JP2005185851A - 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール - Google Patents
注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005185851A JP2005185851A JP2005021234A JP2005021234A JP2005185851A JP 2005185851 A JP2005185851 A JP 2005185851A JP 2005021234 A JP2005021234 A JP 2005021234A JP 2005021234 A JP2005021234 A JP 2005021234A JP 2005185851 A JP2005185851 A JP 2005185851A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- golf ball
- polybutadiene
- trans
- center
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】スイング速度が遅いプレーヤの飛距離を増大することが出来るゴルフボールを提供する。
【解決手段】ポリブタジエンを含んだ材料から形成されると共に、高レジリエンスを有したセンター12と、ポリウレタンを含んだ材料から形成された少なくとも1つのカバー層14と、センター12と、カバー14との間に、ピンと張った材料巻き糸から成る少なくとも1つの糸巻き層30とを含んだゴルフボール10を形成する。ポリウレタン配合物は、少なくとも1つのポリイソシアネートとポリオールとのプレポリマーと、ジアミン硬化剤との反応生成物から形成される。ポリブタジエン配合物は、レジリエンス指数が約40を超えると共に、重量平均分子量が約200,000を超えるブタジエンポリマーを含む。
【選択図】図1
【解決手段】ポリブタジエンを含んだ材料から形成されると共に、高レジリエンスを有したセンター12と、ポリウレタンを含んだ材料から形成された少なくとも1つのカバー層14と、センター12と、カバー14との間に、ピンと張った材料巻き糸から成る少なくとも1つの糸巻き層30とを含んだゴルフボール10を形成する。ポリウレタン配合物は、少なくとも1つのポリイソシアネートとポリオールとのプレポリマーと、ジアミン硬化剤との反応生成物から形成される。ポリブタジエン配合物は、レジリエンス指数が約40を超えると共に、重量平均分子量が約200,000を超えるブタジエンポリマーを含む。
【選択図】図1
Description
本出願は、2000年7月25日に出願され、現在係属中である、出願番号第09/625,544号の一部継続出願であり、該一部継続出願は、1998年12月9日に出願され、現在は米国特許第6,132,342号である出願番号第09/207,690号の継続出願であり、該継続出願は、1997年5月27日に出願され、現在米国特許第5,885,172号である出願番号第08/863,788号の分割出願である。
本発明は、全体として、ゴルフボールに関し、より詳細には、少なくともセンタ、カバー及び、該センター及びカバーの間に配置されると共に、少なくとも1本の糸を有した糸巻き層を有した糸巻きゴルフボールに関する。前記カバーは、ポリウレタン配合物を含んだポリマーブレンドから形成することができると共に、前記コアは、ポリブタジエン配合物を含むことができる。本発明のゴルフボールでは、速度が改善されると共に、高レジリエンスがもたらされて、スイング速度が遅いプレーヤーの飛距離を増大することができる。
従来のゴルフボールは、2つに大別することができる。即ち、中実ボールまたは糸巻きボールである。これらの異なるタイプの構造がもたらすプレー特性面での相違はかなり大きい。中実構造のボールは、距離を最大に伸ばせる一方で非常に耐久性があることからゴルファーに人気がある。中実ボールは、一般的には、架橋したゴムから通常形成される中実コアをカバー材料で囲繞して形成される。斯かる中実コアは、ポリブタジエンから形成するのが典型的であり、斯かるポリブタジエンは、ジアクリレート酸亜鉛及び/または同様の架橋剤と化学的に架橋される。ワンピースの中実コアに加えて、中実コアは、2重コアゴルフボール等のように多数の外側層含むことが可能である。カバーは、一般的には、SURLYN(登録商標)等のイオノマー材料であり、該SURLYNは、デラウェア州、ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ネモーズ社(E.I.DuPont De Nemours & Co.of Wilmington,DE)が製造するイオノマー樹脂系の商標である。カバーは、単層であるのが典型的であるが、内側カバー層及び外側カバー層を有した2重カバー等のように1つ以上の層を含むことも可能である。
中実コアとイオノマーカバー材料との組合せにより、耐久性があり且つ耐磨耗性のあるボールが提供される。更に、斯かる組合せによりボールの初期速度が高くなり、これにより距離が伸びることとなる。しかしながら、これらの材料は、非常に堅牢であるから、中実ボールは、クラブで打った時の「フィール」が硬いものとなる。同様に、その構造から、スピン速度が比較的遅くなる傾向があり、距離が伸びると共に、ティーオフの精度が高くなる。
現在、糸巻きゴルフボールの構造がもたらすスピン及びフィールで糸巻きボールを好むゴルファーがいる。糸巻きボールは、球状中実のゴムセンターまたは液体センターを有し、その周りにピンと張った幾ヤードに及びエラストマーの糸が巻きつけられる。糸巻きコアは、次いで、SURLYN(登録商標)または同様の材料等の耐久性のあるカバー材料またはバラタまたはポリウレタン等の柔らかなカバー材料で覆われる。糸巻きボールは、一般的には、柔らかで、スピンが多くなり、これにより熟練したゴルファーは、ボールの飛距離及び着地位置を更にコントロールすることができるようになる。特に、グリーンへのアプローチショットでは、柔らかな糸巻きボールの高スピン速度によりゴルファーが着地位置の近傍に該ボールを止めることが可能となる。
糸巻きゴルフボールを製造するには、製造業者は、糸巻き工程中に糸巻き機を使用して不必要に弾性糸を破損することなく該糸を様々な伸びの度合いに伸長することができる。一般的には、伸び及び糸巻き張力が増大するに連れてボールの圧縮及び初期速度が増大する。従って、より弾性のある糸巻きボールが作られ、これが、望ましい。
糸巻きゴルフボールの糸は、押し出し方法よりは、カレンダー及びスリット方法で形成するのが典型的である。カレンダーした糸は、矩形の断面を有するのが典型的であり、一方、押し出しした糸は、円形の断面を有するのが一般的である。
ゴルフボールに使用する多数の異なる巻き糸が開示されている。クロッペンバーグ(Kloppenburg)等の米国特許第4,473,229号は、グラファイトファイバーで形成したコア及びグラファイトフィラメント及び樹脂で形成した巻き糸を有したゴルフボールを開示する。糸即ちヨーン(yarns)は、グラファイトフィラメント及び樹脂で形成され、4本以上の数のヨーンを結合して巻き糸に使用する最終のヨーンを形成する。アオヤマ(Aoyama)の米国特許第5,713,801号は、コアの周りに巻きつけた高引張弾性率ファイバーから成る層の使用を開示する。斯かるファイバーの引張弾性率は、少なくとも10,000ksi(10,000,000psi)である。また、ハマダ(Hamada)等の米国特許第5,816,939号は、引張強さの残率が少なくとも70%であり、ヒステリシス損が50%以下であり、且つ、伸び率が900乃至1400%の巻き糸用ゴム糸即ちスレッド(thread)を開示する。
従来の技術の糸巻きゴルフボール及びコアは、ポリイソプレンゴムのスレッドを使用して、500乃至1000%の伸び率でコアの周りに巻きつけるのが典型的である。1つのゴルフボールに必要とされるスレッドの量は、そのスレッドの伸ばした状態での弾性率により決まる。伸ばしたポリイソプレンのスレッドの弾性率は、10,000psi乃至20,000psiであるのが一般的である。更に、糸巻きボールまたはコアの特定のレジリエンスにおける特性は、糸巻き中にスレッドをどれ程詰めて巻きつけるかにより決まる。スレッドの寸法及び糸巻きのパターンにより詰め込み密度が制御される。現在の技術のポリイソプレンスレッドは、巻きつけ前に測定しもので、少なくとも幅が0.15875cm(16分の1インチ)、厚さが0.0508cm(0.02インチ)であるのが典型的である。しかしながら、現在の技術のポリイソプレンスレッドは、一般的には、厚さが0.03556cm乃至0.06096cm(0.024インチ)に製造される。
米国特許第6,149,535号は、最大径が約0.0254cm(0.01インチ)である少なくとも約10本のストランド(strands)を有した巻き糸用のスレッドを開示する。好適には、径が約0.00508cm(0.002インチ)未満の26本以上のストランドから成る。スレッドの径が小さくなると巻きつけ密度が高くなる。好適には、スレッドの弾性率は、センターに巻きつけた状態で、20ksiを超える。スレッドの最大伸び率は、約8%を超えるのが好適である。
様々なゴルフボールが製造業者により考案されて、圧縮、速度、「フィール」及びスピン等の広範なプレー特性が提供される。イオノマーに加えて、最も一般的に使用されるポリマーの1つは、ポリブタジエンであり、もっと特定すれば、高シス−イオノマー濃度を有したポリブタジエンである。
高シス−濃度のポリブタジエンを使用すると、特に硬いカバー材料と組み合わせると、非常に弾性のある堅牢なゴルフボールができる。これらの高弾性ゴルフボールは、クラブで打った時の「フィール」は比較的硬いものとなる。しかしながら、高シス−ポリブタジエンで構成した柔らかな「フィール」のゴルフボールも製造することが可能であり、レジリエンスが低くなる傾向がある。改良したゴルフボールを提供しようとする努力で、様々なその他のポリブタジエン配合が調整されてきており、下記に説明する。
米国特許第3,239,228号は、高硫黄含有量のポリブタジエンゴムで成型したコア及びカバーを有した中実ゴルフボールを開示する。斯かるコアのポリブタジエン含有量は、シス−1,4−ポリブタジエンが25乃至100パーセント及びトランス−1,4−ポリブタジエンが0乃至65パーセント、残りがビニル構成のポリブタジエンと成る構成に立体制御される。ポリブタジエンゴルフボールコアの好適な実施例は、35パーセントのシス−ポリブタジエン、52パーセントのトランス−ポリブタジエン及び13パーセントのビニル−ポリブタジエンを含む。トランス−およびビニル−含有量のレベルは、ポリマーブレンドの全体的なプレー特性には重要でないと開示されている。
英国特許第1,168,6069号は、改良されたゴルフボールコアを成型すると共に、基本的なポリマー成分としてシス−ポリブタジエンを含んだ成型用配合物を開示する。斯かるコアポリマー成分は、少なくとも60パーセントのシス−ポリブタジエンを含み、残りがトランス−またはビニル−形態のポリブタジエンであるのが典型的である。好適な実施例では、コアポリブタジエン成分は、90パーセントのシス−構成を含み、残りの10パーセントは、トランス−構成またはビニル−構成のポリブタジエンである。
米国特許第3,572,721号および3,572,722号は、中実な、ワンピースまたはツーピースゴルフボールを開示し、ツーピースボールは、コアとカバーを有する。カバー材料は、多数の材料またはそれらのブレンドのうちの任意のものを含むことができ、斯かる材料またはブレンドは、当業者に公知であり、トランス−ポリブタジエンを含み、該ポリブタジエンは、少なくとも90パーセントからの量で存在し、残りはシス−及び/またはビニル−構成である。
英国特許第1,209,032号は、コア及びカバーを有したツーピースまたはスリーピースゴルフボールを開示する。カバーまたはカバー材料は、架橋可能な任意の材料とすることができる。特に、斯かる材料は、ブタジエンまたはイソプレンのポリマーまたはコーポリマーである。斯かるポリマー成分は、シス−含有量が50重量パーセントを超えるポリブタジエンであるのが好適である。
米国特許第3,992,014号は、ワンピースの中実ゴルフボールを開示する。ゴルフボール材料は、ポリブタジエンであるのが典型的であり、シス−ポリブタジエンが少なくとも60パーセントとなるように選択された立体構成を有し、残りの40パーセントは、トランス−ポリブタジエン及び/または1,2−ポリブタジエン(ビニル)異性体である。
米国特許第4,692,497号は、ポリブタジエンを含んだジエンポリマー及びα,βエチレン(α,βethylenically)不飽和酸の金属塩を少なくとも2つの遊離基開始剤を使用して硬化させることにより形成されたゴルフボール及びその材料を開示する。
米国特許第4,931,376号は、ゴルフボールカバー材料を含んだ様々な用途に使用するブタジエンポリマーの製造方法を開示する。斯かる発明の1実施例では、少なくとも30重量パーセントのトランス−ポリブタジエンポリマーを含んだブレンドしたポリマー樹脂材料がツーピースボールのゴルフボールカバーとして開示される。好適な実施例では、ゴルフボールカバー材料は、30乃至90重量パーセントのトランス−ポリブタジエンポリマーを含んだブレンドを含む。
米国特許第4,971,329号は、シス−1,4ポリブタジエン及び1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、無機充填剤及び遊離基開始剤から成るポリブタジエン混合物から形成した中実ゴルフボールを開示する。斯かる混合物は、約99.5乃至約95重量パーセントのシス−1,4ポリブタジエン及び約0.5乃至約5重量パーセントの1,2ポリブタジエンを有する。
米国特許第5,252,652号は、飛行特性が改良されたワンピースまたは多層ゴルフボールコアを開示し、斯かるコアは、ゴム配合部から形成され、斯かる配合物は、ベースゴムであって、好適には、シス−含有量が少なくとも40モルパーセントの1,4−ポリブタジエン、不飽和カルボン酸金属塩、有機過酸化物、及び有機硫黄コンパウンド及び/またはそれらの金属塩から成る。斯かる有機硫黄コンパウンド及び/または金属塩は、総ポリマー成分100部に対して約0.05乃至2重量部の量で存在するのが典型的であり、且つ、前記有機過酸化物は、総ポリマー成分100部に対して約0.5乃至3重量部の量で存在するのが典型的である。
欧州特許第0577058号は、コア及びカバーを含んだゴルフボールを開示し、前記カバーは、2つの別個の層として形成される。カバーの内側層は、コアの上に成型されると共に、イオノマー樹脂から形成される。カバーの外側層は、内側層の上に成型されると共に、天然または合成バラタのブレンド及びポリブタジエン等の架橋可能なエラストマーのブレンドから形成される。カバーの外側層の1実施例では、エラストマーは、少なくとも40パーセントのシス−構造を有した1,4−ポリブタジエンであり、残りの60パーセントは、トランス−異性体である。好適な実施例では、少なくとも90パーセントのシス−構造を含み、より好適には、少なくとも95パーセントのシス−構造を含む。
米国特許第5,421,580号は、センターバッグ内に含まれる液体センター、該液体センター上に形成されたゴムスレッド層及びスレッドを巻きつけた層及び前記液体センター上のカバーを有した糸巻きゴルフボールを開示する。斯かるカバー材料は、当業者に公知のトランス−ポリブタジエン及び/または1,2−ポリブタジエン(ビニル)を含んだ多数の材料またはそれらのブレンドの中の任意のものとし、斯かるカバーが、JIS−Cの硬度で70乃至85と成るようにすることができ、好適なトランス−のパーセントは開示されていない。
米国特許第5,697,856号は、コア及びカバーを有した中実ゴルフボールであって、該コアが、加硫前のシス−ポリブタジエン構造の含有量が90パーセント以上のブタジエンゴムを含んだベースゴム配合物を加硫することで生成される中実ゴルフボールを開示する。加硫後のトランス−ポリブタジエン構造の量は10乃至30パーセントであり、30パーセントを超えると、レジリエンス性能が低下した柔らか過ぎるコアが出来てしまい好ましくなく、且つ、ゴルフボール性能を低下させると言われている。斯かるコアは、加硫剤、充填剤、有機過酸化物及び有機硫黄(organosulfur)を含む。
英国特許第2,321,021号は、コア及び該コア上に形成されると共に、内側層及び外側層の2層カバー構造を有したカバーを有した中実ゴルフボールを開示する。外側カバー層はゴム複合材料から成り、該ゴム複合材料は、0.05乃至5重量部の有機スルフィドコンパウンドを含む。コアゴム配合物は、ベースゴム、架橋剤、ヘテロ架橋剤、有機スルフィド及び充填剤から成り、前記ベースゴムは、シス−含有量が少なくとも40重量パーセントである1,4−ポリブタジエンであるのが好適である。架橋剤は、有機過酸化物であって、0.3乃至5重量部の量で存在するのが典型的であり、ヘテロ架橋剤は、不飽和脂肪酸の金属塩であって、10乃至40重量部の量で存在するのが典型的である。有機スルフィドコンパウンドは、0.05乃至5重量部存在するのが典型的である。
米国特許第5,816,944号は、コア及びカバーを有した中実ゴルフボールであって、コアが50乃至80のJIS−C硬度を有し、カバーが50乃至60のショア−D硬度を有する。コア材料は、架橋剤を備えたシス−ポリブタジエン等の加硫ゴム、有機過酸化物、有機硫黄コンパウンド及び/または金属を含有した有機硫黄コンパウンド、及び充填剤を含む。
更に、従来のポリマーは、高パーセントのファイアストーン社(Firestone Corp.)が製造するDIENE35NF等のトランス−ポリブタジエン配座を有し、斯かる配座は、40パーセントのシス−異性体及び50パーセントのトランス−ポリブタジエン異性体、及びシェル社(Shell Corporation)のCARIFLEX BR1220及びアサヒケミカル社(Asahi Chemical Co.)のFUREN88等の高シス−及び高トランス−ポリブタジエン異性体の混合物を有し、高レジリエンス値を生まないのが典型的であり、従って、望ましいものではない。
ゴルフボール層及び/またはカバーの特性を改質するのに製造者等が使用する最も一般的なポリマーは、デラウエア州、ウィルミントンのE.I.デュポン/ドゥ・ネモーズ社から市販されているSYRLYN等のイオノマーであった。しかしながら、近年製造者等はポリウレタン等の代替のポリマーの使用を調査している。例えば、米国特許第3,147,324号は、ポリウレタンカバーを有したゴルフボールの製造方法に関したものである。
ポリウレタンは、約1960年以来ゴルフボールカバーには有益な材料として認識されてきた。ポリウレタン配合物は、硬化剤及びポリウレタンプレポリマーの反応の生成物であり、ポリウレタンプレポリマー自体、ポリオール及びジイソシアネートの反応生成物である。以前使用された硬化剤は、ジアミンまたはグリコールであるのが典型的である。触媒をしばしば使用して硬化剤とポリウレタンプレポリマーの反応を促進する。
1960年以来、様々な会社がゴルフボールカバー材料としてのポリウレタンの有益性を調査してきた。米国特許第4,123,061号は、ポリエーテルのポリウレタンプレポリマー及び三官能価ポリオール、四官能価ポリオールまたはジアミン等の硬化剤から形成されたゴルフボールを教示する。米国特許第5,334,673号は、市販されている2つのカテゴリーのポリウレタン、即ち、熱硬化性及び熱可塑性ポリウレタンを使用してゴルフボールカバー及び、特に、熱硬化性ポリウレタンでカバーしたゴルフボールの形成を開示しており、前記熱硬化性ポリウレタンでカバーしたゴルフボールは、ポリウレタンプレポリマー及び遅反応アミン硬化剤、及び/または二官能価グリコールの配合物から形成される。最初に市販されて成功したポリウレタンでカバーしたゴルフボールは、1993年に最初に発売されたTitleist(登録商標)Professional(登録商標)であった。
SURLYN(登録商標)またはその他のイオノマーでカバーしたゴルフボールとは違い、ポリウレタンゴルフボールカバーは、バラタでカバーしたゴルフボールのより柔らかい「フィール」を持つように配合することができる。しかしながら、ポリウレタンから形成された従来のゴルフボールカバーは、レジリエンスまたは部分的にはゴルフクラブで打った後のゴルフボールの初速度の関数であるリバウンドについてはSURLYN(登録商標)でカバーしたゴルフボールに完全に匹敵していなかった。
米国特許第3,989,568号は、1つまたは2つのポリウレタンプレポリマー及び1つまたは2つのポリオールか、または、反応の速いジアミン硬化剤を使用した3成分系を開示する。斯かる系に選択した反応体は、2つ以上の競合する反応において異なる反応速度を有しなければならない。
米国特許第4,123,061号は、ポリウレタンプレポリマー及び硬化剤から形成されたゴルフボールを開示し、前記硬化剤は、三官能価ポリオール、四官能価ポリオールまたは反応の速いジアミン硬化剤等である。
