熱ポンプは当技術分野でよく知られている。熱ポンプは、単純に、システムに熱または冷却を伝達するための装置(device)であり、一方、冷凍機(refrigerator)は、システムから熱を取り除くための装置である。したがって、冷凍機は熱ポンプの1種であると考えることができる。本願全体にわたって、装置(特に、超臨界および遷移臨界流体を使用するTED類)のオペレーションを変化させることなく、冷凍機、空気調節装置、圧縮機、湯沸かし器、トリジェネレーションおよびコジェネレーションの指定を置き換えることができるという理解の下で、本発明を熱エネルギー転換装置と呼び、以後「TED」と呼ぶ。
熱イオン放出および熱ボルタ電池(thermovolta cell)は当技術分野でよく知られている。熱イオン放出または熱ボルタ電池は、単純に、熱を電気に転換するための可動部を持たない装置である。本願全体にわたって、装置のオペレーションを変化させることなく、フォノン−電子結合に関与する任意の装置の指定を置き換えることができるという理解の下で、本発明をセルと呼ぶ。
吸収式熱ポンプ類において、水のような吸収剤は、冷媒、典型的にはアンモニアを吸収し、そして発熱する。混合された溶液がさらに加圧および加熱されると、冷媒は放出される。冷媒は、予冷されおよび低圧に対して膨張させられると、冷却を提供する。低圧冷媒は、次いで、低圧の欠乏(depleted)溶液と混合され、サイクルを完成させる。
多くの現在の吸収式熱ポンプ/冷凍機は、水−アンモニアカップルまたは水−臭化リチウムのどちらか一方を使用する。これらの2つの吸収カップルは、ある欠点に悩まされている。水−アンモニアカップルは、アンモニアの毒性および可燃性の見地から、安全性の問題が生じ、および、LiBrは、腐食性であり、低圧オペレーションのために非常に不具合が生じやすく、すなわち、小リークが汚染を引き起こす。さらに、結晶化する傾向は、目詰まり(clogging)の問題となる可能性がある。非常に低圧で使用することは、水の凍結のためにしばしば不可能である。他の吸収プロセスが提案されてきたが、しかし全てが、毒性、可燃性およびオゾン欠乏性(depleting)である作動流体に関与し、または高度な大気の温室効果を有する
Jonesによる特許文献1(発明の名称「二酸化炭素吸収式熱ポンプ」)は、超臨界二酸化炭素を利用する伝統的な吸収サイクルである(特許文献1参照)。この特許は、非常に低い蒸気圧、沸点50℃未満、または0.70よりも良い性能係数を達成する任意の手段のいずれかを有する吸収体を予期していない。この特許は、さらに、脱着温度を低減させる任意の非熱的手段、または、膨張エネルギーの抽出を予期していない。
Samiらによる特許文献2(発明の名称「熱ポンプおよび冷凍設備の性能を強化するための磁場の使用のための方法および器具」)は、分子間力を乱し、および分子間引力を弱化して、作動流体の蒸気相への膨張を促進するために使用可能な磁場を利用している(特許文献2参照)。磁場エネルギーは、冷媒分子の極性を変更し、および冷媒分子間の分子間ファンデルワールス分散力を乱すことが見出されているが、しかしながら、脱着エネルギーを減少させるための磁場の利用は予期されていない。
Ngらによる特許文献3(発明の名称「電界吸収冷却機:超小型電子技術(microelectronics)から慣用の空気調節までの用途を有する小型化された冷却サイクル」)は、吸収および熱電子冷却装置の組み合わせを示す(特許文献3参照)。支配的な物理的プロセスは、主として、バルク効果よりも表面効果であり、または流体流よりもむしろ電子に関与する。この特許は、連続的な吸収プロセスを予期しておらず、むしろ、バッチ脱着プロセスから後続の脱着のための連続的に処理されるバッチへの熱エネルギーの転換を予期している。
Rane,Milind V.らによる特許文献4(発明の名称「エネルギー効率のよい収着プロセスおよびシステム」)は、吸収モジュール壁および切り替え可能なヒートパイプと熱接触する熱転換通路を備える吸収モジュールを考案し、この発明の吸収モジュールは、サイクル時間を5分まで低減させ、回転接触ディスクを使用する液体乾燥剤を再生するための効率的な多段再生プロセスをもたらした(特許文献4参照)。この特許は、連続的なプロセスまたは吸収プロセスのいずれも予期していない。
