従来のゴルフボールは、2つの一般的なクラス、すなわち、ソリッドおよび糸巻きに分類することができる。ソリッドゴルフボールは、1ピース、2ピース(すなわち、単一層コアおよび単一層カバー)、および多層(すなわち、1層または複数層のソリッドコアおよび/または1層以上のカバー)のゴルフボールである。糸巻きゴルフボールは、典型的には、張力を受けたエラストマー材料で包囲された、中実の、中空の、または流体充填されたセンタとカバーとを含む。
ゴルフボール材料の例は、バラタ、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、またはポリイソプレンなどのゴム材料から、アイオノマー、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素および/またはポリウレタン/ポリ尿素ハイブリッドなどの熱可塑性または熱硬化性樹脂に及ぶ。その典型的には、最内層のゴルフボール層の球面外面の周りに、圧縮成形、鋳造または射出成形によって外層が形成される。
ゴルフボール製造者の視点から見ると、製造者は、種々のレベルに技能、および/または好みに適したゴルフボールを製造し販売することが可能となるので、広範囲の弾力性、耐久性、スピン性、および「フィーリング」などの特性を実現する材料を持つことが望ましい。この点に関して、スピン、フィーリング、CoRおよび圧縮などのゴルフボールの競技特性は、ゴルフボール材料の特性を変えることによって、および/またはカバーおよびコアの間に少なくとも1つの中間層のような追加のゴルフボール層を付加することによって、仕上げ処理される。中間層は、ソリッド構造であってもよく、引っ張られたエラストマー糸巻きから形成されていてもよい。これらの異なるタイプの構造から生じる競技特徴の違いは、極めて重要である。
ゴルフボールの既知の問題点は、ゴルフボールの材料に水蒸気が浸透し、ゴルフボールの特性に悪影響を及ぼすことがあることである。例えば、過酸化物および/またはジアクリル酸亜鉛と架橋したポリブタジエンコアが水を吸収すると、コアは弾力性を失い、ボールの圧縮および反発係数(CoR)が変化することがある。
典型的には、38°C、湿度90%で、60日の期間では、かなりの量の水分がコアに入り、ボールの初速度を1.8フィート/秒から4.0フィート/秒以上の分だけ減少させることがある。圧縮の変化は、約5PGA?約10PGAまたはそれ以上に変化し得る。吸収された水蒸気は、また、ゴルフボールCoRを減少させる。ゴルフボールが25?35%RHのような周囲条件および高温高湿の条件下で、長時間の貯蔵および/または使用に供されると、ゴルフボールのCoRは、水蒸気の吸収が原因で、経時的に減少する傾向がある。残念なことに、少なくともいくつかの広く使用されているポリウレタンカバー材料は、また、水分の浸透に対して脆弱である傾向があり、したがって、コアを適切に保護することができない。
業界は、そうでなければ水の浸透の影響を受け易いゴルフボール材料上に水分バリア層を塗布することによって、このような問題に対処してきた。これに関して、有効な水分バリア層は、包囲された材料への水分浸透に対するバリアを作り、それによって水の悪影響に対して材料を保護するのに十分低い水蒸気透過率(MVTR)を有する。
多くのゴルフボールでは、CoR、耐久性および圧縮のような他の重要なゴルフボール特性を損なうことを避けるために、または製造コストを不必要に増加させることを避けるために、水分バリア層はできるだけ薄くすべきであることが判明している。最初に、ゴルフボール製造者は、射出成型材料の極めて薄い層を使用することを試し、これは、好ましくないことに、ピンホールを含む非同芯で、非コンフォーマルな層を形成しがちであり、これは好ましくない性能特性をもたらし、かつ/また、耐久性の問題を生じさせる。
したがって、水分バリア材料のコーティング層も探求されているが、コーティング材料と隣接内層との間の界面に空気ポケットが形成された場合の層厚均一性の問題、ならびに接着および耐久性の問題を呈する可能性がある。これに関して、剥離プレートレットまたはポリ塩化ビニリデン(「PVDC」)などの特殊な低透過ポリマーを含有するナノ複合材料充填エラストマーコーティングの従来の薄い水分バリアコーティング層は、層間接着の問題、耐久性の問題、反発性の欠陥、水分バリアコーティング層がゴルフクラブによる衝撃によって亀裂を生じた場合のバリア効果の損失をもたらす。PVDCコーティングのバリア特性は、典型的には周囲温度(〜68−77°F)以下で最良であるが、高温では急速に劣化する。
したがって、ゴルフボール製造業者は代わりに水分バリア材料の薄膜層を試した。例えば、非常に薄い金属フィルム層がこの目的のために組み込まれている。例えば、米国特許第9,433,826号(Comeau等)を参照されたい。しかしながら、このようなフィルムに関連して触媒コーティング前処理が一般に必要であり、これは複雑であり、ゴルフボール製造のコストを増大させる。別のアプローチでは、10ミクロン(μm)から300μm未満の厚さを有する平坦なアイオノマー樹脂フィルムシートをボール本体の周りに圧縮成型し、同時にディンプルを樹脂中に形成した。しかし、熱圧縮成型時に、水分バリア材料の樹脂シートがボール本体表面の一部の領域で重なり合うことを防止する方法がなく、結果として得られるフィルム層に不均一性を生じ、また、フィルムと封止ボール本体との間においてその界面に接着性の問題を生じた。
別のアプローチでは、非常に薄いイオノマーシートブランクを、凹型半球カップ形状の半殻金型の内面の中および内面内に真空吸引した。これにより、厚さ1.5mm以下の薄い水分バリアフィルムの予備成形されたハーフシェルが製造されたが、耐久性の問題が起こりえる。なぜならば、この方法では、得られた予備成形されたカップ形状のハーフシェルフィルムの外径および形状が金型の内側表面の直径および形状と異なることがあり、この結果、フィルムプレフォームの輪郭が必ずしも収容コアの輪郭に一致するとは限らないため、カップ形状のフィルムと封止コア/サブアッセンブリとの間に隙間を生じる可能性があった。
一方、ゴルフボール構造に薄い水分バリア層を組み込む際に直面する大きな課題は、ゴルフボールを打撃する際のゴルフクラブのフェースの甚大な力を保持するのに十分な程度の伸びに耐えることができる材料を実現しながら、優れた正規化されたMVTR(nMVTR)基準を達成することである。正規化されたMVTRは、材料の厚さに関係なく、水分浸透に抵抗する材料の能力を比較するものであり、VTR(g・mm/m2・日)・(1/厚さ(mm))またはg/(m2・日)で決定される。例えば、アイオノマーは、典型的には9〜12のnMVTRを有し、これは理想的ではない。ポリ塩化ビニリデンコーティングは3.9〜6.3の範囲のnMVTRを示すことができるが、このようなコーティングは一般に上述のコーティングの限界を有する。
したがって、優れたnMVTRを有する非常に薄い水分バリア材料のフィルム部品を組み込むことができるゴルフボール構造が必要であるが、それは、1)複数の層の間の隙間を避けるために、被包されたコア/サブアッセンブリの形状および輪郭に適合するような形状および寸法を有し、2)均一な厚さを有し、3)クラブ打撃に耐えるのに十分な伸び特性を有し、4)ゴルフボールの所望の競技特性に悪影響を及ぼさない、または変更しないものでなくてはならない。このようなゴルフボールおよびゴルフボールの製造方法は有用であり、望ましくはコスト効果がある。この発明のゴルフボールおよびこの発明のゴルフボールの製造方法は、これらのニーズに対処し解決するものである。
したがって、この発明のゴルフボールは、少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層を組み込み、当該水分バリアフィルム層は、4.0未満の正規化水蒸気透過率(「nMVTR」)を有し、それが包み込むコア/サブアッセンブリの周りに形成されたとき当該コア/サブアッセンブリの形状および輪郭に合致/追随する輪郭を有し、一様な厚さを実現して従来の非常に薄い水分バリア層構造の上述の耐久性に関する問題を除去するプレフォーム構造を有する。一実施例では、この発明のゴルフボールは:サブアッセンブリと;0.020インチ未満の連続した実質的に均一な熱成形された厚さを有し、第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルからなる水分バリアフィルム層であって、当該第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルは、サブアッセンブリを収容し、かつ、その上および周りにコンフォーマルかつ接着性をもって係合するような寸法、形状、および輪郭を有し、もって、当該水分バリアフィルム層が4.0g/(m2・日)未満のnMVTRを有するようになす、第1および第2の内側表面内面を有する、上記水分バリアフィルム層と;上記水分バリアフィルム層の周りに配され、上記水分バリアフィルム層のnMVTRより大きいnMVTRを有する少なくとも1つの外層とを有する。
具体的な実施例では、水分バリアフィルム層は、約0.003インチから0.020インチ未満の熱成形厚さを有する。水分バリアフィルム層は、約0.5g/(m2・日)のnMVTRを有して良い。特定のそのような実施例では、水分バリアフィルム層は、約0.0035インチ〜0.010インチの熱成形厚さを有して良い。水分バリアフィルム層は5層であって良く、すなわち、5つのフィルム層から成って良く、ここでは、第2のフィルム層および第4のフィルム層が結合層であり、第3のフィルム層が、第2のフィルム層と第4のフィルム層との間に配置され、水分バリア組成物から成る。5つのフィルム層の第1のフィルム層は低密度ポリエチレン組成物からなって良く、第2のフィルム層はエチレンビニルアセテート組成物からなって良く、第3のフィルム層はポリ塩化ビニリデン組成物からなって良く、第4のフィルム層はエチレン酢酸ビニル組成物からなって良く、第5のフィルム層は、低密度ポリエチレン組成物からなって良い。
そのような一実施例では、5つのフィルム層は、実質的に同様の厚さを有して良く。別の実施例では、第2のフィルム層は、第4のフィルム層の厚さと実質的に同じ厚さを有しても良く、第1のフィルム層、第3のフィルム層、および第5のフィルム層のそれぞれは、第2のフィルム層および第4のフィルム層の厚さより大きな厚さを有して良い。
別のそのような実施例では、水分バリアフィルム層は、約0.01インチから0.020インチ未満の熱成形厚さを有して良い。第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルの各々は、ポリオレフィンベースの加硫熱可塑性エラストマー組成物から成って良い。
異なる実施例では、水分バリアフィルム層は、約0.8g/(m2・日)の正規化されたMVTRを有して良い。水分バリアフィルム層は、約0.0035インチ〜0.010インチの熱成形厚さを有して良い。水分バリアフィルム層の第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルのそれぞれは、ポリエチレンイオノマーコポリマー組成物から成って良い。
この発明のゴルフボールの一実施例では、この発明のゴルフボールのサブアッセンブリが、球状の外面を有する単一層のソリッドゴム系コアから成って良く、外側層は、熱硬化性または熱可塑性ポリウレタンのカバーであって良く、ここで、ゴルフボールは、少なくとも約0.800のCoRを有する。
この発明のゴルフボールの別の実施例では、この発明のゴルフボールのサブアッセンブリは、少なくとも1つの外側コア層によって囲まれた球形のソリッドゴムベースの内側コア層を有するコアから成って良く、ここで、上記外側層が、熱硬化性または熱可塑性ポリウレタン組成物からなるカバーであり、上記ゴルフボールが少なくとも0.800のCoRを有する。
一実施例では、この発明のゴルフボールのサブアッセンブリは、高度に中和されたポリマー組成物を含む最外層を具備して良く、その周りに水分バリアフィルム層が配置される。そのような実施例では、最外層は、水分バリアフィルム層のnMVTRより大きいnMVTRを有する。
