましいフィラーは酸化亜鉛である。他の実施例において、フィラーはバライトを含む。フィラーは、所望の重量および物理特性、例えば比重を付与するのに十分な量だけ外側コア13に付加される。1実施例において、フィラーは約5pphの量だけ存在してよい。
外側コア13中に使用されて適切な硬化剤はバラタおよびトランスポリイソプレンを含む。好ましくは、硬化剤はバラタである。これら硬化剤は商標TP251およびTP301の下で商業的に入手可能である。硬化剤は外側コア13中に約5pphから約10pphの量だけ添加される。他の実施例において、硬化剤は約8pphの量だけ存在する。
内側コア11と同様に、外側コア13の成分および成分密度は所望の物理特性を実現するように選択される。1実施例において、外側コアの圧縮は約90である。他の実施例において、内側コアおよび外側コアの圧縮は、組み合わされた二重コアの圧縮が約50より大きくなるよう、または約70より大きくなるように選択される。他の実施例において、内側コアおよび外側コアの圧縮は、組み合わされた二重コアの圧縮が約80から約100になるように選択される。他の実施例において、内側コア11および外側コア13の組み合わせ二重コアの圧縮は、約60から約80、または約50から約80である。他の実施例において、内側コア11および外側コア13の組み合わせ二重コアの圧縮は、約72である。他の実施例において、内側コア11および外側コア13の組み合わせ二重コアの圧縮は、約70から約100、または約75から約95である。さらに他の実施例において、内側コア11および外側コア13の組み合わせ二重コアの圧縮は、約85である。
外側コア13の硬度は一般的に約80ショアCより大きいか、これに等しくなるように選択される。1実施例において、硬度は約90ショアCより大きいか、これに等しい。他の実施例において、外側コア13のショアC硬度は、約85以上である。他の実施例において、外側コア13のショアC硬度は、約80以上である。他の実施例において、外側コア13のショアC硬度は、約85である。さらに他の実施例において、外側コア13のショアC硬度は、約89である。
1実施例において、外側コア13の曲げ弾性率(ASTM D−790による)は約30,000psiより大きい。
1実施例において、外側コア13の比重は内側コア11の比重より大きいか、これと等しいものである。他の実施例において、外側コア13の比重は内側コア11の比重より小さいか、これと等しい。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.11以上である。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.13以上である。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.24である。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.25より大きい。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.11から約5.00である。他の実施例において、外側コア13の比重は約1.24から約2.00である。さらに他の実施例において、外側コア13の比重は約1.14である。外側コア13の比重が内側コア11の比重より大きいとゴルフボール10の慣性モーメントが大きくなり、スピンレートが小さくなる。外側コア13の比重が内側コア11の比重より小さいとゴルフボール10の慣性モーメントが小さくなり、スピンレートが大きくなる。
1実施例において、外側コア13の反発係数は約0.824である。他の実施例において、内側および外側コアの反発係数は、組み合わせた二重コアの反発係数が約0.805から約0.83になるように選択される。他の実施例において、内側および外側コアの反発係数は、組み合わせた二重コアの反発係数が、その上限が約0.785または約0.790で、その下限が約0.795または約0.800または約0.805または約0.810の範囲内となるように選択される。
外側コア13の厚さは一般的に約0.05インチから約0.6インチである。1実施例において、外側コア13の厚さは約0.05インチから約0.1インチである。他の実施例において、外側コア13の厚さは約0.075インチである。他の実施例において、外側コア13の厚さは約0.20インチから約0.57インチ、または約0.20インチから約0.35インチである。他の実施例において、外側コア13の厚さは、その下限が約0.05または約0.10または約0.20または約0.25または約0.27インチで、その上限が約0.29または約0.30または約0.35または0.40または約0.57インチの範囲である。さらに他の実施例において、外側コア13の厚さは約0.275インチまたは約0.290インチである。
一般に、内側コア11の直径および外側コア13の厚さは、コア16の直径が約1.00以上になるように選定される。1実施例において、コア16の直径は約1.58インチより大きく、好ましくは約1.6インチより大きい。他の実施例において、コア16の直径は、その下限が約1.00または約1.10または約1.30または約1.50または約1.53または約1.54または約1.55インチで、その上限が約1.58または約1.59または約1.60インチの範囲である。他の実施例において、コア16の直径は約1.55インチである。さらに他の実施例において、コア16の直径は約1.58インチである。
ゴルフボール10が複数の外側コア層を含むとき、各外側コア層は、内側コア11および外側コア13について上述したのと同様の材料を含んで良く、あるいは異なる組成物を含んでよい。1実施例において、少なくとも1つの外側層は内側コア11よりかなり堅固で硬い。1実施例において、外側コア層の各々の厚さは約0.001インチから約0.1インチ、好ましくは約0.01インチから約0.05インチである。
