JP2008546951A - 往復動ポンプ - Google Patents
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Abstract
本発明は、内部空間(13)を画定する円筒状圧力容器として構成された本体(11)を備える往復動ポンプ(10)である。本体(11)は、開口部(18)を有する壁(17)を備えている。ポンプ(10)は更に、円筒状側面(26)と端面(27)とを有する往復動プランジャ(25)を備えている。プランジャ(25)は、壁(17)の開口部(18)を通して内部空間(13)内に延在している。開口部(18)部で本体(11)とプランジャ(25)との間に流体密封を確立するために、シール手段(40)が設けられている。シール手段(40)は、本体(11)に対するプランジャ(25)の限定的な傾動を受け入れるように適応される。シール手段(40)は、プランジャ(25)と摺動し且つ密封するように係合するブッシュ(43)を備えている。ブッシュ(43)は、マウント(45)に支持され、プランジャ(25)の制限された傾動を受け入れるように、マウントに対して移動可能である。
Description
これは往復動ポンプに関する。
本発明は、特に高圧で海水をポンプで送るために考案されたものである。しかし、本発明は、海水以外の様々な流体をポンプで汲み上げるような用途を見出すことができることを理解されたい。
特許文献1は、波エネルギを利用し、波エネルギを加圧された海水に変換するための装置を開示している。海水は、前記装置が動作する海洋環境から汲み上げられ、沿岸で利用するために高圧でそこにポンプで送られる。
波エネルギによって作動される(したがって比較的遅い動きの可変のストロークを有する可能性が高い)往復動ポンプを利用して、場合によっては70バールに近い高圧で海水をポンプで送ることは、技術的困難を提起しうる。ポンプは、(波動のような再生可能なエネルギ源によって直接作動される駆動系から生じ得るように)例えば、不規則且つ非正弦的ストロークで動作することが要求される場合もある。更に、ある程度のずれ、すなわちピストン軸線の傾きを許容することが必要とされる場合もある。
この背景、ならびにそれに関連する問題および困難に対処して、本発明が開発された。
国際出願PCT/AU03/00813
本発明の1態様では、内部空間および該内部空間への開口部を画定する本体と、前記開口部を通して前記内部空間内に延在するプランジャ(plunger)であって、それによって前記内部空間内で前記本体と前記プランジャとの間にポンプ室が画定され、且つそれによって前記プランジャの往復動が前記ポンプ室内の容積変化をもたらして成るプランジャと、前記開口部で前記本体と前記プランジャとの間に流体密封を提供するシール手段であって、前記本体に対する前記プランジャの制限された傾動(tilting movement)を受け入れるように適応されたシール手段とを備えている、往復動ポンプを提供する。
シール手段は、プランジャと摺動し且つ密封するように係合するブッシュを備えており、該ブッシュはマウントに支持され、且つプランジャの前記制限された傾動を受け入れるように、マウントに対して移動可能であることが好ましい。
ブッシュとマウントが接触する接触面(interface)は、それらの間の前記移動を受け入れるように輪郭形状を形成することが好ましい。そのような接触面は、例えば、それらの間で角運動が可能なように球面状の構成とすることができる。
ブッシュは、プランジャと摺動し且つ密封するように係合するための半径方向内面を備える環状の構成であることが好ましい。半径方向内面は、プランジャと摺動し且つ密封するような係合をもたらす1つ以上のシールリングを含むことができる。ブッシュは、更に、半径方向外面、および半径方向内面と外面との間に延在する2つの端面を備えることができる。
マウントは、ブッシュを収容する環状の空洞(cavity)を備え、該環状の空洞はブッシュの端面を支持するための2つの対向座面を有することが好ましい。この構成により、マウントの座面とブッシュの端面との間の接触が、ブッシュとマウントとの間の運動を受け入れるための前記接触面を提供することになる。そのような運動は、マウントに対するブッシュの摺動角運動(angular sliding movement)である。