一実施例では、フィルム層と隣接する内側層との間の接着強度は、少なくとも約1.1lbf/インチである。別の実施例では、フィルム層と隣接する外側層との間の接着強度は、少なくとも約15lbf/インチである。
この発明は、また、ゴルフボールの製造方法であって:サブアッセンブリを提供するステップと;0.020インチ以下の同一の厚さを有する第1および第2のフィルムシートを提供し、上記サブアッセンブリの外側表面と同一の寸法、形状、および輪郭を有する第1および第2の金型の上に、かつ、その周りに、各フィルムシートを軟化させてドレープするのに十分なだけ、上記第1および第2のフィルムシートを加熱するステップであって、上記第1および第2の金型は、ドレープ中に上記第1および第2のフィルムシートに接着しない材料からなる上記ステップと;ドレープ中に第1および第2の金型上の各フィルムシートを冷却し、上記サブアッセンブリの外側表面を収容し、コンフォーマルに、かつ接着性をもって上記サブアッセンブリの外側表面と係合するような寸法、形状および輪郭を有する第1および第2の内側表面を有する第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルを形成するステップと;上記第1および第2の熱誘導フィルムプレフォームハーフシェルを上記第1および第2の金型から取り外すステップと;上記第1および第2の熱誘導フィルムプレフォームハーフシェルを上記サブアッセンブリの外側表面の上に、かつその周りに熱成形し、上記外側表面の周りに水分バリアフィルム層を形成するステップであって、上記水分バリアフィルム層は、0.020インチ未満の連続的で実質液に均一な厚さを有し、当該水分バリアフィルム層が4.0g/(m2・日)未満のnMVTRを有するように、上記外側表面と、コンフォーマルに、かつ接着性をもって係合される上記ステップと;上記水分バリアフィルム層のnMVTRよりも大きいMVTRを有するポリマー材料からなる少なくとも1つの外側層を上記水分バリアフィルム層の周りに形成するステップとを含む、上記ゴルフボールの製造方法に関する。具体的な実施例では、上記第1および第2の金型の上に、かつ、その周りに、各フィルムシートを軟化させてドレープするのに十分なだけ、上記第1および第2のフィルムシートを加熱するステップにおいて、真空を適用し、その他、真空を形成して良い。
発明の詳細な説明
この発明の耐久性ゴルフボールは、所望の競技特性に悪影響を及ぼしたり変化させたりすることなく、非常に薄い水分バリアフィルム層と、隣接する内側および外側の慣用的なゴルフボール層との間に優れた接着性を実現することができる。水分バリアフィルム層は、4.0g/(m2・日)未満のnMVTR(この発明の背景で定義される)を有し、0.020インチ未満の連続した実質的に均一な熱成形厚さを有し、サブアッセンブリを収容し、その上に、かつ、その周りに、コンフォーマルに、接着性をもって係合するような寸法、形状、および輪郭を有する第1および第2の内側表面を具備する第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルから成る。水分バリアフィルム層の外面の周りに、当該水分バリアフィルム層のnMVTRより大きいnMVTRを有する、少なくとも1つの外層を配置して良い。
本明細書で使用される「第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェル」という語句は、特定の厚さを有する非常に薄いハーフシェル形状のフィルムを指し、これは、非常に薄い第1および第2のフィルム材料のシートを、サブアッセンブリの外面と同じ大きさおよび形状を有する金型の外面の周りで、軟化させ、ドレープさせるのに十分な熱に露呈することにより、形成される。金型は、軟化およびドレープ中にフィルム材料の第1および第2のシートに接着しない組成物からなる。熱誘導真空成型を使用すると、フィルムのシートを、金型の上および周囲にドレープさせ、サブアッセンブリの外面と一致するようなサイズおよび形状の内面を有し、サブアッセンブリと連続的に接着するようにな、第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルを製造できる。第1および第2の内面と外面との間の相互作用は、それらの間に強い接着を生成し、第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルは、水分浸透に対するサブアッセンブリへの均一で連続的な保護を実現する。特定の実施例では、第1および第2のフィルムシートの軟化およびドレープの間に、第1および第2の型の上および周りに真空を適用して、サブアッセンブリの外側表面と同じサイズ、形状および外面輪郭を有するフィルムシートの内面を生成することができる。
したがって、本明細書で使用される「熱成形された厚さ」という用語は、フィルムシートのこのような熱により達成された真空成形から得られ、そののち、当該第1及び第2の熱形成されたプレフォームフィルムのハーフシェルをサブアッセンブリの外側表面の周りに熱誘導圧縮成型した、水分バリアフィルム層の厚さを指す。有利なことに、この発明の完成したゴルフボールでは、得られる水分バリアフィルム層は、付与され、軟化され、金型の周りにドレープされるフィルムシートの厚さより少なくとも50%薄くすることができる。これは、望ましくは、性能特性を変化させることなく、及び/又は耐久性の問題を提示することなく、内側層を水分の浸透から保護する、非常に薄い水分バリアフィルム層を生じる。これは、少なくとも部分的には、隣接する内側層の周りに順応的であり、従来の水分バリア層に見られるピンホールがない、非常に薄い水分バリアフィルム層の連続的で均一な厚さに起因する。
したがって、ドレープされた各フィルムシートは、一旦、金型上で冷却されると、第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルとしてそこから除去され、水分バリアとしてサブアッセンブリの外面の上および周りに熱誘導圧縮成形され、これは、0.020未満の連続的かつ実質的に均一な厚さを有し、外面の上および外面の周りに、コンフォーマルに、かつ接着的に係合される。水分バリアフィルム層のnMVTRより大きいnMVTRを有する少なくとも1つの外層を、水分バリアフィルム層を包囲して良い。
フィルム層の熱成形された品質は、第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルの独自の構造と組み合わせて、フィルム層とそれが保護するサブアッセンブリの外面との間に隙間が形成されるのを防ぎ、もって、接着性問題を最小化し、均一で連続的(ピンホールなし)で、それでいて、目標とするゴルフボールの特性を悪い方向に変化させたり、その他、不利益や障害をもたらすことなく、また、影響を与えない、薄いふぃるふ層を製造できる。熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルおよびカバーなどのような外側は、同時にまたは別々の成形工程で成形され得ることが想定される。
熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルは、手作業または機械によってサブアッセンブリの周りに組み立てられ、その後一緒に熱誘導圧縮成形を受けることができる。圧縮成型用金型は、典型的には、半組立体の周りに組み立てられた熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルが配置される一対の半球型に形成された成型キャビティを有する。次いで、熱と圧力との組み合わせが適用され、熱誘導されたプレフォームフィルムのハーフシェルが、サブアッセンブリの周りの一体性のある非常に薄い水分バリア層として、サブアッセンブリの外側表面に溶け出る。次に、カバー層は、使用されるカバー材料に応じて、カバー層を形成するためのいくつかの可能な方法のうちの1つを使用して、例えば射出成型を使用して、別個の工程で、非常に薄い水分バリア層層の周りに形成されてもよく、これは以下でさらに説明される。
実施例においては、また、一対の半球金型が、カバー成型動作中にゴルフボールの周囲にディンプルパターンを形成するために、その空洞内に機械加工、その他の方法で設けられた突起のアレイを有し、また、一対の半球状のカバーブランクを、熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルおよびサブアッセンブリからなるアッセンブリの上に、直径方向に対抗する位置に配置し、半球金型内に一緒に配置することができ、熱誘導圧縮成型処理を実行できる。このような実施例では、一対の半球状のカバーブランクは、非常に薄い水分バリア層の外面に融合して一体の非常に薄い水分バリア層をカプセル化する単一の一体構造のカバー構造を形成する。
熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルは、シングルプライまたはマルチプライ(共押出し)フィルムシートとして使用することができる。多層フィルムシートは、2つ以上の非常に薄い異なる材料の層を含むことができる。有利なことに、非常に薄い材料の層のそれぞれは、隣接する層に関して非常に薄い水分バリアフィルム層を実現するという、主たる利点を果たし、または、そのように貢献することができる。例えば、多層フィルムシートは、得られた非常に薄いフィルムの水分バリア層とサブアッセンブリとの間に優れた接着性をもたらす第1の層を含んで良く、その一方で、多層フィルムシートの中間層は、サブアッセンブリへの水分浸透に対する良好な防護を実現でき、多層フィルムシートの第3の層は、得られた多層フィルムとカバーのような周囲の外側層との間に大きな接着を生じさせことができる。そのような場合、多層フィルムのすべての3つの層は、熱成形された熱誘導性の非常に薄いフィルムハーフシェルとしてゴルフボールに組み込まれたときに、組み合わさり、かつ一緒になって、優れた水分バリア特性を、接着性とともに実現する。
どの具体的なフィルムシートが選択されるか(すなわち、単一材料であろうとマルチプライであろうと)にかかわらず、それは、熱成形され、熱誘導されたプレフォームの非常に薄いフィルムのハーフシェルの特異な構造であり、これは、コア/サブアッセンブリの外面の周りにコンフォーマルかつ接着的に係合され、サブアッセンブリを、顕著な程度に耐久性をもって、すなわち、nMVTRが、4.0未満、3.0未満、または2.0未満、さらには1.0未満、または約0.8以下、または約0.5以下、または約0.4以下である程度に、保護する、連続的かつ実質的に均一な非常に薄いフィルムの水分バリアフィルム層を、有利なことに、形成することによって、従来のゴルフボールの欠点に対処し、これを克服する。
フィルム層とその間の界面での隣接層との間に望ましくは十分な程度の接着が生じ、これは例えば物理的剥離試験(Peel Test)を用いて評価することができる。これに関して、約1/2インチの線条が、試験される層全体を通じて切り出すのに十分な深さでゴルフボールの赤道のまわりで切り出されて良い。次に、線条を横切って垂直カットを行い、線条の一端を約1/2インチのタブを作るのに十分に剥がして良い。次に、ボールを、タブを上向きにして極でクランプして良い。ジグは、クランプされたボールが、極に平行な軸の周りを自由に回転することを可能にする。次いで、このタブをユニバーサル試験機の20ポンドのロードセルにクランプする。次いで、タブを0.5インチ/分の速度でボールから引き離して良く、そして、下層の外層を引っ張るのに必要な力が記録される。
一実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は、少なくとも約1.1lbf/in、または2lbf/in以上である。別の実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は約5lbf/インチ以上である。さらに別の実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は、約10lbf/インチ以上である。さらに別の実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は、約15lbf/インチ以上である。別の実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は約20lbf/インチ以上である。異なる実施例では、フィルム層と隣接する内層との間の接着強度は、25lbf/inより大きいか、または30lbf/inより大きい。