カバー層15は外側コア13を包囲する。カバー層15は当業者に知られている任意の材料を含んでよく、これは熱可塑性または熱硬化性材料を含み、好ましくはカバー層はつぎのような任意の適切な材料を含んでよい。
(1)ポリウレタン、例えば、ポリオールおよびジイソシアネートまたはポリイソシアネートから準備されたもの、米国特許第5,334,673号、同第6,506,851号、同第6,867,279号、および同第6,960,630号に開示されるもの。これらの内容は参照してここに組み入れる。
(2)ポリ尿素、例えば米国特許第5,484,870号、および同第6,835,794号、ならびに米国特許出願第60/401,047号に開示されたもの。これらの内容は参照してここに組み入れる。
(3)ポリウレタン−尿素ハイブリッド、ブレンド、またはコポリマー。これはウレタンまたは尿素セグメントを有する。
(4)アイオノマー組成物。これは部分的に、または高度に中和されたポリマー組成物、例えば、米国特許第6,653,382号、同第6,756,436号、同第6,894,098号、同第6,919,393号、および同第6,953,820号に開示されるものであり、その内容は参照してここに組み入れる。
ポリウレタンおよびポリ尿素の外側カバー層材料は熱硬化性でも熱可塑性でもよい。熱硬化性材料は、通常の鋳造、または反応性射出成型技術を用いてゴルフボール層として形成できる。熱可塑性材料は、通常の圧縮または射出成型技術によりゴルフボール層として形成できる。光安定性、鋳造可能ポリ尿素およびポリウレタンは好ましい外側カバー材料である。
1実施例において、カバー層15は鋳造可能ポリウレタンまたは鋳造可能ポリ尿素組成物から形成された層を含み、この層は、好ましくは、約45から約60のショアD硬度、または約65以下のショアD硬度、または約65未満のショアD硬度、または約60以下のショアD硬度、または約60未満のショアD硬度、または約58のショアD硬度、または約83のショアC硬度を伴う。
他の実施例において、カバー層15は、好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つの硬化剤の反応物を有するポリウレタン組成物を含む。硬化剤は、例えば、1または複数のジアミン、1または複数のポリオール、またはその組み合わせを含んでよい。当該少なくとも1つのポリイソシアネートは、1または複数のポリオールと組み合わされてプレポリマーを形成でき、これが当該少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。したがって、ここでポリオールを説明するときには、これは、ポリウレタン材料の成分の一方または双方において、すなわちプレポリマーの一部として使用され、または硬化剤において使用されて好適である。ポリウレタン組成物は内側カバー、外側カバー、または双方を形成するのに使用できる。好ましい実施例においては、外側カバーがポリウレタン組成物を含む。
他の実施例において、硬化剤は、ポリオール硬化剤を含む。この実施例の具体的な側面では、ポリオール硬化剤は、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;トリメチロールプロパンまたはこれらの混合物である。
1実施例において、ポリウレタン組成物は少なくとも1つのイソシアネートおよび少なくとも1つの硬化剤を含む。他の実施例において、ポリウレタン組成物は少なくとも1つのイソシアネート、少なくとも1つのポリオール、および少なくとも1つの硬化剤を含む。好ましい実施例において、イソシアネートは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド−変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、;イソホロンジイソシアネート、p−メチルキシレンジイソシアネート、m−メチルキシレンジイソシアネート、o−メチルキシレンジイソシアネート、またはこれらの混合物を含む。他の好ましい実施例において、当該少なくとも1つのポリオールは、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、またはこれらの混合物を含む。さらに他の好ましい実施例において、硬化剤は、ポリアミン硬化剤、ポリオール硬化剤、またはこれらの混合物を含む。最も好ましい実施例において、ポリアミン硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンまたはこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンまたはこのアイソマー;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン;フェニレンジアミン;4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);またはこれらの混合物を含む。