マウントは、座面の間に延在する更なる面を備え、前記更なる面はブッシュの外面から離隔されていることが好ましい。
マウントに対するブッシュの第1(通常)状態からの摺動角運動に対して弾発的に(yieldingly)抵抗するために、抵抗手段を設けることが好ましい。抵抗手段は、ブッシュの外面とマウントの前記更なる面との間の空間に収容された弾性可圧縮体(resiliently compressible body)を備えることができる。弾性可圧縮体は、弾性リングを備えることが好都合である。
マウントは、一体に組み立てるように適合された複数の部品から構成されることができる。これは、ブッシュの設置のためにマウントの中の環状の空洞へのアクセスを容易にし、またマウントの製造をも支援することができる。
本発明は、添付の図面に示された2つの特定の実施形態についての以下の説明を参照することによって、いっそうよく理解される。
図面の図1〜7を参照すると、海水をポンプで送るのに特に適する第1実施形態に係る往復動ポンプ10が図示されている。海水は海洋自体から汲み上げられ、したがって海水は汲み上げられた海洋深度の静水圧に対応する初期圧力を有する。
ポンプ10が波エネルギによって作動されると、それは一般的に遅い動きの可変のストロークで動作する。ポンプ10は、そのような用途に特に適した構造である。
ポンプ10は、内部空間13を画定する円筒状圧力容器として構成された本体11を備えている。本体11は、円筒状側壁15と、該円筒状側壁15の一端である端壁17とを備えている。端壁17は、そこに開口部18を有している。円筒状側壁15の他端は、基部19によって閉鎖されている。
端壁17は、円筒状側壁15に着脱自在に接続された端板20によって画定され、本実施形態の着脱自在な接続は、ビス止め具23によってもたらされている。
ポンプ10は更に、円筒状側面26と端面27とを有するプランジャ25を備えている。プランジャ25は、例えば波動によって作動される駆動系の影響下で、往復運動を受けるように適応されたコネクタ28に取付けられている。本実施形態では、コネクタ28は、レバー(図示せず)に接続されたヒンジピン29を受容するヒンジブッシュとして構成され、それによってレバーの往復運動がプランジャ25に往復運動を伝えるように構成されている。プランジャ25の往復運動の軸線は、その中心長手軸30と一致する。プランジャ25は中空構成であり、図1に示すように、プランジャ25は、側面26を画定する円筒状側壁部31と、端面27を画定する端壁部32とを含んでいる。
プランジャ25は、端壁17内の開口部18を通して内部空間13内に延在し、それによってポンプ室33が内部空間13内でプランジャ25と本体11との間に画定されている。この構成により、内部空間13内でのプランジャ25の往復運動は、図4、5、および6に図示するように、ポンプ室33の容積の変化をもたらすことになる。
プランジャ25の外面は、モリブデンのような耐食性があり且つ丈夫な材料で被覆することができる。
本体11は、入口12と出口14とを組み込んでおり、両方ともポンプ室33と連通している。
図面には示さないが、ポンプ10は、入口12を通してポンプ室33に流入し且つ出口14を通してポンプ室33から流出する流体の流れの方向を制御するために、適切な弁の配列をも備えている。
開口部18における本体11とプランジャ25との間の流体シールを確立するために、シール手段40が提供されている。シール手段40は、本体11に対するプランジャ25の制限された傾動を受け入れるように適応されている。
図7で最もよく分かるように、シール手段40は、プランジャ25が摺動し且つ密封するように係合するブッシュ43を備えている。
ブッシュ43は、マウント45内に支持され、プランジャ25の前記制限された傾動を受け入れるように、マウントに対して移動可能である。
ブッシュ43は、プランジャ25が摺動するように係合するための半径方向内面47を備える環状の構成となっている。内面47は、プランジャ25が摺動するように係合するための2つの軸方向に離隔したシールリング49を含んでいる。ブッシュ43は更に、半径方向外面52と、半径方向内面および外面47、52の間に延在する2つの端面53、55とを備えている。端面53、55は、球面状の輪郭形状である。