共にKorinによる特許文献5(発明の名称「ハイブリッド熱ポンプ」)および特許文献6(発明の名称「ハイブリッド熱ポンプ」)は、(i)蒸気を含有するガスから蒸気を選択的に除去して乾燥ガスを生成することができる選択透過性膜を有する膜浸透装置、(ii)(a)プロセス流体と熱エネルギーを交換するための内側、(b)外部環境と熱エネルギーを交換するための外側、および(c)内側および外側間で両方向に熱エネルギーをポンピングするための熱力学的機構を有する熱ポンプを含むハイブリッド熱ポンプシステムである(特許文献5および6参照)。Korinは、冷凍空気調節システムと関連付けて空気を事前調節するための膜の使用によって、著しく異なっており、および冷媒それ自体の中で何ら相分離を行わない。なおさらに、膜類は様々な分離用途において使用されてきたが、熱ポンプシステムのためのそれらの使用は限定されてきた。特許文献7および8は、半透膜およびパーベーパレーション膜をそれぞれ使用することによって、吸収式熱ポンプを改善することを提案している(特許文献7および8参照)。特許文献9は、焼結金属の多孔質膜を使用することによって真空冷凍を改善することを提案しており、および特許文献10は、微多孔質PTFE膜を使用する冷却蒸発の器具を記載している(特許文献9および10参照)。これらの特許は、吸収システム内の相分離のための膜の使用を予期しておらず、むしろ吸着システムを予期している。
Muntersによる特許文献7は、吸収式加熱および冷却システムにおいてエネルギーを転換するための方法および器具であり、そこでは、混合物を、圧力下で、相対的に高圧の区域と周囲圧力よりも高い相対的に低圧の区域とを画定する半透膜を通して拡散させることによって、吸収剤は作動媒体から分離される(特許文献7参照)。Muntersは、「作動媒体の希薄溶液は、減圧されると、エバポレータに送られ、一方、周囲圧力まで低減されると、濃縮された吸収剤溶液は、吸着ステーション中に送られる。」と明確に述べているので、超臨界オペレーションを予期していない。
Linhardtらによる特許文献8(発明の名称「冷凍器具および方法」)は、吸収剤/冷媒溶液の圧力を増大させ、および加圧された溶液をパーベーパレーション膜セパレータに供給して、1つの出力ストリームとして蒸気に富んだ冷媒を、別の出力ストリームとして濃縮液吸収剤を提供することを利用している。Linhardtらは、「実質的に蒸発した冷媒の吸収体への入力の圧力は、50psia未満である。」および「膜セパレータに入る吸収剤/冷媒溶液の圧力は、約250から400psiaの範囲内である。」と明確に述べているので、超臨界流体を予期していない。Linhardtは、「また、浸透膜吸収冷凍サイクルは、低温を実現することが可能であり、および慣用のアンモニア/水熱分離システムよりも高いCOPを有することができるが、しかし冷媒に浸透膜の細孔を通過させるために、2,000psia以上のオーダーの非常に高圧を必要とする。」とさらに記載している。パーベーパレーション膜は、冷凍および熱ポンプシステムにおいて使用される先行技術の膜分離プロセスとは完全に異なったやり方で使用(operates)するということも注意すべきである。そのような先行技術の膜システムは、冷媒に膜を通過させるために浸透圧に依存し、冷媒を他の構成成分から分離する。アンモニア−水ペアに関して、これは、2,000から4,000PSIおよびそれよりも高い規模のオーダーの圧力を慣用的に必要とする。浸透膜は多孔質であり、アンモニアが膜を通過することを可能にする。パーベーパレーション膜は多孔質ではないが、しかし、選択された材料を膜の中に溶解させることによって、構成成分に膜を通過させる。このことは、はるかに低い推進力(400PSIよりも著しく小さい)が推進要因として機能することを可能にする。アンモニア−水混合物の場合、パーベーパレーション膜は、アンモニアおよび水の蒸気を選択的に通過させて、液体の水を受け付けない。