当業者に入手可能な任意のポリイソシアネートはこの初笑みに従って利用するのに適切である。ポリイソシアネートの例は、これに限定去らないが、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、ポリマー状のMDI、カルボジイミド−変性液状MDI、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12MDI」)、p−フェニレンジイソシアネート(「PPDI」)、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(「TODI」)、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、ナフタレンジイソシアネート(「NDI」);キシレンジイソシアネート(「XDI」);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(「p−TMXDI」);メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(「m−TMXDI」);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」);ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;メチルシクロへキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート、テトラセンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、アンスラセンジイソシアネート、およびこれらの混合物を含む。ポリイソシアネートは、2以上のイソシアネート基を持つもの、即ちジ−、トリ−およびテトラ−イソシアネートとして、当業者には公知である。好ましくは、このポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDIまたはこれらの混合物を含み、より好ましくは、該ポリイソシアネートはMDIを含む。ここで使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー状のMDI、カルボジイミド−変性液状MDI、およびこれらの混合物を含み、更に使用する該ポリイソシアネートは、「低遊離モノマー含有率」のものであると理解すべきであり、従来のジイソシアネートよりも、低レベルの「遊離」モノマー状イソシアネート基を持つものと、当業者は理解すべきであり、即ち本発明の配合物は、典型的に約0.1%未満の遊離モノマー基を含む。「低遊離モノマー含有率」ジイソシアネートの例は、ローフリーモノマー(Low Free Monomer)MDI、ローフリーモノマーTDIおよびローフリーモノマーPPDIを含むが、これらに制限されない。
当該少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有することが必要である。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約8.5%より多くなく、より好ましくは約2.5%から約8.0%、さらに好ましくは約4.0%から約7.2%、最も好ましくは約5.0%から6.5%のNCOを有する。
当業者が利用可能ないずれのポリオールもこの発明に従って使用するのに適している。1実施例において、ポリオールの分子量は約200から約6000である。ポリオールの例は、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールを含む。例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびこれらの混合物を含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合および置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリエステルポリオールが含まれる。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、オルト−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または未置換の芳香族および環状基を有してよい。
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカプロラクトンポリオールが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、およびこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和または不飽和の、または置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。
さらに他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカーボネートポリオールが含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタレートカーボネートである。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または未置換芳香族および環状基を有することができる。
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物の硬化剤中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよびこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンおよびこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(「MDA」);m−フェニレンジアミン(「MPDA」);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(「MOCA」);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;およびこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよびそのアイソマー、例えばETHACURE300である。適切なポリアミン硬化剤は第1および第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、またはヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加してよい。適切なジオール、トリオール、およびテトラオール基は、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(4−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(4−ヒドロキシエチル)エーテル;およびこれらの混合物を含む。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は、エチレングリコール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;トリメチロールプロパン、およびこれらの混合物を含む。