一実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は2lbf/インチより大きい。別の実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は、約5lbf/インチ以上である。さらに別の実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は約10lbf/インチ以上である。さらに別の実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は、約15lbf/インチ以上である。別の実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は、約20lbf/インチ以上である。別の実施例では、フィルム層と隣接する外層との間の接着強度は、25lbf/inより大きいか、または30lbf/inより大きい。
以下は、熱成形された第1および第2の熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルを組み込むことができるゴルフボール構造の非限定的な例である。第1の例では、この発明のゴルフボールは、約1.58”の直径を有する単一または多層のゴム系コアを含み、このコアは、非常に薄い水分バリアフィルム層により包囲され封入され、この水分バリアフィルム層は、約0.02インチ未満の厚さ、および、約0.5のnMVTRを有し、熱形成され、熱誘導されたプレフォームフィルムハーフシェルからなり、このハーフシェルは、ポリオレフィンベースの加硫熱可塑性エラストマー、すなわちAdv.Elastomer Santoprene(登録商標)203−50、または(登録商標)201−87、または登録商標)201−73の単一層シートを含む。このプレフォームは、熱誘導真空成形モールディングによって製造され、コアの周りに組み立てられ、圧縮成型される。非常に薄い水分バリアフィルム層の周りにポリウレタンカバーを形成してゴルフボールを完成させることができる。この実施例のカバーは0.045インチの厚さを有する。想定される実施例では、カバーが熱硬化性または熱可塑性材料であってもよい。
第2の例において、この発明のゴルフボールは、当該第2の例において、非常に薄い水分バリアフィルム層が約0.005インチの厚さを有することを除いて、第1の例のゴルフボールに含まれるのと同じコアおよびカバーを組み込むことができ、水分バリアフィルム層は、約0.8のnMVTRを有し、Santoprene(登録商標)TPEシートに基づくのではなく、それぞれPE AAコポリマー、すなわちBASF Lucalen(登録商標)A2910MまたはLucalen(登録商標)A3710MXの単一層シートを含有する、熱成形された熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルからなる。
第3の例では、この発明のゴルフボールは、当該第3の例において、非常に薄い水分バリア層の厚さが約0.004インチであり、そのnMVTRが約0.5であること以外は、第1および第2の例のゴルフボールに含まれるのと同じコアおよびカバーを組み込んで良く、これは、各々が、Santoprene(登録商標)TPEまたはLucalen(登録商標)A2910M(またはLucalen(登録商標)A3710MX)ではなく、Dow Saranex(登録商標)453(LPDE/EVA/PVDC/EVA/LDPE(シートあたり))の5層シートを含む、熱成形された熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルからなる。
第4の例では、この発明のゴルフボールは、約1.50”の直径を有する単一層または多層のゴム系コアを含むことができる。このコアは、3層カバー構成により包囲され、この3層カバー構成は、アイオノマーの内側カバー層を有し、これが、約0.02インチ未満の厚さおよび約0.5のnMVTRを有する非常に薄い水分バリアフィルム層によって囲まれ包まれ、これは、ポリオレフィンベースの加硫熱可塑性エラストマー、すなわちSantoprene(登録商標)TPEの単一層のシートを含む、熱形成され、熱誘導されたプレフォームフィルムのハーフシェルからなり、この薄い水分バリアフィルム層は、ポリウレタンカバー層で囲まれてゴルフボールを完成させる。このような実施例では、サブアッセンブリは、アイオノマーの内側カバー層によって取り囲まれた単一または多層のゴム系コアからなり、熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルは、その周りに熱誘導圧縮成型されて良い。この実施例のカバーは、非常に薄い水分バリアフィルム層を除いて、0.030インチの厚さを有する。
第5の例では、この発明のゴルフボールは、第3の例のゴルフボールと同じコアおよびカバー配置を組み込むことができ、ただし、当該第5の例では、非常に薄い水分バリアフィルム層が約0.005インチの厚さを有し、約0.8のnMVTRを有し、それぞれがSantoprene(登録商標)TPEシートに基づくのではなく、PE AAコポリマー、すなわちLucalen(登録商標)A2910MまたはLucalen(登録商標)A3710MXの単一層シートを含む熱成形された熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルからなる。
第6の実施例では、この発明のゴルフボールは、第4および第5の実施例のゴルフボールに含まれるのと同じコアおよびカバーを組み込むことがで、ただし、当該第6の実施例においては、非常に薄い水分バリアフィルム層の厚さが約0.004インチであり、nMVTRが0.5であり、当該水分バリアフィルム層が、各々が、Santoprene(登録商標)TPEまたはLucalen(登録商標)A2910M(またはLucalen(登録商標)A3710MX)ではなく、Dow Saranex(登録商標)453(LPDE/EVA/PVDC/EVA/LDPE(シートあたり))の5層シートを含む熱成形された熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルのシェルからなる。
有利なことに、単一の非常に薄い水分バリアフィルム層は、水分浸透からゴルフボール構造の全ての内側層を十分に保護すべきであり、その際、複数の非常に薄い水分バリアフィルム層を必要とすることがない。しかしながら、ゴルフボール構造が2つ以上の非常に薄い水分バリアフィルム層を含んでもよい実施例が想定されることは理解されるべきである。
したがって、熱成形された熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルの水分バリアフィルム層を、当該熱成形された熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルの水分バリアフィルム層よりも高いnMVTRを有する内側層への水分の浸透を保護するために、用いて良い。一方、熱成形された熱誘導プレフォームフィルムハーフシェルの水分バリアフィルム層は、そのnMVTRは周囲のゴルフボール層のnMVTRよりも低い場合に有用である。この発明のゴルフボールでは、サブアッセンブリ、および/または、非常に薄い水分バリアフィルム層を取り囲む外側層は、従来の熱硬化性および/または熱可塑性材料から形成されて良くただし、非常に薄い水分バリアフィルム層は一般的には、水分の浸透の影響を受けやすい材料を含む層を包囲し隣接しているという1つの制約がある。しかしながら、非常に薄い水分バリアフィルム層が水分浸透の影響を受け易い材料を含む層の周りに形成された層を取り囲んで隣接している実施例も考えられる。
この発明のゴルフボールは、競技に使用されるゴルフボールが少なくとも1.68インチの直径を有することをUSGAが要求しているが、いかなるサイズのものであってもよい。米国ゴルフ協会(USGA)規則外のプレーでは、ゴルフボールはより小さいサイズにすることができる。通常、ゴルフボールは、USGAの要求に従って製造され、約1.68〜約1.80インチの範囲の直径を有する。また、USGAは、ゴルフボールの最大重量45.93g(1.62オンス)を確立しています。USGA規則外のプレーでは、ゴルフボールは重くなり得る。したがって、ゴルフボールの直径は、例えば、約1.680インチ〜約1.800インチ、または約1.680インチ〜約1.760インチ、または約1.680インチ(43mm)〜約1.740インチ(44mm)、またはさらには1.700〜1.950インチの範囲内の任意の位置にある。
異なる層(非常に薄い水分バリアフィルム層以外の)の直径及び厚さは、硬度および圧縮のような特性とともに、ゴルフボールの所望の競技性能、例えばスピン、初期速度およびフィーリングに応じて変化して良い。本明細書で使用される「層」という用語は、一般にゴルフボールの任意の球形部分を意味し、非常に薄い水分バリアフィルム層を含むが、非常に薄い水分バリアフィルム層はゴルフボールの競技特性に悪影響を与えたり、その他、変化を加えてはならない。
したがって、コアの直径および中間層、カバー層および/またはコーティング層のそれぞれの厚さなどの各ゴルフボール構成要素の寸法は、当該技術分野で知られているように選択され、調整されてもよい。そのような所望の競技特性またはフィーリングを目標とし達成するために使用される。理想的には、この発明のゴルフボールは、非常に薄い水分バリアフィルム層を含む少なくとも3ピースのゴルフボールである。しかしながら、実際には、この発明のゴルフボールが、非常に薄い水分バリアフィルム層を含む2つの層を有することができる実施例を想定でき、ただし、そのような実施例では、非常に薄い水分バリアフィルム層の表面特性は、ゴルフボールが、その表面に加わるクラブの大きな力に対して、割れたり、水分の侵入に対して脆弱になることなく、耐えうるものでなくてはならないという制約がある。
一実施例では、ゴルフボールは、単一のコアと単一のカバー層またはコーティング層とを含み、非常に薄い水分バリアフィルム層がコアの周りに配置され、カバーまたはコーティング層によって取り囲まれている。
別のバージョンでは、この発明のゴルフボールは、二層コア、一層カバー、および少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層を組み込んで良い。二重コアは、内側コア(センタ)とその周囲の外側コア層とを含む。この実施例では、非常に薄い水分バリアフィルム層を、内側コアおよび外側コア層の間に、または外側コア層と単一カバー層の間に、またはその両方に配置することができ、これは、内側コアおよび/または外側コア層用に選択された材料が、典型的には、水分の浸透に対して脆弱であるかどうかに依存する。
別のバージョンでは、ゴルフボールは、単一のコア層と2つのカバー層とを含み、少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層が、水分がゴルフボールの特定の内側層に浸透するのを防ぐために必要とされて配置され、すなわち、コア層と最内側のカバー層との間、または内側のカバー層と外側のカバー層との間、またはその両方に配置される。さらに別のバージョンでは、ゴルフボールは、二重コアおよび二重ルカバー(内側カバー層および外側カバー層)を含み、少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層が、水分がゴルフボールの特定の内側層に浸透するのを防ぐために必要とされて配置され、すなわち、内側コア層と外側コア層との間、外側コア層と内側カバー層との間、内側カバー層と外側カバー層との間、またはこれらの組み合わせで配置される。