Korinによる特許文献11(発明の名称「膜乾燥熱ポンプ」)は、(a)プロセスガスから蒸気を除去するため、および蒸気欠乏(depleted)プロセスを提供するための膜浸透装置を含むシステムである。この特許は、何ら超臨界流体の使用を開示していない。
該技術は、以下イオン性液体ハイブリッド溶液または「ILHS」と呼ぶ高効率の熱転換溶液を欠き、ILHSは、ILHSを有しないTEDの性能係数よりも大きな性能係数を有するシステムを任意のTEDシステム内で実現する。
米国特許第6,374,630号明細書
米国特許出願第2003−0182946号
米国特許第6,434,955号明細書
米国特許出願第2003−0221438号
米国特許出願第2002−0078696号
米国特許第6,539,728号明細書
米国特許第4,152,901号明細書
米国特許第5,873,260号明細書
米国特許第4,467,621号明細書
米国特許第5,946,931号明細書
米国特許第6,739,142号明細書
TED内で使用する本発明のILHSを、ここで、熱的手段を使用するエネルギー転換を実現するための最適な媒体として説明する。
本発明のILHSは、イオン性液体、イオン性固体、エレクトリド溶液、アルカリド溶液および超臨界流体/ガスからなる群から選択されるさまざまな流体を利用する。イオン性液体および固体は、当技術分野で環境にやさしい溶媒として認識されている。エレクトリド溶液およびアルカリド溶液は、当技術分野で化学的還元法および酸化法としてそれぞれ認識されている。TEDは、独自に、無視できるとまではいかなくても非常に低い蒸気圧を有するイオン性液体「ILs」、好ましくは超臨界ガス、好ましくは二酸化炭素またはアンモニア(それぞれ「scCO2」または「scNH4」)と相溶性のイオン性液体(以下、「scG」と呼ぶ)を特色とする。本発明のscCO2またはscNH4およびILsの組み合わせは、それらの部分混和性流体の組み合わせとしての分類のために、優れた二酸化炭素溶解度および単純な相分離を有する。部分混和性流体は、圧力および温度の両方の直接的な関数として、混和性でもありおよび非混和性でもある。非混和性状態における部分混和性流体は、本質的に低エネルギーの分離方法である相分離のために単純にデカンテーションできる。scGのイオン性液体との相挙動、およびガスの液体中溶解度がどのようであるかは、カチオンおよびアニオンの選択および構造に影響される。
追加的なイオン性液体溶液の組み合わせは、当技術分野で部分混和性を有するとして認識されている。本発明のさらなる態様は、温度、圧力およびpHからなる群から選択される少なくとも1つの機能のうちの機能としての相分離の実現である。好ましい溶液は、吸収体の中の冷媒溶解度を変動させるための、少量の酸または塩基の利用をさらに含む。より好ましい溶液は、電気透析を含む方法を使用するpH制御と組み合わせて、温度および圧力を変動させる。相分離を可能にするための追加的な方法は、イオン性流体の溶解度を増大させる静電場の能力、および限外ろ過またはナノ濾過膜を含む目的のために静電場の適用を含む。
本発明のILHSは、さらに、エレクトリド溶液およびアルカリド溶液を利用する。好ましいエレクトリド溶液は、無水アンモニアを含む。エレクトリドの主な利点は、カソードおよびアノード間の自由電子(すなわち、エネルギー状態)の転換を中心とする。ナノスケールの粉末の後の混入に必須である追加的な利点は、エレクトリドの強い還元特性である。これは、ナノスケールの粉末、特に金属が、一つには粉末の高表面積のために容易に酸化するのに必須である。