好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均分子量であり、当業者が理解するとおりのものである。
ヒドロキシ末端およびアミン硬化剤の両者は、一または複数の飽和、不飽和、芳香族、および環状基を含んでよい。さらに、ヒドロキシ末端およびアミン硬化剤は一または複数のハロゲン基を含んでよい。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンドまたは混合物によって製造してよい。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造してよい。
当業者に公知のいずれの方法もこの発明のポリイソシアネート、ポリオールおよび硬化剤を混合するために使用することができる。本技術分野でワンショット法として知られている常用される方法は、ポリイソシアネート、ポリオールおよび硬化剤を同時に混合することを含む。この方法は不均一な(さらにはランダムな)混合物を生じ、得られた配合物の分子構造に対する製造者の制御がより少なくなる。好ましい混合方法はプレポリマー法として知られている。この方法では、硬化剤を添加する前にポリイソシアネートとポリオールを別々に混合する。この方法によりより均一な混合物が得られ、その結果よりコンシステントなポリマー配合物が得られる。
いくつかの実施例において、カバー層15は部分的にまたは十分に中和されたアイオノマー組成ブルから製造された層を含み、この層のショアD硬度は、65以下、または65未満、または50から65、または57から60、または58である。好ましいアイオノマーは、これに限定されないが、C3からC8のα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジカルボン酸およびエチレンまたはC3からC6のα−オレフィンのコポリマーから選択されたものを含み、これはオプションとして軟化用モノマーを含む。アイオノマーはオプションとして高度に中和される(すなわち、その酸部分の少なくとも70%、または少なくとも90%、または少なくとも100%が中和される)。適切なアイオノマー性のカバー材料は、さらに、例えば、米国特許第6,653,382号、同第6,756,436号、同第6,894,098号、同第6,919,393号、および同第6,953,820号に開示され、その内容は参照してここに組み入れる。この発明のカバー層に使用して好適な商業的に入手可能なアイオノマー材料は、これに限定されないが、E.I.DuPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Surlyn(商標)アイオノマー樹脂、およびDuPont(商標)HPF1000およびHPF2000;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマーを含む。またアイオノマーを熱可塑性エラストマとブレンドしたものも適切である。
1実施例において、カバー層15の厚さは約0.03インチから約0.04インチである。他の実施例において、カバー層15の厚さは約0.02インチから約0.05インチである。他の実施例において、カバー層15の厚さは、その下限が約0.01または約0.02インチで、その上限が約0.100または約0.090または約0.055または約0.040インチの範囲である。さらに他の実施例においてカバー層15の厚さは約約0.035インチである。
他の実施例において、カバー層15の厚さは約0.02インチから約0.05インチである。この実施例の具体的な側面では、カバー層15は鋳造可能なポリウレタンまたは鋳造可能なポリ尿素から形成された1つの層を含む。この実施例の他の具体的な側面では、カバー層15は鋳造可能なポリウレタンまたは鋳造可能なポリ尿素から形成された1つの層を含み、そのショアD硬度は約65未満、または60未満、または約45から約60である。この実施例の他の具体的な側面では、カバー層15は、部分的または十分に中和されたアイオノマー組成物から形成された1つ層を含む。この実施例のさらに他の具体的な側面では、カバー層15は、部分的または十分に中和されたアイオノマー組成物から形成された1つ層を含み、そのショアD硬度は約65未満、または60未満、または下限が約50または約57で、上限が約60または約65の範囲である。
ゴルフボール10は、単一のカバー層を具備するように図示されるけれども、2またはそれ以上のカバー層を具備してゴルフボール10のスピンおよびフィーリングを微調整してよい。したがって、他の実施例では、カバー層15は内側カバー層および外側カバー層を有する。この実施例の具体的な側面では、内側カバー層は部分的または十分に中和されたアイオノマー組成物から形成され、その厚さは、好ましくは約0.015インチから約0.100インチ、または約0.20インチから約0.50インチであり、さらに好ましくは、その厚さは、約0.035インチである。内側カバー層のショアD硬度は、好ましくは約60から約80、より好ましくは約65から約75、最も好ましくは約66から約69である。この実施例の他の具体的な側面では、外側カバー層のショアD硬度は、好ましくは、65以上、65より大きく、または60以上、または60より大きく、この外側カバー層は鋳造可能なポリウレタンまたはポリ尿素組成物から形成され、好ましくはその厚さは約0.015から約0.040インチ、または約0.030インチから約0.040インチ、または約0.20インチから約0.35インチである。