さらに別の実施例において、この発明のゴルフボールは、二重コア、内側カバー層、中間カバー層、および外側カバー層を含んで良く、少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層が、必要に応じて所与の2つの層の間に配置されて、水分がそれらのうちの内側層に浸透するのを防止する。または、ゴルフボールは、最も内側のコア層(またはセンタ)、中間コア層および外側コア層を有する3層コアと、内側および外側カバー層を有する2層カバーと、少なくとも1つの水分バリアフィルム層とを有し、この水分バリアフィルム層が、当該構造中の所与の2つの層の間に配置され、ゴルフボールの特定の内側層に浸透するのを防止する。
それはそれとして、この発明のゴルフボールのコア層は、例えば、ソリッド、セミソリッド、流体充填、または空洞であって良く、また、コアはシングルピースまたはマルチピースを有して良い。コアおよびすべての中間層の全体的な直径は、しばしば、完成したボールの全体的な直径の約80パーセントから約98パーセントである。種々の材料を用いてコアを製造して良く、これは、ゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、トランスイソプレンのような熱硬化性組成物;アイオノマー樹脂、ポリアミドまたはポリエステルのような熱可塑性材料;熱可塑性および熱硬化性ポリウレタンおよびポリ尿素エラストマーを含む。1実施例において、コアは、天然またはポリブタジエンのような合成ゴム組成物から製造されたシングルピースである。他の例において、ツーピースコアが構築される。すなわち、2つのコア層がある。例えば、内側コア部分が第1のゴム材料から製造されて良く、外側コア層が、内側コアを包囲し、第2のゴム材料から製造されて良い。それぞれのコア部分は同一または異なるゴム材料から製造されて良い。架橋剤およびフィラーがゴム材料に添加されて良い。
より具体的には、ソリッドコア用の材料は、典型的には、ベースゴム、フィラー、開始剤、および架橋剤を具備する組成物を含む。ベースゴムは典型的には、天然または合成ゴム、例えば、ポリブタジエンゴムを含む。1実施例において、ベースゴムは、少なくとも40%のシス−構造を具備する1,4−ポリブタジエンである。ポリブタジエンは他のエラストマー、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよび/または他のポリブタジエンとブレンドして良い。コア中に使用して良い他の適切なゴムは、トランス−ポリブタジエンである。このポリブタジエンアイソマーは、成型サイクル中に、ポリブタジエンのシス−アイソマーをトランス−アイソマーに返還することによって形成される。ソフト・高速化剤、例えばペンタクロロチオフェノール(PCTP)またはZnPCTPがポリブタジエンにブレンドできる。これら化合物は、また、ポリブタジエン中のいくつかのシス−1,4結合をトランス−1,4結合に返還するシス−トランス触媒として機能できる。
フィラーは、比重(密度調整材料)、硬度、重量、係数、弾力性、圧縮、その他のような特性を調整するために使用されて良く、コア組成物中に添加されて良い。通常、フィラーは無機であり、適切なフィラーは、多数の金属または金属酸化物を含み、例えば酸化亜鉛および酸化スズ、ならびに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、クレイ、タングステン、炭化タングステン、シリカ、およびこれらの混合物を含む。フィラーは、種々の発泡剤またはブローイング剤、炭酸亜鉛、リグリンド(リサイクルしたコア材料であって典型的には約30メッシュ以下の粒子サイズに粉砕したもの)、高ムーニー粘度ゴムのリグリンド、その他も含んで良い。さらに、ポリマー、セラミック、金属およびガラスのマイクロ球を用いて良い。
再度言及すると、コアの硬度は、ボールの所望の特性に依存して変化して良い。
コアは、例えば、約0.09インチ〜約1.65インチの範囲の直径を有して良い。一実施例では、この発明のコアの直径は約1.2インチ〜約1.630インチである。例えば、この発明によるツーピースボールの一部である場合、コアは約1.5インチから約1.62インチの範囲の直径を有して良い。別の実施例では、コアの直径は約1.3インチ〜約1.6インチ、好ましくは約1.39インチ〜約1.6インチ、より好ましくは約1.5インチ〜約1.6インチである。さらに別の実施例では、コアは、約1.55インチ〜約1.65インチ、好ましくは約1.55インチ〜約1.60インチの直径を有する。
いくつかの実施例では、コアは、下限が0.500または0.700または0.750または0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250または1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610インチ、上限は1.620または1.630または1.640インチである。具体的な実施例では、コアは、下限が0.500または0.700または0.750または0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200インチで、上限が1.250または1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610または1.620または1.630または1.640インチの範囲内の全直径を有する多層コアである。別の具体的な実施例では、多層コアは、下限が0.500または0.700または0.750インチ、上限が0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250のまたは1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610または1.620または1.630または1.640インチの範囲内の全体直径を有する。別の具体的な実施例では、多層コアは、1.500インチまたは1.510インチまたは1.530インチまたは1.550インチまたは1.570インチまたは1.580インチまたは1.590インチまたは1.600インチまたは1.610インチまたは1.620インチの全直径を有する。
いくつかの実施例では、内側コアは、全直径が、0.500インチ以上、または0.700インチ以上、または1.00インチ以上、または1.250インチ以上、または1.350インチ以上、または1.390インチ以上、または1.450以上であり、または全直径が、0.250または0.500または0.750または1.000または1.250または1.350または1.390または1.400または1.440インチの下限で、1.460または1.490または1.500または1.550または1.580または1.600の上限の範囲内であり、または全直径が、0.250または0.300または0.350または0.400または0.500または0.550または0.600または0.650または0.700インチの下限で、0.750または0.800または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250または1.300または1.350または1.400インチの上限の範囲内である。一実施例では、内側コアは、熱硬化性ゴム組成物から形成された単一層からなる。別の実施例では、内側コアは2つの層からなり、それぞれの層は同一または異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施例では、内側コアは3つ以上の層を含み、その各々は同一または異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施例では、内側コアは、熱可塑性組成物から形成された単一層からなる。別の実施例では、内側コアは2つの層からなり、それぞれの層は同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。別の実施例では、内側コアは、3つ以上の層を含み、その各々は、同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。いくつかの実施例では、外側コア層は、0.010または0.020または0.025または0.030または0.035インチの下限および0.040または0.070または0.075または0.080または0.100または0.150インチの上限を有する範囲内の全体厚さを有して良く、また、0.025または0.050または0.100または0.150または0.160または0.170または0.200インチの下限および0.225または0.250または0.275または0.300または0.325または0.350または0.400または0.450または0.450インチを超える上限を有する範囲内の全体厚さを有して良い。代替的には、外側コア層は、0.10インチ以上、または0.20インチ以上、または0.20インチ以上、または0.30インチ以上、または0.30インチ以上、または0.35インチ以上、または0.35インチ以上の厚さを有して良く、または0.40インチ以上、または0.45インチ以上、または0.45インチ超の範囲内の厚さ、または下限が0.005または0.010または0.015または0.020または0.025または0.030または0.035の範囲内の厚さ、または0.040または0.045または0.050または0.055または0.060または0.065または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100または0.200または0.250インチであり、上限は、0.300または0.350または0.400または0.450または0.500インチである範囲内の厚さを有する。
一実施例では、外側コアは、熱硬化性ゴム組成物から形成された単一層からなる。別の実施形態では、外側コアは2つの層からなり、それぞれの層は同一または異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施形態では、外側コアは、3つ以上の層を含み、その各々は、同じまたは異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施形態では、外側コアは、熱可塑性組成物から形成された単一層からなる。別の実施形態では、外側コアは2つの層からなり、それぞれの層は同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。別の実施形態では、外側コアは3つ以上の層を含み、その各々は同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。
中間コア層は、0.005または0.010または0.015または0.020または0.025または0.030または0.035または0.040または0.045インチの下限および0.050または0.055または0.060または0.065または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100インチの上限の範囲内の全体の厚さを有して良い。一実施形態では、中間コアは、熱硬化性ゴム組成物から形成された単一層からなる。別の実施形態では、中間コアは2つの層からなり、それぞれの層は同一または異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施形態では、中間コアは、3つ以上の層を含み、その各々は、同じまたは異なる熱硬化性ゴム組成物から形成される。別の実施形態では、中間コアは、熱可塑性組成物から形成された単一層からなる。別の実施形態では、中間コアは2つの層からなり、それぞれの層は同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。別の実施形態では、中間コアは3つ以上の層を含み、その各々は同じまたは異なる熱可塑性組成物から形成される。