本発明のさらに別の特徴は、導電性、半導性、強誘電性および強磁性の粉末からなる群から選択される少なくとも1つのナノスケールの粉末のさらなる包含である。当技術分野で認識されるようなナノスケールの粉末は、コロイド分散を維持すると同時に、磁性、熱物理的特性(たとえば、伝熱性)、導電性、および吸収特性を含むさまざまな特性を強化または変動させる。より好ましいナノスケールの粉末は、単層およびナノスケールの多層(すなわち、100ナノメートル未満の表面コーティング)の群から選択される表面修飾を含むナノスケールの表面修飾を有するナノスケールの粉末をさらに含む。特に好ましいナノスケールの粉末は、熱物理的特性、導電性、および太陽光スペクトル吸収の群から選択される1つ以上のパラメーターを強化する。
本発明のILHSのなおさらなる特徴は、TED類の統合である。熱エネルギー抽出装置は、脱着工程の後の冷媒の膨張段階(stage)の間にエネルギーを抽出すること、またはフォノンの電子への直接の量子変換によって、効率(すなわち、性能係数「COP」)を向上させる。
イオン性液体は、伝統的な伝熱流体と比較すると、対応するより低い伝熱性とともに、相対的により高い導電性(すなわち、電子輸送)の明確な有利点を有する。熱エネルギーを機械的または電気的エネルギーのどちらかに変換するこれらの特性は、当技術分野で知られているように、望ましい。そのような装置は、熱エネルギー変換装置を含む。TED類は、熱電子放出セル、熱ボルタ電池、発電機、圧縮機および熱ポンプからなる群から選択される装置を含む。好ましいILsは、当技術分野で伝熱流体として認識される流体を含む流体をさらに含む溶液の中である。好ましいイオン性液体は、本発明のイオン性液体ハイブリッド溶液「ILHS」である。「ILHS」は、少なくとも1つの伝熱流体を含む溶液であり、そこで、圧力および温度からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーターは変更され、そこで、伝熱流体およびイオン性液体は部分混和性または混和性である。その中で少なくとも1つの個々の流体成分が非混和性になる領域を有する簡単な(readily)ILHSは、相対的に単純な流体分離を可能にする。その中で流体が少なくとも部分混和性または完全に混和性である領域は、流体が吸収熱を受けることを可能にし、このことは、このエネルギーを(たとえば、コンデンサを通して)効率的に除去する能力を提供する。
0.1nmから1000nmの平均粒径を有する表面修飾ナノスケール粒子のさらなる混入は、高い導電性および/または伝熱性それぞれのどちらか/両方の組み合わせを可能にする。理論にとらわれずに、本発明のナノスケール粒子は、表面修飾粒子の混入によって、高い電子放出の平均自由工程長を有すると信じられる。好ましいナノスケール粒子は半導性および伝導性粒子の両方である。好ましいILHSは、さらに、エレクトリド類またはアルカリド類からなる群から選択される少なくとも1つの溶液を含む。当技術分野で認識されるような好ましいエレクトリドまたはアルカリドは、室温で安定なエレクトリドまたはアルカリドである。
ILHSは、さらに、ナノスケール粒子の還元または酸化のために利用されることができる。好ましいシナリオは、得られる粒子の凝集を制限して、小さいナノスケール粒子を実現することである。得られる粒径を低減させる特に好ましい方法は、そのような還元/酸化反応を、得られる生成物を小サイズ内に拘束する一連の物理的に拘束された「反応」セル内で行うことである。特に好ましい反応セルは、およそ0.1nmと1000nmとの間のサイズ内である。
後続のナノスケール粒子の化学的還元または酸化から得られた生成物もまた、0.1nmと1000nmとの間である。これを実現するのに最適な方法は、同様に0.1nmと1000nmとの間である前駆体ナノスケール粒子で始めることである。好ましいナノスケール粒子は、実質的に球状のナノスケール粒子である。特に好ましいナノスケール粒子は、表面修飾されている(たとえば、ベンゾトリアゾールで表面修飾された銅)。特に好ましいナノスケール粒子は、100nm未満、さらに好ましくは10nm未満である。理論にとらわれずに、表面修飾粒子(錯化によるものを含む)は、より少ない凝集、多層間の大きな接着性を有し、電子/フォノントンネリングおよび/または結合のより大きな平均自由工程のものである。特に好ましいナノスケール粒子は、錯化により表面修飾されており、および実質的に同一直径のものである。TED類内、もっとも顕著には熱イオンセル内で利用される粒子は、10nm未満の直径を有する。理論にとらわれずに、電子は10nmの距離を通ってトンネルすることができるが、一方、フォノンはできないことが認識される。空の熱イオンセル内における10nm(またはそれ未満)の球径のナノスケール粒子の混入は、熱イオンセルのホットサイドおよびコールドサイドが常に一様に間隔をあけることを可能にする。