1実施例において、ゴルフボールは、外側コア13およびカバー層14の間に配される湿気バリア層14も含む。1実施例において、湿気バリア層14は、複数の外側コア層のうちの少なくとも1つを有する。他の実施例において、湿気バリア層14は複数の外側コア層と独立した個別の層である。湿気バリア層14は、ゴルフボール10のプレイ特性や初期速度を、ゴルフボールの寿命の間、維持するように選択される。1実施例において、湿気バリア層14は水蒸気透過率がカバー層15の水蒸気透過率より小さくなるように選択される。これにより、湿気が内側コア11および外側コア13に進入するのを防止してこれらの層への悪影響を防止する。
一般に、湿気バリア層14は、カバー層15の水蒸気透過率よりも低い水蒸気透過率を有し、更に好ましくは、アイオノマー樹脂の約0.45〜約0.95g・mm/m2・日の範囲の水蒸気透過率より低い水蒸気透過率を有する。水蒸気透過率は、単位時間当たりの単位面積当たりの所定の厚さの材料中に拡散する水蒸気の質量と定義される。水蒸気透過率を測定するための好ましい基準は、ASTM F1249−90”Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor”およびASTM F372−99” Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate of FlexibleBarrier Materials Using an Infrared Detection Technique”等を含む。
具体的な実施例において、湿気バリア層14はスチレンブロックコポリマーを含む。適切なスチレンブロックコポリマーはKraton(商標)の商標の下で、テキサス州、ヒューストンのKraton Polymers社から入手できる。さらに、水蒸気バリア層14はマイクロ粒子をも内部に配している。これら粒子は好ましくは撥水性があり、水蒸気バリア層14を横切る多くの曲がりくねった経路を有して層14の湿気透過率を減少させる。このマイクロ粒子はナノ粒子、セラミック粒子、ガラスフレーク、および金属フレーク(例えば雲母材料、酸化鉄またはアルミニウム)を含んでよい。1実施例において、湿気バリア層14はアルミニウムフレークを含む。
湿気バリア層14の成分、調合、および厚さは、所望の湿気透過率を実現するように選択される。1実施例において、湿気バリア層14の比重は約1から約2である。他の実施例において、湿気バリア層14の比重は約1.13である。湿気バリア層14の厚さは約0.03インチ未満である。1実施例において、湿気バリア層14の厚さは約0.024インチである。
湿気バリア層14の好ましい材料および構造は、さらに、例えば、米国特許第6,632,147号、同第6,838,028号、同第6,932,720号、同第7,004,854号、および同第7,182,702号、ならびに米国特許出願公開第2003/0069082号、同第2003/0069085号、同第2003/0130062号、同第2004/0147344号、同第2004/0185963号、同第2006/0068938号、同第2006/0128505号、および同第2007/0129172号に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
先に説明したように、この発明のゴルフボールは単一または多層のカバーを具備する。比較的柔らかなカバー層が望まれる場合、この層を形成するのに使用される材料は、好ましくは、ポリウレタン、ポリ尿素、ハイブリッドポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、部分的または十分に中和されたアイオノマーコポリマーおよびターポリマー、および極性基官能性ポリオレフィンを伴うアイオノマーのブレンドから選択される。極性官能性ポリオレフィンを使用するときには、好ましい材料は無水マレイン酸変性メタローセン触媒ポリオレフィン、例えば、米国特許第5,703,166号に開示されたものであり、その内容は参照してここに組み入れる。いくつかの実施例において、この発明のゴルフボールは、ショアD硬度が65以下、または60未満、または20から65、または30から65のカバー層を具備する。代替的な実施例では、この発明は、内側コア、外側コア層、カバー、およびオプションの湿気バリア層を具備するゴルフボールを実現し、カバーのショアD硬度は好ましくは65以上、または65から80、または66から78、または68から75であり、カバーは好ましくは高酸性アイオノマー含有組成物、堅固なポリウレタン、堅固なポリ尿素、およびこれらのブレンドおよびコポリマーから選択される。他の代替的な実施例において、この発明は、内側コア、外側コア層、およびカバーを具備するゴルフボールを実現し、外側コア層が、カバーより水蒸気透過率が小さい湿気バリア層として機能する。このような外側コア層は、ポリブタジエンゴム、「曲がりくねった経路」のバリアを実現するための高度に充填されたポリブタジエンゴム(例えば、先にあげた湿気バリア層の参考文献中に開示されるようなフレークまたはシート状の粒子を含有するポリブタジエン)、ZDAが少なくまたは含まないポリブタジエンゴム(すなわち0から20phr、好ましくは0から15phr、さらに好ましくは0から10phr)、トランスポリイソプレン、トランスポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム(「EPR」)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(「EPDM」)、または湿気透過率が小さい他のジエンゴムを含んでよい。