コアの圧縮は一般に約40〜約110の範囲内にある。他の実施形態では、125ft/sでのこの発明のコアの全体のCoRは少なくとも0.750、または少なくとも0.775または少なくとも0.780であり、または少なくとも0.785、または少なくとも0.790、または少なくとも0.795、または少なくとも0.800である。コアはまた、典型的に中間層およびカバー層にも使用される様々な他の材料を含むことが知られている。中間層は、同様に、例えば本明細書に記載されるようなコアおよびカバーに一般的に使用される材料も含んで良い。
中間層は、ゴルフボールの内側コア(またはセンタ)と外側カバーとの間に配置された任意の層を含むと考えられることがあり、したがって、いくつかの実施形態では、中間層は、外側コア層、ケーシング層、または内側カバー層を含むことができる。これに関して、この発明のゴルフボールは、1つ以上の中間層を含んで良い。中間層は、必要に応じて、多層カバーまたは多層コアで、または多層カバーと多層コアの両方で使用することができる。
1つの非限定的な実施例では、約0.010インチ〜約0.06インチの厚さを有する中間層が、約1.5インチ〜約1.59インチの範囲の直径を有するコアの周りに配置される。この実施例では、コアは、ゴム組成物のような従来のコア材料からなることができる。いくつかの実施例では、中間層は、従来のキャスト可能な熱硬化性または射出成形可能な熱可塑性材料または本明細書で論じられ、その他、当該技術分野で知られている他のカバー材料で覆われて良い。
中間層は、少なくとも部分的に、1または複数のホモポリマーまたはコポリマー材料、例えば、アイオノマー、主にまたは完全に非アイオノマー性の熱可塑性材料、ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂およびそのブレンド、オレフィン系熱可塑性ゴム、スチレンとブタジエンのブロック共重合体、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴム、コポリ(エーテル−アミド)、ポリフェニレンオキサイド樹脂またはそのブレンド、および熱可塑性ポリエステルから形成されて良い。
ゴルフボールの中間層の厚さの範囲は、中間層、すなわち外側コア層、内側カバー層、巻線層、水分バリア層としての使用の広範な可能性のために、大きい。この発明のゴルフボールに使用される場合、中間層または内側カバー層は約0.3インチまたはそれ以下の厚さを有して良い。一実施例では、中間層の厚さは約0.002インチ〜約0.1インチ、好ましくは約0.01インチ以上である。例えば、この発明による3ピースボールまたは多層ボールの一部の場合、中間層および/または内側カバー層は、約0.010インチ〜約0.06インチの範囲の厚さを有して良い。別の実施例では、中間層の厚さは、例えば約0.05インチ以下、または約0.01インチ〜約0.045インチである。
カバーは、典型的には、十分な強度、良好な性能特性、および耐久性を提供するための厚さを有する。一実施形態では、カバーの厚さは、例えば、約0.02インチ〜約0.12インチ、または約0.1インチ以下であってもよい。例えば、カバーはツーピースゴルフボールの一部であってもよく、約0.03インチ〜約0.09インチの範囲の厚さを有する。別の実施形態では、カバーの厚さは約0.05インチ以下、または約0.02インチ〜約0.05インチ、または約0.02インチ〜約0.045インチであってもよい。
カバーは、単一層、二重または多層のカバーであってよく、例えば0.010または0.020または0.025または0.030または0.040または0.045インチの下限および0.050または0.050または0.060または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100または0.150または0.200または0.300または0.500インチの上限の範囲内の全体的な厚さを有する。具体的な実施例において、カバーは、0.010または0.020または0.025インチから0.035または0.040インチまたは0.050インチまでの厚さを有する単一層であって良い。別の具体的な実施例において、カバーは、0.010または0.020または0.025インチから0.035または0.050インチの厚さを有する内側カバー層と、0.010または0.020または0.025インチから0.035または0.040インチの厚さを有する外側カバー層とから成って良い。
一実施例では、カバーは、60ショアD以上、または65ショアD以上の表面硬度を有する単一層であって良い。この実施例の具体的な態様では、カバーは、60ショアD以上、または65ショアD以上の材料硬度を有する組成物から形成される。
別の具体的な実施例では、カバーは、0.010または0.020インチから0.035または0.050インチまでの厚さを有する単一層であって良く、60または62または65ショアDから65または70または72ショアDの材料硬度を有するアイオノマー組成物から形成されて良い。
さらに別の具体的な実施例では、カバーは、0.010または0.025インチから0.035インチまたは0.040インチまでの厚さを有する単一層であり、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショアD未満の材料硬度を有する、アイオノマー、ポリウレタン、およびポリ尿素ベースの組成物から選択される熱可塑性組成物から形成される。
さらに別の具体的な実施例では、カバーは0.010または0.025インチから0.035または0.040インチまでの厚さを有する単一層であり、62ショアD以下、62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショアD未満の材料硬度を有する、熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素ベースの組成物から形成される。
別の実施例では、カバーは、アイオノマー組成物から形成された内側カバー層と、熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素ベースの組成物から形成された外側カバー層とを含んで良い。内側カバー層組成物は、60または62または65ショアDから65または70または72ショアDまでの材料硬度を有して良い。内側カバー層の厚さは、下限が0.010または0.020または0.030インチで、上限は0.035または0.040または0.050インチの範囲内であって良い。外側カバー層組成物は、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショアD未満であって良い。外側カバー層は、0.010または0.020または0.025インチの下限および0.035または0.040または0.050インチの上限を有する範囲内の厚さを有して良い。
別の実施例では、カバーはアイオノマー組成物から形成された内側カバー層と、アイオノマー、ポリウレタンおよびポリ尿素ベースの組成物から選択された熱可塑性組成物から形成された外側カバー層とを含んで良い。内側カバー層組成物は、60または62または65ショアDから65または70または72ショアDまでの材料硬度を有して良い。内側カバー層の厚さは、下限が0.010または0.020または0.030インチで、上限が0.035または0.040または0.050インチの範囲内であって良い。外側カバー層組成物は、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショア未満の材料硬度を有して良い。外側カバー層は、0.010または0.020または0.025インチの下限および0.035または0.040または0.050インチの上限の範囲内の厚さを有して良い。
さらに別の実施例において、カバーは、アイオノマー組成物から形成された内側または中間カバー層と、ポリウレタンまたはポリ尿素ベースの組成物から形成された外側カバー層とを含む二重または多層カバーである。アイオノマー層は、表面硬度が70ショアD以下、または65ショアD以下、または65ショアD未満、またはショアD硬度が50〜65、またはショアD硬度が57〜60、またはショアD硬度が58であって良く、下限が0.010または0.020または0.030インチ、上限が0.045または0.080または0.120インチの範囲内の厚さを有して良い。外側カバー層は、キャスタブルまたは反応射出成形可能なポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素のコポリマーまたはハイブリッドから形成して良い。このようなカバー材料は、熱硬化性であってもよいが、他の実施例では熱可塑性であってもよい。外側カバー層組成物は、85ショアC以下、または45ショアD以下、または40ショアD以下、または25ショアD〜40ショアD、または30ショアD〜40ショアDの材料硬度を有して良く、下限が20または30または35または40ショアDであり、上限が52または58または60または65または70または72または75ショアDの範囲内の表面硬度を有して良い。カバー層は、0.010または0.015または0.025インチの下限および0.035または0.040または0.045または0.050または0.055または0.075または0.080または0.115インチの上限を有する範囲内の厚さを有して良い。
この発明のゴルフボールは、通常組み込まれている目的のために従来のコーティング層を組み込んでもよいことが想定される。例えば、1つ以上のコーティング層は、約0.1μm〜約100μm、または約2μm〜約50μm、または約2μm〜約30μmの合計厚さを有して良い。一方、各コーティング層は、例えば、約0.1μm〜約50μm、または約0.1μm〜約25μm、または約0.1μm〜約14μm、または約2μm〜約9μmの厚さを有して良い。
熱誘導プレフォームフィルムのハーフシェルは、典型的には、熱誘導圧縮成形を用いてサブアッセンブリの周りに形成されるが、この発明のゴルフボールの他のゴルフボール層は、いくつかの実施例において、様々な塗布技術を使用して形成され得る。例えば、ゴルフボール層の少なくともいくつかは、圧縮成形、フリップ成形、射出成形、引込み式ピン射出成形、反応射出成形(RIM)、液体射出成形(LIM)、鋳造、真空成形、粉末コーティング、フローコーティング法、スピンコーティング法、浸漬法、スプレー法などを用いて形成されて良い。従来、圧縮成形および射出成形は熱可塑性材料に適用され、RIM、液体射出成形および鋳造は熱硬化性材料に適用される。
一実施例では、非常に薄い水分バリア層を、キャスティング可能な熱硬化性または射出成形可能な熱可塑性材料または以下に説明する他のカバー材料のいずれかで覆うことができる。この実施例では、コアは、例えば、約0.5インチ〜約1.64インチの直径を有し、カバー層の厚さは、約0.02インチ〜約0.12インチの範囲であって良い。
この点に関し、カバーは1つまたはそれ以上の層であっても良い。カバー材料は、ゴルフボールに耐久性、強靱性、引き裂き抵抗を付与しなければならない。例えば、ポリウレタン/ポリ尿素組成物をカバー層中に使用でき、これはカバーにソフトフィーリングとともに高耐久性を付与できるからである。他の実施例において、カバーは、エチレン、プロピレン、ブテン−1またはヘキサン−1をベースとするホモポリマーまたはコポリマーであって官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むものおよび完全にまたは部分的に中和したアイオノマー樹脂およびこれらのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化した、アミノ基を含むポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)およびこれらのコポリマーであって官能性コモノマーを含むもの、およびこれらのブレンドのようなポリマーから製造されて良い。