半導性ナノスケール粒子の混入は、理論にとらわれずに、平均自由工程長を35nmまで増大させる可能性を有する。熱イオンセルのホットサイドおよびコールドサイド間のこの臨界的距離は、したがって、電子に、平均0.1nmから35nmの間の直径を有する実質的に球形の粒子によって分離されるセル空間内をトンネルさせる能力を有する。
導電性または半導性、および伝熱性の少なくとも1つを含むナノスケール粒子の組み合わせは、理論にとらわれずに、フォノン−電子結合を増加または減少させる所望のバランスをシフトさせる能力を有する。より好ましい組成は、導電性および非伝熱性の両方の実質的に球形の粒子を含む。特に好ましい球形の粒子は、導電性層および非伝熱性層からなる群から選択される少なくとも1つの層の交互層からなる多層コーティングをさらに含む。
各交互層は、0.1nmから10nmの平均厚さを有する。より好ましい交互層は、0.1nmから3nmの平均厚さを有する。特に好ましい最外交互層は、イオン性液体溶液と反応性ではない。特に好ましい最外交互層は、有機金属塩または金属塩の化学的還元の手段として、容易に還元(reduced)される。1つのそのような方法は、それに限定されないが、水素還元である。イオン性液体について特に良い別の方法は、電気めっきによる還元であり、そこで、有機金属塩または金属塩は電圧差によって還元されるが、しかしながら、還元された金属は、「封入」層の層内に拘束される。1つのそのような封入層は、後続の有機金属塩または金属塩の化学的還元を拘束する手段として、容易に重合される。
また、多層ナノスケール粒子の内側の内容物(たとえば、有機金属塩または金属塩)を 容易に固定化する能力は、有機金属塩または金属塩の化学的還元の手段として容易に架橋される少なくとも1つの交互層を含む。そのような交互層の材料は、それらに限定されないが、モノマー、タンパク質、および紫外線硬化されるポリイミドを含む。結果として生じる重合プロセスは、架橋されたポリマーおよび重合されたモノマーを提供する。物理的に拘束されるナノスケール粒子を含有するイオン性液体溶液は、金属塩、有機金属、金属酸化物および金属窒化物を、電気的還元、化学的還元および光還元からなる群から選択される手段によって還元するように設計される。ナノスケール粒子を実現する追加の方法は、ILHSをナノエマルション、ナノコロイダルサスペンションまたはミクロエマルションに予め処理することによって生じる。ナノエマルション、ナノコロイダルサスペンションまたはミクロエマルションへの処理は、制限されないが、粘度低下、均一分散、および容器−物理的拘束性のより小さいミセルによるものを含む追加的な利益を有する。
ILHSは、エレクトリドまたはアルカリドをさらに含み、理論にとらわれずに、フォノン−電子結合、熱転換および熱から電気への変換からなる群からの少なくとも1つを向上させる。好ましいILHSは、伝熱流体をさらに含有する。より好ましいILHSは、ILHSまたはILHS中の少なくとも1つの追加の流体と部分混和性または混和性である伝熱流体を有する。特に好ましいILHSは、超臨界ガスをさらに含む。好ましいガスは、二酸化炭素、窒素、アルゴンおよびアンモニアからなる群から選択されるガスを含む。後続の化学反応の目的のために特に好ましいILHSは、アンモニアである。アンモニアは、当技術分野でエレクトリドの重要な成分であると認識されている。特に好ましいILHSは、少なくとも溶液の超臨界圧力まで加圧される溶液である。ILHS溶液/ブレンドは、TED内で少なくとも該溶液の超臨界圧力で使用する。また、TED内のILHSは、遷移臨界圧力領域を超えて使用することができる。