ここに開示される任意の実施例の内側および外側コア層は、硬度勾配、すなわち、内側コアのセンタから内側コアの表面までの硬度の差、同様の外側コア層の最も内側の表面から外側コア層の表面までの硬度の差を伴ってよい。勾配は、正(増加)、負(減少)、または中間的であってよい。正の勾配を採用するときには、内側コアのセンタが最も柔らかいポイントであり、好ましくは約40から約75ショアCの硬度を有し;内側コアの表面は好ましくは約45から約78ショアCの硬度を有し;外側コア層は好ましくは80ショアC以上、または約80から約95ショアCの硬度を有する。勾配の大きさは、外側コア層表面の硬度から内側コアのセンタの硬度を引いて計算され、これは約5から約45ショアC、または約20から約45ショアC、または約25から約45ショアCであり、好ましくは約8から約40ショアC、または約15から約35ショアC、または約18から約30ショアCである。コアの表面硬度は極ごとに1回測定される。2つの測定値は平均される。センタの硬度を測定するために、コアを、当該コアよりおよそ0.010−0.020インチ小さい空洞に押し込み、コアが空洞内においてその底に着き、しっかりとフィットするようになす。露出している半体を、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、若干中心から外して大まかに切断する。測定表面を仕上げて表面グラインダで平滑面として、この面がコアのセンタを通り、かつ空洞のベースと平行するようになす。センタが芯出し定規で位置決めされて印付けされ、空洞内に残っているコアについて硬度測定を行う。オプションとして、他の点を位置決めして測定をなし、勾配プロフィールを作成してよい。硬度差は、平均表面硬度−中心硬度で計算される。
いくつかの実施例において、ゴルフボール10の構成および調合は以下の表1にまとめることができる。
(*)湿気バリア層の特性、材料および構造は、米国特許第6,632,147号、同第6,838,028号、同第6,932,720号、同第7,004,854号、および同第7,182,702号、ならびに米国特許出願公開第2003/0069082号、同第2003/0069085号、同第2003/0130062号、同第2004/0147344号、同第2004/0185963号、同第2006/0068938号、同第2006/0128505号、および同第2007/0129172号に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
以下の表2はこの発明の実施例に従う種々のゴルフボール層の直径および厚さを示す。ただし、ゴルフボールの全体の直径は1.68インチでありオプションの湿気バリア層を含まない。湿気バリア層を含む場合には表2のうちの1または複数の層は修正しなければならず、すなわち、直径または厚さを小さくする必要があることに留意されたい。
ゴルフボール10は当業界で一般的に知られ、利用可能な任意の公知の方法で構築できる。適切な方法は、ゴルフボール10の種々の層の成分を調合して混合する方法を含む。これらの方法は、ゴルフボール10を形成する方法も含み、これは圧縮成型、射出成型、鋳造、および反応性射出成型を含む。これらの方法の例は、例えば、米国特許第6,547,677号および同第6,852,044号に見いだすことができ、その内容は参照してここに組み入れる。
射出成型を採用するときには、HNP組成物は典型的には射出成型機の入り口から容易に供給可能なパレットまたはグラニュー形態であり、ここで、これが、加熱バレル内で150°Fから600°F、好ましくは200°Fから500°Fの温度で、スクリューにより溶かされて搬送される。溶かされたHNP組成物は最終的には閉じた金型キャビティ内に射出され、これが、雰囲気温度または上昇させられた温度で冷却されてよいが、典型的には50°Fから70°Fの温度に冷却される。閉じた金型内に1秒から300秒配置した後、コアおよび/またはコアに1以上の付加的なコアまたはカバー層を加えたものを金型から取り外し、雰囲気または下降温度で冷却可能にし、あるいは、冷却流体、たとえば水、アイスウォータ、溶媒中のドライアイス、その他の中に配置する。
センタを製造するのに圧縮成型を採用するときには、HNP組成物が初めに材料のプレフォームまたはスラグとされ、これは典型的には円筒またはおよその球形でその重さは成型されるコアの所望の重量より若干重い。このステップに先立って、HNP組成物は、金型を通じて押し出され、あるいは同様に溶融されて押され、その後、円筒形のプレフォームに切断されてよい。このプレフォームが圧縮金型キャビティ内に配されて、150°Fから400°F、好ましくは250°Fから350°F、さらに好ましくは260°Fから295°Fの成型温度で圧縮される。HNP組成物のコアまたはカバー層を圧縮成型するときには、半殻が第1の射出成型で形成され、その後、1または複数の層を有するコアが2つの半殻の内部に包まれ、その後、先に説明したプロセスと類似した態様で圧縮成形される。
ここで引用したすべての特許、刊行物、テスト手順および他の文献は、優先権書類も含めて、この発明と矛盾しない範囲において、参照してここに組み入れられる。
この発明の事例的な実施例を具体的に説明したが、種々の他の変更が当業者に明らかであり、またこの発明の趣旨を逸脱することなく容易になすことができることに留意されたい。したがって、添付の特許請求の範囲のスコープは、ここに開示された例や記述に制約されることを意図されていない。特許請求の範囲は、この発明の特許可能な新規な特徴のすべてをカバーするように理解されるべきであり、それには当業者にとって均等なすべての特徴も含まれる。