1実施例において、アイオノマー樹脂をカバー材料として使用して良い。これら架橋ポリマーは、共有結合とともに鎖間イオン結合を含む。アイオノマー樹脂は、例えば、エチレンと、酸基、例えばメタクリル酸またはアクリル酸とのコポリマーを含む。金属イオン、例えば、ナトリウム、リチウム、亜鉛、およびマグネシウムをポリマー中の酸基を中和するのに使用される。商業的に入手可能なアイオノマー樹脂は当業界で知られており、Surlyn(R)(DuPont)、およびEscor(R)およびIotek(Exxon)という商標の下で販売されている多数の樹脂を含む。これらアイオノマー樹脂は、種々のグレードで入手可能であり、ベース樹脂のタイプ、分子量、金属イオンのタイプ、酸の量、中和の程度、添加物、および他の特性に基づいて特定される。
適切なイオノマーの非限定的な例には、部分的に中和されたイオノマー、2つ以上の部分的に中和されたイオノマーのブレンド、高度に中和されたイオノマー、2つ以上の高度に中和されたイオノマーのブレンド、および、1つ以上の部分的に中和されたイオノマーと1つ以上の高度に中和されたイオノマーとのブレンドを含む。アイオノマーを調製する方法は周知であり、例えば、米国特許第3,264,272号に開示されており、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる。酸コポリマーは、例えば、米国特許第4,351,931号に開示されているように、全てのモノマーを同時に添加することによってポリマーが重合する直接コポリマーであってもよく、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、酸コポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2002/0013413号に開示されているように、既存のポリマー上にモノマーがグラフトされたグラフトコポリマーであってもよく、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
好適な部分的に中和された酸ポリマーの例は、これに限定されないが、E.I.Du Pont de Nemours and Companyから市販されているSurlyn(登録商標)アイオノマー;Honeywell International Incから市販されているAClyn(登録商標)イオノマー、Exxon Mobil Chemical Companyから市販されているIotek(登録商標)アイオノマーを含む。高度に中和されたイオノマー(HNP)のいくつかの適切な例は、E.I.Du Pont de Nemours and Companyから市販されている、DuPont(登録商標)HPF1000およびDuPont(登録商標)HPF2000のアイオノマー材料を含む。いくつかの実施例では、非常に低い弾性率のアイオノマー(「VLMI−」)タイプのエチレン酸ポリマー、例えば、Surlyn EI du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSurlyn(登録商標)6320、Surlyn(登録商標)8120が、HNPを形成するのに特に適している。
コア層、中間/ケーシング層、およびカバー層のいずれかまたはそれぞれは、HNP材料のブレンドなどのアイオノマーのブレンドを含むアイオノマー材料から形成されて良い。HNP、典型的にはエチレンベースのイオノマーの酸部分は、好ましくは約70%を超える、より好ましくは約90%を超える、最も好ましくは少なくとも約100%中和される。HNPは、酸基を含む場合には中和されていてもよい第2のポリマー成分とブレンドすることもできる。ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン/尿素ハイブリッド、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。メタロセン触媒ポリマー(グラフト化および非グラフト化)、単一部位ポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性イオノマーなどが挙げられる。HNPポリマーは、典型的には、約20〜約80ショアDの材料硬度、および約3,000psi〜約200,000psiの曲げ弾性率を有する。
ゴルフボール層の付加的に好適な材料は、ポリウレタン;ポリ尿素;ポリウレタンおよびポリ尿素のコポリマーおよびハイブリッド;例えば低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;アイオノマー性コポリマーの部分を構成しない、酸コポリマー、例えばポリアクリル(メタクリル)酸;プラストマー;フレクソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的に加硫したエラストマー;エチレンビニルアセテート;エチレンメチルアクリレート;ポリビニルクロライド樹脂;ポリアミド、アミド−エステルエラストマー、および、例えば、Arkema社から商業的に入手可能なPebax(商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミドを含むアイオノマーとポリアミドのグラフトコポリマー;架橋トランスポリイソプレンおよびそのブレンド;ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー、例えば、E.I.DuPont社から商業的に入手可能なHytel(商標);ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー、例えば、BASF社から商業的に入手可能なElastollan(商標);合成または天然の加硫ゴム;およびこれらの組み合わせを含む。
したがって、1実施例において、カバーはアイオノマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、およびこれらの2またはそれ以上の組合せからなるグループから選択された組成物から製造された単一層である。2番目の実施例において、カバーは、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリ尿素、または熱硬化性ポリ尿素から形成された組成物を有して良い。より具体的には、ポリ尿素組成物はカバー層として利用されて良い。他のバージョンにおいて、カバー層は重量で約10%から約90%のポリ尿素組成物、および、約90%から約10%のポリウレタン組成物からなるブレンドを有して良い。さらに他の実施例において、カバー層は重量で約10%から約90%のポリ尿素組成物、および、約90%から約10%の他のポリマーまたは他の材料、例えば、ビニル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンからなるブレンドを有して良い。
カバー層材料として使用されるとき、ポリウレタンおよびポリ尿素は熱硬化性または熱可塑性であって良い。熱硬化性材料は慣用的なキャスティングまたは射出成型手法によってゴルフボール層に形成できる。熱可塑性材料は慣用的な圧縮成型または射出成型手法によってゴルフボール層に形成できる。
使用することができるポリウレタンカバー組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つの硬化剤の反応生成物から形成できる組成物を含む。硬化剤は、例えば、1または複数のジアミン、1または複数のポリオール、またはこれらの組合せを含んで良い。当該少なくとも1つのポリイソシアネートは、1または複数のポリオールと組み合わされてプレポリマーを形成して良く、このプレポリマーはつぎに少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。そして、ここで説明されるときには、ポリオールはポリウレタンの一方または相応の成分中に使用されるのに適切であって良く、すなわち、プレポリマーの部分として、また硬化剤中に使用されて良い。硬化剤は、ポリオール硬化剤、好ましくは、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;トリメチロールプロパン;および、これらの混合物からなるグループから選択されたポリオール硬化剤を含む。
適切なポリウレタンカバー組成物は、また、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つの硬化剤の反応生成物から形成できる組成物を含む。硬化剤は、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つの硬化剤、または、少なくとも1つのイソシアネート、少なくとも1つのポリオール、および少なくとも1つの硬化剤の反応生成物との反応生成物から形成される組成物を含む。好ましいイソシアネートは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド−変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−メチルキシレンジイソシアネート、、およびこれらの組合せからなるグループから選択されたものを含む。好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびこれらの組合せからなるグループから選択されたものを含む。好ましい硬化剤は、ポリアミン硬化剤、ポリオール硬化剤、およびこれらの組合せを含む。ポリアミン硬化剤が特に好ましい。好ましいポリアミン硬化剤は、例えば、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンまたはこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンまたはこのアイソマー;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);トリメチレングリコール−ジ−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン;フェニレンジアミン;4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);およびこれらの混合物を含む。
カバー組成物は特定のポリイソシアネートの使用に制約されない。適切なポリイソシアネートは、これに限定されないが、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(”MDI”)、ポリマーMDI、カルボジイミド−変性液状MDI、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”H12MDI”)、p−フェニレンジイソシアネート(”PPDI”)、トルエンジイソシアネート(”TDI”)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(”TODI”)、イソホロンジイソシアネート(”IPDI”)、ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”)、ナフタレンジイソシアネート(”NDI”)、キシレンジイソシアネート(”XDI”)、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”p−TMXDI”)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”m−TMXDI”)、エチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(”HDI”)、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、HDIのトリイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”)、テトラセンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、アントラセンジイソシアネート、およびこれらの混合物を含む。ポリイソシアネートは、1以上のイソシアネート基、例えばジイソシアネート、トリイソシアネートおよびテトライソシアネートを有するものとして、当業者には知られている。好ましくは、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDI、およびこれらの混合物から選択される。より好ましくはポリイソシアネートはMDIを含む。ここで使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液状MDI、およびこれらの混合物を意味し、かつさらに使用したジイソシアネートが「低遊離(low free)モノマー」であることができるとは「遊離」モノマーの量が低いイソシアネート基であること、典型的には遊離モノマー基の量が約0.1%より低いことを当業者が理解すると理解すべきである。「低遊離モノマー」ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、低遊離モノマーMDI、低遊離モノマーTDI、及び低遊離モノマーPPDIである。