超臨界二酸化炭素CO2のファミリーの例示的なイオン性液体を図1に示し、その中で、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート([bmin][PF6])および1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロボレート([bmin][BF6])の吸収測定を、市販の微量天秤を用いて、283.15、298.15、323.15および348.15Kの温度および2MPa未満の圧力で行った(DuPont Central Research and DevelopmentおよびDuPont Fluoroproducts Laboratoryにより行われた)。各固定温度および圧力で、吸収飽和(平衡)データから、ガス溶解度を測定した。図は、相対的に小さい温度差により得られる有意な圧力ゲインおよび非混和性が生じる領域を明らかに示す。
超臨界ILHS溶液は、0.1nmから1000nmの平均粒径を有するナノスケールの前駆体とさらに混合され、および直ちに急速膨張の対象となる。急速膨張のプロセスは、発熱化学反応に反対に作用し、および粒子凝集を低減させる利益を含む、数々の利益を有する。
超臨界ILHS溶液は、圧力および温度からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーターの変化を受ける。圧力および/または温度は、ILHS群内からの少なくとも1つの成分/流体が、伝熱流体、イオン性液体、および超臨界流体から成るように、ILHSが部分混和性または混和性でありおよび非混和性になる領域を利用することによって、相分離が容易に実現されるように変更される。
本発明のILHSは、最適には、上述のTEDのようなエネルギー変換装置内で使用するように設計/配合される。TEDは、電場、静電場および磁場からなる群から選択される場を含む少なくとも1つの場をさらに含む。場は、理論にとらわれずに、加速電子、律則(limiting)フォノン後方散乱、または律則冷電子後方散乱からなる群から選択される少なくとも1つの利益のために、伝熱を増大させる。TEDは、バリア膜をさらに含み、バリア膜は熱源とILHSの間に存在する。バリア膜は、ダイヤモンド、ダイヤモンド様、金属およびカーボンナノチューブからなる群から選択される成分をさらに含み、これは、理論にとらわれずに、熱転換およびTEDのホットサイドおよびコールドサイド間のギャップを横切るフォノントンネリングを低減させる。
熱イオンセルを含むセルは、上部セルサイドおよび下部セルサイドを分離するための、実質的に球形および同一直径からなる群から選択される少なくとも1つの特徴によって特徴付けられるナノスケール粒子をさらに含む。上部セルサイドおよび下部セルサイドは、0.1nmから100nmの平均距離で分離される。上部セルサイドおよび下部セルサイドは、より好ましくは、0.1nmから35nmの平均距離によって分離される。上部セルサイドおよび下部セルサイドは、特に好ましくは、0.1nmから10nmの平均距離によって分離される。
TED内の本発明のILHS溶液およびオペレーションによって多くの利益が実現され、フォノン−電子結合を介するものを含む、熱力学サイクルまたは直接的な熱から電気への変換のどちらか一方内の性能係数は、エネルギー効率を増大させるために増大される。その中で利益が実現されるであろう好ましい熱力学サイクルは、ゴスワミ(Goswami)、ウエハラ(Uehara)、カリーナ(Kalina)、ランキン(Rankine)、カルノー(Carnot)、ジュール・ブレイトン(Joule−Brayton)、エリクソン(Ericsson)およびスターリング(Stirling)サイクルからなる群から選択されるサイクルを含む。このましいサイクルは、その中でILHSが余熱を任意の単一の熱力学サイクルからハイブリッドの高効率熱力学サイクルへ変換する組み合わせ サイクルである。