米国特許第5,334,673号は、ポリウレタンプレポリマー及び反応の遅いポリアミン硬化剤及び/または二官能価グリコールの配合物から形成される。結果として生じるゴルフボールの耐せん断性及び耐切断性は、バルタまたはSURLYN(登録商標)から形成されたカバーに比較して改良されていることが判明している。
米国特許第5,692,974号は、カチオンイオノマーをゴルフボールカバー配合物中に使用する方法を開示する。更に、該特許は、ウレタンイオノマーを内包したカバー及びコアを有したゴルフボールに関する。イオン相互作用を含むt−ブチル−クロライド等のアルキル化剤をポリウレタンに添加してカチオンタイプのイオノマーを生成することでレジリエンス及び初速度を改善することができる。
国際特許出願第WO98/37929号は、ゴルフボールカバー用の配合物を開示し、斯かる配合物は、ジイソシアネート/ポリオールプレポリマー及び硬化剤から成り、前記硬化剤は、反応の遅いジアミン及び反応の速いジアミンのブレンドから成る。「フィール」、プレー性及び耐久性が改善されている。
従って、低圧縮、即ち、柔らかい一方でレジリエンスが従来のゴルフボールと同等かまたはそれ以上のゴルフボールを作製することが望まれている。或いは、従来以上のレジリエンスを達成する一方で圧縮が従来のものと同等またはそれ以下となるようにすることが望まれている。
本発明のゴルフボールは、センター、カバー層、及び糸巻き層を含み、前記センターは、ポリブタジエン材料またはその反応生成物から形成され、分子量が約200,000を超えると共に、レジリエンス指数が少なくとも約40である材料を含んだ1つ以上の層から成り、前記カバー層は、7.5重量パーセント以下の未反応イソシアネート基を有したプレポリマーから形成されたポリウレタン配合物またはその反応生成物を含み、且つ、前記糸巻き層は、前記センター及び前記カバーの間に配置された少なくとも1本の糸即ちスレッド材料を含み、各スレッドは少なくとも1本のストランドを有する。
ゴルフボールコア、中間及びマントル層及び/またはカバーを形成するに当り、本発明によるポリウレタン配合物を使用すれば、斯かる配合物で作製したゴルフボールの速度を、(1)SURLYN(登録商標)でカバーしたゴルフボールに見られる速度の近くまで、及び(2)代替のウレタン配合物を使用した場合に示される速度より高い速度まで上げることができる。
また、ポリウレタンカバー配合物とポリブタジエンコア材料とを組み合わせることは望ましいことであり、レジリエンス指数が約40を超え、且つ、コアとカバーとの間に少なくとも1つの糸巻き層を備える場合には特にそうである。これらのポリブタジエン材料から形成したコアは、性能特性を損なうことなく異例のレジリエンス特性を提供することができる。
本発明は、例えば、スイング速度の遅いプレーヤー向けの如く、USGAゴルフ規則に合致しつつ、ティーからの距離をなるべく大きくする高レジリエンスを備えた糸巻きゴルフボールに関する。ゴルフボールのレジリエンスの測定方法は当業者によく知られている。打った時のボールのレジリエンスの1測定方法は、エアキャノンまたはゴルフクラブヘッドの速度と同等の速度でボールを推進するその他の手段を使用することである。ボールは、堅牢なブロック塊に向けて発射され、往復の速度を測定する。斯かる速度は、光スクリーンを使用して測定することが可能であり、ボールが一定の距離を移動するのに必要な時間を測定する。移動時間で固定距離を割ると固定距離を移動するボールの平均速度と等しくなる。往路速度と復路速度との比は、一般には回復率(「COR」)と呼ばれる。CORは、特定の復路速度でのゴルフボールのレジリエンスの直接測定値である。ゴルフボールの挙動は、直線状に粘弾性的であるので、復路ボール速度は、関数的にクラブのスイング速度と等しい。本発明は、その1実施例において、スイング速度が遅いプレーヤーのCORを最大化するのを目的とする。斯かるプレーヤーは、遅いスイング速度でクラブを振ってボールを打つ。従って、打った後のボールの速度が遅くなり且つティーオフしてからの距離が短くなる傾向にある。
本発明のゴルフボールは、センター、カバー層、及び糸巻き層を含み、前記センターは、ポリブタジエン材料またはその反応生成物から形成され、分子量が約200,000を超えると共に、レジリエンス指数が少なくとも約40である材料を含んだ1つ以上の層から成り、前記カバー層は、7.5重量パーセント以下の未反応イソシアネート基を有したプレポリマーから形成されたポリウレタン配合物またはその反応生成物を含み、且つ、前記糸巻き層は、前記センター及び前記カバーの間に配置された少なくとも1本の糸即ちスレッド材料を含み、各スレッドは少なくとも1本のストランドを有する。
本発明は、更に、センター、該センターを囲繞する糸巻き層、該糸巻き層を囲繞すると共に第1の硬度を有した内側カバー層、及び該内側カバー層を囲繞すると共に前記第1の硬度未満の第2の硬度を有し且つ厚さが約0.127cm(約0.05インチ)未満である外側カバー層に関する。
1実施例では、カバー材料は、約60パーセントを超えるディンプル被覆面積、約10乃至80ショアDの硬度、または、約500psiを超える曲げ弾性率の少なくとも1つを有し、ゴルフボールは、約30乃至120の圧縮を有する。1実施例では、カバー材料硬度は、約35乃至70ショアDである。別の実施例では、レジリエンス指数は、約50を超える。曲げ弾性率は、ASTMのD−6272−98の方法で測定する。更に別の実施例では、ゴルフボールの圧縮は、約50乃至110である。
1実施例では、カバーは、内側カバー層及び外側カバー層を含み、前記内側カバー層は、前記糸巻き層と前記外側カバー層との間に配置される。1実施例では、前記内側カバー層は、前記外側カバー層より固い。更に別の実施例では、前記内側カバー層は、少なくとも1つの熱可塑性材料を含む。
1実施例では、ポリウレタン配合物は、少なくとも1つのイソシアネート及び少なくとも1つの硬化剤を含む。更に別の実施例では、ポリウレタン配合物は、少なくとも1つのイソシアネート、少なくとも1つのポリオール及び少なくとも1つの硬化剤を含む。好適な実施例では、前記イソシアネートは、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド−モディファイド液体4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−メチルキシレンジイソシアネート、m−メチルキシレンジイソシアネート、o−メチルキシレンジイソシアネート、またはそれらの混合物を含む。別の好適な実施例では、前記少なくとも1つのポリオールは、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシを末端基とするポリブタジエン、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、またはそれらの混合物を含む。更に別の好適な実施例では、前記硬化剤は、ポルアミン硬化剤、ポリオール硬化剤、またはそれらの混合物を含む。より好適な実施例では、前記硬化剤は、ポリアミン硬化剤を含む。最も好適な実施例では、ポリアミン硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、またはそれらの異性体、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、または、それらの異性体、4,4'−ビス−(セク−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、1,4−ビス−(セク−ブチルアミノ)−ベンゼン,4,4−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4'−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、トリメチレングルコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、N,N'−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、p、p'−メチレンジアニリン、フェニレンジアミン、4,4'−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、2,2',3,3'−テトラクロロジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、またはそれらの混合物を含む。
異なる好適な実施例では、硬化剤は、ポリオール硬化剤を含む。より好適な実施例では、ポリコール硬化剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン、1,3−ビス−{2[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、リソルチノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル、ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル、トリメチロールプロパン、またはそれらの混合物を含む。
1実施例では、プレポリマーは、約2.5から最大7.5重量パーセントまでの不飽和イソシアネート基を有する。別の実施例では、カバー層の厚さは、約0.127cm(約0.05インチ)未満である。更に別の実施例では、センターのムーニー(Mooney)粘度は、約40乃至約80である。好適な実施例では、ムーニー粘度は、約45乃至約60である。
別の実施例では、ポリブタジエン材料のビニル−異性体含有量は、約2重量パーセント未満である。別の実施例では、及び、前記実施例に加えて、ポリブタジエンのシス−異性体含有量は少なくとも約95重量パーセントである。
1実施例では、センターの外径は、少なくとも約3.302cm(約1.3インチ)であり、好適には、約3.302cm乃至3.937cm(約1.3インチ乃至1.55インチ)である。1好適な実施例では、センターの外径は、約3.4036乃至3.556cm(約1.34乃至1.4インチ)である。別の実施例では、センターは、第1の量のトランス−異性体を有したポリブタジエンの転化反応から形成された材料、遊離基源及び少なくとも1つのシス−ツー−トランス触媒を含む。好適な実施例では、反応は、第1の量のトランス−異性体より大きな第2の量のトランス−異性体を有したポリブタジエン反応生成物を形成するのに十分な一定の温度で且つ一定の時間に亘って起きる。1実施例では、シス−ツー−トランス触媒は、有機硫黄コンパウンド、無機硫黄コンパウンド、芳香族オルガノメタリックコンパウンド、金属−有機硫黄コンパウンド、テルル、セレニウム、元素硫黄、ポリマー硫黄、または、芳香族有機コンパウンドの少なくとも1つを含む。好適には、触媒は、有機硫黄成分を含み、1好適な実施例では、触媒は、4,4'−ジフェニルジスルフィド、4,4'−ジトリルジスルフィド、または、2,2'−ベンズアミドジフェニルジスルフィドまたはそれらの組合せの少なくとも1つを含む。シス−ツー−トランス触媒は、ポリブタジエン100部に対して約0.1乃至10部の量で存在するのが典型的である。
1実施例では、更に、追加の中間層を前記センターと前記カバー層との間に含み、該中間層は、第1の量のトランス−ポリブタジエンを有したポリブタジエン、遊離基源及び少なくとも1つの有機硫黄成分を含んだシス−ツー−トランス触媒の転化反応から形成した材料を含み、前記中間層の外径は、少なくとも約4.0132cm(約1.58インチ)であり、前記センターの外径は、約3.937cm(約1.55インチ)未満である。
別の実施例では、カバーは、内側カバー層及び外側カバー層を含み、該内側カバー層は、糸巻き層および外側カバー層の間に配置される。好適な実施例では、内側層及び外側層の少なくとも一方の厚さは、約0.127cm(約0.05インチ)である。別の好適な実施例では、内側カバー層は、イオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエステル、動的に加硫したエラストマー、ポリ尿素、機能化した(functionalized)スチレンブタジエンエラストマー、メタロセンポリマー、ナイロン、アクリロニトリルブタジエン−スチレンコポリマー、またはそれらのブレンドを含む。
1実施例では、内側カバーの外径は、少なくとも約3.937cm(約1.55インチ)である。別の実施例では、内側カバーの外径は、約4.0132cm乃至約4.1656cm(約1.58インチ乃至約1.64インチ)である。1実施例では、一方または双方の層を形成するのに使用するポリウレタンは、熱可塑性または熱硬化性である。
スイング速度が遅いプレーヤーのための1実施例では、160フィート/秒の速度でゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打った時の回復率は、少なくとも約0.76であり、復路速度への回復率勾配の大きさは、少なくとも約0.001秒/フィートである。
本発明は、また、少なくとも、分子量が約300,000を超え且つレジリエンス指数が少なくとも約40であるポリブタジエンを含んだセンター、該センターを囲繞し、外径が少なくとも約3.8354cm(約1.51インチ)であり、且つ、センター及びカバーの間に少なくとも1本のスレッド材料を含み、各スレッドが少なくとも1本のストランドを有した糸巻き層、外側コア層を囲繞した内側カバー層、及び該内側カバー層の周りに配置され、7.5重量パーセント未満の未反応イソシアネート基を有したプレポリマーから形成されたポリウレタン配合物を含んだ外側カバー層を有したゴルフボールに関する。
本発明は、また、少なくとも、分子量が約300,000を超え且つレジリエンス指数が少なくとも約40であるポリブタジエンを含んだセンター、該センターを囲繞し、外径が少なくとも約3.8354cm(約1.51インチ)であり、且つ、センター及びカバーの間に配置されたフープ応力層であって、ガラス、ポリアミド、芳香族ポリアミド、カーボン、または引張強さが少なくとも約250kpsiであり、弾性率が少なくとも約10,000kpsiである金属ファイバーを含んだフープ応力層、及び、前記糸巻きフープ応力層の周りに配置され、7.5重量パーセント未満の未反応イソシアネート基を有したプレポリマーから形成されたポリウレタン配合物を含んだカバーに関する。
定義
「約」なる用語は、本明細書にて1つ以上の数または数値で表した範囲に関係して使用した場合には、1つの範囲における全ての数を含んだ全ての斯かる数について言及するものと理解すべきものである。
「約」なる用語は、本明細書にて1つ以上の数または数値で表した範囲に関係して使用した場合には、1つの範囲における全ての数を含んだ全ての斯かる数について言及するものと理解すべきものである。
本明細書で使用する場合、置換及び未置換「アリル」基は、典型的には4n+2π環状電子から成る共役2重結合の系を備えた炭化水素環を意味し、但し、nは整数である。アリル基の例には、フェニル、ナフチル、アニシル、トリル、キシレニル等が含まれるが、それらに限定されるものではない。本発明によれば、アリルは、また、例えばピリミジンまたはチオフェン等のヘテロアリル基をふくむ。これらのアリル基は、また、任意の数の様々な官能基で置換することが可能である。カルボ環状基に関連して本明細書で説明した官能基に加えて、アリル基の官能基は、ヒドロキシ及びその金属塩、メルカプト及びその金属塩、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ及びアミド、エステル、酸及びその金属塩を含んだカルボキシル、シリル、アクリレート及びその金属塩、スルホニルまたはスルホンアミド、及びホスフェート及びホスフィット、及びそれらの組合せを含むことができる。
本明細書で使用する場合、「アッチ圧縮」なる用語は、ニュージャージー州、ユニオン市のアッチエンジニアリング社(Atti Engineering Corp.of Union City,NJ)から市販されているアッチ圧縮ゲージ(Atti Compression Gauge)で測定した校正されたスプリングの撓みに対する一定の物体または材料の撓みとして定義される。アッチ圧縮は、ゴルフボールの圧縮を測定するのに使用するのが典型的である。アッチゲージを使用して径が4.2672cm(1.680インチ)未満のコアを測定する場合には、金属またはその他の適当なシムを使用して測定する物体の径を4.2672cm(1.680インチ)にすることを理解しておくべきである。しかしながら、コアの圧縮について言及する場合には、圧縮荷重測定を使用するのが好適である。「圧縮荷重」なる用語は、径が4.2672cm(1.68インチ)の球状物体の10.8パーセントの径方向撓みに対するポンドで表した公称荷重として定義される。
本明細書で使用される場合、置換及び未置換「カルボ環状」なる用語は、環状カルボン含有コンパウンドを意味し、これには、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル等を含むがそれらに限定されるものではない。斯かる環状基は、また、様々な置換基を含むことが可能であり、斯かる置換基においては、1つ以上の水素原子が官能基により置換されている。斯かる官能基は、上記に説明した物及び1乃至28個のカーボン原子を有した低アクリル基を含む。本発明の環状基は、更に、ヘテロ原子から成ることも可能である。
本明細書で使用される場合、「シス−ツ−トランス触媒」は、任意の成分または所定の温度でシス−ポリブタジエン異性体の少なくとも一部をトランス−ポリブタジエンに転化するそれらの組合せを意味する。任意の所定時間で測定された、シス−異性体、トランス異性体及び任意のビニル−異性体の斯かる組合せは100パーセントのポリブタジエエンから成ることを理解しておくべきである。
本明細書で使用される場合、ゴルフボールの「回復率」(「COR」)なる用語は、ボールを堅牢なプレートに向けて発射した時の復路速度に対するリバウンド速度の比として定義される。復路速度は、125フィート/秒とする。
本明細書で使用される場合、「動的剛性」なる用語は、1Hzの周波数、100μmの振幅で振動する針入度テスト用の1.4mmの球状半径プローブの撓みで割った荷重として定義される。プローブは、動的に試料材料の表面に針入する。球状コアの材料試料をコアの赤道に沿って6mm厚の層に切断して6mm厚で一方の表面にコアのジオメトリ中心を含んだディスクを創出した。プローブを該ディスク上の任意の選択した半径方向位置にセットして動的剛性の測定値を得ることが可能である。正確な動的測定は、材料試料を実質的に均一な温度に保持することで達成することが可能である。動的剛性は、デラウエア州ニューカッスルのTAインスツルメント社(TA Instruments Corporation of New Castle,DE)から市販されているダイナミックメカニカルアナライザーのモデルDMA2980を使用して得た。DMA2980の機器設定は、周波数が1Hz、振幅が100μm、静的荷重が0.3N、自動応力が105パーセントであった。1.4mmの球状半径プローブは、DMA2980の針入度キットアクセサリーとしてTAインスツルメト社から市販されている。DMA2980に広範な周囲温度でのテストを可能にする温度制御した室を取り付ける。
「動的剛性」の測定に使用する方法及び機器は、損失正接を測定するのにも使用することが可能である。損失正接は、損失弾性率と貯蔵弾性率との比である。損失正接は、変位により位相がずれた弾性率の部分であり、貯蔵弾性率は、変位で位相が合った弾性率の部分である。DMA2980は、自動的に損失正接を算出して報告する。
「流体」なる用語は、本明細書で使用される場合、液体、ペースト、ゲル、ガス、またはそれらの任意の組合せを含む。
「成分を媒介とした基(Group VIA component)」または「元素を媒介とした基(Group VIA element)」は、硫黄成分、セレニウム成分またはテルル成分、またはそれらの組合せを含んだ成分を意味する。
本明細書で使用される場合、「硫黄成分」なる用語は、元素硫黄、ポリマー硫黄、または、それらの組合せである成分を意味する。更に、「元素硫黄」とは、S8の環状構造を意味し、「ポリマー硫黄」は、元素硫黄に対する少なくとも1つの追加の硫黄を含んだ構造のことである。