少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有して良い。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約8.5%より多くない、より好ましくは2.5%から8.0%、または約4.0%から7.2%、または5.0%から6.5%のNCOを有する。
カバー組成物は特定のポリオールの使用に制約されない。1実施例において、ポリオールの分子量は約200から約6000である。事例的なポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールを含む。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびこれらの混合物がとくに好ましい。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合及び置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。好ましくは、ポリオールはPTMEGを含む。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、オルト−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの混合物を含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、およびこれらの混合物を含む。炭化水素鎖は飽和または不飽和の、または置換または未置換の芳香族および環状基を有することができる。
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(”MCDEA”);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(”MDA”);m−フェニレンジアミン(”MPDA”);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(”MOCA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(”MDEA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(”MDCA”);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;及びこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びそのアイソマー、例えばバトンルージュのアルバマール社(Albermarle Corporation of Baton Rouge,LA)から入手可能なEthacure(登録商標)300である。適切なポリアミン硬化剤は第1及び第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、又はヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加することができる。適切なジオール、トリオール、及びテトラオール基は以下を含む:エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;及びこれらの混合物である。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール、及びこれらの混合物である。好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均分子量であり、当業者が理解するとおりのものである。
ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤の両者は、一又は複数の飽和、不飽和、芳香族、及び環状基を含むことができる。さらに、ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤は一又は複数のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンド又は混合物によって製造することができる。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造することができる。
当業者に知られている任意の方法を用いてポリイソシアネート、ポリオール、および硬化剤を組み合わせて良い。1つの広く採用されている手法は、当分野でワンショット法として知られ、ポリイソシアネート、ポリオール、および硬化剤を同時に混合するものである。この方法では、混合物は非均一(よりランダムである)で、結果物としての組成物の分子構造についての製造業者による制御を少なくする。混合の好ましい手法は、プレポリマー法として知られている。この方法では、ポリイソシアネートおよびポリオールを、硬化剤の添加に先立って個別に混合する。この方法ではより均一な混合が実現され、この結果、より一様なポリマー組成物が実現される。
キャスティングプロセスにおいて、ポリ尿素およびポリ尿素/ウレタン組成物は、ポリ尿素プレポリマーを、以下にさらに記載するように、単一の硬化剤または硬化剤のブレンドで鎖延長することによって形成することができる。この発明の組成物は、キャスタブル熱可塑性材料と熱硬化性材料の両方から選択することができる。熱可塑性ポリ尿素組成物は、典型的には、イソシアネートブレンドとポリアミンとを1:1の化学量論比で反応させることによって形成される。一方、熱硬化性組成物は、架橋ポリマーであり、典型的には、イソシアネートブレンドとポリアミンとの反応物(通常、化学量論比で1.05:1)から製造される。一般に、熱硬化性ポリ尿素組成物は、熱可塑性ポリ尿素よりも調製が容易である。
適切なポリウレタンは、さらに、例えば、米国特許第5,334,673号、同第6,506,851号、同第6,756,436号、同第6,867,279号、同第6,960,630号、および同第7,105,623号に開示され、その内容は参照してここに組み入れる。適切なポリ尿素は、さらに、米国特許第5,484,870号、および同第6,835,794号、ならびに米国特許第60/401,047号に開示され、その内容は参照してここに組み入れる。適切なポリウレタン−尿素カバー材料は、ウレタンおよび尿素セグメントを有するポリウレタン/ポリ尿素ブレンドおよびコポリマーを含み、これらは米国特許出願公開第2007/0117923号に開示され、その内容は参照してここに組み入れる。
射出成形を用いてゴルフボール層を形成する場合、層組成物は、典型的には、射出成形機のスロートに容易に供給できるペレット化または顆粒化された形態であり、約150°Fの温度から約600°F、好ましくは約200°Fから約500°Fで加熱されたバレル中のスクリューによって溶融され、搬送される。溶融組成物は、最終的に周囲温度または高温で冷却されてよい閉じた金型キャビティに射出されるが、典型的には金型は約50°Fから約70°Fの温度に冷却される。1秒〜300秒、好ましくは20秒〜120秒の時間閉じた型に入れた後、コアおよび/またはコアと1つ以上の追加のコアまたはカバー層とを型から取り出し、周囲温度または低温で冷却するか、または水、氷水、溶媒中のドライアイスなどのような冷却流体中に置かれる。
キャスタブル反応性液体ポリウレタンおよびポリ尿素材料は、キャスティング、射出成形スプレー、圧縮成形、浸漬、スピンコーティング、または当技術分野で周知のフローコーティング法などの様々な塗布技術を用いて、内側ボール上に塗布することができる。一実施例では、キャスティング可能な反応性ポリウレタンおよびポリ尿素材料は、キャスティングおよび圧縮成形の組み合わせを用いてコア上に形成される。従来、圧縮成形および射出成形は熱可塑性カバー材料に適用され、RIM、液体射出成形およびキャスティングは熱硬化性カバー材料に用いられている。
米国特許第5,733,428号は、ゴルフボールコア上にポリウレタンカバーを形成する方法を開示しており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、鋳型の熱硬化性材料と熱可塑性材料の双方をゴルフボールカバーとして使用することに関するものであり、ここでは、材料を金型半体内に混合して案内することにより、カバーをコアの周りに形成するので、ポリ尿素組成物も同一のキャスティングプロセスを採用して良い。
例えば、ポリ尿素組成物が一旦混合されると、発熱反応が開始し、これが、材料がコア周囲で凝固するまで続く。粘度を経時的に測定することが重要であり、これによって、各金型半体への充填、一方の金型半体へのコアの案内、金型の閉操作の後続ステップが、適宜な時間で処理されて、コアの芯出し、カバー半体の溶融が達成されて全体的な単一性が実現される。金型にコアを導入するための硬化尿素混合物の適切な粘度範囲は、約2,000cP〜約30,000cPの間、または約8,000cP〜約15,000cPの範囲内であると判別されている。
カバー形成を開始するために、プレポリマーおよび硬化剤の混合は、計量した量の硬化剤およびプレポリマーをラインを通じて供給することにより、混合ヘッド内の電動ミキサー内で達成される。頂部の予熱された金型半体は、各金型の開口部に移動するセンタリングピンを用いて充填され、固定具ユニット内に配置される。後で、底部金型半体のキャビティまたは一連の底部金型半体のキャビティは、頂部金型半体に使用されるのと同様の混合量で充填される。反応物質が約40〜約100秒間、好ましくは約70〜約80秒間、頂部金型半体に留まった後、コアが制御された速度でゲル化反応混合物中に降下される。
ボールカップは、減圧(または部分真空)によってシェルを保持する。約4〜約12秒間ゲル化させた後に金型の半体にコアを配置すると、真空が解除され、コアが解放される。一実施例では、約5秒〜10秒後にコアが解放されるように真空が解放される。金型半体は、その上のコアおよび硬化されたカバー半体とともに、芯出し固定ユニットから外され、反転されて、第2の金型半体と係合させられ、この第2の金型半体では、適切な時間だけ早い時期に、選択された量の反応性ポリ尿素プレポリマーおよび硬化剤が導入され、ゲル化が開始されている。
同様に、米国特許第5,006,297号および米国特許第5,334,673号は、両方とも、この発明で使用されるキャスタブル反応性液体を適用するために利用できる適切な成形技術を開示している。
しかし、非常に薄い水分バリア層以外のこの発明のゴルフボールの層は、当業者に公知の技術によって製造することができることが想定される。
カバー組成物は、1または複数のフィラー、例えば、例えば、着色剤、蛍光剤、白色剤、酸化防止剤、分散剤、UV吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤、相溶化剤、発泡剤、強化剤、離型剤等を含んで良い。
いくつかの適切なカバー材料および構造も、これに限定されないが、米国特許出願公開第2005/0164810号、米国特許第5,919,100号、同第6,117,025号、同第6,767,940号、および同第6,960,630号、並びにPCT公開WO00/23519および同WO00/29129に開示されたものも含んで良く、これらの内容は参照してここに組み入れる。