ブッシュ43は、シールリング49を支持するブッシュ本体48を備えている。ブッシュ本体48は、いずれかの適切な材料、例えば、PTFE内部潤滑剤を取り込んだ先端技術熱可塑材ような、内部潤滑剤を取り込んだポリマー含有材料から作ることができる(その一例としてVesconite Hilube(商標)がある)。同様にシールリング49は、Shamban Stepseal Turcite(商標)のような、いずれかの適切な材料および構成から作ることができる。
マウント45は、ブッシュ43を収容する環状空洞61を備えている。環状空洞61は、ブッシュ43の端面53、55を支持するための2つの対向座面63、65を有している。マウント座面63、65は、ブッシュ端面53、55の輪郭形状と合致する球面状の輪郭形状である。この構成により、マウント座面63、65とブッシュ端面53、55との間の接触が、マウント45に対するブッシュ43の摺動角運動を受け入れることができる。このやり方により、ブッシュ43は、プランジャ25の傾動および角度ずれ(限定範囲内の)いずれかを受け入れることができる。
マウント45はまた、座面63、65の間に延在する更なる面67をも備えている。該更なる面67は、ブッシュ43の外面52から離隔されており、面67と外面52との間に間隙71が画定されている。
弾性可圧縮体73が、間隙71に収容され、プランジャ25の軸線30と本体11との整列、更に詳しくは、図面に示すように、プランジャ軸線30と開口部18の中心軸との整列に対応する第1(通常)状態から離れて、ブッシュ43がマウント45に対して摺動角運動することに弾発抵抗するように働く。弾性可圧縮体73は、弾性リングを備えている。弾性リング73は、間隙71を完全には占有せず、それによって、プランジャが第1(通常)状態から離れて傾斜して、ブッシュ43がリングに対して摺動角運動したときに、リングの歪みを受け入れるための空所75を間隙71内に残す。弾性可圧縮体73によって提供される弾発抵抗は、プランジャが第1(通常)状態から離れて傾くことに抵抗するように働くが、プランジャがその状態に戻るように促す働きもする。すなわち、弾性可圧縮体73は、プランジャに第1(通常)状態へのバイアスを掛ける。
ポンプ室33内の海水は、ブッシュ43の潤滑に利用される。
本実施形態では、マウント45は、2つの部品を備えている。1つは端板20であり、もう1つは止め具79によって端板20の内側に着脱自在に取り付けられた剛性内リング77である。端板20はマウント座面63を画定するように構成され、内リング77はマウント座面65を画定するように構成されている。この構成は、ブッシュ43を設置するために環状空洞61にアクセスすることを容易にする。
今、図面の図8を参照すると、第2実施形態に係るポンプ用のシール手段80が図示されている。シール手段80は、幾つかの点で第1実施形態に係るポンプのシール手段40と同様であり、したがって対応する部品を識別するために同様の参照番号が使用されている。
本実施形態では、マウント45は、製造を容易にするために5つの部品を含んでいる。5つの部品は、ポンプ本体11に取り付けるための端板81と、端板付きインサート82、端板に着脱自在に取り付けられる内リング83と、内リング83に支持される内部座部材84と、インサート82の内側に取り付けられる外部座部材85とを備えている。外部座部材85は、マウント座面63を画定するように構成され、内部座部材84はマウント座面65を画定するように構成されている。
ブッシュ本体48および外部座部材85は、いずれかの適切な材料、例えば、PTFE内部潤滑剤を取り込んだ先端技術熱可塑材のような、内部潤滑剤を取り込んだポリマー含有材料である。内リング83および内部座部材84は、耐食性のためにクロムメッキされている。
各ブッシュ端面53、55は、ブッシュ43とマウント45の接触面間の流体密封を提供するために、シールリング87を受け入れる溝86を組み込んでいる。
ブッシュ43は、シールリングを受け入れるためにブッシュ本体48に環状凹部46がある状態で図示されているが、シールリングは図示されていない。
本実施形態は各々、過酷な環境で機能することのできる、単純であるが非常に効果的なポンプを提供する。その構成のため、ポンプは、波エネルギによって作動される駆動システムから生じる不規則且つ非正弦的なストロークで動作することができる。プランジャ25とポンプ本体11との間にシール手段40、80がそれぞれ構成されているので、プランジャ25とポンプ本体11との間のある程度のずれは許容することができる。