本明細書で使用される場合、「分子量」なる用語は、絶対重量平均分子量として定義される。分子量は、以下の方法により決定される。即ち、約20mgのポリマーを10mLのテトラヒドロフラン(「THF」)に溶かす。これには、ポリマーの分子量及び分布によるが、室温で2、3日かかる場合がある。1リットルのTHFをろ過及び脱泡して、高性能の液体クロマトグラフィ(「HPLC」)容器に入れる。HPLCの流量をビスコゲル(Viscogel)分離管を介して1mL/分に設定する。この非流出混合ベッド分離管モデルGMHHR−Hの内径は、7.8mmであり、長さは300mmであり、テキサス州、ヒューストンのビスコテック社(Viscotek Corp. of Houston,TX)から市販されている。THF流量を試料分析を開始する前少なくとも1時間または安定した検出器のベースラインが得られるまで1mL/分に設定する。この分離管及び検出器の掃気中に、ViscotekのTDAモデル300トリプル検出器を40℃に設定する。この検出器もViscotek社から市販されている。3基の検出器(即ち、屈折率、差圧、及び光の散乱)及び分離管を熱平衡させ、且つ、検出器を掃気してゼロ設定して、この機器に備わった説明書に従って装置の校正の準備を整える。次いで、100μLの既知少量即ちアリコートの試料溶液を装置内に噴射すると共に、各試料の分子量をViscotekのトリプル検出器ソフトウェアを使用して算出することができる。ポリブタジエン材料の分子量を測定する時には、0.130のdn/dcを常に使用する。この装置及び方法は、本明細書に述べる及び特許請求する分子量数を提供するが、その他の装置または方法は、必ずしも本明細書で使用する如き同等の値を提供するとは限らない。
本明細書で使用する場合には、「多層」なる用語は、少なくとも2層を意味すると共に、流体または液体センターボール、糸巻きボール、中空センターボール及び少なくとも2つの中間層及びカバー層を備えたボールを含む。
本明細書で使用される場合、「100部に対する部数」または「phr」として公知の用語は、100重量部の総ポリマー成分に対する混合物中における特定の成分の部数として定義される。数学的には、これをポリマーの総重量で1つの成分の重量を割ったものを100倍したものとして表すことができる。
本明細書で使用される場合、「レジリエンス指数」なる用語は、10cpmと1000cpmで測定した損失正接(tanσ)の差を990(周波数スパン)で割り、それを100,000(正規化及び単位の都合上)倍したものと定義される。損失正接は、オハイオ州、アクロンのアルファテクノロジー社(Alpha Technologies,Akron,OH)が製造するRPA2000を使用して測定する。PRA2000を0.5度のアークを使用して100℃の温度で2.5乃至1000cpmでスイープ(sweep)するように設定する。6つの損失正接測定値の平均を各周波数毎に得ると共に、斯かる平均を使用してレジリエンス指数を算出する。レジリエンス指数の計算は、以下の通りである。
レジリエンス指数=100,000・[(10cpmでの損失正接)−(1000cpmでの損失正接)]/990
レジリエンス指数=100,000・[(10cpmでの損失正接)−(1000cpmでの損失正接)]/990
本明細書で使用する場合には、「実質的に無い」なる用語は、約5重量パーセント未満、好適には、約3重量パーセント未満、より好適には、約1重量パーセント未満、最も好適には、約0.01重量パーセント未満を意味する。
ゴルフボールコア、中間及びマントル層及び/またはカバーを形成するに当り、本発明によるポリウレタン配合物を使用すれば、斯かる配合物で作製したゴルフボールの速度を、(1)SURLYN(登録商標)でカバーしたゴルフボールに見られる速度の近くまで、及び(2)代替のウレタン配合物を使用した場合に示される速度より高い速度まで上げることができる。また、ポリウレタンカバー配合物とポリブタジエンコア材料とを組み合わせることは望ましいことであり、レジリエンス指数が約40を超え、且つ、コアとカバーとの間に少なくとも1つの糸巻き層を備える場合には特にそうである。これらのポリブタジエン材料から形成したコアは、性能特性を損なうことなく異例のレジリエンス特性を提供することが判明している。
従って、本発明によれば、改良したゴルフボールを以下の如く作製することができる。即ち、(a)センターにポリブタジエン反応生成物を含ませて、ポリブタジエン生成物の分子量を約200,000を超えるものにすると共に、レジリエンス指数を少なくとも約40にし、(b)センターの周りにピンと張った材料から成る糸巻き層を配置すると共に、オプションで該糸巻き層とセンターとの間に1つ以上の層を配置し、且つ、(c)ポリウレタン材料を含んだ少なくとも1つの層を含んだカバーを配置する。
図1及び図2を参照すると、本発明によるゴルフボール10及び18が図示される。該ゴルフボールは、高レジリエンスを備えると共に、ティーオフしてからの距離を伸ばすことの出来るボールを提供することでスイング速度の遅いプレーヤーの役に立つ糸巻きゴルフボールである。これらのスイング速度の遅いプレーヤーは、通常、遅いスイング速度でクラブを振ってボールを打ち、従って、打った後のボールの初速度は低くなり且つティーオフしてからの距離は短くなる。
図1を参照すると、本発明によるゴルフボール10が図示される。該ゴルフボールは、センター12、カバー14及び該センター及びカバーの間に配置した巻き糸から成る層16を含む。図1に図示する如く、斯かるゴルフボールのセンターは中実である。センターは、熱硬化性中実ゴム球体、熱可塑性中実球体、木、コルク、金属または当業者が入手できるまたは当業者に公知の任意の適当な材料を含むことが出来る。センターは、本発明による糸巻き層およびカバーで覆われる。
所望の特性により、本発明により作製したボールは、従来のボールに比べて、圧縮または弾性率を低くしつつ、実質的により高いレジリエンスまたは回復率(「COR」)を示すことができる。また、本発明により作製したボールは、また、従来のボールに比べて、圧縮を増大することなく実質的に同一またはより高いレジリエンスまたはCORを発揮することができる。このレジリエンスを測定する別の手段は、「損失正接」またはtanσであり、物体の動的剛性を測定して得られる。損失正接及びかかる動的特性にかかわる用語は、ASTMのD4092−90に従って表されるのが典型的である。従って、損失正接が低くなると、レジリエンスが高いことを示し、以って、リバウンド能力が高いことを示す。損失正接が低いと、クラブからゴルフボールに与えられるエネルギーのほとんどが動的エネルギーに、即ち、打ち出し速度に転換されて、飛距離が長くなる。ゴルフボールの剛性または圧縮剛性は、例えば、動的剛性により測定することが可能である。動的剛性が高くなると、圧縮剛性が高くなることを示す。所望の圧縮剛性を有したゴルフボールを製造するには、架橋したポリブタジエン反応生成物の動的剛性を−50℃で約50,000N/m未満にしなければならない。好適には、動的剛性は、−50℃で約10,000乃至40,000N/mであり、より好適には、−50℃で約20,000乃至30,000N/mである。
動的剛性は、ある意味では動的弾性率に類似している。動的剛性は、本明細書に記載する如くプローブのジオメトリにより決定され、一方、動的弾性率は、ジオメトリとは関係のない独特の材料特性である。動的剛性は、動的弾性率の定量的測定及び試料物品内での別個のポイントでの損失正接を正確に測定するのを可能にする独特の要因である。本発明の場合、斯かる物品は少なくともゴルフボールコアの一部である。ポリブタジエン反応生成物はの損失正接は−50℃で約0.1であるのが好適であり、より好適には、−50℃で約0.07である。
センター配合物は、少なくとも1つのゴム材料を含むのが好適であり、斯かるゴム材料のレジリエンス指数は、少なくとも約40である。好適には、レジリエンス指数は、少なくとも約50である。多数のポリブタジエンポリマーの比較を下記の表1に挙げる。弾性ゴルフボールを生成する、従って、本発明のゴルフボールのセンターまたはその他の部位に使用するのに適したポリマーは、CB23、CB22、BR60及び1207Gを含むが、それらに限定されるものではない。レジリエンス指数の計算方法を明白にするために、100℃でレジリエンス指数を測定した。CB23は、オハイオ州、アクロンのバイエル社(Bayer
Corporation of Akron,OH)社から市販されている。CB23では、例えば、レジリエンス指数は、下記の如く計算される。
CB23のレジリエンス指数=100,000・[(0.954)−(0.407)]/990 CB23のレジリエンス指数=55
Corporation of Akron,OH)社から市販されている。CB23では、例えば、レジリエンス指数は、下記の如く計算される。
CB23のレジリエンス指数=100,000・[(0.954)−(0.407)]/990 CB23のレジリエンス指数=55
ゴルフボールの部位の成型方法及び配合は、材料特性の勾配となるのが典型的である。従来の技術で使用される方法は、一般的には、硬度を使用してこれらの勾配を定量化する。硬度は、静的弾性率の定量的測定値であり、ゴルフボールの使用、即ち、クラブによる衝撃に関係した変形速度での材料の弾性率を表すものではない。ポリマー科学の分野の当業者に公知の如く、時間−温度並置原理を使用して代替の変形速度をエミュレートすることが可能である。ポリブタジエンを含んだゴルフボールの部位では、0℃乃至−50℃の温度での1Hzの振動は、定性的にはゴルフボールのインパクト速度と同等であると考えられている。従って、損失正接及び動的剛性を0℃乃至−50℃で測定することで、好適には、約−20℃乃至−50℃の温度でのゴルフボールの性能を正確に予測することが可能となる。
ゴルフボールのポリブタジエン材料の硬度は、少なくとも約15ショアAであるのが典型的であり、約30ショアA乃至80ショアDであるのが好適であり、約50ショアA乃至60ショアDであるのがより好適である。1つの好適な実施例では、ゴルフボールセンターのジオメトリック中心におけるセンターの硬度は、約20乃至85ショアCであり、約40乃至80ショアCであるのが好適であり、約60乃至70ショアCであるのがより好適である。ゴルフボールセンターの表面の硬度は、ゴルフボールセンターのジオメトリック中心の硬度より硬いのが典型的である。例えば、中心での硬度が65ショアCであるゴルフボールセンター、即ち、球体の表面の硬度は、約80乃至85ショアCである。ゴルフボールのポリブタジエン材料の比重は、0.7を超えるのが典型的であり、約1を超えるのが好適である。
また、本発明により作製したゴルフボールのポリブタジエン等の未加硫ゴムのムーニー粘度は約40乃至約80であるのが典型的であり、約45乃至約60であるのが好適であり、約45乃至約55であるのがより好適である。ムーニー粘度は、ASTMのD−1646−99に従って測定するのが典型的である。
センターまたはオプションで設けた中間層の少なくとも一方は、反応生成物を含み、該反応生成物は、シス−トランス触媒を有した反応生成物、ポリブタジエンを有した弾性ポリマー成分、遊離基源を含み、及びオプションで架橋剤、充填剤または双方を含む。好適には、ポリブタジエン反応生成物を使用して少なくともゴルフボールのセンターの一部を形成し、該センターの作製について、この実施例に関し、さらに以下に説明する。好適には、斯かる反応生成物は、−50℃で測定した第1の動的剛性及び0℃で測定した第2の動的剛性を有し、前記第1の動的剛性は、前記第2の動的剛性の約130パーセント未満である。より好適には、第1の動的剛性は、第2の動的合成の約125パーセント未満である。最も好適には、第1の動的合成は、第2の動的合成の約110パーセント未満である。
従って、本発明は、また、成型サイクル中にポリブタジエン弾性ポリマー成分のシス−異性体をトランス−異性体に転化してゴルフボールを形成する方法を含む。ポリマー、シス−ツー−トランス触媒、充填剤、架橋剤及び遊離基源を様々に組み合わせて使用することが可能である。高レジリエンスで低圧縮のセンターまたは中間層を得るためには、成型サイクル中に、シス−異性体の含有量が好適には約90パーセントを超える高分子量ポリブタジエンを転化してゴルフボールの任意の点または部位でのトランス−異性体の含有量を増大して、実質的にゴルフボール全体または一部でのパーセントを高めるのが好適である。より好適には、シス−ポリブタジエン異性体が、総ポリブタジエン含有量の約95パーセントを超える量で存在する。特定の理論に捕らわれることなく、初期のポリブタジエン及び反応生成物双方における1,2−ポリブタジエン異性体(「ビニル−ポリブタジエン」)の量は少ないのが望ましい。典型的には、ビニルポリブタジエン異性体の含有量は、約7パーセント未満である。好適には、ビニルポリブタジエン異性体の含有量は、約4パーセント未満である。より好適には、ビニルポリブタジエン異性体の含有量は、約2パーセント未満である。特定の理論に捕らわれることなく、組み合わせたシス−及びトランス−ポリブタジエンバックボーンの結果として生じる易動度で反応生成物及び該反応生成物を含んだゴルフボールの弾性率が低くなり且つレジリエンスが高くなる。
ゴルフボールのプレー特性にとって望ましく且つ有益となる高レジリエンスで低弾性率(低圧縮)の特性を発揮するポリマー反応生成物を生成するためには、高分子量のシス−1,4−ポリブタジエンをトランス−異性体に成型サイクル中に転化するのが好適である。「高分子量」とは、ポリブタジエン材料の分子量平均が約200,000を超えることを意味するのが典型的である。好適には、ポリブタジエン分子量は、250,000を超える、より好適には、300,000乃至500,000である。特定の理論に捕らわれることなく、シス−ツー−トランス触媒は、遊離基源と関係して、シス−ツー−トランス配座からポリブタジエンポリマー成分の一部を転化する働きをする。シス−ツー−トランス転化にはシス−ツー−トランス触媒が存在しなけれならず、有機硫黄または金属含有有機硫黄コンパウンド、硫黄または金属を含まない置換または未置換芳香族有機コンパウンド、無機スルフィドコンパウンド、芳香族有機金属コンパウンド、または、それらの混合物がそうである。シス−ツー−トランス触媒成分は、本明細書に記載した1つ以上のシス−ツー−トランス触媒を含むことが可能である。例えば、シス−ツー−トランス触媒は、有機硫黄成分と無機スルフィド成分とのブレンドであっても良い。
1実施例では、前記少なくとも1つの有機硫黄成分には実質的には金属は無い。即ち、約10重量パーセント未満の金属しか含まないのが典型的であり、好適には、約3重量パーセント未満の金属しか含まず、より好適には、約1重量パーセント未満の金属、最も好適には、約0.01重量パーセント未満の如きほんの微量の金属しか含まない。別の実施例では、有機硫黄成分は、金属をまったく含まない。
本発明について言及する時に、本明細書で使用される「有機硫黄コンパウンド」または「有機硫黄成分」なる用語は、少なくとも以下の1つを意味する。即ち、4,4'−ジフェニルジスルフィド;4,4'−ジトリルジスルフィド;2,2'−ベンズアミドジフェニルジスルフィド;ビス(2−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(3−アミノフェニル)ジスルフィド;2,2'−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(2−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,2'−ジアミノ−1,2'−ジチオジナフタレン;2,3'−ジアミノ−1,2'−ジチオジナフタレン;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(4−フロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−イオドフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(2−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド;2,2'−ジチオベンゾイック酸エチルエステル;2,2'−ジチオベンゾイック酸メチルエステル;2,2'−ジチオベンゾイック酸;4,4'−ジシオベンゾイック酸エチルエステル;ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(2−アセテルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−フォルミルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド;1,1'−ジナフチルジスルフィド;2,2'−ジナフチルジスルフィド;1,2'−ジナフチルジスルフィド;2,2'−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフド;2,2'−ビス(1−ブロモナフチル)ジスルフィド;1,1'−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド;2,2'−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド等、またはそれらの混合物である。好適な有機硫黄成分は、4,4'−ジフェニルジスルフィド;4,4'−ジトリルジスルフィド、または、2,2'−ベンズアミドジフェニルジスルフィド、またはそれらの混合物を含む。より好適な有機硫黄成分は、4,4'−ジトリルジスルフィドを含む。有機硫黄シス−ツー−トランス触媒は、存在するときには、反応生成物を生成するのに十分な量で存在して、少なくとも約12パーセントのトランス−ポリブタジエン異性体を含有するようにするのが好適であり、総弾性ポリマー成分をベースにすると、約32パーセントを超えるトランス−ポリブタジエン異性体が存在するのが典型的である。別の実施例では、金属を含んだ有機硫黄成分を本発明に従って使用することができる。適当な金属を含んだ有機硫黄成分は、カドミウム、銅、鉛、及びジエチルジチオカルバメートのテルル類似体、ジアミルジチオカルバメート、及びジメチルジチオカルバメート、または、それらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。
硫黄または金属を含まない適当な置換または未置換芳香族有機成分は、4,4'−ジフェニルアセチレン、アゾベンゼンまたはそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。芳香族有機基のサイズの範囲は、好適には、C6乃至C20であり、より好適には、C6乃至C10である。適当な無機スルフィドは、チタンスルフィド、マンガンスルフィド、及び、鉄、カルシウム、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、セレニウム、イットリウム、亜鉛、錫、及びビスマスの硫黄類似体を含むが、それらに限定されるものではない。
置換または未置換芳香族有機コンパウンドは、また、シス−ツー−トランス触媒中に含むことが可能である。適当な置換または未置換芳香族有機成分は、(R1)x−R3−M−R4−(R2)yの化学式を有した成分を含むが、それに限定されるものではなく、式中、R1及びR2は、各々、水素または置換または未置換C1−20の直線状、分岐したまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または、単一、多数、または溶融環C6乃至C20の芳香族基であり、x及びyは、各々、0乃至5の整数である。R3及びR4は、各々、単一、多数、または溶融環C6乃至C24の芳香族基から選択され、且つ、Mは、アゾ基または金属成分を含む。R3及びR4は、好適には、各々、C6乃至C10の芳香族基から選択され、より好適には、フェニル、ベンジル、ナフチル、ベンズアミド及びベンゾチアジルから選択される。R1及びR2は、好適には、各々、置換または未置換C1−10の直線状、分岐したまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または、C6乃至C10の芳香族基から選択される。R1、R2、R3またはR4が置換される時は、斯かる置換は、以下の置換基の1つ以上を含むことが可能である。それらは、ヒドロキシ及びその金属塩;メルカプト及びその金属塩;ハロゲン;アミノ、ニトロ、シアノ及びアミド;エステル、酸及びその金属塩を含んだカルボキシル;シリル;アクリレート及びその金属塩;スルホニルまたはスルホンアミド;及びホスフエート及びホスフィットである。Mが金属成分である時には、それは、当業者に入手可能な任意の適当な元素金属であっても良い。該金属は、テルルまたはセレニウムであるのが好適であるが、遷移金属であるのが典型的である。1実施例では、芳香族有機コンパウンドは、実質的には金属を含まない。一方、別の実施例では、芳香族有機コンパウンドは、まったく金属を含まない。
シス−ツー−トランス触媒は、また、成分を媒介とした基を含むことができる。元素硫黄及びポリマー硫黄は、例えば、オハイオ州、チャールドンのエラストケム社(Elastochem Inc.of Chardon,OH)から市販されている。代表的な硫黄触媒コンパウンドは、PB(RM−S)−80元素硫黄及びPB(CRST)−65ポリマー硫黄を含み、各硫黄ともエラストケム社から市販されている。代表的なテルル触媒及び代表的なセレニウム触媒は、それぞれ、TELLOY及びVANDEXの商標名でRT Vanderbiltから市販されている。