この発明のゴルフボールは単一、二重、またはマルチ層のカバーを有して良く、好ましくは、総合厚さは下限が0.010、または0.020、または0.025、または0,030、または0.040、または0.045インチで、上限が0.050、または0.060、または0.070、または0.075、または0.080、または0.090、または0.100、または0.150、または0.200、または0.300、または0.500インチの範囲内である。1実施例において、カバーは、厚さが0.025インチから0.035インチの単一層である。また、カバーの硬度は所望の競技特性に依存して目標付けして良い。一般的な法則として、ボールが比較的ソフトなカバーを具備するときには、ボールの初期スピンレートは比較的大きくなり、ボールが比較的硬いカバーを具備するときには、ボールの初期スピンレートは比較的小さい。
この発明においては、「圧縮」は、Atti圧縮テスト装置を用いて既知の手順に従って測定され、ここでは、ボールをバネに抗して圧縮するのにピストンを用いる。ピストンの移動を固定して、スプリングの偏位を測定する。スプリングの偏位の測定はボールと接触しても始まらない。そうでなくて、スプリングの変位の最初のほぼ1.25mm(0.05インチ)がオフセットである。非常に剛性が小さなコアはスプリングを1.25mmより多く撓まさず、ゼロのAtti圧縮が測定される。Atti圧縮テスタは1.68インチの径の物体を測定するように設計されているので、コアの圧縮をこれらテスタで測定するためには、コアは隙間を埋めて1.68インチの総合高さとなるようにしなければならない。Atti圧縮からRiehle圧縮(コア)、Riehle(ボール)、100kg偏位、130−10kg偏位または有効モヂュラスへの変換は、J. Dolton中に与えられた式に従って実行できる。
この発明のゴルフボールにおいて、反発係数すなわちCoRは既知の手順に従って決定され、この手順では、ゴルフボールまたはゴルフボール部分組立体(例えばゴルフボールコア)が空気砲から2つの所定の速度で打ち出され、125ft/sの速度でのCoRを計算することにより決定される。複数の弾道光スクリーンがボール速度を測定するために固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。ボールがスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、ボールの入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。ボールはスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、ボールの飛び出し速度に反比例した飛び出し移行時間が得られる。CoRは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、CoR=Vout/Vin=Tin/Toutとして計算される。CoR値は、例えば、コアの過酸化物および酸化防止剤のタイプおよび量、並びに硬化温度および時間によって、目標に近づけることができる。
ゴルフボール層の外側表面の硬度は、当該層の実際の外側表面上で測定され、対面する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。曲面ゆえに、表面硬度が読み取られる前にゴルフボールまたはゴルフボールアッセンブリをデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように配慮する必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータを硬度測定に用いる。デジタルデュロメータはその脚部を平行にして自動スタンドの基部に取り付け、デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。「材料硬度」および「ゴルフボール上で直接測定される硬度」の間には基本的な相違があることに留意されたい。この発明の説明の範囲では、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。「材料硬度」と「ゴルフボールの表面で直接に測定した硬度」とは、基本的に異なることを理解されたい。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような硬度は、典型的には材料硬度と異なる硬度値をもたらす。硬度値におけるこの相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のようないくつかの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。
所望の競技特性またはフィーリングを目標化し実現するために組み入れて調整されるのに適した、その他の材料の例は、可塑化された熱可塑性樹脂、ポリアルケナマー組成物、可塑剤を含有するポリエステル系熱可塑性エラストマー、透明または可塑化ポリアミド、チオレン組成物、ポリアミドおよび無水物変性ポリオレフィン、有機酸変性ポリマー等を含む。
この発明のゴルフボールは、70〜95g・cm2、好ましくは75〜93g・cm2、より好ましくは76〜90g・cm2の慣性モーメント(「MOI」)を有することが好ましい。低いMOIの実施例の場合、ゴルフボールは、85g・cm2以下、または83g・cm2以下のMOIを有することが好ましい。高いMOIの実施形態では、ゴルフボールは、86g・cm2以上、または87g・cm2以上のMOIを有することが好ましい。MOIは、コネチカット州コリンズビルのInertia Dynamicsによって製造されたモデルMOI−005−104慣性モーメント測定器で測定される。この機器はCOMMポートを介して通信するためにPCに接続されており、MOI計測ソフトウェアバージョン#1.2によって駆動される。
本明細書の熱硬化性および熱可塑性層は、正または負の硬度勾配を生じるように処理することができる。熱硬化性ゴムが使用されるこの発明のゴルフボール層では、勾配生成方法および/または勾配生成ゴム配合物を使用することができる。勾配生成プロセスおよび調合は、例えば、2008年3月14日に出願された米国特許出願第12/048,665号;2007年7月27日に出願された米国特許出願第11/829,461号;2007年7月3日に出願された米国特許出願第11/772,903号、2007年8月1日に出願された米国特許出願第11/832,163号、2007年8月1日に出願された米国特許出願第11/832,197号に十分に開示され;これらの参考文献の各々の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
ここで説明し図説する、熱形成された第1および第2の熱誘導プレフォームハーフシェルの少なくとも1つの非常に薄い水分バリアフィルム層を組み込んだこの発明のゴルフボールは、この発明の多くの実施例のうちのいくつかしか提示していないことに留意されたい。この発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、そのようなゴルフボールに種々の変更や付加をなすことができることは当業者に容易に理解されるところである。そのような実施例は添付の特許請求の範囲によってカバーされることを意図されている。
この発明のゴルフボール中は印を組み込んで良いことに留意されたい。用語「印」はシンボル、文字、文字グループ、デザイン、またはその他、ゴルフボールの表面の層に負荷できるものを意味すると理解されたい。
この発明のゴルフボールは、典型的には、60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上のディンプル被覆率を有する。任意の既知のディンプルパターンを、任意形状または任意サイズの任意数のディンプルで、採用して良い。例えば、ディンプルの数は252から456、または330から392であって良く、任意の幅、深さ、エッジ角度であって良い。上記パターンの分離線構造は、直線でも千鳥足の波状線(SWPL)であっても良い。
これら実施例のいずれにおいても、単一層コアは2または複数の層のコアに置換されて良く、ここでは少なくとも1つのコア層が硬度勾配を有する。
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
この発明のゴルフボールは具体的な手段および材料との関係で説明されたけれども、この発明はここで開示された詳細に限定されず、特許請求の範囲内ですべての均等物に及ぶことを留意されたい。
この発明のゴルフボールは具体的な手段および材料との関係で説明されたけれども、この発明はここで開示された詳細に限定されず、特許請求の範囲内ですべての均等物に及ぶことを留意されたい。
以下、ここで説明した技術的特徴を列挙する。
[技術的特徴1]
ゴルフボールにおいて、
サブアッセンブリと、
0.020インチ以下の連続的かつ実質的に均一な厚さを有し、第1および第2の熱誘導プレフォームハーフシェルを有する水分バリア層であって、正規化水蒸気透過率、nMVTRが4.0g/m 2 ・日)以下である、上記水分バリアフィルム層と、
上記水分バリア層の周りに配置され、nMVTRが上記水分バリア層のnMVTRより大きな少なくとも1つの外側層とを有することを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴2]
上記水分バリアフィルム層が0.003インチ(0.0076cm)から0.020インチ(0.0508cm)の厚さを有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。
[技術的特徴3]
上記水分バリア層が、0.0035インチ(0.00889cm)から0.010インチ(0.0254cm)の厚さを有する技術的特徴2に記載のゴルフボール。
[技術的特徴4]
上記水分バリア層が、0.5g/(m 2 ・day)から4.0g/(m 2 ・day)のnMVTRを有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。
[技術的特徴5]
上記水分バリアフィルム層は、0.8g/(m 2 ・day)から4.0g/(m 2 ・day)のnMVTRを有することを特徴とする技術的特徴4に記載のゴルフボール。
[技術的特徴6]
上記水分バリア層が、5つのフィルム層を有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。
層。
[技術的特徴7]
第2のフィルム層および第4のフィルム層がタイ層であり、第3のフィルム層が第2のフィルム層および第4のフィルム層の間に配置され、水分バリア組成物を有する技術的特徴6に記載のゴルフボール。
[技術的特徴8]
第1のフィルム層が低密度ポリエチレンを有し、上記第2のフィルム層はエチレン酢酸ビニル組成物を有し、上記第3のフィルム層はポリ塩化ビニリデン組成物を有し、上記第4のフィルム層はエチレン酢酸ビニル組成物を有し、第5のフィルム層は低密度ポリエチレン組成物を有する技術的特徴7に記載のゴルフボール。
[技術的特徴9]
上記第2のフィルム層は、上記第4のフィルム層の厚さと実質的に同じ厚さを有し、上記第1のフィルム層、上記第3のフィルム層および上記第5のフィルム層のそれぞれは、上記第2のフィルム層および上記第4のフィルム層の厚さより大きな厚さを有する技術的特徴7記載のゴルフボール。
[技術的特徴10]
上記5つのフィルム層が実質的に同様の厚さを有する技術的特徴6に記載のゴルフボール。
[技術的特徴11]
上記水分バリア層は、上記サブアッセンブリの周りにコンフォーマルかつ接着的に嵌合するような大きさ、形状、および輪郭を有する内側表面を有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。
[技術的特徴12]
上記第1および第2ハーフシェルは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。
[技術的特徴13]
上記第1および第2のハーフシェルがポリエチレンアイオノマーコポリマーを有する技術的特徴1に記載のゴルフボール。