本発明の範囲は記載した実施形態の範囲に限定されないことを理解されたい。例えば、実施形態に係るポンプを海水のポンプでの移送に関連して記載したが、本発明に係るポンプは、液体、ガス、およびスラリを含む、様々な他の流体材料をポンプで送るような用途を見出すことができる。
本発明の範囲から逸脱することなく、変形および変化を施すことができる。
本明細書全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「備える(comprise)」という語または「備える(comprises)(comprising)」のような変形は、明記した要素または要素群を包含するが、任意の他の要素または要素群を排除するものではないことを意味していることは理解できるであろう。
Claims (14)
- 内部空間および該内部空間への開口部を画定している本体と、
前記開口部を通して前記内部空間内に延在するプランジャであって、これにより前記内部空間内において前記本体と前記プランジャとの間にポンプ室が画定されており、且つ前記プランジャの往復動が前記ポンプ室内の容積変化をもたらすように構成されているプランジャと、
前記開口部において前記本体と前記プランジャとの間に流体密封を提供するシール手段であって、前記本体に対する前記プランジャの制限された傾動を受け入れるように適合されたシール手段と
を備えている往復動ポンプ - 前記シール手段が、前記プランジャが摺動し且つ密封するように係合するブッシュを備えており、前記ブッシュが、前記マウントに支持され、且つ前記プランジャの前記制限された傾動を受け入れるように前記マウントに対して移動可能になっている、請求項1に記載の往復動ポンプ。
- 前記ブッシュと前記マウントとが接触する接触面は、前記ブッシュと前記マウントとの間の前記移動を受け入れるように輪郭形状が形成されている、請求項1または2に記載の往復動ポンプ。
- 前記接触面が、前記ブッシュと前記マウントとの間の角運動を受け入れるように球面状で構成されている、請求項3に記載の往復動ポンプ。
- 前記ブッシュは、前記プランジャが摺動し且つ密封するように係合するための半径方向内面を備える環状の構成となっている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
- 前記半径方向内面は、前記プランジャが摺動し且つ密封するような係合を提供する1つ以上のシールリングを含んでいる、請求項6に記載の往復動ポンプ。
- 前記ブッシュは更に、半径方向外面と、該半径方向内面と前記外面との間に延在する2つの端面とを備えている、請求項5または6に記載の往復動ポンプ。
- 前記マウントが、前記ブッシュを収容する環状の空洞を備えており、該環状空洞が、前記ブッシュの前記端面を支持するための2つの対向座面を有している、請求項2ないし7のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
- 前記マウントが更に前記座面間に延在する更なる面を備え、該更なる面が前記ブッシュの前記外面から離隔されている、請求項8に記載の往復動ポンプ。
- 前記マウントに対する前記ブッシュの第1(通常)状態からの摺動角運動に対して弾発的に抵抗するための抵抗手段が設けられている、請求項2ないし9のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
- 前記抵抗手段が、前記ブッシュの前記外面と前記マウントの前記更なる面との間の空間に収容された弾性可圧縮体を備えている、請求項10に記載の往復動ポンプ。
- 前記弾性可圧縮体が弾性リングを備えている、請求項1に記載の往復動ポンプ。
- 前記マウントが一体に組み立てられる複数の部品から構成されている、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
- 本明細書の添付の図面に関して実質的に記載されているような往復動ポンプ。
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