シス−ツー−トランス触媒は、総弾性ポリマー成分中に約0.1乃至10部の量で存在する。好適には、シス−ツー−トランス触媒は、総弾性ポリマー成分中に約0.1乃至8部の量で存在するのが典型的である。より好適には、シス−ツー−トランス触媒は、総弾性ポリマー成分中に約0.1乃至5部の量で存在するのが典型的である。シス−ツー−トランス触媒は、反応生成物を生成するのに十分な量で存在して、トランス−ポリブタジエン異性体の含有量を増大して、総弾性ポリマー成分をベースにして、約5パーセント乃至70パーセントのトランス−ポリブタジエンを含むようにするのが典型的である。
本明細書にて言及するポリブタジエンのトランス−異性体含有量の測定は、以下の如く達成される。校正基準は、少なくとも2つのポリブタジエンゴム試料(公知のトランス−含有量の例えば、高低パーセントトランス−ポリブタジエン)を使用して作製される。これらの試料は、単独で及び一緒に使用されて、少なくとも約1.5%乃至50%のトランス−ポリブタジエンの梯子即ちラダーを創出するか、または、未知の量を余分(bracket)にしておき、結果として生じる校正曲線が少なくとも13の均等に隔置されたポイントを含むようにする。
ホトアコースティック(「PAS」)セルを備えた市販のフーリエ変換赤外線(「FTIR」)分光計を使用して、各基準のPASスペクトルを下記の機器パラメータを用いて得た。2.5KHz(0.16cm/sの光速)の速度で走査し、1.2KHzの電子フィルターを使用し、アンダーサンプリング比(試料を収集する前のレーザー信号ゼロ交差数)を2に設定し、感度設定を1にして、375乃至4000cm−1の範囲を4cm−1の解像度で最小128回の走査を余分に加えた。
シス−、トランス−及びビニル−ポリブタジエンピークは、PASスペクトルでは、600乃至1100cm−1の間にあるのが典型的である。トランス−ポリブタジエンのピークの各々の下の領域を積分できる。3つの異性体のピークの総領域に対する個々のピーク領域のフラクションを決定してトランス−ポリブタジエン領域フラクション対実際のトランス−ポリブタジエン含有量の校正曲線を構築することが可能となる。結果として生じる校正曲線の相関係数(R2)は、最小で0.95でなければならない。
上記に説明したパラメータを使用して、モールドリリース等の異物を含んでいない新たに切断した汚染されていない表面を含んだ試料をPASに充填して重要なポイント(例えば、コアの表面またはセンター)における未知のコア材料のPASスペクトルを得る。未知のトランス−ポリブタジエン領域フラクションを分析して校正曲線から実際のトランス−異性体含有量を決定する。
硫酸バリウムを含んだ公知の1状況下においては、上記のトランス−含有量をテストする方法の精度は落ちる可能性もある。従って、ポリブタジエンのトランス−含有量の追加または代替のテストは、以下の如くとなる。校正基準を少なくとも2つの公知のトランス−含有量(例えば、高低パーセントのトランス−ポリブタジエン)を有したポリブタジエンを使用して作製する。これらの試料は、単独で使用して、または、一緒にブレンドして、トランス−ポリブタジエンの含有量が少なくとも約1.5%乃至50%のラダーを創出するか、または、未知の量を余分にしておき結果として生じる校正曲線が少なくとも13の均等に隔置されたポイントを含むようにする。
近赤外線レーザーを備えたフーリエ変換ラマン(Raman)(「FT−ラマン」)分光計を使用して、下記の機器パラメータを用いてストークラマン(Stokes Raman)スペクトルを各基準から得る。即ち、過度の熱または蛍光(典型的には、400乃至800mWが適当である)を生じることなく、良好な信号対ノイズ比(「S/N」)を得るのに十分なレーザー出力で;2cm−1の解像度で;約400乃至4000cm−1のラマンシフトスペクトルの範囲に亘って;且つ、少なくとも300回の走査を余分に追加することである。
化学測定学的方法及びニューハンプシャー州、サレムのギャラクティックインダストリ社(Galactic Industries Corp.of Salem,NH)から市販されているPLSプラス/IQ等のソフトウェアを使用して、上記で生成したデータから校正曲線を構築する。許容できる校正は、SNV(ディトレンド(detrend))パスレングス補正、平均中心データ作成、約1600乃至1700cm−1のスペクトル範囲に亘る5ポイントSG第2関数を使用して生成したPLS−1曲線を使用して前記ソフトウェアで得た。その結果生じた校正曲線の相関係数(R2)は最小0.95でなけらばならない。
コア材料のラマンスペクトルは、試料の重要なポイント(例えば、ゴルフボールコアの表面またはセンター)において斯かる機器を使用して得る。試料は、離型剤等の異物を含んでいてはならない。PLS校正曲線を使用して試料のスペクトルを分析して試料のトランス−ポリブタジエン異性体含有量を決定する。
遊離基源は、しばしば、代わりに遊離基開始剤と呼ばれるが、前記の配合物及び方法に必要である。遊離基源は、過酸化物であるのが典型的であり、有機過酸化物であるのが好適である。適当な遊離基源は、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ(2−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼンペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン,a−aビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメジルシクロヘキサン、チクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ローリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等、及びそれらの混合物を含む。ペルオキシドは、弾性ポリマー成分に対して約0.1部を超える量で存在するのが典型的であり、弾性ポリマー成分に対して約0.1乃至15部の量で存在するのが好適であり、且つ、弾性ポリマー成分に対して約0.2乃至5部の量で存在するのがより好適である。本発明による一定のシス−ツー−トランス触媒が存在すれば、従来の架橋反応に比較して、本明細書にて説明した量の如き大量の遊離基源を必要とすることは当業者には理解できることである。100%の活動をしている開始剤は、ポリブタジエン100部に対して約0.05部乃至5部の範囲の量で添加するのが好適である。より好適には、添加する開始剤の量は、約0.15部乃至4部の範囲であり、最も好適には、約0.25部乃至3部の範囲である。電子ビーム、紫外線またはガンマー線、X線、または、遊離基を生成することのできるその他の任意の高エネルギー照射源の1つ以上を遊離基源に代えて、または、追加して使用することが可能である。熱は、しばしば、遊離基の生成の開始を容易にする点を更に理解しておくべきである。
架橋剤を含むと、生成物の硬度が増大される。適当な架橋剤は、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、ニッケル、カルシウム或いはマグネシウムアクリル酸塩等、及びその混合物等の不飽和脂肪酸またはモノカルボン酸の金属塩を1つ以上含む。好適には、アクリレートは、亜鉛、アクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛及びジメタクリル酸亜鉛、及びそれらの混合物を含む。架橋剤は、弾性ポリマー成分中のポリマー鎖の一部を架橋するのに十分な量で存在しなけらばならない。例えば、架橋剤の量を調節することで所望の圧縮を得ることが可能である。例えば、当業者に公知の方法である、架橋剤の種類及び量を変更することで所望の圧縮を達成することが可能である。架橋剤は、弾性ポリマー成分中に約0.1パーセントを超える量で存在するのが典型的であり、弾性ポリマー成分に対して約10乃至40パーセントの量で存在するのが好適であり、弾性ポリマー成分に対して約10乃至30パーセントの量で存在するのがより好適である。有機硫黄をシス−ツー−トランス触媒として選択した場合には、ジアクリル酸亜鉛を架橋剤として選択することが可能であり、約25部未満の量で存在するのが好適である。適当な、市販されているジアクリル酸亜鉛は、サートマー社(Sartomer Corporation)からのものを含む。
本発明の配合物は、また、充填剤を含むことが可能であり、ポリブタジエン材料に添加してコアの密度及び/または比重を調節するか、または、カバーに添加される。本明細書で使用される場合、「充填剤」成る用語は、当該のゴルフボールコアの密度及び/またはその他の特性を調節するのに使用することが出来るコンパウンドまたは配合物を含む。本発明のゴルフボールコアに有益な充填剤は、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、フレーク、ファイバー、及び粉砕してリサイクルされたコア材料である粉砕再生材料即ちリグラインド(例えば、約30メッシュ粒度に粉砕された)を含む。使用する充填剤の量及び種類は、最大ゴルフボール重量は、45.93g(1.62オンス)と合衆国ゴルフ協会(USGA)により確立されていることから、配合物中のその他の成分の量及び重量により決定される。一般的に使用され適切な充填剤は、約2乃至20の比重を有する。1好適な実施例では、比重が約2乃至6とすることができる。1実施例では、センター材料の比重は約1乃至5であり、好適には、約1.1乃至2である。
充填剤は、ポリマーまたは鉱物粒子であるのが典型的である。代表的な充填剤は、沈殿水和シリカ;クレイ;タルク;アスベスト;グラスファイバー;アラミドファイバー;マイカ;カルシムメタシリケート;硫酸バリウム;硫化亜鉛;リトポン;シリケート;シリコンカーバイド;珪藻土;塩化ポリビニル;炭酸カルシム及び炭酸マグネシウム等のカーボネート;チタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鉛、銅、ボロン、コバルト、ベリリウム、亜鉛及び錫等の金属;鋼、真鍮、青銅、ボロンカーバイドホイスカー及びタングステンカーバイドホイスカー等の合金;酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシム及び酸化ジルコニム等の酸化金属;グラファイト、カーボンブラック、コットンフロック、天然アスファルト、セルロースフロック及びレザーファイバー等の粒状炭室材料;ガラス及びセラミック等のマイクロバルーン;フライアッシュ;及びそれらの組合せを含む。
本発明により製造されるセンターのポリブタジエン材料にオプションで酸化防止剤を含めることが可能である。酸化防止剤は、ポリブタジエンの酸化崩壊を禁止するまたは防止するコンパウンドである。本発明に有益な酸化防止剤は、ジヒドロキノリン酸化防止剤、アミンタイプの酸化防止剤及びフェノールタイプの酸化防止剤を含むが、それらに限定されるものではない。
例えば、テトラメチルチウラム、しゃく解剤、処理助剤、処理オイル、可塑剤、染料及び顔料、及び当業者に公知のその他の添加物である促進剤等のその他の任意の成分も、該成分が典型的に使用される目的を達成するのに十分な量を本発明において使用することが可能である。
本発明に従って、ゴルフボールセンターまたは該センターの任意の部位を形成するのに使用されるポリマー、遊離基開始剤、充填剤及び任意のその他の材料を組み合わせて、当業者に公知の任意のタイプの混合により混合物を形成することが可能である。適当なタイプの混合は、シングルパス及びマルチパス混合等を含む。架橋剤及びゴルフボールセンターまたは追加の層の特性を改質するのに使用するその他のオプションの添加物は、任意のタイプの混合で同様に組み合わせることが可能である。成分を順次添加するシングルパス混合が好適である。なぜなら、このタイプの混合は、効率を高めると共に、処理のコストを低減する傾向にあるからである。好適な混合サイクルは、シングルステップであり、ポリマー、シス−トランス触媒、充填剤、ジアクリレート亜鉛、及び過酸化物が順番に添加される。適当な混合装置は、当業者に公知であり、斯かる装置は、バンベリー(Banbury)ミキサー、2−ロールミル、または、二軸スクリュー押出機を含むことが可能である。ポリマーを結合する従来の混合速度を使用するのが典型的であるが、成分が実質的に均一に分散させるのに十分な速い速度でなければならない。一方、速度があまり速すぎると、高速な混合速度は、混合中のポリマーを崩壊する傾向にあり、特に、弾性ポリマー成分の分子量を低減する可能性があり望ましくない。混合速度は、従って、高せん断を避けられる位に遅くするべきであり、斯かる高せん断にあっては、ポリマー成分の望ましい高分子量部分が喪失する可能性がある。また、混合速度が速すぎると、プレフォームが造形されてコアの周りに組みつけられる前に架橋を開始してしまう程熱が発生されて望ましくない。混合温度は、ポリマー成分のタイプにより決定され、より重要なことは、遊離基開始剤のタイプにより決定されることである。例えば、ジ(2−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼンを遊離基開始剤として使用する場合には、約80℃乃至125℃、好適には約88℃乃至110℃、より好適には、約90℃乃至100℃の混合温度が、成分を安全に混合するのに適している。また、混合温度を過酸化物分解温度未満に維持することが重要である。例えば、ジクミルペルオキシドを過酸化物として選択した場合には混合温度は、約93.3℃(200°F)を超えては成らない。適当な混合速度及び混合温度は、当業者には公知であり、むやみに実験をすることなく容易に決定することが可能である。
混合物は、例えば、圧縮または射出成型されて、センター用の中実球体または中間層を形成する半球形のシェルが得られる。ポリマー混合物は、成型サイクルにかけられて、混合物がモールドないに閉じこめられている間に熱及び圧力が加えられる。キャビティの形状はゴルフボールを形成する部分により決定される。の部分圧縮及び熱が、1つ以上の過酸化物を分解することで遊離基を遊離して、これにより、シス−ツー−トランス転化及び架橋を同時に開始する。成型サイクルの温度及び期間は、選択した過酸化物及びシス−トランス触媒のタイプに基づいて容易に選択することが可能である。成型サイクルは、混合物を単一の温度で固定した時間の間成型するシングルステップのサイクルである。ジクミルペルオキシドを含んだ混合物のシングルステップの成型サイクルの例では、ポリマー混合物が、約168.3℃(335°F)で、11分間、約2,500psiに保持する。斯かる成型サイクルは、また、2ステップの工程を含むことが可能であり、斯かる工程では、ポリマー混合物が、初期の温度で、初期の時間の間、モールド内に保持され、次いで、第2の典型的により高い温度で、第2の時間の間保持される。2ステップ成型サイクルの例では、モールドを40分間、約143.3℃(290°F)で保持し、次いで、モールドを約171.1℃(340°F)まで上げて、20分間保持する。本発明の好適な実施例では、シングルステップの硬化サイクルが使用される。シングルステップの工程は、効果的であり且つ効率的であり、2ステップ工程の時間及びコストを低減する。本発明に従ってゴルフボールのセンターまたはコアの任意の部位を形成するのに使用する弾性ポリマー成分、ポリブタジエン、シス−ツー−トランス転化触媒、添加ポリマー、遊離基開始剤、充填剤、及び任意のその他の材料を組み合わせて射出成型工程によりゴルフボールを形成することが可能であり、斯かる工程は当業者には公知である。硬化時間は、選択した様々な材料により決定されるが、特に適当な時間は、約5分乃至18分であり、好適には、約8分乃至15分であり、より好適には、約10分乃至12分である。当業者であれば、使用する特定の材料及び本明細書の説明に基づいて硬化時間を容易に上下することが出来る。
硬化した弾性ポリマー成分は、未硬化の弾性ポリマー成分より多くのトランス−ポリブタジエンを含んでおり、内部の一定の点で第1の硬度及び第2の硬度を有した表面を有した物品に形成され、第2の硬度は、第1の硬度の10パーセント分だけ硬度が硬くなるようにされる。好適には、斯かる物品は、球体であり、且つ、前記点は、物品の中間点である。別の実施例では、前記第2の硬度は、前記第1の硬度の20パーセント分硬度が硬くなる。硬化した物品は、また、内部の部位に於いて、第1の量のトランス−ポリブタジエンを有すると共に、表面の部位に於いて、第2の量のトランス−ポリブタジエンを有し、前記第1の量は、前記第2の量より少なくとも約6パーセント少なく、好適には、第2の量よりも少なくとも10パーセント少なく、より好適には、第2の量よりも少なくとも約20パーセント少ない。前記内部の部位は、中間点であるのが好適であり、前記物品は、球体であるのが好適である。本発明に従って作製されるゴルフボールのセンターまたは該センターの一部の圧縮は、約15乃至100であるのが典型的である。1実施例では、圧縮が、約50未満であり、より好適には、約25未満である。好適な実施例では、圧縮は、約60乃至90であり、より好適には、約70乃至85である。圧縮を測定する同等な方法は様々である。例えば、70アッチ圧縮(以前には、「PGA圧縮」と呼ばれた)は、100kgの荷重での撓みが3.2mmの硬度に等しく、且つ、36kg/mmの「ばね定数」に等しい。1実施例では、ゴルフボールのセンターの撓みは、130kg−10kgのテストでは約3.3mm乃至7mmである。1好適な実施例では、コアの固有周波数は、約1,500乃至3,500Hzである。
図2を参照すると、センター20、カバー22及び該センター及び該カバーの間に配置された巻き糸の層24を有したゴルフボール18が図示される。図2のセンターは、流体を充填した、ゴムサック、熱可塑または金属のシェルデザイン等の球体またはシェル26である。本実施例では、本発明のポリブタジエン反応生成物をシェル内に配置することが出来るが、好適には、シェル(図示なし)の周りに配置された、または、糸巻き層24のピンと張ったスレッドを形成するのに使用した層中にあるのが好適である。上記の説明から、中実センターをポリブタジエン反応生成物から本発明に従って形成することが可能である。図2に図示した実施例において使用された流体28の圧縮または粘度は適当なものにすることが可能である。また、空(中空)または「ガス」センターを備えた斯かるセンターを構成することが可能である。センターは、本発明によるオプションの中間層(図示なし)、糸巻き層及びカバーで覆われる。1実施例では、カバーは、少なくとも2つの層を含み、該2つのカバー層の中少なくとも一方は、本発明のポリウレタンカバー材料を含む。
エンベロープまたはシェル26は、広範な流体材料で充填することができ、空気、ガス、水溶液、ゲル、フォーム、ホットメルト、その他の流体材料及びそれらの組合せであって、米国特許第5,683,312号に記載の材料の如きものを含む。なお、斯かる米国特許は、引用例として本明細書に組み込む。センター内の流体または液体を変えて慣性モーメント、重量、初期スピン、及びスピン減衰等のボールの性能パラメータを修正することができる。
流体を充填したセンターに含まれる適当なガスには空気、窒素及びアルゴンが含まれる。好適には、斯かるガスは不活性である。適当な液体の例は、食塩水、コーンシロップ、食塩水及びコーンシロップ、グリコール及び水等の溶液またはオイル含む。液体は、更に、有機コンパウンドが溶けたまたは分散した水、ペースト、クレイ、バライト、カーボンブラックが水またはその他の液体に入っているコロイド懸濁液、または、食塩と水/グリコールの混合物を含むことが出来る。適当なゲルの例は、水性ジェラチンゲル、ヒドロゲル、水/メチルセルロースゲル及びスチレン−ブタジエン−スチレンゴム等の材料をベースとしたコポリマーゴムから成るゲル、及びパラフィン及び/またはナフチオンオイルを含む。適当なメルトの例は、ワックス及びホットメルトを含む。ホットメルトは、通常の室温でまたは該室温近くでは固体であるが、高温になると液体となる。
斯かる流体は、また、結合して固体を形成したり、または、エンベロープ内に内部圧力を創出する反応性液体系とすることができる。固体を形成する適当な反応性液体は、シリケートゲル、寒天ゲル、過酸化物硬化ポリエステル樹脂、二液型エポキシ樹脂系、及び過酸化物硬化液体ポリブタジエンゴム配合物である。反応して発泡フォームを形成する液体は特に重要である。エンベロープの物性及び最終製品となるゴルフボールの物性に応じてその他の反応性液体系を同様に使用できることを当業者は理解しておくべきである。
好適には、図1及び図2のセンター12及び18の外径D1は、少なくとも約2.54cm(約1インチ)であり、より好適には、約3.302cm無いし3.937cm(約1.3乃至1.55インチ)である。1実施例では、センターの外径は、約3.4036cm乃至3.556cm(約1.34インチ乃至1.4インチ)である。好適には、糸巻き層、16及び24の外径D2は、それぞれ、約3.81乃至4.1148cm(約1.5乃至1.62インチ)であり、より好適には、約3.9116乃至4.064cm(約1.54乃至1.6インチ)である。ゴルフボールの巻き糸の層は、少なくとも1本のスレッド30により形成される。従って、使用するスレッドの量は、コアのサイズと比較すると少量となる傾向にある。糸巻き層は、圧縮を低減すると共に、フィールがより柔らかいボールを生む。1実施例では、糸巻き層の厚さは、約0.762cm(約0.3インチ)未満である。1好適な実施例では、糸巻き層の厚さは、約0.254cm(約0.1インチ)である。この好適な実施例では、スレッド材料が、ポリエーテル尿素または非常に固い高引張弾性率のスレッドを含む。「硬く、高引張弾性率」とは、本明細書では、引張弾性率が少なくとも約10,000ksiであることを意味する。
ポリイソプレン、ポリエーテル尿素、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの組合せを含んだスレッド材料を本発明では使用することが可能である。弾性率が比較的高い及び低いスレッドを同時にセンターの周りに巻きつける。更に、別の実施例では、ポリエーテル尿素等の圧縮中及び/または射出成型サイクル中に「軟化」して「マントル」層または溶融カバー創出するスレッドを使用することができる。また、ポリイソプレン等の、成型中に軟化を示さないスレッドも本発明で使用することが可能である。1実施例では、ポリエーテル尿素を含んだスレッドを糸巻き層に使用するのが好適である。
本発明で使用するスレッドは、従来のカレンダーリング及びスリッティングを含んだ様々な方法を使用して形成することが可能である。更に、メルト紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸または重合紡糸を使用してスレッドを提供することが可能である。メルト紡糸は、非常に経済的にコストのかかる方法である。ポリマーは、加熱したスピンポンプにより紡糸口金を通して押出される。其の結果生じるファイバは、最高1200m/分の速度で引っ張られる。ファイバーは、引っ張られて、空気中で凝固冷却される。高温が必要とされることから、溶融及び熱安定ポリマーのみがメルト紡糸可能である。これらのポリマーは、ポリ(オレフィン)、脂肪族ポリアミド、及び芳香族ポリエステルを含み、それらの全てが適当なスレッド材料である。
溶融時に分解するポリマーには、湿式紡糸方法が使用される。約5乃至20%の溶液をスピンポンプにより口金を通過させる。沈殿浴を使用してフィラメントを凝固させると共に、引張または伸張浴を使用してフィラメントを引っ張る。この方法におけるフィラメント製造速度は、メルト紡糸による製造速度より遅く、約50乃至100m/分であるのが典型的である。溶剤の回収コストにより、本方法は非経済的である。
乾式紡糸では、空気が沈殿浴槽になる。この方法は、溶融時に分解するポリマーに使用可能であるが、容易に揮発する溶剤しか斯かるポリマーに使用できない場合のみである。約20乃至55%の溶液を使用する。結果として生じたフィラメントとは、口金を通過した後、長さが約5乃至8mの室に入る。この室において、フィラメントに向かって暖気が噴射される。これにより、溶剤が蒸発してフィラメントが凝固する。この方法は、湿式紡糸方法より紡糸速度が速くなる。典型的なフィラメント製造速度は、約300乃至500m/分である。機器の初期資本投資は高くなるが、オペレーションコストは、湿式紡糸より低くなる。更に、この方法は容易に揮発する溶剤しか使用できないポリマーの紡糸にのみ使用できる。
別の紡糸方法、即ち、重合紡糸では、モノマーが開始剤、充填剤、顔料及び難燃剤またはその他の選択した添加剤と一緒に重合される。重合体は、直接約400m/分の速度で紡糸される。重合体は、隔離されない。迅速に重合するモノマーのみが本方法には適している。例えば、LYCRA(登録商標)は、重合紡糸により製造される。
多数の異なる種類のスレッドを本発明と一緒に使用することができる。例えば、図3を参照すると、従来の単層ゴルフボールスレッド300が図示される。一般的に、単層ゴルフボールスレッド300は、合成シス−ポリイソプレンゴム、天然ゴム及び硬化系を一緒に混合し、斯かる混合物を圧延してシートに形成し、該シートを硬化させて、該シートをスレッドに細く切断、即ち、スリットする。スレッドは、全体として矩形であり、その寸法は、0.15875×0.0508cm(0.0625×0.02インチ)が好適である。斯かるスレッド300の典型的な断面積は、a1であり、概ね約0.0013平方インチである。この材料は、センター上の非常に薄い層内に使用することができる。
図4を参照すると、同様に本発明と一緒に使用することができる従来の2層ゴルフボールスレッド400を図示する。この2層ゴルフボールスレッドの場合には、混合及びカレンダーリングステップは単層スレッドの場合と同一である。しかしながら、シートを成形した後で、該シートを一体に圧延して硬化させて層またはシートを一体に結合してスレッドにスリットしていく。スレッド400の各層の厚さは、それぞれ、t1及びt2である。一般的には、これらの厚さは、実質的に同一であり、各層は、また、同一の物性を有する。
図5に図示する如く、本発明と一緒に使用可能な別の2層スレッドは、従来のスレッド材料を混合し、斯かるスレッド材料を圧延して2層のシートにして、該シートまたは層を一体に圧延して、該層を一体に結合して、該シートを2層のスレッド500にスリットすることにより形成される。層を一体に結合するステップは、加圧して2層を一体に保持する間に材料を加硫することによりなされ、前記層が一体に接合される。加硫系は、硫黄を備えた系であり、熱により活性化されると共に、当業者にも公知である。好適には、第1の層510はより弾性があり、第2の層520はより処理しやすく、これは、各層の物性により証明される。
本発明で使用可能な別の種類のスレッドを図6に図示する。スレッド600は、多数の個々のフィラメントまたはストランド610から成る。好適には、10本以上のストランド610はスレッド600を構成し、より好適には、50本以上のストランド610がスレッド600を形成し、最も好適には、スレッドは100本を超えるストランドを含む。ストランド610は、小径であり、その径は、典型的には、約0.00508cm(約0.002インチ)未満であり、より好適には、約0.000254cm(約0.0001インチ)未満である。好適には、本発明のストランドの断面積a2は、約0.0001平方インチ未満であり、最も好適には、0.00001平方インチである。好適には、本実施例のスレッドの径a3は、約0.001平方インチであり、最も好適には、約0.0005平方インチである。多数のストランドから形成されたスレッドは、米国特許第6,149,535号を参照しつつ本発明に従って作製することが出来る。斯かる米国特許の開示は、明確に引用するために斯かる記載により本明細書に組み込む。
好適には、前記スレッドの破断伸びは、約8%を超えるものである。より好適には、スレッドの破断伸びは、約25%を超えるものである。破断前の最小伸びが約8%では、ゴルフボールは、インパクト中に変形する。典型的なドライバーでのインパクト中に約8%未満で著しく変形するゴルフボールは、打った時のフィールは硬く、スピン及びフィール特性は望ましくないものとなる。1実施例では、スレッドの破断伸びは、約200%乃至1000%である。好適には、巻き着けた状態でのスレッドの弾性率は約10,000psiを超えるものである。好適な実施例では、弾性率は約20,000psiを超えるものである。別の好適な実施例では、弾性率は、約25,000psiを超えるものである。
図6のスレッド600のストランド610は、図示の如くバインダーで一体に保持することが可能であり、または、一体に紡糸することが可能である。メルト紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、重合紡糸を使用しスレッドを生成することが可能である。各方法については本明細書にて詳細に説明している。
図6のスレッド600はポリマー材料を含むのが好適である。適当なポリマーは、LYCRA(登録商標);ポリエステル尿素;HYTREL(登録商標)等のポリエステルブロックコポリマー;イソタクティック−ポリ(プロピレン);ポリエチレン;ポリアミド;ポリ(オキシメチレン);ポリケトン;DACRON(登録商標)等のポリ(エチレンテレフタレート);KEVLAR(登録商標)等のポリ(p−フェニレンテレフタルアミド);ORLON(登録商標)等のポリ(アクリロニトリル);QUINA(登録商標)等のトランス、トランス−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びドデカンジカルボン酸を含む。LYCRA(登録商標)、HYTREL(登録商標)、DACRON(登録商標)、KEVLAR(登録商標)、ORLON(登録商標)及びQUINA(登録商標)は、デラウエア州、ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ネモーズ社(E.I.Dupont de Nemours & Co. of Wilmington,DE)から市販されている。例えば、コーニング社からのS−GLASS(登録商標)である、グラスファイバーも使用することができる。また、マサチューセッツ州、フォールリバーのグローブ・マニファクチャリング社(Globe Manufacturing of Fall River,MA)によるD7グローブスレッドを使用することができる。実際、本明細書に記載したスレッド材料中の任意のものの混合物を本発明のスレッド層に含めることができる。
スレッド600も異なる物性を有したストランド610で構成して所望の伸張または伸び特性を達成するようにすることが可能である。例えば、スレッドは、弱いが弾性のある第1の伸びのタイプの材料から成るストランド及び強いが弾性が低い第2の伸びのタイプの材料を合わせて含むことが可能である。別の例では、スレッドは、径が約0.0508cm(約0.02インチ)未満のポリイソプレンゴムから成る少なくとも1本のストランドを含むことが可能である。このストランドを、各々の径が約0.00508cm(約0.002インチ)未満のポリエーテル尿素のストランド10本乃至50本で囲繞することが可能である。
別の実施例では、ゴルフボールは、糸巻きフープ応力層を含むことが出来、斯かる層は、上記に説明する如く糸巻き層に代わってまたは糸巻き層に追加して設けられる。糸巻き層は、内側コアの周りに、好適には、該内側コアと接触させて巻きつけた高引張ファイバーから形成される。様々な高引張弾性率のファイバーは、最小限の厚さの層に必要なフープ応力を提供することが可能であり、好適には、ガラス、ダクロン(Dacron)、ポリアミド、芳香族ポリアミド(デュポン社のケブラーアラミドフィアバー等)、カーボンまたは金属ファイバーである。鋼(特に、ステンレススチール)、モネルメタル、またはチタン等の金属が好適である。フープ層は、金属ファイバーから形成され、慣性モーメントが高く、従って、ゴルフクラブで打たれた時に低速で回転して、以って、飛行中長時間に亘りその回転速度を保持することができる。
これらの高引張弾性率を有したファイバーの強さは、ゴルフクラブで打たれた時にゴルフボールの巻き糸に加えられる非常に高い応力を吸収するのに非常に好適である。しかしながら、ゴルフボールに良好なフィール及び耐久性を付与するために変更することができる。少なくとも約250kpsiの引張強さが好適であるが、少なくとも約500kpsiの引張強さがより好適である。高引張弾性率を有したファイバーの引張弾性率は、ゲージまたは厚さともに変更することで所望によりより高い剛性を持った、より柔らかな、またはより耐久性のあるボールを提供することが可能となる。少なくとも10,000kpsiの弾性率が好適である。少なくとも20,000kpsiの弾性率が最も好適である。フープ層は約0.0254乃至0.254cm(約0.01乃至0.10インチ)の厚さに巻きつけるのが好適である。1フープ層の実施例では、少なくとも100%の初期応力がピンと張った材料に加えれるのが好適である。
斯かるフープ層の実施例では、高引張弾性率を有したファイバーを使用して糸巻き層を形成し、巻きつけ工程中に斯かるファイバーに加えられる初期張力は、約4%未満の初期応力であるのが好適である。約10%未満の初期応力がより好適である。約25%未満の初期応力が最も好適である。ファイバー自体は、コアの周りに巻きつけやすいことから連続しているのが好適である。
図1及び図2のゴルフボール10は、ゴルフボールの技術分野で使用されてきた従来の方法で形成することが可能である。例えば、図1のゴルフボールは、中実センター12を射出または圧縮成形することで製造することができる。スレッド30は、次いで、中実コア12の周りに巻きつけられて、既に説明した如く、糸巻き層16が形成される。カバー層または複数のカバー層は、次いで、当技術分野で公知の方法により糸巻き層16の周りに射出または圧縮成型されるか、または、注型される。もっとも好適には、本発明のゴルフボールは、中実センターを有し、且つ、少なくとも100本のストランドから形成されたポリエーテル尿素LYCRA(登録商標)スレッドで周りを囲繞され、各ストランドの径は、約0.000254cm(0.0001インチ)であり、且つ、約200乃至約500%の巻きつけ伸びで巻きつけられる。
図2に戻ると、本発明のゴルフボール18は、半球形のカップを圧縮成型することで最初にシェル26を形成して形成することが出来、斯かるカップは、一体に接合されて、シェルを形成してキャビティを創出して、該キャビティに流体または液体28を充填して流体充填されたセンター20を形成する。本明細書で説明する如く、図2は、本発明の1実施例を図示したものであり、該実施例では、ゴルフボールは流体充填される。代替の実施例では、センター層(複数の層)中実である。次いで、スレッド30を直接シェルの周りに巻付けて、センター及び巻きつけ層との間に追加の層を所望しない場合にはすでに説明したごとく、巻きつけ層を形成し、追加の層が所望であれば、ピンと張った材料をセンター層の周りに配置する前にシェルの周りに中間層を形成する。次いで、カバーが糸巻き層の周りに、本発明に従って、射出または圧縮成型により、または、注型により配置される。
図7を参照すると、中実センター34、カバー36及び該センター及び該カバーの間に配置された糸巻き層38を有したゴルフボール32が図示される。センター34は、また、上記に説明した如く形成された液体充填センターとすることが可能である。追加の単数または複数の層40をセンター上に形成することができる。例えば、図7に図示する如く、センター上にマントル層40が形成される。本発明により上記に説明した如く、少なくとも1本のスレッド材料から形成された糸巻き層がマントル層上に形成される。カバーは、糸巻き層上に形成される。更に、図7は様々に変形することが可能であり、本発明の糸巻き層をセンターに直接隣接させて形成し、糸巻き層の上にオプションの中間層(マントル層)を形成する変形例を含む。さらに、中実マントル層に代えて、第2の単数または複数の糸巻き層をセンター及び本発明による糸巻き層の間に、または、本発明による糸巻き層およびカバーとの間に形成することも考えられる。本明細書にて既に記載した如く、多数の材料を使用して上記の追加の層を形成することが出来る。
図1、図2及び図7を参照すると、カバー14、22及び36は、ボールとクラブとの間のインタフェースとなる。カバー14、22及び34は、ボールとクラブとの間のインタフェースとなる。カバーに望ましい特性は、中でも良好な易動度、高耐磨耗性、高引裂強さ、高レジリエンス及び良好な離型性である。カバーは、十分な強度、良好化性能特性及び耐久性をもたらせる厚さを有しているのが典型的である。カバーの厚さは、約0.254cm(約0.1インチ)未満であるのが好適であり、約0.127cm(約0.05インチ)未満であるのがより好適であり、約0.0508乃至約0.1016cm(約0.02乃至約0.04インチ)であるのが最も好適である。本発明は、より詳細には、少なくとも1つの糸巻き層を有したコアと、内側カバー層と、外側カバー層とを含んだ多層ゴルフボールに関する。本実施例では、好適には、内側カバー層及び外側カバー層の少なくとも一方の厚さが約0.127cm(約0.05インチ)未満であり、より好適には、0.0508乃至約0.1016cm(約0.02乃至約0.04インチ)である。最も好適には、各カバー層の厚さが約0.0762cm(約0.03インチ)である。
内側カバー層及び外側カバー層を備えた前記実施例では、内側カバー層は、下記の如く作製することができる。射出成型、圧縮成型または注型を使用することができるが、好適な実施例では、内側カバー層は圧縮成型を利用して糸巻きセンター上に形成される。糸巻きセンターの周りにモールドを閉じる圧力を増大する適当な速度は、容易に決定することができるが、モールドと及び該モールド内のセンターへの圧力をあまり急に増大すると、例えば、1秒もかからずにセンターが破損及び/または破断してしまうことは念頭におかねばならない。従って、1秒乃至30秒を超えるぐらいの時間、好適には、2秒乃至20秒を超える時間が適当であるが、これもその他の処理条件及び利用する材料により異なってくる。1好適な実施例では、15秒の時間がモールドを閉じるのに最も適当である。この時間は、モールドの各モールドハーフがその間にある材料に接触した時から測定され、モールド及びその中のセンターに加えられる圧力が増大されてモールドが完全に閉じるまでの時間に関係する。本方法は、射出成型方法を使用すると生じる溶接ラインを発生させないまたは除去するのに有効に寄与する。
1つの適当な射出成型の実施例では、高速の射出成型モールドが使用され、該モールドでは、毎秒約35.56cm(14インチ)のスクリュー速度が使用される。斯かる装置は、ドイツ国、ミュンヘン市のKrauss Maffei Machines社から市販されている。約20秒乃至30秒のサイクル時間を使用することが出来る。この高速射出成型方法は、溶接ラインを効果的に強固なものにすることから、また、内側カバー層及び外側カバー層を形成するのにも適している。
カバー層にオプションで好適に内側層を含めた場合には、内側層は、外側カバー層と同じ種類の本明細書にて記載した材料から形成することができる。1実施例では、内側カバー層は、イオノマー等の熱可塑性プラスチック、ポリアミド、ポリエーテルエステル、ポリ尿素、またはメタロセン触媒ポリマー、またはそれらの組合せを含む。好適な実施例では、内側カバー層は、50重量パーセントのSURYLIN8940(Na中和した)及び50重量パーセントのSURLYN7940(Li中和した)から成るブレンドを含む。別の実施例では、内側カバー層は、1つ以上のポリ尿素を含むことが出来、該ポリ尿素は、有機イソシアネートと有機アミンを反応させて作製することができ、各々が2つ以上の官能基を有する。特に有益なイソシアネートは、脂肪族イソシアネート、アリル脂肪族イソシアネート及び芳香族イソシアネートを含み、1実施例では、イソシアネートの含有量は少なくとも約29%である。好適な実施例では、イソシアネートは、約29乃至34重量パーセントの量で存在することができる。ポリ尿素に使用される典型的なアミン硬化剤は、1つ以上の有機ジアミン及びトリアミンを含む。芳香族ジアミンが好適である。特に適したポリ尿素は、米国特許第5,484,870号に記載したものを含み、該米国特許に開示は、明確に引用するために本明細書に組み込む。
内側カバー層の外径は、約3,937cm乃至4.191cm(約1.55インチ乃至1.65インチ)であるのが典型的である。1実施例では、外径は、約4.064cm乃至4.1656cm(約1.6インチ乃至1.64インチ)である。代表的な内側層の外径は、4.1148cm(1.62インチ)である。内側層の厚さは、約0.0635cm乃至0.2032cm(約0.025インチ乃至0.08インチ)であるのが典型的であり、好適には、約0.0762cm乃至0.127cm(約0.03インチ乃至0.05インチ)である。好適な1実施例では、内側カバー層の厚さは、約0.08128cm乃至0.09652cm(約0.032インチ乃至0.038インチ)である。好適な1実施例では、糸巻き層上で測定した場合、内側カバー層の硬度は、約20乃至80ショアDであり、好適には、約50乃至75ショアDであり、より好適には、約65乃至72ショアDである。前記材料から成るスラブの硬度は、若干低くなっており、68ショアDの硬度を有した内側層であれば、材料を直接測定した場合には、約64ショアDと成る。内側カバー層の圧縮は、約20乃至100であるのが典型的であり、約50乃至95であるのが好適である。好適な1実施例では、内側カバー層の圧縮は、約75乃至90である。1実施例では、内側カバー層の比重は、約0.8乃至1.3であり、約0.9乃至1.1であるのが好適である。1実施例では、内側カバー層を含んだ部分的に形成されたゴルフボールの重量は、約40g乃至46gであり、約40乃至42gであるのが好適である。内側カバー層の損失正接は、1実施例では、約-30℃乃至20℃で約0.03乃至0.08である。内側カバー層の複素弾性率は、約-30℃乃至20℃の超える温度で約5,000乃至12,000kgf/cm2とすることができる。
カバー層、または内側カバー層及び外側カバー層は、各々、当業者に公知の任意の材料を含むことが出来、熱可塑性及び熱硬化性材料を含むが、内側カバー層は、エチレン及び不飽和モノカルボン酸のイオンコーポリマー等の任意の材料を含むことができ、前記イオンコーポリマーは、デラウエア州、ウィルミントのE.I.デュポン・ドゥ・ネモーズ社からSURLYNの商標名で、また、エクソン社(Exxon)からIOTEKまたはESCORの商標名で市販されている。これらは、エチレン及び亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、ポタシウム、カルシム、マンガン、ニッケル等の塩で部分的に中和したメタクリル酸またはアクリル酸のコーポリマーまたはターポリマーであり、前記塩は、2乃至8個の炭素原子を有したオレフィン及び3乃至8個の炭素原子を有した不飽和モノカルボン酸の反応生成物である。コーポリマーのカルボン酸基は、全体にまたは部分的に中和されており、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸を含むことが可能である。
このゴルフボールは、同様に、1つ以上のホモポリマーまたはコーポリマー材料を含むことができ、それらは、(1) 塩化ビニルを重合して、または、塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリル酸エステルまたは塩化ビニリデンとの共重合により形成されるビニル樹脂;(2) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン及びエチレンメタクリレート、エチレンエタクリレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸、エチレンアクリル酸またはプロピレンアクリル酸等のコーポリマー、及び、シングル−サイト触媒またはメタロセン触媒を使用して精製したコーポリマー及びホモポリマー;(3) ポリオール及びジイソシアネートまたはポリイソシアネートから作製するポリウレタン及び米国特許第5,334,673号に開示した如きポリウレタン;(4) 米国特許第5,484,870号に開示した如きポリ尿素;(5) ポリ(ヘキサメチレンアジプアミド)及びジアミン及び二塩基性酸から作製されるポリアミド、並びに、ポリ(カプロカクタム)等のアミノ酸から作製されるポリアミド、及びポリアミドとSURLYN、ポリエチレン、エチレンコーポリマー、エチル−プロピレン−非凝固ジエンターポリマー等とのブレンド;(6) アクリル酸樹脂及び該樹脂と塩化ポリビニル、エラストマー等とのブレンド;(7) ウレタン等の熱可塑性プラスチック;ポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非凝固ジエンターポリマー等とのブレンドであるオレフィン熱可塑性ゴム;スチレン及びブタジエン、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴムのブロックコーポリマー;または、ペンシルベニア州、フィラデルフィアのアトフィナ(Atofina of Philadelphia,PA)(以前はElf Atochem)から市販されているPEBAX等のコポリ(エーテル−アミド);(8) 酸化ポリフェニレン樹脂または酸化ポリフェニレンとマサチューセッツ州、ピッツフィールドのジェネラル・エレクトリック社(General Electric Company of Pittsfiedl,MA)によるNORYLの商標名で市販されている如き高衝撃ポリスチレンとのブレンド;(9) ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/改質グリコール及びデラウエア州、ウィルミントのE.I.デュポン・ドゥ・ネモーズ社からHYTRELの商標名で、及びマサチューセッツ州、ピッツフィールドのジェネラル・エレクトリック社からLOMODの商標名で市販されているエラストマー等の等の熱可塑性ポリエステル;(10) ポリカーボネートと、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、マレイ酸スチレン無水物、ポリエチレン、エラストマー等、及び塩化ポリビニルと、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたは酢酸ビニルエチレンまたはその他のエラストマーとのブレンド及び合金;及び(11) 熱可塑性ゴムと、ポリエチレン、プロピレン、ポリアセタル、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル等とのブレンドである。
1実施例では、カバー層は、エチレン、プロピレン、アクリル酸及びメタクリル酸及び完全にまたは部分的に中和したイオノマー樹脂及びそのブレンド等の官能性モノマーを含んだブテン−1またはヘキサン−1ベースのホモポリマーまたはコーポリマー、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルホモポリマー及びコーポリマー、ポリマーを含んだイミド化したアミノ基、ポリカーボネート、強化ポリアミド、酸化ポリフェニレン、高衝撃ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポルスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフェタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)及び官能性コーモノマーを含んだそれらのコーポリマー、及びそれらのブレンド等の1つ以上のポリマーを含む。適したカバー配合物は、また、ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、E/X/Yターポリマーを含んだ酸を含んだエチレンコーポリマーイオノマー等の低弾性率イオノマーと含み、前記E/X/Yターポリマー中、Eはエチレン、Xはアクリレートまたはメタクリレートをベースとした軟化材成分であって、約0乃至50重量パーセントの量で存在し、Yはアクリル酸またはメタクリル酸であって、約5乃至35重量パーセントの量で存在する。より好適には、距離を最大にするように考案された低スピン速度の実施例では、アクリル酸またはメタクリル酸が、約15乃至35重量パーセント存在して、イオノマーを高弾性率イオノマーにする。高スピン速度の実施例では、カバーは、イオノマーを含み、該イオノマーにあっては、酸が約10乃至15重量パーセント存在すると共に、軟化コーモノマーを含む。本発明の好適な実施例では、1つ以上のポリ尿素成分を内側カバー層、外側カバー層または双方に含ませることが出来る。
カバーは、好適には、ポリウレタン配合物を含み、該配合物は、少なくとも1つのポリイソシアネートと、少なくとも1つの硬化剤との反応生成物から成る。該硬化剤は、例えば、1つ以上のジアミン、1つ以上のポリオール、または、それらの組合せを含むことが出来る。前記少なくとも1つのポリイソシアネートは、1つ以上のポリオールと結合されて、プレポリマーを形成することができ、該プレポリマーは、次いで、前記少なくとも1つの硬化剤と結合される。従って、本明細書で記載される場合には、ポリオールは、ポリウレタン材料の1つまたは双方の成分中に、プレポリマーの一部として、及び、硬化剤中に使用するのに適している。ポリウレタン配合物は、内側カバー層、外側カバー層、または双方を形成するのに使用することが可能である。好適な実施例では、外側カバーは、ポリウレタン配合物を含む。
当業者に入手可能なポリイソシアネートは、どんなものであっても、本発明に使用するのに適している。代表的なポリイソシアネートを以下に説明するが、それらに限定されるものではない。即ち、4,4'−ジフェニレルメタンジイソシアネート(「MDI」)、ポリマーMDI、カルボジイミド−改質液体MDI、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12MDI」)、p−ペニレンジイソシアネート(「PPDI」)、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート(「TODI」)、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、ナフタレンジイソシアネート(「NDI」)、キシレンジイソシアネート(「XDI」)、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(「p−TMXDI」)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(「m−TMXDI」)、エチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(「HDI」)、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネトメチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、HDIのトリイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(「TMDI」)、テトラセンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、アントラセンジイソシアネート、及びそれらの混合物である。ポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基、例えば、ジ−イソシアネート、トリ−イソシアネート及びテトラ−イソシアネートを有しているものとして当業者に公知である。好適には、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDIまたはそれらの混合物を含み、より好適には、MDIを含む。本明細書で使用される場合には、「MDI」なる用語は、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド−改質液体MDI及びそれらの混合物を含み、且つ、更に、使用されるジイソシアネートは、当業者には、従来のジイソシアネートより低レベルの「自由(free)」モノマーイソシアネート基を有していると理解されている「低自由(free)モノマー」とすることが可能であり、即ち、本発明の配合物は、約0.1%未満の自由モノマー基を有しているのが典型的である。「低自由モノマー」ジイソシアネートの例は、低自由モノマーMDI、低自由モノマーTDI及び低自由モノマーPPDIを含むが、それらに限定されるものではない。
前記少なくとも1つのポリイソシアネートは、約14%未満の未反応NCO基を有しなければならない。好適には、前記少なくとも1つのポリシアネートは、約7.5%以下のNCOを有し、より好適には、約2.5%乃至約7.5%のNCOを有し、最も好適には、約4%乃至約6.5%のNCOを有する。
当業者に公知のポリオールであれば、何れのポリオールであっても、本発明に使用するのに適している。ポリオールの例は以下の通りであるが、それらに限定されるものではない。即ち、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシを末端基とするポリブタジエン(部分的に/完全に水素化した誘導体)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びポリカボネートポリオールである。1好適な実施例では、ポリオールは、ポリエーテルポリオールを含み、より好適には、下記の一般的な構造を有するポリオールを含む。
但し、R1及びR2は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、各々が1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、1乃至約45の範囲の完全整数である。例は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及びそれらの混合物であるが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。好適には、本発明のポリオールは、PTMEGを含む。
但し、R1及びR2は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、各々が1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、1乃至約45の範囲の完全整数である。例は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及びそれらの混合物であるが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。好適には、本発明のポリオールは、PTMEGを含む。
別の実施例では、ポリエステルポリオールは、本発明のポリウレタン材料に含まれる。好適なポリエステルポリオールは下記の一般的な構造を有する。
但し、R1及びR2は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、各々が1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、1乃至約25の範囲の完全整数である。適したポリエステルポリオールは、ポリエチレンアジプトグリコール、ポリブチレンアジプトグリコール、ポリエチレンプロピレンアジプトグリコール、オルト−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。
但し、R1及びR2は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、各々が1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、1乃至約25の範囲の完全整数である。適したポリエステルポリオールは、ポリエチレンアジプトグリコール、ポリブチレンアジプトグリコール、ポリエチレンプロピレンアジプトグリコール、オルト−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。
別の実施例では、ポリカプロラクトンポリオールは、本発明の材料中に含まれる。好適には、ポリカプロラクトンポリオールはいずれも下記の一般的な構造を有する。
但し、R1は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、該鎖の長さであり、1乃至約20の範囲の完全整数である。適したポリカプロラクトンポリオールは、1,6−ヘキサンジオール−イニシエティドポリカプロラクトン、ジエチレングリコールイニシエティッドポリカプロラクトン、トリメチロールプロパンイニシエティッドポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコールイニシエティッドポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール−イニシエティッドポリカプロラクトン、及びそれらの混合物であるが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。
但し、R1は、直線状または分岐した炭化水素鎖であり、1乃至約20個の炭素原子を含み、nは、該鎖の長さであり、1乃至約20の範囲の完全整数である。適したポリカプロラクトンポリオールは、1,6−ヘキサンジオール−イニシエティドポリカプロラクトン、ジエチレングリコールイニシエティッドポリカプロラクトン、トリメチロールプロパンイニシエティッドポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコールイニシエティッドポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール−イニシエティッドポリカプロラクトン、及びそれらの混合物であるが、それらに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。
更に別の実施例では、ポリカーボネートポリオールは、本発明のポリウレタン材料中に含まれる。好適には、ポリカーボネートポリオールはいずれも下記の一般的な構造を有する。
但し、R1は、主にビスヘノールAユニット−(p−C6H4)−C(CH3)2−(p−C6H4)−またはその誘導体であり、nは、該鎖の長さであり、1乃至20の範囲の完全整数である。適したポリカーボネートは、ポリフタレートカーボネートを含むが、それに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は、約200乃至約4000である。
但し、R1は、主にビスヘノールAユニット−(p−C6H4)−C(CH3)2−(p−C6H4)−またはその誘導体であり、nは、該鎖の長さであり、1乃至20の範囲の完全整数である。適したポリカーボネートは、ポリフタレートカーボネートを含むが、それに限定されるものではない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合及び置換または未置換芳香族及び環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は、約200乃至約4000である。
ポリアミン硬化剤は、また、本発明のポリウレタン配合物の硬化剤に使用するのに適しており、結果として生じるボールの耐切断性、耐せん断性及び耐衝撃性を改善できることが判明している。好適なポリアミン硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、及びその異性体、3,5−ジメチルトルエンー2,6−ジアミン等の3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、及びその異性体、4,4'−ビス−(セク−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、1,4−ビス−(セク−ブチルアミノ)−ベンゼン,4,4−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4'−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、N,N'−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、p、p'−メチレンジアニリン(「MDA」)、m−フェニレンジアミン(「MPDA」)、4,4'−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(「MOCA」)、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、2,2',3,3'−テトラクロロジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。好適には、本発明の硬化剤は、ETHACURE300等の3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、及びその異性体をふくむ。適したポリアミン硬化剤は、第1及び第2双方のアミンを含み、約64乃至約2000の範囲の重量平均分子量を有する。
その他の適したポリアミン硬化剤は、下記の一般構造を有したものを含む。
但し、n及びmは、各々別個に0、1、2または3の値を有し、且つ、Yは、1,2−シクロヘキシル、1,3−シクロヘキシル、1,4−シクロヘキシル、オロト−フェニレン、メタ−フェニレン、またはパラ−フェニレン、またはそれらの組合せである。好適には、n及びmは、各々別個に0、1または2の値を有し、好適には、1または2の値を有する。
但し、n及びmは、各々別個に0、1、2または3の値を有し、且つ、Yは、1,2−シクロヘキシル、1,3−シクロヘキシル、1,4−シクロヘキシル、オロト−フェニレン、メタ−フェニレン、またはパラ−フェニレン、またはそれらの組合せである。好適には、n及びmは、各々別個に0、1または2の値を有し、好適には、1または2の値を有する。
ジオール、トリオール、テトラオール、またはヒロキシを末端基とする硬化剤を上記のポリウレタン配合物へ添加することが可能である。適したジオール、トリオール、及びテトラオール基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン、1,3−ビス−{2[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、リソルチノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル、ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル、及びそれらの混合物を含む。好適には、ヒロキシを末端基とする硬化剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルオールプロパン及びそれらの混合物を含む。
好適には、ヒロキシを末端基とする硬化剤は、約48乃至2000の範囲の分子量を有する。本明細書で使用される場合には、分子量は、絶対重量平均分子量であり、当業者にそれと理解されているものである。その他の適したヒロキシを末端基とする硬化剤は、下記の一般的な化学構造を有する。
但し、n及びmは、各々別個に0、1、2または3の値を有し、且つ、Xは、オロト−フェニレン、メタ−フェニレン、パラ−フェニレン、1,2−シクロヘキシル、1,3−シクロヘキシル、または1,4−シクロヘキシル、またはそれらの混合物である。好適には、n及びmは、各々別個に0、1または2の値を有し、好適には、1または2の値を有する。
但し、n及びmは、各々別個に0、1、2または3の値を有し、且つ、Xは、オロト−フェニレン、メタ−フェニレン、パラ−フェニレン、1,2−シクロヘキシル、1,3−シクロヘキシル、または1,4−シクロヘキシル、またはそれらの混合物である。好適には、n及びmは、各々別個に0、1または2の値を有し、好適には、1または2の値を有する。
ヒドロキシを末端基とする硬化剤及びアミン硬化剤の双方とも1つ以上の飽和基、不飽和基、芳香族基及び環状基を含むことができる。また、ヒドロキシを末端基とする硬化剤及びアミン硬化剤は、1つ以上のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン配合物は、硬化剤のブレンドまたは混合物で形成する事が出来る。しかしながら、所望であれば、ポリウレタン配合物は、単一の硬化剤から形成することも可能である。
当業者に公知の方法であれば、何れの方法でも、ポリイソシアネート、ポリオール、及び本発明の硬化剤を結合するのに使用することが可能である。一般的に使用されている方法は、当技術分野では、ワンショット方法として公知であるが、ポリイソシアネート、ポリオール及び硬化剤を同時に混合する方法である。この方法では、混合が不均質(よりランダムな)になると共に、製造業者が結果として生じる配合物の分子構造をコントロールしにくくなる。好適な混合方法は、プレポリマー方法として公知である。この方法では、ポリイソシアネート及びポリオールが別個に混合されて、その後で硬化剤が添加される。この方法では、混合がより均質になり、以って、よりむらのないポリマー配合物が得られる。
オプションで充填剤成分を選択して、前記に説明した成分のブレンドの密度を高くする。充填剤成分の選択は、所望するゴルフボールの特性に応じて決定される。ポリウレタンの充填剤成分に使用する充填剤の例は、本明細書で説明したポリブタジエン反応成分用の充填剤を含む。ナノ粒子、ファイバー、ガラス球体、及び/またはチタン及びタングステン等の様々な金属等の同様のまたは同一の添加剤を本発明のポリウレタン配合物に、1つ以上のゴルフボール特性を変更するのに必要な量を添加することができる。ポリウレタン配合物に添加することの出来る追加する成分は、UV安定剤及びその他の染料、並びに、光学的光沢剤及び蛍光顔料及び染料を含む。斯かる追加の成分は、それぞれの望まれる目的を達成する量で追加される。
非常に薄い性質を有するため、流体の形態で付与される注型可能な反応材料は、ゴルフボール上に非常に薄い外側カバー層を得るのを可能にできることが本発明により判明している。特に、反応してウレタンエラストマー材料を形成する注型可能な反応液体は望ましい非常に薄い外側カバー層をもたらすことが判明している。
前記注型可能な反応液体は、ウレタンエラストマー材料を形成するのに使用され、当該技術分野で公知のスプレー、浸漬、スピンコーティング、または、フローコーティング方法等の様々な塗布技術を用いて内側コア上にウレタンエラストマー材料を塗布することができる。適当なコーティング技術の例は、「ゴルフボール上にポリウレタンカバーを形成する方法及び装置」と題した、1995年5月2日に出願された米国特許第5,733,428号に開示された技術であり、斯かる特許の開示は、明白な引用例としてその全体を本明細書にこの記載により組み入れる。
カバーまたは、内側カバー層及び外側カバー層の双方が存在する場合には、外側カバーは、材料を混合すると共にモールドハーフ内に導入してコアの周りに形成するのが好適である。粘度は終始測定して、各モールドハーフを充填し、コアを一方のモールドハーフ内へ導入して、モールドを閉じるその後のステップが適切な時間で起きるようにしてコアカバーハーフ溶融の心出し及び全体の均一性を達成できるようにする。コアをモールドハーフ内へ導入するための硬化のためのウレタンミックスの適切な粘度の範囲は、凡そ約2,000cP乃至約30,000cPと成るように決定されるが、好適な範囲は約8,000cP乃至約15,000cPである。
カバーの形成を開始すると、計量した量の硬化剤及びプレポリマーをラインを通して供給して、混合ヘッドを含んだ自動ミキサーにおいて斯かるプレポリマー及び硬化剤の混合が達成される。頂部の事前に加熱されたモールドハーフを充填すると共に、各モールドの穴内に入るピンを使用して固定ユニット内に設置する。反応材料を約50乃至約80秒頂部モールドハーフ内に置いておいた後で、コアをゲル状の反応混合物中へ速度を制御しつつ降下させる。その後、底部モールドハーフまたは一連の底部モールドハーフはキャビティ内に同様の量の混合物を導入する。
ボールカップは、ホース内の圧力を低減(部分真空)すると、ボールコアを保持する。約50乃至80秒間のゲル化の後で、モールドのハーフ内に被覆したコアを配置すると同時に、真空を解除してコアのレリースを行う。モールドハーフ上にはコア及び凝固したカバーハーフが載っており、心出し固定ユニットから取り出して、逆さまにすると共に、その他のモールドハーフと嵌め合わせる。該その他のモールドハーフには、その前に選択した量の反応ポリウレタンプレポリマー及び硬化剤が既に導入されてゲル化が始まっている。
同様に、ブラウン(Brown)等の米国特許第5,006,297号、ウ(Wu)の米国特許第5,334,673号の双方には、適当な成型技術が開示されており、斯かる技術は、本発明において使用される注型可能な反応液体を付与するのに使用することが可能である。各特許の開示は、斯かる特許への言及により、明確な引用例として本明細書に明確に組み入れられる。しかしながら、本発明の方法は、これらの技術を使用することに限定されるものではない。
1実施例では、カバーの−30℃乃至20℃での損失正接は、0.16乃至0.075であるのが典型的である。1実施例では、ボール上のカバー層の複素弾性率は、−30℃乃至20℃で約1000乃至2800kgf/cm2である。1好適な実施例では、カバー材料の比重は、約1乃至2であり、好適には約1.1乃至1.4である。1実施例では、カバー材料の比重は約1.15乃至1.25である。
本発明に従ってゴルフボール作製する時には、ゴルフボールのディンプル面積は約60パーセントを超えるのが典型的であり、約65パーセントを超えるのが好適であり、約75パーセントを超えるのがより好適である。ゴルフボール上のカバーの曲げ弾性率は、約500psiを超えるのが典型的であり、約500psi乃至150,000psiであるのが好適である。本明細書にて説明した如く、外側カバー層は、比較的柔らかなポリウレタン材料から形成されるのが好適である。特に、外側カバー層の材料の硬度は、ASTM−2240で測定した場合、約30乃至70ショアDでなければならず、約45乃至約60ショアDであるのが好適である。1実施例では、外側カバー層の硬度は、約52ショアDである。外側カバー材料の硬度をゴルフボールの硬度を測定することで測定する場合には、斯かる硬度は、材料自体の硬度より高くなる傾向にある。例えば、カバー材料の硬度が45ショアDである場合には、ボール上で測定した該材料の硬度は、55ショアDとなる。内側カバー層がある場合には、該内側カバー層の材料硬度は、約50乃至約75ショアDとなるのが好適であり、60乃至65ショアDとなるのがより好適である。材料の硬度は、多数の要因により決定され、その他のカバー層の厚さ及び硬度はそれらの要因に含まれる。
本発明の結果として作製されるゴルフボールの回復率は、約0.7を超えるのが典型的であり、約0.75を超えるのが好適であり、約0.78を超えるのがより好適である。本発明のゴルフボールのアッチ圧縮(これまでは、PGA圧縮と呼ばれてきた)は少なくとも40であり、約50乃至120であるのが好適であり、約60乃至100であるのがより好適である。本発明のゴルフボール用のポリブタジエン材料の曲げ弾性率は、約500psi乃至300,000psiであるのが典型的であり、約2,000乃至200,000psiであるのが好適である。本発明のゴルフボール用のポリブタジエン材料の曲げ弾性率は、約500psi乃至300,000psiであるのが典型的であり、約2,000乃至200,000psiであるのが好適である。
例
本発明の上記及びその他の態様は、下記の例を参照すればより十分に理解できるものであり、斯かる例は、本発明のゴルフボールの構造の好適な実施例を単に例示したものである。こられの例は、本発明を限定するのものと理解されるべきものではない。
本発明の上記及びその他の態様は、下記の例を参照すればより十分に理解できるものであり、斯かる例は、本発明のゴルフボールの構造の好適な実施例を単に例示したものである。こられの例は、本発明を限定するのものと理解されるべきものではない。
本発明に従って、様々なコアを作製すると共に、幾つかのコアは従来の材料を使用して作製した。表2の全てのコアは、径が約4.0132cm(1.58インチ)となるように作製した。各コアの配合表及び圧縮及びCORの測定値を表2に表す。
シス−ポリブタジエン異性体の一部をトランス−異性体へ成功裏に転化した様々な金属スルフィドシス−ツー−トランス触媒を表3に表す。CARIFLEX
BR1220ポリブタジエン(100部)を酸化亜鉛(5部)、ジクミルペルオキシド(3部、遊離基開始剤)及びジアクリル酸亜鉛(25部)と反応させて、本発明の反応生成物を形成した。
BR1220ポリブタジエン(100部)を酸化亜鉛(5部)、ジクミルペルオキシド(3部、遊離基開始剤)及びジアクリル酸亜鉛(25部)と反応させて、本発明の反応生成物を形成した。
トランス−異性体の転化パーセントは、前記の様々な触媒に対応して8パーセント未満から17パーセント以上までの範囲に広がっており、前記存在する触媒の量は、1.7部未満から3.7部以上の範囲に広がっている。様々な濃度においてトランス−ポリブタジエンの含有量を増大させる多数の異なるシス−ツー−トランス触媒の効果が表に明確に表されている。
例1:有機硫黄シス−ツー−トランス触媒を使用して、本発明により形成したコア
有機硫黄コンパウンドをシス−ツー−トランス転化触媒として使用して、本発明に従ってコアを創出した。その結果作製されたコアの特性は、従来の技術により構成したコアの例と比較して、本発明に従って作製したゴルフボールコアの利点が明白に表されている。それらの成分及び物性を表4に表す。
有機硫黄コンパウンドをシス−ツー−トランス転化触媒として使用して、本発明に従ってコアを創出した。その結果作製されたコアの特性は、従来の技術により構成したコアの例と比較して、本発明に従って作製したゴルフボールコアの利点が明白に表されている。それらの成分及び物性を表4に表す。
本発明により作製したコアの圧縮荷重は、米国特許第5,697,856号、米国特許第5,252,652号、及び米国特許第4,692,497号に従って構成したコアの圧縮荷重の凡そ半分であり、一方、COR(レジリエンス)については、前記の圧縮荷重を達成すると同時に、ほぼ同一であり、ケースによっては、高くなっている。本発明に従って作製したコアの圧縮荷重は低く(柔らかい)いが、弾性がある(速い)。本発明のコアの圧縮荷重は、米国特許第3,239,228号に従って構成したコアの圧縮荷重より大きいが、CORは遥かに高い。米国特許第3,239,228号のコアは、非常に柔らかく且つ非常に遅い(CORが非常に低い)。
0℃乃至−50℃の動的剛性のパーセントの変化もコアのエッジ及び中心で測定した。本発明のエッジ及び中心の双方における動的剛性の変化はほんの僅かであり、調査した前温度範囲で20パーセント未満であった。米国特許第3,239,228号に従って作製したコアの変化は230パーセントを超えるものであり、一方、その他の従来の技術に従って作製したコアに関する動的剛性は、同一の温度範囲で見れば、130パーセントを超えて変化しており、典型的には150パーセントも変化した。
本発明に従って作製したコアの中心及びエッジの双方におけるトランス−異性体の転化のパーセントも測定すると共に、前記と同じ4つの特許に開示されてあるのと同様に作製したコアについても測定して、トランス−勾配を算出した。本発明によるコアのトランス−勾配は、エッジから中心にかけて約32パーセントであった。本発明に従って作製したコアに関しては、予備硬化トランス−パーセント及び後硬化トランス−パーセントも測定して当該方法の効果を判定した。トランス−異性体へ転化されたポリブタジエンのパーセントは、中心における約40パーセントからエッジにおける55パーセントを超えるパーセントまでの範囲であった。従来の技術に従って作製したコアの中、米国特許第3,239,228号及び米国特許第4,692,497号に従って作製した2つのコアのトランス−勾配はゼロであった。米国特許第5,697,856号に従って作製した第3のコアのトランス−勾配はほんの僅かであり、エッジから中心にかけて18パーセント未満であった。米国特許第5,252,652号に従って作製した第4のコアのトランス−勾配は非常に大きく、エッジから中心にかけてほぼ65パーセントであった。
例2:無機スルフィドシス−ツー−トランス触媒を使用して、本発明により作製したコア
本発明によるコアは、シス−ツー−トランス触媒として無機スルフィドコンパウンドを使用して作製した。其の結果生じたコア特性は、従来の技術で構成したコアの例に比較して、本発明に従って作製したゴルフボールの利点を明白に示している。それらの成分及び物性を表4に表す。
本発明によるコアは、シス−ツー−トランス触媒として無機スルフィドコンパウンドを使用して作製した。其の結果生じたコア特性は、従来の技術で構成したコアの例に比較して、本発明に従って作製したゴルフボールの利点を明白に示している。それらの成分及び物性を表4に表す。
圧縮荷重は、米国特許第5,697,856号、米国特許第5,252,652号及び米国特許第4,692,497号に従って構成した3つのコアの圧縮荷重のほぼ半分であり、一方、COR(レジリエンス)は、前記半分の圧縮荷重を達成すると同時にほぼ同一であり、ケースによっては、高かった。本発明に従って作製したコアは、柔らかであるが弾性を有する(速い)。圧縮荷重は、米国特許第3,239,228号に従って構成したコアより大きいが、CORは著しく高い。米国特許第3,239,228号のコアは、非常に柔らかく且つ非常に遅い(CORが低い)。
0℃乃至−50℃の動的剛性のパーセントの変化もコアのエッジ及び中心で測定した。本発明のエッジ及び中心の双方における動的剛性の変化はほんの僅かであり、調査した前温度範囲で125パーセント未満であった。米国特許第3,239,228号に従って作製したコアの変化は230パーセントを超えるものであり、一方、その他の従来の技術に従って作製したコアに関する動的剛性は、同一の温度範囲で見れば、130パーセントを超えて変化しており、典型的には150パーセントも変化した。
本発明に従って作製したコアの中心及びエッジの双方におけるトランス−転化のパーセントも測定すると共に、前記と同じ4つの特許に開示されてあるのと同様に作製したコアについても測定して、トランス−勾配を算出した。本発明によるコアのトランス−勾配は、エッジから中心にかけて約45パーセントであった。従来の技術に従って作製したコアの中、米国特許第3,239,228号及び米国特許第4,692,497号に従って作製した2つのコアのトランス−勾配はゼロであった。米国特許第5,697,856号に従って作製した第3のコアのトランス−勾配はほんの僅かであり、エッジから中心にかけて18パーセント未満であった。米国特許第5,252,652号に従って作製した第4のコアのトランス−勾配は非常に大きく、エッジから中心にかけてほぼ65パーセントであった。
例3:有機硫黄スルフィド及び無機スルフィドのブレンドから成るシス−ツー−トランス触媒を使用して、本発明により作製したコア
本発明によるコアは、シス−ツー−トランス転化触媒として有機硫黄及び無機スルフィドコンパウンドのブレンドを使用して作製した。其の結果生じたコア特性は、従来の技術で構成したコアの例に比較して、本発明に従って作製したゴルフボールの利点を明白に示している。それらの成分及び物性を表4に表す。
本発明によるコアは、シス−ツー−トランス転化触媒として有機硫黄及び無機スルフィドコンパウンドのブレンドを使用して作製した。其の結果生じたコア特性は、従来の技術で構成したコアの例に比較して、本発明に従って作製したゴルフボールの利点を明白に示している。それらの成分及び物性を表4に表す。
圧縮荷重は、米国特許第5,697,856号、米国特許第5,252,652号及び米国特許第4,692,497号に従って構成した3つのコアの圧縮荷重のほぼ半分であり、一方、COR(レジリエンス)は、前記半分の圧縮荷重を達成すると同時にほぼ同一であり、ケースによっては、高かった。本発明に従って作製したコアは、柔らかであるが弾性を有する(速い)。本発明の圧縮荷重は、米国特許第3,239,228号に従って構成した第4のコアより大きいが、CORは著しく高い。米国特許第3,239,228号に従って構成した前記コアは、非常に柔らかく且つ非常に遅い(CORが低い)。
0℃乃至−50℃の動的剛性のパーセントの変化もコアのエッジ及び中心で測定した。本発明のコアのエッジ及び中心の双方における動的剛性の変化はほんの僅かであり、調査した前温度範囲で121パーセント未満であった。米国特許第3,239,228号に従って作製したコアの変化は230パーセントを超えるものであり、一方、その他の従来の技術に従って作製したコアに関する動的剛性は、同一の温度範囲で見れば、130パーセントを超えて変化しており、典型的には150パーセントも変化した。
本発明に従って作製したコアの中心及びエッジの双方におけるトランス−異性体の転化のパーセントも測定すると共に、前記と同じ4つの特許に開示されてあるのと同様に作製したコアについても測定して、トランス−勾配を算出した。本発明によるコアのトランス−勾配は、エッジから中心にかけて約44パーセントであった。本発明に従って作製したコアに関しては、予備硬化トランス−パーセント及び後硬化トランス−パーセントも測定して当該方法の効果を判定した。トランス−異性体へ転化されたポリブタジエンのパーセントは、中心における約26パーセントからエッジにおける45パーセントを超えるパーセントまでの範囲であった。従来の技術に従って作製したコアの中、米国特許第3,239,228号及び米国特許第4,692,497号に従って作製した2つのコアのトランス−勾配はゼロであった。米国特許第5,697,856号に従って作製した第3のコアのトランス−勾配はほんの僅かであり、エッジから中心にかけて18パーセント未満であった。米国特許第5,252,652号に従って作製した第4のコアのトランス−勾配は非常に大きく、エッジから中心にかけてほぼ65パーセントであった。
例4:本発明により作製した糸巻きボール
本発明による2重コアゴルフボールであって、中実センターと、該中実センターの周りを囲繞するピンと張った材料から成る中間層と、該中間層の周りに同心状に配置した多層カバーとを有したゴルフボールを作製する。その成分及び物性を表5に表す。
本発明による2重コアゴルフボールであって、中実センターと、該中実センターの周りを囲繞するピンと張った材料から成る中間層と、該中間層の周りに同心状に配置した多層カバーとを有したゴルフボールを作製する。その成分及び物性を表5に表す。
本発明のゴルフボール用の中実センターを作製した。センターは、始めの材料としてCARIFLEX BR1220ポリブタジエンから作製した。唯一の違いは、VAROX802−40KE−HPペルオキシド(従来の技術)を本発明のDTDSシス−ツー−トランス触媒及びジクミルペルオキシドに置き換えたことである。この置換によりポリブタジエン材料の一部が成型工程中にトランス−構成へ転化することが可能となる。其の結果生じる中実センターの外径は、約2.921cm(約1.15インチ)であった。これにより作製されるポリブタジエン反応生成物のトランス−異性体含有量は、従来のボールのトランス−異性体の含有量である1.5パーセントと比較して40パーセントになった。外径が約3.9624cm(約1.56インチ)である中間層をスレッド材料を引っ張った状態で前記中実センターの周りに巻付けて糸巻きコアを形成することで構成した。ピンと張った材料は、従来のシス−ポリイソプレンスレッドを含む。
例5:本発明により作製された代表的なボール
ムーニー粘度が約50のCB23ポリブタジエンゴム、DTDSシス−ツー−トランス触媒、33部のジアクリル酸亜鉛、及びセンターの密度を調節する充填剤を使用して代表的なボールを作成することができる。センターの径は、約3.556cm(約1.4インチ)とすることが出来る。センターの圧縮は、約50であるのが望ましく、130kg−10kgテストにおける撓みは約4.26mmである。次いで、径が約0.06096cm(約0.024インチ)のスレッドを800%の伸びで前記センターの周りに巻付けて径が約3.9624cm(約1.56インチ)の糸巻きセンターを形成する。
ムーニー粘度が約50のCB23ポリブタジエンゴム、DTDSシス−ツー−トランス触媒、33部のジアクリル酸亜鉛、及びセンターの密度を調節する充填剤を使用して代表的なボールを作成することができる。センターの径は、約3.556cm(約1.4インチ)とすることが出来る。センターの圧縮は、約50であるのが望ましく、130kg−10kgテストにおける撓みは約4.26mmである。次いで、径が約0.06096cm(約0.024インチ)のスレッドを800%の伸びで前記センターの周りに巻付けて径が約3.9624cm(約1.56インチ)の糸巻きセンターを形成する。
8945SURLYNナトリムイオノマーが50%及び7940SURLYNリチウムイオノマーが50%の内側カバーを付与する。斯かるブレンドの硬度は、64ショアDであり、内側カバーは、厚さが約0.0889cm(0.035インチ)となるように形成するのが望ましい。外側カバーは、硬化した硬度が約45ショアDであるRC11b注型ウレタン材料で厚さが約0.0762cm(約0.03インチ)となるように形成する。RC11bウレタンは、1当量の6.0%のNCOを有したMDI/PTMEGポリオール2000プレポリマーと、0.95当量のEthacure300及び3.5%のHCC−19584(白色の分散液)から作製することができる。RC11bは、硬度が約45ショアDの材料である。ETHACURE300は、ロスアンジェルスのバトンルージュのアルバマール社(Albermale Corporation of Baton Rouge,LA)から市販されている。従来の塗料またはその他の着色安定パッケージをゴルフボールカバー上に付与することが可能である。適当なディンプルパターンは392デュアルディンプル20面体パターンであり、ディンプルの容積は約590mm3である。
例6−22:糸巻き、中実センターを有した本発明のボールと従来の技術との比較
本発明に従って作製した幾つかのゴルフボール(例11乃至17)を幾つかの市販されているゴルフボール(例6乃至10)と比較した。本発明のボール、即ち、例11乃至17は、ポリイソプレン材料から形成した0.06096cm(0.024インチ)のピンと張ったスレッドを用いて径が約4.0005cm(1.575インチ)になるまで巻きつけた。張力は変えてあり、下記の表に示す。例10の同じSURLYNから成るマントルを成型して本発明による例11乃至22のコア上に付与した。次いで、マントルは、バフして余分な材料を取り除いて径を4.1148cm(1.62インチ)にして、硬度が45ショアDのポリウレタン材料を付与して、本発明のボール上に外側カバー層を形成した。
本発明に従って作製した例11乃至17のゴルフボールは、例6乃至10の市販のゴルフボールとほぼ同じ初速度、カバー材料圧縮及びCoRを保持しつつ、より低いボール圧縮を発揮する。本発明に従って作製したゴルフボールでは、径を増大したセンターを有したボールのセンターに等量のジアクリル酸亜鉛を使用することで、ボールのCoR値を影響を与えずにボールの圧縮を効果的に低減することができることが分かる。
本発明に従って作製した幾つかのゴルフボール(例11乃至17)を幾つかの市販されているゴルフボール(例6乃至10)と比較した。本発明のボール、即ち、例11乃至17は、ポリイソプレン材料から形成した0.06096cm(0.024インチ)のピンと張ったスレッドを用いて径が約4.0005cm(1.575インチ)になるまで巻きつけた。張力は変えてあり、下記の表に示す。例10の同じSURLYNから成るマントルを成型して本発明による例11乃至22のコア上に付与した。次いで、マントルは、バフして余分な材料を取り除いて径を4.1148cm(1.62インチ)にして、硬度が45ショアDのポリウレタン材料を付与して、本発明のボール上に外側カバー層を形成した。
本発明に従って作製した例11乃至17のゴルフボールは、例6乃至10の市販のゴルフボールとほぼ同じ初速度、カバー材料圧縮及びCoRを保持しつつ、より低いボール圧縮を発揮する。本発明に従って作製したゴルフボールでは、径を増大したセンターを有したボールのセンターに等量のジアクリル酸亜鉛を使用することで、ボールのCoR値を影響を与えずにボールの圧縮を効果的に低減することができることが分かる。
例18乃至25:本発明の流体を充填したゴルフボールと従来技術との比較
例18乃至23の従来のゴルフボールを作製または得て、例24乃至25の本発明のゴルフボールと比較した。例24は、下記に注記した如く作製し、約4.1148cm(1.62インチ)の内側カバー層を有すると共に、スレッド及び張力は、例22のものである。例25は、下記に注記した如く作製し、約4.1148cm(1.62インチ)の内側カバー層を有すると共に、スレッド及び張力は、例23のものである。次いで、例24乃至25のボールは、各々、例20のウレタン配合で被覆した。
本発明により作製した流体を充填したボールは、例18乃至23の市販のゴルフボールより全体的に圧縮は低い。
例18乃至23の従来のゴルフボールを作製または得て、例24乃至25の本発明のゴルフボールと比較した。例24は、下記に注記した如く作製し、約4.1148cm(1.62インチ)の内側カバー層を有すると共に、スレッド及び張力は、例22のものである。例25は、下記に注記した如く作製し、約4.1148cm(1.62インチ)の内側カバー層を有すると共に、スレッド及び張力は、例23のものである。次いで、例24乃至25のボールは、各々、例20のウレタン配合で被覆した。
本発明により作製した流体を充填したボールは、例18乃至23の市販のゴルフボールより全体的に圧縮は低い。
例26乃至34:本発明の糸巻きゴルフボールと従来の技術との比較
例26乃至30の従来のゴルフボールを作製または得て、例24乃至25の本発明のゴルフボールと比較した。例31乃至34の本発明は、CB23ゴム及びタングステン充填剤を含んだ約3.5306cm(1.39インチ)のコアを備えるように作製し、市販されているTitleistDTスピンゴルフボールと同じ材料及び巻きつけ仕様を使用した糸巻き層で被覆して、径を約3.937cm(1.55インチ)とした。次いで、例28と同一のカバー材料を使用してカバー材料から成る2つの層、即ち、外径が約4.1148cm(1.62インチ)のウレタン材料から成る内側カバー層及び外径が約4.2672cm(約1.68インチ)の従来のイオノマーブレンドから成る外側カバー層を各糸巻き層に付与した。
例26乃至30の従来のゴルフボールを作製または得て、例24乃至25の本発明のゴルフボールと比較した。例31乃至34の本発明は、CB23ゴム及びタングステン充填剤を含んだ約3.5306cm(1.39インチ)のコアを備えるように作製し、市販されているTitleistDTスピンゴルフボールと同じ材料及び巻きつけ仕様を使用した糸巻き層で被覆して、径を約3.937cm(1.55インチ)とした。次いで、例28と同一のカバー材料を使用してカバー材料から成る2つの層、即ち、外径が約4.1148cm(1.62インチ)のウレタン材料から成る内側カバー層及び外径が約4.2672cm(約1.68インチ)の従来のイオノマーブレンドから成る外側カバー層を各糸巻き層に付与した。
カバー材料の硬度が38ショアDである本発明による例31を下記に注記した如く作製した。カバー材料の硬度が38ショアDであり、コア形成工程中に、CB23ポリマー中のシス−異性体の一部をトランス−異性体へ転化した材料をコアに含んだ本発明による例32を作製した。例33のカバー材料の硬度は、45ショアDであった。例34のカバー材料の硬度は、45ショアDであり、例32と同一の材料を含んで、CB23中のシス−異性体の一部をトランス−異性体へ転化した。
本発明に従って作製した柔らかいカバー材料を有したゴルフボールの圧縮は、全体として、例26乃至30の市販のゴルフボールより低い。
本発明に従って作製した柔らかいカバー材料を有したゴルフボールの圧縮は、全体として、例26乃至30の市販のゴルフボールより低い。
例35乃至41:ポリ尿素糸巻きゴルフボールと従来の技術との比較
例35乃至37の市販されている従来のゴルフボールを例38乃至41の本発明のゴルフボールと比較した。本発明による例38乃至39のコアは、巻き糸を付与する前の圧縮が75であり、径は、約3.556cm(1.400インチ)であった。本発明による例40乃至41のコアは、巻き糸を付与する前の圧縮が79であり、径は、約3.7338cm(1.470インチ)であった。次いで、本発明による例38乃至41は、更に、ポリエーテル尿素材料から成る糸巻き層で外径が約3.937cm(1.550インチ)となるように調整し、例37と同一のカバー材料を使用してカバー材料から成る2つの層、即ち、外径が約4.1148cm(1.62インチ)のウレタン材料から成る内側カバー層及び外径が約4.2672cm(約1.68インチ)の従来のイオノマーブレンドから成る外側カバー層を該糸巻き層に付与した。
本発明により作製されたゴルフボールは、例35乃至37の従来のゴルフボールと同一の圧縮及びカバー材料硬度を保持しつつ、全体として、CoRは従来のものより高くなっている。
例35乃至37の市販されている従来のゴルフボールを例38乃至41の本発明のゴルフボールと比較した。本発明による例38乃至39のコアは、巻き糸を付与する前の圧縮が75であり、径は、約3.556cm(1.400インチ)であった。本発明による例40乃至41のコアは、巻き糸を付与する前の圧縮が79であり、径は、約3.7338cm(1.470インチ)であった。次いで、本発明による例38乃至41は、更に、ポリエーテル尿素材料から成る糸巻き層で外径が約3.937cm(1.550インチ)となるように調整し、例37と同一のカバー材料を使用してカバー材料から成る2つの層、即ち、外径が約4.1148cm(1.62インチ)のウレタン材料から成る内側カバー層及び外径が約4.2672cm(約1.68インチ)の従来のイオノマーブレンドから成る外側カバー層を該糸巻き層に付与した。
本発明により作製されたゴルフボールは、例35乃至37の従来のゴルフボールと同一の圧縮及びカバー材料硬度を保持しつつ、全体として、CoRは従来のものより高くなっている。
本明細書に開示した本発明の上記に例示した実施例は、上記に述べた目的を満たすことは明白ではあるが、当業者であれば様々な修正及びその他の実施例を考案することが可能であることは理解できることである。例えば、本発明では、各々化学的、物理的または機械的に異なる2本以上のスレッドを使用することが可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲に入る全ての斯かる修正及び実施例を網羅することを目的としていることは理解に難くない。
本発明の特徴及び効果は、下記に説明する図面と関連して提示する下記の詳細な説明から確かとなる。
本発明によるゴルフボールの第1の実施例の断面図である。
本発明によるゴルフボールの第2の実施例の断面図である。
本発明のゴルフボールに使用する従来の単プライスレッドの拡大部分斜視図である。
本発明のゴルフボールに使用する従来の2プライスレッドの拡大部分斜視図であるが、必ずしもその他の図と比較して正しい縮尺になっているものではない。
本発明のゴルフボールに使用する別の2プライスレッドの拡大部分斜視図であるが、必ずしもその他の図と比較して正しい縮尺になっているものではない。
本発明のゴルフボールに使用するスレッドの拡大部分斜視図であるが、必ずしもその他の図と比較して正しい縮尺になっているものではない。
追加の層を有した本発明にかかわるゴルフボールの断面図である。
Claims (14)
- センターと、
該センターを囲繞する糸巻き層と、
該糸巻き層を囲繞すると共に第1の硬度を有した内側カバー層と、
該内側カバー層を囲繞すると共に前記第1の硬度未満の第2の硬度を有し且つ厚さが0.127cm(0.05インチ)未満である熱硬化性で注型可能な反応液体材料を形成する外側カバー層とを備えたことを特徴とするゴルフボール。 - 請求項1のゴルフボールであって、前記内側カバーが、0.127cm(0.05インチ)未満であるゴルフボール。
- 請求項1のゴルフボールであって、前記内側カバーが、少なくとも1つのイオノマーを備えるゴルフボール。
- 請求項1のゴルフボールであって、前記熱硬化性注型可能な反応液体材料が熱硬化性ポリウレタン配合物を備えるゴルフボール。
- 請求項4のゴルフボールであって、前記熱硬化性ポリウレタン配合物が、少なくとも1つのイソシアネート及び少なくとも1つの硬化剤を備えるゴルフボール。
- 請求項5のゴルフボールであって、前記イソシアネートが、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド−モディファイド液体4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−メチルキシレンジイソシアネート、m−メチルキシレンジイソシアネート、o−メチルキシレンジイソシアネート、またはそれらの混合物を備えるゴルフボール。
- 請求項5のゴルフボールであって、前記硬化剤が、ポルアミン硬化剤、ポリオール硬化剤またはそれらの混合物を備えるゴルフボール。
- 請求項7のゴルフボールであって、前記硬化剤が、ポリアミンを備えるゴルフボール。
- 請求項7のゴルフボールであって、前記硬化剤が、少なくとも1つのポリオールを備えるゴルフボール。
- 請求項9のゴルフボールであって、前記少なくとも1つのポリオールが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシを末端基とするポリブタジエン、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、またはそれらの混合物を備えるゴルフボール。
- 請求項1のゴルフボールであって、前記内側カバー層及び前記外側カバー層が結合した厚さが、0.1778cm(0.07インチ)未満であるゴルフボール。
- 請求項1のゴルフボールであって、前記センターが、第1の量のトランス−異性体を有したポリブタジエンの転化反応から形成された材料、遊離基源及び少なくとも1つのシス−ツー−トランス触媒を備えるゴルフボール。
- 請求項12のゴルフボールであって、前記反応が、第1の量のトランス−異性体より大きな第2の量のトランス−異性体を有したポリブタジエン反応生成物を形成するのに十分な一定の温度で且つ一定の時間に亘って起きるゴルフボール。
- 請求項12のゴルフボールであって、前記シス−ツー−トランス触媒が、有機硫黄コンパウンド、無機硫黄コンパウンド、芳香族オルガノメタリックコンパウンド、金属−有機硫黄コンパウンド、テルル、セレニウム、元素硫黄、ポリマー硫黄、または、芳香族有機コンパウンドの少なくとも1つを備えるゴルフボール。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/775,793 US6812317B2 (en) | 1997-05-27 | 2001-02-05 | Wound golf ball having cast polyurethane cover |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002026252A Division JP2002315850A (ja) | 2001-02-05 | 2002-02-04 | 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005185851A true JP2005185851A (ja) | 2005-07-14 |
Family
ID=25105518
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002026252A Pending JP2002315850A (ja) | 2001-02-05 | 2002-02-04 | 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール |
JP2005021234A Pending JP2005185851A (ja) | 2001-02-05 | 2005-01-28 | 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール |
Family Applications Before (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002026252A Pending JP2002315850A (ja) | 2001-02-05 | 2002-02-04 | 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP2002315850A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5002389B2 (ja) | 2007-09-21 | 2012-08-15 | 勝治 松永 | ゴルフボール |
-
2002
- 2002-02-04 JP JP2002026252A patent/JP2002315850A/ja active Pending
-
2005
- 2005-01-28 JP JP2005021234A patent/JP2005185851A/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002315850A (ja) | 2002-10-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6913547B2 (en) | Thin-layer-covered multilayer golf ball | |
US7105610B2 (en) | Thin-layer-covered golf ball with improved velocity | |
US7806785B2 (en) | Golf ball with multiple cover layers | |
US7005479B2 (en) | Golf ball with rigid intermediate layer | |
US6812317B2 (en) | Wound golf ball having cast polyurethane cover | |
US7351370B2 (en) | Method of making filler-impregnated golf ball core | |
US6562909B2 (en) | Golf ball with multi-layer cover | |
JP2002204838A (ja) | 薄層でカバーした速度を改善したゴルフボール | |
US20030171166A1 (en) | Multi-layer golf ball | |
US20060205535A1 (en) | Thin-Layer-Covered Multi-Layer Golf Ball | |
US20090286623A1 (en) | Thin-layer-covered multilayer golf ball | |
JP2004298626A (ja) | 堅固な中間層を有するゴルフボール | |
JP2003079766A (ja) | 多層カバーを持つゴルフボール | |
JP2005185851A (ja) | 注型ポリウレタンカバーを有した糸巻きゴルフボール | |
JP2002272880A (ja) | 薄層被覆多層ゴルフボール |